JP2009226336A - プロセス水の浄化処理方法 - Google Patents

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雅世 篠原
Kazushige Kawamura
和茂 川村
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聡 小木
Hiromi Koshizuka
博美 腰塚
Hiroo Takahata
寛生 高畠
Tadahiro Uemura
忠廣 植村
Masahide Taniguchi
雅英 谷口
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Abstract

【課題】FT法において液化炭化水素の副産物として生じる副生成水を浄化して各種用途に利用可能な水とする際の設備コスト、ランニングコストの低減を図る。
【解決手段】合成ガスを用いた炭化水素の製造により得られた反応物から分離された副生成水に対して湿式酸化処理(1)を行うことにより1次処理水を得る。次いで、この1次処理水に対してクロスフロー方式で半透膜分離処理(2)を行い浄化水を得る。この浄化水は、河川や海等に排水するものとしてもよいが、好ましくは、工業用水、灌漑用水、飲用水等として使用される。また、半透膜分離処理(2)で発生する濃縮水に対して、生物処理を行うとともに固液分離を行うことにより濃縮水を浄化する。また、この生物処理された水は、例えば、半透膜分離処理(2)に返送されて、再び処理される。
【選択図】図1

Description

本発明は、一酸化炭素ガスおよび水素ガスからフィッシャ・トロプッシュ反応等により液体炭化水素混合物を生成した際に副生成される副生成水を処理して各種用途に利用可能な水を得るための副生成水の浄化方法に関する。
一酸化炭素と水素からなる合成ガスから触媒反応を用いて液体炭化水素混合物を合成するフィッシャ・トロプッシュ反応(合成)が知られており、FT法と略称されている。
FT法は、例えば、石炭、木質燃料、バイオマス、含炭素廃棄物等の固体原料や、天然ガス等の気体原料の部分燃焼や水蒸気を用いたガス化により上述の合成ガス(CO,H2)を製造し、これをFT法により鉄触媒、もしくはコバルト触媒を用いて液化炭化水素とする。
従来、安価な石油が大量に供給されていたので、FT法が積極的に用いられることがあまりなかった。しかし、FT法を用いて得られる液体燃料、例えば、ディーゼル燃料やジェット燃料は硫黄分が少なく、環境への影響が少ないことなどから見直されている。また、未だ多くの埋蔵量を有する天然ガスを石油の代替として利用するために、天然ガスをFT法により液化炭化水素とすることが望まれている。そして、天然ガス由来の液化炭化水素を原料として石油製品と同等の製品を製造することを可能とすることができる。すなわち、比較的豊富に存在する天然ガスの用途を液化炭化水素とすることで広げることができる。
また、FT法で天然ガスを液化することにより、従来のように天然ガスを極低温に冷却して液状に保持することなく、室温レベルで液体として貯蓄や輸送が可能となる。
近年注目されているメタンハイドレートに含まれるメタンガスもFT法により液化可能である。
ここで、FT法における化学反応は、以下の化学式で表すことができる。
(2n+1)H2+nCO→Cn2n+2+nH2
すなわち、FT法では、水素ガスと一酸化炭素ガスから炭化水素とともに副生成物として水(フィッシャ・トロプッシュ副生成水)が生成することになる。
このフィッシャ・トロプッシュ副生成水と炭化水素の混合物から3相セパレーターやコアレッサー等によりガス(ガス状炭化水素)、油(液状(液化)炭化水素)、副生成水に分離し、分離された液化炭化水素が例えば石油の代替として利用されることになる。
残った副生成水には、取りきれなかった浮遊状態の炭化水素や、水に溶解した状態の炭化水素、及び触媒由来の金属等の成分が不純物として含まれることになる。
[語句の定義]
本発明の技術開示に当り、未処理の副生成水に含まれる前記炭化水素を4つのカテゴリーに分けて定義し、これを用いて以下詳細に説明する。
「炭化水素系有機物」とは、未処理の副生成水に含まれる全ての有機物を示す。
「炭化水素」とは、セパレーターで取りきれず、浮遊(油)状態で含まれる炭化水素系有機物、即ち脂肪族/芳香族/脂環族の炭化水素系有機物と水に難溶な酸素含有炭化水素系有機物との混合物を示し、例えば、ヘキサン、ベンゼン、フェノール、ベンズアルデヒド等である。
「非酸性酸素含有炭化水素」とは、水溶性で酸性を呈しない酸素を含む炭化水素系有機物を示し、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ホルムアルデヒド等である。
「酸性酸素含有炭化水素」とは、水に可溶で酸性を呈するカルボン酸類を示し、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸である。
また、フィッシャ・トロプッシュ反応には、例えば、低温で反応を行なうものと、高温で反応を行なうものとがあり、低温で反応を行なうものには、コバルト触媒を用いるものと鉄触媒を用いるものとがあり、高温で反応を行なうものには、鉄触媒が用いられ、これらフィッシャ・トロプシュ反応の方法の違いによって、副生成水に含まれる成分が異なる。
このような副生成水は、そのままの状態で排水すると環境を汚染することになるとともに、副生成水の有効利用が望まれることから、水処理されて排水されるかもしくは工業用水等として利用される。
このような副生成水の水処理(精製)では、例えば、蒸留と、生物学的処理とを含む多段階での処理を行なう方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、蒸留と、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透膜等による膜分離処理とを含む多段階での処理を行なう方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの方法では、多段階処理の1次処理として蒸留を行うことにより、「炭化水素」は勿論のこと「非酸性酸素含有炭化水素」の大部分を除去することができる。
そして、残った「酸性酸素含有炭化水素」を生物学的処理や膜分離により除去することになる。
また、上述の一酸化炭素と水素からなる合成ガスを用いてジメチルエーテル(DME)を合成し、これを例えばディーゼル燃料等として利用することが行われている。
この合成ガスを用いたDME合成方法においても、副生成水が発生するため、前記副生成水と同様に処理する必要がある。
特表2005−534469号公報 特表2006−514579号公報
ところで、上述のように副生成水に多く含まれる「非酸性酸素含有炭化水素」を分離するための工業的な蒸留には、例えば、大量のスチーム(ボイラで発生させたスチームにより副生成水を加熱する場合)が必要となる。その消費量は、概算で、例えば1000m3/hの副生成水を蒸留する場合に、300〜400ton/hとなる。なお、スチーム単価を¥40/kgとした場合、その運転費は約1500万円/hとなる。
すなわち、蒸留の場合には、加熱のために多くのランニングコストを必要とする。
なお、蒸留では、「炭化水素」や「非酸性酸素含有炭化水素」が主に水から分離される。
