JP2009158643A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板1と、半導体基板1上に形成されたシリコン酸化膜2と、シリコン酸化膜2上に形成された第1導電型の半導体層3とを備えるSOI基板4内に、離隔して第1拡散層5及び第2拡散層6が設けられる。第1拡散層5は半導体層3より不純物濃度が高い第2導電型の拡散層であり、第2拡散層6は半導体層3より不純物濃度の高い第1導電型の拡散層である。SOI基板4上には、第1拡散層5の第1電極9Aと電気的に接続する配線層により第1フィールドプレート9A、10A、11Aが形成される。また、第2拡散層6の第2電極9Bと電気的に接続する配線層により第2フィールドプレート9B、10B、11Bが形成される。第1フィールドプレート9A、10A、11Aと、第2フィールドプレート9B、10B、11Bとは絶縁膜8、12により互いに絶縁されている。
【選択図】図1
【解決手段】半導体基板1と、半導体基板1上に形成されたシリコン酸化膜2と、シリコン酸化膜2上に形成された第1導電型の半導体層3とを備えるSOI基板4内に、離隔して第1拡散層5及び第2拡散層6が設けられる。第1拡散層5は半導体層3より不純物濃度が高い第2導電型の拡散層であり、第2拡散層6は半導体層3より不純物濃度の高い第1導電型の拡散層である。SOI基板4上には、第1拡散層5の第1電極9Aと電気的に接続する配線層により第1フィールドプレート9A、10A、11Aが形成される。また、第2拡散層6の第2電極9Bと電気的に接続する配線層により第2フィールドプレート9B、10B、11Bが形成される。第1フィールドプレート9A、10A、11Aと、第2フィールドプレート9B、10B、11Bとは絶縁膜8、12により互いに絶縁されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置に関し、特に、横型PiNダイオードの構造及びその製造方法に関する。
スイッチング電源やインバータ回路などの電力変換装置では、パワーMOSFETやIGBTのようなスイッチング素子とともにダイオードが用いられている。パワーMOSFETやIGBTなどのスイッチング素子は、トレンチゲート化などの改良により低損失化が進んでいる一方、ダイオードについては低損失化があまり進んでいない。半導体素子全体の損失に占めるダイオードの損失の割合は30〜50%であり、ダイオード損失の低減が、装置全体の高効率化及び小型化のために重要である。
しかしながら、MOSFETやIGBTがトレンチゲート化や微細化により、オン電圧、フォール時間などの特性が改善されているのに比べ、ダイオードに関しては、従来からの縦型SBD(ショットキーバリアダイオード)と、PiNダイオードの2つの構造が主に用いられ、性能改善が進んでいない。特に、高耐圧パワーMOSFETとペアで用いられるダイオードは、高い耐圧が要求されるために、SBDは使えず、PiNダイオードが用いられている。
ここで、PiNダイオードはスイッチング時、すなわち、ダイオードの逆回復時の損失が大きく、ダイオードのみではなく、MOSFETのターンオン損失も大きくなるという問題がある。
PiNダイオードの高速化の例として、白金拡散や電子線照射による、キャリアライフタイムキラーの導入や、ショットキー接合とPN接合を混在させたJBS(Junction Barrier Controlled Schottoky)などの注入制御をした構造がある(例えば、特許文献1)。前者の場合、ライフタイムキラーによりドリフト層中央部でのキャリア蓄積が少なくなるため、オン電圧が上昇し、オフ状態では導入した欠陥によりリーク電流が大きくなってしまう。また後者の場合、ウェーハ裏面側のエミッタの注入の抑制が難しく、結局裏面から多くのキャリアが注入され、高速化に限界がある。
特開2004−253416
本発明は、高速な半導体装置を提供することを目的とする。
本発明の一つの態様において、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、半導体層の表面に設けられ、半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、半導体層の表面に第1拡散層とは離隔して設けられ半導体層より不純物濃度の高い第1導電型の第2拡散層と、第1拡散層と接続する第1電極と、第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、第2拡散層と接続する第2電極と、第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層とを備えることを特徴とする。
本発明の他の態様において、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、半導体層の表面からシリコン酸化膜の表面まで達するように設けられたトレンチと、トレンチに面した半導体層の側面に形成された半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、第1拡散層から離隔されて前記SOI基板内に形成された半導体層より不純物濃度が高い第1導電型の第2拡散層と、第1拡散層と接続する第1電極と、第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、第2拡散層と接続する第2電極と、第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層とを備えることを特徴とする。
本発明の他の態様において、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、半導体層の表面からシリコン酸化膜の表面まで達するように、互いに離隔して設けられた第1及び第2トレンチと、第1トレンチに面した半導体層の側面に形成された半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、第2トレンチに面した半導体層の側面に形成された半導体層より不純物濃度が高い第1導電型の第2拡散層と、第1拡散層と接続する第1電極と、第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、第2拡散層と接続する第2電極と、第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、高速な半導体装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体装置の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る半導体装置の概略的な構造断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード20は、SOI基板4内に形成されて構成される。ここで、SOI基板4は、単結晶シリコン基板1上に形成された所定の厚さの埋め込み酸化膜(BOX)2と、その埋め込み酸化膜2の上に形成された後述するエミッタ拡散層より不純物ドープ濃度が低いN-型シリコン活性層(以下、SOI活性層という)3により構成される。SOI活性層3内には、SOI活性層3より高い濃度で例えばボロン(B)が不純物ドープされたP+型エミッタ拡散層5、及び同じくSOI活性層3より高い濃度で例えばリン(P)が不純物ドープされたN+型エミッタ拡散層6が、所定の間隔だけ離隔して形成されている。
図1は、本実施の形態に係る半導体装置の概略的な構造断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード20は、SOI基板4内に形成されて構成される。ここで、SOI基板4は、単結晶シリコン基板1上に形成された所定の厚さの埋め込み酸化膜(BOX)2と、その埋め込み酸化膜2の上に形成された後述するエミッタ拡散層より不純物ドープ濃度が低いN-型シリコン活性層(以下、SOI活性層という)3により構成される。SOI活性層3内には、SOI活性層3より高い濃度で例えばボロン(B)が不純物ドープされたP+型エミッタ拡散層5、及び同じくSOI活性層3より高い濃度で例えばリン(P)が不純物ドープされたN+型エミッタ拡散層6が、所定の間隔だけ離隔して形成されている。
SOI活性層3内部のP+型エミッタ拡散層5とN+型エミッタ拡散層6の間の領域は、それらの間に順バイアスを印加した際に、キャリアが流れるドリフト層13を構成する。SOI基板4の表面には、例えば、シリコン酸化膜から成る絶縁膜7が形成されている。P+型エミッタ拡散層5とN+型エミッタ拡散層6の表面には、フォトリソグラフィー及びエッチングプロセスにより、例えば、アルミニウム薄膜から成る電極9A、9Bが形成されている。電極9Aは、P+型エミッタ拡散層5とコンタクトし、電極9BはN+型拡散層6とコンタクトしている。
