JP2010077767A - 円管を内側から補修する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円管の補修個所を、簡便な方法で内側から確実に補修する。
【解決手段】円管を内側から補修する方法は、長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、円管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を準備するステップS1と、修理部材の外面に接着剤を塗布するステップS2と、修理部材を円管の内径よりも小さな外径となるように縮径するステップS3と、接着剤が塗布され縮径された修理部材を、円管の内部に、補修位置まで挿入するステップS4と、補修位置で修理部材を拡径して、修理部材を、接着剤を介して円管の内壁に当接させるステップS5と、接着剤を硬化させて、修理部材を円管の内壁に固定する接着剤硬化ステップS6と、を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は円管を内側から補修する方法に関し、特に、ガス坑井管や石油坑井管などの縦坑の破損部を補修する方法に関する。
ガス坑井管や石油坑井管などの縦坑は一般に鋼管が使用されている。このため、長年の使用により、管の側壁に腐食による穴があき、本来の機能を著しく阻害する場合がある。
特許文献1には、膨張可能なゴムエレメントの外周に離型フィルムを介して水中硬化性樹脂を形成し、補修個所でゴムエレメントを膨張させて水中硬化性樹脂を管の内壁に貼り付ける方法が開示されている。ゴムエレメントは高圧ホースに懸架された状態で坑内に吊降ろされ、高圧ガスによって膨張させられる。水中硬化性樹脂が貼り付けられ硬化するとゴムエレメントは上方に引き上げられる。
特許文献2には、拡径状態と縮径状態とを取ることのできる環状補修部材を管内に挿入して地下埋設管の補修を行う技術が開示されている。環状補修部材は、概ねC字型の断面を有している。環状補修部材は、その周方向両端が連結体で拘束された縮径状態で管内に吊降ろされ、補修個所を覆うように管内で回転させられ、その後連結体の拘束が解除されて拡径状態となる。この結果、環状補修部材はその弾性力によって管の内壁に密着させられる。
特開2001−20653号公報 特開2003−119836号公報
特許文献1に記載の技術では、ゴムエレメントの膨張によって水中硬化性樹脂が管の内壁に押し付けられる。しかし、いったんゴムエレメントが上方に引き上げられると、水中硬化性樹脂を管の内壁に押し付ける外力は消失するため、水中硬化性樹脂が管の内壁に固定されるまで、ゴムエレメントをそのままの状態で長期間保持する必要がある。このため、施工効率の向上に限界がある。特に管壁の長い距離にわたって補修する場合、ゴムエレメントの長さの制限から、水中硬化性樹脂を数回に分けて順次管壁に固定する必要があり、施工期間が長期化する。一例では、10m程度の長さに渡って補修する場合、ゴムエレメントの長さの制限から、1m程度の長さに補修区間を分割する必要があり、各補修区間の補修に3日程度を要していたため、のべ30日程度を要していた。
特許文献2に記載の技術では、環状補修部材を管内で回転させる必要があるため、その分追加の工程が必要となり、また、位置合わせのためにカメラ等の視認手段を設ける必要があり、設備自体も大掛かりなものとなる。次に、環状補修部材の円管の内壁への固定は環状補修部材の弾性復元力のみに依存するため、管内の水流等による剥離力に対抗するために大きな弾性復元力を必要とする。結果として、環状補修部材は高い剛性を有している必要があり、環状補修部材の材料は同文献に記載の通り、ほぼ金属製に限定され、管内への搬送手段も大掛かりなものとなる。しかも、環状補修部材の材料が補修対象の円管に直接接触するため、補修対象の円管が金属製である場合に環状補修部材として不適切な金属材料を選択すると、腐食電位の差によって、補修対象の円管または環状補修部材のいずれかが腐食しやすくなる。高い剛性を与えるために環状補修部材の肉厚を増加すれば、補修後の円管の内径がその分減少し、円管の本来の機能に影響することも考えられる。さらに、補修後も環状補修部材には弾性復元力に基づく曲げモーメントが常時作用し、クリープによる塑性変形が進行して、復元力が消失または低下するおそれがある。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、円管の補修個所を、簡便な方法で内側から確実に補修する方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る、円管を内側から補修する方法は、長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、円管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を準備するステップと、修理部材の外面に接着剤を塗布するステップと、修理部材を円管の内径よりも小さな外径となるように縮径するステップと、接着剤が塗布され縮径された修理部材を、円管の内部に、補修位置まで挿入するステップと、補修位置で修理部材を拡径して、修理部材を、接着剤を介して円管の内壁に当接させるステップと、接着剤を硬化させて、修理部材を円管の内壁に固定する接着剤硬化ステップと、を有している。
