JP2009214486A - 非球面レンズの製造方法および該製造方法により得られる非球面レンズ - Google Patents

非球面レンズの製造方法および該製造方法により得られる非球面レンズ Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂フィルムとガラス製基板とを熱圧着することによって、複屈折が小さく、面精度が高い非球面レンズを製造する方法および該非球面レンズを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム1をガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板2表面に配置された熱可塑性樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面3に熱圧着して一体化することを特徴とする非球面レンズの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、非球面レンズの製造方法および該製造方法によって得られる非球面レンズに関する。さらに詳しくは、本発明は、ガラス製基板の上に熱可塑性樹脂フィルムを熱圧着することによって非球面レンズを製造する方法および該方法によって得られる非球面レンズに関する。
近年、ガラス等の球面レンズに紫外線硬化性樹脂層を積層したハイブリッドレンズがデジタルカメラまたは光ピックアップ装置等の光学装置に広く使用されている。
このようなハイブリッドレンズの製造工程は、まず、球面ガラスレンズを基材として、そのガラスレンズ基材と、その一方あるいは両方に非球面形状を転写する成形型とを組み合わせる工程を経る。そして、母材と成形型との間に樹脂組成物を充填し、光または熱により樹脂組成物を硬化させ、成形型を脱離する工程を経ることにより、表面が非球面形状になったハイブリッドレンズが製造される。
このようなガラスレンズ基材と樹脂層とが一体となったハイブリッドレンズにおいて、樹脂層の特性として、ガラス基材に対する密着性、好適な柔軟性、および表面強度などが要求される。さらに、多くのレンズでは樹脂層の表面に反射防止層を形成するため、その反射防止層との密着性も要求される。そして、プロジェクタなどの光学製品に使用される環境下では、さらに充分な高温耐久性も要求される。
例えば、特許文献1には、レンズ形状が損傷されることなく、連続的な生産を可能とする上で好適な構成のフレネルレンズ成形用スタンパと、それを用いることにより製造コストの低減に寄与しうるフレネルレンズの製造方法とが記載されている。該製造方法では、基材上に樹脂を塗布して、該樹脂を硬化させることによりレンズを形成しているが、該製造方法をそのままハイブリッドレンズに適用しても、得られるレンズの複屈折は好適なものではなかった。
また、特許文献2には、所望の角度内に高輝度で均一な光拡散効果があるフィルムレンズ、そのフィルムレンズを所望の寸法で歩留まり良く裁断できる連続したフィルムレンズ、およびそのフィルムレンズを簡単な工程で精度良く製造する方法が記載されている。該文献に記載の方法として、特許文献1に記載の方法と同様の方法の他、(i)熱プレス法、すなわち熱可塑性樹脂フィルムを加熱軟化させ、金型で加圧し、レンズ群形状を賦型する方法、(ii)熱プレス後紫外線硬化で固定する方法、すなわち電離放射線硬化性の熱可塑性樹脂フィルムに金型加工を施し、電離放射線を照射してそのフィルムを硬化させる方法、がそれぞれ記載されている。しかしながら、いずれの方法をハイブリッドレンズの製造に適用しても、複屈折が小さく、面精度が高い非球面レンズを得ることはできなかった。
特開2001−334537号公報 特開平6−347613号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂フィルムとガラス製基板とを熱圧着することによって、複屈折が小さく、面精度が高い非球面レンズを製造する方法および該非球面レンズを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、非球面レンズの製造方法を鋭意検討した結果、ガラス製基板の一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを配置して、非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を該熱可塑性樹脂フィルムに熱時当接することにより、熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に記載した事項により特定される。
本発明の非球面レンズの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板表面に配置された熱可塑性樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化することを特徴とするものである。
上記ガラス製基板の一方の面の表面形状は、平面形状または凸状曲面形状を有することができる。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を成形してなることが好ましく、さらに熱可塑性樹脂組成物をキャスト成形法または押出し成形法により成形してなるのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、環状オレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明の非球面レンズは、環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板表面に配置された該樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化することにより製造されることを特徴とするものである。
本発明は、光学歪みと耐熱性との点に優れ、かつ複屈折が小さく、面精度が高い非球面レンズを製造する方法を提供することができる。したがって、本発明の製造方法によって得られる非球面レンズは、上記特性をバランスよく併せ持つことから、光学用途に最適である。
以下、本発明について、必要に応じて図面を参照しながら具体的に説明する。
<非球面レンズの製造方法>
本発明の非球面レンズの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板表面に配置された熱可塑性樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化することを特徴とするものである。すなわち、該製造方法は以下の4工程からなる。
