JP2010539890A - 放射線治療の応答を予測するための遺伝子シグネチャー - Google Patents

放射線治療の応答を予測するための遺伝子シグネチャー Download PDF

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Abstract

例えば、腫瘍を有している被験体について処置を選択するために使用することができる、放射線治療に対する腫瘍の感受性を予測するための数学的モデルと方法(例えば、コンピューターによって実行される方法)が記載される。1つの態様では、本発明によって、選択された放射線治療の線量に対する細胞(すなわち、生存している細胞、例えば、腫瘍細胞または正常(非腫瘍)細胞、あるいは培養された細胞)の感受性を予測するための方法(例えば、コンピューターによって実行される方法)が提供される。この方法には、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子(signature gene)の発現レベルに基づいて、その細胞に対して放射線感受性指数(radiation sensitivity index)を割り当てる工程が含まれる。ここでは、放射線感受性指数は、その細胞が放射線治療に感受性があるかどうかを示す。

Description

優先権の主張
この出願は、2007年9月14日に出願された米国仮特許出願第60/972,544号の利益を主張し、また2008年3月24日に出願された米国特許出願第12/053,796号(これは、2007年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/896,550号および2007年3月22日に出願された米国仮特許出願第60/896,350号の利益を主張する)の一部継続である。上記の内容全体は、参考として本明細書に援用される。
連邦政府によって資金提供された研究または開発
本発明は、助成金5K08CA108926−03、NCI助成金R21CA101355(Department of Defense、National Functional Genomics Center − DAMD 17−02−2−0051)の下、政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
技術分野
本発明は、例えば、腫瘍を有している被験体について処置を選択するために使用することができる、生物学的アッセイデータを使用して放射線治療に対する腫瘍の感受性を予測するための数学的モデルと方法に関する。
オーダーメイド医療(Personalized medicine)は、ガンの診断、予防、および処置が個々のリスク評価に基づくという可能性を秘めている(非特許文献1)。放射線腫瘍学におけるこの可能性の提供は、臨床放射線治療に対する反応を定義する変数を定義する能力に依存する。オーダーメイド医療のほとんどのストラテジーは特定の疾患部位および/または薬物療法に重点が置かれているが(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)、放射線治療を個人別に合わせることの効果は顕著である。ガン患者のおよそ60%は、彼らの診断の間に放射線治療で処置される(Perez,Principles and Management of Radiation Therapy.Philadelphia−New York:Lippincott−Raven;1998)。したがって、放射線治療はガンの複数の治療法における共通項を提供する。
オーダーメイド放射線治療への大幅な進歩は、大部分が、放射線治療による処置の治療計画と送達の物理的な進歩によって達成されている(Bucciら、CA Cancer J Clin 2005;55(2):117−34)。対照的に、固有の放射線感受性を定義する生物学的パラメーターを理解する努力は、同様の成功が得られていない。したがって、放射線治療は、腫瘍と患者の放射線感受性において起こりうる個々の相違が考慮されることなく処方される。しかし、固有の放射線感受性に差があることを示唆している証拠があり(Zelefskyら、J.Urology 2001;166(3):876−81)、それらの生物学的根拠を理解することにより、臨床診療に有意な影響が及ぶ可能性がある。このように、良好な放射線感受性予測アッセイは、放射線腫瘍学において生物学によって導かれるオーダーメイド処置ストラテジー(biologically−guided personalized treatment strategies)の開発の中軸であろう。しかし、多数の有望なアプローチがこれまでに開発されてきたにもかかわらず(例えば、エキソビボ腫瘍のSF2の決定(Bjork−Erikssonら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2000;46(l):13−9;Buffaら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2001;50(5):1113−22;Eschwegeら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 1997;39(4):849−53;Taghianら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 1993;25(2):243−9;Westら、British Journal of Cancer 1997;76(9):1184−90;Westら、Br J Cancer 1993;68(4):819−23);腫瘍の低酸素症状態を測定するための電極の使用(Fylesら、J Clin Oncol 2002;20(3):680−7;Movsasら、Urology 2002;60(4):634−9);および腫瘍増殖能力(Tpot)の決定(Beggら、Radiother Oncol 1999;50(l):13−23;Bourhisら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 1996;35(3):471−6;Corvoら、J Clin Oncol 1995;13(8):1843−50))、いずれも臨床において日常的に行われるものとはなっていない。
DaltonおよびFriend,Science 2006;312(5777):1165−8 van’t Veerら、Nature 2002;415(6871):530−6 Beerら、Nat Med 2002;8(8):816−24 Chungら、Cancer Cell 2004;5(5):489−500 Eschrichら、J Clin Oncol 2005;23(15):3526−35 Gilesら、Semin Oncol 2008;35(1 Suppl 1):S1−17
本明細書中に記載される本発明は、少なくとも一部において、遺伝子発現プロフィールに基づいて放射線治療に対する腫瘍の固有の感受性を予測する方法とモデルの開発に基づく。
1つの態様では、本発明によって、選択された放射線治療の線量に対する細胞(すなわち、生存している細胞、例えば、腫瘍細胞または正常(非腫瘍)細胞、あるいは培養された細胞)の感受性を予測するための方法(例えば、コンピューターによって実行される方法)が提供される。この方法には、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子(signature gene)の発現レベルに基づいて、その細胞に対して放射線感受性指数(radiation sensitivity index)を割り当てる工程が含まれる。ここでは、放射線感受性指数は、その細胞が放射線治療に感受性があるかどうかを示す。
さらなる態様では、本発明により、腫瘍に対する放射線治療の効果を予測するための方法が提供される。この方法には、腫瘍由来の細胞中の2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程が含まれる。ここでは、放射線感受性指数は、放射線治療が有効であるかどうかを示す。
なお別の態様では、本発明により、被験体の腫瘍を、放射線治療のレジメンについて評価するための方法が提供される。この方法には、腫瘍由来の細胞中の2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程が含まれる。ここでは、放射線感受性指数は、被験体の腫瘍が放射線治療で処置されるべきかどうかを示す。
さらなる態様では、本発明により、腫瘍を有している被験体について処置レジメンを選択するための方法が提供される。この方法には、腫瘍由来の細胞中の2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程、および放射線感受性指数に基づいて被験体について処置レジメンを選択する工程が含まれる。一般的に、閾値を下回る放射線感受性指数は、放射線治療がその腫瘍の処置におそらく有効であることを示し、そしてこの方法には、放射線治療を含む処置レジメンを選択する工程が含まれる。逆に、閾値を上回る放射線感受性指数は、放射線治療がその腫瘍の処置におそらく有効ではないことを示し、そしてこの方法には、放射線治療が排除されている処置レジメンまたは高線量の放射線治療を含む処置レジメンを選択する工程が含まれる。
別の態様では、本発明により、腫瘍を有している被験体に投与される放射線量を選択するための方法が提供される。この方法には、腫瘍由来の細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、腫瘍に対して、予め選択された放射線量についての放射線感受性指数を割り当てる工程、および予め選択された放射線量での放射線感受性指数に基づいて、被験体についての放射線量を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、この方法には、放射線感受性指数が閾値を下回る場合には、予め選択された放射線量と同じであるかまたはそれ未満である放射線量を選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの方法には、放射線感受性指数が閾値を上回る場合には、予め選択された放射線量より高い放射線量を選択する工程が含まれる。
本明細書中に記載される方法のいくつかの実施形態では、放射線感受性指数を割り当てる工程には、線形回帰モデル(例えば、rank−based線形回帰モデル)を遺伝子発現レベルに対して適用する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルが重み付けされる。
いくつかの実施形態では、線形回帰モデルは、以下のアルゴリズム:
によって表される。
本明細書中に記載される方法のいくつかの実施形態では、放射線感受性指数を割り当てる工程には、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルを決定する工程が含まれ得る。
本明細書中に記載される方法のいくつかの実施形態では、シグネチャー遺伝子は、以下からなる群より選択される:アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(Signal transducer and activator of transcription 1(STAT1));プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(V−rel reticuloendotheliosis viral oncogene homolog A)(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)。いくつかの実施形態では、シグネチャー遺伝子には、表10、11、または12に列挙される遺伝子のサブセットが含まれる。必要に応じて、放射線感受性指数を割り当てる工程にはまた、図6に列挙される1つ以上の遺伝子の遺伝子の発現レベルを使用する工程も含まれ得る。
別の態様では、本発明により、放射線感受性と関係がある遺伝子を同定する、コンピューターによって実行される方法が提供される。この方法には、放射線感受性値を細胞の1つ以上の集団に対して割り当てる工程(ここでは、放射線感受性値は選択された放射線量に対する細胞の感受性を表す);複数の遺伝子のそれぞれについて、細胞の1つ以上の集団の中での遺伝子発現のレベルを決定する工程;および、発現が放射線感受性値と関係がある2つ以上の遺伝子を含むサブセットを同定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、遺伝子のサブセットは、遺伝子発現と放射線感受性とを示すモデル(例えば、多変量線形回帰モデル)を適用する工程を含む方法によって同定される。このモデルには、例えば、原発組織、ras状態、またはp53状態のうちの1つ、2つ、あるいは3つ全てを示す少なくとも1つの係数が含まれ得る。加えて、このモデルには、投与される放射線量と、任意のさらなる処置の存在、または細胞に関係がある要因に関する情報が含まれ得る。
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、生物学的重要度を示す分類子(classifier)を、発現が放射線感受性値と関係がある遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子と結びつける工程、および2つ以上の遺伝子を含む第2のサブセットを選択し(ここでは、生物学的重要度を示す分類子は予め選択された閾値を上回る)、それにより、生物学的に重要な遺伝子のサブセットを選択する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的重要度を示す分類子は、関連する学術文献の検討に基づく。いくつかの実施形態では、このモデルにはまた、生物学的に重要な遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子の発現に対する処置の投与の効果を示す変数も含まれる。
いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、処置の投与の効果に基づいて1つ以上の遺伝子を含む第3のサブセットを選択し、それによって、治療標的遺伝子(例えば、放射線に対する感受性を変化させる(すなわち、増大させるか、または低下させる)ために、その発現を役立つように操作することができる遺伝子)のサブセットを同定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、処置の効果は放射線感受性の増大または低下である。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに、このモデルにおいて放射線感受性に対して効果がある処置を選択する工程が含まれる。
なお別の態様では、本発明により、複数のレコード(record)を含むデータベースが提供される。ここでは、個々のレコードには、細胞中での少なくとも2つのシグネチャー遺伝子の発現についてのデータと、選択された放射線量に対する細胞の感受性を示す値が含まれる。いくつかの実施形態では、データベースにはまた、細胞に対する処置(例えば、化学療法)の投与に関するデータも含まれる。いくつかの実施形態では、データベースはコンピューターで読み取り可能な形態である。
基材と、その上に配置された複数の個別にアドレス可能かつハイブリダイズ可能なアレイ構成要素(ここでは、個別にアドレス可能かつハイブリダイズ可能なアレイ構成要素は、少なくとも2つのシグネチャー遺伝子についてについて選択的である)と、必要に応じて、内部正規化対照遺伝子に選択的な少なくとも1つのハイブリダイズ可能なアレイ構成要素を含むマイクロアレイもまた本明細書中で提供される。いくつかの実施形態では、複数のハイブリダイズ可能なアレイ構成要素は、以下のそれぞれについて選択的な少なくとも1つの構成要素からなる:AR;c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1。
さらなる態様では、本発明により、基材と、少なくとも2つのシグネチャー遺伝子の選択的定量化のための試薬を含む複数の反応チャンバー;および必要に応じて、内部正規化対照遺伝子の選択的定量化のための試薬を含む少なくとも1つの反応チャンバーを含む、マイクロ流体デバイス(microfluidic device)が提供される。いくつかの実施形態では、このデバイスには、反応チャンバーの二重のセットが、例えば、多数の試料の同時の処理を可能にするために含まれる。
さらなる態様では、本発明により、本明細書中に記載される方法をコンピューターに実行させるための指示を有している媒体(例えば、コンピューターで読み取り可能な媒体)が提供される。例えば、この媒体には、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、コンピューターに、細胞に対して放射線感受性指数を割り当てさせるための指示が含まれ得る。いくつかの実施形態では、放射線感受性指数を割り当てる工程には、遺伝子発現レベルに線形回帰モデル(例えば、rank−based線形回帰モデル)を適用する工程が含まれる。例えば、ここでは、2つ以上のシグネチャー遺伝子が重み付けされる。
