JP2009529822A - ラジオ受信機 - Google Patents
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Abstract
信号有向グラフを用いてフィルタ内の寄生信号伝達を識別するステップと、補償経路をフィルタに追加して寄生信号伝達の影響を低減または解消するステップとを具えた方法を提供する。これに対応するフィルタを提供し、このフィルタは、1つ以上のフィルタ極を生成する複数の増幅段と、これらの増幅段の少なくとも1つに結合された少なくとも1つの構成部品であって、フィルタ内に寄生効果を生じさせる構成部品と、上記少なくとも1つの増幅段に補償電流を加えて、この寄生効果を低減または解消する手段とを具えている。さらにラジオ受信機を提供し、このラジオ受信機は、同相及び直交信号を受信してフィルタ処理するフィルタと、フィルタ処理した同相及び直交信号の一方を受信して増幅する増幅器と、フィルタ処理して増幅した同相または直交信号をこの増幅器から受信し、上記同相または直交信号の他方を、上記フィルタ処理して増幅した信号から再生する手段とを具えている。
Description
(発明の技術分野)
本発明はラジオ受信機に関するものであり、特に、シリコン集積型ラジオ受信機及びこの受信機用の構成部品に関するものである。
本発明はラジオ受信機に関するものであり、特に、シリコン集積型ラジオ受信機及びこの受信機用の構成部品に関するものである。
(発明の背景)
ラジオ受信機では、FMラジオ信号のような到来する高周波無線信号を中間周波数(IF)を有する信号に変換し、この信号を増幅して復調器に渡し、復調器はベースバンド音声のような情報を無線信号から取り出す。
ラジオ受信機では、FMラジオ信号のような到来する高周波無線信号を中間周波数(IF)を有する信号に変換し、この信号を増幅して復調器に渡し、復調器はベースバンド音声のような情報を無線信号から取り出す。
現代のFM受信機は、低いIF周波数におけるチャンネル選択性を実現することが好ましい。例として、図1に、こうした集積型FMラジオ受信機のバックエンドを示す。このバックエンドは、こうした集積型ラジオ受信機のIF部及び復調器から成る。FM受信機のバックエンド10は複素IFフィルタ12を具え、複素IFフィルタ12は、同相(I)及び直交(Q)成分を別個に有する複素入力信号を受信し、そして適切な画像抑制に用いられる。換言すれば、フィルタ12は、正のIF周波数または負のIF周波数のみに通過帯域を有する。
このフィルタ12の直前の画像排除複素ミキサと組み合わせて、このミキサによって生じる画像周波数は複素フィルタ12の選択曲線によって抑制される。画像チャンネルは低IF受信機の所望チャンネルに非常に近いので、画像排除は単に、画像排除ミキサと複素フィルタとの組合せで実現される。
複素IFフィルタ12から出力されるI及びQ信号毎にそれぞれのIF制限増幅器14、16が設けられ、これらの増幅器はそれぞれの信号の線形増幅または非線形増幅のいずれかを行う。そして、IFリミッタ(制限増幅器)14、16からのI及びQ信号を用いて、複素FM復調器18を駆動する。(I及びQ出力信号を用いる)複素復調器18が、2ωIFにおけるそのスプリアス応答を抑制するために好ましく、ここにωIFはIF中心周波数をラジアン(角周波数)で表現する。
多くの場合に、RSSI(受信信号強度表示)情報が受信機内に必要である。例えば、RSSI情報は、受信機の同調システムにおけるチャンネル探索アルゴリズムにRSSI情報を用いることができる。RSSI情報は、それぞれIFリミッタ14、16からのI及びQ信号の各々から導出され、出力端子RSSI-out20において供給される。
複素変調器18は、複素復調フィルタ22、及び複素復調フィルタ22から出力されるI及びQ信号用のそれぞれの位相検出器24、26、及び2つの位相検出器24、26の出力信号を結合する加算ブロック28を具えている。
復調器18の後段にローパス(低域通過)フィルタ30を設けて、38kHzの高調波の周りのスプリアス信号が混合されて次段のステレオ復調器における可聴の「バーディ」となることを防止する。
しかし、同相及び直交信号の各々のためのそれぞれのIFリミッタに対する要求は、集積型ラジオ受信機を実現するために必要なチップ上の面積を増加させる。
ラジオ受信機内の能動型(アクティブ)の実または複素フィルタが、フィルタ内の構成部品の結果として大きい許容誤差を有するならば、フィルタ応答を正確に識別して固定することができることが望ましい。
正確な角周波数ωrefを有する基準信号を用いることによってこのことを達成することが知られ、この基準信号は、フィルタ内のすべての時定数を所望値に調整する基礎として働く。この目的のために、フィルタ内の時定数は制御信号Xsで調整可能であるべきであり、例えばフィルタ内のトランスコンダクタンス(抵抗)を調整することによって、あるいはバラクタを用いることによってフィルタ内のコンデンサを調整することによって調整可能であるべきである。固定すべきフィルタはメイン(主)フィルタと称する。
メインフィルタ内のすべての時定数を調整するための制御信号を得るために、メインフィルタ内の時定数と厳密に整合するマスターフィルタを用いる。一般に用いられるマスターフィルタは、単極複素フィルタまたは二極実フィルタのような低次フィルタを用いている。制御ループ内では、マスターフィルタの中心周波数を正確な基準角周波数ωrefに等しく調整し、これにより制御信号Xsを発生している。この制御信号はメインフィルタ内でも、すべての時定数をその所望値に正確に調整し、これにより正確なフィルタ応答を実現するために用いられる。
しかし、メインフィルタ内の寄生効果により、これらの時定数はマスターフィルタの時定数に対する直線的なスケーリング(拡大縮小)でないことがある。このことは特に、メインフィルタの極位置が低次のマスターフィルタに比べて異なる位置にある一般的状況に当てはまる。この非線形のスケーリングは極位置、及びメインフィルタのゲイン(利得)に誤差を生じさせる。
従って本発明の目的は、フィルタの構成部品に大きな許容誤差が存在する際にも、フィルタの能動型の実または複素フィルタのフィルタ応答を正確に固定することにある。
(発明の概要)
本発明の第1の態様によれば、フィルタ内の寄生信号伝達を信号有向グラフを用いて識別するステップと;フィルタに補償経路を追加して、寄生信号伝達の影響を低減または解消するステップとを具えた方法が提供される。
本発明の第1の態様によれば、フィルタ内の寄生信号伝達を信号有向グラフを用いて識別するステップと;フィルタに補償経路を追加して、寄生信号伝達の影響を低減または解消するステップとを具えた方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、フィルタが提供され、このフィルタは、1つ以上のフィルタ極を発生する複数の増幅段と;これらの増幅段の少なくとも1つに結合された少なくとも1つの少なくとも1つの構成部品であって、フィルタ内に寄生効果を生じさせる構成部品と;上記少なくとも1つの増幅段に補償電流を加えて、寄生効果を低減または解消する手段とを具えている。
本発明の第3の態様によれば、ラジオ受信機が提供され、このラジオ受信機は、同相及び直交信号を受信してフィルタ処理するフィルタと;フィルタ処理した同相及び直交信号の一方を受信して増幅する増幅器と;フィルタ処理して増幅した上記同相または直交信号を上記増幅器から受信し、このフィルタ処理して増幅した信号から、上記同相及び直交信号の他方を再生する手段とを具えている。
本発明の第4の態様によれば、IF信号を処理する方法が提供され、この方法は、同相及び直交信号を受信してフィルタ処理するステップと;フィルタ処理した同相及び直交信号の一方を増幅し、上記フィルタ処理した信号の他方を終端処理するステップと、上記フィルタ処理した信号の他方を、上記増幅した信号から再生するステップとを具えている。
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施例を参照すれば明らかになる。
以下、以下の図面を参照しながら本発明を説明し、これらは例に過ぎない。