また、蒸留の場合に、分離された「炭化水素」や「非酸性酸素含有炭化水素」は、水を多く含んだ状態となっているが、この水を多く含む分離された有機物をさらに処理する必要がある。例えば、燃料を用いて該有機物を焼却する焼却処理を行なう必要がある。この際に、該有機物が水を多く含むことから、該有機物だけで燃焼させることが困難であり、分離された該有機物にさらに燃料を加えて燃焼させることになり、極めて非効率的である。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、蒸留を用いずに、かつ、蒸留よりランニングコストの低減可能な湿式酸化により副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」の多くを除去する副生成水の浄化処理方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の副生成水の浄化処理方法は、一酸化炭素ガスおよび水素ガスを用いて液体炭化水素混合物を合成する際に生じる副生成水を浄化する副生成水の浄化処理方法であって、
前記副生成水に対して湿式酸化処理を行うことにより1次処理水とし、
前記1次処理水を半透膜を用いて浄化水と濃縮水とに分離することを特徴とする。
請求項1に記載の湿式酸化処理により副生成水に含まれる「炭化水素」、「非酸性酸素含有炭化水素」、及び「酸性酸素含有炭化水素」は、いずれも、水に含まれたままで酸素原子/炭素原子間の化学結合や炭素原子/炭素原子間の結合切断(小分子化)等の酸化分解を受け、時間を経るに従い、低級酸性酸素含有炭化水素を経て、最終的に二酸化炭素と水に分解される。従って、現行の蒸留法のように気化しうる「炭化水素」または「非酸性酸素含有炭化水素」を分離後、焼却(二酸化炭素と水に分解)する必要がない。 この場合に、焼却によっても二酸化炭素が発生するが、湿式酸化処理では、上述の焼却処理のように燃料を用いて燃焼させるわけではないので、燃料を用いて燃焼させる焼却処理より、二酸化炭素の発生量を減少させることができる。また、燃料分のコストの削減を図ることができる。
また、有機物分解は一般に焼却で見られるように高温度下で酸化分解されるが、湿式酸化法では、この際に生じる有機物分解熱を利用して行うため、高COD濃度(10000mg/L以上)の副生成水を効率的に浄化処理できるとともに、加熱用エネルギーの低減によるコストダウンを図ることができる。すなわち、蒸留のように外部からのエネルギーだけにより、「炭化水素」及び「非酸性酸素含有炭化水素」を分離するわけではなく、酸化による反応熱を利用できるので、効率的に「炭化水素系有機物」を除去することができる。
また、湿式酸化法による「炭化水素系有機物」の除去率(COD除去率)を例えば100%に近い値として、副生成水を水(工業用水、灌漑用水、飲用水等)として利用可能なレベルとする場合に、湿式酸化反応容器の大型化が必要となり、設備コストの低減等を図ることができないが、「炭化水素系有機物」の除去率を後述のように80〜95%のレベル、あるいは「炭化水素」および「非賛成酸素含有炭化水素」の除去率を95%以上のレベルまでとし、その後、半透膜分離処理により、工業用水等として利用可能なCOD除去率とすることで、湿式酸化反応容器として小型のものが使用可能となり、設備コストの低減を図ることができる。
なお、「炭化水素系有機物」の除去率はCOD除去率と近似できるので、この例では「炭化水素系有機物の除去率としてCOD除去率を用いている。
本発明では、湿式酸化単独ではなく、湿式酸化と複数段階の浄化処理を組み合わせることで、効率的に副生成水を浄化することができ、特に蒸留を用いた場合と比較して効率的に副生成水の浄化が可能であり、設備コストおよびランニングコストの低減を図ることができる。
また、半透膜分離処理により、溶存塩類や分子量の小さい有機物も除去可能となり、分離された浄化水を飲用水とすることも可能となる。
請求項2に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項1に記載の発明において、前記湿式酸化処理により副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」の50%〜95%を除去、あるいは「炭化水素」および「非酸性酸素含有炭化水素」の95%以上を除去して1次処理水とすることを特徴とする。
但し、ここで、「炭化水素系有機物」とは、未処理の副生成水に含まれる全ての有機物を示し、「炭化水素」とは、浮遊(油)状態で含まれる炭化水素系有機物を示し、「非酸性酸素含有炭化水素」とは、水溶性で酸性を呈しない酸素を含む炭化水素系有機物を示す。
請求項2に記載の発明においては、湿式酸化処理により副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」を100%近くまで除去するのではなく、80%〜95%程度、あるいは「炭化水素」及び「非酸性酸素含有炭化水素」を95%以上の程度に抑えることで、湿式酸化処理の設備の小型化を図ることができる。すなわち、この段階で水の利用が可能となるレベルまで高度処理しようとすると、例えば、連続処理では長い湿式酸化反応処理槽を形成するなどして、長い時間に渡って副生成水を触媒と酸化剤(例えば、空気中の酸素)に接触させるなどする必要が生じ、設備が大型化する。特に、副生成水の「炭化水素系有機物」の含有量が低下した状態で、さらに、該有機物を除去するための設備にコストがかかることになる。
それに対して、副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」を100%近くまで除去するのではなく、80%〜95%程度、あるいは「炭化水素」および「非酸性酸素含有水素」を95%以上の程度に抑えることにより、大幅に設備コストを低減することになる。したがって、湿式酸化処理に生物処理等のその他の処理を組み合わせることにより、その他の処理の設備コストやランニングコストがかかるものとしても、設備全体、処理全体としてはコストの低減を図ることができる。
請求項3に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項1または2に記載の発明において、
前記濃縮水を2次処理水とし、当該2次処理水の少なくとも一部に対して生物処理を行うことにより3次処理水とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明における半透膜分離処理がクロスフロー方式で行なわれることから、必ず濃縮水が発生することになる。濃縮水においては、1次処理水よりも炭化水素を含む不純物濃度が濃縮されて高くなっている。したがって、濃縮水を廃棄するにしてもなんらかの浄化処理を行なう必要があるが、ここでは、生物処理により濃縮水を浄化する。
請求項4に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項3に記載の発明において、前記生物処理では、膜分離による固液分離を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、生物処理に起因する菌体等の固形物を多く含む処理水を分離膜を用いて固液分離するので、従来の自然沈殿法による固液分離と比較して、処理時間の短縮、処理設備の小型化、設備コストの低減を図ることができる。また、分離膜によって固形分を除去することができるので、後述するように、3次処理水を半透膜分離処理する場合、半透膜のろ過性能および分離性能が向上する。
