JP2009188027A - コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】透磁率の周波数依存性を改善し、さらに高い周波数まで高インダクタンスを必要とするような用途に好適なコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品であって、磁化容易面を有する六方晶フェライト及び前記六方晶フェライト内部に磁束を発生させるコイルを備え、前記六方晶フェライト全体が前記コイルの巻回軸方向から見て前記コイルの内側に配置され、前記六方晶フェライトは、その磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルを備えたコイル部品に係るもので、例えば数百MHzから数GHzの高周波帯域において使用されるコイル部品に関する。
近年、携帯電話や無線LAN、パソコンなどの信号の高周波化に伴い、装置内部で使用される素子もまた高周波で使用可能なものが要求されている。このような要求に対し、電子部品に用いられる磁性材料として、高い周波数まで透磁率を維持することが可能な六方晶フェライトが検討されている。また、六方晶フェライトは磁化容易面を有する磁気異方性を有するため、成形時に磁場配向処理を施すことでバルク状態にて特定方向に更に高い透磁率を発現させることが可能である。例えば特許文献1には配向処理を行うことでZ型フェライトの透磁率が向上する旨の記述がある。
特公昭35−11280号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたZ型フェライトでは、高い透磁率は得られるものの、透磁率を高い周波数まで維持することが出来ない。すなわち、高周波まで使用可能とされているZ型フェライト等の六方晶フェライトであっても、透磁率の周波数依存性を改善することは困難であり、さらに高い周波数まで高インダクタンスを必要とするような素子には適用することができなかった。よって、本発明はこの点を解決することを目的とする。
本発明のコイル部品は、磁化容易面を有する六方晶フェライト及び前記六方晶フェライト内部に磁束を発生させるコイルを備え、前記六方晶フェライト全体が前記コイルの巻回軸方向から見て前記コイルの内側に配置され、前記六方晶フェライトは、その磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有することを特徴とする。かかる構成によって、六方晶フェライトの透磁率が減衰する周波数は、通常の六方晶フェライトに比べて高周波側に移り、より高い周波数まで使用可能なコイル部品を提供することができる。磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有するとは、六方晶フェライトが多結晶である場合であれば、ランダムな状態に比べて、磁界容易面であるc面(c軸に垂直な面)がコイルの巻回軸に平行になるように配向した結晶粒が多い状態をいう。一方、六方晶フェライトが単結晶であれば、そのc面が前記巻回軸に平行になるように配置されている状態である。
更に前記コイル部品において、前記六方晶フェライトの透磁率の周波数依存性において、透磁率の虚数部が最大となる周波数をfr(GHz)、前記frを10で除した周波数における透磁率実数部をμ’lfとしたとき、fr・(μ’lf−1)が40GHz以上であることが好ましい。六方晶フェライトも含め、フェライトの場合、一般に透磁率の大きさとその周波数限界とはトレードオフの関係にあるため、高透磁率・高周波化の指標となるfrとμ’lf−1の積fr・(μ’lf−1)を高めることは困難である。従来の概念では想定されなかったfr・(μ’lf−1)が40GHz以上の前記構成とすることで、従来にない高周波特性を有するコイル部品を提供することができる。
更に前記コイル部品において、前記frが3GHz以上であることが好ましい。前記構成によれば、従来の概念では想定されなかった高周波まで高透磁率を利用したコイル部品を提供することができる。
更に前記コイル部品において、前記六方晶フェライトは、前記巻回軸に対応する方向に印加された静磁界によってもたらされるような異方性を有することが好ましい。かかる構成によれば、透磁率を高周波まで維持する効果が特に大きくなる。
更に前記コイル部品において、前記コイルを流れる信号の周波数が1GHz以上であることが好ましい。本発明に係るコイル部品においては、六方晶フェライトは高い周波数帯まで高透磁率を維持するため、コイルを流れる信号の周波数が1GHz以上である用途に好適である。
