JP2011095724A - 剥離装置及びこれを用いた定着装置、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベルト状回転体11と加圧回転体12との間の接触域の下流側に設けられ、ベルト状回転体11に貼り付く記録材を剥離するものであって、べルト状回転体11が加圧回転体12側に接触配置された後に加圧回転体12表面から方向変更する屈曲形状になるようにベルト状回転体11を押圧する押圧部材2と、この押圧部材2の加圧回転体12側に設けられ且つベルト状回転体11の屈曲形状角部が加圧回転体12に食い込むようにベルト状回転体11が案内される案内部3と、押圧部材2の加圧回転体12側の面に設けられ且つ押圧部材2の長手方向における中央部から端部に向かうに従い前記面が加圧回転体12から離れるように形成される加圧部4と、を備える。
【選択図】図1
Description
特許文献1は、剥離パッドが押圧面よりも定着ベルトの移動方向下流側に配設された湾曲面を備え、加圧ロールに対する定着ベルトの加圧を解除する位置を湾曲面と加圧ロールとの間に配置するようにしたものである。
特許文献2は、剥離パッドが定着ロールと対向する下辺部の角に、エッジ部と、異物収容凹部としての収容凹部とを備え、定着ベルトの内面に付着した摩耗粉等の異物を、エッジ部で掻き取って収容凹部内に収容するものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る剥離装置において、前記押圧部材は、予め決められた支持部位に支持される被支持部材とこの被支持部材のベルト状回転体との接触面に沿って設けられる剥離部材とで構成されていることを特徴とする剥離装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る剥離装置において、前記押圧部材はベルト状回転体が保持可能な保持部材に対し支持部材を介して固定的に支持されることを特徴とする剥離装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る剥離装置において、押圧部材のうちベルト状回転体との接触面は当該ベルト状回転体との間の摩擦力が低減可能な潤滑層を有することを特徴とする剥離装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1に係る剥離装置において、前記ベルト状回転体の屈曲形状角部は曲率の大きい曲面部を有しており、案内部は前記ベルト状回転体の曲面部を前記加圧回転体に埋没させる程度に食い込ませることを特徴とする剥離装置である。
請求項8に係る発明は、請求項2又は7に係る剥離装置において、前記突出部は前記交差方向中央部を中心に対称的且つ湾曲状に形成されていることを特徴とする剥離装置である。
請求項9に係る発明は、請求項2又は7に係る剥離装置において、前記突出部はその先端が断面曲面状に形成されていることを特徴とする剥離装置である。
請求項11に係る発明は、記録材上に未定着トナー像を形成するトナー像作製装置と、このトナー像作製装置にて作製された記録材上の未定着トナー像を定着する請求項10に係る定着装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、ベルト状回転体から記録材を剥離するに当たり、記録材に対する剥離部位での加圧分布をより良好に保つことができる。
請求項3に係る発明によれば、剥離装置の各機能部を簡単に構成することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、押圧部材の位置を正確に維持することができ、その分、押圧部材の相対的移動に伴う加圧回転体との接触状態が変動する事態を有効に回避することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、ベルト状回転体と押圧部材との間の接触抵抗を低下させ、ベルト状回転体の剥離挙動を安定させることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、加圧回転体に対するベルト状回転体の食い込み状態を安定させることができる。
