JP2010253018A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010253018A
JP2010253018A JP2009106254A JP2009106254A JP2010253018A JP 2010253018 A JP2010253018 A JP 2010253018A JP 2009106254 A JP2009106254 A JP 2009106254A JP 2009106254 A JP2009106254 A JP 2009106254A JP 2010253018 A JP2010253018 A JP 2010253018A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
discharge
discharge port
degrees
head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009106254A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruhiko Terai
晴彦 寺井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2009106254A priority Critical patent/JP2010253018A/ja
Priority to US12/763,976 priority patent/US8596262B2/en
Publication of JP2010253018A publication Critical patent/JP2010253018A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M15/00Inhalators
    • A61M15/02Inhalators with activated or ionised fluids, e.g. electrohydrodynamic [EHD] or electrostatic devices; Ozone-inhalators with radioactive tagged particles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M15/00Inhalators
    • A61M15/02Inhalators with activated or ionised fluids, e.g. electrohydrodynamic [EHD] or electrostatic devices; Ozone-inhalators with radioactive tagged particles
    • A61M15/025Bubble jet droplet ejection devices
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/1433Structure of nozzle plates
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/16Production of nozzles
    • B41J2/1606Coating the nozzle area or the ink chamber

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Anesthesiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】微小吐出口を高密度で配置する液体吐出ヘッドにおいて、隣接する吐出口の液滴を接触させることなく吐出することができる液滴吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、液体に吐出用エネルギを発生させる1つ以上のエネルギ発生素子と、前記エネルギ発生素子を収容して前記液体にエネルギを与えるための空間と、前記エネルギ発生素子に対面するように吐出口が配置された吐出口形成部材とを有し、前記液体を吐出する吐出口を前記エネルギ発生素子1つに対して複数個有する液体吐出ヘッドであって、隣接する吐出口から同時に吐出される液滴の吐出方向が異なることを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、液滴を微小な液滴として吐出する液体吐出ヘッドに関するものであり、特に医療分野において薬剤を含む溶液を霧状にして肺吸入させる際に使用される吸入装置などに好適に用いられる液体吐出ヘッドに関する。
従来、液体を微小液滴として吐出する液体吐出ヘッドは、記録分野においてインクジェットヘッドとして広く用いられている。インクジェットヘッドには、単に液滴を吐出するだけでなく、液滴の吐出方向の制御性も要求されている。従来のインクジェットヘッドにおいては、この要求を達成するための種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、一方向に配列された複数のノズルのうち、少なくとも端部に位置するノズルからの液滴を吐出面に対して斜め方向に吐出させているインクジェット記録ヘッドが開示されている。このようにノズルに傾きを与えることで、これらのヘッドを複数個接合した際に接合部のピッチが広くなって、紙面着弾位置に隙間が空く不具合を解決している。斜めに吐出させる方法として、ノズルの深さ方向に段差を有する形状やノズルの内壁面を非対称に親水処理撥水処理する方法が開示されている。また、特許文献2では1つの吐出口にエネルギ発生素子を少なくとも2個配置して駆動制御することで液滴の吐出方向をランダムに変化させて印字の濃度むらを解決する方法が開示されている。このようにインクジェット記録分野においてインクを斜めに吐出することは、様々なメリットがある。
ところで、従来のインクジェット記録分野におけるインクジェットヘッドでは、着弾する紙面にいかに高密度に正確緻密な印字ドットを埋めるかが画質向上のポイントであった。そのため、できるだけ高密度にエネルギ発生素子を配列し、1つのエネルギ発生素子には1つの吐出口を配置して、それぞれのエネルギ発生素子に対する駆動信号に応じて吐出する吐出口をなるべく多くした。そうすることで、高解像度と印字スピードアップの両立を図ってきた。また、印字ドットが緻密であればあるほど解像度は向上するが、人間が視覚で認識出来る解像度以上に緻密にすることは、コストや生産性を考えると意味がない。そのため、吐出口の径はせいぜい10μm程度まで小さくすれば充分であった。
