JP2011088812A - 遷移金属水酸化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な工程及び操作によって連続的に遷移金属水酸化物を製造する。
【解決手段】第1平滑面12に沿って圧縮空気を流動させるとともに、遷移金属塩を含む水溶液Aを第1平滑面12に連続的に供給することによって、遷移金属塩を含む水溶液Aの膜状流を形成する。また、第2平滑面13に沿って圧縮空気を流動させるとともに、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液Bを第2平滑面13に連続的に供給することによって、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液Bの膜状流を形成する。そして、これら2つの膜状流を衝突させて遷移金属水酸化物を生成させて乾燥させる。
【選択図】図1

Description

本発明は遷移金属水酸化物の製造方法等に関し、より詳細には、二次電池の正極活物質の製造用に好適に用いられる水酸化ニッケルなどの遷移金属水酸化物の製造方法等に関する。
リチウムイオン電池やニッケル水素電池、ニッケル・カドミウム電池などの正極活物質として使用される水酸化ニッケルは、これまで、硫酸ニッケルに水酸化ナトリウムを添加し、水酸化ニッケルの粒子を沈殿させることにより製造されていた。
ところが、この製造方法は、沈殿させた水酸化ニッケルを取り出す必要がある所謂回分式の製造方法であるため、一度に製造できる量に限りがあった。
そこで、一度に製造できる量に限りのない連続式の製造方法として、例えば特許文献1では、ニッケル水溶液と、アンモニア水溶液と、苛性アルカリ水溶液とを同時に且つ連続的に反応槽に供給し、撹拌条件下で水酸化ニッケルを生成させ、この反応槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオーバーフローさせて熟成槽に供給し、撹拌条件下で熟成させ、この熟成槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオーバーフローさせ固液分離槽に供給し、水酸化ニッケル粒子と水溶液とを連続的に系外に取り出し、水洗濾過し、乾燥する技術が提案されている。
特開平10-291823号公報
しかし、前記提案技術の製造方法では、熟成槽や固液分離槽が必要であり、製造工程が多く、操作が煩雑である。このため、熟成槽や固液分離槽を必要とせず、簡易な工程及び操作によって連続的に水酸化ニッケル等の遷移金属水酸化物を製造する方法が望まれていた。
本発明に係る遷移金属水酸化物の製造方法は、第1平滑面に沿って第1圧縮気体を流動させるとともに、遷移金属塩を含む水溶液を第1平滑面に連続的に供給することによって、遷移金属塩を含む水溶液の膜状流を形成する一方、第2平滑面に沿って第2圧縮気体を流動させるとともに、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液を第2平滑面に連続的に供給することによって、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液の膜状流を形成し、これら2つの膜状流を衝突させて遷移金属水酸化物を生成させ、乾燥させることを特徴とするものである。本発明における平滑面とは、面上に段差が存在しない滑らかな面を意味し、曲面であってもよい。なお、本明細書において、「遷移金属水酸化物」には、複数種の遷移金属を含有する遷移金属複合水酸化物が含まれるものとする。
空間に放散された前記遷移金属水酸化物は、供給温度100〜200℃の範囲の加熱気体で乾燥させるのが好ましい。
また、乾燥後の遷移金属水酸化物の平均粒径としては1〜10μmの範囲が好ましい。なお、本明細書における「平均粒径」は、フェレー径の個数基準の幾何平均値をいうものとする。フェレー径の測定方法については後段の実施例で説明する。
第1平滑面と第2平滑面との交差角度は鋭角であるのが好ましい。
前記遷移金属塩が、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化鉄、硫酸鉄及び硝酸鉄からなる群より選択される少なくとも1つであるのが好ましい。
本発明の製造方法では、従来の製造方法のように熟成槽や固液分離槽を必要とせず、簡易な工程及び操作によって連続的に遷移金属水酸化物を製造することができるようになる。
本発明の製造方法で好適に使用できるノズルの一例を示す図である。 図1のノズルを用いた製造装置の一例を示す概説図である。 二次電池の正極活物質の製造方法例を示す工程図である。 測定したフェレー径と積算個数百分率とを対数正規確率紙上にプロットしたグラフである。 実施例1で得られた粉末のX線回折分析の結果を示す図である。 実施例2で得られた粉末BのX線回折分析の結果を示す図である。
本発明の製造方法の大きな特徴は、平滑面に沿って圧縮気体を流動させるとともに、所定の水溶液を前記平滑面に連続的に供給することによって水溶液の膜状流を形成すること、そして、前記のようにして形成した、遷移金属塩を含む水溶液の膜状流と、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液の膜状流とを衝突させることにより、遷移金属塩とアルカリ金属水酸化物とを反応させることにある。このように、膜状流化された2つ水溶液を衝突させて遷移金属塩とアルカリ金属水酸化物とを反応させることにより、遷移金属水酸化物を連続して生成させることができるようになる。
図1に、本発明の製造方法に好適に使用できるノズルの一例を示す部分断面図を示す。図1のノズル1には、円柱状のノズル本体11に、ノズル本体11の外周から突出するように、第1平滑面12と第2平滑面13とで円周状の稜線14が形成されている。そして、第1平滑面12及び第2平滑面13の、ノズル本体11側の端部近傍には、圧縮空気(圧縮気体)の第1吹出口15a及び第2吹出口15bが環状に形成されている。また第1吹出口15a及び第2吹出口15bのそれぞれの稜線14側の近傍に、第1供給口16a及び第2供給口16bが、第1吹出口15a及び第2吹出口15bと略同心円状に形成されている。なお、第1供給口16a及び第2供給口16bの形成位置は、第1吹出口15a及び第2吹出口15bと稜線14との間であれば特に限定はなく、第1平滑面12及び第2平滑面13に形成しても構わない。
