JP2011116634A - シリコンシード製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チャンバ5の上壁2に上側シリコンシード6を貫通状態に保持する上シード保持部7と、上シード保持部7による保持中心Cに沿って上側シリコンシード6の下端と対向する下側シリコンシード23をチャンバ5内で上下移動可能に保持する昇降機構と、上シード保持部7に保持された上側シリコンシード6の下端部を囲む位置に配置される高周波誘導加熱コイル31と、高周波誘導加熱コイル31の下方に配置される予熱リング32と、下側シリコンシード23上端部を囲んで高周波誘導加熱コイル31に誘導加熱される加熱位置とこの加熱位置から離間した待機位置との間で予熱リング32を往復移動させる予熱リング移動手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
赤熱状態とした両シリコンシードの端部を誘導加熱コイルで溶融させた後に、下側シリコンシードを回転させながら上側シリコンシードに接触させることにより、両シリコンシード相互の溶融部を均一になじませた状態で接合することができ、溶接欠陥の発生を大幅に低減することができる。
これにより、両シリコンシードの溶融部の融液内に対流が生じ、これらの溶融部がなじむので、均一な溶接部を得ることができる。
溶融部を押圧して半径方向外側に膨出させることにより、両シリコンシードの端部を強固に接合することができるとともに、必要に応じて膨出部を研削する等により、接合後のシリコンシードの太さを一様にすることができる。
本実施形態のシリコンシード製造装置1は、図1に示すように、上壁2、下壁3、周壁4により囲まれたチャンバ5の上壁2に、この上壁2を上下方向に沿って貫通状態にシリコンシード(上側シリコンシード)6を保持する上シード保持部7が設けられ、チャンバ5の下壁3に、上シード保持部7の保持中心Cに沿って主軸8が貫通状態に上下移動かつ回転可能に支持されており、チャンバ5の下壁3から下方に突出する主軸8の下端部に、主軸8を上下移動させる昇降機構9と、主軸8を軸心(保持中心C)回りに回転させる回転機構10とが設けられている。なお、チャンバ5には、その内部を開放する扉(図示略)が設けられている。
なお、チャンバ5には、その内部を真空引きにより排気する排気系38、内部にアルゴンガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給系39が接続されている。
<予熱工程>
まず、図4(a)に示すように、チャンバ5の筒状部12のフランジ11に蓋体15を取り付けておき、主軸8のチャック24により下側シリコンシード23を上方に向けて垂直に保持する。この下側シリコンシード23は、その長さが例えば750mmとされる。そして、この状態でチャンバ5内を真空引きした後、内部にアルゴンガスを供給して、チャンバ5内をアルゴンガス雰囲気とし、チャンバ5内に空気が入らないように、内部圧力は外部より若干陽圧とする。
また、予熱リング32を高周波誘導加熱コイル31の直下の加熱位置Aに配置し、下側シリコンシード23の上端部を予熱リング32内に臨ませた状態とする。この状態では、上側シリコンシード6は、その下端が下側シリコンシード23の上端との間に間隔を開けた状態に保持されている。
このようにして、上下のシリコンシード6,23間で熱伝達して、これらの対向端部が赤熱状態となったら、下側シリコンシード23をわずかに下降させて、図5(a)に示すように、両シリコンシード6,23の先端間にわずかな隙間を開けた状態とし、高周波誘導加熱コイル31の出力を上昇させることにより、両シリコンシード6,23の端部を誘導加熱する。このときは、両シリコンシード6,23は、その端部が赤熱されて導電体となっているので、渦電流が発生してジュール熱により自己発熱する。
そして、図6(a)に示すように両シリコンシード6,23の端部が溶融状態となると(ハッチング領域を溶融部Mとする)、両シリコンシード6,23の端部間に隙間が形成されていることから、両端部の溶融部Mが球状となる。この球状の溶融部Mが形成された後、図5(b)に示すように下側シリコンシード23を上側シリコンシード6に接触させる。このとき、必要に応じて下側シリコンシード23を回転させることにより、両シリコンシード6,23の側面が揃うように軸心回りの位置合わせをしておく。そして、シリコンシード6,23の溶融部Mを接触させた状態で5分〜15分の一定時間保持することにより、両シリコンシード6,23の溶融部Mを一体化させる(図6(b)参照)。この接触状態に保持する際に、下側シリコンシード23を回転させるようにしてもよい。その後、図5(c)に示すように下側シリコンシード23をさらに上昇させて溶融部Mを下方から押圧することにより、図6(c)に示すように溶融部Mをわずかに半径方向外側に膨出させた状態とし、その後、高周波誘導加熱コイル31の出力を下げながら冷却する。図7は、下側シリコンシード23を上昇させて押圧した状態の溶融部Mの横断面を模式的に示しており、矩形断面のシリコンシード6,23は一辺の幅Wが7〜10mmであるのに対して、その対角線長さLよりも溶融部Mの直径Dは大きく形成される。
このようにして製造されたシリコンシードは、その長さが例えば2500mm(1750mm+750mm)とされる。
また、前述の特許文献1記載の方法では、シリコンシードの接合部以外の箇所を加熱して、その加熱による高温部を接合部まで移動させるようにしているため、比較的広い範囲で加熱され、その加熱部分に冷却後に歪みが生じて、その後の取り扱い時に欠けや割れなどが発生し易いが、本実施形態の方法では、両シリコンシード6,23とも、その端部のみが溶融され、その溶融部以外の箇所では加熱されないので、シリコンシードとしてダメージが少ない。
