JP2010001523A - 表面処理金属部材の製造方法、金属部材の吊下げ治具および浴液ガイド治具 - Google Patents

表面処理金属部材の製造方法、金属部材の吊下げ治具および浴液ガイド治具 Download PDF

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Abstract

【課題】浴液中において下方へ開口する凹部であっても、気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止する方法および治具の提供。
【解決手段】表面2に凹部3を有する金属部材1を浴液に浸漬して金属部材1の表面2に皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法において、凹部3が下になるように吊下げ治具で金属部材1を保持するとともに、凹部3の下方に、浴液を凹部3に案内するガイド部21aを備えた浴液ガイド治具20を設け、金属部材1を浴液に浸漬する際に、浴液ガイド治具20によって浴液を凹部3に案内するようにしたことを特徴とする方法および治具。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属部材を浴液に浸漬して前記金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法、およびそれに用いる金属部材の吊下げ治具と浴液ガイド治具に関する。
集積回路や液晶パネルの製造工程の中には、フォトマスクやレティクルと呼ばれる透明基板に描かれた回路パターンをウエハ上に塗布したレジストに転写する工程(フォトリソグラフィー工程)が含まれている。この工程で用いられる透明基板に埃等の異物が付着していると、レジストに転写される回路パターンが不鮮明になることから、透明基板には、ペリクルと呼ばれる防塵カバーが被せられている。
このペリクルは、透明基板に描かれた回路パターンの全体を囲う支持枠と、この支持枠の一方の面に覆設された透光性のペリクル膜とを備えて構成されており、使用時には、支持枠の他方の面に形成された接着層によって、透明基板に接着されるようになっている。
ペリクルの支持枠には、陽極酸化処理によって表面処理が施されたアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材が使用されることが多い。このような金属部材を利用して支持枠を形成すると、軽量であることからその取回しが容易となり、ひいては、フォトリソグラフィー工程の迅速化を図ることが可能となる。
前記の金属部材を陽極酸化処理するに際しては、金属部材を電解槽内の電解液(浴液)に浸漬して通電するようになっており、これによってアルミニウムの表面には酸化皮膜が形成され、表面の硬度が高められている。
ところで、近年では、液晶パネルの大型化に伴って、前記の支持枠には、ペリクルを把持するための凹部(溝を含む。以下同じ)、電極との接触を図るための凹部や、分割形成された枠同士を接合するための凹部が種々形成されるようになってきている(特許文献1乃至3参照)。
特開2006−284927号公報 特開2005−10765号公報 特開2004−361649号公報
ところで、前記特許文献1乃至3に示したような支持枠では、アルミニウム製の金属部材を陽極酸化処理する際に、電解液中において凹部が下方へ開口するように配置されることがある。このような場合、陽極酸化にて発生する酸素等の気体が凹部内に入り込んで気泡となって溜まり、凹部内に電解液と接触しない部分が発生して、陽極酸化不良等が生じてしまうことがあるといった問題があった。
なお、気体の溜まりを回避する技術として、特開2005−89778号公報に示すような技術が提案されていた。特許文献1に示された表面処理技術は、治具を嵌挿配置した中空枠材と治具との対接面に、気体の誘導用空隙を形成し、この誘導用空隙を利用して気体を上方に誘導することで、治具を嵌挿配置した中空枠材の長手方向端部に発生する陽極酸化不良(表面処理不良)を解消するようになっている。
しかしながら、前記した表面処理技術では、治具を嵌挿配置した中空枠材と治具との対接面に気体の誘導用空隙を形成して、気体を上方に誘導して排出するようにしているので、枠材が上下方向に延びる中空形状である等の特定の形状である場合には有効であるが、その形状の変更には十分に対応できず、下方へ開口して上部が閉じられた凹部に対しては、対応することができなかった。