前述した従来技術の特許文献1や特許文献2もそれらの技術分野の背景のなかで考案されている。
ところで、医療分野における液状薬剤を霧状にして肺吸入させる際に使用される吸入装置などに用いられる液体吐出ヘッドは、吐出滴径が数μm程度、最適には2μmから6μm程度である。そのため、吐出口径は1μmから5μm程度が必要で、従来のインクジェット記録分野で使用される液体吐出ヘッドの吐出口に比べて大幅に小さな吐出口が必要である。また、吸入時間を短くして患者負担を軽くするために、なるだけ短時間に必要な薬液量を投薬するために大量の液滴を吐出させる必要がある。
単位時間あたりの吐出量が同じの場合、吐出滴径が3μmの場合は吐出滴径が10μmの場合に比べて液滴数を40倍程度多くしないと同じ吐出量にはならない。このことから従来のインクジェット記録分野で使用される液体吐出ヘッドに比べて、医療分野における液状薬剤を霧状にして肺吸入させる際に使用される液体吐出ヘッドは、いかに吐出液滴数を増やすかがポイントであることが解る。
短時間に大量の液滴を吐出させるためには、単純にはエネルギ発生素子を増やし、吐出口を増やせば可能であるが、吐出ヘッドが大型化し、それに伴い、駆動用電池も大きくなる。そうすると、吸入装置が大型化して患者の使い勝手が悪くなるうえ、大型のヘッドは価格も高くなる。これらを解決するために、特許文献3のように、吐出口同士の間隔を出来るだけ狭くしてエネルギ発生素子上になるべくたくさん吐出口を並べることが考えられた。
特開2004−1439号公報 特開2001−105584号公報 特開2003−154655号公報
ところが、隣接する吐出口の間隔を狭くすると、吐出した液滴同士が接触合体して液滴が大きくなり、必要な最適液滴を得る事が出来なくなるという課題が発生した。
医療分野における液状薬剤を霧状にして肺吸入させる際に使用される吸入装置などに用いられる液体吐出ヘッドの場合、患者の身体的負担や経済的負担を考慮して、できるだけ少ない薬液量で最大の治療効果を得ることが必要である。そのためには、到達させる必要部位に最適な液滴径のみで吐出液滴群を構成する必要がある。最適径より大きいと肺に到達する前に口内や気管支に付着し、最適径より小さいと肺に到達しても排気の際に再び体外に排出されてしまうからである。
前述したように、医療分野における液状薬剤を霧状にして肺吸入させる際に使用される吸入装置などに用いられる液体吐出ヘッドでは、吐出口径は1μmから5μm程度が必要である。これは従来のインクジェット記録分野で使用される液体吐出ヘッドの吐出口に比べて大幅に小さな吐出口である。そのため隣接する吐出口から吐出した液滴の接触合体を防ぐために吐出方向を傾ける方法として特許文献1のような止まり穴座グリ形状に吐出口部を機械加工しようとすると、機械加工クズの除去が難しい。機械加工ではなくフォトリソグラフィ技術で吐出口を形成する場合は、露光現像の際に現像スカムが残存してしまう。いずれの吐出口加工法でも微小穴の加工が困難である。また、吐出口の内壁面の表面性を親水性及び撥水性に塗り分ける方法は微小穴の場合は事実上不可能かまたは非常に手間がかかって実用できない。
本発明の目的は、微小吐出口を高密度で配置する液体吐出ヘッドにおいて、隣接する吐出口の液滴を接触させることなく吐出することができる液滴吐出ヘッドを提供することである。
そこで、上記課題を解決するために、本発明に係わる液体吐出ヘッドは以下の構成を有する。すなわち、液体に吐出用エネルギを発生させる1つ以上のエネルギ発生素子と、前記エネルギ発生素子を収容して前記液体にエネルギを与えるための空間と、前記エネルギ発生素子に対面するように吐出口が配置された吐出口形成部材とを有し、前記液体を吐出する吐出口を前記エネルギ発生素子1つに対して複数個有する液体吐出ヘッドであって、隣接する吐出口から同時に吐出される液滴の吐出方向が異なることを特徴とする。
以上、説明したように本発明によれば、隣接する吐出口からの液滴吐出方向を異ならせることで、1つのエネルギ発生素子に対して複数の吐出口を有するような吐出口同士が密な配置の場合に発生する課題を解決することが出来る。その課題は吐出した液滴同士が接触合体して液滴が大きくなり必要な最適液滴径を得る事が出来なくなるというものである。また、吐出口からの液滴吐出方向を異ならす方法として、吐出口プレート表面の吐出口周囲の吐出液に対する接触角が回転対称性を有しない分布にする。そうすることで、微小な吐出口径であっても容易に且つ精度良く目的の加工が可能となる。そうすると、従来より吐出口が高密度な液体吐出ヘッドがより容易で高精度に製造可能となる。その結果、コンパクトで使い勝手がよく、安価な液体吐出ヘッドやその液体吐出ヘッドを有する経肺投薬用の液体吐出ヘッド装置を提供する事が出来る。
本発明の実施形態の液体吐出ヘッドの外観斜視図である。 図1に示した液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 図2に示した発熱素子基板の一部破断がなされた斜視図である。 図3のA部詳細図である。 図3に示した吐出口の一部を表す平面図である。 図5のX-X線断面図である。 図5と図6の吐出口H1108の平面拡大図を表す図である。 発熱素子上に4つ配置した吐出口の親水部の位置関係を親水部円弧角度をかえて示した図である。
本発明の液体吐出ヘッドは、微小な液滴を吐出(噴霧も含む)するための装置に好適に用いることができる。その具体的な例としては、特に限定されるものではないが、医療分野における薬剤を含む溶液を患者の呼吸器系に投与するために用いられる吸入用の装置が挙げられる。他の応用例としては、ペンキやレジストやコーティング剤等のスプレーやその他スチーマなどが挙げられる。
ここで、本発明の液体吐出ヘッドは、液体に吐出用エネルギを発生させる1つ以上のエネルギ発生素子と、該エネルギ発生素子を収容して前記液体にエネルギを与える空間と、前記エネルギ発生素子を対面するように吐出口が配置された吐出口形成部材とを有する。吐出口形成部材は、液体を滴として吐出するための複数の吐出口が開口した平面を有する部材(以下、吐出口プレートともいう)であり、エネルギ発生素子を収容する空間の壁の一部を構成するように設けられている。エネルギ発生素子は、液体に与える吐出用エネルギを発生させる素子であり、吐出口形成部材の有する複数の吐出口と対向する、前記空間内に収容されている。また、吐出口プレートは1つのエネルギ発生素子に対して液体を吐出する吐出口を複数個有している。
