JP2010057772A - ガス除去材および該ガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法 - Google Patents

ガス除去材および該ガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の臭気分子を素早く吸着できる速度と、多量に吸収できる容量とを備えると共に、低濃度の臭気分子を除去できるガス除去材およびこの除去材に含まれる複合化粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】 化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子16と、この化学反応粒子より粒径が小さく、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子14とからなり、
前記化学反応粒子16に物理吸着粒子14が固着した複合化粒子を含むようにした。
【選択図】図2

Description

この発明は、化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子に、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子を固着させた複合化粒子を含むガス除去材と、このガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法に関するものである。
悪臭等の臭気分子を除去するために、各種吸着材等を使用する方法が知られている。
吸着材等としては、例えば以下のものがある。
(1)臭気分子をファンデルワールス結合によって物理吸着する物理吸着材。
(2)臭気分子を化学結合によって化学吸着する化学吸着材。
(3)臭気分子と化学反応して吸収する化学反応材。
物理吸着材や化学吸着材は、吸着によって臭気分子を除去する。ここで吸着とは、吸着材の表面(界面)において臭気分子が捕捉され、臭気分子の濃度が平衡に達する現象をいう。空気中の臭気分子が吸着材に引き寄せられるのは、吸着材表面に存在する吸着材分子が電気的に不安定な状態となっているためである。これは、吸着材表面に存在する吸着材分子は、吸着材内部に存在する吸着材分子とは違って、表面側において隣接する物質が存在しておらず電気的に安定できないためである。
そして吸着には、大別して以下のような物理吸着材の吸着メカニズムである物理吸着と、化学吸着材の吸着メカニズムである化学吸着とがある。
一方、本発明において化学反応材は、表面に臭気分子を補足する吸着ではなく、内部に臭気分子を吸収して補足することで除去する物質である。
(物理吸着材について)
物理吸着材は、臭気分子をファンデルワールス結合によって吸着材分子に吸着するものである。ファンデルワールス結合とは、吸着材分子内や臭気分子内の電子分布の乱れによって発生する分子間力(ファンデルワールス力)によって形成される結合である。ファンデルワールス結合は、後述する化学結合に比較して弱く、吸着材分子と臭気分子との間の結合力は化学結合に比較して弱いため、可逆的な挙動を示す。この可逆性のため、物理吸着によって吸着材分子に一度吸着した臭気分子は再放出(脱着)される。更に、ファンデルワールス結合による物理吸着は、吸着材分子に対して臭気分子が多層的に吸着される、いわゆる多分子層吸着であることが知られている。
(化学吸着材について)
化学吸着材は、臭気分子を化学結合によって吸着材分子に吸着するものである。化学結合とは、吸着材分子と臭気分子との間での電子の授受によって発生する化学反応によって形成される結合である。化学結合は、前述のファンデルワールス結合に比較して強く、吸着材分子と臭気分子との間の結合力はファンデルワールス結合に比較して強いため、不可逆的な挙動を示す。この非可逆性のため、吸着材分子に一度吸着した臭気分子は再放出(脱着)しない。更に化学吸着は、吸着材分子に対して臭気分子が一層だけ吸着される、いわゆる単分子層吸着であることが知られており、この一層を吸着した後は吸着性能が失活する。
(化学反応材について)
化学反応材は、前述の化学吸着と同じように電気に安定しようとして引き寄せた臭気分子と反応材分子との間で、電子の授受によって形成される化学結合によって、その内部にまで臭気分子を補足する物質である。すなわち化学反応材は、化学吸着材とは異なり、反応材の全量が臭気分子と反応しつくすまで臭気分子を除去できる。
このような特性から、
(1)物理吸着材は、化学吸着と違って臭気分子と吸着材分子とを分子間力によるファンデルワールス結合を形成するにの必要な結合エネルギーが少ないから、臭気分子を吸着する速度が早い長所を有していた。
一方、物理吸着材は、以下の短所を有していた。すなわち、
(A)分子間力によるファンデルワールス結合は可逆的な結合であるから、一度吸着した臭気分子を放出する。
(B)臭気分子を吸着するのは表面だけであり、その内部には吸着できないから、臭気分子を吸着できる容量が小さい。
これに対して、(2)化学吸着材は、一度吸着された臭気分子を、化学変化によって安定的な他の物質(反応物)に変えるから、物理吸着材と違って臭気分子を再放出しない長所を有していた。