そこで、本発明は前記の問題を解決するために案出されたものであって、浴液中において下方へ開口する凹部であっても、気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止できる金属部材の表面処理金属部材の製造方法、金属部材の吊下げ治具および浴液ガイド治具を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、表面に凹部を有する金属部材を浴液に浸漬して前記金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法において、前記凹部が下になるように前記金属部材を保持するとともに、前記凹部の下方に、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設け、前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に、前記浴液ガイド治具によって前記浴液を前記凹部に案内するようにしたことを特徴とする表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、金属部材を浴液に浸漬する際に、下方へ開口する凹部に、浴液ガイド治具から浴液が案内され、凹部の内面に浴液が入り込むので、気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止することができる。
請求項2に係る発明は、表面に凹部を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材を電解液からなる浴液に浸漬して通電することで前記金属部材の表面に酸化皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法において、前記凹部が下になるように前記金属部材を保持するとともに、前記凹部の下方に、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設け、前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に、前記浴液ガイド治具によって前記浴液を前記凹部に案内するようにしたことを特徴とする表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、金属部材を浴液に浸漬する際に、下方へ開口する凹部に、浴液ガイド治具から浴液(電解液)が案内され、凹部の内面に浴液が入り込むので、気体の溜まりを回避でき表面処理不良(陽極酸化不良)の発生を防止することができる。
請求項3に係る発明は、前記ガイド部が、上部の開口部が下部の開口部よりも小さい筒状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、浴液ガイド治具の上部の開口部を下部の開口部よりも小さくしたことによって、金属部材を浴液に浸漬する際に、浴液が、浴液ガイド治具の上部において中心側(開口部)に集められ、凹部に向かう浴液の流れを強めることができる。
請求項4に係る発明は、前記ガイド部が、上部が縮径する錐台形状を呈する筒状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、ガイド部を、上部が縮径する錐台形状を呈する筒状に形成したことによって、金属部材を浴液に浸漬する際に、浴液がガイド部の内面に順次押されることで浴液ガイド治具の下部から上部に向かうに連れて中心側(上部の開口部)に集められ、上部の開口部から上方の凹部に向かう浴液の流れを強めることができる。
請求項5に係る発明は、前記浴液ガイド治具が、前記ガイド部の上に前記凹部に対向するノズル部を備えていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、ガイド部の上に凹部に対向するノズル部を備えていることによって、金属部材を浴液に浸漬する際に、浴液が凹部に向かって効率的に噴射されることとなる。
請求項6に係る発明は、前記金属部材を前記浴液に浸漬した後に、前記金属部材を揺動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理金属部材の製造方法である。
このような方法によれば、浴液ガイド治具の周囲に位置する浴液が凹部内へと入り込むので、万一金属部材の下降時に凹部内に気体が残存していた場合でも、気体の溜まりを確実に回避することができる。
請求項7に係る発明は、表面に凹部を有する金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理加工において前記金属部材を保持する保持手段を備え、前記金属部材を保持して浴液に吊り下げて浸漬する吊下げ治具であって、前記金属部材を保持した状態で前記金属部材に下方へ開口する前記凹部の下方となる位置に、前記保持手段の下降時に前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設けたことを特徴とする金属部材の吊下げ治具である。
このような構成によれば、金属部材を浴液に浸漬する際に、下方へ開口する凹部に、浴液ガイド治具から浴液が案内されて注液されるので、凹部に浴液が入り込んで、気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止することができる。
