しかしながら、かかる広告表示は、広告の全面表示、又は遊技画面と広告の並列表示であって、遊技画像と広告画像とが遮断され、遊技者に唐突感、違和感を与える。
そこで、本発明は、広告画像の、その他の領域への融合感、一体感、調和感を高めることを可能とする弾球遊技機を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
前記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに基づいて抽出される乱数値に起因して遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する当否決定手段と、前記当否決定手段による決定毎に、遊技者に有利なゲーム内容に移行するか否かを示す当否画像を表示する当否画像表示手段と、を含む遊技機であって、前記当否画像を表示する画面上に表示される画像のモチーフと関連する広告をデザインしたセル画を遊技盤面に貼り付けたことを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に記載の弾球遊技機は、前記画面上に表示される画像のモチーフと関連する広告をデザインしたセル画とを備えるので、前記画像とセル画の広告とに一体感、調和感を生じ、遊技者に広告を訴える効果が向上し、前記課題を好適に解決できる。
ここで、「遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに基づいて抽出される乱数値に起因して遊技者に有利なゲーム内容とするか否かを決定する」とは、特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数の値により直接的に遊技者に有利な状態とすることは当然に含まれる他、特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに基づいて抽出される乱数の値により所定の入賞口(入球口)を開放し、この開放した特定入賞口内の特定領域を遊技球が通過すると遊技者に有利な状態とする所謂第3種遊技機(権利物)又はアレンジボール遊技機等の遊技機が有する間接的に遊技者に有利な状態とするゲーム内容も含む。尚、入球に伴い賞球としての遊技球を払い出す構成としても良いし(この場合、「入賞口」と呼ばれることが多い)、払い出さない構成としても良い。
「当否画像表示手段」とは、当否画像を変動表示した後、静止表示等をするよう制御するものであれば良い。「遊技者に有利なゲーム内容に移行するか否か」であることを示す画像は、3桁同一の数字を表示する場面、格闘技で主役(主人公)が優勝する場面、レースで主役が一番になる場面、球技で主役が優勝する場面又はゴールする場面、冒険物語で主役が宝物を発見する場面、主役又は主役に関係する人々が利益を受ける等して幸福な状態を示す場面等を示す画像が考えられる。また、遊技者に有利なゲーム内容に移行しないことを示す画像としては、主人公が不幸な状態を示す画像は勿論、不幸な状態を示す画像に至るまでの各展開の場面等も含まれる。
ここでいう「画像」とは、画面上に表示されるものであって、当否画像、背景画像、又はキャラクタ画像の個々を要素とするものでも良いし、それらの組み合わせでも良い。例えば、数字、文字、人物、自動車(トラック、乗用車等)、動物等を示した図柄及び特定形状の特定色等も含む。図柄の形状が変化しなくとも良いし、変化させるものでも良い。例えば、同一でも拡大、縮小いずれでも良い。
「画面」とは、CRT及び液晶表示体の画面は言うに及ばず、ドットマトリクス表示体及び7セグメントLED等の前記画像を表示させることができる装置の表示部をいう。
「当否画像」は、大当りとなったことを示す画像及び外れを示す画像の他、これら各々の画像に含まれる表示態様が異なる画像をいい、詳しくは、3桁図柄の組み合わせの態様等をいう。当否画像の画像領域が拡大又は縮小する構成でも良い。
前記背景画像又はキャラクタ画像は、画面の当否画像(及び場合によりキャラクタ画像)以外の領域の全部又は一部をいう。ここで、大当り中の背景画像は、少なくともラウンド回数、入賞個数等、大当り中に表示される大当り情報以外の、画面に表示される画像をいう。
「モチーフ」とは、画面上に展開される画像の表現活動の主題をいい、例えば、爆走トラック街道と題したパチンコ機では、画面上にトラックが主に登場し、南は博多から北は札幌まで、日本全国を女一人でトラックを爆走させながら旅することが主題となる。
「広告」には、広告主の氏名若しくは名称、広告に係る商品若しくは役務を表示する標章(文字、図形、記号若しくはこれらの組み合わせ又はこれらと色彩との結合)、商品若しくは役務の説明、キャッチフレーズ等が挙げられる。例えば、前掲の爆走トラック街道では、液晶等の画面上の特別図柄、背景図柄又はキャラクタ画像等にトラックの画像を動画表示又は静止画表示をし、また、セル画に前記主題と関連するトラックの絵柄若しくは自動車製造者の名称又はそれらの結合等を表示した広告をセル画にデザインする構成が挙げられる。
前述の動画表示又は静止画表示には、前記モチーフと関連するトラックの斜視図、側面図、平面図等が図示され、例えば、斜視図にはトラックの屋根部分が登場したり、画面の側方からトラックがその側面部分を表示しながら登場し、所定位置(画面中央部等)で停止し、拡大又は縮小したり、画面側方から走り去ったりする等が表示される。リーチ、リーチ予告、大当り、大当り予告場面にトラックが登場すると広告効果が上がる。
また、画面上でトラックの動画表示又は静止画表示をすると共に、それに関連してそこにトラック製造者の表示をすることがある。即ち、前記当否画像、キャラクタ画像又は背景画像に表示されるトラック画像の領域の一部又は全部にトラックメーカー等の広告を表示する構成も挙げられる。また、当否画像、キャラクタ画像又は背景画像のモチーフをセル画の広告内容に適合させることも可能であり、広告内容が当否画像の一部となる構成、キャラクタ画像又は背景画像の全部又は一部に表示される構成等が挙げられる。前記広告は、前記当否画像又は該当否画像の背景画像の一部を構成した形態で表示することが好ましく、当該画像の中に一体となって存在することができる。画像の構成単位の内部領域に表示される構成、前記当否画像、キャラクタ画像又は背景画像に対して広告画像が主である構成、従である構成、対等である構成等が挙げられる。前記一部を構成することで前記画像に融合され、広告画像の、唐突感、違和感、不自然さを解消できる。
そして、広告が自動車の新車情報であれば、自動車雑誌等の予備知識がなくとも、遊技者が画面を見るだけで、新車に有利な情報を取得することができる。他に保険金融情報、パチンコ機新台情報等でも良い。広告画像を供給する構成としては、メモリに画像情報と共に格納する構成、又は、衛星アンテナ等と接続された衛星受信装置若しくは通信回線等、広告画像供給装置を介して広告画像の供給を受けメモリに格納された画像情報と合成する構成等が挙げられる。
