JP2010072382A - 回折格子記録媒体 - Google Patents

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慎一郎 鈴木
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Abstract

【課題】
「カラー画像」、すなわち、「回折格子再生像もしくは、ホログラム再生像としての「カラー画像」」を記録した回折格子記録媒体、特に、多数の画素からなる「カラー画像」を回折格子を用いて記録した回折格子記録媒体において、その回折格子の中に目視では認識できない「隠し情報」を設けたとき、「隠し情報」の回折光が散乱してぞの画像にムラを生じ、おおよその位置が判明するという課題があった。
【解決手段】
「隠し情報」をその画素とは異なる画素で形成し、鮮明でムラの無い「カラー画像」を形成し、且つ、5倍〜10倍程度の拡大により容易に「隠し情報」を判読できる、且つ、さらにその画素の中に、「第2の隠し情報」を含めた偽造防止性の高い回折格子記録媒体を得た。
【選択図】 図1

Description

本発明は、「回折格子再生像もしくは、ホログラム再生像としての「カラー画像」」を記録した回折格子記録媒体、特に、多数の画素からなる「カラー画像」を回折格子を用いて記録した回折格子記録媒体において、300μm以下の「所定情報」(所定の文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報であって、マイクロ文字の様に隠し情報として含まれるもの。「第1の隠し情報」。)を表わす画素パターンであって、その情報に割り当てられた画素パターンが、前記画素パターンと異なるもので構成され、且つ、その情報に割り当てられた画素パターンが、その画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも一部に、「第2の隠し情報」を表示する一列の凹凸構造を有する偽造防止性に優れた回折格子記録媒体に関するものである。
以後、「第1の隠し情報」と「第2の隠し情報」を区別するため、「第1の隠し情報」を「所定情報」、「第2の隠し情報」を「隠し情報」と呼ぶ。
「第2の隠し情報」、すなわち「隠し情報」も、「所定情報」と同様に、別途設定した所定の文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報からなる。
「カラー画像」は、個々の画素の輝度・色調に対応した、占有面積・ピッチを有する回折格子群によって構成され、その回折像として前記「カラー画像」を再生し得る回折格子記録媒体であるが、その「所定情報」は、画素パターンの要素である格子ピッチ、格子角度、格子密度の少なくともいずれかを「カラー画像」の画素パターンと異ならせたものであり、該当部分を拡大観察すると、目視にて容易に、その「所定情報」を読み出すことができるようにしたものである。
また、「隠し情報」は、拡大鏡や簡易顕微鏡では判別できないため、真正性を確認するためには倍率の高い精密顕微鏡を用いてその情報を読み出し、正規な情報(「隠し情報」を実際に物理的形状として形成した時の、真正であると判定するための情報。「隠し情報」そのものだけでなく、形状等の情報を含めても良い。また、「隠し情報」そのものでなく、その「隠し情報」を実際に形どった形状を測定したデータ等や、意図的にその一部を変形した情報等を用いても良い。)であるか否かを判定するものとした偽造防止性に優れる回折格子記録媒体に関するものである。
(主なる用途)本発明の回折格子記録媒体の主なる用途は、偽造防止分野や意匠用途などに使用される回折格子記録媒体であって、具体的には、クレジットカード等の様に、カードデザインの一部としてその意匠性を求められると同時に、偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、すなわち、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等の分野に好適である。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録媒体であり、高い意匠性だけでなく、偽造による損害を防止する目的で、媒体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録媒体以外であって、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等の分野、また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグ等の分野では、意匠性の高い「カラー画像」を提供して高級感を高めると共に、類似品か否かの判定ができることが必須とされる分野も好適である。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶媒体等、高価な美術品、工芸品、例えば有名絵画やその複製であっても高額なもの等、またはそれらのケース等には、その内容をイメージした「カラー画像」をデザインとして使用する等によって付加価値が高くなる分野にも好適である。
(背景技術)
近年、カラーコピー機による金券類の偽造事件が頻発している。
そのために、高額紙幣や商品券等の金券類は、デザインの一部にカラーコピー機のセンサーでは読み取ることができない小さな網点や細線を、同じ反射濃度でデザインされた絵柄の中に組み込んでいる。その結果、これらの高額紙幣や商品券をカラーコピー機によって複写しようとすると、コピー機のスキャナーが小さな網点や細線を読み落とし、その部分が白く抜けることでコピー品であると判別している。
また、高度な複製技術を必要とするホログラムが、一部の高額紙幣や、その他の金券類に採用されている。ホログラムは、また、その凹凸面に金属の反射層を形成することにより、ホログラムをコピーした時にホログラム形成部を黒に再現するため、コピー牽制手段として利用されている。このようなホログラムには、三次元立体像ではなく二次元画像がモチーフとして用いられることが多い。
このようなホログラムを作成する第1の方法は、レーザ光を用いて干渉縞を形成させる光学的なホログラム撮影法である。すなわち、二次元画像が描かれた原稿を用意し、2つに分岐させたレーザ光の一方をこの原稿に照射し、その反射光と分岐したもう一方のレーザ光とを干渉させてその干渉縞を感光材に記録するのである。こうしてホログラム原版が作成できたら、この原版を用いて、プレスの手法によりホログラムを量産することができる。
ホログラムを作成する第2の方法は、媒体上に回折格子パターンを形成する方法である。この方法では、画像は、干渉縞パターンではなく、回折格子パターンとして記録されるため、この方法で記録された媒体に対しては、「ホログラム」という言葉を用いず、「回折格子記録媒体」という言葉を用いることにする(一般には、上述の第1の方法で作成された媒体も、この第2の方法で作成された媒体も、いずれも「ホログラム」と呼ばれることが多い)。
最近は、電子線描画によって回折格子パターンを形成する技術が確立されてきたため、この第2の方法によれば、印刷を上回る解像度をもったパターン形成が可能である。また、第1の方法によって形成した画像に比べて、より高い輝度をもった鮮明な画像が得られる。たとえば、回折格子パターンが形成された微小なドットの集合により、所定の絵柄を表現する方法や、多数の画素から構成される二次元画像を、回折格子パターンが形成された微小画素の集合として表現する方法等が、既に提案されている。
上述した第1の方法、すなわち、光学的なホログラム撮影方法には、鮮明なホログラム像が得られないという問題がある。すなわち、光学的に形成された干渉縞は、振動に敏感であるため、振動を完全に排除した環境でのホログラム撮影を行う必要がある。ところが、かなりの精度の防振台を用いて撮影を行っても、振動を完全に排除することは困難であり、このため、干渉縞の記録像にいわゆる「ボケ」が生じ、コントラストのある明るいホログラム像が得られないのである。また、用いるレーザ光の発振波長にもゆらぎが生じるため、くも硝子状ノイズが避けられない。このように、光学的なホログラム撮影には再現性が悪いという問題があるため、同じ原版を何枚か作成することも困難になる。
これに対して、上述した第2の方法、すなわち、電子線などによって描かれた回折格子パターンとして二次元画像を表現する方法では、鮮明な画像が得られ、しかも再現性の良い記録媒体の作成が可能である。しかしながら、この方法では、画像の一部に着色効果を与えるための手法はいくつか提案されているが、従来提案されている手法では、「カラー画像」をそのまま記録することはできない。いわゆる「ホログラム」の分野は、今後も益々需要が高まる分野であり、フルカラーの画像を鮮明に記録する技術が切望されている。
(先行技術)
この要望に応えるため、回折格子が形成された画素を平面的に配置することにより、多数の画素から構成される「カラー画像」を記録する方法が提案されている。(公知文献1:特開平8−021909)この方法において、記録媒体上には、元の「カラー画像」の個々の画素に対応して多数の画素領域が定義され、この画素領域内に、所定の回折格子が形成された画素パターンが割り付けられる。「カラー画像」を構成する各画素は、各色成分ごとに画素値をもっていて、各画素のもつ色成分は、回折格子のピッチにより表現される。
一方、各画素が各色成分ごとにもつ画素値成分は、回折格子を形成する格子占有領域の面積比によって表現される。予め画素領域の大きさを決めておき、この画素領域内の広い面積部分に回折格子を形成して、輝度の高い(すなわち画素値の大きな)画素が形成できるし、狭い面積部分に回折格子を形成すれば、輝度の低い(すなわち画素値の小さな)画素が形成できる。
このような原理により、ある特定の色のある特定の画素値に対応する画素パターンに、当該画素値に対応する面積部分に、当該特定の色に対応するピッチで、回折格子が形成される。このような画素パターンを必要な色数分、必要な画素値分、用意しておき、もとの「カラー画像」を構成する個々の画素に応じて、対応する画素パターンを割り当てて、もとの「カラー画像」を媒体上で回折格子を用いて表現している。