電極9A、9Bの上部には、例えば、シリコン酸化膜から成る層間絶縁膜8が形成されている。電極9A及び9Bは層間絶縁膜8により、互いに電気的に絶縁されている。また、層間絶縁膜8の上部には、例えば、アルミニウム薄膜から成る配線層10A、10Bが形成されている。配線層10A、10Bは層間絶縁膜12により互いに電気的に絶縁されている。
さらにまた、層間絶縁膜12の上部には、例えば、アルミニウム薄膜から成る上層配線層11A、11Bが形成されている。電極9Aは、配線10A及び上層配線11Aと互いに電気的に接続されている。同様に、電極9Bは、配線10B及び上層配線11Bと互いに電気的に接続されている。P+型エミッタ拡散層5に接続された電極9A、配線層10A及び上層配線11Aは、P+型エミッタ拡散層5に対して、電位分布の曲率を下げるフィールドプレートとして機能する。同様に、N+型エミッタ拡散層6に接続された電極9B、配線層10B及び上層配線層11Bは、N+型エミッタ拡散層6に対して、電位分布の曲率を下げるフィールドプレートとして機能する。
次に、本実施の形態に係る横型PiNダイオードの動作原理について説明する。PiNダイオードを高速化するためには、逆回復速度を高めなければならない。この逆回復速度低下の最大の要因は、導通状態での蓄積電荷を排出する時間を要することである。したがって、蓄積電荷を減少させることが高速化にとって最も重要であるが、単純に蓄積電荷を減少させると導通時のオン抵抗が増加し、結果として、高速動作に支障をきたすこととなる。
そこで、従来においては、この問題を解決するために、PiNダイオードの高速化のために、キャリアライフタイムキラーとして、例えば白金拡散や電子線照射などを行い、シリコン結晶内に意図的に欠陥を形成し、蓄積電荷(電子及びホール)の再結合を促すことにより、蓄積電荷を減少させる方法が試みられた。
しかし、この従来の方法では、ドリフト層の中央部で抵抗成分が大きくなり、オン電圧を高め、リーク電流が増加してしまう。また、エミッタ近傍の蓄積電荷を逆回復時に排出するため高速化に限界がある。
ここで、キャリアライフタイムと、逆回復速度との関係について詳細に説明する。図2(a)は、蓄積電荷Qstrを導通電流JFで割った値Qstr/JFと、導通電流JFとの関係を示している。ここで、Qstr/JFは、ダイオードの逆回復時に、導通電流JFと同じ値の逆電流が流れたとしたとき、蓄積電荷の排出に要する時間を正規化して表したものであり、ダイオードの動作速度の指標となるものである。図2(a)は、ドリフト領域の長さ(すなわち、ドリフト長)50μm、耐圧1000V、両方のエミッタ幅1μm、不純物ドープ濃度5×1019cm−3の1次元ダイオードを例にとって、Qstr/JFと導通電流密度JFとの関係を示したグラフである。図2(a)より、電流密度JFを増加させるに従い、Qstr/JFの値が減少し、蓄積電荷がより速く排出され、ダイオードの動作が高速になっていることがわかる。
図2(b)は、図2(a)と同じ構成のダイオードを想定し、キャリアライフタイムを変化させた場合のQstr/JFと電流密度JFとの関係を示したものである。キャリアライフタイムは、白金拡散等のキャリアライフタイムキラーを導入することにより変化させることができる。図2(b)において、曲線30は、キャリアライフタイムτmaxが5μsの場合を示し、曲線31はキャリアライフタイムτmaxが1μsの場合を示し、曲線32はキャリアライフタイムτmaxが0.2μsの場合を示している。図2(b)より、JFの値が102A/cm2以下の低電流密度領域でのダイオードの動作は、キャリアライフタイムτmaxが短いほど高速となっているが、JFの値が102A/cm2以上の高電流密度領域でのダイオードの動作は、キャリアライフタイムに依存せず、いずれもほぼ同じように高速になっていることがわかる。この図2(b)の結果から、電流密度を高くすることにより、キャリアライフタイムキラーを導入しなくても、ダイオードの高速化を図ることが可能であることがわかる。
続いて、エミッタの不純物総量とダイオードの速度の関係について説明する。図3は、エミッタの不純物総量を変化させた場合のQstr/JFと電流密度JFとの関係を示したものである。図3において、曲線41はエミッタ不純物総量Qdが5×1017cm−2の場合、曲線42はエミッタ不純物総量Qdが5×1015cm−2の場合、曲線43はエミッタ不純物総量Qdが5×1013cm−2の場合、曲線44はエミッタ不純物総量Qdが1×1013cm−2の場合、曲線45はエミッタ不純物総量Qdが5×1011cm−2の場合をそれぞれ示している。図3の結果から、エミッタ不純物総量を減少させることにより、Qstr/JFが低下し、ダイオードの動作を高速化できることがわかる。
この点について、さらに説明する。Pエミッタでのホール電流密度をJpとし、Nエミッタでの電子電流密度をJnとすると、ダイオードを流れる全電流密度JF=Jp+Jnとなる。Pエミッタでの注入効率をγp=Jp/JF、Nエミッタでの注入効率をγn=Jn/JFと表す。ここでキャリアライフタイムをτとすると、上述したQstr/JFは、Qstr/JF=(γp+γn―1)τの関係を有する。不純物濃度が減少してPエミッタ及びNエミッタでの逆注入電流が増加する(すなわち、ホールと電子が再結合するレートが増加する)ことにより、注入電流Jn及びJpが減少する。全電流密度JFを同じとして比較した場合、Pエミッタでの注入効率γp、Nエミッタでの注入効率γnは不純物総量が少ないほど小さくなる。結果として、エミッタでの不純物総量が少ないほど、Qstr/JFが減少し、図3に示すようにダイオード動作の高速化を図ることができる。
以上の点を踏まえ、従来の縦型PiNダイオードと本実施の形態に係る横型PiNダイオードとを比較しながら、さらに説明を続ける。図4(A)は従来の縦型PiNダイオードの概略的な構造断面図であり、図4(B)は本実施の形態に係る横型PiNダイオードの概略的な構造断面図を示したものである。
まず、素子の放熱に着目して、両者を比較して説明する。例えば、順方向電圧VF=1.5Vを印加してダイオードを動作させた場合、電流密度5kW/cm2での熱による損失を見積もると、2.9kW/cm2になる。これは半導体チップの一般的な冷却能力100W/cm2を大きく上回る。このため、従来の縦型ダイオードでは、電流を高密度化した場合、素子の放熱を十分に達成することができない。
これに対して、本実施の形態に係る横型PiNダイオードでは、素子からの熱は、電流経路に対して垂直下方に放熱されるため、従来の縦型ダイオードに比べ、単位電流あたりの放熱量を著しく向上させることができる。したがって、電流の高密度化が可能である。
次に、電荷蓄積に着目して両者を比較して説明する。従来の縦型PiNダイオードでは、高耐圧を実現しようとすると、例えば、Pエミッタの近傍にチップの耐圧を持たせるためのP+型拡散層(終端領域)を形成する必要がある。この終端領域にも電荷が蓄積されるため、その蓄積電荷が逆回復速度を遅くするように作用する。
これに対して、本実施の形態に係る横型PiNダイオードでは、導通領域で耐圧を十分保持できるため、従来のような終端領域を形成する必要は無い。また、シリコン活性層が数100nm〜数10μmの厚さのためキャリアを蓄積できる領域が少ない。さらに、導通領域13を絶縁膜7で覆っているため、従来の縦型PiNダイオードに比べ蓄積電荷を減少させることができる。
次に、エミッタの不純物濃度に着目して両者を比較して説明する。従来の縦型PiNダイオードを、エピウェーハ(ドリフト層と高不純物濃度エミッタ層をエピタキシャル成長で形成したウェーハ)により作成する場合、裏面エミッタは高不純物濃度のシリコン基板を研削することにより形成する。この高不純物濃度層を数100μmから1μm以下に研削することは技術的に困難であるため、エピウェーハにより作成した縦型PiNダイオードの裏面エミッタを低不純物濃度で形成することはできない。ロウウェーハ(表面構造を作成後に、裏面に拡散層を形成したウェーハ)により作成する場合、表面の電極金属が裏面エミッタの拡散層形成のための活性化アニールの影響を受けるため、裏面エミッタの活性化を十分に行うことができない。結果として、低不純物濃度のエミッタを形成することができない。
これに対して、本実施の形態に係る横型PiNダイオードでは、ウェーハ表面にPエミッタ及びNエミッタの拡散層を形成する。このため、通常のCMOSデバイスのように、フォトリソグラフィー技術を使ったイオン注入及び活性化アニールにより低不純物濃度のエミッタを容易に形成することができる。
次に、ドリフト領域の長さ(ドリフト長)に着目して、両者を比較して説明する。ロウウェーハで縦型PiNダイオードを形成した場合、ドリフト領域となる低不純物濃度のN-型半導体層の膜厚制御が困難である。例えば、縦型素子で耐圧400V程度の高速ダイオードを作成する場合、ウェーハの厚さは24μm程度であり、ウェーハ研磨工程でのプロセス制御は困難である。したがって、縦型PiNダイオードではドリフト長の短いドリフト領域を形成することは困難である。