本発明によれば、透磁率の周波数依存性を改善し、さらに高い周波数まで高インダクタンスを必要とするような用途に好適なコイル部品を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。図1(a)はコイル部品の外観の斜視図であり、図1(b)は、かかるコイル部品を図1(a)のコイルの巻回軸方向(図1(a)の矢印の方向)から見た図である。図1に示したコイル部品は、磁化容易面を有する平板状の六方晶フェライト1と、六方晶フェライト1の内部に磁束を発生させるように、巻回軸が矢印の直線方向となるように巻回されたコイル2を備える。さらに磁気回路を構成する六方晶フェライト1の全体がコイル2の巻回軸方向から見てコイル2の内側に配置されている。この場合、六方晶フェライトは開磁路を構成することになる。磁化容易面を有する六方晶フェライトは、100MHzから10GHzまでの周波数範囲で特に優れた特性を示すソフトフェライトであり、例えばZ型フェライト、Y型フェライト、W型フェライトである。このうちZ型フェライトは透磁率の絶対値が高く、高インダクタンスを得るうえで好適である。また、六方晶フェライトはZ型フェライト等の単相の他、これらの混相、さらに異相を含むものでよい。六方晶フェライトは、多結晶、単結晶を問わず、また、焼結体、薄膜などの形態も問わないが、十分なインダクタンスを確保する観点からは焼結体または単結晶が好ましく、量産性の観点からは多結晶である焼結体がより好ましい。
本発明において、六方晶フェライトは、磁化容易面であるc面がコイルの巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有する。上述のように、磁化容易面がコイルの巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有するとは、六方晶フェライトが多結晶である場合であれば、ランダムな状態に比べて、c面がコイルの巻回軸に平行になるように配向した結晶粒が多い状態をいう。かかる配向状態は、例えば、六方晶フェライト焼結体の成形工程において、磁界を印加して配向して得られた焼結体を用いて実現することができる。六方晶フェライト粉の成形の際に、一方向の静磁界を印加すれば、結晶粒のc面が磁界印加方向に平行になるように配向した六方晶フェライト得られる(以下、かかる処理を一方向配向ともいう)。この場合、磁化容易面を利用した配向であるため、結晶粒のc面は磁界印加方向には平行であるが、磁界印加方向に垂直な面方向には実質的にランダムに向く。図2の(a)はかかる配向を有する六方晶フェライトの配向状態を示す模式図である。結晶粒5は六角形の平板で示されていて、六角形の面がc面であり、平板状の結晶粒の側面を見た状態は線で表されている。図のY方向が静磁界の磁界印加方向であり、Y方向に垂直な方向では結晶粒5のc面がランダムに向いている。磁界印加方向であるY方向を図中の矢印で表されているコイルの巻回軸方向とすれば、六方晶フェライトが磁化容易面であるc面がコイルの巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有する構成が得られる。また、成形の際に、回転磁界を印加すれば、結晶粒のc面が磁界印加方向(磁界印加面)に平行になるように配向した六方晶フェライト得られる(以下、かかる処理を面配向ともいう)。図2の(b)はかかる配向を有する六方晶フェライトの配向状態を示す模式図である。図のY−Z面方向が回転磁界の磁界印加方向であり、Y−Z面方向に結晶粒5のc面が平行になるように配向している。磁界印加方向であるY−Z面方向を図中の矢印で表されているコイルの巻回軸方向とすれば、六方晶フェライトが磁化容易面であるc面がコイルの巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有する構成が得られる。
これらの配向は完全である必要はなく、周囲にコイルを配置したときに、結晶粒の磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢になっていればよい。優勢とは、c面の向きがランダムな状態、すなわち等方性である場合に比べて、c面が配向している傾向が見られる状態である。一方、六方晶フェライトが単結晶であれば、そのc面が前記巻回軸に平行になるように配置されている状態である。単結晶の場合は、六方晶フェライト全体の異方性としては、前記面配向の場合と類似の異方性を示す。結晶粒の磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢になっているかは、X線回折によって確認できる。すなわち、コイル部品の巻回軸方向から見た面に相当する面でX線回折を行い、そのX線回折パターンにおいて、指数(00L)以外の面からのピーク(Z型フェライトやY型フェライトであれば(110))に対する、指数(00L)のピーク強度比が等方性である場合に比べて小さいことで前記状態を確認する。等方性である場合のX線回折パターンは、例えば前記X線回折を行った六方晶フェライトを粉末にしてX線回折を行って得ればよい。
