[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態の画像形成装置は、印刷ジョブのスケジューリングを行い、これに基づいて印刷中に用紙をフィードする給紙部を選択した給紙部に切替えるものである。
本実施の形態に係る画像形成装置を含む画像形成システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。本実施の形態の画像形成システム10は、画像形成装置12と、連結装置13と、給紙装置14A、14Bと、入出力インターフェイス15と、後処理装置16A、16B、16C、16D、16Eと、を備えて構成されている。
給紙装置14A、14Bは、それぞれ、画像形成装置12に用紙を供給するための外付け型の用紙給紙装置である。後処理装置16A、16B、16C、16D、16Eは、画像形成装置12で画像が形成された用紙に後処理を行うためのものであり、例えば、ステープル、パンチ、紙折り(2つ折り、3つ折り)、のり付け、及びトリミング等を行うための装置である。
画像形成装置12は、画像データに基づいて中間転写体上に画像を形成し、中間転写体上に形成された画像を用紙に転写することにより、用紙上に画像を形成する(印刷する)ためのものである。
本実施の形態の画像形成装置12の一例を示す概略構成図を図2に示す。本実施の形態の画像形成装置12は、用紙上に画像を形成する画像形成部20及び収納した用紙を画像形成部20に供給するための給紙部22を備えて構成されている。
給紙部22は、内部に収納する用紙Pを画像形成部20に供給するためのものである。本実施の形態では、画像形成装置12の内部に4つの給紙部221、222、223、224を備えている。なお、個々を区別せずに説明する場合は、給紙部22と総称し、区別する場合は1〜4の符号を付して称する。
給紙部22は、内部の仕切り部材等(図示省略)の位置を調整することにより収納する用紙Pのサイズを変更することが可能とされており、積層された用紙Pを収納する。本実施の形態では、トレイ(図示省略)上に用紙Pが積層されて収納されている。給紙部22には、収納された用紙Pのサイズを検出するための複数のメカニカルスイッチ等の機構(図示省略)が設けられている。メカニカルスイッチは、収納された用紙Pに接触することにより、当該用紙Pのサイズに応じてオン、オフ状態の組合わせが代わるように配置されており、オン、オフ状態の組合わせに応じて収納されている用紙Pのサイズを検出する。
給紙部22は、収納された用紙Pの枚数を検知するための検知器(レベルセンサ、詳細後述)が備えられている。本実施の形態では、用紙Pを積層するトレイの位置(リフトアップ)により用紙Pの枚数を検知する(詳細後述)。
給紙部22には、供給ローラ40、供給モータ42、及びワンウェイクラッチ43が設けられている。供給モータ42及びワンウェイクラッチ43は、供給ローラ40及びトレイを駆動してリフトアップし、トレイに積層されている用紙Pの上側から用紙Pを1枚取り出す。
取り出された用紙Pは、複数のローラ対44により搬送経路46を介して、画像形成部20へ搬送される。
また、画像形成装置12には手差しで用紙Pを搬入するための手差しトレイ48が設けられている。手差しトレイ48上に置かれた用紙Pは、画像形成装置12内部の手差しローラ47及びローラ対44により搬送経路46上に案内され、搬送経路46を介して画像形成部20へ搬送される。
また、本実施の形態の画像形成装置12では、手差しトレイ48の下部側に外付け型の給紙装置14から供給される用紙Pを受け入れる用紙受入口60が設けられている。用紙受入口60から受入れた用紙Pは、ローラ対44により、搬送経路40上に案内され、搬送経路46を介して画像形成部20へ搬送される。
画像形成部20は、感光体26、帯電器28、光ビーム走査装置30、現像器32、中間転写体34、転写器36、除電・清掃器38、転写器50、搬送ベルト54、及び定着器56を含んで構成されている。
感光体26は、モータ等の駆動手段(図示省略)の駆動力により予め定められた速度で矢印A方向に回転する。感光体26の周囲には帯電器28が設けられている。帯電器28は、感光体26の周面を帯電させるためのものである。
光ビーム走査装置30は、帯電器28により帯電された感光体26の周面上に、画像形成装置12に入力された画像データに基づいて光ビームを照射し、感光体26の周面上に静電潜像を形成する。