工程(1):熱可塑性樹脂をフィルムに成形し、熱可塑性樹脂フィルムを得る。
工程(2):工程(1)で得られた熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置する。
工程(3):工程(2)で配置した熱可塑性樹脂フィルムに、金型を熱時当接することによって、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着する。
工程(4):工程(3)で得られた非球面レンズを冷却する。
〔工程(1)〕
工程(1)は、熱可塑性樹脂をフィルムに成形し、熱可塑性樹脂フィルムを得る工程である。
フィルムを成形する方法としては、キャスト成形法、押出し成形法、カレンダー成形法などを採用することができるが、なかでもキャスト成形法および押出し成形法が好ましい。例えば、キャスト成形法とは、流動状態にある熱可塑性樹脂を、型の中または面の上に流して固化させる成形法であり、また押出し成形法とは、熱可塑性樹脂を押出し機の加熱シリンダー中で溶融流動化するとともに、スクリューで連続的に前進させ、スクリューの回転と内圧でダイ(口金)を通って連続的に一定の断面形状のフィルムを押出す成形法である。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、具体的には、例えば、光学用途に好適な環状オレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリサルホン樹脂(PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリパラフェニレン樹脂(PPP)、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂(PEPO)、ポリイミド樹脂(PPI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)などを挙げることができる。これらのうち、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)が好ましく、後述するような環状オレフィン系樹脂が特に好ましい。なお、本発明の目的を損なわない範囲で、上記樹脂は、1種単独で用いても、2種類以上併用することもできる。
また、上記樹脂以外の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体なども併用することができる。このような上記樹脂以外のものとして、具体的には、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック重合体およびその水添体、炭化水素樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムは、上記樹脂以外に種々の添加剤を含むことができる。添加剤としては、具体的には、酸化防止剤、離型剤、UV吸収剤、難燃剤、色素染料などが挙げられる。
例えば、添加剤である酸化防止剤は、熱可塑性樹脂フィルム100重量部中に、0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部、特に好ましくは0.1〜1.0重量部含有される。上記範囲内の含有量であると、添加剤のブリードアウトもなく、酸化防止剤としての効果も発現するので、好適である。
このような熱可塑性樹脂を成形して得られる熱可塑性樹脂フィルムは、ガラス製基板表面に該フィルムを熱圧着した際、少なくとも金型における非球面レンズ部に対応した形状の凹部とガラス製基板との間に空隙が生じない程度の厚さを有することを要する。
通常、フィルムの厚さは0.2mm〜2.0mmのものが用いられ、ガラス製基板と金型との間隔距離よりも厚いものを使用する必要がある。
例えば、図2に示す金型4のように、中央部ほど空間部の背が高く外周縁部に近づくほど空間部の背の低い湾曲した構造を有する凹部5において、中央部のもっとも窪みの深い部分である最深部10までの深さをZとした場合、下部のガラス製基板に平板を用いるならば、Z=0.3mmに対し、熱可塑性樹脂フィルムの厚さは0.4〜0.5mmであることが好ましい。
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で得られた熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置する工程である。
用いられるガラス製基板は、光学用途に用いられるガラスからなる基板であれば特に限定されず、その厚さは通常0.2〜5.0mmである。また、その一方の面の表面形状は、平面形状であってもよく、凸状曲面形状であってもよい。図1(A)にその一方の面の表面形状が平面形状であるガラス製基板2の垂直断面の側面図を、図1(B)にその一方の面の表面形状が凸状曲面形状であるガラス製基板3の垂直断面の側面図を示す。
ガラス製基板の平面形状または凸状曲面形状を有する面上に、工程(1)で得られた熱可塑性樹脂フィルムを配置する。具体的には、熱可塑性樹脂フィルム1とガラス製基板2〜3とが、例えば、図3(A)および図3(B)に図示したような状態になるように配置する。
〔工程(3)〕
工程(3)は、工程(2)で配置した熱可塑性樹脂フィルムに、金型を熱時当接することによって、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着する工程である。
図2に示すように、本発明で用いられる金型4は、非球面レンズ部に対応した形状の凹部5を有している。
このような金型4を熱時当接することによって、熱可塑性樹脂フィルム1とガラス製基板2〜3とが熱圧着されると同時に、熱可塑性樹脂フィルム1が、金型が有する凹部に対応した凸部に形成される。すなわち、この熱時当接によって、熱可塑性樹脂フィルムが加熱軟化しつつ、金型の凹部に対応したレンズ形状に凸設され、ガラス製基板に圧接される。その結果、熱可塑性樹脂フィルム1からなるレンズとガラス製基板2〜3とが密着し一体化された非球面レンズが得られる。
本発明の製造方法は、例えば、特許文献2に記載されている、熱可塑性樹脂フィルムをいったん加熱軟化させた後、金型で加圧してレンズを形成するといった2段階工程を要する熱プレス法と相違し、1段階工程によりレンズを形成することができる方法である。したがって、このような本発明の製造方法は生産効率の点において優れているだけでなく、得られる非球面レンズの性能の点においても優れている。
