JP2010070926A - 屋根構造 - Google Patents

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浩史 田中
Yoshimichi Kawai
良道 河合
Hiroaki Kawakami
寛明 川上
Yukio Kojima
由紀夫 小島
Masami Sugihara
正美 杉原
Satoshi Noguchi
悟志 野口
Mitsuo Fujiie
充朗 藤家
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Abstract

【課題】家屋等の構造物の屋根の野地板の耐久性を向上させることができ、しかも作業者が乗っても変形しない、屋根構造用折板を提供する。
【解決手段】上端に上フランジ面21を形成させた山部22と、下端に下フランジ面24を形成させた谷部25とがウェブ26を介して交互に連続されてなり、上フランジ面21の幅並びに下フランジ面24の幅は、作業者の足先径である80mm未満であり、折板上フランジ面21の幅並びに折板下フランジ面24の幅は、板厚の740倍を折板を構成する材料の降伏点の二乗根で除した値の3倍以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、屋根構造における野地板として用いる屋根構造用折板が配設される屋根構造に関するものである。
図15は、家屋等の構造物101の構成を妻側から見た図である。構造物101は、基礎工事を経て、基礎部分102に土台103が敷設される。構造物101は、土台103から上方に延長された柱104が立設され、胴差しが柱104の上端部に取り付けられ、梁105が柱104間に架設される。
また構造物101は、小屋梁105aが柱104の上端部間に略水平に架設され、当該小屋梁105aには、屋根構造体106が多角的に形成される。屋根構造体106の上端には、傾斜梁107が傾斜状に配設され、さらにこの傾斜梁107上には母屋108が一定の間隔に亘って固定されている。また、母屋108の上端には、更に屋根下地材として野地板109が設けられ、野地板109により、瓦等を初めとした屋根仕上げ材が支持されることになる。
このような家屋等の構造物101において、例えば厚み12〜18mm程度の合板等を野地板109として使用する場合が多かった。しかしながら、この野地板としての合板109は、長期的な視点からは必ずしも耐久性に優れているといえない場合もあった。
一方、工場や倉庫等の屋根材としては金属製折板が頻繁に使用されている。折板は、上端に上フランジ面を形成させた山部と、下端に下フランジ面を形成させた谷部とが傾斜部を介して交互に連続させて構成された鋼板であるが、スパンを飛ばして支え材を省略すべく背を50mm以上としているものが多く、板厚も1.0mm以上のものが多い。
実際に特許文献1には、屋根用の折板が開示されている。この特許文献1の開示技術では、一側縁部に雌型嵌合継ぎ手を有すると共に、他側縁部に雄型嵌合継ぎ手を有する継ぎ手付き折板において、隣り合う継ぎ手付き折板相互の継ぎ手を嵌合させた場合に、継ぎ手嵌合部における嵌合部長手方向のせん断方向へのズレ抵抗を高めるために、雌型嵌合継ぎ手および雄型嵌合継ぎ手の係合面を、粗面として構成し、或いは凹部あるいは凸部を設けている。
また、このような折板は、外壁仕上げ材としても従来から用いられている。この外壁用の折板は山部の山高は合板レベルのものもあるが、強度的には風に抵抗できる程度で十分で、リブも意匠性が重要視された形状とされている。
特開2007−231703号公報
ところで、家屋等の構造物の屋根の野地板の耐久性を向上させるべく折板を使用する場合には、少なくとも作業者がこの野地板としての折板の上に直接乗って作業をする状況が考えられる。このため、野地板用の折板は、作業者が作業を行う上での安定性を確保するために、作業者が乗っても変形しないという要求性能を満たす必要があった。すなわち、野地板用の折板は屋根骨組への取付け時は作業者を支える作業板として、取付け後は屋根仕上げ材を保持する下地材として機能する必要があった。
