JP2010235414A - セラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の表面及び表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該な気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成しており、気孔率が高いセラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体を提供する。
【解決手段】セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体中に氷を析出させ、当該凍結成形体から当該氷を除去し、乾燥し、焼結するセラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体である。
【選択図】図3

Description

本発明は、セラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体に関し、詳しくは、表面及び表面近傍に微細な気孔が形成され、内部にこの微細な気孔より大きな形状の気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成したセラミックス多孔体の製造方法及びセラミックス多孔体に関する。
従来から、セラミックス多孔体は、セラミックス中に気孔を多数含む構造を有するものであり、その構造を利用してセラミックスフィルターや断熱材などとして、広く利用されている。
例えば、貫通孔を有するセラミックス多孔体は、セラミックスフィルターとして広く用いられている。このようなセラミックスフィルターでは、粉塵などの捕集効率を上げるためにフィルター層の気孔径を小さくする傾向がある。
しかし、気孔径を小さくすると気体の透過抵抗(圧力損失)が増加するため、気孔径を小さくしつつ、気体の透過抵抗を増加させないようにするために、フィルターを薄層化する方法が採用されていた。ただし、単にフィルターを薄層化すると、フィルター自体の機械的強度が保てなくなることから、気孔径の大きい基体層上に微細孔を有するフィルター層を設けた複層構造とすることが行われている。
さらに、より捕集効率を向上させるために、気孔径のより小径化とフィルター層の薄層化が進められている。
すなわち、セラミックスフィルターでは、気孔径や気孔率が異なる薄層を順次形成し、これを焼結させたセラミックス多孔体が多く用いられていた。
このような気孔径や気孔率が異なるセラミックス多孔体は、例えば、粉粒体と有機物とを混合して焼結して気孔径の大きい基体層を形成し、次いで、基体層の形成に用いた粉粒体より粒子径の小さい粉粒体と有機物とを混合したものを基体層上に形成し、焼結し、基体層上にフィルター層を形成する方法などにより作製されていた。
しかし、この方法は、フィルター層を形成する際に粒子径の小さい粉粒体を使用することから、この粒子径の小さい粉粒体が基体層などに形成されている大きな気孔内に進入してしまうことがあるという課題があった。
そこで、このような課題を解決する方法として、気孔径及び気孔率の制御が可能であり、基体層とフィルター層とが一体化した構造を有するセラミックス多孔体を製造する方法が種々提案された。
例えば、粒子径の異なる複数のセラミックス粉粒体を混合し、遠心力により、大きさの異なる粒子を段階的に配列し、この状態で焼結することによって気孔径の大きさが傾斜するように異なっているセラミックス多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献1に記載の方法の改良として、加熱することにより生じる圧力と、遠心力により生じる圧力勾配とを利用して、気孔径の大きさが傾斜するように異なっているセラミックス多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。
これらの方法は、気孔径や気孔率を多孔体中で一定方向に変化するように制御して、気孔径の大きさが傾斜するように異なっているセラミックス多孔体を製造するために有効な手段であり、一定の気孔分布が得られ、コストにも優れている。
さらに、セラミックススラリーに発泡剤などを添加することにより、気孔径を大きくし、気孔率を高めながらも、気孔径の大きさが傾斜するように異なっているセラミックス多孔体の製造方法も提案されている(特許文献3参照)。
具体的には、セラミックススラリーに発泡剤などを添加して撹拌すると、セラミックススラリー中に気泡が生成するが、この気泡は時間の経過とともに分解したり、集合したりして、大きさの異なる気泡が形成される。そして、この気泡は、その大きさによってセラミックススラリー中に分布する場所が異なり、例えば、表面付近の気泡は小さく、内部の気泡は大きいなど、気泡の大きさがセラミックススラリー中で変化している。そして、このセラミックススラリーを焼結すると、気孔径の大きさが傾斜するように異なっているセラミックス多孔体を製造することができるというものである。
この方法は、一軸方向に気孔径の大きさを傾斜させる場合には有効な手段であり、気孔率も高いものとなる。
さらにまた、金属多孔体とセラミックス多孔体とを接合し、金属を拡散させることにより金属多孔体とセラミックス多孔体とを接合させる方法が提案されている(特許文献4参照)。
また、気孔率が高く、マクロポーラスな連通孔を有するセラミックス多孔体を製造する方法としては、ゲル化可能な水溶性高分子の水溶液にセラミックス原料を分散したスラリーを、ゲル化、凍結、解凍、乾燥、焼結する方法が提案されている(特許文献5参照)。
他方、セラミックスフィルターとは異なり、断熱材では、使用する温度やその分布にあわせた気孔径、気孔率を有するセラミックス多孔体を使用することが考慮されていなかった。
熱伝導のメカニズムは、通常、使用温度により異なり、例えば、高温領域では、輻射による熱伝導が増加するので、使用する温度やその分布にあわせて、熱伝導率が最小になるような気孔径、気孔率等を有する断熱材を用いるのが好ましいと考えられる。
特許第2997542号公報 特開2004−359529号公報 特開2000−264755号公報 特開2006−204990号公報 特開2008−201636号公報
特許文献1及び2に記載の方法では、気孔径と気孔率はセラミックス粉粒体の粒子径に依存するために、気孔径や気孔率の自由度は制限され、気孔径が大きく、気孔率の高いセラミックス多孔体を製造することが難しかった。
また、特許文献3に記載の方法では、セラミックススラリーが固化するまでに気泡が連なり、気孔径、気孔分布が不均一になり易く、気孔もクローズドポアになり易いものであった。
さらに、特許文献4に記載の方法では、接合する基材が金属であるため、その利用が低温分野に限定される。
この点、金属多孔体の代わりに、異なる気孔径を有するセラミックス多孔体同士を接着又は接合させて、気孔の大きさが傾斜するように異ならせることが考えられる。
しかしながら、多孔体であるために接着や接合される面積は非常に小さくなり、そのため、セラミックス多孔体の強度が弱くなったり、接着又は接合される界面で気孔が塞がれたりするなどの課題があり、実用化されていない。
また、特許文献5に記載の方法では、セラミックス多孔体中の気孔について、その大きさが傾斜するように異ならせる方法は記載されておらず、例えば、このセラミックス多孔体を用いてフィルターを製造するためには、気孔径や気孔率の異なる基体層となるセラミックス多孔体やフィルター層となるセラミックス多孔体をそれぞれ作製し、従来通りこれらを積層する等する必要がある。
