JP2009245583A - 光ピックアップ装置用の集光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 青紫色レーザ光源を使用する高密度光ディスクとDVDを含む、使用する波長が異なる複数種類の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を適切に行うことができる光ピックアップ装置用の光学素子、光ピックアップ装置用の収差補正素子、光ピックアップ装置用の集光素子、対物光学系、光ピックアップ装置、及び光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】 第1及び第2波長λ1及びλ2の光束を用いて第1及び第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、当該光学素子は、その内部に複数の段差が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された光学機能面と、光軸方向の段差により分割された複数の輪帯から構成される回折構造が形成された光学機能面と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ピックアップ装置用の光学素子、収差補正素子、集光素子、対物光学系、これら光学素子を用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置に関する。
近年、光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザや、第2高調波発生を利用して赤外半導体レーザの波長変換を行う青紫色SHGレーザ等の波長405nmのレーザ光源が実用化されつつある。
これら青紫色レーザ光源を使用すると、DVD(デジタルバーサタイルディスク)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスクに対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物レンズのNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスクに対して、23〜25GBの情報の記録が可能となる。以下、本明細書では、青紫色レーザ光源を使用する光ディスク及び光磁気ディスクを総称して「高密度光ディスク」という。
尚、NA0.85の対物レンズを使用する高密度光ディスクでは、光ディスクの傾き(スキュー)に起因して発生するコマ収差が増大するため、DVDにおける場合よりも保護層を薄く設計し(DVDの0.6mmに対して、0.1mm)、スキューに対するコマ収差量を低減している。
ところで、このような高密度光ディスクに対して適切に情報の記録/再生ができると言うだけでは、光ディスクプレーヤの製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCD(コンパクトディスク)が販売されている現実をふまえると、高密度光ディスクに対して情報の記録/再生ができるだけでは足らず、例えばユーザが所有しているDVDやCDに対しても同様に適切に情報の記録/再生ができるようにすることが、高密度光ディスク用の光ディスクプレーヤとしての商品価値を高めることに通じるのである。このような背景から、高密度光ディスク用の光ディスクプレーヤに搭載される光ピックアップ装置は、高密度光ディスクとDVD、更にはCDとの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できる性能を有することが望まれる。
高密度光ディスクとDVD、更にはCDとの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できるようにする方法として、高密度光ディスク用の光学部品とDVDやCD用の光学系とを情報を記録/再生する光ディスクの記録密度に応じて選択的に切り替える方法が考えられるが、複数の光学系が必要となるので、小型化に不利であり、また、コストが増大する。
従って、光ピックアップ装置の構成を簡素化し、低コスト化を図るためには、互換性を有する光ピックアップ装置においても、高密度光ディスク用の光学系とDVDやCD用の光学系とを共通化して、光ピックアップ装置を構成する光学部品点数を極力減らすのが好ましい。
かかる、記録密度が互いに異なる複数種類の光ディスクに対して共通に使用可能な光学系用の対物光学系として、特許文献1及び2に記載されているような、レンズ表面に、光軸を中心とする輪帯構造を設け、それぞれの輪帯内に複数の凹凸構造を形成する技術が知られている。
特開平9−306018号公報 特開2002−277732号公報
上記2つの特許文献に記載されている技術は、輪帯内に形成した凹凸構造の段差の深さを、DVDの記録/再生波長λ1と、CDの記録/再生波長λ2のいずれか一方の波長(例えばλ1)に対して、隣接する凹凸構造同士で実質的に位相差が付加されないような深さにすることで、凹凸構造により、他方の波長(例えばλ2)にのみ位相差が与えられるようにしている。
更に、各輪帯内に形成する凹凸構造の数を、波長λ2の光束が輪帯構造を透過する際に、隣接する輪帯構造同士で波長の整数倍の位相差が与えられるので、輪帯構造により波長λ2の光束のみが回折される。このときの各輪帯内に形成する凹凸構造は、更に、波長λ1と波長λ2とに対する透過率(回折効率)が共に大きく確保されるように設定される。
特許文献1に記載の対物光学系では、波長λ2の光束が輪帯構造により回折される際に、DVDとCDとの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を相殺するように、波長λ2の光束を発散光束として射出し、特許文献2の対物光学系では、波長λ2の光束が輪帯構造により回折される際に、DVDとCDとの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を相殺するような球面収差を波長λ2の光束に付加するので、共通の対物光学系でDVDとCDとに対して情報の記録/再生が可能となる。
特許文献1及び2に開示された技術はいずれも、DVDとCDの2種類の光ディスク間での互換を実現するものであり、高密度光ディスクの記録/再生波長(400nm近傍)と、DVDの記録/再生波長(650nm近傍)とに対して、高密度光ディスクとDVD間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正し、且つ両方の波長に対して高い透過率(回折効率)を確保するための、最適な輪帯構造(例えば、各輪帯内に形成する凹凸構造の数)に関する開示がないため、高密度光ディスクとDVDとの互換を実現するために、上記特許文献に開示された技術をそのまま適用することは困難である。
更に、高密度光ディスクとDVDとに対して共通の対物光学系を用いて情報の記録/再生を適切に行うためには、上述したような、高密度光ディスクとDVD間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差の他に、高密度光ディスク固有の課題を解決する必要がある。
高密度光ディスク固有の課題は、(1)レーザ光源の短波長化に伴う色収差、(2)高開口数化に伴う球面収差変化、である。
このうち、(1)は、青紫色波長領域では光学材料の波長分散(微小な波長変化に対する屈折率の変化)が大きいために顕在化する課題である。光ディスクに対して情報の再生から記録、或いは情報の記録から再生に切り替わる際には、半導体レーザ光源の出力が変化するため発振波長が変化する(いわゆる、モードホッピング)。この波長変化は数nm程度であるが、青紫色波長領域では波長分散が大きいため、対物光学系がフォーカシングし直すまでの間はデフォーカス状態となり適切な記録/再生特性が得られない。
また、(2)は、対物光学系で発生する球面収差が、開口数の4乗に比例して増大するために顕在化する課題である。高開口数の対物光学系では、入射光束の波長が変化した際の球面収差が大きくなるため、レーザ光源の波長に対する公差が厳しくなる。特に、青紫色波長領域では波長分散の影響があるため、この課題がより顕在化する。また、製造コストを低減するためには、対物光学系をプラスチックレンズとするのが有効であるが、温度変化に伴う屈折率変化に起因して発生する球面収差が大きくなるため、光ピックアップ装置内の温度が変化した場合に、高密度光ディスクに対する情報の記録/再生特性に支障をきたす。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、青紫色レーザ光源を使用する高密
度光ディスクとDVDを含む、使用する波長が異なる複数種類の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を適切に行うことができる光ピックアップ装置用の光学素子、光ピックアップ装置用の収差補正素子、光ピックアップ装置用の集光素子、対物光学系、光ピックアップ装置、及び光情報記録再生装置を提供することである。
本明細書においては、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザや青紫色SHGレーザを使用する光ディスクを総称して「高密度光ディスク」といい、NA0.85の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.1mm程度である規格の光ディスクの他に、NA0.65の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.6mm程度である規格の光ディスクも含むものとする。また、このような保護層をその情報記録面上に有する光ディスクの他に、情報記録面上に数〜数十nm程度の厚さの保護膜を有する光ディスクや、保護層或いは保護膜の厚さが0の光ディスクも含むものとする。また、本明細書においては、高密度光ディスクには、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザや青紫色SHGレーザを使用する光磁気ディスクも含まれるものとする。
本明細書においては、DVDとは、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等のDVD系列の光ディスクの総称であり、CDとは、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等のCD系列の光ディスクの総称である。
本明細書においては、「重畳型回折構造」とは、図26に模式的に示すように、光軸を中心として連続的に配された複数の輪帯R3iにおいて、各輪帯R3iが更に、複数の光軸方向の段差d3iにより階段状に分割された構造を指す。かかる重畳型回折構造の、段差d3iの深さΔ、段差数Nを適切に設定することにより、上述したように、波長の異なる複数の光束のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長の光束は回折せずにその
まま透過させたり、複数の波長の光束の回折次数を互いに異ならせたり、或いは特定の波長の光束に対し、回折効率を極端に小さくしたりする作用を、波長の異なる複数の入射光束に対して与えることが可能となる。なお、このような、回折作用や回折効率を極端に小さくする作用は、各波長の光束から生じる様々な次数の回折光のうち、最大の回折効率を有する回折光に対して与えられる。尚、本明細書においては、この「重畳型回折構造」により回折せずに(すなわち、実質的な光路差を与えられずに)そのまま透過する光束を便宜的に「0次回折光」と呼ぶ。
本明細書においては、「回折構造」とは、図27に模式的に示すように、光軸を中心として連続的に配された鋸歯形状(図27(a))或いは階段形状(図27(b))の複数の輪帯R1iから構成され、各輪帯R1iが光軸方向の段差d1iにより分割された構造を指す。この「回折構造」は、入射光束の波長に応じて、絶対値が1以上の回折次数の回折光を発生させる。本明細書においては、各輪帯が更に、階段状に分割されている上記「重畳型回折構造」と、この「回折構造」とは区別するものとする。また、図27では、段差d1iの方向が有効径内で同一の場合を示したが、段差d1iの方向が有効径内で反転する場合も本明細書における「回折構造」に含まれる。
本明細書においては、「光路差付与構造」とは、図28に模式的に示すように、光軸を中心として連続的に配され、光軸方向の段差d2iにより分割された複数の輪帯R2iから構成された構造を指す。これらの輪帯R2iのうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移している。ここでいう、所定の高さに位置する輪帯としては、その中央部における光軸からの高さが、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであるのが好ましい。
また、本明細書においては、「光路差付与構造」を、光軸を含む中心領域Cと該中心領域Cの外側に微細な段差d2iにより分割された複数の輪帯R2iとから構成される構造であって、中心領域Cの外側に隣接する輪帯R2iAは、中心領域Cに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における輪帯R2iBは、その内側に隣接する輪帯R2iCに対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さにその中央部が位置する1つの輪帯R2iDは、その内側に隣接する輪帯R2iEとその外側に隣接する輪帯R2iFとに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されている構造と表現することもできる。ここでいう、「中心領域C」とは、光軸を含み、光軸から最も近い位置にある段差d2iAで囲まれた光学機能領域である。
かかる構成の光路差付与構造により球面収差を補正することが可能となる。例えば、共にプラスチックレンズである収差補正素子と集光素子から構成される対物光学系において、集光素子の温度上昇に伴う球面収差変化(図29の波面収差aを参照)を、光路差付与構造が形成された収差補正素子で補正する場合、段差d2iの深さをd2i=p・λ/(N−1)を満たすように設定する。但し、pは1以上の整数、λ(μm)は設計波長、Nはプラスチックレンズの設計基準温度での屈折率である。
基準温度では、段差d2iによる光路差は、設計波長λの整数倍となるので、実質的に光路差が与えられない。これに対し、温度上昇した場合には、プラスチックレンズの屈折率が低下するため、段差d2iによる光路差は、設計波長λの整数倍から微小にずれることになり、図29のbに示すように、温度上昇した場合の集光素子の波面収差(図29のa)とは逆符号の波面収差が発生し、互いの波面収差は相殺される方向に作用する(図29のc)。
尚、図26乃至図28は各構造を平行平面板上に形成した場合の概略図であり、本明細書においては、上述の定義を逸脱しない限り、各構造は図26乃至図28の形態にのみ限定されるものではない。
本明細書においては、「収差補正素子」とは、上述した重畳型回折構造がその光学機能面上に形成され、保護層厚さの異なる複数の種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を抑制する機能を有する光学素子を指す。また、本明細書においては、収差補正素子は1つの光学素子だけではなく、複数の光学素子からなる構成としてもよい。また、「集光素子」とは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置される光学素子であって、収差補正素子から射出された光束を集光し、規格の異なる複数の種類の光ディスクのそれぞれの情報記録面上に結像させる機能を有する光学素子を指す。この「集光素子」も1つの光学素子だけでなく、複数の光学素子からなる構成としてもよい。
本明細書においては、「対物光学系」とは、上述の集光素子を少なくとも含む光学系を指す。対物光学系は集光素子のみから構成されていても良い。
更に、本明細書においては、かかる集光素子と一体となってアクチュエータによりトラッキング及びフォーカシングを行う光学素子がある場合には、これら光学素子と集光素子とから構成される光学系を対物光学系と定義する。従って、集光素子と一体となってアクチュエータによりトラッキング及びフォーカシングを行う光学素子には、上述の収差補正素子が含まれる。
本明細書においては、光ディスクの情報記録面上に「良好な波面を形成する」とは、入射光束を、波面収差が0.07λRMS以下の状態となるように光ディスクの情報記録面上に集光することと同義である。
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生
及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、その内部に複数の段差が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された光学機能面と、光軸方向の段差により分割された複数の輪帯から構成される回折構造が形成された光学機能面と、を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、
前記第1波長λ1の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数をn1、前記第2波長λ2の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数をn2としたとき、以下の(1)式を満たすように、前記回折構造の段差の深さが設定されていることを特徴とする。
n1>n2 (1)
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすとともに、前記第1波長λ1の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1と、前記第2波長λ2の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2の組合せが、(n1,n2)=(2,1)、(3,2)、(5,3)、(8,5)、(10,6)のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (2)
0.63<λ2<0.68 (3)
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子のうち、前記回折構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線
でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記回折構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が以下の(4)乃至(8)式のいずれかを満たすことを特徴とする。
1.2μm<d1<1.7μm (4)
2.0μm<d1<2.6μm (5)
3.4μm<d1<4.1μm (6)
5.6μm<d1<6.5μm (7)
6.9μm<d1<8.1μm (8)
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子は、1つの素子から構成され、前記重畳型回折構造は、前記光学素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記光学素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えず、前記第2波長λ2の光束に対して光路差を与えるこ
とを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすことを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (2)
0.63<λ2<0.68 (3)
請求項10記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、その内部に複数の段差が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された光学機能面と、光軸方向の段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成された光学機能面と、を有することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、前記最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移していることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項11に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記光学素子のうち、前記光路差付与構造が形成された光学機能面を有する素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記光学素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2により、それぞれ以下の(9)及び(10)式で表されるΦ1、Φ2が以下の(11)乃至(13)式を満たすことを特徴とする。
Φ1=d2(Nλ1−1)/λ1 (9)Φ2=d2(Nλ2−1)/λ2 (10)
INT(Φ1)≦20 (1
1)
0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (12)
0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (13)
但し、INT(Φi)(i=1、2)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項14記載の発明は、請求項13に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子のうち、前記光路差付与構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ
数が50〜60の範囲内の材料から形成されると共に、以下の(14)及び(15)式を満たすことを特徴とする。
INT(Φ1)=5p (14)
INT(Φ2)=3p (15)
但し、pは1以上の整数である。
請求項15記載の発明は、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の光ピックアップ
装置用の光学素子において、前記光学素子は、1つの素子から構成され、前記重畳型回折構造は、前記光学素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記光学素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えず、前記第2波長λ2の光束に対して光路差を与えることを特徴とする。
請求項17記載の発明は、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすことを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (2)
0.63<λ2<0.68 (3)
請求項18記載の発明は、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が以下の(2)及び(3)式を満たすと共に、前記重畳型回折構造において各輪帯内に形成された前記段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記光学素子のうち、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1が、実質的に以下の(16)式を満たすことを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (2)
0.63<λ2<0.68 (3)
Δ=2m・λ1/(Nλ1−1) (16)
但し、Nは3又は4又は5のいずれか、mは1以上の整数である。
請求項19記載の発明は、請求項18に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子のうち、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ
数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記段差の数Nと、前記輪帯のうち光軸に最も近い輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(17)乃至(19)式のいずれかであることを特徴とする。
N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (17)
N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (18)
N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (19)
請求項20記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する色収差を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項21記載の発明は、請求項20に記載の対物光学系において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の軸上色収差を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項22記載の発明は、請求項20又は21に記載の対物光学系において、前記回折
構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項23記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、
前記対物光学系は、近軸におけるパワーが正であるプラスチックレンズを有し、前記回折構造は、環境温度変化に伴う、前記プラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項24記載の発明は、請求項23に記載の対物光学系において、前記対物光学系は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする。
請求項25記載の発明は、請求項20乃至24のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記対物光学系は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる集光素子とから構成され、前記重畳型回折構造及び前記回折構造は、前記収差補正素子の光学機能面に形成されることを特徴とする。
請求項26記載の発明は、請求項20乃至25のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする。
請求項27記載の発明は、請求項20乃至25のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする。
請求項28記載の発明は、請求項20乃至27のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記重畳型回折構造は、前記第1光情報記録媒体の保護層と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする。
請求項29記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記光路差付与構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項30記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピック
アップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記対物光学系は、近軸におけるパワーが正であるプラスチックレンズを有し、前記光路差付与構造は、環境温度変化に伴う、前記プラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項31記載の発明は、請求項30に記載の対物光学系において、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1の光束に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1の光束に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することを特徴とする。
請求項32記載の発明は、請求項30又は31に記載の対物光学系において、前記光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、前記最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移していることを特徴とする。
請求項33記載の発明は、請求項32に記載の対物光学系において、前記所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであることを特徴とする。
請求項34記載の発明は、請求項29乃至33のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記対物光学系は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる集光素子とから構成され、前記重畳型回折構造及び前記光路差付与構造は、前記収差補正素子の光学機能面に形成されることを特徴とする。
請求項35記載の発明は、請求項29乃至34のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記重畳型回折構造は、前記第1光情報記録媒体の保護層と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする。
請求項36記載の発明は、請求項20乃至35のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を以下の数式で定義したとき、
Figure 2009245583
とBの符号が互いに異なることを特徴とする。
但し、λは入射光束の波長、λBは製造波長、hは光軸に垂直な方向の高さ(mm)、B2jは光路差関数係数、nは回折次数である。
請求項37記載の発明は、請求項20乃至36のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記対物光学系は、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる1群1枚
構成のプラスチックレンズである集光素子とから構成され、
前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm−1)が以下の(20)式を満たすことを特徴とする。
P1>0 (20)
請求項38記載の発明は、請求項20乃至37のいずれか一項に記載の対物光学系において、前記対物光学系は、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる1群1枚構成の集光素子とから構成され、
前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm−1)と、前記第1波長λ1に対する前記集光素子の近軸におけるパワーP2(mm−1)との比が以下の(21)式を満たすことを特徴とする。
|P1/P2|≦0.2 (21)
請求項39記載の発明は、請求項38に記載の対物光学系において、前記集光素子は、環状ポレオレフィン系のプラスチックレンズであって、該プラスチックレンズは、温度25℃での波長405nmに対する屈折率N405、及びd線におけるアッベ数ν、−5℃〜70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率の変化率dN405/dTが以下の(22)乃至(24)式を満たすことを特徴とする。
1.54<N405<1.58 (22)
50<ν<60 (23)
−10×10−5(℃−1)<dN405/dT<−8×10−5(℃−1) (
24)
請求項40記載の発明は、請求項38に記載の対物光学系において、前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30μm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする。
請求項41記載の発明は、請求項38に記載の対物光学系において、前記集光素子は、ガラスレンズであることを特徴とする。
請求項42記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を有することを特徴とする。
請求項43記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、請求項20乃至41のいずれか一項に記載の対物光学系を有することを特徴とする。
請求項44記載の発明は、請求項42又は43に記載の光ピックアップ装置を搭載して、以下の(I)乃至(IV)のうち、少なくとも1つを実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
(I)前記第1光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第2光情報記録媒体に対する情報の記録
(II)前記第1光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第2光情報記録媒体に記
録された情報の再生
(III)前記第1光情報記録媒体に記録された情報の再生、及び、前記第2光情報記録媒
体に対する情報の記録
(IV)前記第1光情報記録媒体に記録された情報の再生、及び、前記第2光情報記録媒体に記録された情報の再生
請求項1に記載の発明によれば、重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数、各輪帯内に形成された段差の深さ、及び各輪帯の配列を適切に設定することで、第1波長λ1の光束は実質的に光路差が与えられず、回折させずにそのまま透過させ、且つ、第2波長λ2の光束は光路差が与えられ、回折させることができるので、高密度光ディスクとDVDとの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正することが可能となるとともに、何れの波長の光束に対しても高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、重畳型回折構造に、第1波長λ1の光束を回折させずにそのまま透過させ、第2波長λ2の光束に対し、回折効率を極端に小さくしてフレアー化させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることも可能となる。
例えば、高密度光ディスクとDVDの共通の対物光学系において、DVDの開口数NA2内に、高密度光ディスクとDVDとの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正するための第1の重畳型回折構造を形成し、更に、開口数NA2から高密度光ディスクの開口数NA1までの領域に、第1波長λ1の光束を回折させずにそのまま透過させ、第2波長λ2の光束に対し、回折効率を極端に小さくしてフレアー化させる第2の重畳型回折構造を形成することで、何れの光ディスクん対しても適切に情報の記録/再生を行え、且つ、DVDに対する開口切り替え機能を有する対物光学系を提供することができる。
また、高密度光ディスクに対して適切に情報を記録/再生できるようにするためには、軸上色収差を補正する手段を設けることで、モードホッピングとよばれるレーザ光源の瞬間的な波長変化による集光性能の劣化を防ぐ必要がある。これは、青紫色領域における光学材料の波長分散が非常に大きくなるため、わずかな波長変化に対してもフォーカス位置ずれが大きく発生するためである。
また、高密度光ディスクの一規格として、対物光学系の開口数を0.85程度に高めた光ディスクが提案されているが、対物光学系の開口数が大きくなるほど、入射光束の波長変化により発生する球面収差変化が大きくなるため、製造誤差により波長誤差を持ったレーザ光源が使用できないという課題が顕在化する。そのため、レーザ光源を選別する必要があるので、光ピックアップ装置の製造コストが上昇する。
また、プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、対物光学系を駆動するアクチュエータへの負担を軽減でき、対物光学系の追従を高速に行うことができる。また、射出成形により製造されるプラスチックレンズは、所望の金型を製造よく作製することで、安定した品質で高精度に大量生産することが可能となる。然るに、対物光学系の開口数が大きくなった場合、かかる対物光学系をプラスチックレンズとすると温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなる。これは、屈折率変化により発生する球面収差が開口数の4乗に比例して増大するためである。
そこで、本発明では、光学素子の光学機能面に回折構造を設けることで、入射光束の波長変化に対するフォーカス位置ずれや、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制する機能を持たせたので、入射光束の波長変化や温度変化が起きた場合でも、高密度光ディスクに対する記録/再生特性を良好に維持できる。
然るに、高密度光ディスク用の光源とDVD用の光源とでは波長差が大きいため、上述の回折構造で発生する同じ回折次数の回折光をそれぞれの光ディスクに対する記録/再生
用の光束として利用すると、2つの光源の波長の光束に対して十分な回折効率を得ることができない。かかる問題に対して、請求項2の発明にあるように、高密度光ディスクに対して使用する回折光の回折次数n1よりも、DVDに対して使用する回折光の回折次数n2のほうが、低次数となるように回折構造を設計すると、2つの光源の波長の光束に対する回折効率を十分に確保することが可能となる。
具体的には、回折次数n1、n2として、請求項3の発明にあるような組み合わせとすると、波長λ1、λ2の波長に対して高い回折効率を確保できるので好ましい。何れの波長の光束に対しても高い回折効率を確保可能な回折次数n1、n2の組合せは請求項3に記載のほかにも存在するが、回折次数が大きくなりすぎると入射光束の波長変化に伴う回折効率の低下が大きくなるため好ましくない。
回折構造が形成された素子が、第1波長λ1に対する屈折率が1.5〜1.6の範囲内であって、d線でのアッベ数が50〜60の範囲内である材料から形成されている場合には、請求項4の発明にあるように、回折構造の段差のうちで、最も光軸に近い位置にある段差の深さd1を(4)〜(8)式のいずれか1つを満たすように設定すると、第1波長λ1及び第2波長λ2の光束に対して高い回折効率を確保できる。尚、回折次数n1、n2の組み合わせと段差d1は、(n1,n2)=(2,1)が(4)式に対応し、(n1,n2)=(3,2)が(5)式に対応し、(n1,n2)=(5,3)が(6)式に対応し、(n1,n2)=(8,5)が(7)式に対応し、(n1,n2)=(10,6)が(8)式に対応するという関係にある。
かかる回折構造の具体的な形状としては、請求項5に記載の発明のように、光軸を含む断面形状が階段形状であるものを挙げられる。
また、かかる回折構造の具体的な形状は、請求項6に記載の発明のように、光軸を含む断面形状が鋸歯形状であってもよい。
光学素子に対して高い付加価値を与えると同時に低コスト化を達成するためには、請求項7の発明にあるように、光学素子を1つの素子から構成し、重畳型回折構造と回折構造とをその素子のそれぞれの光学機能面に形成するのが好ましい。
上述したように、光源波長の短波長化により、光学材料の波長分散が大きくなるので、対物光学系では色収差の問題が顕在化する。ここでいう「色収差」とは、波長変化により近軸焦点位置が移動する「軸上色収差」と、波長変化により球面収差が変化する「色球面収差」の少なくとも一方を指す。特に、球面収差は開口数の4乗に比例して増大するので、対物光学系が高開口数化した場合には、上記の「色球面収差」の問題はより顕在化する。従って、請求項20乃至22の発明にあるように、高密度光ディスクに対して適切に情報を記録/再生できるようにするためには、回折構造に対物光学系の波長分散に起因して発生する色収差を抑制する機能を持たせるのが好ましい。
また、対物光学系をプラスチックレンズで構成することは、低コスト化及び軽量化に有利であるが、温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなるため、光ピックアップ装置内の温度が変化した場合に、高密度光ディスクに対する情報の記録/再生特性に支障をきたす。光ピックアップ装置内の温度が変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持するためには、請求項23の発明にあるように、回折構造にプラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差を抑制する機能を持たせるのが好ましい。
具体的には、請求項24の発明にあるように、第1波長λ1が長くなった場合に、球面収差が補正不足方向に変化し、第1波長λ1が短くなった場合に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を、回折構造の作用により対物光学系に持たせるのが好ましい。
また、重畳型回折構造や回折構造のごとき光軸方向の段差を有する構造を、曲率が大きい光学素子に形成すると、段差部分による光束のけられの影響で透過率が低下する。かか
る透過率の低下を防ぐためには、請求項25に記載の発明にあるように、対物光学系を収差補正素子と集光素子とから構成し、収差補正素子に重畳型回折構造と回折構造を形成するのが好ましい。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に、重畳型回折構造により、高密度光ディスクとDVDとの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正することが可能となるとともに、何れの波長の光束に対しても高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、重畳型回折構造に、第1波長λ1の光束を回折させずにそのまま透過させ、第2波長λ2の光束に対し、回折効率を極端に小さくしてフレアー化させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることも可能となる。
また、本発明では、光学素子の光学機能面に光路差付与構造を設けることで、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制する機能を持たせたので、入射光束の波長変化や温度変化が起きた場合でも、高密度光ディスクに対する記録/再生特性を良好に維持できる。
光路差付与構造により球面収差を補正するためには、請求項11の発明にあるように、光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移している構成とするのが好ましく、これにより、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制することが可能となる。
上記の所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、請求項12の発明にあるように、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであるのが好ましい。
請求項13の発明にあるように、第1波長λ1及び第2波長λ2の光束に対する光路差付与構造の透過率を高めるためには、光路差付与構造の段差のうち、光軸に最も近い位置にある段差の深さd2と、その段差により第1波長λ1及び第2波長λ2の光束に対して付加される光路差Φ1及びΦ2を(11)乃至(13)式を満たすように設定するのが好ましい。の式を満たさない場合には、入射光束の波長変化時や、温度変化に伴う屈折率変化時に、いずれかの波長の光束に対して高次の球面収差が発生する。高次の球面収差は記録/再生性能には影響ないとはいいながら、透過率の低下と実質的には等価となる。これらの式を満たすようにすると、いずれの波長の光束に対しても高次の球面収差の発生を抑制でき、透過率を高めることが可能となる。
光路差付与構造が形成された素子が、第1波長λ1に対する屈折率が1.5〜1.6の範囲内であって、d線でのアッベ数が50〜60の範囲内である材料から形成されている場合には、請求項14の発明にあるように、光路差Φ1及びΦ2が(14)及び(15)式を満たすのが好ましい。(14)式は、光軸に最も近い位置にある段差により第1波長λ1の光束に対して付加される光路差Φ1が第1波長λ1の略5倍であることを意味する。このように、光軸に最も近い位置にある段差の深さd2を設定すると、この段差により第2波長λ2の光束に対して付加される光路差Φ2が、実質的に第2波長λ2の略3倍となるため、いずれの波長の光束に対しても高次の球面収差の発生を抑制でき、透過率を高めることが可能となる。
以下に具体的な例を挙げて説明する。日本ゼオン(株)の光学プラスチック材料である「ZEONEX 330R」(製品名)は、第1波長λ1と第2波長λ2をそれぞれ、0.405μm、及び0.655μmとした場合、第1波長λ1に対する屈折率Nλ1が1.5252であり、第2波長λ2に対する屈折率Nλ2が1.5070である。光軸に最も近い位置にある段差の深さd2を、
d2=5・λ1/(Nλ1−1)
=5・0.405/(1.5252−1)
=3.856μm
で決定される深さとした場合、この段差により第1波長λ1の光束に対して付加される光路差Φ1は第1波長λ1の5倍(すなわち、(14)式においてp=1))となる。この深さの段差により第2波長λ2の光束に対して付加される光路差Φ2は、(10)式から、
Φ2=d2・(Nλ2−1)/λ2
=3.856・(1.5070−1)/0.655
=2.98
となり、光路差Φ2は、実質的に第2波長λ2の3倍となるので、第2波長λ2の光束に対しても高次の球面収差の発生を抑制でき透過率を高めることが可能となる。
また、光学素子に対して高い付加価値を与えると同時に低コスト化を達成するためには、請求項15の発明にあるように、光学素子を1つの素子から構成し、重畳型回折構造と光路差付与構造とをその素子のそれぞれの光学機能面に形成するのが好ましい。
上述したように、光源波長の短波長化及び対物光学系の高開口数化により、波長変化により球面収差が変化する「色球面収差」の問題が顕在化する。従って、請求項29の発明にあるように、高密度光ディスクに対して適切に情報を記録/再生できるようにするためには、回折構造に対物光学系の波長分散に起因して発生する色収差を抑制する機能を持たせるのが好ましい。
また、対物光学系をプラスチックレンズで構成することは、低コスト化及び軽量化に有利であるが、温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなるため、光ピックアップ装置内の温度が変化した場合に、高密度光ディスクに対する情報の記録/再生特性に支障をきたす。光ピックアップ装置内の温度が変化した場合においても良好な記録/再生特性を維持するためには、請求項30の発明にあるように、光路差付与構造にプラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差を抑制する機能を持たせるのが好ましい。
具体的には、請求項31の発明にあるように、第1波長λ1の光束に対して付加する球面収差が、環境温度上昇に伴い屈折率が低くなった場合に補正不足方向に変化し、環境温度低下に伴い屈折率が高くなった場合に補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性をもつ光路差付与構造を形成することで、温度変化に伴ってプラスチックレンズで発生する球面収差変化を抑制することが可能となる。
このように、光路差付与構造によりプラスチックレンズの温度変化に伴う球面収差変化を抑制する方法は、光路差付与構造の屈折率変化に伴う球面収差変化を利用するので、波長依存性を利用する回折構造による場合と異なり、温度変化に伴うレーザ光源の波長変化が起こらなくても球面収差変の抑制効果が働く。
具体的な光路差付与構造の構成は、請求項32の発明にあるように、光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移している構成が好ましく、これにより、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制することが可能となる。
上記の所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、請求項33の発明にあるように、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであるのが好ましい。
また、重畳型回折構造や光路差付与構造のごとき光軸方向の段差を有する構造を、曲率が大きい光学素子に形成すると、段差部分による光束のけられの影響で透過率が低下する。かかる透過率の低下を防ぐためには、請求項34に記載の発明にあるように、対物光学系を収差補正素子と集光素子とから構成し、収差補正素子に重畳型回折構造と光路差付与
構造を形成するのが好ましい。
重畳型回折構造の具体的な構成としては、請求項18の発明にあるように、各輪帯内に形成する段差の数Nを3又は4又は5のいずれかとし(すなわち、各輪帯を4分割又は5分割又は6分割する)、段差の光軸方向の深さΔにより第1波長λ1の光束に対して付加される光路差が、実質的に、第1波長λ1の2m倍(但し、mは1以上の整数)とするのが好ましく、これにより、重畳型回折構造が、第1波長λ1の光束に対しては実質的に光路差を与えず、第2波長λ2の光束に対して光路差を与えることで、第2波長λ2の光束を選択的に回折させるようにすることが可能となるとともに、何れの波長の光束に対しても高い透過率(回折効率)を確保できる。
請求項19に記載の発明のように、重畳型回折構造が形成された素子が、波長λ1に対する屈折率が1.5〜1.6の範囲内であって、d線でのアッベ数が50〜60の範囲内である材料から形成されている場合には、各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される輪帯1つ分の深さD=Δ(N+1)を(17)〜(19)式のいずれか1つを満たすように設定するのが好ましい。
これにより、第1波長λ1の光束に対しては、第1波長λ1の光束に対しては実質的に光路差を与えない0次回折光を、第2波長λ2の光束に対しては光路差を与えることで+1次回折光を発生させることができるので、高密度光ディスクとDVDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を効果的に補正できるとともに、何れの波長の光束に対しても高い透過率(回折効率)を確保できる
また、請求項36の発明のように、BとBの符号を互いに異ならしめることで、光路差関数φの単位変化量あたりのhの変化量を大きくすることが出来る。これは、重畳型回折構造の輪帯の最小幅が大きくなることに相当し、透過率の向上、金型加工の容易化等を達成することが可能となる。これらの作用効果をより一層達成するためには、光路差関数φが有効径内で変曲点を有するようにBとBの大きさを設定することが好ましい。ここで、光路差関数φが有効径内で変曲点を有する場合と、変曲点を有さない場合との実際の形状の違いについて説明する。光路差関数φが有効径内で変曲点を有する場合の形状は、図17に示したように、変曲点に位置する輪帯(図17において内側から8番目の輪帯)を境として輪帯の傾斜方向が入れ替わる。光路差関数φが有効径内で変曲点を有さない場合の形状は、図16に示したように、全ての輪帯の傾斜方向が同一となる。
請求項37に記載の発明のように、対物光学系を収差補正素子と1群1枚構成のプラスチックレンズである集光素子とから構成する場合は、第1波長λ1に対する収差補正素子の近軸におけるパワーP1を正とすることで、集光素子に対して第1波長λ1の光束が収斂光束として入射する構成とするのが好ましい。一般的に、有限共役型(倍率m≠0)の集光素子の開口数NAを、無限共役型に換算したNA(以下、換算NAという)は、NA=NA(1−m)で表すことが出来る。従って、収斂光束が入射する(すなわち、m>0)集光素子においては、換算NAを小さくできるので、温度変化に伴い集光素子で発生する球面収差変化を小さく抑えることが可能となる。
また、請求項38の発明にあるように、第1波長λ1に対する収差補正素子の近軸におけるパワーP1と、第1波長λ1に対する集光素子の近軸におけるパワーP2とを(21)式を満たすように設定するのが好ましい。このように、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、DVDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき光軸方向の段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防
止できる。
請求項39の作用効果は、後述する請求項112の作用効果と同様である。
請求項40の作用効果は、後述する請求項114の作用効果と同様である。
請求項41の作用効果は、後述する請求項113の作用効果と同様である。
請求項45に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項45に記載の発明によると、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過
させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項46に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である
重畳型回折構造が形成され、
前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2とが略一致することを特徴とする。
請求項46の発明によると、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、光軸を含む光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過さ
せることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスクの保護層がDVDと同じ0.6mmである場合には、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2をほぼ同じとしたまま、高密度光ディスクとDVDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差が補正できる。
これにより、高密度光ディスク用のコリメートレンズとDVD用のコリメートレンズを共通化でき、更に、高密度光ディスク用の光源とDVD用の光源がパッケージ化された光源モジュールの使用が可能となるので、光ピックアップ装置の光学部品点数を削減できる。
重畳型回折構の段差量Δ、段差数Nとしては、後述する表1〜8にあるような組み合わせとするのが好ましい。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項47に記載の発明は、請求項46に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが負であることを特徴とする。
請求項47に記載の発明によれば、高密度光ディスクが、保護層の厚さが0.1mmの光ディスクのように、保護層の厚さがDVDよりも薄い場合、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2とを同じとすると、DVDの保護層が厚いためにDVDに対する球面収差は補正過剰方向方向に変化する。
かかる場合には、請求項47の発明にあるように、重畳型回折構造の第2波長λ2に対する近軸パワーを負として、集光素子に対して第2波長λ2の光束が発散光として入射するようにすると、集光素子の倍率変化により、上述の補正過剰方向への球面収差変化を相殺させることができる。
このような構成とすると、第2波長λ2に対する、収差補正素子と集光レンズとの光軸ずれによるコマ収差の発生が小さくなるので、収差補正素子と集光レンズとを一体化させる工程が容易になる。
請求項48に記載の発明は、請求項46又は47に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする。
或いは、請求項48の発明にあるように、重畳型回折構造により第2波長λ2に対して補正不足方向の球面収差を付加させるようにすると、上述の補正過剰方向への球面収差変化を相殺させることができる。
このような構成とすると、第2波長λ2の斜め光束が入射した場合に発生するコマ収差が小さくなるので、DVD用の光源と光学素子との光軸ずれに対する公差が大きくなる結
果、光ピックアップ装置の製造コストが低減される。
尚、重畳型回折構造の第2波長λ2に対する近軸パワーを負として、且つ重畳型回折構造により第2波長λ2に対して補正不足方向の球面収差を付加させるようにしてもよい。
請求項49に記載の発明は、請求項46乃至48のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1倍率m1と前記第2倍率m2が以下の(25)式を満たすことを特徴とする。
m1=m2=0 (25)
請求項49に記載の発明にあるように、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2を0とすると、光学素子が光ディスクのトラック方向にシフトしても、物点位置の変化がないので、良好なトラッキング特性が得られる。
請求項50に記載の発明は、請求項46乃至49のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3が以下の(26)式を満たすことを特徴とする。
