JP2010248370A - 水中油型香料乳化物及びその製造方法、繊維製品処理剤組成物 - Google Patents

水中油型香料乳化物及びその製造方法、繊維製品処理剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維製品等に対する香りの付与を良好に行うことができ、該香りの持続性にも優れた水中油型香料乳化物及びその製造方法、ならびに該水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)高級アルコールと、(B)香料と、(C)非イオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤と、(D)両親媒性溶媒と、(E)水と、(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物とを含有することを特徴とする水中油型香料乳化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型香料乳化物及びその製造方法、ならびに該水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物に関する。
従来、衣料等の繊維製品や化粧品、食品等の各種製品に香りを付与することが行われている。香料の付与する方法としては、たとえば衣料等の繊維製品に対しては、香料を配合した処理剤で処理することが一般的であり、また、化粧品、食品等に対しては、香料を直接配合することが一般的である。
処理剤等への香料の配合方法としては、香料をそのまま配合する方法、香料を乳化して配合する方法等が知られている。
これらの製品においては、付与した香りの持続性が望まれる。
香りの持続性を高める方法としては、たとえば、(1)香料の配合量を増量する方法、(2)香料の前駆体を使用する方法、(3)香料をマイクロカプセルに封入して配合する方法等があり、これらの方法について種々の検討がなされている。
これらのうち、(1)の方法は、配合直後の初期の香りが強すぎる問題があり、さらにはコストアップの問題もある。また、(2)の方法は、前駆体を使用するためその香調が限定され、汎用性が低い。また、(3)の方法は、残香性を得るには、配合後、カプセルを破壊するほどの力を加える必要がある。
このような問題に対し、たとえば特許文献1では、香料等の非水溶性物質の劣化を防止できる方法として、膜形成成分を含有する油相と、非水溶性物質とを混合し、これに水相の一部を添加して液晶を形成させた後、該液晶に水相の残量を添加・混合して転相させて水中油型エマルションを製造する方法が提案されている。また、特許文献2では、香気の劣化が防止された水中油型エマルションの製造方法として、非水溶性香料と、両親媒性溶媒と、非イオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤とを混合し、得られた混合物を、別に調製した水中油型エマルションに混合させる方法が記載されている。
特開平6−269656号公報 特開2007−270135号公報
しかしながら、特許文献1〜2の方法によれば、ある程度の香りの持続性は得られるものの、充分とはいえず、さらなる改善が求められる。また、これらの方法では、繊維製品の処理を行った場合に、処理量に比して、付与される香りが弱い問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繊維製品に対する香りの付与を良好に行うことができ、付与した香りの持続性にも優れた水中油型香料乳化物及びその製造方法、ならびに該水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第一の態様は、(A)高級アルコールと、(B)香料と、(C)非イオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤と、(D)両親媒性溶媒と、(E)水と、(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物とを含有することを特徴とする水中油型香料乳化物である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の水中油型香料乳化物の製造方法であって、
(A)高級アルコールと、(B)香料と、(C)非イオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤と、(D)両親媒性溶媒とを混合して混合液を調製する工程(1)と、
前記混合液に、(E)水及び(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物を添加し、混合する工程(2)と、を有することを特徴とする水中油型香料乳化物の製造方法である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様の水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物である。
本発明によれば、繊維製品に対する香りの付与を良好に行うことができ、該香りの持続性にも優れた水中油型香料乳化物及びその製造方法、ならびに該水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物を提供できる。
本発明の水中油型香料乳化物(以下、単に香料乳化物ということがある。)は、(A)高級アルコール(以下、(A)成分という。)と、(B)香料(以下、(B)成分という。)と、(C)非イオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤のいずれか一方または両方(以下、(C)成分という。)と、(D)両親媒性溶媒(以下、(D)成分という。)と、(E)水(以下、(E)成分という。)と、(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物(以下、(F)成分という。)とを含有する。
<(A)成分>
(A)成分としては、炭素数が12〜30のアルコールが挙げられる。該アルコールは、室温(10〜30℃)において固形状であることが好ましい。
(A)成分は、炭素数が16〜28であることが好ましい。
(A)成分が有する水酸基の数は、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
(A)成分を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。該炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また、該炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
該炭化水素基は、その構造中に酸素原子(−O−)を有していてもよい。また、該炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば、アリール基が挙げられる。該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
(A)成分として、具体的には、ラウリルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール(1−ドコサノール)、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール、グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)等が挙げられる。アラルキルアルコールとしては、たとえば、4−ベンジルオキシベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールが最も好ましい。
これらの(A)成分は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましく、4〜8質量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の効果に優れる。一方、下限未満であると残香性が低下するおそれがあり、上限を超えると香料乳化物の安定性が低下するおそれがある。
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、当該香料乳化物の用途に応じ、公知の香料成分及び香料組成物のなかから適宜選択すればよい。たとえば繊維製品処理剤組成物として用いる場合は、繊維製品用処理剤組成物、繊維製品用仕上げ剤又は柔軟剤に一般的に使用される香料成分を1種以上含む香料組成物が挙げられる。
ここで、「香料成分」は、常圧(1×10Pa)における沸点が260℃未満であって、ClogP値が1.0以上8.0以下のものを意味する。ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して求めることができるにより求められる値である。
また、「香料組成物」は、香料組成物は、繊維製品用処理剤組成物、繊維製品用仕上げ剤又は柔軟剤に一般的に使用される香料成分を1種類以上含むものである。香料組成物は、香料成分以外に、溶剤(香料用溶剤)を含有することが好ましい。
香料成分として、具体的には、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に開示されている香料成分のいずれか1種を単独で、又は複数を混合して用いることができる。
香料組成物は、香料成分を2種以上含むことが好ましい。
香料組成物は、香料成分を、当該香料組成物から香料用溶剤を除いた量に対して30質量%以上含有することが好ましい。
香料用溶剤としては、一般的に用いられるものが利用でき、たとえばアセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で、又は複数を混合して用いることができる。
香料組成物中、香料用溶剤の配合量は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
香料組成物には、香料成分及び香料用溶剤以外に、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤等の添加剤を通常の使用量の範囲内で配合することも可能である。
(B)成分としては、特に、非水溶性の香料が好ましい。
「非水溶性」は、常温(25℃)における水への溶解度が30質量%以下の香料をいう。該香料の水への溶解度は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(B)成分が非水溶性ではない場合、すなわち(B)成分の水への溶解度が30質量%を超える場合、香料乳化物を柔軟剤等の繊維製品処理剤組成物として使用した時、香気が充分に得られないおそれがある。
香料の水への溶解度は、水と香料とをそれぞれ10g量り取り、50mL分液ロートにて混合し、2層に分離するまで静置後、香料相と水相を取り分け、香料相の質量を測定して、もとの香料成分質量から減少した量が水に溶解したと見なして下記式より算出する。
溶解度=香料相の質量減少量÷香料と混合する前の水の質量×100(質量%)
(B)成分としては、用途や嗜好性にもよるが、特に、シトラス系香料、フローラル系香料、ウッディ系香料、フルーツ系香料等が好ましい。
(B)成分は、これらのなかでも、フローラル系香料又はフルーツ系香料を含有することが好ましく、特に、これらの香料を(B)成分全体の1〜100質量%含有することが好ましい。