一方、化学吸着材は、以下の短所を有していた。すなわち、
(a)臭気分子との間に化学反応による化学結合を形成するから、これらと化学反応しない臭気分子の除去には使用できない。すなわち、化学吸着材は、特定の臭気分子しか吸着できない。
(b)化学吸着材は、物理吸着材が臭気分子を吸着するファンデルワールス結合に比較して大きな結合エネルギー(活性化エネルギー)を必要とする化学結合によって臭気分子を吸着するため、臭気分子を吸着する速度が遅い。
そして(3)化学反応材については、前述の(2)化学吸着材の長所に加えて更に、化学反応材の全量が反応し切るまでは、臭気分子を除去できるので、臭気分子を吸収できる容量が大きい長所があった。
更に、(1)物理吸着材は、化学吸着材と違って臭気分子を再放出してしまうため、(2)化学吸着材は、物理吸着材に比較して臭気分子を吸着するのに長時間かかるため、(3)化学反応材は、物理吸着材に比較して臭気分子を吸着するのに長時間かかるため、何れも単体では低濃度の臭気分子を、一定の時間内にほぼゼロになるまで除去できない問題があった。
このように物理吸着材、化学吸着材または化学反応材は、夫々に個別の問題を内在しているため、例えば下記の特許文献1〜4に記載されるような、これらを複合的に利用する各発明が案出されていた。
特許文献1に記載の発明は、水に対する溶解度等を所要値としたヒドラジン誘導体群から選択された1種以上の化合物と、吸着性を有する無機物質群から選択された1種以上の化合物との混合物を消臭剤とするものである。
特許文献2に記載の発明は、炭酸カルシウムと非晶質シリカである成形体内にヒドラジド化合物、アゾール化合物及びアジン化合物等の吸着剤を含有させて調湿建材とするものである。
特許文献3に記載の発明は、ケイ酸カルシウム水和物に、所定量のポリエチレンイミンを担持させることでアルデヒドガス吸着剤を得るものである。
特許文献4に記載の発明は、無機多孔質体にトリアゾール類を添着させた消臭性組成物を得るものである。
特開平8−280781号公報 特開2002−1112号公報 特開2006−272047号公報 特開2006−75312号公報
しかし、前述の各特許文献1〜4に記載の発明には以下の問題があった。
特許文献1記載の発明では、溶解度等の相違によって、化学反応材であるヒドラジン誘導体群化合物と、物理吸着材である無機物質群とが凝集してしまうため、この両物質を安定して混合できず、充分に分散できなかった。このようにヒドラジン誘導体群化合物と無機物質群との安定的かつ充分に混合・分散されないと、この両物質がそれぞれ個別に発現する能力を複合的に発揮することができなかった。
特許文献2記載の発明では、物理吸着材である炭酸カルシウムと非晶質シリカを成形体とする点で特許文献1に記載の発明とは異なるが、成形体とヒドラジド化合物、アゾール化合物及びアジン化合物等の吸着剤とを充分に混合しなければならない点では同じであり、同様の問題があった。
特許文献3または4記載の発明では、物理吸着材と化学反応材とを固体状態で混合しないから、前述の特許文献1または2記載の発明のような問題は発生しない。しかし、化学反応材を溶解させた溶液に物理吸着材を含浸させた後に乾燥させることで、化学反応材を物理吸着材に担持・添着するため、複数の工程が必要となり、その制御・管理といった煩雑さが増して製造コストが高くなる問題があった。更に所要の溶液に溶解する物質しか化学反応材として使用できなかった。
すなわち本発明は、従来の技術に係るガス除去材およびこのガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法に内在する課題を解決するものであって、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の臭気分子を素早く吸着できる速度と、多量に吸収できる容量とを備えると共に、低濃度の臭気分子を除去できるガス除去材およびこのガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るガス除去材は、
化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子と、この化学反応粒子より粒径が小さく、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子とからなり、
前記化学反応粒子に物理吸着粒子が固着した複合化粒子を含むことを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法は、
化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子と、この化学反応粒子より粒径が小さく、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子とを予め準備し、
それぞれ所定量に計量された前記化学反応粒子および物理吸着粒子を接触させることで、多数の該物理吸着粒子を化学反応粒子に固着させる複合化粒子の製造方法であって、
前記化学反応粒子および物理吸着粒子は、接触によって生成される複合化粒子のメジアン径(Be)と、該生成直後の複合化粒子に0.5MPaの圧縮空気を吹き付けた後のメジアン径(Af)との比(Af/Be)が0.7以上になるように固着されることを特徴とする。
