JP2010075203A - Candidaspp.の検出のための方法および組成物 - Google Patents

Candidaspp.の検出のための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高度に保存された機能的ドメインにより隣接されるITS2の非保存領域の使用による種同定に対する迅速なアプローチを提供する。
【解決手段】特定の配列により規定されるヌクレオチド配列から本質的になる単離された2本鎖核酸。さらに他のいくつかの配列により定義されるヌクレオチド配列から本質的になる単離された2本鎖核酸。「ALL−CAN−TET」およびその相補体として言及される配列から本質的になる単離された2本鎖核酸。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、Candida属およびCandidaの異なる種ならびに他の微生物の検出および区別のための診断アッセイ、ならびにアッセイを行うための組成物およびキットに関する。
発明の背景
Candida albicansは、胃腸管の共生生物である。C.albicansおよびより少ない程度でいくつかの他の関連種は、免疫が傷つけられた宿主における日和見病原体としてますます重要である。未知の性周期を有する2型性2倍体酵母である、C.albicansは、免疫系がインタクトであるヒトの皮膚および粘膜組織から単離され得る内因性生物である。しかし、免疫系または内分泌系の混乱は、Candida種が共生状態から局所的または全身的のいずれかで組織を侵すことに変わる機会を生じ得る。この日和見の例は、HIV感染に関連して遭遇する口−食道または膣のカンジダ症である。
C.albicansにおいて、5S、18S、5.8Sおよび28S rRNAをコードする核rDNA遺伝子は、第7番染色体上に約10kb単位長さの50〜100コピータンデム反復として見出される(Mageeら、1987,Thrash−BinghamおよびGorman,1992)。5S rDNA遺伝子(121bp)は、小サブユニットと大サブユニットとの間に位置する2つの非転写領域によって隣接し、そして集合的に遺伝子間スペーサー(IGS)と呼ばれる。リボソーム5.8S配列は、種々の真核生物からまとめられた(Damsら、1988)。さらに、5.8/28Sの内部転写スペーサー(ITS)領域の配列分析は、少なくとも1つの真菌種内で株変異を示したが(O’Donnell,1992)、一方他の種は完全な保存を証明した(Mitchellら、1992)。株特異的制限多型(RFLP)は、C.albicansのIGS領域において以前に観察された(Mageeら、1987)。
日和見真菌であるC.albicansはまた、重篤に免疫が傷つけられた宿主において全身性疾患を引き起こす。これは散在性(disseminated)カンジダ症の最も原因となる種であり、C.tropicalis、C.parapsilosisおよびC.glabrataが続く(Odds,1988)。散在は、Candidaが血流を介してまたは粘膜表面の内部器官への侵入により広がる(Odds,1988)。高い危険性の患者集団は、悪性疾患または好中球減少を有する個体、化学療法および/または複数の抗生物質を受けている個体、ならびに留置カテーテルを有する個体または少ない出生時体重の乳児を含む(Armstrong,1989)。
全身性カンジダ症の診断は、臨床的に区別する徴候の非存在、しばしばネガティブな血液培養物、および感染を検出するための信頼できる血清学的試験の非存在により複雑にされる。現在、散在性カンジダ症は、しばしば、最低少なくとも2つのポジティブな血液培養物により診断される(Odds,1988)。しかし、血液培養物だけでは、50%もの散在性カンジダ症症例が剖検で診断されるので、散在性カンジダ症の診断に明らかに十分ではない(Telentiら、1989)。散在性疾患を有する免疫が傷つけられた患者のために選択した薬物であるアンホテリシンBの腎毒性は、予防のためのその使用を妨げる。
散在性カンジダ症の発生率は、増大する数の免疫抑制された患者および術後患者に起因して近年において増加した。新たな抗真菌薬物の出現は、この疾患の治療技術についての見通しを改善した;しかし、診断は難しいままである。さらに、骨髄移植患者のフルコナゾール予防は、Candida albicansにより引き起こされる散在性疾患の発生率を低減したが、フルコナゾールに先天的に耐性である他のCandida種(最も顕著には、C.kruseiおよびC.glabrata)は、主要な原因となる薬剤として増加した。従って、Candida種の初期検出および同定は、抗真菌治療の正しい標的化に必須である。
血液からCandidaを確実に培養する困難ならびに疾患を検出するための感度のあるおよび特異的な血清学的試験の欠如と組み合わせて、これらの結果は、代替の診断アプローチを開発する必要性を強調する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用による、感染患者の血流からの細菌およびウイルスDNAの検出のための技術が開発された。PCRは、ゲノムDNAが、アガロースゲル電気泳動、サザンブロッティングまたはドットブロットハイブリダイゼーションにより検出され得るように、ゲノムDNAを幾何級数的に増幅する(Miyakawaら、1992、Kafatosら、1979、Laskerら、1992)。
PCRに基づく診断方法は、生存能力のある生物が増幅または検出に必要とされないので、血液培養技術と比較して増大した感度を提供し得る。現在まで、PCR増幅DNAの使用による感染患者血液中のC.albicans細胞の検出を記載する報告は1つしかない(Buckmanら、1990)。Buckmanらは、ZYMOLYASEおよびプロテイナーゼKでC.albicans細胞を溶解し、そしてフェノールおよびクロロホルムでDNAを抽出した。この方法による感度限界は、全血1mlあたり120個の細胞である。記載されたように、この方法は、時間がかかり、大きな労働量を要し、そして毒性化学薬品(フェノールおよびクロロホルム)を繰返し使用し、そして容易に再現可能であることが示されていない。さらに、単一コピー遺伝子であるシトクロームP−450遺伝子はDNA増幅のための標的であり、従ってこの方法を非常に非感受性にさせた。Miyakawaらは、Candida DNAからのPCR産物の検出のためのサザンブロットハイブリダイゼーションの使用による改善した感度を記載した(非特許文献1)。それらの研究におけるサザンブロットによる感度限界は尿1mlあたり10個の細胞であり、そして血中の検出を扱わなかった。
体液中のC.albicans DNAを検出するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく試験の使用は、いくつかの励みになる結果を生じた。しかし、カンジダ症検出のためのこれらの試験の日常的な適用は、難しいままである。現在の方法は、大きな労働量を要するサンプル調製、Candida DNAの遊離のための値段の高い酵素、およびPCR増幅前にDNAを精製するためのフェノール−クロロホルム抽出を必要とする。増幅後、ゲル電気泳動またはサザンブロッティングによるPCR産物の検出は、しばしば、臨床研究室設定において実用的ではない。感度は変わり易く、そして偽陽性ならびに偽陰性結果が報告されている。また、大部分の研究は、C.albicans DNAの検出に集中したが、非albicans Candida種に由来するDNAに集中しなかった。
他方では、日常的な培養に基づくCandida種の同定は、純粋な培養物を得るために最初の陽性結果後少なくとも1日;発芽管形成によりC.albicans単離物を同定するためにもう1日;およびAPI−20C糖同化小片試験およびコーンミール寒天形態学により非albicans Candida単離物を同定するためにさらに2日以上を必要とする。従って、種レベルまでCandida単離物を迅速かつ正確に同定するための試験は、臨床的および疫学的の両方で有用である。
血中のCandidaを検出する能力は、尿または粘膜分泌物からの検出が生物の正常な共生状態または局在化非散在性感染と混同され得るので、全身性カンジダ症の迅速かつ正確な診断に非常に重要である。
Miyakawa,y.ら、J.Clin.Micro.「Isolation and detection of Candida albicans by polymerase chain reaction.」1992、30:894−900
発明の要旨
本発明は、高度に保存された機能的ドメインにより隣接されるITS2の非保存領域の使用による種同定に対する迅速なアプローチを提供する。属および他の関連生物の同定はまた、5.8S rRNA遺伝子の「属」特異的領域の検出により増強される。本発明者らが本明細書に記載の生物を選択的に回収することを可能にする、この遺伝子の領域を見出すことは驚くべきことであった。
本発明は、配列表において配列番号5により規定されるヌクレオチド配列から本質的になる単離された2本鎖核酸を提供する。これはC.albicans ITS2配列であり、そしてC.albicansに特異的なヌクレオチド配列を含む核酸を含む。本発明の単離された2本鎖核酸のさらなる例は、配列表において配列番号6〜9により定義されるヌクレオチド配列から本質的になる。これらは、C.parapsilosis、C.tropicalis、C.glabrataおよびC.kruseiのITS2配列である。これらの核酸は、個々の生物に特異的なヌクレオチド配列を含み得る。
本発明は、表1に述べられ、そして「ALL−CAN−TET」およびその相補体として言及される配列から本質的になる単離された2本鎖核酸をさらに提供する。この配列と特異的にハイブリダイズする核酸配列、特に最初の4つの塩基対(AGGC)またはそれらの相補体は、全て表4に示されるように、全てではないにしろ、多数のCandida spp.およびSaccharomyces cerevisiaeおよび少なくとも2つのAspergillus種を示す。これらの生物は日和見病原体であり、そしてそれらの存在の知識は、有用な処置情報を提供し得る。AspergillusおよびCanditaの両方の検出は、それらが同じ環境下で(例えば、骨髄移植片患者において)現れる傾向があるので重要である。処置は、一方またはもう一方または両方の属が検出されてもいなくても同様である。
本発明の核酸またはそのフラグメントと特異的にハイブリダイズするか、またはこれらを選択的に増幅する単離された核酸もまた意図される。上記の核酸に相補的な単離された核酸もまた提供される。