本発明の他の一実施形態に係る、円管を内側から補修する方法は、第1の補修工程と、第1の補修工程の後に行われる第2の補修工程と、を有している。第1の補修工程は、長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、円管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を第1の修理部材として準備する第1の修理部材準備ステップと、第1の修理部材の外面に接着剤を塗布する第1の接着剤塗布ステップと、第1の修理部材を円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する第1の縮径ステップと、接着剤が塗布され縮径された第1の修理部材を、円管の内部に、補修位置まで挿入する第1の挿入ステップと、補修位置で第1の修理部材を拡径して、第1の修理部材を、接着剤を介して円管の内壁に当接させる第1の拡径ステップと、を有している。第2の補修工程は、修理部材を第2の修理部材として準備する第2の修理部材準備ステップと、第2の修理部材の外面に接着剤を塗布する第2の接着剤塗布ステップと、第2の修理部材を円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する第2の縮径ステップと、接着剤が塗布され縮径された第2の修理部材を、円管の内部に、第1の修理部材の挿入方向後端に接する位置まで挿入する第2の挿入ステップと、第1の修理部材の後端に接する位置で第2の修理部材を拡径して、第2の修理部材を、接着剤を介して円管の内壁に当接させる第2の拡径ステップと、を有している。本方法はさらに、接着剤を硬化させて、第1、第2の修理部材を円管の内壁に固定する接着剤硬化ステップを有している。
このような補修方法によれば、修理部材の円管の内壁への固着は修理部材の弾性復元力に基づく押し付け力がかかった状態で接着剤が固化することによって実現されるため、固着性能は、接着剤単独または修理部材単独の固着力に依存する従来技術と比べて格段に改善される。接着剤自体の接着力が当初より期待できるため、修理部材の弾性復元力はそれほど大きなものである必要はなく、修理部材を補助的に管壁に押し付ける程度の大きさで十分である。このため、薄肉の修理部材を用いることができ、管の機能への影響を最小限にとどめることができるほか、修理部材のコストへの影響も抑えられ、材料の選択範囲も拡大する。また、修理部材は管の内周長と実質的に等しい外周長を有しているので、管壁に取り付けられた際にはスリットが実質的に閉じられ、管壁のほぼ全周が修理部材で覆われる。このため、修理部材の管内の所定位置への挿入後に修理部材の回転角度の調整は不要であり、補修時間の短縮にもつながる。
以上説明したように、本発明によれば、円管の補修個所を、簡便な方法で内側から確実に補修する方法を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の、円管を内側から補修する方法の実施形態について詳細に説明する。本発明は、ガス坑井管や石油坑井管などの、開口が地表面に露出し鉛直方向に延びる縦坑に特に好適に適用できるが、開口が地表面に露出し、水平または斜めに直線状に延びる円管についても同様に適用できる。また、本発明は、内部に地下水等の液体が存在する円管にも好適に適用できる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は円管を1つの修理部材で補修する形態に関する。以下、図1のフロー図を参照しながら、第1の実施形態について詳細に説明する。
(ステップS1:修理部材準備ステップ)
まず、補修対象の円管よりも5〜30mm程度小さい径の円筒あるいは円柱状の成形用型を用意する。次に、その型に離型剤を塗布し、熱硬化性樹脂をマトリックスとして用いた繊維強化プラスチックス(FRP)を形成していく。具体的には、硬化剤を混入したビニルエステル樹脂を塗布し、ただちにグラスファイバークロスを巻き付け、その上に同じ樹脂を塗布して含浸させる。次いで、さらにグラスファイバークロスを巻き付け、再度同じ樹脂を塗布して含浸させる。この作業を所定の膜厚になるまで繰り返した後、硬化するまで放置する。硬化剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)が挙げられる。
