JP2010048954A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱保存性に優れ、かつ広い定着可能領域を有する電子写真用トナー、及び該電子写真用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られる電子写真用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真用トナーとその製造方法に関する。
電子写真用トナーの分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応したトナーの開発が要求されている。さらに、トナーの微細化に加え、トナーの耐熱保存性や広い定着温度幅などの性能も求められている。
トナーの耐熱保存性を向上させるには、ガラス転移点の高い樹脂を用いる方法があるが、この場合、低温定着性が悪化することがある。また、定着温度幅を広げるためには、樹脂の高分子量成分を増加させることが有効であるが、バルク重合の場合、高分子量成分の分子量低下を防ぎつつ粉砕することは困難である。また、水系媒体中で重縮合してトナーを製造する方法においては、高分子量体を作製することが実質的に困難であった。更に、乳化凝集法等を用いる場合においても大量の溶剤や機械力を必要としたり、乳化の際に高分子量体の分解が起こるなどの課題があった。
トナーの定着性能や耐久性を高める方法として、例えば、水中で重縮合した乳化粒子にカルボジイミド化合物を添加し、粒子表面に化学結合を形成させる方法が開示されている(特許文献1)。また、オキサゾリン基を有する反応性高分子を、ビニル系樹脂として使用し、トナー定着時に架橋する技術が開示されている(特許文献2)。更に、耐久性等の観点から、3価以上の多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用する電子写真用トナーが開示されている(特許文献3)。
特開2006-317715号公報 特開2004-163854号公報 特開2008-39896号公報
上記特許文献1〜3の各々に開示された技術では、樹脂の高分子化が十分でなく、耐熱保存性や広い定着温度幅、すなわち広い定着可能領域の達成が困難であった。
本発明は、耐熱保存性に優れ、かつ広い定着可能領域を有する電子写真用トナー、及び該電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明は、
[1]3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られる電子写真用トナー、及び
[2](1)3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合してポリエステルを得る工程、
(2)工程(1)で得られたポリエステルを含有する樹脂を含む樹脂粒子及び/又はその凝集粒子の分散液と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子を含む重合体乳化液とを混合して、水系媒体中で上記樹脂粒子と上記乳化粒子を凝集させる工程、及び
(3)工程(2)で得られた凝集粒子を合一させる工程、
を有する電子写真用トナーの製造方法、
を提供する。
本発明によれば、耐熱保存性に優れ、かつ広い定着可能領域を有する電子写真用トナーを提供することができる。
[電子写真用トナー]
本発明の電子写真用トナーは、3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステル(以下、「本発明におけるポリエステル」ともいう)を含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られるものである。
(本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子)
本発明におけるポリエステル
上記樹脂粒子は、3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含有するものである。ポリエステルは、トナーの定着性及び耐久性の観点から含有され、分岐構造を有する分岐ポリエステルを含有するものであることが好ましい。
本発明におけるポリエステルの原料成分としての3価以上の多価カルボン酸成分は、全カルボン酸中に5〜40モル%含有される。従って、本発明におけるポリエステル中の3価以上の多価カルボン酸に由来する構成単位の割合は、上記カルボン酸成分中の3価以上のカルボン酸の割合に相当するものとなる。
本発明におけるポリエステルの原料モノマーには公知のモノマーが用いられ、本発明においては、該モノマーとして、少なくとも、3価以上の多価カルボン酸成分が用いられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、縮合反応性が良好であり、耐熱保存性及び定着可能領の広いトナーを得るポリエステルを含有する観点から、トリメリット酸、及びトリメリット酸酸無水物並びにアルキル(炭素数1〜3)エステル等が好ましい。
3価以上のカルボン酸成分は、全カルボン酸成分中に5〜40モル%含有される。この含有量は、3価以上のカルボン酸による架橋を有効に形成する観点から、7〜40モル%含有されることが好ましく、10〜35モル%含有されることがより好ましい。
その他のモノマー成分は特に限定されず、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸成分がいずれも用いられる。
その他のカルボン酸としては2価のカルボン酸が用いられ、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記カルボン酸は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アルコール成分として、2価のアルコールとしては、具体的には、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、水素添加ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。上記アルコール成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃程度の温度で縮重合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
これら本発明におけるポリエステルは、結着樹脂中、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、ポリエステルには、変性されていないポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれるが、本発明においては、変性されていないポリエステルであることが好ましい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