本発明に係るガス除去材およびこのガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法によれば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の臭気分子を短時間の間に素早く吸着する速度と、臭気分子を長期間に亘って吸収できる容量とを備えると共に、低濃度の臭気分子を除去できるガス除去材およびこの除去材に含まれる複合化粒子の製造方法を提供できる。
次に本発明に係るガス除去材と、このガス除去材に含まれる複合化粒子の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。本願発明者は、臭気分子を吸着して除去する物理吸着粒子と、吸収して除去する化学反応粒子とを単に混合するのではなく、化学反応粒子を核として、その表面に物理吸着粒子を固着させることで、物理吸着粒子が発現する臭気分子を短時間に吸着する早い速度(以下、吸着速度と云う)と、化学反応粒子が発現する長時間に亘って臭気分子を吸収できる大きな容量(以下、吸収容量と云う)とを有すると共に、低濃度の臭気分子を除去できる複合化粒子を備えるガス除去材が得られることを知見したものである。
(ガス除去材10について)
実施例に係るガス除去材10は、複合化粒子12および分散物理吸着粒子15とを含んでいる。
図1に示す如く、複合化粒子12は、化学反応粒子16を核として、その表面に多数の物理吸着粒子14が固着している。分散物理吸着粒子15は、化学反応粒子16に固着しておらず、複合化粒子12の周りに分散して存在する物理吸着粒子14である。すなわちガス除去材10は、物理吸着粒子14および化学反応粒子16を構成要素としている。
(物理吸着粒子14について)
物理吸着粒子14としては、活性炭、木炭、シリカゲル、大谷石、アルミナゲル、ゼオライト、活性白土、ケイ酸カルシウム水和物または炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)等の物理吸着材を粒子形状にしたものが使用される。特にケイ酸カルシウム水和物または炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物が好適に使用される。
これは、ケイ酸カルシウム水和物または炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物は、比表面積が大きく臭気分子の物理吸着量が多いことに加えて、臭気分子を吸着する細孔径分布が広く、多様な大きさの臭気分子、すなわち多種類の臭気分子を吸着できるからである。なお、ここで粒子形状とは、粒状だけでなく塊状の形状を含む。
そして、物理吸着粒子14は、その表面に多分子層吸着によって臭気分子を吸着することで除去するから、単分子層吸着のメカニズムによって臭気分子を吸収する化学反応粒子16よりも臭気分子の除去が早い。
(化学反応粒子16について)
化学反応粒子16としては、臭気分子と化学反応を起こし、(化学)吸収できる化学吸収材を粒子形状にしたものが使用される。例えばホルムアルデヒドや、アセトアルデヒドを吸収する場合には、化学反応粒子16としてヒドラジド化合物が好適に使用される。このように、吸収する臭気分子に合わせて、化学反応粒子16を構成する化学吸収材の種類を適宜選択・使用することで、多くの種類の臭気分子を吸収できる複合化粒子12を製造できる。
なお、化学反応粒子16は、特定の臭気分子とだけ化学反応を起こす物質であるから、物理吸着粒子14に比較して原料コストが高い。また、ここで粒子形状とは、粒状だけでなく塊状の形状を含む。
化学反応粒子16は、臭気分子だけを吸収できるように選択されているから、他の分子と化学反応を起こさない。また化学反応粒子16は、その内部まで臭気分子を吸収できるから、除去できる臭気分子の総量が表面積で決まる物理吸着粒子14に比較して、多量の臭気分子を除去できる。これは、臭気分子を吸収することで化学反応粒子16の表面に形成される臭気分子と化学反応粒子16との反応物が、臭気分子の通過を阻害しないためである。
なお、本発明のガス除去材において、複合化粒子12の核になれない小さな化学反応粒子16は、複合化粒子12の表面を構成する物理吸着粒子14や、分散物理吸着粒子15の表面に付着して臭気分子の除去に寄与する。
(複合化粒子12について)
複合化粒子12は、図2に示す如く、一つの化学反応粒子16の表面に対して、多数の物理吸着粒子14がその一部をめり込ませて固着していると考えられる。このような構造である複合化粒子12は、物理吸着粒子14が有する早い吸着速度および化学反応粒子16が有する大きな吸収容量を複合的に発現するから、臭気分子を除去する速度が早く、かつ臭気分子を除去できる容量が大きい。すなわち、化学反応粒子16の大きな吸収容量が発現するから、臭気分子を吸着できる容量が小さい物理吸着粒子14の欠点は問題とならず、また物理吸着粒子14の早い吸着速度が発現するから、臭気分子を吸収する速度が遅い化学反応粒子16の欠点は問題とならない。なお複合化粒子12は、化学反応粒子16の表面に、少なくとも物理吸着粒子14が直接的に固着した構造となっている。
