JP2010016942A - 同期モータの制御方法及び制御装置 - Google Patents

同期モータの制御方法及び制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】突極あるいは逆突極型のロータを備えた位置検出センサレスの同期モータで、起動制御として位置決めモードと同期運転モードとが設定されている同期モータの制御方法において、停止しているロータの初期位置の如何にかかわらず位置決めできない状態を回避し、ロータが急回転することにより過電流が発生することを防止した制御方法を提供する。
【解決手段】ロータの位置決め通電位相(θ1)を決定し(S1)、θ1を挟む電圧パルスV1、V2をステータコイルに印加し、そのときの電流I1、I2を検出する(S2〜S4)。電流I1、I2の電流値に基づいてロータの初期位置が過電流領域にあるか、否かを判定する。ロータの初期位置が過電流領域にある場合は、θ1を過電流が発生しない領域に変更する(S5〜S9)。さらに、過電流領域にある場合は電圧パルスV3を印加して、ロータの極性磁極を判別して、さらに、過電流を低減することができる(S10〜S11)。
【選択図】図3

Description

本発明は、突極あるいは逆突極型ロータからなりロータの回転位置を検出するセンサが設けられていない同期モータの起動法に係り、特に、ロータの回転位置決めモードと同期運転モードを備えた同期モータの制御方法と、その制御方法を備えた同期モータの制御装置に関する。
従来のロータの回転位置を検出する位置センサを持たない同期モータの起動法として、特許文献1に記載されたものがある。位置センサレスで同期モータを運転する場合、電機子巻線(ステータコイル)の端子電圧からロータの回転位置を検出し、その検出信号に基づきインバータを制御して定常運転を行うが、起動時には電機子巻線に誘起電圧が発生していないから、定常運転に先だってインバータを他制式としてロータの回転数を上げる低周波同期起動運転モードが設けられている。特許文献1記載のロータ位置センサレスで同期モータを起動する起動法は、低周波同期起動運転モードに入る前に、電機子巻線への電流の通流経路を任意の一つに固定して直流電流を流し、その電流を0から徐々に高め、ロータを回転トルクが発生しない位置まで移動させて固定する位置決めを行う位置決めモード期間を設け、その後、低周波同期起動運転を行う起動方法である。
特許第2533472号公報
しかしながら、上記起動法の位置決め運転では次の問題がある。
(a)位置決めモードにおいて、ロータを位置決めするために電機子巻線に通電する通電位置位相に対して、ロータの初期位置が180度付近にある場合、電機子巻線に流す直流電流を増加させてもロータには回転トルクが発生しない(回転トルク=0)ので、ロータを移動させて固定する位置決めができない。
(b)ロータを位置決めできない(a)の状態で、電機子巻線に流す直流電流をさらに増加させてロータを回転させようとすると、ロータは急回転してしまう。
(c)ロータが急回転することにより同期モータは発電機となり、異常電圧が発生して過電流が流れ、システム停止に到る。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものである。したがって、突極あるいは逆突極型のロータを備え、位置検出センサレスで運転される同期モータで、かつ、起動制御として位置決めモードと同期運転モードとが設定されている同期モータにおいて、ロータの初期位置の如何にかかわらず位置決めできない状態を回避し、ロータの初期位置によっては、ロータが急回転することにより過電流が発生し、システム停止に到ることを防止した同期モータの制御方法及びその制御方法を備えた同期モータを提供することを課題としている。
(1)上記課題を解決するために、本発明の同期モータの制御方法は、突極あるいは逆