−0.25<m3<−0.10 (26)
表1〜8に例として後述するように、3つの波長のうち第2波長λ2だけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過させるように、重畳型回折構造の段差量Δ、段差数Nを適切に設定した場合には、重畳型回折構造の作用では、保護層が最も厚いCDに対して発生する補正過剰方向の球面収差変化を補正することが出来ない。そこで、請求項50の発明にあるように、CDに対する倍率m3を(26)式の範囲内とすることで、かかる球面収差変化を補正することが可能となる。
更に、CDに対して発散光束を入射させるようにすると、焦点距離の小さい光学素子であってもCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となるので、光ピックアップ装置の小型化に有利である。
請求項51に記載の発明は、請求項46乃至50のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光源と前記第2光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記光学素子は、前記光源モジュールから射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
請求項51に記載の発明によれば、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2をほぼ同じとしているので、高密度光ディスク用の光源とDVD用の光源がパッケージ化された光源モジュールの使用が可能である。これにより、光ピックアップ装置の光学部品点数を削減できる。
請求項52に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが略一致することを特徴とする。
請求項52に記載の発明によれば、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、光軸を含む光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま
透過させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、DVDに対する倍率m2とCDに対する倍率m3をほぼ同じとしたまま、DVDとCDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差が補正できる。
これにより、DVD用の光源とCD用の光源がパッケージ化された光源モジュールの使用が可能となるので、光ピックアップ装置の光学部品点数を削減できる。
重畳型回折構の段差量Δ、段差数Nとしては、上述した表1〜8にあるような組み合わせとするのが好ましい。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項53に記載の発明は、請求項52に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが正であることを特徴とする。
DVDに対する倍率m2とCDに対する倍率m3とを同じとすると、CDよりもDVDの保護層が薄いために、DVDに対する球面収差が補正不足方向に変化する。
かかる場合には、請求項53の発明にあるように、重畳型回折構造の第2波長λ2に対する近軸パワーを正として、集光素子に対して第2波長λ2の光束が収斂光として入射するようにすると、集光素子の倍率変化により、上述の補正不足方向への球面収差変化を相殺させることができる。
このような構成とすると、第2波長λ2に対する、収差補正素子と集光レンズとの光軸ずれによるコマ収差の発生が小さくなるので、収差補正素子と集光レンズとを一体化させる工程が容易になる。
請求項54に記載の発明は、請求項52又は53に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする。
或いは、請求項54の発明にあるように、重畳型回折構造により第2波長λ2に対して補正過剰方向の球面収差を付加させるようにすると、上述の補正不足方向への球面収差変化を相殺させることができる。
このような構成とすると、第2波長λ2の斜め光束が入射した場合に発生するコマ収差が小さくなるので、DVD用の光源と光学素子との光軸ずれに対する公差が大きくなる結果、光ピックアップ装置の製造コストが低減される。
尚、重畳型回折構造の第2波長λ2に対する近軸パワーを正として、且つ重畳型回折構造により第2波長λ2に対して補正過剰方向の球面収差を付加させるようにしてもよい。
請求項55に記載の発明は、請求項52乃至54のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1が以下の(27)式を満たすことを特徴とする。
m1=0(27)
請求項55に記載の発明によれば、例えば高密度光ディスクに対する倍率m1を0とすると、光学素子が光ディスクのトラック方向にシフトしても、物点位置の変化がないので、良好なトラッキング特性が得られる。
請求項56に記載の発明は、請求項52乃至55のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第2倍率m2と前記第3倍率m3が以下の(28)及び(29)式を満たすことを特徴とする。
m2=m3(28)
−0.25<m2<−0.10 (29)
表1〜8に例として後述するように、3つの波長のうち第2波長λ2だけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過させるように、重畳型回折構造の段差量Δ、段差数Nを適切に設定した場合には、重畳型回折構造の作用では、保護層が最も厚いCDに対して発生する補正過剰方向の球面収差変化を補正することが出来ない。そこで、請求項56の発明にあるように、CDに対する倍率m3を(28)式の範囲内とすることで、かかる球面収差変化を補正することが可能となる。
請求項57に記載の発明は、請求項52乃至56のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記光学素子は、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第3波長λ3の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
請求項57に記載の発明によれば、DVDに対する倍率m2とCDに対する倍率m3をほぼ同じとしているので、DVD用の光源とCD用の光源がパッケージ化された光源モジュールの使用が可能である。これにより、光ピックアップ装置の光学部品点数を削減できる。
請求項58に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数
の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(30)及び(31)式を満たすことを特徴とする。
0.39μm<λ1<0.42μm (30)
P>3μm(31)
請求項58に記載の発明によれば、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過
させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
更に、本発明の重畳型回折構造は、各輪帯が複数の不連続な光軸方向の段差により階段状に分割された構造を有するが、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔(各階段構造の幅)が小さくなりすぎると、SPDTによる金型加工が困難になるという問題が顕在化する。また、金型の形状誤差による回折効率低下は短波長になるほど大きくなる。
そこで、本発明では、かかる階段構造の幅の最小値Pが3μmより大きくならないよう
にして、SPDTによる金型加工を容易にし、青紫色領域の波長λ1に対して、金型の形状誤差による回折効率低下が大きくなり過ぎないようにしている。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項59に記載の発明は、請求項58に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(32)式を満たすことを特徴とする。
P>5μm(32)
請求項59に記載の発明のように、以上の作用効果をより有効にするためには、階段構造の幅の最小値Pを5μmより大きくなるようにするのが好ましい。
請求項60に記載の発明は、請求項58に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(33)式を満たすことを特徴とする。
P>10μm (33)
請求項60に記載の発明のように、以上の作用効果を更に有効にするためには、階段構造の幅の最小値Pを10μmより大きくなるようにするのが好ましい。
請求項61に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さ
t1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を上記数1で定義したとき、BとBの符号が互いに異なることを特徴とする。
請求項61の発明によれば、BとBの符号が互いに異ならしめることで、光路差関数φの単位変化量あたりのhの変化量を大きくすることが出来る。これは、重畳型回折構造の輪帯の最小幅が大きくなることに相当し、透過率の向上、金型加工の容易化等を達成することが可能となる。これらの作用効果をより一層達成するためには、光路差関数φが変曲点を有するようにBとBの大きさを設定することが好ましい。
請求項62に記載の発明は、請求項58乃至61のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが互いに異なることを特徴とする。
階段構造の幅の最小値Pを大きく確保しようとすると、重畳型回折構造による収差補正効果が十分に得られず、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しきれないという課題が顕在化する。そこで、請求項62の発明にあるように、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2とCDに対する倍率m3とを互いに異ならしめて、重畳型回折構造で補正しきれずに残留した球面収差を補正するのが好ましい。
請求項63に記載の発明は、請求項62に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1倍率m1と、前記第2倍率m2と、前記第3倍率m3とが以下の(34)乃至(36)式を満たすことを特徴とする。
m1=0(34)
−0.08<m2<−0.01 (35)
−0.25<m3<−0.10 (36)
具体的には、高密度光ディスクに対する倍率m1、DVDに対する倍率m2、及びCDに対する倍率m3として、請求項63の発明にあるように、(34)〜(36)式の範囲内とするのが好ましい。
請求項64に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3
光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする。
請求項64に記載の発明によると、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、複数の光学機能領域に形成して、各輪帯内に形成された不連続な段差の数N、不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかを光学機能領域毎に異ならしめることで、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項65に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項66に記載の発明は、請求項65に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する
回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする。
請求項67に記載の発明は、請求項66に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(37)乃至(39)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (37)
0.63<λ2<0.68 (38)
0.75<λ3<0.85 (39)
請求項68に記載の発明は、請求項66又は67に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記
回折構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(40)乃至(44)のいずれか1つを満たすことを特徴とする。
1.2μm<d1<1.7μm (40)
2.6μm<d1<3.0μm (41)
4.4μm<d1<5.0μm (42)
5.6μm<d1<6.5μm (43)
6.9μm<d1<8.1μm (44)
請求項69に記載の発明は、請求項65乃至68のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生するフォーカス位置ずれを抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項70に記載の発明は、請求項69に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生する軸上色収差を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項71に記載の発明は、請求項69又は70に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項72に記載の発明は、請求項65乃至71のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子は、プラスチックレンズであって、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項73に記載の発明は、請求項72に記載の光ピックアップ装置用の光学素子にお
いて、前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項74に記載の発明は、請求項65乃至73のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする。
請求項75に記載の発明は、請求項65乃至73のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする。
請求項76に記載の発明は、請求項65乃至75のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項65に記載の発明によれば、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過
させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
また、高密度光ディスクに対して適切に情報を記録/再生できるようにするためには、色収差を補正する手段を設けることで、モードホッピングとよばれるレーザ光源の瞬間的な波長変化による集光性能の劣化を防ぐ必要がある。これは、青紫色領域におけるレンズ材料の波長分散が非常に大きくなるため、わずかな波長変化に対してもフォーカス位置ずれが大きく発生するためである。
また、高密度光ディスクの一規格として、対物レンズのNAを0.85程度に高めた光ディスクが提案されているが、光学素子のNAが大きくなるほど、入射光束の波長変化により発生する球面収差変化が大きくなるため、製造誤差により波長誤差を持ったレーザ光源が使用できないという課題が顕在化する。そのため、レーザ光源を選別する必要があるので、光ピックアップ装置の製造コストが上昇する。
ところで、プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、対物光学系を駆動するアクチュエータへの負担を軽減でき、対物光学系の追従を高速に行うことができる。また、射出成形により製造されるプラスチックレンズは、所望の金型を製造よく作製することで、安定した品質で高精度に大量生産することが可能となる。然るに、対物光学系のNAが大きくなった場合、かかる対物光学系をプラスチックレンズとすると温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなる。これは、屈折率変化により発生する球面収差がNAの4乗に比例して増大するためである。
そこで、本発明では、収差補正素子の光学機能面上に回折構造を設けることで、集光素子で発生する、入射光束の波長変化に対するフォーカス位置ずれや、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制しているので、入射光束の波長変化や温度変化が起きた場合でも、高密度光ディスクに対する記録/再生特性を良好に維持できる。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造や回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
然るに、高密度光ディスク用の光源とDVDやCD用の光源とでは波長差が大きいため、上述の回折構造で発生する同一次数の回折光を、それぞれの光デディスクに対する記録/再生用の光束として利用すると、3つの波長に対して、十分な回折効率を得ることができない。かかる問題に対して、請求項66の発明にあるように、高密度光ディスクに対して使用する回折光の回折次数n1よりも、DVDに対して使用する回折光の回折次数n2、及びCDに対して使用する回折光の回折次数n3のほうが、低次数となるように回折構造を設計すると、3つの波長に対する回折効率を十分に確保することが可能となる。
具体的には、回折次数n1、n2、n3として、請求項67の発明にあるような組み合わせとすると、波長λ1〜λ3の全ての波長に対して高い回折効率を確保できるので好ましい。
収差補正素子が、波長λ1に対する屈折率が1.5〜1.6の範囲内であって、d線でのアッベ数が50〜60の範囲内である材料から形成されている場合には、請求項68の発明にあるように、回折構造の段差のうちで、最も光軸に近い位置にある段差の深さd1を(40)〜(44)式のいずれか1つを満たすように設定すると、波長λ1〜λ3の全ての波長に対して高い回折効率を確保できる。尚、回折次数n1、n2、n3の組み合わせと段差d1は、(n1,n2,n3)=(2,1,1)が(40)式に対応し、(n1,n2,n3)=(4,2,2)が(41)式に対応し、(n1,n2,n3)=(6,4,3)が(42)式に対応し、(n1,n2,n3)=(8,5,4)が(43)式に対応し、(n1,n2,n3)=(10,6,5)が(44)式に対応するという関係にある。
一般的に、光ピックアップ装置では、光ディスクに対して情報を記録する際のほうが、情報を再生する際よりも大きなレーザパワーを必要とする。そのため、再生から記録に切り替える際に、レーザパワー変化に伴い波長変化を起こすことがある(モードホッピング)。かかるモードホッピングにより対物光学系ではフォーカス位置ずれか生じるので、フォーカスサーボが応答するまでの間、デフォーカス状態が続く。請求項69の発明では、集光素子の青紫色領域におけるフォーカス位置ずれを、収差補正素子の回折構造で抑制するようにしているので、青紫色レーザ光源がモードホッピングを起こした場合でも、良好な集光性能を維持できる。
集光素子の青紫色領域におけるフォーカス位置ずれを抑制するためには、具体的には、請求項70の発明にあるように、回折構造の近軸におけるパワーを正とすることで軸上色収差を抑制するようにするのが好ましい。
また、光学素子のNAが大きくなった場合に顕在化する、入射光束の波長変化により集光素子で発生する球面収差変化を抑制するためには、具体的には、請求項72の発明にあるように、入射光束の波長が長くなった場合に、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなった場合に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を回折構造に持たせることで、集光素子で発生する球面収差変化を抑制するようにするのが好ましい。
また、光学素子のNAが大きくなった場合に顕在化する、屈折率変化によりプラスチックレンズである集光素子で発生する球面収差変化を抑制するためには、入射光束の波長が長くなった場合に、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなった場合に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を回折構造に持たせ
るのが好ましい。プラスチックレンズである集光素子では、温度が上昇すると屈折率が低くなるので球面収差が補正過剰方向に変化し、温度が低下すると屈折率が高くなるので球面収差が補正不足方向に変化する。一方、レーザ光源は、温度が上昇すると波長が長くなり、温度が低下すると波長が短くなる特性を有する。この特性を利用すると、回折構造に上述のような球面収差の波長依存性を持たせることで、集光素子で発生する球面収差変化を相殺することが可能となる。尚、集光素子で発生する球面収差変化を効果的に抑制するためには、回折構造を非球面上に形成するのが好ましい。
温度変化に伴い、集光素子で発生する球面収差変化を抑制するための回折構造を、3つの光ディスクの情報記録面上にスポットを形成するために使用される、3つの波長の光束の共通の光学機能領域に形成する場合には、請求項66から68の発明にあるような回折構造とする必要がある。かかる場合には、3つの波長の全てに対して回折効率を100%とすることは原理上不可能である。そこで、請求項73の発明にあるように、収差補正素子の光学機能面を、光軸を含む中心光学機能領域と、この中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割し、周辺光学機能領域にのみ、回折構造を形成するようにするのが好ましい。例えば、この周辺光学機能領域が、DVDのNAから高密度光ディスクのNAに対応した光学機能領域(例えば、NA0.60〜NA0.85)である場合には、回折構造の最適化波長を波長λ1と一致させることで、波長λ1に対する回折効率を100%とすることが出来、更に、回折構造が形成されない連続非球面とされた中心光学機能領域における波長λ2と波長λ3とに対する透過率を高いものとすることが可能となる。球面収差はNAの4乗に比例して増大するので、NAの小さい中心光学機能領域に回折構造を形成せずとも、周辺光学機能領域の回折構造により効果的に球面収差を補正することが出来る。
かかる回折構造の具体的な形状としては、請求項74に記載の発明のように、光軸を含む断面形状が階段形状であるものを挙げられる。
また、かかる回折構造の具体的な形状は、請求項75に記載の発明のように、光軸を含む断面形状が鋸歯形状であってもよい。
収差補正素子の金型の加工を容易とするためには、請求項76の発明にあるように、重畳型回折構造と回折構造を、それぞれ別の光学機能面に形成するのが好ましい。
請求項77に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする。
請求項77に記載の発明によれば、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複
数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過
させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
また、本発明では、収差補正素子の光学機能面上に光路差付与構造を設けることで、集光素子で発生する、入射光束の波長変化に対するフォーカス位置ずれや、入射光束の波長変化に対する球面収差変化や、屈折率変化に伴う球面収差変化を抑制しているので、入射光束の波長変化や温度変化が起きた場合でも、高密度光ディスクに対する記録/再生特性を良好に維持できる。
また、光路差付与構造の隣接する輪帯間の段差量を適切に設定することにより、前記重畳型回折構造と同様に、保護層厚さの異なる複数の種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を抑制する機能を持たせることで、本発明の光学素子の設計の自由度を増やすことが出来る。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造や光路差付与構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項78に記載の発明は、請求項77に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子と前記収差補正素子は共にプラスチックレンズであって、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項79に記載の発明は、請求項78に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されていることを特徴とする。
請求項80に記載の発明は、請求項77乃至79のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(45)乃至(47)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(48)乃至(51)式を満たすことを特徴とする。
Φ1=d2(Nλ1−1)/λ1 (45)
Φ2=d2(Nλ2−1)/λ2 (46)
Φ3=d2(Nλ3−1)/λ3 (47)
INT(Φ1)≦10 (48)
0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (49)
0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (50)
0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (51)
但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項81に記載の発明は、請求項77乃至80のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項78に記載の発明によれば、プラスチックレンズである集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制するためには、収差補正素子をプラスチックレンズとし、屈折率が低くなった場合に球面収差が補正不足方向に変化し、屈折率が高くなった場合に球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の屈折率依存性をもつ光路差付与構造を形成することで、温度変化に伴って集光素子で発生する球面収差変化を相殺することが可能となる。これにより、光学素子のNAが大きくなった場合でも、温度変化に伴う高密度光ディスクに対する記録/再生特性の変化の小さい光学素子を提供できる。
また、本発明のように、光路差付与構造により集光素子の温度変化に伴う球面収差変化を抑制する場合は、収差補正素子の屈折率変化を利用するので、回折構造の波長依存性を利用して集光素子の球面収差変化を抑制する場合と異なり、温度変化に伴うレーザ光源の波長変化が起こらなくても球面収差の抑制効果が働く。
かかる光路差付与構造の具体的な構造は、請求項79に記載の発明のように、中心領域の外側に隣接する輪帯は、中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における輪帯は、その内側に隣接する輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されているような構造である。このような構造とすると、屈折率が低くなった場合に球面収差が補正不足方向に変化し、屈折率が高くなった場合に球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の屈折率依存性を、光路差付与構造に持たせることが可能となる。
上述の光路差付与構造を、3つの光ディスクの情報記録面上にスポットを形成するために使用される、3つの波長の光束の共通の光学機能領域に形成する場合には、請求項80の発明にあるように、最も光軸に近い位置にある段差の深さd2と、その段差により波長λ1〜λ3の各波長に対して付加される光路差Φ1〜Φ3を(45)〜(51)式を満たすように設定するのが好ましい。
これらの式を満たさない場合には、高密度光ディスク用の光源とDVDやCD用の光源とでは波長差が大きいため、いずれかの波長に対して高次の球面収差が発生する。高次の球面収差は記録/再生性能には影響ないとはいいながら、透過率の低下と実質的には等価となる。これらの式を満たすようにすると、いずれの波長に対しても高次の球面収差の発生を抑制でき、透過率を高めることが可能となる。
収差補正素子の金型の加工を容易とするためには、請求項81の発明にあるように、重畳型回折構造と光路差付与構造を、それぞれ別の光学機能面に形成するのが好ましい。
請求項82に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)
の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
前記集光素子は、1群1枚構成のプラスチックレンズであって、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されており、
前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)が以下の(52)式を満たすことを特徴とする。
P1>0(52)
請求項83に記載の発明は、請求項82に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記収差補正素子はプラスチックレンズであって、前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸における屈折パワーPR(mm-1)が以下の(53)式を満たすことを特徴とする。
PR>0(53)
請求項84に記載の発明は、請求項45乃至83のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする。
請求項85に記載の発明は、請求項84に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(54)乃至(56)式で表されるφ1、φ2、φ3が、が以下の(57)乃至(59)式を満たすことを特徴とする。
φ1=Δ(Nλ1−1)(N+1)/λ1 (54)
φ2=Δ(Nλ2−1)(N+1)/λ2 (55)
φ3=Δ(Nλ3−1)(N+1)/λ3 (56)
0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (57)
0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (58)
0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (59)
但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項86に記載の発明は、請求項85に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(60)及び(61)式を満たすことを特徴とする。
φ1≦24(60)
3≦N≦11 (61)
請求項87に記載の発明は、請求項84乃至86のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに
対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする。
請求項88に記載の発明は、請求項87に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする。
請求項89に記載の発明は、請求項88に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長
λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(62)乃至(64)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(65)乃至(68)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (62)
0.63<λ2<0.68 (63)
0.75<λ3<0.85 (64)
N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (65)
N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (66)
N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (67)
N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (68)
請求項90に記載の発明は、請求項87に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする。
請求項91に記載の発明は、請求項90に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長
λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(69)乃至(71)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(72)乃至(75)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (69)
0.63<λ2<0.68 (70)
0.75<λ3<0.85 (71)
N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (72)
N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (73)
N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (74)
N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (75)
請求項92に記載の発明は、請求項84乃至91のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項93に記載の発明は、請求項45乃至91のいずれか一項に記載の光ピックアッ
プ装置用の光学素子において、前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする。
請求項94に記載の発明は、請求項45乃至93のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学機能面に形成されていることを特徴とする。
請求項95に記載の発明は、請求項45乃至94のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(76)式を満たすことを特徴とする。
0.8≦t1/t2≦1.2 (76)
請求項96に記載の発明は、請求項95に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含まない光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項97に記載の発明は、請求項96に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項98に記載の発明は、請求項96又は97に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項99に記載の発明は、請求項95に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項100に記載の発明は、請求項99に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の
回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項101に記載の発明は、請求項99又は100に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項102に記載の発明は、請求項99乃至101のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項103に記載の発明は、請求項99乃至102のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項104に記載の発明は、請求項45乃至94のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(77)式を満たすことを特徴とする。t1/t2≦0.4 (77)
請求項105に記載の発明は、請求項104に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項106に記載の発明は、請求項105に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項107に記載の発明は、請求項105又は106に記載の光ピックアップ装置用
の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項108に記載の発明は、請求項105乃至107のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項109に記載の発明は、請求項105乃至108のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項110に記載の発明は、請求項45乃至109のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)と、前記第1波長λ1に対する前記集光素子の近軸におけるパワーP2(mm-1)とが以下の(78)式を満たすことを特徴とする。
|P1/P2|≦0.2 (78)
請求項111に記載の発明は、請求項45乃至110のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記収差補正素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする。
請求項112に記載の発明は、請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする。
請求項113に記載の発明は、請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子は、ガラスレンズであることを特徴とする。
請求項114に記載の発明は、請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30nm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする。
請求項115に記載の発明は、請求項45乃至114のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記集光素子は、前記第1波長λ1と前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1とに対して、マレシャル限界以下となるように収差補正されていることを特徴とする。
請求項82に記載の発明によれば、収差補正素子の光学機能面を、光軸を中心とした複数の光学機能領域に分割し、重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過
させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。また、3つの波長の回折次数を異ならせることで光学設計の自由度を広げたり、特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて比重が小さいため、対物光学系を駆動するアクチュエータへの負担を軽減でき、対物光学系の追従を高速に行うことができる。また、射出成形により製造されるプラスチックレンズは、所望の金型を製造よく作製することで、安定した品質で高精度に大量生産することが可能となる。然るに、対物光学系のNAが大きくなった場合、かかる対物光学系をプラスチックレンズとすると温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなる。これは、屈折率変化により発生する球面収差がNAの4乗に比例して増大するためである。
そこで、本発明では、波長λ1に対する収差補正素子の近軸におけるパワーP1を正とすることで、集光素子に対して波長λ1の光束が収斂光束として入射するようにしている。一般的に、開口数NAの有限共役型(倍率m≠0)の集光素子についての無限光束入射に換算したNA∞(以下、換算NAという)は、NA∞=NA(1−m)で表すことが出来る。従って、収斂光束が入射する倍率m>0である集光素子においては、換算NAを小さくできるので、温度変化に伴い集光素子で発生する球面収差変化を小さく抑えることが可能となる。
また、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることで、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、収差補正素子の光学機能面上に、重畳型回折構造や回折構造のごとき微細な段差を有する構造を形成しているので、段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
より効果的に、温度変化に伴い集光素子で発生する球面収差変化を小さく抑えるためには、請求項83に記載の発明のように、収差補正素子をプラスチックレンズとし、波長λ1に対する収差補正素子の近軸における屈折パワーPRを正とするのが好ましい。プラスチックレンズは温度が上昇すると屈折率が低下するので、収差補正素子が正レンズである場合には、集光素子に対する入射光束の収斂度が小さくなる。これは、集光素子の倍率mが小さくなることと等価であるので、この倍率変化により球面収差が補正不足方向に変化する。一方、集光素子では温度が上昇すると球面収差が補正過剰方向に変化するので、倍率変化による球面収差変化と相殺させることが可能となる。
請求項84の発明によると、重畳型回折構造を、光軸を含む光学機能領域に形成することで、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのま
ま透過させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定すれば、高密度光ディスクとDVDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差や、DVDとCDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正できる。
尚、重畳型回折構の段差量Δ、段差数Nとしては、後述する表1〜8にあるような組み合わせとするのが好ましい。
重畳型回折構造を、3つの光ディスクの情報記録面上にスポットを形成するために使用される、3つの波長の光束の共通の光学機能領域に形成する場合には、請求項85の発明
にあるように、段差の深さΔと、N個の段差により構成される1ピッチ分の、波長λ1〜λ3の各波長に対する光路差付加量φ1〜φ3を(54)〜(59)式を満たすように設定するのが好ましい。これにより、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。
また、φ1が大きくなりすぎると、1つの段差の深さが大きくなるので、結果として1ピッチ分の深さΔ(N+1)が大きくなり、また、段差数Nが多くなりすぎると、1ピッチあたりの階段構造の幅が小さくなる。これにより、金型の加工が困難になる、入射光束の微小な波長変化に対する透過率(回折効率)の変動が大きくなる、という問題が顕在化する。これらの問題の顕在化を回避するためには、請求項86の発明のように、重畳型回折構造の、波長λ1に対する1ピッチ分の光路差付加量φ1と、各輪帯内に形成された段差数Nは(60)、(61)式を満たすようにするのが好ましい。
重畳型回折構造により、高密度光ディスクとDVDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差、或いは、DVDとCDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を効果的に補正するためには、請求項87の発明にあるように、重畳型回折構造により波長λ1と波長λ3に対しては等価な光学的作用を与え、波長λ2に対してはこれとは異なる光学的作用を与えるように、重畳型回折構造の段差の深さΔと、N個の段差により構成される1ピッチ分の、波長λ1〜λ3の各波長に対する光路差付加量φ1〜φ3を決定するのが好ましい。
これにより、高密度光ディスクに対する倍率m1とDVDに対する倍率m2をほぼ同じとしたまま、高密度光ディスクとDVDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正したり、DVDに対する倍率m2とCDに対する倍率m3をほぼ同じとしたまま、DVDとCDの保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正することが可能となる。
具体的には、請求項88に記載の発明のように、重畳型回折構造を、波長λ1と波長λ3に対しては、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えないようにし(0次回折)、波長λ2に対しては、隣接する輪帯間で光路差を与えることで1次回折光を発生させるような構造とするのが好ましい。
より具体的には、請求項89に記載の発明のように、収差補正素子が、波長λ1に対する屈折率が1.5〜1.6の範囲内であって、d線でのアッベ数が50〜60の範囲内である材料から形成されている場合には、各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さD=Δ(N+1)を(65)〜(68)式のいずれか1つを満たすように設定するのが好ましい。
尚、各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDの好ましい組み合わせである(65)〜(68)式は、後述の表1が(65)式に対応し、表2が(66)式に対応し、表3が(67)式に対応し、表4が(68)式に対応するという関係にある。
これにより、波長λ1と波長λ3に対しては、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折光を、波長λ2に対しては、隣接する輪帯間で光路差を与えることで1次回折光を発生させることができるとともに、波長λ1〜λ3の全ての波長に対して高い透過率(回折効率)を確保できる。
また、重畳型回折構造を、請求項90の発明にあるように、波長λ1と波長λ3に対しては、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えないようにし(0次回折)、波長λ2に対しては、隣接する輪帯間で光路差を与えることで2次回折光を発生させるような構造としてもよい。
この場合には、請求項91に記載の発明のように、各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さD=Δ(N+1)を(72)〜(75)
式のいずれか1つを満たすように設定するのが好ましい。
これにより、波長λ1と波長λ3に対しては、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折光を、波長λ2に対しては、隣接する輪帯間で光路差を与えることで2次回折光を発生させることができるとともに、波長λ1〜λ3の全ての波長に対して高い透過率(回折効率)を確保できる。
尚、後述の表5が(72)式に対応し、表6が(73)式に対応し、表7が(74)式に対応し、表8が(75)式に対応している。
また、請求項92の発明にあるように、重畳型回折構造を光軸を含む光学機能領域だけでなく、全ての光学機能領域に形成してもよい。
或いは、請求項93の発明にあるように、重畳型回折構造に持たせる機能に応じて、必要な光学機能領域にのみ重畳型回折構造を形成し、重畳型回折構造が形成されない光学機能領域があってもよい。
更に、請求項94の発明にあるように、重畳型回折構造を、収差補正素子の複数の光学機能面に形成してもよく、この場合には、各輪帯内に形成された各階段構造の幅を広げることができるので、SPDTによる金型加工を容易になり、また、青紫色領域の波長λ1に対して、金型の形状誤差による回折効率低下が大きくなり過ぎないという利点がある。
請求項95の発明にあるように、NA0.65の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.6mm程度である規格の高密度光ディスクと、DVD及びCDとに対して互換性を有するピックアップ装置に対しても、本発明の重畳型回折構造を有する光学素子は適用可能である。
かかる場合には、請求項96の発明にあるように、収差補正素子の波長λ1に対する有効径と、波長λ2に対する有効径が同じ場合には、収差補正素子の光学機能面を、波長λ3に対する有効径内に対応する光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む光学機能領域の2つの光学機能領域に分割するのが好ましい。
そして、請求項97の発明にあるように、波長λ3に対する有効径から波長λ1及びλ2に対する有効径に対応する光学機能領域に、重畳型回折構造を形成し、この重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDを適切に設定して、波長λ1と波長λ2の光束は高い透過率(回折効率)で透過させ、波長λ3の光束に対する回折効率を極端に小さくするようにして、ダイクロイックフィルターの役割を持たせるのが好ましい。
これにより、自動的にCDに対する開口制限がなされるので、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の光学素子を提供できる。
かかる重畳型回折構造の例としては、後述の表11〜13の構造があげられる。
このように、波長λ3に対する有効径から波長λ1及びλ2に対する有効径に対応する光学機能領域に形成した重畳型回折構造に、開口制限機能を持たせる場合には、請求項98の発明にあるように、波長λ1と波長λ2の光束に対して等価な光学的作用を与え、波長λ3の光束に対しては、これとは異なる光学的作用を与えるような構造として、重畳型回折構造を透過した波長λ3の光束が、CDの情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とするのが好ましい。
かかる重畳型回折構造の具体的な例は、波長λ1とλ2の光束とに対しては実質的に光路差を与えずに、波長λ3の光束のみを±2次の方向へ回折させる表11の構造である。
一方、収差補正素子の波長λ1に対する有効径と、波長λ2に対する有効径が異なる場合には、請求項99の発明にあるように、収差補正素子の光学機能面を、波長λ3に対する有効径内に対応する光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域と、更に、その周囲を囲む波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域の3つの光学機能領域に分割するのが好ましい
そして、請求項100の発明にあるように、波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域に、重畳型回折構造を形成し、この重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDを適切に設定して、波長λ1と波長λ2の光束は高い透過率(回折効率)で透過させ、波長λ3の光束に対する回折効率を極端に小さくするようにして、ダイクロイックフィルターの役割を持たせるのが好ましい。
これにより、自動的にCDに対する開口制限がなされるので、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の光学素子を提供できる。
かかる重畳型回折構造の例としては、後述の表11〜13の構造があげられる。
このように、波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域に形成した重畳型回折構造に、開口制限機能を持たせる場合には、請求項101の発明にあるように、波長λ1と波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、波長λ3の光束に対しては、これとは異なる光学的作用を与えるような構造として、重畳型回折構造を透過した波長λ3の光束が、CDの情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とするのが好ましい。
かかる重畳型回折構造の具体的な例は、波長λ1とλ2の光束とに対しては実質的に光路差を与えずに、波長λ3の光束のみを±2次の方向へ回折させる表11の構造である。
更に、請求項102の発明にあるように、波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域に、重畳型回折構造を形成し、この重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDを適切に設定して、波長λ1の光束は高い透過率(回折効率)で透過させ、波長λ2とλ3の光束に対する回折効率を極端に小さくするようにして、ダイクロイックフィルターの役割を持たせるのが好ましい。
これにより、自動的にCDとDVDに対する開口制限がなされるので、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の光学素子を提供できる。
このように、波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域に形成した重畳型回折構造に、開口制限機能を持たせる場合には、請求項103の発明にあるように、波長λ1の光束とは異なる光学的作用を、波長λ2と波長λ3の光束に与えるような構造として、重畳型回折構造を透過した波長λ2とλ3の光束が、DVD及びCDの情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とするのが好ましい。
かかる重畳型回折構造の具体的な例は、波長λ1の光束に対しては実質的に光路差を与えずに、波長λ2の光束を−2次の方向に回折させ、波長λ3の光束を±3次の方向へ回
折させる表14の構造である。
尚、上述の請求項99から103の発明においては、波長λ1に対する有効径が波長λ2に対する有効径よりも大きい場合を例として、その作用効果を説明したが、波長λ2に対する有効径が波長λ1に対する有効径よりも大きい場合にも、同様の作用効果を持たせることができる。
請求項104の発明にあるように、NA0.85の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.1mm程度である規格の高密度光ディスク(例えば、ブルーレイディスク)と、DVD及びCDとに対して互換性を有するピックアップ装置に対しても、本発明の重畳型回折構造を有する光学素子は適用可能である。
かかる場合には、請求項105の発明にあるように、収差補正素子の光学機能面を、波長λ3に対する有効径内に対応する光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域と、更に、その周囲を囲む波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域の3つの光学機能領域に分割するのが好ましい
そして、請求項106の発明にあるように、波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域に、重畳型回折構造を形成し、この重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDを適切に設定して、波長λ1と波長λ2の光束は高い透過率(回折効率)で透過させ、波長λ3の光束に対する回折効率を極端に小さくするようにして、ダイクロイックフィルターの役割を持たせるのが好ましい。
これにより、自動的にCDに対する開口制限がなされるので、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の光学素子を提供できる。
かかる重畳型回折構造の例としては、後述の表11〜13の構造があげられる。
このように、波長λ3に対する有効径から波長λ2に対する有効径に対応する光学機能領域に形成した重畳型回折構造に、開口制限機能を持たせる場合には、請求項107の発明にあるように、波長λ1と波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、波長λ3の光束に対しては、これとは異なる光学的作用を与えるような構造として、重畳型回折構造を透過した波長λ3の光束が、CDの情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とするのが好ましい。
かかる重畳型回折構造の具体的な例は、波長λ1とλ2の光束とに対しては実質的に光路差を与えずに、波長λ3の光束のみを±2次の方向へ回折させる表11の構造である。
