JP2009270149A - アルミニウム多孔質体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導率を必要とする熱部位部材同士の緩衝材として有用な熱応力緩和機能を有する、高熱伝導率及び低ヤング率が得られるアルミニウム多孔質体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を室温で加圧成形し、加圧成形された成形体を100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、焼結が進行する500〜600℃の高温でアルミニウム多孔質体を作製する。作製された多孔質体は、熱伝導率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合50〜230W/(m・K),ヤング率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合15〜73GPaである。
【選択図】図1
【解決手段】純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を室温で加圧成形し、加圧成形された成形体を100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、焼結が進行する500〜600℃の高温でアルミニウム多孔質体を作製する。作製された多孔質体は、熱伝導率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合50〜230W/(m・K),ヤング率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合15〜73GPaである。
【選択図】図1
Description
この発明は、アルミニウム多孔質体及びその製造方法に関するものである。
従来、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)粉末に熱硬化性樹脂系接着剤を配合してアルミニウム多孔質体を得ることが試みられている(例えば、特許文献1)。
この種のアルミニウム多孔質体を得るには、平均比表面積が0.10〜0.50m2/gのアルミニウム粉末に対して、1.6〜19.2重量%(質量%)の熱硬化性樹脂系接着剤を配合して混合した混合物を圧力50〜300kg/cm2、1〜10分間プレス成形し、その後に予備加圧し、更に120℃〜200℃、1〜5時間熱処理して前記接着剤を硬化させる。
上記のようにして作製されたアルミニウム多孔質体は、例えば気体,液体等のフィルタや吸音板等に利用されている。
特開平9−19966号公報(特許請求の範囲、段落0005,0008、図1,図5,図6)
しかしながら、特許文献1に記載のアルミニウム多孔質体は、気体,液体等のフィルタや吸音板等に利用されるため、熱の影響を受ける部品や装置等例えば各種電子モジュール部品において考慮される熱伝導率やヤング率等については言及されていない。
また、特許文献1記載の製造方法においては、アルミニウム粉末に熱硬化性樹脂系接着剤を配合した混合物をプレス成形し、予備加熱した後、熱処理して接着剤を硬化させるため、製造工程が多くなるという問題があった。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたのもので、熱伝導率を必要とする熱部位部材同士の緩衝材として有用な熱応力緩和機能を有する、高熱伝導率及び低ヤング率が得られるアルミニウム多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、純度99.0%以上のアルミニウム粉末の固化助剤を含まない固化成形材であって、室温での熱伝導率が、相対密度で70%から75%の範囲の場合50〜69W/(m・K)、相対密度76%から80%の範囲の場合62〜84W/(m・K)、相対密度81%から85%の範囲の場合75〜93W/(m・K)、相対密度で86%〜90%の範囲の場合89〜1 3 5W/ (m・K)、相対密度で91%〜95%の範囲の場合130〜178W/(m・K)、相対密度で96%〜98%の範囲の場合170〜230W/(m・K)、であることを特徴とする。
ここで、アルミニウムとはアルミニウム合金を含む意味である。また、ここで、アルミニウム粉末の純度を99.0%以上としたのは、この範囲の下限を外れると、熱伝導率が著しく低下するからである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のアルミニウム多孔質体において、純度99.0%以上のアルミニウム粉末の固化助剤を含まない固化成形材であって、室温でのヤング率が、相対密度で70%から75%の範囲の場合15〜28GPa、相対密度76%から80%の範囲の場合25〜34GPa、相対密度81%から85%の範囲の場合30〜39GPa、相対密度で86%〜90%の範囲の場合35〜45GPa、相対密度で91%〜95%の範囲の場合42〜59GPa、相対密度で96%〜98%の範囲の場合54〜73GPa、であることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のアルミニウム多孔質体において、上記アルミニウム粉末の平均粒径が10〜40μmであることを特徴とする。
ここで、アルミニウム粉末の平均粒径を10〜40μmとしたのは、平均粒径を40μmより大きい、例えば45〜100μmとした場合に比べ、多孔質体の密度のバラツキが少ないからである。また、平均粒径が10μm未満では、アルミニウム粉末が高価であり、また酸化皮膜が強固に存在することから焼結性及び熱伝導性を妨げる要因となる。更に、凝集が起こり粉末を均一に充填することが容易ではないからである。
