JP2011054345A - 透明導電基板の製造方法、及び透明導電基板 - Google Patents

透明導電基板の製造方法、及び透明導電基板 Download PDF

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政彦 川島
Masaru Nakagawa
勝 中川
Koichi Nagase
康一 永瀬
Tomoyuki Otake
知之 大嶽
Toshiaki Takaoka
利明 高岡
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Abstract

【課題】簡便な製造方法でありながら、導電性に優れ、かつ金属配線を設計どおりの微細なパターンに形成可能であり、その形状が均一である透明導電基板とすること。
【解決手段】透明基板層と、前記透明基板層の表面に形成された金属配線と、を備える透明導電基板の製造方法であって、(1)透明基板層22の表面に、厚さ40nm〜2000nmの金属層24aを形成させる工程と、(2)前記金属層24aの表面に、特定の化合物(a)を含む自己組織化膜26を形成させる工程と、(3)前記自己組織化膜26の表面の少なくとも一部を、樹脂層28で被覆する工程と、(4)前記樹脂層28により被覆されていない前記金属層24aの部分をエッチングにより除去することにより、金属配線24を形成させる工程と、を含む透明導電基板20の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、透明導電基板の製造方法、及び透明導電基板に関する。
近年、透明導電基板の需要がディスプレイ等を中心に伸びている。透明導電基板の導電材料として、金属や黒鉛等が用いられる。金属は電気をよく通すが可視光を反射してしまい、黒鉛は電気を通すが可視光を吸収して透明性を示さないので、これらを用いた導電膜は導電性を有するが透明性が十分ではない。
通常、透明導電基板の透明導電膜を作製するためにワイドギャップ半導体を利用する。その他の透明導電膜の材料としては、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等が挙げられ、それらの中でもITOが低抵抗な材料としてよく用いられている。ITO透明導電膜は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法、ゾル・ゲル法、クラスタービーム蒸着法、PLD法等によってプラスチックやガラス上に製膜される。
例えば、特許文献1には、酸化亜鉛を湿式めっき法により製膜する、透明導電性の酸化亜鉛皮膜が開示されている。
特許文献2には、ポリイミド樹脂フィルムからなるプリント配線基板の片面もしくは両面に乾式製膜法で形成された金属層とその金属層上に電気めっきまたは無電解めっきで形成された導電性を有する第2の金属層とを有する金属皮膜ポリイミド樹脂フィルムからなるプリント配線にエッチングパターンを形成するプリント配線基板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、ナノインプリント技術を駆使した従来技術として、ガラス基板上にフッ素化ポリイミド薄膜と親水性薄膜と疎水性薄膜を順次積層し、親水性薄膜側より型をプレスして型の溝形成突堤の微細パターンを疎水性薄膜に貫通し、親水性薄膜上までナノインプリントリソグラフィー技術を用いて転写し、親水性薄膜上にめっき法にて金属細線を成長させる、薄膜のワイヤーグリッド偏向子及びその製造方法が開示されている。
透明導電基板は、透明ヒーター、ノートパソコン及び携帯電話等の表示素子用電極、太陽電池用電極、プラズマディスプレイパネル用電極等に用いられ、今後さらなる需要増加が期待されている。
特開2001−11642号公報 特開2006−310401号公報 特開2005−70456号公報
しかしながら、透明導電膜として用いられるワイドギャップ半導体は、エネルギーギャップが紫外域に対応するため、可視光を吸収することがなく、近赤外波長の光については十分な透過率が得られない傾向にある。ワイドギャップ半導体の導電機構はキャリア電子の移動によるものであり、キャリア電子の密度が金属よりも低いため、可視光を反射しない。そのため、透過光の波長の制限を受けるという問題があり、光透過性について改善の余地がある。
金属配線のパターン形成については、例えば、熱ナノインプリント法を用いる場合、基板上に成膜した熱可塑性樹脂の薄膜にモールドを押し付けて引き剥がすと、形成されたパターンの凸部の一部がモールドから離型できず、固体基板から剥がれてしまい、構造欠陥を生じるという問題がある。この問題は、モールドの凹凸形状の高さが熱可塑性樹脂の膜厚より大きい場合に顕著である。この問題を克服するために、熱可塑性樹脂の物性を考慮して成形温度、冷却温度、保持時間、離型速度等の成形条件を最適化することや、モールド表面の離型剤の適宜選択し、モールドの凹部と凸部の境目に生じる残留応力を低減させる工夫等が行われているが、未だ十分ではない。
反応性離型剤で表面処理したモールドを用いる場合、ナノインプリント時にパターニング材料とモールドが接触するが、パターンの転写回数が多くなるにつれて、モールド表面の離型剤が脱落していく。その結果、パターニング材料の離型性が低下し、パターンの精度が低下するという問題がある。特に、金属薄膜上に熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成させて熱ナノインプリントする場合、金属薄膜に対する熱可塑性樹脂の密着性が低いため、パターンの剥れが顕著になる。そこで、一定面積又は一定回数のナノインプリントを行うごとに、モールドの表面を再処理する必要がある。しかし、この再処理は、生産性に影響を及ぼすと共に、モールドを洗浄する必要がある。その結果、生産工程が煩雑となると共に、モールドの寿命が短くなるという問題が生じる。
サブストラクティブ法やアディティブ法を用いる場合、10μm以上の導体線幅の金属配線の形成は実用可能であるが、10μm未満の導体線幅の金属配線を形成することについては実用レベルとはいえない。特に、めっき法等を用いて基板上に金属層を形成する技術は、簡便な方法ではあるが、導体線幅がナノレベルである金属配線の形成は困難であり、実用レベルではない。また、スパッタリング法や真空蒸着法等を用いて基板上に金属層を形成する技術については、めっき法等と比較して、導体線幅をある程度小さくすることは可能であるが、それでもまだ改善の余地がある。
特許文献1に開示されている金属酸化物の湿式めっきは、透明であるが湿式めっき時間が数時間という長時間を要し、製膜作業効率が悪いという問題が残されている。
特許文献2に開示されているプリント配線基板は、ポリイミド樹脂フィルムに乾式方法と湿式方法を併用して導電層である金属層を製膜しているが、乾式方法は、真空環境下で蒸着法やスパッタ法で金属層を製膜するため真空環境を作製し維持するための作業や装置構成が必要となる。また、乾式方法と湿式方法を併用しているために作業が煩雑になる。
特許文献3に開示されている技術は、均一に親水性薄膜上に疎水性薄膜を形成することが困難であったり、ナノインプリント工程において、正確なパターン形状を親水性薄膜上に確実に転写することが困難であったりする。
