JP2009240891A - 超純水の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の超純水の製造方法は、強塩基性アニオン交換樹脂に被処理水を通水する工程と、前記強塩基性アニオン交換樹脂に前記被処理水よりも高い温度の水を通水する再生処理工程を有することよりなる。前記再生処理工程で通水する水は、強塩基性アニオン交換樹脂で処理済の水であることが好ましく、前記再生処理工程で通水する水の温度は、50℃以上であることが好ましい。
【選択図】図2
Description
一般的に、超純水の製造には、前処理システム、一次純水システム、二次純水システム(サブシステム)で構成される超純水製造装置が用いられている。超純水製造装置における各システムの役割は次の通りである。前処理システムは、例えば凝集沈殿や砂ろ過により、原水中に含まれる懸濁物質やコロイド物質の除去を行う工程である。一次純水システムは、例えばイオン交換樹脂や逆浸透(RO)膜等を使用して、前記前処理システムで懸濁物質等が除去された原水の、イオンや有機成分の除去を行い、一次純水を得る工程である。サブシステムは、例えば紫外線酸化、イオン交換、ファイナルフィルタ(UF膜)等を使用して、一次純水システムで得られた一次純水の純度をさらに高めて、超純水を製造する工程である。
超純水の製造を継続すると、超純水製造装置に使用されているイオン交換樹脂は、一定のイオン交換容量を有しているため、通水量の増加に伴いイオン成分の除去能力が低下して、ある時点で原水中の金属・イオン成分を適切に除去できなくなる。このため、イオン交換樹脂にイオン交換された金属・イオン成分を溶離し、イオン交換樹脂の能力を復活させるために定期的に再生が行われる。ただし、サブシステムに設置したイオン交換装置については、非再生型イオン交換装置を用いるのが一般的である。
例えば一次純水系の再生型イオン交換装置の運用は、図5に示すように、一定期間のイオン交換処理202と、薬品再生処理204の交互実施により構成されている。イオン交換処理202は、2塔3床式イオン交換装置や複床型イオン交換装置等に被処理水を通水する工程である。薬品再生処理204は、酸または塩基性水溶液等を用い、超純水装置に用いられているイオン交換樹脂を再生する工程である。アニオン交換樹脂の再生には、一般的に40〜50℃程度の水酸化ナトリウム水溶液等が使用される。薬品再生処理204の頻度は、処理水のシリカ濃度や比抵抗を基準として設定される。一方で、サブシステムの非再生型イオン交換装置は、樹脂汚染を防止するために、薬品再生処理は実施せず、定期的に交換する手法がとられる。
水中のホウ素は、RO膜や、強塩基性アニオン交換樹脂で除去できることが知られている。しかし、金属やアニオン、シリカ等と比較して、RO膜での除去率は低く、また、ホウ素に対するイオン交換樹脂の交換容量が小さいことから、比較的早期にイオン交換樹脂から漏洩(破過)する。このため、上述したシリカ濃度や比抵抗でイオン交換装置の再生頻度を管理した場合には、イオン交換装置からのホウ素のリークを適切に防止できない。
他方、ホウ素のリーク量を基準として、再生頻度を管理した例を図6に示す。図6に示すように、一次純水システムの再生型イオン交換装置は、イオン交換処理212と薬品による薬品再生処理214とを交互に行うが、ホウ素が早期に破過するため、ホウ素のリーク量を基準に再生頻度を定めると、図5のフローに比べて薬品再生処理214の頻度を増加せざるを得ない。再生頻度増の結果、再生薬品の使用量増に繋がる懸念がある。
そこで、本発明は、既存の超純水製造装置に特段の設備を追加することなく、かつ、薬品使用量を増加させずに、ホウ素を低減する超純水の製造方法を目的とする。
前記再生処理工程で通水する水(以下、再生水という)は、強塩基性アニオン交換樹脂で処理済の水であることが好ましく、前記再生水の温度は、50℃以上であることが好ましい。
図1の通り、超純水装置100は、前処理システム110と、一次純水システム120と、サブシステム140とで構成されている。前処理システム110は、原水槽112と、凝集沈殿装置114、ろ過装置116、ろ過水槽118で構成されている。一次純水システム120は、前段再生型イオン交換ユニット122と、RO膜装置124と、後段再生型イオン交換ユニット126とで構成されている。サブシステム140は、一次純水槽142と、紫外線酸化装置144と、非再生型イオン交換ユニット(CPユニット:カートリッジポリッシャーユニット)146と、UF膜装置148とで構成され、超純水が循環できるように順に配置されている。そして、サブシステム140は、ユースポイント160、162、164と接続されている。