現像器32は、ローラ32Aを含み、感光体26の周面上に形成された静電潜像にローラ32Aにより内部に貯留しているトナーを付着させて現像する。
中間転写体34は、感光体26の下部に設けられており、無端状のベルトである。中間転写体34は、複数のローラ35に巻掛けられており、周面が感光体26の周面に接触する。複数のローラ35は各々、モータ(図示省略)の駆動力により感光体26の回転速度と同じ回転速度で中間転写体34を矢印B方向に回転させる。
感光体26と中間転写体34とが接触する位置の中間転写体34に対して感光体26と反対側には、中間転写体34を感光体26とで狭持するように転写器36が配設されている。感光体26の周面上のトナー像は、感光体26の回転により中間転写体34と接触する転写位置になると、転写器36により中間転写体34に転写される。
除電・清掃器38は、感光体26の周面を除電する機能及び周面上に残留している残留トナーを除去する機能を備えたものである。中間転写体34へトナー像を転写した後、感光体26の周面のうち、転写されたトナー像を保持していた領域は、除電・清掃器38によって清掃される。
一方、搬送経路46を介して搬送されてきた用紙Pは、中間転写体34と転写器50との間に送り込まれ、転写器50におり中間転写体34上のトナー像が転写される。用紙Pの転写器50よりも搬送方向下流側には、2個のローラ50に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト54が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト54により定着器56に搬送され、定着器56によりトナーを溶融定着された後に、排出ローラ対61により搬送ベルト54を介して画像形成装置12の外部へ排出される。
また、画像形成装置12は、両面印刷用の反転経路58を備えている。反転経路58は、複数の反転ローラ対59を備えている。片面に画像が形成された用紙Pが、反転経路58で反転されて再び中間転写体34に搬送され、画像が転写される。これにより、用紙Pの両面に画像が形成される。
さらに、画像形成装置12には、連結装置13を介して外付け型の供給装置14A(図示省略)、14Bが接続されている。連結装置13には、画像形成装置12の用紙受入口60に対応する用紙供給口60が設けられている。
本実施の形態の供給装置14Bは2つの給紙部22(給紙部225、226)を備えて構成されている。供給装置14Bの給紙部22は、画像形成装置12内部の給紙部22と略同様の構成となっている。
供給ローラ40により取り出された用紙Pは、ローラ対66により、用紙搬送路62を介して用紙供給口(用紙受入口)60から画像形成装置12の内部に受入れられ、画像形成部20に供給される。
なお、図示を省略した供給装置14Aは、供給装置14Bと略同様の構成をしており、供給装置14Aから搬送されてきた用紙Pは、用紙搬送路64を介して用紙供給口(用紙受入口)60から画像形成装置12の内部に受入れられ、画像形成部20に供給される。
次に、本実施の形態の画像形成装置12の概略構成の一例を示す機能ブロック図を図3に示す。
本実施の形態の画像形成装置12は、制御部70、画像形成部20、給紙部22n(n=画像形成装部20に用紙を供給するための給紙部の数)、切替先選択部76、供給元切替部78、印刷ジョブスケジューリング部80、タイマー82、ピッチ生成部84、記憶部86、I/F(インターフェイス)88、用紙量検知部90、及びユーザI/F(インターフェイス)92を備えて構成されている。
制御部70は、画像形成装置12の全体を制御するものであり、CPU72を含んでいる。CPU72は、ROM73及びRAM74を内蔵している。CPU72では、詳細を後述する画像形成処理やリフトアップタスク処理が実行される。当該処理のプログラム75は、記録媒体としてのROM73に記憶されている。なお、当該プログラム75は、CD−ROM(図示省略)や、DVD−ROM(図示省略)、リムーバブルディスク(図示省略)等の記録媒体に記録しておき、記憶部86等にインストールし、CPU72により読み込まれて実行されるようにしてもよい。ROM73には、プログラム75等の各種プログラムやパラメータ等が記憶されており、RAM74は、CPU72によるプログラム75等の各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。
