JP2009168691A - ピンホールの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異種金属からなる表面層とその下層とを具える積層構造体において、表面層に存在するピンホールを定量的に評価することができるピンホールの評価方法を提供する。
【解決手段】測定対象13の一端をポテンショスタット/ガルバノスタット装置20に接続し、他端側を2M以上7M以下の酸溶液(電解液BL)に浸漬した状態で、測定対象13に電位を変化させながら印加したときに生じる電流の変化を計測し、この結果に基づいてピンホールの量(面積)を求める。測定対象13は、Au/Ni/Cu構造体が挙げられる。金(Au)めっきにピンホールが存在すると、ピンホールから露出したニッケル(Ni)が酸溶液中で酸化され、電位の変化に伴ってピーク電流が現れる。このピーク電流は、ピンホールの面積と相関がある。
【選択図】図1

Description

本発明は、異種金属の積層構造体において、その表面側に配される表面層に存在するピンホールを定量的に求められるピンホールの評価方法に関するものである。
従来より、異種の金属が積層された積層構造体が工業製品に汎用されている。上記積層構造体として、下地金属の表面を下地金属よりも貴な金属で被覆したものがある。例えば、銅や銅合金は、導電率が高いことから、電子部品の接点材料などに汎用されているが、この用途では、耐食性の向上(腐食や変色からの保護)や摺動性の向上などを目的として、表面に銅よりも貴である金がめっきされることがある。銅や銅合金表面に直接金を被覆すると、経時的に金と銅とが合金化して金の特性(耐食性、柔軟性など)を損なう恐れがあるため、通常、中間層としてニッケルめっきが施される。このAu/Ni/Cu構造体は、FPC(Flexible Printed Circuits)やFFC(Flexible Flat Cable)の導体部に利用されている。
下地金属よりも貴な金属からなる被覆層にピンホールといった欠陥が存在すると、下地金属が加速的に腐食される異種金属接触反応が起こり得る。そのため、ピンホールは、できるだけ少ないことが望まれる。
上記ピンホールの評価には、従来、塩水噴霧試験(例えば、MIL-STD-202-101D)が汎用されている(非特許文献1参照)。この方法は、測定対象を塩水に曝した後、腐食状態を目視確認し、腐食の程度の大小でピンホールの多寡の推定を行う。或いは、SEM(Scanning Electron Microscope)といった顕微鏡を用いて、ピンホールを実際に目視することもある。
一方、非特許文献2は、ステンレス鋼SUS304上に被覆されたTiN膜のピンホール面積率を臨界不働態化電流密度法に基づいて求めることを開示している。この方法は、0.5MのH2SO4(硫酸)+0.05MのKSCN(チオシアン酸カリウム)といった低濃度の溶液に測定対象を浸漬し、この状態で測定対象に電位を変化させながら印加したときの電流密度を測定し、得られた電流密度に基づいて、ピンホールの面積を求める。
「コネクタ金めっきコンタクトにおける塩水噴霧試験およびSO2ガス試験の腐食機構解析」、新谷唯志、社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告 Vol.96,No.318(19961018),pp.7-12 「耐食性ドライコーティング膜の欠陥評価の現状」、杉本克久、材料と環境 Vol.44,No.5,pp.308-313(1995)
工業製品の品質管理をより高精度に行うためには、ピンホールを定量的に評価することが望まれる。定量すると、例えば、良品と不良品とを区別する指標を明確にできる。
しかし、塩水噴霧試験では、定性的な評価(○、△、×)しか行えない。また、塩水噴霧試験は、通常、測定に48時間も要するため、短時間で定量的な測定が行える方法の開発が望まれる。