被験体において全身性カンジダ症を診断する方法もまた提供される。この方法は、以下の工程:(a)被験体からの血液を、界面活性剤、ポリプロピレングリコール、ポリアンエタノールスルホン酸ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸ナトリウムを含むチューブに収集する工程;(b)攪拌しながら、ZYMOLASE−100Tを用いてCandida細胞を溶解する工程;(c)溶解された細胞からDNAを抽出および沈殿する工程;(d)CandidaリボソームDNAの内部転写スペーサー領域に由来するユニバーサル真菌プライマー対を用いて沈殿されたDNAを増幅する工程;ならびに(e)増幅されたDNAをCandida DNAと選択的にハイブリダイズするプローブとをハイブリダイズすることにより、Candidaに由来する増幅されたDNAを検出する工程を含み、増幅されたDNAの存在は、全身性カンジダ症を示す。
定義
他に定義されない限り、本明細書中に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるような同じ意味を有する。Singletonら(1994)Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,第2版,John Wiley and Sons(New York);Walker(編)(1988)The Cambridge Dictionary of Science and Technology,The press syndicate of the University of Cambridge(New York);ならびにHaleおよびMarham(1991)The Harper Collins Dictionary of Biology Harper Perennial(New York)は全て、当業者に本発明において使用される用語のうちの多くの一般的な辞書を提供する。本明細書中に記載される方法および材料に類似したまたは等価な任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、特定の好ましい方法および材料が記載される。本発明の目的のために、以下の用語が以下に定義される。
用語「単離された」または「生物学的に純粋な」は、その天然状態において見出されるような通常それに付随する成分を実質的または本質的に含まない材料をいう。
用語「核酸」は、1本鎖または2本鎖いずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーをいい、他に限定されない限り、天然に生じるヌクレオチドに類似した様式で核酸にハイブリダイズする天然ヌクレオチドの既知のアナログを含む。他に示されない限り、特定の核酸配列は、必要に応じて、その相補配列を含む。
2つの1本鎖核酸は、それらが2本鎖2重らせんを形成する場合に「ハイブリダイズする」。2本鎖の要素をもつ領域は、1本鎖核酸の1つもしくは両方の完全長、または一方の1本鎖核酸の全ておよびもう一方の1本鎖核酸のサブ配列を含み得るか、あるいは2本鎖の要素をもつ領域は、各核酸のサブ配列を含み得る。核酸のハイブリダイゼーションに対する概説は、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Acid Probes 第1部 第2章「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,Elsevier(New York)に見出される。
核酸ハイブリダイゼーション実験(例えば、サザンおよびノザンハイブリダイゼーション)の状況における「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は配列依存性であり、そして異なる環境パラメーター下で異なる。核酸ハイブリダイゼーションに対する徹底的なガイドは、Tijssen、前出において見出される。一般的に、高度にストリンジェントな洗浄条件は、定義されたイオン強度およびpHで特定の配列についての熱融点(T)より約5℃低いように選択される。Tは、(定義されたイオン強度およびpHでの)、標的配列の50%が完全に適合したプローブにハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブについてのT点に等しいように選択される。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸でも、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一であればなお実質的に同一である。これは、例えば、1コピーの核酸が遺伝コードにより許容される最大コドン縮重を用いて作られる場合に起こる。
2つの核酸配列の状況における用語「同一」は、最大一致で整列された場合に同じである2つの配列における残基をいう。核酸は、少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約80%同一、必要に応じて約90%以上同一である場合、参照核酸に対して実質的に同一である。
本明細書中で使用する用語「プライマー」は、精製された制限消化物におけるような天然に生じても、または合成的に生成されてもオリゴヌクレオチドをいい、そして標的配列鎖にハイブリダイズし得る。末端3’ヌクレオチドがハイブリダイズした場合、これは、プライマー伸長の合成が誘導される条件下で合成開始点として作用する。これらの条件は、代表的に、適切な緩衝液中のおよび適切な温度での、4つの異なるヌクレオチド三リン酸(ヌクレオチド試薬)および耐熱性酵素の存在を含む。プライマー対が本明細書中で言及される場合、この対は、2本鎖標的核酸のセンス鎖にハイブリダイズし得る1つのプライマー(「センスプライマー」)および2本鎖標的核酸のアンチセンス鎖にハイブリダイズし得る1つのプライマー(「アンチセンスプライマー」)を含むことが意味される。プライマー対は、それらが増幅されるべき標的核酸の領域に隣接し、そして増幅プロトコル(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)に置かれた場合、標的領域が増幅されるのを引き起こすように設計される。
ヌクレオチド配列に「実質的に相同な」または「実質的に相補的な」プライマーが意味するものは、安定かつ特異的な結合がプライマーと標的配列との間で起こる標的配列とハイブリダイズするために十分相補的な、天然に生じるヌクレオチドまたはそれらのアナログ(例えば、7−デアザグアノシンまたはイノシン)を含むポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドである。安定なハイブリダイゼーション複合体(2重らせん)の形成に必要とされる相同性の程度は、増幅培地のストリンジェンシーで変化する。プライマーは、増幅される各特異的配列の標的鎖に実質的に相同であるべきである。これは、プライマーが標準的な増幅条件下で適切な鎖とハイブリダイズするのに十分相補的でなければならないことを意味する。従って、プライマー配列は、テンプレートの正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチドフラグメントは、鎖に相補的なプライマー配列の残りと共に、プライマーの5’末端に付着され得る。あるいは、プライマー配列が、それとハイブリダイズし、それにより伸長産物合成のためのテンプレートを形成する標的配列の配列と十分に相補性を有するならば、非相補塩基またはより長い配列はプライマーに分散され得る。
本発明はさらに、以下を提供し得る:
・項目1.以下の配列およびその相補体に対応するヌクレオチド配列から本質的になる、単離された二本鎖核酸:
Figure 2010075203
・項目2.項目1に記載の核酸と特異的にハイブリダイズする単離された核酸であって、そして当該核酸は、項目1に記載の配列の少なくとも最初の4つの塩基、または当該最初の4つの塩基に対する相補体を含む、単離された核酸。
・項目3.表1に提供された核酸配列のうちの一つに特異的にハイブリダイズする、単離された核酸。
・項目4.サンプル中のAspergillus sp.およびCandida sp.を検出するための方法であって、核酸ハイブリダイゼーションの条件下で当該サンプルを項目2に記載の単離された核酸に曝す工程、および次いでサンプルの核酸と項目2に記載の核酸との間のハイブリダイゼーション複合体について検出する工程を包含する、方法。
・項目5.Candida sp.の検出のためのキットであって、項目2に記載の核酸プローブ、および上記検出方法についての説明書を含む、キット。
・項目6.Aspergillus sp.がさらに検出される、項目5に記載のキット。
・項目7.上記キットが、配列番号5〜9からなる配列の群に規定されるヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブをさらに含む、項目5に記載のキット。
発明の詳細な説明
本発明は、配列番号5により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる単離された2本鎖核酸を提供する。これは、C.albicans ITS2配列を含む。「単離された」は、天然に生じる生物において見出される他の核酸から分離されたことを意味する。核酸は、C.albicansに特異的なヌクレオチド配列を含む。「特異的な」は、C.albicansに由来する核酸との適切なポジティブハイブリダイゼーションの決定を妨げる他の核酸とハイブリダイズしない配列を意味する。2本鎖核酸と「特異的にハイブリダイズする」プローブは、1本鎖形態の場合、2本の鎖のうちの1本にハイブリダイズする。
本発明の単離された2本鎖核酸のさらなる例は、配列番号6により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる。これは、C.parapsilosisのITS2配列を含む。この核酸は、C.parapsilosisに特異的なヌクレオチド配列を含む。
本発明の単離された2本鎖核酸の別の例は、配列番号7により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる。これは、C.tropicalis ITS2配列を含む。この核酸は、C.tropicalisに特異的なヌクレオチド配列を含む。
本発明の単離された2本鎖核酸のなおさらなる例は、配列番号8により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる。これは、C.glabrata ITS2配列を含む。この核酸は、C.glabrataに特異的なヌクレオチド配列を含む。