請求項7に係る発明によれば、ベルト状回転体と加圧回転体との接触域を通過する記録材を、ベルト状回転体から剥離するに当たり、記録材に対する剥離部位での加圧分布を良好に保つことができる。
請求項8に係る発明によれば、通過した記録材に対し、記録材の搬送方向から押し広げる方向に記録材を押し広げることができ、これに伴って、記録材のしわの発生を抑制することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、ベルト状回転体が剥離装置の突出部先端に引っ掛かる懸念が少なく、ベルト状回転体の移動を安定させることができる。
請求項10に係る発明によれば、ベルト状加熱回転体と加圧回転体との接触域を通過する記録材を、ベルト状加熱回転体から剥離するに当たり、記録材に対する剥離部位での加圧分布を良好に保つことができ、加圧不足に伴う画像品質不良を回避することができる。
請求項11に係る発明によれば、ベルト状加熱回転体と加圧回転体との接触域を通過する記録材を、ベルト状加熱回転体から剥離するに当たり、記録材に対する剥離部位での加圧分布を良好に保つことができ、加圧不足に伴う画像品質不良を回避することが可能な定着装置を用いた画像形成装置を簡単に構築することができる。
図1(a)は本発明が適用される定着装置の実施の形態の概要を示す説明図であり、この種の定着装置は例えば電子写真方式を採用した画像形成装置などに用いられる。
この場合、画像形成装置は、記録材上に未定着トナー像を形成するトナー像作製装置と、このトナー像作製装置にて作製された記録材上の未定着トナー像を定着する定着装置と、を備えるものである。
同図において、定着装置10は、少なくとも表面が加熱されて回転するベルト状加熱回転体(ベルト状回転体に相当)11と、この加熱回転体11の表面に加圧接触されて加熱回転体11と共に転動し且つ加熱回転体11との間にて記録材を挟持搬送して記録材上の未定着トナー像を加熱加圧定着する加圧回転体12と、少なくとも加熱回転体11に貼り付く記録材を剥離する剥離装置1と、を備えたものである。
尚、図1(a)において、符号13は加圧回転体12との間で加熱回転体(ベルト状回転体)11を挟持搬送すると共に前記加熱回転体11を加熱する加熱源であるが、加熱回転体11を加熱する方式はこれに限られるものではなく、加熱回転体11を張架搬送する他の張架部材や加熱回転体に接触又は非接触配置される加熱部材を加熱源としてもよいことは勿論である。
また、案内部3としては、加圧回転体12に対してベルト状回転体11の屈曲形状角部が食い込むものであれは適宜選定して差し支えなく、押圧部材2の取付位置と加圧回転体12との相対位置関係を考慮して設けるようにすればよい。
更に、加圧部4としては、押圧部材2の長手方向における中央部から端部に向かうに従い、押圧部材2の加圧回転体12側の面が前記加圧回転体12から離れるように形成されていればよい。このとき、端部に比べて中央部が突出するため、中央部に対応する記録材に対する剥離部位での加圧分布が増加することになり、押圧部材2の撓み等に伴う中央部での加圧不足が補足される。
尚、加圧部4は、別の見方をすれば、押圧部材2の長手方向において端部から中央部に向かうに従い、押圧部材2の加圧回転体12側の面が加圧回転体12側に張り出すように形成されていると捉えることも可能である。
先ず、剥離装置1の好ましい態様としては、押圧部材2による押圧分布をより良好に保つという観点からすれば、更に、前記押圧部材2の加圧回転体12側で且つ前記ベルト状回転体11と前記加圧回転体12との接触域側に設けられ、ベルト状回転体11の移動方向と交差する交差方向に対し中央部が両端部よりも前記接触域側に向かって凸状に突出する突出部5を備える態様が挙げられる。
ここでいう突出部5は必ずしも湾曲状であることは要しない。山型状に突出したものでもよいし、中央部が突出するものであれば適宜選定して差し支えない。