そして、吐出口プレートにおける隣接する吐出口から同時に吐出される液滴が異なる吐出方向を有することで当該液滴が接触しないことを可能とする。
本発明では、液滴の吐出方向を吐出平面垂直方向から傾斜させるために、吐出口の周囲に吐出する液体との接触角が異なる領域を形成させる。ここで接触角が異なる領域は、接触角が相対的に高い領域(以下、高接触角領域ともいう)と相対的に接触角が低い領域(以下、低接触角領域ともいう)を有する。低接触角領域は吐出口を中心として回転対称性を有しない分布となるように吐出プレート表面の吐出口周囲に形成する。回転対称性を有しない分布とは、吐出口を中心として低接触角領域を回転させても360度回転するまでに元の低接触角領域のパターンに重なる場合がないような分布を有することをいう。
接触角の異なる領域は、互いの接触角の差が10度以上有するように形成されることが好ましく、30度以上有するように形成されることがより好ましい。
このように吐出口周囲の接触角が異なることで調整される液滴の吐出方向が隣り合う吐出口どうしで異なるように低接触角領域は分布している。
なお、吐出方向は、吐出平面を正面から見た場合の方向を指し、吐出口を中心に任意の方向を基準として、その方向から回転した角度で表し、複数の吐出口において吐出方向の相対的な関係を示す場合がある。また、吐出の傾斜角度とは、吐出平面に対する垂直方向からの液滴の吐出方向への傾きの角度を指す。
吐出口の周囲に接触角が異なる領域を形成すると、低接触角領域のほうに液滴が引かれるため、接触する可能性がある近接する吐出口間で、吐出液滴が互いに離れる方向に各吐出口の周囲に低接触角領域を形成することで、吐出直後の液滴の接触を防ぐことができる。吐出口の周囲の接触角が同じ場合は吐出液滴の吐出方向は垂直方向からずれが生じる場合があり、そのずれの方向は不定となる。そのため、隣接する吐出口間の間隔が狭いと吐出液滴が接触する場合が生じる。本発明の方法はこのような接触の可能性を防ぐ上で、例えば、吐出口間の間隔が10μm以下程度に近接する吐出口を有する場合に好適に用いることができ、さらには5μm以下程度の間隔では液滴の接触が顕著になるためより効果的である。よって1つのヒータに複数の吐出口を配置する場合に用いることができ、例えば、次の(i)及び(ii)の条件を満たす場合に好適に用いることができる。(i)同一のエネルギ発生素子内に隣接して配置する吐出口どうしの距離が短くなるために吐出口周囲の接触角が同じであると液滴が接触することがある場合。(ii)異なるエネルギ発生素子間で隣り合う吐出口どうしの距離が液滴が接触しない程度に離れている場合。このように、複数の吐出口において吐出方向を調整することで全体として高密度に吐出口を配置することができる。
このように構成することで、1つのエネルギ発生素子に対して複数の吐出口を有するような吐出口同士が密な配置であっても、吐出した液滴同士が接触合体することがないため、目的径を有する液滴を得ることが出来る。
また、本発明の液体吐出ヘッドを薬剤吸収用のヘッドとして用いる場合、液体吐出ヘッドを配置した装置部分を薬剤のディスペンサと連結した構成とすることが出来る。
前記液体としては、液状のものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、薬剤を含む溶液が好ましく、特に患者の呼吸器系に投与するために特別に処方された溶液が好ましいが、その他にも懸濁液などであってもよい。なお、液状とは、ゾルやゲルなどの状態も含まれる。
また、溶液あるいは懸濁液としては、表面張力が比較的大きいことから水性液体を好適に用いることができ、主として水を溶媒とする水性液体であることが好ましい。また、水との相溶性を損なわなければ、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ケトン類、カルボン酸などの親水性溶媒や酢酸エチル等のカルボン酸エステル、ヘキサン等の炭化水素系化合物などの溶媒を含んでもよい。また、疎水性物質や高分子の溶質をミセル化する場合などに界面活性剤を含む水性液体であってもよい。また、ペンキ、コーティング剤あるいは疎水性の薬剤物質などを油性溶媒に含む油性液体であってもよい。
前記薬剤としては、哺乳類等の動物に対して何らかの作用・効果を示す物質をいい、特に限定されるものではない。例えば、インスリン、ヒト成長ホルモン若しくは性腺刺激ホルモン等のペプチド、タンパク質等の蛋白製剤またはオリゴマー、ポリヌクレオチド等の核酸物質の生体高分子、或はニコチン等の薬剤物質、気管支喘息薬または麻酔薬などの低分子化合物が挙げられる。これらの生体高分子や低分子化合物は肺吸入に用いられる薬剤として、これらの生体高分子や低分子化合物を含む液体、好ましくは水性液体を好適に吐出することができる。液体の表面張力に関して、インクジェット吐出方式で一般的に吐出できる程度の範囲であり、かつ水の吐出についても適用することができるため、例えば、20dyn/cm〜73dyn/cmの範囲の液体について好適に用いることができる。
吐出口は真円もしくは略円形とすることができ、例えば、2μm〜6μm、好ましくは1μm〜5μmの口径を有することができる。液滴の吐出速度は、例えば5m/s〜20m/sとすることができる。吐出される液滴の平均粒径は1μm〜5μmとすることができる。
接触角の異なる領域を形成する方法としては、吐出プレート表面における吐出口周囲の領域において、表面自由エネルギー(表面張力)、あるいは表面粗さの少なくとも一方が異なる領域を形成する方法を用いることができる。以下では、相対的に接触角の低い領域として親水性を有する領域(以下、親水部とする)を有し、接触角の高い領域として撥水性を有する領域(以下、撥水部という)を有する場合を挙げて説明する。なお、接触角が異なる領域を形成できれば、該異なる領域がいずれも親水性表面であり親水性の違いにより接触角が異なる場合であってもよく、あるいは該異なる領域がいずれも撥水性表面であり撥水性の違いにより接触角が異なる場合であってもよい。