更に、請求項108の発明にあるように、波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域に、重畳型回折構造を形成し、この重畳型回折構造の各輪帯内に形成された段差の数Nと、N個の段差により構成される1ピッチ分の深さDを適切に設定して、波長λ1の光束は高い透過率(回折効率)で透過させ、波長λ2とλ3の光束に対する回折効率を極端に小さくするようにして、ダイクロイックフィルターの役割を持たせるのが好ましい。
これにより、自動的にCDとDVDに対する開口制限がなされるので、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の光学素子を提供できる。
このように、波長λ2に対する有効径から波長λ1に対する有効径に対応する光学機能領域に形成した重畳型回折構造に、開口制限機能を持たせる場合には、請求項109の発明にあるように、波長λ1の光束とは異なる光学的作用を、波長λ2と波長λ3の光束に与えるような構造として、重畳型回折構造を透過した波長λ2とλ3の光束が、DVD及びCDの情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とするのが好ましい。
かかる重畳型回折構造の具体的な例は、波長λ1の光束に対しては実質的に光路差を与えずに、波長λ2の光束を−2次の方向に回折させ、波長λ3の光束を±3次の方向へ回
折させる表14の構造である。
また、請求項110の発明にあるように、波長λ1に対する収差補正素子の近軸におけるパワーP1と、集光素子の近軸におけるパワーP2とを(78)式を満たすように設定するのが好ましい。
これにより、入射光束に対する屈折力を専ら光ディスク側に配置される集光素子に持たせることができるので、3種類の規格の異なる光ディスクのうちで、保護層厚さが最もCDに対する作動距離を十分に確保することが可能となる。
更に、重畳型回折構造や回折構造や光路差付与構造の段差部分によりその進路が遮断されて集光スポットの形成に寄与しない光束の割合を抑えることができ、透過率の低下を防止できる。
請求項111の発明にあるように、収差補正素子をプラスチックレンズとすると、重畳型回折構造や回折構造や光路差付与構造のごとき、微細な構造の成形時の転写性を高めることができるので好ましい。
請求項112の発明にあるように、集光素子をプラスチックレンズとすると、安定した品質で高精度に大量生産することが可能となる。尚、大きな集光力を有する集光素子をプ
ラスチックレンズとすると温度変化に伴う屈折率変化の影響が大きくなるが、これと組み合わせて使用する収差補正素子を請求項64、76、81にあるような構成とすることで、屈折率変化による球面収差を効果的に抑制することができる。
一方、請求項113の発明にあるように、集光素子をガラスレンズとすると、青紫色領域の光に対する耐光性、耐温度性、透過率等に関して高い信頼性を有する集光素子とすることができる。
ガラスレンズとして、ガラス転移点Tgが400℃以下であるガガラス材料を使用する
と、比較的低温での成形が可能となるので、金型の寿命を延ばすことができる。これにより、集光素子の製造コストを低減できる。
かかるガラス転移点Tgが低いガラス材料としては、例えば、(株)スミタ光学ガラス製のK−PG325やK−PG375(共に製品名)がある。
また、集光素子の材料としては、請求項114の発明にあるような、プラスチック材料中に、直径が30nm以下の粒子を分散させた材料を使用してもよい。
温度が上昇すると屈折率が下がるプラスチック材料に、温度が上昇すると屈折率が上昇する無機材料を均質に混成することで両者の屈折率の温度依存性を打ち消すことが可能となる。これにより、プラスチック材料の成形性を保持したまま、温度変化に伴う屈折率変化が小さい光学材料(以下、かかる光学材料を「アサーマル樹脂」と呼ぶ)。
ここで、集光素子の屈折率の温度変化について説明する。温度変化に対する屈折率の変化率は、Lorentz−Lorenzの公式に基づいて、屈折率nを温度tで微分することにより、
以下の数2に示すAで表される。
Figure 2009245583
但し、nはレーザ光源の波長に対する前記集光レンズの屈折率であり、αは集光素子の線膨張係数であり、[R]は集光素子の分子屈折力である。
一般的なプラスチック材料の場合は、第1項に比べて第2項の寄与が小さいので第2項はほぼ無視出来る。たとえば、アクリル樹脂(PMMA)の場合、線膨張係数αは7×10-5である、上式に代入すると、A=−12×10-5となり、実測値と概ね一致する。
ここで、本発明での集光素子では、直径が30nm以下の微粒子プラスチック材料中に分散させることにより、実質的に上式の第2項の寄与を大きくし、第1項の線膨張による変化と打ち消しあうようにさせている。
具体的には、従来は−12×10-5程度であった温度変化に対する屈折率変化率を、絶対値で10×10-5未満に抑えることが好ましい。より好ましくは、8×10-5未満、更に好ましくは、6×10-5未満に抑えることが、集光素子の温度変化に伴う球面収差変化を低減するうえで好ましい。
例えば、アクリル樹脂(PMMA)に、酸化二オブ(Nb2O5)の微粒子を分散させることにより、このような温度変化に対する屈折率変化の依存性を解消することが出来る。
母材となるプラスチック材料は、体積比で80、酸化二オブは20程度の割合であり、これらを均一に混合する。微粒子は凝集しやすいという問題があるが、粒子表面に電荷を与えて分散させる技術も知られており、必要な分散状態を生じさせることが出来る。
尚、この体積比率は、温度変化に対する屈折率の変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズ無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
体積比率では、上記の例では80:20であるが、90:10〜60:40までの間で適宜調整可能である。90:10よりも体積比率が小さいと屈折率変化抑制の効果が小さ
くなり、逆に、60:40を超えるとアサーマル樹脂の成形性に問題が生じるために好ましくない。
微粒子は無機物であることが好ましく、更に、酸化物であることが好ましい。そして酸化状態が飽和していて、それ以上酸化しない酸化物であることが好ましい。
無機物であることは、高分子有機化合物であるプラスチック材料との反応を低く抑えるために好ましく、また酸化物であることによって、青紫色レーザの長時間の照射に伴う透過率劣化や波面収差劣化を防ぐことが出来る。特に、高温下において青紫色レーザが照射されるという過酷な条件において、酸化が促進されやすくなるが、このような無機酸化物であれば、酸化による透過率劣化や波面収差劣化を防ぐことが出来る
尚、プラスチック材料に分散させる微粒子の直径が大きいと、入射光束の散乱が生じやすくなり集光素子の透過率が低下する。高密度光ディスクにおいて、情報の記録/再生に使用される青紫色レーザでは、長時間にわたり安定したレーザ発振を得られるレーザパワーは30mW程度であるので、光学素子の青紫色レーザに対する透過率が低いと、情報の記録の高速化、多層ディスク対応という観点で不利となる。従って、プラスチック材料に分散させる微粒子の直径は、好ましくは20nm以下、更に好ましくは10〜15nm以下であることが集光素子の透過率低下を防ぐうえで好ましい。
一般的に、光学素子は、波長が短くなるほど、そして、NAが大きくなるほど、その製造が難しくなる。従って、請求項115の発明にあるように、集光素子を高密度光ディスクの波長λ1と保護層の厚さt1とに対して収差補正が最適化されるようにして、収差補正素子と組合わせた場合に、高密度光ディスク用の光学素子としての性能を出しやすくするのが好ましい。
請求項116記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
前記対物光学系として、請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光学素子を使用することを特徴とする。
請求項117記載の発明は、請求項116に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする。
請求項118記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子と
の間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項119記載の発明は、請求項118に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、前記第2波長λ2に対する該重畳型回折構造の近軸における回折パワーが負であることを特徴とする。
請求項120記載の発明は、請求項118又は119に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする。
請求項121記載の発明は、請求項118に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが正であることを特徴とする。
請求項122記載の発明は、請求項118又は121に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする。
請求項123記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(79)及び(80)式を満たすことを特徴とする。
0.39μm<λ1<0.42μm (79)
P>3μm(80)
請求項124記載の発明は、請求項123に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(81)式を満たすことを特徴とする。
P>5μm(81)
請求項125記載の発明は、請求項124に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(82)式を満たすことを特徴とする。
P>10μm (82)
請求項126記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を上記数1で定義したとき、B2
とB4の符号が互いに異なることを特徴とする。
請求項127記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする。
請求項128記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の
保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項129記載の発明は、請求項128に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする。
請求項130記載の発明は、請求項129に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(83)乃至(85)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2,)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (83)
0.63<λ2<0.68 (84)
0.75<λ3<0.85 (85)
請求項131記載の発明は、請求項129又は130に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され
、前記
回折構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(86)乃至(90)のいずれか1つを満たすことを特徴とする。
1.2μm<d1<1.7μm (86)
2.6μm<d1<3.0μm (87)
4.4μm<d1<5.0μm (88)
5.6μm<d1<6.5μm (89)
6.9μm<d1<8.1μm (90)
請求項132記載の発明は、請求項128乃至131のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記回折構造の、前記第1波長λ1に対する近軸における回折パワーPD0(mm-1)、前記回折構造の、前記第1波長λ1よりも10nm長い波長に対する近軸における回折パワーPD1(mm-1)、前記回折構造の、前記第1波長λ1よりも10nm短い波長に対する近軸における回折パワーPD2(mm-1)が以下の(91)式を満たすことを特徴とする。
PD2<PD0<PD1 (91)
請求項133記載の発明は、請求項128乃至132のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする。
請求項134記載の発明は、請求項133に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする。請求項135記載の発明は、請求項128乃至134のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする。
請求項136記載の発明は、請求項128乃至134のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする。
請求項137記載の発明は、請求項128乃至136のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項138記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする。
請求項139記載の発明は、請求項138に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することを特徴とする。
請求項140記載の発明は、請求項139に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光
軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されていることを特徴とする。
請求項141記載の発明は、請求項138乃至140のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(92)乃至(94)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(95)乃至(98)式を満たすことを特徴とする。
Φ1=d2・(Nλ1−1)/λ1 (92)
Φ2=d2・(Nλ2−1)/λ2 (93)
Φ3=d2・(Nλ3−1)/λ3 (94)
INT(Φ1)≦10 (95)
0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (96)
0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (97)
0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (98)
但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項142記載の発明は、請求項138乃至141のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項143記載の発明は、請求項118乃至142のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする。
請求項144記載の発明は、請求項143に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(99)乃至(101)式で表されるφ1、φ2、φ3が、が以下の(102)乃至(104)式を満たすことを特徴とする。
φ1=Δ・(Nλ1−1)・(N+1)/λ1 (99)
φ2=Δ・(Nλ2−1)・(N+1)/λ2 (100)
φ3=Δ・(Nλ3−1)・(N+1)/λ3 (101)
0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (102)
0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (103)
0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (104)
但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項145記載の発明は、請求項144に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(105)及び(106)式を満たすことを特徴とする。
φ1≦24(105)
3≦N≦11 (106)
請求項146記載の発明は、請求項143乃至145のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする。
請求項147記載の発明は、請求項146に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする。
請求項148記載の発明は、請求項147に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1
波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(107)乃至(109)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(110)乃至(113)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (107)
0.63<λ2<0.68 (108)
0.75<λ3<0.85 (109)
N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (110)
N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (111)
N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (112)
N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (113)
請求項149記載の発明は、請求項146に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする。
請求項150記載の発明は、請求項149に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1
波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(114)乃至(116)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(117)乃至(120)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (114)
0.63<λ2<0.68 (115)
0.75<λ3<0.85 (116)
N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (117)
N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (118)
N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (119)
N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (120)
請求項151記載の発明は、請求項143乃至150のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折
構造が形成されていることを特徴とする。
請求項152記載の発明は、請求項118乃至150のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする。
請求項153記載の発明は、請求項118乃至152のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学機能面に形成されていることを特徴とする。
請求項154記載の発明は、請求項118乃至153のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項155記載の発明は、請求項118乃至154のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項156記載の発明は、請求項118乃至153のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項157記載の発明は、請求項118乃至153、156のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項158記載の発明は、請求項118乃至153、156、157のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項159記載の発明は、請求項118乃至153、156乃至158のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第
3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項160記載の発明は、請求項118乃至159のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子において、前記収差補正素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする。
請求項161記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子を有し、
前記第1光源乃至前記第3光源と、前記集光素子との間の光路中に請求項118乃至160のいずれか一項に記載の収差補正素子を配置したことを特徴とする。
請求項162記載の発明は、請求項161に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする。
請求項163記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項164記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2とが略一致することを特徴とする。
請求項165記載の発明は、請求項164に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする。
請求項166記載の発明は、請求項164又は165に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1倍率m1と前記第2倍率m2が以下の(121)式を満たすことを特徴とする。
m1=m2=0 (121)
請求項167記載の発明は、請求項164乃至166のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3が以下の(122)式を満たすことを特徴とする。
−0.25<m3<−0.10 (122)
請求項168記載の発明は、請求項164乃至167のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光源と前記第2光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記集光素子は、前記光源モジュールから射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
請求項169記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが略一致することを特徴とする。
請求項170記載の発明は、請求項169に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする。
請求項171記載の発明は、請求項169又は170に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1が以下の(123)式を満たすことを特徴とする。
m1=0(123)
請求項172記載の発明は、請求項169乃至171のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第2倍率m2と前記第3倍率m3が以下の(124)及び(125)式を満たすことを特徴とする。
m2=m3(124)
−0.25<m2<−0.10 (125)
請求項173記載の発明は、請求項169乃至172のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記集光素子は、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第3波長λ3の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
請求項174記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(126)及び(127)式を満たすことを特徴とする。
0.39μm<λ1<0.42μm (126)
P>3μm(127)
請求項175記載の発明は、請求項174に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(128)式を満たすことを特徴とする。
P>5μm(128)
請求項176記載の発明は、請求項175に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(129)式を満たすことを特徴とする。
P>10μm (129)
請求項177記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を上記数1で定義したとき、B2
とB4の符号が互いに異なることを特徴とする。
請求項178記載の発明は、請求項174乃至177のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが互いに異なることを特徴とする。
請求項179記載の発明は、請求項178に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1倍率m1と、前記第2倍率m2と、前記第3倍率m3とが以下の(130)乃至(132)式を満たすことを特徴とする。
m1=0(130)
−0.08<m2<−0.01 (131)
−0.25<m3<−0.10 (132)
請求項180記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする。
請求項181記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項182記載の発明は、請求項181に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする。
請求項183記載の発明は、請求項182に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(133)乃至(135)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2,)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (133)
0.63<λ2<0.68 (134)
0.75<λ3<0.85 (135)
請求項184記載の発明は、請求項182又は183に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記回
折構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(136)乃至(140)のいずれか1つを満たすことを特徴とする。
1.2μm<d1<1.7μm (136)
2.6μm<d1<3.0μm (137)
4.4μm<d1<5.0μm (138)
5.6μm<d1<6.5μm (139)
6.9μm<d1<8.1μm (140)
請求項185記載の発明は、請求項181乃至184のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生するフォーカス位置ずれを抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項186記載の発明は、請求項185に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記回折構造の、前第1波長λ1に対する近軸における回折パワーPD0(mm-1)、前記回折構造の、前第1波長λ1よりも10nm長い波長に対する近軸における回折パワーPD1(mm-1)、前記回折構造の、前第1波長λ1よりも10nm短い波長に対する近軸における回折パワーPD2(mm-1)が以下の(141)式を満たすことを特徴とする。
PD2<PD0<PD1 (141)
請求項187記載の発明は、請求項185又は186に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする。
請求項188記載の発明は、請求項181乃至187のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、プラスチックレンズであって、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項189記載の発明は、請求項188に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項190記載の発明は、請求項181乃至189のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする。
請求項191記載の発明は、請求項181乃至190のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造は、前記集光素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記集光素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項192記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする。
請求項193記載の発明は、請求項192に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子はプラスチックレンズであって、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする。
請求項194記載の発明は、請求項193に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移し
て形成されていることを特徴とする。
請求項195記載の発明は、請求項192乃至194のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記集光素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記集光素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2、前記集光素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(142)乃至(144)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(145)乃至(148)式を満たすことを特徴とする。
Φ1=d2・(Nλ1−1)/λ1 (142)
Φ2=d2・(Nλ2−1)/λ2 (143)
Φ3=d2・(Nλ3−1)/λ3 (144)
INT(Φ1)≦10 (145)
0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (146)
0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (147)
0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (148)
但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。請求項196記載の発明は、請求項192乃至195のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造は、前記集光素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記集光素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする。
請求項197記載の発明は、請求項163乃至196のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする。
請求項198記載の発明は、請求項197に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記集光素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記集光素子の前記第2波長λ2に対する屈折率Nλ2、前記集光素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(149)乃至(151)式で表されるφ1、φ2、φ3が、以下の(152)乃至(154)式を満たすことを特徴とする。
φ1=Δ・(Nλ1−1)・(N−1)/λ1 (149)
φ2=Δ・(Nλ2−1)・(N−1)/λ2 (150)
φ3=Δ・(Nλ3−1)・(N−1)/λ3 (151)
0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (152)
0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (153)
0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (154)
但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
請求項199記載の発明は、請求項198に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(155)及び(156)式を満たすことを特徴とする。
φ1≦24(155)
3≦N≦11 (156)
請求項200記載の発明は、請求項197乃至199のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光
学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする。
請求項201記載の発明は、請求項200に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする。請求項202記載の発明は、請求項201に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、前記第1波長λ1sにおける屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ
1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(157)乃至(159)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(160)乃至(163)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (157)
0.63<λ2<0.68 (158)
0.75<λ3<0.85 (159)
N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (160)
N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (161)
N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (162)
N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (163)
請求項203記載の発明は、請求項200に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする。請求項204記載の発明は、請求項203に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1
(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(164)乃至(166)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(167)乃至(170)式のいずれかであることを特徴とする。
0.39<λ1<0.42 (164)
0.63<λ2<0.68 (165)
0.75<λ3<0.85 (166)
N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (167)
N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (168)
N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (169)
N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (170)
請求項205記載の発明は、請求項197乃至204のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項206記載の発明は、請求項163乃至204のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする。
請求項207記載の発明は、請求項163乃至206のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学
機能面に形成されていることを特徴とする。
請求項208記載の発明は、請求項163乃至207のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(171)式を満たすことを特徴とする。
0.8≦t1/t2≦1.2 (171)
請求項209記載の発明は、請求項208に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含まない光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項210記載の発明は、請求項209に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項211記載の発明は、請求項209又は210に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項212記載の発明は、請求項208に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項213記載の発明は、請求項212に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項214記載の発明は、請求項212又は213に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の
情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項215記載の発明は、請求項212乃至214のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項216記載の発明は、請求項212乃至215のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項217記載の発明は、請求項163乃至207のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(172)式を満たすことを特徴とする。
t1/t2≦0.4 (172)
請求項218記載の発明は、請求項217に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする。
請求項219記載の発明は、請求項218に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項220記載の発明は、請求項218又は219に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。
請求項221記載の発明は、請求項218乃至220のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効
率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする。
請求項222記載の発明は、請求項218乃至221のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする。請求項223記載の発明は、請求項163乃至222のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする。
請求項224記載の発明は、請求項163乃至222のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、ガラス転移点Tgが400℃以下であ
るガラスレンズであることを特徴とする。
請求項225記載の発明は、請求項163乃至223のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子において、前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30nm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする。
請求項226記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
前記対物光学系として、請求項163乃至225のいずれか一項に記載の集光素子を使用することを特徴とする。
請求項227記載の発明は、請求項226に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする。
請求項228記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系と、絞りと、前記対物光学系と前記絞りとを光軸に垂直な方向に一体に駆動させる駆動装置を有し、
前記対物光学系は、その光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面が、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
更に、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束のうち、少なくとも1つの光束が前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する構成を有し、
前記第1光源乃至前記第3光源のうち、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束を射出する光源のうち少なくとも1つの光源と、前記対物光学系との間の光路中に、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動された場合に発生するコマ収差を低減させる機能を有するコマ収差補正素子を配置したことを特徴とする。
請求項229記載の発明は、請求項228に記載の光ピックアップ装置において、前記コマ収差補正素子は、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束が通過する有効径内では、球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、補正過剰方向の球面収差を有することを特徴とする。
請求項230記載の発明は、請求項229に記載の光ピックアップ装置において、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、発散光束であることを特徴とする。
請求項231記載の発明は、請求項229又は230に記載の光ピックアップ装置において、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第3波長λ3の光束であることを特徴とする。
請求項232記載の発明は、請求項229乃至231のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第2波長λ2の光束であることを特徴とする。
請求項233記載の発明は、請求項229乃至232のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第2波長λ2の光束と、前記第3波長λ3の光束であることを特徴とする。
請求項234記載の発明は、請求項233に記載の光ピックアップ装置において、前記コマ収差補正素子は、前記第2波長λ2の光束と、前記第3波長λ3の光束の共通光路中に配置され、
前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記第2波長λ2が通過する有効径内では、前記波長λ2の球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、前記波長λ2の球面収差が補正過剰方向とされ、且つ、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記第3波長λ3が通過する有効径内では、前記波長λ3の球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、前記波長λ3の球面収差が補正過剰方向とされたことを特徴とする。
請求項235記載の発明は、請求項233又は234に記載の光ピックアップ装置において、前記コマ収差補正素子の少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする。
請求項236記載の発明は、請求項233乃至235のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであることを特徴とする。
請求項237記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)
の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
前記対物光学系は、その光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面が、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
更に、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束のうち、少なくとも2つの光束が前記対物光学系に対して互いに異なる倍率で入射する構成を有し、
前記第1光源乃至前記第3光源のうち、前記対物光学系に対して互いに異なる倍率で入射する前記少なくとも2つの光束を射出する光源は、パッケージ化された光源モジュールであって、
少なくとも1つの光学機能面に、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された、前記光源モジュールから射出された光束のうち、少なくとも1つの光束の発散角を変換して前記対物光学系に導くための発散角変換素子を、前記光源モジュールと、前記対物光学系との間の光路中に配置したことを特徴とする。
請求項238記載の発明は、請求項237に記載の光ピックアップ装置において、前記発散角変換素子に形成された前記重畳型回折構造は、前記光源モジュールから射出された光束のうち、ある1つの光束に対しては第1光学的作用を与え、他の波長の光束に対しては前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする。
請求項239記載の発明は、請求項238に記載の光ピックアップ装置において、前記光源モジュールから射出される前記光束は2つの光束であって、該2つの光束は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束であることを特徴とする。
請求項240記載の発明は、請求項238に記載の光ピックアップ装置において、前記光源モジュールから射出される前記光束は2つの光束であって、該2つの光束は、前記第2波長λ2の光束と前記第2波長λ3の光束であることを特徴とする。
請求項241記載の発明は、請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする。
請求項242記載の発明は、請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記光学素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む第1の周辺の光学機能領域と、更にその周囲を囲む第2の周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該第1の周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させ、該第2の
周辺の光学機能領域において、前記第2波長λ2の光束及び前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする。
請求項243記載の発明は、請求項241又は242に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記波長選択フィルタは、前記収差補正素子の少なくとも1つの光学機能面上に形成されたことを特徴とする。
請求項244記載の発明は、請求項241又は242に記載の光ピックアップ装置用の光学素子において、前記波長選択フィルタは、前記集光素子の少なくとも1つの光学機能面上に形成されたことを特徴とする。
請求項245記載の発明は、請求項116に記載の光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系の光束入射面側に配置された開口制限素子を有し、前記開口制限素子の少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする。
請求項246記載の発明は、請求項116に記載の光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系の光束入射面側に配置された開口制限素子を有し、前記開口制限素子の少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む第1の周辺の光学機能領域と、更にその周囲を囲む第2の周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該第1の周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させ、該第2の周辺の光学機能領域において、前記第2波長λ2の光束及び前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする。
請求項247記載の発明は、請求項245又は246に記載の光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系を少なくとも光軸に垂直な方向に駆動させるための駆動装置を有し、前記開口制限素子は、前記駆動装置により、前記対物光学系と一体となって光軸に垂直な方向に駆動されることを特徴とする。
請求項248記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
前記光ピックアップ装置は、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造であって、前記第1光束及び前記第3光束には実質的に位相差を与えず、前記第2光束にのみ位相差を与える重畳型回折構造が形成された光学面を少なくとも1つ有する回折レンズと、前記回折レンズを通過した前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための集光素子とを有し、
前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第1波長λ1の光束に対する倍率をm1とし、前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第2
波長λ2の光束に対する倍率をm2とし、前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第3波長λ3の光束に対する倍率をm3としたとき、以下の(173)式を満たすことを特徴とする。
m1≧m2>m3 (173)
請求項249記載の発明は、請求項248に記載の光ピックアップ装置において、以下の(174)式を満たすことを特徴とする。
m1=m2 (174)
請求項250記載の発明は、請求項248に記載の光ピックアップ装置において、以下の(175)式及び(176)式を満たすことを特徴とする。
m1=m2=0 (175)
−0.25<m3<−0.10 (176)
請求項248の発明によれば、回折レンズと集光素子とから構成される光学系の第3光束に対する倍率m3を(173)式を満たすように設定することで、高密度光ディスクとCDとの保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正することが可能となる。
尚、DVDに対する情報の記録/再生に使用される第2光束は、重畳型回折構造により位相差を付加されることで回折作用を受けるので、かかる回折作用により、高密度光ディスクとDVDとの保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正することが出来る。
光ピックアップ装置の特性を良好なものとし、更に、光ピックアップ装置の設計、製造を容易なものとするためには、請求項249の発明にあるように、回折レンズと集光素子とから構成される光学系の第1光束と第2光束とに対する倍率m1、m2を(174)式にあるように同倍率とするのが好ましい。
更に好ましくは、請求項250の発明にあるように、回折レンズと集光素子とから構成される光学系の第1光束と第2光束とに対する倍率m1、m2を(175)式にあるように0とすることであり、この場合には、第3光束とに対する倍率m3を(176)式を満たすように設定するのが好ましい。
請求項251に記載の発明は、第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1情報記録媒体乃至前記第3情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための集光素子と、位相構造を有する収差補正素子と、球面収差補正手段とを有し、
前記収差補正素子は、前記第1波長λ1と前記第2波長λ2の差に起因して前記集光素子で発生する球面収差及び/又は前記t1と前記t2の差に起因する球面収差を補正する機能を有し、
前記球面収差補正手段は、前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする。
請求項252に記載の発明は、請求項251に記載の光ピックアップ装置において、前記位相構造は、重畳型回折構造、回折構造、光路差付与構造の何れかであることを特徴とする。
請求項253に記載の発明は、請求項252に記載の光ピックアップ装置において、前
記位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の整数倍であることを特徴とする。
請求項254に記載の発明は、請求項253に記載の光ピックアップ装置において、前記位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の偶数倍であることを特徴とする。
請求項255に記載の発明は、請求項254に記載の光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ装置は、回折構造、光路差付与構造の何れかである第2の位相構造を有する第2の収差補正素子を更に有し、前記第2の位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の奇数倍であることを特徴とする。
請求項256に記載の発明は、請求項251乃至255の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記集光素子と前記収差補正素子とから構成される光学系の前記第1波長λ1に対する倍率m1と前記第2波長λ2に対する倍率m2とが略一致することを特徴とする。
請求項257に記載の発明は、請求項251乃至256の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記集光素子は、前記第1波長λ1と前記厚さt1の保護層とに対して球面収差補正が最適化されていることを特徴とする。
請求項258に記載の発明は、請求項251乃至257の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記集光素子と前記収差補正素子は、互いの相対的な位置関係が変化しないように保持されることを特徴とする。
請求項259に記載の発明は、請求項251乃至258の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記球面収差補正手段は、電圧の印加により透過する光束に対して位相変化を生じせしめる液晶層と、前記液晶素子に電圧を印加するための互いに対向する電極層とから構成される液晶位相制御素子であって、前記液晶位相制御素子は、前記第3光束の位相制御を行うことで前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正することを特徴とする。