図2に、好適なラジオ受信機のバックエンド100を示す。図1のラジオ受信機のバックエンドと同様に、ラジオ受信機のバックエンド100は複素IFフィルタ102を具え、複素IFフィルタ102はI及びQ入力信号を受信し、そして適切な画像抑制のために用いられる。
しかし、このラジオ受信機100内では、複素IFフィルタ102の出力信号の一方のみをIF制限増幅器に渡す。例示するこの受信機100では、複素IFフィルタ102からのQ信号出力は点104で終端処理する。複素フィルタ102からのI信号出力のみをIF制限増幅器106に渡す。IF制限増幅器106は、入力信号を線形増幅または非線形増幅するために設けられている。
単一の制限増幅器106の後段で、IとQとの関係を複素復元フィルタ108によって復元する。特に、制限増幅器106からの出力信号を、復元フィルタ108に直接渡される(I成分となる)信号と、構成部品112を経由して復元フィルタ108に渡される(Q成分となる)信号とに分割する。構成部品112はIFリミッタ(制限増幅器)106の出力信号に−1/4を乗じる。構成部品112は、ステレオチャンネル分離及びオーディオ歪みの意味で最良のシステム仕様の結果を与える。
複素復元フィルタ108と構成部品112とは別個の素子として示しているが、両者の機能を単一素子で実現することができることは明らかである。
そしてIF復元フィルタ108からの復元されたI及びQ信号を用いて、複素FM復調器114を駆動する。複素復調器114は2ωIFにおけるスプリアス応答を抑制し、ここにωIFは、IF中心周波数を角周波数で表す。
ここでも、受信機は、例えば受信機のチャンネル探索アルゴリズムにおいてRSSI情報を必要とし得る。従って、RSSI情報はI信号についてはIFリミッタ106から導出され、出力端子RSSI-out116において供給される。
図1の受信機のバックエンドにおけるように、複素復調器114は、複素復調フィルタ118、複素復調フィルタ118から出力されるI及びQ信号用のそれぞれの位相検出器120、122、及びこれら2つの位相検出器120、122の出力信号を結合する加算ブロック124を具えている。復調器114の後段にローパスフィルタ126を設けて、38kHzの高調波の周りのスプリアス信号が混合されて次段のステレオデコーダにおける可聴の「バーディ」となることを防止する。
複素IFフィルタ102の後段でI及びQ信号の一方のみを処理することによって、ラジオ受信機のバックエンド100は、図1の受信機に対して多数の利点を有する。
特に、IFフィルタ102の後段に必要なIF制限増幅器は1つだけであり、このIF増幅器は受信機のバックエンド100を実現するために必要なチップ面積を低減する。このことは、リミッタの経路内のI信号とQ信号とを平衡させる必要がなく、従って、増幅器106のゲイン許容誤差に対する要求がより小さいことを意味する。ゲイン許容誤差は主に、制限増幅器106から抽出したRSSIの必要精度、及びアンテナレベルの関数としての「自然減衰」曲線の位置によって決まる。「自然減衰」曲線は、信号対雑音比が弱い比較的低いアンテナ信号レベルにおける状況、及びオーディオレベルを意図的に落とした状況を参照する。
これに加えて、I/Q復元フィルタ108によって生成されるノイズに対する要求が低くなる。従って、必要なチップ面積がより小さくなる。
I/Q復元フィルタ108は、復調器フィルタ118を駆動するためのI及びQ信号を復元するだけでなく、リミッタ106の出力端子において支配的なIF信号の高次高調波成分も除去する。これらの高次高調波は、複素復調器114からのスプリアス応答を容易に生じさせ得るし、このスプリアス応答は次段のステレオでコーダにおける可聴の「ホイッスル(かん高い音)」または「バーディ」を生じさせ得る。
I/Q復元フィルタ106によって実行されるフィルタ処理(フィルタリング)により、複素復調器フィルタ118は、受信機内でより低いオーディオ歪み(モノラルまたはステレオ)を得るために、素子の完結したチェーン内でより良好に最適化することができる。
最後に、受信機のバックエンド100は、アンチバーディフィルタ126に対するフィルタリングの要求がより小さいという利点を有する。
この受信機のバックエンド100内では、IFフィルタ102、I/Q復元フィルタ108、複素復調器114内のフィルタ118、及びアンチバーディフィルタ126のフィルタ応答を、完結したカスケード(接続)内で、ICプロセスに使用する構成部品の最悪の許容誤差の条件下でも高度に再現可能な仕様を有するロバスト(頑健)なFMステレオ受信機が得られる方法で最適化することができる。例えば、オーディオ歪みを最小化する試みにおいて、各々が平坦な群遅延または低リップルの群遅延を有するようにフィルタ曲線を個別に最適化する必要はない。許容可能なオーディオ歪み及びステレオチャンネル分離を得るために、全体の群遅延のみを、制限されたIF信号の高次高調波の寄生効果を含めて最適化するだけでよい。同様に、完結した受信機のチェーンを考慮に入れることによって、ステレオチャンネル分離と組み合わせたIF選択性のような他のパラメータが最適化される。
以下、ラジオ受信機のバックエンド100内の複素フィルタ102、復元フィルタ108、及び複素復調器フィルタ118のような本発明による低周波複素フィルタの実現をさらに説明する。
一般に、複素フィルタは、角周波数ωbc=0におけるプロトタイプ(原型)のベースバンドフィルタの、正の角周波数+ωcまたは負の角周波数−ωcへの周波数シフトとして考えることができる。
図3及び図4に、これらの平行移動を例示する。両方の図では、ベースバンドフィルタの極を記号「+」で表し、複素フィルタの極を記号「X」で表す。図に見られるように、図3のフィルタは正の周波数を通過させ、従って極を0から+jωcにシフトするのに対し、図4のフィルタは負の周波数を通過させ、従って極を0から−jωcにシフトする。
この複素フィルタは、フィルタセクション(フィルタ部)のカスケード接続で構成することができ、各フィルタセクションは、複素極の対、または1つの複素極を中心周波数またはその付近に実現する。この中心周波数は、フィルタが正の周波数の通過帯域を有する際には+ωcであり、フィルタが負の周波数の通過帯域を有する際には−ωcである。一対の複素極を有する複素フィルタセクションは、等価なベースバンドフィルタ内の複素極の対から生じる。同様に、1つだけの複素極を有する複素フィルタセクションは負の実軸に実数極を有するベースバンドフィルタから生じる。
例として、図3に示す複素フィルタの極(「X」で示す)は3つのフィルタセクションのカスケード接続によって実現され、これらのフィルタセクションの1つはωcにおける1つの複素極のみを実現し、他の2つのフィルタセクションの各々は、ωcの周りの2つの複素極を実現する。
明らかに、これらの極は、正確なフィルタ応答を実現するために正確に固定する必要がある。各極の位置は基本的に時定数に関係するので、フィルタ内のすべての時定数が正確であるべきである。大部分の場合には、時定数に影響し時定数を生成するチップ上の構成部品は、集積型ラジオ受信機の応用における低IFフィルタとして働くことのできる適切なフィルタを実現するために十分正確ではない。
この理由により、各個別のフィルタ極または複素極の対は、基準周波数ωrefのようなチップ外の正確な外部タイミング情報源を基準として用いる制御ループによって、それらの所望位置に調整する必要がある。
本質的には、フィルタにおいてsn=σn+jωnに位置する各複素極n(ここにn=0,1,2...nmaxであり、nmaxはフィルタにおける極の数)は、2つの個別の時定数に関係するものと考えることができる。第1の時定数は1/ωnに関係し、他方のものは1/σnに関係する。
各個別の時定数は、いわゆるマスター時定数(Rmaster・Cmaster)を完全にスケーリングしたコピーであり、そしてこれらの時定数のすべてが1つの制御信号Xcontrolによって同時に制御されるものと仮定し、あるいは次式のように仮定する:
n=0,1,2...nmaxについて、
τn_a=1/σn=kn_a・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (1)
τn_b=1/ωn=kn_b・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (2)
n=0,1,2...nmaxについて、