トナーの定着性および耐熱保存性の観点から、ポリエステルの軟化点は70〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。また、ポリエステルは、酸基を有するものであることが好ましく、酸価は、乳化する際の製造性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間等を調節することにより所望のものを得ることができる。
ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよいが、トナーの定着性及び帯電性の観点から、非晶質ポリエステルであることが好ましい。
本発明において、「非晶質ポリエステル」とは、軟化点と吸熱の最大ピーク温度の比(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)で定義される結晶性指数が好ましくは1.3より大きく4以下、より好ましくは1.5〜3であるものをいう。結晶性指数が1.3以下のものは結晶化度が高く非晶質ポリエステルではなく、一般に結晶性ポリエステルと呼ばれるものである。軟化点と吸熱の最大ピーク温度の比は、原料モノマーの種類とその比率、分子量、製造条件(例えば、冷却速度)等により調整される。吸熱の最高ピーク温度は、示差走査熱量計を用いて測定することができ、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度をいう。
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂
3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステル(本発明のポリエステル)を含有する樹脂粒子を構成する樹脂(以下、「結着樹脂」ということがある)は上記本発明におけるポリエステルとともにそれ以外の他の樹脂を含有することができる。上記他の樹脂としては、本発明におけるポリエステル以外のポリエステル、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。結着樹脂中における本発明のポリエステルの含有量は、トナーの定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、10〜65重量%以上が好ましく、15〜65重量%以上がより好ましく、20〜50重量%以上がより好ましく、20〜40重量%以上がさらに好ましい。
さらに、本発明におけるポリエステル以外のポリエステルを含む場合、本発明におけるポリエステルを含む全ポリエステルの結着樹脂中の含有量は、トナーの定着性及び耐久性の観点から、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%以上であることがさらにより好ましい。なお、本発明におけるポリエステル以外のポリエステルとしては、3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られること以外は、前述の本発明におけるポリエステルと同様の原料が使用でき、同様の製造方法により得ることができる。
尚、結着樹脂が複数の樹脂を含有する場合には、前記結着樹脂の軟化点、ガラス転移点、酸価は、各結着樹脂の混合物としての各値を意味し、各々の値は上記ポリエステルの値と同様の値であることが好ましい。
さらに、上記結着樹脂としては、トナーの定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。トナーの定着性及び耐久性の観点から、本発明におけるポリエステルは上記ポリエステル(イ)であることが好ましい。
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子は、上記本発明におけるポリエステルを含有する樹脂を水系媒体中で分散して得ることが好ましい。
該樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液の調製は、樹脂粒子の小粒径化及び得られるトナーの均一な粒径分布化の観点から、結着樹脂を乳化させて行うことが好ましい。
結着樹脂を分散させる水系媒体は水を主成分とするものである。環境性の観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が使用できる。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
本発明においては、ポリエステルを含有する結着樹脂を分散させるに際して、結着樹脂の分散安定性の向上などの観点から、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部の界面活性剤を存在させることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
樹脂粒子分散液の調製に際しては、結着樹脂にアルカリ水溶液を加え、結着樹脂及び必要に応じて用いられる添加剤を乳化させることが好ましい。
前記アルカリ水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
分散後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水系媒体を添加することによって、乳化させる事により、樹脂分散液を製造することができる。
上記水系媒体の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、樹脂100g当たり好ましくは0.1〜50g/min、より好ましくは0.5〜40g/min、さらに好ましくは1〜30g/minである。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持すればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水の添加速度に特に制限はない。
当該樹脂乳化液の製造に用いる水系媒体としては、前述の水系媒体と同じものを挙げることができ、好ましくは、脱イオン水又は蒸留水である。
水系媒体の量は、後の凝集処理で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2,000重量部が好ましく、150〜1,500重量部がより好ましい。得られる樹脂粒子分散液の安定性と取扱い性などの観点から、樹脂粒子分散液の固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%になるように水系媒体の量を選定する。なお、固形分には樹脂、非イオン性界面活性剤などの不揮発性成分が含まれる。
また、この際の温度は、微細な樹脂粒子を形成させる観点から、結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点以下の範囲が好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、分散がスムーズに行われ、また加熱に特別の装置を必要としない。この点から、上記温度は、(結着樹脂のガラス転移点+10)℃(「ガラス転移点より10℃高い温度」の温度を意味する、以下同様の表記は同様に解する)以上であることが好ましく、また、(軟化点−5)℃以下であることが好ましい。
