本発明は、プロパンからのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物の製法に関し、この際、
A)第一反応帯域Aに、プロパン含有の、少なくとも2本のガス供給流(そのうち少なくとも1本の流れは新鮮プロパンを含有する)を供給して、反応ガスAを生成させ、
反応帯域A中で、反応ガスAを、少なくとも1つの触媒床に通過させ、そこで、プロパンの部分的不均一触媒化脱水素化によって分子水素及びプロピレンを生成させ、
反応帯域Aに、反応帯域A中で反応ガスA中に含有される分子水素を水蒸気に酸化させる分子酸素を供給し、かつ
反応帯域Aから、分子水素、水蒸気、プロピレン及びプロパンを含有する生成ガスAを取り出し、
B)反応帯域B中で、反応帯域Aから取り出された生成ガスAを、分子酸素の供給下に、分子水素、水蒸気、プロパン、プロピレン及び分子酸素を含有する反応ガスBと共に少なくとも1つの酸化反応器の装填に使用し、かつその中に含まれるプロピレンを不均一触媒化部分気相酸化させて、目的生成物としてのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物、副生成物としての未反応のプロパン、分子水素、水蒸気、二酸化炭素、及び水よりも低く又は高く沸騰する他の副成分を含有する生成ガスBを生成させ、
C)反応帯域Bから生成ガスBを排出させ、その中に含まれる目的生成物、水及び水よりも高く沸騰する副成分を、第一分離帯域I中でそれから分離させて、未反応プロパン、二酸化炭素、分子水素、水よりも低く沸騰する副成分及び反応帯域B中で場合により未反応のプロピレン及び場合により未反応の分子酸素を含有する残余ガスIを残留させ、
D)後処理手段1として、第二分離帯域II中で、残余ガスI中に含有される二酸化炭素を洗出し、かつ残余ガスI中に場合によりなお含有される水を場合により凝縮させ、
後処理手段2として、残余ガスIの部分量を排出させ、
場合により後処理手段3として、第三分離帯域III中で分離膜を介して残余ガスI中に含まれる分子水素を分離させ、かつ
場合により後処理手段4として、残余ガスI中に場合により含有される分子酸素を化学的に還元させ、
この際、後処理手段1〜4の適用順序は任意であり、かつ
E)後処理手段1及び2及び場合により3及び/又は4の適用後に残留する、未反応のプロパンを含有する残余ガスI(本明細書中、循環ガスIとも称される)を、プロパンを含有する少なくとも2本の供給流の少なくとも1本の流れとして反応帯域A中に還流させる。
アクリル酸は、特に、例えば、水性媒体中分散性分配で存在する結合剤として使用される重合体の製造のためのモノマーとして使用される重要な基礎化学薬品である。アクリル酸重合体の他の適用範囲は、衛生学範囲及び他の適用範囲での超吸収剤である。
アクロレインは、例えば、グルタルジアルデヒド、メチオニン、1,3‐プロパンジオール、3‐ピコリン、葉酸及びアクリル酸の製造のための重要な中間生成物である。
本明細書の序文に記載された、プロパンからのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物の製法は、類似法で公知である(例えば、DE‐A3313573及びEP‐A117146参照)。
この方法は、反応帯域Aから排出された生成ガスAについて、反応帯域Bの装填に使用する前に、物質分離を行わないことによって、DE‐A102004032129、EP‐A731077、DE‐A102005049699、DE‐A102005052923、WO01/96271、WO03/011804、WO03/076370、WO01/96270、DE‐A102005009891、DE‐A102005013039、DE‐A102005022798、DE‐A102005009885、DE‐A102005010111、DE‐A10245585、DE‐A10316039、WO03/011804明細書に記載されている類似法と区別される。このことは、通例そのような物質分離に随伴する(殊に、熱的分離法の場合に)価値のある生成物‐及びエネルギー損失及び必要な装置的消費が、この点で、回避される限りでは有利である。当然、本明細書の序文による方法も、そのような物質分離を完全には回避することはできない。むしろ、全ての循環ガス法のように、少なくとも1種の目的生成物排出のみならず、少なくとも1種の副成分排出もまた必要である。しかし、本明細書の冒頭に記載された方法は、副成分分離を目的生成物分離に接近させ、従って、目的に到達するために、いずれにせよ必然的にエネルギー‐及び装置消費下に、物質‐及び熱的勾配が強要される限りでは興味を起こさせる。そのような消費に副成分分離を結び付けることは、要求される全ての消費を減少させる。
関連する循環ガス法で個々に突出する副成分は、反応帯域A中で生成される分子水素である。
存在する酸素によって強制され、かつその際、中間的に遊離水素は生成されず(脱水素すべき炭化水素から引き出される水素は、直接、水(H2O)として引き出される)又は検出不可能である、発熱的に経過する不均一触媒化オキシ脱水素化と異なり、反応帯域Aで実施すべき不均一触媒化脱水素化とは、("慣例の")脱水素化が解されるべきであり、その熱量変化は、オキシ脱水素化と異なり、吸熱的であり(継続段階として、反応帯域A中での発熱的水素燃焼が含まれていてよい)、かつその際、少なくとも中間的に遊離分子水素が生成される。そのために、それは、通例、オキシ脱水素化とは別の反応条件及び別の触媒を必要とする。
即ち、関連方法は、反応帯域A中で、必然的に、H2‐発生下に経過する。そのように反応帯域A中で発生した分子水素は、厳密な語意では、反応帯域B中で起きる目的反応の反応体ではないので、それは、関連の循環ガス法では自然には消耗しない。従って、記載された循環ガス法において、反応帯域A中で生成される(及び反応帯域Aに、場合により供給される)分子水素が、どこに、かつどんな形で再び排出されるべきであるかを、操作者の決定で確定すべきである(理想的な場合には、反応帯域Aで生成されるプロピレン1分子当たり1個の水素分子が生成される)。
最近の公知技術水準の明細書(例えば、US3161670、EP‐A117146、DE‐A3313573参照)で為された提案は、反応帯域Aを分子酸素の遮断下に操作し、生成した分子水素をその全量で不活性ガスとして分離帯域の後まで導入させ、その後にそれを反応帯域Bで未反応の分子酸素と不均一触媒化で完全に水に燃焼させ、生成した水をその全量で反応帯域Aに還流させ、従って、反応帯域A中で生成した分子水素を、循環滑路を通る第二通過で初めて、及び排他的に分離帯域でその酸化形で、つまり水として分離することにある。そのような方法は様々な点で不利である。1つには、非分離の分子水素は、反応ガスBに、特殊分散性(一定の構造材料は分子水素について透過性である)も、突出した還元ポテンシャル(特殊検査は、反応帯域B中の高められた量の分子水素の存在は、不均一触媒化部分気相酸化に使用すべき触媒の持続時間に負に作用することを明らかにした)も有する爆鳴気性の成分を負荷させ、かつ他方で、分離帯域Iで目的生成物を少なからざる量の水から分離させなければならず、このことは、目的生成物が水に高い親和性を有するので、著しいエネルギーを必要とする(通例、反応ガスB中の高められた水量は、通例、Moを酸化物形で含有する、部分酸化に使用される触媒の持続時間を同様に減少させ、それというのも、H2OはMo‐酸化物の昇華を促進させるからである)。付加的に、記載された水素燃焼で、分離帯域Iの後で焦点的にその周囲で局所的に有利に使用し難い極めて高い燃焼熱が放出される。反応帯域Bの部分酸化での高められた触媒持続時間に有利な、目的反応化学量論に相対的に過剰量の分子酸素の使用は、前記の問題と結び付いて分離不可能であり、このことは、当然、反応帯域B中での高められた爆発危険に続いている(アクリル酸が目的生成物であり、かつ反応帯域Bに必要な全量の分子酸素を前以て供給させる場合に、反応帯域B中に含有される分子酸素対その中に含まれるプロピレンのモル比少なくとも>1.5が必要である(この際、僅少なプロピレン完全燃焼が既に考慮されている))。
更に、選択的なものとして、前記の公知技術水準は変法を提供しており、その範囲では、反応帯域A中で生成される全量の分子水素は、同様にそのものとして、分離帯域Iの後まで導入される。その後に、残余ガスI中に含まれる全プロパン及びプロピレンを、分子水素を含めて、残余ガスIの他の全成分から分離させ、かつそうして分離されたC3‐炭化水素流だけを単離して反応帯域Aに還流させることが推奨される。しかし、この変法の欠点は、全量のC3‐炭化水素を先ず全範囲で凝縮相に移し、続いてそれから再び気相に返還させる必要性が生じることである。
他の提案として、DE‐A3313573は、反応帯域A中に生成した分子水素をなお反応帯域A中で供給された分子酸素によって完全に水に酸化させ、かつ生成された水の少なくとも一部分をなお反応帯域Bの前に凝縮させて、この方法で分離させるか、又は生成された全量のそれを反応帯域Bへ導入させる可能性を包含する。2方法とも欠点を有する。1つには、水の凝縮は、反応帯域Bで必要な温度のはるか下にある温度への生成ガスAの冷却を必要とする。
他方で、この温度低下はきわめて高い温度水準から出発しなければならず、それというのも、分子水素の燃焼は、その生成のために脱水素化の範囲で消費されるその熱量の約2倍を放出するからである。
更に、分離帯域Iで反応ガス中に生成される水の全量を放置する際に、前記のような高められた分離消費、及び、通例、反応帯域Bにおける短縮された触媒持続時間を結果的に生じさせる。
記載された公知技術水準に対して、本発明の課題は、前記の欠点を場合により更に減少させた形で有する、本明細書の序文による方法を得ることにあった。
設定された課題の比較的簡単な解明は、反応帯域A中で生成された分子水素の排出も、排出形態の生成も、より大きな方法の範囲にわたって展開することにある。この際、排出を排他的に反応帯域Bの後で行うこと、及び前以て反応帯域A中で水素燃焼によって生じた水の形で、分離帯域Iで、有利に部分排出(だけ)を実現させることという前提を厳守して、反応帯域B中の分離帯域Iで絶対的に生じる部分酸化水を、公知の目的生成物分離法で、いずれにせよ一緒に分離させ、従って、分離帯域Iは、分離に有効な相応する装置を当然既に包含する。
従って、本発明の課題の解明として、プロパンからのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物の製法が得られ、この方法では、
A)第一反応帯域Aに、プロパン含有の、少なくとも2本のガス供給流(そのうち少なくとも1本の流れは新鮮プロパンを含有する)を供給して、反応ガスAを生成させ、
反応帯域A中で、反応ガスAを、少なくとも1つの触媒床に通過させ、そこで、プロパンの部分的不均一触媒化脱水素化によって分子水素及びプロピレンを生成させ、
反応帯域Aに、反応帯域A中で反応ガスA中に含有される分子水素を水蒸気に酸化させる分子酸素を供給し、かつ
反応帯域Aから、分子水素、水蒸気、プロピレン及びプロパンを含有する生成ガスAを取り出し、
B)反応帯域B中で、反応帯域Aから取り出された生成ガスAを、分子酸素の供給下に、分子水素、水蒸気、プロパン、プロピレン及び分子酸素を含有する反応ガスBと共に少なくとも1つの酸化反応器の装填に使用し、かつその中に含まれるプロピレンを不均一触媒化部分気相酸化させて、目的生成物としてのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物、副生成物としての未反応のプロパン、分子水素、水蒸気、二酸化炭素、及び水よりも低く又は高く沸騰する他の副成分を含有する生成ガスBを生成させ、
C)反応帯域Bから生成ガスBを排出させ、その中に含まれる目的生成物、水及び水よりも高く沸騰する副成分を、第一分離帯域I中でそれから分離させて、未反応プロパン、二酸化炭素、分子水素、水よりも低く沸騰する副成分及び反応帯域B中で場合により未反応のプロピレン及び場合により未反応の分子酸素を含有する残余ガスIを残留させ、
D)後処理手段1として、第二分離帯域II中で、残余ガスI中に含有される二酸化炭素を洗出し、かつ残余ガスI中に場合によりなお含有される水を場合により凝縮させ、
後処理手段2として、残余ガスIの部分量を排出させ、
場合により後処理手段3として、第三分離帯域III中で分離膜を介して残余ガスI中に含まれる分子水素を分離させ、かつ
場合により後処理手段4として、残余ガスI中に場合により含有される分子酸素を化学的に還元させ、
この際、後処理手段1〜4の適用順序は任意であり、かつ
E)後処理手段1及び2及び場合により3及び/又は4の適用後に残留する、未反応のプロパンを含有する後処理された残余ガスI(本明細書中、循環ガスIとも称される)を、プロパンを含有する少なくとも2本の供給流の少なくとも1本の流れとして反応帯域A中に還流させ、
この方法は、反応帯域A中で生成されかつ反応帯域Aに場合により供給される分子水素からの全量の少なくとも5モル%、しかし95モル%以下である量Mの分子水素を、反応帯域A中で、水蒸気に酸化させることを特徴とする。
本発明により、量Mは、有利に少なくとも10モル%、しかし90モル%以下(常に相応する方法で関連させた)である。量Mは、特に有利に少なくとも15モル%、しかし85モル%以下である。量Mは、更により良好に少なくとも20モル%、しかし80モル%以下である。量Mは、極めて特に有利に少なくとも25モル%、しかし75モル%以下である。量Mは、なお良好に少なくとも30モル%及び高々70モル%である。少なくとも35モル%及び高々65モル%の量Mが更に有利である。なお依り良好に、量Mは、少なくとも40モル%、しかし60モル%以下である。量Mは最良には少なくとも45モル%及び55モル%以下である。M=50モル%は、本発明により極めて特に有利である。
本発明による方法の本質的な利点は、プロパンがその全循環の範囲で、主にガス状の凝集状態で留まっている、即ち、凝縮された液相に移行されるべきではないことにある。このことは、プロパンが比較的非極性の分子であり、その凝縮は比較的経費がかかるので、当然有利である。
本発明による方法の他の有利な特徴は、反応ガスBが必然的に分子水素を本発明により有利な量で含有することにある。これは、DE‐A3313573及びEP‐A117146の理論による前記の不利な特性の他に、反応帯域B中でそれが化学的に不活性のままであるという利点も有するからである。即ち、反応帯域Bに供給される分子水素の少なくとも95モル%、大抵はむしろ少なくとも97モル%又は少なくとも99モル%が、反応帯域Bの循環の際に化学的に変化しないままである。
しかし、これは、ガス内で最高の熱伝導性の利点も同時に有する。これは、ウオルタージェイモーア(Walter J. Moore)、物理化学(Physikalische Chemie)、WDEG 出版、ベルリン(Berlin) (1973)、171頁によれば、標準条件で、例えば、二酸化炭素の熱伝導性の10倍以上大きく、分子窒素又は分子酸素のそれの約8倍も大きい。
DE‐A3313573の表1によると、反応帯域Bにおいて、COx‐生成の選択性が、分子水素が不在である場合よりも分子水素が存在している場合に、著しく減少することについて、この高められた熱伝導性に原因がある。それは、反応帯域B中の反応部位からのより速やかな熱排出によって、比較的低い触媒表面温度及びそれによってより少ない割合のプロピレン完全燃焼を条件付ける。このことは、本発明による方法におけるように、最高の熱伝導性の分子水素及び最高の熱吸収性のプロパンが、相乗的に共通して熱排出に関与している場合に殊に当てはまる。
本明細書中、新鮮プロパンとは、反応帯域A中で脱水素化に未だ関与していないプロパンが解される。これは、通例、プロパンと異なる少量の成分を含有する粗‐プロパン(これは、有利に、DE‐A10256119及びDE‐A10245585による明細書を満たす)の成分として供給される。そのような粗‐プロパンは、例えば、DE‐A102005022798に記載された方法によって得られる。通例、反応帯域Aに新鮮プロパンの他に他のプロパンを含有する供給流として、更に本発明によってのみ後処理された残余ガスIが供給される。
本発明による方法では、排他的に反応帯域Aへの新鮮プロパンの供給は、反応帯域Aのための装填ガス混合物の成分として有利に行われる。しかし原則的に、新鮮プロパンの部分量を、爆発安全の理由から、反応帯域Bの第一及び/又は第二酸化段階の装填ガス混合物へ供給することができる。
反応帯域Bに装填される反応ガスBは、本明細書で有利に、DE‐A10246119及びDE‐A10245585で同様に推奨された明細書を満たす。更に、反応帯域Aと反応帯域Bとの間に、本発明により有利に、DE‐A10316039による機械的な分離操作が接続されている。
本明細書では、反応段階を触媒する触媒床の反応ガスでの負荷とは、1時間当たり触媒床(例えば、触媒固床)1リットルを通過される、標準リットル(=Nl;相応する反応ガス量を標準条件(0℃、1バール)で取り込む容量リットル)での反応ガス量が解される。
負荷は、反応ガスの成分にのみ関連されていてもよい。その場合は、1時間当たり触媒床1リットルを通過されるこの成分量Nl/l・hである(純粋な不活性物質盛込床は、触媒固床には算入されない)。触媒床が、触媒及び不活性希釈成形体からの混合物を含む場合には、負荷は、それが相応に記載される限り、含有触媒の容量単位にのみ関連されていてよい。
本明細書中、不活性ガスとして、一般に、相応する反応条件下に実際に化学的に不活性であり、かつ(各不活性反応ガス成分自体を考慮して)95モル%以上まで、有利に97モル%以上まで又は99モル%以上まで化学的に変化されないままである反応ガス成分が解されるべきである。
本発明による方法で、反応帯域Bに装填し得る典型的な反応ガスBは、次の含有物を有する:
プロピレン 4〜25容量%
プロパン 6〜70容量%
H2O 5〜60容量%
O2 5〜65容量%及び
H2 0.3〜20容量%。
本発明により有利な反応ガスBは、次の含有物を有する:
プロピレン 6〜15容量%
プロパン 6〜60容量%
H2O 5〜30容量%
O2 8〜35容量%及び
H2 2〜18容量%。
本発明により前記の装填に極めて特に有利な反応ガスBは、次の含有物を有する:
プロピレン 8〜14容量%
プロパン 20〜55容量%、有利に20〜45容量%
H2O 10〜25容量%
O2 10〜25容量%、有利に15〜20容量%及び
H2 6〜15容量%。
反応ガスB中の平均プロパン含有量の有利性は、例えば、DE‐A10245585から明らかである。
前記の組成ラスター内で、反応ガスB中に含有されるプロパン対反応ガスB中に含有されるプロピレンのモル比V1が1〜9である場合が有利である(即ち、本発明により有利に、WO04/094041によるプロパン/プロペン‐分離を省略することができる)。更に、前記の組成ラスター内で、反応ガスB中に含有される分子酸素対反応ガスB中に含有されるプロピレンの比V2が1〜2.5である場合が有利である。更に、本発明の意において、前記の組成ラスター内で、反応ガスB中に含有されるプロピレン対反応ガスB中に含有される分子水素の比V3が0.5〜20である場合が有利である。同様に、前記の組成ラスター内で、反応ガスB中に含有される水蒸気対反応ガスB中に含有されるプロパン及びプロピレンの総モル量のモル比V4が0.005〜10である場合が有利である。