一方、顕微鏡を用いた場合では、ピンホールが微小であることから倍率が相当大きくないと観察が難しく、せいぜい局所的な評価しかできない。めっきといった金属層の状態をより正確に把握するためには、測定対象をより広い範囲に亘って評価できることが望まれる。
他方、非特許文献2に記載される方法では、ピンホールを定量的に評価できる。しかし、この方法は、TiN膜といったセラミックス膜を対象にしており、非特許文献2は、金属層についての具体的な手法や条件を開示していない。
そこで、本発明の目的は、異種金属からなる積層構造体において、その表面層に存在するピンホールを定量的に測定可能なピンホールの評価方法を提供することにある。
本発明は、特定の溶液を用いた電気化学的測定により、ピンホールを定量的に評価する。具体的には、本発明ピンホールの評価方法は、異種の金属で構成される表面層とその下層とを具える積層構造体において、この表面層に存在するピンホールを評価するものであり、上記積層構造体を2M以上7M以下の酸溶液に浸漬し、この積層構造体に電位を変化させながら印加したとき、上記下層を構成する金属が上記酸溶液中で酸化されることで生じる電流の変化を計測し、得られた計測結果に基づいて、表面層に存在するピンホールの量を求める。
例えば、表面層にピンホールがある場合、表面層の下の下層を構成する金属がピンホールから露出する。そこで、露出した金属とは反応し易い(溶け易い)が、表面層を構成する金属とは実質的に反応しない(溶けない)ような特定の溶液と、上記表面層及び下層を具える積層構造体とを用いた電気化学測定セルを作製し、溶液中の金属の溶解量を電気的に測定することで、この測定値をピンホールの量として評価することができる。従って、上記構成を具える本発明方法は、ピンホールを定量的に評価可能である。また、電気化学的な手法を利用することで、塩水噴霧試験や顕微鏡を用いた観察といった従来の手法を比較して、短時間で精度よくピンホールを定量することができる。更に、本発明方法は、測定対象に対して、より広範囲に亘る測定が容易に行える。以下、本発明の構成をより詳しく説明する。
本発明方法は、測定対象を電解液に浸漬した状態で測定対象に電位を印加して、この電位を静止電位からずらす操作(電気化学的分極)を行って分極曲線を測定し、この結果を利用して、ピンホールを定量する。例えば、アノード分極を行うと、測定対象上では酸化反応が優位となり、酸化方向への計測過程で、測定対象(特に、表面層のピンホールから露出した下層)が溶解する反応が生じ、この溶解反応の多寡がピーク電流(溶解電流)の大小として分極曲線に現れる。具体的には、測定対象の表面層にピンホールが多く存在して、ピンホールから露出する金属(下層の構成金属)の露出量が多くなると、この金属の溶解量が多くなるため、ピーク電流が大きくなる。
上記電解液として、本発明では、濃度が2M(M:モル濃度(モル/リットル))以上の強酸溶液を用いる。具体的な酸溶液は、H2SO4溶液(硫酸)やHCl溶液(塩酸)が挙げられる。特に、硫酸は、測定時、反応に伴う有害なガスなどが生じ難いため、好ましい。濃度が2M未満、特に1M以下の低濃度ではピーク電流が現れ難く、適切な定量が難しい。濃度が高いほど、ピンホールから露出した金属の反応量が多くなるため、ピーク電流が大きくなり易いが、7Mを超えると、その理由は定かでないが明瞭なピークが現れ難くなる。より好ましくは、3M以上6M以下である。
上記酸溶液に測定対象を浸漬したら、所定の掃引速度で掃引して、測定対象に印加する電位を変化させる。掃引速度は、1mV/sec以上とすると、ピーク電流が十分大きく現れて精度よく測定でき、測定時間も短く(〜10分程度)、10mV/sec以下とすると、ピンホールから露出する金属の溶解量が過剰となることを抑制して、適切に測定できる。