このようにして得られた樹脂粒子分散液における樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集処理での均一粒径分布を有する凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
また粒度分布の変動係数(CV値)は40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
なお、粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値である。
水系媒体中で、結着粒子樹脂を分散して樹脂分散液を得る他の方法としては、例えば、まず、目的とする樹脂粒子原料として重縮合性単量体を水系媒体中に例えば機械的シェアや超音波などにより乳化分散させる方法が挙げられる。この際、必要に応じて、重縮合触媒、界面活性剤などの添加剤も水溶性媒体に添加する。そして、この溶液に対して例えば加熱などを施すことで、重縮合を進行させる。例えば、結着樹脂がポリエステルである場合は、前述のポリエステルの重縮合性単量体、重縮合触媒が使用でき、界面活性剤としては前述のものが同様に使用できる。
通常、重縮合は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギーで、水系媒体に重縮合樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
上記水系媒体中で結着樹脂を分散させて得られる樹脂粒子分散液中における樹脂粒子には、前記結着樹脂とともに、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等などの添加剤を含有させることができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用できる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ローダミンBレーキ、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の種々の顔料やアクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アントラキノン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらの、離型剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤は、分散性及び樹脂粒子との凝集性の観点から、水系媒体中に分散させて使用することが好ましい。
離型剤の含有量は、トナーの定着性及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属(クロム、鉄、アルミニウム等)ビスアゾ染料、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
(オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子)
本発明に使用されるオキサゾリン基を有する重合体(以下「オキサゾリン含有重合体」ということがある)を含有する乳化粒子としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有する重合体が使用可能である。オキサゾリン含有重合体は、例えば、オキサゾリン基を有する重合性単量体によって得ることができ、必要に応じて、オキサゾリン基を有する重合性単量体と、これと共重合可能な重合性単量体との共重合によって得ることもできる。ここで、上記オキサゾリン基を有する重合性単量体と共重合可能な重合性単量体は、オキサゾリン基を有する重合性単量体及びオキサゾリン基を有しない重合性単量体のいずれも包含することができる。
オキサゾリン基を有する重合性単量体としては、特に制限はないが、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5− メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2− オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2− オキサゾリン等が挙げられる。これらは1種で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的に入手しやすいため好ましい。
オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子は、従来公知の方法により、例えば、水性媒体中にて、上記オキサゾリン基を有する重合性単量体や、必要により、その他のオキサゾリン基を有しない重合性単量体を用いて、乳化重合や懸濁重合により、オキサゾリン含有重合体乳化液として作製することができる。
オキサゾリン基を有する重合性単量体と共重合可能な重合性単量体のうち、オキサゾリン基を有しない重合性単量体としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N −(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン含有α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素等を挙げることができる。これらの中では、オキサゾリン基を有する重合性単量体との反応性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましい。
オキサゾリン含有重合体中におけるオキサゾリン基の含有量は、架橋率向上の観点から、0.0001〜0.01mol/g(オキサゾリン価で、100〜10,000g/当量)であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.01mol/g(オキサゾリン価で100〜2,000g/当量)である。
オキサゾリン含有重合体を含む乳化液として一般的な市販品としては、日本触媒社製のエポクロスKシリーズ(エマルションタイプ)などが使用可能である。
オキサゾリン含有重合体については、その平均分子量は特に限定されないが、架橋率向上と取り扱いの利便性の観点から、重量平均分子量で500〜2,000,000であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記重量平均分子量が500以上であれば、樹脂粒子との十分な架橋反応が行われ、2,000,000以下であれば、重合体の粘度が適切な値となり、取り扱いが容易になる。
オキサゾリン含有重合体の乳化粒子の粒径は、乳化粒子を効率よく凝集させる観点から、体積中位粒径(D50)で0.01〜1μmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。より好ましくは、60〜400nm、更に好ましくは70〜300nmである。
オキサゾリン含有重合体を含む重合体乳化液の固形分は、乳化粒子を効率よく凝集させる観点から、重合体乳化液中、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは20〜50重量%である。
