JP2010138312A - ゴム組成物および伝動ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】屈曲耐久性や耐変形性といった成形体の力学的特性を顕著に向上させ得るゴム組成物を提供し、力学的特性に優れた伝動ベルトを提供する。
【解決手段】ゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子とを含有するゴム組成物であって、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、前記層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物が含有されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子とを含有するゴム組成物、及び、表面にゴム層が形成されてなる伝動ベルトに関する。
従来、耐熱性等の点で優れているエチレン・α−オレフィン共重合体を含むゴム成分と、有機化された層状粘土鉱物粒子とを含むゴム組成物を用いて、ゴム成形体の破断強度、破断伸度などといった力学的特性を向上させることが検討されている。
例えば、特許文献1乃至3では、エチレン・α−オレフィン共重合体などのゴム成分と、オクタデシルアミンなどで有機化された層状粘土鉱物粒子とを含むゴム組成物を用いることにより、そのゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムの力学的特性を向上させることが提案されている。
しかし、この種のゴム組成物は、当該ゴム組成物を用いて加硫成形させる成形体の破断強度、破断伸度という力学的特性を向上させ得るものではあるが、屈曲耐久性という力学的特性を未だ十分に向上させ得るものではない。
したがって、伝動ベルトなどのように回転体に巻き掛けられて、屈曲や伸長を繰り返し受けるような用途においては、クラック等を原因とした破断を十分に抑制することが困難な状況となっている。
ところで、加硫ゴムの屈曲耐久性を向上させる手法として、従来、架橋密度を低下させる方法が知られている。
しかし、架橋密度を低下させると応力が加えられた際に永久ひずみが生じやすく、特に、加熱状態において永久ひずみを発生させやすくなってしまうことが知られている。
先の伝動ベルトなどにおいて変形が生じると、ベルト張力の低下などを招きやすくなり、このことを原因とした破損を招くおそれがある。
すなわち、伝動ベルトなどのように屈曲耐久性と耐変形性とが求められるような用途においては、従来、これらの要望を満足させることが困難となっている。
特開2004−256730号公報 特開2000−080207号公報 特開2000−159937号公報
そこで、本発明は、上記問題点および要望に鑑み、屈曲耐久性や耐変形性といった成形体の力学的特性を顕著に向上させ得るゴム組成物を提供して、力学的特性に優れた伝動ベルトを提供することを課題としている。
上記課題を解決すべく、ゴム組成物に係る本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子とを含有するゴム組成物であって、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、前記層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物が含有されていることを特徴としている。
さらに、伝動ベルトに係る本発明は、表面にゴム層が形成されてなる伝動ベルトであって、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物が含有されているゴム組成物が加硫された加硫ゴムで前記ゴム層が形成されていることを特徴としている。
この重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物としては、ビニル系シラン化合物が好適である。
なお、本明細書における“ビニル系シラン化合物”との用語は、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などといった炭素−炭素二重結合が分子末端となる官能基を有するシラン化合物を意図して用いている。
本発明のゴム組成物は、当該ゴム組成物によって形成される成形体の力学的特性を、従来のものに比べて顕著に向上させ得るという効果を奏する。したがって、本発明の伝動ベルトには、優れた力学的特性が付与され得る。
以下、本発明のゴム組成物の実施の形態について説明する。
本実施形態のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体を含むゴム成分と層状粘土鉱物粒子とが配合されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物(より具体的には、ビニル系シラン化合物)が含有されている。
また、前記層状粘土鉱物粒子は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して5〜60質量部のいずれかの割合でゴム組成物に含有されている。