請求項5に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項3または4に記載の発明において、
前記生物処理が行われた3次処理水の少なくとも一部を、前記1次処理水に返送することを特徴とする。
湿式酸化後の半透膜分離処理で発生する濃縮水を生物処理することにより、炭化水素濃度を低減できるが、生物処理では、どうしても、菌体が発生し、処理水中の浮遊物が増加することになる。上述のように固液分離に膜分離を用いることで、浮遊物の多くを除去できるが、微細な浮遊物が一部漏出する可能性がある。また、溶存塩類を除去できない。
そこで、この濃縮水由来の3次処理水を再び半透膜分離することが好ましい。この返送処理により微細な浮遊物や溶存塩類の除去が可能になるばかりでなく、浄化水としての水回収率を上げることができる。
この場合に、3次処理水を返送して1次処理水に混ぜて、上述の半透膜分離処理を行うものとしてもよいし、上述の半透膜分離処理とは別の設備で半透膜分離処理を行なうものとしてもよい。3次処理水を返送して1次処理水に混ぜて、上述の半透膜分離処理を行う場合、混ぜない場合と比較して半透膜分離処理の供給水中の有機物濃度が低下し、半透膜分離処理における透水性能および分離性能の向上などに寄与する。また、上述の半透膜分離処理とは別の設備で半透膜分離処理を行なう場合、それぞれ異なる供給水質に見合った半透膜を選択することにより、運転コストの削減、省エネルギー化を図ることができる。
これにより、上述の濃縮水を工業用水、灌漑用水、飲用水等として利用可能なレベルまで浄化することができる。
また、この半透膜分離処理により濃縮水が発生し、これを処理する必要があるが、濃縮水を副生成水に戻すことにより、工程を簡素化することができる。
また、生物処理水には、難生物分解性の有機物は分解せずにそのまま含まれ、後段の半透膜処理(5)の濃縮水に濃縮される。この濃縮水を湿式酸化処理(1)に返送することにより、難生物分解性の有機物を易生物分解性に変換することが可能である。
請求項6に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記3次処理水に対して活性炭処理および/または限外ろ過膜処理を行なった後に、半透膜で再び浄化水と濃縮水とに分離し、当該濃縮水の少なくとも一部を副生成水に返送することを特徴とする。
請求項6に記載の発明においては、半透膜による処理を行なう前に活性炭処理や半透膜より目の粗い限外ろ過膜により残留不純物を除去することにより、半透膜の負荷を低減し、半透膜の耐用期間の延長等によりコストの低減を図ることができる。
請求項7に記載の副生成水の浄化処理方法は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、
前記半透膜として低ファウリング逆浸透膜を用いることを特徴とする。
請求項7に記載の発明においては、半透膜が低ファウリング逆浸透膜であるので、半透膜のファウリングによる性能の劣化を防止することができる。
副生成水に溶存する有機物(炭化水素)が膜面に付着するケミカルファウリング(化学的汚れ)や、溶存する有機物を栄養源にして微生物が増殖して膜面に付着するバイオファウリング(生物的汚れ)が起こると、半透膜の透水性能、膜分離性能が低下するという問題があるが、低ファウリング逆浸透膜を用いることで、ファウリングによる性能劣化を抑止することができる。
本発明によれば、従来のFT法等の合成ガスから液体炭化水素混合物を生成する際に生じる副生成水を低コスト且つ飲料水レベルまでに浄化精製することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、例えば、フィッシャ・トロプシュ反応のように一酸化炭素ガスと水素ガスと(合成ガス)を反応させて、液体炭化水素混合物を得る際に生じる副生成水(H2O)から前記反応等により生じる水以外の成分を除去して水を精製する副生成水の浄化処理方法である。
すなわち、本発明は、フィッシャ・トロプシュ反応等により合成ガスを触媒を用いて反応させることで生成された液体炭化水素混合物と副生成水とを分離した後に、分離された副生成水を排水しても環境に大きな影響を与えない水質レベルや、工業用水や灌漑用水として使用できる水質レベルや、飲用水として使用できる水質レベルのいずれかまで浄化・精製するものである。
この例の副生成水の浄化処理方法は、図1の工程フロー図に示すように、合成ガスを用いた液体炭化水素混合物の製造により得られた反応物から分離された副生成水に対して湿式酸化処理(1:1次処理)を行うことにより1次処理水を得る。次いで、この1次処理水に対してクロスフロー方式で半透膜分離処理(2:2次処理)を行い工業用水、灌漑用水、飲用水等として利用可能な浄化水と、2次処理水としての濃縮水を排出する。
そして、この2次処理水に対して生物処理(3:3次処理)として好気性処理および/または嫌気性処理を行うとともに、菌体等の固形物の固液分離を行うことにより3次処理水を得る。次いで、3次処理水に対して残留不純物の除去のため、活性炭処理および/または限外ろ過膜による膜分離処理(4:4次処理)を行うことにより4次処理水を得る。なお、この活性炭処理、限外ろ過膜による膜分離処理を行なわないものとしてもよい。そして、4次処理水を1次処理水側に返送して、上述の2次処理としての半透膜分離処理(2)を行なうか、4次処理水に対して上述の2次処理とは別の設備を用いてクロスフロー方式で半透膜分離処理(5:5次処理)を行い浄化水を得る。この浄化水および2次処理で得られた浄化水は、河川や海等に排水するものとしてもよいが、工業用水、灌漑用水、飲用水等として使用されることが好ましい。なお、5次処理により排出される濃縮水は、例えば、副生成水に返送し、副生成水とともに1次処理を行なうことが好ましい。
また、上述の処理は、各段階でバッチ処理としてもよいし、連続処理としてもよい。また、各段階を連続処理とした場合に、この浄化処理方法全体の工程を連続した処理としてもよい。
そして、湿式酸化処理(1)は、この例において、酸化剤として空気(空気中の酸素)を用いるとともに固体触媒を用いる周知の固体触媒湿式酸化処理を用いたものである。
空気の供給量は副生成水中に含まれるCOD負荷を持つ有機、無機化合物の濃度により選択する。詳細にはCOD成分を完全に水、二酸化炭素に酸化分解するに必要な酸素量の0.5〜5倍、好ましくは1〜3倍が供給されるように空気の供給量を定める。また、ここで使用する触媒としては、固体触媒で且つ液相酸化条件下活性と耐久性を有する酸化触媒であれば、いづれも使用することができるが、例えばアルミナ、チタニア、チタニアージルコニア等の耐火性無機質酸化物又は該酸化物に更に触媒活性物質、例えば白金、ニッケル、パラジウム、イリジウム、コバルト等を組み合わせてなる一般的な触媒を使用すると成分の分解がより効率よく行われ、好ましい。更に、処理温度は140℃以上370℃未満であり、好ましくは180℃以上300℃未満である。
そして、湿式酸化処理(1)においては、湿式酸化処理装置において触媒が充填された状態の触媒反応器に加圧した副生成水と加圧した空気とを送り込み触媒の存在下で副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」等のCOD成分、すなわち、ここでは主に上述の浮遊状態の「炭化水素」や、溶存した状態の「非酸性酸素含有炭化水素」及び「酸性酸素含有炭化水素」等を酸化して、二酸化炭素ガスと水に酸化分解する。
