JP2010021477A - 永久電流スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルの設置の向きにかかわらずクエンチの発生を十分に抑えることが可能な永久電流スイッチを提供する。
【解決手段】この永久電流スイッチ5のコイル6は、通電部30とフランジ部22,23との間に設けられるスペーサ41〜44を備えている。通電部30の第1通電層31は、フランジ部22の対向面22aからフランジ部23に向けて巻回された超電導線材50からなり、第2通電層31は、フランジ部23の対向面23aからフランジ部22に向けて第1通電層31とは周方向で逆向きにかつ第1通電層31の超電導線材50に対して軸方向に半ピッチずれるように巻回された超電導線材50からなる。また、スペーサ41は、第1通電層31とフランジ部23との間に設けられて第1通電層31のフランジ部23への移動を規制する。スペーサ42は、第2通電層32とフランジ部22との間に設けられて第2通電層32のフランジ部22への移動を規制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、超電導マグネット装置の超電導マグネットを永久電流モードで運転するための永久電流スイッチに関する。
従来、超電導マグネット装置の超電導マグネットに電気的に接続される無誘導型のコイルを備えた永久電流スイッチが知られている(特許文献1参照)。
上記コイルは、例えば、円筒状の胴部とこの胴部の軸方向両端に設けられる一対のフランジ部とを有する巻枠と、胴部の外周に径方向に複数層となるようにソレノイド状に巻回された1本の超電導線材からなる通電部とで構成されている。
通電部は、超電導線材を一方のフランジ部から他方のフランジ部に向けて巻回してなる通電層と、超電導線材を他方のフランジ部から一方のフランジ部に向けて巻回してなる通電層とが径方向に交互に配されることにより構成されている。
そして、径方向に隣接する通電層の超電導線材同士は、巻枠の周方向に互いに逆向きに巻回されており、両通電層の超電導線材を流れる電気の向きが周方向で逆向きになっている。これにより、両通電層による磁場同士が互いに打ち消し合う向きに発生し、コイル全体では無誘導状態となっている。
また、隣接する通電層の超電導線材同士は、軸方向に超電導線材の半径と略等しい距離(約半ピッチ)だけずれる、いわゆる俵積み状態となっている。このような俵積み状態では、隣り合う一方の通電層の超電導線材間の谷間に他方の通電層の超電導線材が嵌り込むことで、通電層同士の軸方向の相対変位が抑えられている。
また、各通電層は、巻終り側のフランジ部との間に所定の隙間を有するように形成されている。この隙間には、当該通電層に隣接する通電層の超電導線材の巻始め部分が嵌まり込むようになっており、これによって通電層の軸方向端部でも前記俵積み状態が実現されている。
特開2006−287142号公報
ところで、上記永久電流スイッチのコイルの通電部には、超電導マグネットの発生磁場による電磁力が作用する。そして、その力の向きは、超電導マグネットの磁場に対する当該コイルの設置方向に依存しており、コイルの設置方向によっては、クエンチを生じさせやすい向きの力が通電部に働く。
例えば、コイルを、その軸方向が超電導マグネットの磁場方向に直交するような横置きに設置した場合、各通電層には主に軸方向に沿う方向の電磁力が作用する。
従来の永久電流スイッチにおいて、上記のようにコイルを横置きに設置した場合、通電層に作用する軸方向の電磁力が俵積みによる超電導線材同士の相対移動規制力を上回れば、通電層が巻終り側のフランジ部との隙間に向けて移動する。これにより、超電導線材の微小変位に起因するクエンチが発生するという問題がある。
なお、コイルを、その軸方向が超電導マグネットの磁場方向と一致するような縦置きに設置すれば、各通電層には主に巻枠の径方向に沿う方向に電磁力が作用し、軸方向の力がほとんど作用しないので、上述のような不都合は発生しにくい。しかし、永久電流スイッチは、一般に、超電導マグネット装置の低温容器内のスペース等の事情を優先して決定された向きで設置されるようになっており、安定性が高まるような設置方向(例えば上述の縦置き)を常に選択して設置するのは困難である。