反応帯域Bの装填に使用される反応ガスB中(反応ガスB‐出発混合物中)のV1は、特に有利に1〜7又は〜4、又は2〜6及び特に有利に2〜5又は3.5〜4.5である。更に、反応ガスB‐出発混合物については、V2が1,2〜2.0又は1.4〜1.8である場合が有利である。更に、反応ガスB‐出発混合物については、V3が0.5〜15、又は0.5〜10、又は0.5〜1.5である場合が有利である。相応して、反応ガスB‐出発混合物中のV4は、有利に0.01〜5、より良好に0.05〜3、有利に0.1〜1及び特に有利に0.1〜0.5又は同様に0.3である。
非爆発性の反応ガスB‐出発混合物が、本発明により有利である。
反応ガスB‐出発混合物が爆発性であるか又は否かの問の答えについて、一定の条件(圧力、温度)下にある混合物のもとで、局所的点火源(例えば、灼熱白金線)によって導入された燃焼(引火、爆発)が拡延するか否かが決定的である(DIN51649及びWO04/007405における検査記録参照)。拡延が行われる場合には、混合物を爆発性として特徴付けるべきである。拡延が行われない場合には、混合物を本明細書では非爆発性として位置付ける。本発明による部分酸化の反応ガス出発混合物が非爆発性である場合には、このことは、部分酸化の経過中にそれから生成される反応ガス混合物にも当てはまる(WO04/007405参照)。
反応帯域B中で必要とされ、生成ガスA中には含まれない分子酸素の給源として、分子酸素そのもの、又は分子酸素及び反応帯域B中で化学的に不活性である1種のガス(又はそのような不活性ガスの混合物)(例えば、希ガス、例えば、アルゴン、分子窒素、水蒸気、二酸化炭素等)を含む混合物を使用することができる(例えば、空気)。本発明により、他の(分子酸素と異なる)ガス30容量%以下、有利に25容量%以下、有利に20容量%以下、特に有利に15容量%以下、より良好に10容量%以下及び特に有利に5容量%以下を含む分子酸素がガスとして供給される。反応帯域Bにそれに供給すべき分子酸素をその純粋形で供給する場合が特に有利である。
前記のことは、原則的に同様に、反応帯域Aの本発明による方法で、後処理されて反応帯域Aに還流される残余ガスI中に場合により含まれる分子酸素を超えて供給すべき分子酸素についても当てはまる。しかし、反応帯域A中の酸素要求が比較的に少ないので、反応帯域A中の酸素要求のための酸素給源として空気の使用も、本発明による方法では、殊に経済的な理由から有利である。
確かに、本発明による方法では全般に、反応帯域A中に還流される後処理された残余ガスIは、反応帯域B中に残留の分子酸素をなお含有していて、かつ原則的に、反応帯域A中に還流される後処理された残余ガスIのこの酸素含量は、この際、本発明による方法で反応帯域Aへの分子酸素の更なる供給は必要ではないように配分され得る。しかし原則的に、反応帯域A中に還流される後処理された残余ガスIは、本発明により、必ずしも酸素を含有している必要はなく、多くの本発明による例で、反応帯域A中では、付加的酸素供給を必要とする。その場合には、これは、純粋酸素として又は分子酸素及び1種又は数種の反応帯域A、B中で化学的に不活性であるガス(例えば、N2、H2O、希ガス及び/又はCO2)を含む混合物として行われ得る(例えば、空気として)。それは、本発明により、分子酸素と異なる他のガス30容量%以下、有利に25容量%以下、有利に20容量%以下、特に有利に15容量%以下、より良好に10容量%以下及び特に有利に5容量%以下又は2容量%以下を含むガスとして有利に行われる。それには純粋酸素の供給が特に有利である。
前記の本発明により有利な、反応帯域Aへの、同様に反応帯域Bへの純粋酸素の供給は、それが本発明による循環法を、循環法の更なる経過で再び排出されるべきである不活性ガスで不可避以上に負荷しないので、殊に有利である。
極めて一般的に、反応ガスB‐出発混合物の、プロピレン、分子水素、水蒸気、プロパン及び分子酸素と異なる成分の全含量は、大抵≦40容量%、又は≦35容量%、又は≦30容量%、又は≦25容量%、又は≦20容量%、更に≦15容量%、しばしば≦10容量%であることが本発明による方法には典型的である。このように≦5容量%である全含量は、本発明による方法の範囲では実現が困難である。反応ガスB‐出発混合物の、このその他の成分の内で、エタン及び/又はメタンが80容量%まで存在してよい。そのような含有物において、その他に、特に酸化炭素(CO2、CO)及び希ガス、しかし、酸素供給副成分、例えば、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メタクロレイン、酢酸、プロピオン酸、メタクリル酸等が重要である。当然、エチレン、イソ‐ブテン、n‐ブタン、n‐ブテン及び分子窒素も、反応ガスB‐出発混合物の可能なその他の成分に属する。しかし、本発明による方法の利点(EP‐A293224参照)は、基本的に、反応ガスB‐出発混合物がCO20.1〜30容量%、又は1〜25容量%又は〜20容量%、しばしば5〜15容量%を含有し得ることにある。CO‐含量は、通例≦5容量%、又は≦4容量%、又は≦3容量%、又は≦2容量%、大抵≦1容量%である。しかし通例、N2≦20容量%、有利に≦15容量%、特に有利に≦10容量%、及び極めて特に有利に≦5容量%を含有する。
原則的に、例えば、WO03/076370、WO01/96271、EP‐A117146、WO03/011804、EP‐A731077、US‐A3161670、WO01/96270、DE‐A3313573、DE‐A10245585、DE‐A10316039、DE‐A102005009891、DE‐A102005013039、DE‐A102005022798、DE‐A102005009885、DE‐A102005010111、DE‐A102005049699及びドイツ国出願DE‐A102004032129明細書から既に公知であるような、反応帯域Aにおいて、全公知のプロパンの不均一触媒部分脱水素化がこれに該当する。
即ち、反応帯域Aに供給されるプロパンの反応帯域Aを通る1回の通過に対して、反応帯域Aは、反応帯域Aの外部に導入される流動性の(即ち、液状又はガス状の)熱担体での合目的な熱交換によって等温状態になり得る。しかし、これは、対等の条件で、断熱的に、即ち、実際に反応帯域Aの外部に導入される熱担体でのそのような合目的な熱交換をせずに実施され得る。後者の場合には、反応帯域Aに供給されるプロパンの反応帯域Aを通る1回の通過に対する総熱量変化は、前記の明細書で推奨され、次に更に記載されるべき手段によって、吸熱的(負)、又は自熱的(authoterm)(実際にゼロ)又は発熱的(正)になり得る。同様に、前記の明細書で推奨された触媒は、本発明により方法で適用され得る。原則的に、不均一触媒化プロパン脱水素化は、断熱操作であるか又は等温操作であるかに無関係であり、固床反応器中でも、移動床‐、流動床‐又は渦動床反応器中でも実施可能である(後者は、その逆混合に基づき、殊に、循環ガスIが分子酸素を含有する場合に、反応ガスAにおける水素燃焼による反応帯域A中での反応温度への反応ガスA‐出発混合物の加熱に好適である)。
典型的には、プロパンからプロピレンへの不均一触媒化部分脱水素化は、比較的高い反応温度を必要とする。この際達成可能な変換率は、通例、熱力学的平衡によって制限されている。典型的な反応温度は、300〜800℃又は400〜700℃である。この際、プロピレンに脱水素化されるプロパン1分子当たり、水素1分子が生成される。反応帯域A中の操作圧は、典型的に0.3〜5又は〜3バールである。本発明により、反応帯域A中の操作圧は、有利に2〜5、又は〜4バールである。しかし、20バールまでであってもよい。反応帯域Aが極めて高い圧力(例えば、>5又は10〜20バール)で操作され、かつその中で少なくとも、反応帯域A中で生成される分子水素の全量の少なくとも50モル%に相応する水素量が燃焼する場合には、生成ガスAを膨張タービン中での膨張によって放圧させ、かつその際行われる操作と共に、残余ガスI用の圧縮機から前以てCO2−熱を一緒に放つことが有利である。その際、同時に、生成ガスAを、反応帯域B中での更なる使用のために必要な温度に冷却させる。高温及び反応生成物H2の除去は、反応帯域A中で、目的生成物の意における平衡状態を促進させる。
不均一触媒化脱水素反応は容量増加下に経過するので、変換率は脱水素生成物の部分圧の低下によって上昇され得る。このことは、簡単な方法で、例えば、減圧での脱水素化によって(当然、高められた圧力での実施は、通例、触媒持続時間に有利である)及び/又は、実際に不活性の希釈ガス、例えば、脱水素反応に標準的な場合で不活性ガスである水蒸気の混合によって達成することができる。水蒸気は生成コークスと石炭ガス化の原則により反応するので、水蒸気での希釈は、更なる利点として、通例、使用触媒の減少されたコークス化を条件とする。水蒸気の熱容量は、脱水素化の吸熱の一部分も平衡させ得る。
部分酸化触媒の活性のために、次の反応帯域Bでの限定量の水蒸気が、通例、有効であることが判明しているので、前記の理由から反応帯域B中でのそれ以上の量は不利である。本発明により、更に反応帯域A中で、水素部分量を水蒸気に酸化させるべきである。従って、本発明により、反応帯域Aの触媒装填に供給される反応ガスAに対して、反応帯域Aに供給される水蒸気量が、≦20容量%、有利に≦15容量%及び特に有利に≦10容量%である場合が有利である。しかし、通例、反応帯域Aに供給される水蒸気量は、同様に対応して、通常≧1容量%、たびたび≧2容量%、又は≧3容量%及びしばしば≧5容量%である。
不均一触媒化プロパン脱水素化に好適な希釈剤は、例えば、窒素、希ガス、例えば、He、Ne及びAr、しかし又、CO、CO2、メタン及びエタンのような化合物である。前記の全希釈剤は、それ自体又は異なった混合物の形で併用されてよい。前記の希釈ガスが本発明による循環ガス法で副生成物として生成される、又は新鮮ガス(又は新鮮ガス成分)として供給される限りでは、相応する新鮮ガス供給が本発明により少量で有利であるので、本発明による排出法では、それは相応する量で要求される。しかし、原則的には、本発明による方法では、実際に一定の量の希釈ガスを循環させ、その際、失われる損失を新規に補充することができる。
不均一触媒化プロパン脱水素化には、原則的に公知技術水準で公知の全ての脱水素化触媒がこれに該当する。それらは大きく2群に、つまり、酸化物性であるもの(例えば、酸化クロム及び/又は酸化アルミニウム)及び少なくとも1種の、通例、酸化物性担体上に析出した、通例、比較的希性の金属(例えば、白金)を含むものに分けられる。従って、特に、WO01/96270、EP‐A731077、DE‐A10211275、DE‐A10131297、WO99/46039、US‐A4788371、EP‐A0705136、WO99/29420、US‐A4220091、US‐A5430220、US‐A5877369、EP‐A0117146、DE‐A19937196、DE‐A19937105及びDE‐A19937107で推奨される全脱水素触媒を使用することができる。特に、DE‐A19937107の例1、例2、例3及び例4による触媒も使用することができる。
この際、二酸化ジルコン10〜99.9質量%、酸化アルミニウム、二酸化珪素及び/又は二酸化チタン0〜60質量%、及び元素の周期律表の少なくとも1種の第一又は第二主族の元素、第三副族の元素、第八副族の元素、ランタン及び/又は錫0.1〜10質量%(この際、質量%の合計は100質量%であるという条件を有する)を含有する脱水素化触媒が重要である。
本明細書の実施例で使用される脱水素触媒も特に好適である。
一般に、脱水素触媒は、触媒索状物(直径、典型的に1〜10mm、有利に1.5〜5mm;長さ、典型的に1〜20mm、有利に3〜10mm)、錠剤(有利に、索状物と同じ形状)及び/又は触媒環状物(外径及び長さ、各々典型的に2〜30mm又は〜10mm、壁厚、有利に1〜10mm、又は〜5mm、又は〜3mm)であってよい。渦動床(又は流動‐又は移動床)での不均一触媒化脱水素化の実施のために、相応に微粉末状の触媒を使用する。本発明により、反応帯域Aには、触媒固床が有利である。
通例、脱水素触媒(殊に、本明細書中で例証的に使用される、及びDE‐A19937107で推奨された(殊に、このDE‐Aの例証触媒))は、それがプロパンの脱水素化も、分子水素の燃焼にも触媒作用をすることができるように調達されている。この際、水素燃焼は、プロパンの脱水素化に比較して、触媒上での競争状況の場合には、極めてより迅速に経過する。
不均一触媒化プロパン脱水素化の実施のために、原則的に全ての公知技術水準の触媒型及び変法がこれに該当する。そのような変法の記載は、例えば、公知技術水準及び本明細書の冒頭に引用された公知技術水準の脱水素触媒に関して引用される全明細書に含まれている。
本発明により好適な脱水素法の比較的詳細な記載は、カタリティカ(Catalytica)(登録商標)スタディイスディビジョン(Studies Division)、酸化脱水素及び選択的脱水素法(Oxidative Dehydrogenation and Alternative Dehydrogenation Processes)、研究番号(Study Number)4192OD、1993、430ファーグソンドライブ(Ferguson Drive)、マウンテンビュー(Mountain View)、カリフォルニア、94043−5272U.S.Aにも含まれている。
プロパンの部分的不均一触媒化脱水素化について、前記のように、それが吸熱的に経過することが特徴である。即ち、必要な反応温度の調整のために及び反応のために必要な熱(エネルギー)は、特に反応ガスに前以て及び/又は不均一触媒化脱水素化の経過中に供給されるべきである。場合により、反応ガスAは、必要とする反応熱をそれ自体から回収すべきである。
更に、プロパンの不均一触媒化脱水素化については、必要とする高温の反応温度に基づき、少量の高沸騰性高分子有機化合物が炭素まで生成され、それが触媒表面上で析出しかつそれによって触媒が失活することが典型である。この不利な随伴現象を最少にするために、不均一触媒化脱水素化に高められた温度で触媒表面上に導入すべきプロパン含有反応ガスAを、前記のように、水蒸気で希釈することができる。析出する炭素は、そのように所定の条件下に、石炭ガス化の原則により、部分的に又は完全に消去される。
析出する炭素化合物を除去するためのもう1つの可能性は、脱水素触媒に時々高められた温度で酸素含有ガス(有利に炭化水素不在で)を流通させ、それで析出炭素を外見上燃焼させることにある。しかし、炭素沈殿物の生成の一定の抑制は、不均一触媒化で脱水素すべきプロパンに、それを高めた温度で脱水素触媒上に導入させる前に、分子水素を供給することによって可能である。
当然、不均一触媒化で脱水素化すべきプロパンに、水蒸気及び分子水素を含む混合物を供給する可能性もある。プロパンの不均一触媒化脱水素のための分子水素の供給は、副生成物としてアレン(プロパジエン)、プロピン及びアセチレンの不所望な生成も減少させる。
従って、少なくとも1種の触媒床を通して導入すべき反応ガスA(本明細書中、反応帯域Aの装填ガス混合物又は反応ガスA‐出発混合物とも称する)の生成のために、最も簡単な場合には、新鮮プロパン及び循環ガスIだけを反応帯域Aに供給することができる。この際、後者は、反応帯域A中で本発明により必要な水素燃焼を条件付けるために、必要とされる量の分子酸素を既に含有することができる。このことは、反応帯域B中で反応化学量論に相対して有利に過剰量で分子酸素が使用され、かつこれは本発明による方法で通例広汎に循環ガスI中に滞留していることから由来する。
前記の場合には、循環ガスIは、規則的に正に、水蒸気が反応帯域A中で水素燃焼の範囲で生成された水蒸気と一緒に、全方法に対するその有利な特性を展開し得るような量で水蒸気を含有する。反応帯域Aへの更なるガス流の供給は、前記の場合には必要ではない。反応帯域Aで所望される変換は、それを通る反応ガスAの単一通過で行われる。
しかし当然、本明細書に記載されたこの有利な作用を展開するために、少なくとも1種の触媒床に通過されるべき反応ガスAの生成のために、新鮮プロパン及び循環ガスIに付加的に、水蒸気及び/又は分子水素を更に供給することができる。反応帯域Aの装填ガス混合物中の分子水素対プロパンのモル比は、通例≦5である。反応帯域Aの装填ガス混合物中の水蒸気対プロパンのモル比は、例えば、≧0〜30、有利に0.1〜2及び都合よく0.5〜1であってよい。更に、反応帯域Aの装填ガス混合物に、要求に応じて、余分に分子酸素(純粋形で及び/又は不活性ガスとの混合物として)及び/又は余分に不活性ガスを供給することができる。その場合は、反応帯域A中で所望される返還は、反応路に沿って更なるガス流の供給を行わずに、再び、それを通る反応ガスAの(反応帯域Aの装填ガスの)単一通過で行うことができる。本明細書中、反応帯域Aにおける反応路とは、反応帯域Aの少なくとも1つの触媒床を通る第一通過の前に、反応帯域Aに供給されるプロパンの脱水素変換率(不均一触媒化脱水素化における変換率)に依存する、反応帯域Aを通るプロパンの流通路が解される。
中間ガス供給を行わずに、装填ガス混合物の反応帯域Aを通る単一通過でのそのような不均一触媒化プロパン脱水素化の好適な反応器形は、例えば、固床管‐又は束管反応器である。この際、脱水素触媒は、固床として1個の反応管又は束管中に存在する。本発明により要求される反応帯域Aでの水素燃焼を、反応帯域A中で生じる全反応が吸熱的に経過するように配分する場合には、反応管を本発明により有利に外部から加熱する(しかし自明に、それは必要な場合には冷却されることもできる)。このことは、例えば、反応管を取り巻く空間で、ガス、例えば、炭化水素、例えば、メタンを燃焼させることによって行われる。この直接形の接触管加熱を固床盛込床の最初の20〜30%上だけに適用し、かつ残長の盛込床を燃焼の範囲で放出される輻射熱によって必要な反応温度に加熱することが有利である。この方法で、ほぼ等温の反応経過が達成可能である。好適な反応管内径は約10〜15cmである。典型的な脱水素束管反応器は、300〜1000以上の反応管を包含する。反応管内部の温度は、300〜700℃の範囲、有利に400〜700℃の範囲で変動する。反応ガスA‐出発混合物を反応温度に予備加熱した管状反応器に供給することが有利である。生成ガス(混合物)Aが反応管を50〜100℃低い温度で出ることが可能である。しかし、この排出温度は、水準より高く又は同じであってもよい。前記の方法の範囲では、酸化クロム及び/又は酸化アルミニウムをベースとする酸化物系の脱水素触媒の使用が有利である。脱水素触媒は、大抵、非希釈で使用される。大工業的に、数個のそのような束管反応器を平行して操作し、その生成ガスAを混合して反応帯域Bの装填のために使用することができる。場合により、この反応器の2個だけが脱水素操作に携わることもでき、一方で、第三反応器中で触媒装填が再生される。