そこで、本発明のセラミックス多孔体の製造方法は、特定の表面及びこの表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成するとともに、気孔率が高いセラミックス多孔体の製造方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明のセラミックス多孔体の製造方法は、セラミックス粉粒体の粒子径及びその含有量、製造中間体であるセラミックス粉粒体のゲル状成形体における凍結速度を制御するための熱伝導率を調整した部材、さらにゲル状成形体の凍結温度、凍結時間などを種々選択することにより、セラミックス多孔体の表面及び表面近傍の気孔径並びに内部の気孔径、さらにはセラミックス多孔体の気孔率を調整することができるセラミックス多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明のセラミックス多孔体は、特定の表面及びこの表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が貫通孔を形成するとともに、気孔率が高いセラミックス多孔体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、セラミックス粉粒体のゲル状成形体の一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で、ゲル状成形体を凍結させて凍結成形体を作製し、この凍結成形体中に氷(固体の水)を析出させ、当該凍結成形体から当該氷を除去し、乾燥し、焼結することにより、当該0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触していた面及びその近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成されるセラミックス多孔体を製造することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体中に氷を析出させ、当該凍結成形体から当該氷を除去し、乾燥し、焼結するセラミックス多孔体の製造方法、
(2) 前記ゲル化剤が、ゲル化可能な非可逆的水溶性高分子である上記(1)に記載のセラミックス多孔体の製造方法、
(3) 前記凍結の温度が、マイナス10℃以下である上記(1)又は(2)に記載のセラミックス多孔体の製造方法、
(4) 前記氷以外の前記凍結成形体の構造を実質的に維持しつつ、水溶性の有機溶媒及び/又は真空置換により、当該氷を除去する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセラミックス多孔体の製造方法、
(5) セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体を作製し、当該凍結成形体には、当該0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した表面及びその近傍に氷が析出し、これら以外の表面及び内部には当該氷より大きい氷が析出し、これらの氷は、各粒子同士が、その表面の一部を互いに接触させることで連続した粒子となっており、当該凍結成形体からこれらの氷を除去した後に、これらの氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体となり、当該グリーン多孔体を焼結することにより得られたセラミックス多孔体、
(6) 気孔率が、セラミックス多孔体の60〜90体積%である上記(5)に記載のセラミックス多孔体、
を提供するものである。
本発明のセラミックス多孔体の製造方法によれば、特定の表面及び表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成しており、気孔率が高いセラミックス多孔体を製造することができる。
また、本発明のセラミックス多孔体の製造方法によれば、セラミックス粉粒体の粒子径及びその含有量、製造中間体であるセラミックス粉粒体のゲル状成形体を凍結する際の冷却速度を制御するための0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材、ゲル状成形体の凍結温度、凍結時間などを種々選択することにより、セラミックス多孔体の表面及び表面近傍の気孔径並びに内部の気孔径、さらにはセラミックス多孔体の気孔率を調整することができる。
また、本発明のセラミックス多孔体によれば、特定の表面及び表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成することで、気孔率が高いセラミックス多孔体となる。
実施例2のセラミックス多孔体の外観写真である。 実施例2のセラミックス多孔体の断面のSEM写真である。 図2のSEM写真のAで示された部分の拡大SEM写真である。 図2のSEM写真のBで示された部分の拡大SEM写真である。 図2のSEM写真のBで示された部分の拡大SEM写真である。 実施例3のセラミックス多孔体の外観写真である。 実施例3のセラミックス多孔体の断面のSEM写真である。 比較例2のセラミックス多孔体の外観写真である。 比較例2のセラミックス多孔体の断面のSEM写真である。 比較例2のセラミックス多孔体の断面のSEM写真である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるものであり、本発明を限定するものではない。
以下、本発明のセラミックス多孔体の製造方法を具体的に説明する。
まず、セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製する。
本発明に用いるセラミックス粉粒体は、水に分散するセラミックス粉末であり、ゲル化が容易に生じるものであれば、その種類は制限がなく、使用される環境、コストなどを考慮し選択することができる。
例えば、公知の酸化物セラミックスの粉粒体及び非酸化物セラミックスの粉粒体を1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。酸化物セラミックスとしては、アルミナ系セラミックス、ジルコニア系セラミックス、ムライト系セラミックスなどを挙げることができ、非酸化物セラミックスとしては、炭化珪素系セラミックス、窒化珪素系セラミックス、窒化ホウ素系セラミックス、グラファイト系セラミックスなどを挙げることができる。
また、セラミックス粉粒体の粒子形状や粒子径についても特に限定されるものではなく、使用される環境を考慮して選定することができる。例えば、セラミックス粉粒体を均一分散させるためには、粒子径は、1μm以下の粒子が好ましく、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.6μm以下である。
特に、0.1μm以下の粒子を適当量含有することにより、焼結が促進されセラミックス焼結体としての強度を増すことができる。したがって、気孔率を高くしても、セラミックス多孔体として十分な強度を得ることができる。また、焼結が促進されることから、低温での焼結も可能となる。この粒子の含有量は、セラミックス粉粒体中0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
さらに、必要によりセラミックス多孔体の焼結を促進するために、セラミックス粉粒体の種類に適した微量の無機化合物を焼結助剤として添加することができる。焼結助剤としては、アルミナ、イットリア、マグネシア、カルシア、シリカ、ボロン、カーボンなどが挙げられる。焼結助剤の添加量は、例えば、セラミックス粉粒体100質量部に対して0.1〜10質量部とするのが好ましい。