接触角の異なる領域は、例えば、次の順序で形成することができる。まず、吐出プレートの吐出口の周囲に撥水性を有する表面を形成する。これは、例えば、フッ素系材料等の撥水材料からなる吐出プレートを使用してもよいし、撥水層を吐出プレート表面に形成してもよい。次に、吐出口周囲の所定の領域に親水部を形成する。親水部はエキシマレーザー照射やコロナ放電など公知の方法により親水処理して形成する。ホウ酸などの親水化を推進する物質を含む溶液を親水処理する領域に加えてもよい。
また、表面粗さを変化させる方法により、吐出プレートの吐出口の周囲に接触角の異なる領域を形成することができ、表面粗さを加える方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、撥水性を有する吐出プレートでは、表面粗さの値(Ra)が0.1〜1.6程度となるように粗さ加工の処理を行うことで他の部分よりも撥水性を高くし、接触角を相対的に高くすることができる。これにより、相対的に接触角が低くなる粗さ加工の未処理の領域側に液滴の吐出方向を向けることができる。また、例えば、親水性を有する吐出プレートではわずかでも粗さを加えると他の部分より親水性が高くすることができ、粗さを加えた領域の側に液滴の吐出を傾けることができる。
親水部は、吐出方向を制御すく調整する点から、円弧状の形状や、対称性を有する形状を有するものを用いることができる。また、親水部は、吐出プレート表面において吐出口と接している部位(始端)と外延部位(終端)を有する。外延部位は液滴が接触する範囲をすべて含むように設けてもよいし、吐出方向を制御することができれば、液滴が接触する範囲の一部を含むように設定してもよい。
このような親水部の分布は、それぞれの吐出口の親水部の形状が異なる場合は、親水部の分布と吐出方向との関係も異なるため、それぞれの吐出口の親水部の形状と吐出方向の関係を考慮して分布配置を決定することができる。それぞれの吐出口の吐出方向の制御の点から、各吐出口が同じ形状の親水部を有し、それぞれの吐出口の周囲の相対的な位置を異ならせることで制御することができる。
まず、液体吐出ヘッド装置の構成について、図1から図4を用いて説明する。図1から図4は、本発明の実施に好適な発熱素子を用いた液体吐出ヘッド装置を説明するための説明図である。
図1は従来の液体吐出ヘッドH1001を示しているが本発明では、この装置構成を例えば吸入用装置として利用することが出来る。液体吐出ヘッド装置H1001は、電気信号に応じて膜沸騰を液体に対して生じせしめるための熱エネルギを生成する発熱体を用いて吐出を行う、バブルジェット(登録商標)方式のサイドシューター型とされる液体吐出ヘッドである。なお、説明においては発熱素子を用いた構成について述べるが、特にエネルギ発生素子としては発熱素子に限定されるものではなく、ピエゾ素子のような振動エネルギ発生素子を用いることが出来る。
次に液体吐出ヘッド装置H1001を構成する各々の構成要素について順を追って説明する。図2は、図1の液体吐出ヘッド装置H1001の分解斜視図である。液体ヘッド装置H1001は、図2の分解斜視図に示すように、発熱素子基板H1100、電気配線テープH1002及びタンクホルダH1003とから構成される。電気配線テープH1002は発熱素子基板を配置する空間部H1113と電気接続部H1114を備える。次に、タンクホルダH1003は、例えば、樹脂成形により形成されている。タンクホルダH1003は液体タンク(不図)から発熱素子基板H1100の液体供給口H1102(図3参照)へ液体を導くための接続口を有し、着脱自在の液体タンク(不図)を保持する機能も一部備えている。この液体タンクに例えば薬剤を含む溶液を入れて保存する。
図3は発熱素子基板H1100の構成を説明するために一部分解した斜視図である。発熱素子基板H1100は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSi基板H1112に液体流路として長溝状の貫通口からなる液体供給口H1102がSiの結晶方位を利用した異方性エッチンングやサンドブラストなどの方法で形成されている。また、液体供給口H1102を挟んだ両側に発熱素子H1103がそれぞれ2列ずつ配列されており、その発熱素子H1103に電力を供給する不図示の電気配線やパシベーション膜が成膜技術により形成されている。さらに、その電気配線に電力を供給するための電極部H1104が発熱素子基板H1100の両外側に配列されている。そして、Si基板H1112上には、液体供給口H1102に連通した液体流路H1106を持ち、且つ2対の発熱素子を囲むように流路壁H1105が形成され、液室を構成している。この流路壁H1105は感光性樹脂材料を用いてフォトリソ技術で作成されている。その上部には、吐出口が設けられた吐出口プレートH1107がポリイミドシートで接合されている。その結果、吐出液にエネルギを与えるための空間が形成されている。吐出口H1108は、ポリイミドシートを透過して発熱素子位置を認識しながらエキシマレーザで形成されている。これら複数が吐出口プレートH1107に吐出口群H1111を形成している。図4に図3の一部分を拡大して示している。吐出口プレートH1107の表面には撥水処理が行われている。その方法は、吐出口に撥水材が進入しないように吐出口から窒素ガスを緩やかに噴出させながら撥水材CTX−CZ5A(旭硝子(株))を塗布することで行われている。タンクホルダH1003に発熱素子基板H1100と電気配線テープH1002とが組み付けられて液体吐出ヘッドが完成している。液体供給口H1102から供給された液体は、発熱素子H1103により発生した気泡より、発熱素子H1103に対向して設けられている吐出口H1108から吐出される。
発熱素子H1103に対する駆動信号は、隣接する128個の発熱素子(1つの液室に2つずつ配置してある発熱素子の対を64個)を一組として一括して駆動させる。液体吐出ヘッドは多数の発熱素子を持つので、128個の発熱素子ごとを1つの駆動集団として、それらを順次駆動させて液体吐出ヘッドから吐出液を吐出させる。
以下、実施の形態を説明しながら、本発明の液体吐出ヘッドにおける複数の吐出口において周囲の接触角の異なる領域の形成方法および、隣接する吐出口どうしでの接触角の異なる領域の分布の仕方について説明する。
(実施形態1)
図5から図7は本発明の接触角の異なる領域を吐出口周囲に有する液体吐出ヘッドの1つの実施の形態を示す。図5は液体吐出ヘッドの基板に対し垂直な方向から見た液体吐出ヘッドの平面透視図、図6は図5におけるX−X線に沿った断面図、図7は図5における吐出口の拡大図である。
