JP2010505571A - 手術用アンテナ - Google Patents

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Abstract

手術器具(100)(例えば、手術用メス)が開示されており、この手術器具は、実質的に一様なマイクロ波放射場(例えば、5〜100GHzの周波数を有する)を切断素子(110)(例えばブレード)の縁部で放出するように構成されたアンテナを有する。放出された放射は、例えば破裂した血管である組織を切断と同時に焼灼することができる。アンテナは、切断素子と一体であってもよく、この切断素子は、例えば金属被覆されたセラミック片であり、導波管(120、150)の端部に、そこから放射を受け取るように取り付け可能である。切断素子(110)は、導波管(120)からの電力と効率的に結合するために、1/4波長変成器を含むことができる。この器具は、組織に送り込まれるエネルギを調整するために、インピーダンス整合装置とともに用いることができる。さらに開示されているのは、複数の放射素子を有し、(例えば、カテーテルに通すことができる)侵襲性アブレーションプローブであり、複数の放射素子が放出した場は、組み合わさり、そのプローブの挿入端で一様な効果を奏する。

Description

技術分野
本発明は、エネルギを制御可能に生物組織に送り込むのに適するよう構成された手術用アンテナに関するものである。
発明の背景
人間または動物の体内にある、非常に多くの血管が通っている臓器に手術を施した場合に血液を過度に失うことは、手術用メスの刃のような、従来の手術用具を用いた際の特有の問題である。
肝臓は、体内で最大の内部器官であり、腹部に入っている突出した腺状器官(a lobed glandular organ)である。肝臓の主な役割は、消化して得られたものを処理して、体に有用な物質にすることにある。肝臓はまた、血液中の有害物質を中和し、脂肪を消化するための胆汁を分泌し、血漿タンパク質を合成し、グリコーゲンと、一部の無機物およびビタミンとを蓄積する。肝臓が病気にかかったり、癌になったりした場合、患者を治療するために、肝臓の一部を除去したり、元の位置でガン細胞を殺したりする必要がある。従来の肝臓手術に伴う危険または欠点の一つは、手術中に失われる大量の血液である。例えば、肝腫瘍を取り除くための長く複雑な手術の間に失われる平均的な血液量は、2から20パイントであると報告されている。
肝臓を切断した場合に肝臓が出血してもよい程度は、罹患率および死亡率を左右することがあり、また、外科医に、彼または彼女が制御可能に臓器へと切り込もうとしているときに、視覚的な問題を呈することもある。
肝腫瘍または肝細胞癌は、世界中でかなり大きな死亡原因となっている。合衆国だけでも、毎年、18000人を越える人々が新しい原発性肝腫瘍であると診断されている。癌性の腫瘍および囲んでいる組織の範囲を外科手術で取り除くことが現在一般的に好まれている治療法であり、肝臓切除は、原発性および転位性肝腫瘍を治す可能性のある唯一の治療法であると一般に考えられている。
上述した問題に取り組もうとした公知の装置の1つは、4本のニードルアンテナからなり、この4本のニードルアンテナが構成されている構造では、4つのアンテナが肝組織に挿入され、そして、ニードルを囲んでいる組織が加熱されて血管を封じるように、高周波ジェネレータ(周波数範囲が480〜700kHzである)に接続される。これにより、ドライエッジ(dry edge)が得られ、このドライエッジは、腫瘍または疾患部分またはセグメントを取り除くために、その後切断される。
発明の概要
一般的にいうと、発明は、切断用ブレードと関連する手術用アンテナを提供するものであり、このアンテナは、ブレードが組織を切断する領域にマイクロ波エネルギを制御可能に送るように構成されている。マイクロ波エネルギは、血液を凝固させて、その領域での血流を効果的に封じることができる。さらに、このアンテナは、肝臓または非常に多くの血管が通っている他のあらゆる臓器の内部にある大きな癌性腫瘍を組織の壊死を引き起こ
す温度まで癌性組織を瞬時に加熱することにより治療することにも利用してよいが、組織の黒焦げを防止し、腫瘍の周りにある健康な組織に対する損傷を最小限にする。
このように、発明は、組織を凝固させること(つまり、封じること)と、効率的に切断することを同時に行うことができ、それにより、血流を減らす若しくは最小限にする、または、血液を過度に失うことを防止することができる装置を提供しうるものである。このような作用は、疾患部分を健康な部分から取り去る切断プロセスがアブレーションプロセスの後に行われる従来の装置と対照的である。
本発明は、血管が非常に多く通っている臓器または組織構造での固形臓器の手術に特に関心を寄せるものである。本発明はまた、例えば、肝臓または肺といった人体内の大きな臓器にある充実性腫瘍を除去する必要がある癌性腫瘍の治療に用いてもよい。本発明は、高周波マイクロ波放射を使用する利点を活用して、アブレーション領域を局所的なものにし、また、上記の局所領域において十分に高いエネルギ密度を生成して組織を瞬間的に加熱し、熱的アブレーションまたは焼灼を効果的に行う。これらの特徴は、切除および腫瘍アブレーションの両方の用途で有益となることができる。
よって、発明の第1の態様は、生物組織を切断するための縁部を有する切断素子と、その切断素子の縁部で実質的に一様なマイクロ波放射を放出するように構成されたアンテナとを有する手術器具を提供しうる。放射場は、切断と同時に放出され、それにより、密封(焼灼)用の放射を直ちに提供してもよい。好ましくは、アンテナは、切断器具の縁部に沿って場を放出するように構成される。アンテナは、好ましくは、マイクロ波放射の供給源と接続するための給電構造部と、放射場を放出するように構成された放射部分とを含む。切断素子は、放射部分を含んでもよく、給電構造部からエネルギを受け取るための結合部分を含んでもよい。好ましくは、結合部分は、切断素子が給電構造部から実質的に最大の場の結合を受けるのに適するよう構成される。切断素子は、近位の結合部分および遠位の放射部分を除き金属被覆された表面を有してもよい。
給電構造部は、例えば切断素子を装荷された導波管を含んでもよい。
アンテナは、複数の放射素子を含んでもよく、例えば、器具の切断用ブレードの長さを長くするために隣り合わせに取り付けられた複数の切断素子を含んでもよい。あるいは、複数のパッチアンテナが1つの切断素子にその縁部の近傍において製作されてもよい。給電構造部は、1つのマイクロ波放射供給源からの電力を複数の放射素子の各々の間で等しく分割するように構成されたパワースプリッタを含むことが好ましい。
発明に係るアンテナ構造体は、肝臓の部分を血液を過度に失うことなく取り除くことが求められる肝臓切除術での使用に適するよう構成されてもよい。肝臓の上記の部分(またはセクタ)は、癌であってもよいし、あるいは、例えばアルコールの取りすぎによる疾患があるまたは損傷を受けていてもよい。好ましくは、切断領域で実質的に一様な場となるように、そして、より好ましくは、放射による浸透深さが健康な組織への損傷が限定されたものとなるように、放射の周波数が選択される。浸透深さは、本明細書では、エネルギがアンテナ(空中線)の遠位先端部での値の37%まで減る位置(または距離)と定義される。このことは、臓器が上手く再生できるように可能な限り多くの肝臓を存続させることが重要である肝臓の治療にとって特に重要である。
好ましくは、アンテナが切断用ブレードに組み込まれ、放射用ブレード構造体を形成する。これにより、放射用ブレードの鋭利な縁部が切断作用を行える一方で、マイクロ波エネルギは、ブレードが組織を切断しているときに、著しい灌流が施されている組織を凝固させるまたは封じるという機能を行い、血液が失われるのを防止しうる。
好ましくは、放射されたマイクロ波のエネルギの場の分布は、ブレードの刃先に、または、その周りに集中し、組織構造の中へと向けられている。
高いマイクロ波周波数(ここでは10GHz以上と定義される)を利用することは、より低いマイクロ波周波数のシステムを利用することに対して特に利点がある。これは、放射によるエネルギの浸透深さが限られているからであり、また、小さくて鋭利なブレード構造体に、ブレードの長さ方向に沿って一様な場を生成できることと、同時に、組織を切断して疾患のあるまたは癌である組織部分を取り除くことができることとにより、効率的にエネルギを組織内に放射して、血流を封じられるようにすることができるからである。マイクロ波周波数が高くなるほど、エネルギ分布がより局所的になり、切断作業が行われる部位でのエネルギ密度はそれに対応して高くなり、それ故に、切断用ブレードを著しい灌流が施されている生物組織構造に挿入した際に、血流を効果的に封じることがより容易になる。実質的に一様な場の分布は、刃先に沿った一様な凝固または他の組織効果を可能にできる。より低い周波数のマイクロ波エネルギ(例えば1GHz以下)を使用すれば、アンテナに非放射領域が生じる可能性があり、このことは、装置の効果的に凝固させる能力を低下させるものである。ブレードの縁部に沿って適切なエネルギ密度を有するマイクロ波エネルギの一様な場を放出することにより、外科医が組織構造を切断する際に、傷が効果的に封じられる。本発明は、人体内の、非常に多くの血管が通っている臓器に対する外科手術に革命を起こしうるものである。
上記に開示した発明の切断/密封態様を施すアンテナ構造体は、生物組織を除去することに、例えば、肝臓内の癌腫瘍の制御され、狙いを定めたアブレーションを可能とするのに用いてもよい。発明のこの態様では、局所的なまたは集中させたマイクロ波エネルギを生成するという能力が再度利用されるが、この場合は、エネルギ分布を広げるために複数の放射素子を用いる。
さらに、本明細書に開示したアンテナ構造体は、生物組織の構造に関する情報を得るために、例えば、組織の種類を識別するために使用してもよいし、および/または、癌腫瘍のさまざまな種類を特定するために使用してもよいし、および/または、腫瘍成長の段階を決定するために使用してもよいし、および/または、付随する電子機器を制御して、手術用アンテナの放射部分を生物組織の複素インピーダンスにインピーダンス整合させられるようにし、エネルギ供給源と、治療されているまたは切除されている生物組織との間で最大の電力を伝えることができるように使用してもよい。後者の特徴は、肝臓切除工程の間で特に関心が持たれるであろう。なぜならば、肝臓組織および血液にエネルギを効率的に放つことが必要であるからである。これらの2つの負荷は、インピーダンスの値が異なる。このインピーダンスの変化は、放射用ブレードと負荷との間でインピーダンス整合が変化することを意味し、このため、電力の一部がエネルギ配給ケーブルに沿って反射して戻ることになる。
本明細書では、マイクロ波は、5GHzと100GHzとの間の周波数範囲を意味するが、より好ましくは、10GHzと25GHzとの間であり、さらに好ましくは、14GHzと22GHzとの間である。例えば、14.5GHzまたは24GHzのスポット周波数が使用されてもよい。
より高い周波数(例えば、24GHz)は、より低い周波数(例えば、14.5GHz)よりサイズの小さい導波管ケーブル組立体、よりサイズの小さいアンテナ、より小さい浸透深さといった利点がありうる。例えば、肝臓では、24GHzで浸透深さが1.1mmであるが、14.5GHzでは2mmである。浸透深さがより小さいと、エネルギ密度をより高くすること、また、ブレードが組織を切る際に、封じることまたは凝固させることをより瞬間的に行うことが可能になりうる。
アンテナは、装荷導波管構造、マイクロストリップアンテナ型構造、および、同軸構造のいずれか1つからなってもよい。好ましくは、アンテナ構造体は、エネルギ分布のサイズを大きくするための手段を含み、充実性腫瘍における大きな組織のアブレーションを可能にする。
本発明はまた、脾臓を治療するのに用いてもよい。脾臓は、大部分の脊椎動物において、血球の生成および除去に携わる腹部器官であり、また、免疫系の一部を構成している。本明細書に記載されている手術用アンテナの具体的な実施形態は、脾臓摘出術を行って、脾臓の損なわれた部分を取り去るのに、または、裂傷を凝固させるのに使用されてもよい。
もっとも、本明細書で紹介するアンテナ構造体は、肝臓切除術、肝腫瘍アブレーション、または、脾臓摘出術に使用されることに限定されず、このアンテナによって生成されるエネルギ分布と、アンテナの物理的な形状とが、既存の治療方法および治療システムより有益である他の臓器を治療するのに用いられてもよい。
本発明は、以下の利点を提供しうる:
高周波マイクロ波エネルギは、積極的に加熱する容積をエネルギの浸透深さに応じて局所的なものにすることができ、この結果、熱の生成が早くなり、マイクロ波エネルギが灌流の放熱効果に打ち勝つことができる。
アンテナ(空中線)の放射部分は、治療されている生物組織のインピーダンスに動的にインピーダンス整合させてもよく、これにより、エネルギを組織に効率的に送り込み、組織の除去およびまたは焼灼を瞬時に、かつ、制御可能に行うことができる。
放射の浸透深さは制限され、この結果、組織の破壊が制御されうる。
反射電流経路を設けるための外部接地パットの必要性がなく、これにより、システムの設定に伴う複雑さを軽減でき、また、反射パッドが皮膚の表面と間欠的に接触した場合に生じることのある皮膚表面の火傷を防止できる。
外部反射パットの皮膚表面との接触不良のため、または、パットが落ちたり、引き抜かれたりしたために、エネルギが送られなくなることはない。
局所的な導通経路を作るために、バイポーラアンテナ構成、または、生理食塩水を使用する必要はなく、このため、単一の切断用/切除用アンテナ、または、腫瘍アブレーションアンテナが使用されてもよい。
マイクロ波エネルギは、開いた傷を効果的に「封じる」ことができるので、発明は、術後感染が生じる可能性を防止または最小限にする助けとなりうる。
生物組織は、損失のある誘電体であるという事実から、放射用アンテナによって生成されたマイクロ波エネルギを大量に吸収する。人間の組織では、伝導率および比誘電率の両方が周波数および温度に非常に左右されるものであり、それ故に、本発明に関連する特定の用途について高いマイクロ波周波数を用いることが有益である。
一実施形態において、アンテナ構造体の放射部分は、組織に送り込まれる電力を最適にし、かつ、反射を最小にするために、変化する組織負荷のインピーダンスに動的に同調させられるまたはインピーダンス整合させられてもよい(つまり、放射用ブレードまたは構造部の遠位端は、治療する組織の複素インピーダンスの複素共役となるように調整しても
よい)。これに加えてまたは代えて、アンテナは、組織の特性を測定できるように構成されてもよい。例えば、アンテナは、WO2004/047659またはWO2005/115235に開示されているような治療システムとともに使用されてもよい。しかしながら、発明は、これらの電気外科的システムでの使用に限定されず、他の電気外科的治療および/または測定システムで使用されてもよい。例えば、発明は、組織の測定または動的インピーダンス整合回路を用いずに使用されてもよく、つまり、発明は、電力の大きさおよび送る時間(例えば可変パルス幅)のみを調整する用意のあるマイクロ波供給源を提供するシステムに接続されてもよい。好ましくは、単一周波数発振源および固体増幅器ユニットがマイクロ波エネルギを生成するのに用いられる。
よって、第2の態様では、発明は、マイクロ波放射を生成するように構成されたマイクロ波放射供給源と、上述した第1の態様による手術器具と、供給源および切断器具の間に接続された反射放射検出器と、供給源および切断器具の間に接続されたインピーダンス調節器とを有し、反射放射検出器は、反射され、器具を通って供給源の方へ戻るマイクロ波放射の大きさおよび位相を検出するよう構成されており、インピーダンス調節器は、調節可能な複素インピーダンスであって反射されたマイクロ波放射の検出された大きさおよび位相に基づいて制御できる複素インピーダンスを有する、手術用切断装置を提供しうる。