しかし、反応帯域Aを通る装填ガスの単一通過は、例えば、DE‐A10245585及び本明細書中でこれに関して引用された文献に記載されているように、移動床‐又は流動床反応器中で行うこともできる。
本発明による方法の反応帯域Aは、原則的に2つの区分を包含することもできる。反応帯域Aのそのような構成は、殊に、反応帯域Aの装填ガスが、分子酸素を包含しない場合(それは、例えば、循環ガスIが分子酸素を含有しない場合であってよい)に推奨価値がある。
この場合には、第一区分で本来の不均一触媒化脱水素化が行われ、かつ第二区分で、分子酸素及び/又は分子酸素及び不活性ガスを含む混合物の中間供給後に、本発明により必要な不均一触媒化水素燃焼が行われ得る。
極めて一般的に、本発明による方法では、反応帯域Aを通る1回通過に対して、反応帯域Aに合計して供給されるプロパンの≧5モル%〜≦60モル%、有利に≧10モル%〜≦50モル%、特に有利に≧15モル%〜≦40モル%及び極めて特に有利に≧20モル%〜≦35モル%が反応帯域A中で脱水素変換されるように、反応帯域Aを有利に操作する。反応帯域A中のそのように限定された変換率は、本発明により通例では十分であり、それというのも、未反応プロパンの残留量が後続の反応帯域Bで実際に希釈ガスとして作用し、かつ本発明による方法の更なる経過で広汎に損失なく反応帯域Aに還流され得るからである。低いプロパン変換率を有する方法の利点は、反応帯域Aを通る反応ガスAの1回の通過で、吸熱的脱水素に必要な熱量が比較的低く、かつ変換率達成のために比較的低い反応温度で十分であることである。
本発明により有利に、前記のように、反応帯域A中のプロパン脱水素化(例えば、比較的少ないプロパン変換率)を(外見上)断熱的に実施することが有利であり得る。即ち、反応帯域Aの装填ガス混合物を、通例、先ず500〜700℃(又は550〜650℃)の温度に加熱する(例えば、それを囲む壁の直接加熱によって)。その場合、通常では、所望の脱水素変換率も本発明により必要な水素燃焼も達成するために、触媒床を断熱的に1回通過することが十分であり、この際、反応ガスは、全体的評価における吸熱脱水素化と発熱水素燃焼との量的な比率に応じて加熱され、冷却され又は熱的に中立にされる。反応ガスを単一通過で、約30〜200℃で冷却する、断熱的操作法が本発明により有利である。必要な場合には、反応帯域Aの第二区分中で、脱水素化の範囲で生成する水素を中間供給の分子酸素で不均一触媒化後燃焼させることができる。この燃焼は、同様に断熱的に実施され得る。
この際、注目すべきことに、殊に断熱的操作では、反応ガスAによって軸方向に及び/又は放射状に通過される単一のシャフト炉反応器が、固床反応器として十分である。
この際、最も簡単な場合では、単一の閉鎖反応空間、例えば、その内径が0.1〜10m、場合により0.5〜5mでもあり、かつその中に触媒固床が担体装置(例えば、格子)上に乗っている容器が重要である。この際、断熱操作において実際に断熱性である、触媒で装填された反応空間に、プロパン含有の熱反応ガスAを軸方向に通過させる。この際、触媒形状は、球状でも管状又は索状であってもよい。この場合には、反応空間は極めて経費的に有利な装置によって実現され得るので、特に低い圧力減損を有する全ての触媒形状が有利である。これは特に、大きな間隙が得られ又は構造的に構成されている触媒形状、例えば、一体式構造又は蜂巣状体である。プロパン含有反応ガスAの放射流を実現するために、反応器は、例えば、ジャケット被覆中に存在する共心的に互いに配置された2個の筒状の格子を含み、かつ触媒盛込床はその環状細隙に配置されていてよい。断熱の場合には、金属被覆は場合により再び断熱にされる。
本発明による不均一触媒化プロパン脱水素化の触媒装填として、殊に、DE‐A19937107に公開された、特に例証公開された全触媒及び不均一触媒化脱水素化に関して不活性の幾何学的成形体とのその混合物も好適である。
長時間の操作後に、前記の触媒は、例えば、簡単な方法で、進入温度300〜600℃、しばしば400〜550℃で、先ず、第一再生段階で、窒素及び/又は水蒸気(有利に)で希釈した空気を触媒床上に導入させることによって再生可能である。この際、再生ガス(例えば、空気)での触媒(床)負荷は、例えば、50〜10000h−1であり、かつ再生ガスの酸素含量は0.1又は0.5〜20容量%であってよい。
次の更なる再生段階で、その他は同じ再生条件下に、再生ガスとして空気を使用することができる。適用技術的に有利に、触媒をその再生の前に、不活性ガス(例えば、N2)で洗浄することが推奨される。
引き続き、通例、純粋の分子水素又は不活性ガス(有利に、水蒸気及び/又は窒素)で希釈された分子水素(水素含量は≧1容量%であるべきである)で、その他は同じ条件下に再生することが推奨に値する。
本発明による方法の反応帯域A中での不均一触媒化プロパン脱水素化は、全例で比較的少ないプロパン変換率(≦30モル%)で、プロパン高変換率(>30モル%)での変法と同じ触媒(床)負荷で(反応ガス全部も、それに含有されるプロパンも該当する)操作され得る。この反応ガスAの負荷は、例えば、100〜40000又は〜10000h−1、しばしば300〜7000h−1、即ち、たびたび約500〜4000h−1であってよい。
特に洗練された方法で、反応帯域A中での不均一触媒化プロパン脱水素化(殊に、1回の通過に対して、プロパン変換率15〜35モル%で)は、床板反応器中で実現され得る。
これは、空間的に連続して1個以上の、脱水素化を触媒する触媒床を含む。触媒床数は、1〜20、有利に2〜8、しかし3〜6個であってもよい。床板数が増加すると共に、次第に高められたプロパン変換率も容易に達成される。触媒床は有利に、放射状又は軸方向で連続して配置されている。適用技術的に有利に、そのような床板反応器中で触媒固床型が適用される。
最も簡単な場合に、触媒固床は、シャフト炉反応器中で、共心的に相互に配置された筒状の格子の軸方向で又は環状細隙中で配置されている。しかし、扇形の環状細隙を互いに配置させ、かつガスを扇型で放射状通過後に、次の上位の又は下位の扇形に送ることも可能である。
有利な方法で、反応ガスAを、触媒床から次の触媒床へのその途中で、例えば、熱ガスで加熱した熱交換体表面上への導入によって、又は床板反応器中で、熱燃焼ガスで加熱した管への導入によって中間加熱させる(必要な場合には、相応する方法で、中間冷却を行うこともできる)。
床板反応器を、その他の点では、断熱的に操作する場合には、殊に、プロパン変換率≦30モル%については、特にDE‐A19937107に記載された、殊に、例証的実施態様の触媒の使用で、反応混合物を450〜550℃(有利に450〜500℃)に予備加熱して脱水素反応器に送り、かつ床板反応器内でこの温度範囲で保持することが十分である。即ち、全プロパン脱水素化は、2つの再生の間で、特に触媒床の持続時間に有効であると実証される著しく低い温度で実現させることができる。より高いプロパン変換率については、反応ガス混合物を有利により高い温度で予備加熱して脱水素反応器に送り(これは700℃までであってよい)、かつ床板反応器内でこの高めた温度範囲で保持する。
前記の中間加熱を直接法で(できる限り、自熱法で)実施することがより巧みである。それには、反応ガスAに、既に(例えば、循環ガスIの成分として)第一触媒床の流通前に(その場合には、反応ガスA‐出発混合物が有利に供給された分子水素を含有すべきである)及び/又は後続の触媒床の間に限定範囲で分子酸素を供給する。そうして(通例、脱水素触媒自体によって触媒される)、反応ガスA中に含有される、不均一触媒化プロパン脱水素化の経過中に生成される及び/又は反応ガスAに供給される分子水素の本発明により必要な限定された燃焼を、特に合目的に制御された方法で引き起こすことができる(特に水素の燃焼を特異的に(選択的に)触媒する触媒で装填されている触媒床を床板反応器中に装入することも適用技術的に有利であってよい(そのような触媒として、例えば、US‐A4788371、US‐A4886928、US‐A5430209、US‐A5530171、US‐A5527979及びUS‐A5563314明細書の各々がこれに該当する;例えば、そのような触媒床を、脱水素触媒を含有する床に選択的に、床板反応器中に納めることができる;この触媒は、反応帯域Aの第二区分中での前記の水素燃焼にも好適である)。この際放出される反応熱は、そうして、分子水素の燃焼量に依存して、不均一触媒化プロパン脱水素化の全発熱的、又は全自熱的(総熱量変化は実際にゼロである)、又は全吸熱的操作法を可能にする。即ち、触媒床中の反応ガスの選択された滞留時間の増加と共に、プロパン脱水素化は、低下温度又は実際に一定の温度で可能であり、このことは、2つの再生の間で特に長い持続時間を可能とし、かつ本発明により有利である。
一般に、本発明により、前記のような酸素供給は、反応ガスAの酸素含量が、その中に含まれる分子水素量に対して、0.5〜50又は〜30、有利に10〜25容量%であるように行われるべきである。この際、酸素給源として、純粋分子酸素(本発明により有利である)又は不活性ガス、例えば、CO、CO2、N2及び/又は希ガスで希釈された分子酸素、しかし殊に、空気もこれに該当する。分子酸素は、他の(分子酸素と異なる)ガス30容量%以下、有利に25容量%以下、有利に20容量%以下、特に有利に15容量%以下、より良好に10容量%以下及び特に有利に5容量%以下を含有するガスとして供給することが本発明により有利である。前記の酸素供給は、純粋形で行われることが特に有利である。
分子水素1モルのH2Oへの燃焼は、プロパン1モルのプロピレン及びH2への脱水素化が消費するエネルギー(約120kJ/モル)の約2倍のエネルギー(約240kJ/モル)をもたらすので、断熱式床板反応器中での反応帯域Aの前記のような自熱的状況は、本発明による方法の意図する利点に関して、特に目的が達成されるが、それは正に反応帯域A中での脱水素化の範囲で生成される分子水素量の約50モル%の水素量の燃焼を必要とする。
しかし、本発明による方法の利点は、反応帯域A中で生成される分子水素量の約50モル%の水素量を反応帯域A中で燃焼させる場合にのみ達成されるものではない。この利点は、むしろ、反応帯域A中で生成される分子水素量の5〜95モル%、有利に10〜90モル%、特に有利に15〜85モル%、極めて特に有利に20〜80モル%、なおより良好に25〜75モル%、より好都合に30〜70モル%、なお有利に35〜65モル%及び最も有利に40〜60モル%又は45〜55モル%の水素量を反応帯域A中で水に燃焼させる(有利に、前記の断熱床板反応器の操作法で)場合にも既に有効である。
通例、前記の酸素供給は、反応ガスAの酸素含量が、その中に含まれるプロパン及びプロピレンの量に対して、0.01又は0.5〜3容量%であるように行われるべきである。
不均一触媒化プロパン脱水素化の等温性は、床板反応器中で触媒床間の空間に、その充填前に有利に、しかし非必然的に密閉真空にされる内部装置(例えば、管状の)を取付けることによって更に改善され得る。そのような内部装置は、各触媒床中に設置され得る。この内部装置は、一定の温度以上で蒸発し又は溶融し、その際、熱を消費し、かつこの温度を下回る所で再び凝縮し、その際、熱を放出する、好適な固体又は液体を含有する。
反応帯域A中での不均一触媒化プロパン脱水素化の装填ガス混合物を、必要な反応温度に加熱する可能性は、その中に含有されるプロパン及び/又はH2の一部分を、装填ガス混合物中に含有される分子酸素によって、反応帯域A中への進入の際に燃焼させること(例えば、好適な特異的に作用する燃焼触媒で、例えば、簡単な導入及び/又は通過によって)、及びそうして放出された燃焼熱によって脱水素化に所望される反応温度への加熱を引き起こす(そのような方法は(前記のように)殊に渦動床反応器中で有利である)ことにもある。
前記のことに相応して、本発明による方法の反応帯域Aを、DE‐A102004032129及びDE‐A10200501339明細書に記載されたそれのように、しかし、反応帯域Aの装填ガス混合物として、水蒸気、新鮮プロパン及び循環ガスIを含む混合物を使用するという違いを伴って形成することができる。この際、反応帯域Aは(有利に、断熱的)床板反応器として実現され、その中で触媒床(有利に、固床)は放射状又は軸方向で連続して配置されている。そのような床板反応器中の触媒床板の数は3であることが有利である。この際、不均一触媒化部分プロパン脱水素化を、自熱的に実施することが有利である。そのために、反応帯域Aの装填ガス混合物に、第一通過触媒(固)床の後及び流れ方向で第一触媒(固)床に続く触媒(固)床の間に、限定された範囲で、分子酸素又はそれを含有する不活性ガスとの混合物を供給する。そうして、通例、脱水素触媒自体によって触媒される、不均一触媒化プロパン脱水素化の経過中に生成される水素(及び場合により、高々僅少な範囲のプロパン及び/又はプロピレン)の限定された燃焼が引き起こされ、その発熱的熱量変化が脱水素温度を実際に保持する。
この際、プロパンの部分的不均一触媒化脱水素化は、実際に3つの触媒床板上で、反応器に導入されるプロパンの変換率が、1回の反応器通過に対して、約20モル%であるように有利に分配操作される(しかし自明に、本発明による方法では、それは30モル%、又は40モル%、又は50モル%であってもよい)。この際、プロピレン生成の達成される選択率は、通例90モル%である。単一床板の最高変換率寄与は、操作時間の増加と共に、流れ方向で前から後へ移動する。触媒装填は、通例、流れ方向で第三の床板が最高変換率寄与をもたらす前に再生される。再生は、有利に、全床板のコークス化が理想的な程度に達成した時に行われる。
前記のプロパンの不均一触媒化部分脱水素化のために、プロパン及びプロピレンを含む全量での触媒全量(全床上の合計)の負荷が、≧500Nl/l・h及び≦20000Nl/l・hである(典型的な値は、1500Nl/l・h〜2500Nl/l・hである)場合が、極めて一般的に有利である。この際、個々の触媒固床内の最高反応温度は、500℃〜600℃(又は〜650℃)で有利に保たれる。反応帯域Aの装填ガス混合物は、床板反応器中での前記の不均一触媒化部分プロパン脱水素化の際に、新鮮プロパン及び部分酸化から脱水素化へ還流された部分酸化から由来する、脱水素触媒床の満足する持続時間を条件付けるために、通例十分な量の水蒸気を含有する循環ガスIだけを含むことが有利である。
前記の方法の欠点は、プロパンの脱水素化を触媒する殆ど全ての触媒が、分子酸素でのプロパン及びプロピレンの燃焼(プロパン及びプロピレンの酸化炭素及び水蒸気への完全酸化)も触媒し、かつ前記のように、プロパンの不均一触媒化部分脱水素化で還流される部分酸化からの循環ガスI中に、通例、分子酸素が含有されていることである。
それに対して、DE‐A10211275により、脱水素帯域から出される生成ガスを同一組成の2つの部分量に分けて、2つの部分量の一方を生成ガスAとして部分酸化に供給させ、一方で他の部分量を反応ガスAの成分として脱水素化に還流させることによって対抗することができる。この場合、この脱水素化自体から由来する循環ガスII中に含有される分子水素は、反応帯域Aの装填ガス混合物中に含まれるプロパン及び場合によりプロピレンを、その中に同様に含有される分子酸素から保護すべきである。この保護は、通例、分子水素から水への同じ触媒による不均一触媒化燃焼が、プロパン及び/又はプロピレンの完全燃焼に比べて速度論的に有利であることに基づいている。
DE‐A10211275の論説に従って、脱水素循環ガス誘導を、有利に噴射ポンプ原則により実現する(これはループ法とも称される)。更に、本明細書で、反応帯域Aの装填ガス混合物に、更なる酸化保護として、付加的に分子水素を添加する可能性が主張される。DE‐A102005049699から、分子水素を噴射ポンプの推進噴射中に一定の階級的な供給で配給するという要求について、相応する情報が得られる。
DE‐A102004032129及びDE‐A102005013039の論説により、不均一触媒化部分プロパン脱水素化の装填ガス混合物中への、不均一触媒化部分酸化から由来する、分子酸素を含有する循環ガスIの還流を行わないことが有利である。むしろ、一定の脱水素変換後に、初めて、反応帯域Aの反応ガスA中へこの還流を行うことが有利である。この際、DE‐A102004032129に、この還流に先立って、反応帯域Aの装填ガス混合物に、有利に付加的に、外部からの分子水素を添加することが提示されている。更に、DE‐A102004032129に、脱水素化のループ法も明示されている。この際、推進噴射は、本発明による方法に転用されて、排他的に部分酸化から脱水素化に還流される循環ガスIである。
DE‐A102005009885の実施例IIの論説に従って、本発明による反応帯域Aに、有利にループ法を適用し、その際、その装填ガス混合物は、循環ガスIから、新鮮プロパンから、外部の分子水素から、最小量の外部の水蒸気から及び脱水素化自体に還流される循環ガスIIから組成されている(外部からの水蒸気を放棄することもできる)。推進放射として、新鮮プロパン、外部からの分子水素、部分酸化からの循環ガスI及び外部からの水蒸気を含む混合物を使用する。推進放射発生の際に有利に厳守すべき配量の順番に関して、DE‐A102005049699が有利に推奨される。
本発明により有利に、循環ガスIは、通例、分子酸素及び水蒸気だけでなく、分子水素、一酸化炭素及び二酸化炭素も含有する。即ち、これは通例、COも含有する。循環ガスIは、本発明により有利に、CO25〜15容量%を含有する。
本発明により有利に、反応帯域Aから排出される生成ガスAは、本発明による方法で次の含有物を有する。
プロパン 25〜60容量%
プロペン 8〜25容量%
H2 0.04〜25容量%、しばしば〜15容量%
H2O 2〜25容量%及び
CO2 >0〜30容量%、しばしば〜15容量%。
生成ガスAの温度は、典型的に400〜700℃、有利に450〜650℃である。
反応帯域Aを出る生成ガスAの圧量は、本発明により有利に2〜4バールである。しかし、前記のように、20バールまでであってもよい。
ところで、本発明により、生成ガスAは、更なる副成分の分離を行わずに、反応帯域Bで少なくとも1つの酸化反応器の装填に、反応ガスBと共に使用される。
有利な方法で、生成ガスAに、反応帯域B中での設定目標の達成のために必要である量の分子酸素を添加することが十分である。この添加は、原則的に、純粋酸素として又は分子酸素及び反応帯域B中で化学的に不活性である1種以上のガス(例えば、N2、H2O、希ガス、CO2)を含む混合物(例えば、空気)として行われ得る。それは、本発明により有利に、分子酸素と異なるガス30容量%以下、有利に25容量%以下、有利に20容量%以下、特に有利に15容量%以下、より良好に10容量%以下及び特に有利に5容量%以下又は2容量%以下を含有するガスとして行われる。これには、純粋酸素の使用が極めて特に有利である。通例、分子酸素の供給量は、反応帯域Bの装填ガス中で(反応ガスB‐出発混合物中で)、含有分子酸素対含有プロピレンのモル比が、≧1及び≦3であるように配分される。生成ガスAへの分子酸素の供給の前に、生成ガスAを本発明により有利に250〜350℃の範囲、有利に270〜320℃の範囲の温度に冷却させる。この冷却は、本発明により有利に、間接的熱交換体(有利に、向流操作で;この言明は、他の記載のない限り、極めて一般的に本明細書中の間接的熱交換体に当てはまる)によって引き起こされる。この際、冷却剤として、有利に、反応帯域Aの反応ガスA‐出発混合物が使用され、これは、この方法で、同時に、反応帯域A中で求められる反応温度に設定される(しかし原則的に、冷却は、前記のように、出発圧がこれに関して十分に高い限り、膨張タービン中での放圧によっても実施され得る)。
