(実施形態1)
本実施形態では、床上に載置して使用する構成を例示するが、床に埋め込んで使用する構成を採用することもできる。また、定位置に固定する構成を採用するか、位置移動が可能な構成を採用するかも適宜に選択することができる。本実施形態では、図1および図2に示すように、床上に載置するための架台としてハウジング1を備える。ハウジング1は直方体状のものを想定し、矩形状のベース板1aを図示しているが、ハウジング1の外周形状にはとくに制限はない。以下では、説明を簡単にするために、ハウジング1を床上に載置した状態でハウジング1の上面が床面と平行になるものとする。したがって、図1における上下が使用時の上下になる。なお、床に埋め込んで使用する構成では、ハウジング1として上板を除く部位を軸組のみとした構造を採用することが可能である。
ハウジング1には、使用者の左右の足をそれぞれ載せる左足支持台2aおよび右足支持台2bと、左足支持台2aおよび右足支持台2bの位置をそれぞれ移動させる駆動装置3とが設けられる。左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面は使用者の片方ずつの足全体を載せることができる寸法に形成される。以下の説明では、図1において矢印Xの向きをハウジング1の前方とする。また、他の図においても矢印Xを記載している場合には、その向きが前方になる。
本装置は、使用者が座席に着座した状態で使用することが可能であるが、基本的には使用者が立った状態で使用することを想定している。したがって、以下では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に使用者が立って使用する場合を想定して説明する。
ベース1aの上方にはベース板1aとともにハウジング1を構成する上板1bが配置される。上板1bには左足支持台2aおよび右足支持台2bをそれぞれ露出させる2個の開口窓11a,11bが貫設される。各開口窓11a,11bは、それぞれ矩形状に開口する。ただし、各開口窓11a,11bは、長手方向に沿った中心線がハウジング1の前後方向に対して傾いており、両中心線間の距離がハウジング1の前端側で後端側よりも大きくなるように形成してある。開口窓11a,11bの長手方向がハウジング1の前後方向に対してなす角度は適宜に設定されるが、5〜15度の範囲に設定するのが望ましい。なお、角度は、左側の開口窓11aについては後端を中心にして左回りの角度であり、右側の開口窓11については後端を中心にして右回りの角度である。
各開口窓11aの開口面積は左足支持台2aの上面面積よりも大きく、開口窓11bの開口面積は右足支持台2bの上面面積よりも大きく形成されている。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bは各開口窓11a,11bの面内で移動可能になっている。また、開口窓11a,11bの中で左足支持台2aおよび右足支持台2bが移動する際に開口窓11a,11bの周囲に隙間が生じることのないように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの周部の全周には、左足支持台2aおよび右足支持台2bと開口窓11a,11bとの間を塞ぐ覆い板12が延設されている。
開口窓11a,11bの長手方向は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの長手方向に一致させてあり、左足支持台2aおよび右足支持台2bに足を載せる際には左足支持台2aおよび右足支持台2bの長手方向に足の長手方向の中心線を略一致させる。したがって、上述のように、開口窓11a,11bの長手方向の中心線がハウジング1の前後方向に対してなす角度を5〜15度の範囲に設定すると、立位において脚部の筋群を弛緩させた状態(リラックスした状態)で足を左足支持台2aおよび右足支持台2bに載せることができる。
左足支持台2aと右足支持台2bとのそれぞれの下面には、左足支持台2aと右足支持台2bとのそれぞれの幅方向に離間した一対の軸受71cが左足支持台2aおよび右足支持台2bと一体に設けられる。図示していないが、左足支持台2aおよび右足支持台2bの下方には取付板(左足支持台2aおよび右足支持台2bの下方に重複している)が配置され、取付板の上面には上方に開放された断面コ字状の軸受板73が固定される。左足支持台2aおよび右足支持台2bに設けた軸受71cは、軸受板73の各脚片73aの外側面に当接する。さらに、軸受板73の両脚片73aおよび両軸受71cを通る軸部74が設けられる。したがって、軸部74は左足支持台2aおよび右足支持台2bのそれぞれの幅方向に沿って配置され、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、長手方向の前後が上下するように軸部74の周りに回動可能になる。
取付板の下面には下方に開放された断面コ字状の台車61が取り付けられる。台車61の両脚片61aの外側面には各2個ずつの車輪62が取り付けられる。ベース板1aの上面には左足支持台2aと右足支持台2bとに対してそれぞれ2本ずつのレール63が固定されており、レール63の上面に設けたレール溝63aの中で車輪62が転動するように、レール63上に台車61が載置される。
ところで、レール63の長手方向はハウジング1に設けた開口窓11a,11bの長手方向とは異なる方向としてある。上述したように開口窓11a,11bは長手方向の中心線がハウジング1の前端側で後端側よりも大きくなるように傾斜しており、レール63の長手方向もハウジング1の前後方向に対して同様に傾斜している。
ただし、レール63ではハウジング1の前後方向に対する角度が開口窓11a,11bよりもさらに大きくなっている。たとえば、ハウジング1の前後方向に対する角度が、開口窓11a,11bの長手方向で30度とすれば、レール63の長手方向は45度などに設定される。すなわち、左足支持台2aおよび右足支持台2bに足を載せ、開口窓11a,11bの長手方向に足の中心線を一致させた状態において、レール63に沿って左足支持台2aおよび右足支持台2bを移動させることにより足の位置を変化させても膝に剪断力が作用しない方向に、レール63の長手方向が設定される。なお、本実施形態では、望ましい動作として、左足支持台2aおよび右足支持台2bが前後方向と左右方向とを複合した移動経路で移動する例を示しているが、レール63を配置する方向により左足支持台2aおよび右足支持台2bを前後方向や左右方向に移動させることも可能である。
上述の構成によって、左足支持台2aおよび右足支持台2bはレール63の長手方向に沿って往復移動することが可能になり、レール63の長手方向は開口窓11a,11bの長手方向の中心線に対して傾斜しているから、左足支持台2aおよび右足支持台2bは開口窓11a,11bの中で長手方向に対して交差した方向に移動することになる。すなわち、上述した台車61と車輪62とレール63とは、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動経路を拘束する案内部4として機能する。
上述のように、開口窓11a,11bの長手方向の中心線は、ハウジング1の前後方向に対して5〜15度の角度をなしているが、使用者が適正な位置に足を載せるとは限らないから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面には規定の位置に足を位置決めする位置決め部21を設けてある。位置決め部21には、種々の構成があるが、もっとも簡単な構成としては、適正な位置に表記したマークを用いればよい。
また、上述したように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面はハウジング1の上面に対する角度を変化させるから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの傾斜時に足に使用者の自重が作用して足の位置がずれることのないように、図3に示す各種構成を位置決め部21として用いることができる。