熱時当接する際の金型の温度は、用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準にTg〜Tg+80℃、好ましくはTg+5℃〜Tg+40℃である。金型の温度が上記範囲であると、フィルムの劣化やドローダウンが発生せず、転写性が良好であるので、好適である。
また、温度範囲に加熱された金型を当接する際の圧力は、1.0〜20MPa、好ましくは1.5〜10MPaの圧力である。該圧力が上記範囲であると、金型へのフィルムの貼りつきがなく、転写性が良好であるので、好適である。
さらに、このような金型を当接する時間、すなわち金型を熱可塑性樹脂フィルムに当接してから得られる非球面レンズを離型するまでに要する時間は、0.5〜10分間、好ましくは1.0〜3.0分間である。金型を当接する時間が上記範囲内であると、成形サイクルが適正であるので好適である。
〔工程(4)〕
工程(4)は、工程(3)で得られた非球面レンズを冷却する工程である。
熱圧着後、工程(3)で得られる非球面レンズの冷却方法については特に限定されないが、通常、加圧状態で所定温度に設定したプレス板間で冷却される。冷却時の金型温度は、用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準に、通常Tg−50℃〜Tg−10℃である。金型温度が上記範囲内であると、金型からの取り出しがスムーズであるとともに、残留応力が発生しにくいので好適である。
上記冷却時に金型を当接する際の圧力は、通常、加熱時に要する圧力の40〜90%、好ましくは50〜80%の圧力である。冷却時の圧力が上記範囲内であると、レンズの面精度が向上するので好適である。
このようにして得られる非球面レンズの具体例を図4(A)〜(D)に示す。図4(A)に一方の面の表面形状が平面であるガラス製基板に熱可塑性樹脂フィルムが熱圧着された非球面レンズの垂直断面の側面図を、図4(B)に一方の面の表面形状が凸状曲面形状を有するガラス製基板に熱可塑性樹脂フィルムが熱圧着された非球面レンズの垂直断面の側面図を示す。また、図4(C)および(D)に、それぞれ図4(A)および(B)に対応する、鍔部6が熱可塑性樹脂フィルムに被覆された非球面レンズの垂直断面の側面図を示す。図4(A)〜(D)に示すように、本発明の製造方法により得られる非球面レンズは、鍔部6および光の光路となるレンズ部7を有する。
鍔部6は、レンズ部7周辺に設けられた、非球面レンズを保持する部位をいい、レンズ部7の保持および組み立て時の非球面レンズの固定、非球面レンズ間隔の保持に利用される部位である。また該鍔部6は、熱可塑性樹脂フィルム1により被覆されていてもよいし、被覆されていなくてもよい。該鍔部6の厚さおよび長さは、レンズの用途によって異なり、特に限定されない。
また、レンズ部の形状は、球面でない、すなわち曲率半径が一定ではない曲面を意味する。また、放物線、楕円面、多項式などが形成する曲面の一部を有していてもよい。
上記非球面レンズの径および厚さは、用いるレンズの用途に好適なサイズのものが用いられ、特に限定されない。
<非球面レンズ>
本発明の非球面レンズは、熱可塑性樹脂として環状オレフィン系樹脂を用いて、本発明の製造方法により得られるものである。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、下記式(I)で表される環状オレフィン化合物から導かれる単位を有する(共)重合体が挙げられる。この(共)重合体は、上記環状オレフィン化合物を含む単量体を重合して得られる。
Figure 2009214486
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基または極性基を表し、R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。mは、0または正の整数を表し、pは、0または正の整数を表す。)
上記式(I)において、R1およびR3が、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1もしくは2の炭化水素基であり;R2およびR4のうちの一方が、水素原子であり、他方が上記1価の極性基であることがより好ましい。この場合、R1またはR3で表される上記炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。さらに、R2およびR4のうちの一方が、下記式(II)で表される極性基である環状オレフィンを用いると、高いガラス転移温度および低い吸湿性を有するとともに、各種材料との密着性に優れた環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
−(CH2nCOOR …(II)
上記式(II)中、Rは、炭素原子数が好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1または2の炭化水素基を表す。ここで、上記炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。また、nは、通常0〜5を表し、nの値が小さいほど、ガラス転移温度が高い環状オレフィン系樹脂が得られるため好ましく、nが0である環状オレフィン(−COOR)は合成が容易であるため特に好ましい。
特に、R1がアルキル基を表し、R2が上記式(II)で表される極性基を表し、R3
よびR4が水素原子を表すと、吸湿性の低い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好まし
い。
1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。
mは、0または正の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。pは、0または正の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。また、m+pが0〜4の整数を表すことがより好ましく、m+pが0〜2の整数を表すことが特に好ましい。m=1、p=0であることが最も好ましい。m=1、p=0である環状オレフィンを用いると、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度にも優れた環状オレフィン系樹脂が得られる。
上記式(I)で表される環状オレフィンは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記環状オレフィンとしては、具体的には、以下の化合物が例示できるが、これらの化
合物に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。