請求項8に係る発明は、前記保持手段には、前記金属部材を保持した状態で前記金属部材の下方となる位置に棒状部材が設けられており、前記浴液ガイド治具は、前記棒状部材に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする請求項7に記載の金属部材の吊下げ治具である。
このような構成によれば、浴液ガイド治具の取付位置を変更できるので、凹部の位置が異なる複数の金属部材に対応することができる。
請求項9に係る発明は、表面に凹部を有する金属部材を浴液に浸漬して前記金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理加工において、前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に下方へ開口する前記凹部に前記浴液を案内する浴液ガイド治具であって、上部の開口部が下部の開口部よりも小さい筒状に形成され、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えたことを特徴とする浴液ガイド治具である。
このような構成によれば、金属部材を浴液に浸漬する際に、下方へ開口した凹部に、浴液ガイド治具から浴液が案内されるので、凹部の内面に浴液が入り込んで、凹部への気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止することができる。
本発明によれば、浴液中において下方へ開口する凹部であっても、気体の溜まりを回避でき表面処理不良の発生を防止できるといった優れた効果を発揮する。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、図4に示すように、ペリクルの支持枠を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材1を、電解液からなる浴液10に浸漬して通電することで金属部材1の表面2に酸化皮膜を生成させる例を挙げて、表面処理金属部材の製造方法、金属部材の吊下げ治具30および浴液ガイド治具20について説明する。本明細書中の「上」方向および「下」方向は、金属部材1を吊下げ治具30に保持させて、浴液10内に浸漬した状態を基準にしており、ペリクルの支持枠としての使用状態とは関係ない。
浴液10は、例えば希硫酸やシュウ酸等の電解液が用いられ、上部が開口した液槽11に貯溜されている。金属部材1は、吊下げ治具30に保持されて、液槽11の上方から浴液10に吊り下げて浸漬される。そして、浴液10中で、金属部材1側を陽極として電気分解することにより、金属部材1の表面2を電気化学的に酸化させて酸化アルミニウムAlの酸化皮膜を生成させる。このような陽極酸化処理によって、耐食性が向上された表面処理金属部材が製造される。
本実施形態に係る表面処理金属部材の製造方法は、図1および図3に示すように、表面に凹部3を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材(ペリクルの支持枠)1を電解液からなる浴液10(図4乃至図6参照)に浸漬して通電することで金属部材1の表面2に酸化皮膜を生成させる陽極酸化処理を施した表面処理金属部材の製造方法であって、吊下げ治具30で凹部3が下になるように金属部材1を保持するとともに、凹部3の下方に、浴液10を凹部3に案内するガイド部21aを備えた浴液ガイド治具20を設け、金属部材1を浴液10に浸漬する際に、浴液ガイド治具20によって浴液10を凹部3に案内するようにしたことを特徴とする。
本実施形態における金属部材1は、矩形の枠状を呈しており、吊下げ治具30に保持され浴液10に浸漬された状態で金属部材1の下側となる下辺部1aの下面には、例えば後の工程でペリクルを把持するための穴となる凹部3が形成されている。凹部3は、下方へ開口して上側に底面を有する逆有底状に形成されており、例えば円を底面とする円柱状を呈している。なお、凹部3の形状は、円柱状に限定されるものではなく、把持治具の形状や穴の使用用途に応じて適宜決定されるものであって、長円柱状、角柱状等他の形状であってもよい。
次に、金属部材1を保持する吊下げ治具30の構成を説明する。図3に示すように、吊下げ治具30は、矩形の枠状に形成されており、外周フレーム31を有している。外周フレーム31の上部には、吊下げ治具30を吊下げるためのブラケット32が設けられている。ブラケット32の上端はU字状に折り返されており、係止部32aが形成されている。外周フレーム31は、例えば所定の強度と導電性を有するチタン等にて構成され、溶接あるいはビス等にて互いに固定されている。
外周フレーム31の内側には、金属部材1の保持スペースが位置しており、金属部材1を保持する保持手段34が設けられている。保持手段34は、金属部材1を保持して浴液10に浸漬した状態で金属部材1の上方となる位置に設けられた上部保持フレーム35と、金属部材1の下方となる位置に設けられた下部保持フレーム36とを備えて構成されており、金属部材1の上下から挟み込んで保持するようになっている。