本発明の香料乳化物中、(B)成分の含有量は、香料乳化物の全量を基準として、1.5〜75質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましい。上記範囲の上限を超えると、香料乳化物の安定性が低下するおそれがあり、下限未満であると、乳化物中の香料濃度が低くなり、生産効率が悪く、経済的でない。
<(C)成分>
[非イオン界面活性剤]
非イオン界面活性剤としては、公知のものが利用でき、たとえば、アルコール、アミン、油脂又は脂肪酸から誘導される非イオン界面活性剤が挙げられる。
ここで、該非イオン界面活性剤を誘導するアルコール、アミン、油脂、脂肪酸としては、それぞれ、炭素数8〜22の炭素鎖を有するものが挙げられ、好ましくは12〜18である。
このような非イオン界面活性剤として、具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドにおける「オキシアルキレン」は、アルキレンオキシド付加物であることを示す。アルキレンオキシドの平均付加モル数は、10〜100モルが好ましく、より好ましくは20〜80モル、さらに好ましくは30〜60モルである。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドがより好ましく、エチレンオキシドが特に好ましい。
たとえばポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、アルコールのアルキレンオキシド付加物であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤の具体例としては、たとえば、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット、POE(40)ひまし油、POE(50)ひまし油、POE(40)硬化ひまし油、POE(60)硬化ひまし油、POE(100)硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、POE(20)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(20)イソデシルエーテル、POE(60)イソヘキサデシルエーテル、POE(40)イソトリデシルエーテル、POE(60)イソトリデシルエーテル、POE(45)トリデシルエーテル、POE(60)トリデシルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(30)ステアリルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(25)オクチルドデシルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(7.5)ノニルフェニルエーテル、POE(15)ノニルフェニルエーテル、POE(15)ステアリルアミン、POE(15)ステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、「POE」はポリオキシエチレンを示し、「POP」はポリオキシプロピレンを示し、それらの後の( )内の数値は付加モル数を示す。また、EOはエチレンオキシドを示し、その前の数値はEOの付加モル数を示す。
非イオン界面活性剤としては、上記のなかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特に、アルコールとして炭素数8〜20のものを用いたものが好ましい。また、該ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキレンオキシドの付加モル数は、10〜100モルが好ましく、20〜80モルがより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、特に、POE(40)イソトリデシルエーテル、POE(60)イソトリデシルエーテル、POE(45)トリデシルエーテル、POE(60)トリデシルエーテルが好ましい。
[カチオン界面活性剤]
本発明において、カチオン界面活性剤としては、カチオン性官能基(親水基)と疎水基とを有する非高分子化合物が用いられる。該カチオン界面活性剤としては、通常、分子量が2000以下のものが用いられる。カチオン性官能基としては、後述する(F)成分で挙げるものと同様のものが挙げられる。疎水基としては、たとえば、炭素数10以上の長鎖炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)が挙げられる。
該カチオン界面活性剤としては、公知のものが利用でき、たとえば下記一般式(I)で表される四級アンモニウム塩;下記一般式(II)で表されるアミン;該アミンの中和物;下記一般式(III)で表されるイミダゾリン;該イミダゾリンの中和物;イミダゾリニウム塩;アミノ酸系カチオン界面活性剤;等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、式(I)で表される四級アンモニウム塩が好ましい。
Figure 2010248370
〔式中、R〜Rのうちの1〜3つの基は、置換又は無置換の炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基であり、残りの3〜1つの基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、−(CH−CH(Y)−O)−H(式中、Yは水素原子又はCHであり、nは2〜10の整数である。)又はベンジル基であり;Xはハロゲン原子又はモノアルキル硫酸基である。〕
〜Rにおいて、炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基は、無置換であってもよく、その炭素鎖中に−O−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−等の2価の置換基が介在していてもよく、その水素原子が−OH等の1価の置換基で置換されていてもよい。該アルキル基又はアルケニル基は、炭素数が14〜20であることが好ましい。
〜Rのうち、前記アルキル基又はアルケニル基であるものが2又は3つである場合、該2又は3つの基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
〜R中、1又は2つが前記アルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、1つが前記アルキル基又はアルケニル基であることがより好ましい。
〜Rの残りの基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、−(CH−CH(Y)−O)−H、ベンジル基のいずれであってもよい。これらのなかでも、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基が好ましく、メチル基又はヒドロキシエチル基が特に好ましい。
〜Rのうち、これらの基であるものが2又は3つである場合、該2又は3つの基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。これらの中でも塩素原子が好ましい。
モノアルキル硫酸基としては、アルキル基の炭素数が1〜2のものが好ましく、モノメチル硫酸基が特に好ましい。
前記式(I)で表される四級アンモニウム塩の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、セトステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド、ヤシ油トリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアロイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジオレオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、N−ステアロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート、N−オレオイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
Figure 2010248370
〔式中、R〜Rのうちの1又は2つの基は、置換又は無置換の炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基であり、残りの基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は(CH−CH(Y)−O)−H(式中、Yは水素原子又はCHであり、nは2〜10の整数である。)である。〕
〜Rにおいて、炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基は、無置換であってもよく、その炭素鎖中に−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−等の2価の置換基が介在していてもよく、その水素原子が−OH等の1価の置換基で置換されていてもよい。
〜Rのうち、前記アルキル基又はアルケニル基であるものが2つである場合、該2つの基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
〜R中、2つが前記アルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。
〜Rの残りの基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、−(CH−CH(Y)−O)−Hのいずれであってもよい。
〜Rのうち、これらの基であるものが2である場合、該2つの基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記式(II)で表されるアミンの中和物としては、たとえば、該アミンと酸とを反応させて得られるものが挙げられ、該酸としては、通常の酸を用いることができ、たとえば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アクリル酸等の有機酸などが挙げられる。
該中和物としては、特に、塩酸塩又は硫酸塩が好ましい。
具体例としては、ジステアリルメチルアミン塩酸塩、ジオレイルメチルアミン塩酸塩、ジステアリルメチルアミン硫酸塩、N−(3−オクタデカノイルアミノプロピル)−N−(2−オクタデカノイルオキシエチル−N−メチルアミン塩酸塩等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2010248370
〔式中、Rは置換又は無置換の炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは、置換もしくは無置換の炭素数10〜26のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は(CH−CH(Y)−O)−H(式中、Yは水素原子又はCHであり、nは2〜10の整数である。)である。〕
において、炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基は、無置換であってもよく、その炭素鎖中に−O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−等の2価の置換基が介在していてもよく、その水素原子が−OH等の1価の置換基で置換されていてもよい。