本実施形態のゴム組成物には、本発明の効果を著しく損ねない範囲において前記ゴム成分に前記エチレン・α−オレフィン共重合体以外のゴム成分を含有させ得る。
なお、本発明の効果をより顕著なものとし得る点において前記ゴム成分に含有させるエチレン・α−オレフィン共重合体の量は90〜100質量%であることが好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体以外のゴム成分を含有させないことがより好ましい。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体は、少なくともエチレンおよびα−オレフィンが共重合したものである。前記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体などが挙げられる。なかでも、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)が低コストでしかも加工性に優れ、架橋が容易であるという点で好適である。硫黄加硫での加硫速度が速く、加硫ゴムにバランスがとれた物性を発揮させ得る点で、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体がより好適である。なお、前記ゴム組成物に含有されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、1種類であってもよく、2種類以上が混合されていてもよい。
前記ゴム成分としてエチレン・α−オレフィン共重合体とともにゴム組成物に含有させるゴムとしては、一般的に用いられるゴム、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、エポキシ化天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどを挙げることができ、これらは、単独、あるいは複数混合して用いることができる。
前記層状粘土鉱物粒子としては、層状の結晶構造をもったケイ酸塩鉱物の粒子が例示される。
ここで、層状の結晶構造としては、ケイ酸四面体層−アルミナ八面体層−ケイ酸四面体層の3層が積み重なっている構造が例示される。その単位層は厚さ約1nmであり、単位層間隔は0.1〜1μmであり、通常、その構造は極めて薄い板状である。
前記層状粘土鉱物粒子としては、例えば、ケイ酸マグネシウムまたはケイ酸アルミニウム等から構成される層状フィロケイ酸塩で、価数の小さなイオンで同形置換されて負に帯電しているものなどが挙げられる。また、通常、粒子の厚さが0.6〜2nmで、一辺の長さが2〜1,000nmの範囲のものも挙げられる。
このように層状粘土鉱物粒子は、通常、アスペクト比の高い板状構造物であり、このようなアスペクト比の高い板状構造物をゴム組成物に分散させることで、このゴム組成物が加硫されてなる成形体に屈曲疲労が与えられた場合に、クラックの進展を阻止させ得る。
また、このようなクラックの進展を阻止する効果の他に、層状粘土鉱物粒子を含有させることによる効果として耐熱性・難燃性・ガスバリア性などの向上が見込まれる。
また、後述するビニル系シラン化合物との相互作用によってゴム成形体に優れた耐変形性を付与させることができる。
前記層状粘土鉱物粒子としては、具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、カオリナイトなどが例示され、こららは、前記ゴム組成物に単独、あるいは複数混合して配合されうる。これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。なかでも分散性に優れる点からモンモリロナイトが好ましい。
また、この層状粘土鉱物粒子は、有機アンモニウムイオンなどによって有機化された層状粘土鉱物粒子であっても有機化等が実施されていない無処理の層状粘土鉱物粒子であってもよい。
本発明においては、後述するビニル系シラン化合物のシラン部分と層状粘土鉱物粒子の表面との結合力がゴム成形体の耐変形性に活用されることから、有機化がなされていない無処理状態の層状粘土鉱物粒子を用いることが好ましい。
例えば、100℃程度の温度で24時間乾燥させたものを熱重量分析装置(例えば、商品名「TG/DTA−110」:セイコーインスツルルメンツ社製)を用いて10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温させた後に10分間ホールドさせた際の加熱減量が10質量%以下となるような有機物の付着が少ない層状粘土鉱物粒子を用いることが好ましい。
この層状粘土鉱物粒子の含有量の下限値が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して5質量部とされているのは、層状粘土鉱物粒子の含有量が5質量部未満の場合には、本実施形態のゴム組成物を加硫成形した成形体に対して十分な強度を付与することが困難になるためである。
また、層状粘土鉱物粒子の含有量の上限値が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して60質量部とされているのは、層状粘土鉱物粒子の含有量が60質量部を超える場合には、本実施形態のゴム組成物を加硫成形した成形体に十分な耐屈曲疲労性を付与することが困難になるためである。