(電子写真用トナー)
凝集工程
本発明の電子写真用トナーは、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られるものであり、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂を含む樹脂粒子及び/又はその凝集粒子の分散液と、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子を含む重合体乳化液とを混合して、水系媒体中で上記樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と乳化粒子を凝集させて得られるものである。
すなわち、本発明のトナーは、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子とオキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られる点に特徴を有する。本発明のトナーが、耐熱保存安定性及び定着性に優れる理由は不明であるが、オキサゾリン基を有する重合体を乳化粒子として使用することで、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子と、3価以上の多価カルボン酸を特定量含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られる本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又は凝集粒子との架橋反応性が高まる結果、トナーの分子量が高くなり、その耐熱保存性と定着性が高まるものと考えられる。
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子との混合割合、すなわち、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂を含む樹脂粒子及び/又はその凝集粒子の分散液と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子を含む乳化液との混合割合は、使用するオキサゾリン含有重合体中におけるオキサゾリン基の含有量や重量平均分子量、結着樹脂の酸価などに基づき選択することができる。上記混合割合は、トナーの定着可能領域の拡大の観点から、添加するオキサゾリン含有重合体中のオキサゾリン基のモル数が、結着樹脂中のカルボキシル基のモル数に対して0.01倍以上となるように決定することが好ましく、0.02倍以上がより好ましく、0.05倍以上がさらに好ましい。また、上記オキサゾリン基のモル数は、0.8倍以下であることが好ましく、0.7倍以下がより好ましく、0.6倍以下がさらに好ましい。なお、ここで「結着樹脂中のカルボキシル基のモル数」とは、JIS K0070に従って、但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とする条件で測定して得られる酸価に基づき計算されるものをいう。
また、トナー中におけるオキサゾリン含有重合体の含有量は、トナーの定着可能領域の拡大の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、2重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましい。また、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、15重量部以下がより好ましく、12重量部以下がさらに好ましい。
なお、上記混合の際の各分散(乳化)液の温度は、後述の結着樹脂とオキサゾリン含有重合体との架橋反応が行われる温度より低い温度であってもよいが、該架橋反応を進行させうる温度であってもよい。
本発明においては、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子と、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子との凝集は、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子と、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子とを混合した後に、凝集剤を添加して行ってもよいが、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子に凝集剤を添加して凝集させながら、又は凝集させた後に、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子を添加して行ってもよい。また、オキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子の一部を本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子と混合して、凝集剤を添加して凝集させながら、又は凝集させた後に残りの乳化粒子を添加してもよい。本発明においては、トナーの定着性、耐熱保存性及び帯電性を両立させる観点から、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子を凝集させた後に添加することが好ましい。
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子、あるいはこの樹脂粒子とオキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子とからなる凝集粒子を作製する場合、以下のように行う。
凝集に際しては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。本発明においては、有機系凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等、無機系凝集剤としては、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記凝集剤のうち、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