測定対象は、異種金属からなる複数の金属層から構成される積層構造体とする。これら金属層のうち、表面側に配される表面層は上記酸溶液と反応せず、この表面層の下に存在する下層は、上記酸溶液と反応し易いものとする。表面層の具体的な構成金属は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、及びこれら金属の合金が挙げられる。Au合金は、例えば、Au-Co合金やAu-Ni合金といったいわゆる硬質金などが挙げられる。白金族金属合金は、例えば、Pd-Ni合金が挙げられる。下層の具体的な構成金属は、銅(Cu)、Cu合金、ニッケル(Ni)、Ni合金、錫(Sn)、及びSn合金が挙げられる。Cu合金は、Cu-Ni合金、Cu-Sn合金、Cu-Zn合金、Cu-Ag合金などが挙げられる。Ni合金は、Ni-P合金,Ni-Bi合金,Ni-Sn合金,Ni-Co合金などが挙げられる。Sn合金は、Sn-Ag合金やSn-Bi合金といった鉛フリー半田などが挙げられる。Sn-Ag合金やSn-Bi合金は、Snウイスカが生じ難い。
上記表面層及び下層は、単層でも複数層でもよい。即ち、積層構造体は、二層だけでも、三層以上でもよい。表面層を複数層とする場合、例えば、Au層の上にAu合金層を具えた構成が挙げられる。下層を複数層とする場合、例えば、基材と、基材と表面層との間に介在される中間層とを具え、基材は、銅及び銅合金からなるもの、中間層は、ニッケル、錫及びそれらの合金からなるものが挙げられる。中間層は、更に、二層以上でもよく、例えば、錫層の上にニッケル層を具えていてもよい。これら基材、中間層、及び表面層を具える積層構造体として、電子部品の接点材料に利用されるFPCやFFCの導体部などが挙げられる。上記FPCやFFCの導体部におけるピンホールを評価するにあたり、本発明方法を適用する際は、FPCやFFCを取り扱い易い大きさに適宜切断して測定対象としてもよい。
上記表面層などの各層の形成方法は、電解めっきや無電解めっきといっためっき法の他、CVD法やPVD法といった蒸着法などが挙げられる。形成方法は、金属の種類により適宜選択できる。例えば、金やニッケルは電解めっきにより、Ni-P合金は無電解めっきにより形成可能である。めっきは、通常、C,S,Oなどの不純物が含まれる。従って、上記各層がめっき法により形成されたものである場合、上記不純物の含有を許容する(但し、合計で0.1質量%以下とする)。また、上記各層がめっき法により形成されたものである場合、厚さが薄くなるほど、特に、1μm以下、取り分け0.1μm未満となるとピンホールが多くなり易いため、本発明方法によりピンホールを定量することは、品質管理のための情報(例えば、品質改善を行う指標となる情報)の取得などに貢献すると期待される。
本発明ピンホールの評価方法は、異種の金属からなる積層構造体に対して、その表面側に配される表面層に存在するピンホールを定量的に測定できる。
銅からなる基材の上に、ニッケルめっき(中間層)を介して金めっき(表面層)が施されたAu/Ni/Cu構造体を測定対象とし、電解液として高濃度の酸溶液を用いてアノード分極測定により、表面層のピンホールの定量化を行う。まず、アノード分極測定の基本的な手順を説明する。
測定は、図1に示すような三電極方式の電気化学測定セル1を構成して行う。セル1は、電解液BLが注入される容器10と、電解液BLに浸漬される基準電極(RE)11及び対極(CE)12並びに測定対象(WE)13とを具え、両極11,12及び測定対象13の一端はそれぞれ、ポテンショスタット/ガルバノスタット装置20に接続される。ここでは、基準電極11にAg/AgCl、対極12にPtを用い、装置20は市販のものを用い、装置20をポテンショスタットモードとし、所定の掃引速度で電位を掃引する。装置20には、入力手段、記憶手段、演算手段、比較手段、判断手段、表示手段などを具える制御装置(図示せず)を接続させており、電位の掃引、測定結果(分極曲線)の取得などを自動的に行う。