さらなる態様では、本発明により、コンピューターに、細胞の1つ以上の集団に放射線感受性値を割り当てさせる(ここでは、放射線感受性値は、選択された放射線量に対する細胞の感受性を示す);複数の遺伝子のそれぞれについて、細胞の1つ以上の集団の中での遺伝子発現のレベルを割り当てさせる;そして、発現が放射線感受性値と関係がある2つ以上の遺伝子を含むサブセットを同定させるための指示を有している媒体(例えば、コンピューターで読み取り可能な媒体)が提供される。いくつかの実施形態では、遺伝子のサブセットを同定する工程には、遺伝子発現と放射線感受性とを示すモデル(例えば、多変量線形回帰モデル)を適用する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、このモデルには、原発組織、ras状態、またはp53状態のうちの1つ、2つ、または3つ全てを示す少なくとも1つの係数が含まれる。
いくつかの実施形態では、媒体にはさらに、コンピューターに、生物学的重要度を示す分類子を、発現が放射線感受性値と関係がある遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子と結びつけさせ、そして2つ以上の遺伝子を含む第2のサブセット(ここでは、生物学的重要度を示す分類子が予め選択された閾値を上回る)を選択させ、それによって、生物学的に重要な遺伝子のサブセットを選択させるための指示が含まれる。
いくつかの実施形態では、このモデルにはさらに、生物学的に重要な遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子の発現に対する処置の投与の効果を示す変数が含まれる。いくつかの実施形態では、媒体にはさらに、コンピューターに、処置の投与の効果に基づいて2つ以上の遺伝子を含む第3のセブセットを選択させ、それによって、治療標的遺伝子のサブセットを同定させるための指示が含まれる。
本発明によってはまた、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の遺伝子発現レベルの特異的定量化のための試薬と、本明細書中に記載される方法を実行するための説明書を含むキットも提供される。いくつかの実施形態では、このキットには、本明細書中に記載されるような媒体が含まれる。
本発明には多数の利点がある。本明細書中に記載されるモデルと方法により、固有の放射線感受性に基づいて放射線量パラメーターを個別に調節するための有利な条件(opportunity)が提供される。放射線治療の線量が高ければ高いほど、高い毒性(toxicity rate)が伴うので(Peetersら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;61(4):1019−34)、線量のパーソナライズ化により、治療可能比(therapeutic ratio)の効果が生じるであろう。加えて、このモデルによっては、予測された放射線耐性の表現形をともに持つ応答者と非応答者の差を理解するための特有の枠組みが提供され得る。これにより、同時に化学療法を加えることが有効である患者の正確な同定が可能となり得る。
他の場所に明確に定義されない限りは、本明細書中で使用される全ての技術的用語と科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明で使用される方法と材料は本明細書中に記載される;当該分野で公知の他の適している方法と材料もまた使用することができる。材料、方法、および実施例は、説明のためのものにすぎず、限定とは意図されない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースの登録、および他の参考文献は、それらの全体が引用によって組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配するであろう。
本発明の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明と図面から、そして特許請求の範囲から明らかであろう。
図1AおよびBは、予測した腫瘍の放射線感受性が、直腸ガンおよび食道ガンの患者の同時の放射線化学療法に対する臨床反応と相関関係にあることを示している棒グラフである。それぞれの患者について予測した放射線感受性指数(RSI)は、本明細書中に記載されるような、細胞株のデータから作られた10種類の遺伝子のrank−based線形回帰モデルを使用して作成された。統計的有意性は、差異について片側マンホイットニー検定(one−sided Mann−Whitney test)を使用して決定された。(1A)応答者について予測されたRSIの平均は、いずれの臨床コホートにおいても非応答者よりも有意に低かった(食道:p=0.05、直腸:p=0.03)。(1B)いずれのコホートにおいても、それぞれの個々の患者について予測されたRSIは、反応と比較してかなり違っていた(合わせると:p=0.001511)。 図2は、放射線感受性予測因子の感受性と特異性を決定するための、予測されたRSI値を使用して作製されたROC曲線である。0.4619592のRSI閾値が使用された場合には、この予測因子は、80%の感受性と82%の特異性を有しており、86%のポジティブな予測値(PPV)を有していた。推定の曲線下面積(AUC)は0.84であった。 図3は、予測された放射線感受性によって、頭頸部ガンの様々な疾患に関係する予後を有する臨床集団を区別することを示している線グラフである。放射線感受性の予測は、オランダ癌研究所(Netherlands Cancer Institute)で決定的な同時放射線化学療法で処置された92人の患者について記載された遺伝子発現モデルを用いて作製された。カット点(cutpoint)として25パーセンタイル(RSI<0.023)が使用された場合には、予測された放射線感受性グループにおいては、2年より長い無再発生存期間(RFS)があった(86%対62%、p=0.06)。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図4は、本明細書中に記載される直腸+食道(Rectal+Esophagus)コホートにおいて評価され、放射線感受性との有意な関係が明らかにされた遺伝子の組み合わせ(プロフィール)を示しているリストである。遺伝子の記号は「_」によってつながれ、そして応答者と非応答者との間の有意性についての試験によるp値もまた示される。 図5は、コンピューター機器とシステムのブロック図である。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図6は、本明細書中に記載されるシステムネットワークモデルを使用して放射線感受性と相関関係があると同定された500個の遺伝子を示しているリストである。 図7は、本明細書中に記載される方法に有用な例示的な対照遺伝子のリストである。
高次元のハイスループット技術の出現により、異なる視点からのバイオマーカーの開発に着手するための有利な条件(opportunity)が提供された。例えば、遺伝子発現のシグネチャーが、乳ガン(van’t Veerら、Nature 2002;415(6871):530−6)、肺ガン(Beerら、Nat Med 2002;8(8):816−24)、頭頸部ガン(Chungら、Cancer Cell 2004;5(5):489−500)、および結腸ガン(Eschrichら、J Clin Oncol 2005;23(15):3526−35)においては前兆であることが示されている。最近の研究では、慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia(CML))でのグリーベック(Gleevec)に対する反応を含む、薬物療法に対する患者の反応を予測するバイオマーカーが同定された(Gilesら、Semin Oncol 2008;35(l Suppl 1):S1−17)。加えて、遺伝子発現により、細胞の固有の放射線感受性を予測することができる(Torres−Rocaら、Cancer Res.65(16):7169−76(2005))。本発明者らは、患者の放射線感受性を予測するための遺伝子発現モデルを開発した。
48種類のヒトガン細胞株のデータベース中での固有の腫瘍の放射線感受性についての新規の多遺伝子発現モデルが、本明細書中に記載される。このモデルは、腫瘍の放射線耐性に正比例する放射線感受性指数(RSI)を予測する、シグネチャー遺伝子の複数のセットの発現に基づく。このモデルは、Moffitt Cancer Centerでのプロスペクティブ臨床試験(prospective clinical trials)において術前同時化学放射線治療で処置された食道ガンの患者(n=12)と直腸ガンの患者(n=14)の2つの別々のコホートにおいて、病的反応の予測因子として臨床的に実証された。加えて、本明細書中に記載される方法によって計算されたRSIは、Netherlands Cancer Instituteでの2相および3相臨床試験において決定的な同時化学放射線治療で処置された頭頸部ガンの患者(n=92)の第3の外部データセット(external dataset)における予測値(prognostic value)であった。したがって、このモデルは、臨床放射線腫瘍学において治療を個別に調節するために使用することができる。例えば、このモデルにより、固有の放射線感受性に基づいて放射線量パラメーターを個別に調節するための有利な条件が提供される。放射線治療の線量が高ければ高いほど、高い毒性が伴うので、線量のパーソナライズ化により、治療可能比の効果が生じるであろう。加えて、このモデルによっては、予測された放射線耐性の表現形をともに持つ応答者と非応答者の差を理解するための特有の枠組みが提供され得る。これにより、同時に化学療法を加えることが有効である患者のより正確な同定が可能となる。
分子医学の段階(era)では、ハイスループット技術(例えば、マイクロアレイおよびプロテオミクス)により、前兆である、および/または予測上の重要性がある、多数の分子シグネチャーの同定がもたらされた(van’t Veerら、Nature 2002;415(6871):530−6;Beerら、Nat Med 2002;8(8):816−24;Chungら、Cancer Cell 2004;5(5):489−500;Eschrichら、J Clin Oncol 2005;23(15):3526−35;Alizadehら、Nature 2000;403(6769):503−11;Bildら、Nature 2006;439(7074):353−7;van de Vijverら、New Eng.J.Med.2002;347(25):1999−2009;Sheddenら、Nat Med 2008;14(8):822−7)。しかし、これらのシグネチャーによってオーダーメイド医療を導こうという最初の熱意は、それらが頻繁にロバスト性を欠くことによって薄れてしまった(Simonら、J Natl Cancer Inst 2003;95(1):14−8)。
本明細書中に記載される放射線感受性モデルのロバスト性は、いくつかの証拠(lines of evidence)によってサポートされる。第1に、このアルゴリズムは、3種類の疾患についての3つの独立している見込みがあるとして集められたデータセットにおいて実証された。第2に、このモデルは、様々な遺伝子発現プラットフォームにまたがって有効であった。食道ガンのコホートと直腸ガンのコホートでの遺伝子発現データは、Affymetrix U−133 Plusマイクロアレイから導かれた。しかし、頭頸部ガンのデータセットにおける遺伝子発現は、2チャンネルに基づくcDNAマイクロアレイプラットフォーム(two channel based cDNA microarray platform)であるNKIアレイから導かれた。このアルゴリズムが複数のプラットフォームにまたがって転送可能である(transferable)という見解は、他の臨床プラットフォーム(clinical platform)(例えば、RT−PCR/ホルマリン固定組織を使用する)に転送できることを示しているので、重要である。第3に、実証されている臨床コホートの中の全ての患者は、同時化学放射線治療で処置された。したがって、本発明者らは放射線だけで処置された患者についてのデータセットを得ることはできなかった。しかし、このアルゴリズムは、細胞の放射線感受性に基づいている。それゆえ、この不正確さの発生源である可能性にもかかわらず、このモデルはなおも実証された。最後に、このモデルは予測値と予後値の両方を示した。
本明細書中に記載されるモデルは、腫瘍の放射線感受性を予測するために設計される。RSIは、頭頸部ガンのデータセットにおいては前兆となるものであり、放射線感受性を決定する生物学的要因が処置後の疾患予後に関係していることを示唆している。これは、食道ガンと直腸ガンの両方での完全寛解がいくつかの研究では強い予測重要性を持つとの見解と一致する(Janjanら、Am J Clin Oncol 2001;24(2):107−12;Chirieacら、Cancer 2005;103(7):1347−55;Gavioliら、Dis Colon Rectum 2005;48(10):1851−7;Capirciら、Int J Radiat Oncol Biol Phys.2008年9月1日;72(1):99−107.Epub 2008年4月11日)。このように、完全な応答者を同定することができるモデルがまさに望まれている。現行のモデルを使用すると、6/8の完全な応答者がROC分析によって示唆される閾値(SF2=0.46)を下回り、このことは、このモデルがこの集団をうまく同定できることを示唆している。
加えて、特に直腸ガンにおいては、病期が低下される(downstage)可能性がある患者を同定する役割がある。例えば、この知識は、括約筋温存手術が検討されている低位置の直腸腫瘍(low−lying rectal tumor)を有している患者のより良好なカウンセリングをもたらす可能性がある。低位置の直腸ガンを有している患者とは、一般的には、肛門括約筋の5cm以内に腫瘍を有している患者である。従来は、これらの患者は、手術される場合には、肛門括約筋を切除する腹会陰式切除術(APR)で処置され、したがって患者は、患者の生活の質に一般的に悪影響を与える永久的な結腸瘻バッグを持つ必要がある。これに対処するために、術前放射線治療または化学放射線治療を使用することにより執刀医が括約筋を温存(spare)できる能力(ability)が改善されるかどうか;腫瘍を収縮させることにより、執刀医がガンを切除し、直腸を再びつなぎ、そして正常な括約筋の働きを完全なまま保つことができる可能性を改善することができるかどうかを試験するための複数のプロトコールが、約10〜15年前に開発された。このアプローチは成功しているが、括約筋温存手術の可能性は、化学放射線治療によって達成される病期の低下の量と関係する。このように、本明細書中に記載されるモデルは、処置の決定が行われる前の患者のカウンセリングを改善することができる。例えば、患者が術前処置に反応する可能性がある場合には、このモデルによってその直腸の腫瘍が放射線感受性であることを決定できるので、成功する可能性が高い。しかし、腫瘍が放射線耐性である場合は、成功の可能性は低く、患者は、すぐに外科手術されるように助言され得、それにより、成功する可能性が低い処置の副作用を回避することができるか、あるいは、術前処置がなおも続行される場合には、より高線量の放射線治療が、成功の可能性を高めるために処方され得る。
腫瘍の放射線感受性指数(RSI)の決定
本明細書中に記載される方法では、細胞、すなわち、生存している細胞(例えば、患者由来の腫瘍細胞、患者由来の正常細胞、あるいは培養された細胞)に対して放射線感受性指数(RSI)を割り当てるためのrank−based線形アルゴリズムを使用した。一般的に、これらの方法は、任意の哺乳動物(特に、ヒト)に適用することができる。これらの方法には、細胞または腫瘍の細胞中でのシグネチャー遺伝子の発現レベルを決定する工程、およびその発現レベルに基づいてRSIを決定する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの方法には、シグネチャー遺伝子の、以下のような2つ以上の、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個全ての使用が含まれる:アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(Signal transducer and activator of transcription 1)(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)。
上記に示される例示的な遺伝子配列はヒト遺伝子についてであり、したがって、ヒト細胞での使用に最も適しているが、当業者は、(公知の配列については)データベース検索を、また(さらなる配列を同定するためには)日常的に行われている分子生物学的技術を使用して、哺乳動物のホモログを容易に同定することができる。一般的には、複数の遺伝子が、それらが、保存されている領域(例えば、生物学的に重要な領域)において少なくとも80%、例えば、90%、95%、またはそれ以上の同一性を示す場合には、ホモログと見なされる。
いくつかの実施形態では、プロフィールには、表10、表11、表12、または図4に示されるプロフィールに列挙されるシグネチャー遺伝子が含まれる。いくつかの実施形態では、プロフィールには、少なくともc−jun、STAT1、cAbl、およびIRF1が含まれる。いくつかの実施形態では、プロフィールには、少なくともIRF1が含まれる。
