JP2011130960A - 炊飯器 - Google Patents
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Abstract
【課題】省エネルギー効果に優れた炊飯器を提供すること。炊飯時に鍋内の蒸気を外気に排出する蓋体の排出路により蓄熱が行なわれ、炊飯・蒸らしや保温に要する熱エネルギーが少なくてすむ炊飯器を提供すること。
【解決手段】鍋3と炊飯器本体2の開口部を塞ぐ蓋体4を備えた炊飯器1において、蓋体4は、鍋3内の蒸気を外気に排出する排出路6及び鍋3内の圧力を略一定とするように鍋3内と外気とを連通又は遮断する開閉機構7を備えており、蒸気の排出路6が蓄熱性のよい金属材料、クラッド材又はセラミック材料から形成される。排出路6は、内表面がフッ素樹脂コーティングされ耐腐食性能を高めてある。
【選択図】 図1
【解決手段】鍋3と炊飯器本体2の開口部を塞ぐ蓋体4を備えた炊飯器1において、蓋体4は、鍋3内の蒸気を外気に排出する排出路6及び鍋3内の圧力を略一定とするように鍋3内と外気とを連通又は遮断する開閉機構7を備えており、蒸気の排出路6が蓄熱性のよい金属材料、クラッド材又はセラミック材料から形成される。排出路6は、内表面がフッ素樹脂コーティングされ耐腐食性能を高めてある。
【選択図】 図1
Description
この発明は、炊飯器に係り、特に省エネルギー化を実現する炊飯器に係るものである。
近年、地球温暖化及び環境汚染の問題が地球規模において解決しなければならない最優先課題として挙げられている。このうち、頻発する自然災害の一因が地球温暖化にあるとされていることから、地球温暖化の防止、すなわちCO2排出量の数値目標が世界各国及び地域に設定されて、その目標達成に向けて様々な施策が打ち出され、我が国においても京都議定書での削減目標達成に向けた取り組みがなされている。かかる状況を踏えて、一般家庭で使用される電化製品もその対象となり、電気炊飯器も省エネルギー対策が急務となって、これまでにもさまざまな工夫がなされた炊飯器が特許文献で紹介されている。
炊飯器における従来の省エネルギー対策は、例えば図5に示した下記特許文献1に開示された電気炊飯器のように、電気炊飯器101の炊飯器本体103の開口部123に対する蓋104の嵌合を、遮熱構造を採用するに適した嵌合構造とし、蓋104側に炊飯器本体103内に収納された内鍋102の開口縁部123aに対応した熱反射性能の高い遮熱板146等を介装した遮熱手段143(断熱金属板143a、143b、その外周端143c)を設けることにより、内鍋102の開口縁部123aからの放射熱の外部への放出を遮断して、内鍋102の断熱・保温性能を向上させ、消費電力を低減させるものである。
あるいは、図6に示した下記特許文献2に開示された炊飯器のように、炊飯器本体211内の保護枠213に鍋212を着脱自在に収納し、鍋212を加熱コイル215により加熱制御し、炊飯器本体211の上面を蓋218により開閉自在に覆い、蓋ヒータ221により加熱するとともに、蓋218内に蓋断熱材222を配置し、鍋212の温度を底センサ216により検知し、鍋加熱コイル215と蓋加熱ヒータ221を制御手段217により制御し、蓋218の表面を金属製の蓋表面部材223により覆うよう構成し、蓋218と蓋表面部材223の間に補助断熱材224を配置したものである。なお、図6に示す符号214は開口部を構成する上枠であり、符号220は炊飯中の蒸気を排出する蒸気口である。このような構成によって蓋からの熱の損失を低減し、省エネルギー性を向上させたものである。
しかしながら、上記特許文献1の電気炊飯器のように、内鍋の開口縁部123aからの放射熱の外部への放出を遮断したり、上記特許文献2の炊飯器のように、蓋218内に蓋断熱材222を配置し、蓋218の表面を金属製の蓋表面部材223により覆うよう構成し蓋218と蓋表面部材223の間に補助断熱材224を配置したりして蓋からの熱損失を減らすよう配慮しているが、炊飯中に内鍋の圧力調整のため鍋の蓋から外気に放出される水蒸気の熱の有効利用については考慮されておらず、炊飯時の熱エネルギー利用の効率性改善がさらに望まれていた。
本願の発明者は、省エネルギー化の点から炊飯時に炊飯器から放出される蒸気の熱の有効利用に着目し、上記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、鍋の蓋体に設けた排出口から排出される蒸気の熱エネルギーを有効活用し炊飯・蒸らしや保温に用いることにより、必要な熱エネルギーを減少させることができることを見出し、本発明の炊飯器を完成するに至ったものである。
