JP2011112170A - 乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドライブプレート31とドリブンプレート32とを軸方向で交互に重ねた乾式の多板クラッチ機構30を介して、エンジンの回転が入力される入力軸1と、モータの回転子2との間の回転の伝達/非伝達の切り換えが行われるハイブリッド構造の自動変速機において、ドリブンプレート32を嵌合支持するスプライン271が内周に形成されたドリブンプレート支持部27を、回転子2の磁石支持部25の径方向内側で、磁石支持部25の内周面251とドリブンプレート支持部27の外周面27aとの間に隙間28をあけて回転子2に固定的に配設し、ドリブンプレート支持部27に、ドリブンプレート支持部27の径方向の内側と外側とを連通させる連通部273を設けると共に、磁石支持部25の内周面251に傾斜帯29を設けた構成の乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造とした。
【選択図】図2
Description
そして、摩耗粉がクラッチ機構内に蓄積すると、例えば摩擦板の締結が邪魔されて、作動不良を起こすおそれがある。
特許文献1には、乾式多板クラッチ機構において、内部に空気の流れを形成し、摩耗粉を空気の流れに乗せて外部に排出させるようにしたものが開示されている。
また、回転子が回転している間は、隙間内に排出された摩耗粉を、傾斜帯により、回転子と筒状支持部材の軸方向に移動させて、隙間からも排出させることができる。よって、摩耗粉をクラッチ機構の外部に確実に排出させて、摩耗粉に起因する作動不良の発生をより好適に防止できる。
図1は、実施の形態にかかる摩耗粉対策構造を備える乾式の多板クラッチ機構が、モータとエンジンの二つの駆動源からの回転駆動力が入力されるハイブリッド構造の自動変速機に適用された場合の要部断面図である。
実施の形態の自動変速機では、フロントカバー4と、変速機構部とモータ室とを仕切るリアカバー5の間の空間S内において、ドライブプレート31とドリブンプレート32とが、回転軸Xの軸方向(以下、軸方向と記載する)で交互に重ねて配置されており、ピストンピン34により軸方向に圧縮されて締結されると、入力軸1と回転子2との間で回転が伝達される状態となる。
また、フロントカバー4の外径側には、円筒支持部41を所定間隔で囲むリング状の周壁部42が、リアカバー5側に延出して設けられている。この周壁部42は、先端側の内周面に後記する回転子2のダストシール26が当接する位置まで、回転軸Xに沿って直線状に延びている。
円筒部11の先端11aと、回転子2の後記する円板部22との間には、スラストベアリング62が、円筒部11と縮径部21aとの間にはニードルベアリング63が、それぞれ設けられており、入力軸1と回転子2(軸部21)とは、フロントカバー4とリアカバー5の間で、相対回転可能に連結されている。
ドライブプレート31のドリブンプレート32との対向面には、図示しない摩擦材が貼り付けられている。
周壁部23と円筒部11との間には、リップシール64が設けられており、油路21bから供給されて、ニードルベアリング63とスラストベアリング62を潤滑した潤滑油が、フロントカバー4とリアカバー5の間の空間S内に侵入しないようにされている。
磁石支持部25のフロントカバー4側の端部は、全周に亘って拡径部25aよりもフロントカバー4側に突出した突出部25cとされており、突出部25cは、フロントカバー4の凹溝43内に位置している。
拡径部25aには、軸方向から見てリング状のダストシール26が外嵌して取り付けられており、ダストシール26は、外周面を、フロントカバー4の周壁部42の内周に当接させた状態で設けられている。
円筒状のドリブンプレート支持部27は、磁石支持部25の内周面251との間に所定間隔の隙間28を確保した状態で、回転子2と一体に形成されている。磁石支持部25の内周面251と、ドリブンプレート支持部27の外周面27aは、それぞれ回転軸Xに対して平行であり、隙間28の径方向幅W1は、回転軸X周りの全周に亘って同じである。
図3の(a)は、実施の形態における摩耗粉対策構造において、ドリブンプレート支持部27における連通部273の部分の断面を示す拡大図であって、摩耗粉対策構造の要部を示す図である。図3の(b)は、磁石支持部25の内周面251を(a)におけるA−A矢視方向から回転軸X周りに見た場合を、模式的に示す図であって、磁石支持部25の内周面に形成された傾斜帯29を説明する図である。
連通部273は、径方向から見て矩形形状を有しており、図3の(a)に示すように、ドリブンプレート支持部27における円板部22の近傍から、フロントカバー4側の端部の近傍までの範囲に形成されている。
連通部273は、回転軸X周りの総てのスプライン溝部272に形成されており、ドライブプレート31とドリブンプレート32の締結・開放の繰り返しにより生じる摩耗粉が、遠心力で径方向外側に移動した際に、連通部273を介して隙間28内に排出されるようになっている。
そのため、傾斜帯29は、隙間28に排出された摩耗粉をフロントカバー4側に排出できるようにするために、傾斜帯29の円板部22側の一端29aは、フロントカバー4側の他端29bよりも、回転方向における下流側に位置している。
そうすると、スプライン溝部272には、ドリブンプレート支持部27の内径側と外径側とを連通する連通部273が設けられているので、摩耗粉は、連通部273を通って、ドリブンプレート支持部27と、磁石支持部25との間の隙間28内に排出される。
ここで、空間S1では、ダストシール26により、回転子2と周壁部42との隙間がシールされているので、摩耗粉は、回転子2の径方向外側に侵入することなく、周壁部42とダストシール26と磁石支持部25とにより形成される空間S1内に捕捉される。