さらに、このシリコンシード製造装置1は、下側シリコンシード23はチャンバ5内に全体が設置されるため、そのチャンバ5内に設置できる長さに制約を受けるが、上側シリコンシード6は、その長さ方向の途中位置が上シード保持部7により保持されるので、長さの制約がなく、任意の長さのシリコンシードを製造することができる。一方、シリコンシード製造装置1としては、チャンバ5内に下側シリコンシード23とともに上側シリコンシード6の一部の長さの部分のみ配置できればよいから、装置の大型化を抑制することができる。
表1中の対流時間は、溶融部の融液内で温度差によって融液が対流する時間で、本実施例では、上側シリコンシードの下端部と下側シリコンシードの上端部を溶融状態で接触させた後、その接触状態で保持した時間を示す。回転時間は、両シリコンシードの溶融部どうしを接触させた状態で下側シリコンシードを回転させた時間を示す。下側シリコンシードを回転させる場合、回転速度は12.5rpmとした。また、接合後の冷却に関して、急冷したものと、徐冷したものとを作成した。急冷は高周波誘導加熱コイルの出力を−13kV/秒の速度で低下させ、徐冷は−1kV/分の速度で低下させることにより行った。
また、接合部を中心に三点曲げ試験を実施し、破断に至る最大荷重と曲げ応力とを求めた。表1中、試料番号9〜11は、比較対象として、接合していないシリコンシードに対して行った試験結果である。
したがって、わずかに空孔が生じたとしても、強度的には実用に供することができるシリコンシードが得られることがわかった。これは、両シリコンシードの端部を十分に溶融状態とした後に接合するため、空孔が生じる場合でも極めて小さく、シリコンシードの特性への影響が少ないものと考えられる。また、両シリコンシードの溶融部を接触させる際に下側シリコンシードを回転させたものは、回転させなかったものに比べて強度が高く、回転により両シリコンシードの端部どうしが均一に溶融するため、接合強度を高めることができるものと考えられる。
このように、本発明の製造装置を用いることにより、欠陥の極めて少ない高品質のシリコンシードを製造することができる。
例えば、予熱リングは、図示例では水平方向に移動するようにしているが、下側シリコンシードの上端部を加熱した後、高周波誘導加熱コイルの誘導加熱領域から離間すればよく、例えば、加熱位置から下方へ移動する構成としてもよい。
また、下側シリコンシードの上端部を赤熱状態とした後、この上端部を上側シリコンシードの下端部に接触させることにより熱伝達したが、必ずしも接触状態としなくても、わずかな隙間をおいて対向配置させることにより熱伝達してもよい。
2 上壁
5 チャンバ
6 シリコンシード(上側シリコンシード)
7 上シード保持部
8 主軸
9 昇降機構
10 回転機構
11 フランジ
12 筒状部
12a 貫通孔
13 クランプ部材
15 蓋体
22 連結軸
23 シリコンシード(下側シリコンシード)
24 チャック
31 高周波誘導加熱コイル(誘導加熱コイル)
32 予熱リング
35 支持シャフト
36 操作部
37 予熱リング移動手段
A 加熱位置
B 待機位置
M 溶融部
Claims (7)
- 2本のシリコンシードを溶接により継ぎ足して1本のシリコンシードを製造するシリコンシード製造装置であって、チャンバの上壁に上側シリコンシードを上下方向に沿って貫通状態に保持する上シード保持部と、該上シード保持部による保持中心に沿って前記上側シリコンシードの下端と対向する下側シリコンシードを前記チャンバ内で上下移動可能に保持する昇降機構と、前記上シード保持部に保持された上側シリコンシードの下端部を囲む位置に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの下方に配置される予熱リングと、前記下側シリコンシードの上端部を囲んで前記誘導加熱コイルに誘導加熱される加熱位置とこの加熱位置から離間した待機位置との間で前記予熱リングを往復移動させる予熱リング移動手段とを備えることを特徴とするシリコンシード製造装置。
- 前記下側シリコンシードを前記保持中心回りに回転させるシード回転機構を備えることを特徴とする請求項1記載のシリコンシード製造装置。
- 2本のシリコンシードを溶接により継ぎ足して1本のシリコンシードを製造するシリコンシード製造方法であって、チャンバ内に上側シリコンシードの下端と下側シリコンシードの上端とを上下方向に対向配置するとともに、前記上側シリコンシードの下端部を囲んで誘導加熱コイルを配置しておき、該誘導加熱コイルの下方に配置した予熱リングを誘導加熱することにより、該予熱リングを介して前記下側シリコンシードの上端部を赤熱状態まで加熱し、この赤熱状態の下側シリコンシードを上昇させて前記上側シリコンシードの下端部に熱伝達することにより、両シリコンシードの端部を赤熱状態とした後、前記赤熱状態とした両シリコンシードの端部どうしの間に隙間を開けた状態で前記誘導加熱コイルの誘導加熱により両シリコンシードの端部を溶融させ、この溶融状態の両シリコンシードの端部を接触させて、その後冷却することにより、両シリコンシードを接合状態とすることを特徴とするシリコンシード製造方法。
- 前記溶融状態の両シリコンシードの端部を接触させた後、その接触状態で一定時間保持し、その後冷却することを特徴とする請求項3記載のシリコンシード製造方法。
- 前記接触状態で一定時間保持した後、前記下側シリコンシードをさらに上昇させて両シリコンシードの端部の溶融部を押圧することにより半径方向外側に膨出させ、その後冷却することを特徴とする請求項4記載のシリコンシード製造方法。
- 前記接触状態で一定時間保持する間、下側シリコンシードを軸心回りに所定時間回転させることを特徴とする請求項4記載のシリコンシード製造方法。
- 前記熱伝達する際には前記下側シリコンシードの上端部を赤熱状態で前記上側シリコンシードの下端部に接触させることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のシリコンシード製造方法。
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