図3(a)には、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面に位置決め部21としての凹所21aを形成した例を示している。図3(b)には、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面に位置決め部21としての突部21bを形成した例を示している。突部21bは少なくとも足の前後位置に対応付けて配置することが望ましい。また、土踏まずの位置にも配置すれば土踏まずを刺激することによるマッサージ効果も期待できる。図3(a)(b)に示す構成例は、左足支持台2aおよび右足支持台2bに対して足を固定するものではないから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの傾斜角度が大きいときには、足の位置がずれる可能性がある。
そこで、図3(c)のようにゴムのような摩擦力の大きい材料(微細な凹凸を形成した材料でもよい)により形成した滑り防止部21cを、位置決め部21として左足支持台2aおよび右足支持台2bに設けるようにしてもよい。なお、滑り防止部21cは左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面に貼着したり、左足支持台2aおよび右足支持台2bに埋め込んだりすることができる。また、滑り防止部21cは板状に形成したり、足の形状に合わせた形状に形成したりすることができる。さらに、滑り防止部21cを図3(a)に示した凹部21aや図3(b)に示した突部21bと併用すれば、位置決めの効果をより高めることができる。
図3(d)には、足Fの甲に巻き付けるベルト21dを位置決め部21として設けた構成例を示している。ベルト21dは前後2本設けられており、足Fをベルト21dの中に通すことによって足Fの位置を固定するようにしてある。ただし、ベルト21dに面状ファスナを設けたりバックルを設けることにより、足Fのサイズに応じた調節を可能にする構成を採用してもよい。
図3に示した構成は適宜に組み合わせて用いることができ、たとえば、図3(a)(c)(d)の構成を組み合わせれば、足Fの位置ずれをより確実に防止することができる。また、靴を履いて利用する場合には、自転車のペダルに装着するトークリップやビンディングと同様の構造を採用することにより、足Fの位置固定が可能になる。
駆動装置3は、図4に示すように、駆動源として回転力を発生させるモータ30と、モータ30の回転力を左足支持台2aおよび右足支持台2bにそれぞれ駆動力として伝達するように2系統に分離する系統分離部33と、系統分離部33で2系統に分離された駆動力を用いて左足支持台2aおよび右足支持台2bをハウジング1の上面に沿って摺動移動させる摺動駆動部31と、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面がハウジング1の上面に対してなす角度を変化させる回動駆動部32とを備える。摺動駆動部31および回動駆動部32は、左足支持台2aと右足支持台2bとに対してそれぞれ設けられる。
駆動装置3について、さらに具体的に説明する。上述のように、モータ30の出力軸30aには系統分離部33が連結される。系統分離部33は、モータ30の出力軸30aに連結されたウォーム(第1歯車)33aと、ウォーム33aに噛合する一対のウォームホイール(第2歯車)33bとを備える。ウォーム33aおよび2個のウォームホイール33bはベース板1aに固定されるギアボックス(図示せず)に収納される。
この構成によって、1個のモータ30の回転力を2個のウォームホイール33bにより2系統の回転力に分離することができ、各系統の回転力を左足支持台2aと右足支持台2bとの駆動力として用いることができる。また、系統分離部33では、ウォーム33aとウォームホイール33bとを用いることによりモータ30の回転を減速する機能も有している。
ウォームホイール33bには、回転軸33cが挿通され、ウォームホイール33bの回転に伴って回転軸33cが回転するように、ウォームホイール33bと回転軸33cとを結合してある。
往復駆動部33は、回転軸33cに一端部が結合されるクランク板36と、クランク板36にクランク軸37を介して結合されたクランクロッド38とを備える。クランク軸37の一端部はクランク板36に固定され、他端部はクランクロッド38の一端部に保持された軸受38aに保持される。つまり、クランクロッド38の一端部はクランク板36に対して回動自在に結合される。クランクロッド38の他端部は台車61に対して軸体38bを用いて結合され、クランクロッド38の他端部は台車61に対して回動自在に結合される。
上述の構成から明らかなように、クランクロッド38は、ウォームホイール33bの回転力を台車61の往復移動に変換する。クランクロッド38はウォームホイール33bごとに設けられ、台車61は左足支持台2aと右足支持台2bとにおいて個別に設けられているから、クランクロッド38は、ウォームホイール33bの回転力をそれぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとの往復移動に変換する。
台車61は上述したように車輪62とレール63とにより移動経路が拘束されているから、ウォームホイール33bの回転に伴って台車61がレール63の長手方向に沿って往復移動する。つまり、モータ30の回転がウォーム33aおよびウォームホイール33bを介してクランク板36に伝達され、さらに、クランク板36に結合されたクランクロッド38により台車61がレール63に沿った直線上で往復移動を行うのである。その結果、台車61に結合されている左足支持台2aと右足支持台2bとがレール63の長手方向において往復移動する。
本実施形態では、ウォーム33aと2個のウォームホイール33bとにより駆動力を2系統に分離し、各系統ごとに左足支持台2aと右足支持台2bとの駆動力として用いるから、駆動装置3により左足支持台2aと右足支持台2bとが関連付けて駆動される。ここで、各ウォームホイール33bがウォーム33aに噛合する位置を180度異ならせてあり、したがって左足支持台2aが移動範囲の後端に位置するときには、右足支持台2bは移動範囲の前端に位置する。左足支持台2aの移動範囲における後端は左足支持台2aの移動範囲の右端であって、右足支持台2bの移動範囲における前端は右足支持台2bの移動範囲の右端であるから、左右方向においては、左足支持台2aおよび右足支持台2bは同じ向きに移動することになる。
なお、上述の構成から明らかなように、ウォーム33aとウォームホイール33bとを噛み合わせる位置に応じて、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動における位相差を適宜に付与することが可能である。左足支持台2aと右足支持台2bとの上に立って立位で使用する場合には、本実施形態のように180度の位相差を付与すれば、使用者の前後方向の重心移動が少なくなるからバランス機能が低下している使用者でも使用できる。あるいは、位相差を持たないようにすれば、使用者の前後方向の重心移動が生じるから、単に脚部の筋群の運動になるだけではなく、バランス機能を保つための腰背部などの筋群の運動にも役立つ。
ところで、左足支持台2aおよび右足支持台2bは、軸部74の周りで回動可能であるから、前端部と後端部との高さ位置を変化させることが可能になっている。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に置いた足の爪先と踵との高さ位置を変化させることにより、足関節の底屈と背屈とが可能になっている。
ここで、軸部74の周りでの左足支持台2aおよび右足支持台2bの回動をレール63に沿った往復移動に連動させるために、ベース板1aには、図5に示すように、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動経路に沿って少なくとも一部に傾斜面14aを有したガイド面14が形成され、左足支持台2aと右足支持台2bとの各下面にはそれぞれガイド面14に当接する倣い突部25が設けられている。倣い突部25の先端部には、ガイド面14の上で転動するローラ25aを倣い突部25の先端部に設けている。すなわち、本実施形態では、軸部74とガイド面14と倣い突部25とにより回転駆動部32が構成されている。