第1吹出口15a及び第2吹出口15bには圧縮空気が供給される。第1吹出口15a及び第2吹出口15bから噴出した圧縮空気は、第1平滑面12及び第2平滑面13に沿って流動する。後述するように微粒子状の液滴を安定して形成させる観点からは、圧縮空気が層流状態で平滑面を流動するようにするのが望ましい。また、圧縮空気の、平滑面における流速としては100m/s以上が好ましく、より好ましくは200m/s以上、さらに好ましくは300m/s以上である。このような流速を得るためには、例えば、圧縮空気の圧力を3〜20kg/cm(0.3〜2MPa)の範囲とし、第1吹出口15a及び第2吹出口15bのスリット幅を0.2〜1.5mmの範囲とすることが例示される。なお、第1吹出口15a及び第2吹出口15bに供給される圧縮空気を異なる供給量としても構わない。また、本発明で使用する圧縮気体としては、空気の他、窒素等の不活性気体を使用することができる。
一方、第1供給口16aには、遷移金属塩を含む水溶液Aが供給され、第2供給口16bには、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液Bが供給される。もちろん、遷移金属塩を含む水溶液Aを第2供給口16bに、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液Bを第1供給口16aに供給しても構わない。第1供給口16a及び第2供給口16bから供給された2つの水溶液A及び水溶液Bは、圧縮空気によってそれぞれ膜状流とされ、第1平滑面12及び第2平滑面13に沿って稜線14へと運ばれる。そして、稜線部分において、水溶液A及び水溶液Bの膜状流が衝突する。この2つの水溶液の衝突によって、平均粒径が数μmから数十μm程度の微粒子状の液滴が形成されるとともに、化学反応によって遷移金属水酸化物が生成される。例えば、遷移金属塩を含む水溶液Aとして塩化ニッケル水溶液を用い、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液Bとして水酸化カリウムを用いた場合には、下記反応式により、遷移金属水酸化物としての水酸化ニッケルが析出する。
NiCl + 2KOH → Ni(OH)↓ + 2KCl
本発明で使用する遷移金属塩としては、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Sc(スカンジウム)、V(バナジウム)などの遷移金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化鉄、硫酸鉄及び硝酸鉄からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
また、本発明で使用するアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
第1供給口16a及び第2供給口16bのスリット幅としては水溶液が詰まらない幅であればよく、送り出される水溶液の流量、稜線までの距離、圧縮空気の流速などを考慮し適宜決定すればよい。第1供給口16a及び第2供給口16bのスリット幅は0.2〜1.5mmの範囲が好ましい。
第1平滑面12と第2平滑面13との交差角度αは鋭角であるのが好ましい。交差角度αを90°を超えて180°に近くするほど、2つの水溶液の衝突力は大きくなるが、2つの水溶液の化学反応は衝突の力には影響されず、逆に、衝突によって形成された微粒子状の液滴が半径方向外方へ放散しにくくなるため、後述する液滴の乾燥が行いにくくなるからである。なお、本実施形態では第1平滑面12と第2平滑面13とは接触し稜線14を形成しているが、第1平滑面12と第2平滑面13とは非接触であっても構わない。
ノズル1から空間に放散された、遷移金属水酸化物を含む微粒子状の水滴は、加熱気体によって乾燥され、遷移金属水酸化物を含む微粉末が生成される。二次電池の正極活物質の製造用に用いる場合、遷移金属水酸化物を含む粉末は平均粒径が小さく且つ粒径分布が狭いのが望ましい。具体的には、平均粒径が、1〜10μmの範囲で、幾何標準偏差が1〜1.2の範囲であるのがよい。平均粒径及び幾何標準偏差の制御は、前記水溶液の供給量や圧縮空気の流速、平滑面の交差角度、加熱気体の温度などにより行うことができる。
乾燥に用いる加熱気体としては、空気の他、窒素等の不活性気体を使用することができ、その温度(供給温度)は100〜200℃の範囲が好適である。
図2に、本発明の製造方法に好適に用いられる製造装置の一例を示す概説図を示す。図2の製造装置は、略円筒状のハウジング2と、ハウジング2内の中央上部に設けられたノズルとを備える。なお、ノズルは、図1に示したノズル1である。ノズル1には、水溶液Aと水溶液Bとがチューブポンプ4a,4bによって所定流量供給されるとともに、不図示のコンプレッサで所定圧力に圧縮された空気が供給される。これによって、前述のように、遷移金属水酸化物を含む微粒子状の水滴がノズル1から外方へ噴霧される。また、ハウジング2の上部から内部に、所定温度に加熱された加熱空気(加熱気体)が所定流量供給され、これによって、ノズル1から噴霧された液滴が乾燥されて遷移金属水酸化物を含む粉末となる。生成した粉末は、ハウジング2の底部からバグフィルター3へ管路輸送され、ここで捕集される。
本発明の製造方法に用いることのできる市販の製造装置としては、例えば、藤崎電機社製の「MDL−050B,050S,050M」などが挙げられる。
以上のようにして生成した遷移金属水酸化物を含む粉末は、二次電池の正極活物質の製造用として好適に用いられる。図3に、本発明の製造方法によって作製した遷移金属水酸化物を用いて、リチウムイオン電池に使用される正極活物質を製造する例を示す。まず、遷移金属源としての水酸化ニッケル、水酸化マンガン、水酸化鉄を含む粉末と、リチウム源としての炭酸リチウムと、融剤としての炭酸カリウムを乾式混合する。なお、融剤として炭酸カリウムの他、塩化カリウムを用いてもよい。また、上記遷移金属水酸化物に含有させる遷移金属としては、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