そして、透明導電膜は真空環境を用いて製膜するものが多く、真空環境の作製とその維持に様々な煩雑な作業が必要である。大きな透明導電膜を作製する場合は、大きな真空環境が必要であり、その大きな真空環境を安定して高真空条件を維持することは特に困難である。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、簡便な製造方法でありながら、導電性が高いだけでなく光透過性も優れ、かつ金属配線を設計どおりの微細なパターンに形成可能であり、金属配線の形状が均一である透明導電基板とすることができる、透明導電基板の製造方法及び透明導電基板を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の化合物を含む自己組織化膜を金属層と樹脂層との間に設けることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
透明基板層と、前記透明基板層の表面に形成された金属配線と、を備える透明導電基板の製造方法であって、
(1)透明基板層の表面に、厚さ40nm〜2000nmの金属層を形成させる工程と、
(2)前記金属層の表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜を形成させる工程と、
(3)前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆する工程と、
(4)前記樹脂層により被覆されていない前記金属層の部分をエッチングにより除去することにより、金属配線を形成させる工程と、
を含む透明導電基板の製造方法。
(式中、R1〜R3から選択される1つの基が、又はR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が、−X−(CH2m−SH(ここで、Xは、O、OCO、COO、NH又はNHCOを表し、mは1〜20の整数を表す。)であり、残りの基が、それぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
〔2〕
前記(3)工程は、前記樹脂層に凹凸形状を形成した後、前記凹凸形状の凹部に残存する樹脂を除去することを行うことで、前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆する、上記〔1〕の透明導電基板の製造方法。
〔3〕
前記(3)工程において、少なくとも熱ナノインプリントにより前記樹脂層に前記凹凸形状を形成させる、上記〔2〕の透明導電基板の製造方法。
〔4〕
前記(1)工程は、めっき法により前記透明基板層の表面に前記金属層を形成する工程である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一つの透明導電基板の製造方法。
〔5〕
前記金属層が、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、錫、パラジウム、ロジウム、クロム及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含む、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つの透明導電基板の製造方法。
〔6〕
前記透明基板層が、ガラス、プラスチック、シリコンウェハからなる群より選ばれる1種以上を含む、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一つの透明導電基板の製造方法。
〔7〕
前記樹脂層が、ポリメチルメタクリレート、環状ポリオレフィン、及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含む、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一つの透明導電基板の製造方法。
〔8〕
透明基板層と、
前記透明基板層の表面に金属層を形成し、前記金属層の表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜を形成し、前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を樹脂層で被覆し、前記樹脂層により被覆されていない前記金属層の部分をエッチングにより除去することにより形成された、厚さ40nm〜2000nmの金属配線と、
を備える透明導電基板。
(式中、R1〜R3から選択される1つの基が、又はR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が、−X−(CH2m−SH(ここで、Xは、O、OCO、COO、NH又はNHCOを表し、mは1〜20の整数を表す。)であり、残りの基が、それぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
本発明によれば、簡便な製造方法でありながら、導電性が高いだけでなく光透過性も優れ、かつ金属配線を設計どおりの微細なパターンに形成可能であり、金属配線の形状が均一である透明導電基板を提供できる。
本実施形態に係る透明導電基板の一実施形態の概略側面図である。 本実施形態に係る透明導電基板の製造方法の一例を説明する概念図である。 本実施形態に係る透明導電基板の製造方法の一工程を説明する概念図である。 実施例10の透明電導基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例20の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例21の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例22の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例23の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例24の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例25の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例26の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例27の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例28の透明導電基板用積層体の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例29の透明導電基板用積層体の表面の光学顕微鏡写真である。 実施例30の透明導電基板用積層体の表面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
まず、本実施形態に係る透明導電基板の構造について概略的に説明する。図1は、本実施形態に係る透明導電基板の一実施形態の概略側面図である。透明導電基板10は、透明基板層12と、この透明基板層12の表面に形成された金属配線14と、を少なくとも備えている。
<透明基板層>
透明基板層12は、透明な基材として機能することができればよく、その種類は特に限定されず、公知のものを用いることができる。透明基板層12としては、ガラス、プラスチック、シリコンウェハやこれらの複合材等が好ましい。
ここで、透明とは、全光線透過率(ASTM D−1003に準拠)が50%以上であるものをいい、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上である。透明基板層12が透明であることにより、透明導電基板10に、光を透過する光透過部分と、導電性を示す金属配線部分とを併せ持たせることができる。従来の透明導電体等として用いられているワイドギャップ半導体は、近赤外波長の光については十分な透過率が得られない傾向にあるため、透過光の波長分布の制限を受けるという問題等があった。しかし、本実施形態の透明導電基板10はこのような材料の制限を受けないため、近赤外波長等の光であっても高い透過率で透過させることができる。従って、本実施形態の透明導電基板10は、透過光の波長分布の制限を受けることがない。