分子量350以下の水溶性含窒素化合物は、一次粒子を速やかに凝集させる観点から、酸性を示す化合物であることが好ましく、その10重量%水溶液の25℃でのpH値が4〜6であるものが好ましく、4.2〜6のものがより好ましい。また、高温高湿におけるトナーの帯電性等の観点から、その分子量が350以下のものが好ましく、300以下のものがより好ましい。このような水溶性含窒素化合物としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム(10重量%水溶液の25℃でのpH値、以下pH値という:5.4)、塩化アンモニウム(pH値:4.6)、臭化テトラエチルアンモニウム(pH値:5.6)、臭化テトラブチルアンモニウム(pH値:5.8)が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性、特に高温高湿環境の帯電特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。また、凝集性の観点から、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましく、5重量部以上が更に好ましい。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、結着樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、3〜40重量部がより好ましく、5〜30重量部が更に好ましい。
前記凝集剤の添加は、(結着樹脂のガラス転移点+20℃)以下の温度、好ましくは(ガラス転移点+10℃)以下、より好ましくは(ガラス転移点+5℃)未満の温度で行う。上記温度で行うことにより、粒度分布が狭く、均一な凝集を行うことができる。また、上記添加は、(結着樹脂の軟化点−100℃)以上で行うことが好ましく、(軟化点−90℃)以上で行うことがより好ましい。
凝集剤は水系媒体溶液にして添加することができる。凝集剤は一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、1価の塩の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
このようにして、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子、又は上記樹脂粒子及び/又はその凝集粒子とオキサゾリン重合体を含有する乳化粒子を凝集させることにより、凝集粒子を調製する。
本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子に凝集剤を添加して凝集させた後にオキサゾリン重合体を含有する乳化粒子を添加して凝集粒子を調製する場合は、上記乳化粒子は、前述の量で、一時にあるいは連続して添加することができる。
得られる凝集粒子は、小粒径化の観点から、その体積中位粒径(D50)が1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜5μmの範囲にあることが好ましい。また粒度分布の変動係数(CV値)が30%以下であることが好ましく、より好ましくは28%以下、さらに好ましくは25%以下である。
本発明においては、上記樹脂粒子と乳化粒子とを凝集させた後に、界面活性剤を添加することが好ましく、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することがさらに好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、トナーの粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、トナーの粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
また、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、特に制限はないが、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
上記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留を抑制する観点から、凝集粒子を構成する結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
本発明においては、離型剤等の流出を防止する、あるいはカラートナーにおいて、各色間の帯電量を同レベルにする等の観点から、凝集時に、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂粒子(以下、「本発明の樹脂粒子」ということがある)あるいは該樹脂粒子とオキサゾリン含有重合体を含有する乳化粒子に、他のポリエステルを含有する樹脂微粒子を一時に又は複数回分割して添加することができる。
本発明の樹脂粒子及び前記乳化粒子に添加される他の樹脂微粒子は、特に制限はなく、例えば本発明の樹脂粒子と同様にして調製することができる。
本発明においては、他の樹脂微粒子は、本発明の樹脂粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、トナーの低温定着性や耐熱保存性の観点から、好ましくは本発明の樹脂粒子とは異なる樹脂粒子を後から一時に又は複数回に分割して添加を行う。
この工程においては、上記他の樹脂微粒子を、本発明の樹脂粒子又はその凝集粒子と前記乳化粒子に前述のように凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
本発明においては、上記他の樹脂微粒子の添加時期は、特に制限はないが、生産性の観点から凝集剤の添加終了後、合一工程までの間であることが好ましい。
また、この工程においては、本発明の樹脂粒子、又はその凝集粒子と前記乳化粒子を、上記他の樹脂微粒子に凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
本発明の樹脂粒子及び前記乳化粒子と他の樹脂微粒子の配合比(本発明の樹脂粒子及び乳化粒子/他の樹脂微粒子)は、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立の観点から、重量比で0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5であり、更に好ましくは0.3〜1.0である。
得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程
本発明においては、前記凝集工程で得られた凝集粒子を加熱して合一させる。
得られた樹脂粒子分散液とオキサゾリン含有重合体を含む乳化粒子からなる凝集粒子をガラス転移点以上に加熱させて合一させることで、オキサゾリン基とカルボキシル基が反応する。
合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性、並びにオキサゾリン基とカルボキシル基との反応性の観点から、結着樹脂のガラス転移点以上が好ましく、(軟化点+20℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+5℃)以上(軟化点+15℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+10℃)以上で(軟化点+10℃)以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
本発明において、合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
トナーの高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