本発明に用いる水は、溶媒として作用するとともに、気孔を形成するための氷源となるので、蒸留水、イオン交換水などの純水を用いることが好ましい。
本発明に用いるゲル化剤は、ゲル化可能な水溶性高分子であって、一旦凍結した後は凍結以前の組織構造に戻らない非可逆的ゲル高分子を用いるのが好ましい。このようなゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、N−アルキルアクリルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、ポリエチレンイミン、でんぷん、カルボシキメチルセルロース、ヒドロシキメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。これらゲル化剤のうち、大気中でゲル化することが好ましく、また焼結時に炭素などの灰分が残らないゼラチンや寒天が特に好ましい。
ゲル化剤の種類、添加量は、セラミックス粉粒体の種類などにより適宜選択することができる。
また、必要により、アミン基を有する化合物、アルデヒド基を有する化合物、ヒドラジド基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、メチロールを有する化合物などの架橋剤を添加することもできる。架橋剤として、例えば、エポキシ基を有する化合物であるジグリセロールグリシジルエーテルなどが好ましい。架橋剤の添加量は、例えば、ゲル化剤100質量部に対して5〜20質量部とするのが好ましい。
そして、これらのセラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を混合して、セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%のゲル状成形体を作製する。
ここで、上記の焼結助剤を添加した場合は、カーボン等の焼結後のセラミックス中に存在しなくなるような焼結助剤は、セラミックス粉粒体の含有量に含まれないが、焼結後もセラミックス中に存在するようなアルミナ、イットリア、マグネシア、カルシア、シリカ、ボロン等の焼結助剤は、セラミックス粉粒体の含有量に含まれる。
セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%のゲル状成形体とするためには、セラミックス粉粒体の含有量を10〜40体積%、水の含有量を50〜89体積%、ゲル化剤の含有量を1〜10体積%とするのが好ましい。
セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であれば、製造されるセラミックス多孔体の気孔率が60〜90体積%と高くなっても、セラミックス多孔体としての強度を維持することができるからである。
また、水の含有量が50〜89体積%で、ゲル化剤の含有量が1〜10体積%であれば、ゲルを形成することができ、かつ凍結することによりゲル中の水が、氷としてゲルを形成する高分子から分離、析出されるとともに、氷の粒子同士が互いに接触することで、最終的に得られる気孔を連通孔とすることができるようになるからである。
ゲル状成形体を作製するには、まず、セラミックス粉粒体と水とを混合してセラミックススラリーとし、これにゲル化剤を添加して、上記した体積%となるセラミックススラリーを調整する。そして、このスラリーを成形型に流し込み、水をゲル中に保持させた状態で固化してゲル化させる。
このゲル化により、セラミックス粉粒体がゲル中に固定化される。このゲル状成型体は、最終製品となるセラミックス多孔体の形状としておくのが後工程を簡略化できるので好ましい。その他に、ゲル化剤が添加されたセラミックススラリーを一旦適当な大きさの形状に成形し、ゲル化させ、ゲル体を得、このゲル体に成形型を押し当てるなどしてゲル状成型体を形成する方法も採用することができる。
ゲル化させる温度と時間は、使用したゲル化剤によって適宜決定することができ、例えば、1℃以上90℃以下の温度で、15分以上10時間以内とすることができる。
例えば、寒天、メチルセルロースの場合は60℃以上80℃以下の温度で加熱した後、大気中、常温で2時間以上静置することによりゲル化させることができる。また、ポリエチレンイミンの場合は、50℃以上60℃以下の温度で、1時間以上2時間以内静置することによりゲル化させることができる。さらに、ゼラチンの場合は、始めに20℃以上25℃以下の温度で30分以上1時間保持し、その後、2℃以上10℃以下の温度で1時間以上静置することによりゲル化させることができる。
次に、ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体とするとともに、この凍結成形体中に氷を析出させる。
凍結方法は、通常の冷凍庫、急速凍結庫、過冷却凍結庫など、公知の方法を用いればよい。いずれの場合とも、ゲル状成形体外部からの冷却となるから、通常はゲル状成形体の表面がまず凍結され、凍結が内部に進行していく。
凍結成形体を作製するための凍結温度は、水が凍結する温度であれば特に限定されるものではないが、氷の生成温度領域が−5℃から−10℃の範囲であるので、凍結温度を氷の生成温度領域よりも低くして、冷却の途中で氷が必要以上に成長しないようにするため、−10℃以下にすることが好ましい。
ここで、ゲル状成形体と0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材とが接触した部分及びその近傍では、この部材が存在することにより、この部材とは接触していない部分、及びゲル状成形体の内部より冷却速度を速くすることができる。冷却速度が速ければ、氷の生成温度領域に滞在する時間が短い。したがって、この部材と接触した凍結成形体部分及びその近傍では、微細な粒子の氷が多数析出した状態になっている。
他方、この0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材が接触していない部分、及びゲル状成形体の内部では、氷の生成温度領域に滞在する時間がこの部材と接触している部分及びその近傍より長い。したがって、凍結成形体中には、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材が接触している部分及びその近傍に形成された氷より大きい粒子の氷が形成されている。
このように、ゲル状成形体の冷却速度を変えることにより、凍結成形体中で得られる氷の大きさを変化させることができる。したがって、ゲル状成形体への0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材の接触形態により、凍結成形体中で得られる氷の大きさを変化させることができる。
例えば、ゲル状成形体の全表面に0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材を接触させて凍結させれば、凍結成形体の全表面とその近傍には微細な粒子の氷が形成され、凍結成形体内部は表面よりも大きい粒子の氷が形成されるから、表面と内部との間で氷の粒子径を変化させた凍結成形体を得ることができる。