上部保持フレーム35は、上下方向に離間して配置された固定棒状部材35aおよび可動棒状部材35bと、固定棒状部材35aと可動棒状部材35b間に介設されたばね部材35cと、可動棒状部材35bに設けられた電極部材35dとを備えて構成されている。固定棒状部材35aおよび可動棒状部材35bは、外周フレーム31と同様に、例えば所定の強度と導電性を有するチタン等にて構成され、ともに水平方向に沿って互いに平行に配置されている。固定棒状部材35aは可動棒状部材35bの上方に設けられている。固定棒状部材35aは、その両端が外周フレーム31の側辺31aにビス等の締結手段によって固定されている。可動棒状部材35bは、その両端が外周フレーム31の側辺31aに形成された長孔(図示せず)に上下移動可能に係止されており、固定棒状部材35aと平行状態を維持しながら上下動するように構成されている。電極部材35dは、可動棒状部材35bの下側に下方に延出して設けられており、金属部材1の上辺部1bに接続される部材である。電極部材35dは、先端が窄んだピン形状を呈しており、その基端部が可動棒状部材35bに把持固定され、チタンにて構成される可動棒状部材35bおよび吊下げ治具30を介して電流供給源(図示せず)に接続されている。電極部材35dは、先端が金属部材1に形成された電極用凹部(図示せず)の底面に押圧された状態で接触して通電するようになっている。
下部保持フレーム36は、棒状部材36aと、この棒状部材36aに設けられた電極部材36bとを備えて構成されている。棒状部材36aは、外周フレーム31と同様に、例えば所定の強度と導電性を有するチタン等にて構成され、円柱形状を呈しており、水平方向に沿って配置されている。棒状部材36aは、金属部材1を保持した状態で金属部材1の下方に所定の間隔をあけて設けられている。棒状部材36aは、その両端が外周フレーム31の側辺31aにビス等の締結手段によって固定されている。電極部材36bは、棒状部材36aの上側に設けられており、金属部材1の下辺部1aに接続される部材である。電極部材36bは、上部保持フレーム35の電極部材35dと同様に、先端が窄んだピン形状を呈しており、その基端部が棒状部材36aに把持固定され、チタンにて構成される棒状部材36aおよび吊下げ治具30を介して電流供給源(図示せず)に接続されている。電極部材36bは、その先端が金属部材1に形成された電極用凹部(図示せず)の底面に押圧された状態で接触して通電するようになっている。すなわち、金属部材1は、下辺部1aが複数の電極部材36bの上に載置されるとともに、上辺部1bにおいて複数の電極部材35dで下方に付勢されており、上下の電極部材35d,36bによって挟持された状態で、吊下げ治具30に保持されることとなる。
棒状部材36aには、浴液ガイド治具20が着脱可能に固定されている。次に、浴液ガイド治具20の構成を説明する。
図1乃至図3に示すように、浴液ガイド治具20は、浴液10(図4参照)に対して耐食性を有する合成樹脂にて構成されており、棒状部材36aの上側に配置されるガイド部材21と、ガイド部材21の下方に配置される挟持部材22と、挟持部材22をガイド部材21に固定するボルト23とを備えて構成されている。
ガイド部材21は、金属部材1を浴液10に浸漬する際に浴液10を凹部3に案内するガイド部21aと、棒状部材36a上に載置されてガイド部21aを支持する一対の脚部21bとを備えて構成されている。ガイド部21aは、上部の開口部24aが下部の開口部24bよりも小さい筒状に形成されている。具体的には、ガイド部21aの内表面は上方に向かうに連れて徐々に縮径するとともに、外表面は上部が小さくなる四角錐台形状を呈するように形成されており、逆ロート形状(ロートを上下逆にした形状)を呈いている。ガイド部21aの内表面が浴液10を上部の開口部24aに向かって案内するガイド面20aを構成する。ガイド部21aは、棒状部材36aよりも幅広に形成されており、棒状部材36a上に設置したときに、ガイド面20a(内表面)の端部が棒状部材36aの幅方向両端からそれぞれ外側に張り出すようになっている(図3の(a)および(c)参照)。
ガイド部21aの上には、凹部3に対向するノズル部25が設けられている。ノズル部25は、ガイド部21aの上端に一体的に形成された部分であって、その内側に貫通孔25aを備えている。本実施形態のノズル部25の外形は、正方形を底面とする四角柱形状を呈し、内形(貫通孔25a)は、円筒状に形成されている。ノズル部25の貫通孔25aの内径は、ガイド部21aの上部の開口部24aの内径と同等の長さとなっている。なお、ノズル部25の貫通孔25aは、上端と下端の形状が同一である円柱形状に限定されるものではなく、上端の形状が下端の形状よりも縮径した円形状になるようにしてもよいし、上端の形状が扁平した長円形状または楕円形状になるようにしてもよい。
