JP2010284755A - ワイヤーソーによる加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定砥粒を利用したワイヤーソー10による加工において、好ましい部分に砥粒を固定させたソーワイヤー14を用いて、ワークを効率よく加工する方法を提供する。
【解決手段】無砥粒部分48を所定の位置に所定の長さだけ設けたソーワイヤー14を用いるシリコンインゴット60の切削加工方法において、用いるワイヤーソー14のボビン12、18形状に合わせた長さの無砥粒部分48を端部に設け、ボビン12、18を回転させてソーワイヤー14を固定し、更に、ボビン12、18の巻き取り面を平滑にし、シリコンインゴット60切削を行うことを特徴とする加工方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤーに砥粒を固定させ、固定砥粒によりワークを加工するタイプのソーワイヤー及びそれを用いた加工方法に関するものである。
従来から、ワイヤーを利用してワークを高精度で高生産性で加工するワイヤーソーは、例えば、半導体用シリコンや水晶等の被加工物(ワーク)を薄くスライス加工するために使用されている。通常、ワイヤーソーによる加工は、ピアノ線等からなるワイヤーを、油性或いは水性研削液剤とシリカ等からなる砥粒とから構成される研削液をワイヤーに滴下若しくは噴射し、ワークに対し押し付けて移動させることにより行なわれる。このようなワイヤーソーでは、ワークを切削する砥粒がワイヤーとワークの表面の間に入ることにより、ワークを切削する。しかし、ごく一部の砥粒だけがこのような加工点に到達できるので、機能する砥粒が少なく、加工速度が遅くなるだけでなく、研削液の処理が必要であるので、環境面からも好ましいとはいえない。そのため、このような研削液剤及び砥粒から構成される研削液を使用する必要のない固定砥粒を用いたワイヤーソーによる加工が注目され始めている。
固定砥粒を利用したワイヤーソーによる加工は、ワイヤーにダイヤ等の砥粒をレジンボンドや電着等により固定し、砥粒を固定させたソーワイヤーをワークに対し押し付けて移動させることにより行う。
このような固定砥粒を用いたソーワイヤーは、環境面から好ましく、加工速度が速いが、切断後に軟質材からなるワークからソーワイヤーを抜き取ることが容易でないので、ソーワイヤーの一部または複数部に、砥粒を固定させない無砥粒部分を設けることが提案されている。これにより、ワークを切断後ソーワイヤーを抜き取る際、無砥粒部分をワークと当接する部分に移動させ、無砥粒部分でソーワイヤーをワークから抜き取ることができるという効果が得られる(例えば、特許文献1)。
特開2002−254327号公報
しかしながら、硬質材からなるワークを加工する場合や、無砥粒部分をワークと当接する部分に移動させることが困難な場合は、このような無砥粒部分を設けることは、却って、加工速度が遅くなるので好ましくない。一方、ダイヤ等を砥粒に用いる場合は、高価であるので、切削に寄与しない部分には砥粒をつけないことが好ましいが、どの部分が切削への寄与が低いかはケースバイケースであり、必ずしも明確ではない。また、無砥粒部分の特性に関する考察も十分とは言えない。
本発明では、上述のような課題に鑑みて、固定砥粒を用いたソーワイヤーの無砥粒部分の箇所及びその範囲を明確にし、より効率的なワイヤーソーによる加工方法を提供する。特に、ソーワイヤーの巻き取り構造に効果的な無砥粒部分の長さを規定する。
より具体的には、以下のようなものを提供することができる。
(1)無砥粒部分を所定の位置に所定の長さだけ設けたソーワイヤーによるワイヤーソーを用いるシリコンインゴットの切削加工方法において、前記ワイヤーソーの前記ソーワイヤー巻き取り用のボビンの形状に合わせた長さの無砥粒部分を端部に設け、ボビンを回転させてソーワイヤーを固定し、更に、ボビンの巻き取り面を平滑にし、ワークの切削を行うことを特徴とする加工方法を提供することができる。
ここで、ボビンの形状とは、主に、ソーワイヤーを巻き取る若しくは送り出す胴体部の形状を意味することができる。特に、その円筒若しくは円柱形状の径は、胴体部においてほぼ同一であるが、径が大きいと先端に設けられる無砥粒部分の所定長さは、より長くなってもよい。また、無砥粒部分は、ソーワイヤーの先端部分だけでなく、後端部分の両側に備えることができる。所定長さは、後端部分よりも先端部分の方を長くしてもよい。