硬化したら成形体にカッターで線状に切り込みを入れて、成形体を、離型剤上を滑らせて型から抜く。切り込み部は成形用型の軸線に概ね平行に入れることが望ましい。その後切り込みに沿ってスリットを形成するとともに、両端部を平坦に加工する。図2は、このようにして形成された修理部材1の斜視図を示している。修理部材1は概ね円筒形の形状をなしており、長手方向Zに一端から他端まで延びるスリット2を備えている。修理部材1の長手方向Zの両側端面3,4は平坦に成形されているが、本実施形態では必ずしも平坦に成形されている必要はなく、型から抜いたままの状態でも構わない。
修理部材1はビニルエステル樹脂で形成されているため、適度な弾性を有し、硬化後も容易に弾性変形する。このため、外力を加えることでスリット2を容易に閉じることができ、また外力を解放することで、いったん閉じたスリット2を容易に開くことができる。しかもスリット2の開閉によっては容易に塑性変形せず、外力がない状態ではスリット2は元の形状に復帰する。修理部材1はビニルエステル樹脂で形成されているため、施工後の環境でも、物理的にも化学的にも劣化しにくい。
修理部材1は、このような条件を備えている限り、ビニルエステル樹脂とグラスファイバークロスの組み合わせ以外のFRP材料で形成することもできる。マトリックスである熱硬化性樹脂の例として、ビニルエステル樹脂の他に不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、メチルメタクリレート(Methyl Methacrylaye)樹脂(MMA樹脂)等が挙げられる。繊維の例として、グラスファイバーの他にカーボンファイバー、アラミドファイバー等が挙げられる。使用目的に応じて、これらの材料の2種類あるいは3種類を層状に重ねた成型品を用いることもできる。また、同一の修理部材を大量に製作する場合は、フィラメントワインディング法で成形体を作って型抜きした後、所定の長さに切断し、上述のスリット加工及び端部加工を行ってもよい。
スリット2の幅Wは補修対象の円管の内周長または内径との関係で決定され、具体的には、修理部材1の外周長L1が補修対象の円管の内周長D×π(Dは補修対象の円管の内径。図4(b)参照)と実質的に等しくなるように決定される。修理部材1の肉厚は、スリット2を縮径して接着剤を塗布した状態で補修対象の円管に挿入可能であり、スリット2が弾性復元力で開いたときに修理部材1が補修対象の円管の内壁に適度な押し付け力で押し付けられるように決定される。
(ステップS2:接着剤塗布ステップ)
修理部材1の外面に接着剤(図示せず)を塗布する。接着剤としては水中で硬化する水中接着剤が好ましく、例えば、ポリアミド硬化エポキシ樹脂及びポリアミン硬化エポキシ樹脂が挙げられる。接着材は修理部材1の外面に直接塗布してもよいし、接着剤を含浸させた不織布を修理部材1の外面に巻き付けてもよい。
(ステップS3:縮径ステップ)
図3に示すように、修理部材1を補修対象の円管の内径Dよりも小さな外径となるように縮径する。縮径は修理部材1を巻きたたむように変形させることによって行い、縮径した修理部材1を、糸、テープ等の任意の手段(図示せず)を用いて、縮径した状態に仮止めしておく。上述のように、修理部材1は容易に弾性変形するため、スリット2の幅Wを適正に選択することによって、スリット2が完全に閉じられ、かつ修理部材1の周方向両端部5,6が互いに重なり合うように変形させることができる。修理部材1の外径は重なり幅W1を大きくすることによって縮小可能であり、次の修理部材挿入ステップS4で修理部材1に塗布された接着剤が補修対象の円管の内壁に接触して、修理部材の挿入が阻害されることのないよう、補修対象の円管の内径に対してある程度の余裕を持たせることが望ましい。
なお、本ステップでいう縮径時の修理部材1の「外径」とは、修理部材の長手方向Zと直交する任意の平面において測定した修理部材1の外周の任意の2点間の直線距離のうち最大となる値を意味する。例えば、後述する図4(d)において符号dで示した直径が本ステップでいう「外径」となる。換言すれば、修理部材1を補修対象の円管に挿入したときに、円管の内壁と修理部材1の外面との間にできる両側の間隙の和は、補修対象の円管の内径Dから修理部材の「外径」を引いた値を下回ることはない。
本ステップとステップS2(接着剤塗布ステップ)はいずれを先に行ってもよい。
(ステップS4:修理部材挿入ステップ)