一実施形態において、発明は、放射素子(空中線)および鋭利なブレードのための硬質セラミック材料を有する導波管アンテナ構造体を提供する。別の好ましい実施形態では、発明は、鋭利なブレードの端部に配置された複数のパッチアンテナを有するマイクロストリップアンテナ構造体を提供する。後者の実施形態の場合、パッチアンテナは、鋭利なブレードの先端部の第1の面に配置してもよく、この場合、ブレードの第2の面は、完全に金属で被覆され、接地面を形成する。このような構成では、アンテナ給電構造部が放射用パッチと同じ側に配置されてもよい。三層またはストリップ−ラインマイクロ波構造は、特に肝臓切除術に、使用されてもよい。
周波数の選択は、以下の要因の1つ以上に影響されうる:組織の中への放射の浸透深さを制御された状態にする能力、放射用兼切断用デュアルブレードの縁部に沿って一様な組織効果(凝固)を生成できること、組織を効果的に凝固または除去するのに十分な電力(エネルギ)を放射用ブレードの表面で生成できること、著しい灌流が行われている領域で瞬時の凝固を可能にするのに十分大きな局所エネルギ密度を生成できること、および、必要な大きさの電力(エネルギ)を生成するのに使用できる固体デバイスの入手可能性。14.5GHzのスポット周波数が上記に列挙した全ての要因の妥協案となるであろう。考えられる他の適するスポット周波数は、18GHz、20GHz、および、22GHzである。
アンテナ構造体を人体内部で使用できるようにするために、使用される材料は、好ましくは、生体適合性があり、また、好ましくは、患者に何らの危険も与えない。本明細書のアンテナの設計用に確認された材料としては:サファイア、銀、テフロン(登録商標)、および、パリレンCがある。
発明は、単一周波数で作動させることに限定されないであろう。例えば、アンテナをスポット周波数(例えば14.5GHz)の前後で+/−50MHzの周波数範囲で作動させることが望ましいであろう。アンテナの寸法は、本発明に関連する基礎理論が依然として有効である任意の周波数(または周波数範囲)に適応するように調整することができる。一部のアンテナ構成の場合、15GHzと25GHzとの間の周波数範囲内にある一定の周波数で作動させることが好ましいことがある。この場合、一様な場を例えば手術用メスの刃といった小さな手術用アンテナの縁に沿って発生させることができ、また、卓上ジェネレータと、手術用アンテナの入力との間の給電ケーブルに沿った電力損失は、過大で
はなく、例えば1.5dB毎メートルより小さい。(上記に定義したように)本発明の実施に役立つと考えられる周波数範囲の上限で作動する装置の場合、マイクロ波電力発生装置を放射用アンテナの極めて近くにくるように移動させることが、上記電力発生装置と上記放射用アンテナとの間に挿入されたエネルギ配給ケーブル内の挿入損失の影響を最小限とするためには有益であろう。
本発明で使用するように開示された材料は、他のマイクロ波周波数で作動するように最適化された同様の外科的治療および/または測定用アンテナ構造体に使用されてもよい。この場合、構造の幾何学的形状は、選択した特定の周波数に応じて調整されてもよい。好ましくは、電磁波シミュレーションツールがアンテナ構造体を最適化するのに使用される。
WO2004/047659に記載の動的インピーダンス整合システムとともにアンテナ構造体が使用される場合、制御電子機器(ジェネレータ)と放射用アンテナとの間のケーブル組立体の挿入損失が可能な限り低いこと、例えば1dB未満であることが望ましく、これは、放射用アンテナブレードで得られる電力を確実に最大にするために、さらには、ジェネレータの出力と放射用アンテナとの間で共振空胴が確実に形成でき、放射用アンテナと組織負荷との間に大きなインピーダンス不整合がある場合にでさえ、最大電力を送ることができるようにするために望ましい。求められている最小の挿入損失を達成するためには、同軸ケーブル組立体よりも導波管ケーブル組立体を使用することが好ましいであろう。可撓性のある導波管ケーブル組立体を使用することが好ましく、可撓性があり、ねじることが可能な導波管ケーブル組立体を使用することがより好ましいであろう。
好ましくは、特注の導波管フランジシステムを用いて、導波管組立体の近位端をジェネレータの出力電力送出ポートに接続する。特注フランジシステムは、滑りばね構造を含んでもよいし、2つの円形ねじ部を2つの導波管フランジに取り付けて、2つのフランジを相互に接続できるようにしてもよい。これらの構成の利点は、従来の固定具を使用して治療を始める前に2つのフランジをねじ合わせ、そして治療の終わりにそれらを外す必要が回避されるというものである。従来の導波管の固定具は、4本のねじと、それに伴うナット/ワッシャーが必要であるという事実から、使い捨てユニットとともに使用するのにはあまり向かない。治療用アンテナ組立体をこのようにして接続し、取り外す工程は、外科医または臨床医(つまり、術者)にとって面倒であろうから、上述した代替構成はこの潜在的な制限を克服するであろう。
一実施形態において、アンテナは、装荷導波管空胴を備えており、装荷されているものとしては、一片の誘電材料がある。誘電材料は、好ましくは低損失材料であり、例えば、作動周波数で0.001より小さいtanδまたは散逸率を有する。誘電材料は、好ましくは硬質材料であって、肉切り包丁または手術用メスの刃と同様な方法で生物組織を切断するのに用いることができる切断用ブレードまたは刃先を作るために研ぐことができるものである。好ましくは、誘電材料は、生物組織構造と直接接触した状態で使用できるように、生体適合性がある。
導波管部分は、好ましくは、誘電材料を所定位置に保持またはクランプ締めするのに適するよう構成されている。誘電材料の表面は、粗くしたり、ギザギザを付けたりして物理的なキーを設け、誘電材料が導波管部分から出てしまうことを防止してもよい。
誘電材料の誘電率の選択は、誘電材料が接触するであろう材料の負荷インピーダンス、つまり、生物組織の誘電率によって決まるであろう。例えば、非装荷導波管空胴と、比誘電率が27の生物組織の塊との間のインピーダンスを整合させるには、比誘電率が5.2の誘電材料が使用されてもよい。この解析は、材料に関連した散逸率は考慮しないであろ
うから、誘電率の実際の値は、材料の複素誘電率に応じて変わるであろう(電磁場のシミュレーションが構造を最適化するのに利用できる)。
好ましくは、導波管空胴内の誘電材料の電気的長さは、所望の作動周波数での波長の1/4の奇数倍であり、材料がインピーダンス整合用の変成器として作用して、非装荷導波管のインピーダンスを生物組織負荷のインピーダンスと整合させることができるようにしている。
好ましくは、導波管から自由空間へと突出している誘電材料の部分は、誘電率における大きな段差を無くすことにより不連続性を最小限とするために、刃先に向けてテーパが付けられている。この変換は、好ましくは対象周波数での波長の1/4に等しい、または、その奇数倍の長さである複数の離散的な段を有するテーパ付きロッドに類似したものを用いて実施されてもよい。
好ましくは、同調用の構成(例えば、同調用のフィルタ)が、アンテナに電力を供給する可撓性ケーブル組立体と、アンテナの誘電材料との間に形成された導波管空胴に入っていてもよい。同調用の構成は、容量性または誘導性リアクタンスを導入するために、導波管空胴にねじ込むことができる1つ、2つまたは3つの同調用ねじ(またはスタブ)という形態をとってもよい。リアクタンスの詳細な種類およびリアクタンスの値は、導波管空胴内の同調用ねじの距離によって決まるであろう。2つ以上の同調用ねじが使用される場合、ねじの中心間の距離は、好ましくは、管内波長の1/4または1/8の奇数倍である。この同調用の構成は、放射用誘電体ブレードに与えられうるさまざまな種類の生物組織を表すさまざまな組織負荷インピーダンスにアンテナを静的にインピーダンスを整合させられてもよい。
好ましくは、アンテナは、導波管空胴および可撓性ケーブル組立体の内部にできる定在波を最小にするために、生物組織の初期状態と静的にインピーダンスが整合させてある。このことは、アンテナが動的インピーダンス整合システムと一緒に使用される場合であっても望ましいことである。この状態は、導波管空胴および可撓性ケーブル組立体の加熱を最小にすること、および、構造体の内部にできた定在波のために発生した高い電圧または電流による材料の応力および/または故障を防止することに関して有益である。
静的なインピーダンス整合は、導波管空胴の内部にある恒久的な支柱またはスタブを用いて実現してもよい。
好ましくは、導波管の表面は、導体損失を最小限とするために、高伝導率を有する材料でコーティングされる。銀が使用されてもよい。生物組織と接触していない誘電材料の表面が自由空間に放射することを防止するために、導波管空胴の外側で自由空間へと突出する誘電材料の部分を金属材料でコーティングすることも望ましいであろう。誘電材料の表面を銀素材の層でコーティングすることの利点は、長期毒性の影響が構造体にないこと、および、銀が有効な抗生物物質であることが分かっていることであり、それ故に、誘電体ブレードの非放射部分の一部が生物組織と接触していることが望ましいであろう。なお、誘電体ブレードは、金属材料でコーティングされてもよく、この場合、放射用ブレードを構成する材料の部分、すなわち、生物組織と接触する必要のある部分のみが、露出したままにされる。この構成は、生物組織のみがマイクロ波放射にさらされることを保証するものである。
前述したように、高周波マイクロ波(または非イオン化)放射を用いることの利点は、浸透深さが限られており、それ故に曝露の危険もまた限られるということである。自由空間へ放射する危険は、本願で紹介するアンテナ構造体が、生物組織によく整合するが空気
のインピーダンス、つまり377Ωにはあまり整合しないように設計されているという事実によってさらに少なくなっている。自由空間へ放射する危険は、治療用のエネルギを生成して送るのに用いるシステムに付随する検出用電子機器がアンテナが自由空間へ放射していることを検出することができ、出力電力をゼロ近く、つまり、1mWから10mWに自動的に減らすことができるという事実からなおいっそう少なくなっている。
別の実施形態において、アンテナは、ブレードまたはナイフ構造の刃先に製作された放射用マイクロストリップパッチ(またはマイクロストリップアンテナ構造体)を備える。この構成では、パッチアンテナおよび給電構造部が硬質マイクロ波セラミック材料の表面にメッキまたはエッチングによって設けられ、上記のセラミックが給電構造部を形成するマイクロストリップ伝送線のためのマイクロ波基板を形成することが好ましいであろう。マイクロストリップパッチは、セラミック材料のブレード部分の縁部に沿って製作されてもよい。マイクロストリップパッチは、ブレードの縁部に沿って放射するように設けられてもよい。セラミック材料の一方の面が全面にわたって金属で被覆され、給電構造部および放射用パッチアンテナのための接地面または反射経路を設けることが好ましいであろう。パッチアンテナは、入力給電ラインとは物理的に反対側にあるパッチの縁部に沿って放射するように設けられてもよい。
ストリップライン(または三層ライン)構造は、給電ラインが自由空間へ放射することを防止するために、給電ネットワークを構成するのに利用されてもよい。この構成では、マイクロストリップラインが第1誘電体基板(例えば硬質セラミック)の第1の面に作られ、第2の面が全面的に金属で被覆されてもよい。第2の基板(通常、第1の基板と同一材料で、同一比誘電率である)の第1の面は、この場合、マイクロストリップ給電ラインを含む第1の基板材料における第1の面の上面に配置されてサンドイッチ状態を形成し、第2の基板の第2の面もまた全面的に金属で被覆される。この構造は、ストリップライン構造として公知であり、電磁波が伝搬するための囲まれた環境を提供し、またさらには、放射が給電ラインから出てきて自由空間へと伝搬する危険をなくすためのシールドを提供する。2つの基板材料の厚みが等しければ、マイクロストリップラインの幅は、片面開放型のマイクロストリップ給電構造部である場合の幅のおよそ半分となるでろう。
給電ライン構造は、一体型給電構造、すなわち、一定インピーダンスの給電ライン(例えば50Ω)と、1/4波長変成器とを備えた構造という形態で実施されてもよい。複数の放射用パッチアンテナに給電するのに使用できる他の給電ライン構造は、マイクロ波工学の分野で経験のある者には分かるであろうし、これらの構造も使用されうる。
パッチアンテナ構造は、誘電材料の層(基板)が取り付けられた手術用メスの刃に製作されてもよく、この場合、上記の誘電材料の第1の面は、手術用メスの刃の全面を覆う。基板材料の第2の面は、その場合、例えば金属層をその表面に蒸着することによって、または、銀のペイントを使用することによって金属で被覆する。上記の金属被覆層のエリアまたは領域は、次に、マイクロ波給電構造部および放射用パッチアンテナを残すようにエッチングで取り除くことができる。給電ラインが自由空間に放射することを防止するために、一方の面に接地面のある第2の基板層がストリップライン構造を形成するのに使用されてもよい(この種類の構造は、既に上記に説明している)。
吹き付け式誘電材料が、手術用メスの刃の一方の面をコーティングするのに使用されてもよい。誘電材料の厚さがマイクロストリップラインのインピーダンスを支配しているので、誘電材料の厚さが手術用メスの刃の表面全体にわたって一定であり、給電ラインおよび放射用パッチのインピーダンスが確実に制御されていることが望ましく、さもなければ、整合不良および反射が生じ、放射効率が悪いまたは加熱する構造につながることがある。
考えられる別の構造は、血液を封じるために必要なマイクロ波エネルギを供給するため、遠位端に1つの「H」ループ型の放射用アンテナが取り付けられた同軸給電ケーブルである。上記の「H」ループ型アンテナは、望まれている切断/密封が行える手術用メスの刃または鋭利な刃先を提供する別の構造に接続されてもよい。「H」フィールドループは、ブレードの中心に配置されてもよく、ループが配置されるブレードの部分は、放射場が刃の周りに伝搬できるように取り除かれてもよい。好ましくは、ブレードは、手術用メスの刃の形状を有し、効果的な機械的刃先を提供するよう研ぐことができる硬質セラミック材料から作られる。
考えられる他の構造としては、適当な切断装置に接続された同軸モノポールおよび同軸ダイポール放射構造がある。ここでも、モノポール/ダイポール構造は、切断用ブレード構造内に配置されてもよい。
さらに別の構造は、同軸ケーブルに接続された同軸インピーダンス整合用変成器を用いて給電される、複数の上記同軸モノポール/ダイポール構造体からなってもよく、この場合、上記の同軸モノポール/ダイポール放射体は、手術用メスの刃のような切断装置に取り付けられ、ブレードが組織を切断している間にエネルギを組織に効率的に放射するように構成されている。
さらに別の構造は、「ペイントストリッパ」または「のみ」の形状に物理的形状が似ていて、血流を封じるために、切断プロセスの間にマイクロ波エネルギが組織の中へと放射している状態でブレードを組織に押し通して組織を2つの部分に分割できるように、ブレード部分の縁部に複数の放射パッチアンテナが配置されている装置であってもよい。
アンテナが、マイクロ波エネルギを組織の中へと放射し、自由空間へは放射しないことに適するよう効果的に構成された放射切断用ブレードを含むことが望ましい。これは、「歯型」形状、半円形状、および、手術用メスの刃の形状を含むさまざまなブレード形状を用いて実現することができる。例えば、底辺の角の各々における角度が60°である三角形構造が組織に「深く食い込む」ことができると考えられる。
発明で使用するのに適切でありうる給電構造部は、大まかに2つの区分に分けることができる。第1は、導波管パワースプリッタであり、第2は、マイクロストリップ(またはストリップライン)パワースプリッタである。一実施形態において、マイクロストリップスプリッタが4つの導波管部分に給電するのに用いられ、それ故に、この構成は、2つの手法の組合せであると考えられる。別の実施形態では、マイクロ波供給源によって生成した電力を2つの等しい部分に分割するのにハイブリットリングが用いられる。2つの出力は、次に、2つの導波管組立体に給電するのに用いられ、各導波管組立体は、13mmのサファイアブレードを含み、全長が約26mmである放射用の縁部を与える。
一体型給電ライン構造または1/4波長給電構造が使用されてもよく、この場合、全ての給電ラインが一定のインピーダンスからなる。