また、押圧部材2の代表的態様としては、予め決められた支持部位に支持される被支持部材2aとこの被支持部材2aのベルト状回転体11との接触面に沿って設けられる剥離部材2bとで構成されている態様が挙げられる。本態様では、例えば板状の剥離部材2bに案内部3や加圧部4を予め形成しておき、この剥離部材2bを被支持部材2aに固着するようにすればよい。
更に、このような押圧部材2の支持構造としては適宜選定して差し支えないが、押圧部材2の配設位置が一義的に決まるという観点から、押圧部材2はベルト状回転体11が保持可能な保持部材(図示せず)に対し支持部材(図示せず)を介して固定的に支持される態様が好ましい。
更にまた、ベルト状回転体との接触抵抗を低減させるという観点からすれば、押圧部材2のうちベルト状回転体11との接触面は当該ベルト状回転体11との間の摩擦力が低減可能な潤滑層を有することが好ましい。
また、案内部3としては、加圧回転体12に食い込むものであればよいが、加圧回転体12に対するベルト状回転体の食い込み状態を安定させるという観点からすれば、前記ベルト状回転体11の屈曲形状角部は曲率の大きい曲面部を有しており、案内部3は前記ベルト状回転体の曲面部を前記加圧回転体12に埋没させる程度に食い込ませる態様が好ましい。
ここで、突出部5の好ましい態様としては、記録材に発生する皺を押し広げるという観点からすれば、前記交差方向中央部を中心に対称的且つ湾曲状に形成されているものが挙げられる。
また、突出部5の先端とベルト状回転体11との引っ掛かりを抑制するという観点からすれば、突出部5はその先端が断面曲面状に形成されていることが好ましい。
<画像形成装置>
図2は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、所謂タンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であり、電子写真方式により各色成分(本例ではイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の四色)のトナー像が形成される複数の画像形成部22(22a〜22d)を有し、各画像形成部22に対応した箇所にはベルト状の中間転写体23を配設すると共に、各画像形成部22に対応した中間転写体23の背面には一次転写器24(例えば一次転写ロール)を配設し、更に、中間転写体23の一部には、各画像形成部22から中間転写体23に一次転写器24にて一次転写された各色成分トナー像が記録材としての用紙Pに二次転写される二次転写器(例えば二次転写ロール)25を配設し、各色成分トナー像が転写された用紙Pの搬送方向下流側には定着装置60を配設し、用紙P上の未定着トナー像を定着させるものである。
また、中間転写体23は、複数の張架ロール41〜45に掛け渡されており、例えば張架ロール41を駆動ロールとして予め決められた方向に沿って循環回転するようになっている。また、張架ロール44は二次転写器25としての二次転写ロールの対向ロールを兼用し、二次転写ロールと対向ロールとの間に二次転写に必要な二次転写電界を生成するようになっている。更に、張架ロール45に対応する中間転写体23の表面には中間転写清掃器46が配設されている。
更に、中間転写体23の下方には用紙供給装置50が設けられ、この用紙供給装置50から供給された用紙Pは二次転写器25を経て定着装置60に至る搬送経路51に沿って搬送されるようになっている。尚、搬送経路51には、適宜数の搬送ロール52や、二次転写器25から定着装置60へ搬送する搬送ベルト53,更には、二次転写器25による二次転写部位、定着装置60の定着部位へ用紙Pを案内する案内板54,55や、図示外の用紙排出部に用紙Pを排出するための排出ロール56等が設けられている。
次に、本実施の形態で用いられる定着装置60について図3を用いて説明する。