「セル画」とは遊技盤面の表面に貼り付けられる薄板又はシートであって、遊技盤を絵柄で装飾するものをいう。尚、セル画をセルシートと言うこともある。
請求項2に記載の発明は、広告画像データを含む画像データを記憶する画像記憶手段と、該画像記憶手段から前記画像データを取得する画像取得手段と、該画像取得手段により取得されたデータに基づいて、広告画像を含む画像を画面上に表示する画像表示手段と、前記広告画像の内容と同一又は関連する広告を表したセル画と、を備えたことを特徴とする弾球遊技機である。請求項2に記載の発明により、請求項1と同様の課題を達成できる。
請求項3記載の発明は、前記広告画像の内容が広告主に係る商品又は役務の絵柄を含み、該絵柄又は該絵柄と関連した広告を前記セル画に表したことを特徴とする請求項1又は2記載の弾球遊技機である。従って、請求項1と同様の課題を達成できる上、商品又は役務が視覚で把握でき、広告効果が高まる。
請求項4記載の発明は、前記広告画像の内容と関連した広告を電動役物、大入賞口、入賞口又は風車の表面部に表したことを特徴とする請求項1又は2記載の弾球遊技機である。従って、請求項1と同様の課題を達成できる上、商品又は役務が視覚で把握でき、広告効果が高まる。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。図1に示すように、実施形態のパチンコ機10は、大きくは長方形の外枠11と前面枠12とからなり、外枠11の左隣に公知のプリペイドカードユニット13が設けられている。前面枠12は、左端上下のヒンジ14により外枠11に対し回動可能に取り付けられている。前面枠12の下方には上皿15が設けられ、この上皿15に貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18が設けられている。プリペイドカードユニット13のカード口19にプリペイドカードを挿入すると、記憶された残高が残高表示部18に表示され、貸出釦16を押下すると遊技球の貸出しが実行され上皿15の払い出し口より遊技球が排出される。
前面枠12には、窓状の金枠20が前面枠12に対して解放可能に取り付けられている。この金枠20には板ガラス21が二重にはめ込まれている。板ガラス21の奥には遊技盤22が収納されている。上皿15の前面枠12下部には、下皿23が設けられ、下皿23の右側には発射ハンドル24が取り付けられている。この発射ハンドル24の外周には、図示しない回動リングが擁され、時計方向に回動すれば遊技球を遊技盤22上に発射することができる。上皿15と下皿23とは連結されていて、上皿15が遊技球で満杯状態になれば下皿23に遊技球を誘導するよう構成されている。
図2はパチンコ機10を裏側から見た裏面図である。図示するように、前述した遊技盤22を脱着可能に取り付ける機構盤26が前述した外枠11に収納されている。この機構盤26には、上方から、球タンク27、誘導樋28及び払出し装置29が設けられている。この構成により、遊技盤22上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク27から誘導樋28を介して所定個数の遊技球を払出し装置29により前述した上皿15に排出することができる。また、機構盤26には主制御基板30及び賞球制御基板31が脱着可能に、遊技盤22の中央部には特別図柄表示装置32が、前面枠左下部には発射制御基板33が、特別図柄表示装置32の左側に外部接続端子基板47が、各々取り付けられている。尚、機構盤26を中心とした遊技球の払い出し等に関する構造は従来の構成と同様なのでその詳細な説明は割愛する。
次に図3を用いて遊技盤22について説明する。図3に示すように遊技盤22には、中央に特別図柄表示装置32に設けられた、後述の当否画像50等を表示することがあるLCDパネルユニット(以下、「LCD」という。)32a、保留記憶表示部51a〜51d、特別図柄表示装置32の下部に設けられた第1種始動口としての普通電動役物36、LCD32a上部の普通図柄表示装置37、普通図柄表示装置37に表示される図柄の変動開始に用いられるLCD32aの左右の普通図柄作動ゲート38及び39、普通電動役物36下部の大入賞口40、盤面最下部のアウト口41、その他の各種入賞口61,62、風車63,64及び遊技釘65等が備えられている。この構成により、前述した発射ハンドル24を回動すれば発射制御基板33により駆動される発射モータ33a(図5参照)が駆動されて上皿15上の遊技球がガイドレールを介して遊技盤22上に発射される。発射された遊技球が各入賞口に入賞すれば遊技球は盤面裏面にセーフ球として取り込まれ、入賞しなければアウト口41を介してアウト球として同様に盤面裏面に取り込まれる。
遊技盤22の表面にセル画25が貼り付けられている。セル画25等には、LCD32aの画面上に表示される画像53のモチーフと関連する広告55,56,57,58、59及び60をデザインしたものである。広告55は、広告主の名称を示す「○○自動車」の文字であって、セル画25の所定領域(ここでは最上部)にデザインされている。広告56は、広告主の名称及び広告に係る商品を示す「○○のトラック」の文字であって、遊技盤22の所定領域(ここでは風車63及び64の表面)にデザインされている。広告57は広告主の名称を示す「○○自動車」の文字であって、遊技盤22の所定領域(ここでは入賞口61及び62の表面)にデザインされている。広告58は広告主の名称を示す「○○自動車」の文字であって、遊技盤22の所定領域(ここでは普通図柄作動ゲート38及び39の表面)にデザインされている。広告59は広告主の名称及び広告に係る商品を示す「○○自動車の乗用車××」の文字であって、遊技盤22の所定領域(ここでは大入賞口40の開閉板40e)にデザインされている。広告60は、広告に係る新型トラックに女性が跨っている絵柄であって、セル画25の所定領域(普通電動役物36の右側領域)にデザインされている。特別図柄表示装置32や普通電動役物36等の表面にも前記広告と同様の広告を表示可能である。
このセル画25の製造方法は、図4の通り、透明フイルムにデザインを印刷して焼付(S1)、次に一般的には4色(シアン、マゼンダ、イエロー、クロ)で印刷し(S2)、必要により、蛍光色等のきらきらした色はシルク印刷を行い、その裏側に西洋紙を貼り付け(S3)、それを所定形状に切断し(S4)、それを遊技盤22の表面に接着剤で貼り付け(S5)、セル画25ができあがる。
続いて前述したパチンコ機10の電気的構成を図5のブロック図を用いて説明する。パチンコ機10の電気回路は、図示するように、前述した主制御基板30、賞球制御基板31、特別図柄表示装置32、発射制御基板33、ランプ制御基板34及び音制御基板35等から構成されている。尚、この回路図には、信号の受け渡しを行うために所謂中継基板及び電源回路等は記載していない。