本発明は、省エネルギーに優れた炊飯器を提供することを目的とするものである。すなわち、本発明は、炊飯時に鍋内の蒸気を外気に排出する蓋体の排出路により蓄熱が行なわれ、炊飯・蒸らしや保温に要する熱エネルギーが少なくてすむ炊飯器を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の炊飯器は、被炊飯物を入れる鍋と、前記鍋を収容する開口部及び該鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段並びに前記加熱手段を制御して被炊飯物の炊飯及び保温制御を行なう制御手段を有する炊飯器本体と、前記鍋及び前記炊飯器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを備え、該蓋体には枠体の上下に固着された表蓋及び蓋カバー、鍋内の蒸気を外気に排出する排出路及び鍋内の圧力を略一定とするように鍋内と外気とを連通又は遮断する開閉機構を備えた炊飯器において、前記排出路はその構成部材が蓄熱性材料で形成されたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記蓄熱性材料は金属材料であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の炊飯器において、前記金属材料はクラッド材であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記蓄熱性材料は、セラミック材料であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の炊飯器において、前記蓄熱性材料の表面は、フッ素樹脂コーティングされていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記蓄熱性材料は前記蓋体から少なくとも一部が着脱自在に形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記排出路と前記枠体の構成部材の少なくとも一部が蓄熱性材料で形成されていることを特徴とする。
本発明は上記の構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、炊飯器本体と、鍋及び炊飯器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを備え、その蓋体には枠体の上下に固着された表蓋及び蓋カバー、鍋内の蒸気を外気に排出する排出路及び鍋内の圧力を略一定とするように鍋内と外気とを連通又は遮断する開閉機構を備えた炊飯器において、排出路はその構成部材が蓄熱性材料で形成され、炊飯時に鍋内圧力の調整のため放出される蒸気の熱を蓄え、この熱を炊飯器の炊飯・蒸らし及び保温時に消費する熱エネルギーとして利用することによって、省エネルギーを実現させることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、蓄熱性材料が、銅、アルミニウムなどの金属材料で形成されたことにより、簡単な加工で排出路が形成できて所期の効果が得られ、経済的に安価である。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、金属材料はクラッド材で形成されていることにより、排出路に傷がつきにくく汚れを落とすことが容易であり、清潔に維持できる。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、蓄熱性材料がセラミック材料で形成されるので、排出路に傷がつきにくく汚れを落とすことが容易であり、清潔に維持できる。
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4に記載の発明の効果に加えて、蓄熱性材料の表面はフッ素樹脂コーティングされていることにより、耐熱性、耐腐食性、非粘着性が向上し、離型性がよく濡れにくいため耐久性がよく、また排出される蒸気中のおねばなどで汚染されることが少なく、その蓄熱性を有効に利用できるようになる。
請求項6の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、排出路の蓄熱性材料は蓋体から少なくとも一部が着脱自在に形成されていることにより、取り外して洗浄などの処理ができ取り扱いが容易になる。