同図において、定着装置60は、ハロゲンランプ等の熱源61aを内蔵した定着ロール61と、この定着ロール61及び複数の張架ロール62〜65に掛け渡されて加熱されながら循環移動する加熱ベルト66と、この定着ロール61との間で加熱ベルト66を加圧搬送する加圧ロール67と、加熱ベルト66の内側で定着ロール61と加圧ロール67との間のニップ域の下流側に設けられ、前記ニップ域を通過した用紙Pを剥離する剥離装置70とを備えている。
ここで、本例では、張架ロール62,64及び65は加熱ベルト66の内側に配置され、張架ロール63は張架ロール62,64の間の加熱ベルト66の外側に配置されている。尚、本例では、定着ロール61は熱源を有する構成になっているが、これに加えて、あるいは、これとは別に、張架ロール62〜65の一部については、必要に応じて例えば熱源を有する補助加熱ロールを兼用してもよい。
そして、本例では、定着ロール61は、例えばアルミニウムからなる円筒状の芯金の表面に例えばフッ素樹脂などの保護層を被覆したものである。また、加圧ロール67は例えばアルミニウム製の芯金を基体とし、この基体上にシリコーンゴム等の弾性層、更にはPFAチューブなどの離型層を積層したものである。更に、加熱ベルト66としては適宜選定して差し支えないが、例えばポリイミド樹脂等の基層を有し、この基層の表面側にシリコーンゴム等の弾性層、更にはPFAチューブからなる離型層を積層したものである。尚、各張架ロール62〜65は例えばアルミニウム製の金属ロールである。
―押圧パッド―
本実施の形態において、剥離装置70は、加熱ベルト66の移動方向に交差する幅方向に沿って長く延びるように設けられ、加熱ベルト66が加圧ロール67側に接触配置された後に加圧ロール67表面から方向変更する形状になるように加熱ベルト66を押圧する押圧パッド(押圧部材に相当)71を備えている。
本例では、押圧パッド71は、図4及び図5(a)(b)に示すように、例えば炭素鋼鋼材等の金属やセラミックス等の剛体にて形成され且つ予め決められた支持部位に支持される被支持部材72と、この被支持部材72の加熱ベルト66との接触面に沿って設けられ且つ例えばSUS等の金属やセラミックスの剛体にて断面略L字状に形成された剥離部材73とを有し、剥離部材73の縦方向に延びる縦壁部73aに開設された複数の取付孔74を介して図示外の止め具にて被支持部材72に対し剥離部材73を固着するものである。
―案内部―
そして、本例では、押圧パッド71の一要素である剥離部材73は断面L字状の屈曲部位に曲面状角部73cを有しており、前記押圧パッド71は前記剥離部材73の横方向に延びる横壁部73b及び曲面状角部73cを案内部75として加圧ロール67に対し加熱ベルト66を食い込ませるように加熱ベルト66を案内するようになっている。
本例では、案内部75は剥離部材73の曲面状角部73cに対応して屈曲配置される加熱ベルト66の屈曲部を加圧ロール67に埋没させる程度に食い込ませるようになっている。
このため、本例では、加熱ベルト66は、例えば図4に示すように、定着ロール61と加圧ロール67との間のニップ域N1及び押圧パッド71と加圧ロール67との間のニップ域N2にて加圧ロール67に接触配置されることになり、加熱ベルト66は定着ニップ域N(具体的にはニップ域N1+ニップ域N2)に亘って加圧ロール67との間で用紙Pを加熱加圧搬送した後、前記ニップ域N2の出口側に位置する押圧パッド71の剥離部材73の曲面状角部73cの形状に沿って加圧ロール67から離間していくものである。このため、用紙Pは加熱ベルト66と加圧ロール67との間の定着ニップ域Nを通過した後に前記押圧パッド71の剥離部材73の曲面状角部73cに対応した部位にて剥離し易い構成になっている。
また、本実施の形態において、押圧パッド71の一要素である剥離部材73は、図6(a)〜(d)に示すように、横壁部73bの面が押圧パッドの長手方向に対し中央部から端部に向かうに従い加圧ロール67から離れるように形成され、加圧ロール67に対して加熱ベルト66を加圧する加圧部76として構成されている。この加圧部76の加圧ロール67側への突出量h(図6(d)参照)は、押圧パッド71によるニップ域N2での加圧分布のうち用紙Pの幅方向中央部の加圧不足分を考慮して適宜設定されるようになっている。