τn_a=1/σn=kn_a・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (1)
τn_b=1/ωn=kn_b・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (2)
すべての時定数をそれらの所望値に完全に調整するためには、1つの時定数Xcontrol・Rmaster・Cmasterの値のみを正確な基準時定数または正確な時定数の等価な逆数に等しくすることだけを必要とする。このことは、Xcontrolの値を制御する制御ループによって達成される。この目的を達成する方法は、単極の複素マスターフィルタを1つだけ使用することによるものであり、その極は、メインフィルタの極を位置smasterにおいて完全にスケーリングしたバージョンであり、従って次式の通りである:
τmaster_a=1/σmaster=kmaster_a・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (3)
τmaster_b=1/ωmaster=kmaster_b・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (4)
τmaster_a=1/σmaster=kmaster_a・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (3)
τmaster_b=1/ωmaster=kmaster_b・Xcontrol・Rmaster・Cmaster (4)
ここで、極の減衰(ダンピング)に関連するτmaster_aまたが極の周波数位置に関連するτmaster_bのいずれを測定するかの選択が存在する。
ωmaster=1/τmaster_bを測定することが一般的慣行である、というのは、これが実現することが最も容易な方法であるからである。
このパラメータを測定し、外部の正確な周波数ωrefと比較して制御信号Xcontrolを導出するために、2つの主要な可能性が存在する。
第1に、上記フィルタは周波数制御型発振回路の一部分とすることができる。この場合には、発振の周波数は位相ロック(同期)ループを用いることによって、正確な外部基準周波数ωrefに等しくされる。従って、この信号はマスターフィルタを駆動する信号から抽出される。
あるいはまた、外部基準信号は、マスターフィルタへの入力信号とすることができる。制御ループでは、マスターフィルタへの制御信号Xcontrolの値を調整することによって、フィルタの出力信号と入力信号との位相差が0にされる。
線形発振器(例えば正弦波発振器)を用いるものと仮定すれば、上記の両方法は同程度の精度のレベルを与える。
不都合なことに、線形電圧制御型発振器は、発生する正弦波の振幅を安定化させるための振幅制御ループを必要とする。この制御ループは比較的大きなフィルタ時定数を必要とし、従って、チップ面積を消費する。他方では、こうした制御ループは不所望なバウンス効果を導入しやすい。
非線形発振器を用いて、振幅制御ループの必要性を完全に解消することができる。不都合なことに、こうした非線形発振器は、特に極のQ値が低い際には共振周波数の等価な寄生シフトを導入する。この効果により、制御信号はもはや正確に発生されず、結果的に、フィルタの極は正確に固定されない。
この理由により、制御信号Xcontrolを発生する代案の方法を用いることが好ましい。
メインフィルタ内の時定数が寄生効果により、もはやマスターフィルタ内の時定数の完全な線形のスケーリングでない場合には、フィルタの精度は悪影響を受ける。こうした寄生効果は、例えばフィルタ内に存在するバイアス抵抗、あるいはICプロセス中の受動及び能動構成部品に関連する寄生コンデンサによって生じ得る。
寄生効果が、係数kn_a及び/またはkn_b及び/またはkmaster_a及び/またはkmaster_bの等価なスケーリング誤差を生じさせる際のみに、スケーリング係数をその所望値に適応させることによって寄生効果を容易に説明することができる。
スケーリング係数を調整することによって修正することのできない寄生効果は、フィルタの不正確な極位置を生じさせる。
原則的に、この問題は時定数τn_a=1/σn及びτn_b=1/ωnを各フィルタ極から測定することによって解決することができる。このことは、これらの特性をマスターフィルタについて測定することによって行うことができ、マスターフィルタは、メインフィルタ内の単一の複素フィルタ極を実現するフィルタセクションの正確な(スケーリングした)コピーでなければならない。
不都合なことに、このことは、複素フィルタのn個の極をそれらの所望値に調整するためにn個のマスターフィルタを必要とする非実用的な制御システムを生じさせる。
実用上の理由で、1つまたは2つの制御信号を導出してメインフィルタの極位置を調整するために、1つだけのマスターフィルタの使用が好ましい。
メインフィルタの時定数はマスターフィルタの時定数の完全なスケーリングではないので、極位置の誤差は避けられない。
この誤差を十分低減するために、制御信号Xcontrolを発生するために時定数τmaster_b=1/ωmasterを測定しなければならないだけでなく、第2制御信号Xcontrol_reを発生するために時定数τmaster_a=1/σmasterも測定しなければならないと思われる。従ってこの制御信号は極の減衰(ダンピング)に関連する。
不都合なことに、この第2制御信号の発生は実現することが全く容易ではなく、これについては以下に概要を述べる。
マスターフィルタにおける極の周波数の周波数に関する制御信号Xcontrolを発生する可能性を再び参照すれば、今度は制御信号Xcontrol_reの発生を含めることも必要である。
前に説明したように、マスターフィルタを線形発振器内の選択的な回路網として用いて、パラメータτmaster=1/ωmasterを測定して制御するものと仮定する。第2制御信号Xcontrol_reの発生は、正確な振幅制御ループを線形発振器内にも実現しなければならないことを暗に意味する。良好な精度を実現するために、振幅制御ループは大きなループゲインを有する必要があり、このことはバウンスの問題を導入する恐れがある。第2に、発振器のループゲインと、このループゲインを制御する信号Xcontrol_reとの関係を確立しなければならず、このことは実現するのが容易ではない。
第2の好適な方法では、上述したように、正確な周波数を用いてマスターフィルタを駆動して、制御変数Xcontrolを測定し、極の減衰を測定して制御信号Xcontrol_reを発生する可能性は存在しない。
1つのマスターフィルタ、さらには2つのマスターフィルタから2つの制御信号を導出する方法が一般的な慣行である。不都合なことに、これら2つの制御信号の発生によっても、フィルタ極の位置にまだ基本的な誤差が存在する。
従って、本発明は、寄生経路自体を解消し、これにより、上述した制御信号導出の問題を克服することを目標とする。
本発明は、フィルタにおける寄生効果を解消するための代案の方法に基づくものである。本発明によれば、フィルタの信号有向グラフにおける寄生信号伝達を識別し、逆符号の信号伝達を加えることによって、この寄生信号伝達を解消するか、あるいは少なくとも大幅に低減する。すべてのフィルタセクション及びマスターフィルタの寄生信号伝達がこの方法で相殺されることが好ましい。
以下では、1次及び2次複素フィルタについての理想的な信号有向グラフを共に導出する。一般性を失うことなしに、グラフ中の信号は無次元であるが、直ちに電圧及び電流に変換される。この表現は、制御可能なトランスコンダクタンス増幅器及び固定のコンデンサ値を用いてフィルタ内の調整可能な時定数を形成する物理的フィルタ構造に容易に変換することができるので、利用することができる。これらの種類のフィルタは一般にgmCフィルタとして知られている。
第2に、信号有向グラフ中の支配的な寄生経路を示し、その影響を解消する方法がこれに続く。
第3に、バイポーラ/MOS技術のgmCフィルタの好適な実施例の参照を通して本発明をさらに例示する。
図5に、理想的な1次複素フィルタの信号有向グラフを示す。こうしたフィルタはs−平面内に複素極を1つだけ実現する。
このフィルタの複素入力信号は次式のように表される:
yin=Iin+jQin (5)
yout=Iout+jQout (6)
ここに、信号Iin及びQinは、図5に示すフィルタへの入力に存在する同相及び直交信号のそれぞれを称し、信号Iout及びQoutは、フィルタへの出力に存在する同相及び直交信号のそれぞれを称する。
yin=Iin+jQin (5)
yout=Iout+jQout (6)
ここに、信号Iin及びQinは、図5に示すフィルタへの入力に存在する同相及び直交信号のそれぞれを称し、信号Iout及びQoutは、フィルタへの出力に存在する同相及び直交信号のそれぞれを称する。
図5では、ノード(節点)201、202、203、204、211、212、213及び214は、電流領域または電圧領域のいずれかにおける信号を表す。グラフ中のノード202、212は電流を表し、ノード201、211、203、213、204及び214は電圧を表す。
この理由により、グラフ中に示すすべての伝達関数は、一方の領域から他方の領域に、あるいは等しい領域間で信号を伝達する。例えばgmconvは、それぞれ電圧ノード201または211から電流ノード202または212への伝達関数である。この伝達関数は周波数とは独立であるのでトランスコンダクタンスとして認められ、一般に文字gで表される。
図5では、唯一の周波数依存の伝達関数はHint=1/sC1であり、ここにsは複素周波数を表し、C1は定数である。Hintは、電流領域から値C1を有するコンデンサの電圧領域への伝達関数を表す。すべてのトランスコンダクタンスが信号Xcontrolによって制御可能にされる。
ここで、すべてのトランスコンダクタンスが制御信号Xcontrolによって制御され、好適には互いに対してスケーリングされるものと仮定し、このことは次式を意味する:
gmx=kmxgmasterXcontrol (11)
gmc=kmcgmasterXcontrol (12)
gmx=kmxgmasterXcontrol (11)
gmc=kmcgmasterXcontrol (12)
すべてのコンデンサ(のキャパシタンス)及びトランスコンダクタンスが、それぞれマスターキャパシタンス及びマスタートランスコンダクタンスをスケーリングしたバージョンである。従って、マスター抵抗及びマスターキャパシタンスは次式のように識別される:
Rmaster=1/gmaster (13)
C1=kC1Cmaster (14)
次式の極位置が生じ:
ここに、
である。
Rmaster=1/gmaster (13)
C1=kC1Cmaster (14)
前に概説したように、この理想的な状況では、マスター制御ループ内でωcを測定して、正確な外部基準周波数ωrefに等しくするだけでよい。マスターフィルタがこの1次のメインフィルタの正確なコピーであるものと仮定すれば、発生される信号Xcontrolは次式に等しい:
次式の極位置が生じる:
従って、極は正確に固定される。
実現すべき関連するトランスコンダクタンスを、図5の信号有向グラフ中に示す:
gmconv=gmxns=kmxgmasternsXcontrol (21)
gmld=gmx=kmxgmasterXcontrol (22)
gmc=gmc=kmcgmasterXcontrol (23)
gmconv=gmxns=kmxgmasternsXcontrol (21)
gmld=gmx=kmxgmasterXcontrol (22)
gmc=gmc=kmcgmasterXcontrol (23)
従って、定数nsは、信号有向グラフ中の各ノードにおける信号レベルをスケーリングするためのスケーリング係数を表す。
図6に、1次複素gmCフィルタのブロック図を示す。このフィルタは図5の信号有向グラフの物理的実現である。
フィルタ250は、6つのトランスコンダクタンス増幅器251、252、253、254、255及び256を具えている。各トランスコンダクタンス増幅器は、マスターフィルタにおいて発生した制御信号Xcontrolを信号線257上で供給され、従って制御信号Xcontrolによって制御される。図5に示す伝達関数Hintは、値C1を有するコンデンサ258として実現される。すべてのトランスコンダクタンス増幅器の値が信号Xcontrolによって制御される。値Rparaを有する抵抗259は、フィルタ250内に存在する寄生抵抗の例を表す。理想的な状況では、これらの抵抗259は無限大の値を有する。しかし、実際の状況では、抵抗259は有限の値を有する。
抵抗259が無限大の値を有しない状況では、フィルタ250内に寄生経路が存在し、これらの寄生経路はフィルタ250の理想的な極位置に悪影響する。この種の寄生伝達は、バイポーラまたはMOS差動対段(あるいは、バイポーラ技術におけるいわゆる「マルチタン(multitan)」段である、バイポーラ回路内の拡張差動対段のような等価なもの)を用いて制御可能なトランスコンダクタンス増幅段を実現する低電力、低電圧かつ低ノイズのフィルタ設計において発生し得る。
これらのトランスコンダクタンス段251、252、253、254、255及び256にバイアスをかけるために、各トランスコンダクタンス段の出力端子においてバイアス抵抗を用いることが好ましく、このことは、フィルタ250内に寄生伝達を生じさせることが不都合である。以上で概説したように、この寄生経路はフィルタの精度に悪影響を与える。
gpara=1/Rpara (24)
であるものとすれば、フィルタ250の伝達関数は次式のようになる:
ここに、gmx、gmc及びωcはそれぞれ、式(11)、(12)及び(17)で定義した通りである。
であるものとすれば、フィルタ250の伝達関数は次式のようになる:
従って、式(27)を式(20)の理想的な状況と比較すれば、極位置はもはや正確に固定されないことがわかり、その実部はgpara(またはRpara)及びC1の値に依存する。しかし、虚部はまだ正確であることがわかる。
図7は、寄生経路を有する単極の複素フィルタの信号有向線図(グラフ)である。図7はほぼ図5に相当し、従ってノードには同じ参照番号を与える。値Rpara(=1/gpara)を有する寄生抵抗259によって生じる寄生経路は図7に破線の曲線として示す。
寄生経路を識別したので、これらの寄生経路を逆の符号を有する並列経路で解消することができる。これらの補償経路は点線222で示す。
本質的ではないが、経路220と経路222とは一緒に組み合わせることができる。結果的な信号有向線図を図8に示す。ここでは、経路220と222とを組み合わせて経路223にしている。
一旦、寄生経路を解消すると、フィルタ250は再び理想的なものと考えられ、その伝達関数は式(15)で与えられる。従ってマスターフィルタは極位置を正確に固定する。
2次複素フィルタは基本的に2段カスケードの1次複素フィルタセクションで構成され、これらのフィルタセクション間にフィードバック経路が追加される。図9に、理想的な2次複素フィルタセクションの信号有向線図を示す。図5と同様に、信号Iin及びQinは、フィルタの入力端子に存在するそれぞれ同相及び直交信号を称し、信号Iout及びQoutは、フィルタの出力端子に存在するそれぞれ同相及び直交信号を称する。
図9では、ノード301、302、303、304、305、306、311、312、313、314、315及び316は、電流領域または電圧領域のいずれかの信号を表す。グラフ中のノード302、312、304及び314は電流を表し、ノード301、311、303、313、305、315、306及び316は電圧を表す。グラフ中に示すすべての伝達関数は、一方の領域から他方の領域に、あるいは2つの等しい領域間で信号を伝達する。
一般性を失うことなしに、2つの1次セクションを、伝達関数gmconv及びgmconvtuを除いて同一に選択し、これらの伝達関数を異なるように選択して、フィルタ内の各ノードにおいて適切な信号レベルを選定することを可能にすることができる。
このフィルタは、図6に示す1次フィルタと同様の方法で実現することができる。しかし、今度は2つのセクションをカスケード接続して使用し、そして全体のフィードバック・トランスコンダクタンスを加える。
フィルタ内に存在する寄生効果は、1次複素フィルタについて図7及び図8に示すのと同じ方法で解消することができ、従って導出した式のすべてが、2次フィルタについてもそのまま有効である。