主制御基板30は、遊技制御プログラムを記憶したROM及び演算等の作業領域として働くRAMを内蔵した8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各基板又は各種スイッチ類及び各種アクチュエータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。
主制御基板30の入力側には、第1種始動口スイッチ36a、普通図柄作動スイッチ38a及び39a、役物連続作動スイッチ(以下、単に「Vスイッチ」と呼ぶ)40a、(テン)カウントスイッチ40b、賞球払い出しスイッチ29a、満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a等が接続されている。また、出力側には、大入賞口ソレノイド40c、Vソレノイド40d、普通役物ソレノイド36b及び外部接続端子基板47等が接続されている。
第1種始動口スイッチ36aは前述した遊技盤22上の普通電動役物36内、普通図柄作動スイッチ38a及び39aは各々普通図柄作動ゲート38及び39内、Vスイッチ40aは大入賞口40内の特定領域内、同じくカウントスイッチ40bは大入賞口40内、賞球払い出しスイッチ29aは払出し装置29内の玉切モータ29bの下方、満タンスイッチ43は下皿23内、補給スイッチ44は球タンク27内、に各々取り付けられている。ここで、Vスイッチ40aは大入賞口40内に入賞した遊技球が特別装置作動領域(以下、「特別領域」という。)を通過したことを、カウントスイッチ40bは大入賞口40内に入賞する全ての遊技球を、賞球払い出しスイッチ29aは玉切モータ29bにより上皿15に排出される遊技球を、満タンスイッチ43は下皿23内に遊技球が満タン状態になったことを、補給スイッチ44は球タンク27内に遊技球が存在することを、タッチスイッチ24aは発射ハンドル24に内蔵され遊技者が発射ハンドル24に触れていることを、各々検出するためのものである。また、出力側に接続された大入賞口ソレノイド40cは大入賞口40、Vソレノイド40dは大入賞口40内の特別領域、普通役物ソレノイド36bは普通電動役物36の開閉に各々使用されるものである。
特別図柄表示装置32は、前述したLCD32aと、このLCD32aを駆動制御する図柄表示装置制御基板(以下、単に「図柄制御基板」(「画像制御基板」ともいう。)という。)32b及びバックライト及びインバータ基板等の付属ユニット32cから構成されている。図柄制御基板32bは、前述した主制御基板30と同様8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成されている。
賞球制御基板31は、主制御基板30からの指令コマンドに従って玉切モータ29bを駆動制御して入賞があった場合に遊技者に賞球としての遊技球を払い出すと共に、前述したプリペイドカードユニット13及びCR精算表示基板42等も制御するものであり、マイクロコンピュータを用いた論理演算回路として構成しても良いし、ディスクリートな回路として構成しても良い。CR精算表示基板42は、前述した上皿15の貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18等から構成されている。賞球制御基板31は主制御基板30からの指令に従って遊技球を払い出すが、入賞に対応した遊技球が払い出されているか否かの検知は主制御基板30で行われる。
発射制御基板33は、遊技者が操作する発射ハンドル24の回動量に応じて発射モータ33aを駆動制御するものであり、その他遊技者が発射停止スイッチ24bを押下したとき発射を停止させたり、発射ハンドル24に内蔵された前記タッチスイッチ24aがオン状態のときタッチランプ45を点灯させるためのものである。
ランプ制御基板34は主としてトランジスタ等の駆動素子から構成されており、主制御基板30からの指令を受けて普通図柄表示装置37、大当りランプやエラーランプ等のランプ類及びLED等の各種ランプ類を点灯表示させるためのものである。
音制御基板35は音源IC及びアンプ等から構成されており、主制御基板30の指令を受けてスピーカ46を駆動制御するためのものである。
前述した特別図柄表示装置32、賞球制御基板31、発射制御基板33、ランプ制御基板34及び音制御基板35への送信は、主制御基板30からのみ送信することができるよう一方向通信の回路として構成されている。
ここで前述した広告画像のデータは、広告画像供給装置48から図柄制御基板32bへ供給され、図柄制御基板32bのROMに格納された画像情報と合成されるか、又は、図柄制御基板32bのROMに格納されてデータから画像データと共に読み出されるかによって、図柄制御基板32bへ供給されるようになっている。広告画像供給装置48として、衛星受信装置又は通信回線と接続されたデータ受信装置等が挙げられる。
以上説明した回路構成を有するパチンコ機10の主制御基板30内の8ビットワンチップマイコン(以下、単に「マイコン」と呼ぶ。)が実行する処理を図6に示すフローチャートに従って説明することにする。図6に示されるフローチャートは、主制御基板30のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、ステップS10〜S60までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるステップS65及びS70の処理を「残余処理」と称する。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(ステップS10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。通常でない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時には、RAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。通常でない(NO)と判断されると、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(ステップS15)、残余処理に移行する。
通常との肯定判断(YES)が為されると、まず初期乱数更新処理が実行される(ステップS20)。この処理は、初期乱数の値をこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「249」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「249」までの250個の整数を繰り返し昇順に作成する。ステップS20に続く当否乱数更新処理(ステップS25)は、初期乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「249」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期乱数の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期乱数の値を初期値とし「0」〜「249」までの250個の整数値を繰り返し作成する。
