JP2010003320A - 文字列の読み易さの判定方法、判定装置、判定プログラム - Google Patents

文字列の読み易さの判定方法、判定装置、判定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】従来の文字フォント生成処理システムでは、新しく生成された複数の文字フォントにより表される文字列が読み易いか否かを判定することができなかった。
【解決手段】本発明に係る文字列の読み易さの判定方法は、所定の数式に従ってビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出する算出工程と、前記算出されたビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基き、前記ビットマップフォントにより表される文字列の読み易さを判定する判定工程とを含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、文字列の読み易さの判定方法、判定装置、判定プログラムに関する。
従来、下記の特許文献1に記載された文字フォント生成処理システムは、既存の文字フォントをエレメント、ストローク、パーツという3つの階層に分解し体系的に分類することにより、新しい文字フォントの生成を容易にする。
特開平7−64533号公報
しかしながら、上記した従来の文字フォント生成処理システムでは、新しく生成された複数の文字フォントにより表される文字列が読み易いか否かを判定することができないという問題があった。
本発明に係る文字列の読み易さの判定は、上記した課題を解決すべく、文字列の視覚の誘導場から得られるポテンシャル値の大きさに基き、前記文字列の読み易さを判定する。
本発明に係る文字列の読み易さの判定は、文字列の読み易さの判定を、被験者の主観に沿うポテンシャル値の大きさに基いて行なうことから、文字列の読み易さを評価することができ、しかも、前記被験者の主観に基くと同様に精度高く評価することができる。
本発明に係る他の文字列の読み易さの判定は、ビットマップフォントにより表される文字列の視覚の誘導場を算出し、前記視覚の誘導場から、ポテンシャルエネルギー又は複雑度を算出し、少なくとも、前記ポテンシャルエネルギー又は前記複雑度に基き、前記文字列の読み易さを判定する。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定において、前記ポテンシャルエネルギー又複雑度の算出は、前記ポテンシャルエネルギーとして、前記視覚の誘導場における複数の等ポテンシャル線の各々毎に規定される面積と当該等ポテンシャル線のポテンシャル値との積の総和を算出し、又は、前記複雑度として、前記視覚の誘導場における前記面積と前記等ポテンシャル線の凹凸の程度との商の総和を算出する。
本発明に係る更に他の文字列の読み易さの判定は、式(1)〜式(4)に従ってビットマップフォントのポテンシャルエネルギーEを算出し、又は式(5)〜式(7)に従って前記ビットマップフォントの複雑度Cを算出し、前記算出されたビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基き、前記ビットマップフォントにより表される文字列の読み易さを判定する。
Figure 2010003320
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Figure 2010003320
ここで、rは、文字を構成する点pと文字以外の点qとの間の距離、nは、点pの個数、Sは、等ポテンシャル線Lにより規定される面の面積、mは、等ポテンシャル線の本数、kは、文字列中の文字の数、yは、縦線幅、Lは、等ポテンシャル線の長さを表す。
本発明に係る文字列の読み易さの判定は、ビットマップフォントにより表現される文字列の読み易さの判定を、被験者の主観に沿うポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基いて行なうことから、文字列の読み易さを評価することができ、しかも、前記被験者の主観に基くと同様に精度高く評価することができる。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定において、前記算出では、前記文字列の属性に応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出する。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定において、前記算出では、前記文字列の属性として、前記ビットマップフォントの印象の強さ、又はバランスの良さ若しくは形の良さに応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出する。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定において、前記算出では、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素を横方向に射影することにより得られる当該複数の画素の積算値から算出し、又は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素の横方向におけるストローク幅から算出する。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定おいて、前記算出では、当該算出が処理速度を優先するとき、前記射影を行い、当該算出が処理精度を優先するとき、前記ストローク幅の算出を行なう。
