JP2010222535A - ブロックポリマーとその製造方法、及びブロックポリマーを含有した化粧料組成物 - Google Patents

ブロックポリマーとその製造方法、及びブロックポリマーを含有した化粧料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高いコンディショニング効果を有し、乾燥後のなめらかさに優れる共にゴワツキの少ない、シリコーン安定化効果を有したブロックポリマーを提供する。
【解決手段】 水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(A)と、カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(B)、とを有するブロックポリマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なブロックポリマーとその製造方法、及びブロックポリマーを含有した化粧料組成物に関するものである。
シャンプー、ボディソープなどの洗浄剤には、洗浄時のすべり、洗浄後の毛髪の指通りや櫛通り、乾燥後のなめらかさ、毛髪の柔軟性やサラサラ感、その他の感触性を改良させるために、いわゆるコンディショニング剤が配合されている。例えばシャンプーにはカチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体等をコンディショニング剤として配合することが知られている。
しかしながら、カチオン化ヒドロキシセルロース等を配合したシャンプーは、すすぎの際の指通り性は良いものの、乾燥後の毛髪がごわついたかたい感触となる場合がある。
そこで、洗浄後のすすぎの際の指通り、乾燥後のなめらかさ及びサラサラ感の改良や、ダメージ毛へのシリコーン吸着量を改良した、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド・ヒドロキシエチルアクリルアミド共重合体等や、トリメチルアンモニオプロピルアクリルアミドクロライド・ジメチルアクリルアミド共重合体等が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、構造の制御されたポリマー、例えばブロックポリマーは、ランダム構造のポリマーでは得られない特異的な性能を発現する場合があることが知られている(例えば、特許文献3参照)。二つの異なる性質のブロックが直列に繋がったAB型ブロックポリマーやABA型ブロックポリマーなどは、高分子乳化剤や増粘剤などに応用されている。また、ブロック部位を有するという意味ではグラフトポリマーもブロックポリマーの一種であると言え、反応性の官能基を有するマクロモノマーを使用することで得られるグラフトポリマーも提案されている。これらは、それぞれのブロック部位の性質がその他の部位とは異なる性質を有しているため、通常は混合できないものを混合できたり、強い凝集作用を有したりすることにより、特異的な性能を発現している。
特開2005−255982号公報 特開2007−063543号公報 特表2000−500516号公報
しかしながら、本発明者の検討によると特許文献1、2の共重合体では、昨今求められている更に高いコンディショニング効果を達成できず、また、併用する界面活性剤の種類やその比率により期待された性能が発揮されないなどの問題もあった。更には、毛髪化粧料に添加されるシリコーン油や防フケ剤などを配合した場合に、それらが相分離したりする問題があった。
一方、特許文献3に記載されている規則性の高いブロックポリマーの合成に於いては、製造方法の困難性から、ある特定の構造のものを合成しようとすると、それに適した合成
方法を都度検討しなければならない。そのため、製造しやすいポリマー、例えば極性の低い疎水性のモノマーや官能基を有していないノニオン性のモノマーなどでの製造例はあるものの、極性の高いモノマーの製造例などは少ない。
一方、規則性の低い架橋性のモノマーを使用して合成するブロック構造を有するポリマーについては製造された例があるものの、その規則性のばらつきにより、得られる性能はランダムポリマーに近いものであり、完全なブロックポリマーに比べるとその特性は劣るものである。また、グラフトポリマーについても製造された例があるものの、例えばマクロモノマーを使用するグラフトポリマーにおいては反応性の官能基が末端に1つ又は2つしかないため、マクロモノマーの分子量が大きいと反応性が低下してしまう問題などがある。また、グラフト部位が主鎖のどの部位に連結するのかが制御されず、主鎖との相溶性が悪いとマクロモノマーが偏って重合されることなどの問題点などもある。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、高いコンディショニング効果を有し、乾燥後のなめらかさに優れると共にゴワツキが少なく、シリコーン安定化効果を有したブロックポリマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、このようなブロックポリマーを含む毛髪洗浄剤組成物等の化粧料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2つの異なる特徴を示すブロックを有するブロックポリマーが、高いコンディショニング効果を有し、乾燥後のなめらかさに優れると共に、ゴワツキも少なく、シリコーン安定化効果を有することを見出し、本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(A)と、カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(B)、とを有するブロックポリマーに関する。
また本発明は、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)が、式(1)で表わされるものである、前記ブロックポリマーに関する。
CH=C(R)−CO−NR−(CH−OH (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、aは2〜4の整数を表す。)
また本発明は、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)がN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及び/またはN−ヒドロキシエチルメタクリルアミドである、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)が、式(2)で表わされるものである、前記ブロックポリマーに関する。
CH2=C(R3)−CO(O)b−(NH)1-b−(CH2)c−N+R4R5R6・X- (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N・Yを表わし、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わす。X及びYは、それぞれ独立して陰イオンを表わす。bは0又は1、cは1〜10の整数を表わす。)
また本発明は、ブロック(A)の含有量がブロックポリマー中に20〜90重量%であり、ブロック(B)の含有量がブロックポリマー中に10〜80重量%である、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、ブロック(A)と(B)が直鎖状に連結している、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、ブロック(A)と(B)がB−A−Bの順で連結するBAB型トリブロック構造を有する、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、ブロック(A)の数平均分子量が1,000〜500,000、ブロック(B)の数平均分子量が1,000〜500,000であり、且つブロックポリマーの数平均分子量が3,000〜900,000である、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、2.5以下である、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明は、原子移動ラジカル重合(ATRP)法により合成された、前記ブロックポリマーに関する。
また本発明の別の要旨は、前記ブロックポリマーを含有する、化粧料組成物及び毛髪洗浄剤組成物に関する。
また本発明は、さらに、界面活性剤及び水を含有する、前記毛髪洗浄剤組成物に関する。
また本発明は、さらに、シリコーン油を含有する、前記毛髪洗浄剤組成物に関する。
また本発明の別の要旨は、前記ブロックポリマーの製造方法であって、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第8族、9族、10族及び11族元素から選ばれる金属を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる、ブロックポリマーの製造方法に関する。