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、コイルの設置の向きにかかわらずクエンチの発生を十分に抑えることが可能な永久電流スイッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の永久電流スイッチは、超電導マグネット装置の超電導マグネットを永久電流モードで運転するための永久電流スイッチであって、前記超電導マグネットに電気的に接続される無誘導型のコイルを備え、前記コイルは、胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びて互いに対向する対向面を有する一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記一対のフランジ部の対向面の間に挟まれる領域で前記胴部の周囲にその径方向に複数層に亘って積層されるようにソレノイド状に巻回された1本の超電導線材からなる通電部と、この通電部と前記フランジ部との間に設けられるスペーサとを含み、前記通電部は、第1のフランジ部の対向面から第2のフランジ部に向けて巻回された超電導線材からなるとともに第2のフランジ部に臨む部位が第2のフランジ部の対向面と所定距離を隔てるように配される第1の層部と、この第1の層部の前記巻枠の径方向に隣り合うように設けられ、第2のフランジ部の対向面から第1のフランジ部に向けて第1の層部とは前記巻枠の周方向で逆向きにかつ第1の層部の超電導線材に対して前記巻枠の軸方向にずれるように巻回された超電導線材からなり、第1のフランジ部に臨む部位が第1のフランジ部の対向面と所定距離を隔てるように配される第2の層部とを有し、前記スペーサは、第1の層部と第2のフランジ部の対向面との間に設けられて第1の層部の第2のフランジ部へと向かう軸方向の移動を規制する第1のスペーサと、第2の層部と第1のフランジ部の対向面との間に設けられて第2の層部の第1のフランジ部へと向かう軸方向の移動を規制する第2のスペーサとを有することを特徴とする。
請求項1に記載の永久電流スイッチでは、上記のように、隣接する層部の超電導線材同士が軸方向にずれる、いわゆる俵積み状態で超電導線材を巻回するための層部と巻終り側のフランジ部との間の空間部にスペーサを配して、巻終り側のフランジ部への層部の移動を規制するように構成したので、各層部が巻終り側のフランジ部の方向に変位するのを防ぐことができる。これにより、例えばコイルが、その軸方向が当該コイル位置における超電導マグネットの磁場方向に対して傾斜する(一致しない)姿勢で配設されることに起因して、第1の層部に第2のフランジ部へと向かう軸方向の電磁力が作用するとともに、第2の層部に第1のフランジ部へと向かう軸方向の電磁力が作用した場合でも、スペーサによって各層部の軸方向の変位を防ぐことができる。従って、コイルがいずれの姿勢で配設されていても通電部の変位が起こらないようにすることができるので、コイルの向きにかかわらずクエンチの発生を十分に抑えることができる。
請求項2に記載の永久電流スイッチは、上記請求項1に記載の永久電流スイッチにおいて、前記通電部は、複数の第1の層部と、第1の層部と同数の第2の層部とを有し、第1の層部と第2の層部とが、前記巻枠の径方向に交互に配されている。
請求項3に記載の永久電流スイッチは、上記請求項1または2に記載の永久電流スイッチにおいて、好ましくは、前記スペーサは、前記超電導線材の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する材料からなる。このスペーサの冷却時の軸方向収縮量は、通電部の軸方向の収縮量よりも少ないので、冷却状態でスペーサは層部およびフランジ部の両方に確実に当接する。これにより、層部の軸方向の変位の防止がより確実になる。
請求項4に記載の永久電流スイッチは、上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の永久電流スイッチにおいて、好ましくは、前記スペーサは、前記層部の前記フランジ部に臨む部位に周方向の略全域に亘って対応するようにリング状に形成されている。このスペーサは、層部の移動を周方向の略全域に亘って規制することができる。
請求項5に記載の永久電流スイッチは、上記請求項1〜4のいずれか一項に記載の永久電流スイッチにおいて、好ましくは、前記スペーサには、当該スペーサに隣接する超電導線材の外周面と嵌合可能な面部が設けられている。このように構成すれば、層部の超電導線材を面部で保持することができるので、層部の移動を規制しやすくなる。