上記した本発明に係る文字列の読み易さの判定において、前記射影では、前記積算値の平均値又は中央値を用いる。
実施例1の判定装置の構成を示す図。 読み易さを判定すべき文字列を示す図。 文字列中の文字を表すビットマップフォントを示す図。 実施例1の判定装置の動作を示すフローチャート。 射影による縦線幅及び高さを算出する方法を示す図。 ストローク幅による縦線幅及び高さを算出する方法を示す図。 デジタル画像における画素の配列を示す図。 文字「A」についての視覚の誘導場を示す図。 明朝体についての仮判定指標及び被験者による読み易さの評価を示す図。 ゴシック体についての仮判定指標及び被験者による読み易さの評価を示す図。 明朝体についてのポテンシャルエネルギー及び被験者による読み易さの評価を示す図。 ゴシック体についての複雑度及び被験者による読み易さの評価を示す図。 解像度と文字列の読み易さとの関係を示す図。
〔実施例1〕
本発明に係る文字列の読み易さ判定装置(以下、「判定装置」と略称する。)の実施例1について図面を参照して説明する。
[判定装置の構成]
図1は、実施例1の判定装置の構成を示し、図2は、実施例1の判定装置が読み易さを判定すべき文字列を示し、図3は、実施例1の判定装置が読み易さを判定すべき文字列中の文字を表すビットマップフォントを示す。図2に示される文字列「勉間A...」は、k個(kは、自然数)の文字「勉」、「間」、「A」、...から構成されており、例えば、文字「勉」は、図3に図示したビットマップフォントにより表現される。
実施例1の判定装置1は、図2に図示の文字列の読み易さを、当該ビットマップフォントについての後述のポテンシャルエネルギーE又は複雑度C(以下、「ポテンシャルエネルギーE及び複雑度C」を「判定指標E、C」と略称する。)に基き判定すべく、入力部10と、制御部20と、記憶部30と、RAM(Random Access Memory)40と、VRAM(Video Random Access Memory)50と、表示部60とから構成される。
入力部10は、ビットマップフォントのためのデータ、及び文字の読み易さの判定に関する命令を入力すべく、例えば、従来知られたキーボード及びマウスからなる。
制御部20は、入力部10から入力される上記したデータ及び命令に基き、かつ、記憶部30に予め記憶された、前記判定指標E、Cを作成する後述のアルゴリズム、文字の読み易さを判定する後述のアルゴリズム、その他ビットマップフォントに関するデータベースを参照しつつ、RAM40上で処理を行なうことにより、ビットマップフォントの判定指標E、Cを生成し、また、判定指標E、Cに基き行なった判定の結果を表示部60に表示する。
記憶部30は、上述したアルゴリズムやデータベースを記憶すべく、例えば、不揮発性の半導体メモリからなる。
RAM40は、前記判定指標E、Cの作成、及び文字の読み易さの判定を行なう過程で一時的に必要なデータを暫定的に格納すべく、例えば、揮発性のメモリからなる。
VRAM50は、表示部60に表示すべき、ビットマップフォントにより表現される文字、及び当該文字の読み易さの判定の結果を格納する。
表示部60は、VRAM50に格納されている、前記文字や判定の結果を表示すべく、例えば、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)からなる。
[判定装置の動作]
図4は、実施例1の判定装置の動作を示すフローチャートである。以下、図4のフローチャートに沿って実施例1の判定装置の動作を説明する。
工程10:制御部20は、入力部10にビットマップフォントに関するデータや判定に関する命令が入力され、入力部10から当該データ及び命令を受け取ると、図3に示されるようなビットマップフォントにおける、縦方向(y方向)に延びる線の幅(以下、「縦線幅」という。)y、及び、ビットマップフォントの縦方向(y方向)の長さである高さhを、記憶部30に記憶されたアルゴリズムやデータベースを参照しつつ、適宜、RAM40を用いて算出する。
図5及び図6は、縦線幅及び高さを算出する方法を示す。前者の算出方法では、線分の射影を用い、後者の算出方法では、ストローク幅を用いる。
[射影]
線分の射影を用いる前者の算出方法では、まず、図5(a)に示されるように、文字「間」に含まれる線分の全てを縦方向(y方向)に射影する。ここで、「射影」とは、線分を構成する画素を積算することをいう。射影の結果として、図5(b)に示されるように、縦方向に延びる線分が長いほど又は多いほど、積算値a1、a2、a3、a4、a5、...は、より大きくなる。