また本発明は、触媒が、ハロゲン化銅およびアミン化合物から得られる金属錯体である、前記ブロックポリマーの製造方法に関する。
また本発明は、前記ブロックポリマーの製造方法であって、ブロックポリマーの重合時に、溶媒としてアルコール類及び/又は水を使用する、ブロックポリマーの製造方法に関する。
また本発明は、溶媒のアルコール類及び水の比が0/100〜95/5(重量比)である、前記ブロックポリマーの製造方法に関する。
また本発明は、ブロック(A)を重合した後にブロック(B)を重合する、前記ブロックポリマーの製造方法に関する。
本発明のブロックポリマーは優れたコンディショニング効果を有し、シリコーン油の分散安定性を有する。
このような本発明のブロックポリマーを含む化粧料組成物は、例えば毛髪洗浄剤組成物として、泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感に優れると共に乾燥後のゴワツキが少なく、シリコーン安定化効果にも優れ、リンス併用時の乾燥後のサラサラ感に優れ、乾燥後のゴワツキが少ない化粧料組成物を提供することができる。
本明細書では、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及び/又はメタクリル酸を表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明のブロックポリマーは、ブロック(A)とブロック(B)を有するブロックポリマーである。ブロック(A)は、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造を有し、ブロック(B)はカチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を有していれば、特に限定されない。
本発明のポリマーはブロック構造を有することにより、各ブロックに由来するそれぞれの異なる物理化学的特性を併せ持った特性を有するポリマーを得ることが可能となる。また、各ブロックが別々のポリマーを構成し、それらを混合した際には相溶しない物性のものであっても、本発明のブロックポリマーとして一つのポリマーとすることでそれぞれの特性を維持したまま、均一な溶液やフィルムなどを得ることが可能になる。
本発明のブロックポリマーにおける水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)としては、式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド系のものを用いるのが好ましい。
CH=C(R)−CO−NR−(CH−OH (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、aは2〜4の整数を表す。)
式(1)で表される水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)のいくつかを例示すると、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。なかでもモノマー及びポリマーの水への溶解性が良好なことからN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及び/またはN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造の含有率は、好ましくはブロック(A)の20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であって、100重量%以下である。水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造が、ブロック(A)に占める割合が20重量%以上であると、毛髪等への吸着力が向上し、乾燥後のなめらかさ、サラサラ感が良好となるため好ましい。
この水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造は、水酸基及びアミド結合部位に起因する親水性により、ブロックポリマーに親水性を付与する効果がある。これは、後述するカチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を有するブロック(B)のカチオン性基が、化粧料組成物、特に洗浄剤組成物中、で併用されているアニオン性界面活性剤とコンプレックスを形成した際に、ブロックポリマーの水溶性を維持するために有効である。また、毛髪に存在するアミド基や酸、塩基などとブロックポリマー中のアミド結合に由来する水素結合の作用により、洗浄剤組成物を用いて洗浄した毛髪等に吸着する効果を増大する効果があると考えられる。
水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(A)は、好ましくはブロックポリマーの20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上であって、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、特に好ましくは70重量%以下を占める。本発明のブロックポリマー中、ブロック(A)が20重量%以上であると毛髪等への吸着力が向上し、乾燥後のなめらかさ、サラサラ感が良好となるため好ましい。また、90重量%以下であると、後述するブロック(B)の含有率が適度に高くなり、アニオン界面活性剤と十分なコンプレックスを形成できるため、すすぎ時のなめらかさ等が良好となり好ましい。
本発明のブロックポリマーにおけるカチオン性基を有するビニル系単量体(Y)としては、アニオン性基を有していても良いが、単量体としてカチオン性を示すものが好ましい。より好ましくはアニオン性基を有しないものである。
アニオン性基を有しないカチオン性単量体としては、例えばジメチルジアリルアンモニ
ウムクロリド等のジアリル系4級アンモニウム塩や、(メタ)アクリルエステル系4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミド系4級アンモニウム塩などが挙げられ、なかでも、式(2)で表されるアクリル系4級アンモニウム塩単量体が好ましい。
CH2=C(R3)−CO(O)b−(NH)1-b−(CH2)c−N+R4R5R6・X- (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N・Yを表わし、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わす。X及びYは、それぞれ独立して陰イオンを表わす。bは0又は1、cは1〜10の整数を表わす。)
式(2)で表わされるカチオン性基を有するビニル系単量体のいくつかを例示すると、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリエチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−[3−{N′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N′,N′−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−{N′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N′,N′−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウム=モノメチル硫酸塩、N−[3−{N′−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N′,N′−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−{N′−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N′,N′−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
なかでも、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドが好ましく用いられ、特に好ましく用いられるのは、カチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類であるN−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドである。
カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造は、好ましくはブロック(B)の20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であって、100重量%以下である。カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造が、ブロック(B)に占める割合が20重量%以上であると、アニオン性界面活性剤と十分なコンプレックスを形成できるため、すすぎ時のなめらかさ等が良好となり好ましい。
このカチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造は、化粧料組成物、特に洗浄剤組成物中において併用されるアニオン性界面活性剤とコンプレックスを形成し、毛髪に付着しやすい状態で存在するものと考えられる。従ってブロックポリマーにアニオン性の官能基が存在すると、このコンプレックスの形成の障害となる場合があるので、ブロックポリマーはアニオン性の官能基の少ないものが好ましく、これを実質的に含まないものであれば更に好ましい。
カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(B)は、好ましくはブロックポリマーの10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上であって、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下を占める。ブロック(B)がブロックポリマー中で10重量%以上であると、アニオン性界面活性剤と十分なコンプレックスを形成できるため、すすぎ時のなめらかさ等が向上し好ましい。また、80重量%以下であるとブロックポリマー中のブロック(A)の含有率が適度に高くなり、毛髪等への吸着力が向上するため、乾燥後のなめらかさ、サラサラ感が良好となり好ましい。
ブロック(A)のビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造と、ブロック(B)のビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造の含有率は、水酸基やアミド結合部位のIR吸収や、水酸基やアミド結合部位、カチオン基に隣接するメチル基のH−NMR、又はそれらの13C−NMR等により公知の方法で測定し、決定することができる。
本発明に係るブロックポリマーは、ブロック(A)、ブロック(B)、及び各々のブロックを連結する部位などの構成単位として、又は各ブロックにグラフト結合する構成単位として、ビニル系単量体(X)及び(Y)以外のビニル系単量体に由来する構成単位を含有してもよい。このようなビニル系単量体としては、本発明に係るブロックポリマーの性能を損なわないものであれば特に限定されず、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル;更にはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル;(メタ)アクロイルモルホリンなどのノニオン性単量体;ベタイン基含有(メタ)アクリルエステル、ベタイン基含有(メタ)アクリルアミドなどの両性単量体;アミンオキシド基含有(メタ)アクリルエステル、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルアミドなどの半極性単量体;などを用いることができる。
このビニル系単量体に由来する構成単位はブロックポリマーの性能を低下させない範囲で含有することができ、ブロックポリマーの50重量%以下であるのが好ましく、より好ましくは20重量%以下であり、最も好ましくは10重量%以下である。
ブロックポリマーを構成するブロック(A)とブロック(B)とは、どのように連結していてもよく、例えば分岐鎖状、星状、直鎖状などが挙げられるが、特に直鎖状に連結していることが好ましい。直鎖状に連結しているものとしては、AB型ジブロック構造や、ABA型、BAB型トリブロック構造、(AB)n型マルチブロック構造などが挙げられる。毛髪洗浄剤組成物に使用した時のすすぎ時のなめらかさやシリコーン安定化効果、リンス併用時の乾燥後の感触などの観点から、ABA型またはBAB型トリブロック構造が好ましく、より好ましくはブロック(A)と(B)がB−A−Bの順で連結し、カチオン性のブロックが末端にあるBAB型トリブロック構造である。
シャンプーなどの洗浄剤組成物中において、カチオンポリマーはアニオン界面活性剤などと相互作用することにより、コアセルベートと言われる複合体を形成する。この複合体中には界面活性剤の疎水性部位が凝集してできた疎水部とそれ以外の親水部が存在するため、より疎水的な部位が存在していた方が、疎水的なシリコーンとの相互作用は大きいと考えられる。しかしながら、疎水的な部位が多すぎると、複合体自体が組成物中で不安定であったり、最も重要なすすぎ時のなめらかさなどが低下したりする。そこで、疎水的な部位を維持しつつ、親水的な部位も維持しておく必要があると考えられる。このような点から、本発明のブロックポリマーは上記のような構造をしていることが好ましいと考えられる。
本発明のブロックポリマーは親水性のブロックポリマーであることが好ましい。ここで親水性とは、常温、すなわち25℃で、5重量%以上の濃度の水溶液の透過率(光波長655nm、光路長1cmセル)が水に対して80%以上あり、水溶液が均一かつ安定であることをいう。より好ましくは、20重量%以上の濃度の水溶液の透過率(光波長655nm、光路長1cmセル)が水に対して80%以上あり、水溶液が均一かつ安定であるものである。
本発明のブロックポリマーを製造する方法については、特に制限されないが、制御重合を利用して製造するのが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いるラジカル重合、近年開発されたリビングラジカル重合が挙げられるが、中でも、制御ラジカル重合の一種であるリビングラジカル重合を利用すると、得られるブロックポリマーの分子量及び構造を容易に制御できるので好ましい。
リビングラジカル重合とは、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合をいう。リビング重合とは、狭義には末端が常に活性を持ち続ける重合のことをいうが、一般的には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる意味で用いられ、本明細書でも後者の意味で用いる。リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(J.Am.Chem.Soc.1994、116、7943)やニトロキシド化合物(Macromolecules、1994、27、7228)などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)法などが挙げられる。本発明のブロックポリマーはいずれの方法により製造してもよいが、臭いが少ないことや、毒性が低いこと、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合(以下、ATRPと略記することがある)法を利用するのが好ましい。
原子移動ラジカル重合(ATRP)法の例としては、例えばMatyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614;Macromolecules,1995,28,7901;Science,1996,272,866;あるいはSawamotoら、Macromolecules,1995,28,1721;に記載される原子移動ラジカル重合法が挙げられ、これらの方法は本発明にも好ましく用いられる。これらの方法によれば、一般的には非常に重合速度が速く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合系であっても、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭い重合体が得られる。また、分子量はモノマーと開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。
以下、本願のブロックポリマーを製造するために特に好ましい方法である原子移動ラジカル重合(ATRP)法を例として、詳細に説明する。
原子移動ラジカル重合(ATRP)法においては、一官能性、二官能性もしくは多官能性の有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いることができる。これらは目的に応じて使い分ければよいが、ジブロックポリマーを製造する場合は、開始剤として一官能性化合物を使用するのが好ましく、トリブロックポリマーを製造する場合は、二官能性化合物を使用するのが好ましく、さらに、分岐状ブロックポリマーを製造する場合は、多官能性化合物を使用するのが好ましい。