請求項260に記載の発明は、請求項259に記載の光ピックアップ装置において、前記液晶位相制御素子は、前記第3光束の位相制御のみを選択的に行うことを特徴とする。
請求項261に記載の発明は、請求項251乃至258の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記球面収差補正手段は、アクチュエータと、前記アクチュエータにより少なくとも光軸方向に変移可能な可動レンズ群とから構成される可動レンズユニットであって、前記可動レンズユニットは、前記集光素子の倍率を変化させることで、前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正することを特徴とする。
請求項262に記載の発明は、請求項261に記載の光ピックアップ装置において、前記集光素子の前記第3波長λ3に対する倍率m3が、以下の(177)式を満たすことを特徴とする。
−0.15<m3<−0.02 (177)
請求項263に記載の発明は、請求項251乃至261の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1光源乃至前記第3光源のうち、少なくとも2つの光源は一体化されて成ることを特徴とする。
請求項264に記載の発明は、請求項263に記載の光ピックアップ装置において、前記第1光源乃至前記第3光源の全てが一体化されて成ることを特徴とする。
請求項251に記載の発明によれば、位相構造の機能により、第1光情報記録媒体(例えば、高密度光ディスク)と、第2光情報記録媒体(例えば、DVD)との互換を行うことが可能となり、球面収差補正手段の機能により、第1光情報記録媒体(例えば、高密度光ディスク)と、第3光情報記録媒体(例えば、CD)との互換を行うことが可能となる
。ここで、位相構造は、第1波長λ1と第2波長λ2の差に起因して集光素子で発生する球面収差及び/又はt1とt2の差に起因する球面収差を補正する機能を有する。前者の場合は、t1とt2とが互いに同じである場合に相当し(例えば、t1=0.6mmのHD DVDとt2=0.6mmのDVD)、後者の場合は、t1とt2とが互いに異なる場合に相当する(例えば、t1=0.1mmのブルーレイディスクとt2=0.6mmのDVD)。
位相構造としては、請求項252に記載の発明にあるように、図26に模式的に示した重畳型回折構造、図27に模式的に示した回折構造、図28に模式的に示した光路差付与構造の何れであってもよい。
また、請求項253の発明にあるように、位相構造を通過する際に第1光束に付加される光路差が第1波長λ1の整数倍となるように、位相構造を設計しておくことが好ましい。これにより第1光束の位相構造の透過率低下を防ぐことが可能となる。
請求項254の発明にあるように、位相構造を通過する際に第1光束に付加される光路差が第1波長λ1の偶数倍となるように、位相構造を設計しておくと、第2光束及び第3光束の位相構造の透過率低下も防ぐことが可能となる。
然るに、第1光束に付加される光路差が第1波長λ1の偶数倍となるように、位相構造を設計すると、位相構造を透過する第1光束と第3光束とに付加される作用は互いに等しくなる。そのため、位相構造ではt1とt3の差に起因する球面収差を低減することが出来ないので、球面収差補正手段の負担が増大する。
そこで、請求項255の発明にあるように、回折構造、光路差付与構造の何れかである第2の位相構造を有する第2の収差補正素子を配設し、第2の位相構造を通過する際に、第1光束に付加される光路差が第1波長λ1の奇数倍となるように、第2の位相構造を設計しておくのが好ましい。この場合、第3光束が第2の位相構造を通過する際には、λ3の半整数倍の光路差が付加される。これにより、第3光束の第2の位相構造の透過率が下がることになるが、第2の位相構造を透過する第3光束に対して、第1光束とは異なる作用を付加することが出来るので、t1とt3の差に起因する球面収差を低減することが可能となり、球面収差補正手段の負担を低減することが出来る。このように、位相構造により、t1とt3の差に起因する球面収差を低減することが可能であるので、球面収差補正手段として、後述する請求項260の発明に記載のようなアクチュエータにより光軸方向に変移可能なレンズ群を有する可動レンズユニットを使用する場合の、集光素子の第3光束λ3に対する倍率m3の絶対値が大きくなり過ぎない。その結果、良好な集光素子のトラッキング特性を得られる。
位相構造が重畳型回折構造である場合には、各輪帯内の分割数を4、5、6の何れかとして(即ち、各輪帯内の段差の数は、3、4、5の何れかとする)、各輪帯内の段差の光軸方向の深さΔを、Δ=2m・λ1/(Nλ1−1)を実質的に満たすように設定するのが好ましく、各輪帯内の分割数を5として、m=1とするのが最も好ましい。これにより、重畳型回折構造を通過する際に、第2光束のみに位相差が与えられ回折するので、第1光情報記録媒体と第2光情報記録媒体との互換を達成できるともに、第2光束の位相構造の透過率低下を小さく抑えることが可能となる。尚、上記mは5以下の正の整数であり、Nλ1は、収差補正素子の第1波長λ1に対する屈折率である。
また、位相構造が回折構造である場合には、第1光束が入射した際に発生する回折光の回折次数n1、第2光束が入射した際に発生する回折光の回折次数n2、第3光束が入射した際に発生する回折光の回折次数n3とが以下の関係を満たすように、各輪帯の段差の深さを設定するのが好ましい。
n1≧n2≧n3
尚、ここでいう回折次数とは回折構造で発生する様々な回折次数の回折光のうち、最大
の回折効率を有する回折光の回折次数を指す。これらの回折次数の組合せのうち、好ましいのは、(n1,n2,n3)=(1,1,1)、(2,1,1)、(3,2,1)、(3,2,2)、(8,5,4)である。第1光束乃至第3光束の全ての光束の回折効率を高く確保するためには、(n1,n2,n3)=(2,1,1)、(8,5,4)の組合せが特に好ましい。
また、位相構造が光路差付与構造である場合には、隣接し合う輪帯間での光路差(それぞれの光束の波長を単位として表す)を、第1光束に対してΦ1、第2光束に対してΦ2、第3光束に対してΦ3としたとき、(Φ1,Φ2,Φ3)=(1λ1,1λ2,1λ3)、(2λ1,1λ2,1λ3)、(3λ1,2λ2,1λ3)、(3λ1,2λ2,2λ3)、(8λ1,5λ2,4λ3)の何れかとするのが好ましい。第1光束乃至第3光束の全ての光束の透過率を高く確保するためには(Φ1,Φ2,Φ3)=(2λ1,1λ2,1λ3)、(8λ1,5λ2,4λ3)の組合せが特に好ましい。
請求項256に記載の発明によれば、集光素子と収差補正素子とから構成される光学系の共役長を、第1光束と第2光束とに対して同じとすることが出来るので、第1光束用の光学部品と第2光束用の光学部品とを共通化することが可能となり、光ピックアップ装置の構成を簡略化できる。
一般的に、光学素子は、波長が短くなる程その要求精度が厳しくなる。請求項257の発明にあるように、集光素子を第1波長λ1と厚さt1の保護層とに対して最適化しておくことで、特に高い精度が必要とされる集光素子の第1波長に対する特性を出しやすくなる。
位相構造の作用により第1光情報記録媒体と第2光情報記録媒体との互換を行う場合には、集光素子と収差補正素子との光軸垂直方向の偏芯により容易にコマ収差が発生してしまう。請求項258の発明にあるように、集光素子と収差補正素子を一体化して、トラッキング駆動を行うことで、上記のコマ収差の発生を抑制することができ、良好なトラッキング特性が得られる。
集光素子と収差補正素子とを一体化する方法としては、それぞれの素子のフランジ部同士を接合してもよいし、別部材の接合部材を介して一体化してもよいし、ボビンにそれぞれの素子を組込むことで一体化してもよい。
第1光情報記録媒体と第3光情報記録媒体との互換を行うための球面収差補正手段としては、請求項259の発明に記載のような液晶層に電圧を印加することで透過する第3光束の位相を制御する液晶位相制御手段を使用することが出来る。このような液晶位相制御手段は、機械的可動部が不要であるので、光ピックアップ装置の小型化に有利である。
また、球面収差は有効径(即ち、集光素子の開口数NA)の4乗に比例して増大するため、液晶位相制御素子を有効径の大きい第1光束と、有効径の小さい第3光束とで共用すると、第3光束での球面収差補正が不足するという課題が顕在化する。ここでいう「共用する」とは、それぞれの波長の光束に対する位相制御を行うことを指す。例えば、第3波長λ3を785nm、CDの開口数NAを0.45とし、第1波長λ1を405nm、高密度光ディスクの開口数NAを0.85とし、±0.2λRMS(λ=λ1)の球面収差を第1光束に対して付加させる場合、第3光束に付加することが出来る球面収差量は、±0.01λRMS(λ=λ3)程度となる(=±0.2×{(0.45/785)/(0.85/405)})。液晶位相制御素子で補正可能な球面収差は±0.2λRMS程度であるため、第1光束と第3光束とで液晶制御位相素子を共用した場合には、第3光束での球面収差付加量が不足し、第1光情報記録媒体と第3光情報記録媒体との互換を行うことが出来ない。そこで、請求項260の発明にあるように、第3光束の位相制御のみを選択的に行う構成とし、第3光束に対して十分な球面収差を付加出来るようにするのが好ましい。
第1光情報記録媒体と第3光情報記録媒体との互換を行うための球面収差補正手段として、請求項261の発明に記載のようなアクチュエータにより光軸方向に変移可能なレンズ群を有する可動レンズユニットを使用しても良い。可動レンズユニットは、集光素子の倍率を変化させることでt1とt3の差に起因する球面収差の補正を行うので、集光素子との光軸ずれによるコマ収差の発生が無く、集光素子と一体となってトラッキング駆動させる必要が無いという点で有利である。
かかる可動レンズユニットの具体的な形態としては、第3光源から射出される発散光束の発散角を変換して集光素子に導くためのカップリングレンズであってもよいし、第3光源から射出される発散光束を平行光束に変換して集光素子に導くためのコリメートレンズであってもよいし、第3光源から射出される発散光束の発散角を変換して集光素子に導くためのカップリングレンズと、集光素子との間の光路中に配設されたビームエキスパンダレンズであってもよい。
特に、上述の可動レンズユニットを、第1光束乃至第3光束が共に通過する共通光路中に配設しておくことで、第1光源の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う集光素子の屈折率変化や屈折率分布、2層、4層等の多層型光情報記録媒体に対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、第1光情報記録媒体の保護層の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布等に起因する球面収差も補正することが可能となるので、第1光情報記録媒体に対する記録/再生特性を向上させることが出来る。
尚、上述の可動レンズ群を光軸方向に変移させるアクチュエータとしては、ステッピングモーターやソレノイドやボイスコイルアクチュエータや圧電素子を利用したアクチュエータ等を使用することが出来る。ステッピングモーターやボイスコイルアクチュエータにより光学素子を光軸方向に移動させる技術は公知であるのでここでは詳細な説明は割愛する。また、圧電素子を利用したアクチュエータとしては、以下の文献に記載されているような、圧電素子を用いた小型リニアアクチュエータを使用することが出来る。
OPTICS DESIGN,No.26,16−21(2002)
また、可動レンズユニット内で、変移させるレンズ群は、1つのレンズ群のみでもよいし、アクチュエータを複数搭載して複数のレンズ群を変移させる構成としてもよい。また、応答周波数帯域の互いに異なる複数のアクチュエータにより、1つのレンズ群を変移させる構成としてもよい。
球面収差補正手段として、アクチュエータにより光軸方向に変移可能なレンズ群を有する可動レンズユニットを使用する場合には、請求項261の発明にあるように、集光素子の第3光束λ3に対する倍率m3が(177)式を満たすように、可動レンズ群を変移させるようにすることで、t1とt3の差に起因して発生する球面収差を良好に補正することが可能となる。
また本発明による光ピックアップ装置は、波長が互いにことなる3つの光源をそれぞれ別体で配設構成に対しても適用可能であるが、請求項263の発明にあるように3つの光源のうち少なくとも2つの光源が一体化された光源を使用すると、光ピックアップ装置の小型化やコストの削減に有利となる。特に、請求項264の発明にあるように、3つの光源全てが一体化された光源を使用するのが好ましい。これらの複数の光源が一体化された光源として、それぞれの光源の発光点を1つの半導体チップ上に形成した光源(所謂、1チップレーザ)を使用してもよいし、それぞれの光源を1つの筐体に納めた光源(所謂、1キャンレーザ)を使用しても良い。また、これらの複数の光源が一体化された光源と、光検出器とを更に一体化した光源モジュールを使用してもよい。
本発明によれば、青紫色レーザ光源を使用する高密度光ディスクとDVDを含む、使用する波長が異なる複数種類の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を適切に行うことができる光ピックアップ装置用の光学素子、光ピックアップ装置用の収差補正素子、光ピックアップ装置用の集光素子、対物光学系、光ピックアップ装置、及び光情報記録再生装置を得られる。
まず、本発明における重畳型回折構造の作用を例をあげながら説明する。
本発明の光学素子に含まれる重畳型回折構造の一つの例を図9〜11に示す。図9〜11では、重畳型回折構造は、鋸歯形状の輪帯構造(回折レリーフ面)が複数の階段状に分割された構造を有しており、この例では、各々の隣合う階段は最短の波長と最長の波長については、各々の波長の整数倍だけ光路差が生じ実質的には位相差が生じないようになっている。
1段あたり段差量をΔとし、着目している波長をλ,この波長における段差を構成する媒
体の屈折率をnとすると、この段差により生ずる光路差は、Δ(n−1)とあらわされるので段差量ΔをΔ(n−1)=jλ1を満たすように決定すると、この波長においては波
長λ1のj(整数)倍だけ光路差が生ずる。且つ、もうひとつの波長をλ3とし、jλ1≒kλ3を満足するような整数j、kを選び、
Δ(n−1)=jλ1=kλ3
を満足するように段差量Δを設けると,この段差により、波長λ1については波長のj倍
、波長λ3については波長のk倍だけ光路差が生ずるため、これら二つの波長λ1、λ3については実質的に波面が揃い位相差が生じない。
例えば、λ1=405nm、λ3=785nmとした場合、j=2、k=1を選択する(即ち、段差量Δ=2×405/(n−1))と、2×405≒1×785となるので、この段差でλ1=405nmの波長では図9に示すように2波長分の光路差が生じ、λ3=785nmでは図10に示すようにほぼ1波長分の光路差が生ずる。このような段差が複数集まった構造は、λ1、λ3の波長については、位相はそろっているので、透過光に何の作用も生じない。
然るに、λ1、λ3と異なる波長λ2=655nmの光については、1つの段差あたり、δ=2×405×(1.5066−1)/(1.5247−1)−655=127nmの光路差が生じるので(ここで、1.5247は後述するように、波長λ1に対する光学素子素材の屈折率であり1.5066は、波長λ2に対する光学素子素材の屈折率である)、4つの段差により1つのピッチの略鋸歯形状のレリーフ構造を分割すると(即ち、1つのピッチを5分割する)、波長λ2の1波長分の光路差が生じることとなり(127×5=635≒1×655)、図11に示すように隣どおしのピッチの波面がそれぞれ1波長ずれて重なることとなる。すなわち+1次回折光が発生する。
図11に示すように隣どおしのピッチの波面がそれぞれ1波長ずれて重なることとなる。すなわち+1次回折光が発生する。
この重畳型回折構造によるm次の回折効率ηmは、1つのピッチに含まれる不連続な段差数をN、1段あたりの段差の高さをΔ、波長をλ、波長λにおける光学素子素材の屈折率をnとすると以下の式(数3及び数4)で表される。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
上記の例について計算すると,λ1、λ3については回折しない、即ち0次回折光が生ずるが、その回折効率はそれぞれ100%、99.6%となり、λ2については+1次回折光の回折効率が87.2%となる。
尚、上記の計算では、光学素子素材として、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチック材料を仮定しており、λ1に対する光学素子素材の屈折率を1.5247、λ2に対する光学素子素材の屈折率を1.5066、λ3に対する光学素子素材の屈折率を1.5050である。
この式よりわかるように、段差数Nを大きくしていくと、[ ]中の左の分数式のみ残り、
右側は1に漸近し、通常の鋸歯状回折素子の回折効率を与える式が得られる。Nが有限の値をとる際にはさまざまな作用をする。この作用としては、λ1=405nm、λ2=650nm、λ3=785nmの場合には上記の例を含め、他に下表(表1〜表8のような組合せが考えられる。
表中でφは(数4)で与えられるようにN段の段差により構成される1ピッチ分の重畳型
回折構造の光路差を波長単位で表したもので、逆に、1ピッチ分の段差量Δ(N+1)は
このφを用い、
Δ(N+1)=φλ/(n−1)
で与えられる。各波長でのφは段差量Δ(N+1)が同一であるので、波長により異なる。また、mは回折効率が最大となる回折次数であり、そのときの回折効率がηmである。尚、ここでの計算は、光学素子素材として、上記のプラスチック材料を仮定している。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
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このように、本発明の重畳型回折構造は、段差量Δ、段差数Nを適切に設定することにより、3つの波長のうち1つだけを選択的に回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま
透過させることが可能となるので、重畳型回折構造の各輪帯の配列を適切に設定することで、高密度光ディスク、DVD、及びCD等の3種類の光ディスク間での保護層厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正しつつ、3つの波長全てに対して高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。
また、本発明の重畳型回折構造は、上述のように、3つの波長のうち1つだけを選択的に
回折させ、且つ他の波長は回折せずにそのまま透過させる作用以外にも、3つの波長の回折次数を異ならせたり、或いは特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、フレア化して集光に寄与させないようにすることができる。
例えば、以下の表9〜表10のように段差量Δ、段差数Nを設定すると3つの波長の回折次数を異ならせることが可能となるので、光学設計の自由度を広げることができる。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
また、以下の表11〜表14のように段差量Δ、段差数Nを設定すると特定の波長に対し、回折効率を極端に小さくして、フレア化して集光に寄与させないようにさせることが可能となる。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
表11〜13では、波長λ1と波長λ2とに対しては、85%以上の高い透過率(回折効率)を確保し、波長λ3に対しては、回折効率が著しく低下し、50%以下となっている。また、表14では、波長λ1に対しては、100%の高い透過率(回折効率)を確保し、波長λ2と波長λ3に対しては、回折効率が著しく低下し、50%以下となっている。このような重畳型回折構造を、高密度光ディスク、DVD及びCDとに対して共通に使用可能な対物光学系に適用すると、特定の波長を遮断して、他の波長を透過させるダイクロイックフィルターの役割を担わせることができる。
例えば、高密度光ディスクとDVDとCDの開口数が互いに異なる場合には、対物光学系の1つの光学機能面を、CDのNA内に対応した第1光学機能領域(例えば、NA0.4
5内)と、CDのNAからDVDのNAに対応した第2光学機能領域と(例えば、NA0.45〜NA0.60と、)DVDのNAから高密度光ディスクのNAに対応した第3光学機能領域と(例えば、NA0.60〜NA0.85)の3つの光学機能領域に分割し、表11〜13の重畳型回折構造を第2光学機能領域に形成することで、λ3の波長のみを遮断することが可能となる。
更に、表14の重畳型回折構造を第3光学機能領域に形成することで、λ2の波長及びλ3の波長を遮断することが可能となる。
このように、表11〜14の重畳型回折構造を、特定の光学機能領域に形成することで、別部材の開口制限素子を必要としない簡素な構成の対物光学系を実現できる。
尚、上述の表1〜14の構造は、使用波長λ1、λ2、λ3が、それぞれ、405nm、655nm、785nmであり、λ1、λ2、λ3に対する屈折率が、それぞれ、1.5247、1.5066、1.5050である光学素子素材に対して最適な重畳型回折構造の一部の例であり、これらとは異なる波長や光学素子素材を使用する場合に対しては、必ずしも最適な構造となるわけではない。即ち、本発明における重畳型回折構造は、表1〜14の構造のみに限定されず、使用波長や、光学素子材料の特性に応じて様々な変更が可能である。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第1の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.60であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU1は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1と光検出器PD1とが一体化された高密度光ディスクHD用モジュールMD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成されたDVD/CD用レーザモジュールLM1、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLとから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU1において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図1において実線でその光線経路を描いたように、高密度光ディスクHD用モジュールMD1を作動させて青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされ、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、対物
光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、及びコリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、高密度光ディスク用HD用モジュールMD1の光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU1において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第1の発光点EP1を発光させる。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図1において波線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU1において、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図1において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、対物光学系OBJによってCDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.5435であり、アッベ数νdが56.3のプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
尚、収差補正素子L1と集光素子L2とを一体化する場合には、別部材の接合部材を介して両者を一体化してもよい。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図2に示すように、CDの開口数0.45内の領域に対応する光軸を含む第1の光学機能領域AREA1と、CDの開口数0.45からDVDの開口数0.60までの領域に対応する第2の光学機能領域AREA2と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第3の光学機能領域AREA3とに分割されており、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE1、HOE2、HOE3が、それぞれ、第1の光学機能領域AREA1、第2の光学機能領域AREA2、第3の光学機能領域AREA3に形成されている。
第1の光学機能領域AREA1に形成された重畳型回折構造HOE1において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd31は、
d31=2λ1/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは4に設定されている。但し、λ1は青紫色半導体レーザLD1から射出されるレーザ光束の波長をミクロン単位で表したものであり(ここでは、λ1=0.408μm)、nは収差補正素子L1の波長λ1に対する屈折率である。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、波長λ1のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では2×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ1のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する。尚、以下の説明では、重畳型回折構造により実質的に位相差が与えられずにそのまま透過する光束を0次回折光という。
また、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ3(ここでは、λ3=0.785μm)のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では(2×λ1/λ3)×λ3(μm)の光路差が発生する。λ3はλ1の略2倍であるので、隣接する階段構造間では略1×λ3(μm)の光路差が発生し、波長λ3のレーザ光束も波長λ1のレーザ光束と同様に、実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
一方、この階段構造に対して、第1の発光点EP1からの波長λ2(ここでは、λ2=0.658μm)のレーザ光束が入射した場合、各輪帯内の段差数Nは4に設定されているため、波長λ2のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE1の入射した部位に応じて位相差が与えられ+1次の方向に回折する(+1次回折光)。このときの波長λ2のレーザ光束の+1次回折光の回折効率は、87.5%となるが、DVDに対する情報の記録/再生には十分な光量である。
重畳型回折構造HOE1の各輪帯の幅Λ1、及び各輪帯の傾斜方向(図1において、各階段構造の包絡線l1の傾斜方向)は、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して補正過剰方向の球面収差が付加されるように設定されている。対物光学系OBJの波長λ3に対する倍率m3は、高密度光ディスクHDの保護層PL1とCDの保護層PL3の厚さの違いによる球面収差が補正されるように決定されているので、本実施の形態のように、波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とを略同じとする場合には、高密度光ディスクHDの保護層PL1とDVDの保護層PL2の厚さの違いによる球面収差は過剰に補正され過ぎることになり、対物光学系OBJとDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束の球面収差は補正不足方向となってしまう。
ここで、重畳型回折構造HOE1の各輪帯の幅Λ1、及び各輪帯の傾斜方向は、重畳型回折構造HOE1に対して波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して付加される補正過剰方向の球面収差量と、波長λ2に対する倍率m2と、λ3に対する倍率m3とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正不足方向の球面収差とが互いに相殺するように設定されている。これにより、重畳型回折構造HOE1とDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束はDVDの情報記録面RL2上で良好なスポットを形成する。
更に、第2の光学機能領域AREA2に形成された重畳型回折構造HOE2において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd32は、
d32=3λ1/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは4に設定されている。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、波長λ1のレーザ光束が入射
した場合、隣接する階段構造間では3×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ1のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
また、この階段構造に対して、第1の発光点EP1からの波長λ2のレーザ光束が入射した場合、各輪帯内の段差数Nは4に設定されているため、波長λ2のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE2の入射した部位に応じて位相差が与えられ−1次の方向に回折する(−1次回折光)。このときの波長λ2のレーザ光束の−1次回折光の回折効率は、87.5%となるが、DVDに対する情報の記録/再生には十分な光量である。
ここで、重畳型回折構造HOE2の各輪帯の幅Λ2、及び各輪帯の傾斜方向は、重畳型回折構造HOE2に対して波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により−1次回折光に対して付加される補正過剰方向の球面収差量と、波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正不足方向の球面収差とが互いに相殺するように設定されている。これにより、重畳型回折構造HOE2とDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束はDVDの情報記録面RL2上で良好なスポットを形成する。
一方、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ3のレーザ光束が入射した場合、波長λ3のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE2の入射した部位に応じて位相差が与えられ−2次の方向に回折する(−2次回折光)。このときの波長λ3のレーザ光束の−2次回折光の回折効率は24.9%と極端に低い。尚、重畳型回折構造HOE2に波長λ3のレーザ光束が入射すると、上述の−2次回折光の他に、+2次回折光と+3次回折光も発生するが、これらの回折効率はそれぞれ23.1%、11.1%であり、−2次回折光の回折効率よりもさらに低い。
上記の説明においては、波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正不足方向の球面収差を補正するために、重畳型回折構造HOE1とHOE2を、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に補正過剰方向の球面収差を発生するような構造としたが、重畳型回折構造HOE1とHOE2の回折パワーを正となるように設定し、波長λ2のレーザ光束が入射した場合にλ2のレーザ光束の発散度を小さくして射出するような構造としてもよい。
この場合は、重畳型回折構造HOE1とHOE2に入射した波長λ2のレーザ光束は、その発散度が小さくなって射出される。これは集光素子L2にとっては、倍率が大きくなることに相当するので、集光素子L2に入射した波長λ2のレーザ光束には、この倍率変化により補正過剰方向の球面収差が付加される。この補正過剰方向の球面収差と、波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する結像倍率m3とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正不足方向の球面収差とが相殺されるように、重畳型回折構造HOE1、HOE2の各輪帯間の幅Λ1、Λ2、及び各輪帯の傾斜方向を決定する。
更に、第3の光学機能領域AREA3に形成された重畳型回折構造HOE23において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd33は、
d33=1λ1/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは5に設定されている。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、波長λ1のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では1×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ1のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
一方、この階段構造に対して、第1の発光点EP1からの波長λ2のレーザ光束が入射した場合、波長λ2のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE3の入射した部位に応じて位相差が与えられ−2次の方向に回折する(−2次回折光)。このときの波長λ2のレーザ光
束の−2次回折光の回折効率は39.1%と極端に低い。尚、重畳型回折構造HOE3に波長λ2のレーザ光束が入射すると、上述の−2次回折光の他に、±3次回折光も発生するが、この回折効率は11.0%、であり、−2次回折光の回折効率よりもさらに低い。即ち、重畳型回折構造HOE3は、波長λ2のレーザ光束を選択的に遮断するダイクロイックフィルターと同様の働きをするので、第1の光ピックアップ装置PU1においては、DVDに対する開口制限素子を別途搭載する必要がなく、簡素が構成とすることができる。
更に、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ3のレーザ光束が入射した場合、λ波長3のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE3の入射した部位に応じて位相差が与えられ±3次の方向に回折する(±3次回折光)。このときの波長λ3のレーザ光束の±3次回折光の回折効率は40.5%と極端に低い。即ち、上述した重畳型回折構造HOE2と、この重畳型回折構造HOE3は、波長λ3のレーザ光束を選択的に遮断するダイクロイックフィルターと同様の働きをするので、第1の光ピックアップ装置PU1においては、CDに対する開口制限素子を別途搭載する必要がなく、簡素が構成とすることができる。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2は、図2に示すように、DVDの開口数0.60内の領域に相当する光軸を含む第4の光学機能領域AREA4と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に相当する第5の光学機能領域AREA5とに分割されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE1、DOE2が、それぞれ、光学機能領域AREA4と光学機能領域AREA5に形成されている。
回折構造DOE1、DOE2は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差と、入射波長変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造である。
回折構造DOE1において、光軸に最も近い段差の高さd01は、波長390nmの光束(収差補正素子L1の、波長390nmに対する屈折率は1.5273である)に対して回折効率が100%となるように設計されており、上述した(16)式を満足する。このように段差の深さが設定された回折構造DOE1に対して、波長λ1のレーザ光束が入射すると、+2次回折光が96.8%の回折効率で発生し、波長λ2のレーザ光束が入射すると、+1次回折光が93.9%の回折効率で発生し、波長λ3のレーザ光束が入射すると、+1次回折光が99.2%の回折効率で発生するので、何れの波長領域において十分な回折効率が得られるとともに、青紫色領域で色収差を補正した場合でも、波長λ2及び波長λ3の波長領域における色収差補正が過剰になりすぎない。
一方、回折構造DOE2は、波長λ1に対して最適化されているため、回折構造DOE2に対して、波長λ1のレーザ光束が入射すると、+2次回折光が100%の回折効率で発生する。
さらに、回折構造DOE1、DOE2は、青紫色領域において、入射光束の波長が長くなった場合に、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなった場合に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有する。これにより、入射波長変化に伴い集光素子で発生する球面収差変化を相殺しているので、青紫色半導体レーザLD1の発振波長に対する規格を緩和することが可能である。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
[第2の実施の形態]
図3は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再
生を行える第2の光ピックアップ装置PU2の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.67であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU2は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成された高密度光ディスクHD/DVD用レーザモジュールLM2、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する赤外半導体レーザLD3と光検出器PD3とが一体化されたCD用モジュールMD2、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOL、カップリングレンズCULとから構成されている。
光ピックアップ装置PU2において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第1の発光点EP1を発光させる。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図3において実線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされた後、偏光ビームスプリッタBSを透過し、絞りSTOにより光束径が規制され、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、絞りSTO、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU2において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図3において点線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされた後、偏光ビームスプリッタBSを透過し、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面R2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図3において二点鎖線でその光線経路を描いたように、CD用モジュールMD2を作動させて赤外半導体レーザLD3を発光させる。赤外半導体レーザLD3から射出された発散光束は、カップリングレンズCU
Lにより発散角が変換された後、偏光ビームスプリッタBSにより反射され、対物光学系OBJによってCDの保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過した後、偏光ビームスプリッタBSにより反射され、カップリングレンズCULにより発散角が変換され、CD用HD用モジュールMD2の光検出器PD3の受光面上に収束する。そして、光検出器PD3の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.5435であり、アッベ数νdが56.3のプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
尚、収差補正素子L1と集光素子L2とを一体化する場合には、別部材の接合部材を介して両者を一体化してもよい。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図4に示すように、DVDの開口数0.67内の領域に対応する光軸を含む第6の光学機能領域AREA6と、DVDの開口数0.67から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第7の光学機能領域AREA7とに分割されており、第6の光学機能領域AREA6には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE4が形成されている。
第6の光学機能領域AREA6に形成された重畳型回折構造HOE4において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd34は、
d34=2λ1/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは4に設定されている。但し、λ1は青紫色半導体レーザLD1から射出されるレーザ光束の波長をミクロン単位で表したものであり(ここでは、λ1=0.408μm)、nは収差補正素子L1の波長λ1に対する屈折率である。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、第1の発光点EP1からの波長λ1のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では2×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ1のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
また、この階段構造に対して、波長λ3(ここでは、λ3=0.785μm)のレーザ光束が入射した場合、波長λ3はλ1の略2倍であるので、隣接する階段構造間では略1×λ3(μm)の光路差が発生し、波長λ3のレーザ光束もλ1のレーザ光束と同様に、実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
一方、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ2(ここでは、λ2=0.658μm)のレーザ光束が入射した場合、各輪帯内の段差数Nは5に設定されているため、λ2のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE1の入射した部位に応じて位相差が与えられ+1次の方向に回折する(+1次回折光)。このときの波長λ2のレーザ光束の+1次回折光の回折効率は、87.5%となるが、DVDに対する情報の記録/再生には十分な光量である。
重畳型回折構造HOE4の各輪帯の幅Λ4、及び各輪帯の傾斜方向(図3において、各階
段構造の包絡線l4の傾斜方向)は、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して補正不足方向の球面収差が付加されるように設定されている。
対物光学系OBJは、波長λ1と倍率m1=0と高密度光ディスクHDの保護層PL1との組合せに対して球面収差が最小となるように設計されている。そのため、本実施の形態のように、波長λ1のレーザ光束に対する倍率m1と、波長λ2のレーザ光束に対する倍率m2とを略同じとする場合、高密度光ディスクHDの保護層PL1と、DVDの保護層PL2の厚さの違いにより、対物光学系OBJとDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束の球面収差は補正過剰方向となってしまう。
ここで、重畳型回折構造HOE4の各輪帯の幅Λ4、及び各輪帯の傾斜方向は、重畳型回折構造HOE4に対して波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して付加される補正不足方向の球面収差量と、波長λ1に対する倍率m1と波長λ2に対する倍率m2とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正過剰方向の球面収差とが互いに相殺するように設定されている。これにより、重畳型回折構造HOE4とDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束はDVDの情報記録面RL2上で良好なスポットを形成する。
上記の説明においては、波長λ1に対する倍率m1と、λ2に対する倍率m2とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正過剰方向の球面収差を補正するために、重畳型回折構造HOE4を、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に補正不足方向の球面収差を発生するような構造としたが、重畳型回折構造HOE4の回折パワーを負となるように設定し、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に波長λ2のレーザ光束の発散度を大きくして射出するような構造としてもよい。
この場合は、重畳型回折構造HOE4に入射した波長λ2のレーザ光束は、その発散度が大きくなって射出される。これは集光素子L2にとっては、倍率が小さくなることに相当するので、集光素子L2に入射した波長λ2のレーザ光束には、この倍率変化により補正不足方向の球面収差が付加される。この補正不足方向の球面収差と、波長λ1に対する倍率m1と、λ2に対する倍率m2とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正過剰方向の球面収差とが相殺されるように、重畳型回折構造HOE4の各輪帯間の幅Λ4、及び各輪帯の傾斜方向を決定する。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2は、図4に示すように、DVDの開口数0.67内の領域に相当する光軸を含む第8の光学機能領域AREA8と、DVDの開口数0.67から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に相当する第9の光学機能領域AREA9とに分割されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE3、DOE4が、それぞれ、光学機能領域AREA8と光学機能領域AREA9に形成されている。
回折構造DOE3、DOE4は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差と、温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造である。
回折構造DOE3において、光軸に最も近い段差の高さd03は、波長390nmの光束(収差補正素子L1の、波長390nmに対する屈折率は1.5273である)に対して回折効率が100%となるように設計されており、上述した(16)式を満足する。このように段差の深さが設定された回折構造DOE1に対して、波長λ1のレーザ光束が入射すると、+2次回折光が96.8%の回折効率で発生し、波長λ2のレーザ光束が入射すると、+1次回折光が93.9%の回折効率で発生し、波長λ3のレーザ光束が入射すると、+1次回折光が99.2%の回折効率で発生するので、何れの波長領域において十分な回折効率が得られるとともに、青紫色領域で色収差を補正した場合でも、波長λ2及び波長λ3の波長領域における色収差補正が過剰になりすぎない。
一方、回折構造DOE4は、波長λ1に対して最適化されているため、回折構造DOE4
に対して、波長λ1のレーザ光束が入射すると、+2次回折光が100%の回折効率で発生する。
さらに、回折構造DOE3、DOE4は、青紫色領域において、入射光束の波長が長くなった場合に、球面収差が補正不足方向に変化し、入射光束の波長が短くなった場合に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有する。これにより、環境温度変化に伴い集光素子で発生する球面収差変化を相殺することで、高NAのプラスチックレンズである対物光学系OBJの使用可能な温度範囲を広げている。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態の対物光学系OBJは、無限遠物点に対して正弦条件が補正された光学系であるため、有限物点に対する正弦条件を満足していない。そのため、CDに対する情報の記録/再生を行う場合のように、対物光学系OBJに対して発散光束が入射する場合には、対物光学系OBJが光軸に垂直な方向(CDのトラック方向)にシフトすると、赤外半導体レーザLD3の発光点が軸外物点となるために、コマ収差が発生する。
カップリングレンズCULは、かかるコマ収差を低減させる機能を有するコマ収差補正素子であって、対物光学系OBJが2軸アクチュエータACにより光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、波長λ3のレーザ光束が通過する有効径内では、球面収差が回折限界以下となるように補正され、この有効径の外側では、補正過剰方向に球面収差が発生するように設計されている。
これにより、対物光学系OBJが光軸に垂直な方向にシフトした場合には、波長λ3のレーザ光束は、大きな球面収差を持つように設計された領域を通過するので、カップリングレンズCULと対物光学系OBJを透過した波長λ3のレーザ光束にはコマ収差が付加される。カップリングレンズCULの有効径より外側の球面収差の方向と大きさは、このコマ収差と、赤外半導体レーザLD3の発光点が軸外物点となることに起因するコマ収差とが相殺されるように決定されている。
このように設計されたカップリングレンズCULと組合わせて使用することで、有限物点に対する正弦条件を満たしていない対物光学系OBJのCDに対するトラッキング特性を良好なものとすることとが可能となる。
ここで、本実施の形態の第2の光ピックアップ装置PU2におけるDVD及びCDに対して情報の記録/再生を行う際の開口切り替えについて説明する。
第2の光ピックアップ装置PU2では、NA1、NA2及びNA3がそれぞれ異なるので、DVDやCDに対して情報の記録/再生を行う際には、それぞれの光ディスクの開口数に応じて開口を切り替える必要がある。
重畳型回折構造HOE4は、光軸を含む第6の光学機能領域AREA6に形成されているので、波長λ2に対する球面収差は、第6の光学機能領域AREA6を通過する光束に対してのみ補正され、その周囲を囲む第7の光学機能領域AREA7を通過する光束に対しては補正されない。従って、対物光学系OBJに入射した波長λ2の光束のうち、第7の光学機能領域AREA7を通過する光束は、DVDの情報記録面RL2上へのスポット形成に寄与しないフレア成分となる。
これは自動的にNA2に対応した開口切り替えがなされることと等価であるので、第2の光ピックアップ装置PU2においては、DVDの開口数NA2に対応した開口制限素子を別途設ける必要はない。
一方、対物光学系OBJは、波長λ3に対する開口切り替え機能を備えていないので、CDの開口数NA3に対応した開口制限素子を別途設ける必要があり、対物光学系OBJはかかる開口制限素子として、収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1
に波長選択フィルタWFが形成されている。
波長選択フィルタWFは、図12に示すように、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3より外側の領域では、波長λ3のみを遮断するような透過率の波長選択性を有しており、かかる波長選択性によりNA3に対応した開口切り替えが行われる。
尚、波長選択フィルタWFには、図13に示すような透過率の波長選択性を持たせてもよい。この波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3からNA2の領域では波長λ3のみを遮断し、NA2からNA1の領域では波長λ2及びλ3を遮断するような透過率の波長選択性を有しているので、かかる波長選択性によりNA2及びNA3に対応した開口切り替えを行うことができる。
また、本実施の形態では、収差補正素子L1の光学機能面上に波長選択フィルタWFを形成したが、集光素子L2の光学機能面上に形成してもよく、或いは、かかる波長選択フィルタWFをその光学機能面上に形成した開口制限素子APを別途搭載してもよい。この場合には、2軸アクチュエータACにより、開口制限素子APと対物光学系OBJとを一体にトラッキング駆動させるのが好ましい。
[第3の実施の形態]
図5は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第3の光ピックアップ装置PU3の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.67であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.51である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU3は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1と光検出器PD1とが一体化された高密度光ディスクHD用モジュールMD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成されたDVD/CD用レーザモジュールLM1、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOL、カップリングレンズCULとから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU3において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図5において実線でその光線経路を描いたように、高密度光ディスクHD用モジュールMD1を作動させて青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされ、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュ
エータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、及びコリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、高密度光ディスク用HD用モジュールMD1の光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU3において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第1の発光点EP1を発光させる。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図5において波線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、カップリングレンズCULによりその発散角が変換された後、偏光ビームスプリッタBSにより反射され、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、カップリングレンズCULにより、発散角が変換され、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU3において、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図5において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、カップリングレンズCULによりその発散角が変換された後、偏光ビームスプリッタBSにより反射され、対物光学系OBJによってCDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、カップリングレンズCULにより、発散角が変換され、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.5435であり、アッベ数νdが56.3のプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
