JP2010206074A - 半導体光素子と半導体太陽電池 - Google Patents

半導体光素子と半導体太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、従来は理想でしかなかった量子ドット導入層の多層化活性層を実現しすることを目的とする。
【解決手段】
本発明は、量子ドットが導入された層が多層化されてなる活性層を有する光素子であって、前記活性層の格子歪みがないことを特徴とし、前記の光素子において、前記量子ドットと、それを導入する母体とが、両者の格子定数が0.5%以下である材料よりなることを特徴とする。
本発明は、前記の光素子において、前記量子ドットを構成する材料よりも、これらが導入されている母体の材料のバンドギャップエネルギーが大きいことを特徴とし、活性層の上下に電極を配してなる太陽電池であって、前記活性層が、本発明のいずれかに記載の活性層であることを特徴とする。
本発明は、前記の太陽電池において、前記活性層を構成する量子ドットがGaAsからなり、その母体がAlGa1−xAs(0<x≦1)からなることを特徴とする。
【選択図】 図12

Description

本発明は、量子ドットからなる層が多層化されてなる活性層を有する半導体光素子、とこのような活性層を持った半導体太陽電池に関する。
光学センサーや光通信、デジタルカメラのCCDなどに用いられる光素子や、太陽光により発電する半導体太陽電池等の光素子は、その活性層の性能により、その目的とする性能が大きく左右されるものである。以下、半導体太陽電池を例にして説明する。
半導体太陽電池としては、シリコン、GaAs(ガリウムと砒素により構成される。二元の化合物半導体)、InP(インジウムと燐により構成される二元の化合物半導体)などが主に用いられ、単接合の場合その変換効率の理論限界は30%程度であって、所要の電力を得る為には、大面積にしなければならず、高コストにならざるを得ない。この効率の理論限界は、図1に示すように半導体のバンドギャップよりもエネルギーの大きな光を照射した際に生成した電子・正孔対はすぐにバンド端のエネルギーまで緩和するためそのエネルギーを損失すること、及び、バンドギャップよりも小さな光に対しては、半導体は透明であるため、その光は全く利用することはできないこと等に起因する。
そこで、従来から太陽電池の効率を向上する為に種々な努力がなされていて、例えば、光検知層、即ち、活性層中に量子ドットを導入した構造のものが提案されている。図3に示すように、量子ドットを導入することにより、活性層の母材による光吸収に、それよりもバンドギャップの小さい量子ドットによる光吸収が加わる事により、より効率良く太陽光を利用することができるようになる。
なお、本明細書では、量子ドットとは、10ナノメートル程度(ド・ブロイ波長程度)のサイズの半導体のナノ構造で、その中では電子(正孔、励起子)は3次元全ての方向において閉じ込められるものをいう。量子ドットにおいては、電子準位は完全に離散化されている。
量子ドットを用いる理由は、特許文献2の0020欄に記載されているように、量子ドット中では電子準位が完全に離散化されているため、フォノンボトルネックにより、一度上の準位に上がった電子が下の準位に落ちにくくなる効果等が期待できるためである。
なお、本明細書では、フォノンボトルネックとは、フォノンの放出により量子ドット中で生じる電子又は正孔のエネルギー緩和の抑制現象のことをいう。
例えば、特許文献1には、pin太陽電池の活性層であるi層に於ける量子井戸中に量子ドットを形成した構造に関する発明が開示されていて、量子井戸が感応する波長以外の長波長光にも感応するようになっている。また、特許文献3には、母材料と量子ドット材料の格子定数の違いによる格子歪みを利用して自己形成される量子ドット(格子不整合系量子ドットと呼ばれる)を導入する発明が開示されている。また、特許文献2では、量子ドット材料のバンド構造を変化させることによる高効率化に関する発明が開示されている。
なお、格子不整合系とは母材料と量子ドット材料の格子定数がそれぞれaおよびbとすると、a1bの場合格子不整合となるが、ここでは、[0014]の項目で述べる理由により、その差が0.5%以上の場合格子不整合系とする。またそれ以下の場合を格子整合系とする。転位等の導入が無い場合、この格子定数差による{100x(b−a)/a}%の格子歪みが量子ドット材料に生じる。