突極型のロータと、ステータコイルとを備え、前記ロータの回転位置を検出する位置検出センサレス同期モータを駆動するための制御方法であって、前記ステータコイルに所定の電圧を印加して通電するインバータにより駆動される前記同期モータの起動時の制御方法において、前記起動時のロータの位置決めの前に、停止している前記ロータの初期位置を推定するために、パルス通電位相差が電気角90度以内である第1のパルス及び第2のパルスからなる少なくとも二回のパルス通電を前記ステータコイルに対して行い、各前記パルス通電にともなう電流値を検出し、検出した二つの前記電流値の大きさに基づき、前記ロータの初期位置領域を判別することを特徴とする。
すなわち、本発明の同期モータの制御方法は、初期起動制御として設定されている位置決めモードの前に、少なくとも二回の通電位相の異なるパルス通電をステータコイルに対して行い、その電流値の大きさによりロータの初期位置を推定するものである。突極あるいは逆突極型ロータのインダクタンスは、ロータの磁石位置によりインダクタンスに突極あるいは逆突極性を有し電気角で90度ごとにインダクタンスは増加あるいは減少へと変化する。ここで、図6(a)のようにロータのN極方向をd軸、d軸から90度位相を進めた方向をq軸と定義すると、インダクタンスは、d軸で最小、q軸で最大となる。ステータコイルを流れる電流は、インダクタンスが小さいと流れ易く、インダクタンスが大きいと流れにくい。従って、図5(b)のようにd軸とステータの磁極の方向が一致している時(θ=0)ステータコイルを流れる電流は最大となり、d軸とステータの磁極の方向が90度のとき(θ=90)ステータコイルを流れる電流は最小となる。このように、ロータの停止している位置によりステータコイルを流れる電流は変化する。この突極あるいは逆突極型ロータの特性を利用して位相差のある二回のパルス通電を行い、そのときの電流値の大小を比較してロータの初期位置領域を判別することができる。印加する電圧は、僅かな時間幅のパルス状電圧であるため停止しているロータを回転させたり、騒音を発生させるおそれはない。
(2)好ましくは、(1)の同期モータの制御方法において、前記起動時に、判別された前記ロータの初期位置領域に基づいて位置決め通電位相が決定され、前記ロータが正対して位置決め出来ない状態を回避する制御方法とするとよい。
ロータの初期位置に対して、位置決め通電位相が大きく離れているとき、ロータの位置決めのためにステータコイルに流れる電流が大きくなる。ロータの磁極とステータコイルの磁極が正対している(例えば、ロータのN極とステータコイルのN極が相対している)場合、あるいはロータの磁極とステータコイルの磁極が正対に近い状態にある場合、ロータは急回転する。(1)において、ロータの初期位置領域が判別されたことにより、位置決めのためにステータコイルに流す電流の通電位相をロータが急回転しない範囲の通電位相とすることが可能となる。さらに、ロータの急回転を防止することで、ロータが急回転し過電流が発生しシステム停止に到ることを抑制することが可能となる。
(3)さらに、好ましくは、(1)の同期モータの制御方法において、前記第1のパルス及び第2のパルスのパルス間隔は、前記ステータコイル時定数以上である構成がよい。
二つのパルスのパルス間隔をステータコイル時定数以上とすることで、第1のパルス印加で流れた電流を減衰させ、測定精度を確保する効果がある。
(4)さらに、好ましくは、(1)〜(3)の何れの同期モータの制御方法においても、前記位置決めモードの前に、さらに、前記第2のパルスに対して電気角180度の第3のパルスを印加し、前記ロータの磁極極性を判別する構成とするとよい。
本構成によれば、界磁磁石の磁気飽和を利用してロータの磁極判別(N極、S極の判別)を行うことができる。パルス電流により発生する磁束の方向が界磁磁束と同方向である場合、磁気飽和となる。磁気飽和によりインダクタンスは小さくなるのでパルス電流は流れ易い。逆に、パルス電流により発生する磁束の方向が界磁磁束と逆方向である場合、パルス電流により発生する磁束と界磁磁束とは打ち消しあうので磁気飽和とはならない。磁気飽和にならない場合インダクタンスは大きくなるのでパルス電流は流れにくくなる。この特性を利用して、本発明は、第2のパルスと第3のパルスの電流値を比較することでロータの磁極判別を行う構成としている。さらに、この構成によりロータの位置決め時の回転角度を最大90度以内に抑えることができ、90度以内に抑えることで後述するように、ロータの急回転による過電流の発生をより確実に行える。