尚、収差補正素子L1と集光素子L2とを一体化する場合には、別部材の接合部材を介して両者を一体化してもよい。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図6に示すように、DVDの開口数0.67内の領域に対応する光軸を含む第10の光学機能領域AREA10と、DVDの開口数0.67から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第11の光学機能領域AREA11とに分割されており、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE5が、第10の光学機能領域AREA10に形成されている。
第10の光学機能領域AREA10に形成された重畳型回折構造HOE5において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd35は、
d35=2λ1/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは4に設定されている。但し、λ1は青紫色半導体レーザLD1から射出されるレーザ光束の波長をミクロン単位で表したものであり(ここでは、λ1=0.408μm)、nは収差補正素子L1の波長λ1に対する屈折率である。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、波長λ1のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では2×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ1のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
また、この階段構造に対して、波長λ3(ここでは、λ3=0.785μm)のレーザ光束が入射した場合、波長λ3はλ1の略2倍であるので、隣接する階段構造間では略1×λ3(μm)の光路差が発生し、波長λ3のレーザ光束もλ1のレーザ光束と同様に、実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
一方、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ2(ここでは、λ2=0.658μm)のレーザ光束が入射した場合、各輪帯内の段差数Nは5に設定されているため、λ2のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE5の入射した部位に応じて位相差が与えられ1次の方向に回折する(+1次回折光)。このときの波長λ2のレーザ光束の+1次回折光の回折効率は、87.5%となるが、DVDに対する情報の記録/再生には十分な光量である。
重畳型回折構造HOE5の各輪帯の幅Λ5、及び各輪帯の傾斜方向(図5において、各階段構造の包絡線l5の傾斜方向)は、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して補正不足方向の球面収差が付加されるように設定されている。
更に、重畳型回折構造HOE5の階段構造の幅の最小値Pは、SPDTによる金型加工を容易にし、青紫色領域の波長λ1に対して、金型の形状誤差による回折効率低下が大きくなり過ぎないようするために、上述の(9)式を満たすように設定されている。
そのため、重畳型回折構造HOE5の作用だけでは、高密度光ディスクHDの保護層PL1とDVDの保護層PL2の厚さに起因して発生する補正過剰方向の球面収差を補正しきれない。
そこで、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2は、重畳型回折構造HOE5で補正しきれずに残留した補正過剰方向の球面収差が補正されるように設定されている。これにより、重畳型回折構造HOE5とDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束はDVDの情報記録面RL2上で良好なスポットを形成する。
上記の説明においては、重畳型回折構造HOE5を、波長λ2のレーザ光束が入射した場合に補正不足方向の球面収差を発生するような構造としたが、重畳型回折構造HOE5の回折パワーを負となるように設定し、波長λ2のレーザ光束が入射した場合にλ2のレーザ光束の発散度を大きくして射出するような構造としてもよい。
この場合は、重畳型回折構造HOE5に入射した波長λ2のレーザ光束は、その
発散度が大きくなって射出される。これは集光素子L2にとっては、倍率が小さくなることに相当するので、集光素子L2に入射した波長λ2のレーザ光束には、この倍率変化により補正不足方向の球面収差が付加される。この場合にも、重畳型回折構造HOE5の各輪帯間の幅Λ5、各輪帯の傾斜方向は、上述した(9)式が満たされるように決定され、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2は、重畳型回折構造HOE5で補正しきれずに残留した補正過剰方向の球面収差が補正されるように決定される。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2は、図6に示すように、DVDの開口数0.67内の領域に相当する光軸を含む第12の光学機能領域AREA12と、
DVDの開口数0.67から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に相当する第13の光学機能領域AREA13とに分割されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE5、DOE6が、それぞれ、光学機能領域AREA12と光学機能領域AREA13に形成されている。
回折構造DOE5、DOE6は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差と、温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造であり、その具体的な構造は、光ピックアップ装置PU2の回折構造DOE3、DOE4と同様であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、カップリングレンズCULは、第1の発光点EP1から射出された波長λ2のレーザ光束と、第2の発光点EP2から射出された波長λ3のレーザ光束との発散角を、それぞれ、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とに対応する発散角に変換して射出するための光学素子である。
カップリングレンズCULは、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。
ここで、カップリングレンズCULの、波長λ2に対する近軸における屈折パワーは、第1の発光点EP1から射出された波長λ2のレーザ光束の発散角を、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2に対応する発散角に変換して射出できるように決定されている。
カップリングレンズCULの光ディスク側の光学機能面S2は、CDの開口数0.51内の領域に相当する光軸を含む第14の光学機能領域AREA14(図示略)と、CDの開口数0.51からDVDの開口数0.67までの領域に相当する第15の光学機能領域AREA15(図示略)とに分割されており、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE6が、光学機能領域AREA14に形成されている。
第14の光学機能領域AREA14に形成された重畳型回折構造HOE6において、各輪帯内に形成された階段構造の深さd36は、
d36=1λ2/(n−1)(μm)
で算出される値に設定され、各輪帯内の段差数Nは5に設定されている。但し、λ2は、第1の発光点EP1から射出されるレーザ光束の波長をミクロン単位で表したものであり、nはカップリングレンズCULの波長λ2に対する屈折率である。
光軸方向の深さがこのように設定された階段構造に対して、波長λ2のレーザ光束が入射した場合、隣接する階段構造間では1×λ1(μm)の光路差が発生し、波長λ2のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する(0次回折光)。
一方、この階段構造に対して、第2の発光点EP2からの波長λ3のレーザ光束が入射した場合、各輪帯内の段差数Nは5に設定されているため、λ3のレーザ光束は、重畳型回折構造HOE6の入射した部位に応じて位相差が与えられ−1次の方向に回折する(−1次回折光)。このときの波長λ3のレーザ光束の−1次回折光の回折効率は、91.1%となるが、CDに対する情報の記録/再生には十分な光量である。
重畳型回折構造HOE6の波長λ3に対する近軸における回折パワーは、負となるように設定されており、重畳型回折構造HOE6の各輪帯の幅Λ6、及び各輪帯の傾斜方向(図
5において、各階段構造の包絡線l6の傾斜方向)は、第2の発光点EP2から射出された波長λ3のレーザ光束の発散角が、対物光学系OBJの波長λ3に対する倍率m3に対応する発散角に変換されるように決定されている。
このように、重畳型回折構造HOE6の回折作用の波長選択性を利用することで、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とが互いに異なる場合でも、DVD用のレーザ光源とCD用のレーザ光源とが集積化されたDVD/CD用レーザモジュールLM1の使用が可能となる。
ここで、本実施の形態の第3の光ピックアップ装置PU3におけるDVD及びCDに対して情報の記録/再生を行う際の開口切り替えについて説明する。
第3の光ピックアップ装置PU3では、NA1、NA2及びNA3がそれぞれ異なるので、DVDやCDに対して情報の記録/再生を行う際には、それぞれの光ディスクの開口数に応じて開口を切り替える必要がある。
重畳型回折構造HOE5は、光軸を含む第10の光学機能領域AREA10に形成されているので、波長λ2に対する球面収差は、第10の光学機能領域AREA10を通過する光束に対してのみ補正され、その周囲を囲む第11の光学機能領域AREA11を通過する光束に対しては補正されない。従って、対物光学系OBJに入射した波長λ2の光束のうち、第11の光学機能領域AREA11を通過する光束は、DVDの情報記録面RL2上へのスポット形成に寄与しないフレア成分となる。
これは自動的にNA2に対応した開口切り替えがなされることと等価であるので、第3の光ピックアップ装置PU3においては、DVDの開口数NA2に対応した開口制限素子を別途設ける必要はない。
一方、対物光学系OBJは、波長λ3に対する開口切り替え機能を備えていないので、CDの開口数NA3に対応した開口制限素子を別途設ける必要があり、対物光学系OBJはかかる開口制限素子として、収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1に波長選択フィルタWFが形成されている。
波長選択フィルタWFは、図12に示すように、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3より外側の領域では、波長λ3のみを遮断するような透過率の波長選択性を有しており、かかる波長選択性によりNA3に対応した開口切り替えが行われる。
尚、波長選択フィルタWFには、図13に示すような透過率の波長選択性を持たせてもよい。この波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3からNA2の領域では波長λ3のみを遮断し、NA2からNA1の領域では波長λ2及びλ3を遮断するような透過率の波長選択性を有しているので、かかる波長選択性によりNA2及びNA3に対応した開口切り替えを行うことができる。
また、本実施の形態では、収差補正素子L1の光学機能面上に波長選択フィルタWFを形成したが、集光素子L2の光学機能面上に形成してもよく、或いは、かかる波長選択フィルタWFをその光学機能面上に形成した開口制限素子APを別途搭載してもよい。この場合には、2軸アクチュエータACにより、開口制限素子APと対物光学系OBJとを一体にトラッキング駆動させるのが好ましい。
[第4の実施の形態]
図7は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第4の光ピックアップ装置PU4の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.6mm、開口数NA1=0.65であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.50である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU4は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1と光検出器PD1とが一体化された高密度光ディスクHD用モジュールMD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成されたDVD/CD用レーザモジュールLM1、対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.65に対応した絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLとから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU4において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図7において実線でその光線経路を描いたように、高密度光ディスクHD用モジュールMD1を作動させて青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされ、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、絞りSTO、偏光ビームスプリッタBS、及びコリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、高密度光ディスク用HD用モジュールMD1の光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU4において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第1の発光点EP1を発光させる。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図7において波線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU4において、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図7において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、対物光学系OBJによってCDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。対物光学系OBJは、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。
対物光学系OBJの半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図8に示すように、CDの開口数0.50内の領域に対応する光軸を含む第16の光学機能領域AREA16と、CDの開口数0.50から高密度光ディスクHD(DVD)の開口数0.65までの領域に対応する第17の光学機能領域AREA17とに分割されており、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE7が、第16の光学機能領域AREA16に形成されている。
重畳型回折構造HOE7の各輪帯の幅Λ7、及び各輪帯の傾斜方向は、重畳型回折構造HOE7に対して波長λ2のレーザ光束が入射した場合に、回折作用により+1次回折光に対して付加される補正過剰方向の球面収差量と、波長λ2に対する倍率m2と、λ3に対する倍率m3とを略同じとしたことに起因して発生する上記補正不足方向の球面収差とが互いに相殺するように設定されている。これにより、重畳型回折構造HOE1とDVDの保護層PL2とを透過した波長λ2のレーザ光束はDVDの情報記録面RL2上で良好なスポットを形成する。
重畳型回折構造HOE7の具体的な構造は、光ピックアップ装置PU1の重畳型回折構造HOE1の構造と同様であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
尚、重畳型回折構造HOE7においても、光ピックアップ装置PU1の重畳型回折構造HOE1と同様に、近軸における回折パワーを正となるように設定し、波長λ2のレーザ光束が入射した場合にλ2のレーザ光束の発散度を小さくして射出するような構造としてもよい。
更に、対物光学系OBJの半導体レーザ光源側の光学機能面S1の全面には、青紫色領域における対物光学系OBJの温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造である光路差付与構造NPSが形成されている。
光路差付与構造NPSにおいて、光軸に最も近い段差の高さd11は、隣接する階段構造間で波長λ1に対して10×λ1(μm)の光路差が付加されるように設計されている。この段差で分割された隣接する輪帯により、波長λ2及びλ3の各波長に対して付加される光路差Φ2及びΦ3を、上述した(22)及び(23)式により計算すると、Φ2=5.99、Φ3=5.01となる。Φ2とΦ3はほぼ整数であるので、光路差付与構造NPSによる高次の球面収差の発生が小さく、高い透過率を実現できる。
更に、図8に示すように、光路差付与構造NPSにおいて、中心領域の外側に隣接する輪帯は、中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における輪帯は、その内側に隣接する輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されている。
このような構成の光路差付与構造NPSは、屈折率が低くなった場合に球面収差が補正不足方向に変化し、屈折率が高くなった場合に球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の屈折率依存性をもつので、青紫色領域における対物光学系OBJの温度変化に伴う球面収差変化を抑制することが可能となる。
尚、コリメートレンズCOLの光ディスク側の光学機能面の全面には、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE7が形成されているが、これは、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差を抑制するための構造である。
ここで、本実施の形態の第4の光ピックアップ装置PU4におけるCDに対して情報の記録/再生を行う際の開口切り替えについて説明する。
第4の光ピックアップ装置PU4では、NA1(=NA2)とNA3が異なるので、CDに対して情報の記録/再生を行う際には開口数NA3に応じて開口を切り替える必要がある。
対物光学系OBJは、波長λ3に対する開口切り替え機能を備えていないので、CDの開口数NA3に対応した開口制限素子を別途設ける必要があり、対物光学系OBJはかかる開口制限素子として半導体レーザ光源側の光学機能面S1に波長選択フィルタWFが形成されている。
波長選択フィルタWFは、図12に示すように、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3より外側の領域では、波長λ3のみを遮断するような透過率の波長選択性を有しており、かかる波長選択性によりNA3に対応した開口切り替えが行われる。
また、NA1、NA2及びNA3が互いに異なる場合には、波長選択フィルタWFに図13に示すような透過率の波長選択性を持たせるのが好ましいこの波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3からNA2の領域では波長λ3のみを遮断し、NA2からNA1の領域では波長λ2及びλ3を遮断するような透過率の波長選択性を有しているので、かかる波長選択性によりNA2及びNA3に対応した開口切り替えを行うことができる。
また、本実施の形態では、対物光学系OBJの光学機能面上に波長選択フィルタWFを形成したが、かかる波長選択フィルタWFをその光学機能面上に形成した開口制限素子APを別途搭載してもよい。この場合には、2軸アクチュエータACにより、開口制限素子APと対物光学系OBJとを一体にトラッキング駆動させるのが好ましい。
[第5の実施の形態]
図14は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第5の光ピックアップ装置PU5の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.60であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU5は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1、と光検出器PD1とが一体化された高密度光ディスクHD用モジュールMD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する赤色半導体レーザLD2と光検出器PD2とが一体化されたDVD用モジュールMD2、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する赤外半導体レーザLD3と光検出器PD3とが一体化されたCD用モジュールMD3、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、開口制限素子AP、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、第1の偏光ビームスプリッタBS1、第2の偏光ビームスプリッタBS2、コリメートレンズCOL、1軸アクチュエータUAC、ビーム整形素子SHとから構成されている。
光ピックアップ装置PU5において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図14において実線でその光線経路を描いたように、高密度光ディスク
用モジュールMD1を作動させて青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、ビーム整形素子SHを透過することにより、その断面形状が楕円形から円形に整形され、第1の偏光ビームスプリッタBS1を透過し、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換された後、第2の偏光ビームスプリッタBS2を透過し、絞りSTOにより光束径が規制され、開口制限素子APを透過し、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、第2の偏光ビームスプリッタBS2、コリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、第1の偏光ビームスプリッタBS1、ビーム整形素子SHと透過し、高密度光ディスク用HD用モジュールMD1の光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU5においてDVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図14において点線でその光線経路を描いたように、DVD用モジュールMD2を作動させて赤色半導体レーザLD2を発光させる赤色半導体レーザLD2から射出された発散光束は、第1の偏光ビームスプリッタBS1により反射され、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換された後、第2の偏光ビームスプリッタBS2を透過し、開口制限素子APにより光束径が規制され、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、第2の偏光ビームスプリッタBS2、コリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、第1の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、DVD用モジュールMD2の光検出器PD2の受光面上に収束する。そして、光検出器PD2の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図14において二点鎖線でその光線経路を描いたように、CD用モジュールMD3を作動させて赤外半導体レーザLD3を発光させる。赤外半導体レーザLD3から射出された発散光束は、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射された後、開口制限素子APにより光束径が規制され、対物光学系OBJによってCDの保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、CD用モジュールMD3の光検出器PD3の受光面上に収束する。そして、光検出器PD3の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.5435であり、アッベ数νdが56.3のプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図15(a)に示すように、DVDの開口数0.60内の領域に対応する光軸を含む第18の光学機能領域AREA18と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領
域に対応する第19の光学機能領域AREA19とに分割されており、第18の光学機能領域AREA18には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE8が形成されている。
第18の光学機能領域AREA18に形成された重畳型回折構造HOE8の構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2は、図15(c)に示すように、DVDの開口数0.60内の領域に相当する光軸を含む第20の光学機能領域AREA20と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に相当する第21の光学機能領域AREA21とに分割されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE8、DOE9が、それぞれ、光学機能領域AREA20と光学機能領域AREA21に形成されている。
回折構造DOE8、DOE9は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差と、温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造であり、その構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における回折構造DOE3、DOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態のコリメートレンズCOLは、1軸アクチュエータUACにより光軸方向にその位置が変移可能であるように構成されている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
コリメートレンズCOLの位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差をコリメートレンズCOLの位置調整により補正するようにしても良い。
また、本実施の形態では、DVDやCDに対して情報の記録/再生を行う際に、それぞれの光ディスクの開口数NAに応じて、対物光学系OBJの開口を切り替えるための素子として、接合部材Bを介して対物光学系OBJと一体化された開口制限素子APを備えている。
開口制限素子APの光学機能面上には、図13に示すような透過率の波長選択性を有する波長選択フィルタWFが形成されている。この波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3からNA2の領域では波長λ3のみを遮断し、NA2からNA1の領域では波長λ2及びλ3を遮断するような透過率の波長選択性を有しているので、かかる波長選択性によりNA2及びNA3に対応した開口切り替えを行うことができる。
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、及び第3の光ピックアップ装置PU3と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有するので、波長選択フィルタWFには、図12に示すような透過率の波長選択性を持たせてもよい。
〈第6の実施の形態〉
図18は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第6の光ピックアップ装置PU6の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.60であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU6は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1と光検出器PD1とが一体化された高密度光ディスクHD用モジュールMD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成されたDVD/CD用レーザモジュールLM1、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、開口制限素子AP、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、1軸アクチュエータUAC、エキスパンダーレンズEXP、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOL、カップリングCUL、ビーム整形素子SHとから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
エキスパンダーレンズEXPは、近軸における屈折力が負である第1レンズEXP1と、近軸における屈折力が正である第2レンズEXP2とから構成されている。
光ピックアップ装置PU6において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図18において実線でその光線経路を描いたように、高密度光ディスク用モジュールMD1を作動させて青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、ビーム整形素子SHを透過することによりその断面形状が楕円形から円形に整形された後、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換され、第1レンズEXP1、第2レンズEXP2を透過することにより拡径され、偏光ビームスプリッタBSを透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、開口制限素子APを透過し、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、偏光ビームスプリッタBS、第2レンズEXP2、第1レンズEXP1、エキスパンダーレンズEXP、コリメートレンズCOLを透過した後、収斂光束となり、ビーム整形素子SHを透過し、高密度光ディスク用HD用モジュールMD1の光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU6において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、発光点EP1を発光させる。発光点EP1から射出された発散光束は、図18において波線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、カップリングレン
ズCULにより平行光束に変換された後、偏光ビームスプリッタBSにより反射され、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、カップリングレンズCULにより収斂光束となり、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU6において、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、発光点EP2を発光させる。発光点EP2から射出された発散光束は、図18において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射された後、カップリングレンズCULにより発散角が変換され、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、開口制限素子APにより光束径が規制され、対物光学系OBJによってCDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子APを透過し、偏光ビームスプリッタBSにより反射された後、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.6062であり、アッベ数νdが61.2のガラスレンズである。また、収差補正素子L1、集光素子L2、開口制限素子APは、接合部材Bを介して一体化されている。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図示は省略するが、DVDの開口数0.60内の領域に対応する光軸を含む第22の光学機能領域AREA22と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第23の光学機能領域AREA23とに分割されており、第22の光学機能領域AREA22には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE9が形成されている。
第22の光学機能領域AREA22に形成された重畳型回折構造HOE9の構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態のエキスパンダーレンズEXPの第1レンズEXP1は、1軸アクチュエータUACにより光軸方向にその位置が変移可能であるように構成されている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
第1レンズEXP1の位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
更に、第2レンズEXP2の光ディスク側の光学機能面上には、面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE10が形成されている。回折構造DOE10は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差を補正するための構造であり、波長λ1に対する第2レンズEXP2の近軸におけるパワーPλ1、波長λ1+10(nm)に対する第2レンズEXP2の近軸におけるパワーPλ1+10、波長λ1−10(nm)に対する第2レンズEXP2の近軸におけるパワーPλ1−10が、
λ1+10<Pλ1<Pλ1−10
なる関係を満たすように、回折構造DOE10の近軸における回折パワーは決定されている。
また、カップリングレンズCULは、第1の発光点EP1から射出された波長λ2のレーザ光束と、第2の発光点EP2から射出された波長λ3のレーザ光束との発散角を、それぞれ、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とに対応する発散角に変換して射出するための光学素子である。この実施の形態では、m2=0であるので、第1の発光点EP1から射出された波長λ2のレーザ光束はカップリングレンズCULを透過することにより平行光束に変換される。
カップリングレンズCULは、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。
カップリングレンズCULの光ディスク側の光学機能面は、図示は省略するが、CDの開口数0.45内の領域に相当する光軸を含む第24の光学機能領域AREA24と、CDの開口数0.45からDVDの開口数0.60までの領域に相当する第25の光学機能領域AREA25とに分割されており、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE10が、第24の光学機能領域AREA24に形成されている。
第24の光学機能領域AREA24に形成された重畳型回折構造HOE10の構造は、第3の光ピックアップ装置PU3における重畳型回折構造HOE6と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
また、本実施の形態では、CDに対して情報の記録/再生を行う際に、CDの開口数NA3に応じて、対物光学系OBJの開口を切り替えるための素子として、接合部材Bを介して対物光学系OBJと一体化された開口制限素子APを備えている。
開口制限素子APの光学機能面上には、図12に示すような透過率の波長選択性を有する波長選択フィルタWFが形成されている。この波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3より外側の領域では、波長λ3のみを遮断するような透過率の波長選択性を有しており、かかる波長選択性によりNA3に対応した開口切り替えが行われる。
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、第3の光ピックアップ装置PU3、第5の光ピックアップ装置PU5と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有し、この開口切り替え機能によりNA2に対応した開口切り替えが行われる。
〈第7の実施の形態〉
図19は、高密度光ディスクHDとDVDとCDとの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第7の光ピックアップ装置PU7の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.60であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA
3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU7は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束を射出する赤色半導体レーザLD2、高密度光ディスクHDとDVDとの共用の光検出器PD1、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束を射出する赤外半導体レーザLD3と光検出器PD3とが一体化されたCD用モジュールMD3、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2,RL3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、波長選択フィルタWF、液晶位相制御素子LCD、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、第1の偏光ビームスプリッタBS1、第2の偏光ビームスプリッタBS2、第3の偏光ビームスプリッタBS3、第1のコリメートレンズCOL1、第2のコリメートレンズCOL2、センサーレンズSEN、ビーム整形素子BS、とから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU7において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図19において実線でその光線経路を描いたように、青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、ビーム整形素子SHを透過することによりその断面形状が楕円形から円形に整形された後、第1のコリメートレンズCOL1により平行光束に変換され、第1乃至第3の偏光ビームスプリッタBS1、BS2、BS3を透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、波長選択フィルタWF、液晶位相制御素子LCDを透過し、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、液晶位相制御素子LCD、波長選択フィルタWF、第3の偏光ビームスプリッタBS3を透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU7において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図19において破線でその光線経路を描いたように、赤色半導体レーザLD2を発光させる。赤色半導体レーザLD2から射出された発散光束は、第2のコリメートレンズCOL2により平行光束に変換され、第1の偏光ビームスプリッタBS1により反射された後、第2及び第3の偏光ビームスプリッタBS2、BS3を透過し、波長選択フィルタWF、液晶位相制御素子LCDを透過し、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、液晶位相制御素子LCD、波長選択フィルタWF、第3の偏光ビームスプリッタBS3を透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上
に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、CDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図19において二点鎖線でその光線経路を描いたように、CD用モジュールMD3を作動させて赤外半導体レーザLD3を発光させる。赤外半導体レーザLD3から射出された発散光束は、第3の偏光ビームスプリッタBS3により反射された後、波長選択フィルタWFにより光束径が規制され、液晶位相制御素子LCDを透過し、対物光学系OBJによってCDの保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、液晶位相制御素子LCD、波長選択フィルタWFを透過した後、第3の偏光ビームスプリッタBS3により反射され、CD用モジュールMD3の光検出器PD3の受光面上に収束する。そして、光検出器PD3の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1は、d線での屈折率ndが1.5091であり、アッベ数νdが56.5のプラスチックレンズであり、λ1に対する屈折率は1.5242、λ2に対する屈折率は1.5064、λ3に対する屈折率は1.5050である。また、集光素子L2は、d線での屈折率ndが1.5435であり、アッベ数νdが56.3のプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図示は省略するが、DVDの開口数0.60内の領域に対応する光軸を含む第26の光学機能領域AREA26と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第27の光学機能領域AREA27とに分割されており、第26の光学機能領域AREA26には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE11が形成されている。
第26の光学機能領域AREA26に形成された重畳型回折構造HOE11の構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2は、図示は省略するが、DVDの開口数0.60内の領域に相当する光軸を含む第28の光学機能領域AREA28と、DVDの開口数0.60から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に相当する第29の光学機能領域AREA29とに分割されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE11、DOE12が、それぞれ、光学機能領域AREA28と光学機能領域AREA29に形成されている。
回折構造DOE11、DOE12は、青紫色領域における対物光学系OBJの色収差と、温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造であり、その構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における回折構造DOE3、DOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態の液晶位相制御素子LCDは、電圧の印加により透過する光束に対
して位相変化を生じせしめる液晶層と、液晶素子に電圧を印加するための互いに対向する電極層と、電極層に電圧を供給する電源とから構成されている。互いに対向する電極層のうち少なくとも一方は所定のパターンに分割されており、この電極層に電圧を印加することにより液晶素子の配向状態が変化し、透過する光束に対して所定の位相を付加させることが可能となっている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
液晶位相制御素子LCDにより補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差や、CDの情報記録面RL3上に形成されたスポットの球面収差を液晶位相制御素子LCDにより補正するようにしても良い。特に、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に、液晶位相制御素子LCDにより、保護層PL1と保護層PL3との厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正するようにすることで、第3光束に対する対物光学系OBJの倍率m3を、より大きく設定することが可能となるので、トラッキング駆動の際のコマ収差の発生を小さく抑えることが可能となる。
また、対物光学系OBJと液晶位相制御素子LCDは、接合部材Bを介して一体化されている。
更に、本実施の形態では、CDに対して情報の記録/再生を行う際に、CDの開口数NA3に応じて、対物光学系OBJの開口を切り替えるための波長選択フィルタWFが、液晶位相制御素子LCDの半導体レーザ光源側に形成されている。
波長選択フィルタWFは、図12に示すような透過率の波長選択性をし、この波長選択フィルタWFは、NA3内の領域ではλ1乃至λ3の全ての波長を透過させ、NA3より外側の領域では、波長λ3のみを遮断するような透過率の波長選択性を有しており、かかる波長選択性によりNA3に対応した開口切り替えが行われる。
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、第3の光ピックアップ装置PU3、第5の光ピックアップ装置PU5と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有し、この開口切り替え機能によりNA2に対応した開口切り替えが行われる。
〈第8の実施の形態〉
図20は、高密度光ディスクHDとDVDの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第8の光ピックアップ装置PU8の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=407nm、保護層PL1の厚さt1=0.1mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=660nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU8は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され407nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され660nmのレーザ光束を射出する赤色半導体レーザLD2、高密度光ディスクHDとDVDとの共用の光検出器PD、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系O
BJ、液晶位相制御素子LCD、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、第1の偏光ビームスプリッタBS1、第2の偏光ビームスプリッタBS2、第1のコリメートレンズCOL1、第2のコリメートレンズCOL2、センサーレンズSEN、ビーム整形素子BS、とから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU8において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図20において実線でその光線経路を描いたように、青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、ビーム整形素子SHを透過することによりその断面形状が楕円形から円形に整形された後、第1のコリメートレンズCOL1により平行光束に変換され、第1及び第2の偏光ビームスプリッタBS1及びBS2を透過した後、絞りSTOにより光束径が規制され、液晶位相制御素子LCDを透過し、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、液晶位相制御素子LCDを透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU8において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図20において破線でその光線経路を描いたように、赤色半導体レーザLD2を発光させる。赤色半導体レーザLD2から射出された発散光束は、第2のコリメートレンズCOL2により平行光束に変換され、第1の偏光ビームスプリッタBS1により反射された後、第2の偏光ビームスプリッタBS2、液晶位相制御素子LCDを透過し、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、液晶位相制御素子LCDを透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1と集光素子L2は、何れもプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図示は省略するが、DVDの開口数0.65内の領域に対応する光軸を含む第30の光学機能領域AREA30と、DVDの開口数0.65から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第31の光学機能領域AREA31とに分割されており、第30の光学機能領域AREA30には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE12が形成されている。
第30の光学機能領域AREA30に形成された重畳型回折構造HOE12の構造は、
第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2には、図示は省略するが、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE13が形成されている。
回折構造DOE13は、青紫色領域における対物光学系OBJの軸上色収差と、温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造であり、光軸方向の段差は波長λ1=407nmの光束が入射した場合に、+5次回折光が100%の回折効率で発生するように設計されている。回折構造DOE13に対して波長λ2=660nmの光束が入射した場合には、+3次回折光が99.8%の回折効率で発生し、何れの波長に対しても高い回折効率が確保されている。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態の液晶位相制御素子LCDは、電圧の印加により透過する光束に対して位相変化を生じせしめる液晶層と、液晶素子に電圧を印加するための互いに対向する電極層と、電極層に電圧を供給する電源とから構成されている。互いに対向する電極層のうち少なくとも一方は所定のパターンに分割されており、この電極層に電圧を印加することにより液晶素子の配向状態が変化し、透過する光束に対して所定の位相を付加させることが可能となっている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
液晶位相制御素子LCDにより補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差を液晶位相制御素子LCDにより補正するようにしても良い。
また、対物光学系OBJと液晶位相制御素子LCDは、接合部材Bを介して一体化されている。
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、第3の光ピックアップ装置PU3、第5の光ピックアップ装置PU5、第7の光ピックアップ装置PU7と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有し、この開口切り替え機能によりNA2に対応した開口切り替えが行われる。
[第9の実施の形態]
図21は、高密度光ディスクHDとDVDの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第9の光ピックアップ装置PU9の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=405nm、保護層PL1の厚さt1=0.1mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=650nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU9は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され405nmのレーザ光束を射出する青紫色半導体レーザLD1、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され650nmのレーザ光束を射出する赤色半導体レーザLD2、高密度光ディスクHDとDVDとの共用の光検出器PD、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、第1の偏光ビームスプリッタBS1、第2の偏光ビームスプリッタBS2、コリメートレンズCOL、1軸アクチュエータUAC、センサーレンズSEN、ビーム整形素子BS、とから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
光ピックアップ装置PU9において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図21において実線でその光線経路を描いたように、青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、ビーム整形素子SHを透過することによりその断面形状が楕円形から円形に整形された後、、第1及び第2の偏光ビームスプリッタBS1及びBS2を透過した後、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換され、絞りSTOにより光束径が規制され、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、コリメートレンズCOLを透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU9において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、図21において破線でその光線経路を描いたように、赤色半導体レーザLD2を発光させる。赤色半導体レーザLD2から射出された発散光束は、第1の偏光ビームスプリッタBS1により反射された後、第2の偏光ビームスプリッタBS2を透過し、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換され、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ及びコリメートレンズCOLを透過した後、第2の偏光ビームスプリッタBS2により反射され、センサーレンズSENにより、非点収差が与えられるとともに収斂光束に変換され、光検出器PD1の受光面上に収束する。そして、光検出器PD1の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1はプラスチックレンズであり、集光素子L2は、ガラスレンズである。また、収差補正素子L1と集光素子L2は、接合部材Bを介して一体化されている。
収差補正素子L1の半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図示は省略するが、DV
Dの開口数0.65内の領域に対応する光軸を含む第32の光学機能領域AREA32と、DVDの開口数0.65から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第33の光学機能領域AREA33とに分割されており、第32の光学機能領域AREA32には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE13が形成されている。
第32の光学機能領域AREA32に形成された重畳型回折構造HOE34の構造は、第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