これに対して、本実施の形態に係る横型PiNダイオードでは、ドリフト領域が横方向に形成されるため、フォトリソグラフィー技術を使ったマスクによって、ドリフト長を容易に決定することができる。例えば、400V素子の場合、ドリフト長は24μm程度であり、マスクパターンにより十分に制御可能である。したがって、従来の縦型PiNダイオードに比べプロセスが単純でかつ製造コストを低く抑えることができる。
続いて、本実施の形態に係る横型PiNダイオードの製造方法について図面を参照しながら説明する。図5Aから5Fは、本実施の形態に係る横型PiNダイオード20の製造プロセスの一部を示したものである。説明の都合上、アニール工程については省略する。
まず、工程1として、図5Aに示すように、シリコン単結晶基板1、その上に例えば厚さが3μmの埋め込み酸化膜(BOX)2、その上に例えば厚さが5μmで不純物濃度が3×1015cm−3のSOI活性層3が順に形成されたSOI基板4を準備する。該SOI基板4に熱酸化処理をして、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜7を形成する。
次に、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、P+エミッタ拡散層5を形成すべき領域に開口を有するマスクを形成する。該マスクを使って、SOI活性層3内に、例えばボロン(B)を、例えば、1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、P+型エミッタ拡散層5を形成する。同様に、N+型エミッタ拡散層6を形成すべき領域に開口を有するフォトレジストをマスクにして、SOI活性層3内に、例えばリン(P)を、例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、N+型エミッタ拡散層6を形成する。
P+型エミッタ拡散層5及びN+型エミッタ拡散層6の拡散深さは、例えば約0.5μmである。SOI活性層3内のP+型エミッタ拡散層5とN+型エミッタ拡散層6とに挟まれた領域は、例えば長さが約36μmのドリフト領域13を構成し、該ドリフト領域13を電流がP+型エミッタ拡散層5からN+型エミッタ拡散層6へ横方向に流れる。
次に、工程2として、図5Bに示すように、P+型エミッタ拡散層5とN+型エミッタ拡散層6の上部の酸化膜7を、フォトレジストをマスクとして、RIE等のドライエッチングによりエッチングする。続いて、表面全体に、例えばアルミニウム膜9をスパッタ法により、例えば500nmの膜厚で堆積する。次いで、アルミニウム膜9の上部に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域13の上部に開口を有するマスク50を形成する。該マスク50を使って、ドライエッチングによりアルミニウム膜9をエッチングして、電極9A、9Bを形成する。
次に、工程3として、図5Cに示すように、電極9A、9Bの上に、例えばプラズマCVD法により、シリコン酸化膜8を例えば約1μm堆積する。次いで、該シリコン酸化膜8の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、電極9A、9Bの上部に開口を有するマスク51を形成する。次いで、ドライエッチングにより、電極9A、9Bの上部部分の酸化膜をエッチングし、その後マスク51を除去する。
次に、工程4として、図5Dに示すように、酸化膜8の上に例えばアルミニウム膜10をスパッタ法により、例えば約500nmの膜厚で堆積する。このアルミニウム膜10は電極及びフィールドプレートとして機能する。次いで、アルミニウム膜10の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク52を形成する。次いで、ドライエッチングにより、アルミニウム膜10をエッチングして配線層10A、10Bを形成する。その後、マスク52を除去する。
次に、工程5として、図5Eに示すように、アルミニウム膜10の上に、例えばプラズマCVD法等により、シリコン酸化膜12を例えば約1μm堆積する。次いで、該シリコン酸化膜10の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、配線層10A、10Bの上部に開口を有するマスク53を形成する。次いで、ドライエッチングにより、酸化膜12をエッチングした後、マスク53を除去する。
最後に、工程6として、図5Fに示すように、酸化膜12の上に、例えばアルミニウム膜11をスパッタ法により、例えば約500nmの膜厚で堆積する。このアルミニウム膜11は電極及びフィールドプレートとして機能する。次いで、アルミニウム膜11の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、ドリフト領域13の上部に開口を有するマスク54を形成する。次いで、ドライエッチングにより、アルミニウム膜11をエッチングし、上層配線11A、11Bを形成する。その後、マスク54を除去する。
本実施の形態によれば、電流密度を大きくすることが可能となり、蓄積電荷が減少し、低濃度不純物エミッタの形成が容易となり、かつドリフト長を短く制御することができる。結果として、PiNダイオードの高速化を実現することができる。
[第2の実施の形態]
図6は、本実施の形態に係る半導体装置の概略的な構造断面図である。第1実施形態と同一部材については、同一符号で示す。本実施の形態に係る横型PiNダイオード60は、一方のエミッタ電極がトレンチ構造を有し、P+型エミッタ拡散層62が該トレンチに面したSOI活性層3の側面に縦方向に伸長するように形成されている点で第1実施形態と異なる。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
図6は、本実施の形態に係る半導体装置の概略的な構造断面図である。第1実施形態と同一部材については、同一符号で示す。本実施の形態に係る横型PiNダイオード60は、一方のエミッタ電極がトレンチ構造を有し、P+型エミッタ拡散層62が該トレンチに面したSOI活性層3の側面に縦方向に伸長するように形成されている点で第1実施形態と異なる。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態において、SOI基板4には、SOI活性層3を垂直方向に貫通し、埋め込み酸化膜2の表面まで達するトレンチ61が形成されている。トレンチ61に面するSOI活性層3の側面には縦方向に伸長するP+型エミッタ拡散層62が形成されている。以下で詳細に説明するように、P+型エミッタ拡散層62は、SOI活性層3のトレンチ側から非常に浅い位置に不純物濃度のピーク位置を有する。そのため、P+型エミッタ拡散層62は横方向に浅く拡散されて形成されている。トレンチ61の内部には、例えばアルミニウムが埋め込まれており、トレンチ型エミッタ電極63を形成している。トレンチ型エミッタ電極63はトレンチ61の深さ方向に沿って、縦方向に伸長して形成されており、該トレンチ型エミッタ電極63とP+型エミッタ拡散層62とはトレンチ61の側面においてコンタクトしている。
トレンチ型エミッタ電極63、配線層10A、及び上層配線層11Aは、互いに電気的に接続されており、これらはP+型エミッタ付近での電位分布の曲率を小さくするフィールドプレートとして機能する。
続いて、本実施の形態に係る横型PiNダイオード60の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図7A〜7Iは、本実施の形態に係る横型PiNダイオード60の製造プロセスの一部を示したものである。説明の都合上、アニール処理工程は省略する。
まず、工程1として、図7Aに示すように、上記した第1実施形態と同様のSOI基板4を準備する。該SOI基板4に熱酸化処理をして、例えば膜厚100nmの例えばシリコン酸化膜のような絶縁膜7を形成する。次いで、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、n+型エミッタ拡散層6となる領域に開口を有するマスクを形成する。そのマスクを使って、SOI活性層3内に、例えばリン(P)を、例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、N+型エミッタ拡散層6を形成する。N+型エミッタ拡散層6の拡散深さは、例えば約0.5μmである。