上述のように、ガイド面14に当接する倣い突部25を設けていることにより、モータ30の回転に伴って左足支持台2aおよび右足支持台2bが往復移動を行う際に、倣い突部25がガイド面14に設けた傾斜面14aに当接する際には、左足支持台2aおよび右足支持台2bが軸部74の周りで回動することにより左足支持台2aおよび右足支持台2bのベース板1aに対する角度が変化し、結果的に足関節の底屈および背屈が行われる。
ところで、装置の使用にあたり、立位で使用する場合には、左足支持台2aおよび右足支持台2bが停止位置している初期位置において、左右の足をそれぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとに載せて左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に立ち、駆動装置3の運転を開始させる。図6に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの長手方向Dxは前後方向(矢印Xの向き)に対して、たとえば9度程度の角度をなすように配置され、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に立ったときに、使用者の脚部に捻れを生じることがなく、自然な立ち位置になるようにしてある。
初期位置では、左足支持台2aおよび右足支持台2bは前後方向において同位置に位置する。つまり、初期位置では左足支持台2aおよび右足支持台2bが左右方向の一直線上に並ぶ。したがって、初期位置で使用者が左足支持台2aおよび右足支持台2bの上に載ると、使用者の重心から鉛直方向に下ろした直線は左足支持台2aと右足支持台2bとの間でほぼ中央を通ることになる。
上述した構成から明らかなように、駆動装置3の運転を開始すると、左足支持台2aおよび右足支持台2bはそれぞれ前後方向に位置を変化させるとともに、前後方向の位置変化に伴って左右方向の位置も変化させる。ここで、左足支持台2aおよび右足支持台2bはレール63に沿った一直線上を往復移動し、左足支持台2aおよび右足支持台2bは足の前後方向とは異なる方向に移動する。
また、上述したように、左足支持台2aおよび右足支持台2bがレール63に沿って往復移動するのと同時に、足置板21が軸部74の周りに回動する。足置板21が前方に移動する際には倣い突部25がガイド面14の傾斜面14aを昇るから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前端位置において足関節が背屈し、左足支持台2aおよび右足支持台2bの後端位置において足関節が底屈することになる。軸部74の位置は足裏において踵付近に設定し、底屈と背屈との角度はベース板1aの上面を基準面として基準面に対してそれぞれ10度程度に設定する。
なお、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前後の位置と底屈および背屈との関係は上述の例とは逆にすることが可能であり、また基準面に対する底屈および背屈の角度は異ならせてもよい。これらの動作はガイド面14の形状を適宜に設定することにより、容易に実現することができる。
なお、駆動源であるモータ30からの回転方向の変換手段としてウォーム33aとウォームホイール33bとを使っているが、プーリとベルトやユニバーサルジョイントでもよい。
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1とは摺動駆動部31および回転駆動部32の構成が異なる。また、以下では、左足支持台2aおよび右足支持台2bについてハウジング1の上面に対する角度が変化しても位置が変化しない点を左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点とする。このような代表点は複数考えられるが、どれを代表点に用いてもよい。要するに、左足支持台2aおよび右足支持台2bがハウジング1の上面に沿って摺動移動する際に、ハウジング1の上面に対する角度が変化しても位置変化がない点を代表点に定めるとよい。代表点は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの外に設定してもよい。このような代表点を規定することにより、左足支持台2aおよび右足支持台2bの摺動移動の移動経路を一元的に記述することができる。
一方、摺動駆動部31および回動駆動部32としては、図7に示す構成を採用する。ここに、ウォームホイール33bから摺動駆動部31および回動駆動部33への駆動力の伝達経路については省略しているが、歯車、ベルトなどの周知の伝達要素を用いることにより駆動力を伝達することができる。
ところで、回動駆動部32は、足関節の角度を変化させるように左足支持台2aおよび右足支持台2bの角度を変化させるから、足関節の回動中心の延長線に直交する面(以下では、「回動面」と呼ぶ)内において左足支持台2aおよび右足支持台2bの角度を変化させるように構成されている。後述するように、摺動駆動部31が左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点を摺動移動させる方向は必ずしも回動面と平行ではないが、以下の説明では説明を簡単にするために、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点が摺動移動する方向が回動面と平行である場合について説明する。左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点が摺動移動する方向はハウジング1の前後方向に対して5〜15度に設定される。ただし、摺動移動の方向は、開口窓11a,11bの長手方向の中心線の方向とは一致していなくてもよい。
図7に示す構成例は、左足支持台2aおよび右足支持台2bが前後に移動する際の爪先の軌跡が下に凸になるように左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度を変化させるものである。図示例は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動経路における前端位置において踵が爪先よりも下方に位置し、後端位置において爪先が踵よりも下方に位置するように左足支持台2aおよび右足支持台2bの角度が変化する場合を示している。
摺動駆動部31は、系統分離部33から回転力が伝達される偏心回転体34と、偏心回転体34にクランクピン35aを用いて一端部が結合されたクランクロッド35とを備える。クランクロッド35の他端部はギアボックス40に対してクランク軸35bにより回動自在に結合される。ギアボックス40は、移動経路が図7に示すラック41の長手方向に沿った一直線上に拘束されている。したがって、偏心回転体34が回転すると、偏心回転体34の回転中心34aからクランクロッド35の上記他端部までの距離が変化することにより、ギアボックス40はラック41の長手方向に沿った一直線上を移動することになる。
ギアボックス40は、互いに噛合した歯数の異なる2個の平歯車42,43を支承しており、歯数が少ないほうの平歯車42はラック41に噛合する。したがって、上述のように偏心回転体34の回転に伴ってギアボックス40がラック41に対して摺動すると、ラック41に噛合している平歯車42が回転し、この回転力が平歯車43に伝達される。偏心回転体34が1回転する間に、平歯車42はラック41上を往復移動し、平歯車43は平歯車42の往復回転に伴って水平面に対して±30度程度の範囲で往復回転する。
平歯車43には左足支持台2aあるいは右足支持台2bが結合されており、左足支持台2aあるいは右足支持台2bは平歯車43の往復回転に伴って上面の角度を変化させる。また、ギアボックス40がラック41に沿って一直線上を移動するから、左足支持台2aあるいは右足支持台2bもラック41に沿って一直線上を移動する。つまり、ラック41の長手方向が左足支持台2aあるいは右足支持台2bの摺動移動の方向になる。