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「249」までの整数値とすることは前記初期乱数と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、当否乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「249」までの250個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期乱数により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「249」の250個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。
大当り図柄乱数更新処理(ステップS30)は、「0」〜「11」の12個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。15個の各乱数値「0」〜「11」は、図7の通り、画面上に表示される3桁同一の「相撲取りの絵柄を配した111」、「鷹の絵柄を配した222」、「おいらんの絵柄を配した333」、「竜神の絵柄を配した444」、「ギャルを配した555」、「竜の絵柄を配した666」、「ギャル(静香)の絵柄を配した777」、「歌舞伎役者の絵柄を配した888」、「金剛力士像の絵柄を配した999」、「鯉の絵柄」、「夢街道」、「爆走」に各々対応する。外れ図柄乱数更新処理(ステップS35)は、左図柄用乱数、中図柄用乱数及び右図柄用乱数から構成され、大当りでないときの外れ図柄として使用される。左図柄用乱数は、「0」〜「11」の12個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。中図柄用乱数は、「0」〜「11」の12個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、左図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理毎で+1され最大値を超えると「0」に戻る。右図柄用乱数は、「0」〜「11」の12個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、中図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理毎に+1され最大値を超えると「0」に戻る。普通図柄乱数更新処理(ステップS40)は、「0」〜「6」の7個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。
前述した各乱数更新処理(ステップS20〜S40)により、初期乱数、当否乱数、大当り図柄乱数、外れ図柄乱数及び普通図柄乱数が各々更新されるが、続く処理(ステップS45)ではパチンコ機10に設けられ主制御基板30に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。本実施形態では、前述した満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a、第1種始動口スイッチ36a、Vスイッチ40a、カウントスイッチ40b、普通図柄作動スイッチ38a及び39a、その他の入賞口に設けられた図示しない各入賞検知スイッチ、等の各スイッチの作動状況をチェックする処理が実行される。この入力処理により第1種始動口スイッチ36aに入力がある場合には、始動口としての普通電動役物36に遊技球が入賞したときであり、この割り込み処理時の前記当否乱数の値が抽出され当否判定値と比較される。
本実施形態のパチンコ機10は、確率変動機として構成され、通常確率時では当否判定値は「1」であり、高確率時には「1」、「3」、「5」、「7」及び「9」である。前述したように当否乱数を構成する「0」〜「249」の250個の各整数値の出現率は均一であり、遊技球が始動口としての普通電動役物36に入賞するタイミングで抽出される当否乱数の値は、前記ハード割り込みの微小時間である2msと比較すれば入賞タイミングを微小時間単位で調節できないことから無作為に抽出された値となり、当否乱数は完全なる乱数として機能する。従って、抽出された当否乱数の値が当否判定値と一致して大当りとなる確率は、通常確率時には1/250であり、高確率時には5/250(=1/5)となる。この大当りを発生させる確率が低確率状態から高確率状態に移行するのは、本実施形態では、大当り発生時の割り込み処理における前述した大当り図柄乱数の値が、「0」、「1」、「3」、「5」、「7」及び「8」(以下、「高確率乱数値」という。)の場合であり、大当りが発生するときの1/2の確率で高確率に移行する。そして、高確率中において、再び大当りを発生させたときの大当り図柄乱数の値が高確率乱数値であれば更に高確率状態が継続する。即ち、1度高確率状態になる毎に1/2の確率で高確率が継続する可能性を有することになる。続いて、大当りか否かを判定する当否判定処理(ステップS50)を行う。この当否判定処理(ステップS50)が終了すると、続いて画像出力処理(ステップS55)が実行される。この画像出力処理については後に詳述する。
続く各出力処理(ステップS60)は、遊技の進行に応じて主制御基板30は、特別図柄表示装置32、賞球制御基板31、発射制御基板33、ランプ制御基板34、音制御基板35、大入賞口ソレノイド40c等の各種ソレノイドに対して各々出力処理を実行する。即ち、前記各入力処理(ステップS45)により遊技盤22面上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく賞球制御基板31に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータを音制御基板35に出力する処理を、パチンコ機10に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく図柄制御基板32bにエラー信号を出力する処理を、更には、大当り発生時には大当り処理を、各々実行する。