上記環状オレフィン化合物を含む単量体を重合して得られる(共)重合体としては、具体的には、
(1)上記式(I)で表される環状オレフィンの開環重合体、
(2)上記式(I)で表される環状オレフィンと共重合性単量体との開環共重合体、
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体、
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体、
(5)上記式(I)で表される環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体、
(6)上記式(I)で表される環状オレフィンと、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体との付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体、
(7)上記式(I)で表される環状オレフィンとアクリレートとの交互共重合体が挙げられる。
(1)開環重合体および(2)開環共重合体
開環重合体(1)および開環共重合体(2)は、メタセシス触媒の存在下で、上記環状オレフィンを開環重合させるか、または上記環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させて得られる。
(共重合性単量体)
共重合性単量体としては、シクロオレフィンが挙げられ、炭素原子数が好ましくは4〜20、より好ましくは5〜12のシクロオレフィンが望ましい。より具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらのシクロオレフィンは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記環状オレフィンと上記共重合性単量体との使用割合は、重量比(環状オレフィン/共重合性単量体)で100/0〜50/50が好ましく、100/0〜60/40がより好ましい。なお、「環状オレフィン/共重合性単量体=100/0」は、環状オレフィンを単独重合する場合を意味する。
(開環重合用触媒)
開環(共)重合反応において用いられるメタセシス触媒は、下記の化合物(a)と化合物(b)との組み合わせからなる触媒である。
(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
(b)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、K等)、IIA族元素(例えば、Mg、Ca等)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hg等)、IIIA族元素(例えば、B、Al等)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pb等)およびIVB族元素(例えば、Ti、Zr等)から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物であって、上記元素と炭素原子との結合、または上記元素と水素原子との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
また、上記メタセシス触媒は、その活性を高めるために、後述の添加剤(c)を含んでいてもよい。
上記化合物(a)の具体例としては、WCl6、MoCl6、ReOCl3等、特開平1
−132626号公報の第8頁左下欄第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物などが挙げられる。
上記化合物(b)の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、L
iH等、特開平1−132626号公報の第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物などが挙げられる。
添加剤(c)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等が好適であり、さらに特開平1−132626号公報の第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に記載の化合物などを用いることもできる。
上記化合物(a)と化合物(b)との割合は、金属原子比〔(a):(b)〕で、通常1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30である。
上記添加剤(c)と化合物(a)との割合は、モル比〔(c):(a)〕で、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1である。
メタセシス触媒の使用量は、上記化合物(a)と環状オレフィンとのモル比〔(a):環状オレフィン〕が通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量である。
(重合反応用溶媒)
開環(共)重合反応において、溶媒は、後述する分子量調節剤溶液を構成する溶媒や、環状オレフィンおよび/またはメタセシス触媒の溶媒として用いられる。このような溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン;クロロベンゼン等のハロゲン化アリール;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独でも、または2種以上混合して用いることもできる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、溶媒と環状オレフィンとの重量比(溶媒:環状オレフィン)が、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
(分子量調節剤)
得られる開環(共)重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を共存させることによっても調節できる。
好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類、スチレンなどが挙げられる。これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが好ましい。また、これらの分子量調節剤は、1種単独でも、2種以上混合して用いることもできる。
分子量調節剤の使用量は、開環(共)重合反応に供される環状オレフィン1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