一方で、他の部材との取り合いを考えると従来の野地板よりも高さを増やすことは難しく、また、重量の大幅な増加(設計荷重の増加)は避ける必要がある(厚み12mmの合板が約6.6kg/m)。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、家屋等の構造物の屋根の野地板の耐久性を向上させることができ、しかも作業者が乗っても変形しない屋根構造を提供することにある。
請求項1記載の屋根構造は、上端に上フランジ面を形成させた山部と、下端に下フランジ面を形成させた谷部とがウェブを介して交互に連続されている折板が、稜線を母屋と直交するよう母屋に接合され、屋根仕上げ材を支える野地板として配設されていることを特徴とする。
請求項2記載の屋根構造は、請求項1記載の発明において、上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、作業者の足先径である80mm以下であることを特徴とする。
請求項3記載の屋根構造は、請求項1又は2記載の発明において、上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、板厚の740倍を当該折板を構成する材料の降伏点の二乗根で除した値の3倍以下であることを特徴とする。
請求項4記載の屋根構造は、請求項1から3のうち何れか1項記載の発明において、上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、作業者の足先径の1/7以上1/3未満であることを特徴とする。
請求項5記載の屋根構造は、請求項1から4のうち何れか1項記載の発明において、上記折板上フランジ面の長手方向に沿って凹状のリブが形成されてなり、上記凹状のリブの深さは、板厚の4倍以上12倍以下であることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明では、家屋等の構造物の屋根の野地板の耐久性を向上させることができ、しかも作業者が乗っても座屈しない折板を用いた屋根構造を構成することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、屋根構造における野地板として用いる屋根構造用折板について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した屋根構造用折板2が適用される家屋等の屋根構造10の構成を妻側から示している。屋根構造10は、土台から上方に延長されてきた柱の上端部間に架設されたトラス下弦材11と、トラス下弦材11の上部に形成されたトラス斜材12と、トラス斜材12の上端に傾斜状に配設されたトラス上弦材13と、このトラス上弦材13上に一定の間隔に亘って固定された母屋14と、母屋14の上端に設けられた野地板としての屋根構造用折板2とを備えている。
屋根構造用折板2は、屋根下地材である野地板としての役割を担い、瓦等を初めとした屋根の仕上げ材30がその表面に設けられる。
屋根構造用折板2は、図2に示す断面図に示すように、上端に上フランジ面21を形成
させた山部22と、下端に下フランジ面24を形成させた谷部25とがウェブ26を介して交互に連続されてなる。
即ち、屋根構造用折板2は、鋼製板体に折り曲げ加工が施されて、上フランジ面21と、これに接続するウェブ26と、前記ウェブ26の端部に接続するように下フランジ面24とが一体に波形に連続するように断面凹凸状に屈曲形成される。この屋根構造用折板2において、上フランジ面21とウェブ26間の屈曲により、また下フランジ面24とウェブ26間の屈曲により、稜線28、29が形成される。ちなみに、このウェブ26は鉛直に形成されていてもよいし、傾斜状に配設されていてもよい。
図3は、この屋根構造用折板2の正面図である。稜線28に対して平行方向xとし、稜線28に対して直交方向yとする。上フランジ面21並びに下フランジ面24は、それぞれ長手方向がx方向になるように延長されており、この上フランジ面21を有する山部22と、下フランジ面24を有する谷部25は、y方向に向けてウェブ26を介して交互に連続することになる。
ここで上フランジ面21の幅Wu並びに下フランジ面24の幅Wlを、この図3に示すy方向における上フランジ面21、下フランジ面24の幅とする。このとき、本発明では、上フランジ面21の幅Wu並びに下フランジ面24の幅Wlは、作業者の足先径を想定した80mm未満とする。