本発明の単離された2本鎖核酸の別の例は、配列番号9により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる。これは、C.krusei ITS2配列を含む。この核酸は、C.kruseiに特異的なヌクレオチド配列を含む。
本発明の単離された2本鎖核酸の別の例は、配列番号 により配列表において定義される、All−CAN−TETと本明細書中で言及されるヌクレオチド配列から本質的になる。この核酸は、全てのCandida spp.、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus fumigatusおよびAspergillus flavusに特異的なヌクレオチド配列を含むが、他の真菌、細菌またはヒトDNAは表4において以下に記載されるように試験されていない。Aspergillus sp.が検出されるべき場合、サンプルは、Aspergillus核酸を放出するために機械的破壊に供されることが所望される。
本発明の核酸またはそのフラグメントと特異的にハイブリダイズするか、またはこれらを選択的に増幅する単離された核酸もまた意図される。上記の核酸に相補的な単離された核酸もまた提供される。配列は、ヌクレオチド配列および特定の配列の有用性に基づいて選択され得る。より詳細には、本発明は、配列番号5〜9により配列表において定義されるヌクレオチド配列から本質的になる核酸と特異的にハイブリダイズする単離された核酸を提供する。
プライマーまたはプローブとしての使用のためのオリゴヌクレオチドは、代表的に、例えば、自動化合成器(例えば、Needman−VanDevanterら、(1984)Nucleic Acids Res.,12:6159−6168に記載される)を用いて、BeaucageおよびCaruthers(1991),Tetrahedron Letts.,22(20):1859−1862により記載される固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って化学的に合成される。オリゴヌクレオチドはまたカスタムメイドであり得、そして当業者に公知の種々の商業的供給源から注文され得る。オリゴヌクレオチドの精製は、必要な場合、代表的に、PearsonおよびRegnier(1983)J.Chrom.255:137−149に記載されるように、ネイティブアクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換HPLCのいずれかにより行われる。合成オリゴヌクレオチドの配列は、GrossmanおよびMoldave(編)Academic Press,New York,Methods in Enzymology 65:499−560におけるMaxamおよびGilbert(1980)の化学的分解法を用いて確認され得る。
当業者はまた、所定の核酸配列において変化を作製する多くの方法を認識する。このような周知の方法は、部位指定変異誘発、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅、核酸を含む細胞の変異原薬剤または放射線への暴露、所望のオリゴヌクレオチドの化学合成(例えば、大きな核酸を作製するための連結および/またはクローニングと共に)および他の周知の技術を含む。GilmanおよびSmith(1979)Gene 8:81−97;Robertsら、(1987)Nature 328:731−734ならびにSambrookら、(1989)Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第2版)第1〜3巻;Innis,Ausbel,Berger,Needham VanDevanterおよびMullis(全て前出)を参照のこと。
本明細書に記載のアッセイ法における使用のプライマーは、好ましくは、最大効率および増幅のために1本鎖であるが、あるいは2本鎖であり得る。2本鎖の場合、プライマーは、伸長産物を調製するために使用される前に、その鎖を分離するように最初に処理される。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、酵素の存在下で伸長産物の合成をプライムするために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、多くの因子(温度、プライマーの供給源および方法の使用を含む)に依存する。最も代表的には、増幅プライマーは、長さが8〜100ヌクレオチドであり、好ましくは長さが約10〜30ヌクレオチドである。より代表的には、プライマーは、長さが約18〜28核酸である。
個々の種または属を検出するための本発明のプローブは、標的配列と特異的にハイブリダイズし、そして標的配列の特異的単離をもたらすのに十分な長さのプローブである。これらのプローブは、長さが約4〜約234塩基対であり、好ましくは長さが約8〜約35塩基対であり、そして最も好ましくは長さが約15〜約22塩基対である。長さが5塩基対である個々のCandida spp.に対するプローブの例は以下の通りである:
C.albicans: CAAACまたはTTCAAまたはCTTCA
C.parapsilosis:AAATTまたはCAAATまたはCAAAA
C.tropicalis: ATAACまたはTTCATまたはTCATA
C.glabrata: TAACTまたはTTAAGまたはAAGTT
C.krusei: ATTACまたはTCATAまたはCATAA。
本明細書中で使用する用語「から本質的になる」は、核酸の特異性(属または種)が維持される限り、本発明の核酸に対する改変を含む。同様に、プライマーまたはプローブとして使用されるフラグメントは、十分に相補的な塩基が特異的ハイブリダイゼーションのために存在する限り、置換を有し得る(Kunkelら、Methods Enzymol.1987:154:367,1987)。
核酸は、1を超えるCandita種に存在するヌクレオチド配列と相同性を有し得る。他のCandida種と共有されるこのような核酸配列は、例えば、1を超えるCandita種から核酸を同時に増幅するためのプライマーとして使用され得る。次いで、増幅された核酸は、属特異的診断または種特異的診断のいずれかを可能にするための本明細書中に記載される特異的核酸を用いて検出され得る。従って、特異的核酸は、Candida属に特異的であり得、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応およびハイブリダイゼーションのような方法においていずれのカンジダ症も検出するために使用され得る。
被験体における全身性カンジダ症を診断する方法もまた提供される。方法は、以下の工程:(a)被験体からの血液を、界面活性剤、ポリプロピレングリコール、ポリアンエタノールスルホン酸ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム((Na)EDTA)を含むチューブに収集する工程;(b)攪拌しながら、ZYMOLASE−100Tを用いてCandida細胞を溶解する工程;(c)溶解された細胞からDNAを抽出および沈殿する工程;(d)CandidaリボソームDNAの内部転写スペーサー領域に由来するユニバーサル真菌プライマー対を用いて沈殿されたDNAを増幅する工程;および(e)増幅されたDNAとCandida DNAと選択的にハイブリダイズするプローブとをハイブリダイズすることにより、Candidaに由来する増幅されたDNAを検出する工程含み、増幅されたDNAの存在は、全身性カンジダ症を示す。
この方法において、溶解工程は、ZYMOLASE−100Tに加えてISOQUICK(登録商標)キットに由来する溶解緩衝液を使用し得る。攪拌工程は、1分あたり約16回転で振動させることによるものであり得る。抽出工程は、ISOQUICK(登録商標)キットにおける抽出マトリクスを使用し得る。上記の方法の増幅工程において、プライマー対のプライマーの1つは、内部転写スペーサー1(ITS1)に由来し、そしてプライマー対のもう1つのプライマーは、内部転写スペーサー2(ITS2)に由来する。あるいは、プライマー対のプライマーの1つは、内部転写スペーサー3(ITS3)に由来し、そしてプライマー対のもう1つのプライマーは、内部転写スペーサー4(ITS4)に由来する。検出工程のハイブリダイゼーションは、属または種特異的Candidaプローブを使用するドットブロットハイブリダイゼーションによるものであり得る。
全身性カンジダ症を検出する方法において、増幅されるDNAはC.albicansに由来し得、そしてプローブは、実施例2に記載される配列番号5の核酸の特異的なヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズし得る。本明細書中に提供されるような他の特異的核酸を使用することにより、実施例2の方法は、本明細書中に教示されるような他のCandidaのいずれかを検出するために使用され得る。増幅されるDNAがC.parapsilosisに由来する場合、プローブは、配列番号6の核酸の特異的なヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする。増幅されるDNAがC.tropicalisに由来する場合、プローブは、配列番号7の核酸の特異的なヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする。増幅されるDNAがC.glabrataに由来する場合、プローブは、配列番号8の核酸の特異的なヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする。増幅されるDNAがC.kruseiに由来する場合、プローブは、配列番号9の核酸の特異的なヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする。1を超えるCandida種と相同性を有する核酸はまた、全身性カンジダ症を検出するための、Candida DNAを特異的にハイブリダイズするプローブとして使用され得る。
