JP2010265107A - タワークレーンの支持構造およびクライミング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部支持機構10は、開口部9の外周部に配置されたY軸方向に延びる一対の第1本設梁6A、6Aを橋渡しするようにして固定された第1受け梁11と、X軸方向に延びる第2本設梁6Bに係合する一対の介挿部材12(12A、12B)と、介挿部材12A、12B上に固定されるとともに長手方向をX軸方向に向けて配置された第2受け梁13と、第1受け梁11および第2受け梁13を架け渡すようにして配置されるとともにマスト3に係止された一対の支持脚14(14A、14B)とを備えている。
【選択図】図3
Description
ここで、フロアクライミングは、建物の構築高に合わせてマスト下端の支持部を上層へ盛り替えつつクライミングさせていくものである。具体的には、ベース架台を下方から引き上げて通過させることが可能な大きさを有する開口部が建物内部に設けられており、構築中の最上階に昇降装置を固定するとともにベース架台を基礎階に対して解放し、昇降装置の油圧シリンダを作動させてベース架台と一緒にマストを引き上げ、ベース架台を途中階の柱梁に固定し、昇降装置を使用してクレーン本体をマストの最上部までクライミングさせる手順を繰り返しながら建物を構築している(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、ベース架台の寸法が大きいことから居室部にマストを配置するための開口部、所謂「ダメ穴」を設ける必要があった。つまり、ダメ穴を設けることで躯体の後施工手間が生じることになり、例えば仕上げ工事等の次工程へ進むことができず、その仕上げ工事までの工程確保等に大きな影響が生じるおそれがあった。とくに、RC造構造物からなる集合住宅などでは、その商品価値を向上させるため、居住性を追及し、梁を大スパン化させるとともに、扁平形状の梁を採用する場合が多くなっている現状がある。そのため、梁の大スパン化により、前記ダメ穴の平面面積が拡大し、工事への影響も大きくなっていた。
さらにまた、梁の扁平化により、従来の梁断面では必要なかった躯体補強を施さないと、タワークレーンを設置できない場合がある。その場合、躯体に補強鋼材を取り付けて対応するが、その際アンカーボルト等で固定することから、アンカーボルトを用いて本設の躯体に不要な穴をあけてしまうため、構造物本体を傷めてしまうといった問題があり、さらには例えばタワークレーンを撤去した後にそのアンカーの穴を処理する等の不具合が生じていた。
さらに、本支持構造にあっては、第1受け梁のみが建物の躯体に例えばアンカーボルト等によって固定支持された構造であり、第2受け梁は介挿部材を介して第2本設梁に載置され、一対の本設柱に対して突っ張った状態で取り付けられた無固定支持構造であり、アンカーボルト等を使用した躯体への固定箇所を減らした構造となっている。
本発明では、支持構造に対してマストが水平方向に所定量の範囲で移動可能であるので、マストに作用する大きな水平荷重のみを支持構造により対応することができ、躯体にかかる負担を低減することができる。
ことができる。
そして、昇降支持機構がマストを支持する支持構造を利用して設けられているので、同一階で簡単な構造とすることができる。
ここで、図3に示す建物2において、符号6を梁、符号7を柱、符号8を床スラブとして以下説明する。また、図3の紙面左右方向をX軸方向(本発明の「第1の方向」に相当する)とし、紙面上下方向(X軸方向に水平面内で直交する方向)をY軸方向(同じく「第2の方向」に相当する)として以下説明する。
図1および図2に示すように、タワークレーン1は、建物2内の上下方向に連続するエレベータシャフト(以下、開口部9という)に配置されるマスト3と、このマスト3に対して上下動自在に挿通支持されたクレーン本体4とからなり、建物2の構築初期段階となる低層階構築時と、それ以降の中高層構築時でマスト3に対する支持方式が異なっている。
つまり、図1に示す低層階構築時においては、ビームを平面視略十字状に配したベース架台5を建物2の基礎階の床スラブ、或いは梁上に設置し、このベース架台5にマスト3の下端3aを支持させた自立支持方式となっている。このとき、水平方向にも支持されるようになっている。
つまり、本タワークレーン1は、組み立て後、所定階までの躯体を構築した時点でベース架台5をマスト3から切り離し、マスト3を上部支持機構10と下部支持機構20による支持方式へ移行させてフロアクライミングする構造となっている。
そして、詳しくは後述するが、クライミングによってマスト3を盛り替える際には、上部支持機構10の一部に接続可能な昇降支持機構30(図10、図11参照)を用いる構成となっている。
図1および図2に示すように、クレーン本体4は、マスト3に沿って昇降可能に設けられた昇降装置41と、昇降装置41の上部に固定された旋回台42と、旋回台42上に固定されていてジブ等の揚重機械を装備した揚重装置43とから概略構成されている。昇降装置41は、図示しないロックピンの着脱によりマスト3に対して係止可能な上下一対の着脱フレームと、図示しない昇降ジャッキとを備えており、前記一対の着脱フレームをマスト3に対して交互に固定又は開放しつつ、昇降ジャッキを伸縮動作させることにより、クレーン本体4をクライミングさせる構造となっている。