請求項7の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、排出路と枠体の構成部材の少なくとも一部が蓄熱性材料で形成されていることにより、枠体によっても蓄熱されるので排出される熱エネルギーの捕捉量が大きくなり、より省エネルギー化できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための炊飯器を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
図1は、本発明の一実施例に係る炊飯器の断面図である。図2は、図1の実施例に係る炊飯器の蓋体の排出路の一部を構成する貯留タンクの平面図である。図3は、図2の貯留タンクの蓋を外した排出路の部分的斜視図である。
本発明の実施例1に係る炊飯器1は、図1に示すように、水と米とを含む被炊飯物を入れる鍋3と、この鍋3を着脱自在に収容する開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する誘導加熱コイル51、側面ヒータ52、蓋ヒータ53等の加熱手段5並びに加熱手段5を制御して被炊飯物の炊飯及び保温制御を行う制御手段を有する炊飯器本体2と、鍋3及び炊飯器本体2の開口部を塞ぐ蓋体4とを備えている。後述するように、蓋体4は、鍋3内の蒸気を炊飯器1の外部に排出するための排出路6と、鍋3内の圧力を制御するために鍋3内と外気とを連通又は遮断する圧力調整弁7とを備えている。
炊飯器本体2は、その内部に鍋3を収容する非金属材料で成形された有底筒状の内ケース21と、この内ケース21を覆う外ケース22とを有し、内ケース21内に鍋3が着脱自在に収容されるようになっている。内ケース21は、その上端部に外周へ突出したフランジ21aが形成されている。鍋3は、その上端開口部に外方に張り出すフランジ31が形成されており、鍋3を内ケース21内に収容した際、このフランジ31が内ケース21のフランジ21aに掛るように載置される。内ケース21は、その底部付近の外周囲に誘導加熱コイル51が配設される。この誘導加熱コイル51は、鍋3の外周面までの距離が一定になるように耐熱性樹脂材料で成形されたカバー(図示省略)に支持されている。また、内ケース21には、上方開口部と誘導加熱コイル51との間に側面ヒータ52が配設されている。
炊飯器本体2は、その外ケース22の前面に操作・表示部9が設けられている。この操作・表示部9には、電源スイッチ9aや炊飯スタートスイッチ、メニュー選択スイッチ、保温スイッチ等のスイッチ類の操作釦及び表示パネル9bが装着されている。表示パネル9bには操作制御基板10に取り付けられた電子部品によって選択した炊飯メニュー等が表示される。
さらに、炊飯器本体2には、誘導加熱コイル51、側面ヒータ52及び蓋ヒータ53等に電力を供給・制御する制御基板11が吸気孔23aに近接した箇所に配設されている。制御基板11には、半導体素子からなるインバータ12、スイッチング素子、タイマー素子等の電子部品が装着されている。これらの電子部品のうち、特にインバータ12は作動時に発熱するので、ヒートシンク或いは冷却用ファン13を用いて冷却される。また、炊飯器本体2の底部23の中央部には、鍋3の底面に接触するように鍋底温度センサ32が設けられている。さらに炊飯器本体2又は蓋体4のいずれかに外気温度を検知する外気温センサ(図示省略)が設けられている。この外気温センサの出力は、制御手段に入力されて、冷却用ファン13が作動される。
制御手段は制御基板11に搭載されたCPU、ROM、RAM等によって構成されている。そして、操作・表示部9の各種操作釦、鍋底温度センサ32、蒸気センサ等に接続され、これらの操作釦及びセンサからの信号がCPUに入力されるようになっている。またCPUには、所定時間を計時するタイマー、炊飯メニュー検知手段及びROM、RAMが接続されている。
炊飯器本体2の底部23には、左右に空気を吸気する吸気孔23a及び吸気された空気を排出する排気孔23bが形成され、吸気孔23aに近接した位置には冷却用ファン13が配設されている。
蓋体4は、枠体42の上に表蓋41及び下に蓋カバー48をそれぞれ取り付け、蓋カバー48を介して枠体42に内蓋43が装着されており、炊飯器本体2の開口部上方を覆うように取り付けられている。その取り付けは、枠体42をヒンジ部材44と枢支ピン45とを用いて炊飯器本体2に回動自在に軸支した構成となっている。また枠体42と内蓋43の間には、蓋カバー48に覆われて蓋ヒータ53が配設されている。蓋カバー48は枠体42に固定され、内蓋43は蓋カバー48を覆って枠体42に着脱自在に支持されている。また、表蓋41のほぼ中央部には窪みが形成されており、この窪み部分に排出路6の一部分をなすおねば貯留手段として貯留タンク61が着脱自在に取付けられている。内蓋43のほぼ中央部には、炊飯器本体2内の圧力を制御する圧力調整弁7や、圧力調整弁7の故障などで鍋3内が異常に加圧されたときに開放される安全弁(図示省略)が装着されている。そして、この蓋体4内部には、圧力調整弁7と貯留タンク61との間を連結する排出路6が設けられている。