脚部21bの下面には、棒状部材36aの外周面と同径の円弧状切欠き部26が形成されている。円弧状切欠き部26は、半円またはそれよりも短い円弧状に形成されている。円弧状切欠き部26の両側には、ボルト穴27(図2の(b)参照)が下方に開口して形成されている。
挟持部材22は、上面に棒状部材36aの外周面と同径の円弧状切欠き部28が形成されており、円弧状切欠き部28の両側には、ボルト貫通孔29(図2の(b)参照)が上下方向に貫通して形成されている。円弧状切欠き部28は、半円またはそれよりも短い円弧状に形成されており、ガイド部材21の脚部21bと挟持部材22とで棒状部材36aを挟み込んだときに、脚部21bと挟持部材22との間に隙間が形成されるのが好ましい。そして、ボルト23でガイド部材21と挟持部材22とを締め付けることで、棒状部材36aを強固に挟持して、浴液ガイド治具20を確実に固定することができる。
次に、前記した吊下げ治具30および浴液ガイド治具20を用いて、金属部材1に表面処理を施す表面処理金属部材の製造方法について説明する。
まず、熱間圧延、冷間圧延を経て得られた板材を刳り貫き、枠状の金属部材1を形成する。そして、枠の外周面に穴あけ加工を施して凹部3や電極用凹部(図示せず)を形成し、その後必要に応じて傷消し、表面粗面化等の目的のため、ショットブラスト等の機械的な表面処理を施す。
その後、図3に示すように、金属部材1を吊下げ治具30に保持する。金属部材1を吊下げ治具30に保持するに際しては、吊下げ治具30を寝かした状態にして、上部保持フレーム35の可動棒状部材35bをばね部材35cの付勢力に抗して固定棒状部材35a側に移動させる。その状態で、金属部材1を、可動棒状部材35bと下部保持フレーム36の棒状部材36a間にセットして、金属部材1の下辺部1aの電極用凹部(図示せず)に下部保持フレーム36の電極部材36bの先端部を挿入して、下辺部1aを係合させる。そして、可動棒状部材35bを金属部材1の上辺部1b側に戻して、電極部材35dの先端部を上辺部1bの電極用凹部に挿入して、上辺部1bを係合させる。これによって、可動棒状部材35bは、ばね部材35cによって金属部材1側に付勢されて押し付けられ、金属部材1は、下部の電極部材36bと上部の電極部材35dとによって挟持されて、吊下げ治具30に保持されることとなる。
その後、金属部材1の下辺部1aの各凹部3の下方に浴液ガイド治具20をそれぞれ固定する。浴液ガイド治具20を固定するに際しては、図1に示すように、まず、浴液ガイド治具20の上端のノズル部25が凹部3に対向するように、ガイド部材21を棒状部材36a上に設置する。そして、棒状部材36aの下側から挟持部材22を押し当て、ボルト23によってガイド部材21の脚部21bに締め付けて、挟持部材22を固定する。これによって、棒状部材36aが、脚部21bと挟持部材22とで挟持され、浴液ガイド治具20が吊下げ治具30に固定される。このように、浴液ガイド治具20は、ボルト23によって棒状部材36aに着脱可能に固定されているので、凹部3の位置に応じて適宜位置調整を行うことが可能となる。
次に、図4に示すように、金属部材1が保持された吊下げ治具30を浴液10に浸漬させる。吊下げ治具30を浴液10に浸漬させるに際しては、ブラケット32の係止部32aを図示しない昇降装置のアーム部に係止させて吊り下げる。そして昇降装置を作動させて、吊下げ治具30を、液槽11の浴液10内に下降させて浸漬させる。
このとき、図5に示すように、浴液ガイド治具20は、浴液10内で下降するので、浴液ガイド治具20の下方に位置する浴液10は、浴液ガイド治具20側に向かって相対的に流れることとなる。これによって、浴液10は、棒状部材36aの両側を通過して、下部の開口部24bよりガイド部21aの内側に流れ込む。そして、流れ込んだ浴液10は、ガイド部21aの内表面であるガイド面20aに押されて中心側へと案内されながら、相対的に上部の開口部24aへと向かう。このとき、浴液10はガイド部21aの上部に向かうに連れて中心側へ圧縮されて、開口部24aから上方へと流される。そして、浴液10は、ノズル部25の貫通孔25aを通過して、凹部3の内側に向けて効率的に噴射されて、凹部3の内表面に吹きかけられるとともに、凹部3の内部の気体が押し出されて、気体の溜まりを回避できる。これによって、浴液10が凹部3の内面に一様に接触することとなり、表面処理不良の発生を防止することができる。