請求項6に記載の永久電流スイッチは、上記請求項1〜5のいずれか一項に記載の永久電流スイッチにおいて、前記コイルは、前記巻枠の軸方向が当該コイルの配置位置での前記超電導マグネットの磁場の向きに対して傾斜するように配されている。
本発明の永久電流スイッチによれば、巻終り側のフランジ部への層部の移動を規制するように層部と巻終り側のフランジ部との間にスペーサを設けたので、各層部が巻終り側のフランジ部の方向に変位するのを防ぐことができる。これにより、コイルがいずれの姿勢で配設されていても通電部の軸方向の変位が起こらないようにすることができるので、コイルの向きにかかわらずクエンチの発生を十分に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による永久電流スイッチを備えた超電導マグネット装置の構成を概略的に示したブロック図である。また、図2は、永久電流スイッチのコイルの構成を示した断面図であり、図3および図4は、コイルの第1通電層用のスペーサおよび第2通電層用のスペーサをそれぞれ示した拡大断面図である。また、図5および図6は、横置きコイルおよび縦置きコイルの通電部に作用する電磁力を説明するための断面図である。
まず、図1を参照して、本実施形態の永久電流スイッチ5を備えた超電導マグネット装置の構成について説明する。
本実施形態の超電導マグネット装置は、例えば高分解能NMRやMRIに適用されるものである。このような超電導マグネット装置では、超電導マグネット2の発生磁場が時間的に極めて高い安定性を有することが要求される。このため、図1に示すように、超電導マグネット2を収容する低温容器1内には、冷却用媒体としての液体ヘリウムとともに本発明に係る永久電流スイッチ5が収容されている。この永久電流スイッチ5は、超電導マグネット2とともに閉ループを構成している。そして、外部電源4による超電導マグネット2の電源駆動モードでの運転から、前記閉ループによる超電導マグネット2の永久電流モードでの運転に所定のタイミングで切り替わるようになっている。
具体的には、超電導マグネット2は、導線部10によって外部電源4と電気的に接続されている。外部電源4の下流位置には、スイッチ3が設けられている。そして、電源駆動モードでは、スイッチ3が「入」状態(実線で表示)となって、外部電源4による超電導マグネット2への給電が行われる。なお、電源駆動モード時の電流の経路を図1中に矢印aで示している。
また、永久電流スイッチ5は、導線部10と、この導線部10の適所に短絡する導線部11とによって、超電導マグネット2および外部電源4に電気的に接続されている。
永久電流スイッチ5は、無誘導型のコイル6と、ヒータ7とを含んでいる。ヒータ7は、スイッチ8とヒータ用電源9とに電気的に接続されており、スイッチ8の「入」状態(実線で表示)でコイル6を常電導転移温度以上に加温可能となっている。ちなみに、スイッチ8を「切」状態(点線で表示)にすると、コイル6は、低温容器1内の液体ヘリウムによって前記常電導転移温度未満(超電導転移温度以下)にまで冷却されるようになっている。
このような超電導マグネット装置では、冷却後の立上げ時には、スイッチ3が「入」状態となって外部電源4による電源駆動モードで超電導マグネット2が運転されるように構成されている。なお、この時、永久電流スイッチ5のスイッチ9は「入」状態となっており、コイル6がヒータ7により加温されることで常電導状態となっている。常電導状態では、コイル6は大きな抵抗を有するようになるため、当該コイル6には電気がほとんど流れない。従って、超電導マグネット2、外部電源3および導線部10による経路(矢印a)を電気が流れるようになる。
そして、当該超電導マグネット装置では、所定のタイミングで電源駆動モードから永久電流モードに切り替わるようになっている。
すなわち、永久電流スイッチ5のスイッチ8が「切」状態に切り替わることにより、ヒータ7によるコイル6の加温が停止される。これにより、コイル6が液体ヘリウムによって超電導転移温度以下に冷却されて超電導状態となり、コイル6の電流抵抗値がほぼゼロになる。また、この時、スイッチ3が「切」状態(点線で表示)に切り替えられ、外部電源4からの給電が停止される。その結果、超電導マグネット2、コイル6および導線部10,11によって構成される閉ループ(図1中の矢印b)を電気が流れるようになる。