内蓋43の外周囲には、鍋3のフランジ31に当接して鍋3内が密閉状態となるようにシールする鍋パッキン49が外枠50に支持されて装着されている。また、蓋体4のヒンジ部材44が設けられた位置に対向する部分には係止レバー47bが設けられており、内ケース21の上端部に形成された係止部材47aが係止レバー47bに係止されることにより蓋体4を閉じた状態に保持するようになっている。このような構成を備えることにより、内ケース21内に鍋3を収容して蓋体4を閉めると、鍋パッキン49が鍋3の開口縁部に圧接する位置で蓋体4が閉鎖する状態で保持され、その結果、鍋3内が密閉状態となる。
内蓋43は、例えばステンレス鋼材あるいはステンレス鋼材でアルミニウム材表面を被覆したクラッド材で形成されたものである。すなわち、内蓋43は上述した材料からなる金属板を周縁部と内部とに段差を設けて円盤状にプレス成型して形成され、周縁部にはゴム製の鍋パッキン49を介して硬質のプラスチック製の外枠50を取り付けている。鍋パッキン49はシリコンゴムで形成するのが好ましい。
内蓋43には、鍋3内の蒸気の圧力が所定の圧力以上に上昇したときに、鍋3内の圧力を弁孔71を介して排出路6に排出するための圧力調整弁7が設けられている。この圧力調整弁7は、内蓋43には弁孔71を有する弁座72と、弁座72の上に自重により弁孔71を塞ぐように載置されたボール73と、ボール73を覆うカバー74とから構成されていて、鍋3内の圧力とボール73の自重とのバランスによって、ボール73が弁孔71上を移動することにより弁孔71を開閉する。
貯留タンク61は、圧力調整弁7に連通されて、炊飯時に発生した蒸気を炊飯器の外に排出する排出路6の一部を形成するが、蒸気からおねばの成分と水分とを分離して各々を一時的に貯留する手段である。排出路6は、鍋3との連結部61aに作動弁81を備えている。表蓋41内部には作動弁81を駆動して連結部61aの開閉を行うソレノイド80が設けてある。このソレノイド80は制御手段により制御される。ソレノイド80は制御手段からの出力を受けていない炊飯状態の時には、作動弁81がソレノイド80から突出して貯留タンク61と鍋3との連結部61aを塞いでおり、排出路6に水を貯留し、保温状態の時には鍋3と排出路6の連結部61aを強制的に開放して、貯留タンク61に貯留した水を鍋3に移動させる。
本実施例1の炊飯器1は、炊飯時に鍋3内の圧力を制御するように鍋3内と外気とを連通又は遮断する開閉機構を備えている。そして、炊飯器1の表蓋41には排出路6の一部を構成して鍋3内の蒸気を外気に排出する蒸気孔61bを有する貯留タンク61を備え、圧力調整弁7の弁孔71を介して鍋3内と外気とを排出路6で連通し、鍋3内の圧力や蒸気を外気に逃がす放出口としている。そして、炊飯時には図1に示すように、発生した蒸気の一部を排出路6の一部である排出路6aを介して貯留タンク61に送り、この貯留タンク61において蒸気をおねばと水に戻す。また、保温時には貯留タンク61に貯留していた水を連結部61aを介して鍋3に戻し、その水により炊飯器1内の湿度を調整する。
貯留タンク61は、図2に示すように、蒸気孔61bを有するカバー61cを備え、容積が比較的大きなタンク状で蓋体4に着脱可能に形成されている。この貯留タンク61は、図3に示すように、圧力調整弁7に連なった蒸気放出口61dが中央部にあり、この蒸気放出口61dの周囲が壁61eで仕切られて水分貯留部61fとおねば貯留部61gとに別れている。
炊飯工程において沸騰により被炊飯物から発生した水分とおねばとを含む蒸気(以下、この蒸気を「排出蒸気」という)は、圧力調整弁7から排出路6a、蒸気放出口61d及び蒸気孔61bを通って外気に流れることになるが、この排出蒸気が貯留タンク61内を通過する際に冷却されることにより排出蒸気内の水分を液体に戻すとともに、この水分と排出蒸気内のおねばとを別々に貯留するようになっている。