図4(a)は、下フランジ面24の幅Wlを作業者の足先径Lcである80mm以上とした場合について示している。下フランジ面24に作業者の足先56が載ることにより下フランジ面24が撓むが、座屈することはない。但し、この形態では、作業者の足先56が山部22により躓いてしまう可能性が高くなるため、この下フランジ面24の幅Wl+2×Wsを狭める必要がある。なお、ウェブ26の斜面幅Wsを0としてもいいので、少なくとも下フランジ面24の幅Wlを作業者の足先径Lcである80mm未満とする必要がある。
図4(b)は、下フランジ面24の幅Wl+2×Wsを作業者の足先径Lcである80mm未満とした場合について示している。作業者の足先56は、互いに隣接する上フランジ面24を踏む場合がある。かかる場合に足先径Lcをこの隣接する上フランジ面24の間に設定した場合に、かかる上フランジ面24は撓むものの座屈はしない。このことからも、下フランジ面24の幅Wlは狭める必要がある。具体的には、少なくとも下フランジ面24の幅Wlを作業者の足先径Lcである80mm未満とする必要がある。
図4(c)は、上フランジ面21の幅Wuを作業者の足先径Lcである80mm以上とした場合について示している。上フランジ面21に作業者の足先56が載ることにより上フランジ面21の足先径周囲が陥没することになる。このため、上フランジ面24の幅Wuを狭める必要がある。具体的には、上フランジ面21の幅Wuを作業者の足先径Lcである80mm未満とする必要がある。
図4(d)は、上フランジ面21の幅Wuを作業者の足先径Lcである80mmより極端に小さくした場合について示している。上フランジ面21に作業者の足先56が載ることにより上フランジ面21は圧縮座屈する。このため、ある程度は上フランジの幅Wuを向上させる必要がある。但し、図4(c)も考慮すると上フランジ面21の幅Wuを作業者の足先径Lcである80mm未満とする必要がある。
以上の知見から、本発明では、上フランジ面21の幅Wu並びに下フランジ面24の幅Wlは、作業者の足先径である80mm未満としている。
図5は、本発明を適用した屋根構造用折板2について、各フランジ面の長手方向に沿ってリブを形成させた例を示している。
この図5(a)、(b)に示す例では、上端に上フランジ面21を形成させた山部22と、下端に下フランジ面24を形成させた谷部25とがウェブ26を介して交互に連続されてなる点は、上述した実施の形態と同一であるが、上フランジ面21の長手方向yに沿って凹状のリブ41が、また下フランジ面24の長手方向yに沿って凸状のリブ42が形成されている。このリブ41、42の形成位置は、上フランジ面21、下フランジ面24のx方向に向けた略中心に形成されていることが望ましいがこれに限定されるものではない。
ちなみに、このリブ41は、一の上フランジ面21に1列、一の下フランジ面24に1列設けられる場合に限定されるものではなく、一の上フランジ面21に2列、一の下フランジ面24に1列設けるようにしてもよい。図6は、上フランジ面21において、2列の凹状のリブ41を設けた例を示している。リブ41、42の列数を増加させることにより、リブ41、42の列数を1列で構成した場合と比較して、より耐力を増加させることが可能となる。その結果、図7の例と比較して、リブの幅や深さ(高さ)を低減させても、所期の耐力を得ることが可能となる。
本発明においては、上フランジ幅Wuは屋根構造用折板2を構成する材料の降伏点σyの二乗根とに基づいて決定されていてもよい。
以下、その理由について図7に示すモデルを用いて説明をする。
この図7では、上端に上フランジ面21を形成させた山部22と、下端に下フランジ面24を形成させた谷部25とがウェブ26を介して交互に連続され、上フランジ面21に凹状のリブ41が、また下フランジ面24に凸状のリブ42が形成されている例を示している。上フランジ面21の幅をWu、下フランジ面24の幅をWl、ウェブ26の斜面幅をWsとする。この谷部25、ウェブ26、山部22、ウェブ26を一周期の幅Wとしたとき、当該幅Wは、Wu+Wl+2×Wsで表される。ちなみに、この山部22の高さをHとし、リブ41、42の幅をWrとし、リブ41、42の深さ(高さ)をHrとする。また、この屋根構造用折板2を構成する鋼材の降伏点をσyとする。
