JP2010070882A - ロープの端末定着方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】口元から奥端に向かって均一な内径のロープ挿入用キリ穴を有し、外径側には、口元以外のところに太径部を少なくともひとつ有する筒状金具を用い、ロープをロープ挿入用キリ穴に挿入後、筒状金具をスエージ加工し、太径部をロープ挿入用キリ穴側に反転突出させてロープ径が縮径するように圧締する。
【選択図】
図3
Description
これらロープを船舶の係留や車両の連結などに使用するには、ロープの端末を連結に適した形状に加工する必要がある。
しかし、ロープ端末をストランドに解撚し熱硬化樹脂を充填し硬化させた端末では、ロープに引っ張り荷重が加わった場合、ロープ及びストランドの伸びによるロープ径の細径化により、ストランドと樹脂の締結力が減退し、締結効率が低下して抜けてしまいやすい問題があった。
この対策として、ロープを挿入した金具との間に樹脂の接着材を介在させて圧着する方法が提案されている。
しかし、ロープと金具との間に充填する樹脂の量や温度など精密な管理を必要とし、硬化するまでに時間がかかり、さらに、時間が経過すると樹脂の劣化が生じ、ロープが抜け出てしまい、長期の耐久性を損なわれる問題がある。
さらに、いずれの圧着法も、外径がストレートな金具に一律に圧縮力を加え、金具内径を一様に縮少させるため、金具口元のロープ部分に剪断荷重が付加され、早期の口元疲労破壊が生じる問題もあった。
しかし、金具口元のロープ部分にはほとんど圧縮力が加わらず、金具口元のロープ部分には剪断荷重が作用しないので、金具口元切れが防止でき、ロープの真の強度を維持できる。
しかも、樹脂や接着剤を使用しないので精密な樹脂管理など必要なく、作業時間が大幅に短縮されるなどの作業効率の向上を図ることができる。
また、金具の外径がスエージ加工前の山形状態から平坦状になることで適正な圧締がなされたことを目視できるので作業の標準化が容易になり、品質の向上と安定化が図れ、外径が平坦状のるなどの効果が得られる。
これによれば、スエージ加工により、ロープ挿入用キリ穴部分が穴中心に対して山形状に出っ張り、山の頂部を境に滑らかに拡径している状態となるので、口元にはほとんど圧縮力が加わらず、挿入したロープのほぼ中央が山の頂部でくびれて最小径となり、ここに最大の圧力がかかので、強大な拘束力が生じ、きわめて高い抜け止め効果が得られる。
したがって、この態様によれば、従来端末定着が不可能とされていたゴム質のようなロープの断面積変化率が大きく、伸びの大きいロープに対する効果的な連結用端末部を得ることができ、係留した船舶、連結した車両など連結部に引っ張り衝撃荷重の加わる場合の衝撃緩衝手段として活用が可能となる。また、引張りにより断面積が小さくなりやすい樹脂性ロープや繊維ロープにも効果がある。
これによれば、スエージ加工により、ロープ挿入用キリ穴部分に複数の山形状の凹凸(くびれ)が形成され、ロープに加わる剪断応力が緩和されロープ損傷を防止でき、ロープと金具との摩擦力が増大するとともにロープ凸部が引っ張り力に対する抵抗体となるので締結効率が向上する。また、ロープにかかる力を細かく分散して拘束するので、ロープの変化率の小さい脆いロープを確実に定着できる効果が得られる。
図1は本発明の定着方法で得られた端末付きロープの一例を示しており、1はロープ、2,2は端末金具である。
ロープ1は、この例では従来高い定着効率での定着が困難ないし不可能視されていたゴムロープであり、すなわち、多数の糸ゴム10を引き揃え、周囲を繊維11でブレード状に被覆したものである。なお、ロープ1には繊維をストランド状に撚り合わせそのストランドをさらに撚り合せたもの、樹脂を含浸したり、樹脂で被覆したりしたものなどがある。また、材質はゴム、ナイロン、テトロンで例示される合成繊維などの高弾性繊維が好適であるが、ワイヤロープなどにも適用可能である。
そして、第2部分241よりも奥端方向の外径部分は口元部22とほぼ同じフラットなノーマル肉厚部25となっている。
前記太径部24の山形角度αは圧着するロープの伸びなどの特性に応じて設定するもので、たとえば水平に対し5度〜25度の範囲から選ばれる。5度以下では圧締効果が弱く、25度以上では括れがきつすぎてせん断力が作用するので好ましくない。稜線242は剪断を考慮して適度に丸みをつけてもよい。
次いで、上記金具部分を図4に示すスエージ機7にてスエージ加工する。
スエージ機7のダイス71はたとえば上下半割であり、中央に金具2の口元部22および奥端に近いノーマル肉厚部25と略同径の加工溝72があり、加工溝の長さは金具2の長さと略同一である。
また第1部分260と第2部分261はテーパー状になっているので、ロープとの接触面は摩擦が増大し、引き抜きに対する抵抗力となる。一方、第2部分261より奥端側ではスエージ加工がほとんどなされず、ノーマル肉厚部25が維持されるので、キリ穴20はもともとの径に保たれる。