なお、同一の画像を表現するために用いる画素パターンについては、回折格子の格子線(回折格子線ともいう。)の配置角度はほぼ同一にしておく必要がある。回折格子線の配置角度が異なると、回折光が得られる観測方向が異なってしまうためである。同一の画像を表現するために配置されたすべての画素パターンが、同一の観測方向から同時に観測されなければ、正しい「カラー画像」が認識できなくなる。逆に、異なる複数の画像を同一の媒体上に記録するには、個々の画像ごとに、回折格子線配置角度が異なる画素パターンを用いればよい。
もとの「カラー画像」に基づいて回折格子パターンを割り当てる処理は、コンピュータによって実行することができる。また、個々の回折格子パターンは、電子線描画により媒体上に形成することができる。したがって、一度作成した回折格子パターンをデータとして保存しておき、このデータに基づいて再度回折格子記録媒体の作成作業を行えば、ほぼ同じ記録媒体を得ることができ、ほぼ完全な再現性が得られることになる。また、光学的な撮影を行う必要がないため、鮮明な画像が得られる。
しかしながら、これらの再生された「カラー画像」を目視で確認するだけでは、「カラー画像」としての見え方が酷似している偽造品と明確に区別することは容易ではない。また、種々の手段を用いて、回折格子記録面を拡大し、回折格子線の形状を確認したとしても、その真正性を断定し難いという欠点を有していた。
このような課題に対して、目視手段による判別が極めて困難な「隠し情報」を含む回折格子線により構成された真贋識別構造及びその作製方法が提供されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2で開示されている技術は、回折格子で構成されたデザインの中に、第一の「隠し情報」を有し、その第一の「隠し情報」の中にさらに文字・記号又はこれらの組み合わせによる第ニの「隠し情報」を凹凸によって形成するものである。この第ニの「隠し情報」のサイズは、0.5μm〜50μmであり、簡易な顕微鏡を用いても判読が困難である。
また、例え第ニの「隠し情報」として形成されている凹凸の情報を精密な顕微鏡で判読したとしても、その情報は無秩序(ランダムな)情報であり、且つ、そのサイズも無秩序に形成されているため、偽造を試みる場合は、回折格子デザインの全ての部分の情報及びサイズを判読し尽くして再現しなければ真正なものを作ることは不可能であるため、高い偽造防止効果を有する。
特開平8−021909号公報 特開2007−292899号公報
特許文献2に開示されている技術は、その無秩序性によって偽造防止効果を高めたものであるが、「無秩序」であることと、凹凸の「周期性」により透過光若しくは反射光の干渉を発生させて光を「強く」回折させるという「回折の原理・原則」とは、相反し、この技術により作成された回折格子またはホログラム全体を目視にて観察した場合、その回折画像やホログラム画像の明るさや色合いに大きなバラツキ・ムラが発生していた。
また、この「隠し情報」を読み出す際には、高倍率・高精度な顕微鏡を準備する必要があり手間がかかるという課題があった。
前記課題を解決するために、
本発明の回折格子記録媒体の第1の態様は、
多数の画素から構成される「カラー画像」を、
P通りの色成分のそれぞれについてQ通りの画素値のうちのいずれかが定義された多数の画素の集合として表現し、
所定の画素値に対応した面積をもった回折格子占有領域内に、所定の色成分の波長に対応したピッチで一定方向に前記回折格子線を配置することにより回折格子を形成し、この回折格子を所定の画素領域内に配置してなる画素パターンが、P通りの色成分およびQ通りの画素値について(P×Q)通り存在し、
前記「カラー画像」を構成する個々の画素に1対1に対応させて、記録媒体上にそれぞれ定義された画素領域を形成し、
前記「カラー画像」を構成する各画素について、P通りの色成分のうちのいずれか1成分のみが選択して、
前記各画素領域に、この画素領域に対応する画素について選択された色成分およびその画素値に基づいて、前記(P×Q)通りの画素パターンのうちのいずれか1つが割り当てられ、各画素領域に割り当てられた画素パターンに応じた回折格子が、記録媒体上に形成されている回折格子記録媒体において、
前記カラー画像の全領域について、選択された色成分の分布が均一になるように、各画素についての色成分の選択を行うようにし、前記画素領域の少なくとも一部に、300μm以下の「所定情報」を表わす画素パターンを含み、
その「所定情報」に割り当てられた画素パターンが、前記画素パターンと異なるとともに、その画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも一部が、「隠し情報」を表示する一列の凹凸構造からなるものである。
「所定情報」のサイズは、300μm以下であって10μm以上、特に200μm以下であって50μm以上が望ましい。300μmを越えると、目視にて判読できてしまう。
10μm以下だと、簡易な拡大鏡(ルーペ等、5倍〜10倍のもの。)では判読できなくなる。「所定情報」を挿入する位置としては、帯状横方向、縦方向、斜め方向、もしくは離散的な位置に挿入することができる。そのサイズも離散的なものとすることもできる。
画素パターンの要素は、回折格子線ピッチ、回折格子線角度及び回折格子線密度(画素領域の大きさを意味する。)からなるが、「所定情報」をあらわす画素パターンでは、少なくともこの要素の1つを、前記「カラー画像」を表わす画素と異ならせることで、「カラー画像」への影響を抑えつつ、該当部分を拡大した際、この「所定情報」を容易に認識することができるものとした。さらには、全くランダムな画素パターンを充当することもできる。
「カラー画像」の個々の画素パターンは、「カラー画像」に対応してその要素を決定されるが、隠し文字等である「所定情報」に割り当てる画素パターンについては、回折格子線ピッチ、回折格子線角度及び回折格子線密を大きく変更したものであってもよいが、「カラー画像」に溶け込ませるという意味では、回折格子ピッチでは、5%〜100%、望ましくは、10%〜50%程度、回折格子角度でもその角度より、3度〜70度、望ましくは5度〜45度程度、又は、回折格子密度では、画素領域マトリックスの大きさで表わすと、5%〜100%、望ましくは、10%〜50%程度、異ならせることが望ましい。
もちろん、これら要素の二つ以上を異ならせてもよい。これにより、「カラー画像」への影響を小さいものとし、且つ、この部分を拡大した際に、明確に「所定情報」を認識することができるものとすることができる。
この「所定情報」は、任意でよく、ランダムなものであっても(ランダム数字発生器により発生したランダム数字など)、同一文字・記号・図柄の繰り返しとしてもよく、目視では確認困難な情報として組み込む情報であるため、セキュリティ用途として採用された上記カラーホログラム画像としての各種絵柄に関連する情報や、このカラーホログラム画像が転写もしくは貼付されるセキュリティ対象物に関連する情報もしくは、関連する商品や、その商品を提供する会社の名称、マーク等、本発明の回折格子またはホログラムの真正性を証明できる情報を盛り込むこともできる。
本発明においては、さらに、この「所定情報」を表わす画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも一部に、さらなる「隠し情報」として、別途設定した、所定の文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報を表示する「一列の凹凸構造」を含むものである。 この「一列の凹凸構造」は、「所定情報」と異なる所定の文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報(「隠し情報」)を個々表示する凹凸構造からなり、この凹凸構造が示す情報の並びが「隠し情報」となる。
「隠し情報」も、別途設定はするものの、「所定情報」と同様に、任意でよく、ランダムなものであっても(ランダム数字発生器により発生したランダム数字など)、同一文字・記号・図柄の繰り返しとしてもよく、目視では確認困難な情報として組み込む情報であるため、セキュリティ用途として採用された上記カラーホログラム画像としての各種絵柄に関連する情報や、このカラーホログラム画像が転写もしくは貼付されるセキュリティ対象物に関連する情報もしくは、関連する商品や、その商品を提供する会社の名称、マーク等、本発明の回折格子またはホログラムの真正性を証明できる情報を盛り込むこともできる。もちろん、敢て、「所定情報」と「隠し情報」を同一の情報とする選択肢もある。
「所定情報」を表わす画素パターンは、基本構造として、回折格子線が平行に複数並んでおり、この複数の線群の並びに垂直な方向での断面をみると、周期性を有する「回折格子線群のレリーフ形状」を観察できる。このレリーフ形状は、「完全な周期性」(曲線が、その一周期分を、全く同一形状で繰り返して形成されている。)を有する。
すなわち、回折格子線群の中の一本の回折格子線に垂直な方向での断面は、その回折格子線のところが、例えば一つの凸で構成され、それに続く回折格子線間の溝の部分が、一つの凹で構成されている形状となる(この一つずつの凹凸が一周期となる。)。この凹凸形状(一周期分)が、並んでいる他の回折格子線の垂直方向の断面と全て同一となっていることを意味する。
これら「所定情報」を表わす画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも1本の回折格子線の一部に、「隠し情報」として、その「回折格子線」に沿って、例えば“A●B●C“という文字が表示されている。すなわち、「”A“、”B“、”C“文字や、記号”●“」形状の”出っ張り“や”凹み“で形成されている。
もしくは、その「回折格子線」に沿って、例えば“H“という文字が、活版印刷における「”H“文字の凸版」のように、凹凸形状で形成されている。すなわち、「回折格子線」の例えば凸部に沿って「HHHHHHH」と形成されている。
もちろん、隠し情報は上記例に限るものでなく、文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報とすることができる。