以上の説明から明らかなように、ギアボックス40およびラック41は摺動駆動部31の一部を構成しており、ラック41と平歯車42,43とは回動駆動部32を構成することになる。つまり、本実施形態では、摺動駆動部31の駆動力が回動駆動部32に伝達され、摺動駆動部31の駆動力と回動駆動部32の駆動力とが第2駆動力32から左足支持台2aあるいは右足支持台2bに伝達される構成になっている。なお、図示した構成では、ギアボックス40に弧状のガイド孔40aが形成され、平歯車43に結合されガイド孔40aに挿通された連結軸43aと、平歯車43の回動軸43bとがスイング板44に結合され、スイング板44に左足支持台2aあるいは右足支持台2bを結合する構成を採用している。つまり、回動軸43bは左足支持台2aあるいは右足支持台2bを回動させる軸部になる。
上述した構成から明らかなように、回動軸43bは左足支持台2aあるいは右足支持台2bの上面よりも上方に位置している。具体的には、上述した位置決め部21により規定される位置に足を載せたときに、回動軸43bの延長線が足関節を通る位置に回動軸43bを設ける。もっとも、足の寸法には個人差があるから、位置決め部21は滑り防止部21cやビンディングのように足の大きさにかかわらず利用できる構成を採用するか、あるいは足の大きさに応じた複数段階の選択が可能な構成を採用する。また、左足支持台2aおよび右足支持台2bが軸部の周りで回動したときに、足関節の角度を変化させることができるように、軸部は足の幅方向に沿って配置するのが望ましい。
左足支持台2aあるいは右足支持台2bの上面と回動軸43bまでの距離については、想定する使用者の足の寸法から得られる平均値とすればよい。また、左足支持台2aあるいは右足支持台2bの上面に着脱可能であって厚みの異なる寸法調節板を重ねたり、スイング板44を連結軸43aおよび回動軸43bに取り付ける位置を調節可能にしたりする構成を採用してもよい。
図7に示す構成の動作をまとめると図8のようになる。上述したように、図8の動作は一例であって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面が水平面に対してなす角度は適宜に設定可能である。つまり、図8に示す動作例は、図8(b)のように、偏心回転体34の回転中心34aの上下いずれかの位置にクランクピン35aが位置するときに、左足支持台2aあるいは右足支持台2bの上面が水平になる場合を例示している。
図8において右方を前方とすれば、図8(a)のように、偏心回転体34の回転中心34aに対してクランクピン35aが前方に位置するときには、連結軸43aが回動軸43bよりも前方に位置し、結果的に左足支持台2aあるいは右足支持台2bは、前端部が後端部よりも上方に位置することになる。つまり、踵が爪先よりも下方に位置する。一方、図8(c)のように、偏心回転体34の回転中心34aに対してクランクピン35aが後方に位置するときには、連結軸43aが回動軸43bよりも後方に位置し、左足支持台2aあるいは右足支持台2bは、後端部が前端部よりも上方に位置する。つまり、爪先が踵よりも下方に位置する。
上述の動作によって、足の位置を摺動移動させることで使用者の脚部の筋群の伸縮を促し、しかも足関節の角度を変化させることにより下腿部の筋群を刺激することが可能になる。つまり、歩行時の動作に近似させていることにより、大腿部および下腿部の筋群を協調させて刺激することができるから、リハビリなどの際の歩行訓練に利用することが可能である。しかも、足の位置は摺動移動するだけであって、大腿部を持ち上げる必要がないから、膝関節に痛みがある場合や大腿部の筋群の筋力が低下してバランスをとりにくい使用者であっても利用することが可能である。さらには、下腿部の筋群を伸縮させることにより、足関節の周囲の筋群をほぐして関節可動域の減少を防止するとともに、腓腹筋の伸縮によって静脈環流の増加を促すことができる。静脈環流を促進すれば、心臓に向かう血流を増加させることになり、結果として全身の血流向上につながる。
なお、上述の動作は、左足支持台2aおよび右足支持台2bが摺動移動の際の移動範囲の前端に位置するときに爪先が踵よりも上方に位置し、摺動移動の際の後端に位置するときに踵が爪先よりも上方に位置するから、歩行時の自然な動作に近く、歩行訓練に役立つものであるが、回動軸43bの周りでの角度変化を逆にしてもよい。つまり、左足支持台2aおよび右足支持台2bが摺動移動の移動範囲の前端に位置するときに踵が爪先よりも上方に位置し、摺動移動の後端に位置するときに爪先が踵よりも上方に位置するようにしてもよい。前者の動作では足関節の角度変化が比較的少ないが、後者の動作では足関節の角度が大きく変化するから、関節の可動域を広げる訓練に役立てることができる。とくに、摺動移動の後端において足関節が背屈することになり、アキレス腱を伸ばす効果を高めることができる。
ところで、上述の構成例では、左足支持台2aあるいは右足支持台2bの回転中心である軸部の延長線が使用者の足関節を通るように、回動軸43bの位置を設定しているから、左足支持台2aおよび右足支持台2bが回動軸43bの周りに回動しても足関節は上下方向にはほとんど移動せず、上下方向の移動に伴う負荷が足関節にほとんど作用しない。つまり、足関節への負担が少ないとともに使用者にとっては重心移動が少なくバランスを保ちやすくなる。また同時に、膝関節が曲がらないから膝関節にも負荷がほとんど作用しない。ただし、回動軸43bの延長線が足関節を通ることは、回動軸43bを左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面よりも上方に配置しなければならないから、それだけハウジング1の上下方向の寸法が大きくなる。
ハウジング1の上下方向の寸法を小さくするには、軸部を左足支持台2aおよび右足支持台2bの下方に配置することが望ましい。たとえば、図9に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bが水平位置である状態で足裏の下方になりかつ足関節の直下を通る位置に軸部Axを設けるのが望ましい。この軸部Axを回動駆動部32により回動させるとともに、回動駆動部32を摺動駆動部31により摺動移動させる構成を採用すれば、ハウジング1の上下方向の寸法を低減することができる。この位置に軸部Axを設けると、図10に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの角度変化に伴って足関節Jaの位置が前後に移動するが、上下方向においては足関節Jaの移動量は少ないから、使用者の重心Pgの位置はほとんど変化せずバランスを取りやすくなる。つまり、バランス能力の低い使用者でも利用することができ、また膝関節Jnを曲げる必要がないから、膝関節Jnへの負担が小さく、膝痛があっても利用することが可能である。
また、上述の構成例では、摺動駆動部31と回動駆動部32とを1個の駆動源(モータ30)で動作させているが、摺動駆動部31と回動駆動部32とにそれぞれ異なる駆動源を用いてもよい。摺動駆動部31と回動駆動部32との駆動源を別に設けると摺動駆動部31の構成の自由度を高めることができる。たとえば、左足支持台2aおよび回動駆動部32を載せた基台(図示せず)と、右足支持台2bおよび回動駆動部32を載せた基台(基台)とをそれぞれガイドレールに沿って摺動自在とし、各基台を駆動源からの駆動力で往復直進移動させる構成を採用することができる。駆動源にモータを用いる場合には、回転力を直進往復移動に変換するためのクランク機構などを、左足支持台2aおよび右足支持台2bと駆動源との間に介在させればよい。
上述した構成を採用すれば、左足支持台2aおよび右足支持台2bの摺動移動に伴って足関節は上下方向に変位するが、軸部を足関節の直下としているから、左足支持台2aおよび右足支持台2bよりも軸部を下方に配置するという制約条件の中では、軸部と足関節との距離を最小化することができ、足関節の上下方向の変位量を小さくすることができる。また、摺動駆動部31および回動駆動部32を併せて簡略に構成することが可能になる。たとえば、摺動駆動部31で左足支持台2aおよび右足支持台2bを摺動移動させ、左足支持台2aおよび右足支持台2bに軸部となる回動軸を設けるとともに、左足支持台2aおよび右足支持台2bの軸部の周りでの角度を変化させるガイドを設けて回動駆動部32に用いる構成を採用することができる(ガイドは、後述する実施形態3の構成におけるカム溝とガイドバーとの関係と同様の構成を採用すればよい)。