前述した本処理に続く残余処理は、外れ図柄乱数更新処理(ステップS65)及び初期乱数更新処理(ステップS70)から構成されるが、各々前述したステップS20及びステップS35と全く同じ処理である。この2つの処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したステップS10〜S60までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図6に示された割り込み処理が1回実行されることにより外れ図柄乱数及び初期乱数の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期乱数及び外れ図柄乱数が当否乱数と同期する可能性はなくなる。尚、本実施形態においては、当否乱数の更新は初期乱数の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。また、前述した普通図柄乱数更新処理(ステップS40)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
図12に示す広告画像表示制御ルーチンは、本実施形態の特徴的な構成の1つを示すものであり、予め設定されたタイミングによるハード割り込みにより、パチンコ機10の稼動中を通じて繰り返し実行される。
先ず、図12の広告画像表示制御ルーチンでは、当否画像動作条件が成立したか否か、即ち、第1種始動口スイッチ36aがオンしたか否かを判定し(ステップS110)、肯定判断(YES)なら当否画像を変動静止表示し(ステップS120)、否定判断(NO)ならリターンに抜ける。
ステップS120では、図7の12種類の特別図柄を示す3つの当否画像50が特別図柄表示領域50a〜50c(図8参照)のそれぞれに変動表示され、抽選された所定図柄の当り又は外れの組み合わせを表示する。図8はトラックレースであるリーチ外れの場合を示す。即ち、特別図柄の各図柄はトラックの斜視図を示すトラック画像52の屋根部分に表示された特別図柄表示領域50a〜50cに表示され、特別図柄表示領域50a及び50cに表示される左図柄及び右図柄に「鯉の絵柄」が表示され、特別図柄表示領域50bに表示される中図柄に「相撲取りの絵柄を配した一」、「鷹の絵柄を配した二」、「おいらんの絵柄を配した三」、「竜神の絵柄を配した四」、「ギャルを配した五」、「竜の絵柄を配した六」、「ギャル(静香)の絵柄を配した七」、「歌舞伎役者の絵柄を配した八」、「金剛力士像の絵柄を配した九」、「鯉の絵柄」、「夢街道」及び「爆走」の図柄が繰り返し変動表示され、中図柄に「竜神の絵柄を配した四」が静止表示され、このとき、トラックの前部に「○○自動車の新型トラック△△△」の広告画像54が表示される(図8参照)。
図13(a),(b),(c)に示すリーチ外れの表示例では、ギャル(静香)が載ったトラックメーカー「高尾」の広告文字が表示された、発売中のトラックを模した動画像85が特別図柄表示領域50cの下側領域に画面49の側方から登場し、所定方向(ここでは左方向)に向かって走行する(図13(a)参照)。該広告は動画像85以外の表示領域に表示されることもある。次に、動画像85が拡大表示され、発売中のトラックの商品名「トラック○○」がトラックの所定部位又はその他の領域に表示される(図13(b)参照)。最後に、トラックメーカー「高尾」の文字が表示された、発売中のトラックの後部を模した動画像85が特別図柄表示領域50aに表示され、特別図柄表示領域50bに表示される中図柄に「金剛力士像の絵柄を配した九」が表示される(図13(c)参照)。
図14(a),(b)に示すリーチ動作の表示例では、画面49に、3つの当否画像50が特別図柄表示領域50a〜50cに表示され、ギャル(静香)が載ったトラックメーカー「高尾」及び「新型トラック××発売」の広告文字が表示された、発売中のトラックを模した動画像87が特別図柄表示領域50a〜50cの下側領域に登場し、特別図柄表示領域50bに向かってギャル(静香)が載ったトラックからマジックハンドが特別図柄表示領域50bの中図柄をコマ送り表示する(図14(b)参照)。「高尾自動車」の文字広告も画面に表示された後に中図柄が静止表示される。
ステップS130で大当り発生か否かを判定し、肯定判断(YES)されると、ステップS140へ移行し、否定判断(NO)ならステップS110へ回帰し、同様な処理を繰り返す。
ステップS140では、所定間隔を置いてから大入賞口40を開放するので、大入賞口40が開放したか否かを判断し、肯定判断(YES)されると、ステップS150へ移行し、否定判断(NO)なら大入賞口40の開放まで待機する。
ステップS150では1つのラウンドについての大当り画像表示処理及び大入賞口開放処理を行う。ここで、図15に示す通りの表示例では、画面49が、特別図柄表示領域50a〜50c、街道表示領域88、第1広告表示領域89、第2広告表示領域90に分割される。街道表示領域88に街道を示す複数の地名が動画表示され、第1広告表示領域89に自動車レースの動画像91が表示され、「××自動車」の表示が屋根になされたトラック画像92と乗用車画像93とがレースを行う様子を表示し、第2広告表示領域90にトラックの新車情報を表示した3つの動画像94が表示され、3つ同一の当否画像50が特別図柄表示領域50a〜50cにそれぞれ表示される。なお、大当り画像表示処理及び大入賞口開放処理の処理自体は周知であるので、それら処理の詳細は後述する。
大入賞口40が閉じると、ステップS160でラウンド数Rが1加算される。なお、Rの初期値は1である。
次ステップS170で次回のラウンドの大当り画像についての更新処理を行う。即ち、図16の通り、前のラウンドとは異なりLCD32aの画面49にトラックレースを示す動画像70が表示されるよう更新処理が行われる。この場面は、動画像70のトラックの屋根部分に特別図柄表示領域50a〜50cが形成され、3つ同一の当否画像50がそれぞれ表示される。該屋根部分に「爆走」、トラック製造者の名称である「TAKAO」が表示される。動画像70は、遊技者が主として注目するトラックレースの動きを妨げることが無く表示され、これにより、前述ステップS150と同様に、遊技者はトラックレースの場面に注目すると共に広告にも注目することができ、また、広告画像が他の画像と融合され一体感が高まることで、広告の違和感、唐突感が解消できる。更に、ラウンド毎に、毎回、ゲーム及び広告の場面の内容を更新して表示することで、遊技者の飽きを防止できる。ゲームの内容、広告の内容は毎回変えることとしているが、複数の所定ラウンド数毎(例えば、2又は3ラウンド毎)に更新することもできる。広告の内容は更新するが、ゲームの内容は全ラウンドを通じて同一種類のゲームで統一し、ラウンドを通じてゲームを展開することもできる。
ステップS180ではラウンド数Rが16に到達したか否かを判断し、肯定判断(YES)なら大当り処理は終了したと判断してリターンに抜け、否定判断(NO)なら、残りのラウンドを処理すべく、ステップS140へ回帰する。