磁化容易面を有する六方晶フェライトでは磁化容易面であるc面方向の透磁率が高くなるため、磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有するとは、閉磁路で測定した材料固有の透磁率において、異方性を有するともいえる。この場合、焼結体であれば、成形時に磁界を印加した方向、すなわちコイルの巻回軸に平行な方向の透磁率が高くなる。
六方晶フェライト1の全体がコイル2の巻回軸方向から見てコイル2の内側に配置され、六方晶フェライトが、その磁化容易面がコイル2の巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有する構成を採用することで、透磁率の周波数特性が格段に向上し、透磁率が大幅に高周波側まで維持される。かかる周波数特性向上の効果は、上記異方性を有する材料を用い、六方晶フェライトの高透磁率方向でもある磁化容易面の配向方向をコイル巻回軸方向に向けて用いることによって顕著になる。逆に、磁化容易面の配向方向(磁界印加方向)に主直な、低透磁率方向をコイル巻回軸方向に向けて用いると、かかる効果は発現しない。また、同様の配向状態を持った六方晶フェライトを用いても、図3にように、それが閉磁路を構成するリング形状であると前記効果は発現しない。図3(a)はコイル部品の外観の斜視図であり、図3(b)は図3(a)のコイルの巻回軸方向(図3(a)の矢印の方向)から見た図である。なお、図3(b)における点線はコイル部分での六方晶フェライトの側面の位置を便宜的に表したものである。図3の場合、六方晶フェライト3は、コイル4の巻回軸方向から見てコイル4からはみ出している状態である。さらに、リング形状にギャップを設けた構成のような開磁路であっても、六方晶フェライトの全体がコイルの巻回軸方向から見てコイルの内側に配置される構成が発揮するような効果は発現しない。
また、コイル部品を構成する際、巻回軸に対応する方向に印加された静磁界によってもたらされるような異方性を有する六方晶フェライトを用いると、上述の透磁率の周波数特性向上の効果が顕著になる。かかる異方性は、一軸性の静磁界を印加して結晶粒を配向し、成形して得られた六方晶フェライトが持つ異方性である。かかる六方晶フェライトでは、結晶粒のc面は磁界印加方向に平行になるように配向するとともに、磁界印加方向に直交する面方向には実質的にランダムに向く。その結果、磁界印加方向の透磁率が高く、それに直交する面方向の透磁率が低くなる。かかる、巻回軸に対応する方向に印加された静磁界によってもたらされるような異方性を有する六方晶フェライトは、簡易な磁界中成形で作製できるため、生産性の観点からも好ましい形態である。
上述のように六方晶フェライト1の全体がコイル2の巻回軸方向から見てコイル2の内側に配置され、六方晶フェライトが、その磁化容易面がコイル2の巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有する構成を採用することで、透磁率の周波数特性が格段に向上し、透磁率の周波数依存性において、透磁率の虚数部が最大となる周波数をfr(GHz)、前記frを10で除した周波数における透磁率実数部をμ’lfとしたとき、40GHz以上のfr・(μ’lf−1)が実現可能となる。かかる水準は従来の構成では得られない、または想定できない水準である。かかる特性を備えることによって、透磁率が低下するために適用できなかった、または透磁率は低下しないが透磁率の絶対値が低くて適用できなかった用途にコイル部品を適用することが可能となる。fr・(μ’lf−1)は、より好ましくは50GHz以上、さらに好ましくは60GHz以上である。特にfrを3GHz以上とすれば、従来の概念では想定されなかった高周波まで高透磁率を利用したコイル部品が提供可能である。例えば、従来の構成を前提とした場合では、該周波数帯域は、Z型フェライトでは透磁率が大きく減少してしまい、高インダクタンスが得られない帯域であり、本発明に係る構成は、かかる帯域で高インダクタンスを有するコイル部品を提供することが可能となる。例えば、本発明に係る構成は、コイル部品の使用帯域、特にコイルを流れる信号等の周波数が1GHz以上、さらには2GHz以上、特に3GHz以上の領域にかかる用途に好適である。なお、透磁率は初透磁率であり、比透磁率で表される。また、μ’lf−1は磁化率に相当し、fr・(μ’lf−1)はいわゆるスネーク積に相当するものである。なお、透磁率実数部は、fr近傍では周波数に対する透磁率実数部の変動が大きいため、frを10で除した周波数における値を用いている。