上記開環(共)重合体は、環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させて得られるが、さらにポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネン等の主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で、環状オレフィンを開環共重合させてもよい。
(3)水素添加(共)重合体
上記開環(共)重合体は、そのままでも用いることができるが、さらにこれに水素添加して得られる水素添加(共)重合体(3)は、耐衝撃性に優れた樹脂として有用である。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環(共)重合体を含む溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを、0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させて行うことができる。
(水素添加触媒)
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられる触媒を使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニア等の担体に担持させた固体触媒が挙げられる。
均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。これらの触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環(共)重合体と水素添加触媒との重量比(開環(共)重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用することが好ましい。
上記水素添加(共)重合体(3)は、優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品として使用する際の加熱によっても、その特性が劣化することはない。
水素添加(共)重合体(3)の水素添加率は、1H−NMRにより500MHzの条件
で測定した値が、通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れ、長期にわたって安定した特性を有する導光体などの成形品を
得ることができる。
また、上記水素添加(共)重合体(3)は、ゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、特に1重量%以下であることが好ましい。
(4)水素添加(共)重合体
水素添加(共)重合体(4)は、上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加することにより得られる。
上記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は、特に限定されず、例えば、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。
酸性化合物としては、具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl
、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土等のルイス酸、ブレンステッド酸が挙げら
れる。
環化された開環(共)重合体は、上記(3)の水素添加反応と同様にして、水素添加することができる。
(5)飽和共重合体
飽和共重合体(5)は、付加重合触媒の存在下で、上記環状オレフィンに不飽和二重結合含有化合物を付加重合させることにより得られる。付加重合法は従来公知の方法を適用できる。
(不飽和二重結合含有化合物)
不飽和二重結合含有化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系化合物などが挙げられる。これらのうち、炭素原子数が好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8のオレフィン系化合物が望ましい。
不飽和二重結合含有化合物の使用量は、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との重量比(環状オレフィン/不飽和二重結合含有化合物)で、90/10〜40/60が好ましく、85/15〜50/50がより好ましい。ただし、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との合計重量を100とする。
(付加重合触媒)
付加重合触媒としては、例えば、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、助触媒として有機アルミニウム化合物との組み合わせが挙げられる。
チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタン等が挙げられ、ジルコニウム化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられ、バナジウム化合物としては、下記式で表されるバナジウム化合物、またはこれらの電子供与付加物が挙げられる。
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
〔式中、Rは、炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、a、bおよびcは、それぞれ、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4を満たす。〕
電子供与体としては、例えば、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体;アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナート等の含窒素
電子供与体などが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウム−炭素結合およびアルミニウム−水素結合のうち少なくとも1つを有する化合物などが挙げられる。このような有機アルミニウム化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる化合物の使用量(2種以上を併用する場合はそれらの合計量)と有機アルミニウム化合物の使用量との割合は、チタン原子等に対するアルミニウム原子の比(Al/Ti等)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
