JP2011153823A - 熱交換器、及びこの熱交換器を用いた空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】変形抵抗が低いアルミニウム系材料からなるフィン10と、フィン10を形成するアルミニウム系材料より変形抵抗が高く内面に溝が設けられ、フィン10を貫通して固定されたアルミニウム系材料からなる伝熱管20と、伝熱管20の管内面に伝熱管の管軸方向とほぼ平行に設けられた溝とを備え、機械拡管方式または液圧拡管方式により伝熱管20を拡管させて伝熱管20とフィン10が接合されていると共に、拡管後の伝熱管の溝の山頂部の先端幅を0.08mm〜0.18mmとしている。
【選択図】図1
Description
また、銅材に比べてアルミニウム材の強度が低いため、伝熱管の溝底の板厚を厚くしなければならず、このため、伝熱管の管内圧力損失が増加してしまうという問題があった。
図1は本発明の実施の形態1に係る熱交換器を鉛直方向に切断した正面断面図、図2は変形抵抗の高いアルミ管と変形抵抗が低いアルミフィンのひずみと応力との関係を示す線図、図3は変形抵抗が低いアルミ管と変形抵抗が低いアルミフィンのひずみと応力との関係を示す線図、図4はリード角と蒸発圧力損失増加率との関係を示す線図である。
図1において、熱交換器1は、フィン10と、フィン10を貫通する伝熱管20とを備えている。フィン10は変形抵抗が低い(柔らかい)アルミニウム系の材料からなっている。一方、伝熱管20はフィン10より変形抵抗の高い(硬い)アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、アルミニウム系という)の材料からなり、アルミニウム合金の場合は、例えば純アルミニウムに0.2%〜1.8%のマンガン(Mn)を添加した3000系アルミニウム合金である。そして、図2のように両者のひずみ差を用い、伝熱管20とフィン10との密着性を確保して、高効率の熱交換器1を得るようにしたものである。なお、伝熱管20とフィン10が同じ剛性のアルミニウム材の場合は、図3のようにひずみ差がないので、熱交換器1の伝熱管20とフィン10との密着性が悪く、高い熱交換率が得られない。
こうして、溝21を乗り越えて流れるような流れが発生しなくなり、管内圧力損失が増加せずに、熱交換率を向上させることができる。
図5は本発明の実施の形態2に係る熱交換器1を鉛直方向に切断した側面断面図、図6は図5のA部を拡大した断面図、図7は拡管後の溝の深さと熱交換率との関係を示す線図である。なお、実施の形態1と同一または相当部分には同じ符号を付し、説明を省略する(以下の実施の形態においても同様)。
図7において、内面溝付の伝熱管20(図5、図6参照)は、拡管後の溝21の深さHが深い程、その熱伝達率も高くなる。しかしながら、溝21の深さHが0.3mmを超えると、熱伝達率の増加量よりも圧力損失の増加量の方が多くなり、熱交換率が低下する。一方、拡管後の溝21の深さHが0.2mm未満の場合は、熱伝達率は向上しない。
よって、本実施形態2の内面溝付の伝熱管20においては、拡管後の溝21の深さHを、0.2mm〜0.3mmとする。
図8は本発明の実施の形態3に係る熱交換器を鉛直方向に切断した側面断面図、図9は溝の条数と熱交換率との関係を示す線図である。
図9において、内面溝付の伝熱管20(図8参照)は、溝21の条数が多いほど、伝熱面積が増加するため、熱伝達率が増加する。しかしながら、溝21の条数が60を超えると溝部断面積が小さくなり、溝21から冷媒液膜が溢れて山頂部まで冷媒液膜に覆われてしまうため、熱伝達率が低下する。一方、溝21の条数が40より少なくなると、伝熱面積が減少し、熱伝達率が低下する。
よって、本実施形態3の内面溝付の伝熱管20においては、溝21の条数を40〜60とする。
図10は本発明の実施の形態4に係る熱交換器を鉛直方向に切断した側面断面図、図11は図10のA部を拡大した断面図、図12は頂角と熱交換率との関係を示す線図である。