また、後述する物理吸着粒子14および化学反応粒子16を混合する条件によっては、化学反応粒子16の表面に固着した物理吸着粒子14を介して、化学反応粒子16の表面に間接的に固着する構造となる。この化学反応粒子16の表面に固着した物理吸着粒子14を介して、化学反応粒子16の表面に間接的に固着する物理吸着粒子14の数は、複合化粒子12を構成する物理吸着粒子14の粒径と、化学反応粒子16の粒径とによって変化すると考えられ、物理吸着粒子14の粒径と化学反応粒子16の粒径との差が大きい程、多くなることが確認されている。
(複合化粒子12による臭気分子の除去について)
複合化粒子12が、どのように物理吸着粒子14の吸着速度および化学反応粒子16の吸収容量を複合的に発現して臭気分子を除去するかは定かではないが、そのメカニズムは以下のように推測されている。なお、一定容積の空間内に所要量の複合化粒子12が載置されると共に、一定濃度の臭気分子が入れられているとする。
(1)複合化粒子12の表面を形成する物理吸着粒子14に、臭気分子が物理吸着される。このとき、物理吸着粒子14による臭気分子の物理吸着は短時間で完了する。これは物理吸着では、臭気分子が多分子層吸着されて、単位面積当たりの吸着量が大きいからである。
(2)物理吸着粒子14内に物理吸着される臭気分子の濃度が高くなると、化学反応粒子16に固着している部位近傍(以下、固着部位と云う)における臭気分子の濃度も高くなる。
(3)物理吸着粒子14における固着部位で濃度が高くなった臭気分子は、化学反応粒子16に移動する。これは固着部位において、物理吸着粒子14側の臭気分子の濃度が、化学反応粒子16側の臭気分子の濃度よりも高いために濃度勾配が発生し、臭気分子が濃度の高い側から低い側に移動するためである。
(4)そして、物理吸着粒子14から化学反応粒子16に臭気分子が移動すると、化学反応粒子16内の臭気分子の濃度が高くなる。このように臭気分子の濃度が高くなると、臭気分子と化学反応粒子16との反応速度が早くなり、濃度が低い場合に比較して化学反応粒子16に臭気分子が短時間で吸収される。
このときの化学反応粒子16による臭気分子の吸収速度の増加は著しいと考えられる。これは、化学反応粒子16の臭気分子が、化学吸着と同じ単分子層吸着のメカニズムで吸収されるものであって、臭気分子の吸収速度が一定濃度までは急激に大きくなる単分子層吸着の特性のためである。
(5)物理吸着粒子14から化学反応粒子16へ臭気分子が移動すると、物理吸着粒子14内の臭気分子の濃度が低下する。従って、臭気分子の物理吸着粒子14への吸着速度は遅くなることはない。
(低濃度の臭気分子の除去について)
また、物理吸着粒子14に吸着された臭気分子は、物理吸着粒子14から再放出されても化学反応粒子16によって吸収される。このため、これまで単体の物理吸着粒子14や、単体の化学反応粒子16では困難だった低濃度の臭気分子の除去が、本発明に係るガス除去材10に含まれる複合化粒子12では可能となっている。なお、ここで低濃度の臭気分子の除去が可能となるとは、臭気分子をその濃度が閾値(人間が感じ取ることができる濃度)以下にまで除去できることを指し、例えばホルムアルデヒドの閾値は0.50ppm、アセトアルデヒドの閾値は0.0015ppmである。
(物理吸着粒子14(含む分散物理吸着粒子15)と化学反応粒子16との比率について)
物理吸着粒子14と化学反応粒子16との重量比率は、物理吸着粒子14:化学反応粒子16=97:3〜80:20の範囲にされる。この値が、97:3〜80:20の範囲外なると、何れの場合も臭気分子の吸着速度が遅くなったり、吸収容量が低下したり、低濃度の臭気分子が除去できなくなる。
具体的に、化学反応粒子16の重量比率が3未満の(物理吸着粒子14の重量比率が97を超える)場合は、複合化粒子12内に含まれる化学反応粒子16が少なくなり、複合化粒子12を形成する核があまり存在しなくなる。この場合、ガス除去材10中における複合化粒子12が減少するから、化学反応粒子16に由来する吸収容量が小さくなって長期間に亘って臭気分子を除去できなくなる。また、物理吸着粒子14が一度吸着した臭気分子の化学反応粒子16への移動が困難となるから、吸着速度が遅くなったり、低濃度の臭気分子の除去が困難となる。
一方、化学反応粒子16の重量比率が20を超える(物理吸着粒子14の重量比率が80未満の)場合は、ガス除去材10の全体に占める物理吸着粒子14が少なくなるから、吸着速度が遅くなる。また、物理吸着粒子14が少なくなると、臭気分子の除去する吸収速度が遅いという化学反応粒子16の欠点を物理吸着粒子14が補えなくなるから、低濃度の臭気分子の除去が困難となる。
この他、臭気分子の濃度が数ppm程度の現実的な使用場面においては、化学反応粒子16の重量比率が20以下でも充分な吸収容量の確保が可能であり、またガス除去材10の全体に占める化学反応粒子16の量が多くなると原料コストも高くなるから、化学反応粒子16の重量比率を20を超える値とする必要がない。
(分散物理吸着粒子15について)
ガス除去材10は、複合化粒子12の他、化学反応粒子16に固着していない分散物理吸着粒子15(物理吸着粒子14)を含んでいる。分散物理吸着粒子15は、複合化粒子12の周りに分散することで、複合化粒子12の周りに臭気分子を引き寄せて濃度を高くするように作用すると推測される。このような作用により、複合化粒子12を構成する物理吸着粒子14が、更に効率的に臭気分子を吸着できるようになるから、臭気分子の吸着速度を更に速くする効果を奏する。