得られた合一粒子は、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程を経て、トナー粒子となる。ここで、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、洗浄工程においてトナー表面の金属イオンを除去するため酸で洗浄を行うことが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー粒子の乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
電子写真用トナー
本発明の電子写真用トナーは、前記結着樹脂とオキサゾリン含有重合体との反応による架橋結合を有する。この架橋結合としては、例えば、反応時において、本発明におけるポリエステルを含有する樹脂が有するカルボキシル基等とオキサゾリン基が開環して結合して形成される基が挙げられる。
本発明においては、上記架橋結合は、形成されるトナー中に含有されていればよいが、トナーの耐熱保存性の観点から凝集粒子あるいは合一粒子の少なくとも表面に有することが好ましい。
上記本発明におけるポリエステルを含有する樹脂とオキサゾリン含有重合体との反応による架橋結合は、赤外線分析(IR)によるアミド基の分析により同定することができる。
本発明の電子写真用トナーの軟化点は、定着温度幅拡大の観点から、105〜200℃であることが好ましく、より好ましくは105〜180℃、さらに好ましくは105〜160℃である。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性と耐熱保存性の向上の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、トナーの軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
高画質化の観点から、トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、9μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましく、6μm以下がさらにより好ましい。
また、前述の凝集粒子、合一粒子及びトナー粒子のCV値は、いずれも4%以下が好ましく、より好ましくは35%下、更に好ましくは30%以下である。
トナー粒子の粒径及び粒度分布は、後述の方法で測定することができる。
以上のようにして得られた本発明の電子写真用トナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
[電子写真用トナーの製造方法]
本発明の電子写真用トナーの製造方法について説明する。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(1)3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合してポリエステルを得る工程、(2)工程(1)で得られたポリエステルを含有する樹脂を含む樹脂粒子及び/又はその凝集粒子の分散液と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子を含む重合体乳化液とを混合して、水系媒体中で上記樹脂粒子と乳化粒子を凝集させる工程、及び(3)工程(2)で得られた凝集粒子を合一させる工程、を有するものである。
上記工程(1)〜(3)の各々については、前述した通りである。
以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Parkin Elmer社製、「Pyris6 DSC」)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移点として読み取る。
[樹脂粒子の粒径]
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
[分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[凝集粒子およびトナーの粒径]
・測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔トナーの定着性評価〕
上質紙(富士ゼロックス社製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ(沖データ社製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、トナーの紙上の付着量が0.45±0.03mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで未定着画像のまま出力した。同プリンタに搭載されている定着器を温度可変に改造し、温度定着速度34枚/分(A4縦方向)で定着した。得られた定着画像の定着性は以下のテープ剥離法によって評価した。
メンディングテープ(3M社製Scotchメンディングテープ810 幅18mm)を長さ50mmに切り、定着した画像上の上端の余白部分に軽く貼り付けた後、500gのおもりをのせ、速さ10mm/secで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/secで剥がし、テープ貼付前後の反射画像濃度を前記測定方法に従い測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率=(テープ剥離後の画像濃度/テープ貼付前の画像濃度)×100
テープ剥離後の画像濃度がテープ貼付前の画像濃度と同じ値になった時を定着率100とし、値が小さくなるにつれ定着性が低いことを示す。定着率が90以上を定着性良好とする。
5℃刻みの定着温度の各々で上記試験を行い、コールドオフセットが発生する温度または、定着率90未満となる温度から、ホットオフセットが発生する温度まで実施する。なお、コールドオフセットとは定着温度が低い場合に、未定着画像上のトナーが充分に溶融せずに、定着ローラーにトナーが付着する現象を指し、一方、ホットオフセットとは定着温度を高温にした場合に、未定着画像上のトナーの粘弾性が低下することで、定着ローラーにトナーが付着する現象を指す。コールドオフセットまたはホットオフセットの発生は定着ローラーが一周した際に、再度、紙上にトナーが付着するか否かで判断することができ、本試験ではべた画像上端から87mmの部分にトナー付着があるか否かで判断した。ここで、ホットオフセット発生温度とは、ホットオフセットが発生し始める温度をいい、また、最低定着温度とは、コールドオフセットが発生しないか、あるいは定着率90以上となる温度のうち、その最低温度をいう。最低定着温度とホットオフセット発生温度の温度差を定着可能温度幅とする。
〔トナーの耐熱保存性評価〕
20ml容のポリビンにトナー10gをいれ、温度50℃、相対湿度40Rh%の環境下に開放状態で48時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で、凝集度を測定し、以下の基準に従って耐ブロッキング性を下記基準で評価した。結果を表3に示す。なお、具体的にパウダーテスターを使用した凝集度は次のように求めた。