凹凸形状は、一例として、可視光波長程度の大きさ、すなわち、0.4μm〜0.8μmの大きさで一つの「隠し情報」を表わすが、さらに凹凸形状を複雑なものとすることができ、0.01μm以下のサイズで形成した浅く微細な凹凸変化や、凹部から凸部へ変化していく曲線をも「隠し情報」として取り入れることができる。このため、これらの複雑な変化をも真正性判定の要素(正規な情報)とでき、「偽造」することをさらに困難とできる。凹凸形状の高さ、すなわちレリーフ形状深さの最大値は、回折光強度の設計や、上記した形成方法さらには形成材料の屈折率等により決定されるが、0.8μm以下、望ましくは、0.20μm〜0.50μmが好適である。
上記例の場合、「隠し情報」を形成した回折格子線が、それが0.5μm幅、高さ0.2μmの凸状の帯(細長い直方体状)とすると、その途中に、上記した「HHHHHHH」の凸状の(出っ張った)文字が突然現れ、その後再び凸状の帯に戻ることになる。
このような文字、記号、図柄の何れか、または、これらの組み合わせ情報が、一本の回折格子線の一箇所にあっても良いし、複数箇所にあっても良い。また、複数の回折格子線に形成されていても良い。隣接して形成する場合は、凹凸形状を高精度に位置あわせすることが望ましい。(散乱光を発生して目立つことを防止するため。)
但し、この部分の部分的回折光(例えば、隠し情報部分の回折光)が、他の部分の部分的回折光(例えば、隠し文字部分と同サイズの回折格子部分の回折光)とが遜色ないものとするため、その隠し情報の凹凸形状を配慮する必要がある。
すなわち、「隠し情報」の情報表示部(情報画線部)を非常に細い凹部で表現して、一本の回折格子線上の一部に僅かな凹みを作るのみ(白抜き文字状であって、その情報画線部とその他の部分の面積比が1/10以下である等。)としたり、一本の回折格子線の情報画線部と非画線部の比を隠し情報のない部分と同一とするなど、さらには、「隠し情報」の長さを上記影響を抑えられる程度に短くすることも好適である。
もちろん、一つの画素だけでなく、複数の画素に「隠し情報」を含めてもよい。いずれにしても、「所定情報」の中に「隠し情報」を含ませているため、その場所を特定することが容易となっている。
凹凸形状が複雑になると、その回折光の強度、角度や色調を想定する(設計する)ことが困難となるため、その場合には、回折光シミュレーション等の手法を用いることで所望の再生画像を設計することができる。
但し、以下に述べるカラー画像を形成する際には、前記「画素」の回折光分布(波長・角度依存性や強度分布等)がその出来上がり品質に大きく影響するため、実際に回折光を測定しその強度分布、色調分布等を初期条件として前記画像データに反映する。特に、階調を表現するため、各々の「画素」の中の回折格子線の長さ、本数までをも変化させるため、各々の回折光分布の測定をして設計にフィードバックすることも好適である。
「隠し情報」の大きさ、形状、その他の情報もコンピュータ上では画像データとして用意されることになる。これらの画像データを基に、電子線描画データを作成するが、 凹凸の形状は、所定情報を表わす凸部と平坦な凹部、所定情報を表わす凸部と点対称となる凹部、もしくはその逆の組み合わせ、さらには、3階層以上の階層を持つ階段構造等、所定情報を読み出せる構造であれば、あらゆる構造を採用することができる。
この凹凸部を形成するため、種々の方法が用いられる。特に電子線リソグラフィーやX線リソグラフィーを用いることにより、高解像度であって、且つ、形成面全体の凹凸形状の安定性(回折格子やホログラムの全面に渡ってその所定の凹凸形状が各々同一の形状であること。凹凸形状再現性、すなわち歪みの無い周期性、歪みの無い画像再現性を実現することに寄与する。)、及び、回折格子線の平行度(10mmで0.01μm以内)、間隔精度(10mm内で、各線のズレが0.05μm以内)に優れるレリーフを得ることができる。
この「隠し情報」を含めた状態で、「所定情報」に割り当てられた画素パターンの各々の回折格子パターンデータ(「実施するための最良の形態」にてその詳細を説明する。)と、「カラー画像」の回折格子パターンデータをパターン合成部(同上)において、合成し、最終的な回折格子パターンデータを出力する。この回折格子パターンデータを用いて、電子線リソグラフィー等を用いて回折格子原盤を得る。
次に、この回折格子原盤を用いて、シート状の回折格子記録媒体を作成する方法を述べる。
尚、電子線リソグラフィーに使用される電子線レジスト用化合物には、ポジ型として、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィンスルフォン等、ネガ型電子線レジストとして、不飽和系高分子、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が用いられるが、カリックスアレーン系レジストは特に高解像度である。また、電子線描画装置としては、加速電圧が高い(50kV以上)ものが好ましく、電子ビーム系をnmオーダーまで絞ることができる装置がより好ましい。
X線レジスト用化合物としては、ポリメチルメタクリレート等が用いられる。
回折強度を大きく維持するため、上記凹凸形状が回折格子線に沿った方向にもあまり変化しないよう配慮することはさらに望ましい。この回折格子原盤を用いて、レリーフ回折格子またはホログラムの各種製造方法を採用することにより、高度な偽造防止性を有し、且つ、意匠性に優れる回折格子記録媒体のシートや、ラベル、転写箔を製造し、セキュリティー性を付与すべき各種媒体へ形成して、各種媒体の真正性を証明することができる。 以上の手法は回折格子画像がより高度なものとなっても同様に適用できる
透明基材としては、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、回折格子記録媒体のシート、ラベル、及び転写シートを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものを使用する。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材の厚さは、同様の配慮から、5〜50μm、特に5〜15μmとすることが望ましい。転写シートを形成する際、透明基材1に、通常用いられる酢酸セルロース樹脂やメタクリル樹脂等からなる剥離層を設けても良い。
回折格子やそのホログラムを再生する回折格子記録原盤の凹凸形状を複製する層(以下ホログラム形成層という。)を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。微細な凹凸を精密に複製するためには、この粘度を0.001〜0.1パスカル秒とすると好適である。この精密性は、真正性判定において重要であり、原盤の形状を欠陥なく忠実に再現できること、さらには、複製後の収縮・膨張を小さくすることが可能となる電離放射線硬化方法が望ましい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合に、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化反応や熱変化による変形の少ない回折格子またはホログラムの微細凹凸を形成することができる。この方法によれば、0.01μm程度の微細な凹凸変化も精密に複製することができる。
さらに、微細な形状を精密に再現する方法として、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、低温・高圧下で複製を行うことも好適である。
この場合、複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とすることが好適である。
さらに、ホログラム形成層の複製面に、一部または全面に反射性薄膜層を形成する。この薄膜は、入射した光を反射する必要があるため、ホログラム形成層よりも高い屈折率を有する薄膜であれば、特に限定されない。
反射性薄膜としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を部分的に設けたり、透明反射層を設けた場合は、その反射層に接して設けたセキュリティ対象物をこの透明反射層を通して確認できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム形成層よりも光屈折率の高い薄膜、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなどが例示できる。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出てきて透明反射層として使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム形成層の複製面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。微細な凹凸を忠実に覆うには、特にCVDが好適である。但し、ホログラム形成層の複製面に接している面からの反射光だけでなく、反対面での反射光で同様の再生画像を得るためには、薄膜の凹凸をホログラム形成層の複製面と同様の形状(追従する形)にする必要があり、上記薄膜の厚さを10nm程度とする。
回折格子記録媒体は、転写形態で使用する場合は、上記反射層の上に、感熱接着剤層を形成して転写用フィルムと成し、熱せられた金属の型等によって、接着剤層を含めた極めて薄い樹脂層をセキュリティ対象物上に転写して使用する。
回折格子記録媒体をラベル形態で使用する場合は、上記反射層の上に粘着剤層を形成し、粘着剤面を剥離紙で被覆して、基材フィルムを剥離紙と一緒に所定の大きさに打ち抜いてラベルとし、剥離紙を剥がしてセキュリティ対象物に貼付して使用する。
もちろん、本発明の回折格子記録媒体が、その意匠性や、偽造防止性だけでなく、セキュリティ対象物の唯一の真正性証明手段ということであれば、セキュリティ対象物から容易に剥離可能であってはならず、セキュリティ対象物を成形加工する際に本発明の回折格子記録媒体を一体成形として埋め込んだり、本発明の回折格子記録媒体を剥離しようとした時、セキュリティ対象物もしくは、本発明の回折格子記録媒体そのものが破壊される等、セキュリティ対象物と一体不可分としてさらに偽造防止性を高めることも望ましい。