なお、前述した複合化粒子12の臭気分子の除去メカニズムから明らかなように複合化粒子12の存在だけで、臭気分子を素早く除去する吸着能力を長期間に亘って維持して多量の臭気分子を除去できる吸収容量を備えると共に、低濃度の臭気分子を除去できるから、分散物理吸着粒子15はなくてもよいと考えられる。
(物理吸着粒子14および化学反応粒子16の粒径について)
個々の複合化粒子12を構成する化学反応粒子16の粒径は、この化学反応粒子16に固着する物理吸着粒子14の粒径以上、好適には10倍以上とされる。化学反応粒子16の粒径が物理吸着粒子14の粒径未満となると、化学反応粒子16と物理吸着粒子14とが接触部分が平面的になってしまうために、物理吸着粒子14が化学反応粒子16にめり込み難くなる。この場合、物理吸着粒子14が化学反応粒子16に固着し難くなるから、後述する製造方法によっても、化学反応粒子16に対して物理吸着粒子14が固着した複合化粒子12の製造が困難となる。
具体的には、複合化粒子12を製造するのに使用する物理吸着粒子14および化学反応粒子16を篩い等を使用することで、予め物理吸着粒子14の粒径:化学反応粒子16の粒径=1:10以上としておくことが好ましい。また、一定の粒度分布を有する物理吸着粒子14および化学反応粒子16を使用する場合には、物理吸着粒子14の粒径:化学反応粒子16の粒径=1:10以上の関係となる物理吸着粒子14および化学反応粒子16の量が多くすることが好ましい。
また、化学反応粒子16の粒径が、物理吸着粒子14の粒径の10倍以上の場合、後述する製造時に物理吸着粒子14が化学反応粒子16に対する固着力が強くなるから、後述するメジアン径の比(Af/Be)を容易に0.7以上にできる。すなわち、製造時に化学反応粒子16に対して物理吸着粒子14が衝突する力が、より小さい部分だけに作用することで、化学反応粒子16に物理吸着粒子14がより深くめり込むようになるからである。
化学反応粒子16の粒径が物理吸着粒子14の粒径の10倍未満となると、化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力が弱くなって、物理吸着粒子14および化学反応粒子16が単に混合されただけの状態となり易く、化学反応粒子16に固着する物理吸着粒子14が減ってしまう。この場合、複合化粒子12における固着部位の面積が減少するから、物理吸着粒子14から化学反応粒子16への臭気分子の移動が遅くなってしまう。従って、物理吸着粒子14内の臭気分子の濃度が低下しなくなって臭気分子を吸着する面積が経るから、臭気分子の物理吸着粒子14への吸着速度が遅くなる。
(複合化粒子12の製造方法)
以下に複合化粒子12の製造方法につき説明する。実施例に係る複合化粒子12(ガス除去材10)は、原料準備工程S1および混合工程S2を経ることで製造される。原料準備工程S1は、物理吸着粒子14および化学反応粒子16を準備し、所要量に計量する工程である。本実施例においては、物理吸着粒子14として炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物が用いられ、化学反応粒子16として水溶性のアルデヒド化合物が用いられる。また、計量される所要量は、前述した物理吸着粒子14と化学反応粒子16との重量比率(物理吸着粒子14:化学反応粒子16=97:3〜80:20)に従って決定される。
(混合工程S2について)
混合工程S2は、一定以上の混合力(圧縮力、剪断力)をかけて、準備工程S1で準備された物理吸着粒子14および化学反応粒子16を接触させて混合する工程である。混合工程S2を経ることで、それぞれがバラバラになっている多数の物理吸着粒子14および化学反応粒子16が衝突し合い、粒径の小さな物理吸着粒子14が、粒径の大きな化学反応粒子16の表面に固着した複合化粒子12が得られる。
また、物理吸着粒子14、化学反応粒子16の種類によっては、原料段階で凝集して塊状化していても本混合工程S2の実施によって個々の粒子にバラバラにされて、効率的に複合化粒子12が製造される。
なお、化学反応粒子16に固着しなかった物理吸着粒子14は分散物理吸着粒子15となる。また、製造された複合化粒子12に対して、別途物理吸着粒子14を加えることで、分散物理吸着粒子15としてもよい。
(メジアン径の比(Af/Be)について)
そして、ガス除去材10に複合化粒子12が一定以上含まれる場合、前述した臭気分子の吸着・吸収のメカニズムが効率的に発現する。従って、臭気分子を素早く除去する吸着速度と、長期間に亘って臭気分子を除去できる大きな吸収容量とを備えると共に、低濃度の臭気分子を除去するためには、ガス除去材10内に含まれる複合化粒子12が多い方が好ましい。この点につき本願発明者は、化学反応粒子16および物理吸着粒子14の接触によって生成される複合化粒子12のメジアン径(Be)と、該生成直後の複合化粒子12に0.5MPaの圧縮空気を吹き付けた後のメジアン径(Af)との比(Af/Be)を0.7以上とすることが好適であることを見出した。従って、複合化粒子12を製造する際には、メジアン径の比(Af/Be)が0.7以上となるように、物理吸着粒子14および化学反応粒子16が接触・混合される。