において、置換もしくは無置換の炭素数10〜26のアルキル基もしくはアルケニル基は、前記Rと同様のものが挙げられる。
上記式(III)で表されるイミダゾリンの中和物としては、たとえば、該イミダゾリンと酸とを反応させて得られるものが挙げられ、該酸としては、通常の酸を用いることができ、たとえば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アクリル酸等の有機酸などが挙げられる。
該中和物としては、特に、塩酸塩が好ましい。
具体例としては、1−オクタデカノイルアミノエチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン塩酸塩、1−オクタデセノイルアミノエチル−2−ヘプタデセニルイミダゾリン塩酸塩等が挙げられる。
前記イミダゾリニウム塩としては、メチル−1−牛脂アミドエチル−2−牛脂アルキルイミダゾリニウムメチルサルフェート、メチル−1−ヘキサデカノイルアミドエチル−2−ペンタデシルイミダゾリニウムクロライド、エチル−1−オクタデセノイルアミドエチル−2−ヘプタデセニルイミダゾリニウムエチルサルフェート等が挙げられる。
前記アミノ酸系カチオン界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、上記の中でも、式(I)で表される四級アンモニウム塩が好ましく、炭素数16〜22の直鎖アルキル基を有する塩酸塩のものがより好ましく、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。なかでも、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
(C)成分としては、非イオン界面活性剤のみを用いてもよく、カチオン界面性活性剤のみを用いてもよく、これらを併用してもよい。
(C)成分として非イオン界面活性剤のみを用いる場合、香料乳化物中の非イオン界面活性剤の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、0.3〜12.5質量%が好ましく、0.4〜11.0質量%がより好ましく、0.8〜10.0質量%がさらに好ましく、1.0〜6.0質量%が特に好ましい。0.3質量%未満であると、乳化が困難となり、乳化物を得ることができないおそれがあり、12.5質量%を超えると、得られる乳化物がゲル化するおそれがある。
(C)成分としてカチオン界面活性剤のみを用いる場合、香料乳化物中のカチオン界面活性剤の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、0.1〜6.0質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がより好ましく、0.1〜3.0質量%がさらに好ましく、0.1〜1.5質量%が特に好ましい。0.1質量%未満であると、乳化が困難となり乳化物を得ることができないおそれがあり、6質量%を超えると、得られる乳化物がゲル化するおそれがある。
非イオン界面活性剤及びカチオン界面性活性剤を併用する場合、香料乳化物中の(C)成分の合計の含有量は、上記それぞれ単独で用いる場合の好ましい含有量、および非イオン界面活性剤及びカチオン界面性活性剤の混合比率等を考慮して適宜調節すればよい。
<(D)成分>
(D)成分としては、50℃において、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分のいずれの成分とも、任意の割合で均一な溶液を形成し得る溶媒が用いられる。
(D)成分として、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール等の炭素数1〜4の1価アルコール;プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜6の多価アルコール等が挙げられる。多価アルコールとしては、2〜6価(ヒドロキシ基の数が2〜6)のものが好ましい。
(D)成分としては、これらのいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)成分の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、5〜13質量%がさらに好ましい。該範囲の上限を超えると、粒子の溶融、消失等により香料乳化物の安定性が低下するおそれがあり、下限未満であると、原料、特に固形原料の均一溶解が困難になるおそれがある。
<(E)成分>
(E)成分の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、50〜90質量%が好ましく、
55〜85質量%がより好ましく、57〜81質量%がさらに好ましい。該範囲の上限を超えると、香料乳化物中の香料濃度が低くなり、生産効率が悪く、経済的でない。下限未満であると、ゲル化が生じるおそれがある。
<(F)成分>
(F)成分は、カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物である。
(F)成分におけるカチオン性官能基としては、水に溶解したときに正に帯電し得るものであればよく、たとえばアミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、イミダゾリニウム基等が挙げられる。
(F)成分が「水溶性」であるとは、25℃の水100gに対し、対象とする高分子化合物1gを加えたときに完全に溶解し、濁らずに透明な水溶液となるものをいう。
「高分子化合物」は、下記に示すような単量体の(共)重合体を指し、重量平均分子量が3,000〜5,000,000の化合物を意味する。
重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定され、4,000〜4,000,000であることが好ましく、5,000〜3,000,000がより好ましく、5,000〜2,000,000が特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であれば、香料乳化物の粘度の上昇を抑制でき、取り扱い性が良好となる。
(F)成分は、本発明の効果に優れることから、カチオン性官能基とともに、アニオン性官能基を有することが好ましい。
アニオン性官能基としては、水に溶解したときに負に帯電し得るものであればよく、たとえば、スルホン酸基(スルホ基、−SO(OH))、カルボン酸基(カルボキシ基、−COOH)、リン酸基(−OPO(OH))等の酸性OH含有基、およびそれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
(F)成分としては、たとえば、両性高分子化合物(以下、(F1)成分という。)、カチオン性高分子化合物(以下、(F2)成分という。)が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分としては、特に、本発明の効果に優れることから、(F1)成分が好ましい。
[(F1)成分]
「両性高分子化合物」は、1分子中にカチオン性官能基及びアニオン性官能基の両方を有する高分子化合物である。
(F1)成分としては、たとえば、カチオン性官能基及びアニオン性官能基の両方を有するビニル単量体の重合体(以下、(F11)成分という。);アニオン性官能基を有するビニル単量体と、カチオン性官能基を有するビニル単量体とを含む単量体混合物の共重合体(以下、(F12)成分という。);水溶性タンパク質;等が挙げられる。
(F11)成分としては、たとえば、スルホベタイン系高分子化合物、カルボキシベタイン系高分子化合物、ホスホベタイン系高分子化合物等が挙げられる。
スルホベタイン系高分子化合物としては、スルホベタイン基含有ビニル単量体の単独重合体又は共重合体が挙げられ、具体的には、下記重合体(11)〜(13)等が挙げられる。
重合体(11):スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)の単独重合体。
重合体(12):スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)と、疎水性基含有ビニル単量体(b1)との共重合体。
重合体(13):スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)と、疎水性基含有ビニル単量体(b1)と、これらの単量体と共重合可能なビニル単量体(c1)との共重合体。
「スルホベタイン基含有ビニル単量体」とは、単量体中に、アニオン性官能基であるスルホン酸基又はその塩と、カチオン性官能基である4級アンモニウム基との両方を有するものである。
スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)としては、下記一般式(a1−1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R11は水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R12は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、R15は水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜15の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基、又は水酸基で置換されていてもよいフェニレン基を示し、Aは酸素原子又は−NH−を示し、Xはスルホン酸基またはその塩を示す。]
式(a1−1)で表される化合物の具体例としては、たとえば、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルホネ−ト、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルホネート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムブタンスルホネート、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムスルホネート等が挙げられる。
スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
疎水性基含有ビニル単量体(b1)としては、特に限定されないが、下記一般式(b1−1)で表される化合物、疎水性重合体を含有するマクロモノマーが挙げられる。前記マクロモノマーにおける疎水性重合体としては、シリコーンマクロモノマー等が挙げられる。これらの単量体(b1)は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
Figure 2010248370
[式中、R11及びAはそれぞれ前記と同様であり、R16は炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基もしくはベンジル基を示す。]
上記一般式(b1−1)で示される化合物の具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミド、ブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ヘキシル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