副生成水及び空気の圧力は処理温度に鑑みて決定し、処理温度において液が液相を保持する圧力により処理する。例えば9〜95Kg/cm2、好ましくは30〜90Kg/cm2である。
また、副生成水には、合成ガスを生成した際の原料由来の窒素成分や硫黄成分が含まれるが、SOx、NOxが発生することなく、選択酸化されて、硫酸塩、分子状窒素等となって無害化される。そして、触媒反応器を通過するとともに湿式酸化された副生成水を1次処理水として触媒反応器から流出させる。この湿式酸化処理(1)は、連続処理として行なわれ、加圧された副生成水と加圧された空気とが触媒反応器に連続的に流入され、湿式酸化処理(1)された1次処理水が連続的に流出されることになる。
また、湿式酸化処理(1)では、触媒反応器に供給される副生成水を加熱してある程度の高温で触媒反応を行なう必要があるが、上述の有機物の酸化が発熱反応であるために、触媒反応器内で熱エネルギーが発生する。そこで、触媒反応器から流出する高温の1次処理水と、触媒反応器に流入させられる副生成水とを熱交換器に通し、1次処理水の熱により、副生成水を加熱する。
すなわち、湿式酸化処理(1)で発生する反応熱を利用して、副生成水を加熱し、加熱されて高温となった副生成水を触媒反応器に送り込むようにすることで、副生成水を加熱するための熱エネルギーを外部から供給する必要がなくなる。なお、湿式酸化処理装置の始動時における副生成水の加熱等のために補助的に外部からスチーム等による熱エネルギーの供給を可能とする構成となっていてもよい。
以上のことから、副生成水を加熱するための熱エネルギーを外部から供給する必要がほとんどないので、従来の蒸留を用いた方法に比べてランニングコストを大幅に削減することが可能となる。
また、除去された「炭化水素系有機物」は、湿式酸化により、二酸化炭素と水(水は除去されずに副生成水に取り込まれる)となっており、既に燃焼したのと同じ状態となっているので、従来のように、蒸留後に分離された水を多く含む「炭化水素」及び「非酸性酸素含有炭化水素」に燃料を加えて焼却する焼却処理を行なう必要がない。これによっても焼却に必要とされる燃料等のランニングコストを低減することができる。また、焼却用プラントを必要とせず、設備コストの低減と副生成水の浄化処理用プラントのスペース効率の向上を図ることができる。
また、湿式酸化処理(1)のみを用いて含まれる全ての有機物を二酸化炭素と水に分解する高度処理によって、例えば、副生成水を工業用水等として利用可能なレベルまで精製することも可能である。しかし、この例では、例えば、「炭化水素系有機物」の除去率を80%〜95%程度、あるいは「炭化水素」および「非酸性酸素含有炭化水素」を95%以上の程度までに抑え、上述のように湿式酸化処理(1)後に半透膜分離処理(2)を行い、分離された浄化水を工業用水、灌漑用水、飲用水等として利用する。すなわち、2段階の処理により、副生成水を飲用水レベルまで浄化可能としている。
したがって、湿式酸化処理(1)のプラントとして、高度処理が可能な大型のプラントを設ける必要がなく、比較的に小規模のプラント、例えば、蒸留用のプラントより小さなプラントでも処理が可能であり、設備コストの低減と、プラントのスペース効率の向上を図ることができる。
次に、半透膜分離処理(2)により、1次処理水に残留する炭化水素系有機物や溶存塩類を除去することにより、浄化水を上述のように工業用数、灌漑用水、飲用水等に利用可能とする。なお、半透膜分離処理(2)により、細菌だけではなくウイルスまでろ過されることになり、飲用水としての利用も可能となる。
また、半透膜分離処理(2)によれば、溶存塩(金属イオン等)も飲用水として使用可能なレベルまで除去可能であり、上水として使用可能なレベルとなる。
半透膜とは、一定の大きさ・分子量のイオンまたは分子のみを透過させる膜であり、ナノろ過膜や逆浸透膜によって例示される。
半透膜は、ろ過水中の溶質を、再生水として利用可能な濃度にまで低減することができる性能を有していることが要求される。ナノろ過膜とは、操作圧力が
1.5MPa 以下,分画分子量が 200 から1000 で,塩化ナトリウムの阻止率 90%以下のろ過膜と定義されており、それより分画分子量の小さく、高い阻止性能を有するものを逆浸透膜という。溶質や懸濁物質の濃度が低い場合には、操作圧力が小さいナノろ過膜を使用することが好ましく、溶質や懸濁物質の濃度が高い場合には、逆浸透膜を使用することが好ましい。
また、溶存有機物が膜面に付着するケミカルファウリング(化学的汚れ)や、溶存有機物を栄養源にして微生物が増殖して膜面に付着するバイオファウリング(生物的汚れ)による透水性低下や除去性能低下が懸念される場合は、それらが起こりにくい低ファウリング膜であることが好ましい。例えば、透過水量低下率は以下のようにして求める。25℃にてpH6.5、1,500mg/l塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力1.0MPaにて膜に透過させて1時間ろ過した時の透過水量を前透過水量(F1)とし、続いて、この評価液にノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)を100mg/lになるように添加してから1時間経過後の透過水量を後透過水量(F2)としたときに、定義される
透過水量低下率=1−(F2/F1)。
が、0.35以下であるもの、好ましくは0.20以下であるものを示す。このような膜を用いることにより、膜面への有機物の吸着が殆どなく、透水性の低下が僅かで、透過水を安定して得ることができる。
このような低ファウリング膜を製造する方法としては、例えば、ポリアミド膜表面にポリマーをコーティングすることで、ファウリングによるフラックス低下を抑える方法(国際公開第97/34686号パンフレットおよび特開2000−176263号公報を参照)、膜面に残存する酸塩化物やアミノ基と反応する化合物で表面処理を行う方法(特開2002−224546号公報および特開2004−243198号公報参照)、膜面に電子線、紫外線、放射線などを照射したり、さらにグラフト重合によって表面改質する方法(特開2007−014833号公報参照)、表面を平滑にして付着面積を低減させる方法(Eric
M.Vrijenhoek, Seungkwan Hong, Menachem Elimelech, “Influence of membrane
surface properties on initial rate of colloidal fouling of reverse osmosis and
nanofiltration membranes,”Journal of Membrane Science 188(2001)115-128参照)などが挙げられる。
このような低ファウリング逆浸透膜の例としては、東レ株式会社製TML20シリーズ、日東電工株式会社製LF10シリーズ、Hydranautic社製LFCシリーズおよびESNA−LFシリーズ、ダウ社製BW30−FRシリーズ、オスモニクス社製Seasoft HLシリーズなどの半透膜が挙げられる。