すなわち、排出蒸気内に含まれるおねばは、蒸気放出口61dから排出された直後に貯留タンク61の底部に落下し、このおねば貯留部61gに貯留されることになる。そして、おねばが分離されて水分のみを含有する排出蒸気は、蒸気放出口61dから放出された後、一旦貯留タンク61内に保持される。そしてこの貯留タンク61内に保持されている間に冷却されて貯留タンク61に形成されたリブ61jや貯留タンク61の内壁、及びカバー61cの内天井61kに結露する。この結露した水分は、図1に示すように、貯留タンク61の底面が傾斜していることにより水分貯留部61fに集められて貯留される。一方、貯留されたおねばは負圧弁61hの開閉に伴って流動し、図示しないおねば受け皿へと落下して、さらに受け皿を伝っておねば分散口から落下し、鍋3内の被炊飯物に還元されることになる。そして、おねばと水分とが取り除かれた排出蒸気は、カバー61cに設けられた蒸気孔61bから外部へ排出される。
また、水分貯留部61fの底面には鍋3との連結部61aがあり、その途中に作動弁81が設けられ、作動弁81は炊飯時には閉じられているので、水分貯留部61fに集められた水は一旦ここで保持されることになる。水分貯留部61fと連結部61aとの間には、水分貯留部61fで貯留する水をより確実に連結部61aに誘導するようにガイド溝などが形成されている。これにより、水は水分貯留部61fの底部からガイド溝内を伝わって連結部61aのパイプ内に落下することとなる。このガイド溝は、連結部61aの周縁に向けて次第に深くなっており、水が落下し易い構成となっている。
また、水分貯留部61fに貯留された水は、保温工程において作動弁81が開かれることで連結部61aのパイプを通じて鍋3に移される。なお、作動弁81は、炊飯モードになると自動的に閉じ、保温モードになると自動的に開く機能を持つものであれば形式を問わない。さらにまた、保温時において水を水分貯留部61fから抜いて鍋3に移した後、再度連結部61aを閉塞するようにしてもよい。その場合には、作動弁81は鍋3から排出路6へ蒸気が漏れるのを防ぐので、鍋3内への湿度補給が効率的に行なえる効果がある。作動弁81の作動は、ソレノイド80に限らず作動弁81が閉じている状態から強制的に弁を開放するものであれば、開閉機構が電磁式であっても機械式のものであってもよい。
本実施例1は、このような炊飯器1において、蓋体4の少なくとも排出路6a部分が蓄熱性材料で形成されたものである。もちろん、貯留タンク61部分を含んで排出路6全体を蓄熱性材料で形成してもよい。蓄熱性材料としては、従来排出路を形成していた合成樹脂よりも蓄熱性のよい、例えば銅、アルミニウムなどの金属で形成されると、排出路6、6aを通過する排出蒸気の熱をよく吸収し、これを蓄熱することができる。また、排出路6、6aは蓄熱性のよいクラッド材により形成することができる。アルミニウム材を中間層にしてステンレス鋼材で挟んだクラッド材で形成された排出路6、6aは、蓄熱性がよくかつ表面がステンレス鋼材であり丈夫で傷つきにくく、汚れを落とすことが容易であり清潔に維持できる。排出路6、6aは、さらに蓄熱性のよいセラミック材料によっても形成することができる。例えば、アルミナで形成された排出路は、傷つきにくく、汚れを落とすことが容易であり清潔に維持できる。
このような排出路6、6aを通過する排出蒸気の熱は、排出路により吸収されて蓋内に蓄積され、炊飯、蒸らし、保温工程中に鍋の中の米、水を上方から加熱し鍋の温度を維持する。炊飯中には熱伝導性の良いアルミニウムなどの構成部材により蓄熱されているため、鍋の上部の温度上昇が早くなり、すばやく沸騰状態に達することができる。これらの蓄熱性のよい材料によって形成した排出路6、6aによれば、炊飯器の熱効率が上がり、炊飯器が炊飯・蒸らし及び保温時に消費するエネルギーを減少させることができる。
上記実施例1の炊飯器1は、炊飯器本体2の蓋体4には着脱自在な貯留タンク61やその鍋3との連結部61a、作動弁81を設けたものであるが、本実施例2の炊飯器1Aは図4に示すように、このような特別な構造である貯留タンク61、連結部61aや作動弁81を有しないものである。本実施例2の炊飯器1Aは、鍋3内の圧力を略一定とするように鍋内と外気とを連通又は遮断する開閉機構から蓋体4の外部に通じる排気口まで通常構造の蒸気の排出路6を有するものであり、その排出路6が一貫して蓄熱性のよい材料で構成されたものである。