<既存技術の問題点>
太陽電池構造に導入する量子ドットとして、特許文献1の0018〜0024欄の量子ドット作製法は、いわゆるナノ加工技術による手法で、
(1)リソグラフィー過程により量子ドットの品質低下が顕著となる、
(2)高密度の量子ドットを積層化して作製するためには、プロセスが複雑化しコストが増加するため現実的ではない。
なお、本明細書では、リソグラフィー過程とは、光、電子などによりマスクパターンを描画し、そのパターンに従って材料をエッチングしたり、穴を開けたりする工程をいう。
また、特許文献1の0025〜0033欄、特許文献3の0015−0016欄、非特許文献1の図1では格子不整合系自己形成量子ドットを使用する方法が記載されている。(この場合はInAs/GaAs)しかし、非特許文献1のFig.5に記載されているように、格子不整合系では量子ドット積層数が増加すると格子不整合に起因する格子歪みが蓄積し、素子の特性が大幅に低下することが知られている。また、積層数が増加した場合には、量子ドットの形成そのものが生じなくなることも報告されている。図4に実際の電子顕微鏡像示す。
なお、本明細書では、自己形成量子ドットとは、面内に均一に材料を供給しているにもかかわらず、3次元的な構造が自動的に形成される現象(自己形成)により生成された量子ドットのことをいう。
これらの問題を解決する手法として、非特許文献2のFig.5に記載されているように量子ドット層間の中間層の格子定数を調節する事によりトータルの格子不整合に起因する格子歪みを補償させる試みもなされているが(図5に示す)、現在のエピタキシャル成長技術では、このアイデアを実現できる材料系は限られており、また、極めて精密なエピタキシャル成長制御が必要となるため、実用上現実的ではない。
量子ドットを導入した太陽電池を用いて、十分な効率を得るためにはどのくらいの量子ドットが必要かという見積は未だ確立されていないが、光吸収係数から簡単な見積を行うことができる。GaAsを例にすると、2eVの室温に於ける吸収係数(α)は4x10/cmである。(図6に示す)これは、強度Iの光が厚さxcmの半導体中に入射した時に出射光の強度(I)がI=I−axとなり残りが吸収される事を表している。例えば、GaAsに入射した2eVの光を99%吸収させるには、単純に膜厚に換算すると約1.2ミクロン程度の厚さが必要となる。量子ドットを導入した場合は、非特許文献3のFig.2に記載されているように、状態密度の先鋭化の効果により、特定の波長に於ける吸収係数は単位体積あたりでは一桁程度上昇することが期待される(図7に示す)。そのため極めて理想的な場合では量子ドットの総体積は膜換算で、120nm程度必要となる。
格子不整合系自己形成量子ドットは非特許文献4の図2に示すように一般的に一層あたりの二次元層に換算した際の膜厚は0.5nmから2nm程度である。一層あたりにそれ以上材料を供給すると転位等の発生により量子ドットの結晶品質が低下し、非発光性再結合の割合が大幅に増加する。すなわち太陽電池素子特性が低下する。一層あたり、0.5nmから2nm程度であるので、十分な光吸収を実現するためには、これらの量子ドットを成長方向に最低でも60層以上積層した構造を母体中に含有する事が必要なことが分かる。
上記の見積は極めて理想的な場合であり、実際には、量子ドット中に形成される励起準位等の影響により、これより遙かに多くの膜厚(=積層数)が必要となる。
すなわち、非特許文献1の図5に記載されているように、50層程度の量子ドット積層数により、転位等の欠陥が導入される材料系を用いた場合は十分な効率を有する太陽電池は実現できない。
本発明はこのような実情に鑑み、従来は理想でしかなかった量子ドット導入層の多層化活性層を実現しすることを目的とする。
発明1は、量子ドットが導入された層が多層化されてなる活性層を有する光素子であって、活性層中の母体材料と量子ドット材料の格子定数がほぼ同一で、量子ドット及び母体材料に殆ど格子歪みがないことを特徴とする。そのため、活性層全体には格子歪みは殆ど存在し無い。
発明2は、発明1の光素子において、前記量子ドットと、それを導入する母体とが、両者の格子定数が1%以下である材料よりなることを特徴とする。
発明3は、発明1又は2の光素子において、前記量子ドットを構成する材料よりも、これらが導入されている母体の材料のバンドギャップエネルギーが大きいことを特徴とする。