次に、工程2として、図7Bに示すように、上述した絶縁膜7の上に、例えば熱CVDまたはプラズマCVD法により、例えばシリコン酸化膜等の絶縁膜70を堆積する。該絶縁膜70は、後述するトレンチを形成する際にマスクとして使用するものである。次いで、絶縁膜70の表面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチを形成すべき領域に、例えば幅が約2μmの開口を有するマスク71を形成する。
次に、工程3として、図7Cに示すように、マスク71を使って、例えばRIE等のドライエッチングを行い、絶縁膜70を除去する。次いで、絶縁膜70をマスクとして、ドライエッチングを行い、SOI活性層3を埋め込み酸化膜2までエッチングしてトレンチ61を形成する。この際、埋め込み酸化膜2はエッチングストッパー膜として機能する。
次に、工程4として、図7Dに示すように、トレンチ61に面したSOI活性層3に向けて、斜め上方より、例えばボロン(B)を、例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、縦方向に伸長したP+型エミッタ拡散層62を形成する。ここで、不純物イオンは、SOI活性層3の側面に対して、大きな入射角で入射する。そのため、SOI活性層3の側面には、トレンチ61から横方向に非常に短い距離に不純物濃度のピークを有するプロファイルが形成される。熱拡散の結果、横方向に非常に浅く拡散したP+型エミッタ拡散層62が形成される。P+型エミッタ拡散層62の横方向の拡散深さは、例えば約0.5μmである。P+型エミッタ拡散層62とN+型エミッタ拡散層6とに挟まれたSOI活性層3内部の領域は本実施形態に係る横型PiNダイオード60のドリフト領域を構成する。本実施形態において、ドリフト長は例えば約36μmである。
次に、工程5として、図7Eに示すように、例えばアルミニウムのような導体膜72をスパッタ法により例えば500nm堆積し、トレンチ61の内部に埋め込む。次いで、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク73を形成する。次いで、このマスク73を使って、ドライエッチングにより、導体膜72をエッチングし、Nエミッタ電極9Bと、トレンチ型Pエミッタ電極63を同時に形成する。
次に、工程6として、図7Fに示すように、表面全体にシリコン酸化膜のような絶縁膜8を、例えばプラズマCVD法により例えば約1μm堆積する。次いで、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチ61及びN+型エミッタ拡散層6の上部に開口を有するマスク74を形成する。次いで、該マスク74を使って、ドライエッチングにより絶縁膜8をエッチングし、その後マスク74を除去する。
次に、工程7として、図7Gに示すように、酸化膜8の上部にアルミニウムのような導体膜10をスパッタ法により、例えば500nm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク75を形成する。次いで、該マスク75を使って、ドライエッチングにより導体膜10をエッチングして、配線層10A、10Bを形成する。
次に、工程8として、図7Hに示すように、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜12を例えば1μm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、トレンチ61及びN+型エミッタ拡散層6の上部に開口を有するマスク76を形成する。
最後に、工程9として、図7Iに示すように、マスク76を使って、ドライエッチングにより層間絶縁膜12を除去する。次いで、マスク76を除去した後、スパッタ法により、アルミニウム膜のような導体膜11を例えば500nm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク77を形成する。続いて、該マスク77を使って、ドライエッチングにより導体膜11をエッチングし、上層配線11A、11Bを形成する。
続いて、本実施の形態に係る横型PiNダイオード60の動作原理について説明する。本実施の形態では、上述したように、トレンチ構造を用いて、斜めイオン注入を行うことにより、浅い拡散層を形成することができる。結果として、P+型エミッタ拡散層62の不純物総量を小さくし、かつ、P+型エミッタ拡散層62下部の不要な蓄積電荷を低減することができる。また、トレンチに面したSOI活性層3内にP+型エミッタ拡散層62を形成することで、電界集中のピークを埋め込み酸化膜2内部に形成することができ、結果としてアバランシェが生じ難くなる。
以下、これらの点について、シミュレーション結果を用いて詳細に説明する。まず、シミュレーションモデルについて説明する。図8(a)はシミュレーションに用いた第1実施形態に係る横型PiNダイオードの概略的な構造断面図であり、図8(b)はシミュレーションに用いた本実施形態に係る横型PiNダイオードの概略的な構造断面図である。シミュレーションでは、P+型エミッタ拡散層の濃度を1×1017cm−3で統一し、拡散深さを1μmで統一している。また、600V素子を想定し、チャネル幅(図面奥行き方向)はいずれも5×107μmとしている。
次に、図8に示したシミュレーションモデルを用いたシミュレーション結果について説明する。図9は、図8に示したダイオードモデルのそれぞれについて、N+型エミッタ電極を接地電位とし、P+型エミッタ電極に+200Vから−200Vまでの過度的電圧を印加した場合の逆回復電流Irrの時間的変化を示している。導通時の電流密度は5000A/cm2となるように抵抗負荷を調整している。
図9の結果より、第1実施形態のモデルによる曲線Aは逆回復に時間を要し、逆回復電流が最終部分で急激に立ち下がり、傾きdI/dtが大きくなっていることがわかる(ハードリカバリ)。
これに対して、第2実施形態のモデルによる曲線Bは、逆回復に要する時間が、第1実施形態のモデルに比べ短く、逆回復電流の最終部分を比較してもその傾きdI/dtが小さいことがわかる(ソフトリカバリ)。この曲線Bの波形より、第2実施形態に係る横型PiNダイオードではアバランシェが生じておらず、逆回復電流も小さいと推察される。したがって、第2実施形態では、第1実施形態に比べ損失が小さく、ノイズの発生が抑制される。
続いて、蓄積電荷と逆回復電荷を上記2つのダイオードについて比較したので説明する。表1は、電流密度値がJF=5000A/cm2の際の蓄積電荷量Qstrと、逆回復電流Irrを逆回復時間内で積分した値Qrr=∫Irrdt(逆回復電荷)を示したものである。
表1の結果より、蓄積電荷量Qstrを比較すると、第1実施形態モデルの横型PiNダイオードに比べ、第2実施形態モデルの横型PiNダイオードの方が、蓄積電荷量Qstrが小さいことがわかる。これは、トレンチ構造によりP+型エミッタ拡散層62の下部のSOI活性層領域に余分なキャリアが蓄積しなくなるためと、P+型エミッタ拡散層62の注入効率が小さくなるためである。すなわち、P+型エミッタ拡散層62の不純物濃度プロファイルは、斜めイオン注入により側面から非常に浅い位置にピークを有するように形成されているため、不純物総量が従来よりも減少したP+型エミッタ拡散層62を形成することができる。また、斜めイオン注入によりP+型エミッタ拡散層62の横方向の不純物濃度プロファイルを縦方向で均一に形成することができる。結果として、P+型エミッタ拡散層62の逆注入電流が大きくなり、注入効率がさらに減少する。
一方、逆回復電荷Qrrを比較すると、第1実施形態モデルの横型PiNダイオード20に比べ第2実施形態モデルの横型PiNダイオード60の方が、逆回復電荷Qrrが小さい。第2実施形態モデルの横型PiNダイオード60ではQrr≒Qstrであるのに対し、第1実施形態モデルの横型PiNダイオード20ではQrr>Qstrである。これは、第1実施形態モデルの横型PiNダイオード20において、逆回復時にアバランシェが発生し、その電荷が加算されたことを示唆するものである。
続けて、P+エミッタ拡散層62付近の電界の様子を図面を参照しながら説明する。図10(a)は逆回復時の第1実施形態モデルの横型PiNダイオード20の等電位面を示し、図10(b)は逆回復時の第2実施形態モデルの横型PiNダイオード60の等電位面を示している。図10(a)から、第1実施形態モデルの横型PiNダイオード20では、電位の曲率1/Rの大きい部分がP+型エミッタ拡散層5の近傍のSOI活性層3内にあるため、そこに電界の集中のピークが存在し、アバランシェが発生しやすい状態となっているのがわかる。一方、図10(b)から、第2実施形態モデルの横型PiNダイオード60では、電位の曲率1/Rの大きい部分がP+型エミッタ拡散層62の下部の埋め込み酸化膜2の中にあるため、電界の集中のピークは埋め込み酸化膜2の中に存在しているのがわかる。そのため、SOI活性層3内で電界が集中することはなく、アバランシェが生じにくい構造となっている。