そして、昇降装置41の下側の着脱フレームには構台44が設けられている。この構台44は、マスト3をクレーン本体4に反力を取って上昇させる際に、建物2の躯体(本設梁6など)に固定可能とした構造となっている。
図3〜図6に示すように、上部支持機構10は、マスト3の上下方向略中間部の所定階(以下、上部支持機構10を設置する階を「第1支持階P1」という)に配置され、建物2の本設梁6、本設柱7、床スラブ8に支持を取り、マスト3に作用する水平荷重と垂直荷重とを支持するものである。
また、介挿部材12は、縦材122、123どうしの間隔が第2本設梁6Bの幅寸法より僅かに大きい寸法で形成され、一方の縦材123と第2本設梁6Bとの間に伸縮ジャッキ16Aが介挿され、その伸縮ジャッキ16Aを伸張させて突っ張った状態とすることで、介挿部材12のY軸方向への移動が規制されている。
また、介挿部材12は、開口部9を形成する躯体の高さ方向の段差に対応するものでもあり、その高さ寸法は、取付部124に取り付けた第2受け梁13の上面13aと、第1受け梁11の上面11bとが同じ高さ位置となるように設定されている。
そして、上部取付部132には、支持脚14に固定するための長穴132aが所定の位置に設けられるとともに、支持脚14のX軸方向及びY軸方向の両方の移動量を制限するための第2係止板133が設けられている。
図7、図8、および図9(a)、(b)に示すように、下部支持機構20は、マスト3の下部3aを所定階(以下、下部支持機構20を設置する階を「第2支持階P2」という)の躯体の本設梁6および床スラブ8に反力を取って水平支持し、マスト3に作用するモーメント(水平荷重)を受けるためのものである。
すなわち、下部支持機構20は、マスト3の周囲を取り囲むようにして設けられる支持枠体21と、この支持枠体21から水平方向(Y軸方向)に張り出して開口部9の対向する両側に位置する躯体に係止する支持係止部22(22A〜22D)と、支持枠体21の内角部でマスト3の水平力を支持するクサビ材23とを備えて概略構成されている。
支持係止部22は、支持枠体21のY軸方向に延びる横材が延長され、そのうち一方が第2本設梁6B上に第1高さ調整ブロック24を介してアンカーボルト(図示省略)で固定され、他方が床スラブ8上に第2高さ調整ブロック25を介してアンカーボルト(図示省略)で固定されている。第1および第2高さ調整部材24、25は、図9(a)に示すように、第2本設梁6Bの上面6aと床スラブ8の上面8aとの高さに段差がある場合において、異なる高さ寸法となる。
図10および図11に示すように、昇降支持機構30は、第1支持機構10に設けられる構造であって、図3に示す支持脚14A、14Bの両側の位置で平行に配置されるとともに第1受け梁11および第2受け梁13に取り付けられた一対の第3受け梁31(31A、31B)と、これら第3受け梁31A、31Bに橋渡しするようにして固定される第4受け梁32(32A、32B)と、第4受け梁32A、32Bに橋渡しするようにして固定されるとともにクレーン本体4の下端4aに固定される第5受け梁33(33A、33B)とからなる。
昇降支持機構30によってクレーン本体4が建物2の躯体(本設梁6など)に固定された状態となり、この状態でマスト3の盛り替え時の反力を取ることができ、昇降装置41を駆動させることでマスト3を上昇させる構造となっている。
図1および図2に示すように、本タワークレーン1では、マスト3に作用する水平荷重を上部支持機構10と下部支持機構20の上下2層で受けもたせるとともに、タワークレーン1の自重および吊荷作業時の反力による垂直荷重を上部支持機構10で受けもたせることができる。そして、上部支持機構10および下部支持機構20における水平支持によって、マスト3に生じる曲げモーメントによる垂直荷重を吸収することができるので、上部支持機構10で受ける垂直荷重を小さくすることができ、支持機構10を簡単な、且つ小型化した構造とすること可能となる。
これにより、フロアクライミング時にマスト下端をベース架台で支持する必要がなくなり、フロアクライミングに必要な開口部の面積を小さくすることができる。そのため、本実施の形態のように建物2のエレベータシャフトをマスト3を設置する開口部9として利用することが可能となり、従来のように建物2の居室部に開口部を設けることがなくなることから、仕上げ工事などの建物の作業工程に対する影響を少なくすることができる。
図1に示すように、本タワークレーン1では、RC造の建物2の工事初期段階においてタワークレーン1を従来通りに自立させた状態で設置したのち、工事の進捗に合わせた適宜なタイミングで、マスト3の下部3aの固定をベース架台5から下端支持部20に移設するとともに、マスト3の上下方向略中間部を上部支持機構10で支持し、マストクライミングにしたがって上部支持機構10と下部支持機構20の位置を順次上階へと移設するものである。