例えば、1mm板ガラス2枚の間に、50μmのガラス接着シートを介して本回折格子記録媒体のシートを配し、100℃、3kg/cm2の圧力で接着、固定することができる。また、アクリル樹脂を、120℃で2色成型(2種の樹脂を同時成形し、2層からなる成型品を作る方法。)するときに、その間にホログラムシートを挿入し、樹脂成型品の内部へ埋め込むことも好適である。さらに、証明カードの塩化ビニル製100μmオーバーシートの下に挟み込み、通常のカード加工によりカード内に留めることも好適である。
これらは、素材が透明であるので外部から光学的に所定情報を読み出すことができる。
セキュリティ対象物に設けた回折格子記録媒体を目視で観察すると、鮮やかなカラーホログラム画像を観察することができ、且つ、「所定情報」に該当する部分を拡大鏡等の容易に手に入る拡大機器を用いて5倍〜10程度に拡大するだけで、容易にその「所定情報」を読み取ることができる。
「隠し情報」は、拡大鏡や簡易顕微鏡では判別できないため、真正性を確認するためには倍率の高い精密顕微鏡を用いてその情報を読み出し、「正規な情報」(所定情報を実際に物理的形状として形成した時の、真正であると判定するための情報。所定情報そのものだけでなく、形状等の情報を含めても良い。また、所定情報でなく、その形状を測定したデータ等や、部分的に変形した情報等を用いても良い。)か否かを判定する必要がある。
判定者は、判定を行う時には、「正規な情報」に関する正確な知識を有する必要があるが、上記したようにカラーホログラム画像としての各種絵柄やセキュリティ対象物等に関する情報(「所定情報」と同一等。)であれば、特段の照会等を必要とせず、判定者へ「関連情報が隠し文字として入っている。」程度の申し送りを事前にしておくことで、簡易に真正と類推することができる。もしくは、隠し文字の特徴の一部のみを申し送りして置く方法も使用できる。
もちろん、「真正性を鑑定する場合」(偽造品が真正品かの判定を何らかの証拠に用いる場合等、信頼性の高い判定をする場合。)には、「正規な情報」として、例えば、文字、記号、図柄の情報だけでなく、そのサイズ、画線部の太さ、凹凸の高さ等、より多くの情報を設定し、その全てを確認する必要がある。
所定情報の「正規な情報」をデータで残す方法として、高解像度のレーザー顕微鏡による3次元形状情報を取得しておき、このデータと、鑑定のために測定した「真正性を確認するもの」のデータを照合し、「50%以上の一致」あるいは照合項目によっては「100%の一致」等の「ある程度の一致」をもって「真正」と判断する方法を使用することも好適である。
これらの「正規な情報」は、真正性を鑑定する鍵となる情報であるため、物理的もしくは電子的に、セキュリティレベルの高い場所(物理的もしくは電子的)に保存、保管することが望ましい。もちろん、DES(Data Encryption Standard。暗号化方式の規格)やAES(Advanced Encryption Standard。同左。)等による暗号化を施してもよい。その場合は、共通鍵方式や、さらに秘匿性の高い公開鍵方式等の種々の鍵管理方式を併用し、複数の鑑定者へ鍵情報を秘匿性を維持しつつ提供することも好適である。
単純な例では、所定の用紙に書いて、金庫等に保管してもよいし、電子データとして、アクセス制限(パスワード設定等)されたサーバーの所定のホルダに記録しておき、数人程度に限定した人のみが読み出しできるように、ホルダを読み出す際にも、パスワード入力を要求するシステムとしても良い。いずれにしても、正規な情報の秘匿性のレベルに対応し、且つ、可用性(使いやすさ)を考慮して管理方式を定めることが求められる。
また、「隠し情報」を「回折格子線」の途中で変更したり、回折格子線群のピッチ(周期)、角度が変わった時に変更することも偽造防止性を高めるために好適である。さらには、回折格子線群のピッチ、角度が同一のエリアにある「回折格子線」は、エリアとエリアの間のブランクに無関係に、「一続き」(ブランクがなく続いていると想定したときの並びを意味する)の所定情報を形成したものであってもよい。
こうすることで、全く同一のものを偽造しようとする者が、本発明の回折格子記録媒体の全ての「回折格子線」の全ての所定情報を解読しない限り、「同一のもの」を偽造することができない状況とすることができる。
もちろん、回折格子線群毎に、「隠し情報」を変更してもよいが、この場合は、「隠し情報」毎の回折効率を考慮した配置とする必要がある。
「隠し情報」や、その凹凸形状に関する情報は、実際の絵柄としての情報や、凹凸設計情報、さらには各リソグラフィー形成情報(電子線リソグラフィーでは、電子線描画プログラム等)により真正性証明情報として保有できる。もちろん、「回折格子線」のピッチ、角度等の情報も同様である。
凹凸構造形成方法としては、上記した電子線リソグラフィー、X線リソグラフィー等の高精度なパターンを形成することができるリソグラフィー法のみならず、金属薄膜形成法等の高精度な均一膜厚さを形成することができる各種薄膜形成方法とそのパターン化方法を組み合わせる方法等を用いることができる。この場合は、薄膜を形成する基盤の表面平滑精度を高くすることで、欠陥の少ない、形状精度nmレベルであり、且つ理想的な矩形を作り出すことができる。さらには、その物理的安定性から、複製時に加温・加圧が可能であり、樹脂等への複製精度を向上させることができる。
この「隠し情報」を偽造するためには、これまで述べた手順を実施しなければ実現することができないことから、高い偽造防止性を有し、真正性を照明する手段としても優れたものとすることができる。
また、本発明の回折格子記録媒体の第2の態様は、
前記一列の凹凸構造が矩形状すなわち一本の回折格子線断面が矩形状であって、その矩形の底面と上面に、前記所定情報を表示する前記凹凸構造の凹部底面と凸部上面が位置することを特徴とするものである。
凹凸形状を回折格子線の形状の中で最も回折効率が高くなる「矩形」を基本形状(ブレーズド形状を含む。ブレーズドとした場合は、所定情報が斜面に形成されることから、その判読をさらに困難にすることができる。)とすることで、高い回折効率を実現する。
また、リソグラフィーを用いて凹凸形状を作成する場合は、そのリソグラフィー用の感材を均一に塗布し、露光・現像により所定パターンを形成するため、感材をほぼ全て残す部分と、感材を全て除去する部分との2パターンとする方法が、最も再現性高く、安定した凹凸形成方法であるため、「矩形」とすることで、高い再現性・安定性を得ることができる。この凹凸形成には、感光材料として有機材料のみならず、シリコン基板そのものや金属薄膜等の無機材料をエッチングする等により使用することもできる。金属薄膜の厚さ精度は、有機材料のそれよりも遥かに高く、安定性に優れた凹凸形状を得ることができる。
本発明の回折格子記録媒体の第1の態様によれば、
多数の画素から構成される「カラー画像」が、
P通りの色成分のそれぞれについてQ通りの画素値のうちのいずれかが定義された多数の画素の集合として表現され、
所定の画素値に対応した面積をもった回折格子占有領域内に、所定の色成分の波長に対応したピッチで一定方向に前記回折格子線を配置することにより回折格子を形成し、この回折格子を所定の画素領域内に配置してなる画素パターンが、P通りの色成分およびQ通りの画素値について(P×Q)通り存在し、
前記「カラー画像」を構成する個々の画素に1対1に対応させて、記録媒体上にそれぞれ定義された画素領域を形成し、
前記「カラー画像」を構成する各画素について、P通りの色成分のうちのいずれか1成分のみが選択されていて、
前記各画素領域に、この画素領域に対応する画素について選択された色成分およびその画素値に基づいて、前記(P×Q)通りの画素パターンのうちのいずれか1つが割り当てられ、各画素領域に割り当てられた画素パターンに応じた回折格子が、記録媒体上に形成されている回折格子記録媒体において、
前記カラー画像の全領域について、選択された色成分の分布が均一になるように、各画素についての色成分の選択を行うようにし、前記画素領域の少なくとも一部に、300μm以下の「所定情報」を表わす画素パターンを含み、その「所定情報」に割り当てられた画素パターンが、前記画素パターンと異なるとともに、その画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも一部が、「隠し情報」を表示する一列の凹凸構造からなることを特徴とする回折格子記録媒体を提供することができる。
また、本発明の回折格子記録媒体の第2の態様によれば、
前記一列の凹凸構造が矩形状すなわち一本の回折格子線断面が矩形状であって、その矩形の底面と上面に、前記所定情報を表示する前記凹凸構造の凹部底面と凸部上面が位置することを特徴とする回折格子記録媒体を提供することができる。
以下、本発明を図示するいくつかの実施例に基づいて説明する。
(モノクロ画像を記録した回折格子記録媒体)
まずモノクロ画像を記録した回折格子記録媒体を簡単に説明する。
この回折格子記録媒体は、複数の画素の集合によって構成されるモノクロ画像を、媒体上に回折格子として表現したものである。ここでは、図1(a) に示すような比較的単純なモノクロ画像(英文字の「A」を示す)を回折格子記録媒体上に表現する方法について説明する。なお、以下の回折格子記録媒体の作成方法は、コンピュータを用いて実施することを前提としたものであり、これから説明する各処理は、いずれもコンピュータを用いて実行される。
まず、図1(a) に示すモノクロ画像に対応する画像データとして、図1(b) に示すようなモノクロ画像の画素情報を用意する。ここに示す例では、7行7列に画素が配列されており、各画素は「0」または「1」のいずれかの画素値をもっており、いわゆる二値画像を示す情報となる。このような情報は、いわゆる「ラスター画像データ」と呼ばれている一般的な画像データであり、通常の作画装置によって作成することができる。あるいは、紙面上に描かれたデザイン画をスキャナ装置によって取り込むことにより、このようなモノクロ画像画素情報を用意してもかまわない。
続いて、図2に示すように、所定線幅dの回折格子線を所定ピッチpおよび所定角度θで所定の格子占有領域V内に配置した画素パターンを定義する。ここで、格子占有領域Vは1つの画素を構成する領域であり、実際には非常に微小な要素になる。別言すれば、図1(a) ,(b) に示した7×7の配列における1つ1つの画素に相当した大きさのものになる。この例では、格子占有領域Vとして、縦×横が50μm×45μmの大きさの長方形を用いているが、もちろん、正方形(たとえば、50μm×50μm)や円などの他の形状のものを用いてもよい。
