JP2009215363A - ポリイミド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性及び耐熱性に優れるポリイミド、及び該ポリイミドの製造方法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミド、並びに1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンとを反応させることによりポリアミド酸を得た後、該ポリアミド酸をイミド化することにより、前記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドを得るポリイミドの製造方法。
【化1】
Figure 2009215363

【選択図】なし

Description

本発明は、新規な繰り返し構造単位を有するポリイミド、及び該ポリイミドの製造方法に関する。本発明に係るポリイミドは、光学材料分野におけるフィルムや基材、電子材料分野における保護膜や絶縁膜、またはフレキシブルプリント回路基板等に好適に用いることができる。
芳香族ポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、力学強度及び絶縁性等に優れているため、航空宇宙材料、耐熱材料、及び電子材料等に広く用いられている。
また、芳香族ポリイミドの芳香環の一部又は全部を、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素に置換することにより、透明性に優れたポリイミドを得ることができることが知られている。このポリイミドは、液晶配向膜等の分野で利用されており、さらに耐熱性透明基材としても利用されてきている。
また、芳香族ポリイミドの芳香環を脂環式炭化水素に置換されたポリイミドとしては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAと略記することがある)と、芳香族ジアミン又は脂肪族ジアミンとの反応により得られたポリイミド等が知られている。
このようなポリイミドの一例として、下記の非特許文献1には、例えばCBDAと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと略記する)との反応により得られたポリイミドが開示されている。非特許文献1には、このポリイミドが、低い線膨張率、高いガラス転移温度、及び低い誘電率を有することが記載されている。
しかしながら、非特許文献1で用いられる上記TFMBは、トリフルオロメチル基が導入されているため、非常に高価であった。そのため、上記TFMBを用いた場合には、コストが高くつかざるを得なかった。
また、下記の特許文献1には、置換又は無置換のシクロブタンテトラカルボン酸と、直線状又はトランス配置の種々のジアミン化合物との反応により得られたポリイミド前駆体及びポリイミドが開示されている。特許文献1には、このポリイミド前駆体及びポリイミドが、低い誘電率、低い線熱膨張係数、高い透明性、及び高いガラス転移温度を有することが記載されている。
しかしながら、上記TFMB以外の直線状のジアミン化合物等を用いた場合には、加熱によるイミド化を行った後に、イミド化された化合物が非常に脆くなるという問題があった。
一方、下記の特許文献2には、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、特定のエステル型のジアミンとの反応により得られたポリイミドが開示されている。このポリイミドは、耐熱性に優れており、かつ低い線膨張率を有する。
ここで、非特許文献1に記載の上記CBDAと、特許文献2に記載のエステル型ジアミンとを組み合わせて用いれば、ポリイミドを比較的安価に得ることができる。しかしながら、非特許文献1及び特許文献2には、これらを組み合わせて用いることは何ら記載されていない。この組み合わせにより得られるポリイミドについては、下記の特許文献3に、ポリイミドの一例として示唆されている。しかしながら、特許文献3には、この組み合わせにより得られたポリイミドが、優れた耐熱性、熱可塑性、接着性及び加工性を有することは記載されているが、それ以外の特性、例えば透明性及び線膨張率に関する記載はない。
特開2005−336244号公報 特開平8−48773号公報 特開平7−3019号公報 High Performance Polymer, 13, S93−S106, 2001
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、透明性及び耐熱性に優れるポリイミド、及び該ポリイミドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば、下記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドが提供される。
Figure 2009215363
また、本発明に係るポリイミドの製造方法は、本発明のポリイミドの製造方法であって、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンとを反応させることによりポリアミド酸を得た後、該ポリアミド酸をイミド化することにより、前記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドを得ることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係るポリイミドは、下記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とする。
Figure 2009215363
本発明に係るポリイミドは、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンとを反応させることによりポリアミド酸を得た後、該ポリアミド酸をイミド化することにより得ることができる。このようにして得られたポリイミドは、透明性及び耐熱性に優れている。本発明に係るポリイミドは、ほぼ無色透明である。また、本発明に係るポリイミドは、低い線膨張率を有し得る。
(1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)
上記1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAと略記することがある)は、脂環式テトラカルボン酸二無水物である。上記CBDAとしては、cis,trans,cis−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物が好適である。