前述した各処理を実行することにより、パチンコ機10は次のような動作を実行する。遊技者により操作される発射ハンドル24の回動量に応じて発射モータ33aにより遊技球が遊技盤22上に発射され、発射された遊技球が第1種始動口としての普通電動役物36に入賞すれば第1種始動口スイッチ36aにより検出され、特別図柄表示装置32のLCD32a画面上の特別図柄表示領域50a〜50c(図8参照)に特別図柄を所定時間変動表示した後に静止表示するよう働く。この静止表示した特別図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を表示すると大当り状態として大当りを提供する。大当り状態となるか否かは、遊技球が第1種始動口スイッチ36aにより検出されたとき抽出される当否決定乱数の値が所定値であるか否かにより決定される。
大当り状態となると、大入賞口40が約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ40bにより検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、このとき大入賞口40内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことがVスイッチ40aにより検出されると一旦大入賞口40が閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。通常、遊技球1個の入賞に対して15個の遊技球が賞球として払い出すよう構成しているので、1回の大当り状態が発生すると、約2400(=15×10×16)個の遊技球を賞球として獲得することができる。この賞球排出動作は、賞球制御基板31が実行する。尚、大入賞口40の特別領域を開閉するVソレノイド40dは、特別領域に遊技球が1個通過すると特別領域を閉鎖するためのものである。遊技中において前述したランプ制御基板34及び音制御基板35が実行する制御は従来と同様な構成であり、その説明は割愛することにする。
ここで、前述した画像出力処理(ステップS55)を、図9を用いて詳細に説明する。図9に示すコマンドコードは、主制御基板30から特別図柄表示装置32の図柄制御基板32bに送信されるコードである。図9に示すように、本実施形態の主制御基板30と図柄制御基板32bとの送信コマンドコードは、1.電源投入時、2.客待ちデモ、3.図柄変動中、4.大当り開始時、5.大当り中、6.大当り終了時、7.動作異常時、の7種類に大別できる。
1.電源投入時
電源投入時のコマンドは、パチンコ機10に電源が投入されたとき主制御基板30から図柄制御基板32bに送信されるコマンドコードであり、10H及び01Hの2バイト命令で構成されている。図柄制御基板32bがこのコマンドを受信するとROMに書き込まれた制御プログラムに従ってLCD32aの画面上に電源投入時のデモ画面を表示する。デモ画面中には、別の内容の広告画像を表示することとする。
2.客待ちデモ
客待ちデモのコマンドは、前記電源投入時のデモ画面が終了した後、又は遊技者が所定時間(通常約3分間)発射ハンドル24に触れていないと判断されたときに送信されるコマンドであり、20H及び01Hの2バイト命令で構成されている。図柄制御基板32bがこのコマンドを受信するとROMに書き込まれた制御プログラムに従ってLCD32aの画面49上に客待ちのデモ画面を表示する。例えば、図3に示す「爆走トラック街道」の文字及びこれと関連する女主人公がトラックの上に乗って登場する画像53の動画又は静止画表示を行ったり、又は、図8に示す特別図柄表示領域50a〜50c上に変動表示される特別図柄の変動パターンを全て順番に表示する。また、保留記憶表示部51a〜51dを順次点灯表示する。この客待ちデモ画面は遊技客が発射ハンドル24を操作するまで全ての変動パターンを順番に表示して一巡した後繰り返し表示する。尚、遊技者が発射ハンドル24に触れているか否かはタッチスイッチ24aの入力により検知することができる。本実施形態では、タッチスイッチ24aの入力を主制御基板30に入力する構成としたので、主制御基板30と発射制御基板33との通信を主制御基板30からの一方向通信としながらも前記検知が可能なのである。もちろん、主制御基板30からタッチスイッチ24aのオンオフ情報は発射制御基板33に送信される。このタッチスイッチ24aの入力を発射制御基板33に入力する構成とし、いずれかの又は全ての入賞口に所定時間入賞がないこと、又は遊技盤22面のアウト口41にスイッチを設けてこのスイッチが所定時間オンしないことにより遊技者が遊技を実行していないことを判断する構成としても良い。
3.図柄変動中
図柄変動中コマンドは、特別図柄変動時に送信されるコマンドであり、図9に示すように(1)変動タイムコード、(2)左静止図柄指定コード、(3)中静止図柄指定コード、(4)右静止図柄指定コード、の4種類のコマンドコード(以下、この4つのコマンドコードを総称して「画像表示コマンド」ということもある。)に分類される。
(1)変動タイムコード
変動タイムコードは、動作番号として30Hの1バイト命令と識別番号として01Hから1EHの30種類の1バイト命令とから30種類の2バイト命令として構成されている。30種類の1バイト命令は、1秒単位の5秒〜35秒の30種類の時間を表している。変動タイム、変動態様及び図柄静止時間は、図11の通りである。
(2)左静止図柄指定コード
左静止図柄指定コードは、31Hの動作番号と01H〜0CHの12種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号が01Hのときは左静止図柄として「相撲取りの絵柄を配した一」、02Hのときは「鷹の絵柄を配した二」、03Hのときは「おいらんの絵柄を配した三」、04Hのときは「竜神の絵柄を配した四」、05Hのときは「ギャルを配した五」、06Hのときは「竜の絵柄を配した六」、07Hのときは「ギャル(静香)の絵柄を配した七」、08Hのときは「歌舞伎役者の絵柄を配した八」、09Hのときは「「金剛力士像の絵柄を配した九」、0AHのときは「鯉の絵柄」、0BHのときは「夢街道」、0CHのときは「爆走」の、文字と絵柄の組み合わせ、又は絵柄を特別図柄として、特別図柄表示領域50aに表示させるためのものである。左・中・右静止図柄の一覧は図7に示す通りである。確率変動図柄は、「一」、「二」、「三」、「四」、「六」、「八」、又は、「九」に設定されている。
(3)中静止図柄指定コード
中静止図柄指定コードは、32Hの動作番号と01H〜0CHの12種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号は前記左静止図柄指定コードの識別番号と同じ意味をもち、各々で指定される文字を特別図柄として特別図柄表示領域50bに表示させるためのものである。
(4)右静止図柄指定コード
