JP2009263284A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロピオン酸の副生を抑えつつアクリル酸を得ることができ、かつ、高い選択率でアクリル酸を製造できるグリセリンからのアクリル酸の製造方法の提供。
【解決手段】リン酸のホウ素塩および/または亜鉛塩を有する触媒とグリセリンとの共存下においてグリセリンを脱水させてアクロレイン含有組成物を製造し、得られたアクロレインを酸化してアクリル酸含有組成物を製造する。グリセリンの脱水に使用する触媒におけるリン酸のホウ素塩および/または亜鉛塩が結晶構造を有すると、その塩に付着する炭素状物質の付着量を低減でき、アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去するとアクリル酸の収率を高めることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリセリンからアクロレインを製造し、このアクロレインからアクリル酸を製造するアクリル酸の製造方法に関するものである。
バイオディーゼルは、使用時の二酸化炭素排出量が少ない、化石燃料の代替燃料にできるなどの理由から注目されている。植物油のエステル交換反応によってバイオディーゼルが得られるが、その反応ではグリセリンが副生することが知られており、バイオディーゼルの需要および生産量が年々増加していることに伴い、グリセリンの副生量も増加している。このような背景下においては、グリセリンの有効利用が望まれる。
アクロレインはグリセリンの分子内脱水反応によって得られる化合物であり、アクリル酸はアクロレインを酸化することにより得られる化合物である。そして、アクリル酸からアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、吸水性樹脂などのアクリル酸誘導体を製造することが可能であり、グリセリンからアクリル酸を製造することはアクリル酸誘導体の原料用途にまでグリセリンの利用範囲を拡張するものとなるから、グリセリンの有効利用を実現し、また、バイオディーゼル製造における副生物の利用範囲を拡張するので、バイオディーゼル製造の経済的価値を高める。
上記の通りグリセリンからアクリル酸を製造することが公知となっており(例えば、特許文献1参照)、特許文献2には、グリセリンからのアクロレインの製造に際して、アリルアルコール、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドが副生することが示されている。また、本出願人の国際特許出願に係る特許文献3には、グリセリンからアクロレインを製造する際にリン酸の亜鉛塩、リン酸のホウ素塩などのリン酸の金属塩を触媒として使用可能であることが開示されている。
ところで、アクリル酸から吸水性樹脂などの樹脂を製造する場合、プロピオン酸を含むアクリル酸を原料に使用すると、樹脂の不純物として含まれることになったプロピオン酸が樹脂の臭気原因になってしまう。この臭気を抑えるためには、アクリル酸からプロピオン酸を除去することも一つの手段であるが、プロピオン酸の副生を抑えつつアクリル酸を製造することも望まれる。また、一定量のグリセリンから高収率でアクリル酸を製造するためには、高選択率でアクリル酸を製造できることが望まれる。
特開2005−213225号公報 特開平6−211724号公報 WO2007/119528号公報
本発明は、上記事情に鑑み、プロピオン酸の副生を抑えつつアクリル酸を得ることができ、かつ、高い選択率でアクリル酸を製造できるグリセリンからのアクリル酸の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、アクリル酸に対するプロピオン酸の生成比率を低減するべくプロピオン酸の前駆体であるプロピオンアルデヒドの生成比率の低減について鋭意検討を重ねた結果、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を有する触媒をグリセリンと共存させれば、プロピオンアルデヒドの選択率を低く抑えてアクロレインを生成させることができる知見を得た。また、同触媒をグリセリンと共存させれば、アクリル酸の前駆体であるアクロレインの選択率が高い知見を得た。これらの知見から、本発明に係るアクリル酸の製造方法を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るアクリル酸の製造方法は、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を有する触媒と、グリセリンとの共存下においてグリセリンを脱水させてアクロレイン含有組成物を製造する脱水工程と、前記脱水工程で得られたアクロレインを酸化してアクリル酸含有組成物を製造する酸化工程とを有することを特徴とする。
前記脱水工程の触媒におけるリン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩が、結晶構造を有することが好ましい。そのホウ素塩および/または亜鉛塩が結晶を有していると、その塩表面への炭素質物質の付着を抑制することができ、その触媒の活性持続期間が長くなる。また、前記脱水工程において、前記触媒とグリセリンガスとを接触させる気相脱水反応によりグリセリンを脱水させることが、工業的な脱水工程になるので好適である。前記触媒におけるリン酸のホウ素塩およびリン酸の亜鉛塩は、50質量%以上であると良い。
本発明に係るアクリル酸の製造方法は、前記脱水工程と酸化工程との間に、前記アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去するアクロレイン精製工程を有することが好適である。このアクロレイン精製工程を有していれば、より収率良くアクリル酸を製造することができる。
また、本発明に係るアクリル酸の製造方法は、前記酸化工程の後に、アクリル酸含有組成物を冷却して析出したアクリル酸を回収することにより、アクリル酸含有組成物からプロピオン酸を除去するアクリル酸精製工程を有することが好適である。この精製工程によって、プロピオン酸がより低減されたアクリル酸含有組成物が得られる。