吊下げ治具30が所定の深さまで下降されたならば、次は、吊下げ治具30を図6の白抜き矢印に示すように、上下方向に揺動させる。ここで、吊下げ治具30が下方に向かって移動するとき、吊下げ治具30が下降するときと同様に、ガイド部21aの内側に流れ込んだ浴液10が、ガイド面20aに押されて中心側へと案内され、開口部24aからノズル部25の貫通孔25aを通過して、凹部3の内側に向けて噴射され、凹部3の内表面に吹きかけられる。このように、揺動によっても、凹部3に浴液10が入り込むので、万一下降時に凹部3内に気体が残存していた場合でも、気体の溜まりを確実に回避することができる。これによって、表面処理不良の発生を防止することができ、金属部材1の製品性能を大幅に向上させることができる。なお、揺動方向は、図6の白抜き矢印の方向に限定されるものではなく、水平方向でもよいし、上下方向および水平方向を適宜組み合わせた種々の方向としてもよい。
また、吊下げ治具30を揺動することによって、電極部材36bの周囲の浴液10が、金属部材1の下辺部1aに形成された電極用凹部内に入り込んで、溜まっていた気体を押し出すことができる。
吊下げ治具30の揺動を実施しながら、電極部材35d,36bを介して金属部材1に通電して、金属部材1の表面2に酸化皮膜を生成させる。酸化皮膜の生成が終了したならば、通電を停止して、吊下げ治具30を引き上げて、上部保持フレーム35の可動棒状部材35bをばね部材35cの付勢力に抗して固定棒状部材35a側に移動させ、金属部材1を取り外す。なお、このとき、金属部材1の電極用凹部の底部には、電極部材35d,36bの先端と接触していた部分に、表面処理が施されていない部分が残るが、穴の底部で微小な点であるため問題はない。その後、酸化皮膜に形成された微細な孔に染料を入れて染色し、温水に浸けて封孔処理を施す。そして、最後に、形状の矯正を施して平坦度測定検査を行い作業が終了する。
以上のように、下方へ開口して形成された凹部3の下方に浴液ガイド治具20を設けたことによって、金属部材1を浴液10に浸漬する際に、浴液ガイド治具20から浴液10が案内されて、凹部3の内面に浴液10が入り込んで内部の気体が押し出され、気体の溜まりを回避できる。したがって、表面処理不良の発生を防止することができ、製品性能の高い金属部材1を製造することが可能となる。
次に、他の実施形態に係る浴液ガイド治具の構成を説明する。
図7に示すように、かかる浴液ガイド治具20’は、図2に示した浴液ガイド治具20と比較して、ガイド部21a’の上部の開口部24a’が棒状部材36aの長手方向に延びた長円形状に形成されている。その上部に一体的に形成されたノズル部25’は、貫通孔25a’を備えている。本実施形態のノズル部25’は、外形が棒状部材36aの長手方向に延びた長方形を底面とする四角柱形状を呈し、開口部24a’と同形状の長円形状の長円柱状の内形(貫通孔25a’)を有している。なお、その他の構成は、図2と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
以上のような構成の浴液ガイド治具20’によれば、浴液10が、開口部24a’およびノズル部25’の貫通孔25a’から扁平した形状で上方に流れるので、下辺部1aの長手方向に沿って長尺な凹部(図示せず)が金属部材の下面に形状された場合においても、凹部の内表面全体に浴液を押し流すことができる。
なお、ガイド部21a’の上部の開口部24a’の形状と、ノズル部25’の貫通孔25a’の断面形状は、長円形状に限定されるものではなく、凹部の開口形状に応じて、正方形、長方形、多角形や楕円形状になるようにしてもよい。さらに、ノズル部25’の貫通孔25a’は、上側が窄まる形状にしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、ペリクルの支持枠を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材1を、電解液からなる浴液10に浸漬して通電することで金属部材1の表面2に酸化皮膜を生成させる陽極酸化処理を例に挙げて、表面処理金属部材の製造方法を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製以外の材質から構成され、その下面に下方に開口する凹部が形成されている金属部材を、浴液に浸漬して他の表面処理を行う場合であっても、適用可能である。
また、前記の実施形態では、浴液ガイド治具20を装着する棒状部材36aが円柱形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、断面が四角形や多角形の角柱形状に形成してもよい。この場合、浴液ガイド治具20の脚部21bと挟持部材22に形成される切欠き部は、棒状部材の外形に応じた形状に形成される。
さらに、前記実施の形態では、浴液ガイド治具20のガイド部21aの内表面は、上方に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されているが、これに限定されているものではなく、ガイド部21aの上部の開口部が下部の開口部より小さくなるように形成されていれば、内表面が段部を介して縮径するように形成されていてもよい。