1次フィルタと同様に、極の位置はマスターフィルタの使用により正確に固定することができる。マスターフィルタは制御ループの一部であり、マスターフィルタの時定数は、正確な基準周波数ωrefを利用して正確に調整される。発生される制御信号Xcontrolを式(19)に示す。同じ制御信号を用いて、2次複素フィルタ内のすべてのトランスコンダクタンスを調整することができる。被制御のトランスコンダクタンスgmbt及びgmxは次式で与えられる:
gmx=kmxgmasterXcontrol (33)
gmbt=kmbtgmasterXcontrol (34)
gmx=kmxgmasterXcontrol (33)
gmbt=kmbtgmasterXcontrol (34)
従って、極は再び、マスターフィルタ・ループからの制御信号によって正確に固定される。このことは、ちょうど1次複素フィルタのように、すべての寄生経路をまず解消する状況にも当てはまる。
ここで、本発明の1つの実現を、寄生経路を解消するか大幅に低減するバイポーラ/MOSのgmCフィルタを参照して説明する。
本質的に、任意数の複素極位置を有するフィルタは、複数の1次複素フィルタセクションをカスケード接続することによって構成することができる。あるいはまた、2次複素フィルタセクションを用いることができる、というのは、これらはフィルタの構成部品の許容誤差の差に対してより強固(ロバスト)であるからである。
この実施例では、メインフィルタは、カスケード接続した3つの複素フィルタで構成される。第1セクションは単極の複素フィルタで構成され、第2及び第3セクションはそれぞれ、二極の複素フィルタで構成される。この構成は、図3及び図4を参照して説明したフィルタに相当する。
この実施例では、マスターフィルタは単極の複素フィルタで構成される。
この実施例では、フィルタセクション内の制御可能なトランスコンダクタンス増幅器は、いわゆるマルチタン差動段によって実現され、その例を図10に示す。トランスコンダクタンス増幅器350は3つの差動トランジスタ対を具え、トランジスタ351a及び351bは第1対を形成し、トランジスタ352a及び352bは第2対を形成し、トランジスタ353a及び353bは第3対を形成する。エミッタ面積の相対比率は、トランジスタの隣のカッコ内の数字で示す。
増幅器350は、単一の差動対に比べてより直線的な、入力線360、361上で受信した入力電圧Vinから出力線370、371上への出力電流Ioutへの変換を行う。この理由により、より大きい入力信号を取り扱うことができ、従って、フィルタ350のダイナミックレンジが増加する。トランジスタ352b及び353aは他のトランジスタ351a、351b、352a及び353bの7倍の面積を占める。この面積比及びテール電流比は、入力電圧から出力電流への最良に線形の伝達を生じさせる。全テール電流Iを用いてトランスコンダクタンスの値を制御する。
第1差動対のトランジスタ351a及び351bのエミッタは、電流(1/5)Iを供給する電流源381に接続されている。第2差動対のトランジスタ352a及び352bのエミッタは、電流(2/5)Iを供給する電流源382に接続されている。第3差動対のトランジスタ353a及び353bのエミッタは、電流(2/5)Iを供給する電流源383に接続されている。
すべてのマルチタン増幅器のトランスコンダクタンスは一般に次式のように書くことができる:
ここに、kmtはマルチタン段の数に依存する定数であり、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、そしてIは、トランスコンダクタンスgmを調整するために使用する制御電流を表す。
ここで、マスターフィルタ及びマスター制御ループを説明する。指標_masterを有するすべての値及び構成部品が、マスターフィルタの値及び構成部品を参照する。上述したように、マスターフィルタは1次複素フィルタであり、単一の複素極を有する。マスターフィルタのトポロジは図6に示す通りであるが、各値及び構成部品は指標「_master」を有する。例えば、コンデンサ258は値C1_masterを有し、寄生抵抗259は値Rpara_masterを有し、伝達関数はgmconv_master、gmld_master、及びgmc_masterで表わされる。各トランスコンダクタンス増幅器251、252、253、254、255及び256に供給される制御信号Xcontrolは制御ループから導出する。
寄生抵抗259は、第1トランスコンダクタンス増幅器251及び252のそれぞれの出力端子においてバイアス抵抗を用いたことの結果として、1次複素フィルタの実現中に存在する。
ここで、マルチタン・トランスコンダクタンス増幅器255及び256は次式のトランスコンダクタンスを有するものと仮定する:
ここに、Icontrolは制御信号(電流)であり、メインフィルタ内のトランスコンダクタンス増幅器を調整するためにも用いられ、kmは定数であり、図10によるマルチタン・トランスコンダクタンス増幅器については5.302961842である。
説明したように、マスターフィルタは、正確な周波数ωrefを有する外部複素発振器の信号によって駆動され、マスターフィルタの出力位相を入力位相に対して(位相差)0にする位相制御ループ内に取り入れられることが好ましい。この位相のゼロ化は制御電流Icontrolを調整することによって達成される。好適な制御ループを図11に示す。
理想的な状況では、マスター制御ループは、正確な周波数ωrefを有する複素正弦波発振器の信号によって駆動される。しかし、発振器の容易な実現のために、複素方形波または複素三角波のような他の波形も好適である。複素三角波信号の方が複素方形波信号より好適である、というのは、基準周波数の高次高調波がより抑制されるからである。マスター制御ループを妨害しないために、特定高調波のレベルは適度に低く保つべきである。
マスター制御ループ400は複素三角波発振器401を具え、複素三角波発振器401は周波数ωrefを有する複素三角波信号を発生して、この複素三角波信号を1次複素マスターフィルタ402に渡す。信号の同相及び直交成分がそれぞれ、制限増幅器403a及び403bに渡される。制限増幅器403a及び403bの出力信号はそれぞれの位相検出器404a及び404bに供給される。各位相検出器404a及び404bは、他方の信号成分のそれぞれのコピーも受信する。例えば、位相検出器404aは直交信号成分のコピーを直交三角波発振器の出力端子から受信し、位相検出器404bは同相信号成分のコピーを発振器401の出力端子から受信する。
位相検出器404a及び404bの出力信号は加算ブロック405において互いに加算されてループフィルタ及びゲインブロック406に供給される。ブロック406の出力端子から、Icontrol信号が(線407を経由して)マスターフィルタ402に帰還供給されて、ωc_masterがωrefに調整される。
マスターフィルタ402の出力位相は、複素フィルタの極の実部によって悪影響されず、従って寄生抵抗の値によって悪影響されず、この寄生抵抗を保証する必要は全くない。
位相制御ループ400は次式のことを保証する:
ωc_master=ωref (40)
ωc_master=ωref (40)
以上に示したように、この値は寄生に依存しない。
マスターフィルタ内に存在するトランスコンダクタンス増幅器251、252、253、254、255、256のトランスコンダクタンスは、この制御信号(電流)によって制御され、gmx_masterで与えられ、gmc_masterのスケール(拡大縮小)コピーであり、次式の通りである:
ここで、定数kmx_masterは制御電流Icontrolをスケーリングする。
メインフィルタ内のすべてのトランスコンダクタンス増幅器は、マスターフィルタ402内に実現されるトランスコンダクタンス増幅器と同じトポロジを用いる。これらのトランスコンダクタンス増幅器は図10に示すバイポーラ・マルチタン段とすることができ、ここでは全テール電流がトランスコンダクタンスの値を制御する。
メインフィルタ内に存在するすべてのトランスコンダクタンスが、このトランスコンダクタンスをスケーリングしたバージョンである。このスケーリングは、メインフィルタ内のトランスコンダクタンス増幅器の制御電流をスケーリングすることによって行われる。