―突出部―
更に、本実施の形態において、押圧パッド71の一要素である剥離部材73は、更に、横壁部73bの先端側、つまり定着ロール61と加圧ロール67とのニップ域N1側に突出部77を有し、この突出部77は用紙Pの搬送方向(プロセス方向に相当)に交差する幅方向に対し中央部が両端部よりもニップ域N1側に向かって凸状に突出形成されている。
特に、本例では、突出部77の先端縁は、用紙Pの幅方向中央部を中心に対称的且つ湾曲状の湾曲縁78として形成されている。
更に、突出部77は、その先端が断面曲面状の曲面端79(図13(b)参照)として形成されている。
このように、本実施の形態では、押圧パッド71の一要素である剥離部材73は、図6(e)に示す比較の形態の剥離部材73’(略矩形状の平板を断面略L字に屈曲形成した態様)比べて、案内部75、加圧部76及び突出部77を有している点に特徴がある。
本実施の形態において、剥離装置70の取付構造は、図7(a)に示すように、図示外の画像形成装置筐体に定着ロール61が保持される定着ホルダ68を固定し、この定着ホルダ68に対し押圧パッド71の一要素である被支持部材72を支持部材80にて固定するようにしたものである。
尚、剥離装置70の取付構造についてはこれに限定されるものではなく、例えば図7(b)に示すように、定着ロール61の軸に対して支持部材81を揺動自在に支持し、この支持部材81に対し押圧パッド71の一要素である被支持部材72を固定すると共に、前記被支持部材72を付勢バネ82にて支持部材81の揺動方向に抗する方向に付勢するようにしてもよい。
このような剥離装置70の取付構造については、図7(a)に示す方式は、図7(b)に示す方式に比べて、剥離装置70の押圧パッド71の加圧ロール67に対する相対域関係が一義的に定まる点で好ましい。
また、本実施の形態では、定着装置60は加熱ベルト66の内側に剥離装置70を有しているが、定着装置60の加熱ベルト66と加圧ロール67との間の定着ニップ域Nの下流側には剥離補助部材90が設けられている。
この剥離補助部材90は、加熱ベルト66の回転方向に先端部が対向するように非接触配置され且つ加熱ベルト66に貼り付く用紙Pを剥離するものであり、例えば板状のバッフル板が用いられる。
この剥離補助部材90は、その先端を加熱ベルト66に可能な限り近接させて設けることが好ましい。加熱ベルト66との間の設置距離については、少なくとも1.0mm以下、好ましくは0.3mm以下にすることがよい。
しかしながら、剥離補助部材90の設置距離を加熱ベルト66に近接しすぎると、剥離補助部材90が加熱ベルト66からの輻射熱によって熱膨張する懸念があり、加熱ベルト66を損傷したり、あるいは、波打ちを生じさせて画像不良を招来させる懸念もある。このため、本例では、剥離補助部材90については、熱膨張の少ない素材(例えばインバー)を用いることが好ましい。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
図2に示す画像形成装置において、各色成分の画像形成部22(22a〜22d)にて感光体30上に各色成分トナー像を形成し、中間転写体23上に各色トナー像を順次一次転写した後、用紙供給装置50から供給された用紙Pに対し中間転写体23上の各色トナー像を一括転写し、一括転写された各色トナー像が保持された用紙Pを定着装置60に搬入し、定着装置60にて用紙P上に各色トナー像を定着させた後、定着装置60から定着済み用紙Pを排出する。
このような作像過程において、定着装置60の剥離装置70の動作過程について説明する。
―案内部による圧力分布―
本実施の形態において、剥離装置70は、図8(a)に示すように、押圧パッド71の案内部75にて加熱ベルト66を加圧ロール67側に食い込ませるように当該加熱ベルト66を案内する。
