JP2009244202A - 角速度センサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】欠陥が存在する圧電層を有する角速度センサが存在しても、ウエハ上の他の良品の角速度センサの圧電層に所望の分極処理を施すことが可能な角速度センサの製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る角速度センサの製造方法は、下部用分極配線65及び下部用検査パッド70を形成する工程と、上部用連結配線66、上部用検査パッド81、上部用接続パッド82及び上部用接続配線68とを形成する工程と、下部用検査パッド70及び上部用検査パッド81を用いて抵抗検査を行う工程と、抵抗検査工程にて所定の抵抗値が検出された一以上の角速度センサ1に対応する上部用検査パッド81及び上部用接続パッド82を電気的に接続する工程と、上部用接続配線68及び下部用分極配線65を介して電圧を印加することにより圧電層の分極処理を行う工程とを具備する。
【選択図】 図18

Description

本発明は、例えば、ビデオカメラの手振れ検知やバーチャルリアリティ装置にける動作検知、カーナビゲーションシステムにおける方向検知などに用いられる角速度センサの製造方法に関する。
従来より、民生用の角速度センサとしては、振動子を所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子などで検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動型のジャイロセンサが広く用いられている。
振動型ジャイロセンサは、圧電層を介して上部電極層及び下部電極層がそれぞれ配置された構造となっている。振動型ジャイロセンサを製造する場合、1枚のウエハに複数、例えば2500の振動型ジャイロセンサのうち同列の複数のジャイロセンサ分をまとめて一括して電圧印加して分極した後、ウエハを切断して個々のジャイロセンサに分離する(例えば特許文献1参照)。
特開2007−43054号公報(段落番号[0089])
しかしながら、上述のような分極処理工程時において、ウエハに設けられる圧電層に欠陥が存在し、その欠陥箇所で上部電極層と下部電極層との間で短絡不良が生じる場合、その箇所で印加電圧の電圧降下が生じたり、不良部でのジュール熱による異常発熱によって、同列で分極処理される複数の圧電層それぞれに安定して所望の特性を持たせるよう分極処理を行うことができない。このため、圧電層に欠陥のないジャイロセンサも結果的に不良品となってしまうという問題があった。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、ウエハ上に、欠陥が存在する圧電層を有する角速度センサが存在しても、ウエハ上の他の良品の角速度センサの圧電層に所望の分極処理を施すことが可能な角速度センサの製造方法を提供することを課題とする。
以上の課題を解決するにあたり、本発明の角速度センサの製造方法は、基板上に、複数の角速度センサ各々に対応する下部電極層を形成し、前記下部電極層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する圧電層を形成し、前記圧電層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する上部電極層を形成し、前記複数の角速度センサ各々の前記下部電極層を一括して電気的に接続する下部用分極配線及び該下部用分極配線と電気的に接続する前記一以上の角速度センサ毎に設けられた下部用検査パッドを形成し、一以上の前記角速度センサ毎に該角速度センサの前記上部電極層と電気的に接続する上部用連結配線と、該上部用連結配線と電気的に接続する上部用検査パッドと、該上部用検査パッドと離間して配置される上部用接続パッド及び該上部用接続パッドと電気的に接続する上部用接続配線とを形成し、前記下部用検査パッド及び上部用検査パッドを用いて抵抗検査を行い、前記抵抗検査工程にて所定の抵抗値が検出された前記一以上の角速度センサに対応する前記上部用検査パッド及び前記上部用接続パッドを電気的に接続し、前記上部用接続配線及び前記下部用分極配線を介して電圧を印加することにより前記圧電層の分極処理を行う。
このように下部用分極配線、下部用検査パッド、一以上の角速度センサ毎に上部用連結配線、上部用検査パッド、上部用接続パッド及び上部用接続配線とを形成することにより、一以上の角速度センサ毎に抵抗検査を行うことができる。そして抵抗検査によって良品と判断された一以上の角速度センサに対応する上部用接続パッド及び上部用検査パッドを電気的に接続することにより、抵抗検査で不良品と判断された角速度センサの上部用連結配線と、良品と判断された角速度センサの上部用連結配線とは電気的に接続されない状態となる。このような状態で分極処理が施されることにより、不良品と判断された角速度センサに対応する圧電層の欠陥によって上部電極層と下部電極層との間で短絡が存在しても、良品の角速度センサの上部用連結配線と不良品の角速度センサの上部用連結配線とは非接続状態にあるため、良品と判断された角速度センサの圧電層にかかる電界を一定のものをすることができる。このように、分極処理工程前に抵抗検査を行い、良品の角速度センサのみが分極処理されるので、1枚の基板から所望の特性を有する圧電層を有する多数の角速度センサを安定して一括して得ることができる。
また、前記複数の角速度センサは、前記基板上に複数の角速度センサからなる角速度センサ群を複数形成しており、前記上部用連結配線は前記角速度センサ群毎に形成される。
このように複数の角速度センサからなる角速度センサ群毎に抵抗検査を行うことにより、角速度センサを1つずつ抵抗検査するよりも検査に要する時間を短縮することができ、効率が良い。
本発明の他の観点に係る角速度センサの製造方法は、基板上に、複数の角速度センサ各々に対応する下部電極層を形成し、前記下部電極層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する圧電層を形成し、前記圧電層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する上部電極層を形成し、一以上の前記角速度センサ毎に該角速度センサの前記下部電極層と電気的に接続する下部用連結配線と、該下部用連結配線と電気的に接続する下部用検査パッドと、該下部用検査パッドと離間して配置される下部用接続パッド及び該下部用接続パッドと電気的に接続する下部用接続配線とを形成し、前記複数の角度センサ各々の前記上部電極層を一括して電気的に接続する上部用分極配線及び該上部用分極配線と電気的に接続する前記一以上の角速度センサ毎に設けられた上部用検査パッドを形成し、前記下部用検査パッド及び前記上部用検査パッドを用いて抵抗検査を行い、前記抵抗検査工程にて所定の抵抗値が検出された前記一以上の角速度センサに対応する前記下部用検査パッド及び前記下部用接続パッドを電気的に接続し、前記下部用接続配線及び前記上部用分極配線を介して電圧を印加することにより前記圧電層の分極処理を行う。