本発明により巧みに、有利に前以て前記のように冷却された生成ガスAへの分子酸素含有ガスの供給を、推進ノズル、混合域、拡散器及び吸引管を包含する放射ポンプを、推進放射として生成ガスAで操作するようにして実行することができ、この際、推進ノズルを通って混合域及び拡散器を経て放圧される推進放射の輸送進路及び吸引管の吸引作用は、分子酸素含有ガスの給源方向を示し、かつこの際、吸引管で生じた減圧によって分子酸素含有ガスを吸引し、推進放射との同時の混合で混合域を通って拡散器を経て輸送し、その際生成される反応ガスB‐出発混合物を、第二反応帯域Bの入口で又は第二反応帯域Bの少なくとも1個の酸化反応器の入口で排出させる。前記の変法は、殊に、生成ガスAが圧力2〜5バール以上、又は〜4バールを有する場合に適用可能である。
しかし当然、分子酸素含有ガスを、慣用の方法でも、生成ガスAと混合させて、反応帯域Bの装填ガス混合物(反応ガスB‐出発混合物)を得ることができる。本発明により有利に、反応帯域Aと反応帯域Bとの間で、DE‐A10316039による機械的な分離操作が接続されていてよい。
自体公知の方法で、分子酸素を用いるプロピレンからアクリル酸への不均一触媒化気相‐部分酸化は、原則的に、反応座標に沿って2つの連続する段階で進行し、そのうち第一段階はアクロレインへ、かつ第二段階はアクロレインからアクリル酸へ導かれる。
2つの時間的に連続した段階でのこの反応経過は、自体公知の方法で、本発明による方法を反応帯域Bにおいてアクロレインの段階で(主にアクロレイン生成の段階)中断し、かつこの段階で目的生成物分離を行い、又は本発明による方法を主にアクリル酸生成まで継続させ、その時初めて目的生成物分離を実施する可能性を明らかにする。
本発明による方法を主にアクリル酸生成まで導く場合には、本発明により、方法を2段階で、即ち、2つの連続する酸化段階で実施することが有利であり、この際、有利に、2つの酸化段階の各段階で使用すべき触媒固床及び有利にその他の反応条件、例えば、触媒固床の温度を最適に適合させる。
第一酸化段階(プロピレン→アクロレイン)の触媒に活性物質として好適な、元素Mo、Fe、Biを含有する多金属酸化物が、一定の範囲で、第二酸化段階(アクロレイン→アクリル酸)を触媒することが確かに可能であるが、第二段階には、通例、その活性物質が少なくとも1種の、元素Mo及びVを含有する多金属酸化物である触媒が有利である。
従って、本発明により反応帯域Bで実施すべき、その触媒が活性物質として少なくとも1種の元素Mo、Fe及びBiを含有する多金属酸化物を有する触媒固床でのプロピレンの不均一触媒化部分酸化の方法は、殊に、1段階のアクロレイン(及び場合によりアクリル酸)の製法として、又はアクリル酸の2段階製造のための第一反応段階として好適である。
この際、本発明により生成される反応ガスBの使用下に、プロピレンからアクロレイン及び場合によりアクリル酸への1段階の不均一触媒化部分酸化、又はプロピレンからアクリル酸への2段階の不均一触媒化部分酸化の実現は、個々に、EP‐A700714(第一反応段階;そこに記載されたように、しかし、束管反応器を介して塩浴及び反応ガス出発混合物の相応する向流法でも)、EP‐A700893(第二反応段階;そこに記載されたように、しかし、相応する向流法でも)、WO04/085369(殊に、この明細書は本明細書の構成要素として該当する)(2段階法として)、WO04/85363、DE‐A10313212(第一反応段階)、EP‐A1159248(2段階法として)、EP‐A1159246(第二反応段階)、EP‐A1159247(2段階法として)、DE‐A19948248(2段階法として)、DE‐A10101695(1段階又は2段階)、WO04/085368(2段階法として)、DE102004021764(2段階)、WO04/085362(第一反応段階)、WO04/085370(第二反応段階)、WO04/085365(第二反応段階)、WO04/085367(2段階)、EP‐A990636、EP‐A1007007及びEP‐A1106598の明細書に記載されたように実施され得る。
このことは、殊に、本明細書中に含まれる全実施例に当てはまる。これらは、本明細書に記載されたように実施され得るが、第一反応段階(プロピレンからアクロレインへ)の反応ガス出発混合物として、本発明により生成される反応ガスBを使用するという相違点を伴う。該当する他のパラメーターは、前記明細書の実施例の場合と同様に処置される(殊に、該当する触媒固床及び触媒固床の反応体‐負荷)。前記の公知技術水準の実施例を2段階で処置し、かつ2つの反応段階の間で二次酸素(本発明によりあまり有利ではない二次空気)を供給する場合には、これは相応する方法で行われるが、その量においては、第二反応段階の装填ガス混合物中での分子酸素対アクロレインのモル比が、前記明細書の実施例中のそれに相応するように適合される。
本発明により有利に、反応帯域B中の酸素量は、生成ガスBがなお未反応の分子酸素を含有するように配分される(有利に≧0.5〜6容量%、有利に1〜5容量%、有利に2〜4容量%)。2段階法の場合では、2つの酸化段階の各々について前記したことが当てはまる。
各酸化段階に特に好適な多金属酸化物触媒は、以前に様々に記載され、当業者に周知されている。例えば、EP‐A253409は、5頁で、相応するUS‐特許を参照させる。
各酸化段階に好適な触媒は、DE‐A4431957、DE‐A102004025445及びDE‐A4431949からも明らかである。これは、殊に、2つの前記のより古い明細書中の一般式Iのそれに当てはまる。各酸化段階に特に有利な触媒は、DE‐A10325488、DE‐A10325487、DE‐A10353954、DE‐A10344149、DE‐A10351269、DE‐A10350812及びDE‐A10350822の明細書から明らかである。
プロピレンからアクロレイン又はアクリル酸又はその混合物への不均一触媒化気相部分酸化の本発明による反応段階に、原則的に全ての、Mo、Bi及びFeを含有する多金属酸化物物質が活性物質としてこれに該当する。
これらは、殊に、DE‐A19955176の一般式Iの多金属酸化物活性物質、DE‐A19948523の一般式Iの多金属酸化物活性物質、DE‐A10101695の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物活性物質、DE‐A19948248の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物活性物質及びDE‐A19955618の一般式I、II及びIIIの多金属酸化物活性物質及びEP‐A700714に挙げられた多金属酸化物活性物質である。
更に、この反応段階には、29.08.2005付のリーサーチディスクロージャー(Research Disclosure)第497012号、DE‐A10046957、DE‐A10063162、DE‐C3338380、DE‐A19902562、EP‐A15565、DE‐C2380765、EP‐A807465、EP‐A279374、DE‐A3300044、EP‐A575897、US‐A4438217、DE‐A19855913、WO98/24746、DE‐A19746210(一般式IIのそれ)、JP‐A91/294239、EP‐A293224及びEP‐A700714の明細書に公開されている、Mo、Bi及びFeを含有する多金属酸化物触媒が好適である。これは、殊に、本明細書中の例証された実施態様に好適であり、そのうちで、EP‐A15565、EP‐A575897、DE‐A19746210及びDE‐A19855913のそれが特に有利である。これに関連して、EP‐A15565からの例1cによる触媒及び相応する方法で製造されるべき、しかしその活性物質が組成 Mo12Ni6.5Zn2Fe2Bi1P0.0065K0.06Ox・10SiO2 を有する触媒が特に挙げられる。更に、DE‐A19855913からの通し番号3の例(化学量論:Mo12Co7Fe3Bi0.6K0.08Si1.6Ox)を形状5mmx3mmx2mm(外径x高さx内径)の中空筒状完全触媒として及びDE‐A19746210の例1による多金属酸化物II‐完全触媒が挙げられる。更に、US‐A4438217の多金属酸化物‐触媒が挙げられる。後者は、殊に、この中空筒状物が形状5.5mmx3mmx3.5mm、又は5mmx2mmx2mm、5mmx3mmx2mm、又は6mmx3mmx3mm、又は7mmx3mmx4mm(各々外径x高さx内径)を有する場合に当てはまる。これに関して、更なる可能な触媒形状は、索状物(例えば、長さ7.7mm及び直径7mm;又は長さ6.4mm及び直径5.7mm)である。
プロピレンからアクロレイン及び場合によりアクリル酸への段階に好適な多数の多金属酸化物活性物質は、一般式IVを包含することができる:
Mo12BiaFebX1 cX2 dX3 eX4 fOn (IV)
[式中、変数は次の意味を有する:
X1=ニッケル及び/又はコバルト、
X2=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
X3=亜鉛、燐、砒素、硼素、アンチモン、錫、セリウム、鉛及び/又はタングステン、
X4=珪素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
a=0.5〜5、
b=0.01〜5、有利に2〜4、
c=0〜10、有利に3〜10、
d=0〜2、有利に0.02〜2、
e=0〜8、有利に0〜5、
f=0〜10及び
n=IV中の酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数]。
これらは自体公知の方法で得られ(例えば、DE‐A4023239参照)、かつ通例、物質で、球状物、環状物又は筒状物に成形され、又はシェル型触媒、即ち、活性物質で被覆された予備成形の不活性担体の形で使用される。しかし当然、これらは粉末状でも触媒として適用され得る(例えば、渦動床反応器中で)。
一般式IVの活性物質は、原則的に簡単な方法で、それらの元素成分の好適な給源から、できるだけ十分に混和された、有利に粉末状の、その化学量論に相応に組成された乾燥混合物を生成させ、かつこれを350〜650℃の温度でか焼させることによって製造され得る。か焼は、不活性ガス下でも、酸化性雰囲気、例えば、空気(不活性ガス及び酸素を含む混合物)下でも、及び還元性雰囲気(例えば、不活性ガス、NH3、CO及び/又はH2を含む混合物)下でも行われ得る。か焼時間は、数分間〜数時間であってよく、通例、温度と共に減少する。多金属酸化物活性物質IVの元素成分の給源として、既に酸化物及び/又は加熱によって、少なくとも酸素が存在して酸化物に変換可能である化合物が重要である化合物がこれに該当する。
そのような出発化合物として、酸化物の他に、特に、ハロゲニド、硝酸塩、蟻酸塩、蓚酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、アミン複合体、アンモニウム塩及び/又は水酸化物がこれに該当する(遅くとも、後のか焼の際に、ガス状で漏出する化合物に分解し得る及び/又は分解され得る化合物、例えば、NH4OH、(NH4)2CO3、NH4NO3、NH4CHO2、CH3COOH、NH4CH3CO2及び/又は蓚酸アンモニウムは、十分に混和された乾燥混合物に付加的に加入混合され得る)。
多金属酸化物活性物質IVの製造のための出発化合物の十分な混合は、乾燥又は湿潤形で行われ得る。乾燥形で行われる場合には、出発化合物は有利に微粉末として使用され、混合及び場合により圧縮後にか焼される。しかし、十分な混合は、湿潤形で行われることが有利である。この際、通例、出発化合物を水溶液及び/又は懸濁液の形で相互に混合させる。特に十分に混和された乾燥混合物は、前記の混合法では、排他的に、元素成分の、溶解形で存在する給源から由来する場合に得られる。溶剤として水を使用することが有利である。得られた水性物質を引き続いて乾燥させ、この際、乾燥過程は、有利に、100〜150℃の排出温度を有する水性混合物を噴霧乾燥させることによって行われる。
一般式IVの多金属酸化物活性物質は、段階"プロピレン→アクロレイン(及び場合によりアクリル酸)"に、粉末形でも、一定の形状の触媒に成形されても使用することができ、この際、成形は、最終のか焼前又はか焼終了後に行われ得る。例えば、活性物質の粉末形又はその未か焼及び/又は部分的か焼の前駆物質から、所望の触媒形状への圧縮によって(例えば、打錠、押出し又は絞出しによって)完全触媒を製造することができ、この際、場合により、助剤、例えば、グラファイト又はステアリン酸を滑剤及び/又は成形助剤として及び強化剤、例えば、ガラス、アスベスト、炭化珪素又はチタン酸カリウムを含むミクロ繊維を添加することができる。しかし、グラファイトの代わりに、DE‐A102005037678が推奨しているような、六方晶性窒化硼素を助剤として成形の際に使用することができる。好適な完全触媒形状は、例えば、外径及び長さ2〜10mmの充実筒状物又は中空筒状物である。中空筒状物の場合には、壁厚1〜3mmが有利である。当然、完全触媒は球状物の形状を有することもでき、この際、球径は2〜10mmであってよい。殊に、完全触媒の場合には、特に有利な中空筒状物形状は5mmx3mmx2mm(外径x長さx内径)である。
当然、粉末状の活性物質又はその粉末状の、まだ未か焼及び/又は部分的か焼の前駆物質の成形は、予備成形された不活性触媒担体上への塗布によって行われることもできる。シェル型触媒の製造のための担体の被覆は、通例、例えば、DE‐A2909671、EP‐A293859又はEP‐A714700から公知であるような、好適な回転可能な容器中で実施される。担体の被覆のために、塗布すべき粉末物質を湿潤させ、かつ塗付後に、例えば、熱気により再び乾燥させる。担体上に塗付された粉末物質の層厚は、有利に、10〜1000μmの範囲に、有利に50〜500μmの範囲に、及び特に有利に150〜250μmの範囲にあるように選択される。
この際、担体物質として、通例の多孔性又は無孔性の酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化珪素又は珪酸塩、例えば、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムを使用することができる。これらは、本発明による方法に基づく目的反応に関して、通例、実際に不活性である。担体は、規則的に又は不規則的に成形されてよく、その際、明らかに成形された粗表面を有する規則的に成形された担体、例えば、球状物又は中空筒状物が有利である。その直径が1〜10mm又は〜8mm、有利に4〜5mmであるステアタイト製の、実際に無孔性の粗表面球状担体の使用が好適である。しかし、担体として、その長さが2〜10mm及びその外径が4〜10mmである筒状物の使用も好適である。担体として本発明により好適な環状物の場合には、更に壁厚が通例1〜4mmである。本発明により有利に使用すべき環状担体は、長さ2〜6mm、外径4〜8mm及び壁厚1〜2mmを有する。本発明により、特に、担体として、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)の環状物も好適である。担体の表面上に塗布すべき触媒活性酸化物物質の細度は、当然、所望のシェル厚に適合される(EP‐A714700参照)。
更に、プロピレンからアクロレイン(及び場合によりアクリル酸)への段階に使用すべき多金属酸化物活性物質は、三次元に拡大された、その局所的環境と異なるその組成に基づくその局所的環境とは区分される化学組成Y1 a’Y2 b’Ox’の範囲を有し、その最大直径(範囲の表面(界面)上にある2点の、範囲の重心を通る最長の結合直線)1nm〜100μm、しばしば10nm〜500nm又は1μm〜50又は25μmである、一般式Vの物質である:
[Y1 a’Y2 b’Ox’]p[Y3 c’Y4 d’Y5 e’Y6 f’Y7 g’Y2 h’Oy’]q (V)
[式中、変数は次の意味を有する:
Y1=ビスマスだけ又はビスマス及び少なくとも1種の元素テルル、アンチモン、錫及び銅、
Y2=モリブデン、又はタングステン、又はモリブデン及びタングステン、
Y3=アルカリ金属、タリウム及び/又はサマリウム、
Y4=アルカリ土類金属、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、錫、カドミウム及び/又は水銀、
Y5=鉄又は鉄及び少なくとも1種の元素クロム及びセリウム、
Y6=燐、砒素、硼素及び/又はアンチモン、
Y7=希土類金属、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウム、珪素、ゲルマニウム、鉛、トリウム及び/又はウラン、
a’=0.01〜8、
b’=0.1〜30、
c’=0〜4、
d’=0〜20、
e’>0〜20、
f’=0〜6、
g’=0〜15、
h’=8〜16、
x’、Y’=V中で酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数、及び
p、q=その比率p/qが0.1〜10である数]。
特に有利な本発明により好適な多金属酸化物物質Vは、式中Y1がビスマスだけであるものである。
その内で、再び、一般式VIに相応するものが有利である:
[Bia"Z2 b"Ox"]p"[Z2 12Z3 c"Z4 d"Fee"Z5 f"Z6 g"Z7 h"Oy"]q" (VI)
[式中、変数は次の意味を有する:
Z2=モリブデン、又はタングステン、又はモリブデン及びタングステン、
Z3=ニッケル及び/又はコバルト、
Z4=タリウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、
Z5=燐、砒素、硼素、アンチモン、錫、セリウム及び/又は鉛、
Z6=珪素、アルミニウム、チタン及び/又はジルコニウム、
Z7=銅、銀及び/又は金、
a"=0.1〜1、
b"=0.2〜2、
c"=3〜10、
d"=0.02〜2、
e"=0.01〜5、有利に0.1〜3、
f"=0〜5、
g"=0〜10、
h"=0〜1、
x"、y"=VI中で酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数、