更に、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2には、図示は省略するが、光軸を含む断面形状が階段形状の複数の輪帯から構成された回折構造DOE14が形成されている。
回折構造DOE14は、青紫色領域における対物光学系OBJの色球面収差を補正するための構造であり、光軸方向の段差は波長λ1=405nmの光束が入射した場合に、+5次回折光が100%の回折効率で発生するように設計されている。回折構造DOE14に対して波長λ2=650nmの光束が入射した場合には、+3次回折光が100%の回折効率で発生し、何れの波長に対しても高い回折効率が確保されている。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に型回折構造を形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に型回折構造を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態のコリメートレンズCOLは、1軸アクチュエータUACにより光軸方向にその位置が変移可能であるように構成されている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
コリメートレンズCOLの位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差をコリメートレンズCOLの位置調整により補正するようにしても良い。
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、第3の光ピックアップ装置PU3、第5の光ピックアップ装置PU5、第7の光ピックアップ装置PU7、第8の光ピックアップ装置PU8と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有し、この開口切り替え機能によりNA2に対応した開口切り替えが行われる。
[第10の実施の形態]
図22は、高密度光ディスクHDとDVDの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第10の光ピックアップ装置PU10の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=407nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=660nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU10は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され407nmのレーザ光束を射出する第1の発光点EP1と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され660nmのレーザ光束を射出する第2の発光点EP2と、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、プリズムPSとから構成された高密度光ディスク/DVD用レーザモジュールLM、収差補正素子L1とこの収差補正素子L1を透過したレーザ光束を情報記録面RL1、RL2上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた集光素子L2とから構成された対物光学系OBJ、2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA0.85に対応した絞りSTO、コリメートレンズCOL、1軸アクチュエータUAC、とから構成されている。
尚、高密度光ディスクHD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザLD1の他に青紫色SHGレーザを使用することもできる。
また、光ピックアップ装置PU10において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第1の発光点EP1を発光させる。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図22において実線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射された後、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換され、対物光学系OBJによって高密度光ディスクHDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、コリメートレンズCOLを透過し、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU10において、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図22において破線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射された後、コリメートレンズCOLを通過する。そして、発散光として対物光学系OBJに入射し、対物光学系OBJによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、コリメートレンズCOLを透過し、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
次に、対物光学系OBJの構成について説明する。収差補正素子L1と集光素子L2は、何れもプラスチックレンズである。また、それぞれの光学機能部(青紫色半導体レーザLD1からのレーザ光束が通過する、収差補正素子L1と集光素子L2の領域)の周囲には、光学機能部と一体に成形されたフランジ部FL1、FL2を有し、かかるフランジ部FL1、FL2の一部同士を接合することで一体化されている。
対物光学系OBJの半導体レーザ光源側の光学機能面S1は、図示は省略するが、DVDの開口数0.65内の領域に対応する光軸を含む第34の光学機能領域AREA34と、DVDの開口数0.65から高密度光ディスクHDの開口数0.85までの領域に対応する第35の光学機能領域AREA35とに分割されている。そして、第34の光学機能領域AREA34には、その内部に階段構造が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配列された構造である重畳型回折構造HOE14が形成されている。
第34の光学機能領域AREA34に形成された重畳型回折構造HOE14の構造は、
第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2には、青紫色領域における対物光学系OBJの温度変化に伴う球面収差変化を抑制するための構造である光路差付与構造NPSが形成されている。この光路差付与構造NPSの光軸方向の段差は、対物光学系OBJの設計基準温度において、波長λ1の光束に対して5倍の光路差を与える深さに設定されている。かかる深さに設定された段差に波長λ2の光束が入射した場合、波長λ2の光束に対して与える光路差は、λ2の3倍となるので、何れの波長に対しても高い透過率が確保されている。
光路差付与構造NPSは、屈折率が低くなった場合に球面収差が補正不足方向に変化し、屈折率が高くなった場合に球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の屈折率依存性をもつので、青紫色領域における対物光学系OBJの温度変化に伴う球面収差変化を抑制することが可能となる。
本実施の形態の収差補正素子L1では、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に重畳型回折構造HOE14を形成し、光ディスク側の光学機能面S2に光路差付与構造NPSを形成した構成としたが、これとは、逆に、半導体レーザ光源側の光学機能面S1に光路差付与構造NPSを形成し、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造HOE14を形成した構成としてもよい。
また、本実施の形態のコリメートレンズCOLは、1軸アクチュエータUACにより光軸方向にその位置が変移可能であるように構成されている。これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能となるので、高密度光ディスクHDに対して常に良好な記録/再生特性を維持することができる。
コリメートレンズCOLの位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差をコリメートレンズCOLの位置調整により補正するようにしても良い
尚、本実施の形態における対物光学系OBJは、第2の光ピックアップ装置PU2、第3の光ピックアップ装置PU3、第5の光ピックアップ装置PU5、第7の光ピックアップ装置PU7、第8の光ピックアップ装置PU8、第9の光ピックアップ装置PU9と同様に、DVDの開口数NA2に対応する開口切り替え機能を有し、この開口切り替え機能によりNA2に対応した開口切り替えが行われる。
[第11の実施の形態]
図30は、高密度光ディスクHDとDVDとCDの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第11の光ピックアップ装置PU11の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=658nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt2=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU11は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束(第1光束)を射出する第1の発光点EP1(第1光源)と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束(第2光束)を射出する第2の発光点EP2(第2光源)と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束(第3光束)を射出する第3の発光点EP3(第3光源)と、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第3の受光部DS3と、プリズムPSとから構成された高密度光ディスクHD/DVD/CD用レーザモジュールLM、その光学面上に回折構造(位相構造)が形成され両面が非球面とされた対物光学系(集光素子)OBJ、DVD/CD用の開口制限素子AP、対物光学素子OBJをフォーカシング/トラッキング駆動させるための2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA1に対応した絞りSTO、コリメートレンズCOL、コリメートレンズCOLを光軸方向に駆動させるための1軸アクチュエータUAC、液晶位相制御素子LCD(球面収差補正手段)、対物光学系OBJと開口制限素子APと液晶位相制御素子LCDとを一体化するための保持部材B、とから構成されている。本実施の形態においては、位相構造を有する収差補正素子と、第1光束乃至第3光束を、それぞれ、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1、DVDの情報記録面RL2、CDの情報記録面RL3上に集光させるための集光素子とが一体化された構成となっている。
光ピックアップ装置PU11において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、レーザモジュールLMを作動させて第1の発光点EP1を発光させる
。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図30において実線でその光線経路を
描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て平行光束とされた後、絞りSTOにより光束径が規制され、液晶位相制御素子LCD、開口制限素子APを透過し、対物光学系OBJによって第1保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、液晶位相制御素子LCDを透過し、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU11においてDVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2光束が平行光束の状態でコリメートレンズCOLから射出されるように、対物光学系OBJとコリメートレンズCOLとの間の距離が、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合よりも小さくなるように1軸アクチュエータUACによりコリメートレンズCOLを移動させる。その後、レーザモジュールLMを作動させて第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図30において点線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て平行光束とされた後、液晶位相制御素子LCDを透過し、開口制限素子APにより光束径が規制された後、対物光学系OBJによって第2保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、液晶位相制御素子LCDを透過し、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU11においてCDに対して情報の記録/再生を行う場合
には、保護層PL1の厚さt1と保護層PL3の厚さt3との差に起因する球面収差が補正するために、液晶位相制御素子LCDを透過する第3光束に対して補正不足方向の球面収差が付加されるように、液晶位相制御素子LCDを作動させる。その後、レーザモジュールLMを作動させて第3の発光点EP3を発光させる。第3の発光点EP3から射出された発散光束は、図30において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされた後、液晶位相制御素子LCDを透過することで補正不足方向の球面収差が与えられ、開口制限素子APにより光束径が規制された後、対物光学系OBJによって第3保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、液晶位相制御素子LCDを透過し、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS3に集光する。そして、受光部DS3の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
尚、DVDの場合と同様に、第3光束が平行光束の状態でコリメートレンズCOLから射出されるように、対物光学系OBJとコリメートレンズCOLとの間の距離が、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合よりも小さくなるように1軸アクチュエータUACによりコリメートレンズCOLを移動させる構成としてもよい。
次に対物光学素子OBJの構成について説明する。レーザモジュールLM側の光学面上に形成された回折構造DOE15(その断面形状は鋸歯形状である)は、保護層PL1の厚さt1と保護層PL2の厚さt2との差に起因する球面収差を補正するための構造である。対物光学系OBJは、回折構造DOE15で発生する第1光束乃至第3光束の1次回折光を、それぞれ、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1、DVDの情報記録面RL2、CDの情報記録面RL3上に集光させる。この回折構造DOE15の光路差関数は、保護層PL1の厚さt1と保護層PL2の厚さt2との差に起因する球面収差が補正させるように最適化されているため、保護層PL1の厚さt1と保護層PL3の厚さt3との差に起因する球面収差は完全に補正されずに残留するが、本実施の形態においては、この残留球面収差を液晶位相制御素子LCDで補正することにより、高密度光ディスクHDとCDとの互換を達成している。
また、本実施の形態のコリメートレンズCOLは、1軸アクチュエータUACにより光軸方向にその位置が変移可能であるように構成されているが、これにより、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正することが可能である。コリメートレンズCOLの位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、第1光源の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差をコリメートレンズCOLの位置調整により補正するようにしても良い。
[第12の実施の形態]
図31は、高密度光ディスクHDとDVDとCDの何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える第12の光ピックアップ装置PU12の構成を概略的に示す図である。高密度光ディスクHDの光学的仕様は、波長λ1=408nm、保護層PL1の厚さt1=0.0875mm、開口数NA1=0.85であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=6
58nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt2=1.2mm、開口数NA3=0.45である。但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
光ピックアップ装置PU12は、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され408nmのレーザ光束(第1光束)を射出する第1の発光点EP1(第1光源)と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され658nmのレーザ光束(第2光束)を射出する第2の発光点EP2(第2光源)と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束(第3光束)を射出する第3の発光点EP3(第3光源)と、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1からの反射光束を受光する第1の受光部DS1と、DVDの情報記録面RL2からの反射光束を受光する第2の受光部DS2と、CDの情報記録面RL3からの反射光束を受光する第3の受光部DS3と、プリズムPSとから構成された高密度光ディスクHD/DVD/CD用レーザモジュールLM、その光学面上に重畳型回折構造(位相構造)と回折構造(第2の位相構造)が形成された収差補正素子L1と、両面が非球面とされた集光素子L2とから構成される対物光学系OBJ、CD用の開口制限素子AP、対物光学素子OBJをフォーカシング/トラッキング駆動させるための2軸アクチュエータAC、高密度光ディスクHDの開口数NA1に対応した絞りSTO、コリメートレンズCOL、負レンズE1と正レンズE2とから構成されるエキスパンダーレンズEXP(球面収差補正手段)、負レンズE1を光軸方向に駆動させるための1軸アクチュエータUAC、対物光学系OBJと開口制限素子APとを一体化するための保持部材B、とから構成されている。
光ピックアップ装置PU12において、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合には、レーザモジュールLMを作動させて第1の発光点EP1を発光させる
。第1の発光点EP1から射出された発散光束は、図31において実線でその光線経路を
描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て平行光束とされた後、エキスパンダーレンズEXPを透過することにより光束径が拡径され、その後絞りSTOにより光束径が規制され、開口制限素子APを透過し、対物光学系OBJによって第1保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、エキスパンダーレンズEXPを透過し、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS1に集光する。そして、受光部DS1の出力信号を用いて高密度光ディスクHDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU12においてDVDに対して情報の記録/再生を行う場合には、第2光束が平行光束の状態でエキスパンダーレンズEXPから射出されるように、負レンズE1と正レンズE2との間の距離が、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合よりも大きくなるように1軸アクチュエータUACにより負レンズE1を移動させる。その後、レーザモジュールLMを作動させて第2の発光点EP2を発光させる。第2の発光点EP2から射出された発散光束は、図31において点線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされた後、エキスパンダーレンズEXPを透過することにより光束径が拡径され、その後開口制限素子APを透過した後、対物光学系OBJによって第2保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、エキスパンダーレンズEXPを透過し、コリメートレンズCOLによって収
斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS2に集光する。そして、受光部DS2の出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU12においてCDに対して情報の記録/再生を行う場合には、保護層PL1の厚さt1と保護層PL3の厚さt3との差に起因する球面収差が補正されるように、負レンズE1と正レンズE2との間の距離が、高密度光ディスクHDに対して情報の記録/再生を行う場合よりも小さくなるように1軸アクチュエータUACにより負レンズE1を移動させる。その後、レーザモジュールLMを作動させて第3の発光点EP3を発光させる。第3の発光点EP3から射出された発散光束は、図31において二点鎖線でその光線経路を描いたように、プリズムPSで反射され、コリメートレンズCOLを経て略平行光束とされた後、エキスパンダーレンズEXPを透過することにより発散光束に変換され、開口制限素子APにより光束径が規制された後、対物光学系OBJによって第3保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物光学系OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータAC1によってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学系OBJ、開口制限素子AP、エキスパンダーレンズEXPを透過し、コリメートレンズCOLによって収斂光束とされ、プリズムPS内部で2回反射され受光部DS3に集光する。そして、受光部DS3の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
次に対物光学素子OBJの構成について説明する。収差補正素子L1と集光素子L2はともにプラスチックレンズであり、その光学機能部と一体成形されたフランジ部FL1、FL2を互いに接合することにより一体化されている。収差補正素子L1のレーザモジュールLM側の光学面上に形成された重畳型構造HOE15は、保護層PL1の厚さt1と保護層PL2の厚さt2との差に起因する球面収差を補正するための構造である。その具体的な構造や機能は、第2の光ピックアップ装置PU2における重畳型回折構造HOE4と同じであるのでここでは詳細な説明は割愛する。尚、重畳型回折構造HOE15は、DVDの開口数NA2内にのみ形成されているので、NA2より外側の領域を通過する第2光束はDVDの情報記録面RL2上でフレア成分となり、DVDに対する開口制限が自動的に行われる構成となっている。
また、対物光学系OBJは、収差補正素子L1の光ディスク側の光学面上に形成された回折構造DOE16(その断面形状は階段形状である)で発生する第1光束の5次回折光、第2光束の3次回折光、第3光束の2次回折光を、それぞれ、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1、DVDの情報記録面RL2、CDの情報記録面RL3上に集光させる。この回折構造DOE16は、第3光束に対して第3波長λ3の半整数倍の光路差を付加させることにより、t1とt3の差に起因する球面収差を低減するための構造である。これにより、CDに対して情報の記録/再生を行う際の第3光束に対する対物光学系OBJの倍率m3の絶対値が大きくなり過ぎないように出来るので、負レンズE1の移動量が小さくてすみ、また、対物光学系OBJのトラッキング特性を良好なものにすることが可能となる。
また、本実施の形態では、1軸アクチュエータUACにより負レンズE1を光軸方向に変移させることで高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する構成となっている。負レンズE1の位置調整により補正する球面収差の発生原因は、例えば、第1光源の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物光学系OBJの屈折率変化や屈折率分布、2層ディスク、4層ディスク等の多層ディスクに対する記録/再生時における層間のフォーカスジャンプ、保護層PL1の製造誤差による厚みばらつきや厚み分布、等である。
以上の説明では、高密度光ディスクHDの情報記録面RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する場合について説明したが、DVDの情報記録面RL2上に形成されたスポットの球面収差を負レンズE1の位置調整により補正するようにしても良い。また、負レンズE1ではなく正レンズE2を動かす構成としてもよい。
また、球面収差補正手段としてエキスパンダーレンズEXPではなく、アクチュエータによって光軸方向に変移可能とされたコリメートレンズやカップリングレンズを使用してもよい。
次に、上述した光ピックアップ装置PU1〜PU4、PU8〜PU10の対物光学系OBJとして好適な光学素子を8例(実施例1〜8)、及び、PU12の球面収差補正素子と対物光学系OBJとから構成される光学系を3例(実施例9〜11)説明する。
各実施例における非球面は、その面の頂点に接する平面からの変形量をX(mm)、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、曲率半径をr(mm)とするとき、次の数5に表15〜25中の非球面係数A2iを代入した数式で表される。但し、κを円錐係数とする。
Figure 2009245583
また、各実施例における重畳型回折構造及び回折構造は、これらの構造により透過波面に付加される光路差で表される。かかる光路差は、λを入射光束の波長、λを製造波長、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、B2jを光路差関数係数、nを回折次数とするとき
上記数1で定義される光路差関数φb(mm)で表される。
表15〜表25において、NA1、f1、λ1、m1、t1は、それぞれ、高密度光ディスクHD使用時の対物光学系OBJの開口数、対物光学系OBJの焦点距離、対物光学系OBJの波長、対物光学系OBJの倍率、保護層の厚さであり、NA2、f2、λ2、m2、t2は、DVD使用時の同様の値であり、NA3、f3、λ3、m3、t3は、CD使用時の同様の値である。
また、r(mm)は曲率半径、d1(mm)、d2(mm)、d3(mm)は、それぞれ、高密度光ディスクHD使用時、DVD使用時、CD使用時のレンズ間隔、Nλ1、Nλ2、Nλ3は、それぞれ、波長λ1、波長λ2、波長λ3に対するレンズの屈折率、νdはd線のレンズのアッベ数である。
また、n1、n2、n3は、それぞれ、重畳型回折構造や回折構造で発生する第1光束、第2光束、第3光束の回折光の回折次数である。
実施例1乃至3の光学素子は、波長408nm、保護層の厚さ0.0875mm、倍率1/18.215に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のプラスチックレンズである集光素子L2に、半導体レーザ側の光学機能面S1に重畳型回折構造が形成され、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造が形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L2を組合わせている。
実施例4の光学素子は、波長408nm、保護層の厚さ0.0875mm、倍率1/17.123に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のプラスチックレンズである集光素子L2に、半導体レーザ側の光学機能面S1に重畳型回折構造が形成され、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造が形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L2を組合わせている。
また、実施例5の光学素子は、波長408nm、保護層の厚さ0.0875mm、倍率0に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のガラスレンズである集光素子L
2に、半導体レーザ側の光学機能面S1に重畳型回折構造が形成され、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造が形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L2を組合わせている。
実施例6の光学素子は、波長407nm、保護層の厚さ0.1mm、倍率1/14.104に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のプラスチックレンズである集光素子L2と、半導体レーザ側の光学機能面S1に重畳型回折構造が形成され、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造が形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L1を組合わせている。
実施例7の光学素子は、波長405nm、保護層の厚さ0.1mm、倍率0に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のガラスレンズである集光素子L2と、半導体レーザ側の光学機能面S1に重畳型回折構造が形成され、光ディスク側の光学機能面S2に回折構造が形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L1を組合わせている。
実施例8の光学素子は、波長407nm、保護層の厚さ0.0875mm、倍率1/11.416に対して球面収差補正が最適化された開口数0.85のガラスレンズである集光素子L2と、半導体レーザ側の光学機能面S1に光路差付与構造NPSが形成され、光ディスク側の光学機能面S2に重畳型回折構造HOEが形成されたプラスチックレンズである収差補正素子L1を組合わせている。
実施例1の光学素子は、図1に示したような第1の光ピックアップ装置PU1の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表15に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第1の光学機能領域AREA1に形成した重畳型回折構造HOE1の作用により、波長λ2に対する倍率m2と波長λ3に対する倍率m3とを略一致させつつ、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正している。
また、第2の光学機能領域AREA2に形成した重畳型回折構造HOE2と、第3の光学機能領域AREA3に形成した重畳型回折構造HOE3は、DVDやCDに対する情報の記録/再生時には、ダイクロイックフィルターと同様に機能し、自動的に開口制限がなされる。
また、第4の光学機能領域AREA4に形成した回折構造DOE1と、第5の光学機能領域AREA5に形成した回折構造DOE2の作用により、青紫色領域における色収差と入射波長変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザLD1の波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量151mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には20mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、青紫色半導体レーザLD1の製造誤差による波長ばらつきを+10nmと仮定したとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量74mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には4mλRMSとなり、入射波長変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例2の光学素子は、図3に示したような第2の光ピックアップ装置PU2、及び図14に示したような第5の光ピックアップ装置PU5の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表16に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第6(第18)の光学機能領域AREA6(AREA18)に形成した重畳型回折構造HOE4(HOE8)の作用により、波長λ1に対する倍率m1と波長λ2に対する倍率m2とを略一致させつつ、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正している。
また、第8(第20)の光学機能領域AREA8(AREA20)に形成した回折構造DOE3(DOE8)と、第9(第21)の光学機能領域AREA9(AREA21)に形成した回折構造DOE4(DOE9)の作用により、青紫色領域における色収差と環境温度変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザLD1の波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量151mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には27mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、環境温度が30度上昇した場合の、青紫色半導体レーザの発振波長を409.5nm、その際の収差補正素子L1の屈折率を1.52079、集光素子L2の屈折率を1.55671としたとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量116mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には45mλRMSとなり、環境温度変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
また、表16には、本実施例の光学素子に、コマ収差補正素子としてのカップリングレンズCULを組合わせた数値データも示されている。CDに対する情報の記録/再生時における、光学素子の光軸に垂直な方向へのシフト量を0.2mmとしたとき、光学素子単独のコマ収差の発生量51mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には20mλRMSとなり、光学素子のシフトに伴うコマ収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例3の光学素子は、図5に示したような第3の光ピックアップ装置PU3の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表17に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第10の光学機能領域AREA10に形成した重畳型回折構造HOE5の作用と、波長λ1に対する倍率m1と波長λ2に対する倍率m2とを異ならしめることにより、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正している。
また、第12の光学機能領域AREA12に形成した回折構造DOE5と、第13の光学機能領域AREA13に形成した回折構造DOE6の作用により、青紫色領域における色収差と環境温度変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザLD1の波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量151mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には32mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、環境温度が30度上昇した場合の、青紫色半導体レーザLD1の発振波長を409.5nm、その際の収差補正素子L1の屈折率を1.52079、集光素子L2の屈折率を1.55671としたとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量116mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には45mλRMSとなり、環境温度変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
また、表17には、本実施例の光学素子に、発散角変換素子としてのカップリン
グレンズCULを組合わせた数値データも示されている。
カップリングレンズCULは、第14の光学機能領域AREA14に形成された重畳型回折構造HOE6の作用を利用して、第1の発光点EP1から射出された波長λ2のレーザ光束と、第2の発光点EP2から射出された波長λ3のレーザ光束との発散角を、それぞれ、対物光学系OBJの波長λ2に対する倍率m2と、波長λ3に対する倍率m3とに対応する発散角に変換して射出するための光学素子である。
実施例4の光学素子は、図3に示したような第2の光ピックアップ装置PU2、及び図
14に示したような第5の光ピックアップ装置PU5の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表18に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第6(第18)の光学機能領域AREA6(AREA18)に形成した重畳型回折構造HOE4(HOE8)の作用により、波長λ1に対する倍率m1と波長λ2に対する倍率m2とを略一致させつつ、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正している。
重畳型回折構造の作用より、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行う方法として、波長λ2の光束に対して補正補足の球面収差を付加させる方法と、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーを負に設定する方法があるが、前者は、収差補正素子L1と集光素子L2との光軸ずれによる波長λ2の光束のコマ収差発生が大きくなり、後者は、波長λ2の軸外光束が入射した場合に、コマ収差発生が大きくなるという問題がある。
本実施例における重畳型回折構造HOE4(HOE8)では、両者を組合わせることで高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行っており、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーの決定の際には、収差補正素子L1と集光素子L2との光軸ずれによるコマ収差発生を緩和しつつ、波長λ2の光束に対する軸外特性が劣化しすぎないように留意した。
また、重畳型回折構造HOE4(HOE8)の光路差関数は、NA2=0.67内で変曲点を有し、変曲点の前後で光路差関数の接線の傾きが正から負へと切り替わる。これは重畳型回折構造HOE4(HOE8)の輪帯の傾斜方向(図3におけるl4)が途中で反転することに対応するが、光路差関数がこのように変曲点を有するようにすると輪帯の幅(図3におけるΛ4)を大きく確保することが出来る。本実施例では、輪帯の幅の最小値は70μmである。
また、第8(第20)の光学機能領域AREA8(AREA20)に形成した回折構造DOE3(DOE8)と、第9(第21)の光学機能領域AREA9(AREA21)に形成した回折構造DOE4(DOE9)の作用により、青紫色領域における色収差と環境温度変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザの波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量151mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には32mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、環境温度が30度上昇した場合の、青紫色半導体レーザLD1の発振波長を409.5nm、その際の収差補正素子L1の屈折率を1.52079、集光素子L2の屈折率を1.55671としたとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量114mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には46mλRMSとなり、環境温度変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例5の光学素子は、図3に示したような第2の光ピックアップ装置PU2、及び図14に示したような第5の光ピックアップ装置PU5の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表19に示す。
Figure 2009245583
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第6(第18)の光学機能領域AREA6(AREA18)に形成した重畳型回折構造HOE4(HOE8)の作用により、波長λ1に対する倍率m1と波長λ2に対する倍率m2とを略一致させつつ、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正している。
本実施例の光学素子では、実施例4の光学素子と同様に、波長λ2の光束に対して補正補足の球面収差を付加させる方法と、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーを負に設定する方法とを組合わせることで高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行っており、輪帯の幅の最小値は81μmである。
また、第8(第20)の光学機能領域AREA8(AREA20)に形成した回折構造DOE3(DOE8)と、第9(第21)の光学機能領域AREA9(AREA21)に形成した回折構造DOE4(DOE9)の作用により、青紫色領域における色収差と入射波長変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザの波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量138mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には18mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、青紫色半導体レーザの製造誤差による波長ばらつきを+10nmと仮定したとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量54mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には4mλRMSとなり、入射波長変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例2の光学素子において、第6の光学機能領域AREA6に形成された重畳型回折構造HOE4の断面図を図16に、実施例4の光学素子において、第18の光学機能領域AREA18に形成された重畳型回折構造HOE8の断面図を図17に示す。
図中、横軸は光軸からの高さh(mm)を指し、縦軸は重畳型回折構造HOE4(HOE8)の光軸に垂直な方向の高さD(mm)を表す。
実施例6の光学素子は、図20に示したような第8の光ピックアップ装置PU8の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表20に示す。ま
た、図23に光路図を示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第30の光学機能領域AREA30に形成した重畳型回折構造HOE12の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正するとともに、DVD使用時の開口制限は収差補正素子L1により自動的に行われる。
本実施例の光学素子では、重畳型回折構造HOE12の2次の光路差関数係数B2と、4次の光路差関数係数B4を異符号とすることにより、波長λ2の光束に対して補正補足の球面収差を付加させる方法と、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーを負に設定する方法とを組合わせることで高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行っている。重畳型回折構造HOE12の輪帯幅の最小値は117.4μmであり、十分な輪帯幅が得られているため金型加工が容易である。
また、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2に形成された回折構造DOE13の作用により、青紫色領域における軸上色収差と環境温度変化に伴う球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザの波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量119mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には35mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、環境温度が30度上昇した場合の、青紫色半導体レーザの発振波長を408.5nm、その際の収差補正素子L1の屈折率を1.52094、集光素子L2の屈折率を1.55687としたとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量89mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には28mλRMSとなり、環境温度変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例7の光学素子は、図21に示したような第9の光ピックアップ装置PU9の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表21に示す。また、図24に光路図を示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第32の光学機能領域AREA32に形成した重畳型回折構造HOE13の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正するとともに、DVD使用時の開口制限は収差補正素子L1により自動的に行われる。
本実施例の光学素子では、重畳型回折構造HOE13の2次の光路差関数係数B2と、4次の光路差関数係数B4を異符号とすることにより、波長λ2の光束に対して補正補足の球面収差を付加させる方法と、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーを負に設定する方法とを組合わせることで高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行っている。重畳型回折構造HOE13の輪帯幅の最小値は93.8μmであり、十分な輪帯幅が得られているため金型加工が容易である。
また、収差補正素子L1の光ディスク側の光学機能面S2に形成された回折構造DOE13の作用により、青紫色領域における軸上色収差と色球面収差変化を補正している。
モードホッピングによる青紫色半導体レーザの波長変化量を+1nmと仮定したとき、集光素子L2単独でのデフォーカス成分の変化量114mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には23mλRMSとなり、モードホッピングによるデフォーカス成分の変化が良好に補正されていることがわかる。
更に、青紫色半導体レーザの製造誤差による波長ばらつきを+10nmと仮定したとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量47mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には4mλRMSとなり、入射波長変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
実施例8の光学素子は、図22に示したような第10の光ピックアップ装置PU10の対物光学系OBJとして最適な光学素子であり、その具体的な数値データを表22に示す。また、図25に光路図を示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
第34の光学機能領域AREA34に形成した重畳型回折構造HOE14の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正するとともに、DVD使用時の開口制限は収差補正素子L1により自動的に行われる。
本実施例の光学素子では、重畳型回折構造HOE14の2次の光路差関数係数B2と、4次の光路差関数係数B4を異符号とすることにより、波長λ2の光束に対して補正補足の球面収差を付加させる方法と、波長λ2の光束に対する近軸における回折パワーを負に設定する方法とを組合わせることで高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差の補正を行っている。重畳型回折構造HOE14の輪帯幅の最小値は66.3μmであり、十分な輪帯幅が得られているため金型加工が容易である。
また、収差補正素子L1の半導体レーザ側の光学機能面S1に形成された光路差付与構造NPSの作用により、青紫色領域における環境温度変化に伴う球面収差変化を補正している。
更に、環境温度が30度上昇した場合の、青紫色半導体レーザの発振波長を408.5nm、その際の収差補正素子L1の屈折率を1.52094、集光素子L2の屈折率を1.55687としたとき、集光素子L2単独での球面収差成分の変化量81mλRMSに対し、集光素子L2に収差補正素子L1を組み合わせた場合には15mλRMSとなり、環境温度変化に伴う球面収差変化が良好に補正されていることがわかる。
尚、表22−2の「第1面の光路差付与構造」において、iは中心領域及び各輪帯の番
号を表し、中心領域をi=0、中心領域の外側に隣接する第1輪帯をi=1、第1輪帯の外側に隣接する第2輪帯をi=2・・・・としている。hiSは中心領域及び各輪帯の始点高さ、hiLは中心領域及び各輪帯の終点高さを表す。また、mi1dは、中心領域に対する各輪帯の光軸方向への変移量を表す。例えば、第2輪帯(i=2)は、中心領域(i=0)に対して光ディスク側へ7.761μm変移しており、第6輪帯(i=6)は、中心領域(i=0)に対してレーザ光源側へ7.761μm変移している。また、mi1は中心領域に対する各輪帯の光路長差を波長λ1(=407nm)を単位として表した値であり、mi2は中心領域に対する各輪帯の光路長差を波長λ2(λ2=660nm)を単位として表した値である。例えば、第2輪帯は中心領域に対して10×λ1(=6×λ2)だけ光路長が短く、第6輪帯は中心領域に対して10×λ1(=6×λ2)だけ光路長が長い。
実施例9の光学系は、ともにプラスチックレンズである負レンズと正レンズとから構成されたエキスパンダーレンズと、ともにプラスチックレンズである収差補正素子と集光素子とから構成された対物光学系とから構成される光学系であって、第12の光ピックアップ装置PU12の光学系として最適である。その具体的な数値データを表23に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
対物光学系は、収差補正素子の光源側の光学面(表23において第5面)に形成した重畳型回折構造の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正したHD/DVD互換レンズである。尚、集光素子は、高密度光ディスクHDに対して球面収差補正が最適化されたレンズである。
また、高密度光ディスクHDとCDとの保護層の厚さの違いによる球面収差は、エキスパンダーレンズの負レンズを光軸方向に動かして、対物光学系の倍率を変化させることで補正している。
また、入射光束の波長が変わると、色収差の影響で、エキスパンダーレンズから射出される光束の発散度が変化する。そこで、DVDに対する記録/再生時には、エキスパンダーレンズから射出される第2光束が平行光束となるように、負レンズと正レンズとの間隔が高密度光ディスクHDの場合よりも広くなるように負レンズを動かしている。
尚、重畳型回折構造で発生する第1光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%、第2光束の1次回折光の回折効率は87%、第3光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
実施例10の光学系は、プラスチックレンズであるエキスパンダーレンズと、プラスチックレンズである対物光学系とから構成される光学系であって、第12の光ピックアップ装置PU12の光学系として最適である。また、本実施例の対物光学系は、第11の光ピックアップ装置PU11の対物光学系としても最適である。その具体的な数値データを表24に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
対物光学系は、光源側の光学面(表24において第3面)に形成した回折構造の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正したHD/DVD互換レンズである。
また、高密度光ディスクHDとCDとの保護層の厚さの違いによる球面収差は、コリメートレンズを光軸方向に動かして、対物光学系の倍率を変化させることで補正しているが、回折構造で、第1光束乃至第3光束の1次回折光を利用することで、高密度光ディスクHDとCDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を低減しているため、コリメートレンズの移動量が小さくてすみ、また、対物光学系のトラッキング特性を良好なものにしている。
また、入射光束の波長が変わると、色収差の影響で、コリメートレンズから射出される光束の発散度が変化する。そこで、DVDに対する記録/再生時には、コリメートレンズから射出される第2光束が平行光束となるように、コリメートレンズと対物光学系との間隔が高密度光ディスクHDの場合よりも狭くなるようにコリメートレンズを動かしている。
尚、回折構造で発生する第1光束の1次回折光の回折効率は88%、第2光束の1次回
折光の回折効率は76%、第3光束の1次回折光の回折効率は50%であり、製造波長λBを480nmに設定することで、記録時の高速化が要求される高密度光ディスクHDとDVDに対して高い回折効率を得ている。
実施例11の光学系は、ともにプラスチックレンズである負レンズと正レンズとから構成されたエキスパンダーレンズと、ともにプラスチックレンズである収差補正素子と集光素子とから構成された対物光学系とから構成される光学系であって、第12の光ピックアップ装置PU12の光学系として最適である。その具体的な数値データを表25に示す。
Figure 2009245583
Figure 2009245583
対物光学系は、収差補正素子の光源側の光学面(表25において第5面)に形成した重
畳型回折構造の作用により、高密度光ディスクHDとDVDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を補正したHD/DVD互換レンズである。尚、集光素子は、高密度光ディスクHDに対して球面収差補正が最適化されたレンズである。
また、高密度光ディスクHDとCDとの保護層の厚さの違いによる球面収差は、エキスパンダーレンズの負レンズを光軸方向に動かして、対物光学系の倍率を変化させることで補正しているが、収差補正素子の光ディスク側の光学面(表25において第6面)に形成した回折構造において、第1光束の5次回折光、第2光束の3次回折光、第3光束の2次回折光を利用することで、高密度光ディスクHDとCDとの保護層の厚さの違いによる球面収差を低減しているため、負レンズの移動量が小さくてすみ、また、対物光学系のトラッキング特性を良好なものにしている。
また、入射光束の波長が変わると、色収差の影響で、エキスパンダーレンズから射出される光束の発散度が変化する。そこで、DVDに対する記録/再生時には、エキスパンダーレンズから射出される第2光束が平行光束となるように、負レンズと正レンズとの間隔が高密度光ディスクHDの場合よりも広くなるように負レンズを動かしている。