このように上部用分極配線、上部用検査パッド、一以上の角速度センサ毎に下部用連結配線、下部用検査パッド、下部用接続パッド及び下部用接続配線とを形成することにより、一以上の角速度センサ毎に抵抗検査を行うことができる。そして、抵抗検査によって良品と判断された一以上の角速度センサに対応する下部用接続パッド及び下部用検査パッドを電気的に接続することにより、抵抗検査で不良品と判断された角速度センサの下部用連結配線と、良品と判断された角速度センサの下部用連結配線とは電気的に接続されない状態となる。このような状態で分極処理が施されることにより、不良品と判断された角速度センサに対応する圧電層の欠陥によって上部電極層と下部電極層との間で短絡が存在しても、良品の角速度センサの下部用連結配線と不良品の角速度センサの下部用連結配線とは非接続状態にあるため、良品と判断された角速度センサの圧電層にかかる電界を一定のものをすることができる。このように、分極処理工程前に抵抗検査を行い、良品の角速度センサのみが分極処理されるので、1枚の基板から所望の特性を有する圧電層を有する多数の角速度センサを安定して一括して得ることができる。
以上述べたように、本発明によれば、1枚の基板から所望の特性を有する圧電層を有する多数の角速度センサを安定して一括して得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。また、以下の図面においては各構成をわかりやすくするために、実際の構造と比較して、一部の構造の図示を省略したり、各構造における縮尺等を異ならせている。
図1(a)は本発明の実施形態による角速度センサ1の概略構成を示す底面図、図1(b)は該角速度センサ1の概略構成を示す側面図である。図1(a)においては、単結晶シリコン層、検出電極、駆動電極、下部電極膜、リード配線、外部接続端子、金バンプを図示し、その他の構成は図示を省略している。また、検出電極及び下地電極膜の平面形状は、簡略化して図示しており、後述する角速度センサ1の製造方法で説明するそれらの形状とは異なっている。図1(b)においては、単結晶Si層及びバンプのみを図示し、その他の構成は図示を省略している。
図2は、図1における線2−2線方向断面図である。
図3は、角速度センサ1の駆動検出回路の構成を示すブロック図である。図3において、角速度センサ1は、アーム部12A〜12Cと基部11の一部である支持部22のみ図示している。
図4は、角速度センサ1が実装基板160に実装された状態の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の角速度センサ1は、基部11と、この基部11から一体的にほぼ同一方向(y軸方向)へ延出された断面四角形状の3本のアーム部12A、12B、12Cとを備えている。アーム部12A〜12Cは一の方向(x軸方向)に沿って間隙をおいて配置される。基部11及びアーム部12A〜12Cは、単結晶Si層61を有している。基部11及びアーム部12A〜12Cは、圧電特性を有さないノンドープのSi単結晶基板から所定形状に切り出され、一表面に、後述する圧電機能層や各種リード配線部が形成されることによって、角速度センサ1を構成している。単結晶Si基板としては、例えばその抵抗値が1MΩ/cmのものを用いることができる。また、Si単結晶基板は、角速度センサ1の実装面となる底面部1Aに対応する面は(100)方位面であり、角速度センサ1の側面部1Bに対応する断面は(110)方位面となっている。
アーム部12A〜12Cは、角速度センサ1の振動子を構成している。本実施形態において、各アーム部12A〜12Cは、例えば、それぞれ同一のアーム長、形成幅、形成厚みで形成されているが、勿論これに限られない。例えば、ノイズ低減のために、それぞれのアームの形成幅を、中央アーム部と外側アーム部とで異ならせてもよい。以後の説明では、これら3本のアーム部12A〜12Cのうち、外側に位置する2本のアーム部12A及び12Bを外側アーム部12A、12Bとそれぞれ称し、中央に位置するアーム部12Cを中央アーム部12Cと称する。
基部11は、図1及び図4に示すように、3本のアーム部12A〜12Cを支持する支持部22と、実装基板160と電気的に接続する外部接続端子140〜147が形成された固定部24と、支持部22と固定部24との間に形成された緩衝部23とによって構成されている。支持部22、緩衝部23及び固定部24には、アーム部12A〜12Cに形成されている電極と外部接続端子140〜147とを電気的に接続するリード配線133a、133b、133c、134a、134b、137a、137b、137cと、ダミーリード配線138が形成されている。
図1及び図2に示すように、外側アーム部12A、12Bは、単結晶Si層61a、61bと、この上に設けられた熱酸化層62aと、この上に設けられた圧電機能層15A、15B、及びこれを覆う保護層67とから構成されている。圧電機能層15A、15Bは、単結晶Si層61a、61b上に形成された下部電極層17a、17bと、この下部電極層17a、17bの上に形成された圧電層16a、16bと、この圧電層16a、16bの上に形成された上部電極層としての駆動電極13a、13bによって構成されている。
一方、中央アーム部12Cは、単結晶Si層61cと、この上に設けられた熱酸化層62aと、この上に設けられた圧電機能層15C、及びこれを覆う保護層67とから構成されている。圧電機能層15Cは、単結晶Si層61c上に形成された下部電極層17cと、この下部電極層17cの上に形成された圧電層16cと、この圧電層16cの上に形成された上部電極層としての駆動電極13c及び検出電極14a、14bによって構成されている。検出電極14a、14bは、中央アーム部12Cの軸心上に配置された駆動電極13cに対して左右対称な位置にそれぞれ形成されている。
固定部24は、単結晶Si層61上に熱酸化層62a、更にこの上に保護層67、外部接続端子140〜147が順次形成されている。
また、支持部22、緩衝部23及び固定部24は、単結晶Si層61上に熱酸化層62a(図示せず)、更にこの上に保護層67、また更にこの上にリード配線133a、133b、133c、134a、134b、137a、137b、137c及びダミーリード配線138が形成されている。