以上のシミュレーション結果を総合すると、高速化のためには、P+型エミッタ拡散層62の不純物総量を1×1013cm−2以下まで低減するのは有効であるが、拡散層と電極とのオーミックコンタクトをとるためには、エミッタ層表面の不純物濃度を1×1017cm−3以上としなければならない。よって、P+型エミッタ拡散層を浅く形成する必要がある。しかし、SOI活性層内で深さ方向に浅いP+型エミッタ拡散層を形成すると、SOI活性層内に電界の集中が生じて、アバランシェが発生しやすくなる。本実施形態に係るトレンチ構造を利用した横型PiNダイオードによれば、斜めイオン注入を使ってトレンチ側面のSOI活性層3内にP+型エミッタ拡散層62を形成するため、横方向に浅く拡散した縦方向に伸長するP+型エミッタ拡散層62を形成することができる。また、P+型エミッタ拡散層62の底面は、埋め込み酸化膜2の表面まで達しているためP+型エミッタ拡散層62の底面において余分な電荷の蓄積が抑制される。さらに、P+型エミッタ拡散層62により、電界の集中をSOI活性層3内ではなくその下層の埋め込み酸化膜2中に形成することができるため、アバランシェが発生し難い。さらにまた、P+型エミッタ拡散層62によれば、上述したように逆注入電流が大きくなり、P+型エミッタ拡散層62での注入効率が減少して更なる高速化に寄与することができる。
[第3の実施の形態]
図11は、本実施の形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード80は、N+型エミッタ拡散層83がトレンチ81に面したSOI活性層3の側面内に形成されている点で、上記第2実施形態と異なる。トレンチ81は、トレンチ61とともにSOI活性層3を挟むように形成されている。トレンチ81に面したSOI活性層3の側面には、以下で詳細に説明するように、斜めイオン注入により、N+型エミッタ拡散層83が形成されている。N+型エミッタ拡散層83の底面は、埋め込み酸化膜2の表面に達している。トレンチ81内部には、トレンチ型エミッタ電極82となる例えばアルミニウム膜が埋め込まれている。トレンチ型エミッタ電極82は側面においてN+型エミッタ拡散層83とコンタクトしている。トレンチ型エミッタ電極82の上部には、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜8を介して配線層10Bが形成され、該配線層10Bとトレンチ型エミッタ電極82とは電気的に接続されている。配線層10Bの上部には、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜12を介して上層配線層11Bが形成され、該上層配線層11Bと配線層10Bとは電気的に接続されている。トレンチ型エミッタ電極82、アルミニウム膜10、11は、互いに電気的に接続され、電位分布の曲率半径を大きくするフィールドプレートとして機能する。
図11は、本実施の形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード80は、N+型エミッタ拡散層83がトレンチ81に面したSOI活性層3の側面内に形成されている点で、上記第2実施形態と異なる。トレンチ81は、トレンチ61とともにSOI活性層3を挟むように形成されている。トレンチ81に面したSOI活性層3の側面には、以下で詳細に説明するように、斜めイオン注入により、N+型エミッタ拡散層83が形成されている。N+型エミッタ拡散層83の底面は、埋め込み酸化膜2の表面に達している。トレンチ81内部には、トレンチ型エミッタ電極82となる例えばアルミニウム膜が埋め込まれている。トレンチ型エミッタ電極82は側面においてN+型エミッタ拡散層83とコンタクトしている。トレンチ型エミッタ電極82の上部には、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜8を介して配線層10Bが形成され、該配線層10Bとトレンチ型エミッタ電極82とは電気的に接続されている。配線層10Bの上部には、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜12を介して上層配線層11Bが形成され、該上層配線層11Bと配線層10Bとは電気的に接続されている。トレンチ型エミッタ電極82、アルミニウム膜10、11は、互いに電気的に接続され、電位分布の曲率半径を大きくするフィールドプレートとして機能する。
次に、本実施の形態に係る横型PiNダイオード80の動作について説明する。P+型エミッタ拡散層62だけでなく、N+型エミッタ拡散層83もトレンチに面したSOI活性層3の側面内に形成されているため、P+型エミッタ活性層62の不純物総量だけでなく、N+型エミッタ活性層83の不純物総量も低下させることができる。また、N+型エミッタ拡散層83の底面が埋め込み酸化膜2の表面に達しているためN+型エミッタ拡散層83の底面下部での余分な電荷の蓄積が抑制される。さらに、斜めイオン注入により、N+型エミッタ拡散層83の横方向の不純物濃度プロファイルを縦方向で均一に形成することができる。その結果、N+型エミッタ拡散層83の逆注入電流が大きくなり、注入効率が低下して高速化に寄与する。
本実施形態において、SOI活性層3の厚さは特に限定されないが、以下の理由により、2μm以下とすることが好ましい。SOI活性層3内の臨界電界は、SOI活性層3が薄くなるほど高くなる。これは、SOI活性層3の厚さが薄くなると、空乏層幅が小さくなることにより、空乏層内で電子及びホールがインパクトイオン化を生じさせる程のエネルギーを得ることができず、半導体の臨界電界値が上がることによるものである。また、SOI活性層3の厚さを2μm以下とすることにより、SOIそうの臨界電界値は高くなる。これにより、逆回復時にN+型エミッタ拡散層83近傍のSOI活性層3内で電界の集中のピークが発生することがなくなり、アバランシェが生じ難くなる。
続いて、本実施形態に係る横型PiNダイオード80の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図12A〜12Hは、本実施形態に係る横型PiNダイオード80の製造プロセスの一部を示したものである。説明の都合上、アニール処理工程は省略する。
まず、工程1として、図12Aに示すように、上記第1実施形態と同様のSOI基板4を準備する。SOI基板4は、単結晶シリコン基板1の表面に埋め込み酸化膜2を例えば3μmの厚さで形成し、さらにその表面に不純物濃度が、例えば3×1015cm−3のN-型シリコン(SOI)層3を例えば2μmの厚さで形成して構成したものである。該SOI基板4に熱酸化処理をして、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜のような絶縁膜7を形成する。次いで、トレンチ形成の際にマスク材となるシリコン酸化膜のような絶縁膜91を、例えば熱CVD法またはプラズマCVD法により、例えば300nmの厚さで堆積する。次いで、絶縁膜91の表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチを形成すべき領域に、例えば幅2μmの開口を有するマスク92を形成する。
次に、工程2として、図12Bに示すように、マスク92を使って、RIE等のドライエッチングにより、絶縁膜91をエッチングする。次いで、該絶縁膜91をマスクとして、ドライエッチングによりSOI活性層3を下部の埋め込み酸化膜2の表面までエッチングして、トレンチ61、81を形成する。この際、埋め込み酸化膜2はエッチングストッパー膜として機能する。
次に、工程3として、図12Cに示すように、トレンチ61に面したSOI活性層3の側面に向けて、斜め上方より、例えばボロン(B)を、例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、縦方向に伸長したP+型エミッタ拡散層62を形成する。同様に、トレンチ81に面したSOI活性層3の側面に向けて、斜め上方より、例えばリン(P)を、例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、縦方向に伸長したN+型エミッタ拡散層83を形成する。不純物イオンは、トレンチ61、81に面したSOI活性層3の側面に対して、大きな入射角をもって入射する。このため、SOI活性層3の側面には、側面から横方向に非常に浅い位置にピークを有する不純物濃度プロファイルが形成される。結果として、SOI活性層3内で横方向に浅く拡散したP+型エミッタ拡散層62、N+型エミッタ拡散層83を形成することができる。横方向の拡散の深さは例えば約0.5μmである。P+型エミッタ拡散層62とN+型エミッタ拡散層83とに挟まれたSOI活性層3内部の領域は、本実施形態に係る横型PiNダイオード80のドリフト領域を構成する。本実施形態において、ドリフト長は例えば約36μmである。