適切な導波管スプリッタとしては、ハイブリットリング(またはラットレース)カプラ、共振空胴スプリッタ、および、ハイブリット「T字」構成がありうる。適切なマイクロストリップ電力スプリッタとしては、ウィルキンソンカプラ、一体型給電ネットワーク、1/4波長パワースプリッタ、非共振スプリッタ、および、3dBカプラがありうる。
アンテナは、長い放射用ブレード、例えば長さが68mm以上のブレードを有してもよい。複数の別個のブレードを組み合わせて、ブレードの長さ方向に沿って、むらのないま
たは一様な組織効果を生成できる単一のブレードを作ってもよい。
発明に係るマイクロ波手術用アンテナは、生物系の内部にある大きな体積の充実性腫瘍の腫瘍除去に使用されてもよい。この機能に適する具体的なアンテナ構造としては、放射用開口部と癌組織との間でのインピーダンス整合を調整する手段が組み込まれている装荷導波管構造と、放射用円錐体を有する大径同軸ケーブル、または、同軸インピーダンス整合用変成器を用いて給電される複数の放射用モノポールからなる同軸構造とがある。
一実施形態では、供給源によって生成されたエネルギを分割するのにハイブリットリングが利用される。ハイブリットリング装置の2つの出力ポートは、サファイアブレードが入っている2つの個別の導波管空胴に給電するのに用いられる。2つの別個の部分の間の壁部の厚みが約1mmに制限されていれば、2つの個別のサファイアブレードの長さに等しいブレード長さに沿って一様な場を生成することが可能であろう。理論では、2つのブレードの間の壁部の厚みは、マイクロ波エネルギが流れる皮膚の表皮厚さの数倍に等しいことのみが必要であろう。14.5GHzでは、銅または銀での表皮厚さが約2.5μmである。マイクロ波エネルギの99%が表皮厚さの5倍に等しい厚さの中を流れると仮定すると、2つのブレードの間の壁部を約25μmの厚さにすることが実現可能であり、これは、個々の導波管構造の内部に発生した場に与える影響が無視しうるものであるが、互いに隣り合うようにまたは近傍に配置された2つの個別の部分に等しい長さのブレードに沿ったある程度連続な場を与えるであろう。この構成では、残りの壁部は、放射用ブレードを所定位置に保持するために必要な機械的な支持を提供してもよい。さらに、キーをブレードの表面に設け、ブレードが所定位置にとどまり、導波管空胴部内に押し込まれる、または、導波管空胴部から落ちることがないことを確実にしてもよい。静的同調手段が2つの導波管部分の各々にさらに含まれ、放射用ブレードが調査中の生物組織のインピーダンスに静的にインピーダンス整合させることを保証してもよい。
放射用ブレードの長さは、マイクロストリップ給電構造部を用いてさらに長くし、供給源が発生したエネルギを4つの等しい部分に分割し、そして、その4つの出力を導波管空胴部内に入っている4つの放射用ブレードを駆動するのに用いてもよい。一実施形態において、各導波管部分は、「H」ループ給電を用いて給電される。この「H」ループ給電は、長さが作動周波数での1/2波長またはその倍数であるワイヤのループであってもよい。「H」ループの一端がマイクロストリップラインに接続され、他端が導波路の壁部の一方であってマイクロストリップ給電ライン構造の接地面にも取り付けられている壁部に接続されることが好ましい。
ロジャー社製5880誘電材料をマイクロストリップ給電ライン構造のための基板を与えるのに用いてもよく、この場合、基板材料と、接地面金属被覆と、マイクロストリップ給電ラインの厚さは、入力給電コネクタでの電力の大きさを取り扱うことができるように選択される。
好ましくは、給電ライン構造は、マイクロストリップ給電ラインからの放射が自由空間へ結合することを防止するために囲われている。このことは、金属を給電ライン構造に被せることで実現することができる。この場合、構造内でモーディングが生じないような寸法にする。マイクロストリップ給電ライン構造は、ストリップライン構造で実施することができ、この場合、第2の基板材料が給電ラインの上に配置され、この第2基板材料の第2の面がその全面にわたって金属で被覆される。
放射用ブレードの長さを延長するのに用いられる他の構成としは、例えば、挟み、手術用メス、のみ、ペイントストリッパ、スタンレイ(登録商標)ナイフ、および、さまざまな他のナイフ構造または器具といった切断装置の縁部に沿って製作された放射用マイクロ
ストリップ構造を用いることがある。ブレードの長さ方向に沿って一様な場を与えるためには、例えば、正方形または長方形のパッチアンテナ、スロット付き放射体、または、進行波アンテナといった複数のマイクロストリップ構造をブレードの長さ方向に沿って製作することが好ましい。
上記の代えてまたは加えて、アンテナは、1つ以上の放射用誘電性ロッドを備える。ロッドは、アンテナを腫瘍内へ押し込むことができるアンテナ構造体を組織に押し込んだときに癌組織が効果的に除去されるように、先を尖らせてもよい。
よって、第3の態様では、発明は、組織に突き通すのに適するよう構成された挿入端を有する細長いボディと、その挿入端にある複数の放射要素であって、各放射素子が、組織を除去するためにマイクロ波放射場を出すのに適するよう構成された複数の放射要素と、マイクロ波電力供給源に接続可能であり、マイクロ波電力を放射素子へ送るように構成された給電構造部とを備え、給電構造部は、マイクロ波電力を放射素子の間で実質的に等しく分割し、これにより放出された放射場が挿入端で実質的に一様となるアブレーションプローブを提供してもよい。このようなプローブは、大きな臓器における充実性腫瘍を治療するのに特に適することがある。このプローブは、手術部位にアクセスできるように、第1の態様による切断用の構成を備えてもよい。細長いボディは、複数のアンテナを保持するように構成されたカテーテルを備え、その複数のアンテナは挿入端から突出してもよい。放射素子は、同軸モノポールアンテナであってもよい。
複数の同軸放射素子を用いた構成は、大きな充実性腫瘍を治療するのに利用されてもよい。これらの構成は、大径の剛体同軸ケーブルから給電される複数のモノポール同軸放射素子、例えば、12mm同軸ケーブルから給電される6本の直径2.2mmの放射体からなってもよい。これらの構成は、同軸給電ケーブルのインピーダンスを給電地点(スターポイント)で接続されているより小さい直径の同軸ケーブルの並列組合せによって与えられるインピーダンスに変換するために、インピーダンス整合用変成器を必要としてもよい。給電地点で見たインピーダンスは、同軸ラインの各々の遠位端、つまり、生物組織負荷と接触する端部で見たインピーダンスの影響を受けてもよい。
マイクロストリップ構造は、給電ラインおよびインピーダンス変成器を製作するのに利用されてもよく、この場合、例えば1mmから2mmの複数の小さな直径の同軸部分であって、放射素子が遠位端に接続されているものが上記のインピーダンス変成器に取り付けられる。
同軸放射体は、その同軸放射体が円錐体の全表面にわたって一様な場のパターンを生成するように円錐構造体の内部に嵌めるのに適するよう構成されてもよい。円錐体は、給電構造部に取り付けられた硬質の低損失マイクロ波セラミック材料から作られていてもよい。円錐形状構造体は、アンテナを腫瘍内に押し込み、これにより、アンテナを組織構造へ押し込んだ際に、癌組織が効果的に除去できるように、先を尖らせてもよい。この構成では、放射用円錐体がアンテナを腫瘍に押し通すことを可能にする助けとなるであろう。ブレード構成を円錐体に取り付けて、腫瘍を除去するためにアンテナを生物組織に押し通す前に切開できるようにしてもよい。
アンテナの設計に用いる幾何学的形状および材料の選択は、例えばコンピュータ・シミュレーション・テクノロジ(CST)マイクロヴェーブ・スタジオ(登録商標)といった電磁場シミュレーションツールを用いて最適化することができる。
手術用アンテナおよびケーブル組立体は、滅菌され、滅菌されたパッケージで提供される使い捨て品を構成してもよい。ケーブル組立体の近位端は、取り付けを容易にできるコ
ネクタ組立体を用いて卓上ジェネレータに取り付けることができる。スナップ式コネクタまたは専用の押し込み式構造が使用されてもよい。
本明細書で検討した放射構造は、その遠位端(または放射用ブレード)で較正して、WO2004/047659またはWO2005/115235に開示されている治療および測定システムとともに使用できるようにしてもよい。アンテナ構造を較正する能力により、血液の損失を防ぐために組織にエネルギを送ることを放射用ブレードが組織負荷と良好に整合していなくても必要な電力の大きさを組織に送り込むことができるという点で最適化することができる。エネルギをこのように送る能力は、高マイクロ波周波数を利用することに伴う前述した利点と一緒になって、他の既存の低周波技術に対する著しい利点を提供するであろう。
発明に係る実施形態の詳細な説明を添付図面を参照しながら以下に行う。
図1は、発明の実施形態である同調可能肝臓切除用アンテナを示している。 図2は、発明のアンテナが組み込まれた動的インピーダンス整合型治療システムの概略システム図を示している。 図3は、肝臓内にある、発明によるアンテナについてのモデル化された反射損失のグラフを示している。 図4は、自由空間にある、発明によるアンテナについてのモデル化された反射損失のグラフを示している。 図5は、肝臓内にある、発明によるアンテナについての実際の反射損失のグラフを示している。 図6は、自由空間にある、発明によるアンテナについての実際の反射損失のグラフを示している。 図7は、発明の実施形態であるアンテナについての電磁場シミュレーションの結果を示している。 図8は、図7のシミュレーションからの、サファイアブレードについての場の分布を示している。 図9は、図7のシミュレーションからの、アンテナについての遠位場分布を示している。 図10は、発明の別の実施形態である放射用ブレード構造体を示している。 図11は、切断用ブレード構造体の例を示している。 図12は、発明の別の実施形態である切断用ブレードのある手術用アンテナを示している。 図13は、発明の別の実施形態による4つのアンテナを備える切断用ブレードを示している。 図14は、発明の別の実施形態において、発泡材を用いて所定位置に保持された切断用ブレードがある手術用アンテナを示している。 図15は、発明のさらに別の実施形態において、発泡材を用いて所定位置に保持された切断用ブレードがある手術用アンテナを示している。 図16は、発明の別の実施形態である、「ペイントストリッパ」構造がある手術用アンテナを示している。 図17は、発明の別の実施形態である、複数のパッチアンテナがその上の製作されている放射用ブレードアンテナを示している。 図18は、発明のさらに別の実施形態である、複数のパッチアンテナがその上の製作されている放射用ブレードアンテナを示している。 図19は、ブレードの縁部に複数のパッチアンテナが製作されている手術用メスを示している。 図20(a)は、H場ループアンテナが取り付けられている手術用メスを示している。 図20(b)は、電磁エネルギがブレード周りに伝搬できるようにブレードの中心が除去されている、H場ループアンテナが取り付けられた手術用メスを示している。 図20(c)は、電磁エネルギがブレード周りに伝搬できるようにブレードの中心が除去されている、E場プローブアンテナが取り付けられた手術用メスを示している。 図21(a)は、発明のさらに別の実施形態である、腫瘍を治療するための同調可能な装荷導波管アンテナを示している。 図21(b)は、発明のさらに別の実施形態である、腫瘍を治療するための同調可能な装荷導波管アンテナを示している。 図21(c)は、発明のさらに別の実施形態である、腫瘍を治療するための同調可能な装荷導波管アンテナを示している。 図21(d)は、発明のさらに別の実施形態である、腫瘍を治療するための同調可能な装荷導波管アンテナを示している。 図22は、発明の別の実施形態である、大きな腫瘍を治療するためのアブレーションアンテナ構造体である。 図23は、大きな体積の充実性腫瘍を治療するのに適したアンテナ構造体の概念図を示している。 図24(a)は、肝腫瘍のアブレーションに使用しうる同軸アンテナ構造体を示している。 図24(b)は、肝腫瘍のアブレーションに使用しうる同軸アンテナ構造体を示している。 図25は、発明の別の実施形態であるブレード構造体の側面図である。 図26は、図25に示されているブレード構造体の斜視図である。 図27は、肝臓組織内にあるときの、図25に示されているブレード構造体の中間面での電力損失密度を示す電磁場シミュレーションである。 図28は、肝臓組織内にあるときの図25に示されているブレード構造体の反射損失をある周波数範囲にわたって示すグラフである。 図29は、空中にあるときの図25に示されているブレード構造体の反射損失をある周波数範囲にわたって示すグラフである。 図30は、発明のさらに別の実施形態であるブレード構造体の側面図である。 図31は、図30に示されているブレード構造体の斜視図である。 図32は、肝臓組織内にあるときの、図30に示されているブレード構造体の中間面での電力損失密度を示す電磁場シミュレーションである。 図33は、肝臓組織内にあるときの図30に示されているブレード構造体の反射損失をある周波数範囲にわたって示すグラフである。 図34は、図25に示されているブレード構造体を導波管に取り付けるのに適した変成器構造の斜視図である。 図35は、図34に示されている変成器の正面図である。 図36は、導波管からの、図34に示されている変成器の反射損失を示すグラフである。 図37は、導波管からの、図34に示されている変成器の挿入損失を示すグラフである。 図38は、図30に示されているブレード構造体を導波管に取り付けるのに適する変成器構造の長手方向断面の斜視図である。 図39は、図38に示されている変成器構造の横断面の斜視図である。 図40は、導波管からの、図38に示されている変成器の反射損失および挿入損失を示すグラフである。
詳細な説明、他のオプションおよび選択
本明細書に記載の切除アンテナの作用は、バターナイフまたは肉包丁のそれと同様であると説明してもよいものである。本発明を実施するためにさまざまなブレード構造体、すなわち、「歯」の形状をしたブレード、手術用メスの形状をしたブレード、「ペイントストリッパ」の形状をしたブレード、のみの形状をしたブレード、半球形状のブレード、キッチンナイフの形状をしたブレード、および、彫刻刀の形状をしたブレードが考慮された。「歯」の形状をしたブレードを用いた場合、歯が三角形構造の形状をとり、底部の角の各々が60°の角度であり、組織に「突き刺さる」能力を提供することが好ましいであろう。
図1は、切除用途のための手術用アンテナ構造体100を示す。ここに示されている構成は、装荷導波管アンテナであり、この装荷導波管アンテナはサファイア材を用いて放射部分、すなわち、ブレード100を形成し、また、この特定の場合には、鋭利な切断具としても作用する。導波管内のサファイア部分の形状、および、端部、つまり、ブレードハウジングの設計は、生物組織180、サファイアブレード110、および、導波管空胴140の間でインピーダンスを良好に整合させる。構造体全体は、サファイアブレード110、導波管の剛体部分130、導波管アダプターまたはフランジ120、一本の固定導波管空胴140、3つの同調用スタブ141、142、143、および、ケーブル組立体150からなる。ケーブル組立体150は、可撓性または可撓性/ねじり可能導波管部分のこともあるし、導波管システムと同軸システムとの間を変換するのに適切なアダプターを備えた同軸ケーブルのこともある。サファイア部分110は、電鋳プロセスを利用してその表面を部分的に金属で被覆されており、ブレードの端部、つまり、放射部分のみが露出している。サファイア材は、空気のインピーダンスに近い高インピーダンスである非装荷導波路部分120のインピーダンスと、例えば100Ωと1Ωとの間の、インピーダンスが低い生物組織との間のインピーダンスを整合させる。固定導波管140のサイズは、作動周波数によって決まる。図1に示されている構成では、12.4GHzと18GHzとの間の周波数範囲にわたって作動するWG18(WR62)可撓性導波管の一セクションが用いられている。これは、14.5GHzという、本明細書で検討する好ましい作動周波数での使用に適した構造である。