供給水を半透膜を用いてろ過する場合、少なくとも、供給水側と透過水側の浸透圧以上の操作圧力が必要となる。このための加圧ポンプは、ろ過水を加圧することができれば特に制限されるものではなく、渦巻ポンプ、ディフューザーポンプ、渦巻斜流ポンプ、斜流ポンプ、ピストンポンプ、プランジャポンプ、ダイアフラムポンプ、歯車ポンプ、スクリューポンプ、ベーンポンプ、カスケードポンプ、ジェットポンプなどを用いることができるが、逆浸透処理するために必要な圧力にまで容易に加圧できることから、渦巻ポンプ、ディフューザーポンプ、ピストンポンプ、プランジャポンプ、カスケードポンプ、ジェットポンプなどが好ましく用いられる。
ナノろ過膜や逆浸透膜は、中空糸膜や平膜の形状があり、いずれも本発明を適用することが出来る。また、取扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に納めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いることができる。この流体分離素子は、ナノろ過膜や逆浸透膜として平膜状の半透膜を用いる場合、例えば図2に示すように、多数の孔を穿設した筒状の中心パイプ17の周りに、半透膜10と、トリコットなどの透過水流路材12と、プラスチックネットなどの供給水流路材11とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。この流体分離素子において、供給水13は、一方の端部からユニット内に供給され、他方の端部に到達するまでの間に半透膜10を透過した透過水15が、中心パイプ17へと流れ、他方の端部において中心パイプ17から取り出される。一方、半透膜10を透過しなかった供給水13は、他方の端部において濃縮水14として取り出される。
半透膜10の素材には酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができる。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い分離機能層を有する複合膜のどちらでもよい。
しかしながら、中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを分離機能層とした複合膜が好ましい。特に、溶質を高濃度に含む原水とするような場合には、第一の半透膜ユニットでは浸透圧以上の圧力をかける必要がある。この圧力に対して、高い透水性と阻止性能を維持するためにはポリアミドを分離機能層とし、それを微多孔性膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが適している。また、ポリアミド半透膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの分離機能層を支持体に有してなる複合半透膜が適している。
分離機能層は、酸やアルカリに対して化学的安定性が高い架橋ポリアミドからなるもの、もしくは架橋ポリアミドを主成分とするものからなることが好ましい。架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成され、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物成分の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5ートリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。さらには、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いたり、混合して用いたりしてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、ビフェニレンカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いたり、混合して用いたりしてもよい。
そして、微多孔性支持膜を含む支持体は、実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する架橋ポリアミドの分離機能層に機械的強度を与えるために設けられるもので、布帛や不織布などの基材上に微多孔性支持膜を形成したものなどが用いられる。
微多孔性支持膜は、それ自体では実質的には半透膜としての分離性能を有さない層で、実質的に分離性能を有する分離機能層に機械的強度を与えるために用いられるものであり、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもっていて、その微細孔の大きさはその片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。
上記の支持体は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販フィルター材料から選択することもできるが、通常は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その素材にはポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。
例えば、上記ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。微多孔性支持膜の素材としては、ポリスルホン以外にポリアミドやポリエステルも好ましく用いられる。
また、半透膜の運転条件(ろ過流束、回収率など)は、使用するナノろ過膜や逆浸透膜の種類によって、また、被処理水水質や透過水水質の要求によって適宜決定することが出来るが、ろ過流束は、膜のファウリングを最小限にすることを念頭に決定することが好ましい。被処理水に対する透過水の割合である回収率に関しては、高い方が好ましいが、高くするほど、透過水質が悪化することに留意する必要がある。また、回収率が高すぎると溶けきれなくなった溶質が膜面で析出し、膜を傷つけたり、流路を閉塞したりするため、析出しない範囲に回収率を設定することが必要である。
もちろん、析出防止のためにスケール防止剤を添加すれば、析出がある程度抑えられるため、回収率を高く設定することも可能である。また、回収率が高過ぎる場合は、被処理水流量を減少させれば、回収率を高く維持できるが、被処理水流量を著しく小さい量まで減少させると膜面での滞留が生じやすくなる(すなわち、濃度分極が大きくなって性能低下を生じる)ため、被処理水流量を推奨範囲に維持する必要がある。そのため、被処理水流量を適正範囲に維持する目的で、ナノろ過膜や逆浸透膜を多段にして、回収率を上げても良い。
ここで、クロスフロー方式で行なわれる半透膜分離処理(2)では、濃縮水が発生することになるが、この濃縮水を返送し、3次処理として生物処理装置において、生物処理(3)を行なう。
生物処理(3)では、前段階として好気性処理および/または嫌気性処理が行なわれる。
ここで、1次処理において、従来のように蒸留を行なった場合には、主に「炭化水素」及び「非酸性酸素含有炭化水素」が除去され、「酸性酸素含有炭化水素」が残留することになり、その残留量が高温のFT反応の場合と、低温のFT反応との場合で異なるため、1次処理後の残留成分の違いにより、好気性処理と、嫌気性処理とを使い分けたり、嫌気性処理と好気性処理との組み合わせを用いたりすることになる。
また、本発明においては、1次処理として湿式酸化処理(1)を行う。