この格子占有領域V内に配置される回折格子線Lの線幅dおよびピッチpも光の波長に準じた微小な寸法をもったものであり、この実施例では、線幅d=0.6μm、ピッチp=1.2μmである。要するに、回折格子線Lは回折格子としての機能を果たす線幅dおよびピッチpで配置されている必要がある。回折格子線Lの配置角度θは、所定の基準軸に対して設定された角度である。本明細書では、図示するような方向にX軸およびY軸をとったXY座標系を定義し、X軸を基準軸として回折格子線Lの配置角度θを表わすことにする。このような画素パターンも、コンピュータ上では画像データとして用意されることになる。なお、この画素パターンの画像データは、「ラスター画像データ」として用意してもよいし(この場合は、モノクロ画像を構成する1つ1つの画素が、更に微小な画素によって表現されることになる)、あるいは、回折格子線Lを構成する四角形の4頂点の座標値を指定することにより回折格子線Lの輪郭線を定義した「ベクトル画像データ」として用意してもよい。
次に、図1(b) に示すようなモノクロ画像の画素情報における各画素値に基づいて、図2に示すような画素パターンを所定の画素に対応づけ、各画素位置に、対応する画素パターンを配置する処理を行う。具体的には、図1(b) に示すモノクロ画像画素情報において、画素値が「1」である画素のそれぞれに図2の画素パターンを対応づける。画素値が「0」である画素には、画素パターンは対応づけられない。こうして対応づけられた画素位置に、それぞれ画素パターンを配置してゆく。いわば、図1(b) に示す配列を壁にたとえれば、この壁の中の「1」と描かれた各領域に、図2に示すようなタイルを1枚ずつ貼る作業を行うことになる。この結果、図3に示すような画像パターンが得られる。この画像パターンが最終的に回折格子記録媒体に記録されるパターンである。図1(a) に示すモノクロ画像がそのまま表現されているが、1つ1つの画素は回折格子で構成されており、回折格子としての視覚的な効果が得られることになる。
もっとも、図2に示すような画素パターンを「タイル」として貼り付ける処理は、コンピュータ内での画像処理として行われる。この処理は、たとえば、図4に示すように、モノクロ画像全体に対応する画像の右下位置に座標原点Oをとった場合、貼り付けるべき画素位置に基づいたオフセット量a,bを演算により求め、画像データとしての貼り込み処理を行えばよい。このような演算処理の結果、図3に示すようなパターンを示す画像データが得られるので、この画像データに基づいて、図3に示すようなパターンをフィルムなどの上に物理的に出力すれば、所望の回折格子記録媒体が作成できることになる。実際には、コンピュータで作成した画像データを電子ビーム描画装置に与え、電子ビームにより図3に示すようなパターンを原版上に描画し、この原版を用いてプレスの手法で回折格子記録媒体(いわゆる「ホログラムシール」)を大量生産することも可能である。
( 画素パターンの種類)
以上、モノクロ画像を構成する各画素に、回折格子が形成された画素パターンを割り付けることにより、回折格子記録媒体を作成する手法を説明した。本発明では、モノクロ画像ではなく「カラー画像」を回折格子記録媒体に記録しなければならない。そのためには、複数種類の画素パターンを用意しておき、これらを選択的に割り付ける手法を採る。そこで、まず、画素パターンとして、どのような種類があるかを考えてみる。図2に示す画素パターンは、所定の角度θにより、所定の線幅dをもった回折格子線Lを、所定のピッチpで、所定の格子占有領域V内に配置したものである。ここで、配置角度θ、線幅d、ピッチp、格子占有領域V、といった各パラメータを変えると、それぞれ異なる画素パターンが得られる。
たとえば、回折格子線の配置角度θを変えると、図5に示すような種々の画素パターンP1〜P5が得られる。この5種類の画素パターンP1〜P5では、配置角度が、θ=0°,30°,60°,90°,120°と5通りに異なっている(実際の回折格子線は所定の幅をもったものであるが、図示の便宜上、以下の図では回折格子線を単なる線で示すことにする)。この5種類の画素パターンP1〜P5では、回折光が観測される方向が異なる。すなわち、回折光は、基本的には、回折格子線の配置方向に対して直角な方向に得られるので、仮に、このような5種類の画素パターンP1〜P5を同一の媒体上に形成したとすると、この媒体を肉眼で観測するときの視線の角度によって、観測される画素パターンが異なることになる。たとえば、ある角度では、画素パターンP1が観測され、別な角度では、画素パターンP2が観測されることになる。もっとも、実際には散乱光も観測されるため、特定の視線角度で特定の画素パターンが完全に観測されなくなることはない。
それでは、回折格子線のピッチpを変えるとどうであろう。たとえば、図6に示すように、ピッチが、p=0.8μm,0.9μm,1.0μm,1.1μm,1.2μmと5通りに異なった5種類の画素パターンP6〜P10を用意してみる。いずれも回折格子線の配置角度θ=0と共通である。これらの画素パターンがどのように観測されるかを検討するために、図7の側面図を参照してみる。
ここでは、回折格子記録媒体10上に、画素パターンP6〜P10のいずれかが記録されているものとし、この回折格子記録媒体10の垂直上方から白色光を当てながら、この白色光の照射方向に対して角度φだけ傾いた方向から観測を行うものとする。このような回折現象については、
p・sinφ = n・λ
なるブラッグの式が知られている。ここで、pは回折格子のピッチ、φは回折角、λはこの回折角φの方向に得られる回折光の波長、nは回折光の次数である。したがって、観測方向を固定し(φが一定)、1次の回折光(n=1)だけを考慮することにすれば、この固定された観測方向において観測される回折光の波長λは、回折格子のピッチpに基づいて一義的に定まることになる。
ここでは、より具体的な数値で考えてみる。たとえば、図7において、φ=30°となるような観測方向から観測する場合を考える。すると、sinφ=1/2となるので、1次回折光についてのn=1の場合に、上述の式は、
p・(1/2) = λ
となる。すなわち、この観測方向においては、回折格子ピッチpの(1/2)の波長をもった1次回折光が観測されることになる。これを図6に示す画素パターンP6〜P10に当てはめてみると、結局、画素パターンP6〜P10からは、それぞれ400nm,450nm,500nm,550nm,600nmの回折光が観測されることになる。 続いて、格子占有領域Vを変えた場合を考えてみる。たとえば、図8に示すように、格子占有領域Vの面積が異なる5種類の画素パターンP11〜P15を用意してみる。
いずれも外枠は、この画素パターンを割り付ける対象となる画素領域を示している。画素パターンP11では、格子占有領域Vの面積が0に設定されているため、この画素パターンを画素領域に割り付けても、回折格子は全く形成されないことになる。これに対して、画素パターンP15では、格子占有領域Vの面積は外枠の画素領域の面積と等しく設定されているため、この画素パターンを画素領域に割り付ければ、画素領域全域に回折格子が形成されることになる(これまで述べてきた例では、いずれもこのように画素領域と格子占有領域Vとを一致させることが前提であった)。画素パターンV12〜V14は、これらの中間段階に対応するものである。
この5種類の画素パターンP11〜P15では、回折格子線の配置角度θおよびピッチpは共通であり、回折格子が形成されている領域(格子占有領域V)の面積が異なっているだけである。このような面積の相違は、輝度の相違として観測されることは容易に理解できよう。各画素パターンから得られる回折光の総量は、回折格子が形成されている領域の面積に比例するため、より広い領域に回折格子が形成されている画素パターンほど、その画素パターンから得られる回折光の量は多くなり、輝度が高くなるのである。この他、回折格子線の線幅dを変えることにより、複数種類の画素パターンを用意してもよい。
(「カラー画像」形成の基本原理)
いま、多数の画素から構成される一般的な「カラー画像」(ラスター画像)を考える。この「カラー画像」を構成する個々の画素は、所定の色成分ごとに所定の画素値をもっている。本発明の基本原理は、個々の画素の色成分を、回折格子の回折格子線の配置ピッチにより表現し、個々の画素の画素値成分を、回折格子が形成されている格子占有領域の面積により表現することにある。
この原理をより具体的な例で説明しよう。一般的な「カラー画像」は、三原色の色成分ごとに画素値をもった画素の集合として定義される。以下、R,G,Bという三原色の各色成分ごとに、8ビットの画素値(0〜255)をもたせた画素によって、「カラー画像」が定義されている典型的な例について考える。既に述べたように、図6において、画素パターンP10は波長600μm、画素パターンP8は波長500nm、画素パターンP6は波長400nmの回折光を特定の観測方向(図7における回折角φ=30°の観測方向)に提示する。これらの波長は、R,G,Bなる三原色の各波長にほぼ一致する。したがって、このような観測方向における1次回折光の観測を意図している限りにおいては、Rなる色成分についてはピッチ1.2μmの画素パターンにより表現することができ、Gなる色成分についてはピッチ1.0μmの画素パターンにより表現することができ、Bなる色成分についてはピッチ0.8μmの画素パターンにより表現することができる。
一方、8ビットの画素値(0〜255)は、図8に示すように、格子占有領域Vの面積が異なる複数の画素パターンによって表現することができる。すなわち、図8に示す5種類の画素パターンP11〜P15において、外枠となる画素領域に対する格子占有領域Vの面積比を、それぞれ、(0/255),(64/255),(128/255),(192/255),(255/255)と設定しておけば、これらの画素パターンは、それぞれ画素値0,64,128,192,255に対応することになる。実際には、図8に示す5通りの画素パターンではなく、0〜255に対応した256通りの画素パターンを用意すればよい。もっとも、面積比の異なる何通りの画素パターンを用意すべきかは、表現すべき「カラー画像」の各色成分ごとの階調値の数に応じて適宜設定すればよい。8ビットの階調であれば、この例のように256通り(28通り)を用意する必要があるが、4ビットの階調でよければ、16通り(24通り)を用意するだけですむ。