発明4は、活性層の上下に電極を配してなる太陽電池であって、前記活性層が、発明1から3いずれかに記載の活性層であることを特徴とする。
発明5は、発明4の太陽電池において、前記活性層を構成する量子ドットがGaAsからなり、その母体がAlGa1−xAs(0<x≦1)からなることを特徴とする。
発明1から発明3においては、格子不整合のないように量子ドットとその母体の材料関係を制御することで格子不整合による格子歪みに起因する転位等の欠陥の導入を妨げる効果を得ることを実現したことによる。
その為、本願発明では、従来にはない幅広い範囲で、その用途に適合した光吸収能を、層の積層数で設定できるのみならず、従来にはない高い光吸収性及び光電変換を発現させることができるようになった。
特に、太陽電池では、その理論的な効率に相当する効率をも実現することが可能である。
半導体太陽電池にバンドギャップより大きなエネルギーの光を照射した際のキャリア生成機構の模式図。 伝導帯(又は価電子帯)の上の方まで励起され、すぐに熱エネルギーを放出してバンド端まで緩和する。この際にエネルギーを損失する。 半導体太陽電池にバンドギャップより小さなエネルギーの光を照射した際のキャリア生成機構の模式図。このエネルギーの光に対しては半導体は透明で、全て透過してしまい、発電に寄与しない。この分の光は損失となる。 量子ドットを導入した半導体太陽電池に光を照射した際のキャリア生成機構の模式図。バンドギャップより小さなエネルギーの光に対しては半導体は透明であるが、量子ドットが導入された事により、よりエネルギーの低い光も吸収可能となり、発電効率が向上する。 非特許文献3のFig.5に示されているInAs量子ドット積層構造の断面TEM像。(a)に示すように10層程度の積層では、良好な量子ドットが形成可能であるが、50層積層した(b)では転位が形成され結晶品質が低下している。また、上部では量子ドットの形成そのものが観察されなくなっている。 非特許文献4のFig.5に示されているInAs量子ドット積層構造の断面TEM像。基板としてInPをもちいて、InAs量子ドットの歪みをドット中間層にInGaAlAsを用いることにより補償し、30層積層した後も転位等の形成を防ぐことに成功している。 GaAsの光吸収係数の波長依存性を示すグラフ。 2eV前後の光照射に対しては、4×10/cm程度の吸収係数となる。 非特許文献5のFig.2に示されている、量子ドットによる吸収係数の増大効果を示すグラフ。バルクでは、10/cm程度の光吸収係数は状態密度が先鋭化する事により10/cm以上に約一桁増大している。 格子整合系量子ドットを埋め込んだ光検知層の模式図。母材料と埋め込まれた量子ドットの格子定数差は0.5%以下であり、また、バンドギャップエネルギーは母材料の方が大きい。量子ドットを多積層化することにより、母材のバンドギャップよりもエネルギーの低い光を量子ドットにより効率良く吸収する事ができる様になる。 液滴エピタキシー法の模式図。GaAs基板上にAlGaAs層を成長させたのち、初めにGaのみを供給してGa液滴を形成する。続いて砒素を照射してこれを結晶化し、GaAs量子ドットを作製する。最後に、これをAlGaAsで埋め込むことにより、AlGaAs中に埋め込まれた格子整合系量子ドットが自己形成される。 AlGaAs上に液滴エピタキシー法により形成したGaAs量子ドットを示す原子間力顕微鏡の写真。量子ドットの密度は、3×1010/cm AlGaAs中に埋め込んだ液滴エピタキシー法により形成したGaAs量子ドットを示す走査過型電子顕微鏡写真。白い部分が量子ドット。格子像の解析により、結晶性の優れた量子ドットが、ほぼ無歪みに形成されていることが確認さられた。 実施例2の分子線エピタキシー装置によりエピタキシャル成長した構造を示す模式図。光を照射すると、ドーピングをしていないAlGaAs層及び量子ドット層で光を吸収し電子正孔対を生成し、発電効果が得られる。 図12の構造に電極をつけて作製した実施例2の太陽電池素子の写真 下部のインジウム電極及び上部のAu電極にリード線を取り付けて太陽電池動作をする。 実施例2の太陽電池素子の発電特性。疑似太陽光を照射しながら電流電圧特性を測定した。開放電圧0.34V、短絡電流4.7μA、最大出力0.98μWの太陽電池素子が作製されていることが分かる。変換効率は約0.5%、曲線因子は61%である。 実施例2の太陽電池素子に、分光した光を照射した際の短絡電流の照射光の波長依存性を示すグラフ。エネルギー準位を明確にするために、同じ試料の発光特性も示す。 図6に分光した光を太陽光発電素子に照射し、波長に依存した発電特性を測定したところ、650nm 以下の波長でのAlGaAs層に起因する発電効果に加えて、650〜750nmの波長帯でのGaAs量子ドットに起因する発電効果が起こっていることが明確に観察された。これにより、量子ドットにより吸収された光がAlGaAs層だけの場合に比べて付加的な電力を発生させ、高効率化に寄与することが証明された。