次に、図2を参照して、上記コイル6の構成について詳細に説明する。
本発明に係る永久電流スイッチ5のコイル6は、図2に示すように、巻枠20と、通電部30と、4つのスペーサ41〜44とを含んでいる。なお、スペーサ41,43は、本発明の「第1のスペーサ」の一例であり、スペーサ42,44は、本発明の「第2のスペーサ」の一例である。
巻枠20は、円筒状外周面を有する胴部21と、この胴部21の軸方向両端に設けられる一対のフランジ部22,23とを有している。なお、フランジ部22は、本発明の「第1のフランジ部」に相当し、フランジ部23は、本発明の「第2のフランジ部」に相当する。フランジ部22,23は、それぞれ、互いに対向する対向面22a,23aを有している。
通電部30は、一対のフランジ部22,23の対向面22a,23aに挟まれる領域で胴部21の周囲にソレノイド状に巻回された1本の超電導線材50により構成されている。この通電部30は、胴部21の径方向に積層される4つの通電層31〜34を含んでいる。
具体的には、通電部30は、胴部21の外周面に接するように設けられる最内層の第1通電層31と、第1通電層31の径方向外側に隣接して設けられる第2通電層32と、第2通電層32の径方向外側に隣接して設けられる第3通電層33と、第3通電層31の径方向外側に隣接して設けられる最外層の第4通電層34とで構成されている。なお、通電層31,33は、本発明の「第1の層部」に相当し、通電層32,34は、本発明の「第2の層部」に相当する。
第1通電層31は、フランジ部22の対向面22aからフランジ部23に向けて巻回された超電導線材50により構成されている。この第1通電層31は、フランジ部22に臨む巻始め部位がフランジ部22の対向面22aに密接し、かつフランジ部23に臨む巻終り部位がフランジ部23の対向面23aと所定距離を隔てるように配されている。前記所定距離は、例えば超電導線材50の半径程度に設定される。このように第1通電層31をフランジ部23に密接させずに第1通電層31と巻終り側のフランジ部23との間に超電導線材50の半径程度の空間部(隙間)を残すことによって、隣接する第2通電層32の超電導線材50を、後述の俵積み状態となるように巻き始めることが可能となる。なお、各部材の寸法誤差や超電導線材の巻回具合等によって、前記空間部の軸方向長さは多少変動することになる。
また、第2通電層32は、フランジ部23の対向面23aからフランジ部22に向けて巻回された超電導線材50により構成されている。第2通電層32の超電導線材50は、第1通電層31の超電導線材50とは胴部21の周方向で逆向きに巻回されており、両通電層31,32の超電導線材50を流れる電気の向きが周方向で逆向きになっている。これにより、通電層31,32の磁場同士が互いに打ち消し合う向きに発生し、コイル6全体では無誘導状態となっている。
また、第2通電層32の超電導線材50は、その巻回状態で第1通電層31の超電導線材50に対して胴部21の軸方向に約半ピッチ(当該超電導線材50の半径に相当)ずれるように巻回されている。すなわち、第1通電層31の超電導線材50と第2通電層32の超電導線材50とは、互いの超電導線材50の軸方向に隣接する部位間の谷間に嵌まり込んでおり、これによっていわゆる俵積み状態となっている。このような俵積み状態では、通電層31,32同士が軸方向に相対変位しにくくなっている。
また、第2通電層32は、フランジ部23に臨む巻始め部位がフランジ部23の対向面23aに密接し、かつフランジ部22に臨む巻終り部位がフランジ部22の対向面22aと所定距離(超電導線材50の半径程度)を隔てるように配されている。この第2通電層32とフランジ部22との間の空間部も上記と同様に、第2通電層32に隣接する通電層33の巻始め部位を俵積み状態で巻回するために設けられている。
また、第3通電層33は、上記第1通電層31と同様、フランジ部22の対向面22aからフランジ部23に向けて巻回された超電導線材50により構成されている。この第3通電層33は、フランジ部22に臨む巻始め部位がフランジ部22の対向面22aに密接し、かつフランジ部23に臨む巻終り部位がフランジ部23の対向面23aと所定距離を隔てるように配されている。また、第3通電層33の超電導線材50は、第2通電層32の超電導線材50とは胴部21の周方向で逆向きに巻回されるとともに、その巻回状態で第2通電層32の超電導線材50に対して胴部21の軸方向に約半ピッチずれるように巻回されている。