同調用スタブ141、142、143は、生物組織180とアンテナ組立体100との間の静的インピーダンス整合を最適化できるように用いられている。図1に示されている構成では、3つの同調用ねじの間の間隔が管内波長の1/4である。ここで、導波管は、本明細書ではWR62であると定義されている。このように配置された3つの同調用ねじは、組織負荷180とアンテナ100との間のインピーダンスの整合を可能にするものであり、この場合、組織負荷は、スミスチャート上のあらゆるインピーダンス値を取りうる。同調用スタブは、導波管空胴140の内部に差し込まれた小さな支柱であってもよい。同調用ねじは、生産された装置における固定支柱と置き換えることもできる。
導波管部分120は、サファイアブレードを所定位置に保持し、第2導波管部分140とサファイア材110との間のインターフェイスとしての役割を果たす。図1は、例えば肝臓といった生物組織180の塊と接触しているサファイアブレードを示している。
装置は、WO2004/047659に記載の動的インピーダンス整合システムとともに用いて、必要とされる電力を例えば肝臓や血液といったさまざまな組織負荷インピーダンスに送り込むことができるようにしてもよい。これは、組織が呈する負荷インピーダンスとアンテナが整合しなくなるとエネルギが組織に送り込まれなくなる他のシステムに伴
う問題を克服しうるものである。アンテナを較正することにより、システム負荷を形成する生物組織のインピーダンスに、アンテナの出力インピーダンスを効果的に接続することが可能である。
手術用アンテナの放射部分は、マイクロ波エネルギが組織を凝固させた時点で、放射用先端部が組織に付着することを防止し、また、装置を生体に適合できるようにする材料からなる、例えば10μmの薄膜でコーティングされていてもよい。さもなければ、凝固した血液が放射用ブレードに張り付くことがある。使用できる適切な材料としては、テフロン(登録商標)およびパリレンCがある。
他の形状を放射用ブレードに用いることもできる。例えば、「歯」の形状をした放射構造を用いてもよいし、刃先および放射部分の形状は、従来の手術用メスの刃に似たものであってもよい。電磁場のシミュレーションおよび最適化が各ブレードの形状(または構造)について行われ、導波管の筐体120、130の構造、同調用スタブ141、142、143の位置、および、構造を最適にするために導波管空胴の内側および外側に突出する誘電材料(サファイアまたは他の硬質セラミック材料)の形状が調整された。
導波管空胴120、130の内部の誘電材料は、放射している誘電体に結合されている場を最大にするためにテーパが付けられている。これに代えてまたは加えて、複数の誘電体、または、複数の誘電率を呈する単一の材料を用いることもできる。テーパのついた部分を用いて導波管のインピーダンスを生物組織のインピーダンスに整合させることの利点は、導波管のインピーダンスと組織のインピーダンスとの間の段がそれほど急ではなく、それ故に変換に伴う不連続性が最小となることである。テーパは、対象周波数での数波長に等しい電気的長さにわたって付けられてもよく、つまり、事実上、複数の1/4波長変換が生じる。
図1に示されている構成では、非装荷導波管のインピーダンスを生物組織のインピーダンスに変換するのに変換が1回だけ利用された。例えば、治療すべき組織の誘電率が作動周波数において約40であれば、電気的長さが(2n−1)λ/4(nは正数)であり、かつ、比誘電率が√40=6.32(導波管部分120、130、140が装荷されていないと仮定)である材料が、インピーダンスの整合がとれている構造を実現するのに必要である。この近似では、全ての材料に損失がない、つまり、全ての材料の散逸率またはtanδがゼロであると仮定している。
矩形導波管(図1)の代替として、円形導波管、正方形導波管、または、特定のユーザの要求に適応するより複雑な形状の導波管を用いることもできる。
図1に示されている具体的な実施形態では、サファイアブレードの幅、すなわち刃先は、13mmである。ブレードの設計は、作動周波数14.5GHzに最適化されており、導波管WG18(WR62)の物理的外形または空胴寸法は、放射用サファイアブレードと整合させてある。移行部でのインピーダンスの整合は、http://niremf.ifac.cnr.it/tissprop/から得られる肝臓の塊についてのモデルを用いた場合に、14.25GHzから14.75GHzの間の周波数範囲にわたって反射損失が−25dBよりよいとシミュレートされている。ここで、比誘電率は、27.222であり、伝導率は、スポット周波数14.5GHzで14.448S/mである。隆起部130が、導波管開口部を横断する方向の電圧変動を少なくするために、導波管部分または移行部120に含められた。放射用サファイアブレード110は、WG18からWG17までの移行部120にろう付けされている。サファイア製の放射用ブレード110の壁部は、電鋳で形成されている。物理的なキーがブレードに差し込まれていて、ブレードが導波管内の所定位置にしっかりと保持され、落下したり、誤って外れたりすることのな
いように、確実にしている。
本明細書に開示したアンテナ構造体に適する具体的な材料は:
(a)放射/切断用ブレードおよび整合用変成器については:
硬度1900ヌープ(9モー)、C軸に垂直な誘電率=9.3、C軸に平行な誘電率=11.5、そして、損失正接(すなわち、損失率または1/Q)=0.00005であるサファイア(AL)、
D6として知られているモーガンエレクトロセラミックス社製のある特定のマイクロ波セラミックで、誘電率=6.5+/−0.5、かつ、損失正接=0.002であり、3GHzと20GHzとの間の周波数範囲にわたって使用できるもの;
(b)コーティング材料については:
パリレンC、テフロン(登録商標)またはPTFEは、放射/切断用ブレードをコーティングするのに、および/または、アンテナ構造体全体をコーティングするのに用いてもよく、これは、それらに生体適合性があり、対象周波数での損失が小さいからである。誘電体の加熱損失は、例えば10μmから100μmといった上記材料の非常に薄い層を使用することで回避しうる;
(c)ブレードの筐体、導波管部分、および、ケーブル組立体については:
高伝導性を有し、それにより導波管での導体損失を最小にし、かつ、導体の損失によって引き起こされる導波管構造体の加熱を制限する真鍮、アルミニウム、銅、または、銀。例えば、銀をめっきしたアルミニウム製の構造体を用いることがでる。この場合、めっきする厚みは対象周波数での表皮厚さの数倍であり、マイクロ波のエネルギの大部分がその深さに確実に収まるようにする。
図2は、例えば血液のインピーダンス、肝臓表面のインピーダンス、肝臓内にある腫瘍のインピーダンスといった、変化する、すなわち、動的な負荷インピーダンスという条件の下でエネルギを生物組織180に効率的に送り込むことを可能にするために、自動インピーダンス整合システム180とともに用いられている図1の放射用アンテナ構造体20を示している。図2にブロック図の形式で示されているシステムの具体的な詳細は、WO2004/047659にあるが、このシステムの動作の概要を本明細書に含める。ここに示されている動的インピーダンス整合システムは、システム周波数14.5GHzで低電力信号を生成する発振源ユニット10を使用している。発振源10は、マイクロ波受信ユニット22のための局部発振信号を提供するのに使用される第2信号をさらに生成してもよい。マイクロ波受信ユニット22は、ヘテロダイン受信機であり、順方向および反射電力方向性結合器15、16、18、19の結合されたポートによって与えられる信号から大きさおよび位相情報の両方を抽出することを可能にする。この実施形態では、50MHzの第1の中間周波数(IF)を与えるために、局所発振信号が14.45GHzのマイクロ波周波数で生成される。図2は、組織負荷180に送り込まれる電力の大きさを制御するのに用いられる電力レベルコントローラ11に接続された発振源ユニットからのRF出力を示している。この大きさは、デジタル・シグナル・プロセッサ13によって与えられる信号を用いて設定される。この信号は、ユーザまたはオペレータによってユーザインターフェイス24に与えられた情報に基づくものである。電力レベルコントローラ11の出力は、モジュレーションスイッチ12に接続されており、このモジュレーションスイッチ12は、組織負荷180に送り込まれる出力電力の形式、つまり、パルス幅およびデューティサイクルを制御するのに用いられている。スイッチの位置は、デジタル・シグナル・プロセッサ13によって与えられ、ユーザがユーザインターフェイス24に与えた情報に基づくものである信号を用いて設定される。モジュレーションスイッチ12からの出力信号は、生物組織を効果的に除去するのに利用することができる電力レベルを与えるために、増幅ブロック14を用いて増幅される。増幅ブロックは、固体電力増幅器(例えばGaAs)であってもよいし、より高い電力出力の場合は、進行波管であってもよい。電力増幅器14からの出力は、第1順方向電力結合器15の入力に接続されており、この第
1順方向電力結合器15は、電力増幅器14の出力で生成された電力の一部を測定するように構成されている。第1順方向電力結合器15からの出力は、第1反射電力結合器16に接続されており、この第1反射電力結合器16は、調整可能同調フィルタ17への入力で生成された反射電力の一部を測定するように構成されている。同調フィルタ17は、インピーダンス調整器としての役割を果たすものであり、このユニットのインピーダンスは、手術用アンテナ20の放射部分が見たインピーダンスを生物組織180が生成する負荷インピーダンスとインピーダンス整合させることが可能である任意のインピーダンスに調節することができる。同調フィルタ17からの出力は、第2順方向電力結合器18の入力に接続されており、この第2順方向電力結合器18は、同調フィルタ17から出て来る電力の一部を測定するように構成されている。第2順方向電力結合器18からの出力は、第2反射電力結合器19の入力に接続されており、この第2反射電力結合器19は、アンテナ20の出力放射用ブレード110と生物組織負荷180との間のインピーダンス不整合により、ケーブル組立体150に沿って反射されて戻ってくるものの一部を測定するように構成されている。順方向電力結合器15、18および反射電力結合器16、19の結合されたポートから測定された信号は、マイクロ波受信ユニット22に供給される。このマイクロ波受信ユニット22は、その信号をアナログ/デジタルコンバータ(ADC)によって利用できるより低い周波数に変換する。アナログ/デジタルコンバータは信号処理ユニット13に入っており、この信号処理ユニット13は、位相および大きさの情報を抽出するのに用いられる。位相および大きさの情報は、同調フィルタ17の同調素子に必要な調整を計算するのに使われ、電力増幅器14の出力で生成されたエネルギを手術用アンテナ20の放射用先端部で見た組織荷重180とインピーダンスを整合させられるようにし、これによりシステムが変動するインピーダンス負荷へ求められた電力レベルを送り込むことができるようにする。この実施形態において、同調素子は、3つの同調ロッド(またはスタブ)25、26、27であり、導波管空胴に物理的に(機械的に)出し入れして、生物組織180によって手術用アンテナ20の放射部分に与えられた負荷に電力増幅器14からの出力電力を送り込めるようにするものである。パワー・バラクタ・ダイオードまたはパワーPINダイオードもまた同調素子として利用することができる。同調用スタブ25、26、27は、各々、容量性または誘導性リアクタンスがあり、このリアクタンスの値は、導波管空胴内の特定の同調用ロッドの距離の関数である。隣り合う同調用スタブの中心は、作動周波数で利用される具体的な導波管の管内波長の1/4または1/8のいずれかだけ離されている。導波管空胴内の同調用スタブの位置は、この場合には電気機械的なアクチュエータであるスタブ/同調用素子コントローラ28の入力での信号によって決まる。スタブ/同調用素子コントローラ28を制御するために使用される入力信号は、デジタル・シグナル・プロセッサ13によって与えられ、これらの信号は、マイクロ波受信ユニット22からの信号に基づいており、マイクロ波受信ユニット22からの信号自体は、指向性結合器15、16、18、19の結合されたポートで測定された情報に基づくものである。手術用アンテナ20は、前述した自動インピーダンス整合システムを使用可能とするために、遠位にある放射用ブレード110で較正される。外科手術で使用する前に、アンテナ20は較正ユニット21に挿入され、アンテナ20(放射用サファイアブレード)の遠位端で「見た」信号をデジタル・シグナル・プロセッサ・ユニット13が基準にすることができるように、単一ポート較正が行われ、位相および大きさの情報がデジタル信号処理法を用いて抽出される。較正は、(空中の)放射用アンテナの遠位先端部と、デジタル・シグナル・プロセッサへの入力との間におけるシステムの全部品によって引き起こされる位相および大きさの変化を効果的に取り除き、測定された信号が、放射用アンテナの遠位先端部が接触した生物負荷を表すことができるようにする。
図3は、図1に示したサファイアブレードについての周波数の関数としての反射損失モデルのグラフを示している。ここで、ブレード110は、肝臓180の塊の内部に挿入されており、その肝臓の電気特性は、http://niremf.ifac.cnr.it/tissprop/で得られる組織モデルで定義される。図3に示されているレスポ
ンスは、14.5GHzという対象周波数での反射損失が−30dBよりも大きくなるであろうということを示しており、このことは、サファイアアンテナ構造体の遠位端で送り出されているエネルギが肝臓のモデルのインピーダンスとよく整合していること、および、放射構造体によって生成されたエネルギの大部分が肝臓組織に送り込まれるであろうことを意味している。
図4は、自由空間に放射しているサファイアアンテナについての周波数を関数としての反射損失モデルのグラフを示している。このグラフは、14.5GHzでの反射損失が−1dB未満であろうことを示しており、このことは、エネルギの大部分がアンテナ構造体に沿ってエネルギ供給源へ向かって反射して戻されることを意味しており、ここで、装置は自由空間に放射している。放射用アンテナ構造体は、自由空間に送られる放射の量を最小にするために、この条件について最適化される。システムの残りと共にアンテナが使用される場合、反射された電力の大きさは検出されるであろうし、供給源の電力の大きさは、エネルギを自由空間に放射する危険をさらに小さくよう減らすことができる。
図5は、アンテナ(サファイアブレード)の放射部分を病的な豚の肝臓の一片に挿入した状態で、10GHzと15GHzとの間の周波数帯域で測定された周波数の関数としての反射損失のプロットである。グラフは、14GHzと14.5GHzとの間の周波数帯域でよく整合していることを示している。14.5GHzに配置されたマーカーは、この周波数での反射損失が−27.223dBであることを示しており、このことは、アンテナ構造体が本発明の対象周波数で灌流されていない豚の肝臓からなる負荷によく整合していることを示している。図6は、アンテナの放射部分が自由空間へ放射している状態で、10GHzと15GHzとの間の周波数帯域について周波数の関数として測定された反射損失のプロットを示している。14.5GHzで、反射損失が−6.989dBである。
図1のケーブル組立体150として、ジェネレータと放射用アンテナとの間で用いられた1.2メートルの可撓性導波管についての14.5GHzでの挿入損失は、0.621dBである。電力損失に関しては:マイクロ波ジェネレータの出力で得られる電力が50dBm(100W)であると仮定すると、アンテナ構造体への入力で得られる電力は、50dBm−0.621dB=49.379dBm=86.676Wとなる。これは、13.32ワットの電力が長さが1.2メートルのケーブル組立体に沿って失われるであろうことを意味し、したがって、1センチメートル当たりの損失は0.111Wとなる。このことは、エネルギが連続的に長時間、例えば10分以上加えられた場合であっても、伝達構造体が加熱されないことを示すものである。150の挿入損失を最小にし、共振空胴を電力増幅器14と組織負荷180との出力の間に構成できるようにして、図2に示されている動的整合システムが効果的に作動できるようにし、負荷と供給源の整合が取れていない場合であっても組織にエネルギを送り込むことができるようにすることが好ましい。
