JP2010126750A - 車両ボデーの脱脂洗浄装置及び脱脂洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも前記袋構造部を含む車両ボデーの下部を浸漬させることができる深さを有するハーフディップ部と、前記車両ボデー全体を浸漬させることができる深さを有するフルディップ部とが連続して設けられた1つの洗浄槽とを設け、搬送手段により、前記洗浄槽のハーフディップ部に前記車両ボデーを部分的に入槽させ、前記袋構造部を含む車両ボデーの下部が洗浄液中に浸漬する深さで水平にして搬送し、前記袋構造部に空気が入るまで車両の前部を持ち上げ、前記車両ボデーを部分的に浸漬させたまま空気が入るまで車両ボデーの前部を下げながら後部を持ち上げ、続いて前記フルディップ部で車両ボデー全体を浸漬させてから水平にして搬送し、出槽させる。
【選択図】図1
Description
図7は従来の脱脂洗浄工程の構成図である。
図7に示すように、サイドシル、サイドメンバーなどの袋構造部を有する車両ボデー108は、ハンガ106に搭載された状態で、搬送ライン104上を走行して図中に矢印で示した車体進行方向に搬送される。
車両ボデー108は、搬送されながら洗浄液が満たされた第1の洗浄槽101に車両ボデー108の前部を下方にして斜め向きに車両ボデー108全体が浸漬するまで入槽する。車両ボデー108は第1の洗浄槽101内で水平に向きを変えて搬送され、車両ボデー108の前部を上方にして斜め向きに出槽し、洗浄液が満たされた第2の洗浄槽102に車両ボデー108の前部を下方にして車両ボデー全体が浸漬するまで入槽する。そして、第2の洗浄槽102に入槽した車両ボデー108は、第2の洗浄槽102内で水平に向きを変えて搬送され、車両ボデー108の前部を上方にして斜め向きに出槽する。
そこで、図7に示したように第1の洗浄槽101に車両ボデー108を浸漬させ、1度洗浄槽から車両ボデー108を外部に出し、第2の洗浄槽102に車両ボデー108全体を浸漬することで、第1の洗浄槽101と第2の洗浄槽102との間で袋構造部中の液を1度空にできるので、袋構造部を有する車両ボデーであっても、袋構造部内部を含めて車両ボデー108全体を十分に洗浄することが可能である。
図8に示すように、サイドシル、サイドメンバーなどの袋構造部を有する車両ボデー208は、ハンガ206に搭載された状態で、搬送ライン204上を図中に矢印で示した車体進行方向に搬送される。
車両ボデー208は、搬送されながら洗浄液が満たされた第1の洗浄槽201に車両の前部を下方にして斜め向きに入槽し水平に向きを変える。このとき前記袋構造部が洗浄液に浸漬するようにする。その後、車両ボデー208は第1の洗浄槽201内に下部だけだ浸漬した状態で水平に搬送されながら非浸漬部分をスプレー210から噴射された洗浄液で洗浄され、車両ボデー208の前部を上方にして斜め向きに出槽し、洗浄液が満たされた第2の洗浄槽202に車両ボデー208の前部を下方にして車両ボデー208全体が浸漬するまで入槽する。そして、第2の洗浄槽202に入槽した車両ボデー208は、第2の洗浄槽202内で水平に向きを変えて搬送され、車両ボデー208の前部を上方にして斜め向きに出槽する。
前記袋構造部としては、例えば車両ボデーのサイドシル及びサイドメンバーの何れか一方又は両方を挙げることができる。
また、洗浄槽の前半をハーフディップ部として噴霧手段を併用するとともに、後半をフルディップ部とすることで、車両ボデーの急激な姿勢変化回数を削減することができ、車両ボデーへの負担を軽減することができる。
さらに、前記ハーフディップ部とフルディップ部との間で、車両の前部及び後部を順次持ち上げ、袋構造部に空気を入れて、袋構造部中の液を入れ替えることが可能となり高い洗浄性を確保することができる。
前記袋構造部内へ入る空気量が袋構造部の体積の1/4未満である場合には、袋構造部内の洗浄液の入れ替えが十分に行われず、洗浄性の観点で十分とはいえない。
