図1は、本発明の電子機器のクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器10は、省電力モード時ハンドシェーク手段11と、通常モード復帰開始手段12と、ウィンドウサイズゼロ通知手段13と、ウィンドウサイズゼロ以外通知手段14を備えている。ここで、省電力モード時ハンドシェーク手段11は、自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に外部ネットワークと接続してネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う。通常モード復帰開始手段12は、省電力モード時ハンドシェーク手段11によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知手段13は、通常モード復帰開始手段12によって前記した装置全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェーク手段11によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知手段14は、ウィンドウサイズゼロ通知手段13がウィンドウサイズのゼロを通知した後、前記した装置全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
図2は、本発明の他の電子機器のクレーム対応図を示したものである。本発明の他の電子機器20は、監視部21と、装置メイン部22からなる。ここで、監視部21は、要復帰通知受信手段21aと電力供給手段21bから構成される。要復帰通知受信手段21aは、自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に通電され省電力モードからそれ以外のモードとしての通常モードに復帰する契機となる要復帰通知を電気的に受信する。電力供給手段21bは、要復帰通知受信手段21aが要復帰通知を受信したとき特定の機器に電力を供給する。装置メイン部22は、電力受信手段22aと、通常モード復帰手段22bから構成される。電力受信手段22aは、監視部21を除いた装置部分から構成され、電力供給手段21bから電力の供給を受ける。通常モード復帰手段22bは、電力受信手段22aの受信した電力を用いて監視部21を除いた装置部分を通常モードに復帰する処理を行う。
図3は、本発明の電子機器システムのクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器システム30は、省電力モード時ハンドシェーク手段31と、通常モード復帰開始手段32と、ウィンドウサイズゼロ通知手段33と、ウィンドウサイズゼロ以外通知手段34を備えている。ここで、省電力モード時ハンドシェーク手段31は、自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に外部ネットワークと接続してネットワーク側の相手機から自装置に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う。通常モード復帰開始手段32は、省電力モード時ハンドシェーク手段31によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で自装置および前記した付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知手段33は、通常モード復帰開始手段32によって前記した自装置および前記した付属装置全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェーク手段31によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知手段34は、ウィンドウサイズゼロ通知手段33がウィンドウサイズのゼロを通知した後、前記した自装置および前記した付属装置全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
図4は、本発明の電子機器の省電力方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器の省電力方法40は、省電力モード時ハンドシェークステップ41と、通常モード復帰開始ステップ42と、ウィンドウサイズゼロ通知ステップ43と、ウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ44を備えている。ここで、省電力モード時ハンドシェークステップ41では、電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う。通常モード復帰開始ステップ42では、省電力モード時ハンドシェークステップ41によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記した電子機器全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知ステップ43では、通常モード復帰開始ステップ42によって前記した電子機器全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェークステップ41によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ44では、ウィンドウサイズゼロ通知ステップ43でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記した電子機器全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
図5は、本発明の電子機器システムの省電力方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器システムの省電力方法50は、省電力モード時ハンドシェークステップ51と、通常モード復帰開始ステップ52と、ウィンドウサイズゼロ通知ステップ53と、ウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ54を備えている。ここで、省電力モード時ハンドシェークステップ51では、電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機からこの電子機器に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う。通常モード復帰開始ステップ52では、省電力モード時ハンドシェークステップ51によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記した電子機器および前記した付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知ステップ53では、通常モード復帰開始ステップ52によって前記した電子機器および前記した付属装置全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェークステップ51によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ54では、ウィンドウサイズゼロ通知ステップ53でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記した電子機器および前記した付属装置全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
図6は、本発明の電子機器の省電力プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器の省電力プログラム60は、コンピュータに、省電力モード時ハンドシェーク処理61と、通常モード復帰開始処理62と、ウィンドウサイズゼロ通知処理63と、ウィンドウサイズゼロ以外通知処理64を実行させるようにしている。ここで、省電力モード時ハンドシェーク処理61では、電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う。通常モード復帰開始処理62では、省電力モード時ハンドシェーク処理61によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記した電子機器全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知処理63では、通常モード復帰開始処理62によって前記した電子機器全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェーク処理61によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知処理64では、ウィンドウサイズゼロ通知処理63でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記した電子機器全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