前記ビニル系シラン化合物は、末端の炭素−炭素二重結合部分をエチレン・α−オレフィン共重合体と結合させるとともにシラン部分を層状粘土鉱物粒子に結合させることによって、このゴム組成物が用いられてなるゴム成形体に優れた耐変形性を付与させるべくゴム組成物に含有されるものである。
このビニル系シラン化合物としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、及びメタクリロキシ基などのいずれかと、アルコキシ基がケイ素原子に結合された化合物が挙げられる。
より具体的には、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが好適に用いられ得る。
なかでも、ビニルトリエトキシシランなどが好適に用いられ得る。
このビニル系シラン化合物の配合量については特に限定がされるものではないが、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.5〜6質量部の範囲のいずれかとされることが好ましく、1〜3質量部のいずれかとされることがより好ましい。
このビニル系シラン化合物は、加硫剤によってゴム組成物を加硫するなどしてエチレン・α−オレフィン共重合体と結合させることができ、このエチレン・α−オレフィン共重合体との結合によって応力による変形を生じにくい耐変形性に優れた加硫ゴムの形成に有効に作用する。
また、上記のようなビニル系シラン化合物は、アルコキシシリル基の加水分解によって生じるシラノール基と層状粘土鉱物粒子の表面の水酸基などと脱水縮合して化学結合を形成させることもでき、エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子との間に強固な結合を形成させることができる。
このビニル系シラン化合物は、上記作用によって、特に、加熱状態で応力を受けた場合における変形の抑制効果を、従来のゴム組成物が用いられた場合に比べて顕著に向上させうる。
このゴム組成物に含有させる加硫剤としては、特に限定されるものではなく、硫黄系加硫剤や有機過酸化物系加硫剤などを用いることができる。
硫黄系加硫剤としては、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系加硫剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ビス(t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネート等が挙げられる。
なお、硫黄−硫黄の結合エネルギーは、炭素−炭素の結合エネルギーに比べて低く、硫黄−硫黄の結合を系内多く存在させると加硫ゴムを柔軟にさせやすい。したがって、加硫ゴムへの耐変形性付与の観点からは、本実施形態のゴム組成物には、有機過酸化物系加硫剤を選択して含有させることが好ましい。
また、これらの加硫剤の作用を促進させるべく、一般的な加硫ゴムの形成に加硫促進剤、加硫助剤、架橋助剤などとして用いられている物質を上記加硫剤とともに本実施形態のゴム組成物に含有させることができる。
前記加硫促進剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸亜鉛系のペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第2鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等を用いることができる。
また、加硫促進剤としては、チアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系のものを用いることができ、チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンドチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩などが用いられ得る。
前記チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィドなどが用いられ得る。
前記スルファミド系加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが用いられ得る。
また、その他の加硫促進剤としてビスマレイミド、エチレンチオウレアなども例示される。
これらの加硫促進剤は、単独であってもよく、2種類以上混合されていてもよい。
前記加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、酸化亜鉛などの金属酸化物などを挙げることができる。
前記架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2−ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミドなどが例示される。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記の配合剤以外に、本発明の効果を損ねない範囲において、一般的なゴム組成物に通常用いられるオイルなどの可塑剤、老化防止剤、加工助剤などを含有させることができ、要すれば、カーボンブラックや前記層状粘土鉱物粒子以外の無機物粒子を加硫ゴムの補強などを目的として含有させうる。