なお、ここでは生成直後の複合化粒子12に吹き付ける媒体として圧縮空気を示しているが、同様の衝撃を与えられるものであれば、例えば窒素、二酸化炭素等の気体を使用してもよい。
また、メジアン径の比(Af/Be)は、化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力を表している。例えば、化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力が弱ければ、一度固着した物理吸着粒子14と化学反応粒子16とが簡単に分離してしまう。このように複合化粒子12に一度固着した物理吸着粒子14が分離すると、分離した物理吸着粒子14の分だけメジアン径(Af)がメジアン径(Be)より小さくなるから、結果としてメジアン径の比(Af/Be)は小さくなる。
反対に、物理吸着粒子14と化学反応粒子16との固着力が強ければ、一度固着した物理吸着粒子14と化学反応粒子16とは簡単には分離しない。この場合、メジアン径の比(Af/Be)は固着力が弱い場合に比較して1に近づく。
すなわち、このメジアン径の比(Af/Be)が一定値より低いと、混合によって得られる複合化粒子12を構成する化学反応粒子16と物理吸着粒子14との固着力が弱く、これらが分離してガス除去材10における複合化粒子12の比率が小さくなる。従って、臭気分子を素早く除去する吸着速度の達成、長期間に亘って臭気分子を除去できる大きな吸収容量の達成および低濃度の臭気分子の除去が困難となる。そして、本実施例においては後述する実験2〜4から明らかなように、メジアン径の比(Af/Be)が0.7以上であれば、ガス除去材10中に複合化粒子12が充分に残り、その結果、臭気分子を素早く除去する吸着速度、長期間に亘って臭気分子を除去できる大きな吸収容量および低濃度の臭気分子の除去が達成できることが確認された。
(化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力について)
また、化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力は、物理吸着粒子14が化学反応粒子16に衝突する力(物理吸着粒子14と化学反応粒子16との混合力)によって決定される。ここで、化学反応粒子16に物理吸着粒子14が衝突する力は、物理吸着粒子14が化学反応粒子16の運動量をどれだけ変化させるかを表す力積として扱うことができる。
すなわち、化学反応粒子16に物理吸着粒子14が衝突する力は、当該力の大きさおよびこの力をかける時間の積によって表すことができる。従って、力の大きさまたは時間の少なくとも一方が一定以上の値とすれば、化学反応粒子16に対する物理吸着粒子14の固着力は強くなり、メジアン径の比(Af/Be)を0.7以上とすることができる。
(混合工程S2に使用される機器について)
混合工程S2は、具体的にはハイスピードミキサー、スーパーミキサー、ターボスフェアミキサー、アイリッヒミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイブリダイゼイションシステム、ナウターミキサーまたはリボンブレンダーといった一般的な混合装置や、ボールミルまたはジェットミル等の粉砕・混合を同時に行なう混合装置によって実施される。
これらの機器の作動は、メジアン径の比(Af/Be)が0.7以上になるように、物理吸着粒子14と化学反応粒子16とが衝突する力の大きさや力をかける時間が調整される。この中でも、特にボールミルまたはジェットミルが、物理吸着粒子14と化学反応粒子16とが衝突する力を大きくできて、短時間で複合化粒子12を製造できるから好適である。
なお、ボールミルまたはジェットミル等の粉砕作用を有する装置については、粉砕された後の化学反応粒子16の粒径が、粉砕された後の物理吸着粒子14の粒径の10倍以上となるようにすればよい。
このようにして製造されるガス除去材10は、混合工程S2の実施の後に、例えば型成形等の加工を施して、その外形を顆粒状または錠剤状に成形してもよい。このように加工成形することで、ガス除去材10の取り扱い性を向上でき、また、紙材や不織布等の基材に付着させることが容易となる。
本実施例では、物理吸着粒子14として炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を使用し、化学反応粒子16として水溶性のヒドラジド化合物を使用している。そして、炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物は水分を吸着する性質を備え、ヒドラジド化合物は水分に溶解する。このため、複合化粒子12における物理吸着粒子14と複合化粒子12との固着部位では、化学反応粒子16の一部が物理吸着粒子14に含まれる水分に溶解する。すると、溶解した化学反応粒子16が、物理吸着粒子14における固着部位に拡がることになる。このように物理吸着粒子14内に化学反応粒子16が拡がることにより、化学反応粒子16が物理吸着粒子14に対して物理的なアンカー効果を発現し、複合化粒子12に対する物理吸着粒子14の固着がより強固になる効果を奏する。