次に、図5(b)及び図5(c)に示されるように、上記した積算値のうち予め設定した閾値を超える部分b1、b2、b3、b4を抽出する。
最後に、図5(c)に示されるように、抽出された部分b1、b2、b3、b4の縦線幅y1、y2、y3、y4について、例えば、その平均値又は中央値を縦線幅yと定義する。
高さhについては、文字「間」に含まれる線分の全てを横方向(x方向)に射影し、線分が存在する範囲を高さhと定義する。
[ストローク幅]
ストローク幅を用いる後者の算出方法では、図6に示されるように、文字「間」を左から右へ走査し、画素が連続して存在する距離を検出し、当該距離をストローク幅と規定する。縦方向に所定の間隔を隔てて複数の走査s1、s2、...、si、...を行なうことにより、文字「間」全体に亘ってストローク幅y1、y2、y3、...を検出する。検出された複数のストローク幅y1、y2、y3、...のうち、最頻値を縦線幅yと定義する。
高さhについては、上記した前者の射影を用いる算出方法における、高さhの算出方法と同一な算出方法により定義する。
縦線幅y及び高さhは、上記したような、文字の読み易さを判定する必要が生じる毎に算出することに代えて、文字の読み易さを判定する必要が生じる以前に予め記憶しておいても良い。
前者の射影を用いた算出方法と後者のストローク幅を用いた算出方法とを比較すると、前者の方法は、後者の方法より高速に処理することができ、他方で、後者の方法は、前者の方法より精度高く処理することができることから、算出が高速を要するときには、前者の方法を採用し、算出が高精度を要するときには、後者の方法を採用することが望ましい。
工程20:制御部20は、判定指標E、Cを、即ち、ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cを、記憶部30に記憶されたアルゴリズムやデータベースを参照しつつ、適宜、RAM40を用いて算出する。以下、ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの算出方法について説明する。
《ポテンシャルエネルギーEの算出方法》
〈ポテンシャル値Mの算出〉
まず、図2に図示の文字列「勉間A...」中の各文字「勉」、「間」、「A」...毎に、視覚の誘導場の強さを示すポテンシャル値Mを算出する。
「視覚の誘導場」とは、文献「長石道博著:『視覚の誘導場による読み易い和文文字列表示』(映像情報メディア誌Vol.52, No.12, pp.1865-1872(1998))」(以下、「参考文献1」という。)によれば、図形の周りに静電場のような「場」を仮定して、いろいろな視知覚現象を説明する心理学的概念である。文字列の「視覚の誘導場」を求め、文字列を構成する個々の文字を評価することにより、文字列全体の読み易さを評価することができる。例えば、図2に図示の文字列「勉間A...」を構成する文字「勉」、「間」、「A」、...の読み易さの評価を通じて文字列「勉間A...」全体の読み易さを評価するための指標となる。
ポテンシャル値Mは、ポテンシャル値Mの閉曲線を定義して使用される。「ポテンシャル値の閉曲線」とは、視覚の誘導場においてポテンシャル値が等しい点を結ぶことにより形成される閉曲線をいう。
「文字列における文字の読み易さ」とは、文字同士が、各文字を囲む視覚の誘導場が相互に干渉し難い、即ち、相互に影響し難いような間隔で配置されていることをいう。例えば、一の文字の閉曲線のポテンシャル値Mが小さいとき、当該一の文字と他の文字とを分離することが容易であることから、読み易さが大きいことを意味する。
視覚の誘導場に関する文献である、「横瀬善正著:『形の心理学』(名古屋大学出版会(1986))」(以下、「参考文献2」という。)では、「図形についての視覚の誘導場」は、図形の周囲に波及する「場」であり、当該「場」を用いて図形に関する視覚の現象が説明されている。以下、参考文献2で考察されている「図形」に代えて、「図形」より一般的な白黒2値のデジタル画像における視覚の誘導場について説明する。
視覚の誘導場がクーロンポテンシャルと同義であると解釈されることから、白黒2値画像により形成される任意の形状(パターン)の外郭を構成する画素を点電荷であると想定し、それらの画素が形成するクーロンポテンシャルを積算することにより、視覚の誘導場のポテンシャル値Mを算出する。
図7は、デジタル画像における画素の配列を示す。図7に示されるデジタル画像においては、任意の画素qでの誘導場は、n(nは、自然数)個の画素p1、p2、...、pi、...、pn−1、pnから規定される曲線f(s)により特定される(sは、曲線の線素を表す)。曲線f(s)は、例えば、文字に含まれる線を構成する線分に相当し、また、形状を構成する輪郭線に相当する。
図7に示されるように、画素p1〜pnの各々と画素qとの間の距離がr1〜rnであるとき、画素qでの視覚の誘導場のポテンシャル値Mは、式(1)のように定義される。
Figure 2010003320