開始剤として使用可能な一官能性化合物としては、例えば、以下の式で表される化合物が挙げられる。C−CHX、C−C(H)(X)−CH、C−C(X)(CH、R10−C(H)(X)−COOR11、R10−C(CH)(
X)−COOR11、R10−C(H)(X)−CO−R11、R10−C(CH)(X)−CO−R11、R10−C−SOX、式中、Cはフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表す。R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。R11は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
開始剤として使用可能な二官能性化合物としては、例えば、以下の式で表される化合物が挙げられる。X−CH−C−CH−X、X−CH(CH)−C−CH(CH)−X、X−C(CH−C−C(CH−X、X−CH(COOR12)−(CH)n−CH(COOR12)−X、X−C(CH)(COOR12)−(CH)n−C(CH)(COOR12)−X、X−CH(COR12)−(CH−CH(COR12)−X、X−C(CH)(COR12)−(CH−C(CH)(COR12)−X、X−CH−CO−CH−X、X−CH(CH)−CO−CH(CH)−X、X−C(CH−CO−C(CH−X、X−CH(C)−CO−CH(C)−X、X−CH−COO−(CH−OCO−CH−X、X−CH(CH)−COO−(CH)n−OCO−CH(CH)−X、X−C(CH−COO−(CH−OCO−C(CH−X、X−CH−CO−CO−CH−X、X−CH(CH)−CO−CO−CH(CH)−X、X−C(CH)2−CO−CO−C(CH−X、X−CH−COO−C−OCO−CH−X、X−CH(CH)−COO−C−OCO−CH(CH)−X、X−C(CH−COO−C−OCO−C(CH−X、X−SO−C−SO−X式中、R12は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表し、1分子中に2以上のR12が存在するとき、2以上のR12は同一であっても異なっていてもよい。Cはフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表す。Cはフェニル基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。
開始剤として使用可能な多官能性化合物としては、例えば、以下の式で表される化合物が挙げられる。C−(CH−X)、C−(CH(CH)−X)、C−(C(CH−X)、C−(OCO−CH−X)、C−(OCO−CH(CH)−X)、C−(OCO−C(CH−X)、C−(SO−X)3式中、Cは三置換フェニル基(置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい)を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。
また、重合の開始点となるハロゲンの他に、さらに重合を開始する以外の官能基を有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端に官能基が導入された重合体が得られる。このような官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基などがあげられる。
これらの開始剤として使用可能な有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基もしくはフェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する化合物である。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロックポリマーの分子量を制御できる。
前記原子移動ラジカル重合(ATRP)法の触媒として用いられる遷移金属触媒としては、特に制限はないが、周期律表第8族、9族、10族、および11族元素から選ばれる金属を中心金属とする金属錯体が好ましく、なかでも中心金属としては1価および0価の
銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルがより好ましい。更には、コストや反応制御の点から銅の錯体を用いるのが好ましい。前記金属触媒として錯体を用いる場合、あらかじめ合成した錯体を重合系内に添加してもよいし、金属塩と該金属に配位結合して錯体を形成する配位子とを各々重合系内に添加して、系内で錯体を生成させてもよい。
前記原子移動ラジカル重合(ATRP)法の触媒として使用可能な1価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などが挙げられる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミン化合物などを配位子として添加することができる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、および2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も触媒として好ましい。
中でも、ハロゲン化銅および銅に配位結合可能なアミン化合物から得られる金属錯体を金属触媒として用いることが好ましい。このとき、ハロゲン化銅および銅に配位結合可能なアミン化合物は、別々に重合系内に添加するのが好ましい。ハロゲン化銅としては塩化第一銅または臭化第一銅が好ましい。アミン化合物としては2,2’−ビピリジル、テトラメチルエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンを用いるのが好ましい。
使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に制限されず、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。
本発明のブロックポリマーを製造する際の重合反応は、無溶媒(塊状重合)または各種の溶媒中で行うことができる。溶媒を用いる場合、用いる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒(以下、「アルコール類」と略記することがある);アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒;その他、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、水などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする撹拌効率の関係(すなわち、これらに影響される反応速度)から適宜決定すればよい。
溶媒としてはアルコール類及び/又は水を使用することが好ましい。なかでも、溶媒中のアルコール類及び/又は水の含有量が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。なかでも、溶媒のアルコール類及び水の比が0/100〜95/5(重量比)の範囲であることが好ましい。より好ましくは20/80〜95/5であり、更に好ましくは50/50〜95/5であり、最も好ましくは70/30〜90/10である。
特に、前記原子移動ラジカル重合(ATRP)法を用いる場合では、上記のような溶媒を用いることが特に好ましい。
また、人体への影響の観点から、アルコール類の中でもエタノール、イソプロパノールが好ましく、最も好ましくはエタノールである。
また、前記重合は、反応圧力に応じて溶媒の融点から沸点の温度範囲で行うことができ、20〜150℃の範囲で行うのが好ましい。
前記重合によりブロックポリマーを製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などが挙げられる。これらの方法は目的に応じて使い分ければよいが、製造工程の簡便性の点から、単量体を逐次添加する方法またはあらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法が好ましい。
本発明のブロックポリマーにおいては、単量体を逐次添加することによりブロック(A)を重合した後にブロック(B)を重合する方法が、製造工程の簡便性の点から好ましい。
重合により得られたブロックポリマーは、そのまま本発明の化粧料組成物や毛髪洗浄剤組成物に用いてもよく、もしくは後処理を施した後に用いてもよい。後処理としては、加水分解処理、四級化処理、アミンオキシド化処理等が挙げられる。後処理を行なう場合は、後処理による変性率をコントロールすることにより、得られるブロックポリマーの水溶性、被膜形成能等の諸特性を、用途に応じた所望の範囲とすることができる。