図7は、本発明の電子機器システムの省電力プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の電子機器システムの省電力プログラム70は、コンピュータに省電力モード時ハンドシェーク処理71と、通常モード復帰開始処理72と、ウィンドウサイズゼロ通知処理73と、ウィンドウサイズゼロ以外通知処理74を実行させるようにしている。ここで、省電力モード時ハンドシェーク処理71では、電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続してネットワーク側の相手機からこの電子機器に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う。通常モード復帰開始処理72では、省電力モード時ハンドシェーク処理71によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記した電子機器および前記した付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる。ウィンドウサイズゼロ通知処理73では、通常モード復帰開始処理72によって前記した電子機器および前記した付属装置全体が通常モードに復帰する前に省電力モード時ハンドシェーク処理71によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記した相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知する。ウィンドウサイズゼロ以外通知処理74では、ウィンドウサイズゼロ通知処理73でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記した電子機器および前記した付属装置全体が通常モードに復帰したら前記した相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記した相手機からのデータの受信を可能にする。
<発明の第1の実施の形態>
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
図8は、本発明の第1の実施の形態による通信システムの概要を表わしたものである。第1の実施の形態による通信システム100では、送信システム101と受信システム102が、ネットワーク103を介して接続している。このような通信システム100で、受信システム102は送信システム101からデータの送信が開始されるまで省電力モードの状態を保持しており、電力の消費を軽減するようになっている。ネットワーク103は、たとえばLAN(Local Area Network)やインターネットで構成されている。
ここで、送信システム101および受信システム102は、たとえばパーソナルコンピュータのようなCPU(Central Processing Unit)を備えた情報処理装置でそれぞれ構成されている。
図9は、図8に示した通信システムにおける受信システムの構成を表わしたものである。受信システム102は、図8に示した送信システム101の送信を監視するネットワーク監視システム111と、送信システム101との関係で所定の処理を行うメインシステム112を備えている。ここでは、一例として受信システム102が画像データを送信システム101から受信して、形成されたトナー像を熱定着するプリントシステムであるとする。
この例の場合、送信システム101が受信システム102に対して所定時間以上印字データを送信しないと、ネットワーク監視システム111がこの状態を検出する。ネットワーク監視システム111の検出結果を基にして、受信システム102としてのプリントシステムは省電力モードの状態となる。プリントシステムが省電力モードの状態では、メインシステム112内の図示しない定着装置の通電をオフにすることが可能となり、また定着温度を下げることが可能となる。また、図示しない表示部のバックライトを消灯させるように各種の節電制御を行って、プリントシステム全体の電力消費の節減を図ることになる。
ところで、図8に示したネットワーク103は、ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121と接続されている。ネットワーク切替部121は、メインシステム112内のネットワーク処理部131がネットワーク103に接続するのをオン・オフ制御することができる。
図9ではネットワーク切替部121とネットワーク処理部131の間に、ケーブル132が接続されているが、このような接続形態に限るものではない。ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131が図示しない同一の基板の内部配線によって接続する構成となっていてもよい。また、ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131を接続する基板は1枚である必要はなく、複数が直列に接続した構成となっていてもよい。
ネットワーク監視システム111は、図8に示した送信システム101等の他のシステムあるいはネットワークの監視を行う。ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121には、システムバス122を介してネットワーク簡易処理部123、監視側主制御部124および監視側電源制御部125が接続されている。
ここでシステムバス122は受信システム102の全体を対象に設けられたバスであり、ネットワーク監視システム111とメインシステム112内の各種部品を接続する。ネットワーク監視システム111内でシステムバス122と接続されたネットワーク簡易処理部123は、エコモードとしての省電力モード中にネットワーク103との間でのプロトコルの処理を行う。同じくネットワーク監視システム111内の監視側主制御部124は、ネットワーク監視システム111の制御を司るもので、図示しないがCPU(Central Processing Unit)と、このCPUが実行する制御プログラムを格納する記憶媒体を有している。ネットワーク監視システム111内の監視側電源制御部125は、省電力モード中におけるネットワーク監視システム111とメインシステム112の電源制御の処理を行う。
メインシステム112内のネットワーク処理部131はシステムバス122とも接続されている。メインシステム112内でシステムバス122は、この他にメイン側電源制御部133とメイン側主制御部134と接続されている。メイン側電源制御部133は、メインシステム112側における電源制御を行う。メイン側主制御部134は、監視側主制御部124と同様に図示しないCPUと、その実行用の制御プログラムを格納した記憶媒体を有している。ただし、メイン側主制御部134と監視側主制御部124は機能的に分離されているものの、ハードウェアとして同一の記憶媒体を共用するものであっても構わない。
図10は、本実施の形態の通信システムで省電力モードに突入してから再び送信システムがデータの転送を開始するまでの処理の流れを示したものである。図8および図9と共に説明する。
本実施の形態の受信システム102では、送信システム101が所定時間T1以上にわたってデータの送信を行わないと、次にデータの送信のための処理が開始するまで電力消費を抑えるための省電力モード(エコモード)に突入するものとする。時刻t1に送信システム101が受信システム102に対するデータの送信を終了させたとする。この時刻t1から受信システム102のメインシステム(メイン側)112のメイン側主制御部134は省電力モードに突入するための計時動作を開始する。
その後も送信システム101が受信システム102に対してデータの送信のための処理を開始せず、メイン側主制御部134がその図示しないカウンタで前記した所定時間T1を計時したとする。この時刻t2に、メイン側主制御部134はメインシステム状態通知としての省電力モード状態通知をネットワーク監視システム(ネットワーク監視側)111の監視側主制御部124に送出する(ステップS201)。
監視側主制御部124は、省電力モード状態通知を受信すると、システムバス122を用いてネットワーク切替部121にネットワークをネットワーク監視システム111側に切り替えるネットワーク切替指示を送出する(ステップS202)。ネットワーク切替部121は、このネットワーク切替指示を受信すると、ネットワーク103に対する接続をネットワーク監視システム111側に切り替える。
メイン側主制御部134はネットワーク切替部121にネットワーク切替指示を送出した後、システムバス122を使用してメイン側電源制御部133に対してメインシステム状態通知としての電源オフ指示を通知する。メイン側電源制御部133は電源オフ指示を受信すると、メインシステム112内の電源をすべてオフにする(ステップS203)。メインシステム112の電源がオフになった時刻を時刻t3とする。時刻t3以後のネットワーク103の監視は、メインシステム112に代わってネットワーク簡易処理部123が行うことになる。
このようにして時刻t3以後は、省電力モードの下で受信システム102内のネットワーク監視システム111のみに電源が供給され、省電力化が図られる。
時刻t3から所定時間T2が経過した時刻t4に、送信システム101が受信システム102に対してデータの転送の許可を得るためにSYN(Synchronize)フラグを付与したパケットを送信したとする(ステップS204)。ここでSYNフラグとは、TCP(Transmission Control Protocol)コネクションの確立を要求する最初のパケットに付与されるフラグである。
ところでTCP通信で、たとえば送信システム101が受信システム102にデータを送信するとする。このとき、まずSYNパケットが送信システム101から受信システム102に送信される。受信システム102では、SYNフラグにACK(ACKnowledgement)フラグを組み込んだパケット(SYN・ACKパケット)を送信システム101に返送する。するとこのSYN・ACKパケットを受信した送信システム101がACKパケットを受信システム102に送信して、送信システム101から受信システム102方向の接続が確立する。