この後、図12(d)のステップS4に示すように、順次フロアクライミングしつつ、建物2を構築していく。
図1に示すように、クレーン本体4を盛り替える際には、昇降装置41に備えられている図示しない昇降ジャッキを伸長して昇降装置41の上部フレーム(図示省略)を上昇させてマスト3に固定する。そして、下部フレーム(図示省略)をマスト3から開放して、昇降ジャッキを収縮して下部フレームを上昇させ、下部フレームをマスト3に固定する。これにより、1ストローク分の盛り替えが完了する。このような盛り替え作業を繰り返すことで、図12(c)、(d)に示すようにクレーン本体10を上昇させる。
図13(a)に示すように、ステップS11において、下部支持機構20(第2支持階P2)を移設する準備として、上部支持機構10(第1支持階P1)の直下の階(符号P2´とする)に、下部支持機構20´の支持枠体21(図8参照)を設置する。このとき設置した第2支持階P2´においては、図8に示すクサビ材23を設けずに、マスト3にかかる水平荷重を支持しない状態となっている。
なお、図13、図14に示すステップS11からステップS16のクライミング工程を順次繰り返すことで、RC造の建物2を構築することができる。
例えば、上部支持機構10、下部支持機構20、昇降支持機構30のそれぞれの各部寸法などの構成は、開口部9の大きさや形状、タワークレーン1の仕様、マスト3の形状、寸法などの条件に応じて、適宜変更することが可能である。
2 建物
3 マスト
3a 下部
4 クレーン本体
5 ベース架台
6、6A、6B 本設梁
7、7A、7B 本設柱
8 床スラブ
9 開口部
10 上部支持機構
11 第1受け梁
12、12A、12B 介挿部材
13 第2受け梁
14、14A、14B 支持脚
15 アンカーボルト
20 下部支持機構
21 支持枠体
22 支持部
23 クサビ材
30 昇降支持機構
41 昇降装置
112 第1係止板
133 第2係止板
P1、P1´ 第1支持階
P2、P2´ 第2支持階
Claims (6)
- マストと、該マストの上部を挿通支持させた状態でそのマストに沿って上下動自在とされるクレーン本体とを備え、RC造の本設梁と本設柱を有する建物の開口部に前記マストを配置させたタワークレーンの支持構造であって、
第1の方向に延びるとともに、前記開口部の外周部に位置する第1本設梁に対して前記第1の方向に移動可能に取り付けられた第1受け梁と、
前記第1の方向に延びる第2本設梁に載置されるともに、前記第1の方向に水平面内で直交する第2の方向への移動が規制された介挿部材と、
前記第1受け梁に対して離間をもって平行に配置され、一対の本設柱どうしを突っ張ることで前記第1の方向への移動を規制するとともに、前記介挿部材に対して前記第2の方向へ移動可能に取り付けられた第2受け梁と、
前記第2の方向に延びて配置され、前記第1受け梁および第2受け梁に取り付けられるとともに、前記マストに固定された支持脚と、
を備え、
前記マストに作用する水平荷重と垂直荷重とを支持する構成であることを特徴とするタワークレーンの支持構造。 - 前記支持脚は、前記第1受け梁および第2受け梁に対して、それぞれ第1の方向および第2の方向へ所定量だけ移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のタワークレーンの支持構造。
- 前記第1受け梁には、前記支持脚の前記第1の方向への移動量を制限する第1係止板が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のタワークレーンの支持構造。
- 前記第2受け梁には、前記支持脚の前記第1の方向および前記第2の方向の両方の移動量を制限する第2係止板が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のタワークレーンの支持構造。
- 前記クレーン本体を前記マストに沿って上下方向に移動させるための昇降装置の下端に固定され、
前記第1受け梁と前記第2受け梁とを橋渡しするとともに、前記第2の方向へ取り外し可能とされる昇降支持機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタワークレーンの支持構造。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のタワークレーンの支持構造を用いたクライミング方法であって、
前記支持構造を上部支持機構として、前記マストの上下方向中間部の第1支持階に設け、前記マストに作用する水平荷重および垂直荷重を支持する第1工程と、
前記第1支持階より下方の第2支持階で前記マストの下部に対して、前記マストに作用する水平荷重のみを支持する下部支持機構を設ける第2工程と、
を有し、
前記マストの盛り替え時において、前記上部支持機構を前記マストと一体で移設させるとともに、前記下部支持機構を前記マストと切り離して移設させることを特徴とするクライミング方法。
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