例えば、加水分解処理によって、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等からなるブロックから、親水性基であるカルボン酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸等由来のブロックを形成することができる。
エステルの加水分解処理は、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒または水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を用いて行うことができる。加水分解率(変性率)は触媒量および反応時間により制御可能である。加水分解後、生成したカルボン酸を部分的にまたは完全に中和してから使用することもできる。中和には、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミンなどのアミン化合物;などの塩基が用いられる。
また、アミノ基を有する(メタ)アクリレート等からなるブロックを、四級化処理することによって、カチオン性基である第四アンモニウム基を有するブロック(例えば、前記一般式(2)で表されるブロック)を形成することができる。四級化処理は、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル類;ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸類、N−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド等の第3級アミン鉱酸塩のエピクロルヒドリン付加物;塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸;等のカチオン化剤を用いて行うことができる。
また、アミノ基を有する(メタ)アクリレート等からなるブロックを、アミンオキシド化処理することによって、分極性基であるアミンオキシド基を有するブロックを形成することができる。アミンオキシド化処理は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等の過酸化物またはオゾン等の酸化剤を用いて行うことができる。
各ブロック及びブロックポリマーの数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定でき、本発明においては、ブロック(A)の数平均分子量は1,000以上、500,000以下が好ましく、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは5,000以上であって、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは20,000以下である。ブロック(A)の数平均分子量が1,000以上であると、ブロック構造としての特徴が示され、化粧料組成物や毛髪洗浄剤組成物とした際の分散性や乾燥後のサラサラ感に優れ、ゴワツキが少ない等の感触などが良好となるため好ましい。また、500,000以下であると、粘度が高くなりすぎず適度な範囲となるため、製造上取り扱いが容易であり好ましい。
ブロック(B)の数平均分子量は1,000以上、500,000以下が好ましく、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは5,000以上であって、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは20,000以下である。ブロック(B)の数平均分子量が1,000以上であると、ブロック構造としての特徴が示され、化粧料組成物や毛髪洗浄剤組成物とした際の分散性やすすぎ時のなめらかさ等の感触などが良好となるため好ましい。また、500,000以下であると、粘度が高くなりすぎず適度な範囲となるため、製造上取り扱いが容易であり好ましい。
なお、各ブロックポリマーの数平均分子量は、ブロック1つ当たりの数平均分子量を指す。
ブロックポリマーの数平均分子量は3,000以上、900,000以下が好ましく、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上であって、より好ましくは300,000以下、更に好ましくは100,000以下である。ブロックポリマーの数平均分子量が3,000以上であると高分子としての働き、化粧料組成物や毛髪洗浄剤組成物とした際の分散性やすすぎ時のなめらかさ等の感触などが良好となるため好ましい。また、900,000以下であると、粘度が高くなりすぎず適度な範囲となるため、製造上取り扱いが容易であり好ましい。
本発明のブロックポリマーはその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;以下、PDと略記することがある)が、2.5以下であることが好ましい。より好ましくは2.2以下であり、更に好ましくは2.0以下であり、最も好ましくは1.8以下である。PDが2.5以下であると、ポリマーの均一性が高くなり、分散安定性などが良好となり好ましい。また、通常1.1以上であることが好ましい。
本発明のブロックポリマーは、化粧料組成物に好適に用いることが出来る。なかでも洗浄剤組成物のコンディショニング成分として好適であるため、ボディーソープやシャンプー、コンディショナー等の洗浄剤組成物に好ましく用いられ、特に毛髪洗浄剤組成物に好ましく用いることが出来る。
本発明の化粧料組成物は、前記のブロックポリマーを処方系内に所要量配合することにより調製することができる。化粧料組成物中に含有される他の成分は特に限定されず、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。ブロックポリマー以外の他の成分として具体的には、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、本発明のブロックポリマー以外の水溶性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、油分、パール化剤等がある。
但し、洗浄剤組成物は少なくとも1種の界面活性剤及び水を含むのが好ましい。なかでも、アニオン性界面活性剤を含むと、カチオン性基を有する本発明のブロックポリマーとコンプレックスを形成しやすく好ましい。洗浄剤組成物中のアニオン性界面活性剤の濃度は5〜40重量%が好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。また、洗浄剤組成物中のブロックポリマーの濃度は0.01〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.05〜3重量%である。アニオン性界面活性剤及びブロックポリマーを上記の濃度範囲とすることにより、得られた洗浄剤組成物中にアニオン性界面活性剤とブロックポリマーとのコンプレックスが形成されやすく、洗髪やすすぎの際にこのコンプレックスが析出し、毛髪に付着することにより良好な指通り性を与える。
アニオン性界面活性剤の濃度を5重量%以上とすることにより、洗浄剤組成物としての機能をより効果的に発揮できる。より好ましくは10重量%以上である。逆に40重量%以下とすることにより、粘度を適度に保つことができ、より扱い易くなる。より好ましくは30重量%以下である。
ブロックポリマーの濃度を0.01重量%以上とすることで、界面活性剤とのコンプレックスが生成しやすくなり、コンディショニング効果がより発現でき、例えばすすぎ時のなめらかさや乾燥後のサラサラ感がより高まる。より好ましくは0.05重量%以上であり、更に好ましくは0.1重量%以上である。逆に洗浄剤組成物中のブロックポリマーの濃度を5重量%以下とすることで、乾燥後の違和感が少なくなる傾向にある。より好ましくは3重量%以下であり、更に好ましくは1重量%以下である。
洗浄剤組成物中に配合することのできる、界面活性剤を下記に例示する。
アニオン性界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩、脂肪族カルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、等の洗浄剤組成物に常用されているものを用いればよい。これらのアニオン性界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤は複数種を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン、スルホベタイン、アミドプロピルベタインなどベタイン基と長鎖アルキル基を含有するもの等が挙げられる。このような両性界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。なかでも長鎖アルキルアミドプロピルベタインは泡立ち及び洗浄性の点から好ましく用いられる。両性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10重量%とする。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。このようなノニオン性界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。なかでも脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドは泡立ち及び粘度調整剤となりうる等の点から好ましく用いられる。ノニオン性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10重量%とする。