(2)前記無砥粒部分の前記所定の長さは、ボビンの巻取り部の周(周表面、円筒形状の側面に相当)を平坦にするのに十分なものであることを特徴とする上記(1)に記載の加工方法を提供することができる。
上記所定の長さL1は、ボビンの巻取り部の芯部を覆い更に巻き取られるソーワイヤーが実質的に直接芯部に接触しないのに十分な長さであることが好ましい。ボビンの巻取り部の芯部の径D及びその軸方向の長さ(幅に相当)W及びソーワイヤーの径dによってこの所定長さは異なってよい。例えば、巻き取り効率係数をFとすれば、L1=FπDW/dとすることができる。このとき、F=0.02〜10と見積もることができる。Fが小さいと、芯部に巻き付いたソーワイヤーの重なりが少なく、大きくなると重なりが多くなる。例えば、重なりが1層程度であれば、F=0.1〜0.3の範囲と考えられ、重なりが5層程度であれば、F=0.8〜1.2の範囲と考えられ、重なりが10層程度であれば、F=1.6〜2.4の範囲と考えられる。より平坦な状態を求める場合は、芯部からソーワイヤーが3層以上、更に5層以上巻き付いた状態が好ましい。軸方向において巻取りが偏らないように、ソーワイヤーを強制的に軸方向に往復移動するようにガイドすることが好ましい。また、ソーワイヤーの無砥粒部分の径dd1は、砥粒が固定される砥粒部分の径dd2よりも細いことが好ましい。芯部の径は最も細く、ソーワイヤーが湾曲する曲率半径に相当するものがより小さいからである。また、ソーワイヤーの無砥粒部分の表面は軟質材料で覆われていることが好ましい。巻取り部の芯部を傷つけることが少なく、また、ソーワイヤーの芯材として主に用いられる鋼に比べ柔らかく、ワイヤーが芯部になじみ易くなるからである。このなじみにより、ソーワイヤーが不用意に滑ることなく、ボビンによる巻取りがより効率的に行うことができるからである。このような軟質材料としては、銅、ニッケル、鉛、金、銀、インジウム等の軟質な金属を例としてあげることができる。めっき等のコーティングの容易性、コスト等を考慮すれば、銅、ニッケルがより好ましい。
以上のように、本願の発明によれば、研削液剤とシリカ等からなる砥粒とから構成される研削液を用いる必要がないため、廃棄物を減少させることができ、環境的に好ましい。また、高い加工速度を維持しつつ、少ない固定砥粒部分を備えるので、生産性やコストパフォーマンスが高い。また、ダイヤモンド砥粒の量を減らすことができ、コスト面で好ましい。砥粒部分に比べ無砥粒部分は砥粒がないだけ細くすることができるので、ボビンの芯部での巻き始めに結び目を作る場合、結び目が作り易く、できた結び目もより小さくすることが可能で、いわゆる芯部の盛り上りを小さくすることができる。また、廃砥粒の量がより少なくなるので、環境にも好ましい。更に、複数回の切断に同じソーワイヤーを用いた場合、ソーワイヤーの砥粒部分は表面の凹凸が大きく、そこに切削による汚染物が溜まりやすいので、ボビンが汚れ易くなるが、芯部の無砥粒部分は送り出されないので、芯部の汚れを防止することができる。
本発明の実施例に用いられ得るワイヤーソーの模式図である。 ワイヤーソー用ソーワイヤーの模式図である。 ワイヤーソーに用いられるボビン(初期状態)の模式図である。 ワイヤーソーに用いられるボビン(準備状態)の模式図である。 本発明の実施例に用いられ得るワイヤーソーの種々のタイプの切削部を模式的に示す図である。 ワイヤーソー用ソーワイヤーの製造工程を模式的に示す図である。 ソーワイヤーの先端において作られる結び目の模式図である。 ボビンの芯部でソーワイヤーが結ばれる様子を表す模式図である。 ボビンの芯部に固定される結び目の様子を表す模式図である。 ボビンの芯部に固定される結び目の厚みを表す模式図である。 固く結んだ結び目の断面等を表す模式図である。 ボビンの芯部に結び目により固定されたソーワイヤーの巻取り部分断面図(略式)であり、2つの異なる状態のものを並んで示している。 ソーワイヤーの無砥粒部分及び砥粒部分の模式部分断面図である。 