給紙部22は、収納する用紙Pを画像形成部20に供給するための、供給ローラ40、供給モータ42、ワンウェイクラッチ43、及びトレイ等により構成される駆動部94、及び収納する用紙Pの枚数を検知するためのレベルセンサ95を含んで構成されている。
切替先選択部76は、印刷ジョブに基づいて、画像形成部20で画像を形成中に給紙部22に収納されている用紙Pが無くなった場合(用紙切れ)等に切替える切替先の給紙部22を選択するためのものである。
供給元切替部78は、印刷ジョブの実行中に用紙切れ等が発生した場合に切替先選択部76で選択された給紙部22に用紙Pを供給する供給元を切替えるためのものである。
印刷ジョブスケジューリング部80は、印刷を指示された(入力された)印刷ジョブのスケジューリングを行うためのものである。本実施の形態では、給紙部22の切替を速やか、かつ、画像形成に無駄や不具合等が生じないようにスケジューリングを行う(詳細後述)。
タイマー82は、画像形成タイミング(ピッチ)や、用紙搬送タイミングを計るためのものである。ピッチ生成部82は、予め定められた間隔で設けられた画像形成タイミング(ピッチ)を生成するためのものであり、例えば、タイマー82等を読み取って生成する。なお、本実施の形態では具体的一例としてピッチは480ms(msec)で設けられている。
記憶部86は各給紙部22の搬送タイミングや、各給紙部22に収納されている用紙Pの枚数等を記憶するためのものである。なお、各給紙部22の搬送タイミングは各給紙部22から画像形成部20への用紙Pの搬送時間に基づいて予め定められている。
I/F88は、ネットワーク等を介して外部のコンピュータ等と印刷ジョブや画像データ、印刷に関する指示や情報等を授受するためのインターフェイスである。
用紙量検知部90は、給紙部22に備えられているレベルセンサ95の検知結果に基づいて、給紙部22に収納されている用紙Pの枚数を検知するためのものである。
ユーザI/F92は、印刷や用紙Pに関する情報等をユーザと授受するためのものであり、具体的例としては、液晶ディスプレイやタッチパネル等が挙げられる。
次に、本実施の形態の画像形成装置12で画像形成を行う際に実行される制御処理について詳細に説明する。
図4は、画像形成装置12で実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、I/F88に印刷ジョブが入力されると実行される。
まずステップ100では、入力された印刷ジョブから印刷枚数Mを取得する。また、印刷サイズ(用紙サイズ)、用紙方向、指定されている場合は指定先の給紙部22がいずれであるかを取得する。
次のステップ102では、印刷に用いる給紙部22(印刷給紙部22)に収納されている用紙枚数Nを取得する(収納枚数の取得については詳細を後述するリフトアップタスク処理を参照)。印刷給紙部22が指定されている場合は、指定先の給紙部22の用紙枚数Nを取得する。指定されていない場合は、用紙サイズ等の印刷条件にあう用紙Pを収納している給紙部22を印刷給紙部22として用紙枚数Nを取得する。なお、印刷条件にあう給紙部22が複数有る場合は、画像形成部20に近い(用紙搬送時間が短い)給紙部22または、収納している用紙Pの枚数が多い給紙部22等、予め定められた条件を満たす給紙部22を印刷給紙部22として、用紙枚数Nを取得する。
次のステップ104では、印刷枚数Mが用紙枚数N以下であるか否かを判断する。すなわち、印刷ジョブの実行中に用紙切れが発生するか否かを判断する。印刷枚数Mが用紙枚数N以下である場合は肯定されて、ステップ106へ進み、印刷給紙部22から給紙を行い、画像形成部20により一般的な通常印刷処理を行う。
通常印刷処理における画像形成タイミングと搬送タイミングとの関係の具体的一例を図5を参照して説明する。なお、本実施の形態では、用紙P、1枚分(片面)の画像データ(画像)のイメージデータ毎にシートIDが付与されている。
図5に示した具体的一例では、ピッチ生成部84により480ms毎に画像形成ピッチが生成され、出力される。画像形成部20では、当該ピッチに応じて感光体26上に静電潜像、トナー像を形成し、中間転写体に転写する。
ピッチ1に応じて用紙P、1枚(片面)分の画像データ(シートID1)に基づく画像を形成し、ピッチ1から480ms経た次のピッチ2に応じて次のシートID2に基づく画像を形成する。同様の処理を全画像データの印刷が終了するまで繰り返す。印刷給紙部22では、ピッチ1から680ms経った搬送タイミングでシートID1が印刷される用紙Pを画像形成部20に供給(フィード)する。さらに、ピッチ2から680ms経った搬送タイミングでシートID2が印刷される用紙Pを画像形成部20にフィードする。全画像データの印刷が終了するまで同様にして用紙Pをフィードする。
