JP2009148949A - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排版装置による使用済みマスタ8の剥離・回収量が所定の段階に達した時点で排版ローラ対30の回転を停止し、インキ均質化部材80を退避位置から印刷ドラム1の表面に当接する位置に設定する。この場合、インキ均質化部材80はマスタ後端部8cを介して印刷ドラム1の表面に当接し、かかる状態で印刷ドラム1が回転して、印刷ドラム1の表面のインキの残像を消去するインキ均質化動作が行われる。インキ均質化動作終了後、インキ均質化部材80が退避位置に戻され、排版ローラ対30の回転が再開されて使用済みマスタ8を完全に回収する。
【選択図】図1
Description
このような孔版印刷装置では、一般的に、印刷装置を使用しない間は、直接空気に晒すことによるインキ特性の低下ないし劣化を防止するために、前回使用したマスタを印刷ドラム上に巻装したまま放置するようになっている。
このため、特に使用者を限定しないオープンスペースへの設置状況であった場合などで、第三者による追加印刷の実施などにより情報漏洩が発生するという問題があった。
使用済みのマスタは印刷ドラムから剥離された後も排版ボックスに回収されるため、特許文献3、4には機密保持モードが設定された場合に排版ボックスを抜き取りできないようにしたものが開示されている。
特許文献5〜11には、排版ボックス内に回収されたマスタ(感熱性フィルム)を熱により溶融、あるいはカッター等により物理的に裁断することにより、使用済みマスタからの情報漏洩を防止する技術が開示されている。
このインキ特性の差異は、排版後の印刷ドラム表面に存在するインキ層にも形成されているため、別の原稿を製版・印刷する場合にも、この印刷ドラム表面のインキ層が消費されるまでは前回の印刷画像の残像が発生して情報漏洩につながる可能性がある。
この問題に対処すべく、特許文献12には、排版時あるいは排版後にプレートやローラ状のインキ均質化部材を印刷ドラムの表面に接触させ、印刷ドラムの表面に残留したインキ層を均して(攪拌)、残像を消去する技術が開示されている。
このことは、例えば、一台の印刷装置で複数の異なる色のインキをセットした印刷ドラムを使い分ける際に、混色による印刷ドラムの汚れを発生させ、印刷画像の画質低下を招く虞があることを意味する。
請求項4記載の発明では、請求項2又は3記載の孔版印刷装置において、前記使用済みマスタの後端側が前記印刷ドラムから剥離され、裏返った状態で前記インキ均質化部材が前記印刷ドラムに当接するタイミングで前記排版手段の動作を停止することを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項2〜5のいずれか1つに記載の孔版印刷装置において、前記排版手段により回収される前記使用済みマスタの先端を検知する排版検知手段と、該排版検知手段からの検知信号を基準に前記排版手段による使用済みマスタの回収量を算出し、その算出結果に基づいて前記前記排版手段の動作を停止する制御手段を有していることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の孔版印刷装置において、前記制御手段による前記使用済みマスタの回収量の算出が、前記排版手段の回転数又は前記印刷ドラムの回転量に基づいてなされることを特徴とする。
まず、図6に基づいて、本実施形態における孔版印刷装置100の構成の概要を説明する。孔版印刷装置100は、図示しない原稿の画像を読み取る周知構成の画像読取装置(スキャナ)50と、該画像読取装置50によって読み取られた画像情報または図示しないパーソナルコンピュータ等の外部接続機器により入力された画像情報に基づいてマスタ8を製版すると共に給版する製版給版装置51と、給紙台としての給紙トレイ58上の印刷用紙P(以下、「用紙P」という)を給紙する給紙装置52と、製版済みのマスタ8もしくは使用済みのマスタ8を外周面に巻装される印刷ドラム1と、印刷ドラム1の内部に配設された後述するインキ供給手段と、印刷ドラム1から剥離された印刷済みの用紙Pを吸引搬送する排紙搬送装置53と、該排紙搬送装置53により搬送された用紙Pが排出収容される排紙台としての排紙トレイ54と、印刷ドラム1の外周面から使用済みのマスタ8を剥離・排版する排版手段としての排版装置55等を具備している。
マスタ8は、芯材8bにロール状に巻成されたマスタロール8aから繰り出し可能になされている。マスタロール8aは、芯材8bを介して図示しないホルダ部材に回転可能に支持されている。マスタ8は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルムに、支持体として和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものを接着剤で貼り合わせたラミネート構造を有しているものが用いられる。