接着剤が塗布され縮径された修理部材を、円管の内部に、補修位置まで挿入する。図4は、修理部材の円管内部への挿入・取り付け方法を示す概念図である。図4の(b)、(d)、(f)は各々、(a)、(c)、(e)のb−b線、d−d線、f−f線に沿った断面図である。まず、図4(a)に示すように、保持部材11で修理部材1の内面を保持する。保持部材11は高圧ホース12を介して、制御ユニット13に設けられた高圧ガス供給部(図示せず)に接続されている。保持部材11は、高圧ガス供給部からの高圧ガス(例えば、窒素ガス)がその内部に導入されることによって、径方向に膨張可能となっている。保持部材11を径方向にわずかに膨張させることで、修理部材1は保持部材11に支持される。修理部材1の取り付け後に保持部材11を引き上げやすくするため、保持部材11の外面にあらかじめ離型剤(図示せず)を塗布しておくこともできる。
次に、図4(c),(d)に示すように、高圧ホース12を介して修理部材1を補修対象の円管16の内部に、補修位置17まで挿入する。なお、図4(c)では図4(a)に示した地上部の設備の図示は省略している。高圧ホース12は保持部材11を懸架する機能も有しており、三脚15で支持された幾つかの滑車14a,14bを介して、制御ユニット13に設けられた電動ウインチ等の駆動機構(図示せず)に接続されている。このため、駆動機構を作動させることによって、保持部材11に支持された修理部材1を円管16の内部で昇降させることができる。
補修位置17はあらかじめカメラを円管16に挿入して確認しておくことが好ましい。あるいは、保持部材11にカメラを装着して、オンラインで深さを確認しながら保持部材11に支持された修理部材1を補修位置17の側方に位置させてもよい。この場合、保持部材11の下端部から下方に延びるアームにカメラを装着するなど、修理部材1によってカメラの視野が妨げられないようにすることが望ましい。
なお、修理部材1の昇降方法は上記の例に限定されず、高圧ホース12とは別にワイヤ等を修理部材1に直接取り付けて行ってもよい。
(ステップS5:拡径ステップ)
次に、図4(e)、(f)に示すように、補修位置17で修理部材1を拡径して、修理部材を、接着剤を介して円管16の内壁に当接させる。具体的には、保持部材11に高圧ガス供給部からの高圧ガスをさらに供給して、保持部材11をさらに膨張させる。これによって、修理部材1が拡径するとともに、円管16の内壁に強く押し付けられ、接着材の接着効果が高められる。仮止めに用いていた糸やテープはこの拡径作業の際に自動的に切断されるが、切断されない場合は適宜の手段によって強制的に切断してもよい。
修理部材1は、円管16の内周長D×πと実質的に等しい外周長L1を有しているいので、縮径後は図4(f)に示すように、スリット2が実質的に閉じられるとともに、修理部材1の周方向両端部5,6の重なりも解消される。接着剤の厚みが無視できない程度に大きいときは、接着剤の厚みを考慮して修理部材1の外周長L1を設定しておくことが好ましい。修理部材1のこのような形状により、修理部材1を挿入する際の回転角(スリット2の角度位置)はなんら調整の必要がなく、修理部材1が補修位置17に到達後、ただちに本ステップを実行できる。
(ステップS6:接着剤硬化ステップ)
接着剤を自然硬化させて、修理部材1を円管16の内壁に固定する。上述のように、修理部材1はそれ自体の弾性復元力によって円管16の内壁に押し付けられる。従って、接着剤の硬化時間にもよるが、拡径ステップS5の終了後直ちに、または多少の時間経過後に保持部材11を引き上げることができる。保持部材11は、高圧ホース12または保持部材11に設けたガスベント(図示せず)を開放するなど適宜の方法によって保持部材11内のガスを抜き、保持部材11の外径を縮小させることで容易に引き抜くことができる。保持部材11の外面には離型フィルムが塗布されているので、接着剤が保持部材11の引き抜きを妨げることはなく、引き抜きの際のせん断力で接着剤を剥離させることもない。以上のステップによって、本実施形態による円管の補修が完了する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は円管を修理部材の複数回の施工で補修する形態に関する。以下、図5のフロー図を参照しながら、第1の実施形態について詳細に説明する。ここでは、2つの修理部材で補修を行う形態を説明するが、修理部材の個数は限定されず、補修範囲に応じて3個以上の修理部材を用いて補修を行うことも可能である。また、以下のステップの一部は、第1の実施形態におけるステップと同一であるため、詳細な説明は第1の実施形態を参照されたい。
<第1の補修工程>
(ステップS1’:第1の修理部材準備ステップ)