トランスコンダクタンス段の出力信号は理想的には、電流源でバイアスをかけて、フィルタの理想的な信号経路に影響しないようにすべきである。
しかし、低電圧、低ノイズの応用では、これらのバイアス電流源は過度のノイズを生成する。
この理由により、マルチタン・トランスコンダクタンス段の出力コレクタは、フィルタ内で最低ノイズレベルを得るために、出力端子における抵抗によってバイアスをかけられる。
不都合なことに、これらの出力抵抗は、図6に(1次フィルタセクションについて)値Rparaを有する寄生抵抗259で示すように、フィルタの信号経路内に寄生伝達を導入する。
概略手順において概説したように、本発明によれば、これらの寄生抵抗の影響は、相殺トランスコンダクタンスを加えることによって解消または大幅に低減される。
寄生抵抗の影響が完全に相殺されたものと仮定すれば、外部基準周波数ωrefによって極が正確に固定された理想的なフィルタ応答が得られるべきである。
ここで、メインフィルタの一部分を形成する1次複素フィルタセクションを考える。この1次複素フィルタセクションのすべての特定値及び構成部品に指標_s1を付ける。
1次複素フィルタのトポロジは、図6に示すものに相当する。
図6を参照して説明したように、1次複素フィルタセクション250の伝達関数は式(25)で与えられる。適切な指標を付ければ、この伝達関数は次式で与えられる:
ここに、ωc_c1は式(9)に示す通りであり、適切な指標を付ければ次式のようになる:
gparaの影響は相殺される。
図12に、本発明による1次複素フィルタセクション500を示す。この実施例では、トランスコンダクタンス増幅器は、図10に示すマルチタン・バイポーラ・トランスコンダクタンス増幅器である。これらのトランスコンダクタンス増幅器の各々の全テール電流Iは互いに等しくないが、制御電流Icontrolに対して個別にスケーリングされる。1次複素フィルタセクション500は図6に示すものに相当し、従って、6つのトランスコンダクタンス段510、520、530、540、550、560を具えている。各増幅段は図10に示す増幅器350に相当する。
図12をできる限り簡単に保つために、増幅段510、520、550及び560は、図10に示す完全なトランスコンダクタンス増幅器ではなく単一のブロックで表す。各増幅段はそれぞれの参照番号を有するが、図10のように、各増幅段の入力端子は360、361のラベルを付け、各増幅段の出力端子は370、371のラベルを付ける。各増幅段は、制御信号Vcontrolを受信するための入力信号線も有する。この制御電圧Vcontrolは制御電流Icontrolと関係し、即ち、各トランスコンダクタンス増幅器の全テール電流Iが、図11に示すマスター制御ループから導出した制御電流Icontrolを個別にスケーリングしたコピーであるように関係する。制御信号Vcontrolは、トランジスタ567及び電流源569を具えた回路565によって制御電流Icontrolから導出される。
図6におけるように、第1トランスコンダクタンス増幅段510は、その入力線360、361において同相信号Iinを受信する。第1段510からの(即ち、第1段510のそれぞれの出力信号線370、371上の)出力信号は、第3増幅段530及び第5増幅段550の、それぞれ入力端子360、361に供給される。
第2トランスコンダクタンス増幅器520は、入力線360、361のそれぞれにおいて直交信号Qinを受信する。第2段520から(即ち、第2段520のそれぞれの出力信号線370、371上の)の出力信号は、第4増幅段540及び第6増幅段560の、それぞれ入力端子360、361に供給される。
第5増幅段550の出力信号線370、371は第2段520の出力信号線に接続されている。
同様に、第6増幅段560の出力信号線370、371は第1段510の出力信号線に接続されている。
第3段530の出力端子は出力の同相信号Ioutを形成し、第4段540の出力端子は出力の直交信号Qoutを形成する。
信号線「ワイヤA_s1」は、第3段530の入力信号線360をその出力信号線371に接続する。信号線「ワイヤB_s1」は、第3段530の入力信号線361をその出力信号線370に接続する。信号線「ワイヤC_s1」は、第4段540の入力信号線360をその出力信号線371に接続する。信号線「ワイヤD_s1」は、第4段540の入力信号線361をその出力信号線370に接続する。
第1及び第2段510、520の各々の出力信号線370、371の間に、値C1_s1を有するそれぞれのコンデンサ570がある。
値RL_s1を有するバイアス抵抗580を、第1及び第2増幅段510、520の出力線370、371の各々と電圧源+Vccとの間に接続する。
バイアス抵抗RL_s1が無限大であり、電源電圧が非実用的に高い理論的な状況では、マスターフィルタに対して非線形にスケーリングされた寄生経路は存在しない。この理想的な状況では、増幅器内に実現されるトランスコンダクタンスは式(21)、(22)及び(23)で与えられ、これらの式を式(41)、(45)及び(46)と組み合わせることによって、増幅段のトランスコンダクタンスが得られ、以下の表1に示す:
このフィルタセクション500では、トランスコンダクタンス増幅器の第1、第2、第5及び第6段の出力信号にバイアスをかけることは、4つのバイアス抵抗580によって実現される。前に説明したように、抵抗バイアスは、低電圧応用においてフィルタ500内で最低ノイズレベルを得るために好適である。しかし、これらのバイアス抵抗580は、フィルタ500の所望の信号経路と干渉する。
従って、本発明によれば、寄生信号経路をまず(例えば図7に示す)信号有向グラフ中で識別し、逆の符号を有する並列な寄生経路を追加して、(例えば図8に示す)前から存在する伝達経路と組み合わせることによって、その影響を解消または大幅に低減する。
図8によれば、寄生経路は、トランスコンダクタンスのゲインgmld_s1を次式のように修正することによって解消される:
gmldN_s1=gmx_s1−gpara_s1 (48)
gmldN_s1=gmx_s1−gpara_s1 (48)
これらの補償電流を表1の結果に含めれば、次の表2のようになる:
この補償電流は、絶対温度に比例する(PTAT:Proportional to Absolute Temperature)電圧をある1つの抵抗にかけることによって容易に実現することができる。従って、この抵抗を通る電流を用いて、フィルタ500を通る信号伝達に対するバイアス抵抗580の影響を補償することができる。
本発明によるこの補償の1つの実現を図12に示す。各トランスコンダクタンス増幅段の全テール電流は、制御電流Icontrolの個別にスケーリングしたコピーによって制御される。このことは、制御電流Icontrolを、図12に四角カッコ内の文字で示す基準デバイス面積AE_masterを有するMOSデバイス内に供給することによって実現される。図12に[AE1]、[AE2]、[AE3]、[AE4]、[AE5]及び[AE6]で示す、個別のトランスコンダクタンス増幅器内のMOSテール電流源のデバイス総面積は、デバイス面積AE_masterに対して次式のようにスケーリングされる:
AE1=kmx_s1ns_s1AE_master (50b)
AE2=kmx_s1ns_s1AE_master (50c)
AE3=kmx_s1AE_master (50d)
AE4=kmx_s1AE_master (50e)
AE5=kmc_s1AE_master (50f)
AE6=kmc_s1AE_master (50g)
AE1=kmx_s1ns_s1AE_master (50b)
AE2=kmx_s1ns_s1AE_master (50c)
AE3=kmx_s1AE_master (50d)
AE4=kmx_s1AE_master (50e)
AE5=kmc_s1AE_master (50f)
AE6=kmc_s1AE_master (50g)
特に、補償ブロック585は、第3及び第4増幅段530、540の各々に対して設ける。各ブロックは3つのトランジスタ586a、586b及び586cを具え、これらのトランジスタ586のゲートは共通のゲート信号に接続され、ソースは電源電圧+Vccに接続され、そしてドレインは、第3または第4増幅段530、540内のトランジスタの差動対のそれぞれのエミッタに接続されている。