なお、左足支持台2aおよび右足支持台2bに軸部を設ける場合に、足関節の直下ではなく足関節の直下から離れた部位に設けると、足関節の上下方向の変位を大きくすることができ、バランス機能の訓練に利用することが可能になる。すなわち、図11、図12に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bが水平位置である状態で足裏の下方になりかつ足関節Jaの直下に対して前方または後方となる部位に軸部Axを設けると、左足支持台2aおよび右足支持台2bが軸部Axの周りで回動したときの上下方向における足関節Jaの変位量を大きくすることができる。
図11、図12に示す構成例では、足関節Jaの直下よりも前方に軸部Axを設けており、左足支持台2aおよび右足支持台2bが移動範囲の前端位置に位置するときに踵が爪先よりも上がり、後端位置に位置するときに踵が爪先よりも下がるように軸部Axを回転させている。この動作により左右の足が前後方向に離れて位置するときに、左右の足が上下方向においても離れて位置し足関節Jaの位置に高低差が生じる。足関節Jaの位置に高低差が生じると、膝関節Jn、股関節Jh、上体などの筋群を用いてバランスを保つように反射が生じるから、これらの筋群が刺激され、結果的に膝関節Jnの周囲、股関節Jhの周囲、腰背部などの筋群の訓練になる。また、摺動移動の角度を45度程度に設定してあり、股関節Jhを開いた上体で足関節Jaの曲げ伸ばしを行うことにより、脚部の内側と外側との筋群を刺激することが可能になる。
なお、上述の構成例では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点が移動する方向と軸部である回動軸43bの延長方向とを直交させているが、両方向を直角以外の角度になるように構成する場合には、平歯車42,43に代えて、食違いウォーム歯車や傘歯車を用いればよい。
また、フック式自在継手を用いて摺動駆動部31と回動駆動部32との間を任意角度に調節することも可能である。フック式自在継手を用いる場合には、左足支持台2aと摺動駆動部31と回動駆動部32とからなるブロックを構成し、また右足支持台2bと摺動駆動部31と回動駆動部32とからなるブロックを構成しておき、左足支持台2aあるいは右足支持台2bの代表点の摺動方向がハウジング1の前後方向に対してなす角度を各ブロックごとに調節可能としてもよい。
たとえば、各ブロックの後端部を水平面内で回動可能となるように軸ピンによってハウジング1に結合するとともに、ハウジング1にはブロックの回動中心から一定距離である部位に複数個のピン孔を設けておき、ブロックに設けた係止ピンをいずれかのピン孔に挿入する構成とすれば、左足支持台2aおよび右足支持台2bの摺動方向が複数方向から選択可能になる。この構成では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動軌跡は直線状であって、移動軌跡の前端位置と後端位置とを結ぶ直線が前後方向に対してなす角度が調節可能になるから、各ブロックと軸ピンと係止ピンとピン孔とにより移動方向設定部が構成される。
ここにおいて、摺動駆動部31と回動駆動部32とはフック式自在継手を用いて結合されているから、軸部となる回動軸43bに直交する回動面がハウジング1の前後方向に対してなす角度を5〜15度の範囲に保ちながらも、左足支持台2aと右足支持台2bとの摺動移動の方向をより大きい角度範囲で変化させることが可能になる。たとえば、左足支持台2aと右足支持台2bとの摺動移動の方向はハウジング1の前後方向に対して5〜45度の範囲などに設定することが可能になる(角度は左足支持台2aについては左回りの角度、右足支持台2bについては右回りの角度)。
たとえば、摺動移動の角度を5〜15度程度の範囲とすれば、使用者が脚部の筋肉を弛緩させた状態(リラックスした状態)で立っているときに足関節や膝関節を屈伸させる方向に一致するから、膝関節や足関節に作用する負荷を少なくしながらも、脚部の筋群の伸縮を行うことができる。また、摺動移動の角度を45度程度に設定すれば、脚部の内転筋や外転筋を刺激することが可能になる。
上述の動作では、左足支持台2aと右足支持台2bとは、一方の代表点が移動範囲の前端に位置するときに他方の代表点が移動範囲の後端に位置するように、いわば逆位相で移動させることを想定しており、このことによって使用者の重心位置の前後方向の移動が少なくなり、バランス機能の衰えている使用者でも利用可能になる。
上述した動作では、摺動駆動部31の周期と回動駆動部32の周期とを一致させているが、摺動駆動部31と回動駆動部32との周期を異ならせる構成を採用することも可能である。両者の周期を異ならせると、通常の歩行とは異なる不自然な動きになるから、特殊な動きの訓練が可能になる。また、左足支持台2aと右足支持台2bとの位置が同時に変化するように連動させているが、左足支持台2aと右足支持台2bとの一方のみについて上述した動作を行うようにしてもよい。たとえば、片脚を負傷している場合などに、左足支持台2aと右足支持台2bとの一方のみを駆動することにより、負傷していない脚部のみの運動を行うことも可能である。
さらに、上述した例では立位での使用を想定しているが、バランス機能が衰えている使用者であれば、椅子あるいは車椅子に着座して使用したり、懸架具により上体を吊り下げて使用することも可能である。このように上体を支持して使用すれば、使用者の自重は負荷として利用されにくくなるが、軽負荷での運動が可能になるから、身体条件のさまざまな使用者に利用させることが可能になる。また、椅子に着座する場合には椅子の座面の高さを変化させることにより、負荷の程度を調節することが可能であるから、使用者の体力に応じて負荷を調節することが可能になる。また、懸架具を用いる場合に、使用者がバランスを崩して倒れそうになったときにのみ懸架具で支持するようにすれば、脚力やバランス機能の衰えた使用者がリハビリとして用いる際に安全な使用が可能になる。
あるいはまた、脚部の筋群を刺激するだけの使用であれば、ハウジング1を立てた状態として左足支持台2aおよび右足支持台2bが上下方向に移動する際に左右方向に位置変位する配置とし、使用者は仰臥した姿勢で使用することも可能である。このような使用形態であれば、使用者の自重を負荷として利用することができないが、入院患者などがベッドに寝ている姿勢でも利用することができるから、脚部の筋力の低下を抑制したり脚部の鬱血を抑制したりすることができ、また背中の位置変化が生じるから床擦れの抑制にも寄与する。
(実施形態3)
本実施形態は、基本的な構成は実施形態1と同様であるが、摺動駆動部31および回動駆動部32の構成が実施形態1とは異なるものである。すなわち、回動駆動部32は、図13に示すように、左足支持台2aと右足支持台2bとがそれぞれ左右両側下部に突設した一対の側板22を有し、各側板22において左右に貫通するカム溝23に、ハウジング1の定位置に固定した2本のガイドバー24を挿通することにより構成してある。摺動駆動部31は、実施形態2と同様の構成であって、系統分離33から回転力が伝達される偏心回転体34に一端部を結合したクランクロッド35の他端部をクランク軸35bにより左足支持台2aあるいは右足支持台2bに結合した構成を有する。
カム溝23は、両端部が中央部よりも下方に位置するように側面視において逆V字状に形成されている。また、2本のガイドバー24を設けることによって、左足支持台2aおよび右足支持台2bに作用する荷重を支持している。
この構成では、図14に示すように、摺動駆動部31によって左足支持台2aおよび右足支持台2bが摺動移動する際には、カム溝23がガイドバー24に沿って移動し、カム溝23の中央部が両端部よりも上方にしていることにより、左足支持台2aあるいは右足支持台2bが前端位置に移動するときには爪先が踵よりも下方に位置し、左足支持台2aあるいは右足支持台2bが後端位置に移動するときには踵が爪先よりも下方に位置するように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度が変化する。
