JP2010173650A - ドラム缶用天板及びドラム缶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天板110に対して、内圧上昇状態において天板の周方向における複数の所望箇所に意図的に変形を生じさせる変形誘発部117を形成した。よってドラム缶の内圧が上昇したとき、天板に作用する応力が天板上の一箇所に集中することを回避でき、複数の変形誘発部へ上記応力を分散させることができる。その結果、従来に比べてドラム缶の耐内圧性能を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
又、特許文献1に開示されるように、本出願人は、ドラム缶の胴体と地板との巻締め部を溶接することでドラム缶の耐圧強度を向上させる発明を既に提案している。
一方、本出願人は、ドラム缶の長距離輸送に伴う長時間の振動に対する耐振動性を向上させることを目的として、地板又は天板において、その周方向の全部又は一部に沿って振動吸収用の成形部を溝状に形成した耐振動鋼製ドラム缶を既に提案している(特開2005−47513号公報)。しかしながら、該ドラム缶は、上述のように耐振動性向上を目的とするものであり、上述のようにドラム缶の周方向の全周にわたり上記溝状の成形部を形成したものであり、耐内圧性能向上が図れるとは限らない。
即ち、本発明の第1態様におけるドラム缶用天板は、耐内圧性能が要求されるオープンドラム缶の缶胴体に対して着脱可能に取り付けられる蓋に相当し、取り付け状態でドラム缶用締め輪にて上記缶胴体と締結される天板であって、
上記天板の直径方向に沿って始端から終端までの間で筋状に膨れて延在し上記天板の周方向における所望の複数箇所に形成され、当該ドラム缶の内圧上昇状態において当該天板の上記所望箇所にて意図的に変形を誘発させる変形誘発部を備え、
上記変形誘発部の上記始端は、上記天板の周囲に形成されたフランジ部から上記直径方向に沿って天板損傷防止距離をあけた位置であり、上記天板損傷防止距離は、密閉された当該ドラム缶の内圧上昇状態において上記フランジ部の立上がり箇所から当該天板が膨れて損傷することを防止するための距離であり、
上記変形誘発部の上記終端は、当該天板の中央部である、
ことを特徴とする。
上記変形誘発部の上記始端は、上記直径方向において上記溝部の中央部分に位置し、上記終端は、上記溝部と上記平坦部との交点より僅かに天板中心側に位置することもできる。
周囲の一箇所を切り欠いた不連続な円形状にてなり、上記天板と上記缶胴体とを締結するバンド部材と、
上記バンド部材を締め付ける締付用部材を上記バンド部材に保持する部材であり、上記バンド部材の一端部の一端面より上記バンド部材の周方向に沿って上記バンド部材が露出した重なり領域を空けて上記バンド部材に固定される第1取付部材と、
上記第1取付部材と協働して上記締付用部材を上記バンド部材に保持する部材であり、上記バンド部材の他端部の他端面より上記周方向に突出して上記バンド部材に固定され、上記締めつけ動作によって上記バンド部材の上記重なり領域を覆う第2取付部材とを備えるものであってもよい。
図4に示すように、本実施形態におけるドラム缶用天板110は、缶胴体120に対して着脱可能なオープンドラム缶100に蓋として取り付けられ、取り付けられた状態で上述した従来のドラム缶用締め輪10にて缶胴体120と締結される。ここで、オープンドラム缶100は、缶胴体120と天板110との係合部分にパッキン116(図1)を設けることで耐内圧用のオープンドラム缶として用いられ、本実施形態では内容量200リットルの鋼製ドラム缶を例に採る。勿論、容量は、200リットルに限定するものではない。
又、変形誘発部117は、天板110にのみ形成され、天板110に対向して配置されるドラム缶100の地板には形成しない。
ここで当該ドラム缶100の耐内圧性能は、ドラム缶用天板110と缶胴体120とを締結したドラム缶用締め輪10のボルト4、ナット5による締め付け量と関係することは当然であるが、上記締め付け量を従来値以上に設定した場合でも、変形誘発部117を形成すべき位置、及び高さhによって大きく左右されることが試行錯誤による出願人の実験から明らかとなった。したがって、以下に説明する、変形誘発部117の形成位置、及び高さhは、上記実験に基づき得られたものである。
一方、図3Cに示すように、口金119を有しない天板も存在する。このような天板では、変形誘発部117は2箇所以上に設けることができる。よって、変形誘発部117の数は、2個以上、好ましくは2〜4個である。
上述の第1実施形態では、シワ取り部111を形成した天板110を例に採った。一方、図6及び図7に示すように、シワ取り部111を形成していない、いわゆる平天と呼ばれる天板110−1も存在する。このような天板110−1においても、上述の変形誘発部117と同様に、天板110−1の直径方向110aに沿って始端117aから終端117bまでの間で存在する変形誘発部117−1を形成することができ、上述の第1実施形態の場合と同じ効果を得ることができる。