また、ゲル状成形体の一部表面を0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材に接触させ、他の表面は0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1未満の部材に接触させた状態で凍結させれば、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材を接触させた表面およびその近傍には微細な粒子の氷が形成され、それ(0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1未満の部材が接触していた)以外の表面および内部は大きい粒子の氷が形成されるから、特定の表面のみに微細な氷が形成した凍結成形体を得ることができる。
特に、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1未満の部材として、ゲル状成形体よりも低い熱伝導率を有するものを選択した場合には、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1未満の部材が接しているゲル状成形体表面は実質的に冷却されず、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材が接触した部分からのみの冷却・凍結となるため、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材が接触した表面から0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1未満の部材が接触した表面に向かって、一方向に氷の粒子が拡大した凍結成形体を得ることができる。
また、ゲル状成形体の一部表面を0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材に接触させ、他の表面は熱伝導率が前記部材とは異なり、かつ0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材に接触させた状態で凍結させてもよい。このようにすれば、各部材の熱伝導率に応じて粒子径が異なる微細な氷を各表面に形成した、凍結成形体を得ることができる。
ここで、ゲル状成形体を、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触させる方法は特に限定されず、例えば、成形型の一部又は全部を0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材で構成しておき、これをゲル状成形体の表面と接触させる手段を採用することができる。また、成形型の内部に、成形体がハニカム形状などとなるように、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材による突起や仕切りなどを設けるようにしてもよい。
なお、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材を設ける理由は、この部材を用いてゲル状成形体を急冷することにあるから、この部材の少なくとも一部は冷却源から直接冷却される構造としておく必要がある。この部材全体がゲル状成形体中に内包されるような形状では、ゲル状成形体が冷却された後はじめてこの部材が冷却されるので、好ましくない。
また、ゲル状成形体中の水の含有量を50〜89体積%、ゲル化剤の含有量を1〜10体積%としているので、形成された氷は、その粒子同士が、その表面の一部を互いに接触することで形成された、連続した粒子となっている。したがって、後の工程で氷を除去し、氷部分を気孔とすることにより、気孔が連通した貫通孔とすることができる。
ここで、本発明に用いる0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材の材質としては、例えば、鉄(0℃における熱伝導率が84W・m-1・K-1)、アルミニウム(0℃における熱伝導率が236W・m-1・K-1)、銅(0℃における熱伝導率が403W・m-1・K-1)、金(0℃における熱伝導率が320W・m-1・K-1)、銀(0℃における熱伝導率が430W・m-1・K-1)、ニッケル(0℃における熱伝導率が94W・m-1・K-1)、黄銅(0℃における熱伝導率が106W・m-1・K-1)、砲金(0℃における熱伝導率が53W・m-1・K-1)、などを挙げることができる。またこれらの単体に限らず、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の合金などを用いることもできる。
これらの内、砲金や鉄を用いた場合には、部材を接触させた部分の氷の粒子径は内部に比べて小さいものの、その差は小さい。一方、アルミニウムや銅を用いた場合には、部材を接触させた部分の氷の粒子径は内部に比べて明確に小さくなっている。したがって、本発明に用いる部材としては0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上であればよいが、100W・m-1・K-1以上が好ましく、さらに200W・m-1・K-1以上がより好ましい。
そこで、特定の表面及びこの表面近傍に形成される気孔を微細なものとし、これら以外の表面及び内部に形成される気孔を比較的大きなものとする場合は、熱伝導率の高い、例えば、0℃における熱伝導率が100W・m-1・K-1以上が好ましく、特に、200W・m-1・K-1以上の部材を用いるのが好ましい。
これに対し、SUS304(0℃における熱伝導率が20W・m-1・K-1程度)などは、0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1より低い部材であるので好ましくない。また、ポリエチレン、塩化ビニルなどの樹脂類も0℃における熱伝導率が一般に1W・m-1・K-1以下である。したがって、これらの部材を用いても、特定の表面及びこの表面近傍に形成される気孔の大きさとこれら以外の表面及び内部に形成される気孔の大きさとを変化させることが困難となるので、好ましくない。
このようにしてゲル状成型体を凍結することにより、ゲル中の水がゲルを形成する高分子から分離されて氷として析出し、ゲル中から粒子径が制御された氷が分離、析出した凍結成形体を作製することができる。
なお、氷の粒子径がセラミックス多孔体の気孔径に反映するので、凍結方法や0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材の選定などについては、目的とするセラミックス多孔体自体の形状、大きさや、気孔の形状、大きさ、分布を検討し、選定する必要がある。
次に、凍結成形体から氷を除去し、乾燥し、焼結する。
まず、氷を除去する前に、凍結成形体を凍結した状態で、型から脱型しておくのが好ましい。氷を除去した後に脱型すると、気孔をそのまま保持することが困難になったり、成形体の形状自体を維持することが困難になったりするからである。
凍結成形体中に形成された氷の粒子を除去すれば、除去された部分に気孔が形成されるので、凍結状態のセラミックス粉粒体の骨格構造を崩さないようにして氷のみを除去することが重要である。
このような氷の除去方法としては、アセトンやメタノールなどの水溶性の有機溶媒による置換、又は真空置換による方法があり、これらの方法により、氷以外の凍結成形体の構造を実質的に維持しつつ、氷を除去することができる。
水溶性の有機溶媒による置換は、はじめに凍結成形体と同じ温度に冷却した水溶性の有機溶媒中に凍結成形体を浸漬し、さらに、温度を段階的に常温へ昇温して水をこの有機溶媒へ移行させることにより、氷が存在していた部分を有機溶媒で置換し、氷を除去するものである。