それら加工溝は、図3(a)の状態の金具2における山形状太径部24よりも径の小さい少なくとも一つの中間成型用加工溝72A,72Bと、金具2の口元部22および奥端に近いノーマル肉厚部25と略同径の細い仕上げ用加工溝72Cからなっている。中間成型用加工溝72Aと中間成型用加工溝72Bは大きさが異なっている。
そして、最後に仕上げ用加工溝72Cに装填され、金具2を回転しながら半割りダイス71,71を上下して圧縮することにより、金具の長手方向の外径がノーマル肉厚部25の外径と略同一の図6(c)の製品となる。
このとき、外形の山形状太径部24が塑性変形によりキリ穴20の内径側に反転し、内径方向に山形状の厚肉部となり、テーパー状に凸の第1部分と第2部分が形成され、それらの境の稜線262で中央に向け内径が最も細くなり、ロープ圧縮量が最大となる。かかる形状変化を中間成型用加工溝72A、72Bと仕上げ用加工溝72Cによって逐次的に加工するので、しわがよったり、割れが生じたりせず、品質の良好なものとなる。
反復の回数はこの例では4回であるが、適宜選択すればよい。薄肉化した第2部分241と次の太径部24の漸次肉厚化した第1部分240の境界には稜線243が形成されて薄肉化しているが、その稜線243は口元部外径より太い径にすることが好適である。
加工前のキリ穴20の径は長手方向で同一であったが、スエージ加工後は塑性加工により金具外径が長手方向に略同一となり、キリ穴20の内径側は加工前の外形が塑性変形により反転し、口元部22から奥端23方向にテーパー状に凸の第1部分260と第2部分261とからなる山形状厚肉部26が複数回にわたり反復形成される。
このキリ穴内径方向への複数の山形状の凹凸によりロープとの接触面の摩擦が増大し、引き抜きに対する抵抗力となるが、複数の山形状の凹凸でロープにかかる力が分散してかけられるので、ロープ1が変形の変化率が小さく脆い特性を有する場合にも、損傷を与えずに定着できる利点がある。
この方法によれば、反転塑性変形により、金具のキリ穴側が、口元部に最大径があり、それから先がテーパー状あるいは弧を描くように漸次すぼまり、それ以降が最小径となって奥端に至るようになるので、ロープに対する最大圧縮力が口元部より奥に行くに従って均一的に大きくなり、拘束作用が発揮される。但し、その拘束作用は第1、第2態様よりは弱い可能性がある。
1)ロープ端部に金具を装着したロープにおいて、ロープが、金具口元から奥端方向に径がテーパー付山形状に凹に変化することで拘束されているロープ。
2)金具内のロープ径が奥端方向に複数の山形状に縮径変化されて拘束されているロープ。
3)口元から奥端に向かって均一な内径のロープ挿入用キリ穴を有し、外径側には、口元は相対的に小さく奥端方向には相対的に太い形状に変化させた部分を少なくともひとつ有する端末金具。
金具は合金鋼製で、アイエンドを含めた全長80mm、キリ穴長さ60mm、キリ穴径16.5mm、太径部の長さ40mm、山形角度αが12度の仕様とした。
ロープ挿入後、外径が一様なフラット状になるようにスエージ加工を行い、端末定着金具を有するロープを製作した。
得られた端末金具を引っ張り試験機に装着して引っ張り試験を行った。図8(a)は試験片を示しており、図8(b)は試験後の状態を示している。4.25KNの引っ張り荷重でゴムロープ中央付近で破断した。破断時のロープ伸びは無荷重のときに比べ5.9倍であった。
これは、外形の山形状太径部を塑性変形によりキリ穴の内径側に反転し、口元部ではロープは圧縮せず、それから先のキリ穴の内径方向に山形状のくびれを形成して内径を最も細め、ロープ圧縮量を最大としていることにより、ロープ本来の強度特性を損なうことなくロックできているからである。
2 端末金具
7 スエージ機
20 キリ穴
22 口元部
23 奥端
24 山形状大径部
240 第1部分
241 第2部分
242 稜線
243 稜線(薄肉部)
25 ノーマル肉厚部
26 山形状厚肉部
260 第1部分
261 第2部分
Claims (3)
- 口元から奥端に向かって均一な内径のロープ挿入用キリ穴を有し、外径側には、口元以外のところに太径部を少なくともひとつ有する筒状金具を用い、ロープをロープ挿入用キリ穴に挿入後、筒状金具をスエージ加工して太径部をロープ挿入用キリ穴側に反転突出させることにより、ロープ径が縮径するように圧締していることを特徴とするロープの端末定着方法。
- 筒状金具が口元より奥端の手前の部位に半径方向で山形状の太径部が形成されており、この山形状の太径部が反転している請求項1に記載のロープの端末定着方法。
- 山形状の太径部が口元より奥端方向に複数形成されているものを含む請求項2に記載のロープの端末定着方法。
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