図8は、文字「A」についての視覚の誘導場を示す。図8に示されるように、文字「A」の周辺には、m本(mは、自然数)の等ポテンシャル線L1〜Lmが形成される。ここで、「等ポテンシャル線」とは、ポテンシャル値Mが相互に等しい位置を仮想的に繋ぐことにより形成される線をいう。図8に図示されたポテンシャル値Mである0.04、0.06等から明らかなように、文字「A」により近いほど、等ポテンシャル線L1〜Lmのポテンシャル値Mは、より大きい。
〈ポテンシャルエネルギーENの算出〉
次に、ポテンシャル値Mの算出に引き続き、図2に図示の文字列「勉間A...」中の各文字「勉」、「間」、「A」...毎に、視覚の誘導場のポテンシャルエネルギーENを式(2)に従って算出する。
Figure 2010003320
式(2)中で、mは、図8に図示した等ポテンシャル線Liの本数を表す。また、Siは、図2に図示したi番目の等ポテンシャル線Liにより規定される面の面積を表し、例えば、等ポテンシャル線Liにより規定される面内に存在する画素の数で代表させることができる。さらに、Miは、式(1)に示されるポテンシャルMと同義である、i番目の等ポテンシャル線Liのポテンシャル値を表す。視覚の誘導場が3次元的であると想定すると、式(2)に基き視覚の誘導場のポテンシャルエネルギーENを算出することは、視覚の誘導場の体積を算出することに相当する。
〈ポテンシャルエネルギーEaveの算出〉
次に、ポテンシャルエネルギーENの算出に引き続いて、図2に図示の文字列「勉間A...」全体について、文字「勉」、「間」、「A」、...の視覚の誘導場のポテンシャルエネルギーENの平均値である、視覚の誘導場のポテンシャルエネルギーEaveを式(3)に従って算出する。ここで、kは、図2に図示したように、文字列「勉間A...」中の文字「勉」、「間」、「A」...の個数を表す。
Figure 2010003320
〈ポテンシャルエネルギーEの算出〉
最後に、エネルギーEaveを算出した後、式(4)に従って、視覚の誘導場のポテンシャルエネルギーEを算出する。式(4)中で、yは、図3に図示したように、文字「勉」、「間」、「A」...の間で同一である縦線幅を表す。
Figure 2010003320
上述したように、式(1)〜式(4)を用いることにより、判定指標E、Cの一つであるポテンシャルエネルギーEを算出することができる。
《複雑度Cの算出方法》
〈複雑度COの算出〉
まず、図2に図示の文字列「勉間A...」中の各文字「勉」、「間」、「A」...毎に、図8に図示した等ポテンシャル線Liの平面上での凹凸の度合いを表す複雑度COを式(5)に従って算出する。式(5)中で、mは、図8に図示した等ポテンシャル線Liの本数を表す。また、Liは、等ポテンシャル線Liの長さを表し、例えば、等ポテンシャル線Liを構成する画素の数により代表させることができる。さらに、Siは、上述した式(2)中のSiと同様に、等ポテンシャル線Liにより規定される面の面積を表す。複雑度COは、等ポテンシャル線Liの閉曲線の形状が円に近似するほど、より小さくなる。
Figure 2010003320
〈複雑度Caveの算出〉
次に、複雑度COの算出に引き続き、図2に図示の文字列「勉間A...」全体について、文字「勉」、「間」、「A」...の視覚の誘導場の複雑度COの平均値である、視覚の誘導場の複雑度Caveを式(6)に従って算出する。ここで、kは、図2に図示したように、文字列「勉間A...」中の文字「勉」、「間」、「A」...の個数を表す。
Figure 2010003320
〈複雑度Cの算出〉
最後に、複雑度Caveを算出した後に、式(7)に従って、視覚の誘導場の複雑度Cを算出する。式(7)中で、yは、図3に図示したように、文字「勉」、「間」、「A」...の間で同一である縦線幅を表す。
Figure 2010003320
上述したように、式(5)〜式(7)を用いることにより、判定指標のE、Cの他の一つである複雑度Cを算出することができる。
〈判定指標E、Cの信頼性〉
ポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの信頼性について説明する。文字の読み易さを表す判定指標として、式(8)に従って仮りの判定指標である仮判定指標eを定義する。式(8)中で、x、y、hは、図3に図示された横線幅x、縦線幅y、高さhである。ここで、横線幅xは、縦線幅yを得るための上記した射影又はストローク幅を用いた算出方法と同様な算出方法により得ることができる。
Figure 2010003320
仮判定指標eは、その値が小さいほど、その文字が読み易いことを示す。
図9及び図10は、明朝体及びゴシック体という2種類の書体の文字についての、仮判定指標に基く読み易さの評価、及び、実験での被験者の主観に基く読み易さの評価を示す。明朝体の文字の読み易さの評価を示す図9に示されるように、文字の解像度に拘らず、仮判定指標eに基く読み易さの評価の結果(図9中の実線)と、被験者の主観に基く読み易さの評価の結果(図9中の点線)とは、概ね近似している。また、ゴシック体の文字の読み易さの評価を示す図10にも示されるように、文字の解像度に拘らず、仮判定指標eに基く読み易さの評価の結果(図10中の実線)と、被験者の主観に基く読み易さの評価の結果(図10中の点線)とは、概ね近似している。図9及び図10に示された読み易さの評価の検証から、仮判定指標eを、文字の読み易さを判定するための基準として採用することの妥当性が疎明される。