すなわち、蓋体4は、枠体42の上に表蓋41及び下に蓋カバー48をそれぞれ取り付け、蓋カバー48を介して枠体42に内蓋43が装着されており、炊飯器本体2の内ケース21の開口部上方を覆うように取り付けられている。また枠体42と内蓋43の間には、蓋カバー48に覆われて蓋ヒータ53が配設されている。蓋カバー48は枠体42に固定され、内蓋43は蓋カバー48を覆って枠体42に着脱自在に支持されている。また、表蓋41のほぼ中央部には窪みが形成されており、この窪み部分には排出路6の一部が形成された貯留タンク611が着脱自在に取付けられる。内蓋43のほぼ中央部には、炊飯器本体2内の圧力を制御する圧力調整弁7や、圧力調整弁7の故障などで鍋3内が異常に加圧されたときに開放される安全弁43Vが装着されている。そして、この蓋体4内部には、圧力調整弁7とタンク611の蒸気孔6A間を連結するように排出路6が設けられている。この排出路6は蓄熱性のよい材料で形成される。
なお、排出路6の一部は貯留タンク611として着脱自在であるので、その手入れも容易に行なうことができる。排出路6はその構成部材が銅、アルミニウムなどの蓄熱性のよい材料で形成される。これらの金属は従来の排出路を構成する合成樹脂に比較して蓄熱性がよく、排出路を通過する排出蒸気の熱をよく吸収し、これを蓄熱することができる。
また、排出路6は蓄熱性のよいクラッド材により形成することができる。アルミニウム材を中間層にしてステンレス鋼材で挟んだクラッド材で形成された排出路6は、表面がステンレス鋼材であり傷つきにくく、汚れを落とすことが容易であり清潔に維持できる。クラッド材によって形成した排出路6は、熱効率が上がり炊飯器が炊飯・蒸らし及び保温時に消費するエネルギーを減少させることができる。
排出路6は、さらに蓄熱性のよいセラミック材によっても形成することができる。例えば、アルミナで形成された排出路は、傷つきにくく、汚れを落とすことが容易であり清潔に維持できる。蓄熱性のよいセラミックによって形成した排出路は、熱効率が上がり炊飯器が炊飯・蒸らし及び保温時に消費するエネルギーを減少させることができる。
なお、炊飯器において、排出路6の他に蓋体4を構成する枠体42についても蓄熱材料で構成してもよい。すなわち、排出路6と枠体42の構成部材の少なくとも一部とが蓄熱性材料で形成されると、排出路6からの熱量を枠体42にも移すことができるので、蓋体4の蓄熱量が増加し一層熱エネルギーを活用できることになる。
また、排出路を通過する排出蒸気から吸収された熱は、排出路により蓋内に蓄積され、炊飯、蒸らし、保温工程中に鍋の中の米、水を上方から加熱し鍋の温度を維持する。炊飯中には熱伝導性の良いアルミニウムなどの排出路の構成部材により発熱が速やかに伝わるため、鍋の上部の温度上昇が早くなり、すばやく沸騰状態に達することができる。また、保温時には蓄熱した熱を保温に役立てることができる。
上述した、アルミニウムなど蓄熱材で形成された排出路6は、その内表面をポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TEP),テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂をコーティングすることにより耐腐食性を高めることができる。炊飯器は食品や調理に使用される各種の調味料を含有する水蒸気、蒸気、油などに対する耐腐食性が求められる。フッ素樹脂によるコーティングは、アルミニウムなどの表面を保護して各種の物質による侵食に強く、また非粘着性、離型性を高めその濡れにくい性質からおねばなどの付着を防ぐことができるので、手入れがし易く汚れを落とすことが容易であり清潔に維持できる。
本発明によれば、炊飯器の蓋に設けた排出蒸気の排出路をアルミニウムなどの蓄熱材により形成したので、蓋体の蓄熱性能が高く、蓋ヒータへの通電が減少するので省エネルギー化が計れる。炊飯、蒸らし、保温の各過程において蓋の加熱が迅速に行なえるので、省エネルギー化に有効である。
1、1A 炊飯器
2 炊飯器本体
3 鍋
4 蓋体
41 表蓋
42 枠体
43 内蓋
48 蓋カバー
5 加熱手段
6、6a 排出路
61 貯留タンク
61a 連結部
61b 蒸気孔
61c カバー
61d 蒸気放出口
61e 壁
61f 水分貯留部
61g おねば貯留部
7 圧力弁
71 弁孔
72 弁座
73 ボール
74 カバー
80 ソレノイド
81 作動弁
90 逆止弁
2 炊飯器本体
3 鍋
4 蓋体
41 表蓋
42 枠体
43 内蓋
48 蓋カバー
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6、6a 排出路
61 貯留タンク
61a 連結部
61b 蒸気孔
61c カバー
61d 蒸気放出口
61e 壁
61f 水分貯留部
61g おねば貯留部
7 圧力弁
71 弁孔
72 弁座
73 ボール
74 カバー
80 ソレノイド
81 作動弁
90 逆止弁
Claims (7)