このとき、上フランジ面21の幅Wu並びに下フランジ面24の幅Wlは、作業者の足先径としての載荷盤の幅D以下であるため、Dは、以下の(1)式により表すことができる。ちなみに、この下フランジ面24の幅Wlには、ウェブ26の斜面幅をWsの分も考慮に入れている。
D>Wl+2×Ws、及び D>Wu ・・・・・・・・・・・・・(1)
但し、上フランジには圧縮力が作用するため、幅Wu全てが耐力に寄与するのではなく、有効幅Weしか寄与しない。
ここで有効幅Weは、以下の式(2)で表すことができる。ちなみに、この有効幅Weは、文献1(社団法人日本鉄鋼連盟著、「薄板軽量形鋼造建築物設計の手引き」、技報堂出版、2002年6月発行)における表3.3.1に基づいたものである。この文献1の表3.3.1では、折り曲げ円弧部からどれくらいの幅が耐力に寄与するかついて記述している。
We=740×t/√σy・・・・・・・・・・・・・(2)
座屈補剛リブが設けられている場合もこれに準ずるものとして考えることができるが、本発明の屋根構造折板は荷重によりフランジとウェブの折り曲げ部が回転し、補剛リブの効果が薄れると考えられることから、リブを入れる数はせいぜい2つ、すなわち、
Wu<3×We・・・・・・・・・・・・・(3)
とすることが望ましい。
例えば、市中で入手しやすい鋼材の降伏点σyは180〜800N/mmであることから、σy=800を(2)式に代入すると、(3)式は以下の通りとなる。
Wu<78×t・・・・・・・・・・・・・(4)
即ち、上フランジの幅は、板厚の78倍未満に設定すれば断面を有効に活用できるということが分かる。
例えば折板の重量を合板同等とすべく板厚を0.5mmとすると、Wuは39以下にすることが望ましく、Dを80mmとすると、Wuはその1/2以下であることから、1つの山で荷重を受けるよりは2つ以上の山で荷重を受けることが好ましい。
そこで、図8に示すように、作業員の足先56を複数の山部22により担う場合について考えてみる。図8(a)は、山部22における上フランジ面21の幅Wuを長くすることにより、少ない数の山部22で作業員の足先を担う場合を、また図8(b)は、山部22における上フランジ面21の幅Wuを短くすることにより、多くの数の山部22で作業員の足先を担う場合を示している。ここで作業員の足先を載荷盤31に例えると、図8(a)に示すように、載荷盤31が2つの山部22に一部でも載る条件としては、D>Wu+2×Wl+4×Wsとなるが、Wuの上限としては、Wsを0とし、Wu=Wlとした場合の、D/3>Wuとなる。ここでDは、載荷盤31の幅であり、足先径Lcに相当する。このとき荷重を受けるフランジ面21の合計幅aW=2×Wu<0.66Dである。
これに対して、図8(b)に示すように、載荷盤31が3つの山部22に一部でも載る条件としては、D>2×Wu+3×Wl+6×Wsとなるが、略算ではD/5>Wuとなる。このときフランジ面21の合計幅aW=3×Wu<0.6Dである。
同様に、載荷盤31が4つの山部22に一部でも載る条件としては、D>3×Wu+4×Wl+8×Wsとなるが、略算ではD/7>Wuとなり、このときフランジ面21の合計幅aW=4×Wu<0.57Dである。但し、載荷盤が80mmの場合は11.4mmとなり、一般的な下地合板の厚み12mmを下回り重量の増加が懸念されるため、上フランジ面21の幅Wuは折板の山高Hより大きくすることが望ましい。
上フランジ面21の幅Wuを短くすることにより山部22を細かく設定すると、その上に載る載荷盤31と接触する幅の合計幅が減ることになる。その結果、この上フランジ面21の載荷盤31に対する耐力の上限値が低下することになる。また、上フランジ面21の幅Wuを短くすることにより山部22を細かく設定すると、単位幅あたりのウェブ26の数が増加する。その結果、この屋根構造用折板2における単位面積当たりの重量が増加し、可搬性に劣る結果にもなる。従って、単位重量当たりの耐力を向上させるためには、なるべく少ない数の山部22により載荷盤31を負担させ、上フランジ面21の合計幅を確保することが有効であると考えられる。
このため、本発明では、4つの山部22までには載荷盤を載せない条件としての、Wu>1/7Dを下限として規定した。そして、載荷盤31が2つの山部22に一部でも載る条件としての、Wu<1/3Dを上限として規定した。なお、下限についてはWuが小さ
な値となるため、ウェブ斜面幅Wsを考慮したWu+Ws>1/7Dとしてもよい。