(5)請求項5及び6に記載の発明は、同期モータの制御装置の発明であるが、その作用・効果は、上記の(1)〜(4)項に述べた同期モータの制御方法の発明の作用・効果と同様であるので説明を省略する。
本発明によれば、突極あるいは逆突極型のロータを備え、位置検出センサレスで運転される同期モータで、かつ、起動制御として位置決めモードと同期運転モードとが設定されている同期モータの制御方法において、停止しているロータの初期位置の如何にかかわらず位置決めできない状態を回避し、さらに、ロータの初期位置によってはロータが急回転することにより過電流が発生しシステム停止に到る場合があるが、そのような過電流の発生と、それによるシステム停止を防止する効果がある。また、その制御方法を備えた同期モータの制御装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態についてより詳しく説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態である同期モータの制御システム全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、同期モータの制御システム20は、3相のステータコイル1aと突極あるいは逆突極型のロータ1bとを有する同期モータ1と、同期モータ1を制御する制御装置2と、制御装置2に直流電源を供給するバッテリ3と、制御装置2との間で同期モータ1の起動指令などに関する情報を送受するECU(電子制御装置)50と、から構成されている。制御装置2は、同期モータ1を駆動するためのインバータ4と、インバータ4を構成しているIGBT(T1〜T6)をオン・オフ制御するドライブ回路5と、インバータ4の各相アーム下段に接続された抵抗R1、R2、R3により構成された電流値検出手段6と、同期モータ1の過電流を検出する過電流検出器7と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称す)8と、により構成されている。同期モータ1は、埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。C1、C2は、バッテリ3及びインバータ4にそれぞれ設けられたバイパスコンデンサである。
ドライブ回路5は、マイコン8により制御され、電流値検出手段6の出力は、増幅器A1、A2、A3、を介してマイコン8のロータ初期位置領域判別部81に入力されている。ロータ初期位置領域判別部81は、本発明のロータ初期位置領域判別手段に該当する。また、過電流検出器7の出力は、増幅器A4を介してマイコン8に入力されている。ここで、マイコン8と、インバータ4と、電流値検出手段6と、ロータ初期位置領域判別部81とは、本発明のロータ初期起動手段に含まれる。なお、図1では、ドライブ回路5の出力(d1〜d6)は、図示されていないが、IGBT(T1〜T6)のゲート端子(b1〜b6)に接続されている。
図2は、同期モータの起動制御の経過を表したものである。通常、位置決め運転(X)、同期運転(Y)、定常運転(Z)の順に徐々にロータの回転を上げて定常運転に移行するが、位置決め運転では上記した問題があるため、本発明では、位置決め運転モード(X)の前に、さらに、ロータ初期位置領域判別(X)を行うものである。
次に、図3のフローチャートに基づいて、本実施形態のロータ初期位置領域判定動作について説明する。本発明のロータ初期位置領域判別手段は、まず、停止しているロータの初期位置が設定した位置決め位相(θ1)に対して、位置決めによりロ−タが急回転して過電流が発生する領域にあるか、否かを判定する。
まず、過電流発生のメカニズムについて図4及び図5を参照して説明する。