RO膜装置124は特に限定されることなく、既存の装置を使用することができる。
UV酸化装置144は、一次純水中のTOC成分を有効に分解できる能力を有すれば特に限定されず、既存の装置を用いることができる。
CPユニット146は、非再生型イオン交換装置(CP)146a、146b、バルブ145a、145bで構成されている。CP146a、146bは特に限定されず、UV酸化装置144で分解されたTOC成分、および、残存する微量の金属やイオン等を除去できるものであれば特に限定されない。一般的に、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混床型が用いられる。アニオン交換樹脂としては、強塩基性アニオン交換樹脂が充填されていることが好ましい。
一次純水槽142、UF膜装置148は特に限定されず、既存の装置を使用することができる。
まず、原水を原水槽112に貯水した後、凝集沈殿装置114、ろ過装置116の順に処理し、原水中の懸濁物質が除去されたろ過水をろ過水槽118に貯水する。バルブ121a、125aを開、バルブ121b、125bを閉とする。被処理水として前記ろ過水を前段再生型イオン交換装置122aに通水し、水中のアニオン成分、カチオン成分、シリカ等を除去するイオン交換処理12が行われる。その後、RO膜装置124でTOC等を除去し、後段再生型イオン交換装置126aにてイオン交換処理12が行われ、さらに純度を向上させて一次純水を得る。得られた一次純水を一次純水槽142に貯水する。
次いで、バルブ145aを開、バルブ145bを閉とする。被処理水である一次純水にUV酸化装置144にて紫外線照射し、水中のTOC成分を有機酸、さらには二酸化炭素の状態にまで分解する。次いで、CP146aにて、微量のイオン成分ならびに紫外線照射により生成した有機酸や二酸化炭素を除去するイオン交換処理12が行われる。そして、UF膜装置148にて、微粒子を除去し、超純水を得る。得られた超純水の一部は、そのままユースポイント160、162、164へ送液し、超純水として採水する。得られた超純水の他の一部は、一次純水槽142に送水されて、サブシステム140内を循環する。
同様に後段再生型イオン交換装置126aにおいても、ホウ素破過が近づくと、バルブ125aを閉、バルブ125bを開として、後段再生型イオン交換装置126aへのろ過水の通水を後段再生型イオン交換装置126bへの通水に切り替える。次いで、イオン交換処理12を終了した後段再生型イオン交換装置126aの温水再生工程14が行われる。後段再生型イオン交換装置126aの温水再生処理14が行われている間、後段再生型イオン交換装置126bにろ過水が通水されて、超純水の製造は継続される。
また、同様にCP146aにおいても、ホウ素破過が近づくと、バルブ145aを閉、バルブ145bを開として、CP146aへの一次純水の通水をCP146bへの通水に切り替える。次いで、イオン交換処理12を終了したCP146aの温水再生工程14が行われる。CP146aの温水再生処理14が行われている間、CP146bに一次純水が通水されて、超純水の製造は継続される。
一次純水システム120では、バルブ121a、125aを開、バルブ121b、125bを閉とする。前段再生型イオン交換装置122bへのろ過水の通水を前段再生型イオン交換装置122aへの通水に切り替える。同様に後段再生型イオン交換装置126bへのろ過水の通水を後段再生型イオン交換装置126aへ切り替える。サブシステム140では、バルブ145aを開、バルブ145bを閉とし、CP146bへの一次純水の通水をCP146aへの通水に切り替える。こうして、温水再生処理14を終えた前段再生型イオン交換装置122a、後段再生型イオン交換装置126a、CP146aに充填された強塩基性アニオン交換樹脂に被処理水を通水し、イオン交換処理13が行われる。この間、前段再生型イオン交換装置122b、後段再生型イオン交換装置126b、CP146bでは、温水再生処理14が行なわれる。