一方、前記袋構造部内へ入る空気量が袋構造部の体積の1/2より多い場合には、車両ボデーの前部及び後部の持ち上げ量を大きくせざるを得ず、従って車両ボデーに急激な姿勢変化をさせてしまうため、車両ボデーにかかる浮力に起因する設備事故やボデー外板の歪防止の観点で十分とはいえない。
前記袋構造部内へ入る空気量を、袋構造部の体積の1/4〜1/2とすると、高い洗浄性を確保でき、車両ボデーにかかる浮力に起因する設備事故やボデー外板歪も防止することができる。
これにより洗浄液を、洗浄槽→ポンプ→フィルタ→噴霧手段→洗浄槽の順で循環利用することができるため、洗浄液に係るランニングコストを低減することができる。
前記フルディップ部とハーフディップ部とが連続して設けられる槽では、その槽の形状上、車両ボデーを脱脂洗浄することによって洗浄液中に存在している鉄粉等のゴミは、フルディップ部とハーフディップ部との境界に集まりやすい。そこで、フルディップ部とハーフディップ部との境界に洗浄液の抜き出し部を設けることで、洗浄液中のゴミが積極的に抜き出されて前記フィルタで除去されるため、洗浄槽内の洗浄液に早期にゴミが溜まることを防止でき、洗浄液の超寿命化が成される。
図6は実施例1に係る車両ボデーの脱脂洗浄の手順を示すフローチャートである。
図2は、ハーフディップ部2aにおける車両ボデー8の浸漬状態を示す。図2に示したように、ハーフディップ部2aにおいては、Aの位置に示した袋構造部であるサイドシル20が洗浄液内に浸漬するように、即ち洗浄液面Bよりもサイドシル20を下方に位置させる。特に、洗浄液面がドアベルトライン付近となるようにすることが効率的に脱脂洗浄を行うためには好ましい。
図1及び図3を用いて前記スプレー洗浄について説明する。
図3は、スプレー洗浄を行う際の車両ボデーの背面図である。
洗浄槽2内の洗浄液の一部は、フルディップ部2cの底面で且つハーフディップ部2aとの境界に設けたストレーナ42で異物の一部を除去し、ポンプ44によって送液される。ポンプ44によって送液された洗浄液は、フィルタ46でストレーナ42で除去し切れなかった異物を除去され、スプレー用配管10に供給される。スプレー用配管は車両ボデー8の進行方向に沿って複数本設けられており、そのそれぞれに複数のスプレーノズル12が設けられている。スプレー用配管10に供給された線浄水は、スプレーノズル12から車両ボデー8に噴射され、車体ボデー8の非浸漬部分を洗浄する。このようにして、洗浄液を洗浄槽2→ポンプ44→フィルタ46→スプレー用配管10→スプレーノズル12→非浸漬部の洗浄→洗浄槽2と循環して利用することで、洗浄液に係るランニングコストが低減できる。
洗浄液の抜き出し口であるストレーナ42の設置位置は、洗浄液が抜き出せる位置であればどこでもよいが、本実施例で配置したようにフルディップ部2cの底面で且つハーフディップ部2aとの境界に設けることが好ましい。これは、槽の形状上、車両ボデー8を脱脂洗浄することによって洗浄液中に存在している鉄粉等のゴミは、フルディップ部2cとハーフディップ部2aとの境界に集まりやすく、本実施例の位置で洗浄液を抜き出すことで、洗浄液中のゴミが積極的に抜き出されてフィルタ46で除去されるため、洗浄槽2内の洗浄液に早期にゴミが溜まることを防止でき、洗浄液の超寿命化が成されるためである。
なお、フィルタ46は2台並列に設置し、どちらか一方を使用し、他方を待機させて予備としておくと、使用中のフィルタに異物が溜まって交換する必要が生じた場合にも待機側のフィルタに切り替え、待機側のフィルタ使用中にフィルタを交換すればよいため運転を停止することがなく好適である。
図4はサイドシル20の斜視図であり、図5は図4におけるC−C断面図である。図4に示したように、サイドシル20は外板22と内板24を張り合わせて構成されており、その長手方向先端部には開口26が設けられている。また、外板22及び内板24の互いに対向する短手方向端部にそれぞれ変形部30、34が設けられ開口部38が形成される。なお、開口部38は一定間隔で複数個設けられている。さらに、開口部38と反対側の短手方向端部にも同様に複数の開口部28が設けられている。