従来技術の項で前述したように、位置決め運転では、ステータに一定方向の電流(以下、モータ電流と称す)を印加するが、そのときに発生するトルク(以下、モータ発生トルクと称す)Tは、次式で表される。
=Pn〔−Φa・I・sinθ+(1/2)(Lq−Ld)(I・sin2θ〕・・・(1)
ここで、T:モータ発生トルク、Pn:極対数、Φa:永久磁石によるステータ鎖交磁束、I:モータ電流、Lq:q軸インダクタンス、Ld:d軸インダクタンス、θ:ロータN極とステータS極のなす角度である。
本実施形態の同期モータ1は、前述したようにIPMSMである。IPMSMのモータ発生トルクTは、マグネットトルクとリラクタンストルクの総和トルクで考えられる。マグネットトルクは、(1)式の前項で、ステータコイルの磁界とロータの磁石の磁界との間に発生する引力、斥力である。リラクタンストルクは、(1)式の後項で、ステータコイルの磁界が鉄を引きつける力である。(1)式から分かるようにモータ発生トルクTは、θの関数であり、図4に示すようにロータの初期位置により大小分布している。θは、(1)式で述べているように、ロータN極とステータS極のなす角度である(図6(a)参照)。また、ロータの回転を妨げるように働く負荷トルクTとし、図4に示すように一定だとすると、ロータに働く回転トルクTは、次式で表される。
=T−T=J(dθ/dt)・・・・・・・・・(2)
ここで、J:イナーシャ(慣性モーメント)である。
位置決め運転時にモータ電流が大きくなる条件について説明する。モータ電流Iは、次式で表される。
=(V+Kω)/r・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ここで、V:モータコイル印加電圧(ステータコイル印加電圧)、K:逆起定数、ω:ロータ角速度、r:巻線抵抗である。
位置決め運転においては、ロータを所定の位置に回転させるために(3)式のモータコイル印加電圧(V)は、例えば、本実施形態の同期モータでは、U相:−27A、V・W相:13.5Aに向けて印加される。過電流に至るのは逆起電圧Kωが大きくなり重畳されたとき、つまりロータ角速度ωが大きいときである。角速度は前述の回転トルクTとの関係から次式で表される。
S=∫Tdθ=(1/2)Jω・・・・・・・・・(4)
ここで、S:回転トルクTの総和である。
(4)式をロータ角速度ωについて展開すると、
ω=(2S/J)1/2・・・・・・・・・・・・・・・(5)
(5)式より、ロータ角速度ωは、回転トルクTの総和Sの関数である。すなわち、ロータ角速度ωは、回転トルクTの総和Sが大きいほど大きくなる。
図5に、本実施形態の同期モータ1の回転トルクTの総和Sとモータ電流Iとの関係を示す。図5の上図に示すように、ロータの初期位置がa点(θ=約±180度)にあり、ロータの位置決め位置(θ=0度)まで移動させる場合の回転トルクTの総和Sは、斜線で示す面積(T−T)となる。図5の下図は、ロータを任意の初期位置から位置決め位置(θ=0度)まで移動させたときの、モータ電流Iの大きさを示している(ただし、ロータ初期位置が+135度〜±180度〜−135度の範囲のみ図示)。横軸がロータ初期位置を示し、縦軸がロータの位置決めの移動により流れるモータ電流Iの大きさである。
本実施形態では、IGBTの電流容量等からモータ電流Iは、30A以下で運転する構成となっている。従って、図5下図に示すように、モータ電流Iが30A以上流れる場合は、過電流と判定するように過電流保護レベルを30Aに設定している。そして、過電流に至る範囲としては、(4)式及び(5)式に基づき図5に示すように、ロータ初期位置が150度以上(ロータ回転角が150度以上)の場合である。
次に、図3のフローチャートに戻って説明する。