左アーム駆動リード配線133aは、駆動電極13aと外部接続端子141とを電気的に接続する。右アーム駆動リード配線133bは、駆動電極13bと外部接続端子145とを電気的に接続する。中央アーム駆動リード配線133cは、駆動電極13cと外部接続端子147とを電気的に接続する。中央アーム左検出リード配線134aは、検出電極14aと外部接続端子143とを電気的に接続する。中央アーム右検出リード配線134bは、検出電極14bと外部接続端子146とを電気的に接続する。左アーム下部電極リード配線137aは、下部電極層17aと外部接続端子140とを電気的に接続する。右アーム下部電極リード配線137bは、下部電極層17bと外部接続端子144とを電気的に接続する。中央アーム下部電極リード配線137cは、下部電極層17cと外部接続端子142とを電気的に接続する。ダミーリード配線138は、その一端が下部電極層17cと電気的に接続し、他端が外部接続端子とは接続されていない。
リード配線133a、133b、133c、134a、134b、137a、137b、137c及びダミーリード配線138は、圧電層が形成されていない領域で、平面的に重ならないように設けられている。これにより、リーク信号を抑えると共に不要な浮遊容量が形成されない。
本実施形態においては、図1に示すように、各種電極、リード配線及びダミーリード配線は、中央アーム部12Cのほぼ中心線を対称軸にしてほぼ左右対称の線対称形状となっており、左右における電極及びリード配線の形成面積比は1〜1.1となっている。これにより全体の振動状態をねじれの無いものとすることができ、振動を安定化させ、安定した特性を得ることができる。また、3本のアーム部12A〜12Cは、同じ離調度で振動させるような寸法構成としても良いし、中央アーム部12Bと左右のアーム部12A及び12Cとが異なる離調度で振動させるような寸法構成としてもよい。
図3に示すように、角速度センサ1は、IC駆動回路素子などの制御部31Aによって駆動制御される。各アーム部12A〜12Cの下部電極層17a〜17cは、制御部31AのVref端子にそれぞれ接続されている。Vref端子は基準電極となるグランド端子または所定のDCオフセット端子を構成している。外側アーム部12A,12B上の駆動電極13a、13bは、制御部31AのG1端子にそれぞれ接続されており、自励発振回路32で生成された駆動信号が入力される。中央アーム部12C上の駆動電極13cは、制御部31AのG0端子に接続されており、位相反転部38を介して、自励発振回路32で生成された駆動信号の逆相の信号が入力される。また、検出電極14a、14bはGa、Gb端子にそれぞれ接続されており、Ga、Gb端子は演算回路33に接続されている。演算回路33は、検出電極14a、14bの和信号を参照信号として自励発振回路32へフィードバックし、検出電極14a、14bの差分信号を角速度信号として検波回路36へ出力する。検波回路36で信号処理された検出信号は、平滑回路37へ供給された後、角速度信号として処理される。
制御部31Aに対する角速度センサ1の接続は、実装基板160を介して行われる。
外側アーム部12A,12B上の各々の駆動電極13a、13bには共通の駆動信号が入力され、この駆動信号とは逆相の駆動信号が中央アーム部12C上の駆動電極13cに入力される。これにより、圧電層16a、16b、16cの逆圧電効果により、外側アーム部12A、12Bと中央アーム部12Cとは、圧電機能層15A、15B、15C(圧電層16a、16b、16c)の膜面に対して垂直な方向(z軸方向)に互いに逆相で励振される。
このとき、検出電極14a、14bは、圧電層16cの圧電効果により、中央アーム部12Cの振動特性を電気的に検出し、それぞれの検出信号の和信号は、自励発振回路32にフィードバックされ、これら検出信号の差分信号は、角速度信号として処理される。角速度信号が印加されていない場合、検出電極14a、14bの差分信号は原理的に0となる。
一方、この状態において、y軸方向の周りに角速度が作用すると、各アーム部12A〜12Cにコリオリ力が生じて各アーム部12A〜12Cを圧電機能層15A〜15Cの形成面と平行な方向(x軸方向)に振動する成分が生成される。この振動成分は、中央アーム部12C上の圧電層16cの圧電効果を利用して検出電極14a、14bにより検出され、これの差分信号に基づいて各速度の大きさと方向が検出される。
角速度センサ1は、各外部接続端子140〜147を例えば金バンプ50を介して実装基板160に電気的に接続することにより、実装される。
図1に示すように、各アーム部12A〜12Cそれぞれに下部電極層17a,17b、17cが設けられている。中央アーム部12Cに設けられている下部電極層17cには中央アーム下部電極リード配線137c、ダミーリード配線138が電気的に接続しており、中央アーム下部電極リード配線137cとダミーリード配線138とは概略線対称形状を有している。そして、中央アーム下部電極リード配線137cとダミーリード配線138を挟んでその両側に下部電極層17a、17bそれぞれに電気的に接続する左アーム下部電極リード配線137a、右アーム下部電極リード配線137bが設けられている。左アーム下部電極リード配線137aと右アーム下部電極リード配線137bとは線対称形状を有している。図1に示すように、リード配線134a、133c、134bを挟むように両側にそれぞれ中央アーム下部電極リード配線137cとダミーリード配線138が設けられ、更にこれらを挟むように両側に左アーム駆動リード配線133a、右アーム駆動リード配線133bが設けられ、更にこれらを挟むように両側に左アーム下部電極リード配線137a及び右アーム下部電極リード配線137bが設けられている。リード配線137a、133a、137c、134aと、リード配線137b、133b、ダミーリード配線138、リード配線134bとは、中央アーム駆動リード配線133cを対称軸にして線対称に設けられている。このように左右対称形状となるように、外部接続端子と他端が接続しないダミーリード配線138を設けることにより、隣接する駆動電極13bからのもれ信号が検出信号に入らないよう遮断することができる。尚、ダミーリード配線138は下部電極層17cと電気的に接続するため、中央アーム下部電極リード配線137cを介して接地される。
また、本実施形態において、圧電層16a〜16cは、それぞれ独立した島状になっており、線対称形状となっている。これにより、それぞれの圧電機能層15A〜15Cで分極が行われ、且つそれぞれ独立して振動させるために、中央アーム部12Cと外側アーム部12A、12Bとでは振動が反転する。
本実施形態において、角速度センサ1の振動子の3本のアーム部12A〜12Cは、それぞれ圧電の分極方向が同一となっている。これに対し、圧電分極方向を、外側のアーム部12A、12Bは同一とし、中央のアーム部12Cはこれらと逆の圧電分極方向としてもよい。