結局、R,G,Bという三原色の各色成分ごとに、8ビットの画素値(0〜255)をもたせた画素によって「カラー画像」を表現するためには、3×256=768通りの画素パターンを用意しておけばよいことになる。図9は、このようにして用意した画素パターンのイメージを示す図である(便宜上、0〜255の256通りの画素値のうちの5通りの画素値についての画素パターンを代表として示してある)。原色R用の画素パターンR0〜R255には、いずれもピッチp=1.2μmで回折格子が形成されており、原色G用の画素パターンG0〜G255には、いずれもピッチp=1.0μmで回折格子が形成されており、原色B用の画素パターンB0〜B255には、いずれもピッチp=0.8μmで回折格子が形成されている。また、各原色用の256通りの画素パターンは、格子占有領域の画素領域に対する面積比がそれぞれ(0/255)〜(255/255)となっている。
このように768通りの画素パターンを用意しておけば、RGBの三原色のうちの任意の色成分についての任意の画素値に対応した画素パターンを提供することができる。なお、この768通りの画素パターンは、いずれも回折格子線配置角度θは同一(この例では、θ=0°)となっている。これは、特定の観測方向から観測した場合に、この768通りの画素パターンのいずれについても回折光が得られる必要があるためである。もっとも、実際には回折格子線配置角度θが多少異なっても、同一の観測方向から回折光が観測できるので、このように同一の観測方向から回折光が観測できるという条件の範囲内で、回折格子線配置角度は多少異なっていてもかまわない。
なお、図9に示す例では、いずれも各格子占領領域の左上隅を、各画素領域の左上隅に揃えて配置しているが、必ずしもこの位置に揃えて配置する必要はなく、右下隅位置を揃えたり、中央に配置したり、自由に配置を設定することができる。
三原色からなる「カラー画像」を表示する場合、画像全体に三原色の分布が均一になっていないと自然な表示を行うことができない。そこで本実施例では、図10に示すような画素領域マトリックスを定義し、このマトリックスに従って、各原色用の画素パターンを配置するようにしている。いずれも3行3列からなる画素領域マトリックスであるが、図10(a) に示す画素領域マトリックスでは、1行目に、RGBなる三原色が順番に配置され、2行目以後は、前の行の配置を右方向にずらしている。これに対し、図10(b) に示す画素領域マトリックスでは、2行目以降は、前の行の配置を左方向にずらしている。いずれの画素領域マトリックスを用いても、均一な三原色分布が得られる。
このように画素領域マトリックスを定義したら、この画素領域マトリックスを縦横に多数配列することにより多数の画素領域を形成する。そして、個々の画素領域内に、この画素領域マトリックスに示されている原色用の画素パターンを配置するようにする。こうすれば、画像全体において、均一な三原色分布が得られることになる。図11は、単一の画素領域マトリックスに対して、それぞれ画素パターンを配置した例である。各画素領域には、種々の画素パターンが配置されているが、図10(a) に示す画素領域マトリックスの色配列に従った配置がなされている。
画素領域マトリックスは、図10に示したものに限定されるものではなく、少なくとも用いる色の数(この例の場合は3)に対応した数の画素領域をもったマトリックスであれば、どのようなマトリックスを用意してもかまわない。ただし、各色に強弱の差ができないように、単位画素領域マトリックス内における各色の数を等しくするのが好ましく、単位画素領域マトリックス内において、各色が均一に分布しているようなマトリックスにするのが好ましい。図10に示す例では、9つの画素領域内にRGBのいずれの色も3個ずつ配置されており、かつ、均一に分布している。
(本発明による回折格子記録媒体を作成する方法)
これまでの説明により、本発明の基本原理は理解できたであろう。そこで、本発明により「カラー画像」を記録した回折格子記録媒体を作成する具体的な方法についての説明を以下に行うことにする。
はじめに、「カラー画像」をラスターデータの形式で用意する。ここでは、図12に示すように、6行6列に配列された36個の画素からなる「カラー画像」を例にとって説明する。実際には、より大きな画素配列をもった「カラー画像」を用いるのが一般的である。このような「カラー画像」は、グラフィックアプリケーションソフトウエアを用いてコンピュータにより発生させることもできるし、スキャナ装置などを用いて原画をデジタルデータとして入力することにより用意することもできる。
図12に示すように、この「カラー画像」を構成する36個の画素は、それぞれ、RGBの三原色についての画素値をもっている。たとえば、1行1列目の画素は、原色Rについての画素値R(1,1)と、原色Gについての画素値G(1,1)と、原色Bについての画素値B(1,1)と、を有し、一般に、i行j列目の画素は、原色Rについての画素値R(i,j)と、原色Gについての画素値G(i,j)と、原色Bについての画素値B(i,j)と、を有する。これらの画素値は、本実施例では、いずれも8ビットで表され、0〜255のいずれかの値をもっているものとする。
こうして用意した6行6列の画素に対応して、6行6列に配列された画素領域を用意する。そして、i行j列目の画素と、i行j列目の画素領域とを1対1に対応させ、各画素領域には、対応する画素のもつ画素値に基づいて選択された1つの画素パターンを割り付けるのである。ただし、1つの画素は、3つの色成分についてそれぞれ画素値をもっているので、各画素について、3つの色成分のうちの1つを選択する処理を行う。この処理において選択されなかった2つの色成分の画素値は、最終的に作成された回折格子記録媒体には反映されないことになる。別言すれば、3つの色成分の画素値情報のうち2つは間引きされることになる。
この色成分の選択(あるいは間引き)は、「カラー画像」の全領域について、選択された色成分の分布が均一になるように行う。図12に示す「カラー画像」に対して、このような選択(あるいは間引き)を行った一例を図13に示す。二本線で抹消された画素値が間引きされた色成分であり、残った画素値が選択された色成分である。
この図13に示す選択は、図10(a) に示す画素領域マトリックスに基づいて、行ったものである。すなわち、図10(a) に示す画素領域マトリックスを縦横に2つずつ配置して6行6列の配列を作り、図12に示す画素配列に対応づけ、各画素について、画素領域マトリックス内に示された色成分を選択して残すようにしたのである。その結果、図13において抹消されずに残った3つの色成分の分布は均一になっている。
このような選択処理(間引処理)を行えば、1つの画素は選択された色成分についての1つの画素値のみをもつことになる。そこで、この6行6列の画素に対応して用意した6行6列の画素領域のそれぞれに、対応する画素のもつ画素値に応じた画素パターンを割り付けるのである。たとえば、図13に示す選択処理(間引処理)の結果、図14に示すような6行6列の画素配列が得られるので、図15に示すような6行6列の画素領域配列を用意し、各画素領域内に、たとえば、図15に示されているような特定の画素パターンを割り付けるのである。
より具体的に説明すれば、図14における1行1列目の画素値R(1,1)=「64」の場合は、図9に示す768通りの画素パターンの中の画素パターンR64を選択し、この画素パターンR64を図15における1行1列目の画素領域に割り付けることになる。図15は、画素値R(1,1)=「64」、画素値G(1,2)=「192」、画素値B(1,3)=「128」、画素値R(1,4)=「0」、…、といった具体的な場合を例として示したものである。
こうして、図15に示す36個の画素領域のすべてに、それぞれ特定の画素パターンが割り付けられれば、これら個々の画素パターンを合成したパターンが、媒体に記録すべき回折格子パターンとなる。図15に示す各色成分ごとの画素パターンの割り付け態様は、図10(a) に示す画素領域マトリックスに従ったものになっており、各色成分についての画素パターンの分布が均一になっている。このような回折格子パターンを媒体上に形成し、前提となった所定の観測方向から観測すれば、もとの「カラー画像」が観測されることになる。
(参考例としての回折格子記録媒体を作成する方法)
上述した方法では、もとの「カラー画像」に用意された画素値のいくつかは間引きされ、最終的に作成された回折格子記録媒体には、もとの「カラー画像」の一部の情報しか反映されないことになり、画質が低下することになる。ここに参考例として示す方法では、もとの「カラー画像」がもっていたすべての情報を回折格子記録媒体上に反映し、画質の低下を防ぐことができる。
ここでは、上述の方法と同様に、図12に示すような6行6列の画素からなる「カラー画像」が用意されたものとして説明を行う。こうして用意した6行6列の画素に対応して、1つの画素に対して3行3列に配列された画素領域を用意する。図16は、こうして用意した画素配列を示しており、実線で示した6行6列の配列は、図12の画素配列に対応したものであり、破線で示した3行3列の配列は、1画素に対して対応づけられた9つの画素領域を示すものである。結局、図16において、36×9個の画素領域が定義されたことになる。
続いて、この図16に示す個々の画素領域に対して、図10(a) に示す画素領域マトリックスを適用して、図12に示す各画素の各色成分ごとの画素値を対応させる。図17は、このような対応づけを行った結果を示す部分拡大図である。たとえば、1行1列目の画素に対応する9つの画素領域には、原色Rについての画素値R(1,1)と、原色Gについての画素値G(1,1)と、原色Bについての画素値B(1,1)とが、画素領域マトリックスの色配置に基づいてそれぞれ対応づけられている。3つの原色成分についての画素値は、9つの画素領域のいずれかに対応づけられ、間引かれることはない。この後は、各画素領域に対応づけられた画素値に基づいて、特定の画素パターンを割り付ければよい。たとえば、画素値R(1,1)=「64」であれば、図17において、R(1,1)と記された3か所の画素領域には、画素パターンR64が割り付けられることになる。