特に、本例では、押圧パッド71の案内部75は、剥離部材73の曲面状角部73cに対応して屈曲配置される加熱ベルト66の屈曲部66aを加圧ロール67に埋没させる程度に食い込ませるようになっているため、押圧パッド71による加熱ベルト66と加圧ロール67との間の加圧分布(図4に示すニップ域N2における加圧分布に相当)は、図8(b)に示すように、用紙Pの移動方向に相当するプロセス方向位置に対し剥離部材73の横壁部73bから曲面状角部73cに至るまでの間略均等に圧力が作用した状態になる。
尚、図8(b)に示す加圧分布は、図4の定着ニップ域Nにおける圧力分布を示し、左側領域がニップ域N1に対応し、右側領域がニップ域N2に対応するものである。
このとき、加熱ベルト66が加圧ロール67に加圧されている状態では、図9(c)に示すように、用紙P上のトナー層Tは加熱ベルト66に加圧されることから、トナー層T中の気泡Kが膨張しようとしても、押圧力U>気泡K中の水蒸気圧の関係を満たし、トナー層T中の気泡Kはそのままの状態を保つ。
これに対し、上述したように、無加圧領域Jが存在すると、図9(c)に示すように、トナー層T中の気泡が膨張し、押圧力U<気泡K中の水蒸気圧の関係になると、膨張した気泡Kがトナー層Tを破壊し、トナー層T表面を乱すという現象につながる懸念がある。
従って、本実施の形態によれば、上述した無加圧領域Jが存在しなくなることから、膨張した気泡がトナー層Tを破壊するという現象は抑制される。
図10(a)は、本実施の形態で用いられる定着装置60を上方から見た模式図である。
このとき、仮に、剥離装置70の押圧パッド71に加圧部76を設けない態様(加圧部が平面状である態様に相当)では、図10(b)に示すように、定着ニップ域Nでの圧力分布は、図4に示すニップ域N1(図中P/R Nipに相当)では十分に強い圧力が得られるが、図4に示すニップ域N2(図中Pad Nipに相当)ではプロセス方向に交差する用紙幅方向の中央部が両端部に比べて弱い傾向が見られる。
このような状況において、本実施の形態では、押圧パッド71の加圧部76は、用紙幅方向に対し中央部から端部に向かうに従い加圧ロール67から離れる面を有しているため、定着ニップ域Nでの圧力分布のうち、押圧パッド71に対応するニップ域N2(図中Pad Nipに相当)では、中央部の加圧不足分が補足されることになり、ニップ域N2の用紙幅方向中央部の圧力も両端部の圧力と略均一になり、用紙Pのトナー層Tは定着ニップ域Nのうちニップ域N2においても略均一な加圧分布をもって加熱定着される。このため、用紙Pのトナー層Tに対する定着性は用紙幅方向に対して略均一な状態に保たれる。
本実施の形態では、押圧パッド71は、用紙幅方向に対し中央部が両端部よりもニップ域N1側に向かって凸状に突出形成されている突出部77を有しているため、この突出部77の分だけ押圧パッド71の幅方向中央部の加圧面積が増加することになる。このため、押圧パッド71による加圧分布は、図11(a)に示すように、突出部77に対応した部分で増加する傾向を示す。
特に、本例では、押圧パッド71による加圧分布は、図11(a)に示すように、突出部77に対応した部位で気泡の水蒸気圧よりも高い押圧力(ニップ圧)を有していることから、突出部77に対応した箇所で気泡の膨張によるトナー層の破壊は生じ難い。
この点、押圧パッド71に突出部77を設けない態様では、押圧パッド71の突出部77に対応した部分に押圧力が働かないことから、図11(b)に示すように、押圧パッド71と定着ロール61との間に加圧ロール67側にほとんど加圧されない無加圧領域(押圧力<気泡の水蒸気圧)が形成される懸念がある。
用紙Pが定着装置60の定着ニップ域N(図4参照)を通過する際には、図12(a)に示すように、用紙Pに皺Zが発生し易い。
本実施の形態では、押圧パッド71の突出部77の先端縁は、用紙Pの幅方向中央部を中心に対称的且つ湾曲状の湾曲縁78として形成されているため、図12(b)に示すように、突出部77の湾曲縁78には当該湾曲縁78の法線方向に向かって用紙Pを押し広げる力Fbが作用することになり、用紙Pの皺Zが押し広げられて発生しにくくなる。
特に、突出部77の湾曲縁78の曲率(1/R)を大きく設定すれば、この湾曲縁78の法線方向に向かう力Fcは、図12(c)に示すように、曲率の小さい場合に比べて、用紙Pを押し広げる作用がより強化されることになる。