すなわち、本実施の形態では、480ms毎に設けられたピッチに応じてシートID毎に画像が形成され、ピッチから680ms経った搬送タイミングで用紙Pをフィードする。本実施の形態では、感光体26上に形成したトナー像を中間転写体に転写した後、用紙Pに搬送するため、用紙Pをフィードする前に画像が形成(形成が開始)される。
このようにして一般的な通常印刷処理を行った後、本処理を終了する。
一方、ステップ104で印刷枚数Mが用紙枚数Nを越える場合、すなわち用紙切れを起こすと予想される場合は否定されて、ステップ108へ進む。
ステップ108では、切替先の給紙部22(切替先給紙部22)を選択する。切替先選択部76により、印刷条件にあう用紙Pを収納する給紙部22を切替先給紙部22として選択する。例えば、ユーザI/F92等によりユーザから指定されている場合は指定先の給紙部22を選択する。なお、切替先給紙部22は、印刷給紙部22よりも搬送タイミングが長い(画像形成部20に近い)位置にあるものが好ましい。また、印刷条件にあう用紙Pを収納する給紙部22が複数ある場合は、画像形成部20に近い給紙部22、または、収納している用紙Pの枚数が多い給紙部22等、予め定められた条件を満たす給紙部22を切替先給紙部22として選択する。
次のステップ110では、印刷ジョブスケジューリング部80により、入力された印刷ジョブをスケジューリングする。本実施の形態では、N枚目の用紙(ピッチN、シートIDN)までは、印刷給紙部22から用紙Pをフィードし、N+1枚目の用紙(ピッチN+1、シートIDN+1)からは、切替先給紙部22から用紙Pをフィードするように、印刷ジョブをスケジューリングする。本実施の形態では、ピッチN+1に応じた搬送タイミングでN+1枚目の用紙Pを切替先給紙部22からフィードするために、切替先給紙部22のフィード準備(リフトアップタスク処理、詳細後述)等を行うように印刷ジョブのスケジューリングを行う。具体的例としては、予め各給紙部22の最長リフトアップ時間を記憶部86に記憶しておき、ピッチN+1に応じた搬送タイミングになる前にリフトアップが完了するように事前にリフトアップするように駆動部94に指示する。
次のステップ112では、スケジューリングした印刷ジョブに基づく画像形成の開始を画像形成部20に指示する。これにより、画像形成部20による画像の形成(印刷)が実行される。
次のステップ114では、ピッチがN+1番目のピッチであるか否か判断する。未だN+1番目のピッチに達していない、すなわち、N枚目の用紙Pをフィードしていいない場合は否定されて、ステップ116へ進み、印刷給紙部22より用紙Pをフィードし、次のステップ118では、印刷給紙部22に収納されている用紙Pの枚数を取得(詳細後述)した後、ステップ114に戻る。一方、N+1番目のピッチに達した場合は肯定されて、ステップ120へ進む。
ステップ120では、供給元切替部78により、用紙Pの供給元を印刷給紙部22から切替先給紙部22に切替える。
次のステップ122では、切替先給紙部22より用紙Pをフィードし、画像形成部20に供給する。すなわち、N+1番目のピッチに応じてN+1枚目の用紙Pを切替先給紙部22からフィードする。
次のステップ124では、本処理を終了するか否か判断する。印刷ジョブにより指示された画像データ全ての印刷が未だ終了していない場合はステップ122に戻り、切替先給紙部22から用紙Pをフィードし、画像を形成する処理を繰り返す。一方、全画像データの印刷が終了した場合は肯定されて本処理を終了する。
本実施の形態に係る画像形成タイミング、搬送タイミング、及び用紙供給元切替の関係の具体的一例を図6を参照して説明する。図6は、N=1(収納枚数1枚)であり、搬送タイミングが680msの給紙部223から、搬送タイミングが880msの給紙部221に切替える場合を説明する。なお、搬送タイミングが長いほうが、より画像形成部20に近い位置に配設されている(搬送時間が短い)ことを示している。
図6に示した具体的一例では、画像形成ピッチはステップ106の通常印刷処理と同様に、480ms毎に生成され、出力され、これに応じて画像形成部20で画像が形成される。
ピッチ1に応じてシートID1に基づく画像を形成し、ピッチ1から680ms経った搬送タイミングで用紙Pを給紙部223でフィードする。用紙供給元を給紙部221に切替え、ピッチ1から480ms経た次のピッチ2から880ms経った搬送タイミングで用紙Pを給紙部221でフィードする。全画像データの印刷が終了するまで同様にして給紙部221で用紙Pをフィードする。