表面層にピンホールが存在する場合、測定対象13に印加する電位を変化させると、ピンホールから露出した金属が電解液BL中で酸化されて(電解液BLに溶け出して)電流が流れ、ピークが現れる。このピーク電流は、後述のように溶け出した金属の量、つまり下層を露出させるピンホールの量(面積)に依存するため、ピーク電流を測定することで、ピンホールを定量できる。
<試験例1 高濃度の酸溶液に対する金、ニッケル、銅の反応>
図1に示すセルを用いて、電解液に浸漬したときの金、ニッケル、銅の反応を調べた。
この試験では、金板(株式会社ニラコ製、AU-173328、純度99.95%)、ニッケル板(株式会社ニラコ製、NI-313381、純度99%以上)、銅板(JIS H 3100 C1020P)を用意し、各板は、0.50cm2を露出させ、その他の部分はエポキシ樹脂でマスキングしたものを測定対象とした。電解液は、5Mの硫酸を用いた。各測定対象を電解液に浸漬したら、電位の掃引を開始し、掃引しながら電流の変化を計測する。掃引速度は、1mV/sとした。その結果を図2,3に示す。
用意した上記測定対象が電解液中で酸化されるものである場合、電解液に浸漬された測定対象は、電位(ここでは、正の電位)の増大に伴って酸化されると、電流が流れ、金属の種類にもよるが、ある電位以上になると、この金属の表面が不働化して電流が小さくなる。その結果、ピークを有する分極曲線(電位-電流曲線)が得られる。用意した上記測定対象が電解液中で酸化されないものである場合、電位が変化しても電流が実質的に流れず、電流値は0mAとなる。
銅及びニッケルは、高濃度の酸溶液と反応し、金は高濃度の酸溶液と実質的に反応しないため、図2,3の分極曲線に示すように、銅やニッケルはピークが存在するのに対し、金は図2,3のグラフにおいて横軸に重なっている(0mA)。従って、Au/Ni/Cu構造体において最表面の金めっきにピンホールが存在した場合、ピンホールから露出した銅やニッケルの電解液中での反応を電気的な値(ピーク電流)として測定することで、ピンホールの量を測定できると言える。また、最表面の金めっきの存在は、上記ピーク電流の計測の妨害にならないと言える。
なお、図3に示すように、銅とニッケルとはほぼ同じ電位のところでピーク電流をとる。従って、金めっきのピンホールがニッケルめっきまで及び、ピンホールから銅が露出した場合、ピーク電流は、銅及びニッケルの双方に基づく値になると考えられる。このピーク電流を測定することで、金めっきのみに存在するピンホールに加えて、金めっきからニッケルめっきに貫通したピンホールについても測定できると言える。
この試験から、Au/Ni/Cu構造体といった異種金属の積層構造体について、特定の濃度の酸溶液を用いたアノード分極測定は、表面層のピンホールの定量に利用できると言える。
<試験例2 酸溶液の濃度とピーク電流との関係>
図1に示すセルを用いて、電解液の濃度を変化させたときのピーク電流の変化を調べた。
この試験では、試験例1で用いたニッケル板と同じものを用意し、0.50cm2を露出させ、その他の部分は試験例1と同様にマスキングしたものを測定対象とした。電解液は、0.2〜9Mの硫酸を用意し、各濃度の硫酸に測定対象を浸漬したら、電位の掃引を開始し、掃引しながら電流の変化を計測する。掃引速度は、1mV/sとした。その結果を図4に示す。
図4の分極曲線に示すように、酸溶液の濃度が2〜7Mであると、明瞭なピークが得られることが分かる。2M未満の低濃度であると、ピークが小さく、7M超と高濃度であると、明瞭なピークが得られ難く、適切な測定が難しいと考えられる。
電解液を塩酸に代えて、同様の試験を行ったところ、上記硫酸の場合と同様に濃度が2〜7Mの場合にピークが得られた。但し、計測時に塩素ガスの発生に起因すると思われる電流が流れ、計測値に影響を与えることがあるため、硫酸の方が好ましい。また、塩酸を用いる場合、計測時に換気などを十分に行うことが好ましい。
上記試験から、Au/Ni/Cu構造体といった異種金属の積層構造体について、アノード分極測定を行うにあたり、濃度が2〜7Mの酸溶液を用いることが適切であると言える。