疎水性基含有ビニル単量体(b1)としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ビニル単量体(c1)としては、前記スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)及び疎水性基含有ビニル単量体(b1)と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。好ましいビニル単量体(c1)としては、たとえば親水性基含有ビニル単量体が挙げられる。
親水性基含有ビニル単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリルアミドメタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、メタンスルホン酸(メタ)アクリレート等のアニオン性基を有するもの;塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、塩化トリメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、塩化トリメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、塩化トリエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、塩化トリメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、塩化トリメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、塩化トリエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の4級アンモニウム基を有するもの;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を有するもの;(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するもの;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するもの;ビニルピロリドン、ビニルピリジン等の、含窒素複素環にビニル基が結合したもの;下記一般式(c1−1)で表されるポリオキシアルキレン基含有ビニル単量体;等が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R17は水素原子又はメチル基を示し、R18は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、BOはエチレンオキシ基、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とからなるアルキレンオキシ基を示し、nはBOの平均付加モル数であって、4〜50の整数を示す。]
単量体(c1)は、1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい単量体(c1)としては、共重合体の溶解性コントロールが容易である点から、親水性基含有ビニル単量体が好ましく、上記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン基含有ビニル単量体がより好ましく、特にエチレンオキサイド基含有ビニル単量体が好ましい。
スルホベタイン系高分子化合物が前記重合体(12)または(13)である場合、スルホベタイン系高分子化合物中、疎水性基含有ビニル単量体(b1)に由来する繰り返し単位の割合は、スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔b1〕/〔a1〕が0.01〜5となる範囲内が好ましく、0.03〜3となる範囲内がより好ましい。〔b1〕/〔a1〕の比が上記範囲外になると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
また、スルホベタイン系高分子化合物が前記重合体(13)である場合、スルホベタイン系高分子化合物中、単量体(c1)に由来する繰り返し単位の割合は、スルホベタイン基含有ビニル単量体(a1)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔c1〕/〔a1〕が0.01〜2となる範囲内が好ましく、0.01〜1となる範囲内がより好ましい。〔c1〕/〔a1〕が上記各範囲外となると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
スルホベタイン系高分子化合物は、市販のものを用いてもよく、上記単量体の混合物を公知の方法(たとえば特開2008−63334号公報に記載の方法)により重合させることにより製造してもよい。
カルボキシベタイン系高分子化合物としては、カルボキシベタイン基含有ビニル単量体の単独重合体又は共重合体が挙げられ、具体的には、下記重合体(21)〜(23)等が挙げられる。
重合体(21):カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)の単独重合体。
重合体(22):カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)と、疎水性基含有ビニル単量体(b2)との共重合体。
重合体(23):カルボキシベタイン基含有ビニル単
量体(a2)と、疎水性基含有ビニル単量体(b2)と、これらの単量体と共重合可能なビニル単量体(c2)との共重合体。
「カルボキシベタイン基含有ビニル単量体」とは、単量体中に、アニオン性官能基であるカルボン酸基又はその塩と、カチオン性官能基である4級アンモニウム基との両方を有するものである。
カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)としては、下記一般式(a2−1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R11〜R15およびAはそれぞれ前記と同様であり、Xはカルボン酸基またはその塩を示す。]
式(a2−1)中のR11〜R15およびAはそれぞれ前記式(a1−1)中のR11〜R15およびAと同様である。
式(a2−1)で表される化合物の具体例としては、たとえば、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンカルボキシレート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンカルボキシレート、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンカルボキシレート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムブタンカルボキシレート、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムカルボキシレート等が挙げられる。
カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
疎水性基含有ビニル単量体(b2)としては、前記疎水性基含有ビニル単量体(b1)と同様のものが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、ビニル単量体(c2)としては、カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)および疎水性基含有ビニル単量体(b2)と共重合可能なものであればよく、たとえば前記ビニル単量体(c1)と同様のものが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
カルボキシベタイン系高分子化合物が前記重合体(22)または(23)である場合、カルボキシベタイン系高分子化合物中、疎水性基含有ビニル単量体(b2)に由来する繰り返し単位の割合は、カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔b2〕/〔a2〕が0.01〜5となる範囲内が好ましく、0.03〜3となる範囲内がより好ましい。〔b2〕/〔a2〕の比が上記範囲外になると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
また、カルボキシベタイン系高分子化合物が前記重合体(23)である場合、カルボキシベタイン系高分子化合物中、単量体(c2)に由来する繰り返し単位の割合は、カルボキシベタイン基含有ビニル単量体(a2)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔c2〕/〔a2〕が0.01〜2となる範囲内が好ましく、0.01〜1となる範囲内がより好ましい。〔c2〕/〔a2〕が上記各範囲外となると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
カルボキシベタイン系高分子化合物は、市販のものを用いてもよく、上記単量体の混合物を公知の方法(たとえば特開2008−63334号公報に記載の方法)により重合させることにより製造してもよい。
ホスホベタイン系高分子化合物としては、ホスホベタイン基含有ビニル単量体の単独重合体又は共重合体が挙げられ、具体的には、下記重合体(31)〜(33)等が挙げられる。
重合体(31):ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)の単独重合体。
重合体(32):ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)と、疎水性基含有ビニル単量体(b3)との共重合体。
重合体(33):ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)と、疎水性基含有ビニル単量体(b3)と、これらの単量体と共重合可能なビニル単量体(c3)との共重合体。
「ホスホベタイン基含有ビニル単量体」とは、単量体中に、アニオン性官能基であるリン酸基又はその塩と、カチオン性官能基である4級アンモニウム基との両方を有するものである。
ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)としては、下記一般式(a3−1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R11〜R15およびAはそれぞれ前記と同様であり、Xはリン酸基またはその塩を示す。]
式(a3−1)で表される化合物の具体例としては、たとえば、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエタンホスフェート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンホスフェート、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンホスフェート、3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムブタンホスフェート、3−ジメチル(アクリロイルオキシエチル)アンモニウムスホスフェート等が挙げられる。
ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