同様に、後段再生型イオン交換装置126aでは、任意の期間、ろ過水を通水した後、バルブ125aを閉、バルブ125bを開として、前段再生型イオン交換装置126aへの通水を停止し、イオン交換処理13を終了し、薬品再生工程16が行われる。後段再生型イオン交換装置126aの薬品再生工程16が行われている間、後段再生型イオン交換装置126bにろ過水が通水されて、超純水の製造は継続される。
同様に、CP146aにおいては、任意の期間、一次純水を通水した後、バルブ145aを閉、バルブ145bを開として、CP146aへの一次純水の通水を停止し、イオン交換処理13を終了する。そして、CP146aは新たなCPと交換される。CP146aの交換の間、CP146bへ一次純水が通水されて、超純水の製造は継続される。
薬品再生処理16の後に、イオン交換処理12を再開する場合には、強塩基性アニオン交換樹脂内へ、純水または超純水を導入し、前記再生液を押し出して超純水製造装置100外へ排出する。かかる工程により、イオン交換処理12再開後に、超純水中に再生液の成分が混入することを防止する。
バルブ121a、125aを開、バルブ121b、125bを閉として、前段再生型イオン交換装置122bへのろ過水の通水を前段再生型イオン交換装置122aへ切り替え、後段再生型イオン交換装置126bへのろ過水の通水を後段再生型イオン交換装置126aへ切り替える。そして、前段再生型イオン交換装置122a、後段再生型イオン交換装置125aでのイオン交換処理12を行う一方、前段再生型イオン交換装置122b、後段再生型イオン交換装置125bの薬品再生処理16を行なう。
なお、CP146a、146bは、再生液による汚染を防止するため、薬品再生処理16を省略し、適宜交換する。
強塩基性アニオン交換樹脂に被処理水を通水する工程は、超純水製造装置100中、前処理システム110以降で、ユースポイント160、162、164の前段までの間に行われれば特に限定されることはない。例えば、超純水製造装置100においては、前段再生型イオン交換ユニット122、後段再生型イオン交換ユニット126、CPユニット146のいずれかに強塩基性アニオン交換樹脂が充填されていれば、本発明の対象となる。
強塩基性アニオン交換樹脂はホウ素を捕捉する能力を有すれば特に限定されるものではなく、ゲル型であっても良いし、ポーラス型であっても良く、既存のものを用いることができる。例えば、市販品としてローム・アンド・ハース社製のアンバーライトIRA402BL(商品名)等を挙げることができる。
温水再生処理14の頻度は特に限定されず、超純水に求めるホウ素濃度や、薬品再生処理16の頻度に応じて決定することができる。例えば、イオン交換処理12で得られる超純水中のホウ素濃度を経時的に測定し、一定のホウ素濃度となった時点で、温水再生処理14を行っても良いし、経験的に導かれた採水期間や処理水量を基に、温水再生処理14の頻度を決定しても良い。また、任意の薬品再生処理16と、他の薬品再生処理16との間に、1回行っても良いし、2回以上行っても良い。
このような再生水を用いることで、再生水がアニオン交換樹脂の負荷になることを抑制しつつ、再生を実施することができる。また、再生水中のホウ素濃度が、被処理水に比べて低いため、ホウ素の溶離を促進することができる。
再生水の通水量は特に限定されず、再生水の温度と再生の程度を勘案して決めることが好ましい。
温水再生処理14における再生水の通水方向は特に限定されず、イオン交換処理12の被処理水の通水方向と同じ方向であっても良いし、向流であっても良い。再生水の通水量を低減し、より効率的にホウ素を溶離させる観点からは、向流とすることが好ましい。
また、前段再生型イオン交換装置122a、122b、後段再生型イオン交換装置126a、126b、CP146a、146bのいずれにおいても、薬品再生処理16の実施に至る前に、ホウ素破過が近づいた場合には、再度の温水再生処理を行うことができる。
再生液の温度は被処理水よりも高い温度であれば特に限定されることはないが、40〜50℃であることが好ましい。
なお、強塩基性アニオン交換樹脂が、カチオン交換樹脂との混床型または複床型とされている場合には、酸性水溶液を併用して通液することができる。かかる通液により、カチオン交換樹脂に吸着したカチオン成分を溶離し、カチオン交換樹脂を再生できるためである。
また、温水再生処理と薬品再生処理とを組み合わせることで、薬品再生処理を既往の頻度としたまま、薬品使用量を増加させずに、早期に破過するホウ素を対象とした強塩基性アニオン交換樹脂の再生を行うことができる。この結果、ホウ素を高精度に除去することができ、超純水中のホウ素濃度を低減することができる。