上記付加重合反応において用いられる溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒が挙げられる。
また、飽和共重合体(5)の分子量の調節は、通常、水素を用いて行うことができる。
(6)付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体
付加型(共)重合体(6)は、上記環状オレフィンに、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体を付加重合させることにより得られる。
(ビニル系環状炭化水素系単量体)
ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体;4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタン等のビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘキセン系単量体;4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン系単量体;スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン等のスチレン系単量体;d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテン等のテルペン系単量体;4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテン等のビニルシクロヘプテン系単量体;4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタン等のビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。これらの単量体のうち、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(シクロペンタジエン系単量体)
シクロペンタジエン系単量体としては、例えば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエン等が挙げられる。これらの単量体のうち、シクロペンタジエンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記付加重合反応は、上記(5)における付加重合反応と同様にして実施することができる。
上記付加型(共)重合体(6)の水素添加(共)重合体は、上記付加型(共)重合体(6)を、上記(3)と同様の方法により水素添加することにより得ることができる。
(7)交互共重合体
交互共重合体(7)は、ルイス酸等の存在下で上記環状オレフィンとアクリレートとをラジカル重合させることにより得られる。
(アクリレート)
アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート;グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレート等の炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート;ベンジルアクリレート等の炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート;イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等の炭素原子数7〜30の多環構造を有するアクリレートなどが挙げられる。
上記環状オレフィンとアクリレートとの割合は、これらの合計を100モルとして、通常、環状オレフィンが30〜70モル、アクリレートが70〜30モルであり、好ましくは、環状オレフィンが40〜60モル、アクリレートが60〜40モルであり、特に好ましくは、環状オレフィンが45〜55モル、アクリレートが55〜45モルである。
上記ルイス酸の使用量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルが好ましい。
また、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
重合反応温度は、通常−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒が挙げられる。
なお、本発明における「交互共重合体」とは、環状オレフィンに由来する構造単位同士が隣接しない共重合体、すなわち、環状オレフィンに由来する構造単位の隣には必ずアクリレートに由来する構造単位が結合している共重合体を意味する。ただし、アクリレート由来の構造単位同士は隣接して存在していてもよい。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の固有粘度〔ηinh〕は、0.2〜5dl/
gが好ましく、0.3〜3dl/gがさらに好ましく、0.4〜1.5dl/gが特に好ましい。また、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgel G7000HXL×1、TSKgel GMHXL×2およびTSKgel G2000HXL×1の4本を直列に接続した。)で測定されるポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量(Mn)が好ましくは8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000である。
固有粘度〔ηinh〕、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)が上記範囲
内である環状オレフィン系樹脂は、成形加工性に優れる。この樹脂によれば、耐熱性、耐水性、耐薬品性および機械的特性に優れた成形品が得られる。
また、上記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常120℃以上、好ましくは120〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは130〜200℃である。Tgが上記範囲内である環状オレフィン系樹脂は、高温条件下での使用や、コーティングおよび印刷などの加熱を伴う二次加工においても変形しにくく、また、成形加工性に優れ、成形加工時の熱による劣化も起こりにくい。