別の実施例にかかるソーワイヤーの無砥粒部分及び砥粒部分の模式部分断面図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて表されており、実際の寸法とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施例に用いられるワイヤーソー10を模式的に示す図である。左から順に、固定砥粒を用いたソーワイヤー14を巻き取った左ボビン12が備えられ、ソーワイヤー14を送り出し提供する。ソーワイヤー14は、切削部16において周回し、右ボビン18に巻き取られ、また、右ボビン18から送り出される。切削部16の上には、ワーク固定部20が設けられ、図示しない機構により、所定の速度で固定したワークを押し下げてソーワイヤー14に押し付け切断し、引き上げてソーワイヤー14から引き離すことができる。左ボビン12には、ソーワイヤー14を巻き付けた胴体部があり、安定的な送り出し供給を確保すべく、胴体部の周面22は、ほぼ同じ径となるようにソーワイヤー14が巻き取られている。ソーワイヤー14は、水平に置かれたタッチローラ対26、28の間を通り、タッチローラ対26、28に対して直角な方向に水平に置かれるガイドローラ30及び、タッチローラ対26、28に対してほぼ平行に水平に置かれるガイドローラ32を通って、切削部16を構成する3つのメインローラ34、36、38へと導かれる。尚、別のタイプの切削部については後述する。ソーワイヤー14は、これらメインローラ34、36、38を図中奥行き方向に少しずつずれて、メインローラ34、36、38で作る三角柱様の切削部16において複数回周回し、上側の左右のメインローラ34、36間に切削可能なソーワイヤー14を、実質的に平行に、図中奥行き方向に複数張っている。滑らかな切断面を得るべく、また、発生する熱を逃がすべく切削液が、ワーク固定部20を挟んで上側の左右のメインローラ34、36間に配置された切削液供給装置52、54からソーワイヤー14に滴下される。ソーワイヤー14は更に右のメインローラ36を離れ、上記ガイドローラ32に対応するガイドローラ40及び上記ガイドローラ30に対応するガイドローラ42を通って、上記タッチローラ対26、28に対応するタッチローラ対44、46間を通り、ボビン18へと巻き取られる。この図において、ソーワイヤー14の先端側(図1で右側)において、無砥粒部分48が設けられている。この無砥粒部分48については後述する。
上述するように準備されたワイヤーソー10により、ワーク固定部20に固定治具62によって固定されたシリコンインゴット60を切断する手順について準備段階を含めて説明する。まず、後述する無砥粒部分48を先端に持つソーワイヤー14を巻いたボビン12を所定の位置に置き、上述したタッチローラ対26、28、ガイドローラ30、32、メインローラ34、36、38、ガイドローラ40、42、タッチローラ対44、46を通して、巻き取り用ボビン18の胴体部50に無砥粒部分48を後述する方法等により固定する。そして、その固定部の膨らみ等を含めて巻き取り面を平坦にすることが出来るだけこの無砥粒部分48を巻き取る。ボビン18の典型的な芯径は、φ200mmであり、このような平坦な周面を出すためには、径が約φ0.12mmの芯線からなる無砥粒部分48を約2から3km巻き取ることが好ましい。尚、典型的な固定砥粒を用いた部分の長さは約30kmである。尚、ボビン18の芯径は、ワイヤーソーの種類や大きさに応じて、また、切断されるシリコンインゴットの種類や大きさに応じて、適宜選択可能である。芯径が小さいと巻き取り回数が増えてしまうので、芯径は150mm以上が好ましい。また、取扱い易さの点からは、芯径は300mm以下が好ましい。そして、ソーワイヤーの径は、破断しない限りは、小さいほうが好ましく、例えば、φ0.08mmのものも使用可能である。
次に、ボビン12、18を図中の矢印の正転方向に回転させ、ソーワイヤー14を所定の速度で送り出し、切削液供給装置52、54から切削液(この切削液には砥粒を含ませる必要がない)を滴下しながら、ワーク固定部20を押し下げて、所定の力でシリコンインゴット60をソーワイヤー14に押し付ける。所定距離(例えば、最大の線速度が約785m/minで、1サイクルを行い、加速/減速時間を約6秒とした場合に、315m)送り出したところで、ボビン12、18の回転を止め、逆向きに回転(図中、逆転矢印)させて、右側ボビン18で巻き取ったソーワイヤー14を送り出して、左側ボビン12に巻き出した長さよりわずかに短い長さ分の距離(例えば、前記条件下で、約314m)を巻き戻す。これにより、往復動でシリコンインゴット60を切断するので、より効率的である。