マスタ8の繰り出し方向X1の下流には、図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ10と、多数の発熱素子をその主走査方向に有するサーマルヘッド11とが設けられている。マスタ8は、図示しないバネ部材等の付勢手段により付勢されたサーマルヘッド11によりプラテンローラ10に押圧されている。サーマルヘッド11は、マスタ8を介してプラテンローラ10に相対的に接離自在になされている。
プラテンローラ10のさらに下流側には、製版済みのマスタ8を所定の長さに切断するギロチンタイプのカッタ12が設けられている。カッタ12は、可動刃としての上刃12aと固定刃としての下刃12bとを有している。カッタ12としては、上記のものに限らず、回転刃移動タイプを採用してもよい。
カッタ12の下流側には、上記製版部側板に回転自在に支持された反転ローラ対13が配設されており、該反転ローラ対13は、互いに圧接した状態で設けられている。反転ローラ対13は、プラテンローラ10の周速度より僅かに速い周速度に設定されており、マスタ8との間で滑りながらマスタ8に適度な張力を付与するようになっている。反転ローラ対13の下流側には、製版済みのマスタ8の先端部を後述するクランパ7に案内する湾曲したガイド板14が設けられている。
印刷ドラム1は、その外周部に配置された円筒状の版胴を有している。該版胴は、インキ通過性の多数の開孔を開けて形成された開孔部1a(印刷可能領域:インキ浸透部とも呼ばれる)と非インキ通過性の非開孔部1b(非印刷可能領域)とからなる支持円筒体の外周に、図示しないメッシュスクリーンが複数層巻装された構成を有している。
開孔部1aおよび非開孔部1bを備えた上記支持円筒体は、例えばステンレススチール等の金属薄板で形成されている。梨地模様で表示した開孔部1aは、クランパ7配置部の周辺を除くその円周上の所定の範囲に亘り形成されている。ハッチングで表示した非開孔部1bは、クランパ7配置部の周辺に形成されている。上記メッシュスクリーンは、上記支持円筒体の開孔部1aに対応した領域よりもやや広い一部非開孔部1bに及ぶ領域に巻装されていて、例えば樹脂あるいは金属製網体状のインキ通過性領域部と、このインキ通過性領域部に連結したインキ不通過領域としてのレザー部とを有する。
印刷ドラム1は、そのホームポジションを兼ねる排版位置および給版位置近傍においてそれぞれ停止可能になっている。ホームポジション(排版位置)とは、クランパ7が印刷ドラム1の左斜め上方に位置する印刷ドラム1の回転位置をいい、排版ローラ対30に近接した位置を意味する。給版位置とは、クランパ7が図6において略右横に位置する印刷ドラム1の回転位置をいう。
インキローラ2の外周面と僅かな隙間をおいてドクターローラ3が設けられており、該ドクターローラ3は、インキローラ2とドクターローラ3との間に形成される断面楔状のインキ溜まり4のインキを計量しつつインキローラ2の外周面に薄膜状に供給する。インキ溜まり4のインキは、図示しないインキポンプにより、印刷ドラム1の外部に設けられたインキパック等より吸引され、インキパイプ5の供給孔5aより滴下供給されてインキローラ2とドクターローラ3の回転により混練される。
インキローラ2、ドクターローラ3およびインキパイプ5等により、印刷ドラム1上の製版済みのマスタ8にインキを供給するインキ供給手段が構成されている。印刷ドラム1は、孔版印刷装置本体に対してその軸線方向に上記インキ供給手段および上記インキパック等と一体化されたドラムユニットを構成していて、孔版印刷装置本体に対して着脱可能となっている。
図6は、クランパ7の閉じ動作によって、製版給版装置51から供給された製版済みのマスタ8の先端部が挟持・クランプされている状態を表している。
排版上ローラ31は羽根車形状を、排版下ローラ33はギヤ形状を有しており、使用済みのマスタ8をスリップを抑制した状態で挟持・搬送できるようになっている。排版ローラ対30は、印刷ドラム1の軸線方向に間隔をおいて複数設けられている。
排版ローラ対30は、図示しない接離機構により、排版下ローラ33の軸を中心に左右に揺動可能に、すなわち、排版上ローラ31が印刷ドラム1に対して接離可能に設けられている。
プレート82は駆動手段としてのソレノイド83(図5参照)により、印刷ドラム1の表面に当接する位置と、印刷ドラム1から離間する位置とに選択的に設定される。インキ均質化部材80の詳細については後述する。