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例において用いた熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂フィルム、ガラス製基板および金型ついて、以下に示す。
〔熱可塑性樹脂〕
[合成例1]重合体(A−1)
下記式(III)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分
子量調節剤)41部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
Figure 2009214486
この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより
水素添加反応させた。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。
このようにして得られた水素添加重合体(以下、重合体(A−1)という。)の水素添加率を400MHzの1H−NMRで測定したところ実質上100%であった。
重合体の固有粘度(ηinh)は0.50、ガラス転移温度は164℃であった。
[合成例2]重合体(A−2)
特定単量体として、上記式(III)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン225部と、下記式(IV
)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン25部とを用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を43部に変更したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、重合体(A−2)という。)の水素添加率は実質上100%であった。
Figure 2009214486
重合体の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.50、走査熱量
計(DSC)により、窒素雰囲気下において、10℃/分の昇温速度で測定したガラス転移温度は141℃であった。
〔熱可塑性樹脂フィルム〕
[作製例1]フィルム(1)
重合体(A−1)を、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90−32V)にて、300℃にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガーダイより、吐出量120kg/hrにて膜状に押し出しフィルム形状に成形した。これをオイル温調ユニットにて160℃に加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、4m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。このとき、ベルトとキャストドラムの挟圧からフィルムが開放されるときのフィルム温度が161℃であった。さらに張力制御ユニットによりフィルム張力を5kgfに制御しながら、0.8mm厚のフィルム(1)を引き取った。
[作製例2]フィルム(2)
合成例1で得られた重合体(A−1)を、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90−32V)にて、300℃にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガーダイより、吐出量120kg/hrにて膜状に押し出しフィルム形状に成形した。これをオイル温調ユニットにて160℃に加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、2.5m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。このとき、ベルトとキャストドラムとの挟圧からフィルムが開放されるときのフィルム温度が161℃であった。さらに張力制御ユニットによりフィルム張力を5kgfに制御しながら、0.5mm厚のフィルム(2)を引き取った。
[作製例3]フィルム(3)
重合体(A−2)を、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90−32V)にて、275℃にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガーダイより、吐出量120kg/hrにて膜状に押し出しフィルム形状に成形した。これをオイル温調ユニットにて137℃に加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、4m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。このとき、ベルトとキャストドラムとの挟圧からフィルムが開放されるときのフィルム温度が161℃であった。さらに張力制御ユニットによりフィルム張力を5kgfに制御しながら、0.8mm厚のフィルム(3)を引き取った。
[作製例4]フィルム(4)
重合体(A−2)を、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90−32V)にて、275℃にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガーダイより、吐出量120kg/hrにて膜状に押し
出しフィルム形状に成形した。このフィルムをオイル温調ユニットにて137℃に加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、2.5m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。このとき、ベルトとキャストドラムとの挟圧からフィルムが開放されるときのフィルム温度が161℃であった。さらに張力制御ユニットによりフィルム張力を5kgfに制御しながら、0.5mm厚のフィルム(4)を引き取った。
〔ガラス製基板〕
非球面レンズ用のガラス製基板として、下記2種類のガラス製基板を用意した。
ガラス製基板−I:図5に示すような、直径5.0mm、厚さ0.5mmの平板からなるガラス製基板2。
ガラス製基板−II:図6に示すような、ガラス製基板−Iの一方の面の表面形状が凸状球面形状を有し、凸状球面部の最厚点を通る垂直断面の弧の長さが4.0mm、弦の長さが3.0mmであるガラス製基板3(図6)。
〔金型〕