ここで、本実施の形態の処理を行わない、通常の場合における印刷給紙部22から切替先給紙部22への切替について、図7を参照して説明する。なお、図6の場合と同様に、N=1であり、搬送タイミングが680msの給紙部223から、搬送タイミングが880msの給紙部221に切替える場合を説明する。給紙部223がピッチ1から搬送タイミング680msを経て用紙Pをフィードすると、レベルセンサ953は、給紙部223の用紙切れを検知する。用紙切れを検知すると給紙部221はリフトアップ動作処理を行った後、用紙Pをフィードする。従って、リフトアップ動作処理等に要する時間の間は、用紙Pを画像形成部20に供給することができない。図7に示した場合では、給紙部223の用紙切れを検知したときには既に画像形成部20では、ピッチ2に応じてシートID2の画像が形成されているが、用紙Pがフィードできない。そのため、感光体26に形成されたトナー像を除去したり、中間転写体に転写されたトナー像を除去したりする等、形成された画像を消し込む消し込み処理が行われる。そして、給紙部221で用紙Pがフィードできるようになると、再び消し込まれた画像(シートID2)が形成される。図7では、ピッチ3に応じてシードID2の画像が再形成され、ピッチ3から搬送タイミング880msを経て用紙Pが給紙部221によりフィードされ、用紙PにシートID2の画像が転写される。
このように用紙Pの搬送が間に合わないため、画像の消し込み処理を行うと、用紙Pに汚れが発生したり、画像のオフセットの問題が生じたりするため、生産性の低下につながる。
次に、本実施の形態の画像形成中に実行されるリフトアップタスク(用紙量検知を含む)処理について詳細に説明する。図8は、リフトアップタスク処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップ200では、用紙Pがフィードされたか否か判断する。フィードされていない場合は否定されて待機状態になる。一方、フィードされた場合は肯定されて、ステップ202へ進む。
ステップ202では、印刷給紙部22に収納されている用紙の枚数NをN−1枚にする。
次のステップ204では、切替先給紙部22をリフトアップするか否か判断する。本実施の形態では、ジョブスケジューリング(図4のステップ110)により生成された印刷ジョブのスケジューリングに基づいて、リフトアップするか否か判断する。リフトアップしない場合は否定されて、ステップ210へ進む。一方、リフトアップする場合は肯定されて、ステップ206へ進み、詳細を後述するリフトアップ動作処理を行い、切替先給紙部22をリフトアップする。
次のステップ208では、詳細を後述する切替先給紙部22に収納されている用紙Pの枚数(用紙残量)予測処理を行い、用紙Pの残量を予測した後、ステップ210へ進む。
ステップ210では、本処理を終了するか否か判断する。否定されるとステップ200に戻り、本処理を繰り返す。一方、全画像データの印刷が終了した場合等、画像形成が終了する場合は肯定されて本処理を終了する。
次に、本実施の形態のリフトアップ動作処理(図8のステップ206)について詳細に説明する。図9は、本実施の形態のリフトアップタスク処理におけるリフトアップ動作処理の一例を示すフローチャートである。
まずステップ300では切替先給紙部22に収納されている用紙サイズの検知を完了したか否か判断する。完了していない場合は否定されて待機状態になり、完了した場合は肯定されて、ステップ302へ進む。
ステップ302では、リフトアップ動作が禁止されているか否か判断する。予め定められている禁止条件を満たす場合は肯定されて、禁止が解除されるまで待機状態になる。一方、禁止条件を満たさない場合は否定されてステップ304へ進む。なお、このとき、レベルセンサ95はオフ状態になっている。
なお、本実施の形態では、禁止条件とは、電力の都合等によりリフトアップを行わない方がよいと判断される条件が挙げられる。具体的例としては、定着器56のウォームアップ中や、診断機能テスト中等が挙げられる。
ステップ304では、リフトアップ動作を実行する。図10に、本実施の形態のリフトアップ動作の具体的一例を説明するための説明図を示す。本実施の形態の供給モータ42は、ステッピングモータであり、駆動方向、励磁のON/OFF、及び駆動パルスを制御することにより駆動される(逆転駆動によりトレイのリフトアップが実施される)。