さらに、核酸(例えば、プローブおよびプライマー)は、(共有結合的または非共有結合的に)検出可能な部分に付着され得るか、またはこれで標識され得ることが意図される。プローブは、実施例2において教示されるドットブロットハイブリダイゼーション手順の例において後の視覚化のために、例えば、放射性標識、酵素標識、蛍光標識、ビオチン−アビジン標識などを用いて適切に標識され得る。このような標識された核酸の例は、実施例2において提供されるジゴキシゲニン−UTP標識プローブであるが、他は標準的な方法を用いて容易に作製され得る(例えば、Sambrookら、1989を参照のこと)。所定のCandida種に特異的な核酸はそれぞれ、別々の検出可能な部分で標識され得、その結果いくつかの種に対する種特異的プローブは増幅されたDNAの同じサンプルを用いて使用されて、種特異的診断を可能にし得る。各々の種特異的プローブに対する別々の標識は、特定の種に由来するDNAが被験体に存在する場合、サンプル中で検出され得る。
本明細書中に記載されるような真菌DNAの検出はまた、リガーゼ連鎖反応(LCR)を用いて行われ得る。本質的に、当業者に公知であるこの反応は、検出されるべき各領域について、互いに隣接してまたは2つのプライマー配列間の1または2つのヌクレオチドと共に(すなわち、接合点に対して「直ぐ5’」または「直ぐ3’」)のいずれかで、標的DNAの同じ鎖にハイブリダイズする2つのプライマーの使用を含む。リガーゼ反応は行われ、そして産物は、非常に小さなフラグメントを検出し得るゲル(例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル)を通して電気泳動される。ポジティブな結果は、2つのプライマーの合計にサイズが等しい産物が生成される結果である。なぜならこれは標的DNA領域の全ての存在を示すからである。3つの反応が3つの別々のチューブで作動され、(1)第1の接合点、(2)第2の接合点、および(3)ポジティブLCRコントロールとしての内部配列が検出において標的化されることが好ましい。ゲルを通して全てのLCR産物を共に電気泳動することを所望する場合、プライマーは、それらの個々のサイズが任意のLCR産物の予測サイズから区別され得るように、注意深く選択されなければならない。あるいは、各々の反応の産物は、別々に電気泳動され得る。プライマーは、好ましくは、標的領域に正確に相同であり、そして約20〜40ヌクレオチドのサイズのプライマーである。
キット
本明細書に記載される生物のアッセイおよび検出のためのキットがさらに意図される。上記で述べられるこの方法に有用な試薬の組み合わせ、特に、任意のプローブまたはプライマーは、記載されたアッセイにおいてそれらを使用するための説明書を用いて、単一または共にのいずれかでパッケージされ得る。好ましいキットは、単一の試験アリコートを用いてアッセイを行うための、表1で述べられるプローブおよび説明書を含む。
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明を限定することが意図される。それらは使用され得るものを代表するが、一方当業者に公知の他の手順は、代替的に使用され得る。
実施例1
Candida albicansおよび関連種のITS2領域のヌクレオチド配列分析
酵母株および維持
全てのCandida単離物は、以前に、同化(API)プロフィールおよび形態学により特徴付けられた(Van der WaltおよびYarrow,1984)。さらに、全てのC.albicansおよびC.parapsilosis単離物は、以前に、電気泳動的に核型分類され、そして別々の関連しない株を示すことが知られている(Laskerら、1989)。全ての単離物を増殖させ、そして酵母−ペプトン−デキストロース(YPD)培地(GuthrieおよびFink、1991)上で維持した。DNA抽出のために、37℃でYPD上で増殖された10mlの一晩培養物を1×TE緩衝液で2回洗浄し、そしてDNAを標準的な手順(Sambrookら、1989)により抽出した。PCR増幅の前に、DNAをEcoRI制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs)で消化し、1.0%アガロースゲル上で電気泳動し、そして臭化エチジウム(EtBr)で染色して、濃度および純度を確認した。
PCR増幅およびDNA配列決定
Taqポリメラーゼ、緩衝液およびPCRのための条件は、1反応あたり100ngゲノムDNAを使用する、売り主(Perkin−Elmer/Cetus)により供給されたものであった。最初の適用のために、95℃、55℃、および72℃(1分間隔)の35サイクルに続いて、72℃での5分間の最終伸長を行った。以下の「ユニバーサル」ITSプライマーを使用し、この計算されたTは以前に報告されている(Whiteら、1990):
ITS1 5’ TCC GTA GGT GAA CCT GCG G 3’(配列番号1)
ITS3 5’ CCA TCG ATG AAG AAC GCA GC 3’(配列番号2)
ITS4 5’ TCC TCC GCT TAT TGA TAT GC 3’(配列番号3)
プライマーITS1は、18S核サブユニットにおける保存3’ドメインに対するものである。プライマーITS3は5.8Sサブユニットの末端から約25bpであり、そしてITS4は、核大rDNAの保存領域に対する逆プライマーである。さらに、21M13正プライマー配列(Messingら、1981)を、正方向および逆方向、それぞれにおける配列決定のためにプライマーITS1およびITS4に対して5’末端に付加し、そして以下の配列からなった:
5’ GTA AAA CGA CGG CCA G 3’(配列番号10)
ここでITS1およびITS4の末端5’Tは、18bpのアニーリング配列のうち17bpを作った。予備実験から、この配列の付加が得られるPCR産物の性質を変えなかったことが決定された。最初のPCR反応の水相をエタノール沈殿させ、乾燥し、そして8μlのTE緩衝液に再懸濁した。全量を、1.5%アガロース、1.0% NuSieveアガロースゲル(Lehmannら、1992)の単一ウェルにロードし、110Vで電気泳動し、そしてEtBrで染色した。適切なサイズの単一の非常に濃く染色したバンドを切除し、そしてDNAを、40℃、13000×gで30分間、Spin−X酢酸セルロースカラム(Coster, Inc.)において抽出した。次いで、DNAをエタノール沈殿させ、70%EtOHで2回洗浄し、手短に乾燥し、そして配列決定のためにHOに再懸濁した。自動化DNA配列決定(Smithら、1986)を、売り手(Applied Biosystems)により供給される条件を用いて、「Prism」ダイ−プライマージデオキシ配列決定反応(Sangerら、1977)と共に、Applied Biosystems Catalyst 800ワークステーションを用いて行った。沈殿させたDNAを乾燥し、そして6μlのホルムアミド/50mM EDTA(5:1)に再懸濁し、90℃で2分間変性し、そしてApplied Biosystems モデル373A DNA配列決定機にロードした。全てのDNAを正方向および逆方向の両方で配列決定し、そして複数の作業を、全ての種および所定の種内の大部分の株について行った。
5.8s rDNA
5.8S配列アラインメントを、手動でおよびWisconsin大学Genetics Computer Group(GCG)パッケージ(Devereuxら、1984)からの「山積み(pileup)」プログラムを用いての両方で行った。ITSアラインメントを、GCG(NeedlemanおよびWunsch 1970)により実行されたように、NeedlemanおよびWunschアルゴリズムを用いて全ての可能な対様組み合せで行った。DNA節減(parsimony)およびブートストラップ分析を、マイクロ−ヴァックス(Digital Equip.Corp.)クラスター上で実行される、Felsenstein(Felsenstein 1982)の「Phylip」プログラムを用いて行った。系統樹を、包括的な選択(global option)を用いて、および他者集団として種々の異なる種を用いて構築した(Felsenstein 1985)。他の5.8S配列は以下の通りである:Neurospora crassa、Shizosaccharomyces pombe、Saccharomyces cerevisiae、Pneumocystis carinii、Fusarium sambucium、Epichloe typhina、Cephalosporium acremonium、Lentinula edodes。
複数の株が分析された、C.albicansおよびC.parapsilosisについて、全159bpの5.8S領域内で完全なヌクレオオチド保存があった。この研究において使用された種についての最も大きな多様性度は、bp79〜85とbp118〜136との間の2つの比較的保存されていない領域において見出された。Candida種間の全体にわたる平均の多様性度は、約3%であった。bp62で単一のC−Aトランスバーションを有するが、最小多様性度は、C.tropicalisとC.parapsilosisとの間に見出された。興味深いことに、C.albicansおよびC.kruseiの両方は、終結コンセンサスTCATTTにおいてA−Gトランジションを含んだ。
系統発生的分析を、Felsensteinにより実行されたような厳密な節減および統計ブートストラップ分析(Felsenstein 1982;1985)を用いて、全て既知の真菌5.8S配列を用いて行った。P.cariniiを、真核生物のより大きなデータベースを用いた18S分析に基づく以前の知見(Edmanら、1988)を考慮して、他者集団として使用した。まとめられた真菌配列数について計47の有益な部位(4つの単一塩基対ギャップを含む)があった。ギャップなしでセットされたデータの再分析は、樹形曲線(tree)のトポロジーを有意に変えなかった。計100の繰返しからの累積数のポジティブな選択は、各分岐点で与えられる。得られた樹形曲線は、18S配列についての加重差違アルゴリズムを用いた以前の調査と有意に異ならず、そしてC.albicans、C.parapsilosisおよびC.tropicalisがクレード内のC.kruseiより密接に整列されるように、これらの種が関連するという考察を支持する。同様に、C.grabrataは、より離れて関連するようであり、そして酵母様真菌のより大きな枝内の多数の位置に等しく配置され得る。100のランダムに試験されたサンプルのうち70以上の値は、有意な程度の確率で同様の樹形曲線を示すことが、一般的に認められる。
ITS2 rDNA
C.albicans、C.parapsilosis、C.tropicalis、C.glabrataおよびC.kruseiのITS2領域の配列は、配列番号5〜9として配列表に示される。