図5から図7に示す形態の液体吐出ヘッドでは、液体を吐出するためのエネルギ発生素子である発熱素子H1103をSi基板H1112上に設けた。発熱素子H1103は縦15μm、横15μmの正方形で、液体供給口H1102に沿ってピッチ25μmで2つの発熱素子H1103からなる発熱素子列を複数列配置した。2列の発熱素子列は、間隔20μmで配置した。次に液体供給口H1102に連通した幅19μmの液体流路H1106を持ち、且つ2対の発熱素子を囲むように流路壁H1005を形成した。流路壁は感光性樹脂材料を用いてフォトリソ技術で形成した。流路壁の高さは5μmで、隣の2対の発熱素子列を隔てる流路壁厚さは幅6μmとした。図5では、3つの液体流路H1106ごとに発熱素子H1103が2つずつ合計6つしか示していないが、実際には、1枚のSi基板H1112上に複数の発熱素子H1103が配列されている。なお、エネルギ発生素子はヒータのような発熱素子に限らず、ピエゾ素子のような振動エネルギ発生素子であってもよい。また、Si基板H1112の代わりに、例えば、ガラス、セラミック、樹脂、Si以外の金属で形成することも出来る。
次に、吐出口プレートとなる厚さ5μmのポリイミドシートを接合して吐出液にエネルギを与えるための空間を形成した。
次にポリイミドシートを透過して発熱素子位置を観察しながら、発熱素子上方位置の吐出口プレートにエキシマレーザで吐出口H1108を形成した。各発熱素子ごとに直径3μmの吐出口を10μmピッチで発熱素子中心から等距離となる位置に4つずつ作成した。なお、同一液体流路内における2列の発熱素子の間で隣接する吐出口間の距離は、12.2μmであり、異なる液体流路間における二つの発熱素子の間で隣接する吐出口間の距離は12.2μmであった。次にアブレーションで発生するデブリと称される副生成物を除去した。次に吐出口に撥水材が進入しないように吐出口から窒素ガスを緩やかに噴出させながら撥水材CTX−CZ5A(旭硝子(株))を塗布して吐出口プレート表面を撥水処理した。
次に親水化促進物質として3%ホウ酸水溶液を吐出口プレートH1107表面の撥水層上に滴下し、吐出口位置に対してアライメントして石英ガラスマスクを重ねた。石英ガラスマスクは親水部に対応する部分以外は遮光処理を施してから用いた。次に発光中心波長が172nmの誘電体バリア放電エキシマランプER200−172(ウシオ電機(株)製)を石英ガラスマスクの直上から5分間照射して親水部H2005を形成した。
撥水部と親水部の形成方法は、今回の方法以外に表面の微細な表面粗さを変化させる方法や、撥水材表面をコロナ放電で処理して親水化させる方法、レーザを用いて撥水層を局部的に除去する方法やそれらを組み合わせた方法でも行うことが出来る。
今回は吐出口プレートを撥水表面にして吐出口の周囲に所望の形状の親水部を形成した。これとは反対に、吐出口プレートが親水性の表面で吐出口周囲に所望の形状の撥水部を形成して吐出口周囲の接触角分布を変化させることも出来る。
図7で吐出口と親水部の位置関係を説明する。吐出口H1108と中心を同じくする半径4.5μmの円弧状の親水部H2005を吐出口周囲表面に形成した。図7は円弧の角度H2006が45度の場合を示している。発熱素子ごとの4つの吐出口に対し、吐出口周囲の親水部位置を90度ずつ変えて図5に示すように形成した。
また、親水部の円弧の角度H2006が45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の7種類の液体吐出ヘッドを作成した。また、比較例として、吐出口周囲の親水部の円弧の角度H2006が360度の液体吐出ヘッドと、親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドを準備した。図8に1つの発熱素子に4つの吐出口が形成され、それぞれの円弧角度H2006ごとに親水部H2005が形成された配置形状を示した。
接触角測定用のモニター部を用いて撥水部と親水部の前進接触角を測定した。表面張力が73dyne/cmの水の接触角は、撥水部が90度、親水部が55度であった。次に表面張力が73dyne/cmの水を吐出液として、吐出口周囲の親水部の円弧の角度H2006が45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の7種類の液体吐出ヘッドの吐出評価試験を行った。また吐出液滴拡大観察系を用いて液滴の吐出状態の観察を行った。また、マルバーン社製レーザ回折粒度分布測定器を用いて、平均粒径と体積基準の粒度分布プロファイルを測定した。
比較例の円弧の角度が360度の液体吐出ヘッドと親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドも同様に吐出評価試験を行い、吐出液滴拡大観察系を用いて液滴の吐出状態の観察を行った。また、マルバーン社製レーザ回折粒度分布測定器を用いて平均粒径と体積基準の粒度分布プロファイルを測定した。
その結果、吐出口の周囲に親水部の円弧の角度H2006が45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の親水部を形成した7種類の液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴は、いずれも平均粒径が3.8〜4.5μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.0程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したが、いずれも吐出液滴が接触合体する様子はなく、安定な吐出状態であった。また、吐出口に相対する正面位置から液滴の吐出方向を観察したところ、液滴は吐出口周囲の親水部の中央部の方向にひっぱられるように傾いて吐出している状態が観察された。
比較例の吐出口の周囲の親水部の円弧の角度が360度の液体吐出ヘッドと親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴は、いずれも平均粒径が5.5〜6.5μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.6程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したところ、隣接吐出口から吐出した液滴が接触合体する箇所が複数観察された。