切替先給紙部22の供給モータ42に対し、駆動方向を逆転に設定し、励磁電流値を弱電流に設定し、励磁をONにする。
励磁をONにしてから50ms経過後に、速度400ppsで1パルスを出力する。これにより、供給モータ42のギアのかみ合いの歯合わせが行われる。
さらに、50ms経過後に、励磁電流値を強電流に設定し、供給モータ42を600ppsまで加速していく。なお、給紙部22により質量差があるため、強電流の設定値は異なる。また、同時にリフトアップ時間tをタイマー82等により計測する。
リフトアップ動作によりトレイがリフトアップされ、レベルセンサ95のONを検出したら、供給モータ42を減速していく。
減速を開始してから40ms後に、供給モータ42の励磁電流値を中電流にする。
励磁電流値を中電流に切替えてからさらに50ms経過後に、供給モータ42の励磁をOFFにする。
なお、リフトアップ中に上記禁止条件が成立した場合は、リフトアップを一時停止し、禁止条件が解除された後に、リフトアップ動作を再開する。この場合、リフトアップ時間tを記憶部86に累積記憶する。
このようにしてトレイがリフトアップされると、次のステップ306では、トータルリフトアップ時間を算出した後、本処理を終了する。本実施の形態では、トータルリフトアップ時間は下記の(1)式により算出する。
トータルリフトアップ時間=リフトアップ時間+トレイ残量検知カウント係数×リフターアジャスト回数 ・・・(1)
なお、式(1)において、リフトアップ時間はリフトアップ動作における供給モータ42のセットアップ開始からレベルセンサ95がONするまでの時間(図10のリフトアップ時間t)である。また、トレイ残量検知カウント係数は予め定められ、記憶部86等に記憶しているものである。具体的一例を図11に示す。さらに、リフターアジャスト回数は、リフトアップの回数である。
また、トータルリフトアップ時間は、図12に具体的例を示した上限値を最大とし、(1)式により上限値を超えた場合は、トータルリフトアップ時間=上限値とする。
次に、本実施の形態の切替先給紙部の用紙残量予測処理(図8のステップ208)について詳細に説明する。図13は、本実施の形態のリフトアップタスク処理における切替先給紙部の用紙残量予測処理の一例を示すフローチャートである。
まずステップ400では、収納されている用紙Pの枚数の予測値を下記の(2)式により算出する。
用紙枚数予測値=(トータルリフトアップ時間/最大リフトアップ時間)×最大収容枚数 ・・・(2)
なお、最大リフトアップ時間は、給紙部22に収納できる最大収容枚数分をリフトアップするのに必要な時間である。各供給部22は収納できる最大収容枚数が異なるため、枚数に応じてそれぞれ異なる。
次のステップ402では、記憶部86に記憶している現在の用紙予測枚数(収納枚数)と算出した用紙枚数予測値とを比較し、次のステップ404では、値が小さい方を給紙部22に収納されている用紙枚数Nとして設定し、記憶部86に記憶する。
次のステップ406では、用紙枚数をユーザI/F92に表示させた後、本処理を終了する。なお、本実施の形態では、用紙枚数そのものではなく、図14に具体的例を示した4ランク(25%、50%、75%、100%)の用紙残量ランクを表示する。これにより、ユーザに、給紙部22の用紙残量を認識させる。
このように本実施の形態では、切替先選択部76で印刷条件にあった切替先給紙部22を選択し、取得した印刷給紙部22の用紙枚数N枚目をフィードする基準ピッチの次の基準ピッチからは切替先給紙部22により用紙Pをフィードするように、印刷ジョブスケジューリング部80で印刷ジョブをスケジューリングし、当該印刷ジョブに基づいて、画像形成部20に用紙Pをフィードする給紙部22が、供給元切替部78により切替えられる。
本実施の形態では、基準ピッチを飛ばすことなく給紙部22の切替えが行われる。従って、無駄な画像形成や、それに伴う消し込み処理の発生が防止される。
なお、全ての給紙部22に収納している用紙Pの枚数を印刷ジョブの実行前に、図8のリフトアップタスク処理と同様にして取得し、記憶部86に記憶しておくことが好ましい。また、給紙部22が開閉されたり、用紙Pを積載するトレイが抜き差しされたり等、給紙部22に収納されている用紙Pの枚数が変更された可能性がある場合は、収納されている用紙Pの枚数を取得し、記憶部86に記憶している収納枚数を更新するようにするとよい。