図7は、放射しているサファイアブレードを肝臓の塊の中に埋めた状態での電磁場のシミュレーションの結果を示している。シミュレーションは、14.5GHzという一定の周波数で行われた。電力の最大の流れがブレードの領域にあり、電力密度および電場がブレードの表面に沿って一様であることが分かる。図8は、サファイアブレード内の場の分布を示している。ここでは、そのブレードが生物組織に入っていく、ブレードの放射端において電場が最大であること、および、ブレードの長さ方向に沿って生成される電場が一様であることが分かる。図9は、アンテナの遠距離場のパターンを示している。アンテナが指向性であり、最大利得が11.19dBiであることが分かる。
病的な豚の肝臓組織180の領域を上述した放射用サファイア・ブレード・アンテナを用いて分離するために、以下の条件を用いることができる:
1.放射用ブレードにおける電力レベル:60W
2.作動モード:連続波
3.作動時間:45秒
4.周波数および安定性:14.5GHz(+/−1kHz)
5.肝臓の初期温度:約15°
この場合、浸透深さは、放射による浸透深さに制限される。
図10は、セラミック部材110が非装荷導波管部分140と生物組織180との間のインピーダンスを整合させる機能を果たす実施形態を示している。セラミック部材110は、切断または研磨されて、生物組織構造180を切断するための鋭利な刃先の縁部を形成している。図10において、セラミック部材は、対象周波数において6.32の比誘電率を有し、比誘電率が1の空気が充満している非装荷導波管空胴と、比誘電率が40の組織の塊180との間で効果的なインピーダンスの整合を可能にする。エネルギが導波管空胴からセラミック部材110へと連結されているセラミック部材110の近位端は、場を最大限にセラミック部材110に連結できるような形状にしてある。
図11は、「歯」形状の放射用ブレードを示しており、3つの等しい辺と、60°である3つの等しい角とを有する正三角形の形状をとっている。平面の1つは、セラミックが導波管の内側に保持されうるように、また、マイクロ波エネルギが前述のセラミックに連結されうるように伸びている。他のブレード形状を用いることもできる。例えば、ひし形、たこ形、鈍角三角形、不等辺三角形、または、二等辺三角形である。
図12は、手術用アンテナが約26mmのブレード長さを有する実施形態を示している。この装置は、個別の導波管空胴120、121の内部に配置された2つの13mmサファイアブレード110、111を用いており、ブレードの全長にわたって組織の影響が確実に一様のままであるように、その2つのサファイア片の間の共通の壁部が可能な限り薄く作られている。必要な壁部の厚みは、物理的な制約とマイクロ波信号が伝搬するために必要な表皮厚さで制限されている。対象周波数での表皮厚さが数マイクロメータ(μm)の領域であるとすると、2つのサファイアブレード間の壁部の厚さは、組織効果の一様性に影響しないように十分小さくすることができる。2つの導波管空胴120、121は、可撓性または可撓性−ねじり可能導波管組立体140、141をそれぞれ用いて個別に給電される。図12において、ジェネレータからの供給源電力は、2つの等しい部分に分けられ、ハイブリットリング型パワースプリッタ200を用いて前述の導波管ケーブル組立体140、141の近位端に給電するのに使用される。ジェネレータからの入力電力は、第1ポート220でハイブリットリングに入る。出力電力の半分は、第2ポート230から出て、出力電力の他の半分は第4ポート250から出てくる。
ハイブリットリング型パワースプリッタ200について示されている構成では、第1ポート220への電力入力は、第2ポート230と第4ポート250との間で等しく分割され、第3ポート240は絶縁されたポートとしての役割を果たす。絶縁ポート240は、ここでは導波管負荷260として示されている、良好に整合させた電力負荷に接続されている。この構成では、2つの出力ポート230、250の間の位相のずれは、180°である。4つの全てのポート220、230、240、250が良好に整合された負荷をそれらに接続されていれば、つまり、ポートにおける反射が最小である、または、ハイブリットリングの4つのポートに接続されている部品(すなわち、2つの放射用サファイア・ブレード・アンテナ、導波管負荷、および、入力給電ケーブル)の入力インピーダンスがハイブリットリングの入出力ポートのインピーダンスと等しければ、電力がリング200の周りに等しく分割されるといえる。上記のポートのインピーダンスがゼロであれば、リングのインピーダンスは、インピーダンス整合システムが必要な条件を満足するために√2×Zに等しくなるべきである。より正式には、パワースプリッタの動作は、以下のように説明できる:第4ポート250における波は3λ/4進み、それ故にこれらは位相が
一致しており、互いに加わることになる。第2ポート230における波は、λ/4および5λ/4進み、したがって、これらも位相が一致しており、互いに加わる。しかしながら、第3ポート240における波は、2λ/4およびλ進み、よって、これらは、180°位相がずれており、それ故に打ち消される。さらに、2つの出力ポート230、250の間の電気的長さがλ/2であり、それ故に2つの出力信号の間に180°の位相のずれがあろうことが分かる。これは、2つの放射用ブレード110、111の作用に影響を及ぼすことはない。なぜならば、2つの放射用アンテナは、生物組織の中へと向けられたエネルギに関しては独立に作動しており、それ故に、2つの放射用ブレード110、111により生成された場のパターンの間で相互作用または結合が最小のはずだからである。2つの信号を同相で戻すことが望ましいのであれば、リングの第2ポート230と導波管ケーブル組立体140との間、または、リングの第4ポート250と導波管組立体141との間の経路のどちらかに一本の補助導波管部分を挿入することもできる。補助導波管部分の電気的経路長が180°であれば、導波管ランチャー120、121の第1および第2部分に供給された波は、同相で戻るであろう。180°の位相ずれを生成するのに必要な補助的な長さは、本明細書で与えている具体的な実施形態の作動周波数における空気中(または真空中)で約10mmであるので、導波管の補助的な部分は、2つの放射用ブレードの間で著しい大きさの不均衡を引き起こすことはなく、それ故に、2つのブレードで生成されるエネルギの差は無視できる。
他の適切なパワーカプラまたはパワースプリッタを用いてもよく、それらの一部としては、ブランチ・ライン・カプラ(Branch line couplers)、共振空胴スプリッタ、ウィルキンソンカプラ、および、例えばツー・ホール・カプラ(two hole coupler)といった導波管カプラがある。
共振空胴スプリッタは、それらの構成が220GHzまでの狭帯域用途で有用であることが証明されているので、高いマイクロ波周波数で特に興味の対象となることがある。これらの装置では、円筒形または矩形の空胴を用いて、0.2dBもの低さの電力損失、および、85%から90%の分離効率を達成可能としている(参考文献 Kai Chang、‘Handbook of RF/Microwave Components and Engineering’、Wiley−Interscience、ISBN:0−471−39056−9、187ページ)。
図12において、2つの導波管空胴120、121の各々は、それぞれ、3つの同調用ねじ141、142、143および144、145、146をさらに含んでいる。これらの同調用ねじは、サファイアブレード110、111を生物組織180のインピーダンスと静的にインピーダンス整合させることを可能とするために利用されている。装置は、最終用途で使用されるであろう代表的な生物組織180とインピーダンスが整合していることが望ましいが、この装置がWO2004/047659に記載され、図2に示されている動的同調システムと使用されるのであれば、インピーダンスの整合は自動的に行われる。この場合であっても、同調用ネットワークと、サファイア製の放射用アンテナブレード110、111との間にある共鳴空胴の中に高い電流または電圧(場)を生じさせることにつながりうる定在波を制限するために、放射用サファイアブレード110、111と、治療する組織180との間で最初に良好なインピーダンス整合が確実にあることが望ましく、この場合、同調器が組織負荷のインピーダンスの共役を作り、整合状体を達成可能にする。
マイクロストリップ(ストリップ−ラインとしても知られている)構造もまた放射用アンテナに給電するために、すなわち、マイクロ波電源からのたった1つの入力を分割して、生物組織を凝固または除去するのに利用できる複数の放射用アンテナ構造体を励起するのに使用できる複数のより低い電源を実質的に提供する手段としての役割を果たすために
用いることができる。
図13は、切断/放射用アンテナ構造体が約68mmの刃の長さを有する実施形態を示している。この設計は、誘電材料350上に製作されたマイクロストリップ給電ラインを利用しており、誘電材料350は、対象周波数で低挿入損失を示し、また、100Wの連続波までおよびそれ以上の電力レベルを流すことを可能にするのに十分な厚みである。適当な候補は、ロジャース社製のRT/duriod(登録商標)5880であり、これは、10GHzで比誘電率2.33および散逸率0.0009であるPFTEガラス繊維複合材である。この材料がシステムによって生成された電力を取り扱うことができるための適切な厚みは、2.5mmから3.5mmの間である。給電ライン300の幅および厚みは、その給電ライン構造が取り扱うことができる電力レベルをも決める。給電ライン300の幅は誘電材料350の厚みとともに増大するので、トラックの幅を可能な限り広く保つためには、誘電体の厚みを物理的に可能な限り大きくすることが望ましい。この実施形態で示す給電構造部に用いた全てのマイクロストリップラインのインピーダンスは、50Ωである。図13に示されている手術用アンテナは、誘電材料片110、111、112、113が装荷された4つの導波管部分120、121、122、123を利用している。誘電材料片は、マイクロ波エネルギを生物組織180に放射すること、および、その生物組織180を切断することにも使用できる鋭利な刃の形状をしている。誘電材料の間にある内側導波管壁部の厚み、つまり、110と111との間の壁部、111と112との間の壁部、および、112と113との間の壁部は、隣り合う誘電材料部分によって生成された場の不連続性が不均一な組織効果を引き起こさないようにするのに十分小さい。マイクロストリップ給電構造部300は、4つの50ΩマイクロストリップラインC310、B320、A330、A331からなる。入力給電ラインC310は、どのような長さであってもよいラインからなり、マイクロ波コネクタ360が入力に接続されている。上記のコネクタ360は、Nタイプのコネクタであってもよいし、SMAタイプのコネクタであってもよい。給電ラインC310の遠位端に接続されている第2マイクロストリップラインB320は、2つの1/4波長変成器を形成している。つまり、給電ラインC310の遠位端からのラインの長さが(2n−1)λ/4である。ラインA330およびA331の遠位端に接続されているインピーダンスが50Ωのインピーダンスを有することが仮定されており、このために、ラインB320によって作り出された2つのインピーダンス変成器の遠位端で見たインピーダンスは、並列接続された2つの50Ωインピーダンスに等しく、つまり、25Ωとなる。50Ωの1/4波長変成器B320は、次に25Ωのインピーダンスを100Ω、つまり、50/25=100Ωに変換し、また、ラインB320によって形成された2つのインピーダンス変成器の近位端が給電ラインC310の遠位端に接続されているので、給電ラインC310の遠位端で見られるインピーダンスは、並列接続した2つの100Ωインピーダンスに等しく、50Ωとなり、このために、給電ネットワークは、50Ωのシステムとインピーダンスの整合がとられる。マイクロストリップラインA330、A331は、任意の実用的長さであってもよいが、それらが変成器B320に接続されている中心位置からの長さは等しくなければならず、つまり、ラインA330およびA331の2つの端部におけるエネルギの位相および大きさもまた等しい。マイクロストリップラインA330およびA331の4つの端部からのエネルギは、「H」フィールドループ340、341、342、343を用いて導波管空胴120、121、122、123に連結されている。ループは、対象周波数での波長の半分(またはその奇数倍)に等しい長さを有する。ループの一方の端部は、マイクロストリップ・パワー・スプリッタの4つの出力の1つに接続されており、他方の端部は、それぞれの導波管空胴の壁部に接続されている。「H」フィールドループは、横磁(TM)場または横電(TE)場を導波管内に形成可能にし、そのために、マイクロストリップライン構造に沿って形成された横電磁(TEM)波は、4つの導波管空胴120、121、122、123内に形成された横磁(TM)場または横電(TE)場に変換される。形成された波がTMであるかTEであるかはループの向きによる。図13に示されている向きはTM波を形成
するが、もしループが90°回されていれば、TE波が形成されたであろう。ループ結合を利用することの代替は、プローブ結合を利用することであり、この場合、普通は対象周波数の波長の1/4に等しい長さを有するプローブが導波管の壁に差し込まれる。「H」フィールドループが使用された場合には、磁場が一般に支配的であり、このため、導波管は横磁と呼ばれ、磁力線がループの中心を通る。図13から分かるが、マイクロストリップラインと導波管空胴との間に隙間がある。この隙間は、信号線(または給電)が導波管空胴の壁部と短絡しないことを保証する。誘電体基板材料350の底面(第2面)は、その全面を金属で被覆されて接地面を形成しており、この金属で被覆された面は、導波管空胴120、121、122、123の外側壁部に電気的(かつ物理的)に接続されている。
第2の誘電材料をマイクロストリップ給電ライン構造C310、B320、A330、A331の上面にサンドイッチ状にして、給電ライン構造が自由空間に放射するのを防止することができる。この場合、第2の誘電材料の第2の面をその全面にわたって金属で被覆して接地面を形成し、この金属で被覆された面は、導波管空胴120、121、122、123の外側壁部に電気的(または物理的)に接続される。この場合、マイクロストリップラインの幅は、第2の誘電材料を考慮するために変更されている。第2の誘電材料の厚さが第1の誘電材料のそれと同じであれば、つまり、350であれば、線幅はほぼ半分になる。
マイクロストリップ給電構造部が100Wまでおよびそれ以上の連続波電力レベルを取り扱うことができるためには、マイクロストリップラインの厚さが約2oz(70μm)であり、ラインの材料が高い伝導性を有することが好ましく、例えば銅、真鍮、金、または、銀を用いてもよい。
図14は、導波管空胴120に差し込まれ、スタイロフォーム片116を用いて所定位置に保持されたサファイアブレード110を用いた手術用アンテナのための構成を示している。サファイアブレード110は、導波管空胴内で生成された最大の場が放射用ブレード110に連結され、組織構造180を治療するのに最大のエネルギが利用できるように、導波管空胴120の内部に配置されている。サファイアの表面の全てが、放射用ブレード部分と、マイクロ波の場がその部材に連結される導波管空胴120内の部分とを除き、金属で覆われている。金属被覆の層は、その部材の表面が自由空間へ放射することを防止し、また、場を生物組織構造180に集中させるのを補助もする。