水溶性の有機溶媒に浸漬する時間は、凍結成形体の形状により適宜決定することができ、例えば、縦100mm、横100mm、厚さ10mmのアルミナセラミックス凍結成形体の場合、凍結温度−17℃の冷凍庫にて、同じ温度にしたアセトン溶媒に6時間、次いで、10℃のアセトン溶媒に6時間、さらに常温のアセトン溶媒に6時間以上浸漬することによって、置換を終了させることができる。
また、真空置換による置換は、真空高温急速乾燥、あるいはフリーズドライ法により氷を取り除く、雰囲気制御置換型乾燥法を用いた解凍法を用いることができる。すなわち、真空ないしは減圧下で凍結成形体を弱く加熱することにより、凍結成形体中の氷を直接昇華させることで、氷のみを除去する方法である。この方法であれば、氷が液化し、生成した水が移動して成形体表面から蒸発することがないので、液化や水の移動、蒸発に伴う構造の破損や変形を起こすことがない。
乾燥は、水溶性の有機溶媒による置換の場合、水溶性の有機溶媒が残留しているので、温和な条件であることが好ましい。具体的には25℃以上80℃以下でおこなうのが好ましく、特に好ましくは70℃である。また、昇温時間については、毎分1℃以上毎分2℃以下が好ましく、特に好ましくは毎分1℃である。さらに、乾燥保持時間については、1時間以上が好ましく、特に好ましくは6時間以上である。
また、真空置換による置換の場合、氷が除去された空隙に若干の水蒸気が残るのみであるから、ある程度高温が望ましい。具体的には80℃以上120℃以下が好ましく、特に好ましくは100℃である。また、昇温時間については、毎分1℃以上毎分2℃以下が好ましく、特に好ましくは毎分1℃である。さらに、乾燥保持時間については、1時間以上が好ましく、特に好ましくは6時間以上である。
このような方法によって、氷が除去された成形体は、セラミックス粉粒体が骨格となり、氷が存在していた部分が気孔として形成され、氷の粒子形状に対応した気孔が形成された焼結前のグリーン多孔体となる。
本発明では、ゲル状成形体の形成時に、ゲル化可能な水溶性高分子をゲル化剤として添加しているので、加熱脱脂処理を行い、残存する有機物を除去することが好ましい。
この加熱脱脂処理の温度、時間及び雰囲気については、使用したセラミックス成分と使用した有機物の種類や量によって設定され、例えば、ゲル化剤としてポリエチレンイミンを用いた場合は、650℃で4時間保持して脱脂するのが好ましい。
次に、加熱脱脂処理を行ったグリーン多孔体を焼結する。
焼結の温度、時間及び雰囲気については、使用したセラミックス成分の種類、粒度分布などを考慮して設定され、通常のセラミックスの温度、時間、雰囲気の焼結条件を適用して設定することができ、例えば、1300℃以上2000℃以下、30分以上20時間以下、大気中、アルゴン雰囲気中、窒素雰囲気中などの条件で焼成することができる。
このようにして、グリーン多孔体を焼結すれば、焼結中及び焼結されたセラミックス多孔体に、割れなどの欠陥を生じることを防止することができる。
このような方法により、製造されたセラミックス多孔体は、その特定の表面及び表面近傍に微細な気孔が形成され、これら以外の表面及び内部にはこの微細な気孔より大きな形状の気孔が形成されるとともに、これらの気孔が互いに連通して貫通孔を形成したセラミックス多孔体となる。
すなわち、このセラミックス多孔体は、セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体を作製し、当該凍結成形体には、当該0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した表面及びその近傍に氷が析出し、これら以外の表面及び内部には当該氷より大きい氷が析出し、これらの氷は、各粒子同士が、その表面の一部を互いに接触させることで連続した粒子となっており、当該凍結成形体からこれらの氷を除去した後に、これらの氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体となり、当該グリーン多孔体を焼結することにより得られたセラミックス多孔体となる。
そして、従来、セラミックス骨格の形成と気孔の形成が同一プロセス内で行われるために、両者の形成条件をバランスさせる必要があることから、セラミックス骨格の強度を上げることが難しかったものを、本発明のセラミックス多孔体の製造方法によれば、セラミックス骨格の形成と気孔の形成を別々のプロセスで行うことにより、セラミックス骨格の強度を向上させることができ、気孔率を60〜90体積%と高くすることができる。
以下、本発明について実施例によりさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
平均粒子径0.8μmの炭化珪素粉粒体90質量%と、平均粒子径0.03μmの炭化珪素粉粒体10質量%を秤量し、次いで、これらの炭化珪素粉粒体100質量部に対して2質量部の平均粒子径0.2μmのアルミナ粉粒体を焼結助剤として添加した。これらの炭化珪素粉粒体及びアルミナ粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が10体積%、水の含有量が89体積%、ゲル化剤の含有量が1体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを撹拌機に入れ、ボールミルにて40rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。
その後、このスラリーにゲル化剤としてポリエチレンイミンを添加し、さらに1時間混合した。そして、このスラリーを撹拌機から取り出して、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーに、ゲル化剤100質量部に対して12質量部のジグリセロールグリシジルエーテルを架橋剤として添加し、これを攪拌機に入れ、さらに1時間混合して最終スラリーを得た。そして、枠がアルミニウム(0℃における熱伝導率:236W・m-1・K-1)製で、上下のプレートが銅(0℃における熱伝導率:403W・m-1・K-1)製の縦100mm、横100mm、高さ10mmの成形型にこの最終スラリーを流し込んだ。そして、この成形型を温風加熱装置に入れ、50℃で1時間処理して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−17℃に設定された冷凍庫に入れ、−17℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、真空乾燥装置に入れ、35℃で12時間真空置換し、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風加熱装置に入れ、30℃から100℃まで毎分1℃で昇温し、100℃で1時間保持し、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を雰囲気炉に入れ、炉内雰囲気を窒素雰囲気にして、毎分1℃の速度で650℃まで昇温し、650℃で4時間保持し、ゲル化剤であるポリエチレンイミン及び架橋剤であるジグリセロールグリシジルエーテルの加熱脱脂処理を行った。加熱脱脂処理後、炉内雰囲気をアルゴン雰囲気にして、炉内温度を毎分15℃の速度で1800℃まで昇温し、1800℃で2時間保持して焼結をおこなってセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率は90%ですべて貫通孔になっていた。そして、銅に接した表面では、平均気孔径が10μmの微細な気孔が形成されており、表面から10μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から10μm程度より深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から5mm程度のところでは、平均気孔径が190μm程度の連通した気孔であった。