ここで、図9に示された2つの評価結果の間での相関係数R、及び図10に示された2つの評価結果の間での相関係数Rは、従来知られた式(9)に従って計算すると、それぞれ、0.93、0.84になる。
Figure 2010003320
図11は、明朝体の文字についての、ポテンシャルエネルギーEに基く読み易さの評価、及び実験での被験者の主観に基く読み易さの評価を示す。また、図12は、ゴシック体の文字についての、複雑度Cに基く読み易さの評価、及び実験での被験者の主観に基く読み易さの評価を示す。
ここで、明朝体の文字の読み易さの評価をポテンシャルエネルギーEに基き行なう理由は、明朝体の文字では、文字の力強さのような文字の印象の度合いが重要であり、当該文字の印象の度合いの評価には、ポテンシャルエネルギーEが好適であると推認されるためである。また、ゴシック体の文字の読み易さの評価を複雑度Cに基き行なう理由は、ゴシック体の文字では、文字のバランス及び形状の良さが重要であり、当該文字のバランス及び形状の良さの評価には、また、複雑度Cが好適であると推認されるためである。従って、文字が明朝体であるかゴシック体であるか、即ち、文字の属性に応じて、判定指標として、ポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを選択することが望ましい。
図11及び図12に示されるように、文字の解像度に拘らず、ポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cに基く読み易さの評価の結果(図11、図12中の実線)が、被験者の主観に基く評価の結果(図11、図12中の点線)に極めて近似することから、ポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cを、文字の読み易さを判定するための基準として採用することの妥当性が示される。
加えて、図9と図11との比較、及び図10と図12との比較から明らかなように、ポテンシャルエネルギーEに基く評価及び複雑度Cに基く評価は、仮判定指標eに基く評価に比較して、被験者の主観による評価に一層近似している。従って、文字の読み易さの判定基準として、仮判定指標eよりもポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの方が適していることが明らかとなる。
ここで、図11に示された、ポテンシャルエネルギーEに基く評価の結果と被験者の主観に基く評価の結果との間の相関係数R、及び図12に示された、複雑度Cに基く評価の結果と被験者の主観に基く評価の結果との間の相関係数Rは、上記の式(9)に従って計算すると、それぞれ、0.94、0.97になる。これらの数値は、上述した仮判定指標eに基く評価の結果に関する相関係数0.93、0.84よりも一層1に近いことから、文字の読み易さの判定基準として、仮判定指標eよりもポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの方が適していることが証明される。
図4のフローチャートに戻り、実施例1の判定装置の動作を引き続き説明する。
工程30:制御部20は、工程20で算出された判定指標E、C、即ち、ポテンシャルエネルギーE、複雑度Cに基き、図2に図示した文字列「勉間A...」の読み易さを判定する。必要に応じて、判定の結果を、VRAM50を通じて表示部60に表示する。
上述したように、実施例1の判定装置1では、ビットマップフォントにより表現される文字を複数含む文字列の読み易さの判定を、被験者の主観に極めて近似するポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基いて行なうことから、文字列の読み易さを精度高く評価することが可能になる。
実施例1の判定装置1の判定動作の本質は、文字列の視覚の誘導場から得られるポテンシャル値の大きさに基き、前記文字列の読み易さを判定することである。ポテンシャル値は、被験者の主観に酷似することから、ポテンシャル値に基く文字列の読み易さの判定は、文字列の高精度な評価を可能にする。
なお、文字列の読み易さの判定を、上記したようにポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの一方のみを基いて行なうことに代えて、ポテンシャルエネルギーE及び複雑度Cの両方に基いて行なうことにより、判定の精度を向上させることができる。
1 文字列の読み易さ判定装置、10 入力部、20 制御部、30 記憶部、40 RAM、50 VRAM、60 表示部。

Claims (22)

  1. 文字列の視覚の誘導場を算出する第1の算出工程と、