疎水性基含有ビニル単量体(b3)としては、前記疎水性基含有ビニル単量体(b1)と同様のものが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、ビニル単量体(c3)としては、ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)および疎水性基含有ビニル単量体(b3)と共重合可能なものであればよく、たとえば前記ビニル単量体(c1)と同様のものが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ホスホベタイン系高分子化合物が前記重合体(32)または(33)である場合、ホスホベタイン系高分子化合物中、疎水性基含有ビニル単量体(b3)に由来する繰り返し単位の割合は、ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔b3〕/〔a3〕が0.01〜5となる範囲内が好ましく、0.03〜3となる範囲内がより好ましい。〔b3〕/〔a3〕の比が上記範囲外になると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
また、ホスホベタイン系高分子化合物が前記重合体(33)である場合、ホスホベタイン系高分子化合物中、単量体(c3)に由来する繰り返し単位の割合は、ホスホベタイン基含有ビニル単量体(a3)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔c3〕/〔a3〕が0.01〜2となる範囲内が好ましく、0.01〜1となる範囲内がより好ましい。〔c3〕/〔a3〕が上記各範囲外となると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
ホスホベタイン系高分子化合物は、市販のものを用いてもよく、上記単量体の混合物を公知の方法(たとえば特開2008−63334号公報に記載の方法)により重合させることにより製造してもよい。
(F12)成分は、アニオン性官能基を有するビニル単量体(以下、アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)という。)とカチオン性官能基を有するビニル単量体(以下、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)という。)とを含む単量体混合物の共重合体である。
アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)におけるアニオン性官能基としては、前記と同様のものが挙げられる。
アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)としては、たとえば、(メタ)アクリル酸及びその塩;無水マレイン酸、その加水分解物及び加アルコール分解物、ハーフエステル及びその塩;クロトン酸及びその塩;アシッドホスホオキシ(アルキル)(メタ)アクリレート及びその塩;アシッドホスホオキシ(ポリオキシアルキレン)(メタ)アクリレート及びその塩;アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩;ビニルスルホン酸及びその塩;アリルスルホン酸及びその塩;メタリルスルホン酸及びその塩;スチレンスルホン酸及びその塩;等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)におけるカチオン性官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基等が挙げられる。
カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基を有するビニル単量体がより好ましく、3級アミノ基又は4級アンモニウム基を有するビニル単量体が特に好ましい。
1級アミノ基を有するビニル単量体としては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、アクリルアミドが挙げられる。
2級アミノ基を有するビニル単量体としては、たとえば、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。
3級アミノ基を有するビニル単量体としては、たとえば、下記一般式(e−1)で表される化合物が挙げられる。
4級アンモニウム基を有するビニル単量体としては、たとえば、下記一般式(e−2)で表される化合物等のモノエチレン性ビニル単量体;塩化ジアルキルジアリルアンモニウム塩等のジエチレン性ビニル単量体;等が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
Figure 2010248370
[式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、Yは酸素原子又は−NH−を示し、R22は水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R23及びR24はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を示す。]
式(e−1)で表される化合物としては、たとえば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R21、Y及びR22はそれぞれ前記と同じであり、R25〜R27はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を示し、Zはハロゲンイオン、OH、1/2HSO 2−、1/3PO 3−、HCO 又はCHCO を示す。]
式(e−2)で表される化合物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノアリルエチルエチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチル硫酸、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルクロライド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチル硫酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルリン酸、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエチルリン酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルクロライド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルクロライド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチル硫酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドメチルリン酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドエチルリン酸等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルクロライド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドクロライドが好ましい。
ジアルキルジアリルアンモニウム塩としては、下記式(e−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010248370
[式中、R28およびR29はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xaはハロゲン原子を示す。]
式中、R28およびR29におけるアルキル基は、メチル基が最も好ましい。
Xaのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
ジアルキルジアリルアンモニウム塩を重合させた場合、通常、環化重合により、5員環または6員環構造を有する繰り返し単位が形成される。
(F12)成分として、より具体的には、下記重合体(41)〜(43)等が挙げられる。
重合体(41):アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)とカチオン性官能基含有ビニル単量体(e)との共重合体。
重合体(42):アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)と、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)と、疎水性基含有ビニル単量体(b4)との共重合体。
重合体(43):アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)と、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)と、疎水性基含有ビニル単量体(b4)と、これらの単量体と共重合可能なビニル単量体(f)との共重合体。
疎水性基含有ビニル単量体(b4)としては、特に限定されず、たとえば前記疎水性基含有ビニル単量体(b1)と同様のものが挙げられる。
疎水性基含有ビニル単量体(b4)は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ビニル単量体(f)としては、アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)および疎水性基含有ビニル単量体(b4)と共重合可能なものであればよく、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニル単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン等の、含窒素複素環にビニル基が結合したもの;ポリオキシアルキレン基含有ビニル単量体;架橋性単量体;等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ビニル単量体としては、前記一般式(c1−1)で表されるものが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これらのビニル単量体(f)は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ビニル単量体(f)としては、共重合体の溶解性コントロールが容易である点から、水酸基、ポリオキシアルキレン基等の親水性基を含有するビニル単量体が好ましく、前記ポリオキシアルキレン基含有ビニル単量体がより好ましく、特にエチレンオキサイド基含有ビニル単量体が好ましい。
(F12)成分中、アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)に由来する繰り返し単位の割合は、(C)成分としてノニオン界面活性剤を用いる場合は、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔d〕/〔e〕が2以下となる範囲内が好ましい。また、(C)成分としてカチオン界面活性剤を用いる場合は、前記〔d〕/〔e〕が0.2〜3となる範囲内が好ましく、0.3〜2.5となる範囲内がより好ましい。