上記CBDAは、公知の方法に合成することができる。例えば、無水マレイン酸の光環化(二量化)反応により一段階で合成することができる。このような合成法は、例えば特開昭59−212495号公報、特開2003−192685号公報、特開2006−328027号公報、及びJournal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.38, 108−116, 2001等に記載されている。
上記CBDAを用いることにより、耐熱性、寸法安定性、及び透明性に優れたポリイミドを得ることができる。さらに、上記CBDAを合成するのに用いられる原料が安価であり、しかもCBDAの合成が容易であるため、CBDAを容易に入手することができる。
上記CBDAに加えて、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、従来公知の他のテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。
上記他のテトラカルボン酸無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物もしくは3,3’4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物もしくは1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン)
1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン(以下、BABBと略記することがある)は、ジアミン化合物である。これは、p−ニトロベンゾイルハライドとヒドロキノンとを縮合反応させることによりエステル基を有するジニトロ化合物を合成した後、還元反応によりニトロ基を還元させることにより得ることができる。
上記縮合反応で用いられる上記p−ニトロベンゾイルハライドとしては種々のものが使用可能であるが、コストを低減することができるので、p−ニトロベンゾイルクロライドが好ましい。上記縮合反応の際には、触媒を用いることが好ましい。
上記縮合反応で用いられる触媒としては、トリエチルアミンもしくはピリジン等の有機アミン類、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に使用される。
上記縮合反応で用いられる溶媒としては、縮合反応に際し、不活性なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンもしくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、または酢酸エチルもしくは酢酸ブチル等のエステル類等を使用することができる。またこれらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサンもしくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類が好ましい。
上記溶媒の使用量は、原料を溶解させるのに十分な量であればよく、特に限定されるものではないが、通常、原料の合計100重量部に対して50〜1000重量部程度である。反応温度は、通常0〜100℃程度であり、好ましくは0〜50℃程度である。反応時間は、1〜24時間程度である。
上記縮合反応が終了した後に、生成物である1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンは、溶解性が低いため、触媒の塩酸塩と共に析出している場合が多い。この場合、水またはメタノールもしくはエタノール等の低級アルコールに、触媒の塩酸塩を溶解させることにより除去して、1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンをろ別すればよい。
上記縮合反応後に、1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンのニトロ基の還元させる方法としては、従来公知の還元法を用いることができる。還元法としては、収率が高く、かつ反応が容易であるため、接触還元法が好ましい。
上記還元反応で用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金又はロジウムなどが挙げられる。中でも、入手が容易であり、コストを低減することができるので、パラジウムが好ましい。これらの触媒は、カーボン(活性炭)、アルミナ又はシリカゲルなどの担体表面に担持されて、使用されることが好ましい。
上記還元反応で用いられる触媒の量は特に限定されないが、原料の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
上記還元反応で使用される溶媒としては、還元反応に際し、不活性なものであれば特に限定されるものではないが、ジニトロ体である1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンを十分に溶解させ得る溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランもしくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトンもしくはメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチルもしくは酢酸ブチル等のエステル類、又はN,N−ジメチルホルムアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等を使用することができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、原料の溶解性に優れているので、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が好ましい。
上記還元反応で使用される溶媒の量は、1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンを溶解させるのに十分な量であればよく、特に限定されるものではないが、通常、上記1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼン100重量部に対して、50〜1000重量部程度である。反応温度は特に限定されないが、通常、20〜150℃程度であり、好ましくは20〜100℃程度である。
