JP2009254243A - 水域環境保全材料、およびその製造方法、並びに堆肥化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダム湖1の底に堆積した腐植物等の堆積物3を採取する腐植物採取工程と、採取した腐植物等の堆積物3を脱水して固形腐植物にする脱水処理工程と、脱水処理した固形腐植物を、イオン溶出性を備えた収容体内に収納する収容工程と、を経て製造することを特徴とする水域環境保全材料の製造方法である。
【選択図】図1
Description
一方、ダムにおいては、ダム湖の底に河川から流れ込んだ土砂や落葉などが堆積してしまい、これらの堆積物を除去することが必要であり、これを引き上げるために多大な労力を要するばかりでなく、引き上げた堆積物はヘドロ状になって発酵している場合も少なくなく、その始末にも困っていた。更には、ダム湖にはその流域から倒木などが流れ込み、これらの処理にも多大な労力を要していた。
さらにまた、前記固形腐植物を収納する収容体は、ココナッツヤシや麻などの植物繊維からなる袋体であることが望ましい。
採取した腐植物を脱水して固形腐植物にする脱水処理工程と、
脱水処理した固形腐植物を、イオン溶出性を備えた収容体内に収納する収容工程と、
を経て製造することを特徴とする水域環境保全材料の製造方法である。
採取した堆積物を脱水して固形腐植物にする脱水処理工程と、
脱水処理した固形腐植物を、イオン溶出性を備えた収容体内に収納する収容工程と、
を経て製造するので、水域環境保全材料を効率良く製造することができる。
なお、図1はダム湖の湖底から堆積した腐植物等の堆積物を採取する状態を示すダム湖の概略断面図、図2はダム湖の平面図、図3は採取した腐植物等の堆積物を脱水処理する工程を示す説明図、図9は水域環境保全材料を設置する状態を示す説明図である。
図1に示すように、ダム湖1の底には、河川から流れ込んだ土砂や落ち葉などの有機物が堆積している。そして、土砂などの鉱物は、ダム湖1に流れ込んで流速が緩やかになると比重が大きいので比較的早く沈殿し、また、粒径の大きなものの方が早く沈む。したがって、これらはダム湖1の河川流れ込み領域などダム堤体2から遠い地点に堆積し勝ちである。一方、落ち葉や小枝などは比重が小さいのでダム湖1に流れ込んだ後も沈み難いためにダム湖1中を漂ってからダム堤体2近くに沈殿する。このため、本発明で使用する腐植物は、ダム堤体2近くの湖底から採取することが望ましい。そして、ダム湖1の底、特にダム堤体2近くの湖底では山野で育った落ち葉や小枝などの有機物が水中で空気に触れない状態で堆積して腐植するので、腐植物を始めとする堆積物中では嫌気性発酵が行われることとなり、フルボ酸やフミン酸などの腐植酸が蓄積されている。なお、この堆積物(沈殿物)3は、後述するように、有機酸鉄をも含んでおり、水域環境保全材料の素材として好適である。しかも、ダム湖1の堆積物3を採取して、新たな用途の素材として使用するので、工業廃棄物とは異なり自然の無害な資源として使用できる第1のメリットがある一方で、ダム湖1の底の掃除ができるという第2のメリットがある。
図3のグラフで示すように、ダム湖1の中心(測定点11)から測定点2、そして、ダムで堰き止められている測定点1へと向かうにつれて腐植成分と有機態鉄(腐植物質−鉄錯体)(C分画;フルボ酸鉄)の含有量は高くなっている。したがって、ダム堤体2の近傍の底部における堆積物3が腐植成分と有機態鉄の含有量が高い。この理由として最も考えられることは、無機鉱物のような重いものは移動しにくく、腐植成分のように移動性の大きいものは下流(すなわち、ダム入口、ダム堤体2近傍)へ移動しやすいため、測点1では有機分が多くそれに伴い有機態鉄が増えたと考えられる。
図6に示す土呂部ダムにおいて。試料に付した番号は、次の通りである。
NO.1 ;ダム湖底質試料、ダム出口に近い点
NO.2上;ダム湖底質試料、ダム湖出口部分の底質で上流側
NO.2下;ダム湖底質試料、ダム湖出口部分の底質で下流側
NO.3 ;ダム湖底質試料、ダム湖中央部
NO.4 ;ダム湖周辺の有機土壌
各測定点における試料の金属成分の含量は表5に示す通りあり、鉄の形態分析結果は図7に示す通りである。そして、C分画(有機態鉄)は腐植物質との錯体とみなすことができダム湖出口付近のNO.2上は、NO.1やNO.2下、陸生土壌のNO.4に比べC分画の比率が高かったが、NO.3が最も大きかった。
図8に示すように、本実施形態では、台船10で運んできた泥土を沈殿泥土タンク11に溜め、これを混合槽12で凝集剤と混合してから沈殿槽13で沈殿させる。次に、沈殿物を脱水装置14で脱水して脱水ケーキを固化処理装置15にベルトコンベア16で搬送し、この固化処理装置15で粒状の固形腐植物に固化する。そして、この様にして固形化した固形腐植物は、次の工程のために、トラック等の搬送手段により包装装置に搬送する。なお、脱水装置14は、空気を強制的に供給して乾燥する曝気法を用いて効率良く乾燥する様に構成しても良い。
Claims (7)
- ダム湖底に堆積した腐植物等の堆積物を採取して脱水処理した固形腐植物を、イオン溶出性を備えた収容体内に収納してなる水域環境保全材料。
- 前記堆積物は、ダム堤体近くの湖底に堆積したものであることを特徴とする請求項1に記載の水域環境保全材料。
- 前記固形腐植物に加えて二価鉄含有物質を収容体内に収納してなる請求項1または請求項2に記載の水域環境保全材料。
- 前記収容体が植物繊維からなる袋体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水域環境保全材料。
- ダム湖底に堆積した腐植物等の堆積物を採取する腐植物採取工程と、
採取した堆積物を脱水して固形腐植物にする脱水処理工程と、
脱水処理した固形腐植物を、イオン溶出性を備えた収容体内に収納する収容工程と、
を経て製造することを特徴とする水域環境保全材料の製造方法。 - ダム湖底に堆積した腐植物等の堆積物を採取し、複数の木片を層状に敷設した上に前記堆積物を堆肥化促進剤として散布し、この木片の敷設と前記堆積物の散布を繰り返して複数の層に積層し、この積層物をシート材で覆った状態で発酵させることを特徴とする堆肥化方法。
- 前記木片は、前記ダム湖を含むその流域の木をチップ化したものであることを特徴とする請求項6に記載の堆肥化方法。
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