また、第4通電層34は、上記第2通電層32と同様、フランジ部23の対向面23aからフランジ部22に向けて巻回された超電導線材50により構成されている。この第4通電層34は、フランジ部23に臨む巻始め部位がフランジ部23の対向面23aに密接し、かつフランジ部22に臨む巻終り部位がフランジ部22の対向面22aと所定距離を隔てるように配されている。また、第4通電層34の超電導線材50は、第3通電層33の超電導線材50とは胴部21の周方向で逆向きに巻回されるとともに、その巻回状態で第3通電層33の超電導線材50に対して胴部21の軸方向に約半ピッチずれるように巻回されている。
なお、通電層33とフランジ部23との間の空間部、および、通電層34とフランジ部22との間の空間部も超電導線材50の半径程度の軸方向長さを有するように設定されている。
スペーサ41は、第1通電層31と巻終り側のフランジ部23の対向面23aとの間の空間部に設けられており、第1通電層31のフランジ部23へと向かう軸方向の移動を規制する機能を有している。このスペーサ41は、第1通電層31のフランジ部23に臨む部位に周方向の略全域に亘って対応するようにリング状に形成されている。
また、スペーサ41は、図3に示すように、超電導線材50の外周面と嵌合可能な溝状の保持部41c,41dを有している。保持部41cは、第1通電層31の巻終り部位に位置する超電導線材50を保持可能となっている。また、保持部41dは、第2通電層32の巻始め部位に位置する超電導線材50を保持可能となっている。なお、保持部41c,41dは、本発明の「面部」の一例である。
スペーサ42は、第2通電層32と巻終り側のフランジ部22の対向面22aとの間の空間部に設けられており、第2通電層32のフランジ部22へと向かう軸方向の移動を規制する機能を有している。このスペーサ42は、第2通電層32のフランジ部22に臨む部位に周方向の略全域に亘って対応するようにリング状に形成されている。
また、スペーサ42は、図4に示すように、超電導線材50の外周面と嵌合可能な溝状の保持部42c〜42eを有している。保持部42cは、第2通電層32の巻終り部位に位置する超電導線材50を保持可能となっている。また、保持部42dは、第1通電層31の巻始め部位に位置する超電導線材50を保持可能となっている。また、保持部42eは、第3通電層33の巻始め部位に位置する超電導線材50を保持可能となっている。なお、保持部42c,42d,42eは、本発明の「面部」の一例である。
スペーサ43は、第3通電層33とフランジ部23の対向面23aとの間の空間部に設けられており、第3通電層33のフランジ部23へと向かう軸方向の移動を規制する機能を有している。また、スペーサ44は、第4通電層34とフランジ部22の対向面22aとの間の空間部に設けられており、第4通電層34のフランジ部22へと向かう軸方向の移動を規制する機能を有している。これらのスペーサ43,44は、前記スペーサ41,42と同様にリング状を呈しており、また、符号を付しての説明は省略するが、隣接する超電導線材50の外周面と嵌合可能な溝状の保持部(面部)を有している。
なお、図2〜図6の符号41a〜44aおよび41b〜44bは、図中におけるスペーサ41〜44の断面部分に付されており、後述する各通電層31〜34の磁場直交部31a〜34aおよび31b〜34bへの当該スペーサ41〜44の対応部位を示すものである。
また、スペーサ41〜44は、冷却時に、当該スペーサ41〜44に軸方向で隣り合う通電層31〜34と各フランジ部22,23との両方に確実に当接するように、少なくとも超電導線材50よりも小さい熱膨張率を有する材料(例えば、ステンレス鋼)により構成されている。また、これらのスペーサ41〜44は、例えば2つの半円環状部材の嵌め合わせによって装着されるようになっている。
このような構成の通電部30を形成する際には、まず、1本の超電導線材50を、フランジ部22の対向面22aからフランジ部23に向けて胴部21の外周面に沿うようにソレノイド状に巻回し、これによって第1通電層31を形成する。この時、第1通電層31の巻終り部位がフランジ部23の対向面23aから所定距離(超電導線材50の半径程度)だけ離れるように超電導線材50の巻回動作を終了する。次に、第1通電層31の巻終り部位とフランジ部23の対向面23aとの間の空間部を埋めるようにスペーサ41を装着する。