実施例2
平均粒子径0.7μmの炭化珪素粉粒体97質量%と、平均粒子径0.03μmの炭化珪素粉粒体3質量%を秤量し、次いで、これらの炭化珪素粉粒体100質量部に対して6質量部の平均粒子径0.1μmのアルミナ粉粒体と平均粒子径0.6μmのイットリア粉粒体(アルミナ粉粒体とイットリア粉粒体の質量比は1:1)を焼結助剤として添加した。これらの炭化珪素粉粒体、アルミナ粉粒体及びイットリア粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が15体積%、水の含有量が84体積%、ゲル化剤の含有量が1体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを撹拌機に入れ、ボールミルにて20rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを撹拌機から取り出し、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーにゲル化剤としてゼラチンを添加し、さらに15分間混合し、最終スラリーを得た。そして、得られる成形体がハニカム構造となるように、成形型の内部にハニカム形状寸法が10milとなるような円柱状のハニカム穴形成突起が複数並んだ、縦30mm、横30mm、高さ50mmの成形型にこの最終スラリーを流し込んだ。この成形型の枠、上下プレート及びハニカム穴形成突起は銅製である。そして、この成形型を10℃の冷蔵庫に入れ、10℃で1時間保持して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−20℃に設定された冷凍庫に入れ、−20℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、−20℃に冷却したアセトンに6時間浸漬し、次いで10℃のアセトンに6時間浸漬し、さらに常温のアセトンに6時間浸漬し、氷をアセトンで置換することにより、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を防爆型乾燥機に入れ、70℃まで毎分1℃で昇温し、70℃で1時間保持し、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を雰囲気炉に入れ、炉内雰囲気をアルゴン雰囲気にして、毎分15℃の速度で1700℃まで昇温し、1700℃で1時間保持して焼結をおこないハニカム構造を有するセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率は85%ですべて貫通孔になっていた。そして、銅に接した表面では、平均気孔径が5μmの微細な気孔が形成されており、表面から20μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から20μmより深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から125μm程度のところでは、平均気孔径が80μm程度の連通した気孔であった。
このハニカム構造を有するセラミックス多孔体の外観写真を図1に示す。また、このハニカム構造を有するセラミックス多孔体の断面のSEM写真を図2(倍率:30倍)に示す。さらに、図2のAで示された部分の拡大SEM写真を図3(倍率:100倍)に示し、図2のBで示された部分の拡大SEM写真を図4(倍率:200倍)及び図5(倍率:2500倍)に示す。
実施例3
平均粒子径0.5μmの炭化珪素粉粒体96質量%と、平均粒子径0.03μmの炭化珪素粉粒体4質量%を秤量し、次いで、これらの炭化珪素粉粒体100質量部に対して3質量部の均粒子径0.1μmのアルミナ粉粒体と均粒子径0.6μmのイットリア粉粒体(アルミナ粉粒体とイットリア粉粒体の質量比は7:3)を焼結助剤として添加した。これらの炭化珪素粉粒体、アルミナ粉粒体及びイットリア粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が20体積%、水の含有量が77体積%、ゲル化剤の含有量が3体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを撹拌機に入れ、ボールミルにて20rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを撹拌機から取り出し、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーにゲル化剤としてセルロースを添加し、さらに15分間混合し、最終スラリーを得た。そして、枠が銅製で、上下のプレートがアルミニウム製の縦100mm、横100mm、高さ10mmの成形型にこの最終スラリーを流し込んだ。そして、この成形型を温風加熱装置に入れ、60℃で1時間処理して、つぎに成形型を大気中に移動して常温にて放置することでゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−25℃に設定された冷凍庫に入れ、−25℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、−25℃に冷却したアセトンに6時間浸漬し、次いで10℃のアセトンに6時間浸漬し、さらに常温のアセトンに6時間浸漬し、氷をアセトンで置換することにより、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風乾燥機に入れ、70℃まで毎分1℃で昇温し、70℃で1時間保持をし、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン体を雰囲気炉に入れ、炉内雰囲気をアルゴン雰囲気にし、毎分20℃の速度で1750℃まで昇温し、1750℃で1時間保持して焼結をおこないセラミックス多孔体を製造した。
製造された得られたセラミックス多孔体の気孔率は80%ですべて貫通孔になっていた。そして、銅に接した表面では、平均気孔径が25μmの微細な気孔が形成されており、表面から15μm程度の深さまで続いた網目構造を有していた。また、表面から15μmより深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から5mm程度のところでは、平均気孔径が90μm程度の連通した気孔であった。
また、このセラミックス多孔体の圧縮強度を測定したところ、圧縮強度は10Mpaであり、強度の高いセラミックス多孔体が得られたことが確認された。
このセラミックス多孔体の外観写真を図6に示す。また、このセラミックス多孔体の断面のSEM写真を図7(倍率:30倍)に示す。
実施例4
平均粒子径0.2μmのアルミナ粉粒体90質量%と、平均粒子径0.03μmの炭化珪素粉粒体10質量%を秤量した。これらのアルミナ粉粒体及び炭化珪素粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が40体積%、水の含有量が59体積%、ゲル化剤の含有量が1体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを撹拌機に入れ、ボールミルにて40rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。