上記還元反応は通常、原料を溶媒に溶解させて触媒を添加し、水素ガスを導入して、所定の温度で撹拌しながら行われる。この反応における圧力は、通常、常圧〜ゲージ圧で1MPa程度である。上記還元反応は、水素の吸収が停止するまで継続される。上記還元反応が終了した後に、触媒をろ別により除去し、母液を濃縮あるいは冷却する等により結晶を析出させる。この結晶をろ過により取り出した後、洗浄、乾燥して目的物である上記BABBを得ることができる。必要があれば、適当な溶媒を用いて、さらに再結晶等により精製してもよい。
上記BABBに加えて、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、従来公知の他のジアミン化合物を使用することができる。
上記他の他のジアミン化合物としては、具体的には、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、もしくは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジアミン化合物、または1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3‘−ジメチルジシクロヘキシルメタン、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン、もしくは2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。
(ポリイミドの製造方法)
本発明に係るポリイミドを製造する方法としては、上記CBDAと上記BABBとを反応させてポリアミド酸を得た後、該ポリアミド酸をイミド化する方法が好ましい。
上記ポリアミド酸の合成に際しては、上記CBDAと上記BABBとを、溶媒中で反応させる。これにより、ポリアミド酸含有溶液を得ることができる。
上記CBDAと上記BABBとは、極性溶媒中で反応させることが好ましく、極性有機溶媒中で反応させることが好ましい。上記溶媒は、十分に脱水されていることが好ましい。
上記ポリアミド酸の合成方法としては、好ましくは、不活性ガス雰囲気下で、充分に脱水された有機極性溶媒等の溶媒に、ほぼ等モルの上記CBDAと上記BABBとを溶解させる。この時発熱等の変化はほとんど観察されない。これは上記BABBのアミノ基の塩基性が弱いことに起因すると思われる。次に、室温〜70℃程度の温度で1〜48時間程度反応させる。この時の反応速度は、用いる溶媒によっても異なる。上記BABBのアミノ基の塩基性が弱いため、加熱下で反応させることが好ましい。
上記CBDAと上記BABBとの反応に使用される溶媒としては、従来公知のものを用いることができ特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドもしくはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンもしくはδ−バレロラクトン等のラクトン類、エチレンカーボネートもしくはプロピレンカーボネート等のカーボネート類、モノグライム、ジグライム、トリグライムもしくはテトラグライム等のグライム類、またはジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が使用可能である。またこれらに、トルエンもしくはキシレン等の炭化水素系溶媒、またはTHFもしくはジオキサン等のエーテル系溶媒等を添加した溶媒を使用してもよい。溶媒の使用量は、得られたポリアミド酸の濃度が、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%程度となるように用いればよい。
上記のようにして得られたポリアミド酸、又は該ポリアミド酸含有溶液を用いて、該ポリアミド酸をイミド化させることにより、上記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドを得ることができる。
上記ポリアミド酸をイミド化するに際しては、熱的方法及び化学的方法の内のいずれかを用いることが好ましい。また、上記ポリアミド酸をイミド化するに際しては、熱的に脱水閉環する熱イミド化法、又は脱水剤を用いる化学イミド化法等を用いることがより好ましい。
上記熱イミド化法としては、例えば、PETフィルム、ガラス板又は金属支持体等の基板上に、ポリアミド酸含有溶液を塗布して膜状とした後、40〜150℃程度で10分〜2時間程度乾燥させた後、これを剥離してフィルム状態のポリアミド酸を得る。このポリアミド酸のフィルムを、好ましくは端部を支持体に固定した状態で加熱し、最終的に250〜400℃程度で10分〜3時間程度熱処理することで、フィルム状態で、本発明に係るポリイミドを得ることができる。
また、上記化学イミド化法としては、例えば無水酢酸等の脱水剤と、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン又はキノリン等の触媒とを、ポリアミド酸溶液に添加した後、熱イミド化法と同様の操作を行うことにより、フィルム状態で、本発明に係るポリイミドを得ることができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、本発明に係るポリイミドに各種の添加剤、無機フィラー等を添加し、複合化させることも可能である。
本発明のポリイミドをフィルム状態で用いる場合、用途にもよるが、フィルムの厚みとしては5〜200μmが好ましく、さらには10〜100μmが好ましい。
本発明に係るポリイミドは、上記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするので、透明性及び耐熱性に優れている。従って、本発明に係るポリイミドは、光学材料分野におけるフィルムや基材、電子材料分野における保護膜や絶縁膜、あるいはフレキシブルプリント回路基板等に好適に使用することできる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[FT−IR測定]
スペクトロメータとして、ThermoElectron製「NICOLET380」を用いて測定した。
H−NMR測定]
JEOL製NMR測定装置「ECX−400」を用い、DMSO−d中、23℃で測定した。
[DSC測定]
島津製作所製「DSC−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定した。
[熱分解特性評価]
島津製作所製「DTG−60」を用い、アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定し、5%重量減少温度を評価した。