時刻t4に送信システム101が受信システム102に対してSYNパケットを送信すると、ネットワーク監視システム111側のネットワーク簡易処理部123がこれを受信する(ステップS204)。ネットワーク簡易処理部123は、SYNパケットを検出すると監視側主制御部124に対してネットワーク監視システム状態通知としてのSYNパケット検出を通知する。
監視側主制御部124は、SYNパケット検出の通知を受けると、監視側電源制御部125に対して、メイン側起動指示通知を送出する。監視側電源制御部125はこの通知を受けると、メイン側電源制御部133に対して、メイン側起動指示通知を送出する(ステップS205)。
ただし、時刻t3以後はメインシステム112側の電源がオフになっている。このため監視側電源制御部125は時刻t4以後の時刻t5にメイン側電源制御部133と接続した信号線136に強制的に電源を供給してメイン側電源制御部133を起動させ、これをもってメイン側起動指示通知とする(ステップS205)。
このようにして時刻t5以後の時刻t6にメイン側起動指示通知を受けると、メイン側電源制御部133はメインシステム112全体の電源をオンにする。これと共にメインシステム112は後に説明するネットワーク監視システム111からの正式起動指示が行われるまで復帰処理を行うことになる(ステップS206)。
一方、監視側電源制御部125が時刻t5にメイン側起動指示通知をメイン側電源制御部133に送出すると、その後の時刻t7に、ネットワーク簡易処理部123がSYN・ACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS207)。このSYN・ACKパケットの送出はメインシステム112の関与なしに先行して行うことで、TCP3ウェイハンドシェークによる接続の確立までに要する時間の短縮を図っている。
送信システム101はこのSYN・ACKパケットを受信すると、その後の時刻t8にACKパケットをネットワーク監視システム111に送信する(ステップS209)。このACKパケットの受信によってネットワーク簡易処理部123はTCP3ウェイハンドシェークによる接続が先行して確立した状態となる。
ただし、メインシステム112はこの時点でまだ復帰処理中(ステップS206)である。そこでネットワーク簡易処理部123は、とりあえず時刻t9にウィンドウサイズ(Window Size)が「0」のACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS210)。送信システム101はウィンドウサイズが「0」のACKパケットを時刻t10に受信する。この時刻t10に送信システム101は、受信システム102のバッファがデータの受信に余裕がない状態であると判別して、受信システム102へのデータの送信を停止する状態となる。
ところでステップS205で監視側電源制御部125はメイン側電源制御部133に対して、メイン側起動指示通知を送出した。メインシステム112はこれ以後ステップS206で復帰処理を行うことになるが、これはメイン側電源制御部133への強制的な給電処理の他に「電源給電に関連する簡単な起動情報の処理」に限定される。
このようにステップS206によるメインシステム112側の復帰処理が限定的なのは次の理由による。
(a)より詳細な情報をこの段階で通知しても、メインシステム112はこれ以上の情報を処理する回路部分に電源が供給されていない電源オフの状態であり、処理が不可能である。
(b)ステップS205で先行起動指示が行われた時点ではネットワーク監視システム111がTCP3ウェイハンドシェークによる接続を先行して開始する状態であり、必ずしもこの時点で詳細情報を受け取る必要がない。
ただし、ステップS206によるメインシステム112側の復帰処理も後半になると、ネットワーク監視システム111と送信システム101の間でのTCP3ウェイハンドシェークが進行する。これによって入手した情報やネットワーク情報は、ステップS209でネットワーク監視システム111がACKパケットを受信した時点以後、特に時刻t9におけるウィンドウサイズ「0」のパケットの送出以後はメインシステム112側に通知し処理させる必要がある。
そこでネットワーク監視システム111は、時刻t9にウィンドウサイズ「0」のパケットを送信システム101に送出した後の時刻t11に、メインシステム112に対して正式の起動指示を行う(ステップS211)。この正式の起動指示でネットワーク監視システム111は詳細な情報をメインシステム112に通知する。
メインシステム112は、ネットワーク監視システム111から通知の際に受け取った詳細な情報を基にして、ネットワーク監視システム111と送信システム101がやり取りしていた状態まで処理を進める。この結果、メインシステム112は、時刻t12にネットワーク監視システム111に対して起動が完了したことを通知する(ステップS212)。この通知を受信したネットワーク監視システム111はその後の時刻t13にメインシステム112が起動完了したことを判別する。
メインシステム112が起動完了すると、メイン側主制御部134は、システムバス122を介してネットワーク切替部121を制御してネットワーク103の接続をネットワーク処理部131側に切り替える。この結果、その後の時刻t14までにメインシステム112は送信システム101からデータ転送を受け入れることができる体制となる。そこでメイン側主制御部134は、時刻t14にウィンドウサイズ(Window Size)が「0以外」のACKパケットを送信システム101に送出する(ステップS213)。送信システム101は、ステップS210でウィンドウサイズが「0」のパケットの受信時に停止していたパケットデータの送信を、新たに示されたウィンドウサイズに応じたサイズにして開始する(ステップS214)。
以上説明した処理により、本実施の形態ではネットワーク監視システム111が先行してTCP3ウェイハンドシェークによる接続を行うようにした。そして、送信システム101からメインシステム112へのデータ転送の開始を、ウィンドウサイズ「0」のパケットを送信システム101に送出することで遅延させ、その間にメインシステム112の起動を完了させるようにした。これにより、本実施の形態ではメインシステム112の起動時間が比較的長いシステムにおいても、送信システム101側でシーケンスにおけるタイムアウトが発生しなくなり、省電力モードを安定的に動作させることが可能になる。
また、本実施の形態では、メインシステム112の電源がオフになっている状態で、このメインシステム112の一員であるメイン側電源制御部133にネットワーク監視システム111側から強制的に電源を供給してこの動作を可能にさせた。したがって、電源がオフになっているメインシステム112の全体に電源の供給を再開してメイン側電源制御部133の動作を可能にする場合と比べて、電力消費を抑えた形で必要な回路部分のみを起動させることができる。したがって、何らかの原因でTCP3ウェイハンドシェークによる接続の処理が完了しなかったような場合には、メインシステム112をいきなり起動させる処理を行う場合と比べてメインシステム112の電源消費を大幅に抑制することができる。
なお、以上説明した第1の実施の形態では通信システム100がプリントシステムを構成する場合を説明したが、これに限るものではなく、ネットワーク103を介して制御される各種の電子機器に本発明を適用することができる。また、通信システム100は受信システム102が省電力モードを制御される場合を説明したが、これに限るものではない。たとえば受信システム102が送信部を備え、送信システム101が受信部を備えていて、受信システム102が送信システムに所定の処理を要求しないとき送信システム101が省電力モードに遷移するようになっていてもよい。
<発明の第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
図11は、本発明の第2の実施の形態における通信システムの概要を表わしたものである。図11で図8と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
通信システム300は、送信システム101と受信システム102Aが、ネットワーク103を介して接続している。受信システム102Aには付加システム301が接続されている。このような通信システム300で、受信システム102Aおよびその付加システム301は送信システム101からデータの送信が開始されるまで、所定の条件の下で省電力モードの状態を保持しており、電力の消費を軽減するようになっている。ネットワーク103は、たとえばLANやインターネットで構成されている。
図12は、図11における受信システムの構成を具体的に示したものである。図12で図9と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
第2の実施の形態における受信システム102Aは、図11に示した送信システム101の送信を監視するネットワーク監視システム111と、送信システム101との関係で所定の処理を行うメインシステム112Aを備えている。ここでは、一例として受信システム102Aが画像データを送信システム101から受信するパーソナルコンピュータであるとし、付加システム301が受信システム102Aにローカルに接続されたプリントシステムであるとする。この例で、付加システム301は受信システム102Aが受信した画像データを基にしてトナー像を生成して熱定着するようになっている。
この例の場合、送信システム101が受信システム102Aに対して所定時間以上印字データを送信しないと、ネットワーク監視システム111がこの状態を検出する。ネットワーク監視システム111の検出結果を基にして、受信システム102Aおよび付加システム301は省電力モードの状態となる。受信システム102Aが省電力モードの状態では、第1の実施の形態と同様にメインシステム112Aが電源オフの状態となる。付加システム301も同様である。これにより、付加システム301内の図示しない定着装置等の各部の電源がオフになっており、通信システム300全体の電力消費の節減が図られることになる。