次に、以上のように構成される本実施形態の角速度センサ1の一製造例を説明する。図5は、角速度センサ1の製造方法を説明する主要工程フローである。以下、図5に示す主要工程フローに従って説明する。
[基板準備工程]
まず、図6(a)、(b)に示すような基板としてのノンドープ単結晶Si基板161を用意する。Si基板161の大きさは、所有する薄膜プロセスのラインに応じて任意に設定される。本実施形態では、図面をわかりやすくするため、1枚のウエハに18個の角速度センサ素子を形成する場合を例にあげるが、実際には1枚のウエハに例えば2500個など多数の角速度センサ素子を形成する。尚、図6〜図9においては、図面を見やすくするために1枚のウエハに9個の角速度センサ素子を設ける場合を図示している。
このSi基板161の両面には、異方性湿式エッチングの際の保護マスクとなる熱酸化膜(SiO膜)162a、162bを形成しておく。熱酸化膜162a、162bの膜厚は任意であるが、本実施形態では0.3μm程度とした。また、Si基板161の方位面は、基板広口面が(100)方位面、Si基板161の断面となる面が(110)面となるように基板の切り出しが行われている。
[ダイヤフラム形成工程]
次に、図7(a)、(b)に示すように、Si基板161の裏面の熱酸化膜162bの一部を除去するために、除去する部分を開口部とするレジストパターン膜163を形成する。このレジストパターン膜3の形成方法は、通常の半導体薄膜形成プロセスで用いられるフォトリソグラフィ技術を用いている。レジスト材は、例えば東京応化社製OFPR−8600を用いたが、種類はこれに限られない。フォトリソグラフィの工程は、レジスト材塗布・プレベーキング・露光・現像という一般的に薄膜形成工程で用いられる技術であり、ここでは詳細は省略する。また、この後のプロセスにおいてもフォトリソグラフィ技術を用いているが、特殊な使用方法を除き一般的な工程に関しては省略する。
図7(a)で示す開口部のそれぞれが1つの角速度センサとなる。開口部の形状は最終的なアーム形状とSi基板161の厚み、及びアーム形状(振動子)を形成する際のエッチング幅で決定される。
次に、図8(a)、(b)に示すように、上記の開口部分に相当する部分の熱酸化膜162bを除去する。除去の方法はイオンエッチング等の物理的エッチングでも湿式エッチングでも構わないが、Si基板161の界面の平滑性を考慮すると熱酸化膜162bのみが除去される湿式エッチングが好適である。本実施形態では、湿式エッチングの薬液としてフッ化アンモニウムを用いた。ただし、湿式エッチングの場合、長時間エッチングを行うと開口部分の側面からエッチングが進行するいわゆるサイドエッチングが大きくなるため、熱酸化膜162bの開口部分のみが除去された時点でエッチングを終了させる必要がある。
次に、図9(a)、(b)に示すように、開口部分として露出したSi基板161に対して湿式エッチングを施すことにより、開口部分のSi基板161の厚みを所望のアーム部の厚みとなるまで削る。本実施形態では、Siである基板161をエッチングするためTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)20%溶液を用いている。この際、液温度を80℃に保持し浸漬エッチングを行っている。上記の条件でエッチング量(ダイヤフラム深さ)t10を200μmとするために、およそ6時間のエッチングを行った。また、このエッチングにより開口部分のSi基板161の形状は、端部が湿式エッチング角度θ(=55°)を持って形成される。また、このような湿式エッチング薬液としてTMAH以外にKOH(水酸化カリウム)やEDP(エチレンジアミン−ピロカテコール−水)溶液等が使用できるが、本実施形態では熱酸化膜162a、162bとのエッチングレートの選択比がより大きくなるTMAHを採用した。
ところで、本実施形態ではアーム部の厚みになるまでの基板研削にSiの特徴を生かした湿式エッチングを採用しているが、研削の方法は任意でありこの製法に限定されるものではない。
上記の方法により上記開口部分の中にダイヤフラムが形成される。湿式エッチングにより残されたダイヤフラム厚みが最終的にアーム部厚みと等しくなる。
尚、以降の説明では、主に1つの角速度センサに対応した部分を拡大して説明する。また、図では説明を判りやすくするために、実際の寸法比とは異なる場合もある。また、図10(a)、(b)に示すように、今後は上記までに形成したダイヤフラムの開口部及び熱酸化膜162bを下方にして説明する。
[電極膜形成工程]
次に、図10(a)、(b)に示すように、下部電極膜117、圧電膜116、上部電極膜113を形成する。下部電極膜117は、圧電膜の特性を向上させるために、下地膜tしてTi(チタン)膜(膜厚50nm以下、例えば20nm)とこのTi膜の上に形成したAu(金)膜(膜厚100nm)とからなる積層膜とした。尚、Au以外にPt(プラチナ)やRh(ロジウム)、Re(レニウム)等の他の金属膜が適用可能であり、Ti以外にTa(タンタル)等も適用可能である。
下部電極膜117の形成工程では、まず、マグネトロンスパッタ装置でTiを20nm成膜し、上記Ti上にAuを100nm成膜した。Ti及びAuは、ガス圧0.5Paでそれぞれ1kW及び0.5kWのRF(Radio Frequency)パワー(高周波電力)で成膜した。
次いで、圧電膜116を形成する。圧電膜116の形成工程では、マグネトロンスパッタ装置でPb1.02(Zr0.53Ti0.47)O3の酸化物ターゲットを用い、常温、酸素ガス圧を0.2〜3Pa、RFパワー0.1〜5kWの条件で圧電膜116を1.4μm成膜した。
そして、上部電極膜113の形成工程では、上述のようにして形成された圧電膜116の表面にTi膜20nmとこのTi膜の上にAu膜を100nm成膜した。Ti、Auはマグネトロンスパッタ装置でガス圧0.5Pa、RFパワー0.5kWの条件で成膜した。
[電極膜加工工程]
次に、図11(a),(b)に示すように、成膜した上部電極膜113を所定形状に加工する。これにより図11(a)で示すように、上部電極層としての駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14bが形成される。駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14bはそれぞれy軸方向に沿って延在した概略直線形状を有しており、各電極の基部11側の端部には配線接続部63が設けられている。
上部電極膜113の加工方法としては、フォトリソグラフィ技術を用いて所望のレジストパターン膜を形成した後、イオンエッチングにより不要な部分の上部電極膜113を除去した。上部電極膜113の加工方法に関しては特に限定されるものではない。