以下の実施例では、本願発明の特徴が最も活かせる例として、太陽電池を対象にしているが、格子整合系量子ドットの積層技術は、他の光学系素子に適用可能なものであって、例えば、光感知素子、発光素子等においても有効に利用可能である。
本発明では、母体となる半導体材料と量子ドット材料の格子定数差は、積層すべき総数の数が多いほど少なくするのが望ましい。積層数が多い場合は、母材と量子ドット材料の格子定数差は、0.5%以下とするのが望ましい。
これを超える格子定数差の量子ドットを積層すると上部の層に於いて転位等の欠陥が形成され素子特性が悪化する。少なくとも母材料と量子ドットの格子定数差がこれ以下である材料の組み合わせを格子歪みが無い系とする。
量子ドットを積層した際に、格子不整合による格子歪みに由来する欠陥等の導入を防ぐために許容可能な格子定数差の数値は、非特許文献7中で用いられている手法により大まかな見積を導出する事ができる。この文献では、格子定数の異なる材料を母材上に堆積した際に、転位等の欠陥を生じることなく堆積可能な層厚の見積のやり方が記載されている。例として、A(格子定数はaとする)という材料の基板の上に、B(格子定数はbとする)という材料の量子ドットをAの中間層をはさんで積層する場合を考える。典型的な例として量子ドット層は一層あたり2nm、中間層は10nmとする。蓄積する格子不整合に起因する格子歪みの見積は、中間層と量子ドット層の平均で考えると、実質的には厚さ12nm、格子定数(a×10+b×2)/12の層を60層積層すると見なせる。その結果、前述の層に許容される格子不整合(格子定数差)は約0.09%となる。そのため、量子ドットの格子定数bに許容されるaに対する格子不整合は0.5%程度となる。
実施例1では、材料系としてGaAs/AlGaAsを用いたが、液滴エピタキシー法は、III族元素が低融点金属で、格子整合系であればどのような系に於いても適用できる事から、(1)GaAs(格子定数:0.565nm)/AlGa1−xAs(0<×≦1)(格子定数:0.565〜0.566nm)、(2)GaAs(格子定数:0.565nm)/Al0.49In0.51P(格子定数:0.565nm)、(3)GaAs(格子定数:0.565nm)/Ga0.51In0.49P(格子定数:0.566nm)、(4)Ga0.47In0.53As(格子定数:0.584nm) /InP(格子定数:0.587nm)、(5)Ga0.47In0.53As(格子定数:0.584nm)/Al0.48In0.52As(格子定数:0.587nm)、等の材料系に於いても同様に適用可能である。これらの組み合わせにお於ける格子不整合はそれぞれ、(1)0〜0.13%、(2)0%、(3)0.03%、(4)0.4%、(5)0.4%である。
また、実施例1の量子ドットは、GaAs(100)基板上に作製したが、特許文献5、非特許文献6に記載されているようにGaAs(311)A面及びGaAs(111)A面等他の面を用いた場合に於いても同様に格子整合系量子ドットは作製できることは明らかである。
さらに実施例2では分子線エピタキシーによる成長例を示したが、高品質のエピタキシャル成長が行える装置であれば素子作製は可能であり、有機金属気相エピタキシー法においても同様な結果が期待できる。
光検知の活性層として図8に示すように、格子整合系自己形成量子ドットを母体材料中に埋め込んだ構造を用いた太陽電池を例にして、本発明の原理を説明する。
母体材料の方が量子ドットよりバンドギャップエネルギーは大きい。
この構造に母体材料より高エネルギーの光を照射すると、母体層により主に吸収され、電子・正孔対を生じる。
量子ドットと母体材料のバンドギャップの間のエネルギーの光は、量子ドットを介して吸収され、電子・正孔対を生じる。その後、さらなる(1)光吸収、(2)熱による励起、(3)トンネル効果、によりこの電子と正孔は母体材料中に取り出される。