そして、超電導線材50をフランジ部23に設けられた図略の引掛け部に掛け回して軸方向に折り返した後、フランジ部23の対向面23aからフランジ部22に向けて第1通電層31の外周に沿うようにソレノイド状に巻回し、これによって第2通電層32を形成する。この時も、第2通電層32の巻終り部位がフランジ部22の対向面22aから所定距離だけ離れるように超電導線材50の巻回動作を終了する。そして、第2通電層32の巻終り部位とフランジ部22の対向面22aとの間の空間部を埋めるようにスペーサ42を装着する。
その後、超電導線材50をフランジ部22に設けられた図略の引掛け部に掛け回して軸方向に折り返す。この動作を2回繰り返すことで通電部30が形成される。
ところで、上記永久電流スイッチ5のコイル6は、一般に、超電導マグネット2から約0.5〜1.0T(テスラ)の位置に設けられている。そのため、コイル6の通電部30には、超電導マグネット2の発生磁場による電磁力が作用する。そして、その力の向きは、超電導マグネット2の磁場に対する当該コイル6の設置方向に依存しており、コイル6の設置方向によっては、クエンチを生じさせやすい向きの力が通電部30に働く。
例えば、図5に示すように、コイル6を、その軸方向が超電導マグネット2の磁場方向(矢印M参照)と直交するような横置きに設置した場合、通電部30の各通電層31〜34のうち超電導マグネット2の磁場方向に直交する向きに電気が流れる線材部位(図5に示す超電導線材50の断面部分)には、それぞれ、巻枠20の軸方向に沿う方向の力が主に作用することになる。
具体的には、第1通電層31の図5では上側の複数(本実施形態では6つ)の線材部位からなる磁場直交部31a、第2通電層32の下側の6つの線材部位からなる磁場直交部32b、第3通電層33の上側の6つの線材部位からなる磁場直交部33a、および、第4通電層34の下側の6つの線材部位からなる磁場直交部34bには、軸方向に沿った左向きの電磁力F1が作用する。また、第1通電層31の下側の6つの線材部位からなる磁場直交部31b、第2通電層32の上側の6つの線材部位からなる磁場直交部32a、第3通電層33の下側の6つの線材部位からなる磁場直交部33b、および、第4通電層34の上側の6つの線材部位からなる磁場直交部34aには、軸方向に沿った右向きの電磁力F2が作用する。
また、このようにコイル6を横置きに設置した場合には、軸方向に一列に並ぶ6つの線材部位のそれぞれに作用する力が合計されるため、各磁場直交部31a〜34a,31b〜34bに作用する力F1,F2は十分に大きいものとなる。そして、これらの軸方向の力F1,F2が俵積みによる超電導線材50同士の相対移動規制力を上回れば、超電導線材50を俵積み状態に拘束することが困難になり、通電層31,33が巻終り側のフランジ部23に向けて移動するとともに、通電層32,34が巻終り側のフランジ部22に向けて移動する。この場合、超電導線材50の微小変位に起因してクエンチが発生するという不都合がある。
しかし、本実施形態のコイル6では、巻終り側のフランジ部23への通電層31,33の移動を規制するように通電層31,33と巻終り側のフランジ部23との間の空間部にスペーサ41,43をそれぞれ設けるとともに、巻終り側のフランジ部22への通電層32,34の移動を規制するように通電層32,34と巻終り側のフランジ部22との間の空間部にスペーサ42,44をそれぞれ設けたので、通電層31〜34の巻終り側のフランジ部への変位を防ぐことができる。これにより、上記のようにコイル6を横置きに設置した場合に、通電層31〜34の各磁場直交部31a〜34aに作用する軸方向の力F1,F2が俵積みによる超電導線材50同士の相対移動規制力を上回ったとしても、各通電層31〜34が軸方向に変位するのを各スペーサ41〜44の対応部位41a〜44aにより防ぐことができる。
また、図5を参照して、超電導マグネット2の磁場方向(矢印M)が逆向きの場合には、前記電磁力F1,F2もそれぞれ軸方向の逆向きに作用することになる。この場合、通電層31〜34の各磁場直交部31b〜34bに作用する軸方向の力F1,F2が俵積みによる超電導線材50同士の相対移動規制力を上回ったとしても、通電層31〜34の軸方向の変位が各スペーサ41〜44の対応部位41b〜44bによって防がれる。