(実験例)
以下に本発明に係る複合化粒子の製造方法を用いて製造したガス除去材についての実験例を記す。なお、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(実験1)
化学反応粒子および物理吸着粒子の重量比率について実験1を行なった。物理吸着粒子(メジアン径30μmの炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(真密度2.35g/cm3))および化学反応粒子(メジアン径30μmのヒドラジド化合物(真密度1.25g/cm3))を下記の表1に記載の重量比率で合計100gとなるように準備し、準備した両粒子を内容積2.7リットルのボールミル中に、内容積の60%となるようにしたアルミナ製のボール(直径がそれぞれ20mm、30mmおよび35mmのボールを、その重量割合が10:2:3となるように使用)と共に投入し、ボールミル回転装置(製品名 BKF−200;TERAOKA製)を時間45分の条件で作動させて混合して実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−5に係る複合化粒子を製造した。このときのポールミルの回転速度は80回転/分であった。
なお、参考例として、物理吸着粒子だけ(参考例1−1)、化学反応粒子だけ(参考例1−2)および物理吸着粒子:化学反応粒子=94:6を単にビニール袋を使用して手揉みで混合しただけ(参考例1−3)のものについて、同様の実験を実施した。
前述のボールミル混合による物理吸着粒子および化学反応粒子の粉砕後の粒径はそれぞれ0.5〜30μmおよび5〜120μmであることが、参考例1−1および1−2に係る粒子のボールミルによる処理物の粒度分布を、粒度分布測定装置(製品名 LA−920;堀場製作所製)で測定することで確認された。
また、ボールミル混合によって得られる各実施例および各比較例に係る複合化粒子の粒度分布(Be)を前述の粒度分布測定装置によって測定し、その後、同装置内蔵の吹付機構を用いて0.5MPaの空気を吹き付けた後の粒度分布(Af)を測定した。そしてこの2つの粒度分布の結果から、ボールミル混合によって得られる各実施例および各比較例に係る複合化粒子のメジアン径比(Af/Be)は何れも0.7以上であることが確認された。
(1)製造された各実施例に係る複合化粒子を含むガス除去材を、走査型電子顕微鏡(製品名 JSM−820;日本電子製)によって目視観察した。
(2)製造された各実施例、各比較例および各参考例に係る複合化粒子を含むガス除去材を0.2g準備し、これを容積量2リットルの密閉空間に入れると共に、この空間内にアセトアルデヒドを100ppmまたは5ppmとなるように注入した。そして、アセトアルデヒド濃度の時間変化(1時間後、2時間後、4時間後および6時間後)を、JIS K 0804に準拠した検知管式ガス測定器(ガステック製)を使用して測定した。なお、表1および後述の表4において、アセトアルデヒド検出用のガス測定器は、最小測定目盛が1ppmになっており、1ppm未満のガス濃度については検知可能である一方でその濃度は分からないので、1ppm未満のガス濃度を検知した場合には「1ppm未満」と表記する。
(実験1の結果)
(1)走査型電子顕微鏡で観察された複合化粒子の一例(実施例1−2)を図3に示す。この図3や、各実施例に係る複合化粒子の観察の結果、化学反応粒子の表面に物理吸着粒子が隙間無く固着している複合化粒子と、この複合化粒子の周りに分散する物理吸着粒子とが確認された。なお、走査型電子顕微鏡写真の倍率は950倍であり、図面右下に附したスケールは10μmを表している。
(2)上記表1に実験1(2)の結果を示す。この表1から、ガス除去材における化学反応粒子と物理吸着粒子との重量比率が3:97〜20:80の範囲である場合に、良好な臭気分子の吸着速度および吸収容量とを発現すると共に、低濃度の臭気分子も人間が知覚できない閾値以下にまで除去できることがことが確認された。また、参考例1−3の結果から、物理吸着粒子と化学吸着粒子とを単に混合しただけでは、複合化粒子12が発現する吸着速度と吸収容量とは発現せず、また低濃度の臭気分子を除去できないことが確認された。
(実験2)
ボールミルを使用して得られる混合複合化粒子のメジアン径について実験2を行なった。実験2では、実験1と同様の物理吸着粒子および化学反応粒子を94:6の重量比率で使用し、これを実験1と同じ混合条件の下に、下記の表2に記載の混合時間で混合し、実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−3に係る複合化粒子を製造した。
製造された各実施例および比較例に係る複合化粒子を含むガス除去材について、実験1で使用した粒度分布測定装置を用いて粒度分布(Be)を測定し、その後、同装置内蔵の吹付機構を用いて0.5MPaの空気を吹き付けた後の粒度分布(Af)を測定した。そしてこの2つの粒度分布の結果から、それぞれのメジアン径(Be,Af)の値を得て、メジアン径比(Af/Be)を算出した。
(実験2の結果)