本明細書中に記載される方法において有用な線形回帰モデルには、発現レベルを組み合わせるための、遺伝子発現レベルと係数、または重み(weight)が含まれる。係数は、細胞の放射線感受性の測定に対する提案されたモデルの最小二乗フィット(a least−squares fit)を使用して計算することができる。本明細書中に記載される1つの実施例では2Gyでの生存率(SF2)が使用されるが、他の線量レベルでの他の測定値(例えば、SF8)も、それぞれから決定されている様々な係数と一緒に考慮することができる。このアルゴリズムの関数形式は以下に示される。ここでは、k係数はそれぞれ、特定のRSI測定値に対して発現レベルをフィットさせることによって決定されるであろう。
いくつかの実施形態では、この方法には、細胞中で決定された発現レベルのデータに対してアルゴリズム(例えば、本明細書中に記載されるようなrank−based線形回帰アルゴリズム)を適用する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、このアルゴリズムには、遺伝子のそれぞれについて係数を重み付けする工程が含まれる。
使用方法
本明細書中に記載される方法は、被験体の任意の固形腫瘍について、選択された放射線量に対する放射線感受性指数を同定するために使用することができる。固形腫瘍は、良性のものであり得るか、またはガン性のものであり得る、血液、骨髄、またはリンパ系以外の組織由来の過増殖性細胞または新生物性細胞の異常な腫瘤である。一般的に、本明細書中に記載される方法によって処置される腫瘍はガン性である。本明細書中で使用される場合は、用語「過増殖性」および「新生物性」は、自律的増殖(すなわち、迅速に増殖している細胞増殖を特徴とする異常な状況または状態)の能力を有している細胞をいう。過増殖性および新生物性の疾患状態は、病的である(すなわち、特徴的な疾患状態または疾患状態を構成している)として分類され得るか、あるいは、非病的(すなわち、正常からは逸脱しているが、疾患状態とは関係がない)として分類され得る。この用語は、組織病理学的なタイプまたは浸潤の段階に関わらず、全てのタイプの固形ガン性の増殖、転移組織、または悪性形質転換した細胞、組織もしくは器官を含むように意味される。「病的過増殖性」細胞は、悪性腫瘍の増殖を特徴とする疾患状態において起こる。非病的過増殖性細胞の例としては、創傷の修復に関係する細胞の増殖が挙げられる。固形腫瘍の例は、肉腫、ガン腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のガン)は、一般的には、固形腫瘍を形成しない。
用語「ガン腫」は当該分野で認識されており、呼吸器系のガン腫、消化器系のガン腫、泌尿生殖系ガン腫、精巣ガン腫、乳房ガン腫、前立腺ガン腫、内分泌系ガン腫および黒色腫を含む、上皮または内分泌組織の悪性疾患をいう。いくつかの実施形態では、疾患は、肺ガン腫、直腸ガン腫、結腸ガン腫、食道ガン腫、前立腺ガン腫、頭頸部ガン腫、または黒色腫である。例示的なガン腫には、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織から形成されるものが含まれる。この用語にはまた、例えば、ガン性であり、かつ肉腫様の組織からなる悪性腫瘍を含むガン肉腫も含まれる。「腺ガン」は、腺性組織由来のガン腫または腫瘍細胞が認識可能な腺性構造をその中に形成するガン腫をいう。
用語「肉腫」は、当該分野で認識されており、間葉起源の悪性腫瘍をいう。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法によって処置される腫瘍は、上皮細胞起源の腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、肺、結腸、直腸、食道、前立腺、または頭/頸部組織を起源とする(例えば、口唇、口腔、鼻孔、副鼻腔、咽頭、および喉頭を含む上気道消化管を起源とする(例えば、粘膜内層(上皮)を起源とする扁平上皮細胞ガン))。いくつかの実施形態では、腫瘍は転移性であり、上皮組織から発生した(したがって、上皮が起源である)が、別の組織に広がったもの(例えば、骨盤、脊椎、および/または肋骨の骨に広がった上皮起源の前立腺ガン、あるいは副腎、肝臓、脳、または骨に転移した肺ガン腫)である。
本明細書中に記載される方法によって、放射線治療に感受性がある腫瘍を同定することができ、それによって、放射線治療の投与が有効であろう被験体、または放射線治療と放射線感作化学療法(radiation sensitizing chemotherapy)の同時投与が有効であろう被験体を同定することができる。例えば、腫瘍についてのRSIが一旦決定されれば、RSIが低く、したがって腫瘍が放射線に対して感受性があることを示す(そしてそれゆえ、放射線で効率よく処置される可能性が高い)場合には、放射線治療だけが患者に処方され得るか、あるいは、放射線治療と、おそらくはほとんど侵襲性のない外科的切除方法(例えば、腹腔鏡による方法)が処方される。あるいは、RSIが高く、したがってその腫瘍が放射線治療に対して感受性が低いかまたは放射線治療に対して感受性がないことを示している場合には、化学療法(例えば、放射線感作化学療法)が、放射線治療と組み合わせて処方され得るか、あるいは必要に応じて、より侵襲性が高いかまたは根治的外科手術による切除が処方され得る。したがって、これらの方法は、放射線治療に対する被験体の反応を予測するために使用することができる。いくつかの実施形態では、RSIを使用する場合の感受性の閾値は、食道ガンと直腸ガンにおいては、0.46と定義される。
一例として、これらの方法は、特に直腸ガンにおいて、病期が低下される可能性がある患者を同定するために使用することができる。例えば、この知識は、上記に記載されたように、括約筋温存手術が検討されている低位置の直腸腫瘍を有している患者のより良好なカウンセリングをもたらす可能性がある。
いくつかの実施形態では、腫瘍を有している被験体が同定される(腫瘍の存在を診断するための方法は当該分野で周知であり、本明細書中では繰り返される必要はない)。試験試料は腫瘍から得られ、そしてシグネチャータンパク質または核酸(例えば、mRNA)のレベルが評価される。ここでは、シグネチャータンパク質または核酸のレベルは、放射線治療に対する腫瘍の感受性の指標である。本明細書中で使用される場合は、「試験試料」は、腫瘍に由来する細胞(単数または複数)(例えば、組織)を含む、目的の被験体から得られた生物学的試料をいう。
本明細書中に記載されるアッセイはまた、被験体に、(例えば、被験体についての治療法または治療レジメンを選択するための)固形腫瘍を処置するための放射線治療、化学療法、または外科手術による切除のうちの1つ以上が投与されるべきかどうかを決定するためにも使用することができる。例えば、そのような方法は、被験体を放射線治療だけで、または、第2の放射線を伴わない治療法(例えば、外科手術または化学療法)を伴う放射線治療で、効率よく処置できるかどうか、あるいは、放射線、外科手術、および化学療法が必要かどうかを決定するために使用することができる。
加えて、本明細書中に記載される方法は、放射線治療に対するそれらの感受性を決定するために、正常な細胞(すなわち、非腫瘍細胞)に対して使用することができる。これにより、放射線治療に関係する毒性または他の副作用の可能性を予測するためのこのモデルの使用が可能となる。
本明細書中に記載されるネットワークシステムモデルもまた、薬剤(例えば、放射線感作薬または放射線防護剤)を標的化させる遺伝子を選択するために使用することができる。これらの方法では、ネットワークモデルは、様々な遺伝子の調節の効果をモデル化するために改良される。1つのそのようなアプローチは、同定されたネットワークハブのうちの1つ以上の生物学的標的化の効果を刺激することである。開発されたモデルのこのタイプのコンピューター内での摂動は、放射線の表現形(radiation phenotype)に影響を及ぼす可能性が最も高いハブについてのさらなる情報を提供することができる。このモデルは、最も低い可能な値に対する個々のハブ遺伝子のランクまたは重みを(コンピューターシミュレーションを使用して)体系的に下げる(遺伝子を実質的に「ノックアウトする」)ことによって、摂動され得る。変化した発現パターンは、以前に構築された同じモデルを使用して、患者の放射線感受性を予測するために使用されるであろう。
変化しなかったSF2予測値との差が記録されるであろう。SF2におけるこれらの変化が試験され、個々の遺伝子ノックアウトの影響を推定するために、患者のコホート全体で平均されるであろう。
放射線治療、化学療法、外科的切除技術、および所定の腫瘍に適している特定の治療法を選択するために使用することができる方法は当該分野で公知であり、例えば、以下を参照のこと:「Practical Radiotherapy Planning,」Dobbs,Barrett,and Ash(1999)Arnold;「Walter & Miller’s Textbook of Radiotherapy,」Bomford and Kunkler(2002)Churchill Livingstone;「Cancer Chemotherapy and Biotherapy:Principles and Practice,」Chabner and Longo(2005)Lippincott Williams & Wilkins;「Regional Chemotherapy:Theory and Practice,」Kerr and McArdle(2000)Informa Healthcare;および「Textbook of Surgery,」Tjandraら、(2006)Wiley−Blackwell。
発現レベルを決定するためのアッセイ
少なくとも1つの生存している細胞(好ましくは、複数の細胞)(例えば、腫瘍由来の細胞(例えば、生検による)、または正常な細胞、あるいは培養された細胞)を含む試料を得るためには、当該分野で公知の任意の方法を使用することができる。腫瘍細胞を得るために一般的に使用される方法としては、外科的方法(腫瘍全体または腫瘍の一部の切除後に腫瘍から採取された組織の使用)および針生検が挙げられる。試料は、生存している細胞の遺伝子発現レベルを可能な限り完全な状態に保つ任意の方法(例えば、瞬間冷凍または化学的固定(例えば、ホルマリン固定))で処理されるべきである。
当該分野で公知の任意の方法を、試料から材料(例えば、タンパク質または核酸(例えば、mRNA))を抽出するために使用することができる。例えば、機械的または酵素的な細胞の破裂を使用することができ、その後に、(例えば、カラムを使用する)固相法またはフェノール−クロロホルム抽出(例えば、RNAのグアニジニウム−チオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出)が行われる。mRNAの単離に使用される多数のキットは、商業的に入手することができる。精製もまた、所望される場合には使用することができる。例えば、Peirson and Butler,Methods Mol.Biol.2007;362:315−27を参照のこと。細胞からタンパク質を得るための多数の方法が当該分野で公知であり、例えば、「Protein Methods」,第2版,Bollagら、Wiley Pub.(1996)を参照のこと。必要に応じて、cDNAをmRNAから転写させることができる。
遺伝子発現レベルは、多くの様々な方法で決定することができ、これには、硝子スライド上にハイブリダイズさせられたmRNAの蛍光の定量化、ノーザンブロット分析、リアルタイム逆転写PCR(RT−PCR)、または遺伝子発現量の他の測定方法が含まれる。これらの方法のそれぞれによって様々な尺度が提供されるが、個々のアプローチは特定のmRNA転写物の量に正比例する。
生物学的試料中のシグネチャー遺伝子の発現レベルの決定に適している多数のアッセイは当該分野で公知である。例えば、発現レベルは、試験被験体の腫瘍から生物学的試料を得、そして生物学的試料を、シグネチャー遺伝子のmRNAまたはシグネチャー遺伝子によってコードされるタンパク質を検出できる化合物または薬剤と接触させ、その結果、タンパク質または核酸のレベルが生物学的試料中で検出されることによって評価することができる。用語「生物学的試料」には、組織、細胞、および被験体の腫瘍から単離された細胞または組織を含む流体、ならびに、被験体の中に存在する組織および細胞および流体が含まれる。好ましい生物学的試料は、腫瘍から採取された生検試料である。シグネチャー遺伝子の発現のレベルは、以下を含むがこれらに限定されない多数の方法で測定することができる:シグネチャー遺伝子によってコードされるmRNAの測定;シグネチャー遺伝子によってコードされるタンパク質の量の測定;またはシグネチャー遺伝子によってコードされるタンパク質の活性の測定。
細胞中でのシグネチャー遺伝子に対応しているmRNAのレベルは、インサイチュ形式およびインビトロ形式の両方で決定することができる。
単離されたmRNAは、以下を含むがこれらに限定されないハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイで使用することができる:サザン分析またはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析、およびプローブアッセイ。mRNAレベルの検出のための1つの例示的な診断方法には、単離されたmRNAを、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させることが含まれる。核酸プローブは、例えば、全長の核酸であり得、また、少なくとも7、15、30、50、100、250、または500ヌクレオチドの長さであり、シグネチャー遺伝子のmRNAに対してストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするために十分なオリゴヌクレオチドであり得る。診断アッセイに使用される他の適切なプローブは当該分野で公知である。
1つの形式では、試料由来のmRNA(またはcDNA)が表面上に固定され、そして例えば、アガロースゲル上に単離されたmRNAを泳動させ、ゲルからニトロセルロースのような膜にmRNAを移動させることによって、プローブと接触させられる。別の形式では、プローブは表面上に固定され、試料由来のmRNA(またはcDNA)が、例えば、二次元遺伝子チップアレイの中で、プローブと接触させられる。当業者は、シグネチャー遺伝子によってコードされるmRNAのレベルを検出する際に使用される公知のmRNA検出方法を採用することができる。
1つのシグネチャー遺伝子によってコードされる試料中のmRNAのレベルは、核酸増幅を用いて、例えば、rtPCR(Mullis(1987)米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189−193)、自己持続配列複製法(self sustained sequence replication)(Guatelliら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwohら、(1989),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardiら、(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル型複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)、または任意の他の核酸増幅方法、続いて、当該分野で公知の技術を使用する増幅された分子の検出によって評価することができる。本明細書中で使用される場合は、増幅プライマーは、遺伝子の5’または3’領域にアニーリングすることができる核酸分子の対(それぞれ、プラス鎖とマイナス鎖、またはその逆である)として定義され、これには、2つの間に短い領域が含まれる。一般的には、増幅プライマーは、約10〜30ヌクレオチドの長さであり、約50〜200ヌクレオチドの長さの領域が隣接している。適切な条件下で、適切な試薬を用いた場合には、そのようなプライマーは、プライマーに隣接するヌクレオチド配列を含む核酸を増幅することができる。
好ましい方法は、例えば、本明細書中に記載されるような、例えば、ハイスループットリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)のための、マイクロ流体デバイスの使用である。
インサイチュでの方法については、細胞または組織試料が調製/処理され得、そして支持体(通常は、硝子スライド)上に固定され、その後、分析されるシグネチャー遺伝子をコードするmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させられ得る。
別の実施形態では、これらの方法にはさらに、対照試料をシグネチャーmRNAを検出することができる化合物または薬剤と接触させる工程、および試験試料中のシグネチャーmRNAの存在と対照試料中のシグネチャーmRNAの存在を比較する工程が含まれる。
様々な方法を、選択されたシグネチャー遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを決定するために使用することができる。一般的には、これらの方法には、抗体のようなタンパク質に選択的に結合する薬剤を試料と接触させる工程、および試料中のタンパク質のレベルを評価する工程が含まれる。好ましい実施形態では、抗体は、検出可能なレベルを有する。抗体はポリクローナルであり得、またさらに好ましくは、モノクローナルであり得る。完全な抗体、またはその断片(例えば、FabまたはF(ab’)2)を使用することができる。プローブまたは抗体に関する用語「標識された」は、プローブまたは抗体に対して検出可能な物質をカップリング(すなわち、物理的に連結)させることによる、プローブまたは抗体の直接の標識、ならびに、検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識を含むように意図される。検出可能な物質の例は、それによって検出されたタンパク質のレベルを定量化する方法と同様に、当該分野で公知である。
