JP2010033635A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、磁気記録層、酸化防止層、カーボンを含むハードマスク層を形成し、前記ハードマスク層上にレジストを塗布し、インプリントにより前記レジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとする前記ハードマスク層のエッチング、前記酸化防止層のエッチング、および前記磁気記録層のエッチングおよび/または磁性の失活を順次行って磁気記録層のパターンを形成し、前記レジストパターンの剥離、前記ハードマスク層の剥離、および前記酸化防止層の剥離を順次行うことを含み、前記酸化防止層を剥離する際にイオンビームエッチングを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【選択図】 図3
Description
酸化防止層は、磁気記録層とカーボンを主成分とするハードマスク層との間に設ける。酸化防止層は、磁気記録層よりも酸化耐性のある材料からなる。酸化防止層の材料としては、たとえばSn、Pb、Re、Cu、Ru、Rh、Ag、Pd、Pt、Auなどの金属、これらの合金、これらの窒化物、酸化物、硫化物などの化合物からなる群より選択され、これらの複数種を積層したものでもよい。
媒体の表面にレジストをスピンコート法で塗布し、スタンパを押し付けることにより、レジストにスタンパのパターンを転写する。レジストにはSOGなどのシリコン系レジストを用いるのが好適である。レジストには一般的なフォトレジストを用いることもできる。ただし、カーボンを主成分とするハードマスク層に比べて、酸素によるエッチングレートがあまりに速い材料は好ましくない。
RIE(反応性イオンエッチング)により、レジストの凹部の底に残存している残渣を除去する。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマを生成可能なICP(Inductively Coupled Plasma)が好適であるが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマや、一般的な平行平板型RIE装置を用いてもよい。レジストにSOGを用いた場合には、CF4やSF6などのフッ素ガスを用いてRIEを行う。レジストにフォトレジストを用いた場合には、O2ガスやO2−CF4混合ガスを用いる。
カーボンを主成分とするハードマスク層は、スパッタまたはCVDにより成膜することができる。ハードマスク層の膜厚は4〜40nmが好ましい。ハードマスク層が厚すぎると剥離の際にエッチング時間がかかり、磁性パターンの側壁にダメージを与える原因となる。ハードマスク層が薄すぎると、エッチングの際のハードマスクとしての機能が果たせない。ハードマスクの組成は、カーボンの割合が原子数比で75%以上であることが望ましい。カーボンの割合が75%未満であると、エッチング選択比が低下し、磁気記録層を良好な形状に加工することができない。レジスト残渣を除去した後、酸素ガスを用いてハードマスク層をエッチングすることによって良好な形状に加工することができる。
ハードマスク層のパターンをエッチングマスクに用いて磁気記録層をエッチングする。磁気記録層のエッチングには、希ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンビームを用いるか、またはArガス(もしくはO2ガスやN2ガス)のECR(電子サイクロトロン共鳴)によるイオンビームを用いるのが好適である。磁気記録層のエッチングをClガス、COとNH3との混合ガスまたはメタノールを用いたRIEにより行ってもよい。
磁気記録層の加工深さを磁気記録層の厚さよりも浅くする場合、隣接記録耐性を向上させるために、凹部に残存する磁気記録層の磁性を失活させる。ここで「失活」とは、磁性を完全に消失させること、または磁性を劣化させることを指す。磁性失活工程は、ガスまたは溶液を用いて行うことができる。ガスとしては、CF4、SF6、CHF3、O2、N2などの反応性ガスおよびそれらの混合ガスが用いられる。フッ素系ガスを用いる場合、フッ素と磁気記録層に含まれるCoとの反応生成物を除去する工程を行ってもよい。反応生成物の除去は、水洗、または水蒸気プラズマもしくはH2プラズマなどの照射により行うのが好適である。O2やN2を用いた場合、O原子やN原子が結晶中に入り込むので、そのような除去工程は不要である。O2ガスを用いる場合、ハードマスクが同時にエッチングされるので、ハードマスクを厚く成膜することが好ましい。
磁気記録層のエッチングの前または後にレジストを剥離する。磁気記録層のエッチング前にレジストを剥離する場合、磁気記録層のエッチングによりレジストの厚さが減少するということがないため、磁気記録層のエッチング後にレジストを剥離する場合よりも長時間を要する。磁気記録層のエッチング後にレジストを剥離する場合、磁性失活と同時にレジスト剥離を行ってもよいし、磁性失活の前または後のいずれにレジスト剥離を行ってもよい。レジストがSOGの場合、フッ素系のガスを用いて剥離することが好ましい。フォトレジストの場合には、酸素あるいは酸素系の混合ガスを用いて剥離することが好ましい。剥離には、ICPエッチング装置やRIE装置を用いるのが好適である。フォトレジストはイソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒で剥離してもよい。
磁気記録層のエッチング後(必要であれば、磁性失活後、またはレジスト剥離後)、ハードマスクを剥離する。ハードマスクは酸素アッシング装置、ICPエッチング装置、RIE装置などで容易に剥離することができる。ハードマスクの厚さに対して剥離時間が長すぎると、磁気記録層が酸化によるダメージを受け、SN比を劣化させる原因となるため好ましくない。酸化防止層が存在するので磁気記録層は酸化によるダメージを受けにくいが、エッチング条件によっては酸化防止層が酸素でエッチングされるため、ハードマスクの剥離時間は短いことが好ましい。
ハードマスクを剥離した後、磁気的スペーシングの低減を目的として酸化防止層を剥離することが好ましい。酸化防止層は、Arガスを用いた物理エッチングことによって剥離できる。酸化防止層の剥離と同時に、凹部の磁気記録層もエッチングされるため、酸化防止層の剥離を開始する時点では、磁気記録層の凹部の深さを浅くしておく。酸化防止層は全て剥離してもよいし、磁気的スペーシングに影響がないのであれば剥離を途中で止めてもよい。後者の場合、磁気的スペーシングの観点から、残存させる酸化防止層の厚さは4nm以下であることが望ましい。磁気記録層の最表層に形成されたPtなどの酸化されにくい材料からなる金属膜を酸化防止層として用いる場合、酸化防止層を剥離する必要はない。ただし、酸素プラズマにさらされた部分を取り除く目的で剥離を行ってもよい。その場合、磁気記録層の最表層の金属膜を厚く成膜することが好ましい。