本発明に係る触媒は、本発明に係るアクリル酸の製造方法における脱水工程に使用され、かつ、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を有する。
本発明に係るアクリル酸の製造方法を使用してアクリル酸を製造し、アクリル酸誘導体を製造できる。ここで、「アクリル酸誘導体」とは、アクリル酸を原料とする化合物であり、例えば、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、および吸水性樹脂が挙げられる。
プロピオンアルデヒドを酸化すればプロピオン酸になるが、本発明に係るアクリル酸の製造方法によれば、脱水工程で生成するアクロレインの選択率に対するプロピオンアルデヒドの選択率の比を小さく抑えることができるので、グリセリンが脱水工程および酸化工程を経ることによって生成するアクリル酸の選択率に対するプロピオン酸の選択率の比も小さくできる。
また、本発明によれば、脱水工程で生成するアクロレインの選択率が高いので、グリセリンが脱水工程および酸化工程を経ることによって生成するアクリル酸の選択率が高くなる。
本発明を実施形態に基づき説明する。本実施形態に係るアクリル酸の製造方法は、グリセリンからアクロレイン含有組成物を製造する脱水工程と、脱水工程で得られたアクロレインからアクリル酸含有組成物を製造する酸化工程とを有する。そして、本実施形態のアクリル酸の製造方法は、アクリル酸をより収率良く得るため、脱水工程と酸化工程との間に、アクロレイン含有組成物から脱水工程での副生物を除去するアクロレイン精製工程を有する。また、本実施形態のアクリル酸の製造方法は、プロピオン酸量がより少ないアクリル酸含有組成物を得るため、酸化工程の後に、アクリル酸含有組成物を冷却して析出したアクリル酸を回収するアクリル酸精製工程を有する。
以下、工程順に各工程を説明する。
(脱水工程)
脱水工程では、グリセリンと触媒(以下、脱水工程における触媒を「触媒(I)」と称することがある。)とを共存させ、グリセリンの分子内脱水反応によりアクロレインを生成させる。その脱水反応においては、プロピオン酸、1−ヒドロキシアセトン、及びフェノールなどから選択された一種または二種以上の副生成物もアクロレインと共に生成する。本実施形態における「アクロレイン含有組成物」は、アクロレインとその副生成物を含有する。
触媒(I)は、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を触媒活性成分として有していれば、特に限定されない。触媒(I)に含まれる活性成分が多いほどアクリル酸の工業的生産に適するので、使用する触媒(I)の全量を100質量%としたとき、この触媒(I)に含まれるリン酸のホウ素塩およびリン酸の亜鉛塩は、50質量%以上が良く、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
触媒(I)は、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩が担体に担持されたものであっても良い。このときの担体としては、例えば、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2などの無機酸化物や複合酸化物;ゼオライトなどの結晶性メタロシリケート;ステンレス、アルミニウムなどの金属;が挙げられる。また、触媒(I)の形状は、特に限定されず、例えば球形、柱状、リング状、鞍状、ハニカム状、スポンジ状である。
リン酸のホウ素塩は特に限定されず、触媒(I)には当該塩の一種または二種以上が含まれていても良い。リン酸のホウ素塩としては、例えば、BPO4、B4(P27)3、B5(P310)3、B2410などが挙げられる。
上記のリン酸のホウ素塩は、結晶構造を有することが好適である。この結晶構造を有している場合には、連続的なグリセリンの脱水反応においても触媒(I)の活性低下の要因となるリン酸のホウ素塩への炭素質物質の付着が抑えられる。結晶構造は特に限定されず、例えば、正方晶である。
リン酸の亜鉛塩はリン酸との塩であれば特に限定されず、当該塩が一種または二種以上であっても良い。リン酸の亜鉛塩としては、例えば、Zn3(PO4)3、Zn227、Zn5(P310)2、Zn3410などが挙げられる。
上記のリン酸の亜鉛塩も、結晶構造を有することが好適である。この結晶構造を有している場合も、連続的なグリセリンの脱水反応においても触媒(I)の活性低下の要因となるリン酸の亜鉛塩への炭素質物質の付着が抑えられる。結晶構造は特に限定されず、例えば、単斜晶、斜方晶である。
リン酸のホウ素塩、リン酸の亜鉛塩は、市販されており、この市販の化合物を脱水工程で使用しても良い。また、沈殿法、共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法などの公知の触媒調製法で得られたリン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を脱水工程で使用することもできる。なお、共沈法は、二種以上のイオンを同時に沈殿させる方法であり、沈殿組成の制御が容易などの点において好適である。
リン酸のホウ素塩を調製するためのより具体的な例としては、H3BO3、HBO3、H424、H3BO2、H3BO、(NH4)2O・5B23・8H2Oなどから選択された一種または二種以上のホウ素源化合物と、H3PO4、H227、H5310、H6410などから選択された一種または二種以上のリン酸とを使用して調製された水溶液を加熱すると良い。ホウ素源化合物の使用量およびリン酸の使用量は、特に限定されない。
他方のリン酸の亜鉛塩を調製するためのより具体的な例としては、Zn(NO3)2、ZnCO3、Zn(OH)2、ZnCl2、Zn(CH3COO) 3などの無機酸塩および有機酸塩から選択された一種または二種以上の亜鉛源化合物と、H3PO4、H227、H5310、H6410などから選択された一種または二種以上のリン酸とを使用し、水中でリン酸の亜鉛塩を形成させると良い。亜鉛源化合物の使用量およびリン酸の使用量は、特に限定されない。