複数の検出方法を、インビトロならびにインビボで生物学的試料中のシグネチャータンパク質を検出するために使用することができる。シグネチャータンパク質の検出のためのインビトロ技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、およびウェスタンブロット分析が挙げられる。シグネチャータンパク質の検出のためのインビボ技術には、標識された抗シグネチャー抗体を被験体に導入することが含まれる。例えば、抗体は、被験体の中でのその存在と位置を標準的な画像化技術によって検出することができる放射性マーカーで標識することができる。
別の実施形態では、これらの方法にはさらに、対照試料を、シグネチャータンパク質を検出することができる化合物または薬剤と接触させる工程、シグネチャータンパク質のレベルを定量化する工程、および対照試料中のシグネチャータンパク質のレベルを試験試料中のシグネチャータンパク質のレベルと比較する工程が含まれる。
いくつかの実施形態では、放射線治療に対する腫瘍の感受性は、本明細書中に記載されるシグネチャー遺伝子のうちの2つ以上の発現レベルを含む遺伝子プロフィールを決定し、そしてこの遺伝子発現プロフィールを参照プロフィール(例えば、放射線に感受性である腫瘍を示している参照プロフィール)に対して比較することによって予測することができる。この場合、参照プロフィールと腫瘍由来の発現プロフィールとの間での実質的な類似性は、その腫瘍が放射線に感受性であることを示すであろう。そのような方法を実施するための方法は、例えば、米国特許第7,148,008号に記載されているように、当該分野で公知である。
キット
本発明にはまた、生物学的試料中の選択されたシグネチャー遺伝子(例えば、シグネチャー遺伝子に対応しているmRNAまたはタンパク質)を検出し、定量化するためのキットも含まれる。例えば、キットには、生物学的試料中のシグネチャー遺伝子に対応しているmRNAもしくはタンパク質を検出することができる化合物または薬剤;および標準物;そして必要に応じて、検出、定量化、または増幅を行うために必要な1つ以上の試薬が含まれ得る。化合物、薬剤、および/または試薬は、適切な容器の中にパッケージされ得る。このキットにはさらに、シグネチャータンパク質または核酸を検出し、定量化するためにキットを使用するための説明書が含まれ得る。
抗体をベースとするキットについては、キットには:(1)シグネチャー遺伝子に対応するポリペプチドに結合する、(例えば、固体支持体に付着させられた)第1の抗体;および必要に応じて、(2)ポリペプチドまたは第1の抗体のいずれかに結合する、検出可能な薬剤に結合させられた第2の異なる抗体が含まれ得る。
オリゴヌクレオチドをベースとするキットについては、キットには:(1)シグネチャー遺伝子に対応する核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、検出できるように標識されたオリゴヌクレオチド)、または(2)シグネチャー遺伝子に対応する核酸分子を増幅させるために有用な1対のプライマーが含まれ得る。キットにはまた、緩衝剤、保存剤、および/またはタンパク質安定剤も含まれ得る。キットにはまた、検出試薬を検出するために必要な複数の成分(例えば、酵素または基質)が含まれ得る。キットにはまた、アッセイすることができ、含まれる試験試料と比較することができる、対照試料または対照試料の1つのシリーズも含まれ得る。キットの個々の成分は、個別の容器に入れられ得、そして様々な容器は全て、キットを使用して行われたアッセイの結果を解釈するための説明書とともに、1つのパッケージに入れられ得る。
いくつかの実施形態では、キットには、表10、表11、表12、または図4に示されるプロフィールに列挙されるシグネチャー遺伝子の定量化のための特別な試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、キットには、少なくともc−jun、STAT1、cAb1、およびIRF1に選択的なプライマーまたは抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、キットには、少なくともIRF1と1つのさらなるシグネチャー遺伝子に選択的なプライマーまたは抗体、RT−PCR用のマイクロ流体デバイスが含まれる。いくつかの実施形態では、キットにはまた、(例えば、図7に列挙されるような)ハウスキーピング遺伝子または対照遺伝子に選択的なプライマーもしくは抗体も含まれる。
マイクロアレイ/マイクロ流体素子
シグネチャー遺伝子に対応するmRNAまたはタンパク質のレベルを検出し、定量化するために有用なマイクロアレイもまた、本明細書中に記載される。このマイクロアレイには、基材とハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が含まれる。mRNAの検出のためには、マイクロアレイには、選択されたシグネチャー遺伝子に選択的なハイブリダイズ可能なアレイ構成要素を含む、複数の個別にアドレス可能な領域が含まれるであろう。タンパク質の検出のためには、マイクロアレイには、シグネチャー遺伝子によってコードされる1つ以上のタンパク質の検出のための試薬(例えば、抗体)を含む、複数の個別にアドレス可能な領域が含まれるであろう。
いくつかの実施形態では、マイクロアレイには、表10、表11、表12、または図4に示されるプロフィールに列挙されたシグネチャー遺伝子に選択的な、ハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロアレイには、少なくともc−jun、STAT1、cAb1、およびIRF1に選択的なハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロアレイには、少なくともIRF1と1つのさらなるシグネチャー遺伝子に選択的なハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が含まれる。
用語「マイクロアレイ」は、その上に配置されたハイブリダイズ可能なアレイ構成要素の規則正しい配置を有している基材をいう。いくつかの実施形態では、アレイ構成要素は、好ましくは少なくとも約10個の異なるアレイ構成要素が、1cmの基材表面上に存在するように配置される。アレイ構成要素の最大数は制限されないが、少なくとも100,000以上のアレイ構成要素であり得る。さらに、個々のアレイ構成要素に由来するハイブリダイゼーションシグナルを個別に識別することができる。好ましい実施形態では、アレイ構成要素にはポリヌクレオチドプローブが含まれる。
ハイブリダイゼーションによっては、変性させられたポリヌクレオチドプローブと変性させられた相補的な標的が、塩基の対合によって安定な二本鎖を形成させられる。ハイブリダイゼーション方法は当業者に周知である(例えば、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,第24巻:Hybridization With Nucleic Acid Probes,P.Tijssen編,Elsevier Science,New York,N.Y.(1993)を参照のこと)。相補的な標的とポリヌクレオチドプローブが正確にハイブリダイズできる、すなわち、それぞれの塩基対がその相補的な塩基対と相互作用しなければならないハイブリダイゼーション条件を選択することができる。あるいは、標的とポリヌクレオチドプローブが不適合であっても、なおもハイブリダイズできる条件を選択することができる。適切な条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および洗浄溶液中の塩またはホルムアミドの濃度を変えることによって、あるいは、ハイブリダイゼーション温度および洗浄温度を変えることによって、選択することができる。
ハイブリダイゼーションは、0.005%のTriton X−100を含む6×SSPEのような緩衝液を用いて、37℃で、低いストリンジェンシーで行うことができる。これは、標的と、標的ポリヌクレオチド/プローブ複合体を形成させるためにはいくつかの不適合を含むポリヌクレオチドプローブとの間でのハイブリダイゼーションを可能にする。その後の洗浄は、正確に相補的な配列を含むこれらの標的/プローブ複合体だけのハイブリダイゼーションが保持されるように、0.005%のTriton X-100を含む0.5×SSPEのような緩衝液を用いて、50℃で、より高いストリンジェンシーで行われる。あるいは、ハイブリダイゼーションは、5×SSC/0.2%のSDSのような緩衝液を用いて、60℃で行われ得、そして洗浄は、2×SSC/0.2%のSDS中で、その後、0.1×SSC中で行われる。ストリンジェンシーはまた、ホルムアミドのような薬剤を添加することによって高めることができる。バックグラウンドシグナルは、洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、サルコシル(Sarcosyl)、またはTriton X−100)、あるいはブロッキング剤(例えば、精液DNA)の使用によって下げることができる。
ハイブリダイゼーションの特異性は、既知の量で試料に添加される特異性対照標的ポリヌクレオチドに対して、特異的対照ポリヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを比較することによって評価することができる。特異性対照標的ポリヌクレオチドは、対応するポリヌクレオチドプローブと比較して1つ以上の配列不適合を有し得る。この様式では、相補的な標的ポリヌクレオチドだけがポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズしているかどうか、または適合していないのにハイブリダイズした二本鎖が形成されているかどうかが決定される。
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイは、ハイブリダイズしなかった核酸を取り除くために洗浄され、ハイブリダイズ可能なアレイ構成要素と標的ポリヌクレオチドとの間での複合体の形成が検出される。
複合体の形成を検出するための方法は当該分野で公知である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドが蛍光標識で標識され、そして複合体形成の指標である蛍光のレベルとパターンの測定が、蛍光顕微鏡(好ましくは、共焦点蛍光顕微鏡)によって行われる。アルゴンイオンレーザーは蛍光標識を励起させ、放射が光電子増倍管に向けられ、そして放射された光の量が検出され、定量化される。検出されたシグナルは、マイクロアレイのそれぞれの位置のプローブ/標的ポリヌクレオチド複合体の量に比例するはずである。蛍光顕微鏡は、ハイブリダイゼーション強度の定量的二次元画像を作成するためのコンピューター駆動・スキャナー・デバイス(computer−driven scanner device)と組み合わせられ得る。スキャンされた画像は、個々のハイブリダイズした標的ポリヌクレオチドの量/発現レベルを決定するために試験される。
通常、マイクロアレイの蛍光強度は、2つ以上のマイクロアレイが同様の試験条件下で使用される場合には、ハイブリダイゼーション強度の変動を考慮するために正規化され得る。好ましい実施形態では、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、それぞれのマイクロアレイ上に含まれる内部正規化対照(例えば、対照遺伝子、例えば、ユビキチンC;ヒドロキシメチルビランシンターゼ(hydroxymethylbilane synthase);チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ζポリペプチド;ポリメラーゼ(RNA)II(DNA特異的)ポリペプチドA、220kDa;インポーチン8;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(Lesch−Nyhan症候群);リボソーマルタンパク質、ラージP0(large P0)(RLP0);ペプチジルプロリルイソメラーゼA(シクロフィリンA);βアクチン;βグルクロニダーゼ;β−2−マイクログロブリン;ホスホグリセレートキナーゼ1;グリセロアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ;トランスフェリン受容体(p90;CD71);TATAボックス結合タンパク質;スクシネートデヒドロゲナーゼ複合体のサブユニットA;および18sリボソームRNA(図7を参照のこと))から導かれた強度を使用して正規化される。
本明細書中に記載されるマイクロアレイには、本明細書中に記載されるシグネチャー遺伝子、または表10〜12もしくは図4のいずれかに列挙されるそれらのサブセットに選択的な、個別にアドレス可能かつハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が含まれる(あるいは、それらから構成される)。いくつかの実施形態では、マイクロアレイにはまた、例えば、本明細書中に記載されるような、内部正規化対照に選択的な1つ以上のハイブリダイズ可能なアレイ構成要素も含まれる。いくつかの実施形態では、マイクロアレイには、他の遺伝子に選択的なハイブリダイズ可能なアレイ構成要素は含まれない。
いくつかの実施形態では、マイクロ流体RT−PCR/パラフィン保存組織プラットフォームが使用され得る。このプラットフォームの使用にはいくつかの利点がある。第1に、このプラットフォームは、日常的に行われる診断の用途での使用に実用的である。例えば、乳ガンのリスク評価のための多遺伝子モデルであるOncotypeDXは、RT−PCR/パラフィン保存組織プラットフォームの中にある。さらに、RT−PCRアプローチはコスト効果が高い。加えて、標準化された、最適化された試験は、日常的に使用される臨床的な使用法の開発のための、例えば、例えば、共同臨床試験(例えば、Radiation Therapy Oncology Group(RTOG))によって、保存された組織(パラフィン保存された)の中で容易に試験することができる。
カスタム設計マイクロ流体カード(Custom−design micro fluidics cards)は、例えば、Applied Biosystems(ABI)から入手することができる。これには、ABIによって推奨される標準である16種類のハウスキーピング遺伝子またはそれらのサブセットとともに、ハブモデル(hub model)の中の10種類の遺伝子全て、または(例えば、本明細書中に記載されるような)それらのサブセットが含まれる。さらなる遺伝子(例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、または100種類の遺伝子、例えば、(図6に列挙される)500種類の遺伝子からなるより大きなネットワークモデルから選択された遺伝子)もまた、このカードに含めることができる。いくつかの実施形態では、全ての遺伝子が、1枚のカードについて2種類以上の試料を分析できるように、少なくとも2連(例えば、2連または3連)で存在させられるであろう。一例として、ABIカードが使用される場合は、本明細書中に記載される方法を使用して同定されたマイクロアレイプローブセット標的(microarray probeset target)が、マイクロアレイ標的に最も近いABIプローブを決定するために、ABIプローブセットとともに配列アラインメントされるであろう。
一例として、マイクロ流体アッセイは実質的に以下のように行うことができる。簡単に説明すると、ABI TAQMAN LOW DENSITY ARRAY(TLDA)は、相対的定量化のComparative CT Methodを使用して、遺伝子発現プロフィールをカードに記録する。個々のカードは、アッセイの8つのセットに分けられた一続きの384個の相互接続されたウェルからなる。それぞれのウェルには、1つのmRNA標的についての乾燥させられたApplied Biosystems TaqManプライマーとプローブが含まれる。カードの8個のポートのそれぞれには、100μLの試料特異的PCRミックスがロードされる(それぞれ100μLのPCRミックスには、1ngから100ngの、cDNAに変換された全RNAが含まれるはずである)。カードに試料がロードされると、これは、それぞれのポートの48個のウェル全体にPCRミックスを分配するために遠心分離される。TLDAカードは、相対定量化分析を使用してAB7900HTの中で実行される。
マイクロ流体デバイスを作製し、使用するための一般的な方法は当該分野で公知であり、例えば、米国特許第6,960,437号および同第7,250,260号を参照のこと。
データベース
別の態様では、本発明は、複数のレコードを含むデータベースを特徴とする。個々のレコードには、腫瘍細胞中での少なくとも2つのシグネチャー遺伝子の発現についてのデータと、以下の少なくとも1つ、2つ、または好ましくは全てが含まれる:細胞の原発組織についてのデータ;細胞のras状態についてのデータ;および細胞のp53状態についてのデータ、ならびに、必要に応じて、腫瘍を有している被験体に関する予め選択された要因についてのデータ。いくつかの実施形態では、予め選択された要因は以下の1つ以上であり得る:処置の存在(例えば、化合物(例えば、薬物(例えば、化学療法)、ビタミン、食品、または食事療法用サプリメント)の投与);環境要因の存在(例えば、その環境下での1つの物質の存在);遺伝的要因の存在、または物理的要因(例えば、年齢)。