その後、このスラリーにゲル化剤としてポリエチレンイミンを添加し、さらに1時間混合した。そして、このスラリーを撹拌機から取り出して、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーに、ゲル化剤100質量部に対して12質量部のジグリセロールグリシジルエーテルを架橋剤として添加し、これを攪拌機に入れ、さらに1時間混合して最終スラリーを得た。そして、枠の円環が銅製で、上下のプレートがアルミニウム製の直径100mm、長さ150mmの成形型にこの最終スラリーを流し込んだ。そして、この成形型を温風加熱装置に入れ、50℃で1時間処理して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−15℃に設定された冷凍庫に入れ、−15℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、成形体を−15℃に冷却したアセトンに6時間浸漬し、次いで10℃のアセトンに6時間浸漬し、さらに常温のアセトンに6時間浸漬し、氷をアセトンで置換することにより、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風乾燥機に入れ、70℃まで毎分1℃で昇温し、70℃で1時間保持をし、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を雰囲気炉に入れ、炉内雰囲気をアルゴン雰囲気にして、毎分15℃の速度で1850℃まで昇温し、1850℃で2時間保持し、焼結をおこないセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率は60%ですべて貫通孔になっていた。そして、銅に接した表面では、平均気孔径が8μmの微細な気孔が形成されており、表面から10μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から10μm程度より深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から10mmのところでは、平均気孔径が65μm程度の連通した気孔であった。
実施例5
平均粒子径0.1μmのアルミナ粉粒体100質量%を秤量した。次いで、アルミナ粉粒体100質量部に対して0.3質量部の平均粒子径0.1μmのマグネシア粉粒体を焼結助剤として添加した。これらのアルミナ粉粒体及びマグネシア粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が10体積%、水の含有量が87体積%、ゲル化剤の含有量が3体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを撹拌機に入れ、ボールミルにて20rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを撹拌機から取り出し、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーにゲル化剤としてゼラチンを添加し、さらに15分間混合し、最終スラリーを得た。そして、枠が銅製で、上下のプレートがアルミニウム製の縦100mm、横100mm、高さ5mmの成形型に流し込んだ。そして、この成形型を10℃の冷蔵庫に入れ、10℃で1時間保持して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−20℃に設定された冷凍庫に入れ、−20℃で30分間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、成形体を−20℃に冷却したアセトンに6時間浸漬し、次いで10℃のアセトンに6時間浸漬し、さらに常温のアセトンに6時間浸漬し、氷をアセトンで置換することにより、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風乾燥機に入れ、70℃まで毎分1℃で昇温し、70℃で1時間保持をし、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を加熱炉に入れ、大気中、毎分5℃の速度で1300℃まで昇温し、1300℃で1時間保持し、焼結をおこないセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率は80%ですべて貫通孔になっていた。そして、銅に接した表面では、平均気孔径が7μmの微細な気孔が形成されており、表面から35μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から35μm程度より深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から35mm程度のところでは、平均気孔径は65μm程度の連通した気孔であった。
実施例6
平均粒子径0.6μmのアルミナ粉粒体100質量%を秤量した。次いで、アルミナ粉粒体100質量部に対して0.3質量部の平均粒子径0.1μmのマグネシア粉粒体を焼結助剤として添加した。これらのアルミナ粉粒体及びマグネシア粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が20体積%、水の含有量が76体積%、ゲル化剤の含有量が4体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを攪拌機に入れ、ボールミルにて40rpmの回転速度で4時間混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを攪拌機から取り出し、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーにゲル化剤として寒天を添加し、このスラリーを70℃の湯煎にて15分間攪拌し、最終スラリーを得た。そして、枠及び上下のプレートが七三黄銅(0℃における熱伝導率が106W・m-1・K-1)製の縦100mm、横100mm、高さ3mmの成形型に流し込んだ。そして、この成形型を2時間、25℃の室内に放置した後、10℃の冷蔵庫に入れ、10℃で1時間保持して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−15℃に設定された冷凍庫に入れ、−15℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、成形型を−15℃に冷却したアセトンに6時間浸漬し、次いで10℃のアセトンに6時間浸漬し、さらに常温のアセトンに6時間浸漬し、氷をアセトンで置換することにより、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風乾燥機に入れ、70℃まで毎分1分で昇温し、70℃で1時間保持をし、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を加熱炉に入れ、大気中、毎分2℃の速度で1650℃まで昇温し、1650℃で2時間保持し、焼結をおこないセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率76%ですべて貫通孔になっていた。そして、七三黄銅に接した表面では、平均気孔径が30μmの気孔が形成されており、表面から20μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から20μm程度より深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から20μm程度のところでは、平均気孔径は110μm程度の連通した気孔であった。