代表的なおよび形態学的に(または生理学的に)異形型の株を示す、計10個のC.albicans単離物は、ITS領域内でヌクレオチドレベルで同一であることが見出された。同様に、広範な電気泳動的核型およびランダムに増幅された多型(RAPD)を示す、C.parapsilosisの5つの株もまた、この種の基準株に同一であった。ITS領域の全長は、種特異的であることが見出された。
5.8Sアラインメントの結果に類似して、本発明者らは、C.albicans、C.parapsilosisおよびC.tropicalisがまた、このITS領域において最も相同であることを見出した。この相同性は、5.8S配列終結の5’直ぐに隣接した最初の57bpにわたった。対照的に、3’領域は、ほとんど相同性を示さなかった。C.kruseiおよびC.glabrataについては、この全ITS領域にわたって、互いに対しても、C.albicans群のメンバーに対してのいずれも明らかな相同性はなかった。配列は、全ての可能な対様組み合わせで整列され(NeedlemanおよびWunsch 1970)、そして平均の類似性度は、約40%であることが見出された。
ITS2領域の分析は、C.albicansおよび恐らく他の密接に関連した種が、株間変異を示さないことを明らかにした。これに関して、この種は、日和見真菌Cryptococcus neoformansのようであり、そしてこの領域において変異を示す植物病原体Fusarium sambucinumとは異なる。
実施例2
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用による血液中のCandida albicans細胞からのDNAの検出
albicansの増殖
albicans 36B株を、25℃で48時間、Sabouraudのデキストロース寒天Emmons傾斜(slant)において増殖させた。細胞を、各傾斜を5mlの0.85%NaClで洗浄することにより採集し、1500×gで10分間遠心分離し、そして新鮮に収集されたウサギ血液または0.85%生理食塩水中に適切な濃度に再懸濁した。
酵母細胞溶解およびDNA精製
成体雌ウサギ(ニュージーランドホワイト、Myrtle’s Rabbit Farm)からの血液を、中心耳動脈から、1単位の精製サポニン水溶液、8ml/Lポリプロピレングリコール、9.6g/L ポリアンエタノールスルホン酸ナトリウムおよび16g/L (Na)EDTAを含むISOLATOR 10(登録商標)細菌チューブ(Wampole Laboratories,Cranbury,NJ);EDTAコートチューブ(Becton Dickinson,Rutherford,NJ);またはヘパリン化されたチューブ(Becton Dickinson)に収集した。次いで、C.albicans 36B株(Quebec Gynecological Institute,Montreal,Quebec)細胞を導入し、そしてサンプルを、3000×gで30分間遠心分離した。上清を除去し、そして等容量の脱イオン化水を添加して、残存血液細胞を溶解した。残存C.albicans細胞を0.85% NaClで洗浄し、そして1500×gで10分間の遠心分離によりペレット化した。ISOLATOR 10(登録商標)チューブは、血液からの生存能力のあるC.albicans細胞の回収のための他の血液収集系よりも優れていることがわかった(Jones,1990)。血液収集のためのISOLATOR 10(登録商標)チューブの使用は、カンジタDNAのPCR増幅をもたらしたが、EDTAコートまたはヘパリンコートされたチューブの使用はもたらさなかった。
C.albicans DNAを抽出し、そして製造者の説明書に従って、真菌を用いたその使用を可能にするためにZYMOLASE−100Tを添加して(なぜならISOQUICK(登録商標)キットは、哺乳動物細胞およびグラム陰性細菌のみに由来するDNAの単離および精製のためにMicroProbe Corporationにより開発されたからである)、ISOQUICK(登録商標)核酸抽出キットを用いて精製した。簡単には、ペレット化した細胞を、100μlの溶解緩衝液を添加した後、15分間100μlのサンプル緩衝液に懸濁した。混合物を、25℃で1時間インキュベートした。選択されたサンプルは、溶解工程の間にザイモリアーゼ(ZYMOLYASE−100T、Seikagaku Corp.,Tokyo,Japan;1.0Mソルビトール、0.1Mクエン酸三ナトリウム、および0.1% 2−メルカプトエタノール中の5mg/ml)を含み、そしてalbicans細胞の破壊を最適化するために1分あたり約16回転で振動させた。ザイモリアーゼの溶解工程への付加は、albicans細胞を用いた使用のためのISOQUICK(登録商標)キットの首尾良い適応を可能にした。あるいは、albicans細胞を、ミニビーズビーター(Biospec Products,Bartlesville,OK)を用いて破壊した(Gleeら、1987)。細胞(1ml)を、1mlの0.5mm直径ガラスビーズを含むSarstedtマイクロフュージチューブに送達し、そして2分間最大速度でたたいた。第3の方法は、Eppendorf微量遠心チューブ中の2mlの脱イオン水中で1mlあたり1×10個の細胞を30分間煮沸することによりC.albicans DNAを放出した。ビーズでたたくか、または煮沸することによるC.albicans細胞の機械的破壊は、PCR増幅DNAを生成することにおいてあまり効果的ではなく;これらの方法はあまりにも厳しすぎ得、DNAの剪断またはフラグメント化をもたらす。DNAの沈殿のために、ISOQUICK(登録商標)キットの酢酸ナトリウムおよび他の成分を、指示されたように使用した。
溶解後、DNAを、ISOQUICK(登録商標)キットにおいて提供された抽出マトリクスを用いて精製し、イソプロパノールの存在下で酢酸ナトリウムを用いて沈殿し、そして沈殿したDNAを、真空遠心分離により15分間乾燥した。
ゲノムDNAのPCR増幅
ユニバーサル真菌プライマー対、ITS1および2またはITS3および4を、CDCcore facility.により合成し、そして天然のTaq DNAポリメラーゼ(250U、Perkin Elmer Cetus,Alameda,CA)を使用するGeneAmp DNA増幅試薬キットを、ゲノムDNAのPCR増幅のために使用した(Saikiら、1988)。これらのプライマーは、全ての真菌およびいくつかの寄生体からDNAを増幅する。ITS1、ITS2、ITS3およびITS4プライマーの例を、それぞれ、配列番号1、4、2および3として配列表に示す。反応は以下からなる:53.5μlの2重に蒸留した滅菌水、10μlの10×反応緩衝液、16μlの等モル(1.25mM)量のdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPの混合物、5μlの20μM ITS1または3、5μlの20μM ITS2または4、10μlの標的DNA、0.5μlのTaqポリメラーゼ、ならびに6μlの25mM MgCl。サンプルを、DNA増幅の間の蒸発を最小にするために、サーマルサイクラー(Perkin Elmer Cetus)に置く前に鉱物油で重層した。サンプルを、95℃で5分間、サーマルサイクラーで最初に変性させた。これに続いて、以下の30サイクルを行った:95℃1分間の変性、50℃で2分間のアニーリング、および72℃で1.5分の伸長。最終伸長は、72℃にて5分間で生じた。
増幅後、鉱物油を捨てた。等容量のクロロホルムをサンプルに添加し、次いでこれを4100×gで5分間遠心分離して、残存鉱物油を抽出した。水層を取り出し、そしてDNAを、2容量の氷冷100%エタノールを添加し、続いて−70℃で30分間インキュベートすることにより、それから沈殿させた。次いで、サンプルを4100×gで1分間遠心分離し、エタノールを除去し、サンプルを真空下で乾燥し、そして20μlのTE緩衝液(20mM Tris+1mM EDTA、pH8.0)に再懸濁した。増幅したDNAを、臭化エチジウム染色またはドットブロットハイブリダイゼーション分析により、アガロース(1%アガロース+TE緩衝液中の1% Nu−Sieve)ゲル電気泳動後に視覚化した。
ドットブロットハイブリダイゼーション
C.albicans 3307株のDNAを、ドットブロットのためのプローブとして使用した。プローブを作製するために、20ngのC.albicans 3307のゲノムDNAを、プライマー対としてITS1およびITS2またはITS3およびITS4を用いてPCR増幅した。次いで、PCR産物をアガロースゲルにおいて電気泳動し、そして得られたDNAバンドをゲルから切り出した。産物を、Thuringら(Thuringら、1975)の凍結−圧搾法によりゲルから抽出した。DNAプローブを、製造者の説明書に従って、非放射性DNA標識および検出キット(「Genius」キット、Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)からのジゴキシゲニン−dUTPと一晩インキュベートすることにより標識した。配列番号5〜9の核酸に由来する他の属または種特異的プローブもまた、この方法において使用され得る。
10μlのC.albicansDNAをTE緩衝液で25μlに希釈し、NaOHを0.3Mの最終濃度まで添加し、そして25℃で10分間インキュベートすることにより、サンプルをドットブロット(Kafatosら、1979、Laskerら、1992)のために調製した。次いで、等容量の2.0M酢酸アンモニウムを、氷上の各サンプルに添加した。次いで、各サンプルを、製造者の説明書に従ってドットブロット装置(BioRad,Richmond,CA)を用いて、ニトロセルロースフィルター上に真空下でドットした。次いで、フィルターを装置から取り出し、そして真空下で2時間−80℃で乾燥した。乾燥したフィルターをプラスチックバックに入れ、密封し、そして65℃水浴中で一晩、1本鎖サケ精子DNA(10μg/ml)でプレハイブリダイズした。
ジゴキシゲニン標識プローブを、5分間煮沸することによって変性させ、プラスチックバック中のフィルターに添加し、そして65℃水浴中に一晩入れた。次いで、フィルターを、クエン酸化生理食塩水(0.03Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)を含む0.3M NaCl)および0.1% SDSで、60℃で30分間ずつ2回洗浄した(Laskerら、1992)。洗浄したフィルターを、アルカリホスファターゼで標識された抗ジゴキシゲニン抗体(1:5000)と共に25℃で30分間インキュベートした。色原体(ニトロブルーテトラゾリウム塩および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート)を添加し(Laskerら、1992)、そして暗所で25℃で6時間発色させた。