なお、本実施の形態では、印刷中に給紙部22の切替えを1回行っているが、これに限らず、複数回切替えるようにしてもよい。この場合、例えば、切替えられた後にユーザ等により用紙Pが充填されたことにより使用可能になった給紙部22に再度切替えるようにしてもよいし、全て異なる給紙部22に切替えるようにしても良い。このような場合は、切替先選択部76で複数の切替先を選択し切替える順番を指定(図4のステップ108)し、印刷ジョブスケジューリング部80で印刷ジョブをスケジューリング(図4のステップ110)すればよい。
また、何枚フィードしたら印刷給紙部22から切替先給紙部22に切替えるかは、ユーザの指定に基づく枚数であっても、予め定められた枚数であっても、取得した印刷給紙部22に収納されてい用紙Pの枚数であってもよい。
また、切替先選択部76が、例えば、用紙のサイズが異なっているため等の理由により切替可能な給紙部22が無いと判断した場合は、切替先が無いことをユーザI/F92によりユーザに報知するようにするとよい。
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態は、用紙切れをレベルセンサで検知した後に、搬送タイミングを計るダミータイマーがタイムアウトした給紙部に切替えるものである。
なお、本実施の形態の画像形成システム及び画像形成装置、画像形成装置で実行されるリフトアップタスク処理は第1の実施の形態と略同様であるため、ここでは異なる部分及び画像形成装置で実行されるメイン処理のみ詳細に説明する。また、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分のみ詳細に説明する。
図15に、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図を示す。本実施の形態の画像形成装置96は、第1の実施の形態の画像形成装置12に備えられている印刷ジョブスケジューリング部80に代わり、ダミータイマー97を備えている。ダミータイマー97は、切替先選択部76で選択された切替先給紙部22の搬送タイミングを計るためのものである。なお、本実施の形態では、切替先選択部76で切替先を1つ選択し、選択された給紙部の搬送タイミングを図るためダミータイマー97を1つ備えているが、これに限らず、切替先を複数選択する場合は、選択した個数分、ダミータイマー97を備えるようにする。
図16に、本実施の本実施の形態の画像形成装置96で実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートを示す。
ステップ500では、印刷ジョブから印刷枚数Mを取得し、ステップ502では、給紙部22の用紙Pの収納枚数を取得し、ステップ504では、印刷枚数Mが収納枚数N以下であるか否かを判断し、肯定された場合はステップ506へ進み通常の印刷処理を行った後、本処理を終了する。一方、否定された場合はステップ508へ進み、切替先給紙部22を選択する。これら、ステップ500、502、504、506、508の処理は、それぞれ第1の実施の形態のメイン処理(図4)のステップ100、102、104、106、108に対応する処理である。
次のステップ510では、印刷ジョブに基づく画像形成の開始を画像形成部20に指示する。これにより、画像形成部20による画像の形成(印刷)が実行される。
次のステップ512では、印刷給紙部22より用紙Pをフィードし、次のステップ514では、印刷給紙部22の用紙枚数を取得する。これらステップ512、514の処理は、それぞれ第1の実施の形態のメイン処理(図4)のステップ116、118に対応する処理である。
次のステップ516では、印刷給紙部22の用紙収納枚数Nと予め定められた枚数S1とを比較する。用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S1よりも大きい、フィードした用紙Pの枚数が少ない場合は、ステップ512に戻り、用紙Pをフィードし、収納枚数を取得する処理を繰り返す。一方、用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S1と等しい場合は、ステップ518へ進み、切替先選択部76で選択された切替先給紙部22のリフトアップ動作を開始するよう指示する。当該指示により、リフトアップタスク処理(図8参照)のステップ204で肯定判断され、リフトアップ動作処理、及び切替先給紙部22の用紙残量予測処理が行われる。一方、用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S1よりも小さい場合は、ステップ520へ進む。