ガラスとしては、主成分となる二酸化珪素と、副成分となる種々の金属化合物とを混合し、高温で溶融して液体状態としたものを急冷することにより製造されうるものであり、白板ガラス、青板ガラス、耐熱ガラス等が挙げられる。
プラスチックとしては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;高密度、中密度及び低密度等の各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。それらの中でも、ポリイミド樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
複合材としては、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス繊維をエポキシ樹脂で固めたものや、ベークライトを積層した複合材等が挙げられる。
透明基板層12に耐熱性や偏光性等の機能を付与する目的で、透明基板層12を複数層からなる積層構造としてもよい。例えば、寸法安定性を向上させるために、ナイロンとポリフェニレンエーテル樹脂とが積層された透明基板層とすることができる。このように、透明基板層に所望する物性を考慮して、異なる材料からなる積層構造とすることができる。透明基板層12がこのような積層構造である場合、透明導電基板10とした際に透明性を発現させること等から、透明基板層12全体の全光線透過率が50%以上である必要がある。
<金属配線>
金属配線14は、電気的配線や電磁気的配線(アンテナ等)として用いることができる。後述する透明導電基板の製造方法において、透明基板層上に積層された金属層を所望の形状にエッチングすることで、金属配線14を形成させる。透明導電基板10は、透明基板層12の一方の面に金属配線14を備えてもよいし、透明基板層12の両面に金属配線14を備えてもよい。
金属配線14の形状や大きさは、限定されず、必要に応じた形状や大きさとすることができる。金属配線14間のピッチ幅も限定されない。本実施形態では、金属配線14をエッチングによって形成させるため、金属配線14を微細な形状としたい場合であっても、高い精度で透明基板層12上に金属配線14を形成させることができる。従って、所望する物性に応じて、金属配線14の幅、高さ、表面積、あるいは金属配線14間のピッチ幅等を設計できる。
具体的には、金属配線14の線幅を0.01μm〜10μmとすることができる。金属配線の断面形状は、後述するモールドのパターン形状等を選択することによって、矩形だけでなく半円等にすることができる。また、金属配線14のアスペクト比(配線厚/配線幅)についても特に制限されず、例えば、導電性を高くしたい場合には、アスペクト比を高くすることができる。
<透明導電基板の製造方法>
本実施形態の透明導電基板の製造方法は、(1)透明基板層の表面に、厚さ40nm〜2000nmの金属層を形成させる工程と、(2)前記金属層の表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜を形成させる工程と、(3)前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆する工程と、(4)前記樹脂層により被覆されていない前記金属層の部分をエッチングにより除去することにより、金属配線を形成させる工程と、を含む。以下、図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態の透明導電基板の製造方法の一例を説明する概念図である。まず、工程(1)として、透明基板層22の表面に、厚さ40nm〜2000nmの金属層24aを積層させる(図2の(A)参照)。透明基板層22の表面に金属層24aを形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スパッタリング法や真空蒸着法等の乾式めっき法、及び電解めっき法、無電解めっき法等の湿式めっき法等が挙げられる。これらの中でも、得られる膜の均一性、コスト及び製造工程の簡便さ等の観点から、湿式めっき法が好ましい。湿式めっき法を用いることで、透明基板層22が低導電性の材料等であっても、その表面に金属層24aを形成できる。さらに、大掛かりな真空装置等を必要としないので、製造装置の装置構成も簡略化できる。
湿式めっき法は、透明基板層22の材料の種類等に応じて、電解めっき法、置換めっき法、無電解めっき法等を適宜に選択できる。それらの中でも、めっきする透明基板層22の材料が制限を受けないことや簡便な方法であることから、無電解めっき法が好ましい。特に、透明基板層22が低導電性の材料である場合、無電解めっき法を好適に用いることができる。無電解めっきとは、錫やパラジウム等をめっき成長させる核として用い、その核を成長核としてめっきする金属を成長させる方法である。
透明基板層22が、ガラス、プラスチック、シリコンウェハ等の透明な材質である場合、無電解めっき法等の湿式めっき法を用いて金属層24aを透明基板層22上に形成できる。このようにすることで、透明でありながら導電性を有する透明導電基板20を得ることができる。この様にして得られた透明導電基板20は透明導電体として好適に使用できる。
金属層24aに用いられる材料は、金属単体であっても、金属酸化物等であってもよく、導電性を示すものであれば特に限定されない。導電性や耐久性等の観点から、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、錫、パラジウム、ロジウム、クロム及び鉄からなる群より選ばれる1種以上の金属を含むことが好ましい。より好ましくは、白金、金及び銀からなる群より選ばれる1種以上の金属である。
本実施形態では、透明導電基板20に所望する物性に応じて、種々の金属種を選択できる。例えば、低抵抗性の配線基板として透明導電基板20を用いる場合、金、銀、銅等といった低抵抗性の金属を用いることができる。硬い配線基板として透明導電基板20を用いる場合、クロム等の金属を用いることができる。
金属層24aの厚さは、40nm〜2000nmであり、所望する金属配線24の厚さに応じて選択できる。金属層24aの厚さの上限値は、1500nmが好ましく、1000nmがより好ましく、500nmがさらに好ましく、300nmがよりさらに好ましく、200nmが一層好ましい。金属層24aの厚さの下限値は、60nmが好ましく、120nmがより好ましい。金属層24aの厚さを上記範囲とすることで、導電性及び平滑性をより向上させることができる。さらに、本実施形態では自己組織化膜26を金属層24aと樹脂層28の間に介在させるため、上記のようなナノレベルの厚さの金属配線であっても、高精度の微細パターン化が可能である。さらには、無電解めっき等のような簡便な方法によっても微細パターン化された金属配線24を透明基板層22上に形成できるため、経済的であり、かつ簡便に透明導電基板20を製造できる。
金属配線24のアスペクト比(配線厚/配線幅)をより高くしたい場合(透明導電基板を垂直断面視した状態で、金属配線24の高さが高く、幅が狭くなる状態)は、電解めっき等によって、同種又は異種の金属を金属層24aの表面にさらに積層させてもよい。例えば、無電解めっきによって形成された金属層24aの上に、電解めっきによって異種の金属をさらに積層させることができる。