いくつかの実施形態では、データベースには少なくとも2つのレコードが含まれ、そしてそれぞれのレコードの中の予め選択された要因は他方のレコードとは異なる。例えば、1つの実施形態では、予め選択された要因は化合物の投与であり得、一方のレコードにおいては、予め選択された要因には化合物の投与が含まれ、他方のレコードにおいては、その化合物は投与されない、異なる用量で投与される、および/または異なる化合物が投与される。別の実施形態では、予め選択されたは環境要因であり得、そして一方のレコードには、この要因が存在し、そして他方のレコードには、この環境要因は存在しないか、または異なるレベルで存在する。なお別の実施形態では、予め選択された要因は、年齢のような物理的要因であり得、そして一方のレコードでの年齢は他方のレコードでの年齢とは異なり、例えば、少なくとも5歳、10歳、15歳、20歳、またはそれ以上の差がある。
いくつかの実施形態では、データベースのそれぞれのレコードには、被験体に関する少なくとも2つの予め選択された要因についてのデータが含まれる。1つの実施形態では、データベースには少なくとも2つのレコードが含まれ、そしてそれぞれのレコードの中の少なくとも1つの予め選択された要因は、他方のレコードとは異なる。好ましくは、データベースには少なくとも2つのレコードが含まれ、そしてこれらのレコードの中の少なくとも1つの予め選択された要因は異なり、他の予め選択された要因のうちの少なくとも1つが同じである。他の実施形態では、データベースには少なくとも2つのレコードが含まれ得、そしてそれぞれのレコードには少なくとも1つの予め選択された要因と少なくとも1つの予め選択された条件が含まれる。
いくつかの実施形態では、データベースには少なくとも2つのレコードが含まれる。ここでは、それぞれのレコードには、本明細書中に記載されるような10種類のシグネチャー遺伝子のサブセットまたは10種類のシグネチャー遺伝子全ての発現レベル、投与された放射線量、およびその放射線量に反応した生存率(例えば、2Gyの線量については、生存率はSF2といわれる)を含む、細胞に関する情報が含まれる。
データベースは、本明細書中に記載されるように、それぞれのレコードについて様々なデータを記憶することができる、任意の種類の記憶システムであり得る。例えば、データベースは、フラットファイル、リレーショナルデータベース、データベース中の表、コンピューターで読み取り可能な揮発性または不揮発性メモリ中のもの、コンピュータープログラムによってアクセス可能なデータ(例えば、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体上のアプリケーション・プログラム・ファイルのリソースフォーク中に記憶されたデータ)であり得る。好ましくは、データベースは、コンピューターで読み取り可能な媒体(例えば、コンピューターメモリまたは記憶装置)中に存在する。
いくつかの実施形態では、それぞれのレコードにはさらに、例えば、図7に列挙されるような、少なくとも1つの内部対照遺伝子の発現についてのデータが含まれ得る。
腫瘍の処置における放射線治療の効力を評価することによって得られた情報はまた、様々な要因および条件(例えば、環境条件)が腫瘍の処置に対して及ぼし得る影響を評価するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、これらの情報は、本明細書中に記載されるように、データベースに記憶することができる。
別の態様では、本発明は、放射線治療が腫瘍の処置に有効である可能性を、本明細書中に記載されるようなデータベースを使用して評価する方法を特徴とする。
データベースは、本明細書中に記載されるようなレコードのそれぞれについての様々なデータを記憶させることができる任意の種類の記憶システムであり得る。好ましい実施形態では、データベースは、複数のデジタルコード化されたデータレコードを有しているコンピューター媒体である。データレコードは、表(例えば、リレーショナルデータベース(例えば、OracleまたはSybaseデータベース環境のSQLデータベース)のようなデータベースの一部である表)として構築され得る。
本明細書中で使用される場合は、「機械で読み取り可能な媒体」は、機械(例えば、デジタルコンピューターまたはアナログコンピューター)が直接読み取ることができ、アクセスすることができる任意の媒体をいう。コンピューターの限定ではない例としては、デスクトップPC、ラップトップ、メインフレーム、サーバー(例えば、ウェブサーバー、ネットワークサーバー、またはサーバーファーム)、ノート型のデジタル端末、ポケットベル、携帯電話などが挙げられる。コンピューターはスタンドアロン型であり得るか、または通信ネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(例えば、VPNまたはイントラネット)、広域ネットワーク(例えば、エクストラネットまたはインターネット)、あるいは電話網(例えば、ワイヤレス、DSL、またはISDNネットワーク))に接続され得る。機械で読み取り可能な媒体としては、:磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ);光学記憶媒体(例えば、CD−ROM);電気的記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリなど);ならびに、これらのカテゴリーのハイブリッド(例えば、磁気/光学記憶媒体)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中に記載される、データがその上に記録されている機械で読み取り可能な媒体を作製するためには、当業者は様々なデータ記憶構造を利用できる。データ記憶構造の選択は、一般的には、記憶された情報にアクセスするために選択される手段に基づくであろう。加えて、様々なデータ処理プログラムおよび形式を、コンピューターで読み取り可能な媒体上に本発明の情報を記憶させるために使用することができる。
コンピューターソフトウェア/ハードウェア
図5は、音声ファイルtoolbox 404と組み合わせて操作を行うために使用され、実行され得る、コンピューター機器およびシステム700、750のブロック図である。コンピューター機器700は、デジタルコンピューター(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、個人用デジタル端末、サーバー、ブレードサーバー、メインフレーム)および他の適切なコンピューターの様々な形態を示すように意図される。コンピューター機器750は、様々な形態の携帯機器(例えば、個人用デジタル端末、携帯電話、スマートフォン、および他の同様のコンピューター機器)を示すように意図される。ここに示される構成部品、それらの接続と関係、ならびにそれらの機能は、単なる例として意味され、記載されるおよび/またはこの文献において請求される本発明の実施を限定するようには意味されない。
コンピューター機器700には、プロセッサ702、メモリ704、記憶装置706、メモリ704と高速拡張ポート710に接続されている高速インターフェース708、および低速バス714と記憶装置706に接続されている低速インターフェース712が含まれる。構成部品702、704、706、708、710、および712はそれぞれ、様々なバスを使用して相互接続され、そして共通するマザーボードの上に、または適切である場合には他の方法で取り付けられ得る。プロセッサ702は、コンピューター機器700内での実行のための指示を処理することができる。これには、外部入力/出力装置(例えば、高速インターフェース708に接続されたディスプレイ716)上にGUIについてのグラフ情報を表示するための、メモリ704中または記憶装置706上に記憶させられた指示が含まれる。他の実装においては、複数のプロセッサおよび/または複数のバスが、必要に応じて、複数のメモリおよび複数のタイプのメモリとともに使用され得る。また、複数のコンピューター機器700を、複数の操作を提供するそれぞれのデバイスと接続することができる(例えば、サーバーバンク、ブレードサーバーのグループ、またはマルチプロセッサシステムとして)。
メモリ704は、コンピューター機器700の中に情報を記憶する。1つの実装においては、メモリ704はコンピューターで読み取り可能な媒体である。1つの実装においては、メモリ704は、揮発性メモリ装置(単数または複数)である。別の実装においては、メモリ704は、不揮発性メモリ装置(単数または複数)である。
記憶装置706は、コンピューター機器700に大容量記憶装置を提供することができる。1つの実装においては、記憶装置706はコンピューターで読み取り可能な媒体である。様々な異なる実装においては、記憶装置706は、フロッピー(登録商標)ディスク装置、ハードディスク装置、光学ディスク装置、またはテープ装置、フラッシュメモリ、あるいは他の類似する固体記憶装置、あるいは、複数の装置のアレイであり得、これには、ストレージ・エリア・ネットワークまたは他の構成の装置が含まれる。1つの実装においては、コンピュータープログラム製品が、情報担体の中で明白に具体化される。コンピュータープログラム製品には、上記に記載されたもののような、実行される際に1つ以上の方法を実施する指示が含まれる。情報担体は、コンピューターまたは機械で読み取り可能な媒体(例えば、メモリ704、記憶装置706、プロセッサ702上のメモリ、または伝播信号((propagated signal)))である。
高速制御装置708は、コンピューター機器700について帯域集中操作を取り扱い、一方、低速制御装置712は、低帯域幅集中操作を取り扱う。そのようなデューティーの配分は例にすぎない。1つの実装においては、高速制御装置708は、メモリ707、ディスプレイ716に(例えば、グラフィックプロセッサまたはアクセラレーターを介して)、および様々な拡張カード(示されない)に対応することができる高速拡張ポート710に対して接続される。この実装においては、低速制御装置712は、記憶装置706と低速拡張ポート714に接続される。低速拡張ポート(これには様々な通信ポート(例えば、USB、ブルートゥース、イーサネット(登録商標)、ワイヤレス・イーサネット(登録商標))が含まれ得る)は、1つ以上の入力/出力装置(例えば、キーボード、ポインティング・デバイス、スキャナ、またはスイッチもしくはルーターのようなネットワークデバイス)に、例えば、ネットワークアダプターを介して接続され得る。
コンピューター機器700は、図に示されるように、多数の様々な形式で実装され得る。例えば、これは、標準サーバー720として実装され得るか、または、そのようなサーバーの1つのグループにおいて複数回実装され得る。これはまた、ラック・サーバー・システム724の一部としても実装され得る。加えて、これは、ラップトップコンピューター722のようなパーソナルコンピューターの中で実装することもできる。あるいは、コンピューター機器700の構成部品は、携帯機器(示されない)(例えば、機器750)の他の構成部品と組み合わせることができる。そのような機器にはそれぞれ、1つ以上のコンピューター機器700、750が含まれ得、そしてシステム全体は、互いに接続されている多数のコンピューター機器700、750から構成され得る。
コンピューター機器750には、構成部品の中でも特に、プロセッサ752、メモリ764、入力/出力装置(例えば、ディスプレイ754)、通信インターフェース766、およびトランシーバー768が含まれる。機器750はまた、さらなる記憶装置を提供するために、記憶装置(例えば、マイクロドライブまたは他のデバイス)と一緒に提供され得る。構成部品750、752、764、754、766、および768はそれぞれ、様々なバスを使用して相互接続され、そして構成部品のいくつかは、必要に応じて、共通のマザーボード上または他の形式で取り付けられ得る。
プロセッサ752は、メモリ764に記憶された指示を含む、コンピューター機器750の中での実行のための指示を処理することができる。このプロセッサにはまた、別々のアナログプロセッサとデジタルプロセッサも含まれ得る。このプロセッサによって、例えば、機器750の他の構成部品の調整、例えば、ユーザー・インターフェースの制御、機器750によるアプリケーションの起動、および機器750によるワイヤレス通信が提供され得る。
プロセッサ752は、コントロールインターフェース758と、ディスプレイ754に接続されたディスプレイインターフェース756を通じて、ユーザーと通信することができる。ディスプレイ754は、例えば、TFT LCD ディスプレイまたはOLED ディスプレイ、あるいは他の適切なディスプレイ技術であり得る。ディスプレイインターフェース756には、図形情報および他の情報をユーザーに示すようにディスプレイ754を動かすための適切な電気回路が含まれ得る。コントロールインターフェース758はユーザーからコマンドを受け取り、それらをプロセッサ752へのサブミッションのために変換することができる。加えて、外部インターフェース762は、機器750の他の機器との近域通信を可能にするためのプロセッサ752との通信を提供することができる。外部インターフェース762は、例えば、有線通信(例えば、連結手法(docking procedure)による)またはワイヤレス通信(例えば、ブルートゥースもしくは他のそのような技術)を提供することができる。
メモリ764は、コンピューター機器750の内部に情報を記憶することができる。1つの実装においては、メモリ764はコンピューターで読み取り可能な媒体である。1つの実装においては、メモリ764は、揮発性メモリ装置(単数または複数)である。別の実装においては、メモリ764は、不揮発性メモリ装置(単数または複数)である。増設メモリ774もまた提供され得、拡張インターフェース772を介して機器750に接続され得る。これには、例えば、SIMMカードインターフェースが含まれ得る。このような増設メモリ774は、機器750に外部記憶領域を提供することができ、また、アプリケーションまたは機器750についての他の情報を記憶することもできる。具体的には、増設メモリ774には、上記に記載された処理を実行するかまたは補うための指示が含まれ得、そしてセキュリティー情報もまた含まれ得る。このように、例えば、増設メモリ774は機器750のセキュリティーモジュールとして提供され得、そして機器750の安全な使用を可能にする指示にしたがってプログラミングされ得る。加えて、安全なアプリケーションは、ハッキング不可能な形式でSIMMカード上に識別情報をいれることのようなさらなる情報とともにSIMMカードを介して提供され得る。
メモリには、例えば、以下で議論されるような、フラッシュメモリおよび/またはMRAMメモリが含まれ得る。1つの実装においては、コンピュータープログラム製品は、情報担体の中で明白に具体化される。コンピュータープログラム製品には、上記に記載されたもののような、実行の際に1つ以上の方法を実施する指示が含まれる。情報担体は、コンピューターまたは機械で読み取り可能な媒体(例えば、メモリ764、増設メモリ774、プロセッサ752上のメモリ、または伝播信号)である。
機器750は、通信インターフェース766を通じてワイヤレス通信することができる。通信インターフェースには、必要に応じて、デジタル信号を処理する電気回路が含まれ得る。通信インターフェース766は、様々なモードまたはプロトコール(例えば、特に、GSM音声電話、SMS、EMS、またはMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000、またはGPRSなど)下で通信を提供することができる。このような通信は、例えば、無線周波数トランシーバー768を介してもたらされ得る。加えて、狭域通信が、例えば、ブルートゥース、WiFi、または他のそのようなトランシーバー(示されない)を使用してもたらされ得る。加えて、GPS受信機モジュール770により、機器750にさらなるワイヤレスデータが提供され得る。これは、必要に応じて、機器750上でのアプリケーションの起動によって使用され得る。
機器750はまた、音声コーデック760を使用して音声によっても通信することができる。音声コーデック760は、ユーザーから音声情報を受信することができ、これを、使用可能なデジタル情報に変換することができる。音声コーデック760はさらに、例えば、(例えば、機器750の送受話器の中にある)スピーカーを介して、ユーザーに聞こえる音声を作り出すことができる。そのような音声には、音声通話による音声が含まれ得、録音された音声(例えば、音声メッセージ、音楽ファイル、など)が含まれ得、そしてまた、機器750を操作するアプリケーションによって作製された音声も含まれ得る。
コンピューター機器750は、図に示されるように、多数の様々な形式で実行され得る。例えば、これは、携帯電話780として実施され得る。これはまた、スマートフォン782、携帯情報端末、または他の類似する携帯機器の一部としても実施され得る。