図12において、内面溝付の伝熱管20(図10、図11参照)は、溝21の頂角αが小さい程、伝熱面積が増加するため、熱伝達率が増加する。しかしながら、頂角αが5度より小さくなると熱交換器製造時の加工性が著しく低下し、熱交換率が低下する。一方、頂角αが20度を超えると、溝部断面積が小さくなり、溝21から冷媒液膜が溢れて山頂部まで冷媒液膜に覆われてしまうため、熱伝達率が低下する。
よって、本実施形態4の内面溝付の伝熱管20においては、頂角αを5度〜20度とする。
図13(a)、(b)は本発明の実施の形態5に係る空気調和機の熱交換器の製造方法を示す鉛直方向に切断した正面断面図である。なお、室内機側の熱交換器および室外機側の熱交換器は、いずれも同様の手順により製作される。
図13に示すように、各伝熱管20を、それぞれ長手方向の中央部で所定の曲げピッチでヘアピン状に曲げ加工し、複数のヘアピン管を製作する。次いで、これらのヘアピン管を、所定の間隔をおいて相互に平行に配置した複数枚のフィン10に挿通し、その後、ヘアピン管内に拡管玉30をロッド31により押し込む機械拡管方式により(図13(a)参照)、またはヘアピン管内に拡管玉30を流体32の液圧により押し込む液圧拡管方式により(図13(b)参照)、ヘアピン管を拡管して、各フィン10とヘアピン管すなわち伝熱管20とを接合する。こうして、熱交換器10が製造される。
実施形態5においては、ヘアピン管の拡管によってフィン10とヘアピン管(伝熱管20)とを接合した場合を示したが、本実施の形態6ではさらに熱交換器10の伝熱管20の拡管率を規定したものである。
本実施形態6では、ヘアピン管を機械拡管方式あるいは液圧拡管方式により拡管する際の拡管率を、熱交換器1の伝熱管20で105.5%〜107.5%とする。これにより、熱交換器1の伝熱管20とフィン10との密着性を改善して、高効率の熱交換器1を得る。しかしながら、熱交換器1の伝熱管20の拡管率が107.5%以上になると、山頂部での潰れとフィンカラー割れが発生し、伝熱管20とフィン10との密着性が悪化する。一方、熱交換器1の伝熱管20の拡管率が105.5%未満の場合は、伝熱管20とフィン10の密着性が悪く、高い熱交換率が得られない。
よって、本実施形態6のヘアピン管を拡管する際の拡管率を、熱交換器1の伝熱管20で105.5%〜107.5%とする。
こうして拡管率を規定すると、製品にばらつきが発生しない。
図14は本発明の実施の形態7に係る熱交換器を鉛直方向に切断した側面断面図、図15は図14のC部を拡大した断面図である。
本実施の形態7においては、熱交換機1において、伝熱管20の拡管後の山頂部22(図14、15参照)の先端幅Wを、0.08〜0.18mmの範囲に設定したものである。
これは、アルミニウムは銅に比べて変形抵抗が低く変形しやすくなり、山頂部22の潰れ及び倒れが大きくなるので、伝熱管20の拡管後の山頂部22の先端幅Wを0.08mm以上にすることにより、溝21の山部の潰れ量及び溝21の山部の倒れを少なくすることができる。一方、先端幅Wが0.18mmを超えると、溝部断面積が小さくなり、溝21から冷媒液膜が溢れて山頂部22まで冷媒液膜に覆われてしまうため、熱伝達率が低下する。
これにより、熱交換器1の伝熱管21とフィン10との密着性を改善して、高効率の熱交換器1を得ることができる。
図16は本発明の実施の形態8に係る熱交換器を鉛直方向に切断した正面断面図である。
本実施の形態8は熱交換器1の伝熱管20の外表面には亜鉛溶射・拡散処理を施したものであり、これによって伝熱管20の防食効果が期待でき、冷凍システムの信頼性を向上する。なお、亜鉛溶射・拡散処理後、アルミニウム母材中に約50μm〜100μmの亜鉛拡散層23を形成することが望ましい。
本実施の形態9は、空気調和機に本発明の実施の形態1〜8のいずれかに係る熱交換器を用いたものである。
これにより、管内圧力損失が増加せず、伝熱性能に優れた熱交換器を用いた高効率の空気調和機を得ることができる。
表1に示すように、外径が7mm、溝21の底肉厚が0.5mmであり、リード角が0度及び2度であるアルミニウム合金製の熱交換器20を作製した(実施例1及び実施例2)。