次に、工程(2)として、金属層24aの表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜26を形成させる(図2の(B)参照)。化合物(a)は感紫外線化合物である。感紫外線化合物である化合物(a)に紫外線照射することにより、樹脂と金属の安定した固定が可能となる。すなわち、化合物(a)を含む自己組織化膜26を、金属層24aと樹脂層28の間に介在させることで、金属層24aと樹脂層28との接着性を高めることができる。その結果、後述するパターニングにおいて設計どおりの形状にパターン形成できるため、微細な金属配線であっても高い精度で配線することができる。自己組織化膜とは、外部からの細かい制御を加えていない状態で、膜材料そのものが有する機構によって形成される一定の秩序を持つ組織を有する膜のことをいう。
化合物(a)は、ベンゾフェノン骨格の2位の位置に置換基を有しない。そのため、ラジカルによる水素引き抜き反応を、分子内だけでなく分子間でも進行させることができる。より具体的には、紫外線照射によって、化合物(a)におけるベンゾフェノン骨格のカルボニル基が励起してビラジカルが発生する。ベンゾフェノン骨格の酸素原子上に発生するラジカルは、樹脂層28を形成する樹脂の炭化水素基から水素原子を速やかに引き抜いて、アルコールに変化する。一方、ベンゾフェノン骨格の炭素上に発生するラジカルは、樹脂層を形成する樹脂の炭化水素上に生じたラジカルと再結合して共有結合を形成する。これにより、化合物(a)のチオール基が金属層24aに対して吸着するとともに、ベンゾフェノン基が樹脂層28と共有結合を形成できる。その結果、金属層24aと樹脂層28が、自己組織化膜26を介して、強固に接着されると考えられる。
式中、R1〜R3から選択される1つの基が、又はR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が、−X−(CH2m−SH(ここで、Xは、O、OCO、COO、NH又はNHCOを表し、mは1〜20の整数を表す。)であり、残りの基が、それぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。
化合物(a)の置換基R1〜R6において、炭化水素基の炭素数が7以上になると、金属層の表面に対するベンゾフェノン骨格の吸着密度が低下するため、紫外線の照射量を増大させる必要があるため、好ましくない。
Xは、O、OCO、COO、NH、又はNHCOを表す。これらの中でも、合成反応の容易さの観点から、Xは、OCO、COO、又はNHCOであることが好ましい。mは、1〜20の整数を表す。これらの中でも、原料入手の容易さと樹脂層との光反応性の観点から、mは、5〜12の整数であることが好ましい。mが20を超えると分子鎖の屈曲性が大きくなり、金属層の表面に対する化合物(a)の吸着量が減少し、接着機能が低下する恐れがある。
式(I)中、R2単独が、又はR2及びR5の2つの基が、−X−(CH2m−SHであることが好ましい。この場合、Xは、O、OCO、NH又はNHCOであることが好ましい(このような化合物を、以下、「化合物(i)」という場合がある)。それらの中でも、合成反応の容易さの観点から、Xは、OCO、又はNHCOであることがより好ましい。上記構造を有する化合物(i)を含む自己組織化膜26とすることで、金属層24aと樹脂層28をより強固に接着できるとともに、紫外線照射量が少量でよいため生産性を向上できる。
化合物(i)における炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基が挙げられる。
炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基が挙げられる。これらの中でも、立体障害に起因する光反応性及び金属層との密着性の観点から、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましい。
酸素原子又は窒素原子で連結されている炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、上記炭素数1〜6の炭化水素基として例示した炭化水素基が、酸素原子又は窒素原子で連結されている炭化水素基が挙げられる。
上記式(I)中のR1〜R6の1つの基が−X−(CH2m−SHであり、残りの置換基が水素原子である化合物(a)の具体例としては、例えば、3−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
上記式(I)中のR1〜R6の1つの基が−X−(CH2m−SHであり、残りの基が水素原子以外の基を含む化合物(a)としては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−フェノキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記式(I)中のR1〜R3から選択される1つの基と、R4〜R6から選択される1つの基と、の2つの基が、−X−(CH2m−SHである化合物(a)としては、例えば、3,3'−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
化合物(a)として好ましいものとしては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4'−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4'−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3',5'−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4'−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
化合物(a)について、原料入手の容易さ、合成の容易さ、熱可塑性樹脂との光反応性及び金属層への密着性の観点から、最も好ましいものは、R1が水素原子であり、R2が10−メルカプトデシルアミノ基、又は6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子であり、R5がメトキシ基、10−メルカプトデシルアミノ基、又は6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R6が水素原子である。具体的には、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノン、又は4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
化合物(a)を必要に応じて溶剤等に希釈することで、ナノインプリント用接着剤(以下、単に「接着剤」という。)として用いることができる。あるいは、化合物(a)と熱可塑性樹脂とを配合し、必要に応じて溶剤等で希釈して用いてもよい。これらの接着剤を用いて、金属層24aと樹脂層28の間に自己組織化膜26を存在させることは、金属配線24を微細描画する場合に特に有効である。
接着剤は、化合物(a)を含む溶液であり、化合物(a)のベンゾフェノン骨格の光化学反応を促進させるための添加物をさらに含んでいてもよい。溶媒としては、化合物(a)を溶解させる能力を有するものであればよく、その種類は限定されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン等のエーテル;クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは2種以上の混合溶媒としてもよい。作業環境の観点から、エタノールが好ましい。