    前記視覚の誘導場から、ポテンシャルエネルギー又は複雑度を算出する第2の算出工程と、
    少なくとも、前記ポテンシャルエネルギー又は前記複雑度に基き、前記文字列の読み易さを判定する判定工程とを含むことを特徴とする文字列の読み易さの判定方法において、
    前記第2の算出工程は、前記ポテンシャルエネルギーとして、前記視覚の誘導場における複数の等ポテンシャル線の各々毎に規定される面積と当該等ポテンシャル線のポテンシャル値との積の総和を算出し、又は、前記複雑度として、前記視覚の誘導場における前記面積と前記等ポテンシャル線の凹凸の程度との商の総和を算出することを特徴とする文字列の読み易さの判定方法。
  2. 前記文字列の読み易さとは、文字同士が、各文字を囲む視覚の誘導場が相互に干渉し難い、即ち、相互に影響し難いような間隔で配置されていることをいう請求項1記載の文字列の読み易さの判定方法。
  3. 前記第2の算出工程は、式(1)〜式(4)に従ってビットマップフォントの視覚の誘導場におけるポテンシャルエネルギーEを算出し、又は式(5)〜式(7)に従って前記ビットマップフォントの前記視覚の誘導場における複雑度Cを算出する算出工程と、
    少なくとも、前記算出されたポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基き、前記ビットマップフォントにより表される文字列の読み易さを判定する判定工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の文字列の読み易さの判定方法。
    Figure 2010003320
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    ここで、rは、文字を構成する点pと文字以外の点qとの間の距離、nは、点pの個数、Sは、等ポテンシャル線Lにより規定される面の面積、mは、等ポテンシャル線の本数、kは、文字列中の文字の数、yは、縦線幅、Lは、等ポテンシャル線の長さを表す。
  4. 前記算出工程は、前記文字列の属性に応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項3記載の文字列の読み易さの判定方法。
  5. 前記算出工程は、前記文字列の属性として、前記ビットマップフォントの印象の強さ、又はバランスの良さ若しくは形の良さに応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項4記載の文字列の読み易さの判定方法。
  6. 前記算出工程は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素を横方向に射影することにより得られる当該複数の画素の積算値から算出する射影工程、又は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素の横方向におけるストローク幅から算出するストローク幅算出工程を有することを特徴とする請求項3記載の文字列の読み易さの判定方法。
  7. 前記算出工程は、当該算出工程が処理速度を優先するとき、前記射影工程を行い、当該算出工程が処理精度を優先するとき、前記ストローク幅算出工程を行なうことを特徴とする請求項6記載の文字列の読み易さの判定方法。
  8. 前記射影工程は、前記積算値の平均値又は中央値を用いることを特徴とする請求項6記載の文字列の読み易さの判定方法。
  9. 文字列の視覚の誘導場を算出する第1の算出部と、
    前記視覚の誘導場から、ポテンシャルエネルギー又は複雑度を算出する第2の算出部と、
    少なくとも、前記ポテンシャルエネルギー又は前記複雑度に基き、前記文字列の読み易さを判定する判定部とを含むことを特徴とする文字列の読み易さの判定装置において、
    前記第2の算出部は、前記ポテンシャルエネルギーとして、前記視覚の誘導場における複数の等ポテンシャル線の各々毎に規定される面積と当該等ポテンシャル線のポテンシャル値との積の総和を算出し、又は、前記複雑度として、前記視覚の誘導場における前記面積と前記等ポテンシャル線の凹凸の程度との商の総和を算出することを特徴とする文字列の読み易さの判定装置。
  10. 式(1)〜式(4)に従ってビットマップフォントのポテンシャルエネルギーEを算出し、又は式(5)〜式(7)に従って前記ビットマップフォントの複雑度Cを算出する算出部と、
    前記算出されたビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基き、前記ビットマップフォントにより表される文字列の読み易さを判定する判定部とを含むことを特徴とする請求項9記載の文字列の読み易さの判定装置。
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    ここで、rは、文字を構成する点pと文字以外の点qとの間の距離、nは、点pの個数、Sは、等ポテンシャル線Lにより規定される面の面積、mは、等ポテンシャル線の本数、kは、文字列中の文字の数、yは、縦線幅、Lは、等ポテンシャル線の長さを表す。