本発明に係る浴液ガイド治具を実施するための最良の形態を示した斜視図である。 本発明に係る浴液ガイド治具を実施するための最良の形態を示した図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明に係る吊下げ治具を実施するための最良の形態を示した斜視図である。 本発明に係る表面処理金属部材の製造方法を実施するための最良の形態を示した斜視図である。 吊下げ治具の下降時における浴液の状態を示した断面図である。 吊下げ治具の揺動時における浴液の状態を示した断面図である。 本発明に係る浴液ガイド治具を実施するための他の最良の形態を示した図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
符号の説明
1 金属部材
2 表面
3 凹部
10 浴液
20 浴液ガイド治具
21a ガイド部
24a (上部の)開口部
24b (下部の)開口部
25 ノズル部
30 吊下げ治具
36a 棒状部材
20’ 浴液ガイド治具
21a’ ガイド部
24a’ (上部の)開口部
25’ ノズル部

Claims (9)

  1. 表面に凹部を有する金属部材を浴液に浸漬して前記金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法において、
    前記凹部が下になるように前記金属部材を保持するとともに、前記凹部の下方に、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設け、
    前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に、前記浴液ガイド治具によって前記浴液を前記凹部に案内するようにした
    ことを特徴とする表面処理金属部材の製造方法。
  2. 表面に凹部を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の金属部材を電解液からなる浴液に浸漬して通電することで前記金属部材の表面に酸化皮膜を生成させる表面処理金属部材の製造方法において、
    前記凹部が下になるように前記金属部材を保持するとともに、前記凹部の下方に、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設け、
    前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に、前記浴液ガイド治具によって前記浴液を前記凹部に案内するようにした
    ことを特徴とする表面処理金属部材の製造方法。
  3. 前記ガイド部は、上部の開口部が下部の開口部よりも小さい筒状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面処理金属部材の製造方法。
  4. 前記ガイド部は、上部が縮径する錐台形状を呈する筒状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表面処理金属部材の製造方法。
  5. 前記浴液ガイド治具は、前記ガイド部の上に前記凹部に対向するノズル部を備えている
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面処理金属部材の製造方法。
  6. 前記金属部材を前記浴液に浸漬した後に、前記金属部材を揺動させる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理金属部材の製造方法。
  7. 表面に凹部を有する金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理加工において前記金属部材を保持する保持手段を備え、前記金属部材を保持して浴液に吊り下げて浸漬する吊下げ治具であって、
    前記金属部材を保持した状態で前記金属部材に下方へ開口する前記凹部の下方となる位置に、前記保持手段の下降時に前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた浴液ガイド治具を設けた
    ことを特徴とする金属部材の吊下げ治具。
  8. 前記保持手段には、前記金属部材を保持した状態で前記金属部材の下方となる位置に棒状部材が設けられており、
    前記浴液ガイド治具は、前記棒状部材に着脱可能に取り付けられた
    ことを特徴とする請求項7に記載の金属部材の吊下げ治具。
  9. 表面に凹部を有する金属部材を浴液に浸漬して前記金属部材の表面に皮膜を生成させる表面処理加工において、前記金属部材を前記浴液に浸漬する際に下方へ開口する前記凹部に前記浴液を案内する浴液ガイド治具であって、
    上部の開口部が下部の開口部よりも小さい筒状に形成され、前記浴液を前記凹部に案内するガイド部を備えた
    ことを特徴とする浴液ガイド治具。
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