よって、発生した摩耗粉が、多板クラッチ機構30におけるドライブプレート31とドリブンプレート32が位置するドリブンプレート支持部27の内側に停滞して作動不良を起こすこと、隙間28からフロントカバー4側に排出された摩耗粉が、径方向内側のドライブプレート31とドリブンプレート32側に移動して多板クラッチ機構30が作動不良を起こすこと、などが好適に防止される。
このように構成すると、ドライブプレート31とドリブンプレート32の締結・開放により生じた摩耗粉は、回転による遠心力で、ドライブプレート31とドリブンプレート32から見て径方向外側に位置するドリブンプレート支持部27の内周に向けて移動し、連通部273を通って、磁石支持部25の内周面251とドリブンプレート支持部27の外周面27aとの間の隙間28に排出される。よって、摩耗粉を、ドリブンプレート支持部27の内径側の部材などに付着させずに、ドライブプレート31とドリブンプレート32が位置するドリブンプレート支持部27の内側から排出できるので、摩耗粉の付着に起因する作動不良の発生を好適に防止できる。
ここで、傾斜帯29は回転軸Xの軸方向に対して所定角度θ傾斜して直線状に延びており、さらに、傾斜帯29の一端29aは他端29bよりも回転子2の回転方向における下流側に位置しているので、隙間28内に排出されて傾斜帯29に達した摩耗粉は、回転子2の回転力を受けて、傾斜帯29に沿って軸方向に移動して、傾斜帯29の他端29bから排出される。よって、回転子2が回転している間は、摩耗粉を、隙間28からも排出させることができ、乾式の多板クラッチ機構30内に摩耗粉を停滞させることがないので、摩耗粉の付着に起因する作動不良の発生をより好適に防止できる。
図4に示す傾斜帯29Aは、回転子2の磁石支持部25の内周面251で、回転軸X周りに螺旋状に形成されており、傾斜帯29は、回転子2の回転軸X周りの回転方向とは反対方向に、円板部22側から延びている。
このように構成すると、磁石支持部25の内周面に、円板部22側からフロントカバー4側の端部に向かう一条の傾斜帯29Aが形成される。よって、隙間28内に排出された摩耗粉は、回転子2の回転による回転力を受けて、傾斜帯29Aに沿って移動して、フロントカバー4側の端部から、凹溝43内に排出されることになる。
よって、前記した実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
なお、以下の説明において、前記した実施の形態と同一のものについては、同一の符号を付して示し、その説明を省略するものとする。
磁石支持部25の内周面251Aは、回転軸Xに平行な仮想線IM1に対して所定角度θ1だけ傾斜して、円板部22側からフロントカバー4側に向かうにつれて、仮想線IM1との離間距離が大きくなっている。
そのため、磁石支持部25の内周面251Aは、回転軸Xの軸方向においてドリブンプレート支持部27の円板部22側の一端からフロントカバー4側の他端に向かうにつれて、径方向外側に隙間28が広がるように傾斜しており、フロントカバー4側の軸方向から見た磁石支持部25の内周面251Aによる開口径が、フロントカバー4側に向かうにつれて大きくなっている。
よって、前記した実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
2 回転子
4 フロントカバー
5 リアカバー
11 円筒部
12 ドライブプレート支持部
21 軸部
22 円板部
23 周壁部
24 円筒壁部
25 磁石支持部
25a、25b 拡径部
25c 突出部
25d 内周面
26 ダストシール
27 ドリブンプレート支持部
28、28A 隙間
29、29A 傾斜帯
30 多板クラッチ機構
31 ドライブプレート
32 ドリブンプレート
34 ピストンピン
41 円筒支持部
42 周壁部
43 凹溝
61 ベアリング
62 スラストベアリング
63 ニードルベアリング
64、66 リップシール
65 スラストベアリング
68 永久磁石
121 スプライン
251、251A 内周面
271 スプライン
272 スプライン溝部
273 連通部
S、S1 空間
X 回転軸
Claims (4)
- ドライブ側とドリブン側の摩擦板を軸方向で交互に重ねた乾式多板クラッチ機構を介して、エンジンの回転が入力される入力軸と、モータの回転子との間の回転の伝達/非伝達の切り換えが行われるハイブリッド構造の自動変速機において、
前記ドリブン側の摩擦板を内周で支持する筒状支持部材を、前記回転子の径方向内側で、前記回転子の内周面との間に隙間をあけて前記回転子に固定的に配設し、
前記筒状支持部材に、前記筒状支持部材の径方向の内側と外側とを連通させる連通部を設けると共に、
前記回転子の内周面に、前記軸方向に所定角度で傾斜する傾斜帯を設けたことを特徴とする乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造。 - 前記傾斜帯は、前記回転子の内周面に形成した帯状の凹部または凸部であることを特徴とする請求項1に記載の乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造。
- 前記傾斜帯は、前記回転子の内周面で、前記回転子の回転軸周りに螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造。
- 前記軸方向における前記筒状支持部材の一端は、前記回転子の内周面から径方向内側に延びる壁部に全周に亘って連結しており、
前記回転子の内周面は、前記軸方向における前記筒状支持部材の一端側から他端側に向かうにつれて内径が広がる方向に傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の乾式多板クラッチ機構における摩耗粉対策構造。
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