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミニウム多孔質体の製造方法であって、純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を室温で加圧成形し、加圧成形された成形体を100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、焼結が進行する500〜600℃の高温で多孔質体を作製することを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミニウム多孔質体の製造方法であって、純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を成形型中に充填し、圧力20MPa以上で圧縮し、上記成形型を昇温するとともに100〜450℃で真空脱ガス処理と470〜580℃の高温での処理で多孔質体を作製することを特徴とする。
この発明によれば、熱応力緩和機能を有する高熱伝導率及び低ヤング率のアルミニウム多孔質体を得ることができる。
以下に、この発明の最良の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、この発明に係るアルミニウム多孔質体の製造方法の第1実施形態の工程を示すフローチャートである。
図1は、この発明に係るアルミニウム多孔質体の製造方法の第1実施形態の工程を示すフローチャートである。
この発明に係るアルミニウム多孔質体を作製するためには、まず、純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム急冷凝固粉末(原料)を作製する(ステップ1−1)。この場合、急冷凝固粉末は、例えばアトマイズ法,メルトスピニング法,回転円盤法,回転電極法等の公知の製造方法で行えばよく、この発明では、工業生産に適しているという点でアトマイズ法(特に、ガスアトマイズ法)が適している。
次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を冷間静水成形(CIP)にて加圧成形(ステップ1−2)し、この加圧成形によって成形された成形体を、100〜450℃にて真空脱ガス処理(ステップ1−3)し、更に、500〜600℃の高温で焼結する(ステップ1−4)。
その結果、後述する表1に示すように、室温での熱伝導率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合47〜230W/(m・K)であり、室温でのヤング率が、相対密度で70%〜98%の範囲の場合19〜73GPaであるアルミニウム多孔質体を得ることができる。
<第2の実施形態>
この発明に係るアルミニウム多孔質体を得る別の製造方法として以下の方法を採用することができる。この別の製造方法は、図2に示すように、まず、第1の実施形態と同様に、純度99.0%以上で、平均粒径を10〜40μmであるアルミニウム急冷凝固粉末(原料)をガスアトマイズ法にて作製する(ステップ2−1)。
この発明に係るアルミニウム多孔質体を得る別の製造方法として以下の方法を採用することができる。この別の製造方法は、図2に示すように、まず、第1の実施形態と同様に、純度99.0%以上で、平均粒径を10〜40μmであるアルミニウム急冷凝固粉末(原料)をガスアトマイズ法にて作製する(ステップ2−1)。
次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を成形金型中に充填し、パンチで圧力20MPa以上で圧縮する(ステップ2−2)。次に、真空度10Pa以下の真空雰囲気下で、100〜450℃にて真空脱ガス処理(ステップ2−3)し、更に、電圧を印加して電流1000〜5000アンペア,昇温速度10〜300℃/分,焼結温度470〜580℃,保持時間1分以上の通電加圧焼結する(ステップ2−4)。
その結果、後述する表5に示すように、室温での熱伝導率が、相対密度で70〜98%の範囲の場合47〜230W/(m・K)であり、室温でのヤング率が、相対密度で70%〜98%の範囲の場合20〜73GPaであるアルミニウム多孔質体を得ることができる。
次に、上述したこの発明に係るアルミニウム多孔質体の製造方法によって作製されたアルミニウム多孔質体の特性について詳細に説明する。アルミニウム多孔質体の各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)平均粒径 商品名「マイクロトラック」(日機装(株)製)を使用し、レーザー回折式粒度分布測定法により実施した。平均粒径はメジアン径である。
(2)熱伝導率 レーザーフラッシュ法にて測定した。
(3) 密度 試験片をアルキメデス法にて測定した。
<実施例1>
純度99.2%で、平均粒径を30μmであるアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製する。次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を冷間静水成形(CIP)にて加圧成形し、この加圧成形された成形体を、100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、500〜600℃の高温で焼結して、密度1.89〜2.65g/cm3及び実測相対密度70〜98%の範囲内にあるランダムに抽出した12種類のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表1に示す結果が得られた。なお、熱伝導率及びヤング率の測定値は、複数回測定した結果の最低値と最高値である。
純度99.2%で、平均粒径を30μmであるアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製する。次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を冷間静水成形(CIP)にて加圧成形し、この加圧成形された成形体を、100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、500〜600℃の高温で焼結して、密度1.89〜2.65g/cm3及び実測相対密度70〜98%の範囲内にあるランダムに抽出した12種類のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表1に示す結果が得られた。なお、熱伝導率及びヤング率の測定値は、複数回測定した結果の最低値と最高値である。