接着剤に添加しうる添加物としては、本実施形態の効果の範囲内であればその種類は限定されないが、化合物(a)のベンゾフェノン骨格の光化学反応を促進する能力を有する化合物が好ましい。例えば、炭素数6〜20のアルキルチオール等が挙げられる。
金属層24aの表面に形成される自己組織化膜26は、分子間相互作用により光化学反応に寄与するベンゾフェノン骨格同士が密となる。そのためベンゾフェノン骨格間での光エネルギー移動等により失活しやすい。自己組織化膜26のベンゾフェノン骨格の密度を低下させ、光励起によりベンゾフェノン骨格のビラジカルを効率よく発生させるために、ベンゾフェノン構造をもたないチオール化合物を希釈剤として加えることが好ましい。また、ベンゾフェノン骨格の光励起を促進する増感剤を添加してもよい。
接着剤中の化合物(a)の濃度は、通常0.0001〜1mol/dm3の範囲であり、好ましくは0.001〜0.1mol/dm3である。化合物(a)の濃度が0.0001mol/dm3以上とすることにより、自己組織化膜26を金属層24aの表面に均質に形成できる。化合物(a)の濃度が1mol/dm3以下とすることにより、十分な効果が得られ経済的である。
続いて、工程(3)として、自己組織化膜26の表面の少なくとも一部を樹脂層28で被覆する(図2の(C)参照)。樹脂層28は後述するエッチング処理時に金属層24aを保護する機能を有する。
図2では、樹脂層28を自己組織化膜26の表面の全面に積層させずに、自己組織化膜26の表面の一部のみに積層させているが、自己組織化膜26の表面の全面に樹脂層28を形成しておいて、樹脂層28の不要な部分を除去する方法も採用できる。これについては後述する。
樹脂層28の形成方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、樹脂を溶媒に溶解させて溶液としたものを、自己組織化膜26の表面に塗布して乾燥させることによって、樹脂層28を形成させることができる。あるいは、溶融状態の樹脂を、自己組織化膜26上に直接塗布することによって形成させてもよい。塗布する場合の塗布方法は、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、バーコート等の公知の方法を用いて塗布し、更に送風下、加熱下や減圧下で溶媒を蒸散させることによって行うことができる。金属層24aが薄い場合には、樹脂を溶媒に溶解させた溶液を自己組織化膜26の表面に塗布する形成方法が好ましい。
樹脂層28の厚さは、後述するエッチング溶液から金属層24aを保護できればよく、その厚さは限定されない。金属層24aの保護能力及び樹脂層28を除去する際の除去容易さの観点から、樹脂層28の厚さは、0.3μm〜3μmが好ましく、0.4μm〜2.5μmがより好ましく、0.4μm〜2.3μmがさらに好ましい。
樹脂層28として用いられる樹脂としては、エッチング溶液から金属層24aを保護できればよく、その種類は限定されない。耐溶剤適合性と溶融状態の流動性の観点から、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、高精度のパターン成形が可能である観点から、ポリメチルメタクリレート、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、及びポリビニルトルエンが好ましく、ポリスチレン及びポリビニルトルエンがより好ましい。
溶媒としては、熱可塑性樹脂を溶解させる能力を有する溶媒であればよく、その種類は限定されない。溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン等のエーテル;クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させた溶液には、特性改善のため、例えば、イオン系、又はノニオン系等の界面活性剤;シリコーン誘導体、フッ素誘導体等のレベリング剤を含ませることができる。
この際、溶液中の樹脂の濃度は、通常0.1〜10質量%の範囲である。0.1質量%以上の濃度とすることで、樹脂層の表面に斑が発生することを防止でき、樹脂層の表面を均質にできる。10質量%以下の濃度とすることで、樹脂層の厚さが1μmを超えることを効果的に防止できる。樹脂層の厚さが1μmを超えると、ウェットエッチングの際にレジストパターンのアスペクト比が高くなりすぎてしまう。そのため、エッチング液の供給及び交換を十分に行うことが困難になる傾向があり、金属薄膜のパターン形成において構造欠陥を生じる恐れがある。
自己組織化膜26や樹脂層28に対して、通常、波長が200nm〜400nmの紫外線を照射して硬化させることにより、透明導電基板用の積層体を得ることができる。なお、紫外線照射のタイミングは特に限定されず、金属層24aの表面に自己組織化膜26を形成させた後であれば、所望のタイミングで紫外線を照射することができる。例えば、金属層24a上に自己組織化膜26と樹脂層28を設けた後に紫外線を照射してもよいし、自己組織化膜26を金属層24a上に設けた後に紫外線を照射し、樹脂層28を自己組織化膜26上に設けた後に再度紫外線を照射してもよい。一例として、スピンコート等によって透明基板層22上に自己組織化膜26を形成させ、自己組織化膜26上に樹脂層として用いる樹脂の溶液を塗布した後に、紫外線照射する方法等が挙げられる。
紫外線照射の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、Hg−Xe灯、ハロゲンランプを用いることができ、樹脂層に用いる樹脂の吸収帯を考慮して、適宜、カットオフフィルター等を使用することができる。200nm以上の波長は、熱可塑性樹脂に対する透過率が高く、使用する光源が安価であることから好ましい。400nm以下の波長とすることで、ベンゾフェノン構造由来の光誘起ラジカルを効率よく形成することができることから好ましい。
紫外線の照射エネルギーは、検出波長365nmにおいて通常10〜250J/cm2である。または、検出波長254nmにおいて通常0.1〜5J/cm2である。検出波長365nmにおいて10J/cm2以上、または検出波長254において0.1J/cm2以上とすることで、化合物(a)の光化学反応を十分に進行させることができ、十分な接着機能を発揮できる。照射エネルギーが検出波長254nmにおいて250J/cm2以下、または、検出波長254nmにおいて10J/cm2以下とすることで、膜劣化や表面のひび割れを効果的に防止できる。
工程(3)では、樹脂層28に凹凸形状を形成した後、前記凹凸形状の凹部に残存する樹脂を除去することを行うことで、前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆することが好ましい。これにより、より高精度のパターニングが可能となる。図2の(C)に示すように自己組織化膜26の一部を樹脂層28で被覆する場合、樹脂層28により被覆されている金属層24aの部分が、金属配線24となるため、所望するパターン形状となるよう正確に被覆する必要がある。そのため、樹脂層28に凹凸形状を形成したのち、その凹部に残存する樹脂を除去することで、より正確なパターン形成を樹脂層28に施すことができる。
上記凹部に残存する樹脂を除去する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、UV/オゾンによるエッチングや酸素リアクティブエッチング等を用いることができる。このような方法によって、高精度に微細パターン化された樹脂層28を形成できる。