上述の構成ではカム溝23の形状によって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度変化を任意に設定することができ、カム溝23の形状によって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの摺動移動の位置と足関節の上下方向の変位量との関係を適宜に調節することができる。また、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度変化の際に規定した軸部の周りでの回転とする必要がなく、それだけ足関節の角度の変化パターンの自由度を高めることができる。
なお、カム溝23の形状を逆V字状とする代わりに上下を逆にしてV字状に形成すれば、左足支持台2aおよび右足支持台2bが摺動移動する際の移動範囲における前端位置において爪先が踵よりも上方に位置し、後端位置において踵が爪先よりも上方に位置するように移動させることができる。つまり、図13に示す構成例では足の前後の位置と足関節の角度との関係が歩行とは異なる関係になるが、カム溝23の形状を変更することにより歩行と同様の関係にすることができる。
また、図示例ではカム溝23をガイドバー24が挿通される孔状に形成しているが、側板22においてカム溝23の下方を省略して単なるカム面としてもよい。この構成を採用すれば、上下方向の寸法を小さくしてハウジング1の薄型化が可能になる。
本実施形態は回動駆動部32の構造が実施形態2とは異なるが、他の構成は実施形態2と同様であるから説明を省略する。
(実施形態4)
上述した各実施形態では、ハウジング1に対して左足支持台2aと右足支持台2bとを摺動駆動部31により摺動させているが、摺動駆動部31を省略し、回動駆動部32のみを用いるようにしてもよい。すなわち、左足支持台2aおよび右足支持台2bが、ハウジング1に対して摺動移動せずに回転移動のみを行うように構成している。
図15に駆動装置3の概略構成を示す。駆動源としてのモータ30の出力軸30aには円錐歯車33cが連結され、円錐歯車33cには2個の小歯車33dが噛合する。つまり、円錐歯車33cと小歯車33dとにより系統分離部33が形成される。系統分離部33を構成する各小歯車33dには、それぞれ左足支持台2aと右足支持台2bとの軸部となる回動軸43cが結合される。
円錐歯車33cに対する各小歯車33dの噛合位置は、円錐歯車33cの回転方向において180度離れており、左足支持台2aと右足支持台2bとの傾斜角度の位相差が180度になるように設定されている。つまり、左足支持台2aの前端が移動範囲の最下端に位置するときに右足支持台2bの前端は移動範囲の最上端に位置し、左足支持台2aの前端が移動範囲の最上端に位置するときに右足支持台2bの前端は移動範囲の最下端に位置するのである。左足支持台2aの前端が、下から上に向かって移動するか、上から下に向かって移動するかは、モータ30の回転方向により切り換える。すなわち、左足支持台2aと左足支持台2bとの少なくとも一方の位置またはモータ30の回転角度を図示しないセンサにより検出し、適宜の角度範囲で左足支持台2aと左足支持台2bとの角度が変化するように図示しない制御回路によりモータ30の回転方向を制御する。
回動軸43cは、使用者の左右方向に対して10度程度の角度を付与している。したがって、足の長手方向が回動軸43cに直交する方向を向くように左足支持台2aおよび右足支持台2bに位置決め部21(図3参照)を設けておけば、左足の爪先は踵よりも左に位置し、右足の爪先は踵よりも右に位置する。言い換えると、使用者は位置決め部21により足の位置を決めることで、足の開き角度が20度程度になるから自然な立ち位置になり、足関節や膝関節にねじれが生じることがない。なお、左足支持台2aと右足支持台2bとの左右方向の距離を左右の股関節間の距離程度に設定しておくことにより、膝関節などに生じるせん断力を小さくすることができる。
ところで、図示例では、回動軸43c(軸部Ax)を足関節の直下よりも前方に設けてある。したがって、図12に示した動作例のように、足関節の回動に伴って足関節が上下方向に変位する。左足支持台2aと右足支持台2bとは摺動移動しないから、ハウジング1の上面内で左右の足の位置は変位しないが、足関節が回動するとともに足関節に高低差が生じる。その結果、実施形態1と同様に、膝関節の周囲の筋群、股関節の周囲の筋群、腰背部の筋群などを刺激することができる。摺動駆動部31を省略している点を除いて他の構成は実施形態1と同様である。
(実施形態5)
実施形態4では、上下方向における足関節の変位量を大きくするために、回動軸43cが足関節の直下に対して前方に離れて位置するように配置しているが、図16に示すように、回動軸43dを上下方向に変位させる構成を採用することにより、上下方向における足関節の変位量をさらに大きくすることが可能である。
図示例では、左足支持台2aと右足支持台2bとにおいて足関節の直下よりも前方に回動軸43dを固着してあり、左足支持台2aと右足支持台2bとの後端部にはガイド軸46を固着してある。回動軸43dの両端部は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの両側方にそれぞれ突出し、それぞれ軸受台45に設けた上下方向に沿ったガイド孔45aに挿入される。したがって、回動軸43dは軸受台45に対して上下方向に移動可能になっている。また、ガイド軸46の両端部は、左足支持台2aおよび右足支持台2bの両側方にそれぞれ突出し、それぞれスライド台47に設けたスライド孔47aに挿入される。スライド孔47は、ガイド軸46が上下に移動できるように湾曲している。すなわち、スライド孔47の上下方向の中間部は上下方向の両端部に対して軸受台45からの距離を大きくするように湾曲している。
ガイド軸46をスライド孔47に沿って上下に移動させるために、左足支持台2aおよび右足支持台2bには、それぞれクランクロッド48の一端部が結合され、クランクロッド48の他端部はモータ(図示せず)により正逆に回動される円盤状の偏心回転体49に結合される。偏心回転体49へのクランクロッド48の取付位置は、偏心回転体49の中心から離れており、偏心回転体49が正逆に回動すると、クランクロッド46の上記一端部のスライド孔47の中での位置が変化する。
ただし、クランクロッド46の上記一端部を偏心回転体49の正逆の回動に伴って下端位置から上端位置に移動させる際には、ガイド軸46を上方に引き上げる力を作用させる必要がある。そこで、図示例では、左足支持台2aと右足支持台2bとの下面にそれぞれ偏心カム50を当接させ、偏心回転体49の回動に伴って偏心カム50も回動するようにしてある。偏心回転体49と偏心カム50とは、図示しない連接棒を介して連結される。左足支持台2aおよび右足支持台2bは、クランクロッド48の上記他端部が上端位置に位置するときには、偏心カム50により上方に押し上げられる。つまり、偏心回転体49と偏心カム50とは連接棒により連動して回転する。
ここで、踵が爪先よりも下に位置するときに回動軸43dが移動範囲の下端位置に位置し、踵が爪先よりも上に位置するときに回動軸43dが移動範囲の上端位置に位置するように、連動関係を設定しておく。したがって、左足支持台2aおよび右足支持台2bを回動軸43dの周りに単に回動させる場合に比較すると、上下方向における足関節の移動量を大きくとることができる。つまり、足関節の上下動を大きくとることにより、膝関節、股関節、上体の筋群に対する刺激量が大きくなり、訓練効果を高めることができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
上述した各構成例では、左足支持台2aと右足支持台2bとは軸部(回動軸43b、回動軸43c)を中心として回転する構成を採用しているが、実際には軸部のみで使用者の体重を支持すると軸部に作用する負荷が大きくなり、軸部や軸受に大きな強度の部材が必要になる。したがって、左足支持台2aと右足支持台2bとに作用する負荷を分散させるために、図17に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bとハウジング1との間に使用者の体重の一部を受けることができる補助ばね51を付加するのが望ましい。