<比較例1>
次に、上記実施例1で得られたアルミニウム多孔質体の純度又は平均粒径から外れたアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製したもの又は上記真空脱ガスを行わなかったものを焼結して代表例として、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表2〜表4に示すような結果が得られた。
次に、上記実施例1で得られたアルミニウム多孔質体の純度又は平均粒径から外れたアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製したもの又は上記真空脱ガスを行わなかったものを焼結して代表例として、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表2〜表4に示すような結果が得られた。
上記実施例1で得られた試料(実施例1−A,1−H,1−L)と比較例1で得られた試料(比較例1−A〜1−I)とを比較したところ、以下のような結果が得られた。
すなわち、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%(実施例1−A)のものは、純度が98.7%(比較例1−A)に比べて、熱伝導率が30〜40W/(m・K)高く、ヤング率が15〜9GPa低いことが判った。また、平均粒径が45μm(比較例1−B)に比べて、熱伝導率が25〜35W/(m・K)高く、ヤング率が20〜14GPa低いことが判った。また、真空脱ガスを行わなかったもの(比較例1−C)に比べて、熱伝導率が27〜37W/(m・K)高く、ヤング率が18〜12GPa低いことが判った。
また、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%(実施例1−H)のものは、純度が98.7%(比較例1−D)に比べて、熱伝導率が35〜40W/(m・K)高く、ヤング率が19〜15GPa低いことが判った。また、平均粒径が45μm(比較例1−E)に比べて、熱伝導率が23〜30W/(m・K)高く、ヤング率が23〜19GPa低いことが判った。また、真空脱ガスを行わなかったもの(比較例1−F)に比べて、熱伝導率が28〜35W/(m・K)高く、ヤング率が21〜17GPa低いことが判った。
また、また、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%(実施例1−L)のものは、純度が98.7%(比較例1−G)に比べて、熱伝導率が30〜44W/(m・K)高く、ヤング率が19〜16GPa低いことが判った。また、平均粒径が45μm(比較例1−H)に比べて、熱伝導率が24〜38W/(m・K)高く、ヤング率が22〜19GPa低いことが判った。また、真空脱ガスを行わなかったもの(比較例1−I)に比べて、熱伝導率が26〜40W/(m・K)高く、ヤング率が20〜17GPa低いことが判った。
なお、上記比較評価では実測相対密度が70%(実施例1−A),90%(実施例1−H),98%(実施例1−L)について行ったが、上記以外の実測相対密度の場合についても同様に高熱伝導率及び低ヤング率が得られると推測できる。
上記比較実験より明らかなように、上記第1実施形態によって作製されたアルミニウム多孔質体によれば、高熱伝導率及び低ヤング率の熱応力緩和機能を有する。
<実施例2>
純度99,2%以上で、平均粒径を30μmであるアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製する。次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を成形金型中に充填し、パンチで圧力20MPa以上で圧縮し、真空度10Pa以下の真空雰囲気下で、100〜450℃にて脱ガス処理し、電圧を印加して電流2000アンペア,昇温速度10〜300℃/分,焼結温度470〜580℃,保持時間1分以上で通電加圧焼結して、密度1.89〜2.65g/cm3及び実測相対密度70〜98%の範囲内にあるランダムに抽出した12種類のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表5に示す結果が得られた。なお、熱伝導率及びヤング率の測定値は、複数回測定した結果の最低値と最高値である。
純度99,2%以上で、平均粒径を30μmであるアルミニウム急冷凝固粉末をガスアトマイズ法にて作製する。次に、上記アルミニウム急冷凝固粉末を成形金型中に充填し、パンチで圧力20MPa以上で圧縮し、真空度10Pa以下の真空雰囲気下で、100〜450℃にて脱ガス処理し、電圧を印加して電流2000アンペア,昇温速度10〜300℃/分,焼結温度470〜580℃,保持時間1分以上で通電加圧焼結して、密度1.89〜2.65g/cm3及び実測相対密度70〜98%の範囲内にあるランダムに抽出した12種類のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表5に示す結果が得られた。なお、熱伝導率及びヤング率の測定値は、複数回測定した結果の最低値と最高値である。
<比較例2>
次に、上記実施例2の純度(99.2%)と平均粒径(30μm)が同じアルミニウム急冷凝固粉末を使用し、上記アルミニウム急冷凝固粉末を成形金型中に充填し、パンチ圧力を15MPa及び20MPaで圧縮する場合と、電圧を印加して電流1000アンペア,2000アンペア及び7000アンペアで焼結して代表例として、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表6〜表8に示すような結果が得られた。