  11. 前記算出部は、前記文字列の属性に応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項10記載の文字列の読み易さの判定装置。
  12. 前記算出部は、前記文字列の属性として、前記ビットマップフォントの印象の強さ、又はバランスの良さ若しくは形の良さに応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項11記載の文字列の読み易さの判定装置。
  13. 前記算出部は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素を横方向に射影することにより得られる当該複数の画素の積算値から算出する射影部、又は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素の横方向におけるストローク幅から算出するストローク幅算出部を有することを特徴とする請求項10記載の文字列の読み易さの判定装置。
  14. 前記算出部は、当該算出部が処理速度を優先するとき、前記射影を行い、当該算出部が処理精度を優先するとき、前記ストローク幅算出を行なうことを特徴とする請求項13記載の文字列の読み易さの判定装置。
  15. 前記射影部は、前記積算値の平均値又は中央値を用いることを特徴とする請求項13記載の文字列の読み易さの判定装置。
  16. 文字列の視覚の誘導場を算出し、
    前記視覚の誘導場から、ポテンシャルエネルギー又は複雑度を算出し、
    少なくとも、前記ポテンシャルエネルギー又は前記複雑度に基き、前記文字列の読み易さを判定することを特徴とする文字列の読み易さの判定プログラムにおいて、
    前記ポテンシャルエネルギー又は複雑度の算出は、前記ポテンシャルエネルギーとして、前記視覚の誘導場における複数の等ポテンシャル線の各々毎に規定される面積と当該等ポテンシャル線のポテンシャル値との積の総和を算出し、又は、前記複雑度として、前記視覚の誘導場における前記面積と前記等ポテンシャル線の凹凸の程度との商の総和を算出することを特徴とする文字列の読み易さの判定プログラム。
  17. 式(1)〜式(4)に従ってビットマップフォントのポテンシャルエネルギーEを算出し、又は式(5)〜式(7)に従って前記ビットマップフォントの複雑度Cを算出し、
    前記算出されたビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cに基き、前記ビットマップフォントにより表される文字列の読み易さを判定することを特徴とする請求項16記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
    Figure 2010003320
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    Figure 2010003320
    ここで、rは、文字を構成する点pと文字以外の点qとの間の距離、nは、点pの個数、Sは、等ポテンシャル線Lにより規定される面の面積、mは、等ポテンシャル線の本数、kは、文字列中の文字の数、yは、縦線幅、Lは、等ポテンシャル線の長さを表す。
  18. 前記算出は、前記文字列の属性に応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項17記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
  19. 前記算出は、前記文字列の属性として、前記ビットマップフォントの印象の強さ、又はバランスの良さ若しくは形の良さに応じて、前記ビットマップフォントのポテンシャルエネルギーE又は複雑度Cを算出することを特徴とする請求項18記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
  20. 前記算出は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素を横方向に射影することにより得られる当該複数の画素の積算値から算出する射影、又は、前記縦線幅yを、前記ビットマップフォントを構成する複数の画素の横方向におけるストローク幅から算出するストローク幅算出を有することを特徴とする請求項17記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
  21. 前記算出は、当該算出が処理速度を優先するとき、前記射影を行い、当該算出が処理精度を優先するとき、前記ストローク幅算出を行なうことを特徴とする請求項20記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
  22. 前記射影は、前記積算値の平均値又は中央値を用いることを特徴とする請求項20記載の文字列の読み易さの判定プログラム。
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