アーム軸22aの一端側には、図示しないカムフォロアが設けられており、印刷ドラム1と同期して回転する図示しないカムに沿って図示しない引張バネ等の付勢手段により印刷ドラム1に対して接離するようになっている。プレスローラ23は、印刷時以外は図示しない係止手段により印刷ドラム1から離間した実線で示す位置に保持されている。なお、押圧手段としては、印刷ドラム1の外径と略同じ径を有する圧胴等を用いる場合もある。
印刷ドラム1の左下側には、印刷ドラム1に近接して用紙Pを印刷ドラム1の表面より剥離する軸部を中心に揺動自在な剥離爪62が設けられている。剥離爪62で剥離された用紙Pは排紙搬送装置53の搬送ローラ63によりファン64の吸引力で吸着されながら搬送され、排紙台としての排紙トレイ54へ排出される。
排版ローラ駆動モータ65の回転数又は回転量は、エンコーダセンサ66により制御手段84へ入力される。ドラム駆動モータ41の回転数又は回転量は、エンコーダセンサ17により制御手段84へ入力される。
ゴムプレート86はインキ均質化動作時に印刷ドラム1の表面を傷付けないようにする観点から設けられており、耐インキ性のゴム材料で形成されている。
インキ均質化動作が終了してソレノイド83がOFFすると、磁性体であるベース85が装置側板間に配置されたステー87に固定された磁力発生手段としての磁石88に吸引され、インキ均質化部材80は印刷ドラム1から離間した位置(退避位置)を占める。バネ力によって退避位置に戻るようにしてもよい。
図2(a)に示すように、図示しない操作パネル上の製版スタートキーが押されて次の製版が指示されると、排版位置(ホームポジション)にある印刷ドラム1上のクランパ7が開かれるとともに印刷ドラム1が時計回り方向に回転する。また、排版ローラ対30が退避位置M1から排版位置M2に変位し、回転しながら使用済みマスタ8の先端部を巻き込む。使用済みマスタ8の先端部はインキを介して印刷ドラム1に密着していないので、クランパ7の開放動作に伴って排版ローラ対30側へ浮き上がり、挟持し易くなる。使用済みマスタ8の先端部を積極的に排版ローラ対30側へ跳ね上げる手段を印刷ドラム1に設けてもよい。
排版ローラ対30の接離機構は、公知の構成、例えば特許文献13に開示の機構を採用することができる。
マスタ検知センサ70により使用済みマスタ8の先端が検知されて剥離された使用済みマスタ8の先端部が挟持されたことが確認されると(b)、排版ローラ対30は退避位置M1に戻される(c)。
使用済みマスタ8の後端部が未剥離の状態で排版ローラ対30の回転が止められて排版装置55の動作が停止される(d)。印刷ドラム1が回転を続けることにより使用済みマスタ8の後端部も剥離され、裏返った状態となる(e)。
この場合、マスタ後端部8cはインキ均質化部材80の対向部位にあり、この裏返しになるタイミングでソレノイド83がONされてインキ均質化部材80が回動し、マスタ後端部8cを介して(印刷ドラム1との間で挟んだ状態で)ゴムプレート86が印刷ドラム1の表面に押し付けられる(f)。図1は、図2(f)と同様の状態を示している。
したがって、インキ均質化部材80を直接印刷ドラム1の表面のインキ層に接触させる場合と比べて、印刷ドラム1の表面のインキ層を均して混合する機能に差異は生じない。
印刷ドラム1の回転によってインキ均質化部材80によるマスタ後端部8cを介した均し動作(均質化動作)は進行する。これにより、印刷ドラム1の表面に残留する残像を消去することができ、残像からの情報判別は不能となる。
均しのための印刷ドラム1の回転は、印刷ドラム1上の画像形成部分(版胴の開孔部分)全体にインキ均質化部材80による均質化動作が行き渡る範囲でなされる。
図2(f)の状態でインキ均質化部材80による均し動作が終了すると、ソレノイド83がOFFされ、インキ均質化部材80は印刷ドラム1の表面から離間する。これに伴って、再び排版ローラ対30が回転駆動され(排版装置55の動作の再開)、使用済みマスタ8を完全に排版ボックッス35に回収する。
制御手段84は、マスタ検知センサ70からの検知信号を受けると、これを基準にして、排版上ローラ31又は排版下ローラ33の回転数をモニタし、所定のタイミング(マスタ後端部8cがインキ均質化部材80の対向部位に位置するタイミング)で排版下ローラ33の回転を停止する。
上記所定のタイミングはマスタ検知センサ70からの検知信号を受けてからの経過時間で判断してもよく、あるいは印刷ドラム1の回転量をモニタして判断してもよい。
ソレノイド83のONタイミングは、排版下ローラ33の回転を止めるタイミングとの関係で決定される。
すなわち、剥離された使用済みマスタ8のインキが付着している部分を介してインキ均質化部材80を当接させてもよい。インキ均質化部材80がマスタに付着しているインキで汚れても、常にマスタを介して印刷ドラム1の表面に当接するので、インキ均質化部材80が直接印刷ドラム1の表面のインキに触れることはなく、よって混色の問題は生じない。