p"、q"=その比率p"/q"が0.1〜5、有利に0.5〜2である数]:この際、Z2 b"=(タングステン)b"及びZ2 12=(モリブデン)12である物質VIが特に有利である。
更に、本発明により好適な多金属酸化物物質V(多金属酸化物物質VI)中の本発明により好適な多金属酸化物物質V(多金属酸化物物質VI)の全成分[Y1 a’Y2 b’Ox’]p([Bia"Z2 b"Ox"]p")の少なくとも25モル%(有利に少なくとも50モル%及び特に有利に100モル%)が、三次元に拡大された、その局所的環境と異なるその化学組成に基づくその局所的環境とは区分される化学組成 Y1 a’Y2 b’Ox’[Bia"Z2 b"Ox"]の範囲の形で存在し、その最大直径が1nm〜100μmの範囲にある場合が有利である。
多金属酸化物物質V‐触媒に関する成形については、多金属酸化物物質IV‐触媒での言明が当てはまる。
多金属酸化物物質V‐活性物質の製造は、例えば、EP‐A575897及びDE‐A19855913に記載されている。
前記で推奨された不活性担体物質は、特に、相応する触媒固床の希釈及び/又は限界のための不活性物質として、又はその保護及び/又はガス混合物加熱の予備盛込床としてこれに該当する。
第二段階(第二反応段階)、クロレインからアクリル酸への不均一触媒化気相‐部分酸化について、前記のように、原則的に、Mo及びVを含有する全ての多金属酸化物物質、例えば、DE‐Aのそれが、必要とされる触媒の活性物質としてこれに該当する。
多数のそれ、例えばDE‐A19815281のそれが、一般式VIIに包含され得る:
Mo12VaX1 bX2 cX3 dX4 eX5 fX6 gOn (VII)
[式中、変数は次の意味を有する:
X1=W、Nb、Ta,Cr及び/又はCe、
X2=Cu、Ni、Co,Fe、Mn及び/又はZn、
X3=Sb及び/又はBi、
X4=1種以上のアルカリ金属、
X5=1種以上のアルカリ土類金属、
X6=Si、Al、Ti及び/又はZr、
a=1〜6、
b=0.2〜4、
c=0.5〜18、
d=0〜40、
e=0〜2、
f=0〜4、
g=0〜40及び
n=VII中の酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数]。
活性多金属酸化物VII内で本発明により有利な実施態様は、一般式VII中の変数の次の意味によって包含されるものである:
X1=W、Nb及び/又はCr、
X2=Cu、Ni、Co及び/又はFe、
X3=Sb、
X4=Na及び/又はK、
X5=Ca、Sr及び/又はBa、
X6=Si、Al及び/又はTi、
a=1.5〜5、
b=0.5〜2、
c=0.5〜3、
d=0〜2、
e=0〜0.2、
f=0〜1及び
n=VII中の酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数]。
しかし、本発明により極めて特に有利な多金属酸化物VIIは、一般式VIIIのそれである:
Mo12Va’Y1 b’Y2 c’Y5 f’Y6 g’On’ (VIII)
[式中、
Y1=W及び/又はNb、
Y2=Cu及び/又はNi、
Y5=Ca及び/又はSr、
Y6=Si及び/又はAl、
a’=2〜4、
b’=1〜1,5、
c’=1〜3、
f’=0〜0.5、
g’=0〜8及び
n’=VIII中の酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数]。
本発明により好適な多金属酸化物活性物質(VII)は、自体公知の、例えば、DE‐A4335973に又はEP‐A714700に公開された方法で得られる。
原則的に、段階"アクロレイン→アクリル酸"に好適な多金属酸化物活性物質、殊に一般式VIIのそれは、簡単な方法で、その元素成分の好適な給源からできるだけ十分に混和された、有利に微粉末状の、その化学量論に相応に組成された乾燥物質を生成させ、これを350〜600℃の温度でか焼させることによって製造され得る。か焼は、不活性ガス下でも、酸化性雰囲気、例えば、空気(不活性ガス及び酸素を含む混合物)下でも、同様に還元性雰囲気(例えば、不活性ガス及び還元性ガス、例えば、H2、NH3、CO、メタン及び/又はアクロレイン又は前記の還元作用を有するガス自体)下でも実施され得る。か焼時間は、数分間〜数時間であってよく、通例、温度と共に減少する。多金属酸化物活性物質VIIの元素成分の給源として、既に酸化物及び/又は少なくとも酸素が存在して加熱によって酸化物に変換可能である化合物が重要である化合物がこれに該当する。
多金属酸化物物質VIIの製造のための出発化合物の十分な混合は、乾燥又は湿潤形で行われ得る。乾燥形で行われる場合には、出発化合物は有利に微粉末として使用され、混合及び場合により圧縮後にか焼される。しかし、十分な混合は、湿潤形で行われることが有利である。
この際、通例、出発化合物を水性の溶液及び/又は懸濁液の形で相互に混合させる。特に十分に混和された乾燥混合物は、前記の混合法で、排他的に元素成分の溶解形で存在する給源から由来する場合に得られる。溶剤として水を使用することが有利である。得られた水性物質を引き続いて乾燥させ、この際、乾燥過程は、有利に、100〜150℃の排出温度の水性混合物を噴霧乾燥させることによって行われる。
得られた多金属酸化物物質、殊に、一般式VIIのそれは、アクロレイン酸化のために、粉末形でも(例えば、渦動床反応器中で)、一定の形状の触媒に成形されても使用することができ、この際、成形は、か焼前又はか焼終了後に行うことができる。例えば、活性物質の粉末形又はその未か焼の前駆物質から、所望の触媒形状への圧縮によって(例えば、打錠、押出し又は絞出しによって)完全触媒を製造することができ、この際、場合により、助剤、例えば、グラファイト又はステアリン酸を滑剤及び/又は成形助剤として及び強化剤、例えば、ガラス、アスベスト、炭化珪素又はチタン酸カリウムを含むミクロ繊維を添加することができる。好適な完全触媒形状は、例えば、外径及び長さ2〜10mmの充実筒状物又は中空筒状物である。中空筒状物の場合には、壁厚1〜3mmが有利である。当然、完全触媒は球状物の形状を有することもでき、この際、球径は2〜10mm(例えば、8.2mm又は5.1mm)であってよい。
当然、粉末状の活性物質又はその粉末状の、まだ未か焼の前駆物質の成形は、予備成形された不活性触媒担体上への塗布によって行うこともできる。シェル型触媒の製造のための担体の被覆は、通例、例えば、DE‐A2909671、EP‐A293859又はEP‐A714700から公知であるような、好適な回転可能な容器中で実施される。
担体の被覆のために、塗布すべき粉末物質を湿潤させ、かつ塗付後に、例えば、熱気により再び乾燥させることが有利である。担体上に塗付された粉末物質の層厚は、有利に、10〜1000μmの範囲、有利に50〜500μmの範囲、及び特に有利に150〜250μmの範囲にあるように選択される。
この際、担体物質として、通例の多孔性又は無孔性の酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化トリウム、二酸化ジルコニウム、炭化珪素又は珪酸塩、例えば、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムを使用することができる。担体は、規則的に又は不規則的に成形されていてよく、その際、明らかに成形された粗表面を有する規則的に成形された担体、例えば、粗粒層を有する球状物又は中空筒状物が有利である。その直径が1〜10mm又は〜8mm、有利に4〜5mmであるステアタイト製の、実際に無孔性の粗表面球状担体の使用が好適である。即ち、好適な球状物形状は、8.2mm又は5.1mmの直径を有し得る。しかし、担体として、その長さが2〜10mm及びその外径が4〜10mmである筒状物の使用も好適である。担体として環状物の場合には、更に壁厚が通例1〜4mmである。有利に使用すべき環状担体は、長さ2〜6mm、外径4〜8mm及び壁厚1〜2mmを有する。特に、担体として、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)の環状物も好適である。担体の表面上に塗布すべき触媒活性酸化物物質の細度は、当然、所望のシェル厚に適合される(EP‐A714700参照)。
更に、段階"アクロレイン→アクリル酸"に使用すべき好適な多金属酸化物活性物質は、一般式IX:
[D]p[E]q (IX)
[式中、変数は次の意味を有する:
D=Mo12Va"Z1 b"Z2 c"Z3 d"Z4 e"Z5 f"Z6 g"Ox"、
E=Z7 12Cuh"Hi"Oy"、
Z1=W、Nb、Ta、Cr及び/又はCe、
Z2=Cu、Ni、Co、Fe、Mn及び/又はZn、
Z3=Sb及び/又はBi、
Z4=Li、Na、K、Rb、Cs及び/又はH、
Z5=Mg、Ca、Sr及び/又はBa、
Z6=Si、Al、Ti及び/又はZr、
Z7=Mo、W、V、Nb及び/又はTa、有利にMo及び/又はW、
a"=1〜8、
b"=0.2〜5、
c"=0〜23、
d"=0〜50、
e"=0〜2、
f"=0〜5、
g"=0〜50、
h"=4〜30、
i"=0〜20及び
x"、y"=IX中で酸素と異なる元素の原子価及び度数によって決められる数、かつ
p、q=その比率p/qが160:1〜1:1である、ゼロと異なる数]
の物質であり、これは、多金属酸化物物質E:
Z7 12Cuh"Hi"Oy"、 (E)
を微粉末形で別々に前以て製造し(出発物質1)、かつ引き続き、前以て製造した固体の出発物質1を、前記の化学量論式D:
Mo12Va"Z1 b"Z2 c"Z3 d"Z4 e"Z5 f"Z6 g" (D)
の元素を含有する、元素Mo、V、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、の給源の水溶液、水性懸濁液又は微粉末状の乾燥混合物(出発物質2)中に、所望の量比p:qで加入混合させ、この際、場合により生じる水性混合物を乾燥させ、かつそうして得られる乾燥前駆物質をその乾燥前又はその後に、250〜600℃の温度で所望の触媒形状にか焼させることによって得られる。
前以て生成された固体の出発物質1の水性出発物質2中への加入混合は、温度<70℃で行われる、多金属酸化物物質IXが有利である。多金属酸化物物質VI‐触媒の製造の詳述は、例えば、EP‐A668104、DE‐A19736105、DE‐A10046928、DE‐A19740493及びDE‐A19528646に包含されている。多金属酸化物物質IX‐触媒に関する成形については、多金属酸化物物質VII‐触媒の言明が当てはまる。
卓越した方法で段階"アクロレイン→アクリル酸"に好適な多金属酸化物触媒は、DE‐A19815281のそれ、殊に、本明細書の一般式Iの多金属酸化物活性物質を有するそれである。
プロピレンからアクロレインへの段階には完全触媒環状物、及びアクロレインからアクリル酸への段階にはシェル型触媒環状物を使用することが有利である。
プロピレンからアクロレイン(及び場合によりアクリル酸)への本発明による方法の部分酸化の実施は、前記の触媒を用いて、例えば、DE‐A4431957に記載されているそれのような、単一帯域‐多接触管‐固床反応器中で実施され得る。この際、反応ガス混合物及び熱媒体(熱交換剤)を、反応器上から見て、並流で又は向流で導くことができる。
反応圧は、通例、1〜3バールの範囲であり、反応ガスBでの触媒固床の全空間負荷は、通例、1500〜4000又は6000Nl/l・h以上である。プロピレン負荷(触媒固床のプロピレン負荷)は、典型的に90〜200Nl/l・h又は〜300Nl/l・h以上である。本発明により、135Nl/l・h以上又は≧140Nl/l・h、又は≧150Nl/l・h、又は≧160Nl/l・hのプロピレン負荷は特に有利であり、それというのも、本発明による反応帯域Bの反応ガス出発混合物は、未反応のプロパン及び分子水素の存在により、有利なホットスポット特性を条件付けるからである(全ての前記したことは、固床反応器の特別な選択に無関係で当てはまる)。
単一帯域‐多接触管‐固床反応器に、装填ガス混合物を上から流通させることが有利である。熱交換剤として、有利に、硝酸カリウム(KNO3)60質量%及び亜硝酸ナトリウム(NaNO2)40質量%を含む、又は硝酸カリウム(KNO3)53質量%、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)40質量%及び硝酸ナトリウム(NaO3)7質量%を含む塩溶融物を使用することが有利である。
前記のように、反応器を上から見て、塩溶融物及び反応ガス混合物を並流でも向流でも導くことができる。塩溶融物自体を、接触管の廻りを蛇行流通させることが有利である。
接触管に上から下へ流通させる場合には、接触管に下から上へ次のように触媒を装填させることが有利である(下から上への流通のために、装填順序は有利な方法で逆転される):
先ず、接触管長の40〜80又は〜60%の長さに、触媒だけ又は触媒及び不活性物質を含む混合物(この際、後者は、混合物に対して、30質量%まで又は20質量%までの質量割合である)(区分C);
それに続いて、全管長の20〜50又は〜40%の長さに、触媒だけ又は又は触媒及び不活性物質を含む混合物(この際、後者は、混合物に対して、40質量%までの質量割合である)(区分B);及び
最終的に、全管長の10〜20%の長さに、それができるだけ少ない圧力損失を条件付けるように、有利に選択される不活性物質を含む盛込床(区分A)。
区分Cは非希釈であることが有利である。
前記の装填変法は、触媒として、29.08.2005付のリーサーチディスクロージャー(Research Disclosure)第497012号による、又はDE‐A10046957の例1による又はDE‐A10046957の例3によるそれ、及び不活性物質として、形状7mmx7mmx4mm(外径x高さx内径)を有するステアタイト製の環状物を使用する場合に有利である。塩浴温度については、DE‐A4431957での言明が当てはまる。
プロピレンからアクロレイン(及び場合によりアクリル酸)への反応帯域B中での部分酸化の実施は、前記の触媒を用いて、しかし、例えば、DE‐A19910506、DE‐A102005009885、DE‐A102004032129、DE‐A102005013039及びDE‐A102005009891及びDE‐A102005010111に記載されたような、例えば、2帯域‐多接触管‐固床反応器中で実施することもできる。前記の2例で(及び極めて一般的に本発明による方法で)、1回の通過で達成されるプロペン変換率は、通例、≧90モル%又は≧95モル%の値であり、アクロレイン生成の選択率は≧90モル%の値である。本発明により有利に、プロペンからアクロレイン、又はアクリル酸又はその混合物への本発明による部分酸化は、EP‐A1159244に、及び極めて特に有利にWO04/085363に、及びWO04/085362に記載されたように行われる。
EP‐A1159244、WO04/085363及びWO04/085362明細書は、本明細書の構成要素と見なされる。
即ち、反応帯域B中で実施すべきプロピレンからアクロレイン(及び場合によりアクリル酸)への部分酸化は、特に有利に、少なくとも2つの温度帯域を有する触媒固床で、高められたプロピレン負荷で実施され得る。
これに関しては、例えば、EP‐A1159244及びWO04/085362が参照される。
プロピレンからアクロレインへの2段階式部分酸化の場合での第二段階の実施、つまりアクロレインからアクリル酸への部分酸化は、前記の触媒を用いて、例えば、DE‐A4431949が記載したような、単一帯域‐多接触管‐固床反応器中で実施され得る。この際、反応ガス混合物及び熱担体は、反応器上から見て、並流で導かれ得る。通例、前記の本発明によるアクロレインへのプロピレン部分酸化の生成ガス混合物は、原則的にそのものとして(場合により、中間冷却を行った後の(これは間接的に又は直接、例えば、二次酸素‐(又は本発明によりあまり有利ではない二次空気‐)‐供給によって行われる)それ)、即ち、副成分を分離せずに、第二反応段階、即ち、アクロレイン部分酸化に導かれる。
第二段階、アクロレイン部分酸化に必要とされる分子酸素は、(この際)既にアクロレインへのプロピレン部分酸化のための反応ガスB‐出発混合物中に含有されていてよい。しかし、これは部分的に又は完全に、第一反応段階、即ち、アクロレインへのプロピレン部分酸化の生成ガス混合物に直接供給されてもよい(これは、二次空気として、しかし有利に純粋酸素の形で、又は不活性ガス及び酸素を含む混合物の形で(有利に≦50容量%、又は≦40容量%、又は≦30容量%、又は≦20容量%、又は≦10容量%、又は≦5容量%、又は≦2容量%で)行われ得る)。前記のようにそれに無関係で、アクロレインからアクリル酸へのそのような部分酸化の装填ガス混合物(反応ガス出発混合物)は次の含有物を有することが有利である:
アクロレイン 3〜25容量%
分子酸素 5〜65容量%
プロパン 6〜70容量%
分子水素 0.3〜20容量%及び
水蒸気 8〜65容量%。
前記の反応ガス出発混合物は、次の含有物を有することが有利である:
アクロレイン 5〜14容量%
分子酸素 6〜25容量%
プロパン 6〜60容量%
分子水素 2〜18容量%及び
水蒸気 7〜35容量%。
前記の反応ガス出発混合物は、次の含有物を有することが極めて特に有利である:
アクロレイン 6〜12容量%
分子酸素 8〜20容量%
プロパン 20〜55容量%
分子水素 6〜15容量%及び
水蒸気 11〜26容量%、
この際、優先範囲は相互に無関係で当てはまるが、同時に実現することが有利である。前記の混合物中の窒素含量は、通例≦20容量%、有利に≦15容量%、特に有利に≦10容量%及び極めて特に有利に≦5容量%である。第二酸化段階の装填ガス混合物中に含有されるO2及びアクロレインのモル比O2:アクロレインは、本発明により有利に、通例≧0.5及び≦2、しばしば≧1及び≦1.5である。
第二酸化段階の装填ガス混合物のCO2‐含量は、1〜40、又は2〜30、又は4〜20、又はしばしば6〜18容量%であってよい。
第一反応段階(プロピレン→アクロレイン)におけるように、第二反応段階(アクロレイン→アクリル酸)でも、反応圧力は、通例1〜3バールであり、反応ガス(出発)混合物での触媒固床の全空間負荷は、有利に1500〜4000又は6000Nl/l・h以上である。アクロレイン負荷(触媒固床のアクロレイン負荷)は、典型的に90〜190Nl/l・h、又は〜290Nl/l・h以上である。135Nl/l・h以上、又は≧140Nl/l・h、又は≧150Nl/l・h、又は≧160Nl/l・hのアクロレイン負荷が特に有利であり、それというのも、本発明により使用すべき反応ガス出発混合物は、プロパン及び分子水素の存在により、同様に有利なホットスポット特性を条件付けるからである。
第二酸化段階の触媒固床を通る反応ガス混合物の1回の通過に対するアクロレイン変換率は、有利に通例≧90モル%であり、それに伴うアクリル酸生成の選択率は≧90モル%である。