そして、乾式混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を含む焼成品を得る。焼成温度は、遷移金属の種類などから適宜決定されるが、好ましくは、500〜1000℃の範囲である。また、焼成時間は、焼成温度によって異なるが、好ましくは、1〜10hの範囲である。焼成時の雰囲気は、生成する化合物の組成・構造によって適宜決定され、例えば、空気等の酸素含有ガス雰囲気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気などが例示される。焼成後の冷却は、結晶欠陥を少なくする観点からは、ゆっくりと冷却するのが望ましく、例えば5℃/min以下の冷却速度とするのがよい。焼成に用いる加熱炉としては従来公知のものが使用でき、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルンなどが使用できる。
得られた焼成品はリチウム遷移金属複合酸化物を含んでいるため、これをそのまま正極活物質として用いることもできるが、得られたリチウム遷移金属複合酸化物を含む焼成品を水洗し、過剰のリチウム分、カリウム分、塩素分を除去することが好ましい。水洗した場合は、水洗により得られたリチウム遷移金属複合酸化物を乾燥させて正極活物質とする。なお、得られた正極活物質はそのまま使用できるが、所定の粒径となるように粉砕、分級をさらに行ってもよい。正極活物質の好ましい粒径としては、0.1〜1μmの範囲である。
以上のようにして得られた正極活物質を用いて、例えば、次のようにして、二次電池用正極を製造することができる。
非水電解質二次電池用正極は、正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素質材料を用いることができ、炭素質材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の重量割合は、正極活物質100に対して5以上20以下である。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
上記の非水電解質二次電池用正極を用いて、次のようにして、非水電解質二次電池を製造することができる。すなわち、セパレータ、負極、および上記の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、または負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素質材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素質材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などを挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO、SiOなど式SiO(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物、TiO、TiOなど式TiO(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物、V、VOなど式VO(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物、Fe、Fe、FeOなど式FeO(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物、SnO、SnOなど式SnO(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物、WO、WOなど一般式WO(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物、LiTiO1、LiVO(たとえばLi1.10.9)などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物などを挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti、TiS、TiSなど式TiS(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物、V、VS、VSなど式VS(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物、Fe、FeS、FeSなど式FeS(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物、Mo、MoSなど式MoS(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物、SnS、SnSなど式SnS(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物、WSなど式WS(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物、Sbなど式SbS(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物、Se、SeS、SeSなど式SeS(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物などを挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、LiN、Li3−xN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属、スズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金、Si−Znなどのシリコン合金、Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金のほか、CuSb、LaNiSnなどの合金を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる)。