次に、工程4として、図12Dに示すように、アルミニウム膜のような導体膜93をスパッタ法により、例えば500nm堆積し、トレンチ61、81の内部にそれを埋め込む。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上方に開口を有するマスク73を形成する。次いで、このマスク73を使って、ドライエッチングにより、導体膜93をエッチングし、トレンチ型Nエミッタ電極82と、トレンチ型Pエミッタ電極63を同時に形成する。
次に、工程5として、図12Eに示すように、マスク73を除去した後、表面全体にシリコン酸化膜のような絶縁膜8を例えばプラズマCVD法により例えば約1μm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチ型Nエミッタ電極82及びトレンチ型Pエミッタ電極63の上部に開口を有するマスク74を形成する。次いで、該マスク74を使って、ドライエッチングにより、絶縁膜8をエッチングし、その後、マスク74を除去する。
次に、工程6として、図12Fに示すように、絶縁膜8の上部にアルミニウム膜のような導体膜10をスパッタ法により例えば500nm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク75を形成する。次いで、該マスク75を使って、ドライエッチングにより、開口部下の導体膜10をエッチングする。
次に、工程7として、図12Gに示すように、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜のような層間絶縁膜12を例えば1μm堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、トレンチ61、81の上部に開口を有するマスク76を形成する。
最後に、工程8として、図12Hに示すように、マスク76を使って、ドライエッチングにより、層間絶縁膜12を除去する。次いで、マスク76を除去した後、スパッタ法により、アルミニウム膜のような導体膜11を例えば500nm堆積する。次いで、全面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、ドリフト領域の上部に開口を有するマスク77を作成する。続いて、マスク77を使って、ドライエッチングにより、導体膜11をエッチングする。
本実施の形態によれば、両方のエミッタをトレンチに面したSOI活性層3の側面に形成しているため、より高速な横型PiNダイオードを得ることができる。
[第4の実施の形態]
図13は、本実施の形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード100は、P+型エミッタ層62の上部のSOI活性層3の表面付近にP+型拡散層101がさらに形成されている点で、上記第2実施形態と異なる。P+型エミッタ拡散層62を斜めイオン注入により形成した場合、SOI活性層3表面近傍の領域は、注入イオンが絶縁膜7に遮られるため、不純物総量が他の領域に比べ小さくなる。また、SOI活性層3の表層においてショットキー接合が形成される可能性もある。
図13は、本実施の形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード100は、P+型エミッタ層62の上部のSOI活性層3の表面付近にP+型拡散層101がさらに形成されている点で、上記第2実施形態と異なる。P+型エミッタ拡散層62を斜めイオン注入により形成した場合、SOI活性層3表面近傍の領域は、注入イオンが絶縁膜7に遮られるため、不純物総量が他の領域に比べ小さくなる。また、SOI活性層3の表層においてショットキー接合が形成される可能性もある。
そこで、この問題を解決するために、P+型エミッタ拡散層62の表面付近にさらにP+型拡散層101を形成することにより、十分な不純物総量を確保するものである。P+型拡散層101により、注入効率のバラツキが小さくなり、特性の均一な素子を安定して提供することが可能となる。
また、P+型拡散層101を設けることにより、P+型エミッタ拡散層62の周囲の電位分布の曲率を小さくすることが可能になる。その結果、SOI活性層3内部のP+型拡散層101付近での電場の集中は緩和され、アバランシェの発生を抑制することができる。したがって、高速かつ信頼性の高い横型PiNダイオードを提供することが可能となる。
次に、本実施形態に係る横型PiNダイオード100の製造方法について説明する。上記した第2実施形態と共通のプロセス部分については説明を省略する。
上記した第2実施形態の工程1において、第2実施形態と同様のSOI基板4を準備する。該SOI基板4に熱酸化処理をして、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜のような絶縁膜7を形成する。次に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、P+型拡散層101を形成する領域に開口を有するマスクを形成する。該マスクを使って、SOI活性層3内に、例えばボロン(B)を、1×1018cm−3の濃度で注入し、P+型拡散層101を形成する。次いで、マスクを除去した後、再びフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、N+型エミッタ拡散層6を形成する領域に開口を有するマスクを形成する。次いで、該マスクを使って、例えばリン(P)を、例えば1×1018cm−3の濃度で注入し、N+型エミッタ拡散層6を形成する。P+型拡散層101及びN+型エミッタ拡散層6の拡散深さは、例えば約0.5μmである。
以降の製造プロセスは、上記第2実施形態と同様なので説明を省略する。
[第5の実施の形態]
図14は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード120は、P+型エミッタ拡散層62の表面のSOI活性層3内にP+型拡散層101が形成され、N+型エミッタ拡散層83の表面のSOI活性層3内にN+型拡散層121が形成されている点で、上記第3実施形態と異なる。P+型拡散層101及びN+型拡散層121により、P+型エミッタ拡散層62ばかりではなく、N+型エミッタ拡散層83の上部においても、十分な不純物総量が確保される。結果として、注入効率のバラツキが小さくなり、特性の均一な素子を安定して提供することが可能となる。
図14は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型PiNダイオード120は、P+型エミッタ拡散層62の表面のSOI活性層3内にP+型拡散層101が形成され、N+型エミッタ拡散層83の表面のSOI活性層3内にN+型拡散層121が形成されている点で、上記第3実施形態と異なる。P+型拡散層101及びN+型拡散層121により、P+型エミッタ拡散層62ばかりではなく、N+型エミッタ拡散層83の上部においても、十分な不純物総量が確保される。結果として、注入効率のバラツキが小さくなり、特性の均一な素子を安定して提供することが可能となる。
また、P+型拡散層101及びN+型拡散層121を設けることにより、P+型エミッタ拡散層62付近の電位分布の曲率を小さくすることが可能となる。同様に、N+型エミッタ拡散層83付近の電位分布の曲率を小さくすることが可能となる。その結果、P+型拡散層101付近及びN+型拡散層121付近での電場の集中は緩和され、アバランシェの発生を抑制することが可能となる。したがって、さらに高速かつ信頼性の高い横型PiNダイオードを提供することができる。
次に、本実施形態に係る横型PiNダイオード120の製造方法について説明する。上記した第3実施形態と共通のプロセス部分については説明を省略する。
上記した第3実施形態の工程1において、第3実施形態と同様のSOI基板4を準備する。該SOI基板4に熱酸化処理をして、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜のような絶縁膜7を形成する。次に、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、P+型拡散層101を形成する領域に開口を有するマスクを形成する。次いで、該マスクを使って、SOI活性層3内に、例えばボロン(B)を、1×1018cm−3の濃度で注入し、P+型活性層101を形成する。次いで、マスクを除去した後、再びフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、N+型拡散層121を形成する領域に開口を有するマスクを形成する。次いで、該マスクを使って、例えばリン(P)を、例えば1×1018cm−3の濃度で注入し、N+型拡散層121を形成する。P+型拡散層101及びN+型拡散層121の拡散深さは、例えば約0.5μmである。続いて、熱酸化処理した後、トレンチを形成する際にマスクとなるシリコン酸化膜のような絶縁膜91を、例えば熱CVD法またはプラズマCVD法により、例えば300nmの厚さで堆積する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチを形成する部分に例えば幅2μmの開口を有するマスク92を形成する。