また、(F12)成分が前記重合体(42)または(43)である場合、(F12)成分中、疎水性基含有ビニル単量体(b4)に由来する繰り返し単位の割合は、アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)に由来する繰り返し単位とカチオン性官能基含有ビニル単量体(e)に由来する繰り返し単位との合計量に対する質量比〔b4〕/〔d+e〕が0.01〜5となる範囲内が好ましく、0.03〜3となる範囲内がより好ましい。〔b4〕/〔d+e〕が上記各範囲外となると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
また、(F12)成分が前記重合体(43)である場合、(F12)成分中、ビニル単量体(f)に由来する繰り返し単位の割合は、アニオン性官能基含有ビニル単量体(d)に由来する繰り返し単位とカチオン性官能基含有ビニル単量体(e)に由来する繰り返し単位との合計量に対する質量比〔f〕/〔d+e〕が0.01〜2となる範囲内が好ましく、0.01〜1となる範囲内がより好ましい。〔f〕/〔d+e〕が上記各範囲外となると、水溶性が低下し、水に溶解できないか、溶解したとしても本発明の目的に適用し得るだけの性能が得られない場合がある。
(F12)成分は、市販のものを用いてもよく、上記単量体の混合物を公知の方法(たとえば特開2008−63334号公報に記載の方法)により重合させることにより製造してもよい。
水溶性タンパク質としては、たとえば、ラクトフェリン、リゾチーム、ポリリジン、コラーゲン、アテロコラーゲン等の塩基性タンパク質;ムチン等の塩基性糖タンパク質;などが挙げられる。
(F1)成分としては、香料乳化物の製造性の点から、(F12)成分が好ましい。
なかでも、本発明の効果に優れることから、単量体としてジアルキルジアリルアンモニウム塩を含む共重合体が好ましく、特に、アクリルアミド・アクリル酸・ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体が好ましい。かかる共重合体は、たとえば商品名:マーコート プラス(MERQUAT PLUS)3330、マーコート プラス 3333(いずれもNALCO社製)等が市販されている。
[(F2)成分]
(F2)成分は、カチオン性高分子化合物である。
「カチオン性高分子化合物」は、カチオン性官能基を有し、アニオン性官能基を有さない高分子化合物を意味する。
(F2)成分としては、たとえば、カチオン性官能基を有する単量体の重合体、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物をカチオン化したカチオン化高分子化合物等が挙げられる。
(F2)成分として、たとえば、上述したカチオン性官能基を有するビニル単量体の単独重合体や、該ビニル単量体とアニオン性官能基を有さない単量体との共重合体、天然由来の高分子化合物のうち、その構造中にカチオン性官能基を有するカチオン性高分子化合物、これらのカチオン性高分子化合物や非イオン性高分子化合物をカチオン化したもの等が挙げられる。
カチオン性官能基を有するビニル単量体としては、前記カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)と同様のものが挙げられる。
カチオン性官能基を有するビニル単量体とアニオン性官能基を有さない単量体との共重合体としては、たとえば下記重合体(51)〜(52)等が挙げられる。
重合体(51):カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)と、疎水性基含有ビニル単量体(b5)とを含む単量体混合物の共重合体。
重合体(52):カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)と、疎水性基含有ビニル単量体(b5)と、これらの単量体と共重合可能なビニル単量体(f2)とを含む単量体混合物の共重合体。
疎水性基含有ビニル単量体(b5)、ビニル単量体(f2)としては、それぞれ、前記疎水性基含有ビニル単量体(b4)、ビニル単量体(f)と同様のものが挙げられる。
前記重合体(51)または(52)中、疎水性基含有ビニル単量体(b5)に由来する繰り返し単位の割合は、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)に由来する繰り返し単位に対する質量比〔b5〕/〔e〕が0.01〜5となる範囲内が好ましい。
また、前記重合体(52)中、ビニル単量体(f2)に由来する繰り返し単位の割合は、カチオン性官能基含有ビニル単量体(e)に由来する繰り返し単位と疎水性基含有ビニル単量体(b5)に由来する繰り返し単位との合計量に対する質量比〔f2〕/〔e+b5〕が0.01〜5となる範囲内が好ましい。
(F2)成分として、具体的には、ジアルキルジアリルアンモニウム塩の単独重合体(ホモポリマー)または共重合体、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチオン化ポリアミド、カチオン化ポリメタクリレート、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化メタクリレートとアクリルアミドとの共重合体、カチオン化メタクリレートとメタクリレートの共重合体、ポリエチレンイミド、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化アミロース、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化寒天、キチン、キトサン及びこれらの変性物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ジアルキルジアリルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体、カチオン化セルロースが好ましい。
カチオン化セルロースとしては、カチオン化度が0.01〜1で、粘度が100〜10000mPa・s(カチオン化セルロース1質量%水溶液、B型粘度計、25℃、No.3ローターで30rpm・1分で測定)のカチオン化セルロースが好ましい。
カチオン化セルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロースにジメチルジアリルアンモニウム塩をグラフト重合したヒドロキシエチルセルロース・ジメチルジアリルアンモニウム塩(日本エヌエスシー(株)製のセルコートL−200、セルコートH−100等)、ヒドロキシエチルセルロースに2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを結合した塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース(ライオン(株)製のレオガードMGP、レオガードHLP、レオガードGPS、レオガードKGP、レオガードG、レオガードGP、レオガードMLP、レオガードLP等が挙げられる。これらの中でも、レオガードMLP(カチオン化度(α)0.2、1%水溶液粘度1000〜2600mPa・s,25℃)が好ましい。
ジアルキルジアリルアンモニウム塩の単独重合体としては、たとえば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの単独重合体が挙げられる。
ジアルキルジアリルアンモニウム塩の共重合体としては、たとえば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアミドとの共重合体が好ましい。かかる共重合体は、たとえば商品名:マーコート550(NALCO社製)等が市販されている。
(F)成分の含有量は、香料乳化物の総質量に対して、0.1〜6質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。中でも、(C)成分としてカチオン界面活性剤を用いる場合は、0.3〜3質量%が好ましい。該含有量が少なすぎると、本発明の効果が充分に得られないおそれがあり、多すぎると、乳化物がゲル化するおそれがある。
本発明においては、香料乳化物中の(C)成分と(F)成分との含有量の比(質量比)が、(C)/(F)=0.1〜45の範囲内となることが好ましい。
中でも、(C)成分として非イオン界面活性剤を用いる場合、(C)/(F)は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。また、該(C)/(F)は、35以下が好ましく、33以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
また、(C)成分としてカチオン界面活性剤を用いる場合、(C)/(F)は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。また、該(C)/(F)は、4以下が好ましく、3.6以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、2以下が特に好ましい。
また、本発明においては、(F)成分中のカチオン性官能基(カチオン残基)の量(モル)と、(C)成分の含有量(モル)との比が、[カチオン残基(モル)]/[(C)成分(モル)]=0.1〜55の範囲内であることが好ましい。
中でも、(C)成分として非イオン界面活性剤を用いる場合、[カチオン残基(モル)]/[(C)成分(モル)]は、0.3〜51が好ましく、0.4〜13がより好ましい。
また、(C)成分としてカチオン界面活性剤を用いる場合、[カチオン残基(モル)]/[(C)成分(モル)]は、0.5〜55が好ましく、0.7〜22がより好ましい。
また、(F)成分として、アニオン性官能基を有するものを用いる場合、(F)成分中のアニオン性官能基(アニオン残基)の量(モル)と、(F)成分中のカチオン残基の量(モル)および(C)成分の含有量(モル)の合計量との比が、[アニオン残基(モル)]/[カチオン残基(モル)+(C)成分(モル)]=2以下であることが好ましい。
中でも、(C)成分としてカチオン界面活性剤を用いる場合、[アニオン残基(モル)]/[カチオン残基(モル)+(C)成分(モル)]は、0.2〜2が好ましく、0.3〜2がより好ましい。
<任意成分>
本発明の香料乳化物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(F)成分以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、特に限定されず、従来、香料乳化物に用いられている添加剤が利用でき、たとえば水溶性添加剤が挙げられる。水溶性添加剤は、通常、上記(E)成分に溶解して、香料乳化物の水相に含まれる。
水溶性添加剤としては、当該香料乳化物の用途等を考慮し、公知の水溶性添加剤のなかから適宜選択でき、たとえば水溶性塩、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、抗菌剤、水溶性の染料・顔料等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの水溶性添加剤は、乳化物の調製時、(E)成分に溶解して添加してもよく、単独で添加してもよい。
水溶性塩は、香料乳化物の粘度をコントロールする目的で用いることができる。
水溶性塩は、無機の水溶性塩であってもよく、有機の水溶性塩であってもよく、これらを併用してもよい。
無機の水溶性塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸もしくは硝酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