長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を第1の修理部材1aとして準備する。この工程は第1の実施形態における修理部材準備ステップS1と同一であるが、後述する第2の修理部材1bと接する第1の修理部材1aの長手方向端部に、第2の修理部材の長手方向端部と係合可能な係合部を形成することが望ましい。図6は、このような係合部のいくつかの例を示した斜視図である。図6(a)は、第1の修理部材1aの端部3aと第2の修理部材1bの端部4bが斜めに形成されている例である。図6(b)は、第1の修理部材1aの端部3aと第2の修理部材1bの端部4bがステップ状に形成されている例である。このような端面加工を行うことによって、第2の補修工程で、第2の修理部材1bの端部4bを第1の修理部材1aの端部3aに確実に当接密着させ、2つの修理部材1a,1bの間に望ましくない空隙が生じることを防止できる。
(ステップS2’:第1の接着剤塗布ステップ)
第1の修理部材1aの外面に接着剤を塗布する。この工程は第1の実施形態における接着剤塗布ステップS2と同一である。
(ステップS3’:第1の縮径ステップ)
第1の修理部材1aを円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する。この工程は第1の実施形態における縮径ステップS3と同一である。ステップS2’とステップS3’はどちらを先に行っても構わない。
(ステップS4’:第1の修理部材挿入ステップ)
接着剤が塗布され縮径された第1の修理部材1aを、円管の内部に、補修位置17’まで挿入する。この工程は第1の実施形態における修理部材挿入ステップS4と同一である。
(ステップS5’:第1の拡径ステップ)
補修位置で第1の修理部材1aを拡径して、第1の修理部材1aを、接着剤を介して円管の内壁に当接させる。この工程は第1の実施形態における拡径ステップS5と同一である。
<第2の補修工程>
(ステップS1”:第2の修理部材準備ステップ)
修理部材を第2の修理部材1bとして準備する。この工程は第1の実施形態における修理部材準備ステップS1と同一であるが、上述のように、第2の修理部材1bの端部4bに、図6に示したような係合部を設ける。第2の修理部材1bの長さは補修部位の範囲に応じて、第1の修理部材1aと異なっていても構わない。
(ステップS2”:第2の接着剤塗布ステップ)
第2の修理部材1bの外面に接着剤を塗布する。この工程は第1の実施形態における接着剤塗布ステップS2と同一である。
(ステップS3”:第2の縮径ステップ)
第2の修理部材1bを円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する。この工程は第1の実施形態における縮径ステップS3と同一である。ステップS2”とステップS3”はどちらを先に行っても構わない。
(ステップS4”:第2の修理部材挿入ステップ)
接着剤が塗布され縮径された第2の修理部材1bを、円管の内部に、第1の修理部材1aの挿入方向後端側の端部3aに接する位置まで挿入する。この工程も第1の実施形態における修理部材挿入ステップS4と同一である。第2の修理部材1bが第1の修理部材1aに接したかどうかの判定は、あらかじめ水中カメラで挿入深さを設定する、高圧ホース12の張力をモニターするなど、適宜の方法で行うことができる。図7(a),(b)にこのときの状況を示す。
(ステップS5”:第2の拡径ステップ)
第1の修理部材1aの後端側の端部3aに接する位置で第2の修理部材1bを拡径して、第2の修理部材1bを、接着剤を介して円管16’の内壁に当接させる。この工程は第1の実施形態における拡径ステップS5と同一である。第1の修理部材1aの端部3aと第2の修理部材1bの端部4bには上述した係合部が形成されているので、第2の修理部材1bを拡径することによって、第1の修理部材1aと第2の修理部材1bは連続して円管16’の内壁に貼り付けられる。
<接着剤硬化ステップS6”>
さらに、接着剤を硬化させて、第1、第2の修理部材1a,1bを円管16’の内壁に固定する。この工程は第1の実施形態における接着剤硬化ステップS6と同一である。以上のステップによって、本実施形態による円管の補修が完了する。接着剤硬化ステップは第1の修理部材1aと第2の修理部材1bとで同時に行うことが合理的だが、別々に(すなわち、第1の補修工程の最終ステップとして第1の修理部材1aの硬化ステップを)行っても構わない。
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。
例えば、接着剤硬化ステップは、修理部材に内蔵されたヒーター線に通電して修理部材を加熱することを含んでいてもよい。ヒーター線は例えばグラスファイバーを埋め込むときに同時に埋設することができる。修理部材を加熱することで、修理部材の熱硬化性樹脂の硬化が促進され、より迅速な施工が可能となる。