パウダーテスターの振動台に、3つの異なる目開きのフルイを上段250μm、中段150μm、下段75μmの順でセットし、その上にトナー2gを乗せ60秒間振動を行い、各フルイ上に残ったトナー重量を測定する。
測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求める。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2 [g]×100×(1/5)

凝集度より、耐熱保存性を次のように判断した。凝集度が小さいほど耐熱保存性に優れることを現す。
A:凝集度が10未満
B:凝集度が10以上20未満
C:凝集度が20以上
製造例1(ポリエステルAの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8,320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1,592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1,672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステルAを得た。ポリエステルAの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/gであった。得られたポリエステルAを開口径5.6mmの篩いで1kgふるったところ、篩の上には何も残らなかった。
製造例2(ポリエステルBの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン4,176g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3,881g、テレフタル酸2,253g、ドデセニルコハク酸無水物322g、トリメリット酸無水物945g(酸成分中25モル%)及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルBを得た。ポリエステルBの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は21.0mgKOH/gであった。得られたポリエステルBを開口径5.6mmの篩いで1kgふるったところ、篩い上には何も残らなかった。
ポリエステルA及びBはいずれも明確なガラス転移点を示したことから非晶質ポリエステルと考えられる、
製造例3(樹脂粒子分散液Aの製造)
2リットル容のステンレス釜で、ポリエステルA 390.0g、ポリエステルB 210.0g、銅フタロシアニン顔料(ECB−301:大日精化工業社製)30g、及び、アニオン性界面活性剤(花王社製「ネオペレックスG−15」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15重量%水溶液)20.0g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液292.8gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させた。カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下した。また、系の温度は95℃に保持した。冷却後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂粒子分散液Aを得た。得られた樹脂粒子分散液A中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は237nm、CV値は24%、固形分濃度は31重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
製造例4(樹脂粒子分散液Bの製造)
製造例3において、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製)」ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB:16.2)6.0gに代えて、「エマルゲン150(花王社製)」ポリオキシエチレン(50mol)ラウリルエーテル(HLB:18.4)3.3gを用いた以外は同様にして樹脂粒子分散液Bを調製した。得られた樹脂粒子分散液B中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は248nm、CV値は27%、固形分濃度は31重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
製造例5(樹脂粒子分散液Cの製造)
製造例3において、ポリエステルA 390.0gとポリエステルB 210.0gをポリエステルA 600gに代えた以外は同様にして樹脂粒子分散液Cを調製した。得られた樹脂粒子分散液C中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は141nm、CV値は25%、固形分濃度は31重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
製造例6(離型剤分散液Aの製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水480gにアルケニル(ヘキサデセニル基、オクタデセニル基の混合物)コハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王社製)、有効濃度28重量%」4.29gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃、酸価5mgKOH/g)120gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、「Ultrasonic Homogenizer 600W」(日本精機社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。離型剤乳化粒子の体積中位粒径(D50)は0.419nm、粒度分布の変動係数(CV値)は31%であった。ここにイオン交換水を加え、離型剤固形分20重量%に調整し、離型剤分散液Aを得た。
実施例1
樹脂粒子分散液Aにイオン交換水を加え、固形分23重量%に調整した乳化液444.4gを5Lの3ツ口セパラブルフラスコに室温下投入した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、離型剤分散液A(ワックス分20重量%)29.1gを添加混合した。この分散液に凝集剤として6.2重量%硫酸アンモニウム水溶液 376.5gを添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から57℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/min)、57℃で3時間保持した。次に、オキサゾリン含有重合体を含む乳化粒子(日本触媒社製エポクロスK−2030E、オキサゾリン価550g/eq、体積中位粒径(D50)粒径91nm、固形分40%)にイオン交換水を加え、固形分23重量%に調整した乳化液44.4gを、0.5g/minの速度で添加した。