<試験例3 測定対象における酸溶液との接触面積とピーク電流との関係>
図1に示すセルを用いて、露出面積(電解液と接触可能な接触面積)を異ならせた複数の測定対象を用意し、これらの測定対象のピーク電流を調べた。
この試験では、試験例1で用いたニッケル板及び銅板と同じものをそれぞれ複数用意し、各板に施すマスキング量を異ならせて、露出面積が異なる複数の測定対象を用意し、電解液を5Mの硫酸、掃引速度を1mV/sとして、試験例1と同様に電流の変化を計測する。その結果を図5(ニッケル),図6(銅)に示す。マスキングは試験例1と同様にして施した。
図5,6の分極曲線に示すように、ニッケル及び銅の双方共に、露出面積が大きくなるにつれて、ピーク電流が比例的に大きくなっていることが分かる。このことから、ピンホールから露出したニッケルや銅が多くなるほど、つまり、ピンホールの面積が大きいほど、ピーク電流が大きくなり、ピンホールの面積とピーク電流とは相関があると言える。従って、Au/Ni/Cu構造体といった異種金属の積層構造体におけるアノード分極測定のピーク電流値にピンホールの定量性があると言える。
<試験例4 掃引速度の依存性>
図1に示すセルを用いて、掃引速度を異ならせてピーク電流を調べた。
この試験では、試験例1で用いたニッケル板と同じものを用意し、0.50cm2を露出させ、その他の部分は試験例1と同様にマスキングしたものを測定対象とし、電解液に5Mの硫酸を用い、種々の掃引速度で試験例1と同様に電流の変化を計測する。その結果、1mV/s未満であると、測定時間が長くなり(10分以上)、ピークも明確に現れ難い。一方、10mV/sよりも大きいと、ピークが明確に現れ易いが、大き過ぎると、ニッケルの溶解量が多く、誤差が生じ易い。従って、掃引速度は、1〜10mV/secが好ましい。
(ピンホールの定量)
上記試験の結果から、例えば、以下のようにしてピンホールの具体的な量を求められる。
積層構造体を構成する各金属層の構成金属と同様の金属で構成した試料であって、試験例3で説明したように露出面積が異なる複数の試料を照合用測定対象とし、所定の濃度の酸溶液(例えば、5Mの硫酸)を用いて、図1に示すセルを構築し、所定の掃引速度(例えば、1mV/s)で掃引して、各測定対象のピーク電流を測定し、露出面積とピーク電流との相関データを取得する。そして、実際の積層構造体を測定対象として、相関データの取得に用いた酸溶液と同じものを用いて、同じ条件でピーク電流を測定する。得られたピーク電流を取得した相関データに照合し、相関データにおける電流値に対応した露出面積をピンホールの面積として評価することができる。即ち、ピンホールを定量化することができる。また、このピンホールの面積を用いて、例えば、測定対象の全面積に対するピンホールの面積割合(ピンホール率)を求められる。この方法では、ピンホール率が0.01%程度までの定量化が可能である。なお、上記相関データは、照合用測定対象のn数が多いほど、ピンホールをより高精度に定量できる。
ポテンショスタット/ガルバノスタット装置に接続させる制御装置として、上記相関データを記憶する記憶手段と、この記憶手段から呼び出した相関データと得られた測定結果(ピーク電流値)とを照合して、ピンホールの面積を求める照合手段と、得られたピンホールの面積と、予め入力された測定対象の全体面積とからピンホール率を演算する演算手段とを具えるものを利用すると、ピンホール率を自動的に求められる。上記記憶手段には、別途取得した相関データを入力しておく。
<試験例5 実試料の測定>
図1に示すセルを用いて、異種金属の積層構造体において、表面層に存在するピンホールを調べた。