コイル部品は、磁化容易面を有する六方晶フェライト及び前記六方晶フェライト内部に磁束を発生させるコイルを備えるものであれば、これを特に限定するものではないが、例えば、チョークコイル、インダクタ、トランス、アンテナ等である。また、コイルは六方晶フェライトに導線を直接巻回して設けても良いし、ボビンに巻回して構成してもよい。後者の場合は、該ボビンとコアとなる六方晶フェライトとを組み合わせることでコイル部品を構成する。また、六方晶フェライトの表面に印刷やスパッタ等電極パターンを形成し、該電極パターンによってコイルを構成してもよい。コイルの巻き数も特に限定するものではなく、1ターンでもよいし、複数ターンでもよい。また、六方晶フェライトの形状は、六方晶フェライト全体がコイルの巻回軸方向から見てコイルの内側に配置できる形状であればよい。例えば、直方体、円柱、平板等の形状を用いることができる。六方晶フェライトの巻回軸方向の反磁界係数も特に限定するものではないが、より高透磁率を得る観点からは、0.1以下であることが好ましい。かかる範囲とすれば、反磁界係数0のリング形状の場合の透磁率に比べて該方向の透磁率70%以上を確保することが可能である。なお、本発明では六方晶フェライトは開磁路を構成するため、反磁界係数は0超である。
本発明に用いる六方晶フェライトは、ソフトフェライトの製造に適用される通常の粉末冶金的方法によって製造することができる。通常の粉末冶金的方法とは以下のとおりである。例えば素原料を湿式のボールミルにて混合し、電気炉などを用いて仮焼することにより仮焼粉を得る。また得られた仮焼粉を湿式のボールミルなどを用いて粉砕し、得られた粉砕粉をプレス機により成形し、例えば電気炉などを用いて焼成を行い、六方晶フェライト焼結体を得る。成形を磁界中で行うことによって配向した六方晶フェライトが得られる。磁界の印加方法は、上述のように一軸性の静磁界、または回転磁界などを用いればよい。また、成形は、乾粉状の粉末を用いる乾式成形で行うことも可能であるが、配向性を上げるためには、六方晶フェライト粉末を水などの媒体と混合して得られたスラリーを用いる湿式成形で行うことが好ましい。
実施例1〜6および比較例3〜12は12Fe・3BaO・2CoOの割合となるよう、Fe、BaCO及びCoOを秤量し、湿式ボールミルにて16時間混合した。混合後、酸素雰囲気中1340℃で仮焼した。仮焼後の仮焼粉をボールミルにて粉砕し、湿式スラリーを作製した。作製したZ型フェライト粉を含有するスラリーを磁場中で湿式成形した。このとき面配向及び一方向配向の2種類の配向処理を行い得られた成形体を酸素雰囲気中1300℃で焼結した。以降これらの材料をそれぞれ面配向材、一方向配向材と呼ぶ。また、磁界を印加せず、無配向Z型フェライトも作製した(No13)。比較例1及び2のNi−Znフェライトは透磁率が15程度になるような組成を選びFe、NiOおよびZnOを混合、仮焼し、仮焼粉を粉砕後、造粒および成形を行い、大気中で焼結を行った。上記により得られたZ型フェライトの面配向材、Z型フェライトの一方向配向材およびNi−Znフェライトの焼結体は、5mm×5mmの正方形の板面および0.2〜0.9mmの厚さを持つ板状、又は外径6.8mm、内径3.2、厚さ1mmのリング形状へと加工した。加工を行う際、以下に述べる配向方向との方位関係が成り立つようにした。
面配向材は各結晶のc軸が特定方向に揃った配向状態となっており、該方向に垂直な面をc面配向面と呼ぶ。この時、リング試料はその周方向が配向面内に収まるようにリング試料を切り出した。また、面配向材から上記の板状試料を切り出す場合、板面(5mm×5mmの面)の直交する2辺に沿った方向がそれぞれc面配向面内方向およびc面配向面の垂直方向となるように切り出した。一方向配向材の場合は後述する。