半極性界面活性剤としては、例えば、ラウラミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)が挙げられる。半極性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10重量%とする。
なかでも好ましい洗浄剤組成物としては、アニオン性界面活性剤を5〜40重量%、ブロックポリマーを0.01〜5重量%の他に、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤を合計0〜10重量%含有するものであり、シャンプーなどの毛髪洗浄剤組成物として特に優れた効果を示す。
このとき両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤は、合計量が0〜10重量%であれば、いずれか1種のみを用いてもよいし、2種又は3種以上を併用してもよい。
洗浄剤組成物中に配合することのできる、その他の任意成分を下記に例示する。
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。カチオン性高分子としては、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、カチオン変性グアーガム誘導体、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。また、アニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が、ノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)が、そして両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。これらは、0.1〜1重量%含有させることが好ましい。
油分としては、高級アルコール、シリコーン油、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル油等が挙げられる。なかでもシリコーン油及び/又は高級アルコール、特にシリコーン油を配合すると、乾燥後のサラサラ感が向上するため本発明の目的において特に有効である。シリコーン油としては不揮発性のポリジメチルシロキサン類を使用することが好ましい。高級アルコールは通常、炭素数8以上のアルコールを指すが、炭素数8〜22のアルコールを使用するのが好ましく、セチルアルコール(セタノール)又はステアリルアルコールを使用することがより好ましい。油分は、0.1〜3重量%含有させることが好ましい。
パール化剤として、ジステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エチレングリコール等、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等が挙げられる。パール剤は、0.1〜2重量%含有させることが好ましい。
その他の成分として、動植物の天然エキス及びその誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、保湿剤(グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、起泡増進剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<製造例1>
ブロック(A−1)の製造;
H字管の一方に、開始剤としてジエチルmeso−2,5−ジブロモアジペート(DBAE) 248mg(0.69mmol)、ビニル系単量体(X)としてヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA) 4g(35mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。更にH字管のもう一方に、金属源として塩化銅(I)(CuCl) 68mg(0.69mmol)、および配位子である(トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(MeTREN) 162mg(0.69mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。次にH字管の双方の試料を、各々アルゴンで5分間バブリングした後、両方の試料を混合し20℃で重合を開始し、そのまま20℃に保持した。重合開始から1時間後に、液体窒素で冷却して反応を停止し、アセトンを加えてポリマーを沈殿させ精製した。このときのポリマーの収率は80%であった。
得られたポリマーを更にシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、ブロック(A−1)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製、SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010;
カラム:和光純薬工業株式会社 Wakopak (Wakobeads G−50/G−40); 展開溶媒(重量比):水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定を行い、得られた数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn:PD)の結果を表1に示した。
ブロックポリマー(イ)の製造;
H字管の一方に、高分子開始剤として共重合ブロック(A−1) 2g(HEAAとして17mmol)、ビニル系単量体(Y)としてトリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド=クロライド(DMAPAAC) 1.8g(8.7mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒8mlに溶解させた。更にH字管のもう一方に、金属源として塩化銅(I)(CuCl) 16.8mg(0.17mmol)、および配位子である(トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(MeTREN) 40mg(0.17mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒8mlに溶解させた。次にH字管の双方の試料を、各々アルゴンで5分間バブリングした後、両方の試料を混合し20℃で重合を開始し、そのまま20℃に保持した。重合開始から10時間後に液体窒素で冷却して反応を停止し、アセトンを加えてポリマーを沈殿させ精製した。
得られたポリマーを更にシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、ブロックポリマー(イ)を得た。得られたブロックポリマー(イ)についてブロック(A−1)と同様の方法で数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;PD)を表1に示した。また、塩素イオン濃度とDMAPAACの濃度が等しいと仮定し、塩素イオン濃度からブロックポリマー中のDMAPAAC比率を算出した。この塩素イオン濃度から算出したブロックポリマーの構成比は[DMAPAAC]/[HEAA]/[DMAPAAC]=15/70/15(mol比)であった。
<製造例2>
ブロックポリマー(ロ)の製造;