上記リン酸の亜鉛塩を形成させるには、例えば、(1)亜鉛源化合物とリン酸を使用して調製した水溶液にアルカリ性化合物を添加してリン酸の亜鉛塩を生成させる共沈法、(2)亜鉛源化合物を使用して調製した水溶液にアルカリ性化合物を添加して当該水溶液中に亜鉛の水酸化物を生成させた後に、リン酸を添加するゾルゲル法、が挙げられる。ここで「アルカリ性化合物」とは、水に溶解させたときに当該溶媒がアルカリ性になる化合物であり、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ピリジン;炭酸アンモニウム;尿素;等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物などをアルカリ性化合物として使用しても良いが、アルカリ金属が触媒(I)に残存すると触媒(I)の性能に悪影響を与えることがあるため、前記例示した化合物はアルカリ性化合物として好ましく、アンモニアが特に好ましい。
アルカリ性化合物の添加量は、添加される水溶液のpHを2〜13にする量であると良く、pHを4〜11にする量が好ましく、pHを7〜9にする量がより好ましい。アルカリ性化合物の添加においては、アルカリ性化合物を一定速度で徐々に添加しても良く、アルカリ性化合物を一括で添加しても良いが、リン酸の亜鉛塩の粒径を均一化させるためには前者の徐々に添加することが好適である。アルカリ性化合物を添加する際の水溶液の温度は、特に限定されないが、揮発性のアルカリ性化合物を選択した場合にその化合物の揮発によるpH調整の困難性、およびリン酸の亜鉛塩の生成再現性を考慮すれば、1〜50℃が通常であり、20〜40℃が良い。アルカリ性化合物の添加が終了した後には、塩の粒子の大きさを均一化させるため、そのまま放置することが好適である。
結晶構造を有するリン酸のホウ素塩、リン酸の亜鉛塩を得るためには当該塩を焼成すると良いが、その塩に硝酸アンモニウムなどが大量に含まれている場合には、塩をそのまま焼成温度雰囲気に置くと発生する硝酸アンモニウムなどのガスが塩結晶の飛散や爆発を生じさせる恐れがある。そのため、焼成の際にその発生するガスを減少させるため、焼成前の塩を焼成温度よりも低い温度の雰囲気に置くことが好ましい。そのガス減少のためには、例えば、焼成前の塩を150〜230℃の空気雰囲気または150〜350℃の不活性ガス雰囲気に置くと良い。
焼成温度が高いほど結晶化が進む一般的な傾向があり、また、焼成時間が長いほど結晶化が進む一般的な傾向がある。グリセリンの分子内脱水反応におけるアクロレイン収率の極端な変化があるとアクリル酸を安定して製造することができないので、結晶構造の極端な変化がない焼成温度、時間であれば、その温度、時間は、特に限定されない。焼成条件は、例えば空気中で500〜1500℃、3〜15時間であり、600〜1400℃、3〜10時間であると良く、700〜1200℃、3〜5時間であると好ましい。
リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を担体に担持させる場合には、例えば、(1)リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩の原料を含ませた液を担体に含浸させ、加熱する含浸法、(2)担体を含有する液中でリン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を析出、または、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を析出させた液中に担体を添加する析出沈殿法、(3)リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩と、担体を混合する混練法、が挙げられる。
使用されるグリセリンは、特に限定されず、精製グリセリンおよび粗製グリセリンのいずれであっても良い。また、このグリセリンは、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、ナタネ油、オリーブ油、ごま油などの植物油のエステル交換反応で生じるグリセリン;魚油、牛脂、豚脂、鯨油などの動物性油のエステル交換反応で生じるグリセリン;などの天然資源由来のグリセリンであってもよい。また、エチレン、プロピレンなどから化学合成されたグリセリンであっても良い。
脱水工程は、グリセリンガスと触媒(I)との接触による気相脱水反応、および液状グリセリンと触媒(I)との接触による液相脱水反応のいずれの反応が生じるものであっても良い。以下、アクロレインの工業的生産性に優れた気相脱水反応を利用するアクロレインの製造方法を例に挙げて説明する。
グリセリンの気相脱水反応では、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等から任意に選択した反応器内でグリセリン含有ガスと触媒(I)を接触させる。
グリセリン含有ガスにおけるグリセリン濃度は特に限定されないが、グリセリン含有ガス中のグリセリン濃度を調整する必要がある場合、グリセリンからアクロレインを生成させる脱水反応に悪影響を与えない凝縮性ガスおよび非凝縮性ガスから選択された一種または二種以上のガスを、グリセリン含有ガスに希釈ガスとして含めてグリセリン濃度を調整する。希釈ガスを含むグリセリン含有ガスを調製するには、グリセリンと希釈ガス成分の溶液のガス化、または、グリセリンガスと希釈ガスとの混合を行なえば良い。