ロータの初期位置領域を推定するために、ステップ1(以下、S1と称す。他のステップも同様)において、まず、ロータの位置決め通電位相(θ1とする)を決定する。次に、S2において、θ1を挟む通電パルス(電圧ベクトル)2ケを決定する。2ケの通電パルスは、本発明の第1のパルス及び第2のパルスに該当する。このとき、2ケの通電パルスの位相差は、90度以内とする。2ケの通電パルスの位相差を90度以内とする理由は、後述するロータの初期位置領域を推定する手法が2ケの通電パルスにより流れる電流の電流値に基づくものであり、その電流値の増減は、先に図6を引用して述べたように、90度ごとに逆になっている特性を利用するためである。ここで、上記2ケの通電パルスの電圧をV1、V2とする。次に、S3において、電圧V1パルスを印加し、それによりステータコイルに流れる電流をI1とし、図1の電流検出手段6により電流値を検出する。次に、S4で電圧V2パルスを印加し、それによりステータコイルに流れる電流をI2とし、電流検出手段6により電流値を検出する。
以上のS1〜S4の動作について図7で具体的数値に基づいて説明する。図7(a)に図示しているように、決定された位置決め通電位相θ1に対して、2ケの通電パルス(電圧ベクトルV1、V2)を設定する。図7(a)の場合は、θ1を挟んで2ケの通電パルスの間隔は、30度(<90度)としている。図7(b)は、電圧V1パルス及び電圧V2パルスを印加し、電流I1及びI2を検出するためのインバータ4のIGBTのオン・オフ制御を表している。図7(b)に示すように、電圧V1パルスを印加するときは、IGBTのT2及びT4をオンとし、その他のIGBTはオフとする。電圧V2パルスを印加するときは、IGBTのT3及びT4をオンとし、その他のIGBTはオフとする。これにより、電圧V1パルスと電圧V2パルスとの位相差は30度となっている。
次に、電圧V1パルスと電圧V2パルスのパルス幅及び二つのパルスの間隔について図8を参照して説明する。
通電パルスは、ロータが回転しない程度の短いパルスとする必要がある。本実施形態の同期モータの場合、電流値で5Aを超えると回転する。パルス幅にすると20μsである。また、4μsでは電流値が検出できないため、本実施形態では10μsとした。二つのパルスの間隔は、電流の回生期間以上あける必要がある。本実施形態では、図8(b)に示すように、電流回生期間は4msである。従って、図8(a)に示すように、パルス幅を10μs、パルス間隔を5msとしている。
電流I1とI2を検出したら、次に、S5において、電流I1とI2の電流値に基づいて、ロータの停止している初期位置が「領域上」か「領域下」かの判定(判定1)を行う。なお、領域上とは、位置決め位置がd軸に近い位置(d軸±45度)でロータが停止している場合であり、領域下とは、位置決め位置がq軸に近い位置(q軸±45度)でロータが停止している場合である。判定1について、図9(a)に基づき説明する。
図9(a)は、横軸が図9(c)に示すように、位置決め通電位相(0度)に対するロータの位置(θ)を表している。縦軸は、ロータがθの位置にあるとき(d軸がθの位置にあるとき)のステータに流れる電流値を表している。
ここで、|I1|+|I2|≧α 〔(α/2)=Imax+Imin:図9(a)参照〕・・・・(6)
であるときは、ロータは領域上で停止している。
|I1|+|I2|<α・・・・・・(7)
であるときは、ロータは領域下で停止している、と判定する。
S5の判定の次に、S6のロータが停止している初期位置が電流(I1、I2)のピーク値付近にあるか、否かの判定2を行う。図9(b)に示すように、電流I1の電流値とI2の電流値との差を所定の値βと比較することにより、ロータの初期位置がピーク付近か、電流の傾斜部分にあるかを判定することができる。すなわち、
||I1|−|I2||<β・・・・・・(8)
である場合は、ロータの初期位置がピーク付近にあると判定する。また、
||I1|−|I2||≧β・・・・・・(9)
である場合は、ロータの初期位置がピーク付近以外にあると判定する。
ロータの初期位置がピーク付近にあるということは、位置決め通電位相(ロータを位置決めする位置)の付近にあるため、位置決めによるロータの回転が大きく過電流が発生するおそれがある。一方、ロータの初期位置がピーク付近以外にあれば、位置決めによるロータの回転が大きくないので、過電流が発生するおそれがない。前述したように、ロータの位置決めによるロータ回転角が150度以上のとき過電流が発生するので、βを|I1|−|I2|の値により、ロータの初期位置が、位置決め通電位相から30度以内であるか、30度以上であるか判定できるようにβを設定しておけば、ロータの初期位置が過電流発生領域にあるか、否か判定できる。そして、ロータ回転角が150度以上のときは、位置決め通電位相(位置決め位置)をロータ回転角が150度以内となるように変更する。