有機の水溶性塩類としては、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
水溶性塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムが好ましい。
水溶性塩を配合する場合、その配合量は、香料乳化物全量に対し、好ましくは0.001〜3質量%、より好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
金属イオン封鎖剤は、香料乳化物の香気や色調の安定性を向上することを目的として用いることができる。
金属イオン封鎖剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸塩やジエチレントリアミン五酢酸塩などに代表されるアミノカルボン酸塩、塩酸、クエン酸、コハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、トリポリリン酸塩に代表される無機リン化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩に代表される有機リン化合物などが挙げられる。これらのなかでも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩が好ましい。これらの化合物は、遊離の酸として配合してもよく、塩として配合してもよい。
金属イオン封鎖剤を配合する場合、その配合量は、香料乳化物全量に対し、好ましくは0.0001〜1質量%、より好ましくは0.0005〜0.5質量%である。配合量が少なすぎると、金属イオン封鎖剤を配合することによる効果が充分に得られないおそれがあり、多すぎると相分離を生じるおそれがある。
酸化防止剤は、香料乳化物の香気や色調の安定性を向上することを目的として用いることができる。
酸化防止剤の例としては、没食子酸プロピル、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、p−ヒドロキシアニソール、茶エキスなどが挙げられる。これらの中でもBHTが好ましい。
酸化防止剤を配合する場合、その配合量は、香料乳化物全量に対し、好ましくは0〜1質量%、より好ましくは0.0001〜0.5質量%、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。配合量が少なすぎると、酸化防止剤を配合することによる効果が充分に得られないおそれがあり、多すぎると製造コストが高くなる。
抗菌剤としては、従来、繊維製品処理剤組成物等に用いられているものを適宜利用できる。たとえば、防腐力、殺菌力を強化する目的で、以下の1)〜4)の化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
1)イソチアゾロン系の有機硫黄化合物。具体的には、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びそれらの混合物が挙げられる。
これらの化合物は、ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド5等のジュンサイドシリーズなど、市販品を用いることができる。
2)ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物。具体的には、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用でき、それらを任意の混合比で使用することができる。
これらの化合物は、アビシア(株)製のプロキセルシリーズ〔BDN(有効分33質量%)、BD20(有効分20質量%)、XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)など〕、デニサイドBIT/NIPAなどの市販品を用いることができる。
3)ジオキサン系またはジオール系有機化合物。具体的には、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、又は2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等が挙げられる。
これらの化合物は、Henkel社製BronidoxL、Inolex社製Bronopol、吉富製薬社製ブロノポール、ブーツ社製マイアサイドBT、BASF社製マイアサイドファーマBPなどの市販品を用いることができる。
4)安息香酸類又はフェノール化合物。具体的には、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸誘導体、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどを使用することができる。
上記1)〜3)の化合物は、安定化のために、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンと共存させるか、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール溶液として組成物に添加されることが好ましい。
また、上記1)〜4)の化合物のうち、2種以上を併用することが好ましく、特に、ケーソンCG/ICP、プロキセルシリーズBDN、マイアサイドBT、安息香酸のうちの2種以上を併用することが特に好ましい。
抗菌剤を配合する場合、その配合量は、当該香料乳化物の用途、使用する抗菌剤の種類等を考慮して適宜設定すればよい。
たとえば上記1)〜3)の化合物を用いる場合、その配合量は、香料乳化物全量に対し、好ましくは0〜0.1質量%、より好ましくは0.00001〜0.05質量%、さらに好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
4)の化合物を用いる場合、その配合量は、香料乳化物全量に対し、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0.01〜1.5質量%である。
水溶性の染料・顔料は、香料乳化物の外観を向上する目的で、任意に配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる。
香料乳化物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましい。
水溶性の染料および/または顔料を配合する場合、その配合量(質量)は、香料乳化物全質量に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
上記香料乳化物は、下記の工程(1)〜(2)を行うことにより製造できる。
(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分とを混合して混合液を調製する工程(1)。
前記混合液に、(E)成分及び(F)成分を添加し、混合する工程(2)。
かかる製造方法においては、工程(2)にて、工程(1)で調製した混合液に(E)成分を添加、混合することにより転相が生じ、(B)成分を含有する粒状の油相(乳化粒子)が(E)成分(水相)中に分散した香料乳化物が得られる。
工程(1)において、各成分の混合は、公知の方法により行うことができ、たとえばパドル、プロペラ(撹拌翼)等を備えた攪拌機を用いて実施できる。
混合条件は特に限定されないが、(B)成分の安定性、混合液の調製しやすさ、固形成分((A)成分、(C)成分)の融点(溶解性)、(B)成分の香気の劣化、香気の低下等を考慮すると、混合温度が40〜70℃であることが好ましく、45〜60℃がより好ましい。
また、撹拌翼を用いて混合を行う場合、下記数式(1)により求められる「撹拌翼先端速度Ut」が0.7〜3.6[m/s]となるように、翼回転数N[rpm]および翼径d[m]を定めるとともに、下記数式(2)により求められる「単位体積あたりの吐出流量」が20,000〜160,000となるように、撹拌時間θ[s]および混合液の全量(体積V[m])を定めることが好ましい。
単位体積あたりの吐出流量が上記範囲の上限を超えると、撹拌時間が長くなり、香料の揮散し、効果が低下するおそれがある。下限未満であると、混合、溶解が不十分となるおそれがある。
撹拌時間は、好ましくは10〜90分間である。
撹拌速度は、好ましくは100〜350rpmである。
混合後、得られた混合液は、45〜60℃程度の温度に保持することが好ましい。
Figure 2010248370
Figure 2010248370
工程(2)において、(E)成分および(F)成分は、別々に添加してもよく、(F)成分の一部または全部を(E)成分に溶解して添加してもよい。また、このとき、(E)成分に、任意成分として挙げた水溶性添加剤を溶解してもよい。
添加時、これらの成分は、前記混合液と同等の温度としておくことが好ましい。
各成分の混合は、工程(1)と同様、公知の方法により行うことができる。
混合条件は特に限定されないが、工程(1)で調製した混合液の融点(凝固点)等を考慮すると、混合温度が40〜70℃であることが好ましく、40〜60℃がより好ましい。
また、撹拌翼を用いて混合を行う場合、前記数式(1)により求められる「撹拌翼先端速度Ut」が0.7〜3.6[m/s]となるように、翼回転数N[rpm]および翼径d[m]を定めるとともに、前記数式(2)により求められる「単位体積あたりの吐出流量」が200〜1,800となるように、撹拌時間θ[s]および混合液の全量(体積V[m])を定めることが好ましい。
単位体積あたりの吐出流量が上記範囲の上限を超えると、過度に粒子が微細化され、乳化物が壊れるおそれや、撹拌時間が長くなることで残香性が低下するおそれがある。下限未満であると、混合が不十分となり、乳化状態が悪くなるおそれがある。
撹拌時間は、好ましくは 0.1〜5分間である。
撹拌速度は、好ましくは300〜1200rpmである。
混合終了後、得られた混合物は、室温程度にまで冷却する。
該香料乳化物中に含まれる乳化粒子の粒子径は、1〜500μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。該粒子径が500μmを超えると、乳化物の分散安定性が悪くなるおそれがある。1μm未満であると、香り強度が低下するおそれがある。
乳化粒子の粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製 LA−920)を用いて、フロー測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正濃度範囲になるように試料を蒸留水で希釈して、25℃、相対屈折率1.06にて体積基準のメジアン径(d50)により測定できる。
上記本発明の香料乳化物は、そのまま、または任意に他の成分と混合して、繊維製品に対して香りを付与する繊維製品処理剤組成物として用いることができる。また、化粧品、食品等の各種製品に配合してもよい。
繊維製品処理剤組成物として用いる場合に任意に添加される成分としては、特に限定されず、従来、繊維製品処理剤組成物に配合されている添加剤を利用できる。かかる添加剤としては、たとえば、前記(E)成分で挙げた水溶性添加剤またはその水溶液、別に調製した水中油型乳化物(以下、第二の水中油型乳化物という。)等が挙げられる。
第二の水中油型乳化物としては、たとえば、前記(C)成分を前記(E)成分で乳化させた水中油型乳化物が挙げられる。該水中油型乳化物は、さらに、前記(F)成分を含有してもよい。