「ブースター(booster)」PCR増幅
「ブースター」PCR増幅を、Ruanoら(Ruanoら、1989)の方法により行った。簡単には、上記で概説されたのと同じプロトコルを使用したが、PCR増幅の15サイクル後に、サンプルをサーマルサイクラーから取り出し、そして新鮮なプライマーを40μMの最終濃度まで添加した。次いで、サンプルを、さらなる15サイクルおよび最終伸長のためにサーマルサイクラーに戻した。血液に導入された細胞に由来するPCR産物の検出の感度レベルは、臭化エチジウム染色されたアガロースゲルにより検出した場合、1mlあたり10個細胞から1mlあたり10個細胞に改善された。しかし、この系の特異性は、ネガティブコントロールがポジティブになったので不十分であった。
アガロースゲル電気泳動による生理食塩水中のalbicansからのPCR増幅産物の検出
ISOQUICK(登録商標)キット単独を用いて生理食塩水から単離および精製されたalbicans DNAと、ザイモリアーゼ+キットの使用により得られたものとの比較を行った。albicans細胞(10/ml食塩水)を、37℃または25℃のいずれかで溶解した。ザイモリアーゼとISOQUICK(登録商標)キットとの組み合わせ使用(25℃または37℃いずれかでの)は、キット単独と比較して精製DNAの増強した回収をもたらした。
細胞破壊およびDNA精製についてザイモラーゼ+ISOQUICK(登録商標)法の感度を決定するために、次いで、albicans細胞を、破壊前に生理食塩水に連続希釈した(1mlあたり10〜10細胞)。臭化エチジウム染色したアガロースゲルは、1mlあたり10個の細胞がこの方法により検出され得たことを証明した。これらの結果に基づいて、全ての後続の実験はザイモリアーゼを使用し、続いて25℃でISOQUICK(登録商標)を用いたDNA精製を行った。
アガロースゲル電気泳動による血液中のC.albicansのPCR増幅産物の検出
ザイモリアーゼ+ISOQUICK(登録商標)キット法を使用して、血液中のalbicansを検出し得るかどうかを決定するために、1mlあたり10個のalbicans細胞を、上記のように、新鮮に収集されたウサギ血液に導入した。血液を以下のうちの1つに収集した:ISOLATOR 10(登録商標)細菌チューブ;EDTAコートチューブ、またはヘパリン化されたチューブ。増幅DNAを、ISOLATOR 10(登録商標)チューブのみに吸い出された血液に導入された細胞から調製されたサンプルにおいて検出した。血液がEDTAコートのみされたチューブまたはヘパリンコートのみされたチューブのいずれかに吸い出されたサンプルでは、DNAは検出されなかった。
ザイモリアーゼ+ISOQUICK(登録商標)キット法を使用する血液中のalbicans DNAの検出感度を、ISOLATOR 10(登録商標)チューブに吸い出された血液中のalbicans細胞(1mlあたり10〜10細胞)を連続希釈することにより決定した。アガロースゲル電気泳動および臭化エチジウム染色を用いて、1mlあたり10個の細胞を検出し得た。
血液または生理食塩水中のC.albicansのPCR増幅産物の検出のためのドットブロットハイブリダイゼーション
C.albicans DNAの検出感度を改善する努力において、PCR産物の検出について、臭化エチジウム染色アガロースゲル法とドットブロットハイブリダイゼーション法との比較を行った。ドットブロット法は、アガロースゲル電気泳動および臭化エチジウム染色により検出された1mlあたり10個の細胞に対し、生理食塩水中1mlあたり10個の細胞の検出を可能にした。血液中に導入されたC.albicans細胞のPCR産物の検出感度は、ドットブロット法による1mlあたり10個の細胞対臭化エチジウム染色アガロースゲル検出の1mlあたり10個の細胞であった。上記のドットブロットに使用されたプローブは、C.albicans特異的であった。C.tropicalis DNAおよびヒト胎盤DNAは、ドットブロットにおいて反応せず、これはプローブの特異性を支持する。従って、本明細書中に教示される方法は、臨床サンプル(例えば、血液)においてCandida DNAを検出し得る。
本明細書中に記載のユニバーサル真菌プライマーは、全ての真菌からのDNA増幅の可能性を提供する。しかし、上記のドットブロットハイブリダイゼーション工程におけるようにC.albicans特異的DNAプローブを使用することにより、試験は、C.albicans特異的であった。ドットブロットアッセイを、本明細書中に記載されるような他のCandida種または他の真菌の特異的プローブを用いて行い得る。さらに、本発明の方法が、臨床サンプルから穏やかにDNAを抽出し得るので、この方法はまた、PCR反応のためのウイルスプライマー、細菌プライマー、または他の真菌プライマー、続いて上記のようなドットブロットにおいて、各属または種に特異的なDNAプローブを使用し得る。
実施例3
ポリメラーゼ連鎖反応の使用による血液中のCandida spp.からのDNAの検出
Candida spp.の検出および同定は、特に、新たに出現する非albicans Candida感染の増加のために重要になってきている。本発明者らは、1つの反応チューブ中で3つまでのCandida spp.を検出するための真菌特異的PCRプライマーおよび種特異的DNAプローブを使用した(TaqManTM PCR,Perkin−Elmer Corp.,Foster City,CA)。rDNAの内部転写スペーサー領域に対するプローブを、3つの蛍光レポーター色素のうちの1つで標識した:FAM(6−カルボキシ−フルオレセイン)、TET(テトラクロロ−6−カルボキシ−フルオレセイン)、またはHEX(ヘキサ−クロロ−6−カルボキシ−フルオレセイン)。各色素は、特異的な標的DNAのPCR増幅の際に特徴的な波長を放射し、その結果3つまでのプローブがPCR反応中に同時に使用され得る。次いで、各プローブの異なるシグナルを、蛍光マイクロタイタープレートリーダーを使用することによりサーマルサイクリング直後に検出する。6つのプローブをこの研究において使用し:CA−FAM、CT−TETおよびCP−HEXを、それぞれ、C.albicans、C.tropicalis、およびC.parapsilosisの同時検出および同定のために1つのチューブに添加した。TG−FAMおよびCK−TETを、C.glabrataおよびC.krusei(蛍光耐性種)検出のために第2のチューブに添加した。Candida属プローブであるAllCAN−TETを第3のチューブに添加した。61のポジティブな血液培養ボトル(23のC.albicans、18のC.glabrata、6つのC.tropicalis、6つのC.krusei、5つのC.parapsilosis、および3つの混合真菌血症)から回収されたDNAを使用した。コントロールサンプルは、細菌(n=10)または他の真菌血症(n=3)の培養物、または増殖なしのボトル(n=10)を含んだ。TaqManTM PCRは、61の標本のうち57(93.4%)を検出し、そして正確に同定し、そして偽陽性結果を与えなかった。この方法は迅速であり、PCR後ハイブリダイゼーションおよびインキュベーション工程を排除する。これは、血液培養ボトルからのCandida種を検出および同定するのに感度が良くおよび特異的であり、より迅速な診断および薬物治療の適切な標的化を可能にする。
本発明者らは、ポジティブな血液培養ボトルからのCandida単離物の迅速な検出および同定のための、臨床的に有用なPCRに基づく方法を記載する。熱、界面活性剤、および機械的破壊を使用する単純な抽出方法を用いて、高価な酵素またはフェノール−クロロホルムの使用なしにPCRを増幅するためのCandida DNAを得た。単純で、迅速な、かつ感度のあるマイクロタイタープレートフォーマットおよび異なる放射波長を有する蛍光で標識されたプローブを使用して、3つまでのCandida spp.を同時に検出した。この方法は、蛍光プローブがPCR増幅の間に標的DNAにアニールするので、さらなるPCR後ハイブリダイゼーション工程を排除し、そして種同定までの時間を、従来の方法による平均3.5日から本発明者らの方法による5時間に減らした。
臨床サンプル
培養したBacT/Alert瓶(Organon Teknika Corporation, Durham, N.C.)からの81サンプルすべてを試験した。細菌血症または真菌血症に罹患していると疑われる患者由来の10ミリリットルの血液をベッドサイドで収集し、そして各5mlを直ちに好気性および嫌気性Bac/Alert瓶に接種した。接種した瓶をBacT/Alert装置中(Organon Teknika Corporation, Durham, N.C.)で1分あたり68サイクルの速度で連続的に振盪し、そして35℃で5日間、すなわち瓶がCOの比色検出により陽性となるまで、インキュベートした。陽性の瓶からのアリコートをグラム染色し、そして継代培養した。グラム染色によりCandida spp.を含むことが証明された瓶を選択し、2mlのアリコートを取り出し、そして−30℃で保存した。研究の期間の間に、Candida spp.が24患者からの61培養瓶から単離された。
Candida spp.から単離された61の瓶のうち、C.albicans blastoconidiaが23瓶から単離され、C.glabrataが18瓶から単離され、C.tropicalisが6瓶から単離され、C.kruseiが6瓶から単離され、C.parapsilosisが5瓶から単離され、そしてC.glabrataおよびC.albicansの混合物が3瓶から単離された。凝集素陰性Staphylococci(n=2)、Enterococcus spp.(n=2)、Citrobacter freundii(n=2)、Corynebacterium JK(n=1)、Corynebacterium、非JK(n=1)に起因するか、あるいはEnterococcus spp.およびS.aureus(n=1)の混合物、またはKlebsiella pneumoniaeおよびA.calcoaceticus(n=1)の混合物に起因する、細菌血症に罹患した患者由来の10の無作為に選択したサンプルもまた、陰性コントロールとして試験した。インキュベーションの間に陽性には決してならなかった臨床検体(n=10)もまた、陰性コントロールとして試験した。