尚、重畳型回折構造で発生する第1光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%、第2光束の1次回折光の回折効率は87%、第3光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%であり、回折構造で発生する第1光束の5次回折光の回折効率は100%、第2光束の3次回折光の回折効率は100%、第3光束の2次回折光の回折効率は41%である。2つの回折構造による回折効率は、第1光束が100%、第2光束が87%、第3光束が41%となり、記録時の高速化が要求される高密度光ディスクHDとDVDに対して高い回折効率を得ている。
光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す図面である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す図面である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す図面である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す図面である。 重畳型回折構造の作用の原理を説明するための図面である。 重畳型回折構造の作用の原理を説明するための図面である。 重畳型回折構造の作用の原理を説明するための図面である。 波長選択フィルタの透過率と開口数との関係を示すグラフである。 波長選択フィルタの透過率と開口数との関係を示すグラフである。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す図面である。 重畳型回折光学素子の構造を示す断面図である。 重畳型回折光学素子の構造を示す断面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の光路図である。 光ピックアップ装置の光路図である。 光ピックアップ装置の光路図である。 重畳型回折構造を説明するための図である。 回折構造を説明するための図(a)、(b)である。 光路差付与構造を説明するための図である。 光路差付与構造の機能を説明するための図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。
PU 光ピックアップ装置
L1 重畳型回折構造光学素子
L2 集光素子
HOE 重畳型回折構造
DOE 回折構造

Claims (264)

  1. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、その内部に複数の段差が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された光学機能面と、光軸方向の段差により分割された複数の輪帯から構成される回折構造が形成された光学機能面と、を有することを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  2. 前記第1波長λ1の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数をn1、前記第2波長λ2の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数をn2としたとき、以下の(1)式を満たすように、前記回折構造の段差の深さが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    n1>n2 (1)
  3. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすとともに、前記第1波長λ1の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1と、前記第2波長λ2の光束が前記回折構造に入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2の組合せが、(n1,n2)=(2,1)、(3,2)、(5,3)、(8,5)、(10,6)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (2)
    0.63<λ2<0.68 (3)
  4. 前記光学素子のうち、前記回折構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50
    〜60の範囲内の材料から形成され、前記回折構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が以下の(4)乃至(8)式のいずれかを満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    1.2μm<d1<1.7μm (4)
    2.0μm<d1<2.6μm (5)
    3.4μm<d1<4.1μm (6)
    5.6μm<d1<6.5μm (7)
    6.9μm<d1<8.1μm (8)
  5. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  6. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  7. 前記光学素子は、1つの素子から構成され、前記重畳型回折構造は、前記光学素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記光学素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  8. 前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えず、前記第2波長λ2の光束に対して光路差を与えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  9. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (2)
    0.63<λ2<0.68 (3)
  10. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、その内部に複数の段差が形成された複数の輪帯が光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された光学機能面と、光軸方向の段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成された光学機能面と、を有することを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  11. 前記光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、前記最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移していることを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  12. 前記所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであることを特徴とする請求項11に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  13. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記光学素子のうち、前記光路差付与構造が形成された光学機能面を有する素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1
    、前記光学素子の前記第2波長λ1に対する屈折率Nλ2により、それぞれ以下の(9)
    及び(10)式で表されるΦ1、Φ2が以下の(11)乃至(13)式を満たすことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。Φ1=d2(Nλ1−1)/λ1 (9)
    Φ2=d2(Nλ2−1)/λ2 (10)
    INT(Φ1)≦20 (11)
    0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (12)
    0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (13)
    但し、INT(Φi)(i=1、2)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
  14. 前記光学素子のうち、前記光路差付与構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数
    が50〜60の範囲内の材料から形成されると共に、以下の(14)及び(15)式を満たすことを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    INT(Φ1)=5p (14)
    INT(Φ2)=3p (15)
    但し、pは1以上の整数である。
  15. 前記光学素子は、1つの素子から構成され、前記重畳型回折構造は、前記光学素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記光学素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  16. 前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えず、前記第2波長λ2の光束に対して光路差を与えることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  17. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が、それぞれ以下の(2)及び(3)式を満たすことを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (2)
    0.63<λ2<0.68 (3)
  18. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ2(μm)が以下の(2)及び(3)式を満たすと共に、前記重畳型回折構造において各輪帯内に形成された前記段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記光学素子のうち、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1が、実質的に以下の(16)式を満た
    すことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (2)
    0.63<λ2<0.68 (3)
    Δ=2m・λ1/(Nλ1−1) (16)
    但し、Nは3又は4又は5のいずれか、mは1以上の整数である。
  19. 前記光学素子のうち、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数
    が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記段差の数Nと、前記輪帯のうち光軸に最も近い輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(17)乃至(19)式のいずれかであることを特徴とする請求項18に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (17)
    N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (18)
    N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (19)
  20. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する色収差を抑制する機能を有することを特徴とする対物光学系。
  21. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の軸上色収差を抑制する機能を有することを特徴とする請求項20に記載の対物光学系。
  22. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項20又は21に記載の対物光学系。
  23. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、
    前記対物光学系は、近軸におけるパワーが正であるプラスチックレンズを有し、前記回折構造は、環境温度変化に伴う、前記プラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする対物光学系。
  24. 前記対物光学系は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする請求項23に記載の対物光学系。
  25. 前記対物光学系は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる集光素子とから構成され、
    前記重畳型回折構造及び前記回折構造は、前記収差補正素子の光学機能面に形成されることを特徴とする請求項20乃至24のいずれか一項に記載の対物光学系。
  26. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする請求項20乃至25のいずれか一項に記載の対物光学系。
  27. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする請求項20乃至25のいずれか一項に記載の対物光学系。
  28. 前記重畳型回折構造は、前記第1光情報記録媒体の保護層と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする請求項20乃至27のいずれか一項に記載の対物光学系。
  29. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
    請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記光路差付与構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記対物光学系の波長分散に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする対物光学系。
  30. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる対物光学系であって、
    請求項10乃至17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を含むと共に、前記対物光学系は、近軸におけるパワーが正であるプラスチックレンズを有し、前記光路差付与構造は、環境温度変化に伴う、前記プラスチックレンズの屈折率変化に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする対物光学系。
  31. 前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1の光束に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1の光束に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することを特徴とする請求項30に記載の対物光学系。
  32. 前記光路差付与構造の輪帯のうち、最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも内側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が短くなるように光軸方向に変移しており、前記最大有効径内の所定の高さに位置する輪帯よりも外側の輪帯は、光軸から離れるに従って光路長が長くなるように光軸方向に変移していることを特徴とする請求項30又は31に記載の対物光学系。
  33. 前記所定の高さに位置する輪帯の中央部における光軸からの高さは、最大有効径の60%乃至85%の範囲内の高さであることを特徴とする請求項32に記載の対物光学系。
  34. 前記対物光学系は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる集光素子とから構成され、
    前記重畳型回折構造及び前記光路差付与構造は、前記収差補正素子の光学機能面に形成されることを特徴とする請求項29乃至33のいずれか一項に記載の対物光学系。
  35. 前記重畳型回折構造は、前記第1光情報記録媒体の保護層と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さの違いに起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする請求項29乃至34のいずれか一項に記載の対物光学系。
  36. 前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を以下の数式で定義したとき、
    Figure 2009245583
    2とB4の符号が互いに異なることを特徴とする請求項20乃至35のいずれか一項に記
    載の対物光学系。
    但し、λは入射光束の波長、λBは製造波長、hは光軸に垂直な方向の高さ(mm)、B2jは光路差関数係数、nは回折次数である。
  37. 前記対物光学系は、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる1群1枚構成のプラスチックレンズである集光素子とから構成され、
    前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)が以下の(20)式を満たすことを特徴とする請求項20乃至36のいずれか一項に記載の対物光学系。
    P1>0 (20)
  38. 前記対物光学系は、前記重畳型回折構造が形成された光学機能面を有する収差補正素子と、該収差補正素子から射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光させると共に、該収差補正素子から射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるために用いられる1群1枚構成の集光素子とから構成され、
    前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)と、前記第1波長λ1に対する前記集光素子の近軸におけるパワーP2(mm-1)との比が以下の(21)式を満たすことを特徴とする請求項20乃至37のいずれか一項に記載の対物光学系。
    |P1/P2|≦0.2 (21)
  39. 前記集光素子は、環状ポレオレフィン系のプラスチックレンズであって、該プラスチックレンズは、温度25℃での波長405nmに対する屈折率N405、及びd線におけるア
    ッベ数νd、−5℃〜70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈
    折率の変化率dN405/dTが以下の(22)乃至(24)式を満たすことを特徴とする
    請求項38に記載の対物光学系。
    1.54<N405<1.58 (22)
    50<νd<60 (23)
    −10×10-5(℃-1)<dN405/dT<−8×10-5(℃-1) (24)
  40. 前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30μm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする請求項38に記載の対物光学系。
  41. 前記集光素子は、ガラスレンズであることを特徴とする請求項38に記載の対物光学系。
  42. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    請求項1乃至19のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  43. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情
    報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    請求項20乃至41のいずれか一項に記載の対物光学系を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  44. 請求項42又は43に記載の光ピックアップ装置を搭載して、以下の(I)乃至(IV)
    のうち、少なくとも1つを実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
    (I)前記第1光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第2光情報記録媒体に対
    する情報の記録
    (II)前記第1光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第2光情報記録媒体に記録された情報の再生
    (III)前記第1光情報記録媒体に記録された情報の再生、及び、前記第2光情報記録媒
    体に対する情報の記録
    (IV)前記第1光情報記録媒体に記録された情報の再生、及び、前記第2光情報記録媒体に記録された情報の再生
  45. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  46. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2とが略一致することを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  47. 前記第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが負であることを特徴とする請求項46に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  48. 前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする請求項46又は47に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  49. 前記第1倍率m1と前記第2倍率m2が以下の(25)式を満たすことを特徴とする請求項46乃至48のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    m1=m2=0 (25)
  50. 前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3が以下の(26)式を満たすことを特徴とする請求項46乃至49のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    −0.25<m3<−0.10 (26)
  51. 前記第1光源と前記第2光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記光学素子は、前記光源モジュールから射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする請求項46乃至50のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  52. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが略一致することを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  53. 前記第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが正であることを特徴とする請求項52に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  54. 前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする請求項52又は53に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  55. 前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1が以下の(27)式を満たすことを特徴とする請求項52乃至54のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    m1=0 (27)
  56. 前記第2倍率m2と前記第3倍率m3が以下の(28)及び(29)式を満たすことを特徴とする請求項52乃至55のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。m2=m3 (28)
    −0.25<m2<−0.10 (29)
  57. 前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記光学素子は、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第3波長λ3の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする請求項52乃至56のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  58. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(30)及び(31)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39μm<λ1<0.42μm (30)
    P>3μm (31)
  59. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(32)式を満たすことを特徴とする請求項58に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    P>5μm (32)
  60. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(33)式を満たすことを特徴とする請求項58に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    P>10μm (33)
  61. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であっ
    て、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を以下の数式で定義したとき、
    Figure 2009245583
    2とB4の符号が互いに異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
    但し、λは入射光束の波長、λBは製造波長、hは光軸に垂直な方向の高さ(mm)、
    2jは光路差関数係数、nは回折次数である。
  62. 前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが互いに異なることを特徴とする請求項58乃至61のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  63. 前記第1倍率m1と、前記第2倍率m2と、前記第3倍率m3とが以下の(34)乃至(36)式を満たすことを特徴とする請求項62に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。m1=0 (34)
    −0.08<m2<−0.01 (35)
    −0.25<m3<−0.10 (36)
  64. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  65. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  66. 前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする請求項65に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  67. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(37)乃至(39)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする請求項66に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (37)
    0.63<λ2<0.68 (38)
    0.75<λ3<0.85 (39)
  68. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記回折構造の段差
    のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(40)乃至(44)のいずれか1つを満たすことを特徴とする請求項66又は67に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    1.2μm<d1<1.7μm (40)
    2.6μm<d1<3.0μm (41)
    4.4μm<d1<5.0μm (42)
    5.6μm<d1<6.5μm (43)
    6.9μm<d1<8.1μm (44)
  69. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生するフォーカス位置ずれを抑制する機能を有することを特徴とする請求項65乃至68のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  70. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生する軸上色収差を抑制する機能を有することを特徴とする請求項69に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  71. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項69又は70に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  72. 前記集光素子は、プラスチックレンズであって、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項65乃至71のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  73. 前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする請求項72に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  74. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする請求項65乃至73のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  75. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする請求項65乃至73のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  76. 前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項65乃至75のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  77. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
  78. 前記集光素子と前記収差補正素子は共にプラスチックレンズであって、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項77に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  79. 前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されていることを特徴とする請求項78に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  80. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長
    λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(45)乃至(47)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(48)乃至(51)式を満たすことを特徴とする請求項77乃至79のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    Φ1=d2(Nλ1−1)/λ1 (45)
    Φ2=d2(Nλ2−1)/λ2 (46)
    Φ3=d2(Nλ3−1)/λ3 (47)
    INT(Φ1)≦10 (48)
    0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (49)
    0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (50)
    0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (51)
    但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
  81. 前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項77乃至80のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  82. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記光学素子は、収差補正素子と、該収差補正素子から射出された光束を前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に結像させるための集光素子とから構成され、
    前記集光素子は、1群1枚構成のプラスチックレンズであって、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されており、
    前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)が以下の(52)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の光学素子。
    P1>0 (52)
  83. 前記収差補正素子はプラスチックレンズであって、前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸における屈折パワーPR(mm-1)が以下の(53)式を満たすことを特徴とする請求項82に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    PR>0 (53)
  84. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする請求項45乃至83のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  85. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ
    1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(54)乃至(56)式で表されるφ1、φ2、φ3が、が以下の(57)乃至(59)式を満たすことを特徴とする請求項84に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    φ1=Δ(Nλ1−1)(N+1)/λ1 (54)
    φ2=Δ(Nλ2−1)(N+1)/λ2 (55)
    φ3=Δ(Nλ3−1)(N+1)/λ3 (56)
    0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (57)
    0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (58)
    0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (59)
    但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
  86. 前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(60)及び(61)式を満たすことを特徴とする請求項85に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。φ1≦24 (60)
    3≦N≦11 (61)
  87. 前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする請求項84乃至86のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の光学素子。
  88. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする請求項87に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  89. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(
    μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(62)乃至(64)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光
    軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(65)乃至(68)式のいずれかであることを特徴とする請求項88に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (62)
    0.63<λ2<0.68 (63)
    0.75<λ3<0.85 (64)
    N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (65)
    N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (66)
    N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (67)
    N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (68)
  90. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする請求項87に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  91. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(
    μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(69)乃至(71)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(72)乃至(75)式のいずれかであることを特徴とする請求項90に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.39<λ1<0.42 (69)
    0.63<λ2<0.68 (70)
    0.75<λ3<0.85 (71)
    N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (72)
    N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (73)
    N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (74)
    N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (75)
  92. 前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする請求項84乃至91のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  93. 前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする請求項45乃至91のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  94. 前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学機能面に形成されていることを特徴とする請求項45乃至93のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  95. 前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(76)式を満たすことを特徴とする請求項45乃至94のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    0.8≦t1/t2≦1.2 (76)
  96. 前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含まない光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記
    第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項95に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  97. 前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項96に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  98. 前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項96又は97に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  99. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項95に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  100. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項99に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  101. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項99又は100に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  102. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項99乃至101のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  103. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えること
    で、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項99乃至102のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  104. 前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(77)式を満たすことを特徴とする請求項45乃至94のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    t1/t2≦0.4 (77)
  105. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項104に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  106. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項105に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  107. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項105又は106に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  108. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項105乃至107のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  109. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項105乃至108のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  110. 前記第1波長λ1に対する前記収差補正素子の近軸におけるパワーP1(mm-1)と、前記第1波長λ1に対する前記集光素子の近軸におけるパワーP2(mm-1)とが以下の(78)式を満たすことを特徴とする請求項45乃至109のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
    |P1/P2|≦0.2 (78)
  111. 前記収差補正素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項45乃至110のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  112. 前記集光素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  113. 前記集光素子は、ガラスレンズであることを特徴とする請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  114. 前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30nm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする請求項45乃至111のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  115. 前記集光素子は、前記第1波長λ1と前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1とに対して、マレシャル限界以下となるように収差補正されていることを特徴とする請求項45乃至114のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  116. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
    前記対物光学系として、請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光学素子を使用することを特徴とする光ピックアップ装置。
  117. 請求項116に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
  118. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子と
    の間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  119. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、前記第2波長λ2に対する該重畳型回折構造の近軸における回折パワーが負であることを特徴とする請求項118に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  120. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする請求項118又は119に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  121. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該第2波長λ2に対する前記重畳型回折構造の近軸における回折パワーが正であることを特徴とする請求項118に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  122. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であって、該重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする請求項118又は121に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  123. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(79)及び(80)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    0.39μm<λ1<0.42μm (79)
    P>3μm (80)
  124. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(81)式を満たすことを特徴とする請求項123に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    P>5μm (81)
  125. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(82)式を満たすことを特徴とする請求項124に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    P>10μm (82)
  126. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を以下の数式で定義したとき、
    Figure 2009245583
    2とB4の符号が互いに異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    但し、λは入射光束の波長、λBは製造波長、hは光軸に垂直な方向の高さ(mm)、
    2jは光路差関数係数、nは回折次数である。
  127. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連
    続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  128. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも一つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  129. 前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする請求項128に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  130. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(83)乃至(85)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2,)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする請求項129に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    0.39<λ1<0.42 (83)
    0.63<λ2<0.68 (84)
    0.75<λ3<0.85 (85)
  131. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記回折構造の段差
    のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(86)乃至(90)のいずれか1つを満たすことを特徴とする請求項129又は130に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    1.2μm<d1<1.7μm (86)
    2.6μm<d1<3.0μm (87)
    4.4μm<d1<5.0μm (88)
    5.6μm<d1<6.5μm (89)
    6.9μm<d1<8.1μm (90)
  132. 前記回折構造の、前記第1波長λ1に対する近軸における回折パワーPD0(mm-1)、前記回折構造の、前記第1波長λ1よりも10nm長い波長に対する近軸における回折パワーPD1(mm-1)、前記回折構造の、前記第1波長λ1よりも10nm短い波長に対する近軸における回折パワーPD2(mm-1)が以下の(91)式を満たすことを特徴とする請求項128乃至131のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。PD2<PD0<PD1 (91)
  133. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする請求項128乃至132のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  134. 前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする請求項133に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  135. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、階段形状であることを特徴とする請求項128乃至134のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  136. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする請求項128乃至134のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  137. 前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項128乃至136のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  138. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の収差補正素子であって、
    前記収差補正素子は、前記第1光源乃至前記第3光源と、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子との間の光路中に配置され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  139. 前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有する
    ことを特徴とする請求項138に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  140. 前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されていることを特徴とする請求項139に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  141. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長