一度、母体材料中に移動した電子と正孔は、フォノンボトルネック効果により、再度量子ドットに緩和する確率は低く、効率よく電流として取り出す事ができる。
上記の光検知層は、p−i−n構造またはn−i−p構造のpn接合型太陽電池、または、n−i−金属、または、p−i−金属のショットキー接続型太陽電池構造のi層に挿入され、そこで生成した電子及び正孔が電流として、電極から取り出される。
下記実施例2では、10層の積層構造を作製したが、実施例1に示すように、量子ドットは母材と完全に格子整合しており、積層数は無制限に増加させる事ができる。
実施例3では、試験を簡略化するために単純な素子を作製したため太陽電池の素子効率は0.5%であったが、これは、
I 半透明電極による光の損失、
II ショットキー型太陽電池による電圧損失、
III 表面反射による光の損失、
IV キャリアの表面再結合による電流損失、
V 量子ドットの総数不足による光の損失
などによる。
これらの問題点の解決は、既に実用化されている技術常識をもって容易に行える事項であるから、その詳細は省略するが、これら従来技術を以下の実施例2に適用することにより、理論効率に近い発電効率が得られるものである。
実施例3で量子ドットによる発電の寄与が母材に比べて1/10〜1/100となっていたが、実施例1に明らかにした積層数の無制限化の事実からすれば、例えば、量子ドット積層数を100層〜1000層に増加させる事により、母材と同レベルの発電効率が実現できること示していることとなる。
(格子整合系量子ドット作製例)
格子整合系自己形成量子ドットの作製例を示す。材料系としては、格子不整合が殆ど無いGaAs量子ドット/Al0.3Ga0.7Asを用いた。格子整合系量子ドット作製法としては、非特許文献5、特許文献4、特許文献5に記載されている液滴エピタキシー法を用いた。液滴エピタキシー法の模式図は図9に示す。市販の固体ソース分子線エピタキシー装置(フランスRIBER社製32システム)を用いて、GaAs(100)基板(AXT社製2インチ基板)上に成長したAlGaAs上に量子ドットを形成した。
初めに、基板温度200度でGa(純度8N)のみをGaAsに換算して5分子層相当供給する。これにより、Gaの液滴が形成される。続いて、強度5×10−5Torrの砒素分子線(純度7N)を照射して、液滴をGaAs量子ドットへ結晶化する。結晶性を改善するためこのまま、400度まで昇温して熱処理を行う。
この時点での、量子ドットの原子間力顕微鏡像(図10)から、密度3×1010/cmの量子ドットが形成されていることが確認できた。
続いてこの量子ドットをAlGaAsにより埋め込む。400度で10nmのAlGaAsを成長させ、量子ドットを完全に埋め込んだ後に、さらに基板温度を580度まで上げ、残りのAlGaAsを成長させる。
図11にAlGaAs中に、液滴エピタキシー法により作製したGaAs量子ドット二層を積層して埋め込んだ構造の断面走査透過型電子顕微鏡像を示す。格子像から、欠陥等の形成は観測されず、良好な結晶性を持つ量子ドット形成が確認された。欠陥等が形成されていないことから、このGaAs量子ドット及びAl0.35Ga0.65As(x=0.35)は、それぞれ物性値である0.565nm及び0.566nmの格子定数であることはあきらかであり、その格子定数差は0.04%である。尚、格子定数差が殆ど無いため、この電子顕微鏡像では、格子点の変位(すなわち格子の歪み)は観察する事はできない。
(太陽電池構造作製例)
図10に示した量子ドット構造を10層積層した太陽電池素子を作製した。素子の模式図を図12に示す。素子は、n−i−金属、のショットキー接続型太陽電池である。成長は、固体ソース分子線エピタキシー装置を用いて行った。素子構造は、図13に示す通りである。
基板には、高ドープのn型GaAs(AXT社製2インチ基板)を用いた。一般的な分子線エピタキシーの成長条件で、n型GaAsバッファー層200nm、n型Al0.3Ga0.7As層500nm、を成長させた後、光検知を行う活性層を成長させた。
活性層は、500nm厚のノンドープAl0.3Ga0.7As層に実施例1と同様にして液滴エピタキシー法によりGaAs量子ドットを導入した層を10層重ねて構成した。