むろん、上記条件式は下記の(5)式の条件付き略算式であることから、(5)式を用いて算出してもよい。
3×(Wu+Ws)+4×(Wl+Ws)>D−Ws>(Wu+Ws)+2×(Wl+Ws)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
座屈補剛に有効なリブの断面性能は二次モーメントにより定められており、リブ41、42に必要な断面二次モーメントの最小値Iminは、下記の(6)式により表される。ちなみに、(6)式は、文献2(Wei-Wen Yu,”Cold-Formed Steel Design”,P113,John Wiley & Sons.INC,1991)の式(3.93)に基づくものである。
Imin=3.66×t×√((W/t)−0.136×E/σy)・・・・(6)
この式中のWは耐力に寄与する幅であるが、有効幅We以上となることはないので、安全側の検討としてW=Weとする。なお、(6)式中のEは鋼材のヤング係数でここでは205000N/mmを代入する。
Imin=3.66×t×√((We/t)−27880/σy)・・・・・(7)
また、(7)式に(2)式を代入することにより、下記の(8)式に変形することができる。
Imin=3.66×t×√(740/σy−27880/σy)
≒3.66×t×721/√σy ・・・・・・・・・・・・・・(8)
なお、リブの断面二次モーメントIrは、安全側にしつつ、計算を簡略化するため、幅2t、高さHrの矩形断面(凹状リブの角度を0とした場合に相当)とすどると、下式となる。
Ir>2×t×Hr/12>Imin≒3.66×t×721/√σy
Hr>t×(6×3.66×721/√σy)1/3=t×(15833/√σy)1/3
Hr>t×25×σy−1/6・・・・・・・・・・・・・・(9)
凹状のリブ41の深さHr、並びに凸状のリブ42の高さHrは、板厚tと、降伏点σyの六分の一乗根とに基づいて決定されることが分かる。
この文献2の式(3.93)が反映された(9)式に基づいてHrを決定することにより、フランジを屋根構造折板の耐力向上に寄与させることができる。
例えば、市中で入手しやすい鋼材の降伏点σyは180〜800N/mmであることから、σy=800N/mmを(9)式に代入すると、下記(10)式となる。
Hr>8.2t・・・・・・・・・・・・・・(10)
即ち、凹状のリブ41の深さHr、並びに凸状のリブ42の高さHrは、板厚の8.2倍を超えるように設定すればよいことが分かる。
例えばtを0.5mmとした場合には、上記(10)式から、Hrを4.1mm以上とすることでフランジ断面を有効に活用することができる。
但し(10)式で算定した高さよりHrが低くてもフランジの補剛効果はあり、またあまり高くしすぎると重量が増えるので、下限は(10)式の1/2、上限は(10)式の3/2とする(11)式でHrを規定した。
4t≦Hr≦12t・・・・・・・・・・・・・・(11)
このように、本発明を適用した屋根構造用折板2では、下フランジ面24の幅Wl(或いはこれにウェブの傾斜幅Ws×2を足したもの)は、作業者の足幅計Lc(=D)よりも小さくしつつもできるだけ大きく設定することにより、作業者が躓いて怪我をするのを防止することが可能となる。
また、上フランジ面21の幅Wuは、作業者の足先径Lc(=D)より小さく設定しつつもできるだけ大きくすることにより、上フランジ面21が局所的に凹むことを防止することができ、曲げに抵抗する上フランジ面21の断面積を確保することが可能となる。
また、リブ41により複数に分割された上フランジ面21に耐力が寄与するように、リブ41の形状(高さHr)を決める。リブ41の形状の選定にあたっては、高さだけであれば、板厚tと降伏点σyから算定される式(9)に従うことにより耐力を向上させることができる。
以上の検討は通常想定される荷重に対しての検討で、高い剛性を保ち(たわみを抑え)、残留変形を抑えるために折板を載荷盤と接触する範囲での曲げ材として扱ってきたが、想定外の荷重に対しては変形が残っても耐力だけは確保することで重量増加を抑えつつ、耐力の余力を確保することもできる。
水平に設置する部材の抵抗機構としては図9(a)、図9(b)に示す曲げ抵抗機構と図9(c)、図9(d)に示す引張抵抗機構がある。