接着剤硬化ステップは、修理部材の内側に高周波誘導加熱電源を挿入し、高周波誘導加熱電源に通電して修理部材を加熱することを含んでいてもよい。例えば、第1の実施形態において、拡径ステップS5が終了し保持部材11を引き抜いた後の空間に地上部から高周波誘導加熱電源を吊降ろし、通電する。この方法によれば、水中であっても硬化途中の修理部材を有効に加熱して、修理部材の熱硬化性樹脂の硬化を促進させることができる。
修理部材は、拡径した形状に復元しようとする性質を備えた形状記憶合金を有していてもよい。例えば、ワイヤ状の形状記憶合金をグラスファイバーとともに埋め込むことができる。
また、図8に示すように、第2の実施形態では、第1の修理部材準備ステップS1’において、第1の修理部1aの端部3aまたはその近傍に突起部を形成してもよい。図8(a)は係合部が形成された端部の近傍に形成された突起部を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)のb−b線に沿った断面図である。複数の突起部21が係合部の直下に設けられている。図8(c)は平坦な端部に形成された突起部を示す斜視図、図8(d)は、図8(c)のd−d線に沿った断面図である。複数の突起部22が平坦な端部から径方向内側に延びている。これらの突起部21,22は、第2の修理部材挿入ステップS4”で第2の修理部材1bが第1の修理部材1aの内側に入り込むことを防止し、それによって、第1、第2の修理部材1a,1bが密接して管壁に形成されることを容易とする。
本実施形態では修理部材の保持と、修理部材の管壁への押し付けのため保持部材を用いたが、上述したように、修理部材はそれ自体の弾性復元力によって管壁に押し付けられるので、保持部材を用いない実施形態も可能である。
さらに、吊下ろし中に修理部材が保持部材から脱落し、あるいは保持部材に対して位置ずれを起さないように、修理部材の内壁と保持部材の外壁との間に粘性の高い樹脂を挿入することも可能である。例えば、第1の実施形態に適用する場合には、ステップS3の最初に、図9に示すように、保持部材11の外面にポリエチレンビニール18を被覆し、その上からエポキシ樹脂とセピオライトとを充分に混練して形成された高粘性樹脂材料19を塗布する。そして修理部材1を一旦開き、その状態で高粘性樹脂材料19の上から修理部材1を巻きつけ、その後修理部材1を縮径する。このようにすることで、修理部材1は、高粘性樹脂材料19のせん断抵抗力(図中矢印Y)によって上下方向に保持され、保持部材11に対する当初の設定位置からずれにくくなる。ポリエチレンビニール18は高粘性樹脂材料19と接着しないため、保持部材11を引き上げるときは、ポリエチレンビニール18が離型フィルムの機能を果たす。以上述べた方法は第2の実施形態にも同様に適用することができる。
さらに、修理部材自体を縦坑(円管)内の地下水と同じ比重で作成することも望ましい。修理部材の比重と地下水の比重とを概略合わせることによって、修理部材の自重が浮力によって相殺される。このため上下方向に作用する不要な外力を抑えることができ、吊下ろし中の修理部材1の保持部材11に対する位置ずれや脱落を防止できる。また、本実施形態では、修理部材1が縦坑(円管)内の当初の設定位置からずれにくくなるという効果も期待できる。地下水の比重は一般的には1であるが、地下水の性状に合わせて適切な比重の修理部材を用いることも可能である。
第1の実施形態を示すフロー図である。 スリットが形成された拡径時の修理部材の斜視図である。 縮径時の状態を示す、図2に示す修理部材の斜視図である。 第1の実施形態における修理部材の円管内部への挿入・取り付け方法を示す概念図である。 第2の実施形態を示すフロー図である。 係合部のいくつかの例を示した斜視図である。 第2の実施形態における修理部材の円管内部への挿入・取り付け方法を示す概念図である。 第1の修理部の端部またはその近傍に形成された突起部の概念図である。 他の変形例を示す修理部材と保持部材の断面図である。
符号の説明
1,1a,1b 修理部材
2 スリット
3a 第1の修理部材の端部
4b 第2の修理部材の端部
11 保持部材
12 高圧ホース
13 制御ユニット
16,16’ 補修対象の円管
17,17’ 補修位置
D 補修対象の円管の内径
L1 修理部材の外周長

Claims (10)

  1. 円管を内側から補修する方法であって、
    長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、円管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を準備するステップと、