図示例では、補助ばね51を左足支持台2aと右足支持台2bとの前端部と後端部との下面側に配置してある。各補助ばね51は圧縮用であり、自然長よりも圧縮した状態で取り付けてある。ただし、左足支持台2aと右足支持台2bとが駆動されていないときには、左足支持台2aと右足支持台2bとの上面が水平に保たれるようにばね力が設定されている。したがって、軸部にはつねに上向きの力が作用し、左足支持台2aおよび右足支持台2bに使用者が載ったときに使用者の体重により軸部に作用する荷重を軽減することができる。つまり、補助ばね51を設けることにより、軸部や軸受に用いる部材の強度を低減させることが可能になる。
図17に示す構成例では、左足支持台2aと右足支持台2bとを回動させるために、駆動源であるモータ(図示せず)からの回転力を受けて正逆に回動する回動体52を設け、左足支持台2aおよび右足支持台2bにおいてそれぞれ足の長手方向に沿って形成したガイド孔53に、回転体52に突設したスライドピン52aを挿入している。回動体52は、足の幅方向に沿った中心軸の周りに回動する。また、スライドピン52aは回動体52の中心軸の軸方向に突出する。
回動体52の回動中心の上方に使用者の重心を位置させた状態で回動体52を回動させる、図17(a)のように、スライドピン52aを回動体52の中心軸よりも後寄り(右側を前方とする)に位置させると、スライドピン52aの周りで、左足支持台2aまたは右足支持台2bに使用者の自重により爪先を下げる向きの回転力が生じる。図17(b)のように、スライドピン52aを回動体52の中心軸よりも前寄りに位置させると、スライドピン52aの周りで、左足支持台2aまたは右足支持台2bに使用者の自重により踵を下げる向きの回転力が生じる。
ここで、補助ばね51が左足支持台2aと右足支持台2bとの前端部と後端部とにそれぞれ設けられているから、左足支持台2aおよび右足支持台2bはスライドピン52aの周りで適宜角度だけ回動することが可能になる。ただし、この構成では、使用者の自重や立ち位置によって、左足支持台2aおよび右足支持台2bの回動角度が変化するから、別途に左足支持台2aおよび右足支持台2bの回動角度を規制するストッパのような部材を設けておくのが望ましい。
(実施形態6)
本実施形態では、図18に示すように、ハウジング1に手摺15を立設したものである。手摺15を設けることによって、運動能力の低い使用者でも安心感をもって使用することが可能になる。手摺15は、ハウジング1の前部に取り付けられる前手摺16aと、ハウジング1の左右の各側部に取り付けられる一対の側手摺16bとからなり、左足支持台2aおよび右足支持台2bに搭乗した使用者の前方と左右の側方との三方を囲むように配置される。
前手摺16aおよび側手摺16bは、それぞれ2本ずつの取付脚15aを備え、取付脚15aの下端部は、図19に示すように、ハウジング1の上板1bを貫通してベース板1aに設けたアンカ17aに対して着脱可能に固定される。すなわち、取付脚15aの下端部をアンカ17aに差し込むとともに、アンカ17aの側方から取付脚15aに固定ねじ17bを螺入することにより、取付脚15aがアンカ17aから抜けないように固定する。この構造を採用していることにより、アンカ17aに対する取付脚15aの挿入量を調節することで、前手摺16aおよび側手摺16bの高さ位置を調節することが可能になる。
前手摺16aおよび側手摺16bの上端部には、それぞれ使用者が手で把持する上バー15bが設けられる。前手摺16aおよび側手摺16bは、それぞれ断面円形のパイプを用いて形成されており、取付脚15aと上バー15bとの間には、パイプを曲げて形成した拡幅部15cが設けられる。拡幅部15cは、平面視において(図18(b)参照)、前手摺16aおよび側手摺16bの上端部が下端部に対してハウジング1の外周から遠ざかるようにパイプを曲げて形成してある。つまり、ハウジング1の上面の前縁および左右各側縁が囲む範囲よりも、上バー15bが囲む範囲のほうが大きくなるようにしている。この構成により、手摺15を設けた構成で胴回り寸法の大きい使用者に対応する場合においても、ハウジング1を大型化する必要がなく、コストの増加を抑制することができる。
ハウジング1の前面と左右の各側面とには、それぞれ2本ずつの補助足18が突設され、補助足18によりハウジング1を支持している。したがって、ハウジング1に搭乗した使用者が手摺15にもたれかかるように荷重を作用させても、ハウジング1が転倒することがない。また、手摺15に荷重が作用すると、手摺15の撓みにより上板1bと取付脚15aとの間に隙間が生じる可能性があるが、図19に示すように、ハウジング1の上面に沿って配置されるカバー用リング17cを取付脚15aに装着し、ハウジング1の上板1bにおいて取付脚15aを挿通するために設けた貫通孔1cをカバー用リング17cで覆うことにより、隙間が形成されるのを防止している。カバー用リング17cは合成樹脂板(たとえば、アクリル変成高衝撃塩化ビニル樹脂板)により形成されている。
なお、詳述はしないが、側手摺16bの上バー15bには、カラビナフックを着脱可能に結合するために、U字状の部材を上バー15bに固着して取付環を形成したフック取付部15dが形成されている。カラビナフックは使用者が装着するハーネスに取り付けられ、カラビナフックをフック取付部15dに結合することにより使用者をハーネスによって支持することも可能になっている。また、手摺15を設けたことにより、運転・停止の指示や種々の設定のための操作を行う操作部や、運動量の目安や運動方法のアドバイスなどを提示する表示部を上バー15bに取り付けることが可能になる。
実施形態1において説明したように、ハウジング1の上板1bには、左足支持台2aを露出させる開口窓11aと右足支持台2を露出させる開口窓11bとが形成され、かつ左足支持台2aおよび右足支持台2bと開口窓11a,11bとの間を塞ぐ覆い板12が設けられている(図1参照)。ハウジング1の上板1bにおける開口窓11a,11bの周部には、覆い板12の周部が差し込まれる溝(図示せず)が形成されており、左足支持台2aと右足支持台2bとの移動に伴って、覆い板12は溝の範囲内においてスライドする。
ここで、覆い板12には左足支持台2aおよび右足支持台2bが上下に出入りするための開口が必要であり、この開口の開口縁と左足支持台2aおよび右脚支持台2bとの間には隙間が形成される。また、ハウジング1の上面と覆い板12の上面との間には段差があるから、覆い板12がハウジング1の上面に沿ってスライドすると、左足支持台2aおよび右足支持台2bとハウジング1に形成した開口窓11a,11bの開口縁との間に隙間が形成されることになる。この隙間の幅寸法は左足支持台2aおよび右足支持台2bの移動に伴って変化する。
上述のように、左足支持台2aおよび右足支持台2bと覆い板12との間に隙間が形成され、また左足支持台2aおよび右足支持台2bとハウジング1の上板1bとの間に隙間が形成されるから、これらの隙間に異物などが挟まれることがないように、隙間に異物が入らない構造を採用する必要がある。
本実施形態では、上述した隙間に異物が挟まれるのを防止するために、隙間が形成されにくい構造を採用し、かつ隙間を覆う隙間カバーを設けている。隙間が形成されにくい構造として、まず図20に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bがハウジング1の上面からつねに突出するように、ハウジング1に対する左足支持台2aおよび右足支持台2bの位置を調節している。この構成では、左足支持台2aおよび右足支持台2bがハウジング1の上面よりも下方に位置することがないから、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面と覆い板12の下面との間に隙間が形成されることがなく、隙間の管理が容易になる。