30分間攪拌後、アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」)を1.5重量%に希釈した水溶液1091gを添加し、80℃まで昇温(昇温速度0.4℃/min)して、体積中位粒径(D50)が5.2μmの凝集粒子を得た後、1時間保持し、合一粒子を得た。得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製;RY50、平均粒径;0.04μm)2.5部、疎水性シリカ(キャボット社製;キャボシールTS720、平均粒径;0.012μm)1.0部をヘンシェルミキサーで外添し、150メッシュの篩いを通過してシアントナーを得た。トナーの体積中位粒径(D50)は5.1μm、CV値24%であった。
実施例2
樹脂粒子分散液Bにイオン交換水を加え、固形分23重量%に調整した乳化液321.1gを5Lの3ツ口セパラブルフラスコに室温下投入した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、離型剤分散液A(ワックス分20重量%)20.2gを添加混合した。次に、オキサゾリン含有重合体を含む乳化粒子(日本触媒社製エポクロスK−2030E)18.5gを添加混合した。この分散液に凝集剤として6.2重量%硫酸アンモニウム水溶液272gを添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から57℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/min)、57℃で3時間保持した。
次に固形分23重量%に調整した樹脂粒子分散液B 32.1gと、5.9重量%硫酸アンモニウム水溶液28.9gを、0.5g/minの速度で添加した。この操作を5回繰り返した後、アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」)を2重量%へ希釈した水溶液830.6gを添加して、体積中位粒径(D50)が5.2μmの凝集粒子を得た後、80℃まで昇温(昇温速度0.4℃/min)した後、1時間保持し、合一粒子を得た。得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製;RY50、平均粒径;0.04μm)2.5部、疎水性シリカ(キャボット社製;キャボシールTS720、平均粒径;0.012μm)1.0部をヘンシェルミキサーで外添し、150メッシュの篩いを通過してシアントナーを得た。トナーの体積中位粒径(D50)は5.1μm、CV値25%であった。
実施例3
樹脂粒子分散液Aにイオン交換水を加え、固形分23重量%に調整した乳化液367.0gを5Lの3ツ口セパラブルフラスコに室温下投入した。次に、カイ型の攪拌機で100rpmの攪拌下、離型剤分散液A(ワックス分20重量%)23.0gを添加混合した。この分散液に凝集剤として6.2重量%硫酸アンモニウム水溶液 310.0gを添加し、さらに室温で60分間攪拌した。その後、混合分散液を室温から55℃まで昇温し(昇温速度0.25℃/min)、55℃で2時間保持した。次に、オキサゾリン含有重合体を含む乳化粒子(日本触媒社製エポクロスK−2030E、粒径91nm、固形分40%)にイオン交換水を加え、固形分23重量%に調整した乳化液36.6gを、0.6g/minの速度で添加した。
次に固形分23重量%に調整した樹脂粒子分散液A36.6gと、5.9重量%硫酸アンモニウム水溶液32.9gを、0.6g/minの速度で添加した。この操作を4回繰り返した後、アニオン性界面活性剤(花王社製「エマールE27C」)を1.5重量%へ希釈した水溶液1091gを添加して、体積中位粒径(D50)が5.2μmの凝集粒子を得た後、80℃まで昇温(昇温速度0.4℃/min)した後、1時間保持し、合一粒子を得た。得られた合一粒子を室温まで冷却後、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製;RY50、平均粒径;0.04μm)2.5部、疎水性シリカ(キャボット社製;キャボシールTS720、平均粒径;0.012μm)1.0部をヘンシェルミキサーで外添し、150メッシュの篩いを通過してシアントナーを得た。トナーの体積中位粒径(D50)は5.2μm、CV値22%であった。
比較例1
実施例2において、樹脂粒子分散液Aを樹脂粒子分散液Bに変え、オキサゾリン含有重合体を含む乳化粒子を添加しない以外は同様にして、体積中位粒径(D50)が5.0μmの凝集粒子を得た後、シアントナーを作製した。トナーの体積中位粒径(D50)は5.0μm、CV値25%であった。
比較例2
実施例1において、樹脂粒子分散液Aを樹脂粒子分散液Cに替えた以外は同様にして、体積中位粒径(D50)が5.2μmの凝集粒子を得た後、シアントナーを作製した。トナーの体積中位粒径(D50)は5.2μm、CV値26%であった。

各実施例及び比較例の定着温度幅、及び耐熱保存性について評価した結果を表1に示す。
Figure 2010048954
本発明によれば、耐熱保存性に優れ、定着可能領域の広いトナーが得られることから、本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに使用される電子写真用トナーに好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるポリエステルを含有する樹脂粒子及び/又はその凝集粒子と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子とを、水系媒体中で凝集させて得られる電子写真用トナー。
  2. オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子の体積中位粒径(D50)が0.01〜1μmである、請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. オキサゾリン基を有する重合体を、前記樹脂粒子の樹脂100重量部に対して、1〜50重量部添加する、請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
  4. (1)3価以上の多価カルボン酸を5〜40モル%含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合してポリエステルを得る工程、
    (2)工程(1)で得られたポリエステルを含有する樹脂を含む樹脂粒子及び/又はその凝集粒子の分散液と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する乳化粒子を含む重合体乳化液とを混合して、水系媒体中で上記樹脂粒子と上記乳化粒子を凝集させる工程、及び
    (3)工程(2)で得られた凝集粒子を合一させる工程、
    を有する電子写真用トナーの製造方法。
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