以降の製造プロセスは、上記第3実施形態と同様なので説明を省略する。
[第6の実施の形態]
図15は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る半導体装置は、SOI基板4内に形成された横型IGBT130を構成する。ここで、SOI基板4は、単結晶シリコン基板1表面に形成された所定の厚さの埋め込み酸化膜(BOX)2と、その埋め込み酸化膜2の表面に形成されたN-型シリコン活性層(SOI活性層)3により構成される。SOI活性層3内には、SOI活性層3より高い濃度で不純物イオンがドープされたP型ベース拡散層131、及び同じくSOI活性層3より高い濃度で不純物イオンがドープされたN+型バッファ層132が、SOI活性層3を挟むように形成されている。P型ベース拡散層131表面のSOI活性層3内には、SOI活性層3よりも高濃度で不純物イオンがドープされて形成されたN+エミッタ拡散層134が形成されている。SOI活性層3の表面全体には所定の膜厚の絶縁膜142が形成されている。N+エミッタ拡散層134とSOI活性層3とに挟まれたPベース拡散層131の上部にはゲート酸化膜143を介してポリシリコンのような導電性材料のゲート電極135が形成されている。ゲート電極135の下部のPベース拡散層131の表面領域は、ゲート電極135に閾値を超える駆動電圧が印加された際に反転層が形成され、それがチャネルを構成する。
図15は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る半導体装置は、SOI基板4内に形成された横型IGBT130を構成する。ここで、SOI基板4は、単結晶シリコン基板1表面に形成された所定の厚さの埋め込み酸化膜(BOX)2と、その埋め込み酸化膜2の表面に形成されたN-型シリコン活性層(SOI活性層)3により構成される。SOI活性層3内には、SOI活性層3より高い濃度で不純物イオンがドープされたP型ベース拡散層131、及び同じくSOI活性層3より高い濃度で不純物イオンがドープされたN+型バッファ層132が、SOI活性層3を挟むように形成されている。P型ベース拡散層131表面のSOI活性層3内には、SOI活性層3よりも高濃度で不純物イオンがドープされて形成されたN+エミッタ拡散層134が形成されている。SOI活性層3の表面全体には所定の膜厚の絶縁膜142が形成されている。N+エミッタ拡散層134とSOI活性層3とに挟まれたPベース拡散層131の上部にはゲート酸化膜143を介してポリシリコンのような導電性材料のゲート電極135が形成されている。ゲート電極135の下部のPベース拡散層131の表面領域は、ゲート電極135に閾値を超える駆動電圧が印加された際に反転層が形成され、それがチャネルを構成する。
ゲート電極135の上部には層間絶縁膜138が形成されている。バッファ層132側には、層間絶縁膜138の表面から埋め込み酸化膜2に達するトレンチ136が形成されている。トレンチ136に面したSOI活性層3の側面137にはP+型コレクタ拡散層133が形成されている。N+型エミッタ拡散層134とN+型バッファ層132により挟まれたSOI活性層3は、ゲート電極135に閾値を超える駆動電圧が印加された場合に、P型ベース拡散層131に形成されたチャネルを通じてキャリアが横方向に流れるドリフト層を構成する。
層間絶縁膜138には所定の位置にコンタクトホールが開口され、アルミニウム膜のような導体膜が形成される。該導体膜は、N+型エミッタ拡散層134及びP型ベース拡散層131とコンタクトするエミッタ電極139を構成する。トレンチ136内部には例えばアルミニウムが埋め込まれ、該アルミニウムはトレンチ136の側面137においてP+型コレクタ拡散層133とコンタクトし、コレクタ電極140を構成する。エミッタ電極139及びコレクタ電極140の上部には、それぞれ、例えばアルミニウムから成る配線層141A、141Bが形成されている。配線層141A、141Bは、電位分布の曲率を小さくするフィールドプレートとしても機能する。
次に、本実施の形態に係る横型IGBTの動作原理について説明する。コレクタ電極140とエミッタ電極139との間に、正のコレクタ電圧を印加した状態で、ゲート電極135とエミッタ電極139との間に閾値を超える正のゲート電圧を印加すると、ゲート電極135の底面に面したP型ベース拡散層131の表面にN型の反転層が形成される。その結果、コレクタ電極140とエミッタ電極139との間には、P+N+N-NN+構造のPiNダイオードが構成される。この状態で順方向電圧が印加されているので、コレクタ・エミッタ間がオン状態となり、コレクタからエミッタ方向へ電流が流れる。すなわち、N型チャネルを通じて、N+型エミッタ拡散層134からの電子がN-型SOI活性層3に注入され、N+型バッファ層132を通じて、P+型コレクタ拡散層133に達する。この際、P+型コレクタ拡散層133からのホールはN+型バッファ層132を介して、N-型SOI活性層3に注入される。過剰なホールはバッファ層132を通じて、N-型SOI活性層3に蓄積される。このように、SOI活性層3に、電子及びホールが共に注入される結果、N-型SOI活性層3で伝導度変調が生じて、N-型SOI活性層の抵抗が大幅に低減し、オン電圧を大幅に小さくすることができる。
次に、本実施の形態に係る横型IGBT130の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。図16A〜16Fは、本実施の形態に係る横型IGBT130の製造プロセスの一部を示したものである。
まず、工程1として、図16Aに示すように、第1実施形態と同様のSOI基板4を準備する。次いで、表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、所望の位置に開口を有するマスクを形成する。次いで、該マスクを使って、P型ベース拡散層となる領域には例えばボロン(B)をイオン注入し、N+型バッファ層となる領域には例えばリン(P)をイオン注入して熱拡散することにより、それぞれPベース拡散層134及びN+バッファ拡散層132を形成する。マスクを除去した後、同様にフォトリソグラフィー技術を使って、N+型エミッタ拡散層134となる領域に例えばリンをイオン注入して熱拡散しN+型エミッタ拡散層134を形成する。次いで、熱酸化処理により、例えば膜厚100nmの絶縁膜142を形成する。
次に、工程2として、図16Bに示すように、表面全体に例えばCVD法により500nmの膜厚のポリシリコンを堆積する。次いで、フォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、ゲート電極135となる領域のみにフォトレジストを残してマスクとする。次いで、そのマスクを使って、RIE等のドライエッチングにより、ゲート電極135を形成する。ゲート電極135の直下の絶縁膜142はゲート酸化膜143を構成する。次いで、マスクを除去する。
次に、工程3として、図16Cに示すように、例えば熱CVD法またはプラズマCVD法により、表面全体に、例えば膜厚300nmのシリコン酸化膜のような絶縁膜138を堆積する。次いで、その表面全体にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を使って、トレンチ136を形成するべき領域に開口を有するマスク144を形成する。
次に、工程4として、図16Dに示すように、マスク144を使って、ドライエッチングにより、絶縁膜138をエッチングする。次いで、マスク144を除去し、絶縁膜138をマスクとして、ドライエッチングにより、埋め込み酸化膜2まで達するトレンチ136を形成する。ここで、埋め込み酸化膜2はエッチングストッパー膜として機能する。次いで、トレンチ136に面したSOI活性層3の側面137に対して、斜め上方より、例えばリンをイオン注入し、P+型コレクタ拡散層133を形成する。
次に、工程5として、図16Eに示すように、P型ベース拡散層131とN+型エミッタ拡散層134の上部に、フォトリソグラフィー及びドライエッチングプロセスによりコンタクトホール145を開口する。
次に、工程6として、図16Fに示すように、表面全体にスパッタ法によりアルミニウム膜のような導体膜を堆積し、フォトリソグラフィー及びエッチングプロセスによりパターニングを行うことにより、エミッタ電極139、コレクタ電極140、配線層141A、141Bを形成する。