判定2について、図10を参照してより具体的に説明する。
図10(a)は、ロータが位置決め通電位相(位置決め位置)に対して0度の位置に停止している場合を示している。この場合、電流I1とI2は、図10(b)に示すようにピーク付近にあり、ほぼ等しい値でロータが領域上に停止している場合である。従って、電流I1とI2の電流値の差は、ほぼ零であり、式(8)に該当する。また、ロータの初期位置(A点)が過電流発生領域にあるため、位置決めによる回転で過電流が発生する。図10(c)は、これに対し位置決め通電位相を変更(−45度シフト)して位置決めによる回転角を減少させて(約130度に減少)過電流発生を回避した例を示している。
図11(a)は、ロータが位置決め通電位相に対して−45度の位置に停止している場合を示す。そして、ロータが領域上に停止している場合に該当する(式6参照)。判定2は、図11(b)に示すI1、I2の電流値よりロータの初期位置がピーク付近以外にある場合と判定する(式9参照)。そして、図11(b)に矢印で示すように、ロータが停止位置のB点から、位置決め通電位相(位置決め位置)まで移動(回転)する回転角は、約135度であり、過電流が発生するおそれはない。従って、位置決め通電位相(θ1)は最初に設定された位置決め通電位相(位置決め位置)に決定される。
なお、ロータの初期位置が、領域下にある場合は、位置決めによるロ−タの回転角は、式(8)、(9)のいずれの場合も150度以内なので、位置決め通電位相(θ1)を変更する必要はない。
以上のように、本発明のロータ初期位置領域判別手段は、判定1及び判定2によって、ロータの初期位置が、設定された位置決め通電位相(θ1)に対して位置決めにより過電流が発生する領域にあるか、否かを判定する。そして、ロータの初期位置が、過電流が発生する領域にあると判定した場合には、位置決め通電位相を過電流が発生しない位置に変更する。
次に、S8において、判定1でロータ初期位置が「領域上」と判定され、判定2で「ピーク付近」にあると判定されて位置決め通電位相が変更された場合、さらに、電圧V2パルスに対して180度位相をずらした電圧V2_パルスを印加し、そのとき流れる電流をI2_として、I2_の電流値を検出する(S10)。ここで、電圧V2_パルスは、本発明の第3のパルスに該当する。
次に、S11において判定3として、I2の電流値とI2_の電流値との大小を比較してロータの磁極極性(NS極性)の判定を行う。図12(a)は、ロータの初期位置と通電位相を変化させたときの流れる電流の電流値の関係の実測値である。このとき、図12(b)のように、電流I2とI2_をそれぞれ流した場合の電流値が図12(a)のように検出されたとする(|I2|>|I2_|)。この場合は、電流I2の方が大きい。すなわち、磁気飽和によりI2が大きくなっているので、図12(b)のようにロータのN極は、位置決め通電位相(0度)の近くにあるので、位置決め通電位相は、S1で設定したθ1でよい。逆に、|I2|<|I2_|である場合は、I2_による磁束により磁気飽和していないためであり、ロータのNS極は、図12(b)とは逆になる。従って、位置決め通電位相をS1で設定したθ1から180度回転させる変更を行うことで位置決めによる過電流防止をより容易に行うことができる。なお、本実施形態では、電圧V2パルスに対して180度位相をずらせた電圧V2_パルスを第3のパルスとして印加しているが、当然、第3のパルスは、電圧V1パルスを基準として、電圧V1パルスから180度位相をずらせたものでもよい。また、図13は、上記の判定1〜3を表にまとめたものである。