臨床サンプルに加えて、C.albicans株 B311を、200μlのウサギ全血あたり0、10、10、10、10、および10の出芽型分生子でスパイクした(spiked)BacT/Alert瓶も試験した(ブロス対ウサギ血液比=8:1)。
DNAの抽出
機械的破壊法を、使用した。200マイクロリットルのサンプルを、滅菌1.5ml遠沈管中の800μlのTXTE緩衝液(10mM Tris, 1mM EDTA, pH 8.0, 1% Triton X−100)に添加し、そして室温で10分間インキュベートした。溶解後、細胞残渣およびCandida出芽型分生子を、エッペンドルフ遠心分離器(Eppendorf model 5403, Germany)において14,000rpmで5分間遠心分離することによりペレット化した。1mlのTXTE緩衝液での遠心分離による3回の洗浄後、ペレットを300μlのTXTE緩衝液中に再懸濁し、そして200μlの0.5mmジルコニウムビーズ(Biospec Products, Bartlesville, OK)を含む2mlのスクリューキャップコニカル底チューブへ移した。15分間煮沸した後、混合物を機械的細胞破壊器(Mini−beadbeater, Biospec Products)中で20分間振盪させた。20秒間の遠心分離後、上清を、PCR増幅に使用するまで−20℃で保存した。
精製DNA
精製Candida DNA(C.albicans,C.tropicalis,C.parapsilosis,C.glabrata、およびC.krusei DNAを含む)(Fujitaら)を、各TaqMan(登録商標)PCRのためのテンプレート標準として用いた。これらのDNAならびに他のCandida種、Saccharomyces cervisiae, Cryptococcus neoformans, Aspergillus fumigatus, A.flavus, Penicillium marneffei, Histoplasma capsulatum, Blastomyces dermatitidis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa、およびヒト胎盤細胞株から精製されたDNAを以前に記載される従来の手段(Fujitaら)により得た。使用したすべての微生物株は、C.lusitaniae株およびC.pseudotropicalis株、WO696以外は、以前に記載されている。これらの株は、CDC菌類学委託研究室から得た。
蛍光プローブ設計および合成
プローブは、3つの利用可能な蛍光レポーター色素(FAM(6−カルボキシフルオレセイン)、TET(テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン)、またはHEX(ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン)の1つを用いて5’末端で標識されるオリゴヌクレオチドからなった。プローブはまた、3’末端および3’−ブロッキングホスフェート付近のリンカーアーム改変ヌクレオチドに結合した消光色素であるTAMRA(6−カルボキシテトラメチルローダミン)を含む。この研究で用いた6つのプローブを表1に列挙する:すべてのCandida spp.を検出するためのAll−CAN−TET、およびそれぞれC.albicans, C.tropicalis, C.parapsilosis, C.glabrataおよびC.kruseiのDNAを検出するためのCA−FAM、CT−TET,CP−HEX,CG−FAMおよびCK−TET。
TaqMan(登録商標) PCR
プライマーITS3およびITS4(Fujitaら)ならびに以前に公表されたPCRプロトコル(Fujitaら)の改変を、TaqMan(登録商標)蛍光標識プローブを用いてPCRを実施した。G+C成分に基づくと、CA、CG、CP、CK、およびCTプローブ(Fujitaら)の予測される融解温度(Tm)は、70℃、70℃、70℃、76℃、および72℃であった。さらに、すべてのCandida種を検出するためのプローブを、rDNAの5.8s領域から設計した(All−CANプローブ、Tm=80℃)。他方、ITS3およびITS4プライマーのTmは、62℃および58℃であった。ITSプライマーを用いるPCR増幅が蛍光標識Candidaプローブの存在下で実施されるので、プローブを、Tmがプライマー伸長を最適化し、そして1反応チューブ中で混合される場合に複数のプローブが同様の頻度で結合することを可能にするように再設計した。
プローブ混合物の3つのセットを設計した。第一に、CA−FAM、CT−TET、およびCP−HEXを、それぞれC.albicans,C.tropicalis、およびC.parapsilosisを検出しそして同定するために同時にPCR混合物に添加した(PCR「A」)。第二に、プローブCG−FAMおよびCK−TETを、C.glabrataおよびC.krusei(生来のフルコナゾール耐性株)を検出しそして同定するためのPCR混合物に添加した(PCR「B」)。第三に、All−CAN−TETプローブを使用してすべてのCandida spp.を検出した(PCR「C」)。PCRを、1μlサンプルで、10mM Tris−HCl、50mM KCl(pH 8.3)、MgCl(2.5〜5.0MM)、0.2mM(各)dNTP、各0.2μMのプライマー、2.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim, Germany)および1、2、または3つの蛍光プローブ(10〜50nM最終濃度)を含む総量50μlの容積で実施した。組合せアニーリングおよび伸長温度を用いる二段階PCRを、Perkin−Elmer 9600サーモサイクラー(Emeryville, CA)中で実施した。すべてのサイクルは、DNA変性工程(94℃で5分間)から始めた。この後、サイクルは、40サイクルの、95℃で30秒間(変性)、および58℃で90秒間(アニーリングおよび伸長)からなった。使用した他のツーステップサイクルは、45サイクルの、95℃で30秒間、58℃で1分間からなった。72℃で10分間のプライマー伸長が最終サイクルに続いた。
ネガティブコントロール(テンプレートコントロールなし)を、テンプレートが非存在であること以外は同一の反応混合物を用いて、記載される増幅条件下で実施した。多重PCRのためのポジティブ標準は、検出される各Candida spp.について、1ngの精製DNAを使用した。
TaqMan(登録商標)PCRの蛍光検出
PCRの後ただちに、または24時間以内(サンプルは暗冷蔵庫に保存した)のいずれかで、40μlの各PCR産物を、蛍光の検出のために設計された清潔な白色の96ウェルマイクロタイトレーションプレート(Perkin−Elmer)に移した。40μlのTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)を緩衝液ブランクとして使用した。プレートを、マイクロタイトレーションプレート読み取り付属品を用いてPerkin−Elmer LS 50B Luminescence Spectrometer上で読んだ。使用した励起波長は488nmであった。各レポーター色素についての発光波長は、以下の通りであった:FAM,518nm;TET,538nm;HEX,556nm。消光色素(TAMRA)についての発光波長は582nmであった。励起スリット幅は488nmであり、そして発光スリット幅は10nmであった。EXCEL互換マクロを用いる蛍光データ管理システムを、データ分析に使用した。
データ分析および解釈
すべてのCandida spp.の検出のためのAll−CAN−TETプローブを用いるPCR
TaqMan(登録商標)データワークシートおよびマクロを用いて、各サンプルについてのΔRQを自動的に計算した。ΔRQは、TaqMan(登録商標)プローブ(RQ+)上の消光色素からの放出後のレポーター色素の発光強度比からインタクトなTaqMan(登録商標)プローブ(RQ−)上の消光レポーター色素の基底発光強度を引いた増分である。閾値RQを計算して、3連の連プレートなしのコントロールサンプルから得られる標準偏差を用いて統計的に高い信頼性のレベル(99%)を確実にする。本発明者らは、ポジティブ性についてのカットオフ値を、本研究で用いたすべてのネガティブコントロール(n=20)についての平均のΔRQから3SDを超える値に設定した。
2個または3個の蛍光プローブを同時に使用するTaqMan(登録商標)PCR
本発明者らは、TaqMan(登録商標)PCRの結果の解釈のために多成分データプログラムを使用した。多成分データプログラムは、TaqMan(登録商標)3Allele−Genotype WorksheetまたはWPR(ウェルプレートリーダーソフトウェア)についての2レポーター多成分ワークシートのいずれかを使用した場合、「DNAなし」、テンプレート1(すなわち対立遺伝子1)、テンプレート2(対立遺伝子2)、またはテンプレート3(対立遺伝子3)として結果を示した。DNAなしの閾値を、ネガティブコントロールの平均(値=1.00)を2SD超える値から自動的に計算した。本発明者らは、DNAなし値を、1から各DNAなし値を減ずることにより、「DNA値」として標準化した。本発明者らは、DNA値についてのカットオフ値を、コントロール値についての平均を1SD超えるもの、および各プローブについてのカットオフ値を、TaqMan(登録商標)PCR反応におけるコントロール値についての平均を2SD超えるものとして、設定した。
品質コントロール
各反応を2連または3連で実施した。1ナノグラムのC.albicansおよびC.glabrataのDNAを、各サンプルの実行についてのポジティブコントロールとして使用した。持ち越しを、アエロゾル耐性ピペットチップおよびDNAサンプル調整およびPCR調製のための別の研究室区域を用いて除去した。
結果
TaqMan(登録商標) PCRの最適化
TaqMan(登録商標) PCRアッセイのために使用したプローブを、表1に示す。本発明者らは、MgCl濃度、伸長時間、PCRサイクルの数、およびプローブ濃度の、ΔRQ値に対する効果を評価した。最適なマグネシウムイオン濃度を、95℃で30秒および58℃で90秒からなる40サイクルを用いて、2.5nM〜5.0nMの濃度を試験することによって決定した。3.5nMのMgCl濃度を用いた場合、ΔRQは最も高かった(4.37±0.38, n=4; 3.33〜5.16の範囲)。このMgCl濃度の範囲は、(RQ−)値(0.71〜0.84)を変化しなかった。