脱水工程でのアクロレインの選択率と収率をより高め、かつ、触媒(I)表面に付着する炭素質物質の量を低減して触媒(I)の寿命を向上させるためには、グリセリン含有ガス中のグリセリンガスの分圧を低く調整することが好適である。この収率等の向上のためには、グリセリンガスの分圧は30kPa以下が良く、25kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、15kPa以下が更に好ましい。アクロレインの収率と触媒(I)寿命の向上のみを考えればグリセリンの分圧は低いほど良いが、その分圧を実現するためにグリセリン含有ガスの圧力(全圧)を低下させた場合には、高気密性および耐減圧性を備えた反応器と大型減圧装置が必要となり、希釈ガスを大量に使用してその分圧を低下させた場合には、経済的ではない。この経済的な観点などから、グリセリンガスの分圧は0.01kPa以上が良く、1.0kPa以上が好ましく、2.0kPa以上がより好ましい。グリセリンガスの分圧は、反応器入口における圧力であり、グリセリン含有ガスに希釈ガスなどが含まれている場合の分圧は、反応器入口におけるグリセリン含有ガスの圧力(全圧)とグリセリンのモル濃度(モル%)とに基づいて算出される値である。
グリセリン含有ガスの圧力を任意に設定しなくとも、脱水工程でアクロレインが生成する。反応装置の気密性および耐圧力性能と触媒(I)性能とのバランスからその圧力を適宜設定することが通常であり、グリセリン含有ガスの圧力は、0.01kPa〜1MPaであると良く、0.1kPa〜500kPaが好ましく、1kPa〜300kPaがより好ましく、1kPa〜200kPaが更に好ましい。
希釈ガスを使用してグリセリン含有ガスのグリセリン濃度を調整する場合、当該希釈ガスとして使用できる凝縮性ガスは、沸点がアクロレインより高く、かつ、常圧条件で200℃以下の化合物のガスであり、例えば、水蒸気;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン化合物のガス;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンなどの芳香族化合物のガス;が挙げられる。水蒸気を選択した場合には、触媒(I)の寿命とアクロレインの収率が向上する。グリセリン含有ガスを昇温および/または冷却する際のエネルギー消費量を抑えると共に、アクロレインと凝縮性ガスとの分離費用を抑えるには、グリセリン含有ガスにおける凝縮性ガスの濃度を80モル%以下にすると良く、40モル%以下するのが好ましく、10モル%以下にすることがより好ましい。また、凝縮性ガスの分圧は、当該ガスの発生と反応器から流出した凝縮性ガスの凝縮とに必要なエネルギー、廃水処理の観点から、グリセリンガスの分圧の5倍以下が好適であり、4倍以下がより好適であり、1倍以下が最適である。
グリセリン含有ガスの希釈ガスとして使用される非凝縮性ガスは、沸点が常圧条件で0℃以下の化合物や単体のガスであり、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気などの酸素含有ガス、ヘリウムなどの希ガスが挙げられる。酸素を選択した場合には、触媒(I)表面上への炭素質物質の付着量が軽減される。グリセリン含有ガスにおける非凝縮性ガスの濃度は、40モル%以下にすると良く、グリセリン含有ガスを昇温および/または冷却する際のエネルギー消費量を抑えると共に、アクロレインの液化回収時での当該アクロレインの飛散ロスを低減するには、グリセリン含有ガスにおける非凝縮性ガスの濃度を10モル%以下にすると良く、8モル%以下にするのが好ましく、5モル%以下にするのがより好ましい。また、非凝縮性ガスの分圧は、グリセリンガスの分圧の2倍以下が良く、1倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましい。なお、酸素を希釈ガスとして使用する場合には、グリセリン含有ガス中の酸素の量は、燃焼反応によるアクロレイン収率の低下を避けるために、20モル%以下(より好ましくは15モル%以下)、およびグリセリンガス分圧の3.5倍以下となる量のいずれか低い値以下であると好ましい。
反応器内へのグリセリン含有ガス流量は、単位触媒(I)容積あたりのグリセリン含有ガス流量(流量:GHSV)で表すと、10〜30000hr-1が通常であり、30〜20000hr-1が良く、50〜12000hr-1が好ましく、70〜10000hr-1がより好ましく、100〜5000hr-1が更に好ましい。経済的かつ高効率でアクロレインを生成させるためには、3000hr-1以下が良い。グリセリン含有ガスのGHSVは、反応器入口におけるグリセリン含有ガスの流量自体を基準にして決定されるものであり、次述のグリセリンガスのGHSVとはその決定方法において異なる(グリセリン含有ガス中のグリセリンが100モル%である場合には、後記のグリセリンガスのGHSVを採用する。)。
グリセリンガスのGHSVは、(グリセリン含有ガス中のグリセリンの質量比)×(触媒(I)1Lおよび1時間あたりのグリセリン含有ガスの質量)×(理想気体の標準状態における体積)/(グリセリンの分子量)を算出した値である。例えば、グリセリン含有量が90質量%のグリセリン含有ガスを、1000g・hr-1の流量で触媒(I)1Lを備える反応器内に供給した場合、グリセリンガスのGHSVは、0.9×1000g・hr-1・L-1×22.4L÷92.06g=219hr-1である。このグリセリンガスのGHSVは、反応器の小型化などの経済性、触媒(I)寿命、およびアクロレインの生産効率などの工業的観点を考慮すれば、70〜3650hr-1が通常であり、80〜2400hr-1が良く、100〜1200hr-1が好ましく、125〜1200hr-1がより好ましく、125〜600hr-1が更に好ましい。
グリセリンの気相脱水反応では、その反応温度が低すぎたり高すぎたりするとアクロレインの収率が低下することになってしまうので、反応温度は、200〜500℃が良く、250〜450℃が好ましく、300〜450℃がより好ましく、350〜400℃が更に好ましい。ここで、気相脱水反応における「反応温度」とは、反応器の温度制御を行なうための熱媒等の設定温度を意味する。
グリセリンの気相脱水反応によりアクロレイン含有組成物が得られる。このアクロレイン含有組成物中のアクロレインを一時的に回収する必要がある場合には、例えば、冷却してアクロレインを液化させる方法や、水等の溶剤にアクロレインを吸収させる方法を用いれば良い。また、この回収において希釈ガスが排気される場合には、その排気された希釈ガスの一部または全部を、反応器に導入するグリセリン含有ガスの希釈ガスとして再利用しても良い。