次に、図12(a)、(b)に示すように、圧電膜116、下部電極膜117、熱酸化膜162aを一括して所定形状に加工し、下部電極層17a〜17cを形成する。圧電膜116、下部電極膜117、熱酸化膜162aは、その平面内に駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14bが完全に位置する形であれば、形状は任意である。圧電膜116、下部電極膜117、熱酸化膜162aの加工方法としては、フォトリソグラフィ技術を用いて圧電膜116、下部電極膜117、熱酸化膜162aの形状のレジストパターン膜を形成した後、本実施形態ではフッ硝酸溶液による湿式エッチングにより除去した。除去の方法に関しては任意であり、物理的なイオンエッチングによる除去や、化学的にRIE(Reactive Ion Etching)により除去する方法が考えられる。
次に、図13(a)、(b)に示すように、下部電極層17a、17b及び17cと平面形状が同一に形成された圧電膜116の一部を加工、除去して、圧電層16a、16b、16cを形成する。圧電層16a〜16cは、それぞれ独立した島状になっており、線対称形状となっている。この工程により、図に示されるように、下部電極層17a〜17cの基部11側の一部が露出される。圧電膜116の加工方法としては、フォトリソグラフィ技術を用いて所望の形状のレジストパターン膜を形成した後、本実施形態ではフッ硝酸溶液による湿式エッチングにより除去した。除去の方法に関しては任意であり、物理的なイオンエッチングによる除去や、化学的にRIE(Reactive Ion Etching)により除去する方法が考えられる。
[保護層形成工程]
次に、抵抗値が500MΩ/cm以上のAl/SiO/Alの3層からなる保護層67を形成する。この保護層は、後述する配線電極膜の密着性を確保する下地膜としての役割と、電極接続部63の部分を除く駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14b、下部電極層17a〜17cを覆って湿度などの外的要因による電極間リークを防止し、電極膜の酸化を防止するという保護膜としての役割とを有している。すなわち、本実施形態においては、下地膜と保護膜を別の工程で形成することなく一括して形成するので、製造工程を簡略化することができる。また、保護層67の抵抗値を500MΩ/cm以上とすることにより、大気中の湿度を含んでイオンマイグレーションが発生することを抑制することができる。
保護層67の形成方法は、図14に示すように、Si基板の開口部内のアーム部12A〜12C、支持部22及び緩衝部23に相当する領域以外の領域と、電極接続部63に相当する領域にリフトオフレジスト膜64を形成する。その後、付着力を向上させるためAlを50nm、絶縁性の高いSiOを750nm、最上層にその後の製造工程時のレジスト密着性を向上させるためAlを50nmスパッタリングにより堆積させた。そして、不要な部分に付着したスパッタリング膜をリフトオフレジスト膜64の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフの手法を用いた。保護層67の形成方法及び材料は任意であり、上記の形成方法及び材料に限定されるものではない。これにより、図15及び図16に示すように、リフトオフレジスト膜64が形成されていた領域には保護層67が形成されない。図15において、白抜きとなっている領域以外に保護層67が形成される。従って、電極接続部63は、Au膜が露出した状態となっている。尚、図16は、図15のアーム部に相当する領域に形成された電極の平面拡大図及びその断面図である。
[配線膜形成工程]
次に、図17に示すように、リード配線133a、133b、134a、134b、137a、137b、137c、ダミーリード配線138及び外部接続端子140〜147を保護層67上に形成する。リード配線133a、133b、134a、134b、137a、137b、137c、ダミーリード配線138の一端は、それぞれ対応する電極とその電極接続部63で電気的に接続する。
リード配線133a、133b、134a、134b、137a、137b、137c、ダミーリード配線138、外部接続端子140〜147の形成方法は、フォトリソグラフィ技術により所望の形状のレジストパターン膜を形成した後、配線電極膜をスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリングした膜をレジスト膜の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフの手法により形成した。配線電極膜の材料としては付着力を向上させるためTiを20nm堆積させた後、電気抵抗が低く低コストのCuを300nm堆積し、その後Auバンプとの接合を容易にするためAuを500nm堆積させた。ただし、この配線膜の材料及び形成方法は任意であり上記の形成方法及び材料に限定されるものではない。
[分極配線形成工程]
次に、図18に示すように、銅からなる上部用分極配線95、下部用検査パッド70、下部用分極配線65、電圧印加側パッド90及びグランド側パッド91を形成する。上部用分極配線95、下部用検査パッド70、下部用分極配線65、電圧印加側パッド90及びグランド側パッド91は、フォトリソグラフィ技術により所望の形状を開口部とするレジストパターン膜を形成した後、Cuをスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリング膜をレジスト膜の除去と同時に除去する、いわゆるリフトオフの手法により形成した。Cu膜厚は分極時の導通を確保するため400nmとした。以下、これら分極配線等の構造について図18〜20を用いて説明する。
図18はウエハ100全体の概略平面図であり、本図では後述するバンプ形成工程にて形成されるバンプが設けられた状態を図示しているが、この時点ではまだバンプは形成されていない。本実施形態では、1枚の基板としてのウエハ100に18個の角速度センサが設けられており、3つの角速度センサ1で1つの角速度センサ群120A〜120Fが構成され、1枚のウエハ100上に6つ角速度センサ群120A〜120Fが形成される。図19は、図18の部分拡大図であり、角速度センサ群120Aの概略平面図である。図20は、図19の部分拡大図である。
下部用検査パッド70は、角速度センサ群120A〜120F毎に1つずつ設けられ、各下部用検査パッド70は下部用分極配線65に電気的に接続されている。また、下部用分極配線65によって、角速度センサ群120A〜120Fそれぞれの角速度センサ1の下部電極層17a〜17cは一括して電気的に接続される。下部用分極配線65はグランド側パッド91に電気的に接続している。