図5に、本発明の実施例に用いられ得るワイヤーソーの切削部の種々のタイプを模式的に示す。図5(a)は、2軸タイプのワイヤーソーの切削部を示す。メインローラ35a、35bの間で、ソーワイヤー14が張られ、特に大径のシリコンインゴット60の切断に用いられる。図5(b)及び(c)は、スタンダードタイプのワイヤーソーの切削部を示し、特に図5(b)は図1の切削部16と同一である。メインローラ35c、35d、35eにより、ソーワイヤー14が張られ、上から若しくは下からシリコンインゴット60が押し付けられる。大径及び小径のシリコンインゴット60の切断に用いられる。図5(d)は、4軸タイプのワイヤーソーの切削部を示し、メインローラ35f、35g、35h、35iにより、ソーワイヤー14が四角く張られ、メインローラ35f及び35gの間のソーワイヤー14、並びに、メインローラ35h及び35iの間のソーワイヤー14のそれぞれに、2個ずつのシリコンインゴット60が配置され、切断される。特に大径品の切断に用いられ、ソーラー用のシリコンウェーハ製造にも用いられる。
図2は、固定砥粒を用いたソーワイヤー14を模式的に示す。図中右側が、図1において右側のボビン18に巻き取られる先端の無砥粒部分48(長さL3)を右側に示し、左側ボビン12に巻き取られている無砥粒部分48(長さL1)を左側に示す。上述するように、固定砥粒のある部分14(長さL2)は、典型的に約30kmである。一方、右側無砥粒部分48のL1は、典型的に約2から3kmである。ところで、左側は予め工場等で巻き取りをしておくことが可能であるので、右側の無砥粒部分48(長さL3)よりは、短くすることも可能である。ソーワイヤー14を生産する工場では、設備が整っているので、平坦な巻取りの周面を出すのがより容易であるからである。このように、典型的には、先端の無砥粒部分48(長さL3)は、2〜3kmであることが好ましい。また、場合によっては、全長の約5%から10%の長さとすることもできる。特に、リールボビン径に対して5周程度巻ける距離とすることできる。一方、後端の無砥粒部分48(長さL1)も同様に2〜3kmであることが好ましい。また、場合によっては、全長の約5%から10%の長さとすることもできる。但し、先端より短くしてもよい。無砥粒部分48は、固定砥粒のある部分14に比べ、単位長さあたりの製造コストが典型的に0.5%以下と安いため、固定砥粒が必要な切削にかかる部分以外は、この無砥粒部分48とすることが好ましい。例えば、図1において、メインローラ34のボビン12側、及びメインローラ36のボビン18側においては、無砥粒部分48のみで十分であることがわかる。即ち、実際に切断を行う加工工程において、これらメインローラ34、36より加工部16内へ進まない部分があれば、その部分を全て無砥粒部分48とすることがより好ましい。
図3及び4により、ボビン18(ボビン12においても同様)にかかる無砥粒部分48が巻き取られる様子を図解する。ボビン18の無砥粒部分48を巻き取る巻取り部である胴体部の芯70(円筒形状)において、所定の位置72に無砥粒部分48の先端を結ぶ等して締結し、順次無砥粒部分48を上方に移動させながら、そして、上端に至った後は、下方へ移動させながら(逆も同様に行われる)、巻き取っていく。そして、図4に示すように巻き取り面である周面74が平坦(フラット)になり、無砥粒部分48である芯線ワイヤーの巻き取り部分若しくは繰り出し部分76には、芯線ワイヤーの径分の段差しかない状態になると考えられる。このような状態になると、巻き取りや、巻き出しがスムーズに行われ、安定したソーワイヤー14の供給が可能となる。尚、固定砥粒のある部分とない部分を1つの芯線に形成することは、以下に述べるような方法で容易に行うことができる。図6に、ソーワイヤー14の製造工程を模式的に示す。処理されるワイヤー48は、スプール91aから送り出され、処理後ソーワイヤー14となって巻き取りスプール91iに巻き取られる。