H字管の一方に、開始剤としてジエチルmeso−2,5−ジブロモアジペート(DBAE)124mg(0.34mmol)、ビニル系単量体(X)としてヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA) 4g(35mmol)をエタノール/水=1/1(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。更にH字管のもう一方に、金属源として塩化銅(I)(CuCl) 34mg(0.34mmol)、および配位子である(トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(MeTREN) 81mg(0.34mmol)をエタノール/水=1/1(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。次にH字管の双方の試料を、各々アルゴンで5分間バブリングした後、両方の試料を混合し20℃で重合を開始し、そのまま20℃に保持した。重合開始から1.5時間後に、重合させた一部を分析用に採取し、得られた数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn:PD)の結果を表1に示した(ブロック(A−2))。
続けて、ビニル単量体(Y)としてアルゴン置換したトリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド=クロライド(DMAPAAC)75%水溶液 6.3g(23mmol)をH字管内のブロック(A−2)を含む反応溶液に混合し室温で3時間攪拌した。反応溶液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ブロックポリマー(ロ)を得た。得られたブロックポリマー(ロ)の数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;PD)を表1に示した。また、塩素イオン濃度から算
出したブロックポリマーの構成比は[DMAPAAC]/[HEAA]/[DMAPAAC]=18/64/18(mol比)であった。
なお、得られたポリマーをカラムクロマトグラフィーを用いて精製する条件、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定条件は製造例1と同様である。
<製造例3>
ブロックポリマー(ハ)の製造;
H字管の一方に、開始剤としてジエチルmeso−2,5−ジブロモアジペート(DBAE) 83mg(0.23mmol)、ビニル系単量体(X)としてヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA) 4g(35mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。更にH字管のもう一方に、金属源として塩化銅(I)(CuCl) 23mg(0.23mmol)、および配位子である(トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(MeTREN) 54mg(0.23mmol)をエタノール/水=8/2(重量比)の混合溶媒17mlに溶解させた。次にH字管の双方の試料を、各々アルゴンで5分間バブリングした後、両方の試料を混合し40℃で重合を開始し、そのまま40℃に保持した。重合開始から40分後に、重合させた一部を分析用に採取して分析を行い、得られた数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn:PD)の結果を表1に示した(ブロック(A−3))。
続けてビニル系単量体(Y)としてアルゴン置換したトリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド=クロライド(DMAPAAC)75%水溶液 18g(29mmol)をH字管内のブロック(A−3)を含む反応溶液に混合し室温で8時間攪拌した。反応溶液をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ブロックポリマー(ハ)を得た。得られたブロックポリマー(ハ)の数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;PD)を表1に示した。また、塩素イオン濃度から算出したブロックポリマーの構成比は[DMAPAAC]/[HEAA]/[DMAPAAC]=20/60/20(mol比)であった。
なお、得られたポリマーをカラムクロマトグラフィーを用いて精製する条件、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定条件は製造例1と同様である。
<製造例4>
ブロックポリマー(ニ)の製造;
開始剤としてエチル2−クロロプロピオネート(ECP) 32mg(0.23mmol)を用いたこと以外は、製造例3のブロックポリマー(ハ)と同様にしてブロック(A−4)及びブロックポリマー(ニ)を得た。得られたブロック(A−4)及びブロックポリマー(ニ)の数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;PD)を表1に示した。また、塩素イオン濃度から算出したブロックポリマーの構成比は[DMAPAAC]/[HEAA]=40/60(mol比)であった。
なお、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定条件は製造例1と同様である。
Figure 2010222535
<比較製造例1>
ランダムポリマー(ホ)の製造;
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器にエタノール150gを仕込み、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA) 57g(0.50mol)、トリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド=クロライド(DMAPAAC)75%水溶液 57g(0.21mol)、及びエタノール50gの混合液(以下、単量体混合液と呼ぶ)を滴下ロートに仕込んだ。反応器及び滴下ロート内を窒素置換したのち反応器内のエタノールを80℃まで加熱した。そこへジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1gを反応器に投入した後、滴下ロート内の単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後から温度を78℃に保持し、4時間反応させて得られた反応液を真空加熱乾燥し、ランダムポリマー(ホ)を得た。数平均分子量(Mn)は30,000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;PD)は2.2であった。また、塩素イオン濃度から算出した構成比は[DMAPAAC]/[HEAA]=30/70(mol比), 43/57(重量比)であった。
なお、得られたポリマーをカラムクロマトグラフィーを用いて精製する条件、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定条件は製造例1と同様である。
ブロックポリマー(イ)〜(ニ)及びランダムポリマー(ホ)を用いて、下記表2に記載の組成のシャンプー組成物 SHP1〜6を作成した。配合方法は、シリコーン以外を混合して均一にした後、最後にシリコーンを混合することにより行った。作成したSHP1〜6を用いて、泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ、乾燥後のゴワツキ、シリコーン安定化効果を評価した。
Figure 2010222535
<評価>
SHP1〜6の各シャンプー組成物を、用意した毛束に塗布して下記項目をそれぞれ評価した。なお、使用した毛束は、「人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛 10g×30cm)」としてビューラックス社より購入した毛髪をブリーチ処理したものを使用した。ブリーチ剤としてはミルボン社製 プロマティスブレーブオキシタン6.0(過酸化水素6%クリーム)12gと、メロス化学社製 パウダーブリーチMR2 6gとを混合したものを毛束1本に塗布し、塗布後30分放置したのち、水洗及びラウロイル(EO)3硫酸ナトリウムを塗布して洗浄することにより行った。
シリコーン安定化効果以外の各性能の官能評価は、ランダムポリマー(ホ)を配合したシャンプー(SHP6)との比較により実施した。
[泡立ち]
毛束10gに40℃の流水で水を含ませた後、過剰な水分を落とし、シャンプー1gを塗布して泡立てる。このときの泡立ちの早さ及び泡のきめの細やかさ具合を、下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べて泡立ちの早さ、きめの細やかさ共に優れる
+1: SHP6に比べて泡立ちの早さ、きめの細やかさのどちらか一方が優れる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べて泡立ちの早さ、きめの細やかさのどちらか少なくとも一方が劣る
[すすぎ時のなめらかさ]
泡立ち評価の後、40℃の流水中で毛束をすすいだときの指通りのなめらかさ及びそのなめらかさの持続具合を、下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べてなめらかさ、持続性共に優れる