樹脂層28に凹凸形状を形成する方法としては、特に限定されず、熱ナノインプリント法や光ナノインプリント法等を用いることができ、それらの中でも、熱ナノインプリント法が好ましい。熱ナノインプリント法を用いることで、より微細な形状の金属配線24を形成可能であり、金属配線24の表面積について大面積化が可能となる。より具体的には、ロール・ツー・ロール方式を用いることで、大面積化を効率よく実現できる。以下、熱ナノインプリント法を用いる場合について説明する。
<熱ナノインプリント法>
熱ナノインプリント法による場合、熱ナノインプリント用モールドを用いて樹脂層28にプリントする。熱ナノインプリント用モールドは、透明基板層22上の樹脂層を凹凸形状に成形するためのモールドである。モールドの凹部の形状が、ウェットエッチングプロセスを経て最終的に残存する金属層のパターン(即ち、金属配線)の形状に相当する。
熱ナノインプリント用モールドは、表面酸化シリコン、合成シリカ、溶融シリカ、石英等を材料に用いることができる。これらの材料の化学組成は、ほぼ同じSiO2である。これらの材質からなる平板を、公知の半導体微細加工技術により加工することで、熱ナノインプリント用モールドの凹凸形状パターンを形成できる。一例を挙げると、表面が平滑な平板(SiO2)にネガ型電子線レジストを塗布し、電子線描画装置により電子レジストに電子線描画する。その後、現像を行うと、電子線未照射部のレジストが除去され、平板上の電子線照射部のレジストが残存する。CHF3/O2プラズマ等のドライエッチングにより、レジストのネガ像を、ドライエッチングのエッチングマスクに用いてSiO2をエッチングする。その後、剥離液に浸漬して電子線レジストのネガ像を除き、洗浄することにより、平板の表面に凹部を形成できる。樹脂層の熱可塑性樹脂の離型性を促進する観点から、フルオロカーボン含有シランカップリング剤等の離型剤による処理をしてもよい。
このようにして製造された熱ナノインプリント用モールドは、そのままモールドとして用いることができるが、モールドの表面にニッケル等の金属膜を成膜した後、電鋳プロセス技術を用いてニッケル等の金属膜をさらに厚く被覆したモールドとすることもできる。また、上記平板の表面に、スパッタリング法によってニッケル等の金属膜を成膜した後、フォトレジストや電子線レジストを用いて画像形成を行ってもよい。そして、電鋳プロセス技術により金属膜をさらに厚くして、表面研磨及びレジスト除去を行うことにより、より安価なニッケル製のモールドとすることもできる。
熱ナノインプリント装置としては、公知の装置を用いることができる。熱ナノインプリント装置としては、例えば、加熱冷却部、加圧部、及び減圧部を備えるものを用いることができる。加熱冷却部は、ヒーターと水冷構造を内蔵するステージからなり、樹脂層を有する基板をステージに設置し、加熱することにより、樹脂層を軟化及び冷却させる。
加圧部では、樹脂層を有する基板に凹凸形状のモールドを押し付ける。樹脂層が軟化した基板に、モールドの微細な凹凸構造を加圧することにより、凹凸形状を転写する。
減圧部では、基板に対してモールドを押し付ける際に、減圧状態とする。これにより、モールドの凹凸形状に熱可塑性樹脂を効率よく追従させることができる。
以下、熱ナノインプリント法により凹凸形状を有する樹脂層を形成する方法の一例を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の製造方法の一工程を説明するための概念図である。透明基板層22の表面上に、金属層24a、自己組織化膜26、樹脂層28の順に積層された透明導電基板用積層体Q(以下、単に「積層体Q」という。)を、熱ナノインプリント装置の加熱冷却ステージ(図示せず)に設置する。透明導電基板用積層体Qを、樹脂層28を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも10〜50℃高い温度で加熱することが好ましい(加熱工程)。熱可塑性樹脂のガラス転移温度から10℃以上高い温度で加熱することで、熱可塑性樹脂がゴム状態となり十分に軟化できるため、転写されたパターンのエッジ部分が丸くなることを防止できる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度より50℃以下の温度で加熱することで、パターン転写後の冷却時に樹脂が大幅に収縮することを防止できるため、形成されたパターンの線幅が痩せることを防止できる。
次いで、凹凸パターンを有するモールドPを押し付け(加圧工程)、一定時間保持することで(保持工程)、モールドPの凹凸形状を樹脂層28に転写する。これにより、凹凸形状を有する樹脂層28となる。熱ナノインプリント法を用いる場合、樹脂層28の膜厚は、モールドPの凹凸形状に依存するが、好ましくは50nm〜3000nmであり、より好ましくは50nm〜2500nmである。上記膜厚とすることにより、凹凸形状を有する樹脂層28のアスペクト比を適度な値とすることができ、エッチング時にエッチング溶液を凹凸形状の間隙に充填させることができ、エッチング液の交換も容易となり、エッチングを高精度かつ簡便に行うことができる。
モールドPの押し付け圧力は、特に限定されないが、一般に1〜100MPaであり、好ましくは5〜20MPaである。モールドの押し付け時間は、一般に6秒〜10分間であり、好ましくは15〜120秒間である。押し付けの際にモールドPと積層体Qの間を減圧状態に保つことが好ましい。これにより、モールドPの微細な凹凸形状に、樹脂層28を効率良く追従させることができるため、より高精度のパターニングが可能となる。
その後、樹脂層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に、積層体Qの温度を下げ(冷却工程)、積層体QからモールドPを離型する(離型工程)。これにより、モールドPの凹凸パターンが転写された樹脂層28を得ることができる。熱ナノインプリントを行う場合も、樹脂層に凹凸形状を形成した後、前記凹凸形状の凹部に残存する樹脂を除去することが、より好ましい。これにより、透明基板層22上に形成された自己組織化膜26の少なくとも一部を、樹脂層28で被覆することができる(図2の(C)参照)。
続いて、工程(4)として、樹脂層28により被覆されていない金属層24aの部分をエッチングにより除去することにより、金属配線24を形成させる(図2の(D)参照)。エッチング方法としては、特に限定されず、従来のサブトラクティブ法等で使用されるエッチング液を用いることができる。エッチング液の種類としては、金属の種類に応じて用いられる。例えば、金属が金の場合、濃硝酸と濃塩酸の混酸の王水系とヨウ素系があり、金属配線を微細パターン化する場合、ヨウ素系が好ましく用いられる。具体的には、室温下、ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を溶解させたヨウ素系エッチング液に、熱ナノインプリントとドライエッチングを施した金薄膜を有する基板を浸漬して、基板上の樹脂層の凹部の金をエッチングする。その際有機溶媒を混合して用いてもよい。金属が銅の場合、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第二銅(CuCl2)、Cu(NH34Cl2を含む水溶液がエッチング液として好ましく用いられる。
最後に、金属薄膜パターンの上部に形成された自己組織化膜26や樹脂層28を溶媒で洗浄剥離することによって、透明導電基板を得ることができる(図2の(E)参照)。使用できる溶媒としては、特に限定されず、自己組織化膜26や樹脂層28を溶解させる能力を有する溶媒であればよい。具体的には、溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン等のエーテル;クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