図15は、導波管空胴120内に差し込まれ、スタイロフォーム片116を用いて所定位置に保持されている円筒形セラミック放射用ブレード110を示している。この構成では、放射部分が放射先端部まで金属で被覆された円錐となっている。導波管空胴120の内部にあるセラミック部分は、導波管空胴からセラミックロッドへ最大の場が連結できるように、先の尖った部分となっている。導波管内のセラミック部分は、金属で被覆されていない。外部の先端は、その構造体が皮膚に穴をあけること、または、支持されていない複数の解剖学的面からなる生物組織構造に押し通すことができるように鋭利となっている。円錐体の末端の先端部にブレード(例えば手術用メスの刃)を固定し、組織の切断または最初の切開を可能にする、および/または、補助することもできる(これは図15に示されていない)。
図16から19は、マイクロストリップアンテナ構造体および給電ラインを利用して求められている本発明の切断および密封の特徴を提供しうる、可能性のある装置の詳細を提供している。
図16から図19に示されている構造は、その設計に伴う給電構造部を遮蔽して、給電
構造部から出てくる放射を防止し、また、さらに不連続性を最小にするために、ストリップラインまたは三重マイクロストリップ構造を用いて実施することができる。
図16は、肝臓切除アンテナの実施形態を示しており、この実施形態は、放射用パッチアンテナの配列400を備えた「ペイントストリッパ(paint stripper)」構造を用いている。放射用パッチアンテナの配列400は、ブレードの長さ方向に沿って一様な放射パターンを生成し、この構造が生物組織に押し込まれると、一様に組織を除去することができる放射部分を形成するようにブレード上に堆積されている。放射素子は、組織切断プロセスを補助することができる。放射素子のインピーダンスは、生物組織のインピーダンスに整合させて、ブレードがエネルギを組織に効率的に送り込み、例えば、人体内で著しい灌流を施されている臓器を治療しているときに血液を凝固させて出血を止めるのを可能にしている。マイクロ波コネクタ360がマイクロ波エネルギを放射構造に放つのに利用されており、給電ライン構造300が放射用パッチアンテナに好ましくは同じ大きさの電力を供給するのに用いられている。給電ラインは、信号の位相が等しくなるようにパッチアンテナに入っており、隣り合うパッチは、放射用ブレードの長さ方向に沿って一様な組織効果を与えるように、非常に近接している。
図17は、複数の放射用パッチアンテナを有する放射用ブレードアンテナの詳細な実施形態を示している。アンテナおよび給電ラインは、セラミック基板部材(ブレード)350の一方の面に堆積されており、上記基板部材350の第2の面は、全面的に金属で被覆して、接地面または反射経路351を形成している。図17に示されている実施形態は、セラミックブレードの縁部に沿って配置された16個の放射用パッチアンテナ401〜416を使用している。給電構造部は、50Ωのマイクロストリップラインと、1つおきの1/4波長変成器を使用している。N型のマイクロ波コネクタ360が給電ライン構造の入力に接続されていて、ケーブル組立体をマイクロ波パワージェネレータと手術用アンテナとの間に接続可能としている。第1のマイクロストリップライン310は、マイクロ波コネクタ360のマイクロストリップ・ラウンチ・ピン(microstrip launch pin)に接続されている。上記マイクロストリップライン310の長さは重要ではないが、最終用途の許容可能な挿入損失および物理的な制約、並びに、適用する機器の全体的な審美性に左右される。マイクロストリップライン310の遠位端は、第2マイクロストリップライン320に接続されており、第2マイクロストリップライン320は、2つの1/4波長変成器を形成している。第2マイクロストリップライン320の中心点は、第1マイクロストリップライン310の遠位端に接続している。第2マイクロストリップライン320の2つの遠位端は、第3および第4のマイクロストリップライン331、330の中心点にそれぞれ接続されている。第3および第4のマイクロストリップライン331、330の長さは重要ではないが、2つのラインの長さが等しく、4つの遠位端での信号を大きさおよび位相の点で等しくできることが好ましい。第3および第4のマイクロストリップライン331、330の遠位端は、第5、第6、第7および第8のマイクロストリップラインの中心点に接続されており、この第5、第6、第7および第8のマイクロストリップラインは、さらに4つの1/2波長マイクロストリップライン373、372、371、370をそれぞれ形成している。これらのマイクロストリップラインは、さらに8つの1/4波長変成器を形成している。4つの1/2波長マイクロストリップライン373、372、371、370の遠位端は、さらに8つのマイクロストリップライン380、381、382、383、384、385、386、387に接続されている。マイクロストリップライン380、381、382、383、384、385、386、387の長さは重要ではないが、上記のマイクロストリップラインの遠位端で生成される全ての信号の位相および大きさが確実に等しくなるように、好ましくは全て等しい長さであるべきである。マイクロストリップライン370〜373の遠位端は、必要なインピーダンス変換が行われるように、マイクロストリップライン380〜387の中心点に接続しなければならない。マイクロストリップライン380〜387の遠位端は、放射用
パッチアンテナ401〜416までの給電ラインをそれぞれ形成する。
隣接する放射用パッチの間の距離は、一様な電磁場がブレードの長さ方向に沿って生成されるようになっている。隣接するパッチの間の距離は、組織効果(凝固/除去)が放射用ブレードに長さ方向に沿って確実に一様となるように、対象周波数で約1mmである。
図17に示した50Ωのマイクロストリップ給電ライン構造の操作の例は以下の通りである:
1.まず、16個の放射用アンテナへの給電では、アンテナ給電箇所401〜416で50Ωのインピーダンスの負荷が「見られる」と仮定する。
2.このことは、マイクロストリップライン380〜387の中心点の各々では、25Ωのインピーダンス、つまり、並列の2つの50Ωの負荷(50/2=25Ω)が「見られる」ことを意味する。
3.マイクロストリップライン370〜373が、各々、対象周波数の1/2波長に等しい電気的長さであり、ラインの中心がこれらのラインに給電するマイクロストリップラインの遠位端に接続されているので、25Ω負荷インピーダンスの各々は、1/4波長変成器の各々によって100Ωに変換される。つまり、
=√(Z×Z)=>Z=Z /Z=50/25=100Ω
(この解析では、Zがマイクロストリップラインの(オームで表した)特性インピーダンスであり、Zは(オームで表した)負荷インピーダンスであり、そしてZは、(オームで表した)供給源インピーダンスである)。
4.このことは、マイクロストリップライン370〜373の各々の中心点で「見られる」インピーダンスが50Ωである、つまり、2つの100Ωインピーダンスの並列和(100/2=50Ω)であることを意味する。
5.したがって、マイクロストリップライン331および330の4つの遠位端で「見られる」インピーダンスは、50Ωである。
6.このことは、マイクロストリップライン331および330の中心点では、25オームのインピーダンスが「見られる」、つまり、並列の2つの50Ω負荷(50/2=25オーム)であることを意味する。
7.マイクロストリップライン320は、対象周波数の1/2波長に等しい電気的長さを有し、ライン320の中心は、入力コネクタ360に接続している第1マイクロストリップ給電ライン310の遠位端に接続されている。したがって、25Ω負荷インピーダンスは、1/4波長変成器によって100Ωに変換されている。つまり、
=Z /Z=50/25=100Ω
8.このことは、マイクロストリップライン320の中心点で「見られる」インピーダンスが50Ωであること、つまり、2つの100Ωインピーダンスの並列和(100/2=50Ω)であることを意味する。
9.第1マイクロストリップライン310が50Ωのマイクロストリップ伝送線であり、入力コネクタ360に接続されたケーブル組立体が50Ωの特性インピーダンスを有するとすると、マイクロストリップライン320の中心点で「見られる」50Ωのインピーダンスは、良好な整合がなされているネットワークまたはシステムのための条件となる。
放射用パッチ・アンテナパッチ・アンテナ401〜416は、放射端が、その放射する
縁部と接触している生物組織180のインピーダンスと、インピーダンスが整合するように構成されている。
図18は、手術用切除アンテナの代替構成であって、ハイブリット型基板構造体の第1の面に製作されたマイクロストリップ給電ライン構造と複数の放射用パッチアンテナとを利用しているものを示している。この構成では、給電ライン構造の一部を形成する最初の4つのマイクロストリップライン310、320、331、330は、マイクロ波PCB部材の上に製作されている。この実施形態において、マイクロ波PCB部材は、ロジャー社製の5880 RT Duriod(登録商標)である。残りの給電ライン380〜387および放射用アンテナ素子401〜416は、硬質セラミック部材の上に製作されており、この硬質セラミック部材は、本実施形態では、サファイアである。2つの部材は、適当な接着剤を用いて接着されていてもよい。構造体の第2の面は、全面を金属で被覆されていて、マイクロ波給電または放射用アンテナ構造のための接地面または反射信号351を形成している。金属被覆層は良導体であり、例えば、銅、銀または真鍮である。インターフェイス層が金属被覆層および基板部材の間に、その2つの層を接合するために設けられている。インターフェイスの材料は、マイクロ波のエネルギの一部がその材料に吸収されることがないように、そして、構造体の加熱や放射用アンテナで得られるエネルギの損失といった望ましくない影響を引き起こさないように、作動周波数では低い損失を示す。
給電ラインは、金属封入体(不図示)で覆って、マイクロストリップ給電ライン構造から自由空間へ伝搬する放射の放出を防止するために、ことができる。
図19は、給電構造部378と放射用パッチ417が手術用メスの刃500に製作されている放射用パッチアンテナ構造体の実施形態を示している。手術用メスの刃の一方の面は、接地面として利用されており、誘電体基板材料の層350が手術用メスの刃の第2の面に取り付けられており、これにより、マイクロ給電ライン構造および放射用パッチが上記基板層に取り付けられて、マイクロストリップライン構造を形成している。マイクロストリップ給電ラインおよび放射用パッチのための金属被覆層を取り付ける前に、誘電材料の噴霧を用いて手術用メスの刃500の第2の面を被覆することもできる。
図17から図19に示されている放射用パッチアンテナの形状は、作動周波数、基板材料の特性、および、組織負荷によって決められる。普通に作動させる場合、パッチアンテナの放射端は作動周波数の波長の半分の長さである。通常、給電ラインに垂直な、縁部に沿った場は、ゼロである。
図20(a)は、放射用ブレードアンテナについてのさらに別の実施形態を示している。この構成では、手術用メスの刃500が同軸ケーブル組立体503、504の遠位端に取り付けられており、放射用「H」フィールド・ループ・アンテナ502が上記の同軸ケーブルアセンブリの遠位端に取り付けられて、放射場素子が形成されている。中心伝導体504「H」フィールドループ502の近位端に接続されており、また、遠位端は同軸給電構造部の外側伝導体503に取り付けられている。絶縁材501は、「H」フィールドループが切断ブレード500と短絡しないように用いられている。ここに示す実施形態は、その高い電圧破壊性能から絶縁材としてカプトンテープを用いているが、他の絶縁材も用いることができる。手術では、ブレードの鋭利な縁部は、組織を切断し、ループアンテナは、刃先の近傍における組織180を直ちに焼灼または凝固させるために、マイクロ波エネルギを放射する。「H」フィールドループの物理的長さは、好ましい作動周波数の1/2波長(またはその奇数倍)である。ワイヤのループの直径は、100Wの連続波までの電力の大きさを取り扱うことができる。「H」フィールドループの代替として、「E」フィールド・プローブ・アンテナを用いてマイクロ波を生成してもよい。例えば、モノポ
ール、ダイポール、ターンスタイル、または、スパイラルアンテナ構造体をブレード構造体に取り付けてもよい。放射構造は、部分的に遮蔽して、自由空間への電磁場の放出を制限する、または、使用者に対する、若しくは、所望の治療領域ではない体の領域における患者に対する放射の危険を制限することもできる。図20(a)に示した構成は、「H」フィールドアンテナ502が配置されている切断用ブレード500の中心の辺りの一部分を取り去って変更してもよい。上記の「H」フィールドアンテナ502は、この場合、切断ブレード500の刃先の周りに、その刃先の近傍の血流を封じるのに利用できる放射電磁場を生成できるように、上記の切断用ブレード500の中心部分の内部に存在してもよい。この構成は、図20(b)に示されており、絶縁材料501は取り去られており、放射用ループがブレード500の切り出し部分の内部に配置されていることが分かる。上記のブレード500は、硬質セラミック材料または金属から作られてもよい。図20(b)および20(c)は、それぞれ、「H」フィールド・ループ・アンテナおよび「E」フィールドプローブまたはモノポールアンテナを備えた手術用メスの刃のアンテナの実施形態を示している。これらの実施形態の各々は、ブレードの一部が取り除かれていて、マイクロ波放射がブレードの刃先の周りに伝搬できるようにしている。
図21は、アンテナ構造体を生物組織負荷のインピーダンスとインピーダンス整合させることができるように静的同調素子を備えた装荷導波管アンテナ構造の実施形態を提供している。ここで示されているアンテナ構造体は、治療用途で使用するためのものであり、より具体的には、例えば肝腫瘍、肺腫瘍、または、副腎腫瘍といった大きな充実性腫瘍の治療に使用するためのものである。図21(a)は、放射用誘電体ロッド601の一部が組織除去を行うために生物組織180に差し込まれている装荷導波管アンテナ構造体を示している。この構成では、誘電体ロッド601がインピーダンス変成器としての役割を果たし、導波管空胴602を生物組織180のインピーダンスに対してインピーダンス整合させるを可能としている。誘電体ロッド601は、円筒形導波管部分600の内部にはまっており、上記の円筒形導波管部分600は、矩形導波管部分602に接続されている。矩形部分602は、3つの同調用スタブ141、142、143を含み、これら3つの同調用スタブ141、142、143は、導波管空胴602を誘電材料601の遠位端で「見られる」インピーダンスに整合させ、エネルギ供給源と、生物組織負荷180との間で電力移動を最大にできるようにするのに用いられる。マイクロ波入力電力は、マイクロ波コネクタを用いてアンテナに結合されており、マイクロ波コネクタは、「H」フィールドループ603の一端がその中央伝導体(ピン)に接続されている。ループの他端は、導波管602の壁部に接続されている。上記のループ603の長さは、好ましい作動周波数での波長の半分(またはその奇数倍)に等しい。この「H」フィールドループ結合の構成は、マイクロ波電力をアンテナへ供給するのに使用したケーブル組立体をアンテナと同じ平面で組立体に接続できるようにする、つまり、アンテナ構造体は「末端で給電される」。隣り合う同調用スタブ141、142または142、143の間の間隔は、矩形導波管部分602の遮断周波数、および、作動周波数によって決まる導波管波長の4分の1である。
図21(b)は、図21(b)に示されている構成において、誘電体ロッド601が円筒形導波管部分600の遠位端からその長さ方向に沿ってテーパが付けられていることを除き、図21(a)に示されているものと同様の構成を示している。誘電体ロッド601の近位端も、導波管空胴602から誘電体ロッドへのテーパ放出部を作り出すためにテーパで示されている。誘電体ロッド601は、低損失の材料であることが好ましく、つまり、対象周波数での散逸率は、例えば0.001未満であるべきである。
図21(c)は、放射誘電材料601の形状が矩形である装荷矩形アンテナの構成を示している。図21(c)に示されているアンテナ構造体の全ての特徴は、上述した図21(a)および(b)に示されているアンテナ構造体と同じである。図21(d)は、アン