酸化防止層を剥離した後、凹部に非磁性材料を埋め込んでもよい。バイアススパッタ法または通常のスパッタ法で非磁性材料を成膜して埋め込みを行う。非磁性材料としては、無機物、金属、それらの酸化物や窒化物、たとえばSi、SiC、SiC−C、SiOC、SiON、Si3N4、Al、AlxOy、Ti、TiOx、Ru、Pd、NiNb、NiNbTi、NiTa、NiSi、Zr、ZrOx、W、Ta、Cr、CrN、CNの単体または混合物が挙げられる。バイアススパッタ法は、基板にバイアスをかけながらスパッタ成膜する方法で、容易に凹部を埋め込みながら成膜できる。しかし、基板バイアスによる基板の溶解、スパッタダストが生じやすいので、通常のスパッタ法を用いるのが好適である。RFスパッタを用いることもできるが、膜厚に分布が生じやすいため、DCスパッタを用いることが好ましい。
埋め込みを行った場合、磁気記録層(または必要に応じて磁気記録層上に形成されているカーボン保護膜)が露出するまでエッチバックを行う。このエッチバックプロセスは、イオンミリングを用いることが望ましいが、SiO2などのシリコン系埋め込み材料を用いた場合には、フッ素系ガスを用いたRIEを用いて行うことも可能である。ECRイオンガンを用いてエッチバックを行ってもよい。エッチバックのプロセスガスにO2を混合すると、表面を改質しながらエッチバックを行うことができる。
最後にカーボン保護膜を形成する。カーボン保護膜は、凹凸へのカバレッジをよくするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法で成膜してもよい。CVD法でカーボン保護膜を形成した場合、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。カーボン保護膜の膜厚は、2nm未満だとカバレッジが悪くなり、10nmを超えると記録再生ヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSN比が低下するので好ましくない。また、保護膜上に、潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが挙げられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。本明細書では、基板上への薄膜の形成方法としてスパッタリングのみを記載しているが、真空蒸着や電解メッキなどでも同様の効果を得ることができる。
軟磁性下地層(SUL)は、垂直磁磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性下地層には、Fe、NiまたはCoを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80at%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により成膜した場合にアモルファスになりやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、さらに酸化物を含む材料を用いることが好ましい。垂直磁気記録層は、必要に応じて、Crを含んでいてもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)を得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図3に示した方法でDTR媒体を製造した。
磁気記録層上に酸化防止層を設けることなく、磁気記録層上に直接カーボンハードマスクを成膜した以外は、実施例1と同様の方法でDTR媒体を製造した。
実施例1と同様の方法でDTR媒体を製造したが、酸化防止層の材料としてRu、Sn、Pb、Re、Cu、Rh、Ag、Pd、Pt、Au、Al2O3、TiOx、またはTaOxを用いた。酸化防止層の膜厚は全て5nmとした。
実施例1と同様の方法でDTR媒体を製造したが、Ruからなる酸化防止層の膜厚を1nm、2nm、5nm、10nm、15nm、または20nmとした。
酸化防止層を剥離する際に、Arガスによるミリングでなく、CF4ガスを用いた以外は実施例1と同様の方法でDTR媒体を製造した。
カーボンハードマスク層を剥離する際に、O2ガスでなく、CF4ガスを用いた以外は実施例1と同様の方法でDTR媒体を製造した。
実施例1に記載した方法でDTR媒体を製造した。ただし、磁気記録層の失活にO2、N2、He、Ne、CF4、SF6、またはCHF3を用いるか、または磁気記録層の失活を行わなかった。
図2に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびビットパターンに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図4に示した方法でビットパターンド媒体を製造した。
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図5に示した方法でDTR媒体を製造した。
Claims (7)
- 基板上に、磁気記録層、酸化防止層、カーボンを含むハードマスク層を形成し、
前記ハードマスク層上にレジストを塗布し、
インプリントにより前記レジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとする前記ハードマスク層のエッチング、前記酸化防止層のエッチング、および前記磁気記録層のエッチングおよび/または磁性の失活を順次行って磁気記録層のパターンを形成し、前記レジストパターンの剥離、前記ハードマスク層の剥離、および前記酸化防止層の剥離を順次行うことを含み、
前記酸化防止層を剥離する際にイオンビームエッチングを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記酸化防止層はイオンビームに対するエッチングレートが前記磁気記録層よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記酸化防止層はSn、Pb、Re、Cu、Ru、Rh、Ag、Pd、PtおよびAu、ならびにこれらの合金、酸化物および窒化物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記酸化防止層は厚さが2nm〜15nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ハードマスク層をO2ガスまたはO2を含む混合ガスによって剥離した後、露出した酸化防止層をArイオンミリングによりエッチングし、その一部または全部を剥離することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ハードマスク層は厚さが3nm〜40nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁気記録層の磁性の失活を、O2、N2、He、Ne、CF4、SF6、CHF3およびこれらの混合ガスからなる群より選択されるガスを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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