ステップ520では、印刷給紙部22の用紙収納枚数Nと予め定められた枚数S2(S2<S1)とを比較する。用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S2よりも大きく、かつ、予め定められた枚数S1よりも小さい場合は、ステップ512に戻り、用紙Pをフィードし、収納枚数を取得する処理を繰り返す。一方、用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S2と等しい場合は、ステップ522へ進み、ダミータイマー97を起動させ、切替先給紙部22の搬送タイミングを計る。以降、ダミータイマー97は、切替先給紙部22の搬送タイミングを計り続ける。一方、用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S2よりも小さい場合は、ステップ524へ進む。
ステップ524では、レベルセンサ95が印刷給紙部22の用紙切れを検知したか否か判断する。検知していない場合は否定されて、ステップ512へ戻り、印刷給紙部22から用紙Pをフィードし、印刷給紙部22の用紙枚数を取得する処理を繰り返す。一方、用紙切れを検知した場合は肯定されて、ステップ526へ進む。
ステップ526では、供給元切替部78により供給元を切替先給紙部22に切替え、次のステップ528では、ダミータイマー97がタイムアウトする(搬送タイミングに達する)と、切替先給紙部22より用紙をフィードする。
次のステップ530では、本処理を終了するか否か判断する。印刷ジョブにより指示された画像データ全ての印刷が未だ終了していない場合はステップ28に戻り、切替先給紙部22から用紙Pをフィードし、画像を形成する処理を繰り返す。一方、全画像データの印刷が終了した場合は肯定されて本処理を終了する。
本実施の形態に係る画像形成タイミング、搬送タイミング、及び用紙供給元切替の関係の具体的一例を図17を参照して説明する。図17は、N=1(収納枚数1枚)であり、搬送タイミングが680msの給紙部223から、搬送タイミングが880msの給紙部221に切替える場合を説明する。図17に示した具体的一例では、ピッチ1に応じてシートID1に基づく画像を形成し、ピッチ1から680ms経った搬送タイミングで用紙Pを給紙部223でフィードする。用紙Pをフィードした後、レベルセンサ953が給紙部223の用紙切れ(収納枚数0枚)を検知する。このときダミータイマー97は、ピッチ2に応じた給紙部221の搬送タイミング(880ms)を計っているため、タイムアウトすると、切替えられた給紙部221により用紙Pをフィードする。
なお、切替先選択部76により複数の切替先選択部が選択されている場合は、選択数に応じてダミータイマー97を複数設け、選択された切替先給紙部22それぞれの搬送タイミングを計るようにする。図17には、給紙部222(搬送タイミング780ms)がさらに選択されている場合を示している。給紙部223の用紙切れを検知したときに、給紙部221及び給紙部222の何れのダミータイマー97もピッチ2に応じた搬送タイミングをタイムアウトしていない場合は、搬送タイミングが長い(搬送時間が短い)方に切替える。また、用紙切れを検知したときに、ダミータイマー97がすでに搬送タイミングをタイムアウトしている場合は、タイムアウトしていない給紙部22に切替える。
このように本実施の形態では、切替先選択部76で印刷条件にあった切替先給紙部22を選択する。印刷給紙部22により用紙Pをフィードし、印刷給紙部22の用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S1に達したら、切替先給紙部22のリフトアップを開始し、さらに、用紙収納枚数Nが予め定められた枚数S2に達したら、ダミータイマー97を起動させ、切替先給紙部22の搬送タイミングを計り、レベルセンサ95で印刷給紙部22の用紙切れを検知したら、供給元切替部78で供給元を切替え、ダミータイマー97がタイムアウトすると切替先給紙部22により用紙Pをフィードする。
本実施の形態では、用紙切れ検知時に動作しているダミータイマー97がタイムアウトすると、切替先給紙部22により用紙Pをフィードするため、基準ピッチを飛ばすことなく給紙部22の切替えが行われる。従って、無駄な画像形成や、それに伴う消し込み処理の発生が防止される。