マスタの穿孔部を介してインキ均質化部材80の当接圧によるインキ戻りが考えられるが、実際上混色への影響はほとんど無い。
したがって、マスタ後端部8cが裏返らない時点でインキ均質化部材80を動作させて印刷ドラム1の表面に使用済みマスタ8を介して当接させることも可能である(以下の実施形態において同じ)。
本実施形態では、インキ均質化部材80を新たに設けることなく、排版上ローラ31をインキ均質化部材として用いることを特徴としている。
本実施形態における排版ローラ対30は、上述した退避位置M1、排版位置M2の他に、排版上ローラ31が印刷ドラム1の表面に当接する当接位置M3に変位可能に設けられている。
インキ均質化動作を行う場合、制御手段84は、排版動作が上記所定のタイミングに達すると、排版ローラ対30の回転駆動を停止し、排版位置M2から当接位置M3に変位させ、マスタ後端部8cを介して排版上ローラ31を印刷ドラム1の表面に当接させる。
これにより、上記実施形態と同様の残像消去機能を得ることができるとともに、別途インキ均質化部材80を設ける構成に比べて省スペース化、ひいては小型化に寄与できる。また、新たな部品を用いないので、製造コストのアップを来たすことなく混色の問題を解消できる。
8 使用済みマスタ
21 押圧手段
31 排版コロとしての排版上ローラ
70 排版検知手段としてのマスタ検知センサ
55 排版手段としての排版装置
80 インキ均質化部材
84 制御手段
Claims (7)
- 穿孔製版されたマスタを、内部にインキ供給手段を有する多孔性の印刷ドラムの外周面に巻装し、前記印刷ドラムに押圧手段により印刷用紙を押圧して印刷を行い、次の原稿を製版する際に、前記印刷ドラムに巻装されている使用済みマスタを前記印刷ドラムを回転させながら排版手段により剥離、回収するための排版動作を行う孔版印刷装置であって、前記印刷ドラムに対して接離自在で排版後の前記印刷ドラムの表面の残留インキを均すためのインキ均質化部材を有する孔版印刷装置において、
前記インキ均質化部材を、前記使用済みマスタを介して前記印刷ドラムに当接させ、その状態で前記印刷ドラムを回転させて均すことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記インキ均質化部材が前記排版手段のドラム回転方向下流に設けられ、前記使用済みマスタの後端側が前記インキ均質化部材の対向領域に位置するタイミングで前記排版手段の動作を停止するとともに、前記インキ均質化部材を当接方向に動作させ、均しが終了した後、前記インキ均質化部材を離間させるとともに、前記排版手段の動作を再開させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記排版手段が、前記印刷ドラムから離間した排版位置と前記印刷ドラムに当接する位置とに任意に設定可能な排版コロを有し、該排版コロが前記インキ均質化部材としてなり、前記使用済みマスタの後端側が前記インキ均質化部材の対向領域に位置するタイミングで前記排版手段の動作を停止するとともに、前記排版コロを当接方向に動作させ、均しが終了した後、前記排版コロを離間させるとともに、前記排版手段の動作を再開させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2又は3記載の孔版印刷装置において、
前記使用済みマスタの後端側が前記印刷ドラムから剥離され、裏返った状態で前記インキ均質化部材が前記印刷ドラムに当接するタイミングで前記排版手段の動作を停止することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項4記載の孔版印刷装置において、
前記インキ均質化部材が当接する部位が、前記使用済みマスタの後端側の未製版部分であることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2〜5のいずれか1つに記載の孔版印刷装置において、
前記排版手段により回収される前記使用済みマスタの先端を検知する排版検知手段と、該排版検知手段からの検知信号を基準に前記排版手段による使用済みマスタの回収量を算出し、その算出結果に基づいて前記前記排版手段の動作を停止する制御手段を有していることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項6記載の孔版印刷装置において、
前記制御手段による前記使用済みマスタの回収量の算出が、前記排版手段の回転数又は前記印刷ドラムの回転量に基づいてなされることを特徴とする孔版印刷装置。
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