また、ハウジング1の上板1bにおける開口窓11a,11bの周部において、図21のように、開口窓11a,11bの開口縁に向かって下り傾斜する傾斜面11cを設けている。この構成では、覆い板12の上に指のような異物が存在している状態で、左足支持台2aあるいは右足支持台2bが開口窓11a,11bの開口縁との距離を小さくする向きに移動したとすると、異物は左足支持台2aあるいは右足支持台2bからの力を受けて傾斜面11cの上に押し出されることになる。したがって、傾斜面11cを形成していない場合に比較して、異物が左足支持台2aあるいは右足支持台2bと開口窓11a,11bとの間に挟まれる可能性が大幅に低減される。
ここで、傾斜面11cの先端縁の断面形状を30度程度の鋭角に形成すると異物が挟まれる可能性を低減する効果は高くなる一方で開口窓11a,11bの開口縁が欠けやすくなるという問題が生じる。そこで、図21に示すように、開口窓11a,11bの開口縁においては弧状面となるようにアールを付与しておくのが望ましい。また、覆い板12において左足支持台2aあるいは右足支持台2bを露出させるための開口の開口縁に上向きに立ち上がる突条部を形成してもよい。突条部を設けておけば、異物が開口に落ち込むのを阻止して、異物を傾斜面11cに確実に押し上げることが可能になる。
ところで、左足支持台2aあるいは右足支持台2bと覆い板12の開口との間の隙間に異物が入らないようにするには、隙間をできるだけ小さくすることが考えられる。本実施形態では、図22に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前後両面を断面弧状に形成することにより、隙間を小さくする構成を採用している。すなわち、左足支持台2aおよび右足支持台2bは軸部74を中心として回動するから、前後の両面が平面であると軸部74の周りでの回動に伴って隙間寸法が変化するが、左足支持台2aおよび右足支持台2bの前後両面の断面形状を、それぞれ軸部74を中心とした円弧(図示例では、半径R1,R2の円弧)の一部である弧状とすることによって、左足支持台2aおよび右足支持台2bが軸部74を中心として回動しても隙間寸法が一定に保たれるようにしている。
この構成を採用することにより、左足支持台2aあるいは右足支持台2bと覆い板12の開口との間の隙間の幅寸法を小さくすることが可能になり、結果的に、左足支持台2aあるいは右足支持台2bと覆い板12との間に異物が入るのを抑制することになる。
上述したように、左足支持台2aおよび右足支持台2bの側面とハウジング1に設けた開口窓11a,11bの開口縁との隙間に異物が挟まるのを防止し、かつ左足支持台2aおよび右足支持台2bと覆い板12の開口との間の隙間に異物が挟まるのを抑制しているが、依然として隙間が存在しているから、異物の侵入を完全に防止することができるわけではない。そこで、図23に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bとハウジング1の上板1bとの間を覆う隙間カバー26を設けている。
図示例の隙間カバー26の材質は布であって、隙間カバー26の両端部を固定板27で挟み込み、左足支持台2aおよび右足支持台2bとハウジング1とに対しては、リベット等の固定具28を用いて固定板27を固定する構成としている。隙間カバー26を固定板27で挟んだ上で固定具28により固定しているのは、隙間カバー26を固定具28のみで固定すると破れやすいからである。また、隙間カバー26をハウジング1に固定する固定具28は、隙間カバー26の内側に配置されるようにしてある。つまり、ハウジング1に対して隙間カバー26を固定した後に、隙間カバー26を左足支持台2aあるいは右足支持台2bに固定すればよい。
隙間カバー26の厚み寸法は、左足支持台2aおよび右足支持台2bと覆い板12の開口との間の隙間の幅寸法に対して2分の1以上であることが望ましい。このような寸法関係とすれば、図24に示すように、隙間カバー26が隙間に落ち込むことがなく、隙間カバー26が隙間に挟まることを防止できる。ただし、隙間カバー26の厚み寸法が大きくなれば、柔軟性が損なわれるから、上述の条件を満たしながらも厚み寸法は小さいことが望ましい。たとえば、隙間の幅寸法が5mmであれば、隙間カバー26の厚み寸法は2.5mm程度が望ましい。
また、左足支持台2aおよび右足支持台2bの動きを隙間カバー26によって阻害せず、かつ隙間カバー26が隙間に入らないようにするために、隙間カバー26を伸縮可能に形成するのが望ましい。すなわち、隙間カバー26の材料としてゴムのような伸縮性材料を用いたり、隙間カバー26を図25のように蛇腹状に形成するのが望ましい。隙間カバー26を伸縮可能に形成しておけば、布で形成する場合のように皺が形成されることがなく、見映えがよくなる。
ところで、上述した実施形態1ではモータ30の回転力をウォーム33aとウォームホイール33bとにより2系統に分離しているが、モータ30の回転力をタイミングベルト(図示せず)によりウォーム33a(図2参照)に代わるギア(図示せず)に伝達し、2個のウォームホイール33b(図2参照)に代わる2個のギアにウォーム33aに代わるギアを噛合させることによって、モータ30の回転力を2系統に分離してもよい。この構成では、モータ30の出力軸30aが上下方向となるようにモータ30を配置することができ、またモータ30の回転力をタイミングベルトにより伝達しているから、モータ30とギアとの距離を前後方向において引き離すことが可能になる。たとえば、モータ30をハウジング1の前端部に配置することが可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
上述した各実施形態では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面を平面状に形成しているが、左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面は必ずしも平面状でなくてもよい。
たとえば、図26に示すように、左足支持台2aおよび右足支持台2bを円柱状に形成し、実施形態1において説明した左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度を変化させる軸部を左足支持台2aおよび右足支持台2bの回動中心と一致させる構成を採用することができる。この構成では、左足支持台2aおよび右足支持台2bの代表点(軸部の上に設定すればよい)が摺動移動する際に、左足支持台2aおよび右足支持台2bが転動することにより足裏との接触位置が変化するから、実質的に左足支持台2aおよび右足支持台2bの上面の角度が変化することになる。このとき、足裏において使用者の自重が作用する位置が変化するから、足関節の角度が変化し、実施形態1と同様の効果が期待できる。
また、足裏において使用者の自重が作用する位置の変化に伴って足裏のツボを刺激することになる。さらには、使用者の自重を足裏の全体で受けるのではなく、足裏の一部のみで支持しているから、バランスを保つために足指に力を入れる期間が必要になり、結果的に足指に関連した筋群が強化されてキック力の増強につながる。また、上述した実施形態に比較してバランスを保つのが難しくなるからバランスを保つための筋群(腰背部筋群)の強化やバランスを保つための神経系の訓練にもつながる。
左足支持台2aおよび右足支持台2bは円柱状とするほか、図27に示すように、球状に形成することも可能であって、球状の左足支持台2aおよび右足支持台2bを円柱状のものと同様に動作させると、左足支持台2aおよび右足支持台2bと足裏との接触面積が小さくなり、より高度なバランス訓練が可能になる。
なお、上述した各実施形態において1個のモータ30を用いて左足支持台2aおよび右足支持台2bの摺動移動と上面の角度変化とを同時に行っているが、系統分離部33を設ける代わりに2個のモータを用いて左足支持台2aと右足支持台2bとを個別に移動させることも可能である。また、左足支持台2aと右足支持台2bとを個別に移動させるだけではなく、摺動駆動部31と回動駆動部32とについても個別のモータを用いて動作させることが可能である。これらの構成を採用するときには、各モータを関連付けて駆動するための制御回路が必要になる。また、モータは回転モータだけではなくリニアモータを用いることも可能である。