この参考例として示す方法によって、前述の本発明に係る方法で作成した回折格子記録媒体と同じ寸法の記録媒体を作成しようとする場合には、本発明に係る方法で定義した画素領域の(1/9)の大きさの画素領域を定義する必要がある。このため、画素パターンも(1/9)の大きさのものを用意する必要があり、本発明に係る方法と比べて、より微細なパターン形成技術が必要になる。しかしながら、画素値の間引きは行われないため、高画質の「カラー画像」記録が可能になる。
(より好ましい回折格子記録媒体)
図18は、本発明に係る回折格子記録媒体のより好ましい一態様を示す図である。ここに示す回折格子記録媒体10には、絵柄領域11と、位置合わせマーク12と、観測角度指標領域13と、が形成されている。絵柄領域11には、これまで述べてきた方法により「カラー画像」が記録されており、回折格子記録媒体としての本来の機能を果たす領域である。位置合わせマーク12は、この回折格子記録媒体10を他の印刷物と貼り込み合成する場合の位置合わせに利用する指標(いわゆるトンボ)である。観測角度指標領域13は、この回折格子記録媒体10を観測する場合に、観測者に対して正しい観測角度を示すための指標である。
この実施例では、この観測角度指標領域13は、4つの領域MR,MG,MB,MWから構成されている。領域MRは、各色成分ごとの画素値がR=255,G=0,B=0に設定された多数の画素によって構成されており、領域MGは、各色成分ごとの画素値がR=0,G=255,B=0に設定された多数の画素によって構成されており、領域MBは、各色成分ごとの画素値がR=0,G=0,B=255に設定された多数の画素によって構成されており、領域MWは、各色成分ごとの画素値がR=255,G=255,B=255に設定された多数の画素によって構成されている。したがって、この回折格子記録媒体10を、前提となる正しい観測方向(上述の例の場合、図7においてφ=30°の方向)から観測した場合、領域MR,MG,MB,MWは、それぞれ赤,緑,青,白の色を提示する領域として観測されることになる。
結局、この回折格子記録媒体10の絵柄領域11に記録されている「カラー画像」を、作成者が意図している本来の正しい「カラー画像」として観測するには、領域MR,MG,MB,MWが、それぞれ赤,緑,青,白の色として見えるような観測方向から観測すればよいことになる。したがって、この回折格子記録媒体10を手にした観測者は、回折格子記録媒体10の角度を試行錯誤でいろいろ変化させながら、観測角度指標領域13が赤,緑,青,白の4領域に見えるような観測角度を探し、この観測角度から絵柄領域11に記録された「カラー画像」を観測すればよいことになる。もっとも、これは「カラー画像」を正しい色合いで鑑賞するための観測方法であり、このような特定の観測角度以外から観測した場合も、「カラー画像」の観測は可能であり(正しい色合いにはならないが)、偽造防止のためのセキュリティチェックを行う上で、必ずしも、このような特定の観測方向から観測する必要があるわけではない。
(複数の「カラー画像」を記録する実施例)
これまでの実施例は、いずれも単一の「カラー画像」を記録した回折格子記録媒体についてのものであった。ここでは、複数の「カラー画像」を1枚の回折格子記録媒体に重畳して記録するための手法について説明する。
上述した実施例では、図9に示すように、768通りの画素パターンを用意し、これらを適宜選択しながら各画素領域に割り付けていた。この768通りの画素パターンは、回折格子線の配置ピッチpや格子占有領域Vの面積がそれぞれ異なるが、回折格子線の配置角度θは一定で、この例の場合、すべての画素パターンについてθ=0°(図の水平方向)に設定されている。
複数の「カラー画像」を記録する場合には、各「カラー画像」ごとに、回折格子線の配置角度が異なった画素パターンを用意すればよい。たとえば、第1の「カラー画像」を記録するために、図9に示すような回折格子線配置角度θ=0°の768通りの画素パターンを用意し、第2の「カラー画像」を記録するために、回折格子線配置角度θ=45°の768通りの画素パターンを用意すれば、第1の「カラー画像」は配置角度θ=0°の回折格子を用いて記録され、第2の「カラー画像」は配置角度θ=45°の回折格子を用いて記録されることになる。したがって、同一の媒体上に第1の「カラー画像」と第2の「カラー画像」とが重畳して記録されていたとしても、第1の観測方向から観測すれば第1の「カラー画像」が観測され、第2の観測方向から観測すれば第2の「カラー画像」が観測されるようになる。
ところで、同一の媒体上に2つの「カラー画像」を重畳して記録するといっても、2つの回折格子自体が重なってしまっては、所期の回折現象を得ることができなくなる。少なくとも格子占有領域は空間的に重ならないように配置しなければならない。このような配置は、たとえば、図19に示すような配置方法を採れば実現できる。この図19に示す例では、3行3列に配列された各画素領域について、左上部分に第1の「カラー画像」のための格子占有領域(回折格子線配置角度θ=0°)が配置され、右下部分に第2の「カラー画像」のための格子占有領域(回折格子線配置角度θ=45°)が配置されている。
いわば、画素領域内の格子占有領域以外の空領域を有効利用した配置方法である。ただし、この配置方法では、画素値の自由度は若干阻害される。すなわち、2つの「カラー画像」において、同じ位置の画素の同じ色成分の画素値の和が255を越えると、左上部分に配置した格子占有領域と右下部分に配置した格子占有領域とが、部分的に重なり合ってしまうために問題が生じる。したがって、このような問題が生じないように、2つの「カラー画像」の各画素の画素値をうまく設定してやる必要がある。
別な方法として、2つの「カラー画像」についての画素領域を完全に別個独立に定義してやる方法がある。すなわち、上述の方法では、図20(a) に示すように、同一の画素領域の左上部分に第1の画像Iを割り当て、右下部分に第2の画像IIを割り当てていたが、この方法では、図20(b) に示すように、1つの画素領域を更に4つに分割し、右上および左下の画素領域には第1の「カラー画像」Iを割り当て、左下および右上の画素領域には第2の「カラー画像」IIを割り当てるのである。
この場合、もとの「カラー画像」の1画素に対して、図21に示すような6行6列の画素領域が定義され、個々の画素領域に所定の画素パターンが割り付けられることになる。ここで、RI,GI,BIと記した画素領域には、第1の「カラー画像」Iを表現するための画素パターン(回折格子線配置角度θ=0°)が割り付けられ、RII,GII,BIIと記した画素領域には、第2の「カラー画像」IIを表現するための画素パターン(回折格子線配置角度θ=45°)が割り付けられることになる。この方法では、2つの「カラー画像」の各画素の画素値についての制約はないが、回折格子が形成されていない空領域の有効利用ができないため、前述した方法に比べて、全体的な画像の輝度は低下する。
(本発明に係る回折格子記録媒体を作成する装置例)
最後に、本発明に係る回折格子記録媒体を作成する装置の一例を、図22に示すブロック図に基づいて簡単に説明しておく。「カラー画像」生成部1は、グラフィックスアプリケーションソフトウエアなどを搭載したコンピュータによって構成され、RGBの三原色の画素値が定義された多数の画素の集合として「カラー画像」を作成できる。一方、「カラー画像」入力部2は、スキャナ装置などにより構成され、紙面上に描かれたカラー原稿などから、「カラー画像」を入力する機能を有する。いずれの装置を用いた場合であっても、結果的に、256階調のRGB画素データが用意できることになる。
画素パターンファイル3は、たとえば、図9に示すような768通りの画素パターンをデータとして記憶するファイルであり、コンピュータ用のメモリや磁気記録装置によって構成されている。もっとも、このような画素パターンのデータは、必ずしも実際のパターンデータとして用意しておく必要はなく、必要な画素パターンを適宜発生できるような計算式として用意しておいてもよい。
パターン合成部4は、「カラー画像」生成部1あるいは「カラー画像」入力部2から与えられた256階調のRGB画素データに基づいて、所定の大きさの画素領域の配列を定義し、各画素領域に対して、画素パターンファイル3内に用意された画素パターンを選択的に割り付ける処理を行う。この割り付け処理は、§7までに述べたとおりであり、このパターン合成部4も、コンピュータによって構成される。こうして、パターン合成部4からは、回折格子パターンデータが出力される。
こうして出力された回折格子パターンデータは、データフォーマット変換装置5を介して、電子ビーム描画装置6に与えられる。データフォーマット変換装置5は、パターン合成部4で作成された回折格子パターンデータのデータフォーマットを、電子ビーム描画装置6が取り扱えるデータフォーマットに変換する処理を行う装置である。電子ビーム描画装置6は、半導体マスクなどの作成に利用されている一般的な描画装置であり、電子ビームを用いて回折格子パターンを所定の媒体上に描画し、回折格子原版7を作成する。この回折格子原版7を用いて、プレス装置8により印刷の手法により、多数の回折格子記録媒体9を作成することができる。
このように、電子ビームを用いると、非常に高精度に回折格子を描画することができ、干渉縞により作成したホログラムに比べて、鮮明で輝度の高い画像を記録することができる。また、解像度の点においても、通常の印刷では16画素/mm程度が標準であるが、本発明に係る回折格子記録媒体では、20画素以上/mmの解像度が得られ、カラー写真なみの画質を得ることができる。
更に、RGBの三原色による加色混合により「カラー画像」を表現するという点では、カラーディスプレイなどと同様であるが、本発明に係る回折格子記録媒体では、三原色が回折格子で分光された光であるため、カラーディスプレイで使用している蛍光体から得られる三原色に比べて単色性にすぐれ、色再現が鮮明になる。したがって、商品パッケージやラベルなどに利用すると、大きな宣伝効果が期待できる。また、フルカラーでの画像表現が可能になるため、写真と文字とを同一の媒体上に記録することができ、更に、ロゴや絵柄を光った態様で表現することもできる。このため、店頭陳列時に高いアピール効果も得られる。