本実施形態に係る横型IGBTによれば、斜めイオン注入により、P+型コレクタ拡散層133を形成しているため、表面から浅い位置に不純物濃度のピークを有する不純物濃度プロファイルをもつ浅く拡散したP+型コレクタ拡散層133を形成することができる。また、P+型コレクタ拡散層133の底部付近に電荷が蓄積しなくなり、全体として不要な電荷の蓄積が減少する。これらにより、IGBTのスイッチング動作をより高速化することが可能となる。さらに、SOI活性層の厚さを2μm以下とすることにより、SOI層の臨界電界値が高くなるためアバランシェが発生し難くなり素子130の信頼性が向上する。
[第7の実施の形態]
図17は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型IGBT150は、P+型コレクタ拡散層133側のトレンチ136に加え、P型ベース拡散層131側にもトレンチ151を形成している点で上記第6実施形態と異なる。トレンチ151は、層間絶縁膜138の表面から、SOI活性層3内のN+型エミッタ拡散層134、P型ベース拡散層131を貫通して埋め込み酸化膜2まで達するように形成されている。トレンチ151内にはアルミニウムのような導体が埋め込まれ、その側面においてN+型エミッタ拡散層134及びP型ベース拡散層131とコンタクトするエミッタ電極152を構成している。エミッタ電極152の上部にはアルミニウム膜の配線層141Aが形成されている。エミッタ電極152及び配線層141Aは、電位分布の曲率を小さくするフィールドプレートとしても機能する。
図17は、本実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。本実施の形態に係る横型IGBT150は、P+型コレクタ拡散層133側のトレンチ136に加え、P型ベース拡散層131側にもトレンチ151を形成している点で上記第6実施形態と異なる。トレンチ151は、層間絶縁膜138の表面から、SOI活性層3内のN+型エミッタ拡散層134、P型ベース拡散層131を貫通して埋め込み酸化膜2まで達するように形成されている。トレンチ151内にはアルミニウムのような導体が埋め込まれ、その側面においてN+型エミッタ拡散層134及びP型ベース拡散層131とコンタクトするエミッタ電極152を構成している。エミッタ電極152の上部にはアルミニウム膜の配線層141Aが形成されている。エミッタ電極152及び配線層141Aは、電位分布の曲率を小さくするフィールドプレートとしても機能する。
次に、本実施形態に係る横型IGBT150の製造方法について説明する。上記第6実施形態と、工程5までは同じなので説明を省略する。
上記第6実施形態の工程6として、シリコン酸化膜138をマスクとして、RIE等のドライエッチングにより、N+型エミッタ拡散層134及びPベース拡散層131を貫通して、埋め込み酸化膜2まで達するトレンチ151を形成する。ここで、埋め込み酸化膜2はエッチングストッパー膜として機能する。次いで、表面全体にスパッタ法により例えばアルミニウム膜を堆積し、フォトリソグラフィー及びエッチングプロセスによりパターニングを行うことにより、エミッタ電極152、コレクタ電極140、配線層141A、141Bを形成する。
本実施形態に係る横型IGBTによれば、上述した効果に加え、N+型エミッタ拡散層134隣接してトレンチ134を形成しているため寄生サイリスタによるラッチアップが生じ難くなり、素子150の信頼性をさらに向上させることができる。
[その他]
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。例えば、トレンチを形成してから、拡散層を形成する代わりに、不純物拡散を実行した後に、トレンチを形成してもよい。また、フィールドプレートは3層以上の多層金属膜により形成してもよい。
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。例えば、トレンチを形成してから、拡散層を形成する代わりに、不純物拡散を実行した後に、トレンチを形成してもよい。また、フィールドプレートは3層以上の多層金属膜により形成してもよい。
1・・・シリコン基板、 2・・・埋め込み酸化膜、 3・・・SOI活性層、 4・・・SOI基板、 5・・・P+型エミッタ拡散層、 6・・・N+型エミッタ拡散層、 7・・・酸化膜、 8・・・層間絶縁膜、 9A、9B・・・エミッタ電極、 10A、10B・・・配線層、 11A、11B・・・上層配線層、 12・・・層間絶縁膜。
Claims (5)
- 半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、
前記半導体層の表面に設けられ、前記半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、
前記半導体層の表面に前記第1拡散層とは離隔して設けられ前記半導体層より不純物濃度の高い第1導電型の第2拡散層と、
前記第1拡散層と接続する第1電極と、
前記第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、
前記第2拡散層と接続する第2電極と、
前記第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。 - 半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、
前記半導体層の表面から前記シリコン酸化膜の表面まで達するように設けられたトレンチと、
前記トレンチに面した前記半導体層の側面に形成された前記半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、
前記第1拡散層から離隔されて前記SOI基板内に形成された前記半導体層より不純物濃度が高い第1導電型の第2拡散層と、
前記第1拡散層と接続する第1電極と、
前記第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、
前記第2拡散層と接続する第2電極と、
前記第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。 - 半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜上に形成された第1導電型の半導体層とを備えるSOI基板と、
前記半導体層の表面から前記シリコン酸化膜の表面まで達するように、互いに離隔して設けられた第1及び第2トレンチと、
前記第1トレンチに面した前記半導体層の側面に形成された前記半導体層より不純物濃度が高い第2導電型の第1拡散層と、
前記第2トレンチに面した前記半導体層の側面に形成された前記半導体層より不純物濃度が高い第1導電型の第2拡散層と、
前記第1拡散層と接続する第1電極と、
前記第1電極と接続する少なくとも1層の第1配線層と、
前記第2拡散層と接続する第2電極と、
前記第2電極と接続する少なくとも1層の第2配線層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。 - 前記第1電極及び前記第1配線層は第1フィールドプレートを形成し、前記第2電極及び前記第2配線層は第2フィールドプレートを形成し、前記第1及び第2フィールドプレートは絶縁膜により互いに絶縁されている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。 - 前記トレンチに面した前記半導体層の側面に形成された前記拡散層の上部表面のSOI基板内に、前記拡散層と同一導電型の拡散層をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
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JP2007333671A JP2009158643A (ja) | 2007-12-26 | 2007-12-26 | 半導体装置 |
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JP2015088670A (ja) * | 2013-10-31 | 2015-05-07 | トヨタ自動車株式会社 | ツェナーダイオード |
-
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- 2007-12-26 JP JP2007333671A patent/JP2009158643A/ja not_active Withdrawn
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