    前記修理部材の外面に接着剤を塗布するステップと、
    前記修理部材を前記円管の内径よりも小さな外径となるように縮径するステップと、
    前記接着剤が塗布され縮径された前記修理部材を、前記円管の内部に、補修位置まで挿入するステップと、
    前記補修位置で前記修理部材を拡径して、前記修理部材を、前記接着剤を介して前記円管の内壁に当接させるステップと、
    前記接着剤を硬化させて、前記修理部材を前記円管の内壁に固定する接着剤硬化ステップと、
    を有する方法。
  2. 第1の補修工程と、該第1の補修工程の後に行われる第2の補修工程と、を有する、円管を内側から補修する方法であって、
    前記第1の補修工程は、
    長手方向に一端から他端まで延びるスリットを備え、弾性復元力を有し、円管の内周長と実質的に等しい外周長を有する管状の修理部材を第1の修理部材として準備する第1の修理部材準備ステップと、
    前記第1の修理部材の外面に接着剤を塗布する第1の接着剤塗布ステップと、
    前記第1の修理部材を前記円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する第1の縮径ステップと、
    前記接着剤が塗布され縮径された前記第1の修理部材を、前記円管の内部に、補修位置まで挿入する第1の挿入ステップと、
    前記補修位置で前記第1の修理部材を拡径して、前記第1の修理部材を、前記接着剤を介して前記円管の内壁に当接させる第1の拡径ステップと、
    を有し、
    前記第2の補修工程は、
    前記修理部材を第2の修理部材として準備する第2の修理部材準備ステップと、
    前記第2の修理部材の外面に接着剤を塗布する第2の接着剤塗布ステップと、
    前記第2の修理部材を前記円管の内径よりも小さな外径となるように縮径する第2の縮径ステップと、
    前記接着剤が塗布され縮径された前記第2の修理部材を、前記円管の内部に、前記第1の修理部材の挿入方向後端に接する位置まで挿入する第2の挿入ステップと、
    前記第1の修理部材の前記後端に接する位置で前記第2の修理部材を拡径して、前記第2の修理部材を、前記接着剤を介して前記円管の内壁に当接させる第2の拡径ステップと、
    を有し、
    さらに、前記接着剤を硬化させて、前記第1、第2の修理部材を前記円管の内壁に固定する接着剤硬化ステップを有する、方法。
  3. 前記第1及び第2の修理部材準備ステップは、前記第1及び第2の修理部材の互いに接する各々の端部に、互いに係合可能な係合部を形成することを含んでいる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の修理部材準備ステップは、前記第1の修理部材の前記第2の修理部材に接する端部または端部近傍に、前記第2の挿入ステップで前記第2の修理部材が前記第1の修理部材の内側に入り込むことを防止する突起部を形成することを含んでいる、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記接着剤硬化ステップは、前記修理部材に内蔵されたヒーター線に通電して前記修理部材を加熱することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記接着剤硬化ステップは、前記修理部材の内側に高周波誘導加熱電源を挿入し、該高周波誘導加熱電源に通電して前記修理部材を加熱することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記修理部材は、拡径した形状に復元しようとする性質を備えた形状記憶合金を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記修理部材の前記管への挿入は、径方向に膨張可能な保持部材で前記修理部材の内面を保持しながら該修理部材を挿入することを含み、
    前記修理部材の拡径は、前記保持部材を膨張させて前記修理部材を前記円管の内壁に押し付けることを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記保持部材の外面と前記修理部材の内面との間に、高粘性樹脂材料が挿入されている、請求項8に記載の方法。
  10. 前記修理部材は、前記円管の内部に存在する地下水と同程度の比重を有している、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
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