それぞれの荷重−変形関係の特徴を図10(a)に示す。曲げ抵抗機構は変位が小さなときから荷重を負担する(初期剛性が高い)が、上面に圧縮力が作用するので、上面が座屈すると耐力を失う。一方、引張抵抗機構は変位が小さな時はあまり荷重を負担しない(剛性が低い)が、変位が進むにつれ、荷重を負担する。また、座屈しないので高い耐力が期待できる。
この2つの特性を組み合わせることで軽量化を実現する。すなわち、想定される荷重レベル(作業者+α)には曲げで抵抗し、それ以上の余力については引張抵抗機構で確保する。
抵抗機構の移行時の荷重-変形関係における挙動の模式図を図10(b)、(c)、(d)に示す。
上フランジの幅が広く材料強度が低い場合は、まず曲げ抵抗機構が形成され、曲げ座屈して耐力が低下しながら変形が進み、ある変位に到達すると引張抵抗機構が形成され、再び荷重があがる(図10(b))。
材料強度を高めると座屈後の塑性化領域を抑えることができ、引張抵抗機構へ移行ずるまでの耐力低下を小さくすることができる(図10(c))。
また、フランジ幅を狭めることで小さな変位で引張抵抗機構に移行させることができるのでたわみを小さくすることができる(図10(d))。
このように、曲げ抵抗機構を期待するのであれば、荷重を受ける山の断面二次モーメントを増やすべく、上フランジの幅(リブも入れた断面積)を拡大したりリブを入れたりすることが効果的で、引張抵抗機構を期待するのであれば、荷重を受ける山の断面積を増やすべく、荷重を受ける山の数を増やす(ウェブの数を増やす)等が効果的である。
なお、引張抵抗機構を形成するには荷重を受ける山の両脇に反力を受ける部分(山)が必要なため、作業者に対しては両端の山に載ることは避けるよう注意するか、折板同士の継目は山を重ねる等の対応が必要となる。
本発明を適用した屋根構造用折板2について上述した効果を確認するため有限要素法による数値解析を実施した。解析対象は図11に示すように、母屋14に相当する位置を支点として屋根構造折板2を架設させ、その中心において上部からφ80の載荷盤31を載置する(重量は無視)。なお、折板に引張抵抗機構を形成させるため、折板は荷重を受ける山とその外側両脇に1山ずつを加えている。そして、この載荷盤31の上から荷重を負荷し、負荷荷重P(kN)を計測するとともに、載荷盤の沈み込み量δ(mm)を測定する。
なお、折板における引張抵抗機構とは、変位が進み、載荷盤直下部分が周囲を引きずり込むことで生じる引張力に対して両脇の山が圧縮力で抵抗する機構で、図11中の黒塗り矢印で応力の流れを示す。
解析したケースは図12に示す3ケースで、それぞれCASE1(図12(a))、CASE2(図12(b))、CASE3(図12(c))である。CASE1はリブ41の幅が4.4mm、深さ2.9mmであり、CASE2はリブ41の幅が7.0mm、深さ3.5mmであり、CASE3はリブ41の幅が7.0mm、深さ3.5mmである。なお、3ケースとも板厚tは0.4mm、材料の降伏点(0.2%オフセット耐力)は750N/mmとした。
解析より得られた荷重−変形特性を図13に示す。横軸は沈み込み量δ(mm)であり、縦軸は、荷重P(kN)を示している。図中細実線はCASE1、太点線はCASE2、太実線はCASE3の解析結果である。
3ケースを比較すると上に凸な荷重−変形関係を示すCASE1が構造性能上優れているといえる。
但し、CASE3は想定される荷重1kN程度(作業者の体重+屋根仕上げ材)を越える約1.3kNまでは弾性挙動を示しており、1.4kN程度で一旦変位が増大するが、その後はまた耐力上昇するため、想定荷重に対しての性能は確保しており、想定外の荷重に対しても安全性は確保しているといえる。しかも、重量を比較すると、CASE3はCASE1より15%程軽いため、コストの面では優れていると言える。
図14には解析より得られた、変位20mm時点での載荷点中央位置での折板の断面変形状態を示す。図14にはそれぞれCASE1(図12(a))、CASE2(図12(b))、CASE3(図12(c))の結果を示す。変形が進むと載荷盤を支える上フランジの両端からその外側のウェブおよびその外側の下フランジ(図中点線で囲んだ部分)
の断面変化が顕著になり、最も上フランジの幅が大きいCASE3にいたっては上フランジの変形も見られる。