右静止図柄指定コードは、33Hの動作番号と01H〜0CHの12種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号は前記左静止図柄指定コードの識別番号と同じ意味をもち、各々で指定される文字を特別図柄として特別図柄表示領域50cに表示させるためのものである。この変動タイムコード、左、中及び右静止図柄指定コードは、遊技盤22上に発射された遊技球が始動口としての普通電動役物36に入賞したとき2バイトづつほぼ同時に送信されるコマンドコードであり、その内容は次のようにして決定される。
前述したように、遊技球が普通電動役物36に入賞すると、そのときの当否乱数の値、大当り図柄乱数の値、外れ図柄乱数の値、普通図柄乱数の値が各々抽出される。抽出された当否乱数値は、通常確率時には当否判定値「1」と比較し、高確率時には当否判定値「1」、「3」、「5」、「7」、「9」と比較し一致すれば大当りが発生、一致しなければ外れとなる。一致して大当り発生時には、抽出された大当り図柄乱数値に+1して、この値を左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とする。即ち、左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号は同一となる。一致しなくて外れのときには、抽出された外れ図柄乱数の左図柄用乱数値、中図柄用乱数値及び右図柄用乱数値の各々の値に+1した値を各々左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とする。このとき、偶然に3つの識別番号が一致する場合には、右静止図柄指定コードの識別番号の値を「1」だけ異なる値とする処理が為される。前述した変動タイムコードは、左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が全て一致するときには大きな値とし、全て一致しなくとも左及び中静止図柄指定コードの識別番号が一致するときには中間の値とし、全く一致しないときには小さな値に振り分けられる。
この4つのコマンドコードからなる画像表示コマンドを受信したときの図柄制御基板32bが行う処理を説明する。図柄制御基板32bのマイコンが前記画像表示コマンドを受信すると、受信した変動タイムと左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とから特別図柄の変動パターンを作成する処理を実行する。図柄制御基板32bのROMには、図10及び図11に示されるように、受信した画像表示コマンドの各値の組み合わせに対応したテーブルが書き込まれている。図柄制御基板32bのマイコンは、受信した画像表示コマンドからROMに書き込まれたテーブルを読み出し特別図柄の変動パターンを作成する。この変動パターンは次のようにして作成される。
マイコンは、受信した左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号から左と中との識別番号が一致するか否か(即ち、リーチであるか否か)を判断して通常変動なのか、リーチ変動なのかを判断し、更にリーチ変動でも変動タイムの値が所定値より大きいのか小さいのかによりトリック変動等各種の変動をするのか否かを判断し、これらの判断と変動タイムとにより特別図柄の左、中及び右図柄の変動開始から静止するまでの各々の時間を決定する。作成された特別図柄の変動パターンに従って、画面49上に表示され背景及びキャラクタの表示データも作成される。
この変動パターンには、広告画像データが設定してあるものと、していないものがある。全てに広告画像を設定してあるものについても実施が可能である。詳しくは図12の説明のところで前述した通りである。変動パターンが作成されると、作成された変動パターンに従って左、中及び右の各特別図柄の変動を開始し指定された静止図柄で静止表示する処理を実行すると共に、背景及びキャラクタの表示制御も実行される。尚、特別図柄の変動中に始動口としての普通電動役物36に遊技球の入賞があると、図9に示さないコマンドコードが主制御基板30から図柄制御基板32bに送信され、保留記憶表示部51a〜51dが点灯表示される。
4.大当り開始
大当り開始デモコードは、特別図柄表示領域50a〜50cに表示される左、中及び右特別図柄が同一図柄を表示した後から大当り動作が開始されるまでの間に大当りが発生したということを遊技者にアピールする画像を表示するときに使用されるコマンドであり、40Hの動作番号と01Hの識別番号により構成されている。この命令コードを図柄制御基板32bが受信するとLCD32aの画面上に大当り等の文字を表示しキャラクタが喜ぶ画像を表示すると共に、音制御基板35により効果音を出力する処理がなされる。このとき、図柄制御基板32bは、前記画像表示コマンドから、即ち、受信した左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が一致しているか否かにより大当りが発生したことを判断し、大当りとの肯定判断をすると前回記憶した大当り回数の値を+1して、その回数を画面49上に表示する処理を実行する。これにより、パチンコホールを開店してからの営業中におけるパチンコ機10で発生した大当り回数の累計回数を遊技者に報知することができる。
また、図柄制御基板32bは、前記画像表示コマンドから、即ち、受信した左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が一致していることと、前回大当りが発生したときのその値とから高確率中の大当りなのか否かを判断することができ、高確率中の大当りとの肯定判断をすると前回記憶した高確率中の大当り回数の値を+1して、その回数を画面49上に表示する処理を実行する。これにより、遊技者には、高確率中における大当り回数(所謂「連チャン回数」)が報知される。この高確率中の大当り回数は、高確率の継続が実行されなくなったときに零クリアされ、高確率継続の大当りが再び発生したときから再表示される。図柄制御基板32bは、営業中におけるパチンコホールを開店してからの最大の高確率中の当り回数を記憶しておき、この最大回数を超える高確率中の大当りが発生するとその値を更新し、この高確率中の大当り回数を前記累計大当り回数と共に表示することもできる。
5.大当り中
大当り中コマンドは、開放前コード、開放中コード、10カウント入賞コード、V通過コード及びラウンド表示コードの5個のコマンドに分類される。
(1)開放前コードは、50Hの動作番号及び01Hの識別番号より構成され、図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、大入賞口40を開放することを遊技者に知らせる画像を画面49に表示する処理を実行する。
(2)開放中コードは、50Hの動作番号及び02Hの識別番号より構成され、図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、大入賞口40が開放中であることを遊技者に知らせる画像を画面49に表示する処理を実行する。