図7に示す金型4を用いた。図7に示す金型4は、中央部ほど空間部の背が高く周縁部に近づくほど空間部の背の低い湾曲した構造を有する凹部5において、中央部のもっとも窪みの深い部分である最深部10までの深さは、0.5721mmである。また、凹部5の周縁部上の異なる2点において、2点間距離の最大値が3.5mmである。
金型の曲面の寸法は、図7に示すように、最深部10と垂直に交わるように断面を取り、その断面において、非球面レンズ部に対応した形状の凹部の一方の周縁部であり、該凹部の曲面の寸法を測定する開始部位8からの水平方向の距離をx(mm)、垂直方向の距離をy(mm)とするとき、表1に示す通りとなる寸法とした。また、金型の作製に際しては、樹脂の成形収縮分の補正を行って作製した。
Figure 2009214486
[実施例1〜4]
油圧プレスを用いて、下記の手順に従い、非球面レンズを形成した。
金型をプレスの熱板に挟み、表2に示す所定の温度(金型温度)にまで金型を加熱した
。その後、表2に示すガラス製基板とフィルムとを重ね合わせて金型のキャビティ内に挿入し、表2に示す所定の圧力および保持時間で加圧保持した後、80℃に温度調節されたプレス板の間に金型を挟み、表2に示す圧力の80%の圧力をかけて、表2に示す開放温度になるまで金型を冷却してからプレス板を開き、金型から非球面レンズ(実施例1〜4)を取り出した。得られた非球面レンズについて、下記の評価方法により各種評価を行った。結果を表2に併せて示す。
(面精度)
タリサーフフォームS6にて表面形状を測定し、設計形状とのずれの最大値Rtを測定した。Rtの数値範囲により、○、△および×により評価した。
○ :Rt=0.5μm未満。
△ :Rt=0.5以上1.0μm未満。
× :Rt=1.0μm以上。
(光学歪み)
有効面内の光学歪みを、位相差分布として測定し、その最大値で評価した。位相差の最大値の数値範囲により、○、△および×により評価した。
○ :位相差の最大値が、50nm未満。
△ :位相差の最大値が、50nm以上100nm未満。
× :位相差の最大値が、100nm以上。
(信頼性)
温度:85℃、湿度:85RH%、時間:500hrの条件で信頼性試験を行い、試験前後の面精度を比較した。
○ :面精度の変化が、50nm未満。
△ :面精度の変化が、50nm以上200nm未満。
× :面精度の変化が、200nm以上。
Figure 2009214486
[比較例1〜4]
射出成形機(ファナック社製α2000iB、シリンダー径25mm、型締め100ton)を用いて、表3に記載の樹脂温度および射出速度で射出成形を行い、シリンダーの射出圧力が表3に記載のV−P切換圧力になった時点で保圧工程に移行し、表3に記載の3段階で変化させた保圧条件(圧力・時間)によって、図8に示す形状のレンズを射出成形にて作製した。レンズ面の寸法は実施例1〜4で作成したレンズ面と同一である。得られたレンズについて、実施例と同様の各種評価を行った。結果を表3に併せて示す。
Figure 2009214486
本発明の非球面レンズの製造方法によって得られる非球面レンズは、光学歪みと耐熱性との点に優れ、かつ複屈折が小さく、面精度が高いため、CD、CD−ROM、DVD、ブルーレイ、デジタルカメラなどの用途に好適に用いられる。
(A)は、一方の面の表面形状が平面形状であるガラス製基板2の垂直断面の側面図を示し、(B)は、一方の面の表面形状が凸状曲面形状であるガラス製基板3の垂直断面の側面図を示す。 金型4の垂直断面の側面図を示す。 (A)は、熱可塑性樹脂フィルム1と一方の面の表面形状が平面形状であるガラス製基板2との垂直断面の側面図を示し、(B)は、熱可塑性樹脂フィルム1と一方の面の表面形状が凸状曲面形状であるガラス製基板3との垂直断面の側面図を示す。 (A)は、その一方の面の表面形状が平面形状であるガラス製基板2に熱可塑性樹脂フィルム1が熱圧着された非球面レンズの垂直断面の側面図を示し、(B)は、その一方の面の表面形状が凸状曲面形状であるガラス製基板3に熱可塑性樹脂フィルム1が熱圧着された非球面レンズの垂直断面の側面図を示す。同様に(C)は、鍔部6が熱可塑性樹脂フィルム1に被覆された非球面レンズ(A)の垂直断面の側面図を示し、および(D)は、鍔部6が熱可塑性樹脂フィルム1に被覆された非球面レンズ(B)の垂直断面の側面図を示す。 実施例で用いたガラス基板−1の上面図および側面図を示す。 実施例で用いたガラス基板−2の上面図および側面図を示す。 実施例で用いた金型の垂直断面の側面図を示す。 比較例で作製したレンズの上面図および側面図を示す。
符号の説明
1・・・熱可塑性樹脂フィルム
2・・・一方の面の表面形状が平面形状であるガラス製基板
3・・・一方の面の表面形状が凸状曲面形状であるガラス製基板
4・・・金型
5・・・非球面レンズ部に対応した形状の凹部
6・・・鍔部
7・・・レンズ部
8・・・非球面レンズ部に対応した形状の凹部の周縁部であり、該凹部の曲面の寸法を測定する開始部位
10・・・最深部

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板表面に配置された熱可塑性樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該熱可塑性樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化することを特徴とする非球面レンズの製造方法。
  2. 前記ガラス製基板の一方の面の表面形状が、平面形状または凸状曲面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の非球面レンズの製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂をキャスト成形法または押出し成形法により成形してなることを特徴とする請求項1に記載の非球面レンズの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、環状オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の非球面レンズの製造方法。
  5. 環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムをガラス製基板の一方の面に配置して、該ガラス製基板表面に配置された該樹脂フィルムに非球面レンズ部に対応した形状の凹部を有する金型を熱時当接することにより、該樹脂フィルムをレンズ型に成形するとともに、該樹脂フィルムをガラス製基板表面に熱圧着して一体化することにより製造されることを特徴とする非球面レンズ。
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