適切である場合には、本明細書中に記載されるこれらのシステムと機能操作は、本明細書中に開示される構造の手段およびその構造的均等物、あるいはそれらの組み合わせを含む、デジタル電気回路の中で、またはコンピューターソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアの中で実行され得る。これらの技術は、例えば、データ処理装置(例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピューター、またはマルチコンピューター)の操作による実行のために、あるいはそれらの操作を制御するために、1つ以上のコンピュータープログラム製品(すなわち、情報担体の中に(例えば、機械で読み取り可能な記憶装置の中に、または伝播信号の中に)明白に具体化された1つ以上のコンピュータープログラム)として実施され得る。コンピュータープログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても公知である)は、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書き込むことことができ、そしてこれは、スタンド・アロン・プログラムとして、またはコンピューター環境での使用に適しているモジュール、構成部品、サブルーチン、または他のユニットとしての形式を含む、任意の形式で展開され得る。コンピュータープログラムは、必ずしもファイルに対応している必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保存するファイルの一部分に、問題になっているプログラムのために設けられた1つのファイルの中に、または多重協調ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を保存するファイル)の中に記憶され得る。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上で、またはマルチコンピューター上の1つの部位もしくは複数の部位にまたがって実行されるように展開され得、そして、通信ネットワークによって相互接続され得る。
本明細書中に記載される処理と論理の流れは、入力データを操作し、そして出力を生じることによって記載される関数を実行するように、1つ以上のプログラム可能なプロセッサに1つ以上のコンピュータープログラムを実行させることによって、行われ得る。この処理と論理の流れはまた、特定の目的用の論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array))またはASIC(特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit))によっても実行され得、そしてこの装置は特定の目的用の論理回路としても実施され得る。
コンピュータープログラムの実行に適しているプロセッサとしては、例えば、一般的なマイクロプロセッサと特定の目的用のマイクロプロセッサの両方、ならびに、任意の種のデジタルコンピューターの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的には、このプロセッサは、メモリまたはランダム・アクセス・メモリだけ、あるいはそれらの両方の読み込みによる指示およびデータを受け取るであろう。コンピューターに必須の構成要素は、指示を実行するためのプロセッサ、および指示とデータを記憶させるための1つ以上の記憶装置である。一般的には、コンピューターにはまた、データを記憶させるための1つ以上の大容量記憶装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光学ディスク)も含まれるか、あるいは、それらからデータを受信もしくはそれらにデータを送信するか、またはその両方のために動作可能であるように連結されるであろう。コンピュータープログラムの指示およびデータを具体化するために適している情報担体としては、あらゆる形態の不揮発性メモリが挙げられ、これには、例えば、半導体記憶装置、(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置を含む);磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク);光磁気ディスク;ならびに、CD ROMおよびDVD−ROMディスクが含まれる。プロセッサとメモリは、特定の目的用の論理回路によって補完され得るか、または、そのような回路に組み込まれ得る。
ユーザーとの通信を提供するために、記載される技術の複数の態様は、ユーザーに対して情報を提示するためのディスプレイ装置(例えば、CRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニター)と、キーボードおよびポインティング・デバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)(それにより、ユーザーは、コンピューターに入力を提供することができる)を有しているコンピューター上で実施され得る。他の種類のデバイスも、同様にユーザーとの通信を提供するために使用することができる;例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であり得;そしてユーザーからの入力は、任意の形態(音響入力、音声入力、または触知性入力(tactile input)を含む)で受信することができる。
この技術は、バックエンド構成部品(back−end component)を、例えば、データサーバーとして含むか、または、ミドルウェア構成部品(middleware component)(例えば、アプリケーションサーバー)を含むか、または、フロントエンド構成部品(front−end component)(例えば、グラフィカル・ユーザー・インターフェースもしくはウェブブラウザ(それを通じて、ユーザーが実施をやりとりすることができる(through which a user can interact with an implementation)を有しているクライアントコンピューター)、あるいはそのようなバックエンド構成部品、ミドルウェア構成部品、またはフロントエンド構成部品の任意の組み合わせを含む、コンピューターシステムの中で実施され得る。このシステムの構成部品は、デジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)の任意の形態または媒体によって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)(例えば、インターネット)が挙げられる。
コンピューターシステムには、クライアントとサーバーが含まれ得る。クライアントとサーバーは、一般的には、互いに離れており、通常は、通信ネットワークを通じて通信する。クライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピューターを実行し、そしてクライアント−サーバーの互いの関係を有しているコンピュータープログラムによって生じる。
1つのコンピューターによって実行されるモデリングアルゴリズム(すなわち、線形二次分析)が本明細書中に記載されるが、そのようなアルゴリズム自体は、一般的には、本発明の範囲の外側にある。他のソフトウェアをベースとするモデリングアルゴリズムもまた、単独で、または例えば、分類、もしくはデシジョンツリー(decision trees)、サポートベクター機構、またはニューラル・ネットワークのような組み合わせで利用することができる。
本発明は、以下の実施例にさらに記載される。以下の実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
(実施例1)
放射線感受性システムのモデルは放射線に対する反応の中心的な調節経路を捉える
本明細書中に記載される方法で使用したモデルは、60のNCIパネル由来の48種類のガン細胞株(表1に列挙する)の中で開発された。放射線感受性の測定値(2Gyでのクローンの生存性によって決定した、SF2)は、公知の方法(Guptaら、Cancer Res 2001;61:4278−82;Torres−Rocaら、Cancer Res 2005;65(16):7169−76)(25種類の細胞株)を使用して決定したか、または文献から得た(23種類の細胞株)かのいずれかであった。それぞれの細胞株についてのSF2の結果を表1に示す。
全ての細胞株についてのベースラインでの遺伝子発現プロフィールは、以前に公開された実験によるAffymetrix HU6800チップ(7,129種類の遺伝子)からのものである(Stauntonら、Proc Natl Acad Sci USA 2001;98(19):10787−92)。これらは、公開されている実験についての補足データとして公に入手することができる(Stauntonら、2001)。遺伝子発現データを、平均差ユニット(average difference unit)においてAffymetrix MAS 4.0アルゴリズムを使用してあらかじめ前処理した。ネガティブ発現値をゼロに設定し、チップを同じ平均強度になるように正規化した。
全7,129種類から、目的の遺伝子のサブセットを線形回帰アルゴリズムによって選択した。ここでは、48種類のガン細胞株のデータベースの中で、2Gyでの生存率(SF2)に基づいて放射線感受性をモデル化した。データベース中の全ての細胞株について、遺伝子発現プロフィールとSF2とを、上記に記載したように予め決定しておいた。
一般的な線形モデルを、SF2値をモデル化するために、細胞株のデータセットの中のそれぞれの遺伝子について作成した。線形モデルにおいて使用した独立変数は、遺伝子発現、p53変異状態(17種類の株は野生型、31種類は変異体)、ras変異状態(33の野生型、15の変異体)、および原発組織(TO)であった。それぞれのカテゴリーに含まれる細胞株の数のさらなる詳細については、表2および表3を参照のこと。原発組織、p53変異、およびras変異は、「ダミー」変数を使用してコード化した(0/1)。
線形モデル形式は、最初に、全ての項(9種類のTO、ras野生型/変異体、p53野生型/変異体)と、これらの項のうちの2way相互作用、3way相互作用、および4way相互作用を考慮した。線形依存項を考慮しなければ、観察した数(すなわち、48)よりもはるかに多い、全部で180の項がある。これには、インターセプト、単一変数(遺伝子発現、9種類のTO、2種類のp53、2種類のras)を含む14項、53の2変数関係の項(paired term)、76の3変数関係の項、そして36の4変数関係にある項が含まれる。しかし、非単一変数項の数はサンプルサイズの理由から極めて少なく(表3)、線形依存変数(通常は、影響のない相互作用)はこのモデルよりも少ない。より多数の変数の相互作用は、線形依存変数の場合はさらに少なくなる。したがって、この線形モデルには、わずかに29項(インターセプト、遺伝子発現、9種類のTO、p53、ras、15の2way相互作用、および2の3way相互作用)しか存在しない。生物学的状態を考慮する場合には、インターセプトは使用されず、したがって、28の生物学的状態が生じた。このモデルは、データを顕著にオーバーフィッティング(overfit)させると予想される;しかし、有意な関係を統計的に決定することとは対照的に、探索的な形式でデータの関係を明らかにするために、このモデルを使用した。
上記に基づくモデルを、最少二乗フィットを使用してデータセット中のそれぞれの遺伝子について構築した。残差二乗和(sum of squares of residuals)によって測定した場合に、最もうまくフィットした遺伝子を選択した。遺伝子をベースとする線形モデルを、生物学的特徴(原発組織、ras状態(変異体対野生型)、およびp53状態(変異体対野生型))から単純に予想したフィットに対して比較した。この、よりシンプルなモデルでは28項が使用され、1.208211の残差の二乗誤差の和(sum of squared error of residuals)が生じた。
得られたモデル:
SF2=k+k(y)+k(TO)+k(ras状態)+k(p53状態)+k(y)(TO)+k(y)(ras状態)+k(TO)(ras状態)+k(y)(p53状態)+k(TO)(p53)+k10(ras状態)(p53状態)+k11(y)(TO)(ras状態)+k12(y)(ras状態)(p53状態)+k13(TO)(ras状態)(p53状態)+k14(y)(TO)(ras状態)(p53状態) 。
生物学的特徴のモデルからの二乗誤差の和(sum squared error)の最大45%に相当する500種類の遺伝子に基づくモデルを選択した(threshold ssq=0.5416959)。図6に列挙する500種類の遺伝子は、チップ上のプローブセットの総数の7%を示す。
次に、経路分析(pathway analysis)を、同定した遺伝子の生物学的有意性を試験するために行った。これらの遺伝子を提示している500種類のプローブセットを、GeneGO MetaCoreソフトウェア(GeneGO,Encinitas,CA)にロードし、様々な経路での有意な過剰提示(over representation)について分析した;プライマリーエッジ(インターコネクション)を、リテラチャーベースアノテーションを使用してプロットし、このモデルを、5を超えるエッジを持ち、そしてネットワーク中に隠されたエッジが50%未満である全ての遺伝子(ネットワークハブ)を同定することによって、縮小させた。485のプローブセットがGeneGOの中で認識された。
遺伝子ネットワークの中のハブは、5個より多いコネクションからなり、ネットワーク中に隠されたエッジが50%未満であるノードとして、GeneGO(商標)ソフトウェアを使用して定義された。表5は、(それぞれのハブについて個々のプラットフォーム上で使用されたプローブセットとともに)エッジの数と隠されたエッジの数とともに、放射線反応ネットワークの中の定義された全てのハブについての詳細を記載する。
Gatherプログラム(Gene Annotation Tool to Help Explain Relationships(Chang and Nevins,Bioinformatics 22(23):2926−2933,2006)ツールを、10種類の遺伝子から複数の項の有意な関係を同定するために使用した。p<0.005の閾値をカットオフとして使用した。
5を超えるコネクションを持ち、ネットワーク中に隠されたエッジが50%未満である全てのハブを、分類の目的のためにメジャーハブ(major hub)として選択した。表6に列挙する遺伝子を選択した。それぞれのプラットフォーム(Affymetrix HU6800,HG U133Plus 2.0およびNKI cDNAアレイ)上で使用したプローブもまた表3に列挙する。一致は、もとのHU6800プラットフォームに対する配列類似性から同定した。
表6は、発現について放射線感受性モデルを構築した10種類の「ハブ」遺伝子を示す。これらの遺伝子はまた、本明細書中ではシグネチャー遺伝子とも呼ばれる。
選択した遺伝子は、これらが放射線シグナルの伝達の調節に関与していることが報告されているので、生物学的に重要である(Dengら、Nat Genet 2004;36(8):906−12;Hallahanら、International Journal of Radiation OncologyBiologyPhysics 1996;36(2):355−60;Kaoら、J Biol Chem 1999;274(49):34779−84;Li and Karin,PNAS 1998;95(22):13012−7;Liuら、Molecular Cell 2006;21(4):467−80;Marten Fryknasら、International Journal of Cancer 2007;120(l):189−95;Nakajimaら、Radiat Res 2004;161(5):528−34;Pammentら、Oncogene 2002;21(51):7776−85;Terzoudiら、Int J Radiat Biol 2000;76(5):607−15;Wangら、Nucleic Acids Res 2005;33(13):4023−34)。加えて、7/10(HDAC1、PKC−β、NFKB、c−Abl、STAT1、AR、CDK1)が、放射線増感剤の開発の対象として研究されている(Wangら、Nucleic Acids Res 2005;33(13):4023−34;Russellら、Cancer Res 2003;63(21):7377−83;Maら、J Clin Oncol 2003;21(14):2760−76;Cernaら、Current topics in developmental biology 2006;73:173−204;Milasら、Head & Neck 2003;25(2):152−67,Kaminskiら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2003;57(l):24−8)。さらに、10遺伝子システムモデルによって捕捉された遺伝子オントロジー(GO)の項には、DNA損傷応答、ヒストン脱アセチル化、細胞周期の調節、アポトーシスおよび増殖が含まれ、これらは全て、放射線反応において重要な役割を果たす(Marplesら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2008;70(5):1310−8;Chinnaiyanら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;62(l):223−9)Lindsayら、Br J Radiol.2007年9月;80 Spec No 1:S2−6;Maら、2003,前出)。1つの重要な例外には、低酸素症状態が含まれる(Moellerら、Cancer Metastasis Rev 2007;26(2):241−8)。しかし、分析が正常酸素圧条件下で得られたデータに基づくので、本発明者らは、低酸素症状態に関係する遺伝子を捉えるためのモデルは期待できなかった。まとめると、このシステムモデルは、放射線感受性を調節することに関係がある中心的経路(central pathway)と遺伝子とを捉える。