- 被炊飯物を入れる鍋と、前記鍋を収容する開口部及び該鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段並びに前記加熱手段を制御して被炊飯物の炊飯及び保温制御を行なう制御手段を有する炊飯器本体と、前記鍋及び前記炊飯器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを備え、該蓋体には枠体の上下に固着された表蓋及び蓋カバー、鍋内の蒸気を外気に排出する排出路及び鍋内の圧力を略一定とするように鍋内と外気とを連通又は遮断する開閉機構を備えた炊飯器において、前記排出路はその構成部材が蓄熱性材料で形成されたことを特徴とする炊飯器。
- 前記蓄熱性材料は、金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
- 前記金属材料は、クラッド材であることを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
- 前記蓄熱性材料は、セラミック材料であることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
- 前記蓄熱性材料の表面は、フッ素樹脂コーティングされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の炊飯器。
- 前記蓄熱性材料は、前記蓋体から少なくとも一部が着脱自在に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
- 前記排出路と前記枠体の構成部材の少なくとも一部が蓄熱性材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2009294460A JP2011130960A (ja) | 2009-12-25 | 2009-12-25 | 炊飯器 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2009294460A JP2011130960A (ja) | 2009-12-25 | 2009-12-25 | 炊飯器 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2011130960A true JP2011130960A (ja) | 2011-07-07 |
Family
ID=44344333
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2009294460A Pending JP2011130960A (ja) | 2009-12-25 | 2009-12-25 | 炊飯器 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2011130960A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102410563A (zh) * | 2011-09-29 | 2012-04-11 | 广东格兰仕集团有限公司 | 无微晶板电磁炉 |
| JP2013075084A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Mitsubishi Electric Corp | 加熱調理器 |
| JP2017042475A (ja) * | 2015-08-28 | 2017-03-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 炊飯器 |
-
2009
- 2009-12-25 JP JP2009294460A patent/JP2011130960A/ja active Pending
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| JP2013075084A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Mitsubishi Electric Corp | 加熱調理器 |
| JP2017042475A (ja) * | 2015-08-28 | 2017-03-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 炊飯器 |
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