図11に示したネットワーク103は、ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121と接続されている。ネットワーク切替部121は、メインシステム112A内のネットワーク処理部131Aがネットワーク103に接続するのをオン・オフ制御することができる。
図12ではネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Aの間に、ケーブル132が接続されているが、このような接続形態に限るものではない。ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Aが図示しない同一の基板の内部配線によって接続する構成となっていてもよい。また、ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Aを接続する基板は1枚である必要はなく、複数が直列に接続した構成となっていてもよい。
ネットワーク監視システム111は、図12に示した送信システム101等の他のシステムあるいはネットワークの監視を行う。ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121には、システムバス122を介してネットワーク簡易処理部123、監視側主制御部124および監視側電源制御部125が接続されている。これらは先の第1の実施の形態のネットワーク監視システム111と同様である。
メインシステム112Aは、第1の実施の形態におけるメインシステム112と同様にシステムバス122に接続されたネットワーク処理部131Aとメイン側電源制御部133およびメイン側主制御部134Aを備えている。このうちネットワーク処理部131Aはネットワーク切替部121に一端を接続したケーブル132の他端とも接続されている。また、ネットワーク処理部131Aは、メインシステム112A内のルーティング処理部311とケーブル312によって接続されている。ルーティング処理部311は、他のケーブル313によって付加システム301と接続している。
付加システム301は、図9に示した受信システム102と同様にネットワーク監視システム111とメインシステム112に相当するシステム部品を備えている。このため、付加システム301の具体的な図示および説明は省略する。
以上のような構成の通信システム300で送信システム101、受信システム102Aおよび付加システム301は、たとえばパーソナルコンピュータのようなCPUを備えた情報処理装置でそれぞれ構成されている。
図13は、本実施の形態の通信システムで付加システムが省電力モードに遷移してから送信システムがこの付加システムに対してデータの転送を開始するまでの処理の流れを示したものである。図11および図12と共に説明する。また、第1の実施の形態の図10と同一部分には同一の符号を付し、これらの説明を適宜省略する。
本実施の形態の通信システム300では、付加システム301におけるメインシステムで所定時間T11以上にわたってプリント動作を行わないと、電力消費を抑えるための省電力モードに突入するものとする。付加システム301のメインシステム(メイン側)が時刻t21に省電力モード(エコモード)に突入したことを付加システム301のネットワーク監視システム(監視側)に通知する(ステップS401)。付加システム301のネットワーク監視システム(監視側)は省電力モードの突入による省電力モード通知を受けると、その時刻t22にケーブル313を用いて省電力モード通知を受信システム102Aに送出する(ステップS402)。
本実施の形態の受信システム102Aは、付加システム301からステップS402の省電力モード通知を受けた状態でそのネットワーク監視システム(監視側)111とメインシステム(メイン側)112Aが共に電源をオンにしている。メインシステム112Aの電源がオンとなっているので、システム移行状態通知パケットからなる省電力モード通知はルーティング処理部311を介してメイン側主制御部134Aが受け取る。これにより、受信システム102Aは、付加システム301が省電力モード状態になったことを認識する。
メイン側主制御部134Aは付加システム301が省電力モード状態になると、所定時間T12の計時を開始する。そして、所定時間T12の省電力モード突入時間が経過した時刻t23にシステムバス122を用いてネットワーク切替部121にネットワークをネットワーク監視システム111側に切り替えるネットワーク切替指示(メインシステム状態通知(省電力モード状態))を送出する(ステップS403)。
ネットワーク切替部121は、このネットワーク切替指示を受信すると、ネットワーク103に対する接続をネットワーク監視システム111側に切り替える。ステップS403のネットワーク切替指示は、第1の実施の形態のステップS201に対応する処理である。ただし、ステップS403のネットワーク切替指示では、付加システム301が受信システム102Aに接続されていることも通知される。
ステップS202のネットワーク切替指示の通知後、受信システム102Aのメインシステム112Aはその電源がオフとなる(図13における×印)。すなわち、メイン側主制御部134Aはネットワーク切替部121にネットワーク切替指示を送出した後、システムバス122を使用してメイン側電源制御部133に対してメインシステム状態通知としての電源オフ指示を通知する。メイン側電源制御部133は電源オフ指示を受信すると、メインシステム112内の電源をすべてオフにする(ステップS203参照)。この時刻以後のネットワーク103の監視は、メインシステム112Aに代わってネットワーク簡易処理部123が行うことになる。このようにして受信システム102Aも省電力モードに移行して、そのネットワーク監視システム111のみに電源が供給され、省電力化が図られる。
受信システム102Aが省電力モードに移行してから所定時間T13が経過した時刻t24に、送信システム101が付加システム301に対して、データの転送の許可を得るためにSYNフラグを付与したパケット(SYNフラグ)を送信したとする(ステップS404)。このパケット(SYNフラグ)は、ネットワーク103を経て、まず受信システム102Aに到達する。
受信システム102Aはこのとき省電力モードとなっている。このため、パケット(SYNフラグ)はネットワーク監視システム111側のネットワーク簡易処理部123が受信する(ステップS404)。ネットワーク簡易処理部123は、SYNパケットを検出すると監視側主制御部124に対してネットワーク監視システム状態通知としてのSYNパケット検出を通知する。
監視側主制御部124は、SYNパケット検出の通知を受けると、監視側電源制御部125に対して、メイン側起動指示通知を送出する。監視側電源制御部125はこの通知を受けると、メイン側電源制御部133に対して、メイン側起動指示通知を送出する(ステップS405)。
ただし、このときメインシステム112Aはその電源がオフとなっている(図13における×印)。このため監視側電源制御部125は時刻t24以後の時刻t25にメイン側電源制御部133と接続した信号線136に強制的に電源を供給してメイン側電源制御部133を起動させ、これをもってメイン側起動指示通知とする(ステップS405)。
このようにして時刻t25以後の時刻t26にメイン側起動指示通知を受けると、メイン側電源制御部133はメインシステム112A全体の電源をオンにする。これと共にメインシステム112Aは後に説明するネットワーク監視システム111からの正式起動指示が行われるまで復帰処理を行うことになる(ステップS406)。
一方、監視側電源制御部125が時刻t25にメイン側起動指示通知をメイン側電源制御部133に送出すると、その後の時刻t27に、ネットワーク簡易処理部123がSYN・ACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS407)。このSYN・ACKパケットの送出はメインシステム112Aおよび付加システム301の関与なしに先行して行うことで、TCP3ウェイハンドシェークによる接続の確立までに要する時間の短縮を図っている。
送信システム101はこのSYN・ACKパケットを受信すると、その後の時刻t28にACKパケットを付加システム301に送信する(ステップS409)。このACKパケットはネットワーク簡易処理部123が受信する。すなわち、ACKパケットは付加システム301にまで到達しないが、これによりTCP3ウェイハンドシェーク(先行)が形式的には成立した状態となる。
メインシステム112はこの時点でまだ復帰処理中(ステップS406)である。そこでネットワーク簡易処理部123は、とりあえず時刻t29にウィンドウサイズが「0」のACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS410)。送信システム101はウィンドウサイズが「0」のACKパケットを時刻t30に受信する。この時刻t30に送信システム101は、付加システム301のバッファがデータの受信に余裕がない状態であると判別して、付加システム301へのデータの送信を停止する状態となる。
ところでステップS405で監視側電源制御部125はメイン側電源制御部133に対して、メイン側起動指示通知を送出した。メインシステム112Aはこれ以後ステップS406で復帰処理を行うことになるが、これはメイン側電源制御部133への強制的な給電処理の他に「電源給電に関連する簡単な起動情報の処理」に限定される。