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素質材料が好ましく用いられる。炭素質材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)する機能を有することが好ましい。ここで、シャットダウンは、通常の使用温度を超えた場合に、セパレータにおける多孔質フィルムの微細孔を閉塞することによりなされる。そしてシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが好ましい。かかるセパレータとしては、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムが挙げられ、該フィルムをセパレータとして用いることにより、本発明における二次電池の耐熱性をより高めることが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
以下、前記の耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムについて説明する。
前記積層フィルムにおいて、耐熱多孔層は、多孔質フィルムよりも耐熱性の高い層であり、該耐熱多孔層は、無機粉末から形成されていてもよいし、耐熱樹脂を含有していてもよい。耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有することにより、塗工などの容易な手法で、耐熱多孔層を形成することができる。耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高める観点で、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドが好ましく、より好ましくは、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドである。さらにより好ましくは、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミド、製造面で、特に好ましいのは、パラ配向芳香族ポリアミド(以下、「パラアラミド」ということがある。)である。また、耐熱樹脂として、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、積層フィルムの耐熱性、すなわち、積層フィルムの熱破膜温度をより高めることができる。これらの耐熱樹脂のうち、含窒素芳香族重合体を用いる場合には、その分子内の極性によるためか、電解液との相性、すなわち、耐熱多孔層における保液性も向上する場合があり、非水電解質二次電池製造時における電解液の含浸の速度も高く、非水電解質二次電池の充放電容量もより高まる。
かかる積層フィルムの熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存し、使用場面、使用目的に応じ、選択使用される。より具体的には、耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いる場合は400℃程度に、また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合は250℃程度に、環状オレフィン系重合体を用いる場合は300℃程度に、夫々、熱破膜温度を設定することができる。また、耐熱多孔層が、無機粉末からなる場合には、熱破膜温度を、例えば、500℃以上に設定することも可能である。
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
前記の芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。該二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。該ジアミンの具体例としては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンジアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5’−ナフタレンジアミンなどがあげられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
前記の芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては無水トリメリット酸などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、イオン透過性をより高める意味で、耐熱多孔層の厚みは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下、特に1μm以上4μm以下という薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
前記積層フィルムにおいて、多孔質フィルムは、微細孔を有し、シャットダウン機能を有することが好ましい。この場合、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。多孔質フィルムにおける微細孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を超えた場合には、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞することができる。
前記熱可塑性樹脂は、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせる意味で、ポリエチレンを含有することが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高める意味では、該フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
また、積層フィルムにおける多孔質フィルムの厚みは、通常、3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜25μmである。また、本発明において、積層フィルムの厚みとしては、通常40μm以下、好ましくは、20μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。
また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、耐熱多孔層は、1種以上のフィラーを含有していてもよい。フィラーは、その材質として、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってもよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