自己組織化膜26や樹脂層28を効率的に剥離させるために、超音波洗浄を行うことが好ましい。さらに、溶媒による剥離以外に、UV/オゾンによるエッチングや酸素リアクティブエッチングなどを併用することもできる。
本実施形態において、金属配線24を被覆する樹脂層28は、除去してもよいし、除去しなくてもよい。透明導電基板20を電気的配線等として使用する場合は、一部又は全部の樹脂層28を除去して、金属配線24を露出させることができる(図2の(E)参照)。露出した金属配線24は、他の部品の配線等と結線することができる。透明導電基板20を集電電極として使用する場合、電気を集める面積を多くするため、樹脂層28を完全に除去することが好ましい。
透明導電基板20を磁気的配線等として使用する場合は、一部又は全部の樹脂層28を金属配線24の被覆層として残すことができる(図2の(D)参照)。例えば、透明導電基板20をアンテナとして使用する場合、樹脂層28を除去する必要はなく、そのまま電磁気的配線となり、集電波電極等として使用できる。
本実施形態の製造方法は、金属配線が微細な形状であっても高い精度で透明基板層上に形成できるため、所定面積の透明基板層内において微細な金属配線を多数配列させることが可能である。その結果、金属配線の表面積を増大させることができるため、本実施形態の基板をデバイス等の回路構成等に用いることでデバイスのコンパクト化にも寄与できる。さらに、ライン・アンド・スペース(L/S)の間隔や形状に応じて、配線、集電電極、偏光板及びアンテナ等の部品として応用できる。
以下の実施例に基づき、本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
各実施例において以下の材料を使用した。
(基板層)
ガラス:マツナミ社製、スライドガラス、厚さ2mm、全光線透過度96%)
ポリエチレンナフタレート(PEN):帝人デュポン社製、厚さ100μm、全光線透過度81%
ポリイミド(PI):東レ社製、商品名「カプトン」、厚さ100μm、全光線透過度66%
ポリメタクリル酸メチル(PMMA):旭化成ケミカルズ社製、商品名「デルペット」980N、厚さ100μm、全光線透過度90%
ポリエチレンテレフタレート(PET):帝人デュポン社製、厚さ100μm、全光線透過度85%
(樹脂層)
ポリスチレン(PSt):和光純薬社製、Mw=4,000
ポリメタクリル酸メチル(PMMA):旭化成ケミカルズ社製、商品名「デルペット」980N
環状ポリオレフィン(COP):三井社製、商品名「APL8008T」
各実施例において以下の条件にて熱ナノインプリントを行った。
(1)格子形状のパターン形成
5/95(格子)Ni電鋳モールド(35mm×35mm)を用いた。加熱工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度130℃、時間60秒)、モールドの加圧工程(押付け力11000N(約9.0MPa)、モールドの温度130℃、時間60秒)、モールドの保持工程(押付け力11000N(約9.0MPa)、モールドの温度130℃、時間900秒)、冷却工程(押付け力11000N(約9.0MPa)、モールドの温度80℃、時間60秒)、モールドの離型工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度80℃、時間60秒)を経て熱ナノインプリントを行った。
(2)線状(ライン状)のパターン形成
「NIM−1000UL(L/S)」石英製モールド(20mm×20mm、NTT−ATN社製)を用いた。加熱工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度160℃、時間60秒)、モールドの加圧工程(押付け力3000N(7.5MPa)、モールドの温度160℃、時間60秒)、モールドの保持工程(押付け力3000N(7.5MPa)、モールドの温度160℃、時間60秒)、冷却工程(押付け力3000N(7.5MPa)、モールドの温度35℃、時間60秒)、モールドの離型工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度35℃、時間60秒)を経て熱ナノインプリントを行った。
(3)ドット状のパターンの形成
「NIM−100 RESO(ドット)」石英製モールド(10mm×10mm、NTT−ATN社製)を用いた。加熱工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度160℃、時間60秒)、モールドの加圧工程(押付け力6750N(67.5MPa)、モールドの温度160℃、時間60秒)、モールドの保持工程(押付け力6750N(67.5MPa)、モールドの温度160℃、時間180秒)、冷却工程(押付け力6750N(67.5MPa)、モールドの温度35℃、時間60秒)、モールドの離型工程(押付け力0N(0MPa)、モールドの温度35℃、時間60秒)を経て熱ナノインプリントを行った。
<実施例1>
まず、3−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン(日油社製)0.18mgをエタノール400mLに加え、超音波洗浄器にて2分間攪拌させて、ナノインプリント用接着剤を調製した。
次に、無電解めっき法により、基板層(材質:ガラス、厚さ2mm)上に金属層(めっき金属種:金、厚さ120nm)を形成させて、金基板を得た。そして、金基板を上記接着剤に24時間以上浸漬させて、自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成させた。なお、基板上に金属層が形成されていることはテスター(CUSTOM社製、「CDM09N」)を用いて確認した。
続いて、接着剤に浸漬した金基板の表面に、ポリスチレンの10質量%トルエン溶液を、スピンコート(スロープ5秒間、3000ppm×30秒間、スロープ5秒間)し、膜厚1000nmの樹脂層を形成した。その後、水銀ランプを用いて、紫外線光(波長λ=254nm)を13mW・cm-2の条件で153秒照射し、SAM膜と樹脂ポリスチレンを密着させた。
さらに、熱ナノインプリント法により樹脂層に凹凸形状(格子形状)を形成した。熱ナノインプリントは、反応性離型剤(ダイキン化成品販売社製、商品名「オプツールDSX」)で表面処理された石英製モールドを用い、上記の条件にて行った。
そして、オゾンクリーナー(日本レーザー電子社製、紫外線オゾン洗浄装置「UV42S」)を用いて、上記凹凸形状の凹部に残存するポリスチレン樹脂を除去した。その後、エッチング溶液(関東化学社製、商品名「AURUM−302」)を用いて、樹脂層で被覆されていないSAM膜と金属層を除去して、金属配線を形成させた。さらに、クロロホルム(和光純薬社製)を用いて、金属配線を被覆している樹脂層を除去し、透明導電基板を得た。
<実施例2〜19>
表1〜表3に示す条件で透明導電基板を作製した点以外は、実施例1と同様にして透明導電基板を作製した。一例として、実施例10の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真を図4に示す。
<実施例20〜27>
実施例1の透明導電基板の製造条件を変えて透明導電基板を作製した。表4に示す条件で透明導電基板を作製した点以外は、実施例1と同様にして透明導電基板を作製した。各実施例で得られた透明導電基板の表面を、光学顕微鏡にて撮像した。実施例20〜27の透明導電基板の表面の光学顕微鏡写真を、夫々図5〜図12に示す。その結果、いずれの実施例においても、所望のパターンどおりに金属配線が形成されていることが確認された。