単一帯域‐多接触管‐固床反応器に、装填ガス混合物を同様に上から流通させることが有利である。熱交換剤として、第二段階でも、有利な方法で、有利に硝酸カリウム(KNO3)60質量%及び亜硝酸ナトリウム(NaNO2)40質量%を含む又は硝酸カリウム(KNO3)53質量%、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)40質量%及び硝酸ナトリウム(NaNO3)7質量%を含む塩溶融物が使用される。前記のように、反応器上から見て、塩溶融物及び反応ガス混合物を並流でも向流でも導くことができる。塩溶融物自体を、接触管の廻りを蛇行流通させることが有利である。
接触管に上から下へ流通させる場合には、接触管に下から上へ、次のように装填させることが有利である:
先ず、接触管長の50〜80又は〜70%の長さに、触媒だけ又は触媒及び不活性物質を含む混合物(この際、後者は、混合物に対して、30(又は20)質量%までの質量割合である)(区分C);
それに続いて、全管長の20〜40%の長さに、触媒だけ又は又は触媒及び不活性物質を含む混合物(この際、後者は、混合物に対して、50又は40質量%までの質量割合である)(区分B);及び
最終的に、全管長の5〜20%の長さに、それができるだけ少ない圧力損失を条件付けるように有利に選択される不活性物質を含む盛込床(区分A)。
区分Cは非希釈であることが有利である。アクロレインからアクリル酸への不均一触媒化気相部分酸化(殊に、触媒床の高いアクロレイン負荷及び装填ガス混合物の高い水蒸気含量で)で極めて一般的であるように、区分Bは、2回の連続する触媒希釈を含むこともできる(ホットポイント温度及びホットポイント温度感受性の最小化のために)。先ず下から上へ、不活性物質30(又は20)質量%まで、及びそれに続いて不活性物質>20質量%〜50又は〜40質量%。その場合には、区分Cは非希釈であることが有利である。
下から上への接触管の流通のために、接触管装填は有利な方法で逆転される。
前記の装填変法は、殊に、触媒として、DE‐A10046928の製造例5による又はDE‐A19815281によるそれ、及び不活性物質として、形状7mmx7mmx4mm又は7mmx7mmx3mm(各々外径x高さx内径)を有するステアタイト製の環状物を使用する場合に有利である。塩浴温度については、DE‐A4431949での言明が当てはまる。これは、通例、1回の通過で達成されるアクロレイン変換率が、通例≧90モル%、又は≧95モル%又は≧99モル%であるように選択される。
アクロレインからアクリル酸への部分酸化の実施は、前記の触媒を用いて、しかし、例えば、DE‐A19910508に記載されているように、2帯域‐多接触管‐固床反応器中でも実施することができる。アクロレイン変換率に関しては、前記の言明が当てはまる。2帯域‐多接触管‐固床反応器中のアクリル酸への2段階式プロピレン部分酸化の第二反応段階として前記のアクロレイン部分酸化の実施の場合にも、装填ガス混合物(反応ガス出発混合物)の生成のために、有利に直接、生成ガス混合物を、第一段階(プロピレン→アクロレイン)に向けられた部分酸化(場合により、その間接的又は直接的(例えば、二次酸素の供給によって)中間冷却を行った後に)に使用する(既にそれは前記されたように)。アクロレイン部分酸化に必要な酸素は、有利に純粋な分子酸素として(しかし場合により、空気又は分子酸素及び不活性ガスを含み、不活性ガス成分、有利に≦50容量%、特に有利に≦40容量%、又は≦30容量%、又は≦20容量%、なお良好に≦10容量%、又は≦5容量%、又は≦2容量%を有する混合物としても)添加され、例えば、2段階式部分酸化の第一段階(プロピレン→アクロレイン)の生成ガス混合物に直接添加される。しかし、前記のように、第一反応段階の反応ガス出発混合物中に既に含有されていてもよい。
部分酸化の第二段階の装填のための部分酸化の第一段階の生成ガス混合物の直接的な更なる使用でのプロピレンからアクリル酸への2段階式部分酸化において、通例、2つの単一帯域‐多接触管‐固床反応器(触媒床の高い反応体負荷において、極めて一般的に有利であるように、束管反応器上から見て、反応ガス及び塩浴(熱担体)の間の並流法が有利である)又は2つの2帯域‐多接触管‐固床反応器を直列に接続させる。混合させた直列接続(単一帯域/2帯域又は逆にして)も可能である。
反応器の間に、フィルター機能を発揮し得る不活性盛込床を場合により含有し得る中間冷却機が存在してよい。プロピレンからアクリル酸への2段階式部分酸化の第一段階のための多接触管反応器の塩浴温度は、通例、300〜400℃である。プロピレンからアクリル酸への部分酸化の第二段階、アクロレインからアクリル酸への部分酸化のための多接触管反応器の塩浴温度は、大抵200〜350℃である。更に、熱交換剤(有利に、塩溶融物)は、通例、その進入‐及びその排出温度の差が、通例≦5℃であるような量で、関連の多接触管固床反応器を流通される。しかし、前記のように、プロピレンからアクリル酸への部分酸化の2つの段階は、DE‐A10121592に記載されたように、1つの反応器中で1回の装填で実施することもできる。
この際、第一段階("プロピレン→アクロレイン")の反応ガスB‐出発混合物の一部は、分離帯域Iから由来する残余ガスI及び/又は本発明により後処理される残余ガスIであってよいことも前記されている。
しかし、前記の残余ガスIは、排他的に循環ガスIとして、反応帯域A中の不均一触媒化プロパン脱水素化に、及びこれは、有利に、排他的に反応ガスA‐出発混合物の成分として還流されることが有利である。完全にするために、ここで、第一酸化段階の装填ガス混合物にも、第二酸化段階の装填ガス混合物にも、又はその2つの1方だけにも、付加的に新鮮プロパンを供給し得ることが強調される。しかし、本発明により有利ではないが、これは装填ガス混合物の可燃性を排除するために、場合により好都合である。
触媒装填が第一反応段階の終了と共に個々の接触管に沿って相応に変化する束管反応器(このような、いわゆる"シングルリアクター(Single-Reactor)"での2段階式プロピレン部分酸化は、例えば、EP‐A911313、EP‐A979813、EP‐A990636及びDE‐A2830765が示す)は、プロピレンからアクリル酸への部分酸化の2段階のための2酸化段階の最も簡単な実現態様を形成する。この際、接触管への触媒の装填は、不活性物質盛込床によって、場合により遮断される。
しかし、2つの酸化段階は、2つの連続して接続される束管系の形で実現される。これらは1つの反応器中に存在していて、この際、1つの束管から他の束管への移動は、接触管中に収容されない(有利に、通行可能な)不活性物質を含む盛込床によって行われる。接触管は回りを、通例、熱媒体によって洗浄されるが、これは前記のように収容された不活性物質盛込床には達しない。従って、2つの接触束管は、有利に、空間的に互いに別々の反応器に収容される。この際、第一酸化帯域から出る生成ガス混合物中で場合により起きるアクロレイン後燃焼を少なくするために、通例、2つの束管反応器の間に、中間冷却機が存在する。第一反応段階(プロピレン→アクロレイン)での反応温度は、通例300〜450℃、有利に320〜390℃である。第二反応段階(アクロレイン→アクリル酸)での反応温度は、通例200〜370℃、しばしば220〜330℃である。2つの酸化帯域での反応圧は、有利に0.5〜5、有利に1〜3バールである。2つの反応段階で、反応ガスでの酸化触媒の負荷(Nl/l・h)は、しばしば1500〜2500Nl/l・h又は〜4000Nl/l・hである。この際、プロピレン又はアクロレインでの負荷は、100〜200又は300Nl/l・h以上である。
本発明による方法での2つの酸化段階は、原則的に、例えば、DE‐A19837517、DE‐A19910506、DE‐A19910508及びDE‐A19837519に記載されているように行われ得る。
この際、2つの反応段階で、反応化学量論的に必要な量に比較して過剰量の分子酸素が、各気相部分酸化の速度及び触媒持続時間に有効である。
しかし、本発明により実施すべき、プロピレンからアクリル酸への不均一触媒化気相‐部分酸化は、原則的に、1つの単一帯域束管反応器中で次のように実現可能である。2つの反応段階は、1種以上の触媒で装填されている1つの酸化反応器中で行われ、その活性物質は、2つの反応段階の変換を触媒することができる、元素Mo、Fe及びBiを含有する多金属酸化物である。当然、この触媒装填は、反応座標に沿って連続的に又は中断的に変化してもよい。当然、2つの連続して接続される酸化段階の構造の、本発明によるプロピレンからアクリル酸への2段階式部分酸化の実施態様で、第一酸化段階を出る生成ガス混合物中に含有される、第一酸化段階で副生成物として生成される酸化炭素及び水蒸気を、必要な場合には、第二酸化段階へ更に導入させる前に、それから部分的又は完全に分離することができる。本発明により、そのように分離を意図しない方法を選択することが有利である。
2つの酸化段階の間で実施される酸素中間供給の給源として、前記のように、空気(これは本発明によりあまり有利ではない)の他に、純粋分子酸素も、不活性ガス、例えば、CO2、CO、希ガス、N2及び/又は飽和炭化水素で希釈された分子酸素もこれに該当する。本発明により有利に、酸素給源は、分子酸素と異なるガス≦50容量%、有利に≦40容量%、特に有利に≦30容量%、極めて特に有利に≦20容量%、より良好に≦10容量%又は≦5容量%、又は≦2容量%を含有する。
本発明による方法の範囲において、第一部分酸化段階の生成ガス混合物への、例えば、冷酸素給源の供給によって、2つの部分酸化段階の反応ガス出発混合物成分として更に使用する前に、直接その冷却を有効にすることができる。
本発明により有利に、アクロレインからアクリル酸への部分酸化は、EP‐A1159246、及び極めて特に有利にWO04/085365及びWO04/085370に記載されたように行われる。しかしこの際、本発明により有利に、アクロレイン含有の反応ガス出発混合物として、本発明によるプロピレンからアクロレインへの第一段階部分酸化の生成ガス混合物である反応ガス出発混合物を使用し、これは、生成する反応ガス出発混合物中の分子酸素対アクロレインの比率が、各場合に、0.5〜1.5であるような量の二次空気で場合により補充されている。EP‐A1159246、WO04/08536及びWO04/085370明細書は、本明細書の構成要素として考慮される。
即ち、本発明によるアクロレインからアクリル酸への部分酸化は、少なくとも2つの温度帯域を有する、有利に高められたアクロレイン負荷を有する触媒固床で実施され得る。
全体的に、プロピレンからアクリル酸への2段階式部分酸化を、有利に、EP‐A1159248又はWO04/085367又はWO04/085369に記載されたように実施する。
本発明により実施すべき部分酸化(第一及び/又は第二酸化段階による)を出る生成ガスBは、実際に、目的生成物としてのアクロレイン、又はアクリル酸、又はその混合物、未反応のプロパン、分子水素、(副生成物として生成した及び/又は希釈ガスとして併用される)水蒸気、場合により未反応の分子酸素(これは、使用触媒の持続時間を考慮して、2つの部分酸化段階の生成ガス混合物中の酸素含量が、例えば、なお少なくとも1.5〜4容量%である場合に、通例有利である)、及び他の(標準圧、即ち、1バールで)水よりも低く及び高く沸騰する副生成物又は‐成分(例えば、CO、CO2、低級アルデヒド、低級アルカンカルボン酸(例えば、酢酸、蟻酸及びプロピオン酸)、無水マレイン酸、ベンズアルデヒド、芳香族カルボン酸及び芳香族無水カルボン酸(例えば、無水フタル酸及び安息香酸)、場合により他の炭化水素、例えば、C4‐炭化水素(例えば、ブテン‐1及び場合により他のブテン)及び場合により他の不活性希釈ガス、例えば、N2)を含有する。
生成ガスB中に含有される目的生成物、水及び水よりも高く沸騰する副成分の分離法として、第一分離帯域Iにおける本発明による方法について、原則的に公知技術水準でこれに関する公知の全方法がこれに該当する。それらの方法は、実際に、目的生成物を、例えば、吸収及び/又は凝縮法により、ガス状から凝縮相に移し、引き続き、凝縮物又は吸収物を更なる目的生成物分離のために、抽出、蒸留、結晶化及び/又は脱着法により処理することを特徴とする。目的生成物と一緒に及び/又は目的生成物の凝縮相への移行に続いて、この方法では、通例、反応ガスB中に含有される水蒸気及び水よりも高く沸騰する副成分も凝縮相に移行させ、そうして分離させる(本発明により有利に、反応帯域B中で生成される(又は特に有利に生成ガスB中に全て含有される)水蒸気量の少なくとも70モル%、有利に少なくとも80モル%、より良好に少なくとも90モル%及び特に有利に95モル%である水蒸気量は凝縮相に移行される)。
この際、吸収剤として、例えば、水、水溶液及び/又は有機溶剤(例えば、ジフェニル及びジフェニルエーテルを含む又はジフェニル、ジフェニルエーテル及びo‐ジメチルフタレートを含む混合物)がこれに該当する。目的生成物、水及び水よりも高く沸騰する副成分のこの"凝縮"(分離)の範囲で、通例、生成ガスBの比較的凝縮し難い(水よりも低く沸騰する)成分を包含する、凝縮相に移行しない残余ガスが残留する。これらは、通例、特にその沸点が標準圧(1バール)で≦−30℃である成分である(残余ガスでのその全割合は、通例≧60容量%、しばしば≧70容量%、度々≧80容量%、しかし大抵≦90容量%である)。それには先ず、未反応のプロパン、分子水素、二酸化炭素、場合により未反応のプロピレン、場合により未反応の分子酸素及び水よりも低く沸騰する他の副成分、例えば、CO、エタン、メタン、場合によりN2、場合により希ガス(例えば、He、Ne、Ar等)が属する。残余ガスは、狭い範囲で、アクリル酸、アクロレイン及び/又はH2Oもなお含有し得る。残余ガスは、本発明により有利に、水蒸気≦10容量%、有利に≦5容量%及び特に有利に≦3容量%を含有する。この前記の残余ガスは、(そこに含有されるプロパン量に対して)第一分離帯域I中で生成される残余ガスの通例少なくとも主量(通例少なくとも80%又は少なくとも90%、又は少なくとも95%以上)を生成し、かつ本明細書で(主)残余ガスとして特徴付けられる。
特に、目的生成物の凝縮が有機溶剤による吸収によって行われる場合には、分離帯域I中に、通例、未反応プロパン及び場合により未反応のプロピレンを含有する少なくとも1種の第二の残余ガスが生じる(その中に含まれるプロパンに対するその量は、(主)残余ガスIの量に比較して、通例、実際により少ない(通例≦20%、大抵≦10%、又は≦5%、又は≦1%))。これは、生成する凝縮相が、一定の範囲で、未反応プロパン及び場合により未反応プロピレンも収容することに起因すべきである。
凝縮相からの目的生成物の抽出、蒸留、結晶化及び/又は脱着分離の更なる経過で、この未反応プロパン及び場合によりプロピレンは、通例、少なくとももう1種の気相の成分として回収され、本明細書において(副)残余ガスIとして特徴付けられる。
この場合には、(主)残余ガスI及び(副)残余ガスIを含む合計は、残余ガスIの全量である。(副)残余ガスIが分離帯域I中で生成しない場合には、(主)残余ガスIは自動的に残余ガスIの全量である((全)残余ガスIとも称する)。
本発明により有利に、目的生成物の生成ガスBから凝縮相への移行は、分別凝縮によって行われる。これは、殊に、目的生成物がアクリル酸である場合である。しかし原則的に、目的生成物分離のために、例えば、DE‐A10213998、DE‐A2263496、US3433840(前記の明細書に記載された方法は、殊にアクロレイン分離に推奨される)、EP‐A1388533、EP‐A1388532、DE‐A10235847、EP‐A792867、WO98/01415、EP‐A1015411、EP‐A1015410、WO99/50219、WO00/53560、WO02/09839、DE‐A10235847、WO03/041833、DE‐A10223058、DE‐A10243625、DE‐A10336386、EP‐A854129、US‐A4317926、DE‐A19837520、DE−A19606877、DE‐A190501325、DE‐A10247240、DE‐A19740253、EP‐A695736、EP‐A982287、EP‐A1041062、EP‐A117146、DE‐A4308087、DE‐A4335172、DE‐A4436243、DE‐A19924532、DE‐A10332758及びDE‐A19924533明細書に記載された全ての吸収法及び/又は"目的生成物凝縮"及び"凝縮物"の更なる処理のための凝縮法が好適である。アクリル酸分離は、EP‐A982287、EP‐A982289、DE‐A10336386、DE‐A10115277、DE‐A19606877、DE‐A19740252、DE‐A19627847、EP‐A920408、EP‐A1068174、EP‐A1066239、EP‐A1066240、WO00/53560、WO00/53561、DE‐A10053086及びEP‐A982288と同様に行われ得る。有利に、WO/0196271の図7又はDE‐A102004032129及びその同等の特許権に記載されたように分離される。有利な分離法は、WO04/063138、WO04/35514、DE‐A10243625及びDE‐A10235847明細書に記載された方法でもある。この際に得られる粗アクリル酸の更なる処理は、例えば、WO01/77056、WO03/041832、WO02/055469、WO03/078378及びWO03/041833明細書に記載されたように行われ得る。
前記分離法の共通の特徴は(前記のように)、例えば、その下部に生成ガスBが、通例、その前以ての直接及び/又は間接冷却後に、例えば、供給される、各々分離作用を有する設備を含む分離カラムの頭部で、残余ガスIの流れが、通例、残留することであり、これは、その沸点が標準圧(1バール)で水のそれよりも低く、大抵≦−30℃である(即ち、凝縮し難い又は容易に揮発性でもある成分)生成ガスBのその成分を主に含有する。しかし、残余ガスIは、例えば、更に成分、例えば、水蒸気及びアクリル酸も含有し得る。
分離カラムの下部で、通例、主に、各目的生成物を含む生成ガスBの難揮発性成分が凝縮相で生成する。凝縮水相を、通例、側口を経て及び/又は塔底部を経て排出させる。
典型的には、(主)残余ガスIは次の含有物を有する:
H2O 1〜20容量%
プロパン 40〜90容量%
O2 0〜10容量%
CO2 5〜30容量%及び
CO >0〜2容量%。
アクロレイン及びアクリル酸の含量は、通例、各々<1容量%である。
ところで、本発明により、分離帯域I中に生じる残余ガスIを一定の後処理法で処理することが必要である。この際、本発明により、各後処理法は残余ガスIの全量で必ずしも実施すべきものではないことが本質である。即ち、後処理法を残余ガスIの全量の一部分量でだけ(例えば、(主)残余ガスIでだけ)実施することが本発明により有利である。この場合には、残余ガスIの全量の未処理部分量から、及び残余ガスI全量の他の部分量での後処理法の実施後に残留する、プロパン含有の残余ガスからの合計は、相応する方法で更なる本発明による後処理で処理され得る、後処理残余ガスI("新"残余ガスI)の全量を成す(前記の部分量は、異なった化学的組成を有することもできる)。各々の場合に必要であると見なされた全後処理法の実施後に残留する、未反応のプロパンを含有する(後処理)残余ガスIの全量のうちで、本発明により少なくとも一部分量が、少なくとも2流のプロパン含有供給流の少なくとも1流として反応帯域A中に還流される。他の部分量(場合により、残余ガスIの未後処理部分量も)は、そこで各装填ガスの成分として反応ガスの爆発性を有利に調整するために、場合により、反応帯域Bの第一及び/又は第二酸化段階に還流される。