本発明の実施形態の同期モータの制御システムの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態のロータ初期位置領域判定についての説明図である。 本発明の実施形態のロータ初期位置領域判定動作についてのフローチャートである。 モータ発生トルクの説明図である。 ロータ位置決め動作における過電流発生メカニズムの説明図である。 ロータの停止位置とステータコイルを流れる電流の関係を示す図である。 位置決め通電位相と電圧ベクトルV1、V2による通電の説明図である。 電圧パルスについての説明図である。 判定1及び判定2の説明図である。 判定2の具体例の説明図である。 判定2の具体例の説明図である。 判定3の説明図である。 )判定1〜判定3の一覧表である。
符号の説明
1:同期モータ、 2:制御装置、 3:バッテリ、 4:インバータ、
5:ドライブ回路、 6:電流検出手段、 7:過電流検出器、
8:マイクロコンピュータ(マイコン)、
20:同期モータの制御システム、 50:ECU、

Claims (6)

  1. 突極あるいは逆突極型のロータと、ステータコイルとを備え、前記ロータの回転位置を検出する位置検出センサレス同期モータを駆動するための制御方法であって、
    前記ステータコイルに所定の電圧を印加して通電するインバータにより駆動される前記同期モータの起動時の制御方法において、
    前記起動時のロータの位置決めの前に、停止している前記ロータの初期位置を推定するために、パルス通電位相差が電気角90度以内である第1のパルス及び第2のパルスからなる少なくとも二回のパルス通電を前記ステータコイルに対して行い、各前記パルス通電にともなう電流値を検出し、検出した二つの前記電流値の大きさに基づき前記ロータの初期位置領域を判別することを特徴とする同期モータの制御方法。
  2. 前記起動時に、判別された前記ロータの初期位置領域に基づいて前記ロータの磁極とステータの磁極とが正対し位置決め出来ない状態を回避するように位置決め通電位相が決定される請求項1に記載の同期モータの制御方法。
  3. 前記第1のパルス及び第2のパルスのパルス間隔は、前記ステータコイル時定数以上である請求項1または2に記載の同期モータの制御方法。
  4. 前記第1のパルス及び第2のパルスの通電による前記ロータの初期位置領域の判別の後に、さらに、前記第2のパルスに対して電気角180度の第3のパルスを前記ステータコイルに印加し、前記電流値検出手段にて電流値を検出し、前記第2のパルスと前記第3のパルスの前記電流値の大小を比較して、前記ロータの磁極極性を判別する請求項1〜3の何れか一項に記載の同期モータの制御方法。
  5. 突極あるいは逆突極型のロータと、ステータコイルとを備え、前記ロータの回転位置を検出する位置検出センサレス同期モータを駆動するための制御装置であって、
    前記ステータコイルに所定の電圧を印加して通電するインバータにより駆動される前記同期モータの制御装置において、
    前記同期モータの起動時ロータの位置決めの前に、停止している前記ロータの初期位置を推定するためにパルス通電位相差が電気角90度以内である第1のパルス及び第2のパルスからなる少なくとも二回のパルス通電を前記ステータコイルに対して行い、さらに、各前記パルス通電にともなう電流値を検出する電流値検出手段と、検出した二つの前記電流値の大きさに基づき前記ロータの初期位置領域を判別するロータ初期位置領域判別手段を有するロータ初期起動手段を備えたことを特徴とする同期モータの制御装置。
  6. 前記第1のパルス及び前記第2のパルスの間隔は、前記ステータコイルの時定数以上であり、前記ロータ初期位置領域判別手段は、さらに、前記ロータの初期位置領域の判別の後に、前記第2のパルスに対して電気角180度の第3のパルスを印加し、前記電流値検出手段にて電流値を検出し、前記第2のパルスと前記第3のパルスの前記電流値の大小を比較して、前記ロータの磁極極性を判別する請求項5に記載の同期モータの制御装置。
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