上記表2に実験2の結果を示す。この表2から、本実験2の混合条件下では、混合時間を30分以上にすることで、メジアン径比(Af/Be)が0.7以上の複合化粒子が得られることが確認された。また、混合時間を長くすることでメジアン径比(Af/Be)が1に近づくことが確認された。すなわち、混合時間を長くすることで、化学反応粒子に対する物理吸着粒子の固着力を強固なものとして、ほとんど化学反応粒子と物理吸着粒子とが分離しない複合化粒子を製造し得る。
(実験3)
ジェットミルを使用して得られる混合複合化粒子のメジアン径について実験3を行なった。実験3では、実験2と同様の条件の物理吸着粒子および化学反応粒子を合計2500gとなるように準備し、これをジェットミル混合装置(製品名 ナノジェットマイザー;アイシンナノテクノロジー製)を用いて、下記の表3に記載の噴射圧力によって混合し、実施例3−1〜3−3並びに比較例3−1および3−2に係る複合化粒子を製造した。
製造された各実施例に係る複合化粒子を含むガス除去材について、実験2と同様の方法でメジアン径比(Af/Be)を算出した。
(実験3の結果)
上記表3に実験3の結果を示す。この表3から、本実験3の混合条件下では、噴射圧力を0.3MPa以上にすることで、メジアン径比(Af/Be)が0.7以上の複合化粒子が得られることが確認された。また、噴射圧力を高くすることでメジアン径比(Af/Be)が1に近づくことが確認された。すなわち、噴射圧力を高くすることで、化学反応粒子に対する物理吸着粒子の固着力を強固なものとして、殆ど化学反応粒子と物理吸着粒子とが分離しない複合化粒子を製造し得る。更に、噴射圧力を0.4以上とすることで、メジアン径比(Af/Be)が0.9以上となり、本方法で製造された複合化粒子を構成する物理吸着粒子は、固着した化学反応粒子からほとんど分離しないことが確認された。
(実験4)
複合化粒子のメジアン径と、吹き付ける圧縮空気の圧力とについて、実験2および実験3で得られた各実施例および各比較例に係る複合化粒子を用いて、実験1(2)と同様のアセトアルデヒド除去試験を行なう実験4を実施した。
(実験4の結果)
下記表4に実験4の結果を示す。この表4から、ガス除去材における化学反応粒子と物理吸着粒子との固着力を表すメジアン径比(Af/Be)が0.7以上であれば、良好な臭気分子の吸着速度および吸収容量を発現すると共に、低濃度の臭気分子も人間が知覚できない閾値以下にまで除去できることがことが確認された。また、混合方法がボールミル混合またはジェットミル混合と異なっても、メジアン径比(Af/Be)が同じであれば、同等の臭気分子の除去が可能であることが確認された。
本発明の好適な実施例にガス除去材を示す概略説明図である。 実施例に係るガス除去材に含まれる複合化粒子を示す断面図である。 実験1における実施例1−2に係るガス除去材に含まれる複合化粒子の走査型電子顕微鏡写真図である。
符号の説明
10 ガス除去材
12 複合化粒子
14 物理吸着粒子
15 分散物理吸着粒子
16 化学反応粒子

Claims (9)

  1. 化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子と、この化学反応粒子より粒径が小さく、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子とからなり、
    前記化学反応粒子に物理吸着粒子が固着した複合化粒子を含むことを特徴とするガス除去材。
  2. 前記ガス除去材は、前記複合化粒子の周りに分散している分散物理吸着粒子を含んでいる請求項1記載のガス除去材。
  3. 前記分散物理吸着粒子は、前記化学反応粒子に固着した後に分離した物理吸着粒子である請求項1または2記載のガス除去材。
  4. 前記複合化粒子は、前記化学反応粒子に物理吸着粒子を固着させた後のメジアン径(Be)と、該メジアン径(Af)となっている複合化粒子に0.5MPaの圧縮空気を吹き付けた後のメジアン径(Af)との比(Af/Be)が0.7以上である請求項1〜3の何れか一項に記載のガス除去材。
  5. 前記物理吸着粒子と化学反応粒子との重量比率は、97:3〜80:20の範囲にされる請求項1〜4の何れか一項に記載のガス除去材。
  6. 前記化学反応粒子は、ヒドラジド化合物である請求項1〜5の何れか一項に記載のガス除去材。
  7. 前記物理吸着粒子は、炭酸化低結晶質ケイ酸カルシウム水和物である請求項1〜6の何れか一項に記載のガス除去材。
  8. 前記ガス除去材は、外形が顆粒状または錠剤状に成形されている請求項1〜7の何れか一項に記載のガス除去材。
  9. 化学反応により臭気分子を吸収する化学反応粒子と、この化学反応粒子より粒径が小さく、臭気分子を物理吸着する物理吸着粒子とを予め準備し、
    それぞれ所定量に計量された前記化学反応粒子および物理吸着粒子を接触させることで、多数の該物理吸着粒子を化学反応粒子に固着させる複合化粒子の製造方法であって、
    前記化学反応粒子および物理吸着粒子は、接触によって生成される複合化粒子のメジアン径(Be)と、該生成直後の複合化粒子に0.5MPaの圧縮空気を吹き付けた後のメジアン径(Af)との比(Af/Be)が0.7以上になるように固着されることを特徴とする複合化粒子の製造方法。
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