グリセリンの分子内脱水反応では、得られたアクロレイン含有組成物に未反応グリセリンが含まれている場合があり(気相脱水反応、液相脱水反応のいずれにおいても同様である。)、また、気相脱水反応を継続させると、工業的に適さない程度にまで触媒(I)の活性が低下することになる。
未反応グリセリンについては、アクロレイン含有組成物から回収して、脱水工程で再度使用することが好ましい。この再使用により一定量のグリセリンから得られるアクロレイン量を多くすることができ、一定量のグリセリンから得られるアクリル酸の量も多くすることができる。なお、グリセリンは、アクロレイン含有組成物中に含まれている化合物の中でも沸点が高いので、凝縮などにより回収容易である。
触媒(I)の活性低下については、触媒(I)を再生すればその触媒活性を実用的なレベルにまで高めることができる。再生用ガスと触媒(I)とを高温で接触させれば、触媒(I)表面に付着した炭素質物質を除去して触媒(I)を再生することができる。
上記「再生用ガス」とは、酸化性ガスを含むガスであり、酸化性ガスとしては、例えば酸素、酸素を含む空気である。また、窒素、二酸化炭素、水蒸気等の触媒再生反応において不活性なガスを再生用ガス中に含ませても良く、酸素と触媒(I)との接触により急激な発熱が懸念される場合には、その急激な発熱を抑制するためにも不活性ガスを再生用ガスに含ませることが推奨される。
再生用ガスと触媒(I)とを接触させる方法は、再生用ガスと反応器から取り出した触媒(I)とを接触させる方法;グリセリンの脱水反応後の反応器内に再生用ガスを流通させる方法;等、特に限定されない。後者の反応器内に再生用ガスを流通させる方法は、反応器からの触媒(I)の取り出しと、反応器内への触媒(I)の再充填とを省略できるので好適である。
上記再生用ガスとの接触の際の温度は、炭素質物質を除去できる温度を適宜設定する。例えば反応器に再生用ガスを流通させる場合、反応器の温度制御を行なうための熱媒等の温度を330℃以上にすると良く、350℃以上にすると好ましく、その温度上限は、触媒(I)が熱劣化しない温度である。
(アクロレイン精製工程)
脱水工程で得られるアクロレイン含有組成物には、アクロレインとグリセリンの分子内脱水反応の副生成物が含まれる。プロピオンアルデヒドが副生物として含まれ、他の副生物としてフェノール、1−ヒドロキシアセトン、アリルアルコールなどが含まれることがある。アクロレイン精製工程では、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンをアクロレイン含有組成物から除去する。この除去を行なうことで、アクリル酸の収率をより高めることができる。1−ヒドロキシアセトンを除去した場合には、酸化工程における酢酸の副生が抑制される。
フェノールの除去によりアクリル酸の収率が高まるので、フェノールの除去量は多いほど良い。除去後のフェノール量は、アクロレインの質量(A)とフェノールの質量(Ph)との比(Ph/A)で表せば、Ph/Aが0.020以下であると良く、0.010以下であると好ましく、0.005以下であるとより好ましい。フェノールの除去量が多いほど好ましいが、この除去量を多くすることに伴って、アクロレインの損失量が増大する問題およびアクロレイン生成工程が煩雑になる問題が生じやすくなる。このことを考慮すれば、Ph/Aが1×10-9以上であると良く、好ましくは1×10-7以上、更に好ましくは1×10-5以上である。
また、1−ヒドロキシアセトンの除去によりアクリル酸の収率が高まるので、1−ヒドロキシアセトンの除去量は多いほど良い。除去後の1−ヒドロキシアセトンの量は、アクロレインの質量(A)と1−ヒドロキシアセトンの質量(H)との比(H/A)で表せば、H/Aが0.020以下であると良く、0.010以下であると好ましく、0.005以下であると更に好ましい。1−ヒドロキシアセトンの除去においても上記フェノール除去と同様のアクロレインの損失量の問題が生じる場合には、H/Aが1×10-9以上であると良く、好ましくは1×10-7以上、更に好ましくは1×10-5以上である。
アクロレイン(沸点:53℃程度)、フェノール(沸点:182℃程度)、及び1−ヒドロキシアセトン(沸点146℃程度)の沸点差を利用して、アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。そのためには、例えば、液状のアクロレインを蒸留塔で処理して除去目的物よりも低沸点のアクロレインを分留する方法、ガス状のアクロレインを凝集塔で処理してアクロレインよりも高沸点の除去目的物を凝集する方法、蒸散塔内に導入したアクロレインにガスを吹き込んで除去目的物よりも低沸点のアクロレインを気化させる方法、を採用すると良い。また、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの冷却析出物を除去するなど、アクロレイン(融点:−87℃程度)、フェノール(融点:43℃程度)、1−ヒドロキシアセトン(融点:−17℃程度)の融点差を利用してアクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去しても良い。なお、アクロレイン(沸点:53℃程度、融点:−87℃)とプロピオンアルデヒド(沸点:48℃程度、融点:−81℃程度)の沸点差または融点差を利用して、アクロレイン含有組成物からプロピオンアルデヒドを除去することも可能であるが、それらの沸点および融点の差が小さいので、アクロレインの損失量が多くなってしまう。
(酸化工程)
酸化工程では、アクロレイン含有組成物中のアクロレインを酸化させることによりアクリル酸含有組成物が生成する。本実施形態の酸化工程は、工業的に好適な公知のアクロレインの気相酸化反応によるものである。