このような構成のサイドシル20においては、車両の前部が持ち上げられ、洗浄液面Dよりも高い位置となった部分に入っていた洗浄液は開口部26、28、38から排出され、空気と入れ替わる。
ステップS3及びステップS4によりサイドシル20内の液が入れ替わり、サイドシル20内の鉄粉などが排出されるので、高い洗浄性を確保することができる。なお、このとき車両ボデーは部分的に浸漬した状態が維持される。
また、ステップS3及びステップS4は境界部2b付近で行われる。
また、車両ボデーの急激な姿勢変化回数も削減できるため、車両ボデーへの負担が軽減され外板の薄板化も容易になる。
さらに、車両の前側及び後側を順次持ち上げることで袋構造部即ちサイドシル内の洗浄液を入れ替えることができるため、鉄粉などがサイドシル内に残存せず高い洗浄性を確保することができる。
2a ハーフディップ部
2c フルディップ部
8 車両ボデー
10 スプレー用配管
12 スプレーノズル
44 ポンプ
46 フィルタ
Claims (7)
- 袋構造部を有する車両ボデーを脱脂洗浄するための洗浄液を満たした洗浄槽と、該洗浄槽に前記車両ボデーを入槽させ、洗浄槽内で搬送し、出槽させる搬送手段とからなる脱脂洗浄装置において、
前記洗浄槽は、少なくとも前記袋構造部を含む車両ボデーの下部を浸漬させることができる深さを有するハーフディップ部と、前記車両ボデー全体を浸漬させることができる深さを有するフルディップ部とが連続して設けられた1つの槽からなり、
前記搬送手段により、前記洗浄槽のハーフディップ部に前記車両ボデーを部分的に入槽させ、前記袋構造部を含む車両ボデーの下部が洗浄液中に浸漬する深さで水平にして搬送し、前記袋構造部に空気が入るまで車両の前部を持ち上げ、続いて前記車両ボデーを部分的に浸漬させたまま車両ボデーの前部を下げながら後部を持ち上げ、前記フルディップ部で車両ボデー全体を浸漬させてから水平にして搬送し、出槽させるように構成したことを特徴とする脱脂洗浄装置。 - 前記車両ボデーの前部の持ち上げ時に、前記袋構造部の体積の1/4〜1/2の空気が袋構造部内に入るように車両を持ち上げることを特徴とする請求項1記載の脱脂洗浄装置。
- 前記ハーフディップ部において、前記車両ボデーの非浸漬部分に洗浄液を噴霧する噴霧手段と、
前記洗浄槽中の洗浄液の一部を抜き出すポンプと、
前記ポンプによって抜き出された洗浄液中の異物を取り除くフィルタとを設け、
前記フィルタによって異物を取り除かれた洗浄液を前記噴霧手段に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の脱脂洗浄装置。 - 前記洗浄液の抜き出し部を、前記フルディップ部とハーフディップ部との境界に設けられていることを特徴とする請求項3記載の脱脂洗浄装置。
- 前記袋構造部が、車両ボデーのサイドシル及びサイドメンバーの何れか一方又は両方であることを特徴とする請求項1〜4何れか1に記載の脱脂洗浄装置。
- 袋構造部を有する車両ボデーを、脱脂洗浄用の洗浄液を満たした洗浄槽に入槽させ、洗浄槽内で搬送し、出槽させる脱脂洗浄方法において、
前記車両ボデーを洗浄槽に部分的に入槽させ、前記袋構造部を含む車両ボデーの下部が洗浄液中に浸漬する深さで車両ボデーを水平にして搬送するとともに、前記袋構造部に空気が入るまで車両の前部を持ち上げ、その後に前記車両ボデーを部分的に浸漬させたまま車両ボデーの前部を下げながら後部を持ち上げ、前記車両ボデー全体を浸漬させてから水平にして搬送し、出槽させることを特徴とする脱脂洗浄方法。 - 前記車両ボデーの前部の持ち上げ時、及び前記車両ボデーの後部の持ち上げ時に、前記袋構造部の体積の1/4〜1/2の空気が袋構造部内に入るように車両を持ち上げることを特徴とする請求項6記載の脱脂洗浄方法。
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