加工後の板状焼結体を図1(a)のように用いてコイル部品を構成した場合の特性を評価するため、キーコム社製高周波透磁率測定機を用いて0.1GHz〜10GHzまでの複素透磁率を評価した。なお、実施例のコイル部品では、六方晶フェライトが、その磁化容易面がコイルの巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有することをX線回折によって確認した。また比較例として図2のようにコイル部品を構成した場合の特性を評価するため上記によって加工されたリング形状の焼結体をインピーダンスメータ4291B(Agilent社製)にてTESTFIXTURE16454を用いて10MHz〜1.8GHzまでの複素透磁率の周波数特性を測定した。上記キーコム社製高周波透磁率測定機はコイルによって磁性体を一方向の高周波磁界によって磁化させた場合の透磁率を測定でき、4291Bではリング形状の周方向に沿った方向の高周波磁界を印加して磁化させた場合の透磁率を測定できる。このとき前者の評価では前述した板状試料の板面の直交する2辺それぞれと高周波磁界印加方向が平行となるように2通りの測定をした。コイルの巻き数は1ターンとした。このとき磁界印加方向の逆向きに反磁界を生じさせる有限の反磁界係数が発生することになるため、以下の方法を用いて、前記焼結体の形状ごとに反磁界係数を算出した。正方形板状のフェライトに対し、辺に沿った方向(測定方向)の長さをLとし、板面の厚みをTとしたとき評価方向の反磁界係数をNとして、
N=T/(L×(1+(2×T)/L))
から反磁界係数Nを算出する。本関係式を用いることにより例えば薄い直方体板、直方体などの反磁界係数を算出することができる(参考文献:Journal of Applied Physics, Volume 94, Number 6, P4013-4017)。
表1に評価結果を示す。比較例1および2はNi−Znフェライトからリング形状および5mm×5mm×0.5mmの板状試料を作製し、前述の手法により評価した結果を示したものである。Ni−Znフェライトは等方性である。このNi−Znフェライトの場合、リング形状で周方向に高周波磁界を印加して評価した場合に対して、板形状で一方向に高周波磁界を印加した場合はfrは高周波側に移り、fr・(μ’lf−1)は増加しているものの、その値は20GHzと小さい値に留まり、高周波用のコイル部品としては十分でないことが分かる。比較例3はZ型フェライトの面配向材リング試料での評価結果であり、(μ’lf−1)は37.5と高く、fr・(μ’lf−1)も35.3GHzと、無配向のNo13に比べて高い値を示している。これはc軸が配向し、リング試料の周方向のいずれの方向でも配向処理を行わなかった場合に比べ高い透磁率を示したためである。しかし、無配向である比較例13と比べてfrは変化していない。frは1GHz未満であり、1GHz以上で使用されるコイル部品として好適とはいえない。比較例4は上記比較例3で評価を行ったリング形状の試料に磁路を切断するギャップを導入して評価を行った結果である。ギャップを導入することで磁界印加方向に反磁界が生じる。この時の反磁界係数を算出するため以下に示す算出式(1)を用いた(「磁気工学の基礎II」;太田恵造著;P.389;共立全書 )。ここでlは磁性体部の平均磁路長であり、lgはギャップ長を表すものとする。
反磁界係数=lg/(l+lg) −−−(1)
比較例4は比較例3に比べ、(μ’lf−1)が低下し、且つfrが向上しているが、fr・(μ’lf−1)はほとんど増加せず、透磁率の周波数特性改善の効果は見られない。すなわち、比較例3および4の構成では、面配向した六方晶フェライトを用いても、fr・(μ’lf−1)は40GHzには満たない。
実施例1は面配向材から5mm×5mm×0.2mmの板状試料を切り出し、板面の直交する2辺に平行な方向のうち、C面配向面内方向と高周波磁界印加方向とを一致させるようにして評価した結果である。配向状態とコイルの巻回軸方向との関係は図2(b)に示す関係である。実施例1では、frは2.93GHzであり、比較例3のfrの3倍以上、比較例2のfrの1.5倍以上、高周波側にシフトしていることが分かる。また、fr・(μ’lf−1)も50GHz以上に大幅に増加しており、同材質との比較において実施例1の構成が比較例3、4の構成に比べ高周波用途に好適であることがわかる。