前記カーボンブラックとしては、例えば、一般呼称で分類されるFEF系、ISAF系、HAF系等のゴム用カーボンブラックが挙げられる。
前記無機物粒子としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、ハイドロタルサイトなどからなるものが例示される。
このゴム組成物を用いてゴム成形体を形成させるには、一般的な成形方法を採用することができる。
具体的には、例えば、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いて、所定の配合で上記に示した成分を混練することによりゴム組成物を製造し、このようにして製造したゴム組成物を、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、スラッシュ成形等により成形して加硫処理を実施し、各種のゴム成形体として用いることができる。
なお、本実施形態に係るゴム組成物は伝動ベルトなどの用途に用いられることでその効果がより顕著に発揮されうる。
すなわち、伝動ベルトは、通常、プーリに巻き掛けられて用いられ、動力伝達時には、このプーリとの間に摩擦熱を発生させたり、ゴムの伸縮(プーリによる屈曲)による動的発熱を伴ったりするものである。
また、伝動ベルトは、自動車のエンジンルームなど高温環境下でプーリに強く当接された状態で使用される場合も多いことから、従来、永久ひずみを発生させやすい状況で使用されている。
また、伝動ベルトは、表面のゴム層を形成する加硫ゴムの耐屈曲疲労性がその耐用期間を左右する大きなファクターともなっている。
したがって、伝動ベルトには、永久ひずみを十分抑制させるための耐変形性に優れた加硫ゴムの採用が求められており、このような点において、伝動ベルトは、本実施形態に係るゴム組成物が奏する効果をより顕著に発揮させ得るゴム成形品であるといえる。
以下に、上記ゴム組成物を用いた伝動ベルトについて説明する。
本実施形態のゴム組成物によって形成させる伝動ベルトの種類としては、Vリブドベルト、Vベルト、平ベルト、丸ベルトなどを挙げることができる。これらのゴムベルトは、少なくともその表面に形成されたゴム層に前記ゴム組成物を加硫させた加硫ゴムが用いられている。
ここで、さらに具体的に、本発明の伝動ベルトの一実施形態として、圧縮層に前記ゴム組成物を用いたVリブドベルトについて、図面を参照しながら説明する。
図1には、伝動ベルトの好ましい一実施形態として、Vリブドベルト1が示されている。
本実施形態のVリブドベルト1は、無端状に形成されており、このVリブドベルト1の内周側、すなわち、プーリに巻き掛けられた際に該プーリに接する内側表面をなす圧縮層5は、上記ゴム組成物、すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子とビニル系シラン化合物を含む前記ゴム組成物によって形成されている。
前記圧縮層5には、ベルト長手方向に連続する断面略V字状の溝が2条形成されており、該溝により互いに分離された3条のリブ6がベルト長手方向に延在された状態となるように形成されている。
そして、本実施形態のVリブドベルト1には、前記圧縮層5の外周側に接着層3が形成され、該接着層3の外周側にはVリブドベルト1の最外層となる背面層2が形成されている。
また、前記接着層3には、厚さ方向中央部に抗張体として心線4が埋設されている。
前記接着層3、前記背面層2、及び、前記心線4は、その構成材料が特に限定されるものではなく、一般的な伝動ベルトに用いられているものと同種の材料を用いて形成されうる。
なお、背面層2は、圧縮層5と同様にベルト使用時において屈曲による変形量が大きいことからこの背面層2にも先述のゴム組成物を用いることが好ましい。
すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、前記層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、ビニル系シラン化合物が含有されているゴム組成物を用いて背面層2と圧縮層5とを形成させることが好ましい。
なお、上記のようなゴム組成物であれば、背面層2と圧縮層5とを全く同一配合とする必要はなく、異なる配合内容のゴム組成物を用いても良い。
本実施形態のVリブドベルト1は、例えば、次のような方法で製造できる。まず、前記圧縮層5、接着層3、背面層2の各ゴム層に用いるゴム組成物を、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、二軸混練機などの一般的なゴムの混練手段にて作製する。
次に、このゴム組成物を、カレンダーロールなどのシーティング手段によりシート化して未加硫シートを作製する。
そして、この未加硫シートを円筒金型上に、背面層、接着剤層、圧縮ゴム層の順に積層して、この積層体を加硫缶などを用いて加硫させ加硫ゴムで形成された筒型の成形体を作製する。