<透明導電基板の導電性評価(シート抵抗)>
各実施例の透明導電基板の導電性評価としてシート抵抗を測定した。シート抵抗は、四端子四探針方式「ロレスタ−GP」(ダイヤインストロメンツ社製)を用いて、JIS K 7194に準拠して測定した。
<全光線透過度(透明性評価)>
基板層、透明導電基板の全光線透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、「NDH2000」)を用いて、ASTM D−1003に準拠して測定した。
実施例1〜27の透明導電基板の製造条件及び物性評価を、表1〜4に示す。
<実施例28〜30>
エッチング前の樹脂層のパターン形状の状態を検証するため、微細なドットパターンが形成された樹脂層を有する透明導電基板用積層体(基板層/金属層/SAM膜/樹脂層)を作製し、樹脂層のドットパターンを観察した。
実施例1と同様にして、基板層(ポリエチレンナフタレート)上に金属層(めっき金属種:銀、厚さ(60nm)を形成させて、銀基板を得た。そして、実施例1と同様にして、SAM膜を形成させた。なお、基板層上に金属層が形成されていることはテスタ(CUSTOM社製、「CDM09N」)を用いて確認した。
続いて、接着剤に浸漬した銀基板の表面に、ポリスチレン(和光純薬社製、Mw=300,000)の5質量%トルエン溶液を、スピンコート(スロープ5秒間、3000ppm×30秒間、スロープ5秒間)し、膜厚1μmの樹脂層を形成した。その後、実施例1と同様の条件で紫外線光を照射し、SAM膜と樹脂ポリスチレンを密着させた。
さらに、熱ナノインプリント法によりドットパターンの樹脂層を形成した。熱ナノインプリントは、反応性離型剤(ダイキン化成品販売社製、商品名「オプツールDSX」)で表面処理を施した、ドットパターンの石英製モールド(10mm×10mm、NTT−ATN社製、「NIM−100RESO」(デューティー比はいずれも1:1、ドットパターンのピッチ間隔は夫々300nm、800nm、3000nmのものを用いた。))を用いて、上記した条件により行った。これにより、基板層/金属層/SAM膜/(ドットパターンが形成された樹脂層)の透明導電基板用積層体を得た。実施例28〜30の透明導電基板用積層体の製造条件及び物性評価を表5に示す。
各実施例で得られた透明導電基用板積層体の表面を、光学顕微鏡にて撮像した。実施例28〜30の透明導電基板用積層体の表面の光学顕微鏡写真を、夫々図13〜図15に示す。その結果、実施例28(デューティー比1:1、ピッチ間隔300nm)、実施例29(ディーティー比1:1、ピッチ間隔800nm)、実施例30(デューティー比1:1、ピッチ間隔3000nm)のいずれも、所望のパターンどおりに高精度のドットパターンが樹脂層表面に形成されていることが確認された。
各実施例の透明導電基板の製造工程においてモールドに樹脂層が付着していないことが確認された。そして、各実施例の透明導電基板において、ナノレベルの厚さの金属配線が種々の材質の透明基板層上に形成できていることが確認された。さらに、各実施例の透明導電基板は、導電性に優れるだけでなく、光透過性にも優れ、金属配線を設計どおりの微細なパターンに形成でき、かつその形状が均一であることが確認された。
本発明に係る透明導電基板は、優れた導電性を有し、高精度の金属配線が形成可能であり、かつ製造容易であるため、各種配線用基板や配線基板等として幅広い分野で用いることができる。例えば、LCD等のフラットパネルディスプレイ、太陽電池、各種タッチパネル等に用いうる集電電極、帯電防止膜、電磁波シールド材等に用いることができる。
10,20 透明導電基板、
12,22 透明基板層
24a 金属層
14,24 金属配線
26 自己組織化膜
28 樹脂層
P モールド
Q 透明導電基板用積層体(積層体)

Claims (8)

  1. 透明基板層と、前記透明基板層の表面に形成された金属配線と、を備える透明導電基板の製造方法であって、
    (1)透明基板層の表面に、厚さ40nm〜2000nmの金属層を形成させる工程と、
    (2)前記金属層の表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜を形成させる工程と、
    (3)前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆する工程と、
    (4)前記樹脂層により被覆されていない前記金属層の部分をエッチングにより除去することにより、金属配線を形成させる工程と、
    を含む透明導電基板の製造方法。
    (式中、R1〜R3から選択される1つの基が、又はR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が、−X−(CH2m−SH(ここで、Xは、O、OCO、COO、NH又はNHCOを表し、mは1〜20の整数を表す。)であり、残りの基が、それぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
  2. 前記(3)工程は、前記樹脂層に凹凸形状を形成した後、前記凹凸形状の凹部に残存する樹脂を除去することにより、前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を、樹脂層で被覆する、請求項1に記載の透明導電基板の製造方法。
  3. 前記(3)工程において、少なくとも熱ナノインプリントにより前記樹脂層に前記凹凸形状を形成させる、請求項2に記載の透明導電基板の製造方法。
  4. 前記(1)工程は、めっき法により前記透明基板層の表面に前記金属層を形成する工程である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電基板の製造方法。
  5. 前記金属層が、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、錫、パラジウム、ロジウム、クロム及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電基板の製造方法。
  6. 前記透明基板層が、ガラス、プラスチック、シリコンウェハからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電基板の製造方法。
  7. 前記樹脂層が、ポリメチルメタクリレート、環状ポリオレフィン、及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電基板の製造方法。
  8. 透明基板層と、
    前記透明基板層の表面に金属層を形成し、前記金属層の表面に、下記式(I)で表される化合物(a)を含む自己組織化膜を形成し、前記自己組織化膜の表面の少なくとも一部を樹脂層で被覆し、前記樹脂層により被覆されていない前記金属層の部分をエッチングにより除去することにより形成された、厚さ40nm〜2000nmの金属配線と、
    を備える透明導電基板。
    (式中、R1〜R3から選択される1つの基が、又はR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が、−X−(CH2m−SH(ここで、Xは、O、OCO、COO、NH又はNHCOを表し、mは1〜20の整数を表す。)であり、残りの基が、それぞれ単独に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
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