アクロレインの酸化によりアクリル酸を製造するには、アクロレイン含有組成物を含むガス(以下、「アクロレイン含有ガス」と称することがある。)と触媒(以下、酸化工程における触媒を「触媒(II)」と称することがある。)とを固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等から任意に選択した酸化反応器内に共存させ、200〜400℃でアクロレインを気相酸化することが好適である。なお、アクロレインの酸化反応に伴ってプロピオンアルデヒドからプロピオン酸が生成することになるが、本実施形態においては、アクロレイン含有組成物に含まれているプロピオンアルデヒドの量が低く抑えられているので、プロピオン酸の生成量は少ない。
触媒(II)は、アクロレイン、および分子状酸素又は分子状酸素を含有するガスを用いた接触気相酸化法によってアクリル酸を製造する場合に用いられる公知の触媒であれば、特に限定されない。例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、および酸化銅等の金属酸化物の混合物;金属酸化物の複合物;を例示することができる。これら例示した触媒(II)のうち、モリブデンおよびバナジウムが構成金属の主体となっているモリブデン−バナジウム系触媒が好適である。また、触媒(II)は、担体(例えば、ジルコニア、シリカ、アルミナ、およびこれらの複合物、並びに、炭化珪素)に前述の混合物および/または複合物を担持させたものであっても良い。
アクリル酸の製造で使用するアクロレイン含有ガスへの酸素添加量は、添加量が過剰の場合には燃焼が生じて爆発の危険を伴う恐れが生じるので、その上限値を適宜設定することになる。
気相酸化反応で製造されたアクリル酸含有組成物ガスを回収するためには、当該ガスを冷却または水等の溶剤に吸収させることが好適である。
(アクリル酸精製工程)
アクリル酸精製工程では、酸化工程で得られたアクリル酸含有組成物からプロピオン酸を除去する。酸化工程で得られたアクリル酸含有組成物に含まれているプロピオン酸量は、脱水工程で触媒(I)を使用しているので抑えられるが、よりプロピオン酸の量が少ないことが求められる場合にアクリル酸精製工程でのプロピオン酸の除去を行なう。
アクリル酸含有組成物からのプロピオン酸の除去は、当該組成物を冷却し、プロピオン酸よりも先に析出するアクリル酸を回収することにより行なわれる。プロピオン酸(沸点:141℃程度)とアクリル酸(沸点:141℃程度)の沸点はほぼ同じであるため、沸点差を利用してアクリル酸含有組成物からプロピオン酸を除去することは困難であるが、プロピオン酸(融点:−21℃程度)とアクリル酸(融点:12℃)の融点には大きな差があり、アクリル酸含有組成物からのアクリル酸の回収(プロピオン酸の除去)は容易である。プロピオン酸の除去を行なう際にアクリル酸含有組成物を冷却する温度は、−18〜10℃であると良く、−18〜4℃であると好ましく、−18〜0℃であるとより好ましい。なお、酢酸、アクロレイン、水などのプロピオン酸以外の不純物がアクリル酸含有組成物に含まれている場合には、当該不純物を蒸留などの公知の方法により除去した後、冷却によりプロピオン酸を除去するのが好ましい。
本実施形態に係るアクリル酸の製造方法は、以上の通りである。製造されたアクリル酸は、アクリル酸エステル、ポリアクリル酸等のアクリル酸誘導体の原料として使用可能であることは公知となっていることから、上記アクリル酸の製造方法を、アクリル酸誘導体の製造方法におけるアクリル酸製造工程にすることが可能である。
そして、得られたアクリル酸を使用してポリアクリル酸を製造する場合、水溶液重合法や逆相懸濁重合法を使用して、吸水性樹脂として使用することができるポリアクリル酸を製造することができる。ここで、水溶液重合法は、分散溶媒を使用せずにアクリル酸水溶液中のアクリル酸を重合する方法であり、米国特許公報第4625001号、4873299号、4286082号、4973632号、4985518号、5124416号、5250640号、5264495号、5145906号、および5380808号、並びに、欧州特許公報第0811636号、0955086号、および0922717号等に開示されている。また、逆相懸濁重合法は、単量体であるアクリル酸の水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、米国特許公報第4093776号、4367323号、4446261号、4683274号、および5244735号に開示されている。
(実験例)
以下に、本発明に係るアクロレインの製造方法を見出すに至った実験例の一部を示す。
各種触媒(I)を調製し、この触媒(I)を使用してアクロレインを製造した。実験例1〜4、および比較実験例1〜29における分析方法、触媒(I)表面の炭素状物質量の測定方法、触媒(I)の調製方法、アクロレインの製造(脱水工程)についての詳細は、以下の通りである。
(蛍光X線(XRF)分析)
PHILIPS社製蛍光X線分析装置「PW2404」を使用し、ガラスビード法により触媒(I)における金属原子(M原子)およびリン原子を分析した。M原子およびリン原子の定量は、予め調製した標準試料を使用して作成した検量線を用いて行なった。
(X線回折(XRD)分析)
リガク社製粉末X線回折装置「RINT−TTRIII」を使用し、次の条件で触媒(I)における結晶構造を分析した。
X線源:Cu
フィルタ:不使用
管電圧:50kV
管電流:300mA
発散スリット:1/3°
散乱スリット:1/2°
受光スリット:開放
走査範囲:5〜90°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:3.000°/sec
(炭素状物質量の測定)
熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を使用し、空気流通下に触媒(I)を置き、室温から900℃まで速度10℃/minで昇温させ、触媒(I)の質量変化をアクロレイン製造において触媒(I)に付着した炭素質物質の量として測定した。
(触媒(I)の調製)