上部用分極配線95は、角速度センサ群120A〜120F毎に、該角速度センサ群を構成する角速度センサ1の上部電極層としての駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14bを一括して電気的に接続する上部用連結配線66と、該上部用連結配線66と電気的に接続する上部用検査パッド81と、該上部用検査パッド81と離間して配置される上部用接続パッド82と、該上部用接続パッド82と電気的に接続する上部用接続配線68とを有する。上部用接続配線68は、電圧印加側パッド90と電気的に接続している。すなわち、角速度センサ群120A〜120F毎に、上部用連結配線66、上部用検査パッド81及び上部用接続パッド82がそれぞれ1つずつ設けられ、角速度センサ群120A〜120Fそれぞれに対応する上部用接続パッド82は互いに上部用接続配線68を介して電気的に接続される。分極配線形成の段階では、上部用接続配線68及び上部用連結配線66とは電気的に接続されていない。
次に、Si基板161の熱酸化膜162b上に裏面ストッパー膜を形成する。この目的は、後述のアーム部形成で貫通エッチングをした際、最下面のプラズマ集中によるエッジ形状不良を防止するためである。本実施形態では、裏面全面にSiOを500nm、スパッタリングにより形成した。
[アーム部及びくびれ部形成工程]
次に、アーム部及びくびれ部空間を除去して振動子を形成する。アーム部及びくびれ部空間の形成方法は、貫通部を開口部とするレジストパターン膜をフォトリソグラフィ技術により形成し、熱酸化膜162aをイオンエッチングにより除去した後、Si基板161を貫通するまでエッチングする。熱酸化膜162aの除去に関しては湿式エッチングでも可能であるが、サイドエッチングによる寸法誤差を考慮するとイオンエッチングが好適である。
また、Si基板161のSiを貫通させるためには本実施形態ではアーム部厚みが100μmであり、この量をエッチング除去する必要がある。通常のイオンエッチング等ではレジスト膜との選択比がとれない上に垂直な壁面として残すことは困難である。本実施形態では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)を備えた装置に、エッチングと側壁保護膜成膜を繰り返すBoschプロセス(エッチング時SF、成膜時Cガス)を用いることで、垂直な側壁面をもつアーム部の形成を行った。この垂直にSi材料を研削する技術は一般的に確立されており、本実施形態でも市販されている装置により行っている。ただし、アーム部空間の除去の方法に関しては任意であり、上記の方法に限定されるものではない。
ICPでエッチング完了後は、裏面ストッパー膜を除去する。本実施形態ではフッ化アンモニウムによる湿式エッチングにより除去した。
[角速度センサ群毎の抵抗不良検査工程]
次に、角速度センサ群120A〜120F毎に抵抗検査としての抵抗不良検査を行う。この抵抗不良検査は、上部電極層と下部電極層との間の圧電層に存在する欠陥による上部電極層と下部電極層との短絡不良などの不良を検査するものである。この抵抗不良検査では、図21に示すように、下部用検査パッド70及び上部用検査パッド81にそれぞれプローブを接触させ、上部電極層と下部電極層との間の抵抗値を測定する。そして、所定の抵抗値、本実施形態ではメガオーム台の抵抗値を有するものは良品、それ以外の抵抗値のものを不良品として判断した。通常、良品ではメガオーム台の抵抗が得られる。これに対し、1つの角速度センサ群を構成する3つの角速度センサ1の少なくとも1つの圧電層に欠陥が存在して導通箇所があるなど不良品である場合は、抵抗値が低下して数十キロオーム以下の異常な抵抗値となる。
[良品の角速度センサ群に対応する検査用パッド、接続用パッド間の接続バンプ形成工程]
次に、図18及び図22に示すように、不良検査工程にて良品と判断された角速度センサ群120A〜120Fに対応する上部用検査パッド81と上部用接続パッド82とを電気的に接続するためにAuからなる接続バンプ83を形成する。このように、良品と判断された角速度センサ群のみに接続バンプ83を形成することにより、良品と判断された角速度センサのみに後述する分極処理工程で分極処理が施される。図18は、角速度センサ群120A〜120C及び120Eが良品と判断され、これら良品の角速度センサ群120A〜120C及び120Eそれぞれに対応する上部用検査パッド81と上部用接続パッド82とが接続パンプ83によって電気的に接続された場合を図示している。
[分極処理工程]
次に、圧電特性を安定させるために分極処理を施す。具体的には、印加側パッド90、グランド側パッド91を外部電源に接続し、リフロー温度以上の温度、本実施形態では150〜300℃に加熱した状態で、上部用接続配線68及び下部用分極配線65を介して電圧を印加することにより圧電層の分極処理を行った。これにより、活性エネルギーが与えられ、図24に示すように、圧電層内部に分布する単位分極を持つ各エリアの分極モーメントは、ランダムな方向から圧電層の厚み方向と平行な方向に向きやすくなり、圧電層の特性を所望のものとすることができる。印加電圧は、圧電層の膜厚により内部電界が影響されるため、電圧と圧電層の膜圧比で計算される圧電層中の電界が500〜50000V/mmとなるように調整するのが適当である。500V/mmよりも低いと圧電層内部の分極モーメントを揃える為の活性エネルギーが不足してしまう。50000V/mmよりも高いと電界が大きくなりすぎて圧電層内部で放電現象が起こり欠陥成長が進んだり、酸化物からなる圧電層が還元されて金属層となって圧電機能を損なう惧れがある。
[分極配線除去工程]
次に、メルデックス社製エンストリップ溶液を用いてウエットエッチングによって、上部用分極配線95、下部用検査パッド70、下部用分極配線65、電圧印加側パッド90及びグランド側パッド91を除去する。
[外部接続端子バンプ形成]
次に、フリップチップを行うためにAuバンプ50を、8箇所の外部接続端子上に形成する。
[切断工程]
次に、図23に示すように、Si基板161上に形成された複数の角速度センサ1を個々に分断する。
[実装工程]
そして、個々に分断した角速度センサ1は、例えばフリップチップの手法でIC基板などの実装基板160に実装される。実装基板160は角速度センサ1の配置に合わせて電気的結線が完了するように予め設計されている。尚、ここでは角速度センサ1側にAuバンプ50を設けたが、実装基板160側に金バンプを形成した後、実装してもよい。
上述の実施形態では、接続バンプ形成工程前における上部用分極配線構造は各角速度センサ群120A〜120F毎に電気的に独立しており、下部用分極配線構造はウエハ100上に形成される複数の角速度センサ1の下部電極層を全て一括して電気的に接続する構成となっている。これに対し、図20、図25及び図26に示すように、接続バンプ形成工程前における下部用分極配線構造では各角速度センサ群220A〜220F毎に電気的に独立し、上部用分極配線構造ではウエハ200上に形成される複数の角速度センサ1の上部電極層が全て一括して電気的に接続される構成としてもよい。以下、図20、図25及び図26を用いてその構造を説明する。