ここで、変形誘発部117−1の始端117a及び終端117bの位置は、上述した上位概念的な位置であってもよいし、第1実施形態にて説明したような、限定された位置であってもよい。尚、図6及び図7では、限定した位置の場合を図示している。
又、本出願人は、従来のドラム缶用締め輪10を改良した、図8A及び図8Bに示す、改良型締め輪200を開発している。該改良型締め輪200では、バンド部材1に対応するバンド部材210の端部への、係止部材2、3に対応する係止部材221,222の取り付け位置を工夫し、上記不連続部分8が生じるのを防止している。即ち、図8Aに示すように、係止部材221について、バンド部材210に重なり領域214を形成するように、バンド部材210の周方向に沿ってバンド部材210の一端面212aよりも係止部材221が離れるようにして係止部材221をバンド部材210に固定し、一方、係止部材222について、バンド部材210の周方向に沿ってバンド部材210の他端面213aよりも係止部材222を突出させて外側に係止部材222を固定した。このように構成した改良型締め輪200では、ボルト、ナットによりバンド部材210を締め込んだときには、図8Bに示すように、係止部材222は、重なり領域214に重なって配置される。したがって、バンド部材210の両端面間、及び係止部材221、222の両端面間には隙間が存在しても、締め輪200全体では、上述の重なりにより、不連続部分は存在しない。
110b…周方向、111…シワ取り部、112…溝部、112c…中央領域側側面、
113…平坦部、114…フランジ部、115…中央領域、
117、117−1…変形誘発部、117a…始端、117b…終端、118…交点、
119…口金、120…缶胴体、
200…改良型締め輪、210…バンド部材、221、222…係止部材。
Claims (7)
- 耐内圧性能が要求されるオープンドラム缶(100)の缶胴体(120)に対して着脱可能に取り付けられる蓋に相当し、取り付け状態でドラム缶用締め輪にて上記缶胴体と締結される天板(110)であって、
上記天板の直径方向(110a)に沿って始端(117a)から終端(117b)までの間で筋状に膨れて延在し上記天板の周方向(110b)における所望の複数箇所に形成され、当該ドラム缶の内圧上昇状態において当該天板の上記所望箇所にて意図的に変形を誘発させる変形誘発部(117)を備え、
上記変形誘発部の上記始端は、上記天板の周囲に形成されたフランジ部(114)から上記直径方向に沿って天板損傷防止距離(110c)をあけた位置であり、上記天板損傷防止距離は、密閉された当該ドラム缶の内圧上昇状態において上記フランジ部の立上がり箇所(114a)から当該天板が膨れて損傷することを防止するための距離であり、
上記変形誘発部の上記終端は、当該天板の中央部(115a)である、
ことを特徴とするドラム缶用天板。 - 上記天板はシワ取り部(111)を有し、該シワ取り部は、上記フランジ部に隣接して当該天板の周縁部に全周にわたり上記フランジ部と一体的に形成される溝部(112)と、上記溝部と一体的に形成され上記中央部を含む中央領域(115)を形成する平坦部(113)とを有し、
上記変形誘発部の上記始端は、上記直径方向において上記溝部の中央部分に位置し、上記終端は、上記溝部と上記平坦部との交点(118)より僅かに天板中心側に位置する、請求項1記載のドラム缶用天板。 - 上記変形誘発部は、上記平坦部に対して1〜10mmにて膨れている、請求項2に記載のドラム缶用天板。
- 上記天板は、上記フランジ部以外が平坦であり、上記変形誘発部は、上記中央部に対して1〜10mmにて膨れている、請求項1記載のドラム缶用天板。
- 上記変形誘発部は、上記周方向における2箇所以上に形成される、請求項1から4のいずれかに記載のドラム缶用天板。
- 缶胴体(120)に対して天板(110)が着脱可能でありかつ耐内圧性能が要求されるオープン型のドラム缶であって、上記天板は、請求項1から5のいずれかに記載の天板であることを特徴とするドラム缶。
- 上記缶胴体と上記天板とを締結するドラム缶用締め輪は、
周囲の一箇所を切り欠いた不連続な円形状にてなり、上記天板と上記缶胴体とを締結するバンド部材(210)と、
上記バンド部材を締め付ける締付用部材を上記バンド部材に保持する部材であり、上記バンド部材の一端部の一端面(212a)より上記バンド部材の周方向に沿って上記バンド部材が露出した重なり領域(114)を空けて上記バンド部材に固定される第1取付部材(221)と、
上記第1取付部材と協働して上記締付用部材を上記バンド部材に保持する部材であり、上記バンド部材の他端部の他端面(213a)より上記周方向に突出して上記バンド部材に固定され、上記締めつけ動作によって上記バンド部材の上記重なり領域を覆う第2取付部材(222)とを備えた、請求項6記載のドラム缶。
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