各ブロック585内のトランジスタ586のゲート信号はブロック587によって供給される。ブロック587は他のトランジスタ588を具え、そのゲートが上記ゲート信号を供給する。他のトランジスタ588のソースは電圧源Vccに接続され、他のトランジスタ588のドレインはトランジスタ589のコレクタに接続されている。トランジスタ588のゲート及びドレインは互いに接続されている。トランジスタ589のベースはバンドギャップ電圧Vbandgapに接続され、トランジスタ589のエミッタは、値Rptat_s1を有する抵抗590を介して接地に接続されている。
抵抗Rptat_s1の両端の電圧はmbg(kT/q)に等しく、ここにTは絶対温度を表し、kはボルツマン定数を表し、qは電子の電荷を表し、そしてmbgはICプロセスに直接関係する定数である。この定数は16のオーダーである。
抵抗590の値はRptat_s1=2mbgkmtRL_s1であることが好ましい。トランジスタ589を通る電流はIptat_s1で表し、従ってIptat_s1=kT/(q(2kmtRL_s1))である。従ってこの電流は、絶対温度と線形の関係にある(PTAT電流)。
kmx_s1Icontrol−Icomp_s1の値の符号には特に注意を払わなければならない。この符号が正である場合には、スケーリングした制御電流から補償電流を減じなければならず、第3増幅段530と第4増幅段540とは図12に示すように接続される。
しかし、上記符号が負である場合には、電流kmx_s1Icontrolを補償電流Icomp_s1から減じて、トランスコンダクタンス増幅段530、540用の正のテール電流を得る必要がある。しかし、今度は、伝達関数gmldN_s1を符号反転して−gmldN_s1にして、伝達関数の適切な符号を保つ必要がある。
この実施例を図13に示す。図13中のフィルタセクション600は、以下に述べること以外は図12に示すフィルタ500に相当する。
第1、第2、第5及び第6増幅段610、620、650及び660は、図12に示すのと同様の方法でIcontrolから導出した制御信号Vcontrolを受信する。第3及び第4増幅段630及び640は、回路665によって電流Iptat_s1から導出した制御信号VcontrolBを受信する。補償ブロック585は、回路667によって電流Icontrolから導出した制御信号VcontrolAを受信する。
ブロック630及び640内のマルチタン・トランジスタのエミッタに接続されたMOS電流源はそれぞれ、全電流Iptat_s1=kT/(q(2kmtRL_s1))=Icomp_s1を引き出す。
ブロック585内のMOS電流源によって引き出される全電流はkmx_s1Icontrolに等しい。この電流は、ブロック630及び640内に存在するMOS電流源から減じられ、従って、ブロック630及び640内のトランスコンダクタンス増幅器の全テール電流から減じられる。
この所望の結果は、図13中の四角カッコ内に示すトランジスタ面積の、次式のような適切なスケーリングによって達成される:
AE1=kmx_s1ns_s1AE_master (50h)
AE2=kmx_s1ns_s1AE_master (50i)
AE3=AE10 (50j)
AE4=AE10 (50k)
AE5=kmc_s1AE_master (50l)
AE6=kmc_s1AE_master (50m)
AE7=AE9 (50n)
AE8=AE9 (50p)
AE11=kmx_s1AE_master (50q)
AE1=kmx_s1ns_s1AE_master (50h)
AE2=kmx_s1ns_s1AE_master (50i)
AE3=AE10 (50j)
AE4=AE10 (50k)
AE5=kmc_s1AE_master (50l)
AE6=kmc_s1AE_master (50m)
AE7=AE9 (50n)
AE8=AE9 (50p)
AE11=kmx_s1AE_master (50q)
信号経路の符号反転は、図12の第3及び第4トランスコンダクタンス増幅器の正と負の入力を交換することによって実行され、このことは、信号線「ワイヤA_s1」、「ワイヤB_s1」、「ワイヤC_s1」及び「ワイヤD_s1」接続を変更することを意味する。
従って、線「ワイヤA_1」は、第3段630の入力信号線360をそれ自身の信号線370に接続する。信号線「ワイヤB_s1」は、第3段630の入力信号線361をそれ自身の信号線371に接続する。信号線「ワイヤC_s1」は、第4段640の入力信号線360をそれ自身の信号線370に接続する。信号線「ワイヤD_s1」は、第4段640の入力信号線361をそれ自身の信号線371に接続する。
kmx_s1Icontrol−Icomp_s1の符号は、温度変動またはパラメータ値の変動によって変化することを許されないことは明らかである。これらの変化は、抵抗590の値RL_s1の適切な選定により防止することができる。
各増幅段に必要なテール電流を以下の表3に示す。
式(52)より明らかなように、極位置は正確に固定される。精密な位置は、無変動のパラメータの適切な値を選定することによって精密な位置が固定される。フィルタにおける伝達ゲイン及び信号レベルはパラメータns_s1により固定される。
ここで、メインフィルタの一部分を形成する2次複素フィルタセクションを考える。この2次複素フィルタセクションのすべての特定値及び構成部品に指標_s2を付け、1次複素フィルタには存在しなかった構成部品には指標_s2aを付け、そして上記2次複素フィルタ内の1次複素フィルタにも存在した構成部品には指標_s2bを付ける。
2次複素フィルタセクションの基本機能は既に図9を参照して説明し、1次複素フィルタについては図12及び13を参照して説明している。
1次複素フィルタセクションにおけるように、2次複素フィルタセクションにも、トランスコンダクタンス増幅段の出力端子にあるバイアス抵抗による寄生経路が存在する。これらの寄生経路の影響の解消は、1次複素フィルタセクションについて上述したのと同様の方法で達成される。
本発明により、フィルタセクション内のすべての寄生経路が解消されたものと仮定すれば、伝達関数及び極位置は式(28)、(29)、(30)、(31)及び(32)で与えられる。1次複素フィルタセクションを調整するために使用したのと同じ制御電流Icontrolを、2次複素フィルタセクションを調整するために使用することができる。
説明を完全にするために、図14a及び14bに、本発明による2次複素フィルタセクション700のバイポーラ/MOS技術での実現を示す。
例示し易くするために、図14に示す2次フィルタセクションを2つの別個の図に分ける。
図14aに、2次複素フィルタの第1複素フィルタ段内に存在する増幅段を示す。これらの増幅段及び他の構成部品は、以下に説明するもの以外は、1次複素フィルタセクション500について図12に示すものに相当する。図14bに、2次複素フィルタの第2複素フィルタ段内に存在する増幅段を示す。ここでも、これらの要素は、以下に説明するもの以外は、1次複素フィルタセクション500について図12に示すものに相当する。
図14aでは、図12の1次複素フィルタセクション中に示すものと共通する要素には、5xxではなく7xxで始まる参照番号を与える。従って、図14a中の6つのトランスコンダクタンス増幅段にはそれぞれ710、720、730、740、750及び760の番号を付け、これらはそれぞれ図12中の増幅段510、520、530、540、550及び560に相当する。
上述したように、2次複素フィルタセクション700の値及び構成部品は、2次複素フィルタの第1複素フィルタ段内に存在する構成部品については指標_s2aを付ける。従って、コンデンサ770は値C1_s2aを有し、抵抗780は値RL_s2aを有し、トランジスタ789はコレクタ電流Iptat_s2aを有し、抵抗790は値Rptat_s2aを有する。上記の表1及び表2に示すトランスコンダクタンスもこれに相当する様式で変更する。
図14bでは、図12の1次複素フィルタセクション内に示すものと共通の要素には5xxではなく8xxで始まる参照番号を与える。従って、図14b中の6つのトランスコンダクタンス増幅段にはそれぞれ810、820、830、840、850及び860の番号を付け、これらはそれぞれ図12中の増幅段510、520、530、540、550及び560に相当する。