図25は、分極配線が形成され、不良検査を経た後、良品と判断された角速度センサ群220A〜220Fに接続バンプ83が形成された状態を示すウエハ200の概略平面図である。図25においても、上述と同様に1枚のウエハ200に18個の角速度センサ1が形成されており、3つの角速度センサ1で1つの角速度センサ群220A〜220Fを構成、1枚のウエハ200上に6つ角速度センサ群220A〜220Fが形成される。図26は、図25の部分拡大図であり、角速度センサ群220Aの概略平面図である。図20は、図25の部分拡大図である。尚、上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する。また、製造工程において、分極配線工程時における配線のパターン形状が上述の実施形態と異なるだけで、他の工程は同じである。
図に示すように、分極配線工程にて、銅からなる下部用分極配線295、上部用検査パッド281、上部用分極配線267、電圧印加側パッド90及びグランド側パッド91が形成される。
上部用検査パッド281は、角速度センサ群220A〜220F毎に1つずつ設けられ、各上部用検査パッド281は上部用分極配線267に電気的に接続されている。また、上部用分極配線267によって、各角速度センサ群220A〜220Fの角速度センサ1の上部電極層としての駆動電極13a、13b、13c、検出電極14a、14bは一括して電気的に接続される。上部用分極配線267は電圧印加側パッド90に電気的に接続している。
下部用分極配線295は、角速度センサ群220A〜220F毎に、該角速度センサ群を構成する角速度センサ1の下部電極層17a〜17cを一括して電気的に接続する下部用連結配線264と、該下部用連結配線264と電気的に接続する下部用検査パッド270と、該下部用検査パッド270と離間して配置される下部用接続パッド282と、該下部用接続パッド282と電気的に接続する下部用接続配線265とを有する。下部用接続配線265は、グランド側パッド91と電気的に接続している。すなわち、角速度センサ群220A〜220F毎に、下部用連結配線264、下部用検査パッド270及び下部用接続パッド282がそれぞれ1つずつ設けられ、角速度センサ群220A〜220Fそれぞれに対応する下部用接続パッド282は互いに下部用接続配線265を介して電気的に接続される。分極配線形成の段階では、下部用接続配線265及び下部用連結配線264とは電気的に接続されていない。
このような構成の場合においても、角速度センサ群220A〜220F毎に不良検査が行われる。不良検査では、下部用検査パッド270及び上部用検査パッド281にそれぞれプローブを接触させ、上部電極層と下部電極層との間の抵抗値を測定する。そして、抵抗値が正常であるものは良品、異常であるものは不良品として判断される。
以上のように、本実施形態においては、分極処理工程前に角速度センサ群毎に不良検査を行い、良品の角速度センサ群のみが分極処理されるように、分極配線を形成している。これにより、1枚のウエハから所望の特性を有する圧電層を有する複数の角速度センサを安定して一括して得ることができる。ここで、例えば、圧電層の欠陥による不良が存在する角速度センサも他の同じウエハに形成される角速度センサと同様に一括して分極処理が施されると、その不良部で電圧降下などが生じて、そのウエハに形成される複数の角速度センサの各圧電層に対して面内均一に電圧を印加することができない。このため、安定して所望の特性の圧電層を有する角速度センサを一括して複数得ることが困難である。これに対し、本実施形態においては、分極処理工程前に抵抗不良検査を行い、そこで良品とされた角速度センサ群のみに分極処理を施すため、圧電特性が良好な角速度センサを一括して複数得ることができる。
また、本実施形態においては、複数の角速度センサからなる角速度センサ群毎に抵抗不良検査を行っているが、各角速度センサ毎に検査パッドを設け、1つずつ角速度センサの抵抗不良検査を行ってもよい。しかしながら、例えば1枚のウエハに2500個というような多量の角速度センサを形成するような場合、本実施形態のように、複数の角速度センサからなる角速度センサ群を形成し、各角速度センサ群毎に抵抗不良検査を行うことによって、抵抗不良検査に要する時間を短縮することができ、効率が良い。
また、上述の実施形態においては、1枚のウエハに電圧印加側パッド90及びグランド側パッド91をそれぞれ1つずつ設けたが、同列の角速度センサ群毎に電圧印加側パッド及びグランド側パッドを設け、同列の角速度センサ群毎に一括して分極処理を行ってもよい。
次に、上述の角速度センサ1を備えた電子機器について説明する。
図27は、上記角速度センサ1を搭載した電子機器の例として、デジタルカメラを示す概略斜視図である。図28は、そのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
デジタルカメラ260は、上記の角速度センサ1を備える二軸の角速度センサ150を搭載する機器本体261を備えている。機器本体261は、例えば、金属製、樹脂製などのフレームまたは筐体である。
図28に示すように、デジタルカメラ260は、振動型ジャイロセンサ150と、制御部510と、レンズ等を備える光学系520と、CCD530、光学系520に対して手振れ補正を実行する手振れ補正機構540とを有する。
振動型ジャイロセンサ150によって、2軸のコリオリ力が検出される。制御部510は、この検出されたコリオリ力に基づき手振れ補正機構540を使って光学系520で手振れの補正を行う。
上記の実施の形態に係る振動型ジャイロセンサを搭載する電子機器としては、上記したデジタルカメラに限られない。例えば、電子機器としては、ラップトップ型のコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。