テナ構造体の放射面の断面を示している。放射面が治療すべき組織構造180の表面に置かれていることが分かる。この発明は、矩形形状のロッドを使用することに限定されない。四角形状ロッド、あるいは、三角形状のロッドでさえ使用することができる。図21(a)および(c)に示されている構造は、アンテナが物理的に接触している組織の表面下に位置している組織構造にエネルギを放つのに用いることもできる。例えば、アンテナの放射部分(円筒形または矩形)は、皮膚の表面に置いてもよく、そしてマイクロ波のエネルギは、皮膚の上面(表皮)の質を変えずに、皮膚表面の真下にある脂肪組織の状態を変えることに用いてもよい。皮膚の表面(または他の組織構造)は、表面における、および/または、表面近傍の組織構造を確実に保護するために、マイクロ波エネルギを加えている間に冷却することもできる。
図22から24は、人間および動物の体内にある体積の大きな充実性腫瘍を治療するのに用いることができるアンテナ構造体を示している。ここで紹介される構造は、1/4波長インピーダンス整合用変成器付きの同軸およびマイクロストリップ伝送線システムを基礎としている。図23は、チューブまたはトロカールまたはカテーテル700の先端から放射状に延びるように配置された複数の同軸放射用アンテナ構造体701/706、702/707、703/708、704/709、705/710を備えたアンテナ構造体の概念図である。上記チューブの遠位端は、円錐の形状にしてあり、また、同軸の放射体は、生物組織構造180内に挿入されたときに、一様な組織効果を生成するために、一様な電磁場が円錐体を覆うように生成するよう構成されている。複数の同軸放射構造体は、単一の同軸ケーブルから給電されており、その単一の同軸ケーブルは、構造体の先端で送られる全電力を過剰な挿入損失がない状態で取り扱うことができる。つまり、100Wの連続した電力をアンテナ構造体の入力に放つには、構造体の外形は約10mmである。
図24(a)および(b)は、肝腫瘍の除去に使用することができる同軸治療アンテナ構造体のための構成を示している。この構造体は、マイクロ波コネクタ360が近位端に接続された第1の同軸給電ケーブル801と、インピーダンス変成器として構成された第2の同軸ケーブル部分802と、放射端813〜817のあるさらに別の8つの同軸ケーブル組立体808〜812(図24(a)では5つのみが見られる)とからなる。第2の同軸ケーブル組立体802は、作動周波数における波長の1/4(またはその奇数倍)の電気的長さに等しい物理的長さを有し、また、第1の同軸部分801の特性インピーダンスと、放射端が代表的な組織負荷に接続された8つの同軸ケーブルのインピーダンスの並列和との積の平方根に等しいインピーダンスからなる。
必要なインピーダンス変換を行う第2の同軸ケーブル組立体802の特性インピーダンスは、任意の数の同軸放射体について、
02=√(Z01×Z03 /Z×n)
を用いて計算することができる。ただし、Z02は、同軸変成部分802の特性インピーダンス(Ω)であり、Z01は、同軸給電ケーブル801の特性インピーダンス(Ω)であり、Z03は、802の遠位端に接続された第「n」同軸ケーブル部分の特性インピーダンス(Ω)であり、Zは組織負荷のインピーダンス(Ω)であり、「n」は放射素子の数である(無次元)。
この解析は、各放射端で同一の負荷インピーダンスが「見られる」こと、つまり、生物組織のインピーダンスが放射素子が接触している領域全体にわたって等しいこと、言い換えれば、負荷がバランスをとっていることを仮定している。
この解析では、同軸部分の各々の特性インピーダンス(Z03)が同一であること、および、Z03で示されている同軸ケーブル部分の長さが作動周波数での波長の1/4(またはその奇数倍)であることをさらに仮定している。
図24に示されている構成は、チューブ内に挿入してもよく、放射要素は、図23に図示のように、円錐形状構造の内部に配置してもよい。
図22は、大容積の腫瘍を除去するのに用いることができるさらに別のアンテナ構造体を示している。この構成は、マイクロ波入力コネクタ360が近位端に接続されており、マイクロストリップインピーダンス変成器1001が遠位端に接続されているマイクロストリップ伝送線1000を利用するものである。マイクロストリップインピーダンス変成器1001は、作動周波数における電気的波長の1/4(またはその奇数倍)に等しい物理的長さを有する1/4波長変成器であり、この長さは、基板材1124の比誘電率を考慮に入れたものである。上記のマイクロストリップライン1000、1001は、適切なマイクロ波基板材1124の第1の面に作られている。上記マイクロストリップ材1124の第2の側面は、材料の全面にわたって金属で被覆されており、この金属被覆層は、接地面としての役割を果たしている。いくつかの同軸ケーブル組立体は、各々、外側伝導体1005、1008、1011、1014と、内側伝導体1003、1007、1010、1013と、誘電材料1004、1006、1008、1012とを備えており、インピーダンス変成器1001の遠位端に接続されている。7つの同軸ケーブル組立体は、セラミック円錐体1002の内側に取り付けられており、このセラミック円錐体1002は、マイクロストリップ構造1000、1124、1001の遠位端に接続されている。7つの同軸ケーブル組立体は、セラミック円錐体1002の内側に、セラミック円錐体1002が、円錐体先端部の表面領域の全体にわたって一様な電磁場を生成するアンテナとして作用できるように配置されている(はめ付けられている)。金属プレート(不図示)を内側伝導体1003、1007、1010、1013に接続して、放射円錐体1002によって生成される場の一様性を向上させることができる。放射円錐体は、病的または癌性の組織構造体を除去するために、生物組織180内に挿入可能であってもよい。
発明の一態様による手術器具のさらに別の実施形態を以下に検討する。特に、以下に記載する実施形態は、手術用メスの刃に似た形状を有する切除具を提供する。この形状は、鋭利な刃先、および、組織へのマイクロ波放射を良好に結合させる放射構造に対する要望の間の調和を取るように選択されている。本明細書で開示される形状の特有の利点は、放射場の分布(そしてそれ故に組織に送り込まれる電力)がブレードの刃先に沿って実質的に一様であることである。この効果を証明するマイクロ波のシミュレーションを以下に説明する。
アンテナが装荷導波管構造である、つまり、ブレードが、導波管空胴の先端に取り付けられた誘電材料片であり、導波管で送られたマイクロ波エネルギを放射する実施形態では、誘電材料がインピーダンス整合変成器としての役割を果たし、(非装荷)導波管のインピーダンスを生物組織負荷のインピーダンスに整合させて、エネルギの組織への効率的な送り込みを可能にすることが望ましい。上記に検討した実施形態では、同調用の構成(例えばいくつかの調節可能な同調用スタブを備えた同調用フィルタ)が導波管空胴部内に設けられ、アンテナをさまざまな組織負荷(例えば、異なる組織の種類)と静的にインピーダンス整合させることを可能にしている。その実施形態では、3つのスタブねじ同調器が導波管ケーブル組立体とセラミックブレードの近位端との間に配置されている。このような構造では、(例えば、スタブの誘導性または容量性のリアクタンスで引き起こされた)空胴内のインピーダンスの不整合により同調用フィルタの領域内に高電磁場が生じることがある。このような場は、手術器具の加熱につながりうる。
以下に開示する実施形態は、(非装荷)導波管のインピーダンスを生物組織のインピーダンスと整合させるための変成器の構成を提供することもできる。この変成器は、刃先との一体部分を構成してもよい。この変成器を使用すれば、事実上、導波管に沿って送られ
た全エネルギを生物組織へ移すことが可能となる。
図25は、発明の一実施形態による手術用アンテナのための放射用ブレード構造体であって、24GHzで作動させるのに特に適したものの側面図である。ブレード構造体1110は、手術用メスの基本形状を有しており、2つの鋭角の刃先1112、1114が、例えばアルミニウム、サファイア等の材料からなる矩形ブロック1116の一方の端部に機械で加工されている。この実施形態における特定の寸法はアルミニウムに適したものであるが、サファイアを用いた同様の実施には若干の変更のみが必要とされる。
図26に図示のように、矩形ブロック1116は、高さが4.75mmであり、幅が2mmである。各刃先は、ブレード構造体の長手方向中央面(つまり、ブレードの中央を通り、図25の紙面に平行な面)に関して対象である。各刃先1112、1114に沿って出会う面によって作られる角度は90°である。この角度を変えると、組織における主に電力が吸収される領域の位置を変えることができる。これを90°未満(つまり、より鋭利な端部)にすると、主に加熱する領域が端部からブレード構造体の方へ戻るであろう。
再び図25を参照すると、上側の刃先1112は、ブレード構造体の上面に対して60°の角度であり、下側の刃先1114は、ブレード構造体の下面に対して15°の角度である。刃先1112、1114は、矩形ブロックの高さの半分のところにあるブレード先端部1118で出会っている。
矩形ブロック1116の面(つまり、側面並びに上面および下面)は、金属で被覆されている。それぞれ刃先1112、1114で出会う傾斜面1120、1122は、金属で被覆されておらず、アルミニウムは、この場所で露出している。
放射用ブレード構造体の寸法は、手術用切除具の全体構造についての情報に基づいて得られる。手術用切除具は、以下の構成要素を備えてもよい:
−手術用切除具をマイクロ波供給源に接続するためのマイクロ波コネクタ組立体;
−マイクロ波供給源から放射用ブレード構造体へエネルギを送るためのケーブル組立体(例えば、同軸ケーブルまたは適切な導波管);
−ケーブル組立体のインピーダンスを組織のインピーダンスに整合させるためのインピーダンス整合回路(または変成器);および
−放射用ブレード構造体自体。
インピーダンス整合用変成器は、ブレード構造体と一体にしてもよい。
手術用切除具を実施するための一部の実施形態では、矩形導波管ケーブルがケーブル組立体として利用された。導波管ケーブルは、可撓性があってもよく、ねじることができてもよい。手術用ブレードの設計は、導波管空胴の大きさによって決まり、これは、さらに導波管がサポートできる周波数範囲によって決まる。表1は、標準導波管空胴を導波管空胴の物理的寸法およびその導波管空胴を使用できる周波数範囲と併記したリストである。
空胴のサイズが作動周波数の範囲に求められているものよりも小さければ、電磁場は、導波管内を伝搬しない、すなわち、波が遮断されることとなる。図25に示されている実施形態は、24GHzの周波数での放射を用いる。14.5GHzのスポット周波数が以下に検討する実施形態で用いられている。以下の標準導波管は、このような実施形態でエネルギを伝搬させるのに用いることができる:導波管17(WR75)、導波管18(WR62)、導波管20(WR42)、および、導波管21(WR34)。これらの導波管は、14.5GHz(WR75およびWR62)および24GHz(WR42およびWR34)での基本モード(TE10)動作を可能とすることができる。
Figure 2010505571
表から見てとれるように、作動周波数は、導波管空胴の物理的寸法をも決定する。従来の手術用メスの刃の寸法と同様の寸法の手術器具を実現するためには、WG20、WG21、または、WG22を用いて手術用切除具を上手く実施することを考えなければならないことが分かる。
図27は、放射用ブレード構造体1110が肝臓組織に挿入され、かつ、24GHzの周波数を有するマイクロ波エネルギを放射用ブレード構造体1110に通したときの放射用ブレード構造体1110から失われる電力の密度を示すシミュレーションである。図27は、電力損失(そしてそれ故に加熱の主領域)が、本明細書では切断に利用される縁部である下側刃先1114に沿って集中していることを示している。よって、例えば切断時に瞬間に焼灼するために求められるエネルギは、この実施形態に関しては対象領域で与えられている。場の分布もまた刃先の長さ方向に沿って実質的に一様である。さらには、関係のない電力吸収は示されておらず、つまり、ブレード構造体に関しては他の場所で実質的な加熱は起きておらず、したがって、不要な(損傷を与える可能性のある)副作用は回避することができる。
図28は、ある周波数範囲での肝臓組織へのブレード構造体の反射損失を示している。シミュレーションを行った周波数範囲(20〜28GHz)では、ブレードと組織との間の反射損失(つまり、整合の程度)は、−30dBよりもよく(より低く)、このことは、放射部分から送られたエネルギの99.9%より多くが組織に送り込まれるであろうことを示している。血液の複素インピーダンスは肝臓の複素インピーダンスに非常に似ているので、血液への整合も非常によいであろう。
図29は、空気へのブレード構造体の反射損失を示している。シミュレーションを行った周波数範囲(20〜28GHz)では、反射損失はだいたいー5dB以上(よりも正)である。このグラフは、共振がさまざまな周波数で生じることを示している。これは、ブレードの先端部で反射され、ブレード構造体の他方の端部(給電端)で吸収されず、それ故に反射されて行ったり来たりするものによって生成された余計なモードによって引き起こされている。対象周波数(24GHz)では、反射損失が−1dB以上(より正)である。特に安全にするためには、反射損失の大きさが−3dB未満(つまり、より正)であるとき、ブレード構造体に供給される電力を減らすことが望ましい(反射損失は−20log10|Γ|と定義することができ、Γは反射係数、つまり、組織に送り込まれた電力のインピーダンス不整合により戻ってきた電力に対する比の尺度である)。
図30から32は、図25から27に対応するが、手術用アンテナの別の実施形態についての放射用ブレード構造体1130について示すものであり、この場合は、14.5G
Hzで作動するのに特に適している。ブレード構造体1130の形状は、図25に示されているブレード構造体1110と同様である。2つの傾斜した刃先1132、1134が矩形ブロック1136の一端に機械で形成されている。矩形ブロックの寸法は、この実施形態では異なっている。図31に示されているように、矩形ブロックは、幅2mmおよび高さ8mmを有する。しかし、他の詳細は同じである。例えば、上側の刃先1132は、矩形ブロック1136の上面と60°の角度をなし、一方、下側の刃先1134は、矩形ブロック1136の底面と15°の角度をなす。これらの角度は、外科医または臨床医によって一般に使用される標準的な手術用メスの刃を代表するものであることから選ばれている。刃先1132、1134は、矩形ブロック1136の高さの半分のところであるブレード先端部1138で出会っている。それぞれ刃先1132、1134で出会っている傾斜面1140、1142は、互いに90°となっている。矩形ブロック1136の側面並びに上面および下面は、金属で被覆されているが、傾斜面1140、1142は、金属で被覆されていない(つまり、露出したアルミニウムである)。
図32は、肝臓組織内にあり、14.5GHzの周波数のマイクロ波エネルギが送られているときのブレード構造体からの電力損失のシミュレーションである。先の実施形態の場合のように、電力吸収は、刃先1132、1134に沿って一様に分布し、かつ、限定されている。
図33は、ある範囲の周波数での肝臓組織へのブレード構造体の反射損失を示すグラフである。対象周波数(14.5GHz)では、ブレードと組織との間の反射損失(つまり、整合の程度)は、−30dBよりよく(より負であり)、このことは、放射部分から送られたエネルギの99.9%より多くが組織の送り込まれるであろうことを示している。
本明細書で開示した実施形態の各々の第2の(であるが独立した)特徴は、導波管空胴を生物組織に良好な整合をもって接続するための変成器である。本明細書で提案する構成は、同調をせずに整合を達成できる誘電材料を用いたインターフェイスである。インピーダンスの変換を行うのに用いられた誘電材料は、放射/切断用ブレードに用いた誘電材料と同じであってもよい。この変成器および放射/切断用ブレードは、単一の部分または部品を構成してもよい。良好に整合させれば、ブレード−導波管接合部での不要な加熱を回避することができる。