また、図示しないが、コイル6が、その軸方向が超電導マグネット2の磁場方向に対して例えば45度で傾斜する姿勢で設置される場合でも、通電層31〜34の各磁場直交部に作用する力の軸方向成分が合計されるため、通電層31〜34には軸方向の比較的大きな力が作用する。この場合にも、各通電層31〜34の軸方向の変位がスペーサ41〜44によって確実に防止される。
なお、図6に示すように、コイル6を、その軸方向が超電導マグネット2の磁場方向と一致するような縦置きに設置した場合、通電層31〜34の前記線材部位(図6に示す超電導線材50の断面部分)には、それぞれ、巻枠20の軸方向と直交する方向の力が主に作用する。
具体的には、第1通電層31の前記磁場直交部31a,31b、および、第3通電層33の前記磁場直交部33a,33bには、径内方向の電磁力F3が作用する。また、第2通電層32の前記磁場直交部32a,32b、および、第4通電層34の前記磁場直交部34a,34bには、径外方向の電磁力F4が作用する。
このようにコイル6を縦置きに設置した場合には、通電層31〜34には軸方向の力はほとんど作用しないため、通電層31〜34が軸方向に変位しにくくなっている。
本実施形態では、上記のように、俵積み状態で超電導線材50を巻回するための通電層31〜34と巻終り側のフランジ部との間の空間部にスペーサ41〜44を配して、巻終り側のフランジ部への通電層31〜34の移動を規制するように構成したので、各通電層31〜34が巻終り側のフランジ部の方向に変位するのを防ぐことができる。これにより、例えばコイル6が、その軸方向が当該コイル位置における超電導マグネット2の磁場方向と直交するような姿勢で配設されることに起因して、通電層31,33にフランジ部23へと向かう軸方向の電磁力が作用するとともに、通電層32,34にフランジ部22へと向かう軸方向の電磁力が作用した場合でも、スペーサ41〜44によって各通電層31〜34の軸方向の変位を防ぐことができる。なお、コイル6が、その軸方向が超電導マグネット2の磁場方向と一致するような姿勢で配設される場合には、各通電層31〜34には軸方向の力がほとんど作用しないため、通電層31〜34の軸方向の変位は起こりにくくなっている。これらのことから、コイル6がいずれの姿勢で配設されていても通電部30の変位が起こらないようにすることができるので、コイル6の向きにかかわらずクエンチの発生を十分に抑えることができる。
また、本実施形態では、超電導線材50の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する材料からなるスペーサ41を用いれば、このスペーサ41の冷却時の軸方向収縮量は、通電部30の軸方向の収縮量よりも少ないので、冷却状態でスペーサ41は通電層31およびフランジ部23の両方に確実に当接する。これにより、通電層31の軸方向の変位の防止がより確実になる。なお、スペーサ42〜44についても同様の効果がある。
また、本実施形態では、上記のように、例えば、通電層31の巻終り側のフランジ部23に臨む部位に周方向の略全域に亘って対応するようにリング状に形成されたスペーサ41を設けることによって、スペーサ41により通電層31の移動を周方向の略全域に亘って規制することができる。なお、スペーサ42〜44についても同様の効果がある。
また、本実施形態では、上記のように、例えば、スペーサ41に、当該スペーサ41に隣接する第1通電層31の超電導線材50の外周面と嵌合可能な保持部41cを設けることによって、第1通電層31の超電導線材50を保持部41cで保持することができるので、第1通電層31の移動を規制しやすくなる。また、スペーサ41に、第2通電層32の超電導線材50の外周面と嵌合可能な保持部41dを設けることによって、第2通電層32を俵積み状態で巻き始めやすくなる。なお、スペーサ42の保持部42c、42d、42eや、スペーサ43,44の保持部についても同様の効果がある。
なお、上記実施形態では、4つの通電層31〜34からなる通電部30を有するコイル6について示したが、これに限らず、4層以外の複数の通電層からなる通電部を有するコイルにも本発明を適用可能である。なお、通電層の数は、コイルを無誘導状態にしやすいことから偶数であることが好ましい。
また、上記実施形態では、超電導線材50を保持するために保持部を有するスペーサについて示したが、断面平板状のスペーサであってもよい。