この試験では、FFCの導体部を構成する積層構造体を調べた。FFCは、銅平角線(タフピッチ銅)(基材)にニッケルめっき(中間層)が施されためっき線材(銅部分の厚さ:0.035mm)を複数並列させた状態で一対の樹脂フィルムに挟んだ構成であり、めっき線材の一部が樹脂フィルムに設けられた窓から露出され、めっき線材の露出部分に金めっき(表面層)が施されてAu/Ni/Cu構造体をなす。つまり、導体部は、Au/Ni/Cu構造部分とNi/Cu構造部分とを有している。このFFCのAu/Ni/Cu構造部分について調べた。
ここでは、二つの測定対象を用意した(試料No.1,2)。試料No.1は、金めっきの厚さ:0.1μm、ニッケルめっきの厚さ:2μmであり、試料No.2は、金めっきの厚さ:0.5μm、ニッケルめっきの厚さ:2μmである。いずれの試料も、中間層及び表面層は公知の条件による電解めっきで形成している。
測定対象のうち、一つの導体部をポテンショスタット/ガルバノスタット装置に接続し、電解液を5Mの硫酸、掃引速度を1mV/sとして、試験例1と同様に電流の変化を計測する。その結果を図7に示す。
図7に示すように、試料No.1はピーク電流が大きいことから、ピンホールが多く、試料No.2はピーク電流が小さいことから、ピンホールが少ないと考えられる。上述した相関データを利用して、ピーク電流値からピンホールの面積を調べたところ、No.1はピンホール率:8.7%、No.2はピンホール率:0.4%であった。また、ピンホールの定量(ピンホール率の取得)に要する時間は、測定対象を浸漬してから9分程度であった。
この試験から、アノード分極といった電気化学的な測定において、特定の溶液を用いることで、異種金属の積層構造体の表面層に存在するピンホールを定量的に測定でき、この情報を品質改善の指標に用いることができると期待される。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明ピンホールの評価方法は、異種金属からなる表面層とその下層とを具える積層構造体において、表面層に存在するピンホールの定量に好適に利用することができる。
三電極方式の電気化学測定セルの概略構成図である。 金(Au)及びニッケル(Ni)のアノード分極曲線である。 金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のアノード分極曲線である。 酸溶液の濃度とピーク電流との関係を示すアノード分極曲線である。 ニッケル(Ni)について露出面積とピーク電流との関係を示すアノード分極曲線である。 銅(Cu)について露出面積とピーク電流との関係を示すアノード分極曲線である。 実試料(Au/Ni/Cu構造体)のアノード分極曲線である。
符号の説明
1 セル 10 容器 11 基準電極 12 対極 13 測定対象
20 ポテンショスタット/ガルバノスタット装置 BL 電解液

Claims (3)

  1. 異種の金属で構成される表面層とその下層とを具える積層構造体において、この表面層に存在するピンホールを評価するピンホールの評価方法であって、
    前記積層構造体を2M以上7M以下の酸溶液に浸漬し、
    この積層構造体に電位を変化させながら印加したとき、前記下層を構成する金属が前記酸溶液中で酸化されることで生じる電流の変化を計測し、
    得られた計測結果に基づいて、前記表面層に存在するピンホールの量を求めることを特徴とするピンホールの評価方法。
  2. 前記表面層は、金、金合金、白金族金属、及び白金族金属合金から選択される少なくとも1種の金属からなり、
    前記下層は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、錫、及び錫合金から選択される少なくとも1種の金属からなることを特徴とする請求項1に記載のピンホールの評価方法。
  3. 前記酸溶液は、H2SO4溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のピンホールの評価方法。
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