従って、送り出し開始時に、所定時間無処理のワイヤー48を送り出せば、また、所定長さだけスプール91aに巻き取ったまま残せば、無砥粒部分48を先端等に容易に作ることができる。所定時間無処理のワイヤー48を送り出した後、ワイヤー48はアルカリ脱脂槽91bに浸漬され、次に、酸による表面の洗浄をするため酸洗浄槽91cに浸漬され、水洗槽91dに浸漬することにより酸を除去し、下地の鍍金のための下地鍍金槽91eに浸漬する。そして、複数の電着槽に浸漬しつつワイヤー48に電流を流して、めっきをし、その上に、砥粒を付けて、埋め込み槽91gに浸漬して、砥粒の固定を行う。不要な液剤を水洗槽91によって洗い流して、所定の乾燥工程を経て、巻き取りスプール91iに巻き取られる。尚、砥粒はめっき工程で付着させることができるが、めっき液における砥粒の密度(若しくは濃度)を調整することにより、砥粒の付着密度を調整することができる。一般には、めっき液の砥粒密度が高いと、砥粒の付着密度が高くなり、めっき液の砥粒密度が殆ど0であれば、砥粒の付着密度も実質的に0となる。従って、ワイヤー48にめっき層(砥粒なし)のみを付着させることもできる。
図7から12において、図3において示した結び目72によるふくらみを、モデル的に示しつつ、本実施例の作用を説明する。図7は、ワイヤー48の先端(若しくは末端)72bにおいて、ボビンの芯70に巻き付いた後に真結びにてワイヤー48を結んだときの真結びの結び目72aを模式的に示す。ワイヤー48は下向きの2つの矢印に示すように芯70を回り一周し、先端72bを固定し、左上向きの矢印の方向(即ち、ワイヤーソー本体方向)に引っ張れば、ゆるい結び目72は、小さく固く結ばれていく。図8に、芯70のすぐ上に保持された結び目72aを示す。これが更に芯70を固く1周回るようにすると、図9のようになり、ワイヤー48が単独で芯70に巻き付き接触した場合、芯70の表面からの厚みは、ワイヤー48の直径d1に相当すると考えられる。一方、結び目72aおいては、ワイヤーの最下部分72c、その上に重なる部分72d、更にそれに上から重なる部分72e、そして最上部分72fからその厚みd2が構成される。従って、d2は、d1のほぼ4倍となる。
図10及び11は、図9の結び目72aが横に倒れた状態を模式的に側面視及び上面視においてそれぞれ示す。特に、図11(b)及び(c)はそれぞれ、図11(a)のAA断面及びBB断面である。このとき、芯70の表面からの厚みd3のうち最も厚いと考えられるのは、ワイヤーの最下部分72c及びその上に重なる部分72hから構成される部分である。この厚みd3は、従って、d1のほぼ2倍となる。また、図10からも分かるように、結び目72aの中央には、凹部72gがあるが、この前後の盛り上がり(例えば、72h)により、凹部72g内にワイヤー48が入り込むことはできない。このように、ボビンの芯70に巻き付いたワイヤー48は、必ずしも緻密に巻き付かれるわけではない。そして、一部に大きな盛り上がりを作らないように、図1のタッチローラ対26、28、44、46をボビン12、18の軸方向に平行に移動する。このタッチローラ対26、28、44、46はそれぞれのボビン12、18において、ワイヤー48の巻き取りピッチが0.6mmとなるように移動する。例えば、巻き取り径が200mmφであれば、200×π=628mm毎に、0.6mm平行に移動する。仮に、N(rpm)で回転していれば、10.5×N (mm/秒)の速度で巻き取り等が行われるが、0.01×N (mm/秒)の速度で平行に移動することになる。この巻き取りピッチは、ワイヤー48の径の2倍以上とするのが好ましく、3倍以上であることがより好ましい場合もあり、更に、4倍以上とすることもある。一方、ピッチが大き過ぎると、却って平坦が悪くなる場合も有り、10倍以下が好ましいこともあり、7倍以下が好ましい場合もある。また、6倍以下が好ましい場合もある。典型的には、本実施例の0.6/0.12=5倍とすることができる。