図34は、図25に示されているブレード構造体1110の矩形ブロック1116を導波管1152(例えば、標準導波管)に接続するための変成器1150の斜視図である。変成器の長さは、対象周波数での装荷波長の1/4の奇数倍、つまり、(2n−1)λ/4でなければならない。ただし、nは1から∞までの任意の整数であり、λは、対象周波数に対応する装荷波長である。比誘電率1の空気で満たされている導波管を例えば40という高い誘電率を有する組織負荷と整合させることが必要であるという事実から、整合用変成器を高誘電率の材料から構成することが必要である。このため、装荷波長は(特に24GHzというより高い方の周波数で)非常に短くなる。この状況は、手の加えられた例(worked example)で説明するのが最もよいであろう:
−導波管は空気(ε=1)で満たされていると仮定する
−組織の誘電率は40であると仮定する
−変成器の材料の誘電率は、したがって、
Figure 2010505571
と近似することができる。
このことは、損失率(tanδ)がほぼゼロであることを仮定している。実際には、それ自体が熱として顕在化する、変成器の材料の中の電力損失を最小限にすることが好ましい。
−24GHzで作動させる場合、1/4波長インピーダンス変成器の長さは、
Figure 2010505571
で与えられる。ただし、cはm/sで表した光の速度であり、fはヘルツで表した作動周波数である。この式をこの例に適用すると、1/4波長が1.24mmになる。
この長さは非実用的なことがあるので、奇数倍、例えば3λ/4=3.72mmまたは5λ/4=6.2mmでさえ用いられることがある。
矩形ブロック1116の、金属で被覆されていない末端部分1154は、導波管変成器部分1156の中心を突き通っており、導波管変成器部分1156は、矩形ブロック1116と導波管1152との間の整合を取るために、矩形ブロック1116、導波管1152の大きさと、送られるマイクロ波エネルギの周波数とに基づいて選択された寸法を有する。作動周波数が24GHzであるこの実施形態では、導波管変成器部分1152は、シミュレーションされた長さ5.9mm(金属被覆されていない末端部分54は、この長さ全体に沿って突出している)、高さ10mm、幅3.2mmを有する。この部分は、断面4.318mm×10.668mmからなる導波管52にまっすぐつなげる(実際には、その端部から機械で加工する)ことができる。変成器は、手術用アンテナのハンドル部分に設けられてもよい。
図35は、導波管1152の方を見た導波管変成器部分1156の断面図である。この実施形態で用いた寸法は、図に示されている。
図36は、変成器1150の反射損失を示すグラフである。24GHzでは、反射損失は−30dBよりはるかによく(より負であり)、このことは、変成器1150に送り込まれたマイクロ波エネルギの99.9%より多くがブレード構造体1110に送り込まれるであろうことを示している。
図37は、変成器1150の挿入損失を示すグラフである。24GHzでは、挿入損失が0.2dBよりも良好であり(より負であるまたはより小さい)、つまり、0.1dBであり、このことは、導波管1152から送られたエネルギの大部分が変成器1150に入ることを示す。変成器は、肝臓/血液負荷を代表する組織の塊の内部に放射用ブレードが埋められた状態で設計されている。負荷が変化すると、つまり、例えば空気の負荷に変化すると、整合用変成器は、放射用ブレードと組織負荷との間で良好な整合をとることを可能にせず、それ故に、エネルギの大部分が反射されて導波管へ、そしてケーブル組立体に沿って戻ることになるであろう。
図38および39は、図30に示されているブレード構造体1130の矩形ブロック1136を導波管1172(例えば、WG18のような標準導波管)に接続するための変成器1170の断面図である。図38および図39に示されている構成は、異なる大きさの矩形ブロック1136と、異なる作動周波数(この場合は14.5GHz)を整合させるために異なる寸法であることを除き、図34および35と同様である。この実施形態では
、矩形ブロック1136の金属被覆されていない末端部分1174が、導波管1172の一体の末端部分である導波管変成器部分1176を通って突出している。前述したように、この構成の寸法は、矩形ブロック1136と導波管1172との間を整合させるために、矩形ブロック36、導波管1172のサイズと、送られるマイクロ波エネルギの周波数に基づいて選択される。作動周波数が14.5GHzであるこの実施形態では、導波管変成器部分1176は、長さが12mm(金属被覆されていない末端部分1174は、この長さ全体に沿って突出している)、高さが15.4mm、そして、幅が3.6mmである。
図40は、変成器1170の反射損失および挿入損失を示すグラフである。14.5GHzでは、反射損失が−20dBよりもよく(よりも負であり)、このことは、変成器1170に送り込まれたマイクロ波エネルギの99%より多くがブレード構造体1130に送り込まれるであろうことを示している。14.5GHzでは、挿入損失が0.1dBよりもよく(より負であるまたはより小さい)、つまり、0.05dBであり、このことは、導波管1172から送られたエネルギの実質的に大部分が変成器1170に入ることを意味する。

Claims (38)

  1. 手術器具において、
    生物組織を切断するための縁部を有する切断素子と、
    前記切断素子の前記縁部で実質的に一様なマイクロ波放射場を放出するように構成されたアンテナと
    を有することを特徴とする手術器具。
  2. 請求項1に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、マイクロ波放射供給源に接続するための給電構造部と、前記放射場を放出するように構成された放射部分とを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  3. 請求項2に記載の手術器具において、
    前記切断素子は、前記放射部分を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  4. 請求項3に記載の手術器具において、
    前記切断素子は、前記給電構造部からエネルギを受けるための結合部分を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  5. 請求項4に記載の手術器具において、
    前記結合部分は、前記切断要素が前記給電構造部から実質的に最大の場の結合を受けるのに適するように構成されている
    ことを特徴とする手術器具。
  6. 請求項5に記載の手術器具において、
    前記結合部分は、インピーダンス変成器を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  7. 請求項6に記載の手術器具において、
    前記インピーダンス変成器は、テーパ付き変成器である
    ことを特徴とする手術器具。
  8. 請求項6に記載の手術器具において、
    前記インピーダンス変成器は、ステップ変成器である
    ことを特徴とする手術器具。
  9. 請求項5に記載の手術器具において、
    前記結合部分は、スタブ同調器を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  10. 請求項4から9までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記切断要素は、前記結合部分および前記放射部分を除き金属被覆された面を有する
    ことを特徴とする手術器具。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記給電構造部は、導波管を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記切断素子は、ブレードを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  13. 請求項12に記載の手術器具において、
    前記ブレードは、セラミックから作られている
    ことを特徴とする手術器具。
  14. 請求項12に記載の手術器具において、
    前記ブレードは、アルミニウムまたはサファイアから作られている
    ことを特徴とする手術器具。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、前記切断素子の縁部に沿って実質的に一様である場を放出するように構成されている
    ことを特徴とする手術器具。
  16. 請求項1に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、前記切断素子上に製作された「H場」ループアンテナを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  17. 請求項1に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、複数の放射素子を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  18. 請求項15に記載の手術器具において、
    複数のパッチアンテナが前記切断素子上に前記縁部の近傍で製作されている
    ことを特徴とする手術器具。
  19. 請求項15に記載の手術器具において、
    前記給電構造部は、マイクロ波放射供給源からの電力を前記複数の放射素子の各々の間で均等に分割するように構成されたパワースプリッタを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  20. 請求項19に記載の手術器具において、
    前記パワースプリッタは、ハイブリットリングを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  21. 請求項19に記載の手術器具において、
    前記パワースプリッタは、マイクロストリップ給電ラインの配列を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  22. 請求項1から21までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記器具のインピーダンスを調整するように構成された同調機構を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  23. 請求項22に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、マイクロ波放射供給源に接続可能な導波管を含み、前記同調機構は、前記導波管に調節可能に取り付けられた3つのねじを含む
    ことを特徴とする手術器具。
  24. 請求項22に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、マイクロ波放射供給源に接続可能な導波管を含み、前記同調機構は、前記導波管のインピーダンスを予め定められたインピーダンスに整合させるように構成された変成器を含む
    ことを特徴とする手術器具。
  25. 請求項24に記載の手術器具において、
    前記変成器は、前記切断用ブレードと一体の部分である
    ことを特徴とする手術器具。
  26. 請求項23または24に記載の手術器具において、
    前記変成器は、使用している前記導波管を伝搬する前記マイクロ波放射の波長の1/4の奇数倍である長さを前記導波管に沿った方向に有する
    ことを特徴とする手術器具。
  27. 請求項1から26までのいずれか1項に記載の手術器具において、
    前記アンテナは、前記切断用の縁部において5GHzから100GHzの周波数を有するマイクロ波放射場を放出するように構成されている
    ことを特徴とする手術器具。
  28. マイクロ波放射を生成するように構成されたマイクロ波放射供給源と、前記供給源からマイクロ波放射を受けるように接続された、請求項1から27のいずれか1項に記載の手術器具とを有する手術用切断装置。
  29. 請求項28に記載の手術用切断装置において、
    前記供給源は、5GHzから100GHzの安定な周波数の信号を生成するための発振器と、前記信号を治療に適した電力の大きさまで増幅するための増幅器とを含む
    ことを特徴とする手術用切断装置。
  30. 請求項28または29に記載の手術用切断装置において、
    前記供給源と前記手術器具との間に接続された反射放射検出器と、
    前記供給源と前記手術器具との間に接続されたインピーダンス調節器と
    を含み、
    前記反射放射検出器は、前記手術器具を通して前記供給源の方へ反射されて戻るマイクロ波放射の大きさおよび位相を検出するように構成されており、前記インピーダンス調節器は、前記反射されたマイクロ波放射の検出された大きさおよび位相に基づいて制御可能である調節可能複素インピーダンスを有する
    ことを特徴とする手術用切断装置。
  31. 請求項28に記載の手術用切断装置において、
    前記手術器具と前記供給源との間のマイクロ波放射を検出するように構成された順方向および反射電力指向性結合器を含み、前記反射放射検出器は、前記順方向および反射電力指向性結合器によって結合された前記マイクロ波放射から大きさおよび位相の両方の情報を抽出するように構成されたヘテロダイン受信機である
    ことを特徴とする手術器具。
  32. 請求項31に記載の手術用切断装置において、
    前記インピーダンス調節器は、前記検出器によって抽出された前記位相および大きさ情報に基づいて調節可能である
    ことを特徴とする手術器具。
  33. アブレーションプローブにおいて、
    組織を突き通すのに適するよう構成された挿入端を有する細長いボディと、
    前記挿入端にある複数の放射素子であって、各放射素子が、組織を除去するためにマイクロ波放射場を放出するのに適するように構成された複数の放射素子と、
    マイクロ波電力供給源に接続可能であり、マイクロ波電力を前記放射素子へ伝えるように構成された給電構造部と
    を備え、
    前記給電構造部は、前記マイクロ波電力を実質的に均等に前記放射素子の間で分割し、それにより放出された放射場を前記挿入端で実質的に一様にするように構成されている
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
  34. 請求項33に記載のアブレーションプローブにおいて、
    前記細長いボディは、前記挿入端から突出する複数のアンテナを保持するように構成されたカテーテルを備える
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
  35. 請求項33に記載のアブレーションプローブにおいて、
    各放射素子は、同軸モノポールアンテナを備える
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
  36. 請求項33に記載のアブレーションプローブにおいて、
    前記給電構造部は、一つ以上のマイクロストリップ伝送線を含む
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
  37. 請求項33に記載のアブレーションプローブにおいて、
    前記給電構造部のインピーダンスを前記放射素子のインピーダンスと整合させるためのインピーダンス変成器を含む
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
  38. 請求項33に記載のアブレーションプローブにおいて、
    前記挿入端は、セラミック製円錐体を備える
    ことを特徴とするアブレーションプローブ。
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