8種類の細胞株を、このシステムモデルにおいてc−junの重要性を実証するために使用した。それぞれの実験において、プールしたsiRNAとc−jun siRNAについての実験を数回行った(すなわち、繰り返した)。c−Junノックダウンの、細胞株についての影響の1つの判断は、一緒に実行した実験と対照との間でのウィルコクソン符号順位検定(Wilcoxon signed−rank test)である。表7は、原発組織、実施した実験の回数、平均値(標準偏差とともに)、および平均値間での差を試験したp値(細胞株再現実験(cell line replicate experiments)についてのウィルコクソン符号順位検定)を含む、実施した実験の特徴を示す。
これらの結果は、このモデルの中の少なくとも1つの遺伝子c−junが、放射線に対する細胞性の応答に機構的に関係していることを示している。
(実施例3)
このシステムモデルに基づく放射線感受性予測モデルの開発
放射線感受性を予測するための線形回帰アルゴリズムを開発し、このシステムモデルの中の10種類の遺伝子の遺伝子発現を使用して最適化した。
他のデータセットへのこのモデルの変換は重要な要件であり、したがって、ハブに発現によってランクを割り当て(10種類の遺伝子の中で最も発現が低かったものを1とランク付けするように、10種類の同定した遺伝子についての遺伝子発現データをランク付けした;HDAC遺伝子の発現が、一般的には10種類の遺伝子のうちで最も高く、したがって、多くの場合に10とランク付けした)、線形回帰モデルを、R統計ソフトウェアパッケージ(R statical software package)(ワールド・ワイド・ウェブ上でr−project.orgで利用することができる)を使用した48種類の細胞株の中での発現レベルに基づいて、(絶対的発現の代わりに)これらのランクから構築した(Xuら、BMC Bioinformatics 2008;9:125)。このモデルによって、データベース中の細胞株について測定した所定の線量での生存率に基づく連続放射線感受性指数(RSI)(continuous radiation sensitivity index)を予測した。このように、放射線感受性指数は放射線耐性と正比例する(高い指数=放射線耐性)。10個のハブを細胞株のデータから選択したので、この線形回帰モデルの交差検定(cross−validation)によっては、精度の楽観的に偏った推定がもたらされるであろう。結果として、さらなるデータセットを検証のために使用した。
10個のハブ遺伝子の発現に基づく一般的なモデルは以下のとおりであり、これには、列挙した遺伝子の発現レベルを示す各項についての重み付け係数が含まれる:
本発明の方法を使用して同定した2Gyの線量でのRSIを決定するためのrank−based線形回帰方程式は以下:
である。
(実施例3)
放射線感受性モデルによって、直腸ガンおよび食道ガンにおいて化学放射線治療に対する病的反応を予測する
次いで、実施例1〜2に記載するように開発した回帰モデルを、放射線感受性指数(RSI)を得るために、同様にランク付けした患者データに適用した。
このモデルを、直腸ガン(n=14)および食道ガン(n=12)の患者の2つの無関係な、期待されるとして集めた(prospectively collected)パイロットコホート(pilot cohort)において、同時放射線化学療法に対する臨床反応の予測のために適用した。病的反応は、T stage基準(方法を参照のこと)で定義した。
14人の患者からなる直腸ガンのコホートを、IRBによって承認されたプロスペクティブ第1相臨床試験に登録し、直腸ガンの患者において放射線感作薬としての漸増用量の経口トポテカンを評価した。インフォームドコンセントを、登録前に全ての患者について得た。適格基準には、少なくとも3cmの大きさであり、T〜Tの臨床病期にある原発腫瘍を持つ、組織学的に確認された直腸ガンを有している患者を含めた。2またはそれ未満のECOG一般状態(performance status)と、さらに、3ヶ月を超える平均余命も必要要件とした。診断は、最初に病院を訪れた時点から、または治療の開始から、90日を越えてはならない。全ての実験用被験体は、H Lee Moffitt Cancer Center and Research Instituteで処置した。被験体を、超音波内視鏡検査(EUS)によって臨床的に病期分類した。腫瘍と、隣接している正常な粘膜の生検(最少でも5つのコア生検)を、マイクロアレイ分析のために、治療開始前と、術前放射線化学療法の10日目から14日目の間に得た。この研究の目的だけのために、前処理した腫瘍組織マイクロアレイを利用した。生検を液体窒素の中で瞬間冷凍した。生検のマクロ解剖(macrodissection)または顕微解剖は行わなかった。
全ての実験用被験体を、術前の同時放射線化学療法で処置し、術前処置の完了後8週間以内に外科手術による切除を行った(13/14においてAPRまたはLAR)。経口トポテカンの最初の用量は0.25mg/mであり、これを、毎日、XRTの少なくとも3時間前に投与した。患者を、3領域(three field)または4領域(four field)のいずれかの3次元原体技術(3−D conformal technique)で、標準的な骨盤照射野(pelvic field)に、1日あたり45Gyで処置した(治療中心(isocenter)に処方)。表8は、このコホートの臨床所見のまとめを示す。
直腸ガンのコホートにおける病的反応は、前処理EUSと検体の病理学的評価との間での、原発腫瘍における少なくとも1つのT stageの低下によって定義した(Janjanら、Int.J.Rad.Oncol.Biol.Phys.1999;44(5):1027−38;Janjanら、Am J Clin Oncol 2001;24(2):107−12)。臨床的な完全寛解は、外科検体(原発性およびリンパ節)の中に腫瘍の兆候がないと定義した。この定義に基づいて、患者のうちの57%(8/14)を応答者と考えた。
食道ガンのコホートは、食道ガンの予測値の分子シグネチャーを定義する目的で、IRBによって承認されたプロスペクティブ組織採取試験(prospective tissue collection trial)に登録された12人の患者からなる。臨床管理はプロトコールによっては決まらず、処置を行う医師の臨床的判断に委ねた。処置の詳細を表9に示す。適格基準には、食道ガンの組織学的診断、評価を行う医師による術前放射線化学療法および/または食道切除術についての妥当な候補であるとの判断を含めた。ECOG一般状態(ECOG performance)が2未満であることを必要要件とした。加えて、患者が化学療法を受けたことがないことも必要要件とした。実験用被験体をEUSによって病期分類した。腫瘍と正常な粘膜の生検を、マイクロアレイ分析のために液体窒素の中で瞬間冷凍した。
このコホートの中の全ての被験体を、その後に計画的な食道切除術が行われる、同時放射線化学療法で処置した。9/12に計画的な食道切除術を受けさせた。3人の患者については、同時放射線化学療法は完了したが、患者または医師の希望(2人の患者)または進行性の疾患(1人の患者)の理由から、手術は行わなかった。このコホートの臨床所見を表9にまとめる。
食道ガンのコホートにおける臨床反応は、前処理EUS評価と検体の病理学的評価との間での少なくとも2つのT stageの低下として定義した(Chirieacら、Cancer 2005;103(7):1347−55)。本発明者らのコホートの中の3人の患者には食道切除術を行わなかった。1人は術前治療の間に進行性の疾患があり;他の2人は、臨床的に完全寛解し(PETおよび/またはEUS、ならびに生検によって確認した)、処置の完了後、少なくとも1年間は疾患の兆候がなかった。この定義に基づいて、患者のうちの50%(6/12)を応答者と考えた。
サンプリングした検体を切除から15分以内に瞬間冷凍し、RNAを抽出した。取り出した組織から全RNAを、TRIZOL(商標)試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)と製造業者によるプロトコールを使用して単離した。TRIZOL(商標)試薬から分離したRNAを含む水相を、RNeasy清浄法(Qiagen Inc.,Valencia,CA)を使用してさらに精製した。その後、全RNAの質を、アガロースゲル電気泳動とA260/280比によって、またはAgilent 2100 Bioanalyzer上での分析によって評価した。それぞれの試料に由来する5マイクログラムの全RNAを、マイクロアレイ分析のために処理した。ポリ(A)RNAを特異的にcDNAへと変換させ、その後、増幅させ、Van Gelderら、(Proc Natl Acad Sci USA 1990;87(5):1663−7)によって最初に記載された手順にしたがってビオチンで標識した。チップの、ビオチン標識したRNAとのハイブリダイゼーション、染色、およびスキャンは、Affymetrix技術マニュアルの中で概説されており、以前に記載されている(Dobbinら、Clin Cancer Res 2005;11(2Pt1):565−72)過去に記載された手順にしたがった。
使用したオリゴヌクレオチドプローブアレイは、Affymetrix U133A 2.0 plusチップである。最初の細胞株についてのデータはHU6800 GeneChipで作成したが、患者の新しい発現データはHG−U133Plusチップ上で作成したので、これには、表6のハブプローブセットの変換が必要であった。これは、それから6800プローブセットを設計したコンセンサス配列に対する最良のU133+プローブセットの一致を見出すためのblastプログラムを使用して行った。この変換にはAffymetrix NetAffxソフトウェアも使用した。スキャンした出力ファイルを、ハイブリダイゼーションの不自然な結果(artifact)について目で検査し、その後、ロバストマルチアレイ分析法(robust multi−array analysis method)(RMA)を使用して分析した(Irizarryら、Nucleic Acids Res 2003;31(4):e15(27))。患者のコホートについての統計学的試験を、片側マンホイットニー試験を使用して、予測したRSI値から決定した。この試験を、予測したRSIが非応答者よりも有意に高いかどうかを決定するために使用した。患者の反応についての棒グラフは、直腸ガンのデータと食道ガンのデータの両方において、それぞれの反応グループについての平均と標準誤差の値を使用してグラフにした。低いRSI値と高いRSI値との間での無再発生存率の差を、打ち切った生存期間のログランク検定(log−rank test)を使用して計算した。
図1に示すように、このモデルは、臨床パイロットコホート(pilot clinical cohort)において、非応答者(NR)から応答者(R)を明白に分けた(全ての患者、平均の予測した放射線感受性指数、R対NR 0.34対0.48、p=0.002)。重要なことは、このモデルが、患者の数が少ないにもかかわらず、いずれの疾患のコホートにおいても正確であったことである(直腸ガンの患者、平均の予測した放射線感受性指数、R対NR 0.32対0.46、p=0.03)(食道ガンの患者、平均の予測した放射線感受性指数、R対NR 0.37対0.50,p=0.05)。
このモデルをさらに記載するために、ROC曲線(図2)を、予測した放射線感受性指数値を使用して作製して、予測因子の感受性と特異性を決定した。0.46のRSI閾値を使用した場合には、このモデルは、それぞれ、80%および82%の感受性と特異性を有しており、ポジティブな予測値(PPV)は86%であった。加えて、2つのコホートの中には、病理学的な完全寛解を経験した患者が8人いた。完全な応答者のうちの6/8は、予測した放射線感受性指数が閾値を下回っていた。これらの数は、この予測因子は化学療法の放射線感作作用を考慮するようには開発されていないので、楽観的であり、化学療法を含めることは、予測の不正確さの原因となると予想された。
これらの結果は、連続型変数として分析した場合には、RSIが、術前同時化学放射線治療で処置した直腸ガンの患者と食道ガンの患者において、病的反応と相関関係にあることを示す。
このモデルが食道のデータセットと直腸のデータセットにおいて二分された場合には、擬陰性(放射線耐性と予測したが、反応した)が主な不正確さであることに留意することが重要である。この集団は、食道ガンのコホートと直腸ガンのコホートにおいては、誤って分類されたケースのうちの60%を占めていた。この不正確さは、化学療法の放射線感作作用に起因する可能性がある。このグループに分類された直腸のデータセットと食道のデータセットの中の個体の割合(11.5%)は、放射線治療だけの場合を上回る、同時化学療法を用いた場合の臨床反応において観察された改善と一致する(Herskovicら、The New England Journal of Medicine 1992;326(24):1593−8;Al−Sarrafら、J Clin Oncol 1997;15(1):277−84(公開された正誤表はJ Clin Oncol 1997 Feb;15(2):866の中に見られる);Bossetら、The New England journal of medicine 2006;355(11):1114−23)。したがって、この効果を、予測された放射線耐性の表現形が共通している応答者と非応答者との間での差を分析することによって取り扱うことができる可能性がある。
実施例4
放射線感受性予測モデルは頭頸部ガンの予測値である。
このモデルを、決定的な同時放射線化学療法で処置した局所進行性の頭頸部ガンの患者において、前兆マーカーとしてさらに試験した。
頭頸部ガンのコホートは、The Netherlands Cancer Instituteでプロスペクティブ無作為化II−III相臨床試験において処置した、頭頸部ガンの92人の患者からなる。腫瘍の大部分は局所進行性であった(94%のT3およびそれ以上、74%のN1およびそれ以上)。このコホートについての完全な臨床的詳細は以前に公開されている(Pramanaら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007;69(5):1544−52)。全ての患者を、シスプラチンに基づく化学療法で、同時放射線化学療法によって処置した。全放射線量は、全ての症例において、2Gyの日々分割線量で70Gyであった。シスプラチンの2種類のスケジュールを投与した:1.(高用量)100mg/mのIV、放射線治療の間に3回、または放射線治療の間に4回、動脈内に150mg/mを投与;あるいは、2.(低用量)毎日20×6mg/m。化学療法のスケジュールの間では、疾患の結果に差は見られなかった。
全ての患者についての遺伝子発現プロフィールを、NKIアレイを使用して作成した。これらの方法は以前に公開されている。Pramanaら、Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007;69(5):1544−52を参照のこと。プローブを、HU6800プラットフォームからHG−U133 Plus 2.0プラットフォームおよびNKIアレイ形式に、対応するNCBI refseq IDまたはゲノム領域上にプローブ配列をマッピングし、その後、新しいマイクロアレイプラットフォーム上での最も近いプローブの一致を同定することによって、マッピングした。
細胞株の中で開発し、直腸のコホートと食道のコホートにおいて試験した同じアルゴリズムを使用して、放射線感受性の予測をこのデータセットについて作成した。平均の放射線感受性指数の予測は、直腸および食道と比較して、この疾患部位では低かった(予測した放射線感受性指数、頭頸部対食道対直腸 0.06対0.43対0.39)。これは、部分的に、これらの疾患の間での放射線感受性の差の関数であり得るが、これは、プラットフォームの違い(Affymetrix U133 Plus対NKIアレイ)が原因である可能性もあった。これらの差にもかかわらず、放射線感受性指数は、頭頸部のデータセットにおいてはなおも予測値(prognostic value)であった。予測した放射線感受性グループは、改善された2年無再発生存率を有しており(2yr RFS 86%対62%、p=0.06)、したがって、このモデルが、複数の疾患部位にまたがって腫瘍の放射線感受性を決定する生物学的共通点を捕らえていることの証拠となっている(図3)。
これらの結果は、RSIが、局所進行性の頭頸部ガンを有している92人の患者のコホートにおいて前兆としての意義があるものであることを示している。3つの異なる疾患部位でのこのモデルの適用可能性は、このモデルが複数の疾患部位にまたがって放射線感受性を定義する共通点を捉えることを強く示唆している。したがって、このモデルは、一般的に、他の疾患部位(例えば、肺ガン、前立腺ガン、子宮頸ガン)にも適用可能であるはずである。
加えて、上記のように、頭頸部のデータセットにおける遺伝子発現は、2チャンネルに基づくcDNAマイクロアレイプラットフォームであるNKIアレイから導かれ、一方、食道ガンのコホートと直腸ガンのコホートにおける遺伝子発現データは、Affymetrix U−133 Plusマイクロアレイから導かれた。これは、このアルゴリズムが複数のプラットフォームに転送可能であることを示している。
実施例5
放射線感受性と有意に関係がある遺伝子のサブセットの同定
10種類の上記シグネチャー遺伝子の全てがロバスト予測に必要であるかどうかを決定するために、サブセットの分析を本明細書中に記載する方法を使用して行った。