もちろん、セキュリティを確保するための偽造防止用シールとしての効果も大きい。すなわち、電子ビームによる描画工程は、高度の技術と設備が必要になるため、レーザを利用して干渉縞を記録する方法に比べて、偽造は非常に困難になる。
(実施例1)
電子線レジストを0.3μm形成したパターン形成基盤に、「カラー画像」を図23の「自由の女神」とし、「所定情報」を高さ300μmの「USAUSAUSA」として、帯状に含め、変更する画素パターン用のデータとして、「無作為」に画素データを発生させたもの(「所定情報」用の画素データ)を、「カラー画像」の画素パターンに挿入して用意した電子線描画用制御データ(回折格子パターンデータ)を準備し、その画素データの一つを選択して、その画素データを構成している回折格子線1本を再び選択して、その回折格子線の中央部に「隠し情報」として、その選定した回折格子線の線幅を文字高さ・文字幅として、「A●B●C●」を設定し、電子線描画用制御データとして挿入した制御用データにより、電子ビームの強度を変化させながら、「カラー画像データ」に沿って電子ビームを照射した。この選択は、予め一列の凹凸構造を作成して、回折光分布の大きく変動しない回折格子幅、高さ及び文字情報の画線部線幅を設定しておいたものを使用した。
この基盤を現像処理して、所望の凹凸を有する回折格子記録原盤を得た。
この原盤と、16μm厚さのポリエチレンテレフタレート(東レ製「ルミラー」)との間に、電離放射線硬化性樹脂として、
・<電離放射線硬化組成物A>
2−ヒドロキシエチルアクリレート 100重量部
ジブチルチンジラウリレート 0.1重量部
イソシアン酸メチル 50重量部
を反応させて得られた電離放射線硬化組成物Aを用いて、
・<電離放射線硬化組成物B>
電離放射線硬化組成物A 80重量部
ポリウレタン樹脂(デスモコール130、住友バイエルウレタン社製) 20重量部
上記、電離放射線硬化組成物Bを作製し、この電離放射線硬化組成物Bを10μm導入して、フィルムを送り出しながら電子線照射装置「エレクトロカーテン」(アメリカのESI社製)を用い、150KeV、15mAの条件で30kGyの線量を照射して、硬化させた。
この後、原盤と電子線レジストを剥離、除去し、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にカラーホログラムの微細凹凸を形成することができた。
この透明樹脂の表面に真空蒸着法によりアルミニウム薄膜100nmを形成し、ホログラムシートとした。このホログラムシートに接着剤を塗工し、パスポートの顔写真を一部覆うように接着した。
このパスポートのホログラム部分をハロゲンランプで照明し、目視で観察すると、鮮明なカラーホログラムである「カラー画像」を認識することができた。しかも、「所定情報」があることを見出すことはできなかった。
さらに、倍率5倍の拡大鏡で拡大して確認したところ、「所定情報」である「USAUSAUSA」を明確に判読することが出来、さらに、精密顕微鏡(400倍)にて、「隠し情報」である「A●B●C●」、すなわち、アルファベットが隠されていることを確認して、「カラー画像」との関連からこのパスポートが真正であると判断できた。
(実施例2)
「カラー画像」を図23の「所定情報」を高さ200μmの「USAUSAUSA」として、帯状に含め、画素パターンとして、「カラー画像」の画素領域マトリックスサイズ30μm×30μmに対して、25μm×25μmとして作成した画素パターンデータを、、「カラー画像」の画素パターンに挿入して用意した制御データにより、電子ビームの強度を変化させながら、「カラー画像データ」に沿って電子ビームを強く、レジストが完全に現像処理可能なレベル(すなわち、レジスト形状が矩形状になる。)にて照射した以外は、実施例1と同様にして作成し、実施例2を得た。
このパスポートのホログラム部分をハロゲンランプで照明し、目視で観察すると、鮮明なカラーホログラムである「カラー画像」を認識することができた。しかも、「所定情報」があることを見出すことはできなかった。
さらに、倍率5倍の拡大鏡で拡大して確認したところ、「所定情報」である「USAUSAUSA」を明確に判読することが出来、さらに、精密顕微鏡(400倍)にて、「隠し情報」である「A●B●C●」、すなわち、アルファベットが隠されていることを確認して、「カラー画像」との関連からこのパスポートが真正であると判断できた。
比較例
(比較例)
実施例の内、「所定情報」及び「隠し情報」を含ませずに処理し、同様のパスポートを得た。
この「カラー画像」を目視で観察すると、各実施例と差異の無い「カラー画像」であった。
本発明の基本原理を説明するためのモノクロ画像のパターンおよび画素情報の一例を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体に用いられる画素パターンの基本構成を示す図である。 図1に示すモノクロ画像を図2に示す画素パターンを用いて記録した回折格子記録媒体を示す頭である。 図3に示す回折格子記録媒体を作成するための貼り込み処理の概念を示す図である。 回折格子線配置角度θを変えることにより得られる種々の画素パターンの例を示す図である。 回折格子線配置ピッチpを変えることにより得られる種々の画素パターンの例を示す図である。 回折格子から得られる回折光の観測方向と波長との関係を説明するための図である。 格子占有領域Vの面積を変えることにより得られる種々の画素パターンの例を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体を作成するために用意した各原色RGBごとの画素パターンの一例を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体を作成するために利用する画素領域マトリックスの一例を示す図である。 図10(a) に示す画素領域マトリックスに基づいて、実際に画素パターンを割り付けた状態を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体において表現されるもとの「カラー画像」の画素配列および各原色ごとの画素値の一例を示す図である。 図12に示す各画素値に対して、間引処理を実行した後の状態を示す図である。 図13に示す間引処理によって残った画素値の配列を示す図である。 図14に示す画素値配列に基づいて、各画素領域に所定の画素パターンを割り付けた一例を示す図である。 図12に示す各画素について、それぞれ3行3列からなる9つの画素領域を定義した状態を示す図である。 図16において定義した各画素領域に、所定の画素値を対応づけた状態を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体のより好ましい一態様を示す図である。 同一の回折格子記録媒体上に2つの「カラー画像」を重複記録するための第1の手法を示す図である。 同一の回折格子記録媒体上に2つの「カラー画像」を重複記録するための2つの手法の原理を示す図である。 同一の回折格子記録媒体上に2つの「カラー画像」を重複記録するための第2の手法を示す図である。 本発明に係る回折格子記録媒体を作成する装置の基本構成を示すブロック図である。 は、本発明の実施形態の一例を示す「カラー画像」、「所定情報」及び画素領域マトリックスの模式図である。 は、本発明の実施形態の一例を示す、「隠し情報」を含む回折格子線群Aの俯瞰図である。 は、回折格子線群Aのa−a線断面について説明するための図である。
符号の説明
1…「カラー画像」生成部
2…「カラー画像」入力部
3…画素パターンファイル
4…パターン合成部
5…データフォーマット変換装置
6…電子ビーム描画装置
7…回折格子原版
8…プレス装置
9…回折格子記録媒体
10…回折格子記録媒体
11…絵柄領域
12…位置合わせマーク
13…観測角度指標領域
P1〜P15…画素パターン
V…格子占有領域
A…「隠し情報」を含む回折格子線群

Claims (2)

  1. 多数の画素から構成される「カラー画像」が、
    P通りの色成分のそれぞれについてQ通りの画素値のうちのいずれかが定義された多数の画素の集合として表現され、
    所定の画素値に対応した面積をもった回折格子占有領域内に、所定の色成分の波長に対応したピッチで一定方向に前記回折格子線を配置することにより回折格子を形成し、この回折格子を所定の画素領域内に配置してなる画素パターンが、P通りの色成分およびQ通りの画素値について(P×Q)通り存在し、
    前記「カラー画像」を構成する個々の画素に1対1に対応させて、記録媒体上にそれぞれ定義された画素領域を形成し、
    前記「カラー画像」を構成する各画素について、P通りの色成分のうちのいずれか1成分のみが選択されていて、
    前記各画素領域に、この画素領域に対応する画素について選択された色成分およびその画素値に基づいて、前記(P×Q)通りの画素パターンのうちのいずれか1つが割り当てられ、各画素領域に割り当てられた画素パターンに応じた回折格子が、記録媒体上に形成されている回折格子記録媒体において、
    前記カラー画像の全領域について、選択された色成分の分布が均一になるように、各画素についての色成分の選択を行うようにし、前記画素領域の少なくとも一部に、300μm以下の「所定情報」を表わす画素パターンを含み、その「所定情報」に割り当てられた画素パターンが、前記画素パターンと異なるとともに、その画素パターンを構成する回折格子線の少なくとも一部が、「隠し情報」を表示する一列の凹凸構造からなることを特徴とする回折格子記録媒体。
  2. 前記一列の凹凸構造が矩形状すなわち一本の回折格子線断面が矩形状であって、その矩形の底面と上面に、前記「隠し情報」を表示する前記一列の凹凸構造の凹部底面と凸部上面が位置することを特徴とする回折格子記録媒体。
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