このようにステップS406によるメインシステム112A側の復帰処理が限定的なのは次の理由による。
(a)より詳細な情報をこの段階で通知しても、メインシステム112Aはこれ以上の情報を処理する回路部分に電源が供給されていない電源オフの状態であり、処理が不可能である。
(b)ステップS405で先行起動指示(メイン側起動指示通知)が行われた時点ではネットワーク監視システム111がTCP3ウェイハンドシェークによる接続を先行して開始する状態であり、必ずしもこの時点で詳細情報を受け取る必要がない。
(c)ステップS406で復帰処理を行っている状態で、本来、TCP3ウェイハンドシェークを行う対象としての付加システム301は省電力モードの状態である。
ただし、ステップS406によるメインシステム112A側の復帰処理も後半になると、ネットワーク監視システム111と送信システム101の間でのTCP3ウェイハンドシェークが進行する。これによって入手した情報やネットワーク情報は、ステップS409でネットワーク監視システム111がACKパケットを受信した時点以後、特に時刻t29におけるウィンドウサイズ「0」のパケットの送出以後はメインシステム112A側に通知し処理させる必要がある。
そこでネットワーク監視システム111は、時刻t29にウィンドウサイズ「0」のパケットを送信システム101に送出した後の時刻t31に、メインシステム112Aに対して正式の起動指示を行う(ステップS411)。この正式の起動指示でネットワーク監視システム111は詳細な情報をメインシステム112Aに通知する。
メインシステム112Aは、ネットワーク監視システム111から通知の際に受け取った詳細な情報を基にして、ネットワーク監視システム111と送信システム101がやり取りしていた状態まで処理を進める。この結果、メインシステム112Aは、時刻t32にネットワーク監視システム111に対して起動が完了したことを通知する(ステップS412)。この通知を受信したネットワーク監視システム111はその後の時刻t33にメインシステム112Aが起動完了したことを判別する。
メインシステム112Aが起動完了すると、メイン側主制御部134Aは、システムバス122を介してネットワーク切替部121を制御してネットワーク103の接続をネットワーク処理部131A側に切り替える。この結果、その後の時刻t34までにメインシステム112Aは送信システム101からデータ転送を受け入れることができる体制となる。そこでメイン側主制御部134Aは、時刻t34に付加システム301に対して起動指示を通知する(ステップS413)。
この起動指示の通知は、メイン側主制御部134Aから付加システム301の監視側(ネットワーク監視システム111に相当。)で受け取られる。付加システム301の監視側(ネットワーク監視システム111に相当。)は、時刻t35にその監視側電源制御部(監視側電源制御部125に相当。)がメイン側電源制御部(メイン側電源制御部133に相当。)に強制的に給電する。これにより、付加システム301のメイン側(メインシステム112Aに相当。)が復帰処理を行う(ステップS414)。
ステップS414の復帰処理を終了して時刻t36にその起動を完了すると、付加システム301のメイン側(メインシステム112Aに相当。)はウィンドウサイズが「0以外」のACKパケットを送信システム101に送出する(ステップS415)。この結果、送信システム101は、ステップS410でウィンドウサイズが「0」のパケットの受信時に停止していたパケットデータの送信を、新たに示されたウィンドウサイズに応じたサイズにして開始する(ステップS416)。
以上説明した処理により、受信システム102Aおよび付加システム301の起動に比較的長時間を要しても、TCP3ウェイハンドシェークによる接続は送信システム101とネットワーク監視システム111との間で先行して終了する。したがって、送信システム101はウィンドウサイズが「0以外」のACKパケットを受信するまで付加システム301に対するデータ転送を控える処理を行うことになる。このため、起動までの時間が長いことによるネットワークシーケンスにおけるタイムアウトが送信システム101側で発生しない。すなわち、本実施の形態の通信システム300のように省電力モードを実行する情報処理装置が縦続接続されても、省電力モードを安定的に動作させることが可能となる。
更に第2の実施の形態の通信システム300は、送信システム101とネットワーク103で直接接続している受信システム102A以外の省電力モードの実行だけでなく、付加システム301の省電力モードの実行にも対応し、これらの省電力モードの復帰指示が可能である。したがって、省電力モードによる消費電力の低下をより効果的に達成することができる。
なお、以上説明した第2の実施の形態では付加システム301がプリントシステムを構成する場合を説明したが、これに限るものではなく、ネットワーク103を介して制御される各種の電子機器に本発明を適用することができる。
<発明の第3の実施の形態>
次に本発明の第3の実施の形態を説明する。
図14は、本発明の第3の実施の形態における通信システムの概要を表わしたものである。図14で図11と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
通信システム500は、送信システム101と受信システム102Bが、ネットワーク103を介して接続している。受信システム102Bには第1〜第3の付加システム301A〜301Cが接続されている。このような通信システム500で、第1〜第3の付加システム301A〜301Cのすべては所定の条件の下で省電力モードの状態を保持しており、電力の消費を軽減するようになっている。受信システム102Bも所定の条件の下で省電力モードの状態を保持し、その電力の消費を軽減するようになっている。ネットワーク103は、たとえばLANやインターネットで構成されている。
図15は、図14における受信システムの構成を具体的に示したものである。図15で図12と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
第3の実施の形態における受信システム102Bは、図12に示した送信システム101の送信を監視するネットワーク監視システム111と、送信システム101との関係で所定の処理を行うメインシステム112Bを備えている。ここでは、一例として受信システム102Bが画像データを送信システム101から受信するパーソナルコンピュータであるとする。また、第1〜第3の付加システム301A〜301Cが受信システム102Bにローカルに接続された各種のプリントシステムであるとする。
この例で、第1の付加システム301Aは受信システム102Bが受信した画像データを基にして1種類のトナーを用いたトナー像を生成して熱定着する単色プリンタである。第2の付加システム301Bは、受信システム102Bが受信した画像データを基にして4色のトナーを用いたトナー像を生成して熱定着するカラープリンタである。第3の付加システム301Cは、受信システム102Bが受信した画像データを基にして熱昇華式の高品位な画質の画像を葉書サイズの転写紙に形成するカラープリンタである。
この例の場合、送信システム101が第1〜第3の付加システム301A〜301Cのいずれかに所定時間以上印字データを送信しなかったとする。この場合には、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの該当するシステムが省電力モードの状態となる。これにより、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの該当するシステムの熱源等の部品の電力消費がなくなるか抑えられ、それらの電力消費の節減が図られることになる。
また、受信システム102Bは第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードの状態となると、所定の条件の下で同様に省電力モードの状態となる。これにより、受信システム102Bについても電力消費の節減が図られることになる。
図14に示したネットワーク103は、ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121と接続されている。ネットワーク切替部121は、メインシステム112B内のネットワーク処理部131Bがネットワーク103に接続するのをオン・オフ制御することができる。
図15ではネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Bの間に、ケーブル132が接続されているが、このような接続形態に限るものではない。ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Bが図示しない同一の基板の内部配線によって接続する構成となっていてもよい。また、ネットワーク切替部121とネットワーク処理部131Bを接続する基板は1枚である必要はなく、複数が直列に接続した構成となっていてもよい。
ネットワーク監視システム111は、図15に示した送信システム101等の他のシステムあるいはネットワークの監視を行う。ネットワーク監視システム111内のネットワーク切替部121には、システムバス122を介してネットワーク簡易処理部123、監視側主制御部124および監視側電源制御部125が接続されている。これらは先の第1あるいは第2の実施の形態のネットワーク監視システム111と同様である。