前記有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレート等の有機物からなる粉末が挙げられる。該有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
前記無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、これらの中でも、導電性の低い無機物からなる粉末が好ましく用いられる。具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、または炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。該無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。ここで、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、さらにより好ましいのは、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、その一部または全部が略球状のアルミナ粒子である実施形態である。因みに、耐熱多孔層が、無機粉末から形成される場合には、上記例示の無機粉末を用いればよく、必要に応じてバインダーと混ぜて用いればよい。
耐熱多孔層が耐熱樹脂を含有する場合のフィラーの含有量としては、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100としたとき、フィラーの重量は、通常5以上95以下であり、20以上95以下であることが好ましく、より好ましくは30以上90以下である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重により、適宜設定できる。
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。略球状粒子としては、粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)が1以上1.5以下の範囲の値である粒子が挙げられる。粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
本発明において、セパレータは、イオン透過性との観点から、JIS P8117(2009)記載のガーレー法による透気度において、空気透過時間が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。また、セパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
二次電池において、電解液は、通常、電解質を含有する有機溶媒からなる。電解質としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LIBF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(COCF)、Li(CSO)、LiC(SOCF、Li10Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlClなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(SOCFおよびLiC(SOCFからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる。
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLiS−SiS、LiS−GeS、LiS−P、LiS−B、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiSOなどの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。これら固体電解質を用いて、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1
図1に示したノズルが搭載された噴霧乾燥機「MDL−050B」(藤崎電機社製)に、遷移金属塩としてのNiClを含んだ水溶液と、アルカリ金属水酸化物としてのKOH水溶液とをそれぞれ15mL/min供給するとともに、圧力0.65MPaの圧縮空気(圧縮気体)を流量54L/minで供給した。また、ハウジングに供給する加熱空気(加熱気体)は、入口温度(供給温度)を200℃とし、供給量を0.98m/minとした。なお、加熱空気の出口温度は90℃であった。装置を15分間駆動させて99.8gの粉末を得た。
得られた粉末の粒径分布及び成分分析を下記方法で行った結果、粉末の平均粒径は3.8μmであった。また、図4に示すように幾何標準偏差は1.1であった。さらに、図5に示すように、得られた粉末には、遷移金属水酸化物である水酸化ニッケルが含有されていた。
(粒径分布測定)
光学顕微鏡を用いて、得られた粉末を観察し、600倍で写真を撮影した。そして、撮影された粒子画像から100個の粒子についてフェレー(Feret)径を測定し、当該100個についてのフェレー径の幾何平均値を平均粒径とした。なお、フェレー径とは、任意の傾きの直線Lに平行な2本の平行線で着目粒子を挟んだときの2本の平行線の間の距離を指す。ただし、2本の平行線の間の距離とは、当該2本の平行線に垂直な直線が、当該2本の平行線に切り取られる線分の長さをいう。
また、測定したフェレー径と個数から、統計学的手法に従って、粉末の粒子径の平均粒径と幾何標準偏差を求めた。具体的には、図4に示すように、対数正規確率紙上の横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットした。そしてこの図4のグラフから粒子の累積個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を読み取り、平均粒径=積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径)、幾何標準偏差=(積算フルイ下84.13%における粒子径)/(積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径))に従って算出した。幾何標準偏差が1に近いほど、粒子の粒子径が揃っていることを意味する。