これらの変形は何れも折板の断面二次モーメント減少させる変形であることから、最も端部の変形が顕著なCASE3は10mmを越える大変形時の剛性低下が顕著に現れる(図13)。したがって、曲げ抵抗機構から引張抵抗機構への移行をスムーズにする(急激な変形増加を抑制する)にはフランジ幅を狭め、荷重負担山を増やすことが効果的であるといえる。
但しフランジ幅を狭めることは初期剛性を低下させることになり、荷重負担山を増やすことは重量が増えてコストアップになることから、条件によって最適形状は異なったものとなる。
このように、屋根仕上げ材、あるいは作業者が乗った場合など、通常想定される荷重に対しては残留変形が生じることなく、高い剛性を確保するために(たわみを抑えるために)曲げ抵抗機構を利用し、作業者が想定以上の重い荷物を持って乗った場合、あるいは飛び乗った場合等、想定以上の荷重に対しては引張抵抗機構を利用する断面形状とすることで、作業者の安全性は確保しつつ、より経済性に優れた屋根構造用折板を提供することができ、産業の発展に寄与できると考えている。
本発明を適用した屋根構造用折板が適用される家屋等の屋根構造の構成を妻側から示した図である。 本発明を適用した屋根構造用折板の斜視図である。 本発明を適用した屋根構造用折板の平面図である。 上フランジ面の幅Wu並びに下フランジ面の幅Wlを作業者の足先径である80mm以下とした理由について説明するための図である。 本発明を適用した屋根構造用折板について、各フランジ面の長手方向に沿ってリブを形成させた例を示す図である。 上フランジ面において2列の凹状のリブを設けた例を示す図である。 各リブの上フランジ面並びに下フランジ面における列数を限定した理由について説明するための図である。 Wu、Wlの限定理由について説明するための図である。 水平に設置する部材の抵抗機構を説明するために、(a)、(b)は、曲げ抵抗機構を、(c)、(d)は引張抵抗機構を示す図である。 屋根構造用折板の挙動を説明するための模式図である。 本発明を適用した屋根構造用折板について効果を推定するための有限要素解析した対象について説明するための図である。 有限要素解析を実施した屋根構造折板の断面形状について説明するための図である。 屋根構造用折板に対して載荷した場合における荷重−変形特性を示す図である。 屋根構造用折板に対して載荷した場合において変位が20mmに達した時点の載荷点中央位置での折板の断面変形状態を示した図である。 家屋等の構造物の構成を妻側から見た図である。
符号の説明
2 屋根構造用折板
10 屋根構造
11 トラス下弦材
12 トラス斜材
13 トラス上弦材
14 母屋
21 上フランジ面
22 山部
24 下フランジ面
25 谷部
26 ウェブ
28、29 稜線
30 屋根仕上げ材

Claims (5)

  1. 上端に上フランジ面を形成させた山部と、下端に下フランジ面を形成させた谷部とがウェブを介して交互に連続されている折板が、稜線を母屋と直交するよう母屋に接合され、屋根仕上げ材を支える野地板として配設されていること
    を特徴とする屋根構造。
  2. 上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、作業者の足先径である80mm未満であること
    を特徴とする請求項1記載の屋根構造。
  3. 上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、板厚の740倍を当該折板を構成する材料の降伏点の二乗根で除した値の3倍以下であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の屋根構造。
  4. 上記折板上フランジ面の幅並びに上記折板下フランジ面の幅は、作業者の足先径の1/7以上1/3未満であること
    を特徴とする請求項1から3のうち何れか1項に記載の屋根構造。
  5. 上記折板上フランジ面の長手方向に沿って凹状のリブが形成されてなり、
    上記凹状のリブの深さは、板厚の4倍以上12倍以下であること
    を特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の屋根構造。
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