メインシステム112Bは、システムバス122に接続されたネットワーク処理部131Bとメイン側電源制御部133およびメイン側主制御部134Bを備えている。このうちネットワーク処理部131Bはネットワーク切替部121に一端を接続したケーブル132の他端とも接続されている。また、ネットワーク処理部131Bは、メインシステム112B内のルーティング処理部311Bとケーブル312によって接続されている。ルーティング処理部311Bは、ケーブル313Aによって第1の付加システム301Aと接続している。また、ルーティング処理部311Bは、ケーブル313Bによって第2の付加システム301Bと接続し、ケーブル313Cによって第3の付加システム301Cと接続している。
第1〜第3の付加システム301A〜301Cは、図9に示した受信システム102と同様にネットワーク監視システム111とメインシステム112に相当するシステム部品を備えている。このため、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの具体的な図示および説明は省略する。
以上のような構成の通信システム500で送信システム101、受信システム102Bおよび第1〜第3の付加システム301A〜301Cは、たとえばパーソナルコンピュータのようなCPUを備えた情報処理装置でそれぞれ構成されている。
図16は、本実施の形態の通信システムで第1〜第3の付加システムが省電力モードにそれぞれ遷移してから受信システムが省電力モードに突入するまでの処理の流れの一例を表わしたものである。図14および図15と共に説明する。
本実施の形態の通信システム500では、第1の付加システム301Aが所定時間T21以上にわたってプリント動作を行わないと、電力消費を抑えるための省電力モードに突入するようになっている。同様に第2の付加システム301Bが所定時間T22以上にわたってプリント動作を行わないと、同様の省電力モードに突入し、第3の付加システム301Cが所定時間T23以上にわたってプリント動作を行わないと、同様の省電力モードに突入する。
したがって、たとえば時刻t41から所定時間T21の間、第1の付加システム301Aがプリント動作を行わなかったとする。すると、この後の時刻t42に第1の付加システム301Aのメインシステム(メイン側)が省電力モードに突入し、これを第1の付加システム301Aのネットワーク監視システム(監視側)に通知する(ステップS601)。第1の付加システム301Aのネットワーク監視システム(監視側)は省電力モードの突入による省電力モード通知を受けると、時刻t43にケーブル313Aを用いて省電力モード通知を受信システム102Bに送出する(ステップS602)。
本実施の形態の受信システム102Bは、第1の付加システム301AからステップS602の省電力モード通知を受けた状態でそのネットワーク監視システム(監視側)111とメインシステム(メイン側)112Bが共に電源をオンにしている。メインシステム112Bの電源がオンとなっているので、システム移行状態通知パケットからなる省電力モード通知はルーティング処理部311を介してメイン側主制御部134Bが受け取る。これにより、受信システム102Bは、第1の付加システム301Aが省電力モード状態になったことを時刻t44に認識する。
そこで受信システム102Bは、このとき第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの残りのシステムが省電力モード状態になっているかを判別する。受信システム102Bはそのメイン側主制御部134Bを構成する図示しないメモリ領域に第1〜第3の付加システム301A〜301Cのそれぞれが省電力モードになっているかと、省電力モードになっている場合の開始時刻に関する情報を格納するようになっている。
図16に示した例では、第2の付加システム301Bが時刻t43の直前の時刻t45までプリント動作を行っている。そこで受信システム102Bのメインシステム112Bは第1〜第3の付加システム301A〜301Cのすべてが省電力モードになっている状態ではないことを判別して、受信システム102B自体の省電力モードへの突入のためのカウント動作を開始しない。すなわち、受信システム102Bはそのメインシステム112Bが通常通り動作する状態に置かれる。
時刻t45に第2の付加システム301Bがその処理を完了する。すると、それから所定時間T22が経過した時刻t47に第2の付加システム301Bのメインシステム(メイン側)が省電力モードに突入し、これを第2の付加システム301Bのネットワーク監視システム(監視側)に通知する(ステップS603)。第2の付加システム301Bのネットワーク監視システム(監視側)は省電力モードの突入による省電力モード通知を受けると、時刻t48にケーブル313Bを用いて省電力モード通知を受信システム102Bに送出する(ステップS604)。
このときメインシステム112Bの電源はオンとなっている。そこでシステム移行状態通知パケットからなる省電力モード通知はルーティング処理部311を介してメイン側主制御部134Bが受け取る。これにより、受信システム102Bは、第2の付加システム301Bが省電力モード状態になったことを時刻t49に認識する。
受信システム102Bは、メイン側主制御部134Bを構成する前記したメモリ領域を調べて第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになっているかをチェックする。この例では、第3の付加システム301Cが稼働中であるとする。この場合には、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになっているという条件が成立しない。そこで、受信システム102Bはそのメインシステム112Bが通常通り動作する状態に置かれる。
その後の時刻t50に第1および第2の付加システム301A、301Bが省電力モードの状態で第3の付加システム301Cのプリント動作が完了したとする。すると、それから所定時間T23が経過した時刻t51に第3の付加システム301Cのメインシステム(メイン側)が省電力モードに突入し、これを第3の付加システム301Cのネットワーク監視システム(監視側)に通知する(ステップS605)。第3の付加システム301Cのネットワーク監視システム(監視側)は省電力モードの突入による省電力モード通知を受けると、時刻t52にケーブル313Cを用いて省電力モード通知を受信システム102Bに送出する(ステップS606)。
このときメインシステム112Bの電源はオンとなっている。そこでシステム移行状態通知パケットからなる省電力モード通知はルーティング処理部311を介してメイン側主制御部134Bが受け取る。これにより、受信システム102Bは、第3の付加システム301Cが省電力モード状態になったことを時刻t53に認識する。
受信システム102Bは、メイン側主制御部134Bを構成する前記したメモリ領域を調べて第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになっているかをチェックする。この例では、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになっているという条件が成立する。そこでメイン側主制御部134Bは、この条件がその後の所定時間T24以上継続するかを判別する(ステップS607)。
もし、所定時間T24が経過する前に送信システム101から第1〜第3の付加システム301A〜301Cのいずれかについての印字データが送られてきたような場合には、対応する付加システムの省電力モードが解除される。したがって、このような場合には後の時点で第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになるかの判別を再度行うことになる。
これとは異なり、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの全部が省電力モードになった状態で所定時間T24が経過したとする。すると、その後の時刻t54にメイン側主制御部134Bはシステムバス122を用いてネットワーク切替部121にネットワークをネットワーク監視システム111側に切り替えるネットワーク切替指示(メインシステム状態通知(省電力モード状態))を送出する(ステップS608)。
ネットワーク切替部121は、このネットワーク切替指示を受信すると、ネットワーク103に対する接続をネットワーク監視システム111側に切り替える。このときのネットワーク切替指示では、第1〜第3の付加システム301A〜301Cのそれぞれが受信システム102Bに接続されていることも通知される。
図17は、ステップS608以降における受信システムと送信システムおよび処理の対象となる付加システムの間での処理の流れを表わしたものである。図14および図15と共に説明する。なお、図17では処理対象となる付加システムを第Xの付加システムとしている。
ステップS608のネットワーク切替指示の通知後、受信システム102Bのメインシステム112Bはその電源がオフとなる(図17における×印)。すなわち、メイン側主制御部134Bはネットワーク切替部121にネットワーク切替指示を送出した後、システムバス122を使用してメイン側電源制御部133に対してメインシステム状態通知としての電源オフ指示を通知する。メイン側電源制御部133は電源オフ指示を受信すると、メインシステム112内の電源をすべてオフにする(ステップS609)。この時刻以後のネットワーク103の監視は、メインシステム112Bに代わってネットワーク簡易処理部123が行うことになる。このようにして受信システム102Bも省電力モードに移行して、そのネットワーク監視システム111のみに電源が供給され、省電力化が図られる。
受信システム102Bが省電力モードに移行してから所定時間T31が経過した時刻t61に、送信システム101が第1〜第3の付加システム301A〜301Cのいずれかに対して、データの転送の許可を得るためにSYNフラグを付与したパケット(SYNフラグ)を送信したとする(ステップS610)。このパケット(SYNフラグ)は、ネットワーク103を経て、まず受信システム102Bに到達する。