以下の共沈法、ゾルゲル法、還流−濃縮、または市販のリン酸金属塩の焼成により触媒(I)を調製した。なお、触媒(I)の調製で使用した金属原子源化合物(M源化合物)の種類;金属原子源化合物、リン酸、およびアンモニア水の使用量;触媒(I)の調製における焼成温度;については、後記表1−1、1−2の通りとした。また、調製した触媒(I)のXRF分析結果から算出されたP/M(P:リン原子のモル数、M:金属原子のモル数);XRD分析結果である触媒組成および結晶構造;についても、後記表1−1、1−2に示す。
ゾルゲル法による触媒(I)の調製:
30℃の10質量%金属原子源化合物水溶液に、この水溶液を攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプ(日立製作所社製「L7110」)を使用して28質量%アンモニア水を3時間かけて一定滴速度で滴下した。この滴下後の溶液を攪拌しながら15時間放置して熟成させることにより触媒前駆体溶液Aを得た。触媒前駆体溶液Aに、この溶液Aを攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプを使用して85質量%H3PO4水溶液を3時間かけて一定速度で滴下した後、攪拌をしつつ15時間放置して熟成させることにより触媒前駆体溶液Bを得た。触媒前駆体溶液Bは、ゾル化またはゲル化していた。触媒前駆体溶液Bを0.005MPa、60℃の条件で脱水した後、空気雰囲気下、120℃、10時間の条件で乾燥した。次に、乾燥物を300℃の窒素雰囲気中に10時間置くことで、硝酸アンモニウムを熱分解させて乾燥物から離脱させた。その後の乾燥物を空気中で5時間かけて焼成することによりリン酸の金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.7〜2.0mmの篩を通過したものを触媒(I)とした。
共沈法による触媒の調製:
10質量%金属原子源化合物、85質量%リン酸水溶液を混合して30℃の透明な混合液を調製した。この混合液に、攪拌しながら、高速液体クロマトグラフ用ポンプを使用して28質量%アンモニア水を3時間かけて一定速度で滴下した(当該滴下開始当初から沈殿物が生じた。)。この滴下後の溶液を攪拌しながら15時間放置して熟成させ、生じた沈殿物を濾過分離し、空気雰囲気下、120℃、10時間の条件で乾燥した。次に、乾燥物を300℃の窒素雰囲気中に10時間置くことで、硝酸アンモニウムを熱分解させて乾燥物から離脱させた。その後の乾燥物を、空気中で5時間かけて焼成してリン酸の金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.75〜2.00mmの篩を通過したものを触媒(I)とした。
還流−濃縮による触媒(I)の調製:
10質量%金属原子源化合物水溶液と85質量%リン酸水溶液との混合液を、90℃、2時間の条件で還流した。還流後の混合液を0.005MPa、60℃の条件で脱水した後、空気雰囲気下、120℃、24時間の条件で乾燥した。次に、乾燥物を空気中で5時間かけて焼成することによりリン酸の金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.7〜2.0mmの篩を通過したものを触媒(I)とした。
市販のリン酸塩の焼成による触媒(I)の調製:
市販のリン酸塩を空気中で5時間かけて焼成することによりリン酸の金属塩結晶を得た。この結晶を粉砕して、目開き0.7〜2.0mmの篩を通過したものを触媒(I)とした。
Figure 2009263284
Figure 2009263284
(アクロレインの製造(脱水工程))
触媒(I)15mlを充填したステンレス製反応管(内径10mm、長さ500mm)を固定床反応器として準備し、この反応器を360℃の溶融塩浴に浸漬した。その後、反応器内に窒素を62ml/minの流量で30分間流通させた後、80質量%グリセリン含有ガス(グリセリン含有ガス組成:グリセリン27モル%、水34モル%、窒素39モル%)をGHSV640hr-1の流量で流通させた。反応器内にグリセリン含有ガスを流通させてから所定時間経過前から30分間、反応器から流出するアクロレイン含有組成物ガスを水に吸収させ、当該水における化合物を定量分析した。ここでの分析では、検出器にFIDを備えるガスクロマトグラフィ(GC)を使用し、内部標準法を採用した。
なお、TG−DTAを使用した触媒(I)表面上の炭素質物質の測定については、グリセリン含有ガス流通開始から7時間経過後の触媒(I)を試料とした。
グリセリンの転化率(GLY転化率)を下記式(1)に基づいて算出し、触媒(I)表面における炭素質物質の付着量を下記式(2)に基づいて算出した。アクロレイン(ACR)、プロピオンアルデヒド(PALD)、1−ヒドロキシアセトン(HDAC)、フェノール(PhOH)の選択率を下記式(3)に基づいて算出した。アクロレインの収率(ACR収率)については、下記式(4)に基づいて算出した。
Figure 2009263284
Figure 2009263284
Figure 2009263284
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グリセリンの転化率(GLY転化率)等を表2、3−1、3−2、4−1、4−2に示す。
Figure 2009263284
Figure 2009263284
Figure 2009263284
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表4−1、4−2の実験例と比較実験例を対比すると、(プロピオンアルデヒド(PALD)の選択率)/(アクロレイン(ACR)の選択率)×100については、実験例は殆どの比較実験例よりも低い。このことは、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を触媒(I)として使用すれば、プロピオン酸の前駆体であるプロピオンアルデヒドの選択率をアクロレインよりも大幅に低くしてアクロレインを製造できることを示している。つまり、本発明に係るアクリル酸の製造方法によれば、生成するアクリル酸の選択率に対するプロピオン酸の選択率の比も小さくできることを示しているのである。