また、比較例として、外径が7mm、溝21の底肉厚が0.5mmであり、リード角Rが10度及び30度であるアルミニウム合金製の熱交換器(比較例1及び比較例2)、及び外径が7mm、底肉厚が0.25mmであり、リード角Rが30度である銅製の熱交換器を作製した(比較例3)。
また、比較例として、外径が7mm、溝21の底肉厚が0.5mm、リード角が0度であり、拡管後の溝深さが0.1mm、及び拡管後の溝深さが0.4mmであるアルミニウム製の熱交換器(比較例4及び比較例5)、及び外径が7mm、溝21の底肉厚が0.25mm、リード角が30度であり、拡管後の溝深さが0.15mmである銅製の熱交換器を作製した(比較例6)。
また、比較例として、外径が7mm、底肉厚が0.5mm、リード角が0度であり、溝数が30及び70であるアルミニウム製の熱交換器を作製し(比較例7及び比較例8)、外径が7mm、底肉厚が0.25mm、リード角が30度であり、溝数が50である銅製の熱交換器を作製した(比較例9)。
また、比較例として、外径が7mm、底肉厚が0.5mm、リード角が0度であり、頂角が0度及び40度であるアルミニウム製の熱交換器を作製し(比較例10及び比較例11)、及び外径が7mm、溝21の底肉厚が0.25mm、リード角が30度であり、頂角が15度である銅製の熱交換器を作製した(比較例12)。
また、比較例として、外径が7mm、溝21の底肉厚が0.5mm、リード角が0度であり、山部先端幅が0.07mmであるアルミニウム製の熱交換器を作製した(比較例13)。
上記の実施例9〜実施例11、並びに比較例13の熱交換器を用いた拡管試験を行った。拡管試験は溝付管管内に拡管玉30を挿入して拡管率106%で拡管し、拡管後の内面溝付管の管軸直交断面を光学顕微鏡で観察し、内面潰れ量を調査した。そして、山頂部22の減少量が0.04mm以下のものを○、0.04mm以上超えるものを×とした。
Claims (8)
- 変形抵抗が低いアルミニウム系材料からなるフィンと、
前記フィンを形成するアルミニウム系材料より変形抵抗が高く内面に溝が設けられ、前記フィンを貫通して固定されたアルミニウム系材料からなる伝熱管と、
前記伝熱管の管内面に前記伝熱管の管軸方向とほぼ平行に設けられた溝とを備え、
機械拡管方式または液圧拡管方式により前記伝熱管を拡管させて前記伝熱管と前記フィンが接合されていると共に、
拡管後の前記伝熱管の溝の山頂部の先端幅を0.08mm〜0.18mmとしていることを特徴とする熱交換器。 - 前記伝熱管の拡管後の溝の深さは、0.2mm〜0.3mmであることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
- 前記伝熱管の溝の条数は40〜60であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱交換器。
- 前記伝熱管の溝の頂角は5度〜20度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
- 前記伝熱管の外表面は亜鉛溶射・拡散処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
- 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を順次配管によって接続し、冷媒を作動流体として用いた冷凍サイクルにおいて、前記熱交換器を前記蒸発器または凝縮器として用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器。
- 前記冷媒として、HC単一冷媒、またはHCを含む混合冷媒、R32、R410A、R407C、二酸化炭素のいずれかを用いることを特徴とする請求項6記載の熱交換器。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱交換器を用いたことを特徴とする空気調和機。
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