(成分分析)
得られた粉末をX線回折によって成分分析を行った。図5に粉末X線回折測定の結果を示す。この図によれば、塩化カリウム(JCPDS No.75-0296)、炭酸カリウム(JCPDS No.11-0655)、水酸化ニッケル(JCPDS No.14-0117)とほぼ同じ位置に回折ピークが見られる。したがって、得られた粉末は、遷移金属水酸化物であるNi(OH)を含んでいると考えられる。
実施例2
遷移金属塩としてNiCl、MnCl、FeClを含んだ水溶液(Ni、Mn、Feのモル比は0.47:0.48:0.05)を用い、加熱空気の入口温度を120℃、供給量を0.97m/min、出口温度を56℃とした以外は実施例1の条件に従って、装置を5分間駆動させて33.7gの粉末Aを得た。
得られた粉末Aに含まれるNi,Mn及びFeのモル比を誘導結合プラズマ発光分析法によって分析したところ、Ni:Mn:Feは0.46:0.49:0.05であった。
(正極活物質の製造例)
実施例2で得られた粉末A(14.4g)と、水酸化リチウム(7.5g)と、炭酸カリウム(2g)とをメノウ乳鉢を用いて乾式混合して混合物を得た。次いで、この混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中930℃で6時間保持して焼成を行った後、室温まで冷却して焼成品を得た。得られた焼成品を蒸留水で洗浄し、濾過した後、100℃で8時間乾燥した。得られた乾燥粉末を300℃でさらに6時間乾燥し粉末B(正極活物質)を得た。
得られた粉末Bに含まれるLi,Ni,Mn,Feのモル比を誘導結合プラズマ発光分析法によって分析したところ、Li:Ni:Mn:Feは1.0:0.47:0.48:0.05であった。また粉末X線回折測定の結果、粉末Bの結晶構造は層状岩塩型構造であることがわかった。図6に、粉末X線回折測定の結果を示す。
実施例3
実施例2と同様の条件で粉末Aを得た。ただし、噴霧乾燥機の駆動時間は24分間であった。得られた粉末Aの120gを純水2100mLで洗浄し、濾過した後、120℃で3時間静置乾燥させて粉末Cを得た。そして、粉末C(1.2g)と、炭酸リチウム(0.641g)と、炭酸カリウム(0.184g)とをメノウ乳鉢を用いて乾式混合して混合物を得た。次いで、この混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中870℃で6時間保持して焼成を行った後、室温まで冷却して焼成品を得た。得られた焼成品を蒸留水で洗浄し、濾過した後、100℃で6時間乾燥した。得られた乾燥粉末を300℃でさらに6時間乾燥し粉末D(正極活物質)を得た。
(充放電試験)
粉末D(正極活物質)と導電材(アセチレンブラックと黒鉛を9:1で混合したもの)の混合物に、バインダーとしてPVdFのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)溶液を、活物質:導電材:バインダー=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
得られた正極に、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)の30:35:35(体積比)混合液にLiPFを1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF/EC+DMC+EMCと表すことがある。)、セパレータとしてポリプロピレン多孔質膜を、また、負極として金属リチウムを組み合わせてコイン型電池(R2032)を作製した。
上記のコイン型電池を用いて、25℃および60℃保持下、以下に示す条件で充放電試験を実施した。
(放電レート試験)
充電条件
充電最大電圧:4.3V、充電電流:0.2mA/cm
放電条件
放電最小電圧:2.5V、放電電流:0.2mA/cm
25℃および60℃での放電容量は、それぞれ132mAh/gおよび151mAh/gであった。
本発明の製造方法は、従来の製造方法のように熟成槽や固液分離槽を必要とせず、簡易な工程及び操作によって連続的に遷移金属水酸化物を製造することができ有用である。
1 ノズル
α 交差角度
12 第1平滑面
13 第2平滑面
14 稜線
15a 第1吹出口
15b 第2吹出口
16a 第1供給口
16b 第2供給口

Claims (9)

  1. 第1平滑面に沿って第1圧縮気体を流動させるとともに、遷移金属塩を含む水溶液を第1平滑面に連続的に供給することによって、遷移金属塩を含む水溶液の膜状流を形成する一方、第2平滑面に沿って第2圧縮気体を流動させるとともに、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液を第2平滑面に連続的に供給することによって、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液の膜状流を形成し、これら2つの膜状流を衝突させて遷移金属水酸化物を生成させ、乾燥させることを特徴とする遷移金属水酸化物の製造方法。
  2. 前記生成した遷移金属水酸化物を、供給温度100〜200℃の範囲の加熱気体で乾燥させる請求項1記載の製造方法。
  3. 乾燥後の遷移金属水酸化物を含む粉末の平均粒径が1〜10μmの範囲である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 第1平滑面と第2平滑面との交差角度が鋭角である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 前記遷移金属塩が、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化鉄、硫酸鉄及び硝酸鉄からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造される遷移金属水酸化物。
  7. 請求項6記載の遷移金属水酸化物から得られる二次電池用正極活物質。
  8. 請求項7記載の二次電池用正極活物質を有する二次電池用正極。
  9. 請求項8記載の二次電池用正極を有する二次電池。
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