本実施の形態では、突出部77は、図13(a)(b)に示すように、その先端が断面曲面状の曲面端79として形成されている。このため、加熱ベルト66が定着ロール61から剥離装置70の押圧パッド71に沿って移動するときに、加熱ベルト66が定着ロール61と押圧パッド71の突出部77の曲面端79との間に入り込もうとしても、前記突出部77の曲面端79に沿って押圧パッド71の押圧面側に導かれることから、加熱ベルト66が押圧パッド71の突出部77の先端で引っ掛かる懸念はない。
この点、図13(c)に示すように、押圧パッド71の突出部77の先端形状を断面平面状の平面端79’にした態様では、加熱ベルト66が定着ロール61と突出部77の平面端79’との隙間に引っ掛かり易い懸念がある。
本実施の形態では、剥離装置70の押圧パッド71は加圧ロール67に対して加熱ベルト66を押圧するものであるため、押圧パッド71による押圧力をある程度大きくする必要がある場合には、押圧パッド71と加熱ベルト66との間の摩擦抵抗が大きくなる傾向がある。
このような状況において、押圧パッド71と加熱ベルト66との間の摩擦抵抗が不必要に大きくなってしまうと、加熱ベルト66の移動速度が不安定になり、これに伴って、図14(a)に仮想線で示すように、用紙Pが定着ニップ域Nに進入するときにループPaが生ずるなど、用紙Pの搬送性が損なわれる懸念がある。
このような場合には、図14(b)に示すように、押圧パッド71の一要素である剥離部材73の加熱ベルト66との接触面にガラス繊維等の潤滑層100を形成し、押圧パッド71と加熱ベルト66との間の摩擦抵抗を低減させるようにすることが好ましい。
図15は実施の形態2で用いられる剥離装置の要部を示す。
同図において、剥離装置70の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、押圧パッド71の一要素である剥離部材73が実施の形態1と異なっている。
本実施の形態において、押圧パッド71の一要素である剥離部材73は、実施の形態1と同様に、案内部75及び突出部77を有するもので、実施の形態1の加圧部76を有していない構成(加圧部が平面状である態様)である。
本実施の形態によれば、押圧パッド71は案内部75及び突出部77を有することから、押圧パッド71による加圧分布は、用紙幅方向の中央部の加圧不足が補足され、用紙幅方向の中央部の圧力が両端部の圧力に接近するように調整される。
また、本例においても、押圧パッド71の突出部77は用紙P通過時に用紙Pを押し広げる作用を奏することから、用紙Pの皺の発生を抑制するものである。
本実施の形態では、剥離装置70の押圧パッド71はいずれも案内部75を有しており、この案内部75にて加圧ロール67に対し加熱ベルト66を食い込ませるように案内するものであるが、例えば押圧パッド71に案内部75を設けない態様において、実施の形態1,2と同様な突出部77を付加するようにしても、この押圧パッド71の突出部77は用紙P通過時に用紙Pを押し広げる作用を奏することから、用紙Pの皺の発生を抑制することは可能である。
一方、比較例は実施の形態1に係る定着装置において、剥離装置の押圧パッドとして案内部、加圧部、突出部が設けられない態様を用い、定着ニップ域N(図4参照)でのプロセス方向位置と圧力との関係を調べたものである。
実施例における定着ニップ域Nでの加圧分布は、図16(a)に示すように、押圧パッドに対応したニップ域N2(図4参照)で略均一な圧力を示すことが理解される。
これに対し、比較例における定着ニップ域Nでの加圧分布は、図16(b)に示すように、押圧パッドに対応したニップ域N2(図4参照)で無加圧領域が存在し、かつ、圧力の不足箇所があることが理解される。
Claims (11)
- ベルト状回転体とこのベルト状回転体に接触して弾性的に加圧配置される加圧回転体との間の接触域の下流側に設けられ、前記ベルト状回転体の内側にて前記接触域に隣接して配置され且つ前記ベルト状回転体に貼り付く記録材を剥離する剥離装置であって、