一方、以上の実施の形態では、角速度センサ1の外側アーム部12A,12B上の駆動電極13a,13bとその中央アーム部12C上の駆動電極13cとに、互いに逆相の駆動信号を入力する例について説明した(図3)。これに代えて、図29に示すように角速度センサを構成してもよい。すなわち、図29に示す角速度センサ101においては、外側アーム部12A、12Bの下部電極層17a、17b及び中央アーム部12Cの上部電極層13cが制御部31AのG0端子へ接続される。そして、外側アーム部12A,12Bの上部電極層13a、13bと中央アーム部12Cの下部電極層17cが制御部31AのVref端子へ接続される。この構成によれば、角速度センサ1の駆動時、外側アーム部12A,12Bの圧電層16a,16bと中央アーム部12Cの圧電層16cに、互いに異なる極性の電圧が印加されることになる。したがって、この構成においても、外側アーム部12A,12Bと中央アーム部12Cとを互いに逆相で励振させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る角速度センサの概略構成を示す底面図及び側面図である。 図1の線2−2線方向断面図である。 図1に示す角速度センサの駆動検出回路の構成を示すブロック図である。 図1に示す角速度センサが実装基板に実装された状態の概略構成を示す断面図である。 角速度センサの製造方法を説明する主要工程フローである。 基板準備工程を説明するための図である。 ダイヤフラム形成工程を説明するための図(その1)である。 ダイヤフラム形成工程を説明するための図(その2)である。 ダイヤフラム形成工程を説明するための図(その3)である。 電極膜形成工程を説明するための図である。 電極膜加工工程を説明するための図(その1)である。 電極膜加工工程を説明するための図(その2)である。 電極膜加工工程を説明するための図(その3)である。 保護層形成工程を説明するための図(その1)である。 保護層形成工程を説明するための図(その2)である。 図15のアーム部に相当する領域に形成された電極の平面拡大図及びその断面図である。 配線膜形成工程を説明するための図(その1)である。 分極配線構造を示すウエハの概略平面図であり、接続バンプ形成工程を説明するための図である。 図18の部分拡大図であり、角速度センサ群の概略平面図である。 図19の部分拡大図である。 抵抗不良検査工程を説明するための図である。 接続バンプ形成工程を説明するための図である。 切断工程を説明するための図である。 分極処理前後における圧電層の状態を説明するための図である。 他の分極配線構造を示すウエハの概略平面図であり、接続バンプ形成工程を説明するための図である。 図25の部分拡大図であり、角速度センサ群の概略平面図である。 図1に示す角速度センサを備えた電子機器の例としてのデジタルカメラの概略斜視図である。 図27に示すデジタルカメラの構成を示すブロック図である。 図3に示す角速度センサの構成の変形例を示すブロック図である。
符号の説明
1・・・角速度センサ、13a、13b、13c・・・駆動電極、14a、14b・・・検出電極、16a〜16c・・・圧電層、17a〜17c・・・下部電極層、65…下部用分極配線、66…上部用連結配線、68…上部用接続配線、70…下部用検査パッド、81…上部用検査パッド、82…上部用接続パッド、83…接続バンプ、120A〜120F、220A〜220F…角速度センサ群、100、200…ウエハ、264…下部用連結配線、265…下部用接続配線、267…上部用分極配線、270…下部用検査パッド、281…上部用検査パッド、282…下部用接続パッド

Claims (3)

  1. 基板上に、複数の角速度センサ各々に対応する下部電極層を形成し、
    前記下部電極層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する圧電層を形成し、
    前記圧電層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する上部電極層を形成し、
    前記複数の角速度センサ各々の前記下部電極層を一括して電気的に接続する下部用分極配線及び該下部用分極配線と電気的に接続する一以上の前記角速度センサ毎に設けられた下部用検査パッドを形成し、
    一以上の前記角速度センサ毎に該角速度センサの前記上部電極層と電気的に接続する上部用連結配線と、該上部用連結配線と電気的に接続する上部用検査パッドと、該上部用検査パッドと離間して配置される上部用接続パッド及び該上部用接続パッドと電気的に接続する上部用接続配線とを形成し、
    前記下部用検査パッド及び上部用検査パッドを用いて抵抗検査を行い、
    前記抵抗検査工程にて所定の抵抗値が検出された前記一以上の角速度センサに対応する前記上部用検査パッド及び前記上部用接続パッドを電気的に接続し、
    前記上部用接続配線及び前記下部用分極配線を介して電圧を印加することにより前記圧電層の分極処理を行う
    角速度センサの製造方法。
  2. 請求項1記載の角速度センサの製造方法において、
    前記複数の角速度センサは、前記基板上に複数の角速度センサからなる角速度センサ群を複数形成しており
    前記上部用連結配線は前記角速度センサ群毎に形成される
    角速度センサの製造方法。
  3. 基板上に、複数の角速度センサ各々に対応する下部電極層を形成し、
    前記下部電極層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する圧電層を形成し、
    前記圧電層上に、前記複数の角速度センサ各々に対応する上部電極層を形成し、
    一以上の前記角速度センサ毎に該角速度センサの前記下部電極層と電気的に接続する下部用連結配線と、該下部用連結配線と電気的に接続する下部用検査パッドと、該下部用検査パッドと離間して配置される下部用接続パッド及び該下部用接続パッドと電気的に接続する下部用接続配線とを形成し、
    前記複数の角度センサ各々の前記上部電極層を一括して電気的に接続する上部用分極配線及び該上部用分極配線と電気的に接続する前記一以上の角速度センサ毎に設けられた上部用検査パッドを形成し、
    前記下部用検査パッド及び前記上部用検査パッドを用いて抵抗検査を行い、
    前記抵抗検査工程にて所定の抵抗値が検出された前記一以上の角速度センサに対応する前記下部用検査パッド及び前記下部用接続パッドを電気的に接続し、
    前記下部用接続配線及び前記上部用分極配線を介して電圧を印加することにより前記圧電層の分極処理を行う
    角速度センサの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012026866A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Denso Corp 慣性力センサの製造方法
JP2013108889A (ja) * 2011-11-22 2013-06-06 Rohm Co Ltd 角速度検出装置およびその製造方法
JP2017092535A (ja) * 2015-11-02 2017-05-25 セイコーエプソン株式会社 圧電素子、超音波プローブ、超音波測定装置及び圧電素子の製造方法

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