また、表4−1、4−2の実験例と比較実験例を対比すると、アクロレインの選択率については、実験例は殆どの比較実験例よりも高い。このことは、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を触媒(I)として使用すれば、アクリル酸の選択率を高くすることができることを示している。
次に、本発明に係るアクロレインの製造方法において、アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去するアクロレイン精製工程を、脱水工程と酸化工程との間に設ければ、より高収率でアクリル酸を製造できることを見出すに至った実験例の一部を以下に示す。
触媒(II)およびアクロレイン含有組成物を使用してアクリル酸を製造した。実験例5、および比較実験例30〜32における触媒(II)、アクリル酸の製造(酸化工程)についての詳細は、以下の通りである。
(触媒(II)の調製)
加熱攪拌している水2500mlにパラモリブデン酸アンモニウム350g、メタバナジン酸アンモニウム116gおよびパラタングステン酸アンモニウム44.6gを溶解した後、三酸化バナジウム1.5gを添加した。これとは別に、加熱攪拌している水750mlに硝酸銅87.8gを溶解した後、酸化第一銅1.2gおよび三酸化アンチモン29gを添加した。これら2つの液を混合した後、担体である直径3〜5mmの球状α−アルミナ1000mlを加え、攪拌しながら蒸発乾固させて触媒(II)前駆体を得た。この触媒(II)前駆体を400℃で6時間焼成して触媒(II)を調製した。なお、触媒(II)において担体に担持されていた触媒活性成分の金属組成は、Mo126.11Cu2.3Sb1.2である。
(アクリル酸の製造(酸化工程))
触媒(II)20mlを充填したステンレス製反応管を固定床反応器として準備し、アクロレイン含有組成物ガスをGHSV2000hr-1の流量で流通させた。そして、流通開始から60〜80分の間に固定床反応器から流出したアクリル酸含有組成物ガスを捕集し、この成分をガスクロマトグラフィーで分析した。なお、アクロレイン含有組成物ガスは、水蒸気33.36容量部(実験例5);水蒸気33.18容量部、およびフェノール0.18容量部(比較実験例30);水蒸気33.00容量部、および1−ヒドロキアセトン0.36容量部(比較実験例31);または、水蒸気33.00容量部、およびアリルアルコール0.36容量部(比較実験例32);と、窒素54.4容量部、酸素10.44およびアクロレイン1.8容量部とを成分に有するガスとした。
アクロレインの転化率(ACR転化率)を下記式(5)に基づいて算出した。アクリル酸(AA)および酢酸(AcOH)の収率については、下記式(6)および(7)に基づいて算出した。
Figure 2009263284
Figure 2009263284
Figure 2009263284
実験例5、および比較実験例30〜32の結果を、表5に示す。
Figure 2009263284
表5に示す通り、フェノール(比較実験例30)または1−ヒドロキシアセトン(比較実験例31)を含むアクロレイン含有組成物ガスを使用した場合、これらの化合物が添加しなかった実験例5よりも、アクロレインの転化率(ACR転化率)、およびアクリル酸(AA)の収率が悪い。このことから、脱水工程と酸化工程の間に、アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去するアクロレイン精製工程を設ければ、アクリル酸の収率が高まることが言える。
なお、実験例5と比較実験例31から、1−ヒドロキシアセトンを除去した場合、酢酸の副生を抑制できると言える。

Claims (9)

  1. リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を有する触媒と、グリセリンとの共存下においてグリセリンを脱水させてアクロレイン含有組成物を製造する脱水工程と、
    前記脱水工程で得られたアクロレインを酸化してアクリル酸含有組成物を製造する酸化工程とを有することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
  2. 前記脱水工程の触媒におけるリン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩が、結晶構造を有する請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 前記脱水工程において、前記触媒とグリセリンガスとを接触させる気相脱水反応によりグリセリンを脱水させる請求項1または2に記載のアクリル酸の製造方法。
  4. 前記脱水工程の触媒におけるリン酸のホウ素塩およびリン酸の亜鉛塩が、50質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法。
  5. 前記脱水工程と酸化工程との間に、前記アクロレイン含有組成物からフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去するアクロレイン精製工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法。
  6. 前記酸化工程の後に、アクリル酸含有組成物を冷却して析出したアクリル酸を回収することにより、アクリル酸含有組成物からプロピオン酸を除去するアクリル酸精製工程を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱水工程で使用される触媒であって、リン酸のホウ素塩および/またはリン酸の亜鉛塩を有する触媒。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法を使用してアクリル酸を製造する工程を有するアクリル酸誘導体の製造方法。
  9. 前記アクリル酸誘導体が、吸水性樹脂である請求項8に記載のアクリル酸誘導体の製造方法。
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