この導入した量子ドット同士の積層間隔は16nmのAl0.3Ga0.7As層となっている。最後にAl0.3Ga0.7As活性層全体の酸化を防ぐために、20nmのGaAsキャップ層を成長させている。成長後は結晶性を向上させるため、800度で4分間アニールを行っている。
従来周知の分子線エピタキシー装置により、エピタキシャル成長を行った後、真空蒸着で電極を形成し太陽電池素子を試作した。下部電極は、インジウムを用いてオーミックコンタクト形成した。上部は、NiCr+Auにより全面に半透明電極(総膜厚10nm)を形成した後に、コンタクト用のAuパッドを形成した。この素子では、受光部はφ500ミクロン(面積は0.002cm)となっている。作製した太陽電池素子の写真を図13に示す。
(実施例2の太陽電池素子の特性)
実施例2の素子に、ソーラーシミュレータ(山下電装製)から疑似太陽光(AM1.5)を照射し光起電力測定を行った。光照射のon及びoff時の素子の電流−電圧特性を示す図14から、開放電圧0.34V、短絡電流4.7μA、最大出力0.98μWの太陽電池素子であることが確認できた。変換効率は約0.5%、曲線因子は61%である。
続いて、量子ドット層による発電効果を実証するために分光した光を素子に照射したところ量子ドットの吸収に起因する電流を確認した。実験は、ハロゲンランプ(70W)を分光器(日本分光製CT−25)により分光し試料へ照射した。一点あたりの照射強度は数nW程度である。比較のため、室温で測定した発光スペクトルを一緒に図15に示す。波長650nm以下の光を照射した際には、主にAl0.3Ga0.7As層により光吸収し、発電効果を生じる。
この時の電流値は、1nA程度である。波長650nm以上の光を照射した際も、明確な起電力を生じた。これは、量子ドット層で吸収された光による起電力が生じている事を示しており、量子ドットを導入することにより、吸収可能波長が長波長側に拡張され、高効率化が実現できたことが確認された。短絡電流の値は0.01nAから0.1nA程度である。量子ドットに由来する電流は低い値となっているが、これは積層数が10層と少ないためである。
特開2002−141531 特開2006−114815 特許公表2007−519237 特開2006−060088 特開2009−016709
A. Marti, N. Lopez 他、Appl. Phys. Lett. Vol. 90, 233510頁、2007年. 岡田、日本結晶成長学会誌 Vol. 33、No.2、89頁、2006年 H. Sakaki, K. Kato 他、Appl. Phys. Lett. Vol. 57, 2800頁、1990年. A. Marti, E. Antolin 他、Phys. Rev. Lett. Vol. 97, 247701頁、2006年. K. Watanabe, N. Koguchi 他、Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 39、L79頁、2000年 J. S .Kim, M. S. Jeong 他、Appl. Phys. Lett. Vol. 88, 241911頁、2006年. J. W. Matthews and A. E. Blanleslee, J. Crystal Growth Vol. 27, 118頁, 1974年

Claims (5)

  1. 量子ドットが導入された層が多層化されてなる活性層を有する光素子であって、活性層に格子不整合に起因する格子歪みがないことを特徴とする光素子。
  2. 請求項1に記載の光素子において、前記活性層の量子ドットと、それを導入する母体とが、両者の格子定数が0.5%以下である材料よりなることを特徴とする感光素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光素子において、前記活性層の量子ドットを構成する材料よりも、これらが導入されている母体の材料のバンドギャップエネルギーが大きいことを特徴とする感光素子。
  4. 活性層の上下に電極を配してなる太陽電池であって。その活性層が、請求項1から3のいずれかに記載の活性層よりなることを特徴とする半導体太陽電池。
  5. 請求項4に記載の太陽電池において、前記活性層の量子ドットがGaAsからなり、その母体がAlGa1−xAs(0<x≦1)からなることを特徴とする半導体太陽電池。
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