以上から、表面張力が73dyne/cmの水を用いて吐出評価を行った結果、次のことが確認された。すなわち、吐出口の周囲の親水部(低接触角領域)の分布を吐出口を中心として回転対称性を有しない分布にし、隣接する吐出口の吐出方向が異なるように親水部の位置を調整することで隣接吐出口から吐出した液滴の接触合体がおこらないことが確認された。また、粒度分布も比較例に対して充分良好で均一の粒径が得られることが確認された。
(実施形態2)
実施形態1と同様に親水部の円弧の角度H2006が45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の7種類の液体吐出ヘッドを作成した。比較例も実施形態1と同様に、円弧の角度H2006が360度の液体吐出ヘッドと、親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドを準備した。
接触角測定用のモニター部を用いて撥水部と親水部の前進接触角を測定した。表面張力が25dyne/cmのインクの接触角は、撥水部が70度、親水部が45度であった。
吐出液を表面張力が25dyne/cmのインクを用いた以外は実施形態1と同様にして液体吐出ヘッドの吐出評価試験を行った。
その結果、吐出口の周囲に親水部の円弧の角度H2006が45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の親水部を形成した7種類の液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴はいずれも平均粒径が3.2〜4.2μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.2程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したが、いずれも吐出液滴が接触合体する様子はなく、安定な吐出状態であった。また、吐出口の正面位置から液滴の吐出方向を観察したところ、液滴は吐出口周囲の親水部の中央部の方向にひっぱられるように傾いて吐出している状態が観察された。
比較例の親水部の円弧の角度が360度の液体吐出ヘッドと親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴は、いずれも平均粒径が5.0〜6.5μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.7程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したところ、隣接吐出口から吐出した液滴が接触合体する箇所が複数観察された。
以上から、表面張力が25dyne/cmのインクを用いて吐出評価を行った結果、次のことが確認された。即ち、吐出口の周囲の親水部(低接触角領域)の分布を吐出口を中心として回転対称性を有しない分布にし、隣接する吐出口の吐出方向が異なるように親水部の位置を調整することで隣接吐出口から吐出した液滴の接触合体がおこらないことが確認された。また、粒度分布も比較例に対して充分良好で均一の粒径が得られることが確認された。
(実施形態3)
親水部を形成する際の処理時間を変えた以外は、実施形態1と同様にして吐出口の周囲の親水部の円弧の角度が45度の液体吐出ヘッドを4個製作した。4個の液体吐出ヘッドは、それぞれ親水化処理時間を4分、3分、2分、1分に変えて処理した。接触角測定用のモニター部を用いて撥水部と親水部の前進接触角を測定した。表面張力が73dyne/cmの水の接触角は、撥水部が90度、親水部は親水化処理時間が4分のものが65度、3分のものが75度、2分のものが80度、1分のものが85度であった。
比較例も実施形態1と同様に、親水部の円弧の角度H2006が360度で親水部の親水化処理時間が4分の液体吐出ヘッドと、親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドを準備した。
吐出液を表面張力が73dyne/cmの水を用いて、実施形態1と同様にして液体吐出ヘッドの吐出評価試験を行った。
その結果、吐出口の周囲の親水部の接触角が65度と75度と80度の液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴はいずれも平均粒径が3.8〜4.5μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.0程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したが、いずれも吐出液滴が接触合体する様子はなく、安定な吐出状態であった。また、吐出口と相対する正面位置から液滴の吐出方向を観察したところ、液滴は吐出口周囲の親水部の中央部の方向にひっぱられるように傾いて吐出している状態が観察された。
次の3つの吐出ヘッドにおいて吐出される液滴はいずれも平均粒径が5.5〜6.5μm程度であった。吐出口の周囲の親水部の接触角が85度の液体吐出ヘッド、比較例の親水部の円弧の角度が360度の液体吐出ヘッド、および親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッド。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.6程度であった。
液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したところ、隣接吐出口から吐出した液滴が接触合体する箇所が複数観察された。
以上から、表面張力が73dyne/cmの水を用いて吐出評価を行った結果、次のことが確認された。即ち、吐出口の周囲の親水部(低接触角領域)が吐出口を中心として回転対称性を有しない分布である場合で、撥水部と親水部の接触角の差が10度以上の時に隣接吐出口から吐出した液滴の接触合体がおこらないことが確認された。
(実施形態4)
実施形態3と同様にして吐出口の周囲の親水部の円弧の角度が45度の液体吐出ヘッドを4個製作した。4個の液体吐出ヘッドは、それぞれ親水化処理時間を4分、3分、2分、1分に変えて処理した。
表面張力が25dyne/cmのインクを吐出液にするので、実施形態3と同様にしてインクの接触角を測定した。撥水部が70度、親水部は親水化処理時間が4分のものが45度、3分のものが55度、2分のものが60度、1分のものが65度であった。