10種類のシグネチャー遺伝子を考慮して、これらの遺伝子のサブセットを選択し、先に記載した患者のコホートの中で統計学的有意性について試験した。それぞれのサブセットについて、遺伝子発現データをランク付けし、線形回帰モデルを構築した。これらのモデルの係数とランクは、10遺伝子モデルとは異なる。新しいモデルをそれぞれ、食道ガンの患者のコホートと直腸ガンの患者のコホートについてRSI予測を作成し、そして応答者と非応答者との間でのRSIの有意な差について片側Wilcox試験を使用することによって評価した。加えて、Studentの片側t検定も、統計的有意性を評価するために使用した。
同様に、RSI予測を、頭頸部ガンの患者のセットについても作製した。ここでは、予測したRSIの25パーセンタイルを、患者の腫瘍の放射線感受性または放射線耐性を判定するための閾値として、上記に記載したように使用した(局所再発までの時間の目的のために)。log−rank統計試験を、統計的有意性を評価するために、予測した放射線感受性グループと放射線耐性グループとの間で、無再発生存期間について行った。加えて、平均の予測したRSIもまた閾値として使用し、評価した。
予測のためのrank−basedアプローチでは、1つの遺伝子を使用することはできない。加えて、2つの遺伝子のいくつかのサブセットによっては、全ての細胞株について同一のランキングが生じ、それにより、評価できるサブセットの数が限定される。
可能性のある遺伝子の組み合わせ全てを、上記の患者のコホートのそれぞれにおいて評価した。表10と表11は、遺伝子の統計学的に有意なサブセット(「_」によってつながれた遺伝子記号)についての結果と、(先に記載した様式での)応答者と非応答者との間での有意性の試験によるp値を示す。2遺伝子から10遺伝子のサブセットまでの範囲にある多くの有意なサブセットが同定された。
頭頸部の試験においては、表10に列挙する予測したRSIの25パーセンタイルでの無再発生存率の分岐点(split)の差を考慮した場合には、遺伝子の12の有意なサブセットが存在していた。同定した予測RSIのメジアンを使用して、遺伝子のサブセットを表11に示す。
直腸および食道の試験は、2つのハブから10種類のハブ全てまでの範囲の、259の有意なサブセットを有していた;図4は、これらのサブセットのリストを示す。
頭頸部ガンの患者のコホートと直腸ガンの患者のコホートと食道ガンの患者のコホートのいずれにおいても統計学的に有意なRSI予測を生じた遺伝子のサブセットは5個あった。全てに、c−jun、STAT1、cAb1、IRF1が含まれており、これらを表12に列挙する:
これは、遺伝子のこれらのサブセットを、10種類のシグネチャー遺伝子のプロフィールの代わりに本発明の方法で使用できることを示している。
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と組み合わせて記載されているが、上記記載が説明のために意図され、本発明の範囲の限定のためには意図されないこと、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解される。他の態様、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (52)

  1. 選択された放射線治療の線量に対する細胞の感受性を予測する方法であって、該方法には:
    該細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該細胞に対して放射線感受性指数を割り当てる工程であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、工程;
    が含まれ、
    該放射線感受性指数は、該細胞が放射線治療に対して感受性があるかどうかを示す、
    方法。
  2. 前記放射線感受性指数を割り当てる工程に前記遺伝子発現レベルに線形回帰モデルを適用する工程が含まれる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記モデルがrank−based線形回帰モデルである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記細胞が腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記2つ以上のシグネチャー遺伝子が重み付けされる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記線形回帰モデルが以下:
    のアルゴリズムによって表される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記方法がコンピューターによって実行される、請求項1に記載の方法。
  8. 放射線感受性指数を割り当てる工程に、前記細胞中での前記2つ以上の遺伝子の発現のレベルを決定する工程が含まれる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記シグネチャー遺伝子に、AR、c−jun、STAT1、cAb1、SUMO1、およびIRF1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記シグネチャー遺伝子に、c−jun、STAT1、RelA、cAb1、SUMO1、およびIRF1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  11. 前記シグネチャー遺伝子に、c−jun、STAT1、PKC、RelA、cAb1、HDAC、およびIRF1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記シグネチャー遺伝子に、AR、c−jun、STAT1、PKC、RelA、cAb1、HDAC、およびIRF1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記シグネチャー遺伝子に、AR、c−jun、STAT1、PKC、RelA、cAb1、SUMO1、CDK1、HDAC、およびIRF1が含まれる、請求項1に記載の方法。
  14. 放射線感受性と関係がある遺伝子を同定する、コンピューターによって実行される方法であって、該方法には:
    放射線感受性値を細胞の1つ以上の集団に対して割り当てる工程であって、該放射線感受性値は、選択された放射線量に対する該細胞の感受性を示す、工程;
    複数の遺伝子のそれぞれについて該細胞の1つ以上の集団の中での遺伝子発現のレベルを決定する工程;および
    その発現が該放射線感受性値と相関する2つ以上の遺伝子を含むサブセットを同定する工程、
    が含まれる、方法。
  15. 前記遺伝子のサブセットを同定する工程に、遺伝子発現と放射線感受性とを示すモデルを適用する工程が含まれる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記モデルが多変量線形回帰モデルである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記モデルに、原発組織、ras状態、またはp53状態のうちの1つ、2つ、または3つ全てを示す少なくとも1つの係数が含まれる、請求項15に記載の方法。
  18. 生物学的重要度を示す分類子を、その発現が前記放射線感受性値と相関する遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子と結び付ける工程、および該生物学的重要度を示す分類子が予め選択された閾値を上回る2つ以上の遺伝子を含む第2のサブセットを選択し、それによって、生物学的に重要な遺伝子のサブセットを選択する工程がさらに含まれる、請求項15に記載の方法。
  19. 前記モデルに、前記生物学的に重要な遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子の発現に対する処置の投与の効果を示す変数がさらに含まれる、請求項18に記載の方法。
  20. 前記処置の投与の効果に基づいて、1つ以上の遺伝子を含む第3のサブセットを選択し、それにより、治療標的遺伝子のサブセットを同定する工程がさらに含まれる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記処置の効果が放射線感受性の増大である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記処置の効果が放射線感受性の低下である、請求項20に記載の方法。
  23. 前記モデルにおいて放射線感受性に対して影響を与える処置を選択する工程がさらに含まれる、請求項19に記載の方法。
  24. 腫瘍に対する放射線治療の効果を予測する方法であって:
    該腫瘍由来の細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、工程;
    が含まれ、
    該放射線感受性指数は、該放射線治療が有効である可能性があるかどうかを示す、
    方法。
  25. 被験体の腫瘍を放射線治療のレジメンについて評価する方法であって、該方法には:
    該腫瘍由来の細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、工程;
    が含まれ、
    該放射線感受性指数は、該被験体の腫瘍が放射線治療で処置されるべきかどうかを示す、方法。
  26. 腫瘍を有している被験体について処置レジメンを選択する方法であって、該方法には:
    該腫瘍由来の細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該腫瘍に対して放射線感受性指数を割り当てる工程であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、工程;ならびに
    該放射線感受性指数に基づいて該被験体について処置レジメンを選択する工程;
    が含まれる、方法。
  27. 閾値を下回る放射線感受性指数が、放射線治療が前記腫瘍の処置におそらく有効であることを示し、そして前記方法に、放射線治療を含む処置レジメンを選択する工程が含まれる、請求項26に記載の方法。
  28. 閾値を上回る放射線感受性指数が、放射線治療が腫瘍の処置におそらく有効ではないことを示し、そして前記方法に、放射線治療が排除されている処置レジメンまたは高線量の放射線治療を含む処置レジメンを選択する工程が含まれる、請求項26に記載の方法。
  29. 腫瘍を有している被験体に投与される放射線量を選択する方法であって該方法には:
    該腫瘍由来の細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該腫瘍に対して、予め選択された放射線量についての放射線感受性指数を割り当てる工程であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、工程;ならびに
    該予め選択された放射線量での該放射線感受性指数に基づいて該被験体に対する放射線量を選択する工程;
    が含まれる、方法。
  30. 前記放射線感受性指数が閾値を下回る場合には、前記予め選択された放射線量と同じであるかまたはそれ未満である放射線量を選択する工程が含まれる、請求項29に記載の方法。
  31. 前記放射線感受性指数が閾値を上回る場合には、前記予め選択された放射線量より高い放射線量を選択する工程が含まれる、請求項26に記載の方法。
  32. 複数のレコードを含むデータベースであって、個々のレコードには、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO1;CDK1(p34);HDAC1;IRF1からなる群より選択される少なくとも2つのシグネチャー遺伝子の細胞中での発現についてのデータと、選択された放射線量に対する該細胞の感受性を示す値が含まれる、データベース。
  33. 前記細胞への処置の投与に関するデータがさらに含まれている、請求項29に記載のデータベース。
  34. 前記処置が化学療法の投与である、請求項29に記載のデータベース。
  35. 前記データベースがコンピューターで読み取り可能な形態である、請求項29に記載のデータベース。
  36. 基材と、その上に配置された複数の個別にアドレス可能かつハイブリダイズ可能なアレイ構成要素を含むマイクロアレイであって、該個別にアドレス可能かつハイブリダイズ可能なアレイ構成要素は、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1からなる群より選択される少なくとも2つのシグネチャー遺伝子について選択的であり;そして、必要に応じて、少なくとも1つのハイブリダイズ可能なアレイ構成要素は、内部正規化対照遺伝子について選択的である、マイクロアレイ。
  37. 前記複数のハイブリダイズ可能なアレイ構成要素が、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1のそれぞれについて選択的な少なくとも1つの構成要素からなる、請求項33に記載のマイクロアレイ。
  38. 基材と、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1からなる群より選択される少なくとも2つのシグネチャー遺伝子の選択的定量化のための試薬を含む複数の反応チャンバーと;必要に応じて、内部正規化対照遺伝子の選択的定量化のための試薬を含む少なくとも1つの反応チャンバーとを含む、マイクロ流体デバイス。
  39. 前記複数の反応チャンバーに、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1のそれぞれの選択的定量化のための試薬が含まれ;そして少なくとも1つの反応チャンバーには、内部正規化対照遺伝子の選択的定量化のための試薬が含まれる、請求項35に記載のマイクロ流体デバイス。
  40. コンピューターに、細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の発現レベルに基づいて、該細胞に放射線感受性指数を割り当てさせるための指示を有している媒体であって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、媒体。
  41. 放射線感受性指数を割り当てることに、前記遺伝子発現レベルに線形回帰モデルを適用することが含まれる、請求項33に記載の媒体。
  42. 前記モデルが、rank−based線形回帰モデルである、請求項33に記載の媒体。
  43. 前記シグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);c−Jun;STAT1;PKC;RelA(p65);c−Abl;SUMO−1;CDK1(p34);HDAC1;およびIRF1からなる、請求項33に記載の媒体。
  44. 前記2つ以上のシグネチャー遺伝子が重み付けされる、請求項33に記載の媒体。
  45. コンピューターに:
    細胞の1つ以上の集団に放射線感受性値を割り当てさせ、ここで、該放射線感受性値は、選択された放射線量に対する該細胞の感受性を示し;
    複数の遺伝子のそれぞれについて該細胞の1つ以上の集団の中での遺伝子発現のレベルを割り当てさせ;そして、
    その発現が該放射線感受性値と相関する2つ以上の遺伝子を含むサブセットを同定させる
    ための指示を有している媒体。
  46. 前記遺伝子のサブセットを同定することに、遺伝子発現と放射線感受性とを示すモデルを適用することが含まれる、請求項42に記載の媒体。
  47. 前記モデルが多変量線形回帰モデルである、請求項43に記載の媒体。
  48. 前記モデルに、原発組織、ras状態、またはp53状態のうちの1つ、2つ、または3つ全てを示す少なくとも1つの係数が含まれる、請求項43に記載の媒体。
  49. コンピューターに、生物学的重要度を示す分類子を、その発現が前記放射線感受性値と相関する前記遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子と結びつけさせ、そして該生物学的重要度を示す分類子が予め選択された閾値を上回る2つ以上の遺伝子を含む第2のサブセットを選択させ、それによって、生物学的に重要な遺伝子のサブセットを選択させるための指示が前記媒体にさらに含まれる、請求項43に記載の媒体。
  50. 前記モデルに、前記生物学的に重要な遺伝子のサブセットの中のそれぞれの遺伝子の発現に対する処置の投与の効果を示す変数がさらに含まれる、請求項46に記載の媒体。
  51. 前記処置の投与の効果に基づいて2つ以上の遺伝子を含む第3のセブセットを選択し、それによって、治療標的遺伝子のサブセットを同定することがさらに含まれる、請求項47に記載の媒体。
  52. 細胞中での2つ以上のシグネチャー遺伝子の遺伝子発現レベルの特異的定量化のための試薬を含むキットであって、該2つ以上のシグネチャー遺伝子が、アンドロゲン受容体(AR);Junオンコジーン(c−Jun);転写のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子1(STAT1);プロテインキナーゼC,β(PRKCBまたはPKC);V−rel細網内皮症ウイルスオンコジーンホモログA(トリ)(RELAまたはp65);c−Ablオンコジーン1、受容体チロシンキナーゼ(ABL1またはc−Abl);mif two 3ホモログ1のSMT3サプレッサー(S.cerevisiae)(SUMO1);CDK1(p34);ヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1);およびインターフェロン調節因子1(IRF1)からなる群より選択される、キット。
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