前記ベルト状回転体の移動方向に交差する幅方向に沿って長く延びるように設けられ、前記ベルト状回転体が前記加圧回転体側に接触配置された後に前記加圧回転体表面から方向変更する屈曲形状になるようにベルト状回転体を押圧する押圧部材と、
この押圧部材の前記加圧回転体側に設けられ且つ前記ベルト状回転体の屈曲形状角部が前記加圧回転体に食い込むようにベルト状回転体が案内される案内部と、
前記押圧部材の前記加圧回転体側の面に設けられ且つ前記押圧部材の長手方向における中央部から端部に向かうに従い前記面が前記加圧回転体から離れるように形成され、前記加圧回転体に対してベルト状回転体を加圧する加圧部と、
を備えたことを特徴とする剥離装置。 - 請求項1記載の剥離装置において、
更に、前記押圧部材の加圧回転体側で且つ前記ベルト状回転体と前記加圧回転体との接触域側に設けられ、ベルト状回転体の移動方向と交差する交差方向に対し中央部が両端部よりも前記接触域側に向かって凸状に突出する突出部を備えることを特徴とする剥離装置。 - 請求項1又は2記載の剥離装置において、
前記押圧部材は、予め決められた支持部位に支持される被支持部材とこの被支持部材のベルト状回転体との接触面に沿って設けられる剥離部材とで構成されていることを特徴とする剥離装置。 - 請求項3記載の剥離装置において、
前記押圧部材はベルト状回転体が保持可能な保持部材に対し支持部材を介して固定的に支持されることを特徴とする剥離装置。 - 請求項1ないし4いずれかに記載の剥離装置において、
押圧部材のうちベルト状回転体との接触面は当該ベルト状回転体との間の摩擦力が低減可能な潤滑層を有することを特徴とする剥離装置。 - 請求項1記載の剥離装置において、
前記ベルト状回転体の屈曲形状角部は曲率の大きい曲面部を有しており、
案内部は前記ベルト状回転体の曲面部を前記加圧回転体に埋没させる程度に食い込ませることを特徴とする剥離装置。 - ベルト状回転体とこのベルト状回転体に接触して弾性的に加圧配置される加圧回転体との間の接触域の下流側に設けられ、前記ベルト状回転体の内側にて前記接触域に隣接して配置され且つ前記ベルト状回転体に貼り付く記録材を剥離する剥離装置であって、
前記ベルト状回転体の移動方向に交差する幅方向に沿って長く延びるように設けられ、前記ベルト状回転体が前記加圧回転体側に接触配置された後に前記加圧回転体表面から方向変更する屈曲形状になるようにベルト状回転体を押圧する押圧部材と、
この押圧部材の前記加圧回転体側に設けられ且つベルト状回転体の屈曲形状角部が前記加圧回転体に食い込むようにベルト状回転体が案内される案内部と、
前記押圧部材の加圧回転体側で且つ前記ベルト状回転体と前記加圧回転体との接触域側に設けられ、ベルト状回転体の移動方向と交差する交差方向に対し中央部が両端部よりも前記接触域側に向かって凸状に突出する突出部と、
を備えることを特徴とする剥離装置。 - 請求項2又は7記載の剥離装置において、
前記突出部は前記交差方向中央部を中心に対称的且つ湾曲状に形成されていることを特徴とする剥離装置。 - 請求項2又は7記載の剥離装置において、
前記突出部はその先端が断面曲面状に形成されていることを特徴とする剥離装置。 - 少なくとも表面が加熱されて回転するベルト状加熱回転体と、
この加熱回転体の表面に加圧接触されて加熱回転体と共に転動し且つ加熱回転体との間にて記録材を挟持搬送して記録材上の未定着トナー像を加熱加圧定着する加圧回転体と、
少なくとも加熱回転体に貼り付く記録材を剥離する請求項1ないし9いずれかに記載の剥離装置と、
を備えたことを特徴とする定着装置。 - 記録材上に未定着トナー像を形成するトナー像作製装置と、このトナー像作製装置にて作製された記録材上の未定着トナー像を定着する請求項10記載の定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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