比較例も実施形態3と同様に、親水部の円弧の角度H2006が360度で親水部の処理時間が4分の液体吐出ヘッドと、親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッドを準備した。
実施形態3と同様にして、液体吐出ヘッドの吐出評価試験を行った。その結果、吐出口の周囲の親水部の接触角が45度と55度と60度の液体吐出ヘッドにおいて吐出される液滴はいずれも平均粒径が3.2〜4.2μm程度であった。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.2程度であった。液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したが、いずれも吐出液滴が接触合体する様子はなく、安定な吐出状態であった。また、吐出口と相対する正面位置から液滴の吐出方向を観察したところ、液滴は吐出口周囲の親水部の中央部の方向にひっぱられるように傾いて吐出している状態が観察された。
次の3つの吐出ヘッドにおいて吐出される液滴はいずれも平均粒径が5.0〜6.5μm程度であった。吐出口の周囲の親水部の接触角が65度の液体吐出ヘッド、比較例の親水部の円弧の角度が360度の液体吐出ヘッド、および親水処理をまったく行わず、吐出口周囲が撥水状態のままの液体吐出ヘッド。粒度分布のブロード程度を示す体積基準の相対粒子量曲線の半値幅は1.7程度であった。
液滴の吐出状態をヘッドの吐出口をランダムにえらんで多数観察したところ、隣接吐出口から吐出した液滴が接触合体する箇所が複数観察された。
以上から、表面張力が25dyn/cmのインクを用いて吐出評価を行った結果、次のことが確認された。即ち、吐出口の周囲の吐出液に対する接触角が回転対称性を有しない分布である場合で、撥水部と親水部の接触角の差が10度以上の時に、隣接吐出口から吐出した液滴の接触合体がおこらないことが確認された。
以上、実施形態1〜実施形態4の結果をまとめたものを表1に示す。
Figure 2010253018
H1001 液体吐出ヘッド
H1002 電気配線テープ
H1003 タンクホルダ
H1100 発熱素子基板
H1102 液体供給口
H1103 発熱素子
H1104 電極部
H1105 液体流路壁
H1106 液体流路
H1107 吐出口プレート
H1108 吐出口
H1111 吐出口群
H1112 Si基板
H1113 発熱素子基板を配置する空間部
H1114 電気接続部
H2005 吐出口プレート表面親水処理部
H2006 吐出口プレート表面親水処理部角度

Claims (7)

  1. 液体に吐出用エネルギを発生させる1つ以上のエネルギ発生素子と、前記エネルギ発生素子を収容して前記液体にエネルギを与えるための空間と、前記エネルギ発生素子に対面するように吐出口が配置された吐出口形成部材とを有し、前記液体を吐出する吐出口を1つの前記エネルギ発生素子に対して複数個有する液体吐出ヘッドであって、隣接する吐出口から同時に吐出される液滴の吐出方向が異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記液滴の吐出方向は、前記吐出口周囲に前記液体との接触角が異なる領域を形成し、相対的に接触角が低い領域が吐出口を中心として回転対称性を有しない分布を有することで調整することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 吐出プレート表面における吐出口周囲の領域において、表面自由エネルギー、あるいは表面粗さの少なくとも一方が異なることで、接触角が互いに異なる領域を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記接触角が互いに異なる領域の間の接触角の差が10度以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記エネルギ発生素子が、発熱素子または振動エネルギ発生素子である請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出ヘッド装置。
  7. 前記液体は、肺吸入に用いられる薬剤を含む液体である、請求項6に記載の液体吐出ヘッド装置。
JP2009106254A 2009-04-24 2009-04-24 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置 Pending JP2010253018A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009106254A JP2010253018A (ja) 2009-04-24 2009-04-24 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置
US12/763,976 US8596262B2 (en) 2009-04-24 2010-04-20 Liquid discharge head and liquid discharge head device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009106254A JP2010253018A (ja) 2009-04-24 2009-04-24 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010253018A true JP2010253018A (ja) 2010-11-11

Family

ID=42991013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009106254A Pending JP2010253018A (ja) 2009-04-24 2009-04-24 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8596262B2 (ja)
JP (1) JP2010253018A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT201800005372A1 (it) * 2018-05-15 2019-11-15 Dispositivo microfluidico erogatore di sostanze inalabili