さらに、この予備成形体に研削砥石などを用いて所定のリブを形成させた後に、所定リブ数に切り出すことでVリブドベルト1を作製することができる。
このようにして形成された、Vリブドベルトは、耐屈曲疲労性や耐変形性に優れた加硫ゴムによって圧縮層が形成されることから力学的強度に優れ、耐用期間の長期化を図り得る。
なお、本実施形態においては、分子末端に炭素−炭素の二重結合を有し、エチレン・α−オレフィン共重合体と良好なる結合状態を形成させやすい点において、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物の中でもビニル系シラン化合物を例示してゴム組成物や伝動ベルトの説明を行っているが、本発明は、前記アルコキシシラン化合物をビニル系シラン化合物に限定するものではない。
また、ここでは詳述しないが、Vリブドベルトや、Vベルトなどといった伝動ベルトにおける従来公知の技術事項を、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において、本実施形態の伝動ベルトにも採用することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜11、比較例1〜8]
(ゴム組成物の製造)
<基本配合>
各実施例、比較例のゴム組成物を作製するに際し、硫黄加硫を実施するゴム組成物と有機過酸化物による加硫を行うゴム組成物とによって基本的な配合内容を異ならせた。
それぞれの基本配合を表1に示す。
Figure 2010138312
<各配合>
上記基本配合に対して、ビニル系シラン化合物や層状粘土鉱物粒子などを、下記表2、3に示す割合で配合し各ゴム組成物を作製した。
なお、表中の数値は、基本配合(表1)におけるエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)100質量部に対する質量部を表している。
Figure 2010138312
Figure 2010138312
(評価)
(感温永久変形)
感温永久変形については、JIS K6262に規定の圧縮永久ひずみを測定することによって評価した。
具体的には、100℃×22時間後の加熱条件下、大型試験片に対して9.38mm厚さのスペーサ(25%圧縮)を用いる方法によって評価した。
評価によって得られた圧縮永久ひずみの値を、先の表2、3に併せて示す。
(ベルト屈曲耐久時間)
(Vリブドベルトの製造)
<圧縮層用ゴム組成物の未加硫シートの作製>
上記のように配合された実施例、比較例のゴム組成物をカレンダーロールによりシート成形し、厚さ0.8mmの圧縮層用ゴム組成物の未加硫シートを調製した。
<接着層用ゴム組成物の未加硫シートの作製>
下記の配合でバンバリーミキサーを用いて混練して接着層用ゴム組成物を作製し、さらに作製したゴム組成物を、カレンダーロールによりシート成形し、厚さ0.4mmの接着層用ゴム組成物の未加硫シートを調製した。
・EPDM(三井化学社製、商品名「3085」、エチレン含量62質量%
プロピレン含量33.5質量%、ジエン含量4.5質量%):100質量部
・カーボンブラック(昭和キャボット社製、商品名「IP600」):50質量部
・シリカ(トクヤマ社製、商品名「トクシールGu」):20質量部
・パラフィンオイル(日本サン社製、商品名「サンフレックス2280」):10質量部
・加硫剤(日油社製DCP、商品名「パークミルD」):2.5質量部
・加硫助剤(花王社製ステアリン酸):1質量部
・加硫助剤(堺化学工業社製 酸化亜鉛):5質量部
・粘着付与剤(日本ゼオン社製石油樹脂、商品名「クイントンA−100」):5質量部
・短繊維(綿粉):2質量部
<RFL接着組成物の調製>
レゾルシン7.31質量部とホルマリン(37質量%)10.77質量部とを混合し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分0.33質量%)を加えて攪拌し、その後、水160.91質量部加え、5時間熟成して、レゾルシン−ホルマリン樹脂(レゾルシン−ホルマリン初期縮合物、以下「RF」という、レゾルシン/ホルマリン比=0.5)水溶液を作製した。
次いで、RF水溶液にクロロスルホン化ポリエチレンラテックス(固形分40%)をRF/ラテックス比=0.25(固形分量45.2質量部)となるよう混合し、さらに、水を加えて固形分濃度20%となるよう調整した後、12時間熟成しつつ攪拌を行いRFL接着組成物の調製を行った。
<抗張体(心線)の作製>
帝人社製のポリエステルコード(1000デニール/2×3、上撚り9.5T/10cm(Z)、下撚り2.19T/10cm)を4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのトルエン溶液(イソシアネート固形分20質量%)に浸漬後、240℃×40秒で熱風乾燥し、前処理を行った。この前処理後の心線を上記RFL接着組成物に浸漬した後、200℃×80秒の熱風乾燥し、さらに、EPDM(三井化学社製、商品名「3085」、エチレン含量62質量%、プロピレン含量33.5質量%、ジエン含量4.5質量%)のトルエン溶液に浸漬し、60℃×40秒の熱風乾燥を行った。
<帆布>