、従来の蒸留処理では「炭化水素」や「非酸性酸素含有炭化水素」が主に除去され、「酸性酸素含有炭化水素」が主に残留する。従って分離は気液平衡によるため、蒸留温度/圧力が「炭化水素系有機物」に含まれる化学種、その濃度及びその混合割合によって変動するが、湿式酸化処理条件は含まれる成分によって変動しない。ただし、湿式酸化方法の条件、例えば、温度や触媒等によって、残留成分や濃度にある程度の違いが生じる可能性があり、また、「炭化水素系有機物」除去率の設定によっても成分に違いがでる可能性がある。さらに、半透膜分離処理(2)で濃縮されることから、それらによって、好気性処理を選択したり、嫌気性処理を選択したり、嫌気性処理と好気性処理とを組み合わせて使うものとしてもよい。
生物処理は、被処理水中に含まれる有機物を、生物(特に微生物)を利用して処理する方法である。即ち、前記有機物は、生物(微生物)の基質としてなり、生物(微生物)に摂取されることにより処理される。生物処理は、大きく嫌気処理と好気処理に分類され、好気性処理としては、周知の方法を用いることができる。たとえば、好気性処理としては、微生物(原生動物等を含む)を浮遊状態とする活性汚泥法(例えば、標準活性汚泥法、嫌気好気活性汚泥法、循環式硝化脱窒法、A2O(嫌気・無酸素・好気)法、オキシデーションディッチ法、接触酸化法、純酸素活性汚泥法、膜分離式活性汚泥法など)と、微生物を担体に保持して生物膜を形成する生物膜法(生物固定法)とがある。また、生物膜法には、担体を処理される水面下に浸漬した状態に固定する方法と、担体を移動(例えば、回転)させる方法と、担体を固定せずに処理される水面下で流動可能な状態とする方法などが知られているが、いずれを用いるものとしてもよい。また、処理される水をエアや攪拌器により槽内で攪拌する方法や、担体に固定された生物膜に対して水を流下させる方法などがある。
ここでは、既に、1次処理され、「炭化水素系有機物」濃度が低減されていることや、余剰汚泥が少ない方が好ましいことなどから担体に微生物を保持させる生物膜法を好適に用いることができるが、一般的な方法としての活性汚泥法を用いてもよい。
嫌気性処理においても、微生物を浮遊状態とするものと、担体に保持させるものとが知られ、単槽メタン発酵プロセス、多段式メタン発酵プロセス、中温メタン発酵プロセス、高温メタン発酵プロセス、酸生成プロセス、水素発酵プロセスなどが例示される。嫌気性処理は、好気性処理よりも処理時間が長くなるが、この例においては、曝気エネルギーが削減できることや、余剰汚泥が少ない方が好ましいことなどから、嫌気性処理も好適に用いることができる。
副生成水の「炭素系有機物」濃度が高いときには、曝気エネルギー削減に寄与するため、嫌気性処理が特に好ましい。
生物処理は、被処理水の成分濃度、固液分離後の処理水の要求水質などによって様々な組合せが可能である。例えば、濃縮水の有機物濃度(COD、BOD、TOC等)が高い(例えば2,000mgCOD/L以上)場合には、まず嫌気処理を行ってから、好気処理を行うことが、省エネやコスト削減の観点から好ましい。また、被処理水の窒素成分濃度が有機物成分比で高い(例えば、COD/N比20以下)場合には、硝化脱窒法を導入することが好ましい。さらに、被処理水のリン成分濃度が有機物成分比で高い(例えば、COD/P比100以下)場合には、生物学的リン除去法や凝集剤添加リン除去法を導入することが好ましい。
そして、生物処理(3)では、微生物の菌体等からなる汚泥が生じることになるので、固液分離処理が必要である。一般的な凝集沈殿法による固液分離でも何ら差し支えないが、この例では沈殿法ではなく膜分離法で固液分離を行うが好ましいまた、重力沈殿法や砂ろ過法によって固液分離した後、膜ろ過法による固液分離を行うことも好ましい。膜分離法は、例えば、分離膜を備えた分離膜ユニットを上述の生物処理(3)のための処理槽内部もしくは外部に配置し、生物処理(3)で処理された3次処理水を取り出すものである。
なお、分離膜を備えた膜分離ユニットを処理槽内に配置する場合には、その周囲の被膜ろ過水をエアやその他方法で流動させた状態とすることが好ましい。また、分離膜ユニットを外部に配置する場合には、処理槽の外部に配置された分離膜ユニットに処理槽の被膜ろ過水をクロスフロー方式で供給し、分離膜ユニットを通過しなかった処理水を再び処理槽に返送する。
膜ろ過法に用いる分離膜の構造としては、多孔質膜や、多孔質膜に機能層を複合化した複合膜などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの膜の具体例としては、ポリアクリロニトリル多孔質膜、ポリイミド多孔質膜、ポリエーテルスルホン多孔質膜、ポリフェニレンスルフィドスルホン多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜等の多孔質膜などが挙げられるが、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜やポリテトラフルオロエチレン多孔質膜は耐薬品性が高いため、特に好ましい。さらに、これら多孔質膜に機能層として架橋型シリコーン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリルブタジエン、エチレンプロピレンラバー、ネオプレンゴム等のゴム状高分子を複合化した複合膜を挙げることができる。
また、分離膜の形態は、平膜、回転平膜、中空糸膜、チューブラー膜などあるが、特に限定されない。この中では、分離膜として平膜(シート状分離膜)を用い、フレームの両面にろ過水流路材を挟んで分離膜を接着した平膜エレメント構造をしていることが、膜面に平行な流速を与えた場合の剪断力による汚れの除去効果が高いことから特に望ましい。
また、分離膜の膜孔径は、活性汚泥を固形成分と溶解成分とに固液分離できる孔径であることが好ましく、精密ろ過膜や限外ろ過膜が該当する。膜孔径が大きければ、膜透水性が向上するが、膜ろ過水に固形成分が含有する可能性が高くなる傾向がある。一方、膜孔径が小さければ、膜ろ過水に固形成分が含有する可能性が小さくなるが、膜透水性が低下する傾向がある。具体的には、0.01〜0.5μmとすることが好ましく、0.05〜0.2μmとすることがさらに好ましい。
膜分離法を用いた場合には、活性汚泥法等と異なり、汚泥を凝集沈殿により分離させる必要がなく、汚泥を処理槽に残した状態で、処理水だけを膜分離により取り出すことができる。
したがって、例えば、汚泥を分離する沈殿槽等を必要とせず、汚泥が取り出されないので汚泥の高濃度化や省スペース化を図ることができる。
また、生物固定法においても、余剰汚泥が浮遊した状態となるが、これを容易に膜分離することができる。
このように、固液分離に膜分離法を用いることで、スペース効率の向上やコストの低減を図ることができる。また、分離膜によって固形分を除去することができるので、3次処理水を半透膜処理する場合には、半透膜のろ過性能および分離性能が向上する。
なお、この生物処理(3)では膜分離活性汚泥法(MBR)を好適に用いることができる。すなわち、生物処理(3)として好気性処理を用い、固液分離として精密ろ過膜又は限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法を用いることができる。生物処理槽内に保持する汚泥(微生物)の濃度を高め、微生物をいわば飢餓状態にして水処理を行うことが好ましい。汚泥が高濃度で且つ飢餓状態では、微生物あたりのエサの量が 極めて少ないため微生物が増殖しにくく、また、死んだ微生物をエサとして分解する微生物の数も多いため、余剰汚泥の発生が抑制され、余剰汚泥の処理に要するコストを低減することができる。