実施例7
イットリアを3モル%含む平均粒子径0.5μmのジルコニア粉粒体100質量%を秤量した。このジルコニア粉粒体がセラミックス粉粒体となる。
次に、セラミックス粉粒体の含有量が25体積%、水の含有量が70体積%、ゲル化剤の含有量が5体積%となるように、まず、セラミックス粉粒体を純水に入れ、これを攪拌機に入れ、ボールミルにて30rpmの回転速度で12時間混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを攪拌機から取り出し、真空攪拌脱泡により気泡を除去した。
その後、このスラリーにゲル化剤として予め溶かしておいたゼラチンを15分間攪拌しながら添加し、最終スラリーを得た。そして、二分割加工可能な砲金(0℃における熱伝導率が53W・m-1・K-1)製の内径30mm、高さ5mm、厚さ15mmのパイプ状の成形型に流し込んだ。そして、この成形型を1時間、25℃の室内に放置した後、10℃の冷蔵庫に入れ、10℃で1時間保持して、成形型中の最終スラリーをゲル化させてゲル状体を作製した。
次に、このゲル状体を、成形型ごと−17℃に設定された冷凍庫に入れ、−17℃で1時間冷却、凍結させ、凍結成形体中に氷を析出させた。その後、この凍結成形体を凍結したまま成形型からはずし、真空乾燥装置に入れ、12時間真空置換し、凍結成形体から氷を除去した。その後、この成形体を温風加熱装置に入れ、20℃から100℃まで毎分1℃で昇温し、100℃で1時間保持し、乾燥をおこない、氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体を得た。
そして、このグリーン多孔体を加熱炉に入れ、大気中、毎分2℃の速度で1550℃まで昇温し、1550℃で2時間保持し、焼結をおこないセラミックス多孔体を製造した。
製造されたセラミックス多孔体の気孔率は71%ですべて貫通孔になっていた。そして、砲金に接した表面では、平均気孔径が50μmの気孔が形成されており、表面から10μm程度の深さまでその気孔径の気孔が続いた網目構造を有していた。また、表面から10μm程度より深い内部では、気孔径が徐々に大きくなっており、気孔の大きさが傾斜するように異なっていた。例えば、表面から10μm程度のところでは、平均気孔径は170μm程度の連通した気孔であった。
比較例1
ゲル化剤が添加されたスラリーを流し込む型枠として、枠及び上下のプレートをポリエチレン製(0℃における熱伝導率:0.4W・m-1・K-1程度)とした以外は、実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を製造した。
得られたセラミックス多孔体の気孔率は80%ですべて貫通孔になっていた。しかし、表面から内部にかけて気孔径は同程度であり、平均気孔径は200μm程度の連通した気孔であった。
比較例2
ゲル化剤が添加されたスラリーを流し込む型枠として、枠の円環及び上下のプレートを
塩化ビニル製(0℃における熱伝導率:0.2W・m-1・K-1程度)とした以外は、実施例4と同様にしてセラミックス多孔体を製造した。
得られたセラミックス多孔体の気孔率は80%ですべて貫通孔になっていた。しかし、表面から内部にかけて気孔径は同程度であり、平均気孔径は250μm程度の連通した気孔であった。
このセラミックス多孔体の外観写真を図8に示す。また、このセラミックス多孔体の表面近傍の断面のSEM写真を図9(倍率:30倍)に示し、表面から2.5mm程度の断面のSEM写真を図10(倍率:30倍)に示す。
比較例3
ゲル化剤が添加されたスラリーを流し込む型枠として、枠及び上下のプレートが鉛(0℃における熱伝導率:35W・m-1・K-1)製の縦25mm、横25mm、高さ3mmとした以外は、実施例6と同様にしてセラミックス多孔体を製造した。なお、枠及び上下のプレートは、鉛のシートを折り曲げ加工したものを用いた。
得られたセラミックス多孔体の気孔率は73%ですべて貫通孔になっていた。しかし、表面から内部にかけて気孔径は同程度であり、平均気孔径は180μm程度の連通した気孔であった。
以上、実施例1〜7の結果から、セラミックス粉粒体の粒子径及びその含有量、製造中間体であるセラミックス粉粒体のゲル状成形体を凍結する際の冷却速度を制御するための0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材、ゲル状成形体の凍結温度、凍結時間などを種々選択することにより、セラミックス多孔体の表面及び表面近傍の気孔径並びに内部の気孔径、さらにはセラミックス多孔体の気孔率を調整することができることがわかった。
本発明は、特定の表面及び表面近傍に気孔が形成され、これら以外の表面及び内部には当該気孔より大きな気孔が形成され、これらの気孔が連通して貫通孔を形成しており、気孔率が高いセラミックス多孔体を製造することができるので、これら以外の表面及び内部の大きな気孔を有する部分を基体層とし、特定の表面及び表面近傍に形成された気孔の部分をフィルター層としたセラミックスフィルターとして好ましく用いることができる。
また、特定の表面及び表面近傍に微細な気孔が形成され、これら以外の表面及び内部にはこの微細な気孔より大きな気孔が形成されており、これらの気孔径、さらにはセラミックス多孔体の気孔率を調整することができるので、低温から高温まで種々の温度に対応する断熱材としてとして好ましく用いることができる。

Claims (6)

  1. セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体中に氷を析出させ、当該凍結成形体から当該氷を除去し、乾燥し、焼結するセラミックス多孔体の製造方法。
  2. 前記ゲル化剤が、ゲル化可能な非可逆的水溶性高分子である請求項1に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  3. 前記凍結の温度が、マイナス10℃以下である請求項1又は2に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  4. 前記氷以外の前記凍結成形体の構造を実質的に維持しつつ、水溶性の有機溶媒及び/又は真空置換により、当該氷を除去する請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  5. セラミックス粉粒体、水及びゲル化剤を含み、当該セラミックス粉粒体の含有量が10〜40体積%であるゲル状成形体を作製し、当該ゲル状成形体を、少なくともその一部が0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した状態で凍結させることにより、当該ゲル状成形体が凍結した凍結成形体を作製し、当該凍結成形体には、当該0℃における熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の部材と接触した表面及びその近傍に氷が析出し、これら以外の表面及び内部には当該氷より大きい氷が析出し、これらの氷は、各粒子同士が、その表面の一部を互いに接触させることで連続した粒子となっており、当該凍結成形体からこれらの氷を除去した後に、これらの氷の粒子形状に対応した気孔が形成されたグリーン多孔体となり、当該グリーン多孔体を焼結することにより得られたセラミックス多孔体。
  6. 気孔率が、セラミックス多孔体の60〜90体積%である請求項5に記載のセラミックス多孔体。
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