しかし、本発明により反応帯域Aへの少なくとも2流のプロパン含有供給流の少なくとも1流としての本発明により後処理した残余ガスIの還流量は、本発明により有利に、それが生成ガスBと共に反応帯域Bから流出されるプロパン少なくとも80モル%、有利に少なくとも85モル%、より良好に少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%、又は少なくとも94モル%、又は少なくとも96モル%、又は少なくとも98モル%を含有するように配分されている。この際、この還流は、必ずしも反応帯域Aの1ヶ所及び同一ヶ所で行われる必要はない。むしろ、これは、反応帯域A上で多数の様々に分配される供給箇所に渡って行われ得る。
再び前記の範囲で、残余ガスIに実施される後処理法の順序は本発明により任意であることは、本発明により本質的である。即ち、先ず残余ガスIの一部分量を排出させ、かつ引き続き残量にCO2‐洗出をする代わりに、例えば、先ずCO2‐洗出を行い、そうして洗出された残余ガスIから一部分量を排出させることもできる。
しかし、本発明による有利な方法で、後処理法の次の順番が守られる(それは、殊に、(主)残余ガスIの後処理に関する)。
先ず、残余ガスIの一部分量を排出させる(排出は、殊に、全工程への分子酸素の供給と共に導入される不活性成分を排出させるために必要である)。この際、この排出量(通例、残余ガスIの排出量は排ガス燃焼に供給される)は、残余ガスI自体と同じ組成を有する。これは、通例、単位時間当たりの排出残余ガスI中に含有されるプロパン量が、工程中に単位時間当たりに供給される新鮮プロパン量に対して、≦30モル%、より良好に≦25モル%又は≦20モル%、又は≦15モル%、有利に≦10モル%、特に有利に≦5モル%及び極めて特に有利に≦3モル%又は≦1モル%である場合がその例である。
排出するプロパン量が前記の値よりも高い、又は前記の値の例である場合には、残余ガスIの排出すべき量中に含まれるプロパン及び場合によりプロピレンを、排出に先立って、排出量から分離させ、それによって、そうして分離させたプロパン及び場合によりプロピレンが本発明により後処理された残余ガスIの成分のままであるようにして、排出を実施することもできる。
前記の分離のための簡単な可能性は、例えば、相応する量の残余ガスIを、プロパン及びプロピレンが(残余ガスIの他の成分に比べて合目的で優先的に)吸収される(有利に高沸騰性の)有機溶剤(有利に、疎水性の、例えば、テトラデカン又はC8〜C20‐アルカンの混合物)と接触させる(例えば、簡単な通過導入によって)ことにある。後続の脱着(減圧下に)、蒸留及び/又は反応帯域A中で非障害性のガス(例えば、水蒸気、分子水素、分子酸素及び/又は他の不活性ガス(例えば、同様に空気))でのストリッピングによって、プロパン及び(場合により)プロピレンを回収し、かつ後処理残余ガスIに加える。個々には、例えば、DE‐A102004032129に記載された類似の、生成ガスAからのプロパンの吸収分離を行うことができる。本発明によりあまり有利ではない前記の分離を、本発明による方法で行う場合には、それは常に残余ガスIの一部分量にだけ、及び従って生成ガスB中に含有されるプロパンの一部分量にだけ関係する。前記のプロパン部分量は、本発明により有利に、≦50モル%、特に有利に≦40モル%、特に有利に≦30モル%、特に有利に≦20モル%、極めて特に有利に≦10モル%及び最良で≦5モル%である。
残余ガスIの一部分量を排出させた後に、残余ガスIの少なくとも一部分量から(第二分離帯域II中で)その中に含まれるCO2を洗出する。残余ガスIがCO及びO2も含有する場合には、(分子酸素の同時の化学的還元下に)先ず残余ガスI中に含有されるCOを、例えば、相応する触媒上への導入によって選択的にCO2に酸化させることができる(必要な場合には、残余ガスIにそれに関して必要とされる分子酸素を前以て供給させることもできる)。これは、WO01/60738で推奨された触媒(化学量論式 CuxCe1−xO2−y x=0.01〜0.3及びy≧x の錯酸化物)を用いて、分子水素が存在しても可能である。しかし、そのようなCO‐転換は、本発明により有利ではない。これは、循環ガスI中に残留するCOが、反応帯域A及び/又はB中の後続の環状回路内で、いずれにせよ少なくとも部分的にCO2に酸化され、従って、前記のCO2‐洗出で自然排出を有することによって条件付けられる。しかし、CO‐転換と共に、同時に、残余ガスI中に含まれるO2の、残余ガスI中に含まれるH2での還元も随伴し得る。この還元は単独でも行われ得る。
通例、本発明により、残余ガスIの一部分量からその中に含まれるCO2だけを洗出させることが十分である。有利に、CO2‐洗出は、高められた圧力で(典型的に3〜5バール、より良好に5〜30、有利に8〜20、特に有利に10〜20又は〜15バール)及び本発明により有利に塩基性(ブレンステッドの意における)液体によって行われる。
そのような塩基性液体として、例えば、有機アミン、例えば、モノエタノールアミン、有機アミンの、例えば、モノエタノールアミンの水溶液、アルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ金属炭酸化物水溶液又はアルカリ金属炭酸化物及びアルカリ金属水素炭酸塩の水溶液がこれに該当する(例えば、WO05/05347参照)。本発明により有利に、K2CO3を含む水溶液をCO2‐洗出に使用する。そのような水溶液として、例えば、K2CO3の水溶液、又はK2CO3及びKHCO3の水溶液又はK2CO3、KHCO3及びKOHの水溶液がこれに該当する。そのような炭酸カリウム水溶液は、有利に固体含量10〜30又は40質量%、特に有利に20〜25質量%を有する。残余ガスI中に少量で場合により含まれるカルボン酸(例えば、酢酸、蟻酸、アクリル酸)を中和するために、アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH)の少量の供給によって、アルカリ金属炭酸塩水溶液を、洗出の前に、付加的にアルカリ性に調整することができる。好適な洗浄水溶液は、KHCO3及びK2CO3を質量比約1:2で溶解して含有するものでもあり、この際、固体含量は、有利に20〜25質量%である。CO2及び水の収容下に、洗浄の範囲で、K2CO31モル単位は、KHCO32モル単位に変換する(K2CO3+H2O+CO2→2KHCO3)。
CO2‐洗出を塩基性液体で実施する代わりに、CO2‐洗出を、例えば、EP‐A900121の論説によりCO2‐クラスレート形成下に実施することもできる。
CO2‐洗出は、適用技術的に有利に、洗浄カラム中で、向流で行われる。洗浄すべき残余ガスIは、洗浄カラム中で、通例、下から上へ、及び洗浄液は上から下へ流通する。自体公知の方法で、洗浄カラムは、交換面を拡大した内部構造を有する。これは、充填体、物質交換床(例えば、篩床)及び/又はパッケージであってよい。
洗浄カラムの塔頂部で、洗浄された残余ガスIを排出させ、洗浄カラムの塔底部から、例えば、有利に、主に炭酸水素カリウムを含む水溶液(又はCO2‐クラスレート水溶液)を取り出す。例えば、塔底部溶液は、KHCO3及びK2CO3を質量比2.5:1で溶解して含有し得る。
熱水蒸気を炭酸水素カリウム水溶液中に導入させることによって、水素炭酸塩は熱的に(炭酸塩及びCO2、H2Oに)解離され、この際遊離されるCO2は放逐される。そうして回収された炭酸カリウム水溶液は、通例、解離の範囲で凝縮される水蒸気の蒸発後に、前記のように実施すべきCO2‐洗出に還流され得る。凝縮水蒸気の蒸発は、カラムに内蔵される蒸発機を通って連続的に操作され得る。前記の解離は、有利に同様に交換面拡大の内部構造を含むカラム(例えば、(篩)床カラム、パッケージカラム及び/又は充填体カラム)中で実施される。ここで、向流操作も有利である。熱水蒸気を有利にカラムの下方部分に供給し、炭酸カリウム水溶液を有利にカラム塔頂部に装入させる。
CO2‐洗出は有利に低温で実施されるが、水素炭酸塩解離は有利に高められた温度で実施される。前記のCO2‐洗出、洗浄溶液の解離及び洗浄液の再使用の関連で、解離は有利に130〜160℃、有利に140〜150℃の温度を有する水蒸気によって行われる。解離すべき溶液を、有利に80〜120℃、特に有利に90〜110℃の温度で装入させる。逆に、残余ガスIを、本発明により有利に60〜90℃、特に有利に70〜80℃の温度で洗浄カラムに導入させ、洗浄液を70〜90℃、有利に75〜85℃の温度で装入させる。
殊に、残余ガスIの一部分量だけをCO2‐洗浄する場合には、CO2‐洗出に有利な圧力への残余ガスIの圧縮を数段階で実施することが有利である(例えば、多段階式ラジアル圧縮機により;各圧縮段階の後で圧縮ガスを排出させることができる)。
典型的に、残余ガスIは、分離帯域Iを本発明による方法で、≧1バール及び≦2,5バール、有利に≦2.0バールの圧力で排出する。反応帯域A中の不均一触媒化脱水素化は、有利に≧2〜≦4バール、有利に≧2.5〜≦3.5バールの圧力で行われる。反応帯域Bは、本発明により有利に≧1バール及び≦3バール、有利に≧1.5及び≦2.5バールの圧力で操作される。CO2‐洗出の有利な操作圧は、3〜50バール、又は5〜30バール、又は8〜20バール、有利に10〜20又は〜15バールである。
ところで、適用技術的に有利に、第一圧縮段階で、多段階式の、例えば、ターボ圧縮機(ラジアル圧縮機;例えば、マネスマン社(Fa. Mannesmann DEMAG, DE)のTyp MH4Bの)(この際、循環ガスI圧縮機とも称する)を用いて、反応帯域A中の操作圧への残余ガスIの圧縮を実施する(例えば、1.2から3.2バールへ)。残余ガスIの全量がCO2‐洗出を受けない場合には、前記のように圧縮させた残余ガスIを、有利に、同一組成の2つの部分量に分ける。この際、量割合は、例えば、全量の70〜30%になる。CO2‐洗出を受けるべきでない部分量は、直接、反応帯域A中への還流に準備されている。他方の部分量だけがCO2‐洗出のために注視された操作圧へ更に圧縮される。これはもう1つの圧縮段階だけで行われ得る。しかしそのために、本発明により有利に、少なくとも2つの更なる圧縮段階を適用する。これは、ガスの圧縮と同時に、その温度が上昇することに帰せられる。逆に、反応帯域A中への還流に好適な操作圧へのCO2‐洗出残余ガスIの放圧(膨張)と共に、CO2‐洗出残余ガスIの冷却が起きる。放圧を同様に多段階で実施する場合には、各々次の段階前に、間接的な熱交換を、加熱された圧縮未洗浄残余ガスIと冷却され膨張したCO2‐洗出残余ガスIとの間で行うことができる。そのような熱交換を、最初の膨張の前に既に適用することもできる。間接的熱交換の結果として、残余ガスI中で、その中に場合によりなお含有される水蒸気の凝縮が起き得る。前記の膨張は、適用技術的に有利に(有利に同様に多段階で)膨張タービンで実施される(これは圧縮エネルギーの回収に用いられる)。各圧縮‐又は膨張段階で、進入‐及び排出圧の間の差は、例えば、2〜10バールであってよい。
通例、分離帯域II中で残余ガスI中に含まれるCO2の少なくとも50モル%、大抵少なくとも60モル%、又は少なくとも80モル%、及びしばしば少なくとも90モル%又は90モル%以上が洗出される。
洗出されるCO2‐量は、有利に、反応帯域A及びB中で生成される全量のCO2の洗出量に相応する。
通例、CO2‐洗出残余ガスは、なおCO21〜20、しばしばなお5〜10容量%を含有する。
CO2‐洗出残余ガスIが放圧される前に、その中に含まれる分子水素の少なくとも一部分量を反応帯域A中への残余ガスIの還流前に分離させるために、更に第三の分離帯域III中で膜分離を受けさせることができる(殊に、反応帯域A中で比較的少ない水素量だけが燃焼される場合に、この手段を用いる)。これに関する好適な分離膜は、例えば、芳香族ポリイミド膜、例えば、ウベインダストリーズ社(UBE Industries Ltd.)のそれである。後者のうちで、殊に、膜型A、B‐H、C及びDがこれに該当する。そのような分離のために、ウベインダストリーズ社のB‐H型ポリイミド膜の使用が特に有利である。この膜について、H2の水素透過度は、60℃で0.7・10−3[STP・cc/cm2・sec・cmHg]である。この目的のために、CO2‐洗出残余ガスIは、通例、管状(しかし、プレート状‐又は巻物状モジュールもこれに該当する)に成形され、分子水素についてだけ透過性である膜を経て導入される。そうして分離された分子水素は、他の化学的合成の範囲で更に使用され、又は、例えば、本発明による方法の範囲で排出する残余ガスIと一緒に燃焼に供給され得る。この燃焼に、遊離CO2(これは簡単に大気に放出されることもできる)及び分離帯域I及びIIで生成された水性凝縮物も含まれる。
更に、前記の燃焼に、分離帯域I中で分離された高沸騰体を供給することができる。燃焼は、通例、空気供給下に行われる。燃焼の実施は、例えば、EP‐A925272に記載されたように行うことができる。
分子水素の膜分離は、高圧(例えば、5〜50バール、典型的に10〜15バール)下でも同様に有利に実施される。
従って、一度高められた圧力水準を有利に二度利用するために、残余ガスIのCO2‐洗出の直前に又はCO2‐洗出の直後に(有利に)それを実施することが本発明により有利である。
プレート状膜、巻物状膜又は毛細管状膜のほかに、水素分離のために、特にホース状膜(中空繊維膜)がこれに該当する。その内径は、例えば、少数のμm〜少数のmmであってよい。そのために、束管反応器の管と同様に、例えば、そのようなホース状膜の1束を2つのホース末端で各々1つのプレートに注ぎ込む。ホース状膜の外部は、有利に減圧が支配する(<1バール)。高められた圧力(>1バール)下にある残余ガスIを、2つのプレート末端の1つに対向して導入させ、かつホース内部を通って向い合っているプレート末端にあるホース出口に圧送させる。そのようにホース内部で所定の流路に沿って、H2‐透過性膜を経て、分子水素を外部に放出する。
その他の点では、前記のように後処理された残余ガスI(後処理された部分量及び場合により未後処理の部分量を含む合計)を、要求に適正に、ガス状プロパンを含む少なくとも2つの供給流の1流として反応帯域A中に還流させることができる。本発明により有利に、本発明により後処理された残余ガスIの全量を、反応ガスA‐出発混合物(反応帯域Aの装填ガス混合物)に供給する。
最高に設定された操作圧水準が、残余ガスIのCO2−洗出の方法段階で存在する本発明による方法が、本発明により有利である。これは、前記のように、残余ガスIの生成と残余ガスIのCO2‐洗出との間で位置することができる1つだけの圧縮機(有利に多段階式ラジアル圧縮機)の併用下での本発明による方法の実施を可能にする。殊に、反応帯域Aと反応帯域Bとの間で、本発明による方法の際に、前記のように、必然的ではないが、もう1つの圧縮機の併用を必要とする。しかし当然、そのようなもう1つの圧縮機を本発明による方法に内蔵させることができる。
本発明による方法のもう1つの利点は、できるだけ小さい循環流の実現を可能にすることにある。更に、反応帯域Aに供給される反応ガスA‐出発混合物が、この出発混合物中に含まれる炭化水素を、同時にこの混合物中に含まれる分子酸素との燃焼の前に保護する分子水素を自然に含有する可能性を明らかにする。変換される新鮮プロパンに関連して、これから比較的高い目的生成物選択度が生じる。最後にもう1度、本発明による方法の基礎は、本発明による方法の経過中に生成される又はその中に導入される非不活性副成分が、その排出口を、本発明による方法の分離帯域I及びIIで生成される凝縮体中に自然に有することにあるということが強調される。
反応帯域Aに還流される循環ガスIは、典型的に、次のものを有する:
プロパン 50〜90容量%、
CO >0〜5、大抵〜≦2又は≦1容量%、
H2 1〜20容量%、
CO2 1〜20容量%、
H2O 1〜20容量%、
O2 0〜10、しばしば〜5容量%及び
プロピレン 0(しばしば≧0.1〜)〜5容量%。
最後に更に、分離帯域I中でも分離帯域II中でも、凝縮相が現われる場合には常に、重合抑制剤が供給されることが強調される。そのようなものとして、原則的に全ての公知の方法抑制剤がこれに該当する。例えば、フェノチアジン及びヒドロキノンのメチルエーテルが本発明により特に好適である。分子酸素の存在によって、重合抑制剤の有効性は高められる。本発明による方法によって生成されたアクロレインは、US‐A6166263及びUS‐A6187963明細書に挙げられたアクロレイン反応生成物に変換され得る。例証的に、アクロレイン反応生成物は、1,3‐プロパンジオール、メチオニン、グルタルアルデヒド及び3‐ピコリンである。
例及び比較例
I.分子水素が不在及び存在する、プロピレンからアクリル酸への不均一触媒化2段階式部分酸化の長時間操作
A)反応装置の一般的試験構造
第一酸化段階の反応器
反応器は、精鋼製の二重壁筒状物から成った(筒状の外側容器によって囲まれた筒状誘導管)。壁厚は全体に2〜5mmであった。
外側筒状物の内径は、91mmであった。誘導管の内径は約60mmであった。
二重壁筒状物は上及び下で蓋又は床で密閉されていた。
接触管(全長400cm、内径26mm、外径30mm、壁厚2mm、精鋼)は、筒状容器の誘導管中で、その上部又は下部で(密閉された)蓋又は床を通って各々まっすぐに突出したように据え付けられていた。熱交換剤(硝酸カリウム53質量%、亜硝酸ナトリウム40質量%及び硝酸ナトリウム7質量%を含む塩溶融物)は、筒状容器中で密閉されていた。筒状容器中に存在する接触管全長(400cm)に渡って、接触管外壁のできるだけ均一な熱的限界条件を保証するために、熱交換剤をプロペラ付きポンプでポンプ循環させた。
外側ジャケット上に据え付けた電気ヒーターによって、熱交換剤の温度を所望の水準に調整することができた。他の点では、空気冷却であった。
反応器装填:第一段階反応器上から見て、第一段階反応器の塩溶融物及び装填ガス混合物を並流で導入させた。装填ガス混合物は、下部で第一段階反応器中に進入した。各々165℃の温度で反応管中に導入された。
塩溶融物は、下部で温度T進入で筒状誘導管中に進入し、上部で、T進入より2℃まで高い温度T排出で筒状誘導管から排出した。
T進入は、第一酸化段階の出口で、常に、1回の通過でプロピレン変換率97.8±0.1モル%が生じるように調整された。
接触管装填:(下から上へ)
区分A:長さ90cm、直径4〜5mmのステアタイト‐球状物を含む予備盛込床、