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2831380B2 (ja) * 1988-06-21 1998-12-02 キヤノン株式会社 オリフィスプレート及びインクジェット記録ヘッドの製造方法,ならびに該オリフィスプレートを用いたインクジェット記録装置
JP2001105584A (ja) 1999-10-14 2001-04-17 Canon Inc インクジェット記録装置
JP2003154655A (ja) 2001-11-22 2003-05-27 Canon Inc 液体吐出ヘッド
JP4118178B2 (ja) 2002-03-28 2008-07-16 富士フイルム株式会社 インクジェット記録ヘッドおよびインクジェットプリンタ
US6830046B2 (en) * 2002-04-29 2004-12-14 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Metered dose inhaler
TW550233B (en) * 2002-12-30 2003-09-01 Ind Tech Res Inst Micro fluidic module
US7726303B2 (en) * 2003-02-25 2010-06-01 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Controlled medicament ejection
US20050150489A1 (en) * 2004-01-12 2005-07-14 Steve Dunfield Dispensing medicaments based on rates of medicament action
JP4742683B2 (ja) * 2005-06-02 2011-08-10 ソニー株式会社 液体検知装置及び液体吐出装置
JP5424556B2 (ja) * 2007-12-07 2014-02-26 キヤノン株式会社 回転対称性を有しない吐出口を有する液体吐出ヘッド
TWI338592B (en) * 2008-03-25 2011-03-11 Ind Tech Res Inst Nozzle plate of a spray apparatus and fabrication method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
US20100269823A1 (en) 2010-10-28
US8596262B2 (en) 2013-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11905615B2 (en) Photodefined aperture plate and method for producing the same
US7594507B2 (en) Thermal generation of droplets for aerosol
JP3675272B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP2009534055A (ja) エアロゾル化された調合物を肺内送達するためのノズル細孔構成
JP2012091381A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
KR20040020879A (ko) 액체 토출 헤드
EP4070958B1 (en) Fluid jet ejection device, method of making ejection head and method for improving plume characteristics of fluid
JP5424556B2 (ja) 回転対称性を有しない吐出口を有する液体吐出ヘッド
JP3106136B2 (ja) マイクロインジェクティングデバイスのノズルプレート装置製造方法
JP2004209741A (ja) インクジェット記録ヘッド
JP2010253018A (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッド装置
JP2006015746A (ja) サーマルインクジェットプリントヘッドのインク射出領域を作製する方法及びサーマルインクジェットプリントヘッド
JP2005144557A (ja) レーザ微細加工およびその方法
JP2010246669A (ja) 吸入装置用の液体吐出ヘッドおよび吸入装置
WO2005037557A1 (ja) 液体吐出ヘッド
JP2006116972A (ja) 肺吸入用の液状薬剤を噴霧するヘッド及びこれを備えた噴霧装置、並びに、その液状薬剤の噴霧方法
JP2022161863A (ja) 流体噴射吐出装置、吐出ヘッドの製造方法及びプルーム特徴を改善する方法
JPH11188876A (ja) インクジェット記録ヘッド及び該インクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置
JP2791227B2 (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP2008055916A (ja) 液体吐出ヘッド
JP2006035536A (ja) 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、インクジェット記録装置、及び薬剤吸入装置
JP2007326310A (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法
JP2000071464A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法及び該製造方法によるインクジェット記録ヘッド
JP2006281573A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2004114460A (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置