第二の水中油型乳化物中、(C)成分の含有量は、該水中油型乳化物の全量を基準として、通常3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
繊維製品処理剤組成物中の香料乳化物の含有量は、当該繊維製品処理剤組成物の総質量に対し、1〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。該範囲の上限を超えると、繊維製品に付与される香気が強くなりすぎるおそれがあり、下限未満であると、効果が充分に発揮されないおそれがある。
第二の水中油型乳化物は、公知の水中油型乳化物の製造方法を利用して製造でき、たとえば特開昭63−143935号公報、特開平5−310660号公報等に記載されている方法を用いることができる。
具体的には、衣料用柔軟基剤として通常用いられているカチオン界面活性剤を含む油相を高剪断下に水に乳化分散させる。この時使用する高剪断乳化装置としては、ホモミキサー、マイルダー、クレアミックス、フィルミックス、ウルトラミキサー、ラインミキサー、ベコミックス、レキサミックス等が挙げられる。乳化温度は、使用するカチオン界面活性剤の相転移温度以上が好ましいが、高剪断のレベルが高く、羽根直近に油相添加ノズルが設けられている場合には、使用するカチオン界面活性剤の相転移温度以下でも乳化が可能である。
連続式で製造する場合は、水と水溶性の原料の混合物である水相を第1の流体、カチオン界面活性剤を含む油相を第2の流体として、水相とともに高剪断乳化機に同時に導入し乳化分散させる方法が好ましい。
バッチ式で製造する場合は、高剪断乳化機ベッセルに水相を仕込み、油相を導入して乳化分散させることが効率上好ましいが、上記水相とカチオン界面活性剤を含む油相との乳化順序は特に問われない。
なお、乳化分散後に、減粘化のための無機塩水溶液や、安定化のための水溶性高分子水溶液や、色素水を添加してもかまわない。
上記本発明の香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物によれば、繊維製品等に対する香りの付与を効果的に行うことができ、該香りの持続性も良好である。
かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、以下のことが考えられる。まず、上記(A)〜(F)成分のうち、(A)成分は、乳化粒子表面を被覆してその安定性を向上させ、また、繊維製品に乳化粒子が付着した後、当該乳化粒子内の(B)成分を徐々に放出させることで、香りの持続性(除放性)の向上に寄与していると考えられる。また、(C)成分は、乳化剤として機能するとともに、(A)成分と相互作用して乳化粒子の強度を向上させ、徐放性を高めていると考えられる。
そして、(F)成分は、上記と乳化粒子を外側から被覆し、乳化粒子および乳化状態の安定性を高めるとともに、繊維製品の処理の際、該乳化粒子の繊維への吸着性を高め、香りの付与効率を高めていると考えられる。つまり、繊維は通常負電荷を帯びているため、カチオン性官能基を有する(F)成分が乳化粒子の外側表面を被覆していることで、該乳化粒子が静電的に繊維表面に吸着すると考えられる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例および比較例における成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
各実施例および比較例で用いた使用原料を以下に示す。
[使用原料]
ベヘニルアルコール:コグニスジャパン(株)製。
香料(a):下記表1に示す香料組成物(フローラル系香料、該香料組成物の水への溶解度:20%)。
Figure 2010248370
塩化トリメチルベヘニルアンモニウム:ライオンアクゾ株式会社製、商品名:アーカード22−80。
ポリオキシエチレン(60)イソトリデシルエーテル:ライオン株式会社製、商品名:TA600−75。
エタノール:関東化学株式会社製、商品名:エタノール(95)特級。
プロピレングリコール:株式会社ADEKA製、商品名:化粧品用プロピレングリコール。
グリセリン:阪本薬品工業株式会社製、商品名:化粧品用濃グリセリン。
塩化カルシウム:株式会社トクヤマ製、商品名:粒状塩化カルシウム。
MERQUAT PLUS 3330(商品名):NALCO社製、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(アクリルアミド/アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム=35/35/30(モル比))の水溶液。
MERQUAT 100(商品名):NALCO社製、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの単独重合体。
MERQUAT PLUS 3333(商品名):NALCO社製、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(アクリルアミド/アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム=18/66/16(モル比))の水溶液。
ポリアクリル酸:日本純薬株式会社製、商品名:ジュリマーAC−10P。
ヒドロキシエチルセルロース:ダイセル化学工業株式会社製、商品名:HECダイセルSE900。
[製造例1(第二の水中油型乳化物の調製)]
カチオン界面活性剤(N,N−ジステアロイルオキシエチル N−メチル N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチル硫酸塩:ライオンアクゾ株式会社「アーカードTES−85E」)61.8gと、ノニオン界面活性剤(POE(60)イソトリデシルエーテル:ライオン株式会社「TA600−75」)4.7gとを、55℃に加熱し、均一になるように攪拌し油相とした。
精製水230.4gと抗菌剤(ローム&ハース株式会社「ケーソンCG/ICP」)0.04gを均一に混合後、40℃に加熱し水相とした。
油相全量を500mLポリビーカー(直径85mm)に仕込み、45度4枚傾斜パドル(直径:45mm、羽根幅:10mm、厚さ:1.5mm)を用いて羽根からの吐出流が撹拌槽底に向かうように800rpmで攪拌下、水相を徐々に添加し、BH型粘度計No.7ローター2rpm10回転目で100Pa・s以上の高粘度の液晶を形成させ、その後残りを添加した。
25℃まで冷却後、色素(C.I.アシッドレッド138:日本化薬株式会社「カヤノールミリングレッドBW」)4mg、15%塩化カルシウム(試薬特級)水溶液を11.7g添加混合し、第二の水中油型乳化物を得た。
[実施例1〜29、比較例1〜5]
表2〜5に示す組成の香料乳化物を以下の手順で調製した。
(A)成分20gを500mLポリビーカー(直径:70mm)に取り、表2〜5に記載の比率となるように(B)成分、(C)成分および(D)成分を添加し、50℃の水浴中で、45度4枚傾斜パドル(直径:50mm、羽根幅:10mm、厚さ:1.5mm)を用いて混合(250rpm、30分間、単位体積あたりの吐出流量:40325)、溶解し、混合液(1)を得た。
50℃の水浴中で、前記混合液(1)に、前記と同じ45度4枚傾斜パドルを用いて混合(700rpm、0.6分間、単位体積あたりの吐出流量:550)しながら、50℃に加温した(E)成分及び(F)成分を、表2〜5記載の比率となるように40秒間かけて添加した後、25℃まで冷却して香料乳化物を得た。
なお、実施例16において、塩化カルシウムは、(E)成分に溶解して添加した。
製造例1で調製した第二の水中油型乳化物100gを別の250mLポリビーカー(直径:70mm)に取り、ここに、上記で得た香料乳化物を7.3g添加し、前記と同じ45度4枚傾斜パドルを用いて混合(200rpm、10分間)し、繊維製品処理剤組成物を得た。
得られた繊維製品処理組成物を用いて、下記の残香性の評価を行った。
[残香性の評価]
3Lのビーカーに2Lのイオン交換水を入れたものを準備した。そこに、繊維製品処理剤組成物を、全カチオン界面活性剤(香料乳化物由来のカチオン界面活性剤と、第二の水中油型乳化物由来のカチオン界面活性剤との合計)の濃度が100ppmとなるように投入し、溶解又は分散させた。
その中に市販の綿タオルを入れ(浴比20倍)、3分間攪拌した。その後タオルを取り出し、二槽式洗濯機の脱水槽に入れて2分間脱水した。このタオルを20℃、40%RH下で乾燥させた。
乾燥開始から1日後及び7日後に、タオルに残っている香りの強度(残香性)を専門パネラー20人により下記の基準に従って評価し、平均値を求めた。結果を表2〜5に示す。
<香り強度(残香性)>
3点:強い香り。
2点:楽に感知できる香り。
1点:弱いにおい。
[粒子径の測定方法]
乳化粒子の粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製 LA−920)を用いて、フロー測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正濃度範囲になるように試料を蒸留水で希釈して、25℃、相対屈折率1.06にて体積基準のメジアン径(d50)により測定した。
Figure 2010248370
Figure 2010248370
Figure 2010248370
Figure 2010248370
上記結果に示すように、実施例1〜29の繊維製品処理剤組成物は、1日後の残香性がいずれも2.5以上であり、香りが良好に付与されていた。また、1日後と7日後の残香性の差が小さく、付与された香りが長期に渡って持続していたことが確認された。
一方、(F)成分を配合していない比較例1〜4は、1日後と7日後の残香性の差が大きく、香りの持続性が悪かった。特に、水溶性高分子も(A)成分も配合していない比較例1や、ポリアクリル酸を配合した比較例3は、1日後の残香性も低かった。また、(A)成分を配合していない比較例5は、1日後、7日後ともに残香性が低かった。

Claims (4)

  1. (A)高級アルコールと、(B)香料と、(C)非イオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤のいずれか一方または両方と、(D)両親媒性溶媒と、(E)水と、(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物とを含有することを特徴とする水中油型香料乳化物。
  2. 前記水溶性高分子化合物が、両性高分子化合物である請求項1に記載の水中油型香料乳化物。
  3. 請求項1又は2に記載の水中油型香料乳化物の製造方法であって、
    (A)高級アルコールと、(B)香料と、(C)非イオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤と、(D)両親媒性溶媒とを混合して混合液を調製する工程(1)と、
    前記混合液に、(E)水及び(F)カチオン性官能基を有する水溶性高分子化合物を添加し、混合する工程(2)と、を有することを特徴とする水中油型香料乳化物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の水中油型香料乳化物を含有する繊維製品処理剤組成物。
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JP2015048558A (ja) * 2013-09-03 2015-03-16 グンゼ株式会社 残香性加工繊維構造物

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