上述したように、2次複素フィルタの値及び構成部品には、2次複素フィルタの第2複素フィルタ段内に存在する構成部品については指標_s2bを付ける。従って、コンデンサ870は値C1_s2bを有し、抵抗880は値RL_s2bを有し、トランジスタ889はコレクタ電流Iptat_s2bを有し、そして抵抗890は値Rptat_s2bを有する。上記の表1及び表2に示すトランスコンダクタンスもこれに相当する様式で変更する。
従って、2次フィルタセクション700内では、図14a中の第3増幅段730の出力端子370、371が図14b中の第1増幅段810用の入力信号を供給する。同様に、図14a中の第4増幅段740の出力端子370、371が、図14b中の第2増幅段820用の入力信号を供給する。
2次複素フィルタセクション700はさらに、第7及び第8トランスコンダクタンス段910、920を具えている。第7増幅段910の入力線360、361は、図14b中の第3増幅段830の出力線370、371に接続されている。第7増幅段910の出力線370、371は、(図14a中の)第1増幅段710の出力線370、371に接続されている。第8増幅段920の入力線360、361は、図14b中の第4増幅段840の出力線370、371に接続されている。第8増幅段920の出力線370、371は、(図14a中の)第2増幅段720の出力線370、371に接続されている。
第7及び第8増幅段910、920は次式で与えられるトランスコンダクタンスを有する:
kmbt_s2ωrefC1_master (55)
kmbt_s2ωrefC1_master (55)
このことは、これらの増幅段910及び920の各々においてテール電流を発生するエミッタ総面積によって得られ、これらのエミッタ面積は次式で与えられる:
AE7=AE8=kmbt_s2AE_master (56)
AE7=AE8=kmbt_s2AE_master (56)
従って、2次複素フィルタセクション700内の第3及び第4増幅段730、740、830、840はそれぞれの補償ブロック785または885に接続され、これにより、トランスコンダクタンス増幅器の出力端子における負荷抵抗による寄生効果が相殺される。
上述したように、メインフィルタは、単一の1次複素フィルタセクション、及び2つの2次複素フィルタセクションで構成することができる。これらの2次複素フィルタセクションの各々は、2つの複素極を異なる位置に生成する。これら2つのセクションの唯一の相違は、極の正確な位置を決めるパラメータの値である。
本発明は、図面及び以上の記載において詳細に例示し説明してきたが、こうした例示及び説明は、限定的なものではなく例示または好例として考えるべきであり、本発明は開示した実施例に限定されない。
当業者は、図面、開示、及び請求項の検討により、請求項に係る発明を実施するに当たり、開示した実施例に対する他の変形を考え実行することができる。請求項中では、「具えている」等は他の要素またはステップを排除するものではなく、各要素は複数存在し得る。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項中に挙げたいくつかの項目の機能を満足することができる。単に、特定の方策が互いに異なる従属請求項中に挙げられていることは、これらの方策の組合せを有利に用いることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、あるいはその一部として供給される光記憶媒体または固体媒体のような適切な媒体上に記憶/媒体上で配布することができるが、コンピュータプログラムは、インターネット、あるいは他の有線または無線通信システムのような他の形態で配布することもできる。
Claims (21)
- 信号有向グラフを用いてフィルタ内の寄生信号伝達を識別するステップと;
前記フィルタに補償経路を追加して、前記寄生信号伝達の影響を低減または解消するステップと
を具えていることを特徴とする方法。 - 前記補償経路が、前記フィルタ内で識別された前記寄生信号伝達と実質的に逆符号の信号伝達を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記補償経路が補償信号によって制御可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 前記補償経路をフィルタ内の非寄生の信号経路と組み合わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 1つ以上のフィルタ極を生成する複数の増幅段と;
前記増幅段の少なくとも1つに結合された少なくとも1つの構成部品であって、前記フィルタ内に寄生効果を生じさせる構成部品と;
前記少なくとも1つの増幅段に補償電流を加えて、前記寄生効果を低減または解消する手段と
を具えていることを特徴とするフィルタ。 - 前記補償電流を、前記少なくとも1つの増幅段のテール電流に加えることを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
- 前記補償電流を、前記少なくとも1つの増幅段のテール電流から減じることを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
- 前記構成部品が抵抗であり、前記抵抗が前記フィルタ内に寄生抵抗を生じさせることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のフィルタ。
- 前記補償電流が、前記抵抗の抵抗値に関係することを特徴とする請求項8に記載のフィルタ。
- 前記補償電流がさらに、絶対温度に比例することを特徴とする請求項9に記載のフィルタ。
- 前記複数の増幅段がトランスコンダクタンス増幅段であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のフィルタ。
- 前記抵抗がバイアス抵抗であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のフィルタ。
- 前記フィルタが1次複素フィルタであることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載のフィルタ。
- 前記フィルタが2次複素フィルタであることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載のフィルタ。
- 同相信号及び直交信号を受信してフィルタ処理するフィルタと;
前記フィルタ処理した同相信号及び直交信号の一方の信号を受信して増幅する増幅器と;
前記フィルタ処理して増幅した同相信号または直交信号を前記増幅器から受信し、前記同相信号及び直交信号の他方の信号を、前記フィルタ処理して増幅した前記一方の信号から再生する手段と
を具えていることを特徴とするラジオ受信機。 - 前記受信して再生する手段が、第2フィルタで構成されることを特徴とする請求項15に記載のラジオ受信機。
- 前記第2フィルタが複素フィルタであることを特徴とする請求項16に記載のラジオ受信機。
- 前記複素フィルタが、前記フィルタ処理して増幅した前記一方の信号を第1入力で受信し、前記フィルタ処理して増幅した前記一方の信号に−1/4を乗じたコピー信号を第2入力で受信するように構成されていることを特徴とする請求項17に記載のラジオ受信機。
- 前記増幅器が制限増幅器であることを特徴とする請求項15〜18に記載のラジオ受信機。
- さらに、前記フィルタ処理して増幅した前記一方の信号、及び前記再生した他方の信号を受信し復調して情報信号を得る複素復調器を具えていることを特徴とする請求項15〜19に記載のラジオ受信機。
- 同相信号及び直交信号を受信してフィルタ処理するステップと;
前記フィルタ処理した同相信号及び直交信号の一方の信号を増幅し、他方の信号を終端処理するステップと;
前記増幅した前記一方の信号から、前記他方の信号を再生するステップと
を具えていることを特徴とするIF信号の処理方法。
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