+1: SHP6に比べてなめらかさ、持続性のどちらか一方が優れる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べてなめらかさ、持続性のどちらか少なくとも一方が劣る
[乾燥後のサラサラ感]
すすぎ時のなめらかさ評価後の毛束を、23℃、60%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後、毛束のサラサラ感を下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べてサラサラ感が著しく優れる
+1: SHP6に比べてサラサラ感が優れる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べてサラサラ感が劣る
[乾燥後のゴワツキ]
サラサラ感を評価した毛束にて、ゴワツキを下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べてほとんどゴワツキを感じない
+1: SHP6に比べてゴワツキは少ないが、若干ゴワツキが感じられる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べてよりゴワツキを感じる
Figure 2010222535
[シリコーン安定化効果]
作成したシャンプー組成物 SHP1〜6を50℃で1週間保管したときのクリーミングの有無を、目視観察により下記の通り4段階で評価した。
+2: 均一でクリーミング現象は見られない
+1: 若干界面にシリコーンの凝集がみられるもののクリーミングはしていない
0 : クリーミングしているがシリコーンを含まない透明な部分は半分以下である
−1: クリーミングしておりシリコーンを含まない透明な部分は半分以上である
Figure 2010222535
表4より明らかなように、ブロックポリマー(イ)〜(ニ)は、シャンプー中のシリコーン油を安定化する効果が高い。
[リンス併用効果]
前述の官能評価と同様の要領で、リンス処理後の状態を評価した。
毛束10gに40℃の流水で水を含ませた後、過剰な水分を落とし、シャンプー1gを塗布して泡立てた。その後40℃の流水中で毛束をすすぎ、過剰な水分を落とした。リンス1gを塗布し髪全体になじませた後、40℃の流水中で毛束をすすぎ、23℃、60%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後に、毛束のサラサラ感及びゴワツキを評価した。
なお、使用したリンスは、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(カチオン性界面活性剤)2wt%、セチルアルコール(高級アルコール)3wt%、蒸留水95wt%の混合物を、80℃で30分加熱攪拌した後、空冷して作成した。
[乾燥後のサラサラ感]
リンスを併用して作成した毛束を、23℃、60%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後に、毛束のサラサラ感を下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べてサラサラ感が著しく優れる
+1: SHP6に比べてサラサラ感が優れる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べてサラサラ感が劣る
[乾燥後のゴワツキ]
サラサラ感を評価した毛束にて、ゴワツキを下記の通り4段階で評価した。
+2: SHP6に比べてほとんどゴワツキを感じない
+1: SHP6に比べてゴワツキは少ないが、若干ゴワツキが感じられる
0 : SHP6と同程度
−1: SHP6に比べてよりゴワツキを感じる
Figure 2010222535

Claims (19)

  1. 水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(A)と、カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)に由来する構成単位に相当する構造を含有するブロック(B)、とを有するブロックポリマー。
  2. 水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)が、式(1)で表わされるものである、請求項1に記載のブロックポリマー。
    CH=C(R)−CO−NR−(CH−OH (1)
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、aは2〜4の整数を表す。)
  3. 水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体(X)がN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及び/またはN−ヒドロキシエチルメタクリルアミドである、請求項2に記載のブロックポリマー。
  4. カチオン性基を有するビニル系単量体(Y)が、式(2)で表わされるものである、請求項1〜3のいずれかに記載のブロックポリマー。
    CH2=C(R3)−CO(O)b−(NH)1-b−(CH2)c−N+R4R5R6・X- (2)
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N・Yを表わし、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表わす。X及びYは、それぞれ独立して陰イオンを表わす。bは0又は1、cは1〜10の整数を表わす。)
  5. ブロック(A)の含有量がブロックポリマー中に20〜90重量%であり、ブロック(B)の含有量がブロックポリマー中に10〜80重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のブロックポリマー。
  6. ブロック(A)と(B)が直鎖状に連結している、請求項1〜5のいずれかに記載のブロックポリマー。
  7. ブロック(A)と(B)がB−A−Bの順で連結するBAB型トリブロック構造を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のブロックポリマー。
  8. ブロック(A)の数平均分子量が1,000〜500,000、ブロック(B)の数平均分子量が1,000〜500,000であり、且つブロックポリマーの数平均分子量が3,000〜900,000である、請求項1〜7のいずれかに記載のブロックポリマー。
  9. ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、2.5以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のブロックポリマー。
  10. 原子移動ラジカル重合(ATRP)法により合成された、請求項1〜9のいずれかに記載のブロックポリマー。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロックポリマーを含有する、化粧料組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロックポリマーを含有する、毛髪洗浄剤組成物。
  13. さらに、界面活性剤及び水を含有する、請求項12に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  14. さらに、シリコーン油を含有する、請求項12又は13に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロックポリマーの製造方法であって、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第8族、9族、10族及び11族元素から選ばれる金属を中心金属とする金属錯体を触媒として用いるブロックポリマーの製造方法。
  16. 触媒が、ハロゲン化銅およびアミン化合物から得られる金属錯体である、請求項15に記載のブロックポリマーの製造方法。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロックポリマーの製造方法であって、ブロックポリマーの重合時に、溶媒としてアルコール類及び/又は水を使用するブロックポリマーの製造方法。
  18. 溶媒のアルコール類及び水の比が0/100〜95/5(重量比)である、請求項17に記載のブロックポリマーの製造方法。
  19. ブロック(A)を重合した後にブロック(B)を重合する、請求項15〜18のいずれかに記載のブロックポリマーの製造方法。
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