(3)10カウント入賞コードは、50Hの動作番号及び03Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口40に遊技球が入球したことをカウントスイッチ40b又はVスイッチ40aにより検知する毎にこの命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、入力する毎にその値をインクリメントしその値を画面49上に表示する処理を行う。これにより、画面上には、大入賞口40に遊技球が入賞する毎に0から10個までの個数表示がなされる。
(4)V通過コードは、50Hの動作番号及び04Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口40内の特別領域を遊技球が通過したことをVスイッチ40aにより検知するとこの命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると画面49に「V」の文字を大きく表示し大入賞口40が閉鎖した後再び開放することを遊技者に知らせる。
(5)ラウンド表示コードは、50Hの動作番号及び05Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口40が開放動作終了後に再び開放する毎にこの命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、入力する毎にその値をインクリメントしその値を画面49上に表示する処理を行う。これにより、遊技者には大入賞口40の開放回数が報知される。上記の大当りコマンドの他、大当り表示には広告画像データが設定してあるものと、していないものがある。全てに広告画像を設定してあるものについても実施が可能である。詳しくは図12の説明のところで前述した通りである。
6.大当り終了
大当り終了コマンドは、大当り終了デモコマンドコードと高確率移行コマンドコードとからなる。大当り終了デモコマンドコードは、大当り動作が終了したとき、即ち大入賞口40が16回の開放動作を終了したとき、または16回まで継続しなくとも開放中に遊技球が特別領域を通過しなかったときに送信される命令コードであり、60Hの動作番号及び01Hの識別番号より構成される。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると大当りが終了したことを遊技者に知らせるメッセージを表示する。高確率移行コマンドコードは、61Hの動作番号及び01H〜02Hの識別番号より構成される。識別番号が01Hのときは高確率状態が継続する場合であり、識別番号が02Hのときは高確率状態が継続しない場合である。この高確率移行コマンドコードは、本実施形態のように、主制御基板30から送信する構成としても良いし、前述した画像表示コマンドの値から図柄制御基板32bが判断する構成としても良い。
7.動作異常時
動作異常時コマンドは、パチンコ機10に異常が発生したときに送信される命令コマンドであり、本実施形態では、70H01HのE1エラーコード、70H02HのE2エラーコード、70H03HのE3エラーコードより構成されている。本実施形態ではE1エラーコードは、テンカウント異常エラーであり大入賞口40が開放したときに遊技球が1個も検知されない場合に出力され、E2エラーコードは下皿23が満杯で満タンスイッチ43がオンしたとき出力され、E3エラーコードは補給スイッチ44がオンしたとき出力される。これらの異常時コマンドを送信することにより表示されるエラーメッセージは、異常が解除されたとき送信される70H04Hのエラー解除コードにより消去される。
以上、詳細に説明した実施形態によると、遊技者は爆走トラック街道と題する画面49に注目すると共に広告にも注目することができ、また、広告画像が他の画像及びセル画25に表示された広告と融合され調和感、一体感が高まることで、広告の違和感、唐突感が解消できる。広告を示す動画像は、遊技者が主として注目するトラックレース等の動きを妨げることが無く表示され、これにより、遊技者はトラックレースの場面に注目すると共に広告にも注目することができる。更に、ラウンド毎に、毎回、ゲーム及び広告、又は広告のみの場面の内容を更新して表示することで、遊技者の飽きを防止できる。さらに、主制御基板30は図柄制御基板32bに画像表示コマンド等のコマンドを送信するだけであり、図柄制御基板32bは受信した画像表示コマンド等のコマンドに基づき画面上に動画像を静止又は変動表示をすることができる。そして画像表示コマンドに含まれる変動タイムに示される時間は、エラー等が発生する場合以外は次のコマンドが送信されることがない。これにより、この間は、図柄制御基板32bは主制御基板30に拘束されることなく、画面上で自由な動画像、例えば画面49上で広告を展開する等の表示制御をすることができ、主制御基板30の負担が軽減できる。また、本実施形態では、広告画像供給装置48により広告に関する画像データが供給される構成も採用している。これにより画面上の広告画像を容易に変更することができるという効果がある。
以上は、主制御基板30は図柄制御基板32bに画像表示コマンド等のコマンドを送信するだけの構成であるが、これに代える構成として、図17の通り、前述した動画像のデータは、広告画像供給装置48から主制御基板30へ供給され、主制御基板30のROMに格納された画像情報と合成されるか、又は、主制御基板30のROMに格納されたデータから画像データと共に読み出されるかによって、主制御基板30へ供給されるようになっている。広告画像供給装置48として、衛星受信装置又は通信回線と接続されたデータ受信装置等が挙げられる。以下に述べる実施態様においても、上記2つの広告画像の回路構成のいずれもの採用も可能である。
尚、本発明は、前述した実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の意図する範囲内で実施変更可能なことは言うまでもないことである。例えば、遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入球口に入球又は特定の通過口を通過するタイミングに起因して抽出される乱数値に応じた度合いで広告を展開するよう構成しても良い。また、画像表示コマンドを2バイトづつ一度に送信する構成としたが、変動パターンを示す変動タイムを送信し、その後各静止図柄を示すコードを適宜送信する構成としても良い。また、各図柄を各々停止させるための停止命令のコードを追加して送信する構成としても何等問題ない。さらに、図柄制御基板32bが広告画像の変更のみならず、広告画像を表示すべきことを示す広告画像表示成立要件が成立したか否かを独自に判断し、該広告画像表示成立要件が成立した場合に、広告画像を表示するように制御することもできる。これにより一層、主制御基板30の負担を軽減し、主制御基板30の制御内容を充実させることができる。