さらに、本発明では、強塩基性アニオン交換樹脂に吸着しているホウ素の溶離に、薬品を使用しないため、CPがホウ素破過した場合に、薬剤を使用することなく、ホウ素を溶離し再生することができる。
加えて、温水再生処理で使用した再生水は充分に高純度であるため、ろ過水や純水製造用の原水として再利用したり、あるいは薬品再生処理における再生液の希釈水、前処理システムに用いられる活性炭の逆洗水として再利用することができる。
(測定方法)
<導電率・比抵抗>
比抵抗は、比抵抗計(873RS、FOXBORO社製)を用いて測定した。
水中のホウ素濃度は、超純水用ホウ素分析系(DLM71000−01、SIEVERS社製)を用いて測定した。
水中のシリカ濃度は、分光光度計(U−3010、株式会社日立ハイテクノロジー製)を用い、モリブデン青吸光光度法により測定した。
RO透過水のカチオン交換樹脂処理水(導電率:37μS/cm、シリカ濃度:250ppb、ホウ素濃度15ppb、20℃)を被処理水として、アニオン交換樹脂カラムに通水した。アニオン交換樹脂カラムは、アクリル樹脂製のカラム(直径:38mm)に強酸性カチオン交換樹脂(IRA402BL、ローム・アンド・ハース社製)を1.2L、層高1.4mで充填した。通水速度はSV=33とした。通水期間中、アニオン交換樹脂カラム出口水のサンプリングを行い、ホウ素、シリカ、比抵抗の測定を行った。その結果を図3に示す。なおSVとは、イオン交換樹脂の単位体積(L−R)に対して1時間に流通させる流量(L)であるL/L−R・h−1で表される空間速度である。
図3に示す通り、比抵抗(凡例(a))およびシリカ(凡例(c))は通水開始14日後に破過が生じたが、ホウ素(凡例(b))は通水開始10日後に破過が開始した。即ち、比抵抗あるいはシリカ濃度で管理しているイオン交換樹脂装置の運用方法をホウ素濃度での管理に置き換えると、およそ1.4倍の再生頻度増が示唆された。このことから、単にホウ素濃度での管理に置き換えて薬品再生を行うと、薬品の消費量が著しく増加することが明らかである。
PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のカラム(直径:25mm)に、強塩基性アニオン交換樹脂(IRA402BL、ローム・アンド・ハース社製)23℃において5ppbホウ素水溶液と平衡状態にある強塩基性アニオン交換樹脂(IRA−402BL、ローム・アンド・ハース社製)を300mL、層高60cmで充填してアニオン交換樹脂塔を得た。前記アニオン交換樹脂塔に、23℃の5ppbホウ素水溶液を下降流で通水し、カラム入口とカラム出口でのホウ素濃度が等しくなった時点で通水を終了し、模擬ホウ素破過樹脂カラムを調製した。上記カラムに再生水として、50℃の超純水(比抵抗18.2MΩ・cm(25℃)、ホウ素濃度5ppt以下)をSV=80で下降流で通水した。カラム出口水を冷却した後、超純水用ホウ素分析系(DLM71000−01、SIEVERS社製)にて測定した。その結果を図4に示す。
再生水として通水させた超純水の温度を23℃とした以外は実施例1と同様の方法でカラムに通水した。カラム出口水のホウ素濃度を測定し、その結果を図4に示す。
実施例1は、BV=1800で再生が完了したのに対し、比較例1では、BV=5000で再生が完了した。このことから、被処理水の温度よりも高い温度の水で再生した場合には、極めて少ない再生水の量、即ち、短時間でアニオン交換樹脂の再生が行えることが判った。さらに、再生水の温度を上げれば、さらなる再生時間の短縮が図れる。
14 温水再生処理
Claims (3)
- 強塩基性アニオン交換樹脂に被処理水を通水する工程と、前記強塩基性アニオン交換樹脂に前記被処理水よりも高い温度の水を通水する再生処理工程を有することを特徴とする、超純水の製造方法。
- 前記再生処理工程で通水する水は、強塩基性アニオン交換樹脂で処理済の水であることを特徴とする請求項1に記載の超純水の製造方法。
- 前記再生処理工程で通水する水の温度は、50℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の超純水の製造方法。
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