次いで、定常のPCR混合組成物を用いて、本発明者らは、PCR伸長時間およびサイクル数の、ΔRQ値に対する効果を比較した。45サイクルおよび1分の伸長時間(ΔRQ = 3.33±0.45, n=2)を用いた場合、90秒の伸長時間での40サイクル(ΔRQ = 3.46±0.13, n=2)と比較して、ΔRQ値における増加は得られなかった。従って、すべての実験は、40サイクルおよび1分の伸長時間を用いた。 各プローブの濃度を、10〜50nMの濃度を試験することによって最適化した。最適なプローブの濃度は、All−CAN−TET、25nM; CA−FAM, CT−TET, およびCG−FAM, 10nMであった。C.albicans、C.tropicalisおよびC.parapsilosisの同時検出ならびに同定のためのTaqMan(登録商標) PCR(PCR「A」)において、そしてC.glabrateおよびC.kruseiの同時同定のためにCG−FAMならびにCK−TETプローブを用いるTaqMan(登録商標) PCR(PCR「B」)において、10nMのプローブ濃度を用いた場合、ΔRQが最も高かった。従って、プローブを、TaqMan(登録商標) PCRのために10nM濃度にて使用した。
FAMで標識したプローブについてのΔRQ値は、一貫してより高く、次いでTETで標識したプローブについてのΔRQ値、次いでHEXで標識したプローブについてのΔRQ値が高かった。CKプローブの異なるバッチを、3つの蛍光標識のうちの1つで標識した場合、FAM標識CKプローブについての平均のΔRQは、1.34±0.04 (n=3)であり、一方TET標識CKプローブについての平均のΔRQは、0.61±0.27 (n=6)であり、そしてHEX標識CKプローブについての平均のΔRQは0.30±0.01 (n=3)であった。
臨床的サンプルについてのTaqMan(登録商標) PCRアッセイの感度および特異性
カンジダ血症を有する患者由来の61の臨床的サンプルのうち、58のサンプルは、単一のCandida spp.を含むことが証明された(表2)。相同のspp.に対するAll−CAN−TETプローブを用いた平均ΔRQ値は、以下の通りであった:C.albicans, 3.42±0.67 (範囲=1.15〜4.58);C.tropicalis, 1.92±1.34 (範囲=0.45〜3.48);C.parapsilosis, 1.78±1.48 (範囲=0.80〜4.22);C.glabrata, 2.81±1.24 (範囲=0.53〜4.66);およびC.krusei, 3.38±0.92 (範囲=1.87〜4.40)(表3)。C.glabrataおよびC.albicansの両方の混合培養物として同定された3つのサンプルを用いたAll−CAN−TETについてのΔRQ値は、それぞれ4.14、3.46、および3.58であった。
相同種に対するCandida種特異的プローブについての平均のΔRQ値は以下の通りであった:C.albicans単離物についてのCA−FAM, 0.95±0.62 (n=23);C.tropicalis単離物についてのCT−TET, 0.48±0.38 (n=6);C.parapsilosis単離物についてのCP−HEX, 0.37±0.12 (n=5);C.glabrata単離物についてのCG−FAM, 0.63±0.39 (n=18);およびC.krusei単離物についてのCK−TET, 0.73±0.33 (n=6)(表3)。DNA値が0.16以上であり(1SD)、ΔRQがCA−FAMプローブについて0.7以上(2SD)、CT−TETプローブについて0.13以上(2SD)、そしてCP−HEXプローブについて0.19以上(2SD)である場合、PCR「A」アッセイによって試験した検体は陽性であると考えられた。従って、PCR「A」アッセイの感度および特異性は、それぞれ91.9%(34/37)、および100%(44/44)であった。
DNA値が0.15以上であり(1SD)、ΔRQがCA−FAMプローブについて0.04以上(2SD)であり、そしてCK−TETプローブについて0.08以上(2SD)である場合、PCR「B」アッセイによって試験した検体は陽性であると考えられた。従って、PCR「B」アッセイ(フルコナゾール耐性Candida spp.を検出するため)の感度および特異性は、それぞれ96.3%(26/27)、および100%(54/54)であった。
ΔRQが0.25以上(3SD)である場合、PCR「C」アッセイによって試験した検体は陽性であると考えられた。従って、PCR「C」アッセイ(すべてのCandida spp.を検出するため)の感度および特異性は、それぞれ100%(61/61)、および100%(20/20)であった(表3)。
蛍光プローブを用いるPCRによるCandida spp.の検出および同定
カンジダ血症を有する24人の患者の61の血液培養物由来のCandida spp.のPCR−EIA同定(Fujitaら)を、以下のように同定した:C.albicans (n=23)、C.glabrata (n=18)、C.parapsilosis (n=5)、C.tropicalis (n=6)、C.krusei (n=6)、ならびにC.albicansおよびC.glabrataに起因する混合したカンジダ血症(n=3)。All−CAN−TETプローブを用いるPCR「C」アッセイは、61のすべてのサンプル中のすべてのCandida sppを検出した。PCR「A」および「B」アッセイ結果は、単一のCandida spp.を含むと報告された58個のサンプルのうちの55個(23個のC.albicans、17個のC.glabrata、4個のC.parapsilosis、5個のC.tropicalis、および6個のC.krusei)についてのPCR−EIAに関するこれらのアッセイ結果と適合した。慣習的なPCRによって、およびPCR−EIAによって、混合カンジダ血症検体として同定された3つのサンプルのうちの2つはまた、C.glabrataおよびC.albicansの両方を含むとして同定されたが、1つの混合カンジダ血症は、PCR「A」および「B」アッセイによってC.glabrataのみとして同定された(C.albicansは検出されなかった)(表2)。
5つのC.albicans陽性ボトルは、Enterococcus spp. (n=4)および凝固酵素(coagulase)陰性Staphylococci (n=1)を含む細菌とのC.albicansの共存を示した。すべてを、C.albicansを含むとして正確に同定した。菌血症を有する患者由来のランダムに選択したサンプルは、TaqMan(登録商標) PCRによって全て陰性であった(表3)。
従って、All−CAN−TETプローブを用いるPCRは、すべてのCandida spp.(100%)を検出し、TaqMan(登録商標) PCRアッセイ「A」および「B」は、61の臨床的血液培養物のうちの57(93.4%)中のすべてのCandida spp.を迅速かつ正確に同定した(表2)。
All−CAN−TETプローブの感度および特異性
All−CAN−TETプローブは、すべてのCandida spp.、S. cerevisiae、A. fumigatus、およびA. flavusを検出したが、試験した他の真菌DNA、細菌DNA、またはヒトDNAは検出されなかった(表4)。精製したAspergillus spp., DNAをAll−CAN−TETプローブで検出したが、使用された機械的サンプル調製法は、インタクトな細胞からAspergillus DNAを放出しなかった。従って、異なるサンプル調製方法が、臨床的サンプルからAspergillus DNAを得るために使用される必要があり、そしてCandidaおよびS. cerevisiae DNAのみが、本明細書中で記載されるように処理された臨床的物質において検出されることが期待される。
TaqMan(登録商標) PCR感度
本発明者らは、ウサギ血液を播種したBacT/Alert培養ボトル中に懸濁したC.albicans blastoconidiaを用いて、TaqMan(登録商標) PCR結果を、本発明者ら(Fujitaら)の実験室において開発したPCR−EIA法からの結果と比較した。C.albicans B311 blastoconidia株を、ウサギの全血を含む200μlのBacT/Alert血液培養ブロス(ブロス対ウサギ=8:1)当たり0、10、10、10、10、または10の濃度にて導入した。
3つの実験における各200μlのサンプルのためのAll−CAN−TETプローブについての平均のΔRQ値は、10細胞について3.10±0.45、10細胞について2.75±0.18、10細胞について0.69±0.12、および10細胞について0.34±0.07であった(表5)。従って、EIAによる検出の感度は、C.albicans blastoconididaを含まないコントロールサンプルと比較して、200μlのサンプル当たり10細胞、または2μlのサンプル当たり1細胞であった(P<0.01)。これは、PCR−EIA法の検出限界に等しかった。EtBr染色による検出限界は、いずれの方法よりも10倍低かった(20μlのサンプル当たり10細胞)。
CA−FAM、CT−TET、およびCP−HEXを用いるTaqMan(登録商標) PCRについての検出限界は、200μlのサンプル当たり10細胞、または2μlのサンプル当たり10細胞であった。これは、PCR−EIA法より10倍低い感度、アガロースゲルのEtBr染色による検出に等しい感度を示した(表5)。
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本出願を通じて、種々の刊行物が括弧内に参照される。これらの刊行物の十分な引用は、本明細書の終わりの配列表の直前に見出され得る。本発明が関係する当該分野の状況をより十分に記載するために、これらの刊行物の開示の全体が、本明細書中に参考として援用される。
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(配列表)
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Claims (4)

  1. 配列番号11〜16に対応するヌクレオチド配列またはその相補鎖からなる、単離された核酸。
  2. 検出可能な部分に付着した、請求項1に記載の単離された核酸。
  3. 前記検出可能な部分は、放射性標識、酵素標識、蛍光標識、ジゴキシゲニン標識、またはビオチン−アビジン標識を含む、請求項2に記載の単離された核酸。
  4. 本明細書に記載される方法。
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