区分B:長さ100cm、形状5mmx3mmx2mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物30質量%及び区分Cからの完全触媒70質量%を含む均一混合物での触媒装填、
区分C:長さ200cm、DE‐A10046957の例1による環状(5mmx3mmx2mm=外径x長さx内径)完全触媒(化学量論式:[Bi2W2O9x2WO3]0.5[Mo12Co5.5Fe2.94Si1.59K0.08Ox]1)での触媒装填、
区分D:長さ10cm、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト‐環状物を含む後盛込床。
中間冷却及び酸素中間供給(二次ガスとして純粋O2)
第一固床反応器を出る生成ガス混合物を、中間冷却(間接的に空気により)のために、接続管(長さ40cm、内径26mm、外径30mm、壁厚2mm、精鋼、絶縁物質1cmで巻き付けられている)を通って導入させ、この接続管は、20cmの長さまで中心に据え付けられ、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト‐環状物を含む不活性盛込床で装填され、かつ第一段階反応器に直接フランジ付けされていた。
生成ガス混合物は、常に、温度>T進入で(第一段階)接続管に進入し、200℃以上及び270℃以下に設定された温度で排出した。
接続管の末端で、冷却された生成ガス混合物に、生成ガス混合物の圧力水準にある分子酸素を供給した。生成するガス混合物(第二酸化段階の装填ガス混合物)を、前記の接続管がその他方の末端で同様にそれにフランジ付けされている第二段階接触管中に直接供給した。供給される分子酸素の量は、生成するガス混合物中に存在するO2対生成するガス混合物中に存在するアクロレインのモル比が1.3であるように配分された。
第二酸化段階の反応器
第一酸化段階のそれと構造的に同じである接触管‐固床反応器を使用した。塩溶融物及び装填ガス混合物を、反応器上から見て並流で導入させた。塩溶融物は下部で進入し、装填ガス混合物も同様に進入した。塩溶融物の進入温度T進入は、第二酸化段階の出口で、常に、1回の通過でアクロレイン変換率99.3±0.1モル%が生じるように調節された。塩溶融物のT排出は、T進入から2℃まで高かった。
接触管装填(下から上へ)は、次のようであった:
区分A:長さ70cm、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト‐環状物を含む予備盛込床、
区分B:長さ100cm、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物30質量%及び区分Cからのシェル型触媒70質量%を含む均一混合物での触媒装填、
区分C:長さ200cm、DE‐A10046928の製造例5による環状のシェル型触媒(7mmx3mmx4mm=外径x長さx内径)(化学量論式:Mo12V3W1.2Cu2.4Ox)での触媒装填、
区分D:長さ30cm、直径4〜5mmのステアタイト‐環状物を含む後盛込床。
B)第一酸化段階の装填ガス混合物の組成に依存して達成された結果(プロペン負荷は、150Nl/l・hに調整され、アクリル酸生成の選択率(2つの反応段階について平均され、かつ変換したプロピレンに対して)は、常に≧94モル%であった)。
a)第一酸化段階の装填ガス混合物の組成は、実際に次のようであった:
プロピレン 7容量%、
O2 12容量%、
H2 20容量%、
H2O 5容量%及び
N2 56容量%。
新たに触媒を装填した反応装置の始めに、進入温度は次のようであった:
T進入(第一酸化段階):320℃
T進入(第二酸化段階):268℃
3ヶ月間の操作時間後に、進入温度は次のようであった:
T進入(第一酸化段階):330℃
T進入(第二酸化段階):285℃
b)第一酸化段階の装填ガス混合物の組成は、実際に次のようであった:
プロピレン 7容量%、
O2 12容量%、
H2O 5容量%及び
N2 76容量%。
新たに触媒を装填した反応装置の始めに、進入温度は次のようであった:
T進入(第一酸化段階):320℃
T進入(第二酸化段階):268℃
3ヶ月間の操作時間後に、進入温度は次のようであった:
T進入(第一酸化段階):324℃
T進入(第二酸化段階):276℃
II.プロパンからアクリル酸の製法(定常操作状態を記載する)
反応帯域Aは、流れ方向に連続して配置された3つの触媒固床を有する、床板反応器として実施され、断熱的に形成された竪炉反応器から成る。各触媒固床は、精鋼金網上に載せられた(流れ方向で前記の順番で配置された)、不活性物質(盛込床高:26mm;直径1.5〜2.5mmのステアタイト球状物)及び新鮮脱水素触媒及びステアタイト球状物(直径1.5〜2.5mm)を含む混合物から成る盛込床(盛込床容量比、脱水素触媒:ステアタイト球状物=1:3(選択的に、この代わりに、同量の触媒を使用する、しかし希釈しないで使用することもできる))である。
各固床の前に、静定のガス混合機が存在する。脱水素触媒はPt/Sn‐合金であり、これは、酸化物形の元素Cs、K及びLaで促進される、元素化学量論式(担体を含む質量比)Pt0.3Sn0.6La3.0Cs0.5K0.2(ZrO2)88.3(SiO2)7.1のZrO2/SiO2混合酸化物担体押出物(平均長(最高約6mmで、3mm〜12mmの範囲のガウス分布)によって外側及び内側表面上に施されている(触媒前駆体製造及び活性触媒への活性化は、DE‐A10219879の例4と同様)。
不均一触媒化部分プロパン脱水素化は、前記の床板反応器中で、直進経過で実施される。全床板の触媒全量(不活性物質を含まずに計算された)のプロパンでの負荷は、1500Nl/l・hである。
流れ方向で第一触媒床に、次のように組成する反応ガスA‐出発混合物(T=438℃、P=2.92バール)62473Nm3/hを供給する:
次の含有物を有する循環ガスI50870Nm3/h:
アクロレイン 0.01容量%、
アクリル酸 0.01容量%、
プロパン 63.49容量%、
プロピレン 0.86容量%、
H2 14.50容量%、
O2 4.72容量%、
H2O 2.05容量%、
CO 1.17容量%、
CO2 11.17容量%、
水蒸気3091Nm3/h;及び
プロパン>98容量%を含有する、粗‐プロパン8512Nm3/h。
反応ガスA‐出発混合物は、生成ガスA(T=581℃;P=2.88バール)との間接的熱交換により、80℃から438℃へ加熱される。粗‐プロパンの蒸発は、分離帯域I中に生じる水性凝縮物により行われる(酸性水(T=33℃)、間接的熱交換)。この際冷却される凝縮物は、分離帯域I中で酸性水凝縮のために更に使用され得る(例えば、直接冷却の範囲で冷却剤として)。水蒸気は、152℃の温度及び5バールで得られる。
反応ガスA‐出発混合物によって通過される第一触媒床の盛込床高は、この触媒床の反応ガスAが549℃の温度及び2.91バールの圧力で次の含有物を有して排出する状態である:
プロパン 59.0容量%、
プロピレン 5.94容量%、
H2 10.25容量%、
H2O 12.98容量%
CO2 9.97容量%及び
O2 0容量%。
第一触媒床中の最高温度は、592℃である。
排出量は63392Nm3/hである。第一触媒床の後で、反応ガスAに分子酸素(純度>99容量%)986Nm3/hを供給する。酸素は176℃に予備加熱されている。3.20バールの圧力の状態に圧縮し、従って、生成する反応ガスAの生成する圧力は、なお2.91バールである。
第二触媒床の盛込床高は、反応ガスAが第二触媒床を566℃の温度及び2.90バールの圧力で、次の含有物を有して排出する状態である:
プロパン 51.91容量%、
プロピレン 9.55容量%、
H2 10.88容量%、
H2O 15.38容量%
CO2 9.57容量%及び
O2 0容量%。
第二触媒床中の最高温度は、595℃である。
排出量は、66058Nm3/hである。この反応ガスAに、第三触媒床の前にある静定の混合機の前で分子酸素(純度>99容量%)918Nm3/hを供給する(T=176℃、3.20バールの圧力の状態に圧縮する)。生成する反応ガスIの生成圧力は更に2.90バールである。
第三触媒床の盛込床高は、反応ガスAが第三触媒床を生成ガスAとして581℃の温度及び2.88バールの圧力で、次の含有物を有して排出する状態である:
プロパン 47.19容量%、
プロピレン 12.75容量%、
H2 11.38容量%、
H2O 17.46容量%
CO2 9.21容量%及び
O2 0容量%。
第三触媒床中の最高温度は、612℃である。
排出量は、68522Nm3/hである。反応ガスA‐出発混合物での間接的熱交換により、生成ガスAは290℃の温度に冷却される。
この生成ガスAに、分子酸素(純度>99容量%)13306Nm3/hを供給する(T=176℃、3.20の圧力に圧縮する)。生成ガスB中に含まれるプロピレンのアクリル酸への2段階式部分酸化の第一部分酸化段階のための、そうして得られる装填ガス混合物(反応ガスB‐出発混合物)の生成圧力及び生成温度は、283℃及び1.75バールである。
第一酸化段階は、2つの温度帯域を有する多管反応器である。反応管は次のように形成されている:V2A鋼;外経30mm、壁厚2mm、内径26mm、長さ:350cm。反応管は、上から下へ、次のように装填されている:
区分1:長さ50cm、予備盛込床として、形状7mmx7mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物、
区分2:長さ140cm、形状5mmx3mmx2mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物20質量%(選択的に30質量%)及び区分3からの完全触媒80質量%(選択的に70質量%)を含む均一混合物での触媒装填、
区分3:長さ160cm、DE‐A10046957の例1による環状の完全触媒(5mmx3mmx2mm=外径x長さx内径)(化学量論式:[Bi2W2O9x2WO3]0.5[Mo12Co5.5Fe2.94Si1.59K0.08Ox]1)。この際、選択的に、29.08.2005付のリーサーチディスクロージャー(Research Disclosure)第497012号からの触媒BVK1〜BVK11の1つを使用することもできる(他の点では数的に正確である、実施例中に示された比表面積の単位は、数字的には正確であるが、cm2/gではなく、m2/gである)。
上から下へ、最初の175cmを、反応ガスBに向流でポンプ送りされる塩浴Aにより恒温保持する。第二の175cmを反応ガスBに向流でポンプ送りされる塩浴Bにより恒温保持する。
第二酸化段階は、同様に2つの温度帯域を有する多管反応器である。反応管は、上から下へ次のように装填されている:
区分1:長さ20cm、予備盛込床として、形状7mmx7mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物、
区分2:長さ90cm、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物25質量%(選択的に30質量%)及び区分4からのシェル型触媒75質量%(選択的に70質量%)を含む均一混合物での触媒装填、
区分3:長さ50cm、形状7mmx3mmx4mm(外径x長さx内径)のステアタイト環状物15質量%(選択的に20質量%)及び区分4からのシェル型触媒85質量%(選択的に80質量%)を含む均一混合物での触媒装填、
区分4:長さ190cm、DE‐A10046928の製造例5による環状のシェル型触媒(7mmx3mmx4mm=外径x長さx内径)(化学量論式:Mo12V3W1.2Cu2.4Ox)での触媒装填。
上から下へ、最初の175cmを、反応ガスに向流でポンプ送りされる塩浴Cにより恒温保持する。第二の175cmを反応ガスに向流でポンプ送りされる塩浴Dにより恒温保持する。
2つの酸化段階の間に、塩浴によって冷却される束管熱交換体があり、それで第一酸化段階の生成ガスを冷却することができる。第二酸化段階への入口前に、分子酸素(純度>99容量%)の供給のための弁がある。
第一酸化段階の触媒装填のプロピレン負荷は、145Nm3/hに選択される。塩溶融物(KNO353質量%、NaNO240質量%、NaNO37質量%)は、次の進入温度を有する:
TA=324℃ TB=328℃
TC=265℃ TD=269℃
第一酸化段階の生成ガス混合物に、分子酸素(176℃、3.20バール)を、第二酸化段階のための生成装填ガス混合物中のO2:アクロレインのモル比が1.25であるような量で供給する。第二酸化段階の触媒装填のアクロレイン負荷は、140Nl/l・hである。第二酸化段階の入口での圧力は、1.61バールである。反応ガスは中間冷却機を260℃の温度で排出し、第二酸化段階への装填ガス混合物の進入温度は258℃である。第一酸化段階の生成ガス混合物は、次の含有物を有する:
アクロレイン 9.02容量%、
アクリル酸 0.61容量%、
プロパン 39.5容量%、
プロピレン 0.53容量%、
H2 9.49容量%、
O2 3.90容量%、
H2O 25.75容量%及び
CO2 8.77容量%。
第一酸化段階の生成ガスの温度は、後冷却機への進入前に、335℃である。
第二酸化段階の生成ガス混合物(生成ガスB)は、270℃の温度及び1.55バールの圧力及び次の含有物を有する:
アクロレイン 0.049容量%、
アクリル酸 9.12容量%、
酢酸 0.26容量%、
プロパン 39.43容量%、
プロピレン 0.53容量%、
H2 9.52容量%、
O2 2.94容量%、
H2O 26.10容量%、
CO 0.72容量%及び
CO2 9.3容量%。
生成ガスBは、WO2004/035514に記載されているように、床カラム(分離帯域I)中で分別凝縮される。
残渣燃焼に、第一燃焼物質として、高沸騰体(ポリアクリル酸(ミカエル‐付加体)等)118kg/hが供給される。
床カラム中への生成ガスBの供給口上の第二収集床から、15℃の温度及びアクリル酸96.99質量%を有する凝縮された粗アクリル酸23577kg/hを取り出す。これをWO2004/035514に記載されたように、少量の水の供給後に懸濁結晶化させ、この懸濁結晶を水圧洗浄カラム中で母液から分離させ、母液をWO2004/035514に記載されたように凝縮カラム中に還流させる。洗浄された懸濁結晶の純度は、>99.87質量%であり、衛生学‐範囲での使用のための水"超吸収性"重合体の製造に即時好適である。
凝縮カラム中への生成ガスBの供給口上の第三収集床から取り出した、凝縮カラム中へ還流されない酸性水凝縮物量は、18145kg/hであり、33℃の温度及び次の含有物を有する:
アクロレイン 0.11容量%、
アクリル酸 1.30容量%、
酢酸 0.95容量%及び
水 95.6容量%。
凝縮カラムの塔頂部で、残余ガスI53379Nm3/hが、分離帯域Iを、33℃の温度及び1.20バールの圧力及び次の含有物を有して排出する:
アクロレイン 0.03容量%、
アクリル酸 0.02容量%、
プロパン 61.07容量%、
プロピレン 0.82容量%、
H2 14.02容量%、
O2 4.55容量%、
H2O 2.00容量%、
CO 1.13容量%及び
CO2 14.36容量%。
残余ガスI0.084容量%を残余ガスIの組成で排出させる(第三燃焼物として)。
残余ガスIの残量(次から言語的に簡単に更に"残余ガスI"と称する)を、多段階ラジアル圧縮機の第一圧縮段階で1.20バールから3.20バールに圧縮させ、この際、残余ガスIの温度は92℃に上昇する。次いで、残余ガスIを同一組成で半分づつ2つに分ける。半分の1方は、直接、反応帯域A中に還流される循環ガスIの部分量となる。残余ガスIの他の半分は、第二圧縮段階で3.20バールから5.80バールに圧縮される。この際、127℃に発熱する。この際、凝縮物生成を行わずに、これを間接的熱交換体で78℃に冷却させる(冷却剤は、CO2‐洗出され、かつ引き続きの膜分離により分子水素を減損され、かつ次に膨張タービン中で放圧された、温度42℃及び圧力4.25バールの残余ガスIである)。間接的空気冷却により、残余ガスIは、凝縮物を生成しないで、78℃から54℃に冷却される。もう1つの圧縮段階で、残余ガスIは、5.80バールから12.0バールへ圧縮され、この際、54℃から75℃へ発熱する。
そうして圧縮された残余ガスIは、充填体カラム(分離帯域II)の下部に導入される。この洗浄カラムの塔頂部で、82℃の温度を有しかつフェノチアジンを重合抑制剤として含有するK2CO3‐水溶液18000kg/hを装入させる。洗浄カラムの塔頂部で、12.00バール及び85℃の温度で次の含有物を有する、CO2‐洗出残余ガスIが漏出する:
プロパン 65.94容量%、
プロピレン 0.89容量%、
H2 15.13容量%、
O2 4.91容量%、
H2O 2.16容量%、
CO 1.22容量%及び
CO2 7.75容量%。
CO2‐洗出残余ガスI(24528Nm3/h)を、1束の注型ホース膜(外圧0.1バール;ウベインダストリーズ社(Fa. UBE Industries Ltd.)のTyp B-Hのポリイミド膜)上に導入させ、かつ次の含有物を有するそれ(p=12.00バール;T=85℃)を排出させる:
プロパン 66.1容量%、
プロピレン 0.89容量%、
H2 15.03容量%、
O2 4.92容量%、
H2O 2.10容量%、
CO 1.22容量%及び
CO2 7.73容量%。
ところで、多段階式膨張タービン中で、残余ガスI(24461Nm3/h)を12.00バールから4.25バールへ放圧させ、85℃から42℃へ冷却させる。CO2‐洗浄され、かつH2減損の残余ガスIは、分離帯域Iから由来する第一段階で圧縮される残余ガスIとの間接的熱交換で、42℃から97℃へ発熱し、生成ガスBの分別凝縮から残留する(CO2‐非洗出の)残余ガスIの他の分分と一緒に、循環ガスIとして、反応帯域Aの反応ガスA‐出発混合物中に還流される。
透過物流(67.2Nm3/h)は次の含有物を有する:
プロパン 0.12容量%、
プロピレン 0.01容量%、
H2 56.2容量%、
H2O 27.2容量%、
CO 0.15容量%及び
CO2 12.39容量%。
これを第四燃焼物として共通の燃焼装置に供給する。
CO2‐洗出カラムの塔底部で、75℃の温度で、炭酸水素カリウム水溶液21846kg/hを取り出し、間接的熱交換により75℃から100℃へ加熱し(熱交換体として、解離した炭酸水素カリウム溶液を使用する)、第二充填体カラム(解離カラム)の塔頂部に装填する。水蒸気26Nm3/h(144℃、4バール)を、解離カラムの下部で、向流で導入させる。カラムの塔頂部で漏出するガス流を直接冷却させ(冷却剤:先に生成した凝縮物)、その際生じる水性凝縮物は還流としてカラムに装入される。漏出するCO2を第五燃焼物質として共通の燃焼装置に供給する。解離カラム流から(32968kg/h)、水14968kg/hを蒸発させる。残量を(場合によりKOHで後中和させて)洗浄溶液としてCO2‐洗出カラムの塔頂部上に還流させる。
燃焼物質1〜5を、空気の供給下に(17674Nm3/h)、燃焼装置中で一緒に燃焼させる。