    λ1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(92)乃至(94)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(95)乃至(98)式を満たすことを特徴とする請求項138乃至140のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    Φ1=d2・(Nλ1−1)/λ1 (92)
    Φ2=d2・(Nλ2−1)/λ2 (93)
    Φ3=d2・(Nλ3−1)/λ3 (94)
    INT(Φ1)≦10 (95)
    0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (96)
    0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (97)
    0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (98)
    但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
  142. 前記重畳型回折構造は、前記収差補正素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記収差補正素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項138乃至141のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  143. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする請求項118乃至142のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  144. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記収差補正素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記収差補正素子の前記第2波長λ
    1に対する屈折率Nλ2、前記収差補正素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(99)乃至(101)式で表されるφ1、φ2、φ3が、が以下の(102)乃至(104)式を満たすことを特徴とする請求項143に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    φ1=Δ・(Nλ1−1)・(N+1)/λ1 (99)
    φ2=Δ・(Nλ2−1)・(N+1)/λ2 (100)
    φ3=Δ・(Nλ3−1)・(N+1)/λ3 (101)
    0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (102)
    0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (103)
    0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (104)
    但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
  145. 前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(105)及び(106)式を満たすことを特徴とする請求項144に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    φ1≦24 (105)
    3≦N≦11 (106)
  146. 前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする請求項143乃至145のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  147. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする請求項146に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  148. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(
    μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(107)乃至(109)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(110)乃至(113)式のいずれかであることを特徴とする請求項147に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    0.39<λ1<0.42 (107)
    0.63<λ2<0.68 (108)
    0.75<λ3<0.85 (109)
    N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (110)
    N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (111)
    N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (112)
    N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (113)
  149. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする請求項146に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  150. 前記収差補正素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(
    μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(114)乃至(116)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(117)乃至(120)式のいずれかであることを特徴とする請求項149に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
    0.39<λ1<0.42 (114)
    0.63<λ2<0.68 (115)
    0.75<λ3<0.85 (116)
    N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (117)
    N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (118)
    N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (119)
    N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (120)
  151. 前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする請求項143乃至150のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  152. 前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする請求項118乃至150のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  153. 前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学機能面に形成されていることを特徴とする請求項118乃至152のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  154. 前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項118乃至153のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  155. 前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項118乃至154のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  156. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項118乃至153のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  157. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項118乃至153、156のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  158. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射
    した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項118乃至153、156、157のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  159. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項118乃至153、156乃至158のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  160. 前記収差補正素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項118乃至159のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の収差補正素子。
  161. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1光源から射出される前記第1波長λ1乃至前記第3光源から射出される前記第3波長λ3を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子を有し、
    前記第1光源乃至前記第3光源と、前記集光素子との間の光路中に請求項118乃至160のいずれか一項に記載の収差補正素子を配置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
  162. 請求項161に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
  163. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  164. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2とが略一致することを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  165. 前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正不足の球面収差を付加することを特徴とする請求項164に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  166. 前記第1倍率m1と前記第2倍率m2が以下の(121)式を満たすことを特徴とする請求項164又は165に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    m1=m2=0 (121)
  167. 前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3が以下の(122)式を満たすことを特徴とする請求項164乃至166のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    −0.25<m3<−0.10 (122)
  168. 前記第1光源と前記第2光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記集光素子は、前記光源モジュールから射出された前記第1波長λ1の光束を前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする請求項164乃至167のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  169. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが略一致することを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  170. 前記重畳型回折構造は、前記第2波長λ2に対して補正過剰の球面収差を付加することを特徴とする請求項169に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  171. 前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1が以下の(123)式を満たすことを特徴とする請求項169又は170に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    m1=0 (123)
  172. 前記第2倍率m2と前記第3倍率m3が以下の(124)及び(125)式を満たすことを特徴とする請求項169乃至171のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    m2=m3 (124)
    −0.25<m2<−0.10 (125)
  173. 前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであり、前記集光素子は、前記光源モジュールから射出された前記第2波長λ2の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記光源モジュールから射出された前記第3波長λ3の光束を前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする請求項169乃至172のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  174. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記第1光束λ1と、前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pとが以下の(126)及び(127)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
    0.39μm<λ1<0.42μm (126)
    P>3μm (127)
  175. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(128)式を満たすことを特徴とする請求項174に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    P>5μm (128)
  176. 前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差のうち、隣接する
    段差間の光軸に垂直な方向の間隔の最小値Pが以下の(129)式を満たすことを特徴とする請求項175に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    P>10μm (129)
  177. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造により透過波面に付加される光路差を以下の数式で定義したとき、
    Figure 2009245583
    2とB4の符号が互いに異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
    但し、λは入射光束の波長、λBは製造波長、hは光軸に垂直な方向の高さ(mm)、
    2jは光路差関数係数、nは回折次数である。
  178. 前記第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第1倍率m1と、前記第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第2倍率m2と、前記第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う場合の第3倍率m3とが互いに異なることを特徴とする請求項174乃至177のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  179. 前記第1倍率m1と、前記第2倍率m2と、前記第3倍率m3とが以下の(130)乃至(132)式を満たすことを特徴とする請求項178に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    m1=0 (130)
    −0.08<m2<−0.01 (131)
    −0.25<m3<−0.10 (132)
  180. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置
    に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも2つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)のいずれかが、光学機能領域毎に異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  181. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記収差補正素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  182. 前記回折構造の段差の深さは、前記第1波長λ1の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n1に対して、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n2と、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折次数n3とが共に、より低次数となるように設計されていることを特徴とする請求項181に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  183. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(133)乃至(135)式を満たすとともに、前記回折次数n1と前記回折次数n2と前記回折次数n3の組合せが、(n1,n2、n3)=(2,1,1)、(4,2,2,)、(6,4,3)、(8,5,4)、(10,6,5)のいずれかであることを特徴とする請求項182に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    0.39<λ1<0.42 (133)
    0.63<λ2<0.68 (134)
    0.75<λ3<0.85 (135)
  184. 前記集光素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記回折構造の段差のう
    ち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd1が次式(136)乃至(140)のいずれか1つを満たすことを特徴とする請求項182又は183に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    1.2μm<d1<1.7μm (136)
    2.6μm<d1<3.0μm (137)
    4.4μm<d1<5.0μm (138)
    5.6μm<d1<6.5μm (139)
    6.9μm<d1<8.1μm (140)
  185. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が±10nmの範囲内で変化した際に、前記集光素子の色収差に起因して発生するフォーカス位置ずれを抑制する機能を有することを特徴とする請求項181乃至184のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  186. 前記回折構造の、前第1波長λ1に対する近軸における回折パワーPD0(mm-1)、前記回折構造の、前第1波長λ1よりも10nm長い波長に対する近軸における回折パワーPD1(mm-1)、前記回折構造の、前第1波長λ1よりも10nm短い波長に対する近軸における回折パワーPD2(mm-1)が以下の(141)式を満たすことを特徴とする請求項185に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    PD2<PD0<PD1 (141)
  187. 前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することを特徴とする請求項185又は186に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  188. 前記集光素子は、プラスチックレンズであって、前記回折構造は、前記第1波長λ1が長波長側に変化した場合には、球面収差が補正不足方向に変化し、前記第1波長λ1が短波長側に変化した場合には、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項181乃至187のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  189. 前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を含む中心光学機能領域と、該中心光学機能領域の周囲を囲む周辺光学機能領域とに分割され、前記周辺光学機能領域にのみ、前記回折構造が形成されていることを特徴とする請求項188に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  190. 前記回折構造の光軸を含む断面形状は、鋸歯形状であることを特徴とする請求項181乃至189のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  191. 前記重畳型回折構造は、前記集光素子の一方の光学機能面に形成され、前記回折構造は、前記集光素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項181乃至190のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  192. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置用の集光素子であって、
    前記集光素子は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対向する位置に配置され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面は、光軸を中心とした
    複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    前記集光素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面には、光軸を含む中心領域と該中心領域の外側に段差により分割された複数の輪帯から構成される光路差付与構造が形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置用の集光素子。
  193. 前記集光素子はプラスチックレンズであって、前記光路差付与構造は、環境温度が上昇した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正不足方向に変化し、環境温度が低下した場合には、前記第1波長λ1に対して付加する球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の温度依存性を有することで、環境温度変化に伴う前記集光素子の屈折率変化により発生する球面収差変化を抑制する機能を有することを特徴とする請求項192に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  194. 前記光路差付与構造において、前記中心領域の外側に隣接する前記輪帯は、前記中心領域に対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径位置における前記輪帯は、その内側に隣接する前記輪帯に対して光路長が長くなるように光軸方向に変移して形成され、最大有効径の75%の位置における前記輪帯は、その内側に隣接する輪帯とその外側に隣接する輪帯とに対して光路長が短くなるように光軸方向に変移して形成されていることを特徴とする請求項193に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  195. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光路差付与構造の段差のうち光軸に最も近い段差の光軸方向の深さd2(μm)、前記集光素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記集光素子の前記第2波長λ1に対
    する屈折率Nλ2、前記集光素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(1
    42)乃至(144)式で表されるΦ1、Φ2、Φ3が、が以下の(145)乃至(148)式を満たすことを特徴とする請求項192乃至194のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    Φ1=d2・(Nλ1−1)/λ1 (142)
    Φ2=d2・(Nλ2−1)/λ2 (143)
    Φ3=d2・(Nλ3−1)/λ3 (144)
    INT(Φ1)≦10 (145)
    0≦|INT(Φ1)−Φ1|≦0.4 (146)
    0≦|INT(Φ2)−Φ2|≦0.4 (147)
    0≦|INT(Φ3)−Φ3|≦0.4 (148)
    但し、INT(Φi)(i=1、2、3)は、Φiを四捨五入して得られる整数である。
  196. 前記重畳型回折構造は、前記集光素子の一方の光学機能面に形成され、前記光路差付与構造は、前記集光素子のもう一方の光学機能面に形成されたことを特徴とする請求項192乃至195のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  197. 前記重畳型回折構造が形成された光学機能領域は、光軸を含む光学機能領域であることを特徴とする請求項163乃至196のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  198. 前記第1波長λ1(μm)、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数N、前記不連続な段差の光軸方向の深さΔ(μm)、前記集光
    素子の前記第1波長λ1に対する屈折率Nλ1、前記集光素子の前記第2波長λ2に対す
    る屈折率Nλ2、前記集光素子の前記第3波長λ3に対する屈折率Nλ3により、それぞれ以下の(149)乃至(151)式で表されるφ1、φ2、φ3が、以下の(152)乃至(154)式を満たすことを特徴とする請求項197に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    φ1=Δ・(Nλ1−1)・(N−1)/λ1 (149)
    φ2=Δ・(Nλ2−1)・(N−1)/λ2 (150)
    φ3=Δ・(Nλ3−1)・(N−1)/λ3 (151)
    0≦|INT(φ1)−φ1|≦0.4 (152)
    0≦|INT(φ2)−φ2|≦0.4 (153)
    0≦|INT(φ3)−φ3|≦0.4 (154)
    但し、INT(φi)(i=1、2、3)は、φiを四捨五入して得られる整数である。
  199. 前記φ1、及び各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nが以下の(155)及び(156)式を満たすことを特徴とする請求項198に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    φ1≦24 (155)
    3≦N≦11 (156)
  200. 前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して等価な第1光学的作用を与え、前記第2波長λ2の光束に対しては、前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする請求項197乃至199のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光ピックアップ装置用の集光素子。
  201. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を1次方向に回折させる1次回折であることを特徴とする請求項200に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  202. 前記集光素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(μm
    )、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(157)乃至(159)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)の組合せが、それぞれ以下の(160)乃至(163)式のいずれかであることを特徴とする請求項201に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    0.39<λ1<0.42 (157)
    0.63<λ2<0.68 (158)
    0.75<λ3<0.85 (159)
    N=3のとき、4.1≦D≦4.8 (160)
    N=4のとき、5.4≦D≦6.4 (161)
    N=5のとき、7.0≦D≦7.9 (162)
    N=6のとき、8.4≦D≦9.0 (163)
  203. 前記第1光学的作用は、前記第1波長λ1の光束と前記第3波長λ3の光束とに対して、隣接する輪帯間で実質的に光路差を与えない0次回折であり、前記第2光学的作用は、前記第2波長λ2の光束を2次方向に回折させる2次回折であることを特徴とする請求項200に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  204. 前記集光素子は、前記第1波長λ1における屈折率が1.5〜1.6の範囲内であり、且つd線でのアッベ数が50〜60の範囲内の材料から形成され、前記第1波長λ1(μm
    )、前記第2波長λ3(μm)、前記第3波長λ3(μm)が、それぞれ以下の(164)乃至(166)式を満たすとともに、前記光軸を含む光学機能領域に形成された前記重畳型回折構造において、各輪帯内に形成された前記不連続な段差の数Nと、前記輪帯の光軸方向の深さD(μm)が、それぞれ以下の(167)乃至(170)式のいずれかであることを特徴とする請求項203に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    0.39<λ1<0.42 (164)
    0.63<λ2<0.68 (165)
    0.75<λ3<0.85 (166)
    N=8 のとき、11.3≦D≦12.7 (167)
    N=9 のとき、12.8≦D≦14.1 (168)
    N=10のとき、14.2≦D≦15.6 (169)
    N=11のとき、15.7≦D≦17.2 (170)
  205. 前記複数の光学機能領域の全てに、前記重畳型回折構造が形成されていることを特徴とする請求項197乃至204のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  206. 前記複数の光学機能領域のうち、少なくとも1つの光学機能領域には、前記重畳型回折構造が形成されていないことを特徴とする請求項163乃至204のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  207. 前記重畳型回折構造が、前記収差補正素子の複数の光学機能面に形成されていることを特徴とする請求項163乃至206のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  208. 前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(171)式を満たすことを特徴とする請求項163乃至207のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    0.8≦t1/t2≦1.2 (171)
  209. 前記複数の光学機能領域は、2つの光学機能領域であり、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記2つの光学機能領域のうち、光軸を含まない光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項208に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  210. 前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項209に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  211. 前記2つの光学機能領域のうち、前記光軸を含まない光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項209又は210に記載の光ピックアップ装置
    用の集光素子。
  212. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項208に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  213. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項212に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  214. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項212又は213に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  215. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項212乃至214のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  216. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項212乃至215のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  217. 前記第1光情報記録媒体の保護層の厚さt1と、前記第2光情報記録媒体の保護層の厚さt2とが以下の(172)式を満たすことを特徴とする請求項163乃至207のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
    t1/t2≦0.4 (172)
  218. 前記複数の光学機能領域は、3つの光学機能領域であり、前記3つの光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束乃至前記前記第3波長λ3の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面
    上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、前期光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束及び前記前記第2波長λ2の光束は、それぞれ、前記第1光情報記録媒体及び前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成し、前記3つの光学機能領域のうち、最も外側の光学機能領域に入射した前記第1波長λ1の光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成することを特徴とする請求項217に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  219. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項218に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  220. 前記3つの光学機能領域のうち、前記光軸を含む光学機能領域の外側に隣接する光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束とに対して等価な光学的作用を与え、前記第3波長λ3の光束に対しては、前記光学的作用とは異なる光学的作用を与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第3波長λ3の光束を、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項218又は219に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  221. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造に、前記第2波長λ2の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η2が40%以下であり、且つ前記第3波長λ3の光束が入射した場合に発生する回折光のうち最大の回折効率を有する回折光の回折効率η3が40%以下であることを特徴とする請求項218乃至220のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  222. 前記3つの光学機能領域のうち、前記最も外側の光学機能領域には前記重畳型回折構造が形成されており、該重畳型回折構造は、前記第1波長λ1の光束に対して与える光学的作用とは異なる光学的作用を、前記第2波長λ2の光束と前記第3波長λ3とに与えることで、該重畳型回折構造を透過した前記第2波長λ2及び前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第2光情報記録媒体及び前記第3光情報記録媒体の情報記録面上へのスポット形成に寄与しないフレア成分とすることを特徴とする請求項218乃至221のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  223. 前記集光素子は、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項163乃至222のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  224. 前記集光素子は、ガラス転移点Tgが400℃以下であるガラスレンズであることを特徴
    とする請求項163乃至222のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  225. 前記集光素子は、プラスチック材料中に、直径が30nm以下の粒子を分散させた材料を用いて成形されたことを特徴とする請求項163乃至223のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の集光素子。
  226. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長
    λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
    前記対物光学系として、請求項163乃至225のいずれか一項に記載の集光素子を使用することを特徴とする光ピックアップ装置。
  227. 請求項226に記載の光ピックアップ装置を搭載して、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の記録、及び、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
  228. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系と、絞りと、前記対物光学系と前記絞りとを光軸に垂直な方向に一体に駆動させる駆動装置を有し、
    前記対物光学系は、その光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面が、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    更に、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束のうち、少なくとも1つの光束が前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する構成を有し、
    前記第1光源乃至前記第3光源のうち、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束を射出する光源のうち少なくとも1つの光源と、前記対物光学系との間の光路中に、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動された場合に発生するコマ収差を低減させる機能を有するコマ収差補正素子を配置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
  229. 前記コマ収差補正素子は、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束が通過する有効径内では、球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、補正過剰方向の球面収差を有することを特徴とする請求項228に記載の光ピックアップ装置。
  230. 前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、発散光束であることを特徴とする請求項229に記載の光ピックアップ装置。
  231. 前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第3波長λ3の光束であることを特徴とする請求項229又は230に記載の光ピックアップ装置。
  232. 前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第2波長λ2の光束であることを特徴とする請求項229乃至231のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
  233. 前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記光束は、前記第2波長λ2の光束と、前記第3波長λ3の光束であることを特徴とする請求項229乃至232のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
  234. 前記コマ収差補正素子は、前記第2波長λ2の光束と、前記第3波長λ3の光束の共通光路中に配置され、
    前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記第2波長λ2が通過する有効径内では、前記波長λ2の球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、前記波長λ2の球面収差が補正過剰方向とされ、且つ、前記対物光学系が前記駆動装置により光軸に垂直な方向に駆動されない場合に、前記対物光学系に対して非平行の状態で入射する前記第3波長λ3が通過する有効径内では、前記波長λ3の球面収差が回折限界以下となるように補正され、前記有効径の外側では、前記波長λ3の球面収差が補正過剰方向とされたことを特徴とする請求項233に記載の光ピックアップ装置。
  235. 前記コマ収差補正素子の少なくとも1つの光学機能面には、光軸を中心とした段差により分割された複数の輪帯からなる回折構造が形成されていることを特徴とする請求項233又は234に記載の光ピックアップ装置。
  236. 前記第2光源と前記第3光源はパッケージ化された光源モジュールであることを特徴とする請求項233乃至235のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
  237. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための対物光学系を有し、
    前記対物光学系は、その光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面が、光軸を中心とした複数の輪帯状の光学機能領域に分割され、
    該複数の輪帯状の光学機能領域のうち、光軸を含む光学機能領域には、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成され、
    更に、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束のうち、少なくとも2つの光束が前記対物光学系に対して互いに異なる倍率で入射する構成を有し、
    前記第1光源乃至前記第3光源のうち、前記対物光学系に対して互いに異なる倍率で入射する前記少なくとも2つの光束を射出する光源は、パッケージ化された光源モジュールであって、
    少なくとも1つの光学機能面に、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造である重畳型回折構造が形成された、前記光源モジュールから射出された光束のうち、少なくとも1つの光束の発散角を変換して前記対物光学系に導くための発散角変換素子を、前記光源モジュールと、前記対物光学系との間の光路中に配置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
  238. 前記発散角変換素子に形成された前記重畳型回折構造は、前記光源モジュールから射出された光束のうち、ある1つの光束に対しては第1光学的作用を与え、他の波長の光束に対しては前記第1光学的作用とは異なる第2光学的作用を与えることを特徴とする請求項237に記載の光ピックアップ装置。
  239. 前記光源モジュールから射出される前記光束は2つの光束であって、該2つの光束は、前記第1波長λ1の光束と前記第2波長λ2の光束であることを特徴とする請求項238に記載の光ピックアップ装置。
  240. 前記光源モジュールから射出される前記光束は2つの光束であって、該2つの光束は、前記第2波長λ2の光束と前記第2波長λ3の光束であることを特徴とする請求項238に記載の光ピックアップ装置。
  241. 前記光学素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  242. 前記光学素子の光学機能面のうち、少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む第1の周辺の光学機能領域と、更にその周囲を囲む第2の周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該第1の周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させ、該第2の周辺の光学機能領域において、前記第2波長λ2の光束及び前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする請求項45乃至115のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  243. 前記波長選択フィルタは、前記収差補正素子の少なくとも1つの光学機能面上に形成されたことを特徴とする請求項241又は242に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  244. 前記波長選択フィルタは、前記集光素子の少なくとも1つの光学機能面上に形成されたことを特徴とする請求項241又は242に記載の光ピックアップ装置用の光学素子。
  245. 前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系の光束入射面側に配置された開口制限素子を有し、前記開口制限素子の少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする請求項116に記載の光ピックアップ装置。
  246. 前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系の光束入射面側に配置された開口制限素子を
    有し、前記開口制限素子の少なくとも1つの光学機能面上には波長選択フィルタが形成され、前記波長選択フィルタが形成された光学機能面は、光軸を含む光学機能領域と、その周囲を囲む第1の周辺の光学機能領域と、更にその周囲を囲む第2の周辺の光学機能領域とに分割され、前記波長選択フィルタは、該光軸を含む光学機能領域において、前記第1波長λ1の光束乃至乃至前記第3波長λ3の光束を透過させ、該第1の周辺の光学機能領域において、前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束を透過させ、該第2の周辺の光学機能領域において、前記第2波長λ2の光束及び前記第3波長λ3の光束を遮断或いは反射し、前記第1波長λ1の光束を透過させるような透過率の波長選択性を有することを特徴とする請求項116に記載の光ピックアップ装置。
  247. 前記光ピックアップ装置は、前記対物光学系を少なくとも光軸に垂直な方向に駆動させるための駆動装置を有し、前記開口制限素子は、前記駆動装置により、前記対物光学系と一体となって光軸に垂直な方向に駆動されることを特徴とする請求項245又は246に記載の光ピックアップ装置。
  248. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップであって、
    前記光ピックアップ装置は、その内部に所定数の不連続な段差が形成された複数の輪帯が連続的に光軸を中心として配された構造であって、前記第1光束及び前記第3光束には実質的に位相差を与えず、前記第2光束にのみ位相差を与える重畳型回折構造が形成された光学面を少なくとも1つ有する回折レンズと、前記回折レンズを通過した前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための集光素子とを有し、
    前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第1波長λ1の光束に対する倍率をm1とし、前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第2波長λ2の光束に対する倍率をm2とし、前記回折レンズと前記集光素子とから構成される光学系の前記第3波長λ3の光束に対する倍率をm3としたとき、以下の(173)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
    m1≧m2>m3 (173)
  249. 以下の(174)式を満たすことを特徴とする請求項248に記載の光ピックアップ装置。
    m1=m2 (174)
  250. 以下の(175)式及び(176)式を満たすことを特徴とする請求項248に記載の光ピックアップ装置。
    m1=m2=0 (175)
    −0.25<m3<−0.10 (176)
  251. 第1光源から射出される第1波長λ1の光束を用いて厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2光源から射出される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第3光源から射出される第3波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    前記光ピックアップ装置は、前記第1波長λ1乃至前記第3波長λ3の光束を、それぞれ、前記第1情報記録媒体乃至前記第3情報記録媒体の情報記録面上に集光させるための集光素子と、位相構造を有する収差補正素子と、球面収差補正手段とを有し、
    前記収差補正素子は、前記第1波長λ1と前記第2波長λ2の差に起因して前記集光素子で発生する球面収差及び/又は前記t1と前記t2の差に起因する球面収差を補正する機能を有し、
    前記球面収差補正手段は、前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正する機能を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  252. 前記位相構造は、重畳型回折構造、回折構造、光路差付与構造の何れかであることを特徴とする請求項251に記載の光ピックアップ装置。
  253. 前記位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の整数倍であることを特徴とする請求項252に記載の光ピックアップ装置。
  254. 前記位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の偶数倍であることを特徴とする請求項253に記載の光ピックアップ装置。
  255. 前記光ピックアップ装置は、回折構造、光路差付与構造の何れかである第2の位相構造を有する第2の収差補正素子を更に有し、前記第2の位相構造により前記第1光束に付加される光路差は、前記第1波長λ1の奇数倍であることを特徴とする請求254に記載の光ピックアップ装置。
  256. 前記集光素子と前記収差補正素子とから構成される光学系の前記第1波長λ1に対する倍率m1と前記第2波長λ2に対する倍率m2とが略一致することを特徴とする請求項251乃至255の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  257. 前記集光素子は、前記第1波長λ1と前記厚さt1の保護層とに対して球面収差補正が最適化されていることを特徴とする請求項251乃至256の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  258. 前記集光素子と前記収差補正素子は、互いの相対的な位置関係が変化しないように保持されることを特徴とする請求項251乃至257の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  259. 前記球面収差補正手段は、電圧の印加により透過する光束に対して位相変化を生じせしめる液晶層と、前記液晶素子に電圧を印加するための互いに対向する電極層とから構成される液晶位相制御素子であって、前記液晶位相制御素子は、前記第3光束の位相制御を行うことで前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正することを特徴とする請求項251乃至258の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  260. 前記液晶位相制御素子は、前記第3光束の位相制御のみを選択的に行うことを特徴とする請求項259に記載の光ピックアップ装置。
  261. 前記球面収差補正手段は、アクチュエータと、前記アクチュエータにより少なくとも光軸方向に変移可能な可動レンズ群とから構成される可動レンズユニットであって、前記可動レンズユニットは、前記集光素子の倍率を変化させることで、前記厚さt1と前記厚さt3の差に起因して発生する球面収差を補正することを特徴とする請求項251乃至258の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  262. 前記集光素子の前記第3波長λ3に対する倍率m3が、以下の(177)式を満たすことを特徴とする請求項261に記載の光ピックアップ装置。
    −0.15<m3<−0.02 (177)
  263. 前記第1光源乃至前記第3光源のうち、少なくとも2つの光源は一体化されて成ることを特徴とする請求項251乃至262の何れか一項に記載の光ピックアップ装置。
  264. 前記第1光源乃至前記第3光源の全てが一体化されて成ることを特徴とする請求項263に記載の光ピックアップ装置。
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