受信システム102Bはこのとき省電力モードとなっている。このため、パケット(SYNフラグ)はネットワーク監視システム111側のネットワーク簡易処理部123が受信する。ネットワーク簡易処理部123は、時刻t62にSYNパケットを検出すると監視側主制御部124に対してネットワーク監視システム状態通知としてのSYNパケット検出を通知する。
図17では図示していないが、監視側主制御部124は、SYNパケット検出の通知を受けると、監視側電源制御部125に対して、メイン側起動指示通知を送出する。監視側電源制御部125はこの通知を受けると、メイン側電源制御部133に対して、メイン側起動指示通知を送出する。
ただし、このときメインシステム112Bはその電源がオフとなっている(ステップS609)。このため監視側電源制御部125は時刻t62以後の所定の時刻にメイン側電源制御部133と接続した信号線136に強制的に電源を供給してメイン側電源制御部133を起動させ、これをもってメイン側起動指示通知とする。
このようにしてメイン側起動指示通知を受けると、メイン側電源制御部133はメインシステム112B全体の電源をオンにする。これと共にメインシステム112Bは後に説明するネットワーク監視システム111からの正式起動指示が行われるまで復帰処理を行うことになる。
一方、監視側電源制御部125がメイン側起動指示通知をメイン側電源制御部133に送出すると、その後の時刻t63に、ネットワーク簡易処理部123がSYN・ACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS611)。このSYN・ACKパケットの送出はメインシステム112Bおよび第1〜第3の付加システム301A〜301Cの関与なしに先行して行うことで、TCP3ウェイハンドシェークによる接続の確立までに要する時間の短縮を図っている。
送信システム101はこのSYN・ACKパケットを受信すると、その後の時刻t64にACKパケットを第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先に送信する(ステップS612)。このACKパケットはネットワーク簡易処理部123が受信する。すなわち、ACKパケットは第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先にまで到達しないが、これによりTCP3ウェイハンドシェーク(先行)が形式的には成立した状態となる。
メインシステム112はこの時点でまだ復帰処理中である。そこでネットワーク簡易処理部123は、とりあえず時刻t65にウィンドウサイズが「0」のACKパケットを送信システム101に返送する(ステップS613)。送信システム101はウィンドウサイズが「0」のACKパケットを時刻t66に受信する。この時刻t66に送信システム101は、第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先の付加システムのバッファがデータの受信に余裕がない状態であると判別して、これへのデータの送信を停止する状態となる。
この状態で受信システム102Bは、第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先(ここでは第1の付加システム301Aとする。)に起動指示を通知する(ステップS614)。
この起動指示の通知は、メイン側主制御部134Bから第1の付加システム301Aの監視側(ネットワーク監視システム111に相当。)で受け取られる。第1の付加システム301Aの監視側(ネットワーク監視システム111に相当。)は、時刻t67にその監視側電源制御部(監視側電源制御部125に相当。)がメイン側電源制御部(メイン側電源制御部133に相当。)に強制的に給電する。これにより、第1の付加システム301Aのメイン側(メインシステム112Aに相当。)が復帰処理を行う(ステップS615)。
ステップS615の復帰処理を終了して時刻t68にその起動を完了すると、第1の付加システム301Aのメイン側(メインシステム112Aに相当。)はウィンドウサイズが「0以外」のACKパケットを送信システム101に送出する(ステップS616)。この結果、送信システム101は、ステップS613でウィンドウサイズが「0」のパケットの受信時に停止していたパケットデータの送信を、新たに示されたウィンドウサイズに応じたサイズにして開始する(ステップS617)。
以上説明した処理により、受信システム102Bおよび第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先の起動に比較的長時間を要しても、TCP3ウェイハンドシェークによる接続は送信システム101とネットワーク監視システム111との間で先行して終了する。したがって、送信システム101はウィンドウサイズが「0以外」のACKパケットを受信するまで第1〜第3の付加システム301A〜301Cのうちの今回の送信先に対するデータ転送を控える処理を行うことになる。このため、起動までの時間が長いことによるネットワークシーケンスにおけるタイムアウトが送信システム101側で発生しない。すなわち、本実施の形態の通信システム500のように省電力モードを実行する情報処理装置が縦続接続されても、省電力モードを安定的に動作させることが可能となる。
更に第3の実施の形態の通信システム500は、送信システム101とネットワーク103で直接接続している受信システム102B以外の省電力モードの実行だけでなく、第1〜第3の付加システム301A〜301Cの省電力モードの実行にも対応し、これらの省電力モードの復帰指示が可能である。したがって、省電力モードによる消費電力の低下をより効果的に達成することができる。
また、以上説明した本発明の各実施の形態は、ウェイク・オン(Wake On)LAN機能と比較してもその効果を確認することができる。ここでウェイク・オンLAN機能とは、電源の投入やシャットダウン等の電源操作を遠隔で行う技術である。この技術を使用することで、第1〜第3の実施の形態と同様に電子機器や電子機器システムの電力消費を抑えることができる。
しかしながら、ウェイク・オンLAN機能を実現するためには、送信側と受信側のシステムの双方にウェイク・オンLANに対応したデバイスあるいは処理用のプログラムを実装する必要がある。これに対して本発明の場合には、受信側のシステムで省電力の効果を実現させようとするとき、送信側のシステムに特別なデバイスを用意したり、これに代わる処理用のプログラムを実装する必要がない。これは、ウェイク・オンLANと比較したときの本発明の大きな利点となる。
なお、以上説明した第3の実施の形態では付加システム301がプリントシステムを構成する場合を説明したが、これに限るものではなく、ネットワーク103を介して制御される各種の電子機器に本発明を適用することができる。
<発明の変形可能性>
本発明は、以上説明した第1〜第3の実施の形態に限らず、各種の変形が可能である。たとえば、第1の実施の形態では、図10の時刻t5に示すようにメイン側電源制御部133と接続した信号線136に強制的に電源を供給してメイン側電源制御部133を起動した。これは、TCP3ウェイハンドシェークの処理が完了する前に受信システム102のメイン側に先行して起動を指示するものである。この先行して起動を指示するタイミングは、ネットワーク簡易処理部123がその後の時刻t7にSYN・ACKパケットを送信システム101に返送する処理(ステップS207)のタイミングであってもよい。また、これ以後の時刻t8に送信システム101がACKパケットを送信しネットワーク簡易処理部123がこれを受信したタイミングであってもよい。受信システム102のメイン側に先行して起動を指示するタイミングが後にずれるほどメイン側電源制御部133の起動を完了するまでの時刻は遅くなるが、TCP3ウェイハンドシェークの処理が完了する信頼性は高まることになる。
また、第2の実施の形態を説明する図13では、同様の先行起動指示のタイミングをステップS404で送信されたSYNフラグが受信システム102Aで受信した後でネットワーク簡易処理部123がSYN・ACKパケットを送信システム101に返送する前とした。これをネットワーク簡易処理部123がSYN・ACKパケットを送信システム101に返送した後でACKパケットを受信する前のタイミングとしてもよい。更に、先行起動指示のタイミングをネットワーク簡易処理部123が送信システム101からACKパケットを受信した後の時刻t29頃を先行起動指示のタイミングとしてもよい。
更に以上説明した第1の実施の形態では、ネットワーク監視システム111が常にその電源をオンにしているものと説明したが、これに限るものではない。たとえばネットワーク監視システム111とペアを組むメインシステム112の電源がオンになっている間はネットワーク監視システム111の電源をオフにするようにしてもよい。本発明の第2および第3の実施の形態についても同様である。
また、本発明の第2の実施の形態では、受信システム102Aおよび付加システム301を起動させるとき、ステップS405による先行起動指示を受信システム102Aのメイン側で行い、その復帰処理が完了してから付加システム301の起動指示を行った。これとは異なり、受信システム102Aのメイン側が付加システム301に先行起動指示を出せる段階まで復帰が進んだとき付加システム301に対する起動指示を行うようにしてもよい。もちろん、この場合にもTCP3ウェイハンドシェークの処理後に受信システム102Aはウィンドウサイズが「0」のACKパケットを送信システム101に取り敢えず返送して、送信システム101によるデータ転送の開始を遅延させることになる。