次に、上記実施例2の純度(99.2%)と平均粒径(30μm)が同じアルミニウム急冷凝固粉末を使用し、上記アルミニウム急冷凝固粉末を成形金型中に充填し、パンチ圧力を15MPa及び20MPaで圧縮する場合と、電圧を印加して電流1000アンペア,2000アンペア及び7000アンペアで焼結して代表例として、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%のアルミニウム多孔質体を作製し、それぞれ試験片(試料)を採取し、熱伝導率とヤング率を測定したところ、表6〜表8に示すような結果が得られた。
上記実施例2で得られた試料(実施例2−A,2−H,2−L)と比較例2で得られた試料(比較例2−A〜2−I)とを比較したところ、以下のような結果が得られた。
すなわち、密度1.89g/cm3及び実測相対密度70%(実施例2−A)のものは、パンチ圧力15MPaのもの(比較例2−A)に比べて、熱伝導率が33〜43W/(m・K)高く、ヤング率が23〜17GPa低いことが判った。また、電流1000アンペアのもの(比較例2−B)に比べて、熱伝導率が28〜38W/(m・K)高く、ヤング率が21〜15GPa低いことが判った。また、電流7000アンペアのもの(比較例2−C)に比べて、熱伝導率が31〜41W/(m・K)高く、ヤング率が26〜20GPa低いことが判った。
また、密度2.43g/cm3及び実測相対密度90%(実施例2−H)のものは、パンチ圧力15MPaのもの(比較例2−D)に比べて、熱伝導率が30〜35W/(m・K)高く、ヤング率が19〜15GPa低いことが判った。また、電流1000アンペアのもの(比較例2−E)に比べて、熱伝導率が29〜34W/(m・K)高く、ヤング率が17〜13GPa低いことが判った。また、電流7000アンペアのもの(比較例2−F)に比べて、熱伝導率が28〜33W/(m・K)高く、ヤング率が23〜19GPa低いことが判った。
また、密度2.65g/cm3及び実測相対密度98%(実施例2−L)のものは、パンチ圧力15MPaのもの(比較例2−G)に比べて、熱伝導率が33〜46W/(m・K)高く、ヤング率が19〜16GPa低いことが判った。また、電流1000アンペアのもの(比較例2−H)に比べて、熱伝導率が28〜41W/(m・K)高く、ヤング率が16〜13GPa低いことが判った。また、電流7000アンペアのもの(比較例2−I)に比べて、熱伝導率が30〜43W/(m・K)高く、ヤング率が21〜18GPa低いことが判った。
なお、上記比較評価では実測相対密度が70%(実施例2−A),90%(実施例2−H),98%(実施例2−L)について行ったが、上記以外の実測相対密度の場合についても同様に高熱伝導率及び低ヤング率が得られると推測できる。
上記比較実験より明らかなように、上記第2実施形態によって作製されたアルミニウム多孔質体によれば、高熱伝導率及び低ヤング率の熱応力緩和機能を有する。
上記のように構成されるこの発明に係るアルミニウム多孔質体は、高熱伝導率及び低ヤング率の熱応力緩和機能を有するので、例えば各種電子モジュール部品における放熱板等の緩衝材として利用できる。すなわち、例えば半導体デバイスを実装したセラミック板とアルミニウム製放熱板との間にこの発明に係るアルミニウム多孔質体にて形成される緩衝材をはんだやねじ等の固定手段によって固着して、セラミックとアルミニウムの熱膨張差による変形を吸収することができる。
Claims (5)
- 純度99.0%以上のアルミニウム粉末の固化助剤を含まない固化成形材であって、室温での熱伝導率が、相対密度で70%から75%の範囲の場合50〜69W/(m・K)、相対密度76%から80%の範囲の場合62〜84W/(m・K)、相対密度81%から85%の範囲の場合75〜93W/(m・K)、相対密度で86%〜90%の範囲の場合89〜135W/ (m・K)、相対密度で91%〜95%の範囲の場合130〜178W/(m・K)、相対密度で96%〜98%の範囲の場合170〜230W/(m・K)、であることを特徴とするアルミニウム多孔質体。
- 請求項1記載のアルミニウム多孔質体において、
純度99.0%以上のアルミニウム粉末の固化助剤を含まない固化成形材であって、室温でのヤング率が、相対密度で70%から75%の範囲の場合15〜28GPa、相対密度76%から80%の範囲の場合25〜34GPa、相対密度81%から85%の範囲の場合30〜39GPa、相対密度で86%〜90%の範囲の場合35〜45GPa、相対密度で91%〜95%の範囲の場合42〜59GPa、相対密度で96%〜98%の範囲の場合54〜73GPa、であることを特徴とするアルミニウム多孔質体。 - 請求項1又は2に記載のアルミニウム多孔質体において、
上記アルミニウム粉末の平均粒径が10〜40μmであることを特徴とするアルミニウム多孔質体。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミニウム多孔質体の製造方法であって、
純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を室温で加圧成形し、加圧成形された成形体を100〜450℃にて真空脱ガス処理し、更に、焼結が進行する500〜600℃の高温で多孔質体を作製することを特徴とするアルミニウム多孔質体の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミニウム多孔質体の製造方法であって、
純度99.0%以上で、平均粒径が10〜40μmであるアルミニウム粉末を成形型中に充填し、圧力20MPa以上で圧縮し、上記成形型を昇温するとともに100〜450℃で真空脱ガス処理と470〜580℃の高温での処理で多孔質体を作製することを特徴とするアルミニウム多孔質体の製造方法。
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2008
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