図12にワイヤー48がボビンの芯70の表面に巻き付いていく様子を、ボビンを横倒しにして、図10及び11に示すような結び目72aが結ばれた場合に、0.6mmほどのピッチで、0.12mmφのワイヤー48がどのように巻き付くかを模式的に示す。右側は、図11(b)の位置における様子を、左側は、図11(c)の位置での様子を模式的に示す。ワイヤー48間に隙間のあるものがあるが、この断面位置前後で、ワイヤー48同士が重なり、丁度凹部72gのようにその隙間にワイヤー48が入り込めないようになっているからである。右側のワイヤ部分72c、72d、72e、72fが横に広がった楕円形をしているが、結び目72aを形成する際に、ワイヤー48が斜めに巻き取られるためである。この図からわかるように、結び目72aの高さは径の2倍若しくはそれよりやや低いが、横に大きく広がり、また中央に凹部72gが形成される。一方、左側のワイヤ部分72c、72f、72h(図11(c)参照)においては、結び目72aの高さは、径の2倍若しくはそれ以上ある。0.6mmピッチで巻き取られ、また、細密構造とならないため、芯70に巻かれる第1層は、タッチローラ対26、28、44、46がボビン12、18の軸長さ分だけ移動したところでほぼ形成される。このとき、芯径を200mmφ、巻き取り軸方向長さを260mmとすれば、巻き取られたワイヤー48の長さは、272mとなり、5層分に相当する1360mも巻き取ると、結び目72aによる凹凸が解消されることがわかる。より好ましくは、7層分に相当する1904mである。更に好ましくは、10層分に相当する2720mであるが、長くしすぎるとボビン12、18により多くのワイヤー48を巻き取る必要があり、生産性も低下し、また、コストも上昇する。従って、12層分以下が好ましい。尚、第1層目を巻き付けるときに結び目72aを仮止めすべく、ガムテープ等で固定してもよい。
図13及び14において、本発明の2種類の実施例であるソーワイヤーの模式断面図を示す。図13では、無砥粒部分L1及び砥粒部分L2の何れにも芯線13の周りに銅めっき14a、48aが施されている。これらの銅めっきは同一のものでもよく、また、組成を変える等異なるものであってもよい。砥粒部分L2の銅めっき14aは、ダイヤモンド砥粒14bを付着・固定する機能を備えており、無砥粒部分L1の銅めっき48aは、ボビンの芯部表面70や初期の巻き付きソーワイヤー同士とのなじみが良くなる機能を備え、更に芯線13を構成する鋼の錆を防止する機能を備えている。砥粒部分L2は、砥粒14bが突出しているだけ、径が大きくなり、曲げ剛性が高くなる。また、砥粒14bは、無砥粒部分L1との境界でぷっつりとなくなってもよく、無砥粒部分L1に向って徐々に砥粒14bの密度を低くしてもよい。
図14では、無砥粒部L1において、芯線13の表面48bがむき出しとなっている。このような構造にすると、最も細い無砥粒部L1を作ることができ、特に細いボビンの巻き取り部に好適に用いられる。同じ材料であるならば、径が小さい方が、曲げ剛性が低いからである。砥粒部分L2の銅めっき14aは、徐々に層が薄くなり、芯線13のむき出し表面48bへと続いている。
以上より、上述のような実施例によれば、砥粒を含まない研削液を用いて研削や切削が可能であり、環境的に好ましい。高い加工速度を維持しつつ、固定砥粒部分を少なくすることができるので、生産性やコストパフォーマンスが高い。更に、巻き取り周面形状をより容易にフラット化できるので、安定した巻き取り及び巻き出しを行うことができる。
10 ワイヤーソー、 12、18 ボビン、 14 ソーワイヤー、
20 ワーク取り付け部、 34、35a、35b、35c、35d ローラ、
35e、35f、35g、35h、35i、36、38 ローラ、
48 ワイヤー(無砥粒部分)、 70 芯、 72 結び目

Claims (2)

  1. 無砥粒部分を所定の位置に所定の長さだけ設けたソーワイヤーによるワイヤーソーを用いるシリコンインゴットの切削加工方法において、
    前記ワイヤーソーの前記ソーワイヤー巻き取り用のボビンの形状に合わせた長さの無砥粒部分を端部に設け、
    ボビンを回転させてソーワイヤーを固定し、
    更に、ボビンの巻き取り面を平滑にし、
    ワークの切削を行うことを特徴とする加工方法。
  2. 前記無砥粒部分の前記所定の長さは、ボビンの巻取り部の周を平坦にするのに十分なものであることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
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