帆布としてポリエステル綿帆布[(広角に加工した時点での特性)糸の材質:ポリエステルと綿との混紡帆布;ポリエステルと綿との質量比 50:50;糸構成 経糸:20S/2(20番手を2本よりあわせたものの意味)、緯糸:20 S/2(20番手を2本よりあわせたものの意味);撚り数:経糸S撚り 59回/10cm、緯糸:59回/10cm;織り方:平織り物を、経糸と緯糸との交差角度が、120°になるように加工;糸密度 経糸:85本/5cm、緯糸:85本/5cm]を用いた。
表面が平滑な円筒状の成形ドラムの外周に、上記の帆布、上記の接着層用ゴム組成物の未加硫シートを巻きつけた後、上記の抗張体(心線)を螺旋状にスピニングした。さらにその上に上記の接着層用ゴム組成物の未加硫シートを積層し、最後に、上記の圧縮層用ゴム組成物の未加硫シートを4枚積層した。次いで、この積層体を加硫缶内に挿入し、内圧0.59MPa、外圧0.88MPa、温度165℃×35分間の条件で蒸気加硫し、環状物を作製した。
この環状物を駆動ロールと従動ロールとでなる第1の駆動システムに取り付けて、走行させながら、研削砥石で幅10mm当たり3本のリブを周方向に沿って形成し、この後、この環状物を駆動ロールと従動ロールとでなる第2の駆動システムに取り付けて、走行させながら裁断し、Vリブドベルト(幅10mm、周長1000mm)を製造した。
上記のようにして各実施例、比較例のゴム組成物が加硫されてなる加硫ゴムで圧縮ゴム層(リブ)を形成させたVリブドベルトは、以下のようにして屈曲耐久時間の評価を実施した。
(ベルト走行試験による屈曲耐久時間の評価)
図2はVリブドベルトの屈曲耐久性評価におけるベルト走行試験機の概略図である。このベルト走行試験機は、上下に配設されたプーリ径120mmの大径のリブプーリ(上側が従動プーリ51、下側が駆動プーリ52)と、それらの上下方向の中間右方に配されたプーリ径70mmのアイドラープーリ54と、その右方に配されたプーリ径55mmの小径のリブプーリ53とで構成されている。アイドラープーリ54は、ベルト巻き付け角度が90°となるように配置されている。
各実施例、各比較例のゴム組成物で製造したVリブドベルトを、リブ側が当接するように3つのリブプーリ51〜53に巻き掛け、ベルト背面が接触するようにアイドラープーリ54に巻き掛け、834Nのセットウェイトが負荷されるようにリブプーリ53を側方に引っ張り、室温(23±2℃)で、下側のリブプーリ52を4900rpmで回転させるベルト走行試験を行った。一定時間ごとに走行を停止し、ベルトのリブ表面を目視で観察し、割れが認められるまでの走行時間を屈曲耐久時間とした。評価結果を表2および表3に示す。
この、表2、3からも、本実施形態におけるゴム組成物は、屈曲耐久性や耐変形性といった成形体の力学的特性を顕著に向上させ得るものであることがわかる。
一実施形態のVリブドベルトを示す断面図。 ベルト走行試験機を示す概略図。
符号の説明
1・・・Vリブドベルト
2・・・背面層
3・・・接着層
4・・・心線
5・・・圧縮層
6・・・リブ

Claims (7)

  1. エチレン・α−オレフィン共重合体と層状粘土鉱物粒子とを含有するゴム組成物であって、
    前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、前記層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物が含有されていることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記アルコキシシラン化合物が、ビニルトリエトキシシランである請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記アルコキシシラン化合物が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.5〜6質量部のいずれかの割合で含有されている請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. 表面にゴム層が形成されてなる伝動ベルトであって、
    エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して層状粘土鉱物粒子が5〜60質量部のいずれかの割合で含有されており、さらに、重合性炭素−炭素二重結合を分子内に有するアルコキシシラン化合物が含有されているゴム組成物が加硫された加硫ゴムで前記ゴム層が形成されていることを特徴とする伝動ベルト。
  5. 前記アルコキシシラン化合物が、ビニルトリエトキシシランである請求項4記載の伝動ベルト。
  6. 前記ゴム組成物には、前記アルコキシシラン化合物が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.5〜6質量部のいずれかの割合で含有されている請求項4又は5記載の伝動ベルト。
  7. 溝付プーリとの摩擦伝動に用いられるべく複数条のリブが形成された圧縮ゴム層を有するVリブドベルトであり、該圧縮ゴム層が前記加硫ゴムで形成されている請求項4乃至6のいずれか1項に記載の伝動ベルト。
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