更に第1〜第3の実施の形態ではネットワークに接続した受信システム102等のネットワーク接続機器について説明したが、本発明における電源の起動制御は、各種の電子機器全般に適用可能であることは当然である。
また、第1〜第3の実施の形態では省電力モードから通常モードへ復帰する契機となる要復帰通知をネットワーク側の相手機による通信開始の要求として捉えたが、これに限るものではない。たとえば省電力モードにある電気製品の起動用のスイッチをユーザが操作するような場合にも要復帰通知がこのスイッチから出力されたと判断することができる。
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
(付記1)
自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に外部ネットワークと接続してネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う省電力モード時ハンドシェーク手段と、
この省電力モード時ハンドシェーク手段によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始手段と、
この通常モード復帰開始手段によって前記装置全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェーク手段によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知手段と、
このウィンドウサイズゼロ通知手段がウィンドウサイズのゼロを通知した後、前記装置全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知手段
とを具備することを特徴とする電子機器。
(付記2)
前記省電力モード時に電源の供給がオフとなっている回路部分の電源をオンにする制御を行う特定回路部分電源起動手段と、この特定回路部分電源起動手段に起動のための電力を供給する電力供給線とを備え、前記通常モード復帰開始手段は通常モードへの復帰開始時に前記電力供給線に電力を供給することを特徴とする付記1記載の電子機器。
(付記3)
自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に通電され省電力モードからそれ以外のモードとしての通常モードに復帰する契機となる要復帰通知を電気的に受信する要復帰通知受信手段と、この要復帰通知受信手段が要復帰通知を受信したとき特定の機器に電力を供給する電力供給手段とを備えた監視部と、
この監視部を除いた装置部分から構成され、前記電力供給手段から電力の供給を受ける電力受信手段と、この電力受信手段の受信した電力を用いて前記監視部を除いた装置部分を通常モードに復帰する処理を行う通常モード復帰手段とを備えた装置メイン部
とから構成されることを特徴とする電子機器。
(付記4)
前記装置メイン部は、省電力モードから通常モードに復帰した時点で前記監視部の電源をオフにし、省電力モードに移行するとき前記監視部の電源をオンにする監視部電源制御手段を具備することを特徴とする付記3記載の電子機器。
(付記5)
自装置の待機時の電力消費を節減する省電力モード時に外部ネットワークと接続してネットワーク側の相手機から自装置に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う省電力モード時ハンドシェーク手段と、
この省電力モード時ハンドシェーク手段によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で自装置および前記付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始手段と、
この通常モード復帰開始手段によって前記自装置および前記付属装置全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェーク手段によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知手段と、
このウィンドウサイズゼロ通知手段がウィンドウサイズのゼロを通知した後、前記自装置および前記付属装置全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知手段
とを具備することを特徴とする電子機器システム。
(付記6)
電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う省電力モード時ハンドシェークステップと、
この省電力モード時ハンドシェークステップによるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記電子機器全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始ステップと、
この通常モード復帰開始ステップによって前記電子機器全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェークステップによるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知ステップと、
このウィンドウサイズゼロ通知ステップでウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記電子機器全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ
とを具備することを特徴とする電子機器の省電力方法。
(付記7)
電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機からこの電子機器に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う省電力モード時ハンドシェークステップと、
この省電力モード時ハンドシェークステップによるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記電子機器および前記付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始ステップと、
この通常モード復帰開始ステップによって前記電子機器および前記付属装置全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェークステップによるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知ステップと、
このウィンドウサイズゼロ通知ステップでウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記電子機器および前記付属装置全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知ステップ
とを具備することを特徴とする電子機器システムの省電力方法。
(付記8)
コンピュータに、
電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機から「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークを行う省電力モード時ハンドシェーク処理と、
この省電力モード時ハンドシェーク処理によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記電子機器全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始処理と、
この通常モード復帰開始処理によって前記電子機器全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェーク処理によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知処理と、
このウィンドウサイズゼロ通知処理でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記電子機器全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知処理
とを実行させることを特徴とする電子機器の省電力プログラム。
(付記9)
コンピュータに、
電子機器の待機時の電力消費を節減する省電力モード時にこの電子機器と接続したネットワーク側の相手機からこの電子機器に接続された付属装置に対して「SYN(Synchronize)」フラグが送られてきたときこれに伴うTCP(Transmission Control Protocol)コネクションを確立するためのTCP3ウェイハンドシェークをこの付属装置に代行して行う省電力モード時ハンドシェーク処理と、
この省電力モード時ハンドシェーク処理によるTCP3ウェイハンドシェークが完了する前の段階で前記電子機器および前記付属装置全体を省電力モード以外のモードとしての通常モードに復帰させる処理を開始させる通常モード復帰開始処理と、
この通常モード復帰開始処理によって前記電子機器および前記付属装置全体が通常モードに復帰する前に前記省電力モード時ハンドシェーク処理によるTCP3ウェイハンドシェークが完了したら前記相手機に対してデータの受信のためのウィンドウサイズがゼロであることを通知するウィンドウサイズゼロ通知処理と、
このウィンドウサイズゼロ通知処理でウィンドウサイズがゼロであることを通知した後、前記電子機器および前記付属装置全体が通常モードに復帰したら前記相手機に対してウィンドウサイズをゼロ以外の値に変更して通知し前記相手機からのデータの受信を可能にするウィンドウサイズゼロ以外通知処理
とを実行させることを特徴とする電子機器システムの省電力プログラム。