上記の実施例1と同様な評価を、試料の厚さを0.3mm、0.5mm、0.7mmおよび0.9mmへと変化させて行った(実施例2〜5)。反磁界係数および評価結果を表1に示した。反磁界係数が0.15以下の実施例1〜5では(μ’lf−1)は10以上である。また、反磁界係数が0.1以下である実施例1〜3の(μ’lf−1)は反磁界係数が0であるリング形状の比較例3の(μ’lf−1)の70%以上を確保している。一方、高周波磁界印加方向の反磁界係数が増加するに伴ってfrは更に高周波側に変化し、反磁界係数が0.15以上である実施例5では6.0GHz以上の高周波側に変化した。frは反磁界係数の増加に伴って高周波側にシフトしていくため、更に高い周波数側まで移動させることが可能である。但し、反磁界係数が大きすぎると、(μ’lf−1)の絶対値が小さくなるため、反磁界係数は0.2以下が好ましい。
上記の実施例1〜5の評価を、高周波磁界印加方向がc面配向面面内方向からc面配向面垂直方向になるように構成を変更した場合の評価結果を比較例5〜9として示した。配向状態とコイルの巻回軸方向との関係は図2(c)に示す関係である。(μ’lf−1)は3.8〜4.3と実施例1〜5に比べて低く、またfrも形状によってほとんど変わらず最も高い比較例9でも1.35GHzと低い。また、比較例5〜9のfr・(μ’lf−1)は同材質、同形状の実施例1〜5に比べ10分の1以下である。比較例5〜9の構成、すなわち高周波磁界を透磁率の低い方向に印加した場合は透磁率の周波数特性改善の効果は見られず、かかる構成は高周波用コイル部品として適さないものとなった。かかる結果から、透磁率を低くすれば単純に周波数特性が改善されるものではなく、本願発明に係る顕著な効果が、配向状態と密接に関連して得られていることがわかる。
前記一方向配向材の静磁界印加方向がリング面方向に含まれるようにして作製したリング試料を用いた場合(比較例10)と、静磁界印加方向がリング面に直交する厚さ方向となるようにして作製したリング試料を用いた場合(比較例11)は、fr、(μ’lf−1)とも低く、fr・(μ’lf−1)はいずれも20GHz未満である。比較例10のように、一方向配向材でリング形状を構成してしまうと、静磁界印加された、透磁率の高い方向の成分だけでなく、静磁界印加方向に直交する方向の成分も含まれてしまうため、透磁率が低くなってしまう。これに対して、板面(5mm×5mmの面)の直交する2辺のうち一方に沿った方向が磁界印加方向となるように5mm×5mm×0.3mmに切り出した六方晶フェライトを用い、かかる磁界印加方向がコイルの巻回軸方向となるようにしてコイル部品を構成した(実施例6)。配向状態とコイルの巻回軸方向との関係は図2(a)に示す関係である。この実施例6ではfrは4GHz以上であるとともに、fr・(μ’lf−1)は70GHz以上となり、透磁率の周波数特性向上の効果が特に著しいことがわかる。一方、同じ六方晶フェライトの板面の直交する他の辺方向がコイルの巻回軸方向となるようにしてコイル部品を構成した比較例12では、fr、fr・(μ’lf−1)とも低い値となった。
Figure 2009188027
本発明に係るコイル部品の実施形態を示す図である。 六方晶フェライトの配向の形態を示す模式図である。 従来のコイル部品の実施形態を示す図である。
符号の説明
1、3:六方晶フェライト
2、4:コイル
5:結晶粒

Claims (5)

  1. 磁化容易面を有する六方晶フェライト及び前記六方晶フェライト内部に磁束を発生させるコイルを備え、前記六方晶フェライト全体が前記コイルの巻回軸方向から見て前記コイルの内側に配置され、前記六方晶フェライトは、その磁化容易面が前記巻回軸に平行な状態が優勢な異方性を有するコイル部品。
  2. 前記六方晶フェライトの透磁率の周波数依存性において、透磁率の虚数部が最大となる周波数をfr(GHz)、前記frを10で除した周波数における透磁率実数部をμ’lfとしたとき、fr・(μ’lf−1)が40GHz以上であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記frが3GHz以上であることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
  4. 前記六方晶フェライトは、前記巻回軸に対応する方向に印加された静磁界によってもたらされるような異方性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコイル部品。
  5. 前記コイルを流れる信号の周波数が1GHz以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコイル部品。
JP2008023910A 2008-02-04 2008-02-04 コイル部品 Active JP5177640B2 (ja)

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