また、上記実施形態では、スペーサ41〜44を、超電導線材50よりも熱膨張率の小さい材料で構成する例について示したが、これに限らず、巻枠20の熱膨張率と超電導線材50の熱膨張率との差次第では、超電導線材50以上の熱膨張率の材料からなるスペーサであってもよい。
本発明の一実施形態による永久電流スイッチを備えた超電導マグネット装置の構成を概略的に示したブロック図である。 永久電流スイッチのコイルの構成を示した断面図である。 コイルの第1通電層用のスペーサを示した拡大断面図である。 コイルの第2通電層用のスペーサを示した拡大断面図である。 横置きコイルの通電部に作用する軸方向の力を説明するための断面図である。 縦置きコイルの通電部に作用する径方向の力を説明するための断面図である。
符号の説明
2 超電導マグネット
5 永久電流スイッチ
6 コイル
20 巻枠
21 胴部
22 フランジ部(第1のフランジ部)
23 フランジ部(第2のフランジ部)
30 通電部
31 第1通電層(第1の層部)
32 第2通電層(第2の層部)
33 第3通電層(第1の層部)
34 第4通電層(第2の層部)
41 スペーサ(第1のスペーサ)
41c,41d 保持部(面部)
42 スペーサ(第2のスペーサ)
42c,42d,42e 保持部(面部)
43 スペーサ(第1のスペーサ)
44 スペーサ(第2のスペーサ)
50 超電導線材

Claims (6)

  1. 超電導マグネット装置の超電導マグネットを永久電流モードで運転するための永久電流スイッチであって、
    前記超電導マグネットに電気的に接続される無誘導型のコイルを備え、
    前記コイルは、胴部とこの胴部の軸方向両端から径外方向に延びて互いに対向する対向面を有する一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記一対のフランジ部の対向面の間に挟まれる領域で前記胴部の周囲にその径方向に複数層に亘って積層されるようにソレノイド状に巻回された1本の超電導線材からなる通電部と、この通電部と前記フランジ部との間に設けられるスペーサとを含み、
    前記通電部は、第1のフランジ部の対向面から第2のフランジ部に向けて巻回された超電導線材からなるとともに第2のフランジ部に臨む部位が第2のフランジ部の対向面と所定距離を隔てるように配される第1の層部と、この第1の層部の前記巻枠の径方向に隣り合うように設けられ、第2のフランジ部の対向面から第1のフランジ部に向けて第1の層部とは前記巻枠の周方向で逆向きにかつ第1の層部の超電導線材に対して前記巻枠の軸方向にずれるように巻回された超電導線材からなり、第1のフランジ部に臨む部位が第1のフランジ部の対向面と所定距離を隔てるように配される第2の層部とを有し、
    前記スペーサは、第1の層部と第2のフランジ部の対向面との間に設けられて第1の層部の第2のフランジ部へと向かう軸方向の移動を規制する第1のスペーサと、第2の層部と第1のフランジ部の対向面との間に設けられて第2の層部の第1のフランジ部へと向かう軸方向の移動を規制する第2のスペーサとを有することを特徴とする永久電流スイッチ。
  2. 前記通電部は、複数の第1の層部と、第1の層部と同数の第2の層部とを有し、
    第1の層部と第2の層部とが、前記巻枠の径方向に交互に配されていることを特徴とする請求項1に記載の永久電流スイッチ。
  3. 前記スペーサは、前記超電導線材の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の永久電流スイッチ。
  4. 前記スペーサは、前記層部の前記フランジ部に臨む部位に周方向の略全域に亘って対応するようにリング状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の永久電流スイッチ。
  5. 前記スペーサには、当該スペーサに隣接する超電導線材の外周面と嵌合可能な面部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の永久電流スイッチ。
  6. 前記コイルは、前記巻枠の軸方向が当該コイルの配置位置での前記超電導マグネットの磁場の向きに対して傾斜するように配されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の永久電流スイッチ。
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