このような膜分離式活性汚泥法には、上記分離膜を処理槽内に浸漬させた浸漬型膜分離活性汚泥法と、分離膜を収容した膜分離装置を処理槽外部に設置し、処理槽内の汚泥を膜分離装置に供給し、その送液流れを利用して分離膜表面を洗浄しながら膜ろ過し、膜分離できなかった汚泥を処理槽内に返送する循環式膜分離活性汚泥法が好適に利用できる。特に、生物処理のための曝気を膜表面洗浄のために同時に利用することによって、エネルギー消費量を低減できる浸漬型膜分離式活性汚泥法が好ましい。
膜ろ過を行い膜透過水を得る方法として、膜ろ過の二次側から吸引ポンプで引き抜く方法や水頭差を利用する方法等がある。分離膜に接触する活性汚泥の濃度は、2,000mg/L〜20,000mg/Lであることが好ましい。また、分離膜の下方部に散気装置を設置し、該散気装置に連通して設置された曝気装置(ブロア等)から、酸素を含むガス(エア等)を供給し、膜表面に付着した活性汚泥成分を膜表面から剥離させながら、膜ろ過を行うことが好ましい。被処理水の生物処理槽における滞留時間は通常1時間〜72時間であるが、被処理水性状や生物処理条件に応じて最適なものを採択するのがよい。また、凝集剤を添加する装置を設置して、生物処理槽内に貯えられた活性汚泥を含む被処理水に凝集剤を添加しても構わない。膜ろ過流束(単位膜面積あたりの膜ろ過流量)は、0.1〜1.5m/dであることが好ましい。
そして、生物処理(3)された3次処理水に対しては、活性炭処理および/または限外ろ過膜分離処理(4)を行なう。
活性炭処理は、2次処理水と活性炭を接触させ、2次処理水に含まれる不純物(生物代謝産物等)を活性炭に吸着させ、2次処理水から除去する処理である。本発明では、活性炭の形状は特に限定せず、粒状活性炭でも粉末活性炭でもよい。また、活性炭の原料は、ヤシ殻、石炭、コークス、木粉、おが屑、天然繊維(麻、綿等)、合成繊維(レーヨン、ポリエステル等)、合成樹脂(ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール等)など一般的に用いられるものであれば、いずれでも良い。これらの原料を、炭化、賦活して活性炭とするが、その賦活方法も特に限定されない。例えば「活性炭工業」、重化学工業通信社(1974)、p.23〜p.37の方法で製造される、水蒸気、酸素、炭酸ガスなどの活性ガスでの賦活炭や、リン酸、塩化亜鉛などを用いた薬品賦活炭などの活性炭が用いられる。活性炭処理により、残存する有機物等の不純物を吸着により除去することができる。
また、限外ろ過膜処理は、限外ろ過膜を用いて生物処理を膜ろ過する方法である。ここで、分離膜の形態は、平膜、回転平膜、中空糸膜、チューブラー膜などあり、特に限定されず、原水水質や処理条件などによって適宜選択することが出来る。たとえば、平膜は、強度が比較的高く、構造がシンプルであるが、分離膜の充填率が中空糸膜比べて低く、回転平膜は高濃度処理に適しているが、動力コストが高いという特徴を有している。限外ろ過膜装置としては、外圧式でも内圧式であっても差し支えはないが、原水の粘度が高い場合や件濁物質を多く含む場合には、目詰まりしにくい外圧式である方が好ましい。また膜ろ過方式としては全量ろ過型モジュールでもクロスフローろ過型モジュールであっても差し支えはなく、クロスフローはファウリングしにくい反面、エネルギー消費が大きいという特徴を有する。水処理一般には、エネルギー消費量が少ないことを重視し、全量ろ過型モジュールである方が多い。さらに加圧型モジュールであっても浸漬型モジュールであっても差し支えはないが、加圧型は高流束運転が可能であり、膜面積を低減させることが出来る反面、浸漬型は耐圧容器が不要のため、低コストにしやすいという特徴を有する。
ここで、膜モジュールに使用する中空糸膜としては、多孔質の中空糸膜であれば特に限定しないが、セラミック等の無機素材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルホン、塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含んでいると好ましく、さらに膜強度や耐薬品性の点からはポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましく、親水性が高く耐汚れ性が強いという点からはポリアクリロニトリルがより好ましい。分離膜表面の細孔径については、0.001μm〜0.1μmの範囲内で便宜選択することができる。また、分離膜として中空糸膜を用いる場合、中空糸膜の外径,内径は特に限定されないが、細すぎると流動抵抗が大きくなり、太すぎると膜の充填率が低下するので、注意が必要である。また、中空糸膜の振動性が高く、洗浄性に優れるという観点からすると250μm〜2000μmの範囲内であると好ましい。
限外ろ過膜分離処理により、分子量の小さな塩類等を除去できないが、分子量の大きい有機物を除去することができる。これらは、次に行なわれる半透膜分離処理(2,5)の前処理として行なわれるもので、3次処理水から残存する有機物等を減量させることで、半透膜にかかる負荷を低減し、半透膜の耐用期間の延長を図り、コストを低減することができる。
なお、限外ろ過膜処理をクロスフロー方式で行う場合に、濃縮水を前の3次処理(生物処理(3))や、1次処理(湿式酸化処理(1))に返送するものとしてもよい。
そして、活性炭処理および/または限外ろ過膜分離処理(4)された4次処理水を前記1次処理水に返送して、1次処理水に混合し、2次処理の半透膜分離処理(2)を行わせるか、もしくは、新たに5次処理として半透膜分離処理(5)を行なう。なお、4次処理を行なわずに、3次処理水に対して半透膜分離処理(2,5)を行うものとしてもよい。
半透膜分離処理(5)は、基本的に半透膜分離処理(2)と同様に行なわれるが、4次処理水(3次処理水)は、既に炭化水素濃度は、1次処理水より3次処理により低下した状態となっているので、2次処理における半透膜分離処理設備より小規模な設備で、5次処理としての半透膜分離処理を行うことができる。
ここで、5次処理の半透膜分離処理(5)でも濃縮水が発生する。この濃縮水は、副生成水、2次処理水等に返送して混合することが好ましく、例えば、この例では副生成水に返送される。
以上のように、FT法等により合成ガスからの炭化水素の合成で生じる副生成水を利用可能なレベルまで浄化する際に、最初に湿式酸化処理(1)を行うが、この際に「炭化水素系有機物除去率を80%〜95%程度、あるいは「炭化水素」および「非酸性酸素含有炭化水素」除去率を95%以上の程度とすることにより、湿式酸化処理(1)の設備の小型化を図ることができる。
また、蒸留処理と比較した場合に、湿式酸化による反応が発熱反応であり、生じた熱を利用することで、加熱に使用されるエネルギーを低減することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
さらに、湿式酸化処理(1)された1次処理水と、処理前の副生成水との間で熱交換することで、1次処理水の温度を半透膜分離処理(2)に適した温度に低下させることができる。なお、熱交換しても1次処理水の温度が高い場合に、この熱を、冬季などにおいて、生物処理(3)における処理槽の温度を上げるのに用いてもよいし、他の暖房、冷房、温水供給等の有効利用を図ってもよい。
FT法により生成された副生成水を以下の方法により浄化した。