[熱膨張率の測定]
SIIナノテクノロジー社製「TMA/SS6100」を用い、窒素雰囲気下、昇温速度15℃/分で測定し、100℃から200℃の熱膨張率の平均値を求めた。
[透明性の評価]
島津製作所製紫外可視分光光度計「UVmini1240」を用い、1100nm〜200nmの波長範囲の光線の透過率を測定した。
(合成例1)
窒素置換した反応容器中で、溶媒としてのTHF2300mlと、触媒としてのトリエチルアミン133.4g(1.32mol)とを使用し、ヒドロキノン66.0g(0.60mol)とp−ニトロベンゾイルクロリド233.6g(1.26mol)とを2時間反応させた。反応中、初期には6℃に冷却されていた溶液温度は、反応終了時には24℃まで上昇した。
析出した反応生成物およびトリエチルアミンの塩酸塩をろ過により取り出して、水およびメタノールで洗浄した後、トリエチルアミンの塩酸塩を除去し乾燥することにより、ジニトロ体である1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼンを得た。収率は93.5%であった。
得られた1,4−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)ベンゼン119.7gを、反応容器中でDMF700mlに溶解し、5%Pd/C(50%wet)3.0gを添加した。ここへH--ガスを供給し、内圧を0.4MPaとし、約60℃で7時間還元反応させた。触媒および溶媒を除去した後、再結晶し、減圧乾燥することにより、目的化合物である1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンを得た。収率は90.8%であった。
DSC法により融点を測定したところ320℃であった。この結晶について、H−NMR測定、及びFT−IR測定を行い、目的物である1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンが得られていることを確認した。
(合成例2)
内部照射型のガラス容器中を窒素置換し、該ガラス容器中で酢酸エチル250gおよび無水マレイン酸25.5gを混合し、冷却下で高圧水銀灯により光照射を行い、約20℃で6時間反応させた。反応終了後、析出している生成物をろ取し、酢酸エチルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、目的化合物である1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を得た。収率は7.8%であった。
得られた1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の結晶について、H−NMR測定、及びFT−IR測定を行い、目的物である1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が得られていることを確認した。
(実施例1)
窒素置換したガラス容器中で、N,N−ジメチルアセトアミド8ml、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼン0.888g(2.55mmol)、及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.500g(2.55mmol)を混合した。このとき、特に発熱等の変化は、観察されなかった。これを70℃のホットスターラー上で20時間撹拌し、均一でかつ透明な微黄色の粘調液を得た。
この溶液をPETフィルム上にアプリケータを用いて塗工し、60℃で30分乾燥させ、100℃で30分さらに乾燥させて、フィルム状態のポリアミド酸(ポリアミド酸フィルム)を得た。このポリアミド酸フィルムをPETフィルムから剥離した。しかる後、ポリアミド酸フィルムを窒素雰囲気下において、100℃で1時間保持し、200℃で1時間さらに保持し、300℃で1時間さらに保持し、イミド化を行った。このようにして、上記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドに相当するフィルム状態のポリイミド(ポリイミドフィルム)を得た。得られたポリイミドフィルムは、厚みが11μmであり、ほぼ無色透明であったが、若干脆いものであった。得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを図1に示した。
このポリイミドフィルムについて、熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は456℃と良好な値を示した。また、透明性を評価したところ、380nm〜780nmの可視光線の透過率の平均値は84.5%、400nmでの透過率は77%、吸収端波長は321nmであった。
(実施例2)
実施例1において、溶媒をN−メチル−2−ピロリドンに変更した以外は、実施例1と同様にして、上記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドに相当するフィルム状態のポリイミド(ポリイミドフィルム)を作製した。得られたポリイミドフィルムは、厚みが15μmであり、ほぼ無色透明であり、かつフレキシブルなものであった。
このポリイミドフィルムについて熱膨張率を測定したところ、25ppmと低い値を示した。また、ポリイミドフィルムは、熱膨張率の曲線の変曲点より求めたガラス転移温度が304℃であり、高い耐熱性を有していた。
このポリイミドフィルムについて、熱分解特性を評価したところ、5%重量減少温度は474℃と良好な値を示した。
実施例1で得られたポリイミドのFT−IRスペクトル。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミド。
    Figure 2009215363
  2. 請求項1に記載のポリイミドの製造方法であって、
    1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、1,4−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)ベンゼンとを反応させることによりポリアミド酸を得た後、該ポリアミド酸をイミド化することにより、前記式(1)で示される構造を主たる繰り返し構造単位とするポリイミドを得ることを特徴とする、ポリイミドの製造方法。
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