すなわち、副生成水をまず湿式酸化処理(1)し、次いで、半透膜分離処理(2)を行い、浄化水は工業用水等の各種水として利用し、濃縮水を二次処理水として生物処理(3)を行った。また、(3)を行った後に、再び、半透膜分離処理(5)処理を行った。ただし、上述の4次処理としての活性炭処理もしくは限外膜ろ過分離処理(4)は行わなかった。
湿式酸化処理(1)では、固体触媒として耐火性無機質酸化物に白金を組み合わせた触媒を用いた。
また、触媒反応器における処理水の温度を摂氏200度とした。
また、触媒反応器内の圧力を3MPaとした。
また、1時間あたり触媒lm3によって処理される排ガス体積としてのSV値を1.0h-1とした。
また、生物処理(3)としては、上述の膜分離活性汚泥法(MBR)を用いた。MBRの生物処理としては、循環式硝化脱窒法を用い、分離膜としては、ポリフッ化ビニリデン製の精密ろ過膜(平均細孔径0.08μm、東レ株式会社製)を用いた。まず、2次処理水を、活性汚泥が収容されている無酸素槽に導入し、脱窒処理した後、活性汚泥混合液を次の硝化槽に導入した。硝化槽では、空気曝気によって、好気処理(有機物分解と硝化反応)され、一部は無酸素槽に返流循環させた。このときの循環流量は、1次処理水流量の4倍とした。また、硝化槽内の活性汚泥混合液の一部を膜分離槽に導入した。膜分離槽では、上記分離膜を備えた平膜エレメントを浸漬させ、該平膜エレメントの下方部には、散気装置が設けられ、膜面洗浄と酸素供給を兼ねて曝気を行った。膜分離槽の活性汚泥混合液は、2次処理水の3倍の流量で硝化槽に返送した。膜分離槽内の活性汚泥は、吸引ポンプにより分離膜透過側を負圧にすることによって固液分離され、3次処理水としての透過液を得た。
また、半透膜分離処理(2)(5)では、水の回収率を80%とした(残り20%を濃縮水として排出(なお、副生成水等に返送可能))。半透膜としては、東レ株式会社製の低ファウリング逆浸透膜TML20−370(ポリアミド製の平膜)を用いた。ここでは、半透膜処理の供給原水を渦巻ポンプによって、前記半透膜に導入し、透過水と濃縮水を得た。
処理結果を表1に示す。
Figure 2009226336
表1に示すように、副生成水は、「非酸性酸素含有炭化水素」を15,000mg/l含み、「酸性酸素含有炭化水素」を1000mg/l含む。「炭化水素」は、10mg/lより小さい濃度であった。
そして、ニクロム酸カリウムによる酸素要求量(CODCr)は、約15,000mg/Lであった。
そして、湿式酸化処理(1)後の「酸性酸素含有炭化水素」は、酸化により僅かに増加して1200mg/lとなり、CODCrは、減少して1,400mg/Lとなった。湿式酸化処理(1)により、「炭化水素系有機物」除去率を近似したCOD除去率は、90、6%となった。
半透膜分離処理(2)における浄化水(透過水)の「酸性酸素含有炭化水素」は、40mg/lであった。また、この浄化水のCODCrは、約50mg/lであった。
そして、半透膜分離処理(2)により発生した濃縮水(2次処理水)の「酸性酸素含有炭化水素」は、4600mg/lであった。この濃縮水のCODCrは、約5000mg/lであった。そして、この2次処理水に対するMBR処理で得られた3次処理水における「酸性酸素含有炭化水素」は、50mg/lで、CODCrは、約200mg/Lであった。
また、3次処理後の2度目の半透膜処理(5)における浄化水の「酸性酸素含有炭化水素」は、3mg/lで、CODCrは、10mg/より小さいものであった。また、2度目の半透膜処理(5)における濃縮水の「酸性酸素含有炭化水素」は、150mg/lで、CODCrは、1000mg/であった。
なお、4次処理として、活性炭処理および/または限外ろ過膜処理を行った後に5次処理を行なうか2次処理に返送するものとしてもよい。
以上の処理により、副生成水を例えば工業用水や灌漑用水として十分に利用可能な水とすることができ、さらに飲用水として利用可能なレベルに精製することも可能である。そして、従来に比較して上述のように設備コストやランニングコストの低減を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る副生成水の浄化処理方法の各工程を示す工程フロー図である。 本発明で利用する平膜状の半透膜を用いた流体分離素子(エレメント)の構成を示す図である。
符号の説明
1 湿式酸化処理
2 半透膜分離処理
3 生物処理
4 活性炭処理および/または限外ろ過膜分離処理
5 半透膜分離処理
10 半透膜
11 供給水流路材
12 透過水流路材
13 供給水
14 濃縮水
15 透過水
16 端板
17 中心パイプ

Claims (7)

  1. 一酸化炭素ガスおよび水素ガスを用いて液体炭化水素混合物を合成する際に生じる副生成水を浄化する副生成水の浄化処理方法であって、
    前記副生成水に対して湿式酸化処理を行うことにより1次処理水とし、
    前記1次処理水を半透膜を用いて浄化水と濃縮水とに分離することを特徴とする副生成水の浄化処理方法。
  2. 前記湿式酸化処理により副生成水に含まれる「炭化水素系有機物」の50%〜95%を除去、あるいは「炭化水素」及び「非酸性酸素含有炭化水素」を95%以上除去して1次処理水とすることを特徴とする請求項1に記載の副生成水の浄化処理方法。
    但し、ここで、「炭化水素系有機物」とは、未処理の副生成水に含まれる全ての有機物を示し、「炭化水素」とは、浮遊(油)状態で含まれる炭化水素系有機物を示し、「非酸性酸素含有炭化水素」とは、水溶性で酸性を呈しない酸素を含む炭化水素系有機物を示す。
  3. 前記濃縮水を2次処理水とし、当該2次処理水の少なくとも一部に対して生物処理を行うことにより3次処理水とすることを特徴とする請求項1または2に記載の副生成水の浄化処理方法。
  4. 前記生物処理では、膜分離による固液分離を行うことを特徴とする請求項3に記載の副生成水の浄化処理方法。
  5. 前記生物処理が行われた3次処理水の少なくとも一部を、前記1次処理水に返送することを特徴とする請求項3または4に記載の副生成水の浄化処理方法。
  6. 前記3次処理水に対して活性炭処理および/または限外ろ過膜処理を行なった後に、半透膜で再び浄化水と濃縮水とに分離し、当該濃縮水の少なくとも一部を副生成水に返送することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の副生成水の浄化処理方法。
  7. 前記半透膜として低ファウリング逆浸透膜を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の副生成水の浄化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104093672A (zh) * 2011-12-23 2014-10-08 得利满公司 处理工业或城市废水用于再利用的处理方法和用于实施该方法的设施
JP2016209842A (ja) * 2015-05-12 2016-12-15 栗田工業株式会社 有機性排水の処理方法
CN106396278A (zh) * 2016-11-17 2017-02-15 深圳能源资源综合开发有限公司 F‑t合成废水处理方法及系统
WO2018020591A1 (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 栗田工業株式会社 有機性排水の処理方法

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